(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010133
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】空間噴霧装置
(51)【国際特許分類】
A61L 2/18 20060101AFI20230113BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20230113BHJP
A61L 9/14 20060101ALI20230113BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
A61L2/18
A61L9/01 B
A61L9/14
A61L101:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114038
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中原 健吾
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
【Fターム(参考)】
4C058AA23
4C058BB07
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD12
4C058JJ07
4C058JJ24
4C180AA07
4C180AA10
4C180CB01
4C180EA58X
4C180GG07
4C180HH05
4C180LL06
4C180LL11
(57)【要約】
【課題】空間内の壁面を除菌させる空間噴霧装置において、壁面へのスケール付着を抑制しながら短時間で除菌することが可能な空間噴霧装置を提供する。
【解決手段】空間噴霧装置30は、床面2と壁面3とによって囲まれた浴室空間1と、浴室空間1内に次亜塩素酸水ミストを噴霧する噴霧部4と、浴室空間1内に空気を送風する送風部31と、噴霧部4と送風部31を制御する制御部11と、を備える。そして、制御部11は、壁面3の除菌処理として、壁面3に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面3が濡れない条件で噴霧部4から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部31から空気を送風し、浴室空間1内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを空間内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と壁面とによって囲まれた空間と、
前記空間内に次亜塩素酸水ミストを噴霧する噴霧部と、
前記空間内に空気を送風する送風部と、
前記噴霧部と前記送風部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記壁面の除菌処理として、前記壁面に達した前記次亜塩素酸水ミストによって前記壁面が濡れない条件で前記噴霧部から前記次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、前記第一処理後に前記送風部から前記空気を送風し、前記空間内に噴霧された前記次亜塩素酸水ミストを前記空間内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行させることを特徴とする空間噴霧装置。
【請求項2】
前記所定回数は、前記第一処理及び前記第二処理を1回実行することによって前記壁面に付着する単位面積当たりの次亜塩素酸水の付着量に基づいて、前記付着量の累計が前記壁面の除菌に必要な塩素量の基準値を超える回数に設定されることを特徴とする請求項1に記載の空間噴霧装置。
【請求項3】
前記噴霧部は、圧縮空気を用いてミストを発生させることが可能な二流体ノズルを用いて噴霧することを特徴とする請求項1または2に記載の空間噴霧装置。
【請求項4】
前記噴霧部と前記送風部とは一体的に構成され、
前記送風部から送風される前記空気は、前記次亜塩素酸水ミストを含まない状態で前記噴霧部から吹き出される空気であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空間噴霧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室空間内へ次亜塩素酸水をミスト状に噴霧して除菌する空間噴霧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内でのカビの発生を抑制するため、浴室の天井等から次亜塩素酸水を噴霧させる空間噴霧装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の空間噴霧装置では、噴霧ノズルから次亜塩素酸水を噴霧して壁面を濡らすことで除菌し、壁面でのカビの発生を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の空間噴霧装置では、次亜塩素酸水の噴霧によって浴室内の壁面が濡れるため、噴霧された次亜塩素酸水に含まれるスケール(カルシウム、マグネシウムの化合物等による析出物、俗に水垢と呼ばれるもの)が壁面に白く発生し、壁面がスケールの付着によって汚れてしまうことが懸念される。
