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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101860
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】調光シート
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13 20060101AFI20230714BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20230714BHJP
   G02F 1/19 20190101ALN20230714BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1334
G02F1/19 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002048
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松原 吉隆
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2K101
【Fターム(参考)】
2H088EA33
2H088GA10
2H088GA13
2H088HA01
2H088HA02
2H088MA02
2H189AA04
2H189AA05
2H189CA08
2H189GA06
2H189JA06
2H189LA15
2K101AA08
2K101BA13
2K101BC02
2K101EG52
2K101EJ14
2K101EK03
(57)【要約】
【課題】透明状態と不透明状態との間のコントラストを鮮明に視認可能な調光シートを提供する。
【解決手段】複数の空隙を備えた有機高分子層と、空隙を埋める液晶組成物であって、液晶化合物と二色性色素とを含む液晶組成物と、を含む調光層11と、調光層11を挟む第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bと、調光層11、第1透明電極層12A、及び第2透明電極層12Bを挟む第1透明支持層13A及び第2透明支持層13Bと、を有する積層体を備え、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間の電位差の変化に応じて液晶化合物及び二色性色素の配向を変え、これによって透明状態から有色の不透明状態に切り換わる調光シート10であって、不透明状態における平行線透過率PTaと、透明状態における平行線透過率PTbとが、PTb/PTa>80を満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空隙を備えた有機高分子層と、前記空隙を埋める液晶組成物であって、液晶化合物と二色性色素とを含む前記液晶組成物と、を含む調光層と、
前記調光層を挟む一対の透明電極層と、
前記調光層及び一対の前記透明電極層を挟む一対の透明支持層と、を有する積層体を備え、
一対の前記透明電極層の間の電位差の変化に応じて前記液晶化合物及び前記二色性色素の配向を変え、これによって透明状態から有色の不透明状態に切り換わる調光シートであって、
前記不透明状態における平行線透過率PTaと、前記透明状態における平行線透過率PTbとが、PTb/PTa>80を満たす
調光シート。
【請求項2】
前記不透明状態における平行線透過率PTaが0.6以下である
請求項1に記載の調光シート。
【請求項3】
前記不透明状態における全光線透過率が30%以下である
請求項1または2に記載の調光シート。
【請求項4】
前記不透明状態において、JIS-Z-8781-4に準拠するCIE1976(L*a*b*)表色系における色度a*が-15以上15以下、かつ、色度b*が-15以上15以下である
請求項1ないし3のうち何れか一項に記載の調光シート。
【請求項5】
前記調光層は、前記二色性色素が前記不透明状態で呈する色と同色を呈するスペーサをさらに備える
請求項1ないし4のうち何れか一項に記載の調光シート。
【請求項6】
少なくとも一方の前記透明支持層のうち前記透明電極層に接する面と反対の面に位置する着色層をさらに備え、
前記着色層は、前記二色性色素が前記不透明状態で呈する色と同色を呈する
請求項1ないし5のうち何れか一項に記載の調光シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光シートに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、液晶組成物を含む調光層と、調光層を挟む一対の透明電極シートとを備える。調光層は、一対の透明電極シート間に印加される駆動電圧に応じて液晶組成物の配向状態が変わることで透明度を変える。液晶組成物の配向秩序が構築されるとき、調光シートは高い透明度を示す。液晶組成物の長軸方向が無秩序であるとき、調光シートは低い透明度を示す。
【0003】
一般的に、調光シートは、高い透明度を示す透明状態において無色透明であり、低い透明度を示す不透明状態においては、可視光が調光シートの内部で散乱することにより、肉眼で視認した場合に白濁色に見える。調光シートは、意匠性の観点から、使用環境に応じて白濁色以外の色を有したものが好まれることがある。このため、液晶組成物に二色性色素を添加することが提案されている(例えば特許文献1参照)。二色性色素は、吸光度に異方性を有するものであり、その長軸方向が無秩序であるときに高い吸光度を示す。このとき、不透明状態の調光シートは、白濁した状態ではなく、二色性色素由来の色を発現し、これに伴い有色、かつ低い透明度を示す状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-016710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した調光シートにおいて透明状態と不透明状態との間での外観色味の濃淡差であるコントラストを高めることは、調光シートの適用範囲に新たな分野を創出して調光シートに関わる産業を発展させる。そこで、上記の調光シートには、透明状態と不透明状態との間のコントラストを、肉眼で鮮明に視認できるような構成が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための調光シートは、複数の空隙を備えた有機高分子層と、前記空隙を埋める液晶組成物であって、液晶化合物と二色性色素とを含む前記液晶組成物と、を含む調光層と、前記調光層を挟む一対の透明電極層と、前記調光層及び一対の前記透明電極層を挟む一対の透明支持層と、を有する積層体を備え、一対の前記透明電極層の間の電位差の変化に応じて前記液晶化合物及び前記二色性色素の配向を変え、これによって透明状態から有色の不透明状態に切り換わる調光シートであって、前記不透明状態における平行線透過率PTaと、前記透明状態における平行線透過率PTbとが、PTb/PTa>80を満たす。
【0007】
