(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101072
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】抽出物の製造方法、化粧品の製造方法、及び経口物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/98 20060101AFI20230712BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230712BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230712BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20230712BHJP
A61K 35/50 20150101ALI20230712BHJP
A61K 35/51 20150101ALI20230712BHJP
A61K 35/57 20150101ALI20230712BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20230712BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230712BHJP
A61P 17/16 20060101ALN20230712BHJP
A61K 131/00 20060101ALN20230712BHJP
【FI】
A61K8/98
A61Q19/00
A61P3/02
A61K8/9794
A61K35/50
A61K35/51
A61K35/57
A61K36/899
A23L33/10
A61P17/16
A61K131:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001405
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】511015098
【氏名又は名称】株式会社ホルス
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】三井 幸雄
【テーマコード(参考)】
4B018
4C083
4C087
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LE05
4B018MD01
4B018MD69
4B018MD91
4B018ME14
4B018MF01
4C083AA071
4C083AA072
4C083AA111
4C083AA112
4C083CC01
4C083CC02
4C083EE12
4C083FF01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB54
4C087BB58
4C087BB59
4C087CA06
4C087MA52
4C087NA05
4C087ZA89
4C087ZC21
4C088AB74
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(57)【要約】
【課題】温泉水を利用することにより、抽出物中の有用成分の含有量を従来よりも増加させる抽出物の製造方法、並びに当該抽出物を配合した化粧品及び経口物の製造方法を提供すること。
【解決手段】原料を溶媒に入れて原料の有用成分を抽出する抽出工程において、溶媒としてpH5.5以上8.5以下の温泉水を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を溶媒に入れて前記原料の有用成分を抽出する抽出工程において、前記溶媒としてpH5.5以上8.5以下の温泉水を用いることを特徴とする抽出物の製造方法。
【請求項2】
前記原料は、プラセンタ、サイタイ、羊膜、酒粕、又は燕の巣であることを特徴とする請求項1に記載の抽出物の製造方法。
【請求項3】
前記原料は、プラセンタ、サイタイ、又は羊膜であり、
前記抽出工程の前に、
前記原料を凍結する凍結工程と、
前記凍結工程の後に前記原料を常温下で融解する常温下融解工程と、
前記常温下融解工程の後に前記原料を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程の後に前記原料を細断するミンチ処理工程と、を行うことを特徴とする請求項1に記載の抽出物の製造方法。
【請求項4】
前記温泉水が湯河原温泉水であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法。
【請求項5】
前記湯河原温泉水は、泉質がナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉であり、かつ弱アルカリ性であることを特徴とする請求項4に記載の抽出物の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法で得られた抽出物を配合することを特徴とする化粧品の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法で得られた抽出物を配合することを特徴とする経口物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を溶媒に入れて有用成分の抽出を行う抽出物の製造方法、及び当該抽出物を配合した化粧品又は経口物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温泉水は、肌等によい成分が含まれているため、入浴用途のみならず化粧品や健康食品等に配合されることがある。
