(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100382
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】画像読取装置および画像読取システム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20230711BHJP
H04N 1/21 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/00 L
H04N1/00 127B
H04N1/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001011
(22)【出願日】2022-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 万紗子
【テーマコード(参考)】
5C062
5C073
【Fターム(参考)】
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AC35
5C062AF15
5C073AA06
(57)【要約】
【課題】スキャン中であっても送信されたプルスキャン指示を受付可能にする。
【解決手段】ネットワーク3を介して接続された端末装置2Aから送信されるプルスキャン指示に基づいて画像データを取得し、取得した画像データをプルスキャン指示において指定された転送先に送信するプルスキャン機能と、画像読取装置1のユーザインターフェース手段によって指示されるプッシュスキャン指示に基づいて画像データを取得し、取得した画像データをプルスキャン指示において指定された転送先に送信するプッシュスキャン機能とを実行可能であり、プルスキャン指示を受信した時に画像読取装置1が原稿のスキャン中であった場合、受信したプルスキャン指示に対応したジョブ情報を、プッシュスキャン機能によるジョブとして画像読取装置1の記憶部13に登録可能なジョブ登録手段11を有することを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続され、指定された転送先に原稿をスキャンして取得した画像データを、前記ネットワークを介して転送する画像読取装置において、
前記ネットワークを介して接続された端末装置から送信されるプルスキャン指示に基づいて前記画像データを取得し、取得した前記画像データを前記プルスキャン指示において指定された転送先に送信するプルスキャン機能と、
前記画像読取装置のユーザインターフェース手段によって指示されるプッシュスキャン指示に基づいて前記画像データを取得し、取得した前記画像データを前記プルスキャン指示において指定された転送先に送信するプッシュスキャン機能と
を実行可能であり、
前記プルスキャン指示を受信した時に前記画像読取装置が原稿のスキャン中であった場合、受信した前記プルスキャン指示に対応したジョブ情報を、前記プッシュスキャン機能によるジョブとして前記画像読取装置の記憶部に登録可能なジョブ登録手段を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記端末装置から前記プルスキャン指示を受信した時に前記画像読取装置が原稿のスキャン中であった場合、前記端末装置に対して前記画像読取装置がスキャン中であるという状態を通知することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記端末装置から前記ジョブ登録手段に対してジョブ情報を登録する指示を受け取った場合、前記記憶部に保持しているジョブ情報の探索を行い、利用可能なジョブ番号を取得すると共に、前記端末装置に対し取得した前記ジョブ番号を通知することを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記記憶部に保持しているジョブ情報の探索を行った結果、前記記憶部において利用可能なジョブ番号がない場合に、前記端末装置へジョブ番号の空きがないことを通知することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記登録手段は、前記端末装置から送信された前記プルスキャン指示に対応したジョブ情報を、前記ジョブ番号と紐づけて前記ジョブ登録手段に登録することを特徴とする請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ジョブ登録手段によって登録された前記ジョブが実行されると、前記ジョブ登録手段によって登録された前記ジョブが前記記憶部から削除されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像読取装置を含み、