【0005】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、所定の空間内への次亜塩素酸水の噴霧を行う際、空間を構成する壁面に対してスケールの付着を抑制しつつ除菌することが可能な空間噴霧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る空間噴霧装置は、床面と壁面とによって囲まれた空間と、空間内に次亜塩素酸水ミストを噴霧する噴霧部と、空間内に空気を送風する送風部と、噴霧部と送風部を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、壁面の除菌処理として、壁面に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面が濡れない条件で噴霧部から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部から空気を送風し、空間内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを空間内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行させることを特徴としたものであり、これにより初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の空間内への次亜塩素酸水の噴霧を行う際、空間を構成する壁面に対してスケールの付着を抑制しつつ除菌することが可能な空間噴霧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る空間噴霧装置の浴室空間における設置状態を示す模式図である。
【
図2】
図2は、空間噴霧装置における噴霧部の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、空間噴霧装置による除菌処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、空間噴霧装置における供給塩素量と除菌率との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る空間噴霧装置は、床面と壁面とによって囲まれた空間と、空間内に次亜塩素酸水ミストを噴霧する噴霧部と、空間内に空気を送風する送風部と、噴霧部と送風部を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、壁面の除菌処理として、壁面に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面が濡れない条件で噴霧部から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部から空気を送風し、空間内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを空間内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行させるものである。
【0010】
こうした構成によれば、空間内への次亜塩素酸水ミストの噴霧を行っても、空間を構成する壁面を水滴状(目に見えるレベルでの粒状)に濡らすことがないので、スケールの付着による汚れの発生を抑制することができる。また、第一処理と第二処理とを所定回数繰り返すことで、壁面を次亜塩素酸水で濡らすことなく、次亜塩素酸水ミストに含まれる次亜塩素酸を壁面に付着させることができるので、壁面に対して除菌作用を生じさせることができる。この際、送風部からの送風によって、空間内に浮遊している次亜塩素酸水ミストを攪拌するので、壁面等に付着した菌に対して次亜塩素酸水ミストの接触確率を高めることができ、除菌効果を高めることができる。つまり、空間噴霧装置は、空間内への次亜塩素酸水ミストの噴霧を行う際、空間を構成する壁面に対してスケールの付着を抑制しつつ除菌することができる。
【0011】
また、本発明に係る空間噴霧装置では、所定回数は、第一処理及び第二処理を1回実行することによって壁面に付着する単位面積当たりの次亜塩素酸水の付着量に基づいて、付着量の累計が壁面の除菌に必要な塩素量の基準値を超える回数に設定したものである。これにより、壁面を水滴状に濡らすことなく、壁面を除菌するのに必要な塩素量(次亜塩素酸量)を確実に噴霧することができる。
【0012】
また、本発明に係る空間噴霧装置では、噴霧部は、圧縮空気を用いてミストを発生させることが可能な二流体ノズルを用いて噴霧する構成としたものである。これにより、噴霧部によって平均粒子径10μm以下のミストを確実に発生させることができるので、壁面において次亜塩素酸水ミストが凝集して水滴状になるのを低減させながら、壁面に対する除菌効果を生じさせることができる。
【0013】
また、本発明に係る空間噴霧装置では、噴霧部と送風部とは一体的に構成され、送風部から送風される空気は、次亜塩素酸水ミストを含まない状態で噴霧部から吹き出される空気である構成としたものである。これにより、噴霧部4と送風部31を共有できるので部品の数を減らすことができ、空間内において省スペースで空間噴霧装置の設置を行うことができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(実施の形態1)