例えば、特許文献1には、皮膚保湿能を高めることを目的として、モール温泉水、またはモール温泉水および白鶴霊芝、白鶴霊芝エキスまたは白鶴霊芝エキス末を主成分とする化粧料が開示されている。
また、特許文献2には、保水力及び保湿力を高めることを目的として、アルカリ性の温泉水と、フェノキシエタノールと、コラーゲンと、エラスチンと、プラセンタエキスと、ペンチレングリコールと、グリセリンと、ブチレングリコールとを混合し、混合液がアルカリ性である基礎化粧水が開示されている。
【0003】
また、哺乳動物特有の臓器であるプラセンタ(胎盤)から抽出したプラセンタエキスには、アミノ酸や酵素類など様々な有用成分が含まれている。そのため、プラセンタエキスは、化粧品や健康食品等の原料として利用されている。同様に、臍帯から抽出したサイタイエキス、羊膜から抽出した羊膜エキス、酒粕から抽出した酒粕エキス、又は燕の巣から抽出した燕の巣エキスも、化粧品や健康食品等の原料として利用されている。
例えば、特許文献3には、プラセンタエキスを有効成分とする白髪抑制用食品が開示されている。
また、特許文献4には、プラセンタエキスやサイタイエキスを配合したダイエット食品が開示されている。
また、特許文献5には、アンチエイジング効果に有用な成分が多く含まれる羊膜由来原料(羊膜エキス)の製造方法が開示されている。
また、特許文献6には、カルボキシ基含有アニオン性高分子と、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はキサンタンガムである化合物と、美肌成分として酒粕エキスを含むゲル状化粧料が開示されている。
また、特許文献7には、燕の巣抽出エキスとしてシアル酸が配合されて成るドリンクであって、シアル酸は、燕の巣からエンド型アルカリ性プロテアーゼを分解酵素として用いて加水分解されることにより抽出される抽出エキスとして形成されて飲料溶媒中に含有されていることが開示されている。
【0004】
また、特許文献8には、4-ビニルグアヤコールを配合した飲食品が開示されており、段落0045においては、植物等から4-ビニルグアヤコールを抽出する際の抽出溶媒として使用し得る水の一つに温泉水が挙げられている。
また、特許文献9には、シャクヤク抽出物を有効成分とするABCA12遺伝子発現促進剤が開示されており、段落0015においては、シャクヤクの抽出溶媒として使用可能な水の一つに温泉水が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-239146号公報
【特許文献2】特開2012-250960号公報
【特許文献3】特開2019-054769号公報
【特許文献4】特開2006-282609号公報
【特許文献5】特開2018-188401号公報
【特許文献6】特開2019-127460号公報
【特許文献7】特開2019-129803号公報
【特許文献8】特開2020-092719号公報
【特許文献9】特開2020-138932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
化粧品、又は健康食品等の経口物に配合する抽出物は、有用成分がより多く含まれていることが望ましい。
しかし、特許文献1、2のように、抽出後に温泉水を混合して混合物とする場合は、抽出物の濃度が薄まってしまい、混合物に含まれる有用成分の量が必ずしも十分とはいえない場合がある。
また、特許文献3-7は、温泉水を利用して抽出物に含まれる有用成分の量を高めようとするものではない。
また、特許文献8、9には、抽出溶媒に温泉水を用いてもよい旨の記載はあるが、あくまで抽出溶媒の一例に過ぎず、温泉水に着目して抽出物に含まれる有用成分の量を高めようとするものではない。
そこで本発明は、温泉水を利用することにより、抽出物(エキス、抽出溶液)中の有用成分の含有量を従来よりも増加させ、皮膚への有用性を高める抽出物の製造方法、並びに当該抽出物を配合した化粧品及び経口物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載に対応した抽出物の製造方法においては、原料を溶媒に入れて原料の有用成分を抽出する抽出工程において、溶媒としてpH5.5以上8.5以下の温泉水を用いることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の抽出物の製造方法において、原料は、プラセンタ、サイタイ、羊膜、酒粕、又は燕の巣であることを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の抽出物の製造方法において、原料は、プラセンタ、サイタイ、又は羊膜であり、抽出工程の前に、原料を凍結する凍結工程と、凍結工程の後に原料を常温下で融解する常温下融解工程と、常温下融解工程の後に原料を洗浄する洗浄工程と、洗浄工程の後に原料を細断するミンチ処理工程とを行うことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法において、温泉水が湯河原温泉水であることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の抽出物の製造方法において、湯河原温泉水は、泉質がナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉であり、かつ弱アルカリ性であることを特徴とする。