前記ジョブ登録手段に対しジョブを前記記憶部に登録する指示を受けた場合、前記プルスキャン機能によるジョブが前記プッシュスキャン機能によるジョブとして登録されるにあたり、どの程度の機能の低下が発生するかをユーザーに通知することを特徴とする画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークに接続された画像読取装置、および画像読取装置とネットワークを介して接続される端末装置を含む画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像読取装置がネットワークに接続可能になったため、読み取った原稿の画像データを様々な転送先にネットワークを介して直接転送することが一般的になってきている。
【0003】
このようなネットワークに接続された画像読取装置を用いて画像データを取得するに際し、プルスキャン機能と呼ばれる手法で取得する場合とプッシュスキャン機能と呼ばれる手法で取得する場合とがある。
【0004】
ここで、プルスキャン機能というのは、画像読取装置が接続しているネットワーク上に繋がっている端末装置からの読取指示に基づいて、画像読取装置が読取を開始し、読み取った画像データを端末装置へ送信する機能のことである。
【0005】
若しくは、画像読取装置に設けられたタッチパネル等のユーザインターフェースから指示された操作者による原稿読取に関する操作に従って、画像読取装置が接続しているネットワーク上に繋がっている端末装置に対して、読取指示に関する通知を行い、読取指示に関する通知を受信した端末装置から送信された読取指示に基づいて、画像読取装置が読取を開始し、読み取った画像データを端末装置へ送信する機能もプルスキャン機能と見做されている。プルスキャン機能は、端末装置内のキャプチャーアプリケーションが画像読取装置から受け取った画像データから画像ファイルを作成し、読取指示に含まれた転送先へ転送する。
【0006】
また、プッシュスキャン機能というのは、画像読取装置に設けられたタッチパネル等のユーザインターフェースから指示された操作者による原稿の読取に関する操作に従った読取指示に基づいて、画像読取装置が読取を開始し、読み取った画像データを読取指示に含まれた転送先に送信するという機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなネットワークに接続された画像読取装置では、プッシュスキャン機能を用いるユーザーと、ネットワーク上に繋がっている端末装置からプルスキャン機能を使うユーザーが同時に読取指示をする等、複数のユーザーから同時にアクセスされる事が起こり得る。
【0009】
しかし、画像読取装置は複数の読取処理を同時に行うことは出来ないため、複数のユーザーからの同時アクセスが発生した場合、一方のユーザーによる指示を受け付ける代わりに他方のユーザーからの指示を拒否する等の排他処理が必要となる。
【0010】
そこで、画像処理装置が画像読取処理を行っている最中は、他の読取指示を排他するという技術が特許文献1に開示されている。
【0011】
しかし、ユーザーが、端末装置からスキャン開始の指示を送るプルスキャン機能を用いた際、排他処理によってスキャンを拒否された場合、ユーザーは画像読取装置の処理が終了するまで端末装置の側で待機する必要がある。そして、先行して実行中のスキャン処理が終了したと思った時点で、ユーザーは画像読取装置の原稿台に原稿を置き、端末装置に戻ってスキャン指示を行う必要があり、手間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記を鑑み、本発明に係る画像読取装置は、
ネットワークに接続され、指定された転送先に原稿をスキャンして取得した画像データを、前記ネットワークを介して転送する画像読取装置において、
前記ネットワークを介して接続された端末装置から送信されるプルスキャン指示に基づいて前記画像データを取得し、取得した前記画像データを前記プルスキャン指示において指定された転送先に送信するプルスキャン機能と、
前記画像読取装置のユーザインターフェース手段によって指示されるプッシュスキャン指示に基づいて前記画像データを取得し、取得した前記画像データを前記プルスキャン指示において指定された転送先に送信するプッシュスキャン機能と
を実行可能であり、