図1及び
図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る空間噴霧装置30について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空間噴霧装置30の浴室空間1における設置状態を示す模式図である。
図2は、空間噴霧装置30における噴霧部4の構成を示す概略図である。ここで、浴室空間1は、床面2と、天井面及び側壁面を含む壁面3とによって囲まれた空間であり、請求項の「空間」に相当する。
【0016】
空間噴霧装置30は、浴室空間1内へ次亜塩素酸水ミストを噴霧し、天井面及び側壁面を含む壁面3へのスケール(水垢)の付着を抑制しながら、壁面3に付着しているカビ等の少なくとも一部の菌を死滅させる装置である。なお、空間噴霧装置30は、浴室空間1の壁面3を除菌する除菌装置とも言える。
【0017】
具体的には、空間噴霧装置30は、
図1に示すように、噴霧部4と、コンプレッサ5と、エアタンク6と、液体タンク7と、エア配管8と、液体配管9と、電磁弁10Aと、電磁弁10Bと、制御部11と、を有して構成される。
【0018】
噴霧部4は、浴室空間1内へ液体(次亜塩素酸水)をミスト状に噴霧するための部材である。また、噴霧部4は、浴室空間1内へ液体(次亜塩素酸水)を含まない空気を送風する送風部31としても機能する。詳細については後述する。
【0019】
コンプレッサ5は、浴室空間1外において空気を取り込んで、取り込んだ空気を圧縮する装置である。コンプレッサ5は、圧縮した空気をエアタンク6に送出する。また、コンプレッサ5は、後述する制御部11と無線又は有線により通信可能に接続されている。
【0020】
エアタンク6は、コンプレッサ5において圧縮された空気を貯留する部材である。エアタンク6は、エア配管8を介して噴霧部4と接続されている。また、エアタンク6は、エア配管8の途中から分岐して液体タンク7とも接続されている。そして、エアタンク6は、圧縮空気の圧力を調整する減圧弁等(図示せず)を有しており、噴霧部4へ供給する圧縮空気の圧力と、液体タンク7へ供給する圧縮空気の圧力とをそれぞれ調整可能となっている。
【0021】
エアタンク6の大きさは、1回の除菌動作で使用する空気使用量が貯留できる容量を有しているが、複数回の除菌動作が可能な容量であってもよい。なお、コンプレッサ5の圧縮空気の発生量が空気使用量を上回るのであれば、エアタンク6を設けなくてもよい。
【0022】
液体タンク7は、ミスト状に噴霧する液体(次亜塩素酸水)を貯留する部材である。液体タンク7は、液体配管9を介して噴霧部4と接続されている。そして、液体タンク7は、エアタンク6からの圧縮空気で加圧されると、その力で内部の液体が液体配管9を通り噴霧部4へ供給されるようになっている。ここで、本実施の形態では、液体タンク7には、給水設備等から供給される水道水と塩(塩化ナトリウム)を用いて別装置(図示せず)で生成される次亜塩素酸水が供給される構成となっている。しかしながら、液体タンク7内に、食塩水(水道水+塩)を電気分解して次亜塩素酸水を生成できる電極等の部材を設置し、液体タンク7内で次亜塩素酸水を生成して貯留するようにしてもよい。ここでの次亜塩素酸水は、次亜塩素酸分子(HOCl)と次亜塩素酸イオン(OCl-)とを平衡して含んだものである。
【0023】
エア配管8は、エアタンク6と噴霧部4とを連通接続するとともに、エアタンク6と液体タンク7とを連通接続する配管である。エア配管8には、エアタンク6からの圧縮空気が流通する。エア配管8の途中経路には、電磁弁10Aが設置され、電磁弁10Aの開閉動作によって圧縮空気の流通状態が制御される。
【0024】
液体配管9は、液体タンク7と噴霧部4とを連通接続する配管である。液体配管9には、液体タンク7からの液体が流通する。液体配管9の経路途中には、電磁弁10Bが設置され、電磁弁10Bの開閉動作によって液体の流通状態が制御される。
【0025】
電磁弁10Aは、エア配管8に設けられ、エア配管8において「開放」された状態と、「閉止」された状態とに切り替えられる。また、電磁弁10Aは、後述する制御部11と無線又は有線により通信可能に接続されている。
【0026】
電磁弁10Bは、液体配管9に設けられ、液体配管9において「開放」された状態と、「閉止」された状態とに切り替えられる。また、電磁弁10Bは、後述する制御部11と無線又は有線により通信可能に接続されている。
【0027】
そして、空間噴霧装置30では、電磁弁10A及び電磁弁10Bの両方が「開放」された状態になると、噴霧部4からミストが噴霧(噴射)されるようになり、電磁弁10A及び電磁弁10Bの両方が「閉止」された状態になると、噴霧部4からミストが噴霧(噴射)されないようになる。
【0028】
また、空間噴霧装置30では、電磁弁10Aが「解放」された状態であって、電磁弁10Bが「閉止」された状態になると、噴霧部4から圧縮空気(エア)のみが噴射されるようになり、噴霧部4は、送風部31として機能する。なお、電磁弁10A及び電磁弁10Bの両方が「閉止」された状態になると、送風部31として機能する噴霧部4から圧縮空気が噴射されないようになる。