上記構成によれば、不透明状態における平行線透過率PTaに対する透明状態における平行線透過率PTbの割合が80よりも大きい。そのため、透明状態と不透明状態との間の色味の濃淡差が、観察者に把握される程度に、可視光の吸収が調光シートにおいて機能する。したがって、透明状態と不透明状態との間のコントラストを、観察者は鮮明に視認できる。
【0008】
上記調光シートにおいて、前記不透明状態における平行線透過率PTaが0.6以下であることが好ましい。
二色性色素の濃度を高めることは、不透明状態の色味を濃くし、これによって透明状態と不透明状態との間のコントラストを高める。調光層の厚さを厚くすることも、不透明状態の色味を濃くし、これによって透明状態と不透明状態とのコントラストを高める。ただし、二色性色素の濃度が高いほど、液晶化合物が駆動しにくく、また二色性色素の凝集も生じ得る。また、調光層の厚さが厚いほど、液晶化合物が駆動しにくく、また透明状態の光透過率が低下する。そのため、コントラストを高めることを目的として、単に二色性色素の濃度を高める、あるいは調光層の厚さを厚くするという方策にも、限りがある。
【0009】
一方、調光層の内部に入る光は、液晶組成物と樹脂層との屈折率差によって散乱する。調光層の内部で散乱した光は、平行線よりも長い光路を進む分だけ、二色性色素に吸収されやすい。他方、調光層の内部で散乱しない光は、散乱した光よりも短い光路を進む分だけ、二色性色素に吸収されにくい。
【0010】
この点、上記構成によれば、不透明状態における平行線透過率PTaが0.6以下であるため、平行線の透過が抑えられた環境で二色性色素の吸収を機能させることができる。すなわち、二色性色素に吸収されにくい平行線が抑えられている環境を二色性色素に与え、これによってコントラストの向上が実現されるため、コントラスト向上の実効性が高まる。
【0011】
上記調光シートにおいて、前記不透明状態における全光線透過率が30%以下であることが好ましい。
上記構成によれば、不透明状態において可視光を十分に遮ること、これによって調光シートの色味として十分な暗さを得ることが可能である。
【0012】
上記調光シートにおいて、前記不透明状態において、JIS-Z-8781-4に準拠するCIE1976(L*a*b*)表色系における色度a*が-15以上15以下、かつ、色度b*が-15以上15以下であることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、不透明状態における調光シートの色を黒色または黒色に近い色とすることができる。すなわち、二色性色素が不透明状態における散乱光を好適に吸収し、かつ、PTb/PTaの値が80よりも大きいように、調光層が平行線の透過を好適に抑えることが、黒色として表現される。
【0014】
上記調光シートにおいて、前記調光層は、前記二色性色素が前記不透明状態で呈する色と同色を呈するスペーサをさらに備えることが好ましい。
上記構成によれば、スペーサが不透明状態で二色性色素が呈する色と同色を呈するため、スペーサを目立たない外観とすることができる。また、スペーサが有色であることから、不透明状態において液晶化合物によって生じる散乱光をスペーサによって吸収できる。これにより、スペーサが白色、または無色透明である場合と比較して、不透明状態における平行線透過率PTaを低めることができる。したがって、不透明状態における平行線透過率PTaに対する透明状態における平行線透過率PTbの割合を高めることができる。
【0015】
上記調光シートにおいて、少なくとも一方の前記透明支持層のうち前記透明電極層に接する面と反対の面に位置する着色層をさらに備え、前記着色層は、前記二色性色素が前記不透明状態で呈する色と同色を呈することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、不透明状態における調光シートは、調光層が呈する色と、着色層が呈する色とを重ねた合成色を呈する。そのため、不透明状態における調光シートの色を調光層が呈する色のみで実現する場合と比べて、不透明状態における調光シートの色を鮮明にすることができる。また、着色層によって可視光が遮蔽される分だけ、不透明状態における調光シートの全光線透過率をより低めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明状態と不透明状態との間のコントラストを鮮明に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、調光シートの積層構造を示す断面図である。
図2図2は、調光層の構成を示す模式図である。
図3図3は、調光シートの実施例の評価結果を示す表である。
図4図4は、調光シートの比較例の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[調光シート]
調光シートは、取付対象物である透明基材に貼り付けられる。透明基材は、ガラス基板や樹脂基板である。透明基材の一例は、車両や航空機等の移動体が搭載する窓ガラス、建物に設置された窓ガラス、車内や屋内に配置された間仕切りである。調光シートが貼り付けられる面は、平面状あるいは曲面状である。調光シートは、2つの透明基材によって挟まれてもよい。
【0020】
調光シートの駆動型式は、ノーマル型、あるいはリバース型である。ノーマル型の調光シートは、電圧印加によって不透明状態から透明状態に遷移し、当該電圧印加の解除によって透明状態から不透明状態に戻る。リバース型の調光シートは、電圧印加によって透明状態から不透明状態に遷移し、当該電圧印加の解除によって不透明状態から透明状態に戻る。本実施形態の調光シートは、一例としてノーマル型であるが、リバース型であってもよい。
【0021】
[調光シートの積層構造]
図1に示すように、調光シート10は、調光層11、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、第1透明支持層13A、及び、第2透明支持層13Bを備える。調光層11は、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとに挟まれている。第1透明支持層13Aは、第1透明電極層12Aのうち調光層11と反対側の面を支持する。第2透明支持層13Bは、第2透明電極層12Bのうち調光層11と反対側の面を支持する。
【0022】
調光層11は、例えば、高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、カプセル型ネマティック液晶(NCAP:Nematic Curvilinear Aligned Phase)等の構造を有する。高分子分散型液晶を含む調光層11は、独立した多数の空隙、または独立した形状の一部が接合された形状を有する空隙を樹脂層のなかに備え、空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子ネットワーク型液晶は、3次元の網目状を有した樹脂層である高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークが有する空隙に、配向粒子として液晶分子を保持する。カプセル型ネマティック液晶層は、カプセル状を有した液晶組成物を樹脂層のなかに保持する。本実施形態の調光層11は、高分子分散型液晶を含む。液晶組成物は、液晶化合物及び二色性色素を含む。