前記プルスキャン指示を受信した時に前記画像読取装置が原稿のスキャン中であった場合、受信した前記プルスキャン指示に対応したジョブ情報を、前記プッシュスキャン機能によるジョブとして前記画像読取装置の記憶部に登録可能なジョブ登録手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、プルスキャン指示を拒否された場合に、画像読取装置内に画像読取ジョブが保存されることで、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像読取システムの構成
【
図2】本発明の実施形態に係る画像読取装置のハードウェア構成
【
図3】プッシュスキャン機能を用いる場合における画像読取処理の流れを示すフローチャート
【
図4】プルスキャン機能を用いる場合における画像読取処理の流れを示すシーケンス図
【
図5】本発明の実施形態に係る動作の流れを示すシーケンス図
【
図6】プッシュスキャン機能の実行における表示部の表示例
【
図7】画像読取装置内における、ジョブの保存形式の一例
【
図8】プルスキャン機能の実行における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【
図9】キャプチャーアプリケーションにおける、ジョブの保存形式の一例
【
図10】S202における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【
図11】S204における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【
図12】S207における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【
図13】S208における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【
図14】S211における情報端末装置内のキャプチャーアプリケーションの表示例
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施に係る画像読取システム構成の一例を示す図である。
【0016】
画像読取装置1はLocal Area Network(LAN)を形成しているネットワーク環境3に接続されている。複数の情報端末装置2A、2Bも同一のネットワーク上に接続されており、各情報端末装置は画像読取装置1と通信を行う。以降、同一ネットワーク上の任意の情報端末装置について言及する場合は、情報端末装置2とする。この情報端末装置としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット型端末などが例として考えられる。なお、
図1においては、説明のために画像読取装置1が接続されるネットワーク構成の一部のみを示しているが、これに限られず、ここに示していない装置が接続されたネットワークであっても良い。
【0017】
図2は、本実施に係る画像読取装置1の制御ユニット構成を示す図である。画像読取装置1は、CPU11、画像読取部12、記憶部13、表示部14、外部インターフェース15、外部I/Fコントローラ16を備えている。
【0018】
画像読取装置1に電力が投入されると、CPU11は、記憶部13に記憶されたファームウェアを起動することにより、画像読取装置全体の制御を行う。画像読取部12は、画像読取装置1が画像の読み取りを行うための画像読取部である。記憶部13はRAM、ROM等から構成される。
【0019】
また、記憶部13は、画像読取部12に対して指示される一連の読取設定を一つのジョブとして保存する。ジョブの保存方法については後述する。表示部14は、画像読取装置1の前面などに配置されたLCDパネル等であり、記憶部13に保存されたジョブの詳細内容や画像読取部12がエラーメッセージ等を出力可能な出力部である。画像読取装置1では、この表示部14にメッセージやアイコンを表示することで、使用者への通知を行う。なお、表示器の代わりに音声出力器を設けて音声によりメッセージ等を出力可能な構成でもよい。また、この表示部14にはタッチパネルが設けられており、操作入力部(ユーザインターフェース)として機能するが、これに限られず、別の操作ボタンなどを設けても良い。
【0020】
外部インターフェース15は、ネットワーク環境3を通してネットワーク上に接続されている情報端末装置2と通信を行う。CPU11は、画像読取部12の動作制御を行うことにより画像の読み取りを実行し、読み取った画像データを、外部インターフェース15を介して転送先である情報端末装置2に転送する。外部I/Fコントローラ16は、外部インターフェース15を介して接続される装置との通信を制御する。
【0021】