【0029】
制御部11は、コンプレッサ5による圧縮空気の供給動作、及び、電磁弁10A及び電磁弁10Bの開閉動作を制御することにより、浴室空間1に対して噴霧部4からの次亜塩素酸水ミストの噴霧または噴霧部4からの圧縮空気(エア)の噴射を制御する。具体的には、制御部11は、浴室空間1の壁面3の除菌処理として、壁面3に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面3が濡れない条件で噴霧部4から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部31として機能する噴霧部4から圧縮空気を送風し、浴室空間1内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを浴室空間1内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行させる。第一処理及び第二処理については後述する。
【0030】
なお、制御部11は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御部として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているとしたが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0031】
【0032】
噴霧部4は、浴室空間1内へ液体(次亜塩素酸水)をミスト状に噴霧するための部材である。また、噴霧部4は、浴室空間1内へ液体(次亜塩素酸水)を含まない圧縮空気を送風する送風部31としても機能する。噴霧部4は、浴室空間1の天井側の壁面3に設置しているが、浴室空間1内の壁面3に対して噴霧または噴射できる位置であれば特に限定されるものではない。
【0033】
より詳細には、噴霧部4は、
図2に示すように、筐体21と、二流体ノズル22と、エア配管接続部26と、液体配管接続部27と、を有して構成される。
【0034】
筐体21は、噴霧部4を構成する外枠であり、天井面の裏側において固定される。そして、筐体21の下方側に二流体ノズル22が設けられ、筐体の21の上方側にエア配管接続部26及び液体配管接続部27が設けられている。
【0035】
エア配管接続部26は、一端がエア配管8と接続され、他端が
図2の一点鎖線で示すようにチューブ等を介して圧縮空気供給部24と接続される。
【0036】
液体配管接続部27は、一端が液体配管9と接続され、他端が
図2の一点鎖線で示すようにチューブ等を介して液体供給部25と接続される。
【0037】
二流体ノズル22は、2本の支持部21aによって、筐体21の下方において浴室空間1側に突出した位置で固定される。また、二流体ノズル22は、浴室空間1への次亜塩素酸水ミストの噴霧方向(圧縮空気エアの噴射方向)を変えられるように手動で回転可能となっている。つまり、二流体ノズル22は、支持部21aに対して二流体ノズル22の取付角度を変えられるようになっている。これにより、二流体ノズル22から噴射された次亜塩素酸水ミストは、徐々に広がりながら浴室空間1内へ供給される。ここで、噴射直後の次亜塩素酸水ミストが壁面3に当たると、部分的に水滴が付着してしまう恐れがある。このため、本実施の形態では、次亜塩素酸水ミストの噴射方向を斜め下方向にし、天井側の壁面3への水滴付着がないようにしている。また、次亜塩素酸水ミストの噴射方向に対向する壁面3への水滴付着を防ぐため、壁面3から十分に距離を置いた位置から噴射するようにしている。ここで、圧縮空気の噴射方向は、基本的に次亜塩素酸水ミストの噴霧方向と同じとなっている。
【0038】
より詳細には、二流体ノズル22は、空気と水とが同時に噴出してミストを生成するミスト発生部23と、圧縮空気供給部24と、液体供給部25と、を有して構成されている。
【0039】
圧縮空気供給部24は、二流体ノズル22の上端においてエア配管接続部26と接続されたチューブ等を介して供給される空気(圧縮空気)を、ミスト発生部23に導入する部位である。
【0040】
液体供給部25は、二流体ノズル22の上端において液体配管接続部27と接続されたチューブ等を介して供給される液体(次亜塩素酸水)を、ミスト発生部23に導入する部位である。
【0041】
ミスト発生部23は、液体(次亜塩素酸水)を微粒子状にしたミスト(次亜塩素酸水ミスト)を噴霧するための部材である。ミスト発生部23は、圧縮空気による力で液体を破砕させ、液体を微粒子状に噴射させることができるものであり、圧縮空気供給部24からの圧縮空気の圧力あるいは液体供給部25からの液体の供給量を調整することで、ミストの粒子径をコントロールすることができる。なお、本実施の形態では、ミスト発生部23は、二流体ノズル22で発生させるミストの粒子径が平均粒子径5μm~10μmとなるように調整している。
【0042】
なお、二流体ノズル22に圧縮空気のみを供給することで、ミスト発生部23から圧縮空気のみが噴射されることとなる。
【0043】
以上のように、空間噴霧装置30は構成される。
【0044】
次に、
図3を参照して、空間噴霧装置30による除菌動作について説明する。
図3は、空間噴霧装置30による除菌処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