【0023】
第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bは、それぞれ可視光を透過する光透過性、及び電気的な導電性を有する。第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bを構成する材料の一例は、それぞれ酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ3,4‐エチレンジオキシチオフェンからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0024】
第1透明支持層13A及び第2透明支持層13Bは、それぞれ可視光を透過する光透過性、及び電気的な絶縁性を有する。第1透明支持層13A及び第2透明支持層13Bを構成する材料は、それぞれ有機高分子化合物または無機高分子化合物である。有機高分子化合物の一例は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリオレフィンからなる群から選択される少なくとも1つである。無機高分子化合物の一例は、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、及び、窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0025】
第1透明電極層12Aは、第1配線21A、及び第1電極22Aを通じて制御部20に接続される。第2透明電極層12Bは、第2配線21B、及び第2電極22Bを通じて制御部20に接続される。第1配線21A及び第2配線21Bの各々は、例えば、金属製のワイヤーと、金属製のワイヤーを覆う絶縁層とによって構成される。ワイヤーは、一例として銅によって構成される。絶縁層は、一例として樹脂によって構成される。第1電極22A及び第2電極22Bの各々は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。
【0026】
第1電極22A及び第2電極22Bの各々は、例えば、図示されない導電性接着層を介して第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bの各々に取り付けられる。導電性接着層は、例えば、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)、等方性導電フィルム(ICF:Isotropic Conductive Film)、等方性導電ペースト(ICP:Isotropic Conductive Paste)等から構成される。
【0027】
なお、第1透明電極層12Aと制御部20との接続手段、及び、第2透明電極層12Bと制御部20との接続手段は、上記の例に限定されない。例えば、第1配線21Aが第1電極22Aを介さずに第1透明電極層12Aに対して直接はんだ付けされる構成であってもよい。同様に、第2配線21Bが第1電極22Aを介さずに第2透明電極層12Bに対して直接はんだ付けされる構成であってもよい。
【0028】
制御部20は、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間に電圧を印加する。調光層11は、第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bの間において生じる電圧の変化を受けて、液晶分子の配向を変える。液晶分子における配向の変化は、調光層11に入る可視光の散乱、吸収、及び、透過の度合いを変える。第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されていないとき、液晶分子の長軸方向の向きは不規則である。そのため、調光層11に入射した可視光の散乱度合いは大きくなり、調光層11は、有色の不透明状態となる。不透明状態において調光層11が呈する色は、二色性色素が有する色に依存する。不透明状態において調光層11が呈する色は、一例として黒色または黒色に近い色である。
【0029】
一方、第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bに電圧信号が印加されると、液晶分子が配向され、液晶分子の長軸方向が第1透明電極層12A及び第2透明電極層12B間の電界方向に沿った向きとなる。その結果、調光層11を光が透過しやすくなり、調光層11は、無色の透明状態となる。
【0030】
調光シート10は、着色層14をさらに備える。着色層14は、第1透明支持層13Aにおける第1透明電極層12Aに接する面と反対の面に位置する。着色層14は、図示しない粘着層を介して第1透明支持層13Aに固定されていてもよい。着色層14は、不透明状態において調光層11が呈する色と同色、すなわち、本実施形態では黒色または黒色に近い色を呈する。調光シート10は、調光層11が呈する色と、着色層14が呈する色とを重ねた合成色を呈することができる。そのため、不透明状態における調光シート10の色を調光層11が呈する色のみで実現する場合と比べて、不透明状態における調光シート10の色を鮮明にすることができる。
【0031】
着色層14の全光線透過率は、3%以上50%以下であることが好ましい。着色層14の全光線透過率が上記範囲内であることで、不透明状態における調光シート10の全光線透過率を低めつつ、透明状態における全光線透過率の過剰な低下を抑制できる。
【0032】
[調光層]
図2を参照して調光層11について詳述する。図2は、調光シート10の断面構造の一部であって、PDLC型の調光層11、第1透明電極層12A、及び第2透明電極層12Bを示す。
【0033】
調光層11は、有機高分子層31、液晶組成物32、及びスペーサ33を含む。有機高分子層31は、光重合性化合物の硬化体である。光重合性化合物は、紫外線硬化性化合物でもよいし、電子線硬化性化合物でもよい。光重合性化合物は、液晶組成物32と相溶性を有する。
【0034】
有機高分子層31は、調光層11内で空隙31Dを区画する。空隙31Dにおける寸法の制御性を高めることを要する場合、光重合性化合物は、紫外線硬化性化合物であることが好ましい。紫外線硬化性化合物の一例は、分子構造の末端に重合性不飽和結合を含む。あるいは、紫外線硬化性化合物は、分子構造の末端以外に重合性の不飽和結合を含む。光重合性化合物は、1種の重合性化合物、あるいは2種以上の重合性化合物の組み合わせである。紫外線硬化性化合物は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、スチレン化合物、チオール化合物、及び、各化合物のオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種である。アクリレート化合物は、ジアクリレート化合物、トリアクリレート化合物、テトラアクリレート化合物を含む。アクリレート化合物の一例は、ブチルエチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートである。メタクリレート化合物の一例は、ジメタクリレート化合物、トリメタクリレート化合物、テトラメタクリレート化合物である。メタクリレート化合物の一例は、N,N‐ジメチルアミノエチルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートである。チオール化合物の一例は、1,3-プロパンジチオール、1,6-ヘキサンジチオールである。スチレン化合物の一例は、スチレン、メチルスチレンである。