まず、プッシュスキャン機能を用いた場合における、ジョブの保存方法を説明する。ユーザーが画像読取装置1の電源を入れると、画像読取装置1は例えば
図6(a)に示すジョブ選択画面を表示部14に表示する。このとき画像読取装置1は、記憶部13に保存されているジョブ情報をもとにジョブ一覧を表示する。ジョブ情報は、
図7(a)に示すテーブルとして管理され、記憶部13に保存される。なお、初期状態の画像読取装置1は、記憶部13にジョブ情報が存在しないため、ジョブ一覧には何も表示しないものとする。ユーザーが、ジョブリストからジョブ名の登録されていないジョブ番号を選択し、「設定」ボタン(1001)を押下すると、画像読取装置1は表示部14に
図6(b)の画面を表示する。ユーザーがこの画面を操作して読取条件を設定して「登録」ボタン(1003)を押下すると、画像読取装置1は
図7(a)に示すテーブルの、指定したジョブ番号へ設定されたジョブ情報を追加することができる。
【0022】
図3は、ユーザーがプッシュスキャン用のジョブを実行した場合において、画像読取装置1が行う画像読取処理動作を示したフローチャートである。
【0023】
ステップS1100において、ユーザーによって電源を入れられた画像読取装置1はステップS1101にて表示部14に
図6(a)のジョブ選択画面を表示する。ここでは、例えば
図7(a)のジョブA、ジョブB、ジョブCが既に登録されていることとする。
【0024】
ステップS1102において、ユーザーによってジョブ(例えば
図6(a)のジョブB)が選択され「開始」ボタン(1002)が押下された場合、画像読取装置1はステップS1103にて、CPU11にプッシュスキャン指示が入力されて画像読取処理を開始する。「開始」ボタンが押されない場合、画像読取装置1はステップS1101とステップS1102をループする。
【0025】
ステップS1104において、画像読取装置1は、指示されたジョブの番号をもとに記憶部13に保存されているジョブ情報に従って原稿の画像を取得する。
【0026】
ステップS1105において、画像読取装置1は、指示されたジョブ情報に従って取得した原稿の画像から画像ファイルを作成する。そして、ステップS1106にて作成した画像ファイルをジョブで指定された送信先へ送信する。送信が終わると、画像読取装置1はステップS1107にて、ジョブ情報内に実行したジョブを削除する設定が含まれているかどうかを確認する。
【0027】
ジョブを削除する場合、画像読取装置1はステップS1108にて、実行したジョブのジョブ番号にもとづいて記憶部13に保存してあるジョブを削除し、ステップS1109に進んで画像読取処理を終了する。画像読取装置1は、記憶部13にてジョブ番号とジョブ情報を紐づけて管理しているため、例えば、番号2に紐づいているジョブBが削除されると、表示部14に
図6(c)のような2番目が空欄となったジョブリストを表示する。ジョブを削除しない場合、画像読取装置1はステップS1109にて、画像読取処理を終了する。
【0028】
次に、プルスキャン機能を用いた画像読取処理の動作を説明する。プルスキャン機能を用いた画像読取を行う場合、ユーザーは情報端末装置2内に予めインストールされている画像読取アプリケーションを操作する必要がある。
【0029】
ユーザーによって起動されたアプリケーションは、
図8(a)のダイアログを表示する。このときアプリケーションは、情報端末装置2内の不図示の記憶部に保存されているジョブ情報をもとにジョブ一覧を表示する。ジョブ情報は例えば
図9のテーブルとして管理されるものとする。なお、初期状態のアプリケーションは記憶部にジョブ情報が存在しないため、ジョブ一覧には何も表示しないものとする。なお、アプリケーションは、初期設定値として複数のジョブ情報を持っていても良い。
【0030】
まず、プルスキャン機能を用いた場合におけるジョブの登録方法を説明する。アプリケーションは、ユーザーによって
図8(a)に示す「設定」ボタン2002がクリックされると、
図8(b)のダイアログを表示する。ユーザーがアプリケーションを操作し読取条件を設定して「登録」ボタン2004をクリックすると、アプリケーションは
図9に示すテーブルに、設定されたジョブ情報を追加する。プルスキャン機能を用いる場合、プッシュスキャン機能とは異なり、例えば
図7と
図9に示すように、原稿のOCRを用いた文字認識やバーコード検知、ファイル形式の種類などの処理機能が多いという特徴がある。これは、読み取った原稿の画像に対し情報端末装置内のアプリケーションで画像処理を行うため、画像読取装置内で画像処理を行うプッシュスキャン機能より処理能力が高いためである。
【0031】