空間噴霧装置30では、制御部11によって、事前にコンプレッサ5を運転動作させ、エアタンク6内に圧縮空気を貯留させるとともに、液体タンク7内に次亜塩素酸水を貯留させている。
【0046】
そして、利用者が、浴室空間1内に人が不在であることを確認してから、除菌動作を実行させるスイッチ等を押すと、空間噴霧装置30では、上述した通り、浴室空間1の壁面3の除菌処理として、壁面3に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面3が濡れない条件で噴霧部4から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部31として機能する噴霧部4から圧縮空気を送風し、浴室空間1内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを浴室空間1内に漂わせる第二処理とを所定回数繰り返し実行する。
【0047】
具体的には、制御部11は、除菌動作の運転指令が入力されると第一処理を実行する(ステップS01)。
【0048】
第一処理では、制御部11は、電磁弁10A及び電磁弁10Bの両方を「開放」した状態とし、噴霧部4(ミスト発生部23)から次亜塩素酸水ミストを噴霧させる。ここで、第一処理は、所定の時間(第一時間)だけ実行される。
【0049】
そして、制御部11は、第一処理が終了すると、第二処理を実行する(ステップS02)。
【0050】
第二処理では、制御部11は、電磁弁10Aを「解放」及び電磁弁10Bを「閉止」した状態とし、送風部31として機能する噴霧部4(ミスト発生部23)から圧縮空気のみを噴射させた状態を所定の時間(第二時間)維持させる。なお、第二処理では、第一処理の直後であるため、浴室空間1内に次亜塩素酸水ミストが存在している状態であり、噴霧部4からの圧縮空気の噴射により、浴室空間1内に気流が発生させることで、次亜塩素酸水ミストは気流に乗って浴室空間1内を常に移動する状態となっている。
【0051】
その後、制御部11は、第二処理が終了すると、第一処理とこれに続く第二処理とを合わせて1サイクルとしてカウントした場合に、カウントしたサイクル数が所定回数に達したか否かを判定する(ステップS03)。判定の結果、サイクル数が所定回数に達している場合(ステップS03のYes)には、除菌動作を終了する。一方、サイクル数が所定回数に達していない場合(ステップS03のNo)には、第一処理の実行(ステップS01)と第二処理の実行(ステップS02)のサイクルを繰り返す。
【0052】
以上のようにして、空間噴霧装置30による除菌動作が実行される。
【0053】
次に、空間噴霧装置30の除菌動作による除菌効果について説明する。ここで、除菌とは、少なくとも一部の菌を死滅させることを示しており、殺菌と同義として扱っている。空間噴霧装置30は、除菌動作を実行させることで、浴室空間1内の壁面3及び床面2にカビあるいはぬめりの発生及びスケールの付着を抑制することを目的としている。カビあるいはぬめりの原因は、菌の繁殖であるため、それらの菌を除菌することで、カビあるいはぬめりの発生を抑制することができる。
【0054】
空間噴霧装置30では、次亜塩素酸水をミスト状にしたものを浴室空間1内に噴霧することで、壁面3に付着した菌を除菌する。つまり、除菌するには、次亜塩素酸水に含まれている塩素量をどれだけ菌に対して供給できるかが肝要となる。ここで、塩素量とは、次亜塩素酸水に含まれる遊離塩素であり、次亜塩素酸(HOCl)あるいは次亜塩素酸イオン(OCl-)に含まれる塩素(Cl)の絶対量である。このため、空間噴霧装置30では、次亜塩素酸水の遊離塩素濃度(以下、単に「濃度」ともいう)、第一処理の時間(第一時間)、第二処理の時間(第二時間)、及びサイクルの繰返し回数(所定回数)が除菌のためのパラメータとなる。
【0055】
<第一処理の時間>
空間噴霧装置30では、噴霧部4から噴霧される次亜塩素酸水ミストの平均粒子径は、5μm~10μmであり、次亜塩素酸水ミストが壁面3へ付着しにくくなっているが僅かに付着する。この時、カビなどの菌に接触することで、菌にダメージを与えることができる。次亜塩素酸水ミストの付着量が多いほど、除菌力は高くなるので、第一処理の時間(第一時間)を長くとることが除菌力を高めることとなるが、長時間連続してミスト噴霧を行うと、浴室空間1中のミスト濃度が高くなり、ミスト同士が凝集し、粒子径が大きくなる。粒子径が大きくなったミストは、壁面3に付着しやすくなり、壁面3上でさらに凝集し、やがて壁面3には、目に見える程の水滴が付着することとなる(具体的には直径1mm以上の水滴)。目に見える水滴が付着すると、それが蒸発した時、水滴に含まれていたスケール(マグネシウムあるいはカルシウムの化合物など)または次亜塩素酸水に含まれる塩成分などが析出し、白い跡となって残るいわゆる水垢汚れが発生する。この水垢汚れを防ぐため、壁面3に目に見える程の水滴を付着させないようにする必要がある。そのためには、第一時間を壁面3に水滴が付着しない時間として設定する必要がある。この第一時間は、浴室空間1の広さによって変わってくるため、実際に使用する空間に合わせて第一処理の時間を適宜設定することが好ましい。つまり、第一時間は、浴室空間1の広さ(容積)に合わせて、壁面3に目に見える程の水滴付着が発生しない時間に設定される。