請求項6記載に対応した化粧品の製造方法においては、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法で得られた抽出物を配合することを特徴とする。
請求項7記載に対応した経口物の製造方法においては、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の抽出物の製造方法で得られた抽出物を配合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、抽出物中の有用成分の含有量を従来よりも増加させ、皮膚への有用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態によるプラセンタ抽出物(プラセンタエキス)の製造工程を示す図
【
図2】同プラセンタエキスの成分分析結果を示すグラフ
【
図5】同サイタイ抽出物(サイタイエキス)の成分分析結果を示すグラフ
【
図7】同羊膜抽出物(羊膜エキス)の成分分析結果を示すグラフ
【
図9】同酒粕抽出物(酒粕エキス)の成分分析結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態による抽出物の製造方法、化粧品の製造方法、及び経口物の製造方法について説明する。
図1はプラセンタ抽出物(プラセンタエキス)の製造工程を示す図である。
抽出物の原料としては、サイタイ、羊膜、酒粕、又は燕の巣など、様々な動植物由来原料を用いることができるが、ここでは代表して胎盤(プラセンタ)を原料とする場合を説明する。
まず、満期胎盤を分娩直後に採集する(S1:胎盤採集工程)。採集する胎盤は、ヒト、ブタ、ウマ又はヒツジなどの哺乳類動物のものであればよいが、その中でも安全性に優れ、かつ化粧品及び健康食品の用途に適した健常なブタ又はウマの胎盤とすることが好ましい。
採集した胎盤は、直ちに凍結する(S2:第一凍結工程)。凍結した胎盤は、所定場所まで輸送し保管する。これにより、採集した胎盤を良好な状態で保管することができる。
使用時には、凍結している胎盤を常温下で融解する(S3:解凍工程)。解凍した胎盤は、皮膜組織を除去して洗浄し(S4:洗浄工程)、絨毛組織を細断する(S5:ミンチ処理工程)。ミンチ処理工程S5においては、ミンチ機等の裁断機で所定寸法に細断する。
ミンチ処理工程S5の後、速やかに冷凍庫に入れて胎盤を凍結させる(S6:第二凍結工程)。これにより、胎盤に含まれる有用成分が活性化すると共に安定性が向上する。
【0011】
次に、細断した胎盤を溶媒に入れて分解抽出を行い、有用成分を抽出する(S7:抽出工程)。分解抽出の方法としては、酵素分解処理、加水分解処理、酸処理又は凍結融解等が挙げられるが、酵素分解処理を用いることが特に好ましい。
溶媒には、pH5.5以上8.5以下の温泉水を用いる。pH5.5以上8.5以下の温泉水を溶媒に用いることにより、有用成分を余すことなく抽出して、溶媒を水道水や精製水とする場合に比べて有用成分が高濃度に含まれたプラセンタエキスを得ることができる。また、溶媒として用いる温泉水のpHがpH5.5以上8.5以下であることで、プラセンタを化粧品に配合する場合に、pH調整が不要又は容易となる。
【0012】
抽出工程S7で得られた抽出物(プラセンタエキス)は、加熱殺菌し(S8:加熱殺菌工程)、ろ過して不純物を取り除き抽出物を濃縮する(S9:ろ過工程)。ろ過工程S9の後は、防腐剤の添加や、検査・充填・包装等を適宜行う。これにより、化粧品や健康食品等に配合するプラセンタエキスの液体原料とすることができる。
また、ろ過工程S9の後にプラセンタエキスを凍結乾燥又は噴霧乾燥することにより、化粧品や健康食品等に配合するプラセンタエキスの粉末原料とすることもできる。
また、得られたプラセンタエキスの液体原料又は粉末原料を所定量配合することにより、プラセンタエキスが配合された化粧品、又は健康食品等の経口物とすることができる。
【0013】
抽出時の溶媒として用いる温泉水は、湯河原温泉水であることが好ましく、その中でもpHが7.5以上8.5未満の弱アルカリ性であることがより好ましい。湯河原温泉水は、神奈川県南西部に位置する湯河原町及びその付近一帯で湧出する。湯河原温泉水は、無色無臭の泉質であるため、化粧品や健康食品等に配合する際の色や臭いへの影響を低減できる。
以下に、湯河原温泉水を溶媒として用いた各実施例について説明する。
【実施例0014】
実施例1は、原料をプラセンタとし、
図1に示す工程により製造したプラセンタエキスである。抽出工程S7における分解抽出の方法には、酵素分解処理を用いた。用いた湯河原温泉水のpHや泉質等は下記の通りである。
・湧出地:神奈川県足柄下郡湯河原町宮上
・pH:8.2
・泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉(旧泉質名 含石膏-食塩泉)
実施例1によるプラセンタエキスの成分分析結果を、比較例1~3によるプラセンタエキスの成分分析結果と共に下表1に示す。また、
図2は表1の結果をグラフ化したものであり、
図2(a)は遊離アミノ酸、
図2(b)はミネラル、
図2(c)はペプチド分子量分布である。
比較例1は、抽出溶媒を精製水とした以外は実施例1と同様の工程にて製造したプラセンタエキスである。