【0035】
液晶組成物32は、液晶化合物LCM及び二色性色素DPを含む。なお、液晶組成物32は、さらに粘度低下剤、消泡剤、酸化防止剤、耐候剤等を含有してもよい。耐候剤の一例は、紫外線吸収剤や光安定剤である。
【0036】
有機高分子層31による液晶組成物32の保持型式は、高分子分散型、ポリマーネットワーク型、カプセル型からなる群のうちいずれか一種である。または、有機高分子層31による液晶組成物32の保持型式は、これらの群のうち複数種類を組み合わせた型式であってもよい。
【0037】
高分子分散型の調光層11の有機高分子層31は、孤立した多数の空隙31Dを区画する。高分子ネットワーク型の調光層11の有機高分子層31は、3次元の網目状の空隙31Dを有する。液晶組成物32は、相互に連通した網目状の空隙31D内に位置する。カプセル型の調光層11の有機高分子層31は、分散したカプセル状の空隙31Dを有する。空隙31Dの大きさは2種類以上であり、空隙31Dの形状は、球形状、楕円体状、あるいは不定形状である。
【0038】
液晶化合物LCMの長軸方向の誘電率は、液晶化合物LCMの短軸方向の誘電率よりも高い、正の誘電異方性を有する。あるいは、液晶化合物LCMの長軸方向の誘電率は、液晶化合物LCMの短軸方向の誘電率よりも低い、負の誘電異方性を有する。液晶化合物LCMの誘電異方性は、調光シート10における各配向層の有無、及び駆動型式に基づいて適宜選択される。
【0039】
液晶化合物LCMは、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、ピリダジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ジシアノベンゼン系、ナフタレン系、ジオキサン系からなる群から選択される少なくとも一種である。非重合性液晶化合物は、1種の液晶化合物、あるいは2種以上の液晶化合物の組み合わせである。
【0040】
二色性色素DPは、細長い分子形状を有し、分子長軸方向における可視領域の吸光度が分子短軸方向における吸光度よりも大きい。本実施形態における二色性色素DPは、光の入射方向に対して分子長軸方向が所定角度で交差する状態において、黒色または黒色に近い色を呈する。つまり、二色性色素DPは、調光層11の第1透明電極層12Aとの接触面及び第2透明電極層12Bとの接触面の法線方向に対して分子長軸方向が略直交するように配向されたとき、黒色または黒色に近い色を呈する。二色性色素DPは、液晶化合物LCMをホストとしたゲストホスト型式によって駆動されて呈色する。
【0041】
二色性色素DPは、不透明状態の調光層11のCIE1976(L*a*b*)表色系における色度a*が-15以上15以下、色度b*が-15以上15以下であることを成立させる色素が用いられる。CIE1976(L*a*b*)表色系における色度a*、色度b*は、JIS-Z-8781-4(ISO 11664-4)に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間の色座標を計算する方法に準拠して特定される。
【0042】
二色性色素DPは、ポリヨウ素、アゾ化合物、アントラキノン化合物、ナフトキノン化合物、アゾメチン化合物、テトラジン化合物、キノフタロン化合物、メロシアニン化合物、ペリレン化合物、ジオキサジン化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。二色性色素DPは、1種の色素、あるいは2種以上の色素の組み合わせである。耐光性を高めること、及び二色比を高めることを要する場合、二色性色素DPは、アゾ化合物、及びアントラキノン化合物からなる群から選択される少なくとも一種であり、より好ましくはアゾ化合物である。
【0043】
有機高分子層31と液晶組成物32との総量に対する有機高分子層31の含有率の下限値は20質量%であり、より好ましい含有率の下限値は30質量%である。有機高分子層31と液晶組成物32との総量に対する有機高分子層31の含有率の上限値は70質量%であり、より好ましい含有率の上限値は60質量%である。
【0044】
有機高分子層31の含有率の下限値、及び上限値は、光重合性化合物の硬化過程において、液晶組成物32からなる液晶粒子が光重合性化合物の硬化体から相分離可能な範囲に応じて決まる。有機高分子層31の機械的な強度を高めることを要する場合、有機高分子層31の含有率の下限値が高いことが好ましい。液晶化合物LCMの駆動電圧を低めることを要する場合、有機高分子層31の含有率の上限値が低いことが好ましい。
【0045】
スペーサ33は、有機高分子層31の全体にわたり分散されている。スペーサ33は、スペーサ33の周辺において調光層11の厚さを定めると共に、調光層11の厚さを均一化する。スペーサ33は、ビーズスペーサでもよいし、フォトレジストの露光及び現像によって形成されるフォトスペーサでもよい。スペーサ33は、透光性を有し、無色透明でもよいし、有色透明でもよい。有色透明のスペーサ33の呈する色は、二色性色素DPの呈する色と同色であることが好ましい。
【0046】
制御部20は、第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bに駆動電圧を印加することで、第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとの間の電位差によって液晶化合物LCM及び二色性色素DPの配向を制御する。駆動電圧は、液晶化合物LCM及び二色性色素DPの配向状態を変えるための電圧である。制御部20は、液晶化合物LCM及び二色性色素DPの配向状態を変えて、透明状態と不透明状態とのうちの一方から他方に調光シート10を切り換える。不透明状態では、調光シート10は黒色または黒色に近い色を呈し、全光線透過率が透明状態よりも低くなる。換言すると、不透明状態の調光シート10は、曇り値であるヘイズが透明状態よりも高くなる。
【0047】
駆動電圧の印加が解除されているとき、液晶化合物LCM及び二色性色素DPの長軸方向は、無秩序になる。これにより、調光シート10は、可視光全域にわたり調光層11での散乱を生じ、不透明状態となる。また、二色性色素DPも、その長軸方向が無秩序になる。二色性色素DPのうち、少なくとも長軸方向と調光層11の第1透明電極層12Aとの接触面、及び調光層11の第2透明電極層12Bとの接触面の法線方向とがなす角度のうち小さい角度が90°に近い角度等の所定角度であるものは黒色を呈する。なお、上記法線方向は、調光層11の厚さ方向と同等である。
【0048】