【0056】
<次亜塩素酸水の濃度>
次亜塩素酸水をミスト状に噴霧するには、液体タンク7に貯留する次亜塩素酸水の濃度を調整する必要がある。次亜塩素酸水の濃度は、後述のサイクルの繰返し回数とも関連して濃度を設定する。
【0057】
<第二処理の時間>
第二処理は、第一処理後において、浴室空間1内に次亜塩素散水ミストが充満した状態において、送風部31として機能する噴霧部4から圧縮空気のみを噴射させ、浴室空間1内に気流を発生させる処理である。第二処理は、浴室空間1内に噴霧した次亜塩素散水ミストを攪拌する処理とも言える。第二処理では、次亜塩素酸水ミストが気流に乗って、浴室空間1内を常時移動しているので、次亜塩素酸水ミストが壁面3等に付着しやすくなるとともに、ミスト同士が凝集するなどして、次亜塩素酸水ミストが消散して減少していく。浴室空間1内のミストが目に見えない程度まで消散して減少した状態であれば、再度第一処理を行ってもミスト同士の凝集が少なく、壁面3への水滴の付着も抑制できる。このため、第二処理の時間(第二時間)は、最大でも浴室空間1内の次亜塩素酸水ミストが消散するまでの時間に設定している。
【0058】
<サイクルの繰返し回数>
除菌するには、上述した通り、次亜塩素酸水に含まれている塩素量をどれだけ菌に対して供給できるかが肝要である。
【0059】
空間噴霧装置30では、第一処理(噴霧部4によって次亜塩素酸水ミストを噴霧すること)及び第二処理(気流を生じさせ次亜塩素酸水ミストを攪拌すること)によって、ミストが壁面3に付着し、壁面3に塩素を供給することとなるので、単位面積当たりに供給した塩素量を「供給塩素量」と定義する。供給塩素量の測定方法は、壁面3にシャーレを設置しておき、所定の除菌動作を行った後、シャーレの重量増加量を測定し、次亜塩素酸水の体積を算出する。そして、シャーレに付着した次亜塩素散水の濃度を測定し、付着した次亜塩素酸水の体積と濃度からシャーレに付着した塩素量を算出し、シャーレの面積で除することで、単位面積当たりの供給塩素量としている。
【0060】
第一処理と第二処理との1サイクルでの合計の供給塩素量によって壁面3での除菌に必要な量に達しない場合には、第一処理及び第二処理によるサイクルを繰り返すことで、除菌に必要な供給塩素量となるように、トータルでの供給塩素量を増やすことになる。
【0061】
サイクルの繰返し回数(所定回数)は、第一処理及び第二処理を1回実行することによって壁面3に付着する単位面積当たりの次亜塩素酸水の付着量(1回当たりの供給塩素量)に基づいて、付着量の累計が壁面3の除菌に必要な供給塩素量の基準値を超える回数に設定される。
【0062】
このように第一処理と第二処理とによるサイクルを繰り返すことで、壁面3への水滴の付着を抑制しながら、壁面3への供給塩素量を増加させることができ、除菌に必要な供給塩素量を確保することができる。すなわち、除菌したい対象の菌の種類あるいは菌の数、浴室空間1の広さに合わせて、必要な供給塩素量の基準値を予め実験で求めておき、液体タンク7に貯留する次亜塩素酸水の濃度によって繰返しの所定回数を決定する。したがって、第一処理において噴霧部4から噴霧される次亜塩素酸水ミストの遊離塩素濃度(液体タンク7に貯留する次亜塩素酸水の濃度)が高ければ所定回数は少なくなり、次亜塩素酸水ミストの遊離塩素濃度が低ければ所定回数が多くなる。
【0063】
次に、除菌率と供給塩素量との関係を把握するために実施した試験について説明する。この試験では、上記した第二処理を何もしない放置処理(噴霧部4から何も噴射しない状態)と見なし、第一処理と何もしない放置処理とを1サイクルとして実施した。
図4は、空間噴霧装置30における供給塩素量と除菌率との関係を示す図である。なお、
図4では、横軸(対数目盛)を供給塩素量とし、縦軸を除菌率として表記している。
【0064】
ここで、試験用の空間として、空間容積が0.5m3となる試験BOXを用いた。そして、この試験BOXの天井付近に二流体ノズルを設置し、二流体ノズルから次亜塩素酸水ミストが噴霧可能なようにした。
【0065】
試験では、除菌率は、試験BOX内に菌塗抹シャーレを設置し、第一処理の実施とその後に何もしない放置処理を実施した後、菌塗抹シャーレから菌を回収して生存している菌の数から算出した。また、供給塩素量は、試験の実施前後における菌塗抹シャーレの重量を測定し、菌塗抹シャーレに付着した次亜塩素酸水の量と濃度から算出した。ここで、菌塗抹シャーレに付着した次亜塩素酸水の濃度は、事前に下記の要領で測定した。
【0066】
まず、菌塗抹シャーレは、黒カビを形成する菌であるCladosporium Sphaerospermum(NBRC6348)を用いて104cfu/mlとなる胞子懸濁液を作成し、作成した胞子懸濁液を直径φ90mmのシャーレの中央φ50mm内に、100μLを塗り広げ、乾燥させることにより準備した。
【0067】
次に、供給塩素量を算出する上での次亜塩素酸水の濃度は、二流体ノズルへ濃度200mg/L(pH8~9)の次亜塩素酸水ミストを供給し、ミスト噴霧後、試験BOXの底面へ沈降してきたミストが水滴となって溜まるのを待ち、この水滴を回収して濃度を測定し、測定した次亜塩素酸水の濃度に基づいて設定した。具体的には、回収して測定した濃度が142mg/Lであり、噴霧前の次亜塩素酸水の濃度と比べ3割程度の濃度低下が確認されたことから、次亜塩素酸水の濃度は、噴霧前の濃度の3割減で設定することとした。