図4は、ユーザーが画像読取装置1を用いてプルスキャン機能による画像読取処理を行う際の、情報端末装置2内のアプリケーションと画像読取装置1の動作を示したシーケンス図である。
【0032】
まず、ユーザーによって起動されたアプリケーションは、
図8(a)の「選択」ボタン2001がクリックされると、
図8(c)のように、利用可能な画像読取装置の一覧を表示し、ユーザーに利用する画像読取装置を選択させる。このとき、利用可能な画像読取装置としては、ネットワーク環境3に接続されており、選択されたジョブを実行可能なものが抽出される。
【0033】
ユーザーが画像読取装置を選択すると、S101にて、アプリケーションは、ユーザーによって選択された画像読取装置との通信を確立する。ここでは、公知のTCP通信で行うものとする。
【0034】
S102にて、ユーザーによって
図8(a)の「スキャン」ボタン2003をクリックされたアプリケーションは、S103にて、画像読取装置1に対し、ジョブ情報を送信すると共に原稿の画像読取開始を指示するプルスキャン指示を送信する。
【0035】
次に、S104にて、画像読取装置1は、送信されてきたジョブ情報に従って原稿の画像を読み取り、S105にて、取得した画像を情報端末装置2内のアプリケーションへ送信する。このS104とS105とは、原稿画像を取得するたびに逐次行われても良いし、S104における画像の取得がすべて完了してからS105にて画像の送信を実行しても良い。
【0036】
S106にて、画像を取得したアプリケーションは、ジョブ情報内のファイル形式に従って画像ファイルを作成する。
【0037】
最後に、S107にて、指定された保存先へ画像ファイルを送信し、処理を終了する。
【0038】
次に、本発明に係る、プルスキャン機能を用いた画像読取処理の実行時に画像読取装置1にて画像読取処理が実行されている場合の処理について説明する。本発明においては、画像読取装置1が処理中であったとしても、情報端末装置2からジョブ情報を送信し、画像読取装置1内の記憶部13にジョブを登録することが可能である。
【0039】
図5は、画像読取装置1と同一のネットワークに接続されている情報端末装置2における本発明の実施形態の一例を示したシーケンス図である。ここでは、説明のために、画像読取装置内のCPU11における処理を、表示部14や外部インターフェース15などを管理するメインスレッドと画像読取処理を管理するスキャンスレッドの二つに分けて説明する。
【0040】
S201において、ユーザーは、
図4で説明したように、情報端末装置2内のアプリケーションを操作してプルスキャンを実行する。このとき、画像読取装置1は他のユーザーから指示された画像読取処理を実行中であるとする。
【0041】
S202にて、プルスキャンの指示を受信した画像読取装置1は、画像読取処理が実行中(スキャン中)であるかどうかを確認する。また、このとき例えば、画像読取装置1の表示部14に
図10のような通知を出しても良い。そして、S203にて、画像読取装置1は画像読取処理が実行中であると判断し、S204にて情報端末装置2内のアプリケーションへその旨を通知する。
【0042】
S205にて、画像読取装置1から通知を受け取ったアプリケーションは、例えば
図11のような通知を表示し、画像読取ジョブを画像読取装置1内に保存するか、読み取り処理を中止するかを選択させる。このとき、ユーザーが「登録する」ボタン3001をクリックした場合、S206にて、アプリケーションはジョブ登録処理を開始する通知を画像読取装置1へ送信する。一方、ユーザーが「登録しない」ボタン3002をクリックした場合、アプリケーションはそのまま待機状態へ戻る。
【0043】
S207にて、登録処理開始の通知を受け取った画像読取装置1は、記憶部13内に保持されたジョブの登録状況を確認し、利用可能なジョブ番号を探索する。
【0044】
S208にて、画像読取装置1は利用可能なジョブ番号を情報端末装置2へ送信する。このとき、記憶部13のジョブ保存容量が足りなかった場合、アプリケーションへその旨を通知する。この通知を受け取ったアプリケーションは、例えば
図12のような警告文を出して、ジョブ登録処理を終了し、待機状態に戻る。
【0045】
S209にて、アプリケーションは、S201にてユーザーに指示された画像読取ジョブをS208にて受け取ったジョブ番号と紐づけて画像読取装置1へ送信する。このとき、ユーザーが例えば
図9に示したジョブCを選択した場合、プッシュスキャン用ジョブでは設定できない「ファイル形式:PNG」や「バーコード検知:ON」といった項目が含まれると、画像読取装置1は、記憶部13内の