駆動電圧が印加されると、液晶化合物LCMは、電界による配向規制力を受ける。このとき、液晶化合物LCM及び二色性色素DPの長軸方向は、電界方向に沿う配向状態となる。これにより、調光シート10の全光線透過率は、不透明状態よりも高くなる。また、二色性色素DPの長軸方向も電界方向に沿う配向状態となるため、調光シート10の色が無色または無色に近い状態になる。
【0049】
駆動電圧の印加が再び解除されると、液晶化合物LCM及び二色性色素DPは、電界による配向規制力を解除され、液晶化合物LCM及び二色性色素DPの長軸方向は、無秩序になる。これにより、調光シート10は、可視光全域にわたり調光層11での散乱を生じ、再び不透明状態となる。
【0050】
[調光シートの光学特性]
次に、調光シート10の光学特性について説明する。
調光シート10は、以下の条件1を満たす。
【0051】
・(条件1)不透明状態における平行線透過率PTaと、透明状態における平行線透過率PTbとの関係がPTb/PTa>80を満たす。
調光シート10が上記の条件1を満たすことにより、透明状態と不透明状態との間の外観色味の濃淡差が大きくなる。したがって、透明状態と不透明状態との間のコントラストを鮮明に視認できる。
【0052】
上記の条件1について、調光シート10におけるPTb/PTaの値は、調光層11における二色性色素DPの含有率を変えることによって変更できる。調光層11における二色性色素DPの含有率を高めた場合、不透明状態における平行線透過率PTaが低くなる。この場合、PTaだけでなく、透明状態における平行線透過率PTbも減少するものの、PTbの減少率に対してPTaの減少率が大きいことから、PTb/PTaの値が大きくなる。逆に、調光層11における二色性色素DPの含有率を低めた場合は、PTb/PTaの値が小さくなる。
【0053】
二色性色素DPの含有率は、一例として、有機高分子層31と液晶組成物32との総量に対して0.01質量%以上10質量%以下である。二色性色素DPの含有率が0.01質量%以上であることで、PTb/PTaの値を十分に大きくすることができる。また、二色性色素DPの含有率が10質量%以下であることで、二色性色素DPが凝集した粒子の析出を抑制できる。
【0054】
上記の条件1について、調光シート10におけるPTb/PTaの値は、調光層11が備えるスペーサ33の色を変えることによっても変更できる。例えば、調光層11が備えるスペーサ33が有色の場合、不透明状態において液晶化合物LCMによって生じる散乱光をスペーサ33によって吸収できる。これにより、スペーサ33が白色、または無色透明である場合と比較して、不透明状態における平行線透過率PTaを低めることができる。したがって、白色以外の有色のスペーサ33を用いれば、PTb/PTaの値を相対的に大きくすることができる。スペーサ33の色は、散乱光を好適に吸収する観点から黒色が好ましい。また、スペーサ33が不透明状態で二色性色素DPが呈する色と同色を呈する構成であれば、調光シート10の外観をスペーサ33の色味が目立たないものとすることができる。
【0055】
上記の条件1について、調光シート10におけるPTb/PTaの値は、調光層11の厚さを変えることによっても変更できる。調光層11の厚さが厚くなると、調光層11の厚さ方向に分布する液晶化合物LCM及び二色性色素DPのなかに、部分的に駆動されにくい液晶化合物LCM及び二色性色素DPも存在する場合がある。この場合、調光シート10を透明状態とするように駆動電圧を印加しても、液晶化合物LCM及び二色性色素DPが部分的に配向されないことで、透明状態における平行線透過率PTbが相対的に低くなる。これに対して、調光層11の厚さが薄くなると、調光層11の厚さ方向に分布する液晶化合物LCM及び二色性色素DPの全体を、駆動電圧によって配向させ易くなる。したがって、調光層11の厚さを薄くすることでPTbを相対的に高めることができる。
【0056】
調光層11の厚さは、スペーサ33の大きさとおおよそ一致することから、スペーサ33の平均粒径を変えることで制御することができる。スペーサ33の平均粒径は、一例として、メジアン径D50で10μm以上30μm以下である。この場合、調光層11の厚さは、10μm以上30μm以下となる。
【0057】
上記の条件1について、調光シート10におけるPTb/PTaの値は、光重合性化合物の硬化過程において、光重合性化合物から液晶組成物32で構成される液晶粒子が相分離する度合いを変えることによっても変更できる。
【0058】
例えば、光重合性化合物を重合させる光の強度が低いほど、光重合性化合物から液晶粒子の相分離が進まず、光重合性化合物の硬化によって形成される空隙31Dの大きさが大きくなる。少ない数量の大きい空隙31Dを備えた調光層11は、多い数量の小さい空隙31Dを備えた調光層11と比べて、調光層11に入る光を散乱しにくい。そのため、空隙31Dの大きさが大きいほど、すなわち光重合性化合物を重合させる光の強度が低いほど、駆動電圧が印加されない不透明状態において可視光が散乱し難い。結果として、有機高分子層31に含まれる空隙31Dの大きさが大きいほど、不透明状態における平行線透過率PTaが高くなり易い。
【0059】
これに対して、光重合性化合物の硬化過程において、光重合性化合物を重合させる光の強度を高めることで、光重合性化合物から液晶粒子の相分離が促進され、これによって、有機高分子層31に含まれる空隙31Dの大きさが小さくなる。したがって、調光層11に含まれる液晶粒子のうち、透明状態と不透明状態との切換において、PTaを低めることができる。
【0060】
上述したように、二色性色素DPの濃度を高めることは、不透明状態の色味を濃くし、これによって透明状態と不透明状態との間のコントラストを高める。調光層11の厚さを厚くすることも、不透明状態の色味を濃くし、これによって透明状態と不透明状態とのコントラストを高める。ただし、二色性色素DPの濃度が高いほど、液晶化合物LCMが駆動しにくく、また二色性色素DPの凝集が生じ得る可能性も高まる。また、調光層11の厚さが厚いほど、液晶化合物LCMが駆動しにくく、また透明状態の光透過率が低下する可能性も高まる。そのため、コントラストを高めることを目的として、二色性色素DPの濃度を高める、あるいは調光層11の厚さを厚くするという方策にも限りがある。
【0061】
一方、調光層11の内部に入る光は、有機高分子層31と液晶組成物32との屈折率差によって散乱する。調光層11の内部で散乱した光は、平行線よりも長い光路を進む分だけ、二色性色素DPに吸収されやすい。他方、調光層11の内部で散乱しない光は、散乱した光よりも短い光路を進む分だけ、二色性色素DPに吸収されにくい。
【0062】
この観点から、不透明状態における平行線透過率PTaが0.6以下であることが好ましい。これによれば、不透明状態における平行線透過率PTaが0.6以下であるため、平行線の透過が抑えられた環境で二色性色素DPの吸収を機能させることができる。すなわち、二色性色素DPに吸収されにくい平行線が抑えられている環境を二色性色素DPに与え、これによってコントラストの向上が実現されるため、コントラスト向上の実効性が高まる。
【0063】
さらに、調光シート10は、以下の条件2,3を満たすことが好ましい。
・(条件2)不透明状態における全光線透過率が30%以下である。