【0068】
第一処理の時間(第一時間)は、二流体ノズルからの噴霧量は20ml/minとした時、試験BOXにおける噴霧時間2分までは壁面が濡れないことが確認できたため、2分とした。
【0069】
第一処理後、何もしない放置処理の時間は、噴霧終了後から8分後には天井側の壁面付近のミストが視認できなくなったため、8分とした。
【0070】
次に、第一処理と放置処理のサイクルの繰返し回数についての試験を行った。
【0071】
試験では、液体タンクに貯留する噴霧前の次亜塩素酸水の濃度を200mg/Lとして、第一処理と放置処理のサイクルの繰返し回数を1回、5回、7回、及び9回と変えて除菌率を測定した。
【0072】
その結果、繰返し回数1回の場合、
図4の点P1に示すように、供給塩素量は3.5×10
-3μg/cm
2であり、除菌率は0%であり、除菌効果は確認できなかった。これに対して、繰返し回数5回では、
図4の点P2に示すように、供給塩素量は1.5×10
―2μg/cm
2であり、除菌率は99%となり、除菌効果が確認された。続いて、繰返し回数7回では、
図4の点P3に示す供給塩素量及び除菌率となり、繰返し回数9回では、
図4の点P4に示す供給塩素量及び除菌率となった。つまり、繰返し回数5回以上では、いずれも高い除菌効果が確認された。
【0073】
これらの結果から、
図4の破線を描くことができ、供給塩素量が1.0×10
-2μg/cm
2以上あれば、除菌効果を得られることが分かった。つまり、0.5m
3の試験BOXにおいては、第一処理の時間(第一時間:2分)及び放置処理の時間(8分)を1サイクルとして、繰返し回数を5回に設定すれば、壁面を濡らさずに、1.0×10
-2μg/cm
2以上となる供給塩素量にすることができ、除菌率99%が得られると言える。
【0074】
この結果をもとに、次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と圧縮空気を送風する第二処理とを1サイクルとして供給塩素量を測定すれば、除菌率99%を得るために必要なサイクルの繰返し回数を算出することができ、除菌処理の一連のシーケンスを組むことができる。
【0075】
上述した供給塩素量と除菌率との関係を出すための実験においては、次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理でしか、壁面に対して供給塩素量を増加させることができない。供給塩素量を増やすには、放置処理の間に次亜塩素酸水ミストの濃度が低下するのを待ってから再度第一処理を実行する必要がある。これは、ミスト濃度を高めずに、壁面を濡らさないためである。そのため、第一処理と放置処理のサイクルを繰り返して第一処理の積算で供給塩素量を稼ぐ必要があるため時間がかかる。
【0076】
しかしながら、本実施の形態では、空間噴霧装置30では、浴室空間1の壁面3に対して、必要な供給塩素量となるように除菌処理(第一処理、第二処理、繰返し回数)を行うことで、壁面3を濡らさずに、壁面3の除菌に必要な供給塩素量を付与して高い除菌効果を得ることができる。また、第二処理では、次亜塩素酸水ミストを噴霧せずに、浴室空間1内に存在する次亜塩素酸水ミストを用いて、壁面3への供給塩素量を増加させることができるため、より除菌効果を高めることができる。言い換えれば、第二処理で行う次亜塩素酸水ミストの攪拌を行わない場合と比べて、第二処理を実施した方が同じ次亜塩素酸水ミストの供給量であっても、壁面3への供給塩素量を増加させることができ、除菌にかかる時間を短時間化することが可能となる。
【0077】
以上、本実施の形態1に係る空間噴霧装置30によれば、以下の効果を享受することができる。
【0078】
(1)空間噴霧装置30は、床面2と壁面3とによって囲まれた浴室空間1と、浴室空間1内に次亜塩素酸水ミストを噴霧する噴霧部4(送風部31として機能し、浴室空間1内に空気を送風する噴霧部4)と、噴霧部4を制御する制御部11と、を備える。そして、制御部11は、壁面3の除菌処理として、壁面3に達した次亜塩素酸水ミストによって壁面3が濡れない条件で噴霧部4から次亜塩素酸水ミストを噴霧する第一処理と、第一処理後に送風部31として機能する噴霧部4から空気を送風し、浴室空間1内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを浴室空間1内で攪拌させる第二処理とを所定回数繰り返し実行させるようにした。
【0079】
こうした構成によれば、浴室空間1内への次亜塩素酸水ミストの噴霧を行っても、浴室空間1を構成する壁面3を水滴状(目に見えるレベルでの粒状)に濡らすことがないので、スケールの付着による汚れの発生を抑制することができる。また、第一処理と第二処理とを所定回数繰り返すことで、壁面3を次亜塩素酸水で濡らすことなく、次亜塩素酸水ミストに含まれる次亜塩素酸を壁面3に付着させることができるので、壁面3に対して除菌作用を生じさせることができる。この際、送風部31からの送風によって、浴室空間1内に浮遊している次亜塩素酸水ミストを攪拌するので、壁面3等に付着した菌に対して次亜塩素酸水ミストの接触確率を高めることができ、除菌効果を高めることができる。つまり、空間噴霧装置は30、浴室空間1内への次亜塩素酸水ミストの噴霧を行う際、浴室空間1を構成する壁面3に対してスケールの付着を抑制しつつ除菌することができる。