比較例2は、抽出溶媒を北関東某所産の温泉水とした以外は実施例1と同様の工程にて製造したプラセンタエキスである。北関東某所温泉水のpHや泉質等は下記の通りである。
・湧出地:北関東某所
・pH:2.0
・泉質:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)
比較例3は、抽出溶媒を埼玉県某所産の温泉水とした以外は実施例1と同様の工程にて製造したプラセンタエキスである。埼玉県某所温泉水のpHや泉質等は下記の通りである。
・湧出地:埼玉県某所
・pH:8.9
・泉質:ナトリウム-塩化物冷鉱泉
【0015】
【0016】
実施例1(溶媒:湯河原温泉水)を比較例1(溶媒:精製水)と対比すると、アミノ酸については、グリシン以外の成分全てで増加が確認された。ミネラルについては、美容効果が期待されるカルシウム及びカリウムで増加が確認された。ペプチド分子量は、サイズ1,000以上の分子分布が減少し、浸透性と保湿効果が高いサイズ1,000未満、特にサイズ500未満の分子分布が増加した。
一方、比較例2(溶媒:北関東某所温泉水)を比較例1と対比すると、ミネラルについてはカルシウム及びカリウムで増加が確認されたが、アミノ酸については、プロリンとシスチン以外の成分は低下した。ペプチド分子量は、サイズ500未満の分子分布は増加したが、サイズ500以上3,000未満の分子分布が減少し、サイズ3,000以上の分子分布が増加した。
また、比較例3(溶媒:埼玉県某所温泉水)を比較例1と対比すると、アミノ酸については、イソロイシン、アラニン、トリプトファン、及びシスチンで増加が確認されたが、実施例1と比べると増加量はいずれも小さい。ミネラルについては、カルシウムの増加が確認されたが、カリウムは低下した。ペプチド分子量は、サイズ3,000以上の分子分布が増加し、サイズ3,000未満の分子分布が減少した。
このように、溶媒に湯河原温泉水を用いることで、精製水や他の温泉水を溶媒に用いる場合よりも、プラセンタエキス中の有用成分の含有量を増加させることができ、かつ、サイズ1,000未満、特に500未満の分子分布を増加させることができる。
【0017】
実施例1のプラセンタエキスについて以下の試験を行い、塗布後の時間経過に伴う肌の水分増加量の変化を測定し、肌水分の蒸発抑制効果を確認した。
[肌水分量試験1]
[条件]
温度:25℃
湿度:25%
測定機器:皮表角層水分量測定装置(株式会社ヤヨイ製SKICON-200EX)
[試料]
実施例1:溶媒を湯河原温泉水としたプラセンタエキス
比較例1:溶媒を精製水としたプラセンタエキス
比較例4:湯河原温泉水
比較例5:精製水
[方法]
1.油性ペンで縦3.0cm、横2.0cm四方の枠を下腕内側部にしるしを付ける。
2.石けんで測定ポイントを洗い、30分安静に過ごす。
3.測定ポイントの通常時の肌水分量を測定する。なお、5回測定して平均値を求める。
4.試料0.1gを測定部位にとり、指の第二関節部分までを使用し縦・横10回ずつ試料を均一になじませる。
5.試料塗布後、5、10、15、60分後の肌水分量を測定機器を用いて測定する。
[肌水分量試験2]
[条件]
温度:25℃
湿度:32%
測定機器:皮表角層水分量測定装置(株式会社ヤヨイ製SKICON-200EX)
[試料]
実施例1:溶媒を湯河原温泉水としたプラセンタエキス
比較例5:精製水
比較例6:溶媒を精製水としたプラセンタエキスと湯河原温泉水との混合物(混合は試験直前に行い、混合比率は1:1である)
[方法]
試料塗布後、5、10、15、60分後に加えて30分後も測定した以外は肌水分量試験1と同じ。
【0018】
図3は肌水分量試験1の結果を示すグラフ、
図4は肌水分量試験2の結果を示すグラフである。なお、横軸は時間(min)、縦軸は肌水分量(μS)であり、通常時の肌水分量を0としている。
図3において、実施例1の結果を「●及び実線」で示し、比較例1の結果を「▲及び長破線」で示し、比較例4の結果を「×及び点線」で示し、比較例5の結果を「◆及び短破線」で示している。肌水分量試験1の結果、実施例1のプラセンタエキスは、塗布直後から各比較例よりも高い肌水分量を示し、塗布60分後においても各比較例よりも高い肌水分量を示した。
図4において、実施例1の結果を「●及び実線」で示し、比較例5の結果を「◆及び長破線」で示し、比較例6の結果を「▲及び短破線」で示している。肌水分量試験2の結果、実施例1のプラセンタエキスは、塗布10分後頃までは比較例6のプラセンタエキスと同程度の肌水分量であったが、その後の肌水分量の低下が比較例6に比べて緩やかであり、塗布60分後においても各比較例よりも高い肌水分量を示した。
【0019】
このように、本発明の製造方法によれば、有用成分の含有量がより多く、皮膚への有用性を高め、保湿効果にも優れたプラセンタエキスを得ることができる。
また、プラセンタ以外の例えばサイタイ、羊膜、酒粕、又は燕の巣等を原料とする場合においても、本発明の製造方法を用いることで有用成分を高め、保湿効果も上昇させることができる。以下に、原料をサイタイ、羊膜、又は酒粕とした場合の試験結果を示す。
実施例2(溶媒:湯河原温泉水)を比較例7(溶媒:精製水)と対比すると、美容効果が期待されるカルシウムの顕著な増加が確認された。多糖類分子量は、サイズ10,000以上の分子分布が減少し、浸透性と保湿効果が高いサイズ1,000以上10,000未満の分子分布が増加した。
このように、溶媒に湯河原温泉水を用いることで、精製水を溶媒に用いる場合よりも、サイタイエキス中の有用成分の含有量を増加させることができる。