・(条件3)JIS-Z-8781-4に準拠するCIE1976(L*a*b*)表色系における色度a*が-15以上15以下、色度b*が-15以上15以下である。
【0064】
調光シート10が上記の条件2を満たすことにより、不透明状態において可視光を十分に遮ることが可能である。なお、全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997(ISO 1468-1)に準拠した測定方法を用いて得られる値である。
【0065】
調光シート10が上記の条件3を満たすことにより、不透明状態における調光シート10の色を黒色または黒色に近い色とすることができる。すなわち、二色性色素DPが不透明状態における散乱光を好適に吸収し、かつPTb/PTaの値が80よりも大きいように、調光シート10が平行線を好適に抑えることが、黒色として表現される。
【0066】
上記の条件2について、不透明状態における調光シート10の全光線透過率は、調光層11における二色性色素DPの含有率を変えることで変更できる。調光層11における二色性色素DPの含有率を高めた場合、不透明状態における全光線透過率が低くなる。逆に、調光層11における二色性色素DPの含有率を低めた場合は、不透明状態における全光線透過率が高くなる。したがって、条件2を満たすように不透明状態における全光線透過率を調整する際には、PTb/PTaの値が条件1から逸脱しない範囲の中で、二色性色素DPの含有率を高めればよい。
【0067】
上記の条件2について、不透明状態における調光シート10の全光線透過率は、調光層11の厚さを変えることによっても変更できる。不透明状態における調光シート10の全光線透過率は、調光層11の厚さが厚いほど低くなり、調光層11の厚さが薄いほど高くなる。したがって、条件2を満たすように不透明状態における全光線透過率を調整する際には、PTb/PTaの値が条件1から逸脱しない範囲の中で、調光層11の厚さを厚くすればよい。
【0068】
上記の条件2について、不透明状態における調光シート10の全光線透過率は、着色層14が有する全光線透過率を変えることによっても変更できる。着色層14の全光線透過率が低いほど、不透明状態における調光シート10の全光線透過率は低くなり、着色層14の全光線透過率が高いほど、不透明状態における調光シート10の全光線透過率は高くなる。また、着色層14は、不透明状態における調光シート10の全光線透過率だけでなく、不透明状態における調光シート10の平行線透過率PTa、及び、透明状態における調光シート10の平行線透過率PTbの両方を低める。そのため、着色層14を備えることで、PTb/PTaの値を大きく変えずに、不透明状態における調光シート10の全光線透過率を低めることができる。
【0069】
上記の条件3について、不透明状態における調光シート10の色度a*、及び色度b*は、二色性色素DPの吸光スペクトルを適切に選定することによって制御することができる。二色性色素DPの吸光スペクトルは、色の3原色であるシアン、マゼンタ、イエローの配合を変えることで制御することができる。
【0070】
上記の条件3について、不透明状態における調光シート10の色度a*、及び色度b*は、着色層14が有する色を適切に選定することによっても制御することができる。不透明状態において、調光層11が呈する色と、着色層14が呈する色とを重ねた合成色が上記の条件3を満たすように、着色層14が有する色を選定すればよい。
【0071】
[調光シートの製造方法]
調光シート10の製造方法について説明する。まず、第1透明電極層12Aを備えた第1透明支持層13Aと、第2透明電極層12Bを備えた第2透明支持層13Bとを準備する。次に、第1透明電極層12A及び第2透明電極層12Bの間に、調光層11を形成するための塗膜を形成する。
【0072】
塗膜は、光重合性化合物、液晶組成物32、二色性色素DP及び光重合性化合物の重合を開始するための重合開始剤を含む。重合開始剤は、ジケトン化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、チオキサンソン化合物からなる群から選択される少なくとも一種である。重合開始剤は、1種の化合物でもよいし、2種以上の化合物の組み合わせでもよい。重合開始剤の一例は、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、シクロヘキシルフェニルケトンからなる群から選択されるいずれか一種である。
【0073】
調光シート10の製造方法は、塗膜のなかで光重合性化合物を重合させることによって、液晶組成物32からなる液晶粒子を光重合性化合物から相分離させることを含む。光重合性化合物を重合させる光は、紫外光線でもよいし、電子線でもよい。光重合性化合物を重合させる光は、第1透明支持層13Aに向けて照射されてもよいし、第2透明支持層13Bに向けて照射されてもよいし、第1透明支持層13A及び第2透明支持層13Bの両方に向けて照射されてもよい。
【0074】
液晶組成物32からなる液晶粒子の相分離は、光重合性化合物の重合と、液晶組成物32の拡散とを通じて進む。光重合性化合物の重合する速度は、光重合性化合物に照射される光の強度によって変わる。液晶組成物32の拡散する速度は、光重合性化合物の重合時の処理温度によって変わる。液晶組成物32の相分離では、液晶粒子の大きさを所望の大きさとするように、また液晶粒子の数量が所望の数量となるように、光重合性化合物に照射される光の強度、照射時間、及び光重合性化合物の重合時の処理温度が設定される。すなわち、液晶組成物32の相分離では、空隙31Dの大きさ、また空隙31Dの数量によって条件1が満たされるように、光重合性化合物に照射される光の強度、照射時間、及び光重合性化合物の重合時の処理温度が設定される。これにより、調光層11、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、第1透明支持層13A、及び、第2透明支持層13Bからなる積層体が構成される。
【0075】
次いで、第1透明支持層13Aのうち第1透明電極層12Aと接する面と反対側となる面に着色層14を接合する。着色層14は、第1透明支持層13Aに接着材によって接着されてもよいし、溶着などの他の方法により接合されてもよい。
【0076】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)不透明状態における調光シート10の平行線透過率PTaと、透明状態における調光シート10の平行線透過率PTbとが、PTb/PTa>80を満たすことで、透明状態と不透明状態との間の外観色味の濃淡差が大きくなる。したがって、透明状態と不透明状態との間のコントラストを鮮明に視認できる。
【0077】
(2)不透明状態における調光シート10の全光線透過率が30%以下であることで、不透明状態において可視光を十分に遮ること、ひいては調光シート10の色味として十分な暗さを得ることができる。
【0078】
(3)不透明状態の調光シート10において、色度a*が-15以上15以下、かつ、色度b*が-15以上15以下であることで、不透明状態における調光シート10の色を黒色または黒色に近い色とすることができる。すなわち、二色性色素DPが不透明状態における散乱光を好適に吸収し、かつPTb/PTaの値が80よりも大きいように、調光層11が平行線の透過を好適に抑えることが、黒色として表現される。