図7(a)に示すようなテーブルにジョブを追加できないため、S210にて画像読取設定の変更が必要である旨を、例えばリスト形式でアプリケーションへ通知する。この通知を受け取ったアプリケーションは、S211にて、例えば
図13のようなダイアログを表示し、ユーザーに画像読取設定を変更するよう促す。このように、プルスキャン指示として登録する際に、どの程度の機能の低下(変更)が発生するかをユーザーに通知するように表示することが好ましい。
【0046】
ユーザーによって「登録する」ボタン4001がクリックされた場合、S212にて、アプリケーションは新しいプッシュスキャン用ジョブ情報を画像読取装置1へ送信する。ジョブの送信が正常に終わると、アプリケーションは新しいジョブ情報を削除する。一方、ユーザーによって、「登録しない」ボタン4002がクリックされた場合、アプリケーションはジョブ登録処理を終了し、
図8(a)に示すようなメイン画面に戻る。
【0047】
S213にて、画像読取装置1は記憶部13に新しいジョブ情報を追加する。このとき、画像読取装置1は、新たに登録するジョブのジョブ名について、例えば
図7(b)に示すようにジョブの送信元のPC名とジョブ情報に含まれるジョブ名を組み合わせることで重複を避けることができる。
【0048】
なお、S211にて、画像読取設定のほかに、PINコードなどを用いた簡易的な認証設定をジョブ情報に付加させることで、画像読取装置1に登録したジョブを他のユーザーに誤って開始されないようにすることもできる。この場合、例えば
図7のジョブ情報リストにてPINコードの項目を拡張し、ユーザーがジョブを選択した際、画像読取装置1が記憶部13よりPINの情報を取得し、認証処理を行うようにしてもよい。
【0049】
S214にて、画像読取装置1は実行中だったスキャン処理が終了したことを検知する。このとき、画像読取装置1は、
図7(b)に示すように情報が追加されたテーブルを読み込み、表示部14に
図6(d)のようなジョブリストを表示する。
【0050】
S215にて、プルスキャン用ジョブを画像読取装置1へ保存したユーザーは、画像読取装置1の表示部14を操作して新たに登録したジョブを開始することで、プルスキャン機能を用いて実行しようとしていた画像読取処理を行うことができる。この画像読取装置1における画像読取処理の開始までの一連の動作の詳細は
図3を用いて説明した。画像読取処理が終了したら、画像読取装置1は再び待機状態となり、プルスキャン機能またはプッシュスキャン機能による画像読取指示を受けつける状態となる。
【0051】
このように、プルスキャン指示を受信した際にスキャン中であった場合に、そのプルスキャン指示を、それに対応したプッシュスキャン指示として画像読取装置1に登録可能にすることにより、利便性を向上することができる。なお、プルスキャン指示を受信した際にスキャン中であった場合に、プルスキャンとして画像読取装置1にジョブ情報を登録可能にしてもよく、その場合には表示部14に表示されたジョブを選択して実行指示されたことを情報端末装置のアプリケーションが検知することにより、プルスキャン指示が出されるようにすることができる。いずれの場合であっても、一時的に画像読取装置1にジョブ情報を登録することにより、利便性を向上することができる。なお、プルスキャンとしてジョブ情報を登録可能にする場合には、S210で説明したような、読取設定の変更をせずにジョブ情報を登録することも可能である。
【0052】
なお、画像読取装置1は、S214にて実行中だった画像読取処理が終了すると、利用可能な状態になったことをアプリケーションへ通知するようにしてもよい。この場合、画像読取装置1は
図7に示すテーブルの項目を拡張し、どの情報端末装置から送信されてきたジョブ情報なのかを管理する必要がある。なお、このときアプリケーションは例えば
図14のようなダイアログを表示する。
【0053】
また、本実施形態において説明した各処理のうちのいくつかをまとめて実行するように構成しても良い。例えば、S201においてジョブ情報も同時に送信しておき、S202の確認の結果、画像読取装置がスキャン処理中でなければそのまま実行されるようにしても良く、スキャン処理中であれば、そのままジョブ登録するように構成しても良い。また、S206における通知と同時にS209のジョブ情報の送信を行うように構成するなど、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像読取装置
2 情報端末装置
3 有線又は無線LAN
11 CPU
12 画像読取部
13 記憶部
14 表示部
15 外部インターフェース
16 外部I/Fコントローラ