【0080】
(2)空間噴霧装置30では、第二処理として、送風部31として機能する噴霧部4から圧縮空気を送風し、浴室空間1内に噴霧された次亜塩素酸水ミストを浴室空間1内で攪拌させるようにした。これにより、浴室空間1内に存在する次亜塩素酸水ミストを用いて、壁面3への供給塩素量を増加させることができるので、空間噴霧装置30の除菌性能を向上させることができる。
【0081】
(3)空間噴霧装置30では、所定回数を、第一処理及び第二処理を1回実行することによって壁面3に付着する単位面積当たりの次亜塩素酸水の付着量に基づいて、付着量の累計が壁面3の除菌に必要な塩素量の基準値を超える回数に設定した。これにより、壁面3を水滴状に濡らすことなく、壁面3を除菌するのに必要な塩素量(次亜塩素酸量)を確実に噴霧することができる。
【0082】
(4)空間噴霧装置30では、噴霧部4は、圧縮空気を用いて次亜塩素酸水ミストを発生させることが可能な二流体ノズル22を用いて噴霧するようにした。これにより、二流体ノズル22を有する噴霧部4によって平均粒子径10μm以下(例えば、平均粒子径5μm~10μmの範囲)のミストを確実に発生させることができるので、壁面3において次亜塩素酸水ミストが凝集して水滴状になるのを低減させながら、壁面3に対する除菌効果を生じさせることができる。
【0083】
(5)空間噴霧装置30では、噴霧部4と送風部31とは一体的に構成され、送風部31から送風される空気は、次亜塩素酸水ミストを含まない状態で噴霧部4から吹き出される空気(圧縮空気)とした。これにより、噴霧部4と送風部31を共有できるので部品の数を減らすことが出来るため、空間内において省スペースで空間噴霧装置の設置を行うことができる。
【0084】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0085】
本実施の形態1に係る空間噴霧装置30では、浴室空間1内に設置する噴霧部4を1個としたが、これに限られない。例えば、浴室空間1内に設置する噴霧部4を4個としてもよく、この際、4個の噴霧部4をバランスよく配置することが好ましい。このようにすることで、除菌動作における第一処理に要する時間(第一時間)を、例えば1/4に短縮することができる。
【0086】
また、本実施の形態1に係る空間噴霧装置30では、天井側に噴霧部4を設置したが、天井側の壁面3に限らず、噴霧後の次亜塩素酸水ミストが壁面3などに直接当たり水滴が付着する場所以外であればどこでもよい。例えば、浴室空間1内のカウンター12(
図1参照)の下に噴霧部4を設置し、浴室空間1内へ向けて噴霧する構成としてもよい。また、バスタブ13(
図1参照)の内部に空間噴霧装置30を設置し、バスタブ13のフランジ面14(
図1参照)に噴霧部4(二流体ノズル22)を設置して、浴室空間1へ向けて噴霧する構成としてもよい。このようにしても、壁面3を濡らさずに、壁面3の除菌に必要な供給塩素量(次亜塩素酸水の濃度)を付与して高い除菌効果を得ることができる。
【0087】
また、本実施の形態1に係る空間噴霧装置30では、噴霧部4を送風部31としても機能させ、噴霧部4から次亜塩素酸ミストの噴霧及び圧縮空気の噴射を行うようにしたが、これに限られない。例えば、噴霧部4とは別に送風部31を設けるようにしもよい。この場合、上記した効果(5)は得られないものの、次亜塩素酸ミストの噴霧と圧縮空気の噴射とを独立して制御できるため、より効率よく次亜塩素酸ミストの攪拌を行うことができる。
【0088】
また、本実施の形態1に係る空間噴霧装置30では、送風部31として機能する噴霧部4は、第二処理における圧縮空気の噴射を一定時間連続して行うように説明したが、これに限られない。例えば、送風部31として機能する噴霧部4は、間欠的に圧縮空気の噴射と停止を繰り返してもよい。これにより、浴室空間1内に気流を発生させつつ、圧縮空気の使用量を節減することができる。
【0089】
また、本実施の形態1に係る空間噴霧装置30では、1サイクルにおいて、第二処理の後に噴霧部4を停止させ、浴室空間1内で攪拌している次亜塩素酸水ミストを浴室空間1内で一定時間漂わせて放置する第三処理を行うようにしてもよい。このようにしても、空間噴霧装置30は、浴室空間1内への次亜塩素酸水ミストの噴霧を行う際、浴室空間1を構成する壁面3に対してスケールの付着を抑制しつつ除菌することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る空間噴霧装置は、浴室空間内の壁面に水垢による汚れの発生を抑制しながら短時間での除菌を可能とするものであるので、浴室空間の黒カビまたはぬめりの発生抑制として有用である。
【符号の説明】
【0091】
1 浴室空間
2 床面
3 壁面
4 噴霧部
5 コンプレッサ
6 エアタンク
7 液体タンク
8 エア配管
9 液体配管
10A 電磁弁
10B 電磁弁
11 制御部
12 カウンター
13 バスタブ
14 フランジ面
21 筐体
22 二流体ノズル
23 ミスト発生部
24 圧縮空気供給部
25 液体供給部
26 エア配管接続部
27 液体配管接続部
30 空間噴霧装置
31 送風部