【0079】
(4)スペーサ33が不透明状態で二色性色素DPが呈する色と同色を呈する構成であることで、調光シート10の外観をスペーサ33の色味が目立たないものとすることができる。また、スペーサ33が有色であることから、不透明状態において液晶化合物LCMによって生じる散乱光をスペーサ33によって吸収できる。これにより、スペーサ33が白色、または無色透明である場合と比較して、不透明状態における平行線透過率PTaを低めることができる。したがって、不透明状態における平行線透過率PTaに対する透明状態における平行線透過率PTbの割合を高めることができる。特に、上記実施形態のように、二色性色素DP及びスペーサ33が黒色を呈する構成であれば、不透明状態における散乱光を好適に吸収することができる。
【0080】
(5)着色層14が不透明状態で二色性色素DPが呈する色と同色を呈する構成であることで、不透明状態における調光シート10は、調光層11が呈する色と、着色層14が呈する色とを重ねた合成色を呈する。そのため、不透明状態における調光シート10の色を調光層11が呈する色のみで実現する場合と比べて、不透明状態における調光シート10の色を鮮明にすることができる。また、調光シート10が着色層14を備えることで、着色層14によって可視光が遮蔽される分だけ、不透明状態における調光シート10の全光線透過率を低めることができる。
【0081】
[実施例]
図3図4を参照して調光シート10の実施例および比較例について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例であって、必ずしも本発明を限定するものではない。
【0082】
(実施例1)
実施例1の調光シート10は、着色層14を備えず、調光層11と、第1透明電極層12Aと、第2透明電極層12Bと、第1透明支持層13Aと、第2透明支持層13Bとによって構成された。また、実施例1の調光層11は、有機高分子層31と、液晶組成物32と、黒色透明のスペーサ33とを含む。実施例1の液晶組成物32は、液晶化合物LCMと、調光シート10が不透明状態のときに黒色を呈する二色性色素DPとを含む。
【0083】
実施例1の調光シート10の構成材料を以下に示す。
・第1透明電極層12A:酸化インジウムスズ、厚さ30nm
・第2透明電極層12B:酸化インジウムスズ、厚さ30nm
・第1透明支持層13A:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ125μm
・第2透明支持層13B:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ125μm
・スペーサ33:PMMA製の真球状粒子、粒径16μm、黒色
・紫外線硬化性化合物:イソボニルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ウレタンアクリレート、40質量%
・重合開始剤:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、3質量%
・液晶化合物LCM:シアノビフェニル化合物、54質量%
・二色性色素DP:黒色二色性色素(製品名YH-428:三井化学ファイン社製)、3.0質量%
実施例1の塗液を用いて厚さが16μmの塗膜を第1透明電極層12Aの上に形成し、スペーサ33を塗膜中に散布した。そして、スペーサ33が散布された塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例1の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0084】
(実施例2)
実施例2の調光シート10は、調光層11に含まれるスペーサ33が白色透明である点を除き、実施例1の調光シート10と同様に構成された。
【0085】
実施例2の調光シート10の構成材料のなかで実施例1と相違する点を以下に示す。
・スペーサ33:PMMA製の真球状粒子、粒径16μm、白色
上記スペーサ33が散布された塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例2の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0086】
(実施例3)
実施例3の調光シート10は、実施例1の調光シート10と同様の層構成に加えて、さらに、黒色を呈する着色層14を備える構成であった。着色層14が有する全光線透過率は、46%であった。
【0087】
実施例3の調光シート10の構成材料のなかで実施例1と相違する点を以下に示す。
・着色層14:黒色着色層(製品名:ルミクール(登録商標)、全光線透過率:46%、アイケーシー株式会社製)
実施例3の塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例3の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0088】
(実施例4)
実施例4の調光シート10は、実施例2の調光シート10と同様の層構成に加えて、さらに、黒色を呈する着色層14を備える構成であった。着色層14が有する全光線透過率は、46%であった。なお、実施例4の調光シート10が備える着色層14は、実施例3の調光シート10が備える着色層14と同様の構成である。
【0089】
実施例4の塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例4の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0090】
(実施例5)
実施例5の調光シート10は、実施例1の調光シート10と同様の層構成に加えて、さらに、黒色を呈する着色層14を備える構成であった。着色層14が有する全光線透過率は、7%であった。
【0091】
実施例5の調光シート10の構成材料のなかで実施例1と相違する点を以下に示す。
・着色層14:黒色着色層(製品名:ルミクール(登録商標)、全光線透過率:7%、アイケーシー株式会社製)
実施例5の塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例5の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0092】
(実施例6)
実施例6の調光シート10は、実施例2の調光シート10と同様の層構成に加えて、さらに、黒色を呈する着色層14を備える構成であった。着色層14が有する全光線透過率は、7%であった。なお、実施例6の調光シート10が備える着色層14は、実施例5の調光シート10が備える着色層14と同様の構成である。
【0093】
実施例6の塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例6の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0094】
(実施例7)
実施例7の調光シート10は、黒色の二色性色素DPに代えて、調光シート10が不透明状態のときに青色を呈する二色性色素DPを用いた点を除き、実施例2の調光シート10と同様に構成された。
【0095】
実施例7の調光シート10の構成材料のなかで実施例1と相違する点を以下に示す。
・二色性色素DP:青色二色性色素(製品名M-412:三井化学ファイン社製)、3.0質量%
実施例7の塗膜を第1透明電極層12Aと第2透明電極層12Bとによってラミネートし、第1透明支持層13Aに向けて365nmの紫外光線を照射することによって、実施例7の調光シート10を得た。この際、紫外光線の強度を10mW/cmに設定し、紫外光線の照射時間を100秒とした。
【0096】
(比較例1)
比較例1の調光シート10は、調光層11が二色性色素DPを備えない点を除き、実施例1の調光シート10と同様に構成された。
【0097】
(比較例2)
比較例2の調光シート10は、調光層11が二色性色素DPを備えない点を除き、実施例2の調光シート10と同様に構成された。
【0098】
(比較例3)
比較例3の調光シート10は、調光層11が二色性色素DPを備えない点を除き、実施例4の調光シート10と同様に構成された。
【0099】
(比較例4)
比較例4の調光シート10は、調光層11が二色性色素DPを備えない点を除き、実施例6の調光シート10と同様に構成された。
【0100】
[評価]
実施例1~7及び比較例1~4の調光シート10を用い、以下の評価項目(a)~(d)について評価を行った。図3に評価項目(a)~(d)についての評価結果を示す。
【0101】
(a)調光シート10の不透明状態における平行線透過率PTaに対する調光シート10の透明状態における平行線透過率PTbの割合の評価
(b)調光シート10の不透明状態における全光線透過率の評価
(c)調光シート10の不透明状態における色度評価
(d)調光シート10の不透明状態における外観評価
上記(a)の評価では、駆動電圧が印加されずに不透明状態とされた調光シート10に対して、平行線透過率PTaを測定した。そして、駆動電圧が印加されて透明状態とされた調光シート10に対して、平行線透過率PTbを測定した。なお、(a)の評価では、ヘーズメータ(製品名:NDH2000、日本電色製)を用いた。また、JIS K 7136に準拠した方法を用い、出口開口の光トラップを機能させた状態で検出される成分を拡散成分とし、かつ、全光線の透過光から拡散成分を除いた成分を平行成分として平行線透過率PTa及びPTbを測定した。
【0102】
実施例1~7の調光シート10は、不透明状態における平行線透過率PTaに対する透明状態における平行線透過率PTbの割合、すなわち、PTb/PTaの値が80を超えた。特に、調光層11が黒色透明のスペーサ33を含む実施例1,3,5では、PTb/PTaの値が200を超えた。また、調光層11が白色透明のスペーサ33を含む実施例2,4,6,7では、PTb/PTaの値が100前後であった。よって、実施例1~7は、上記した条件1を満たした。これに対して、比較例1~4の調光シート10は、PTb/PTaの値が80以下であった。
【0103】
上記(b)の評価では、駆動電圧が印加されずに不透明状態とされた調光シート10に対して、JIS K 7361-1:1997(ISO 1468-1)に準拠した方法を用いて全光線透過率を測定した。上記(b)の評価には、全光線透過率の測定装置(製品名:NDH2000、日本電色製)を用いた。
【0104】
実施例1~6の調光シート10は、不透明状態における全光線透過率が30%以下であった。よって、実施例1~6は、上記した条件2を満たした。また、実施例1~6のなかでは、実施例5,6のように、全光線透過率が低い着色層14を備える水準の方が、調光シート10の不透明状態における全光線透過率が低くなる傾向が確認された。これに対して、実施例7の調光シート10は、不透明状態における全光線透過率が30%超であった。これは、実施例1~6と比較して、実施例7の調光シート10が備える二色性色素DPの種類が異なることによるものと考えられる。
【0105】
比較例1~3の調光シート10は、不透明状態における全光線透過率が30%超であった。比較例4の調光シート10は、不透明状態における全光線透過率が30%以下であった。これは、比較例4の調光シート10が備える着色層14が、低い全光線透過率(7%)を有することによるものと考えられる。
【0106】
上記(c)の評価では、駆動電圧が印加されずに不透明状態とされた調光シート10に対して、測色計を用いて色度a*,b*を測定した。なお、色度a*,b*は、JIS-Z-8781-4に準拠するCIE1976(L*a*b*)表色系において特定されるものである。
【0107】
実施例1~6、及び比較例1~4の調光シート10は、色度a*が-15以上15以下、かつ、色度b*が-15以上15以下であった。よって、実施例1~6、及び比較例1~4は、上記した条件3を満たした。これに対して、実施例7の調光シート10は、色度a*が-15以上15以下であったものの、色度b*が15超であった。これは、実施例1~6と比較して、実施例7の調光シート10が備える二色性色素DPの種類が異なることによるものと考えられる。
【0108】
上記(d)の評価では、駆動電圧が印加されずに不透明状態とされた調光シート10に対して、鮮明な黒色が得られるかどうかを肉眼で判定した。評価基準としては、鮮明な黒色の外観が得られたものを「◎」とした。黒色のなかに液晶化合物LCMによる散乱光に起因した白み掛かった外観が得られたものを「〇」とした。黒色のなかに白以外の色味が確認されたものを「△」とした。黒色のなかに液晶化合物LCMによる散乱光に起因した白さが相対的に強く確認されたもの、及び黒色が確認されなかったものを「×」とした。
【0109】
調光層11が黒色透明のスペーサ33を含む実施例1,3,5では、鮮明な黒色の外観が確認された。実施例2,4,6では、黒色のなかに液晶化合物LCMによる散乱光に起因した白み掛かった外観が確認された。実施例7では、黒色のなかに黄色み掛かった外観が確認された。これは、実施例7の調光シート10が、実施例1~6と比較して不透明時における全光線透過率が高いことから、レイリー散乱による散乱光の影響が相対的に強くなることで黄色み掛かった外観となったものと推察される。比較例1~4では、黒色のなかに液晶化合物LCMによる散乱光に起因した白さが相対的に強く確認された。
【0110】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・調光シート10は、調光層11、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、第1透明支持層13A、及び、第2透明支持層13Bによって構成される積層体を挟み込むように、2つの着色層14を備えてもよい。この場合、一方の着色層14は、第1透明支持層13Aにおける第1透明電極層12Aに接する面と反対の面に位置し、他方の着色層14は、第2透明支持層13Bにおける第2透明電極層12Bに接する面と反対の面に位置する。このような構成であれば、不透明状態における調光シート10の全光線透過率をより低めることができ、かつ、色度a*及び色度b*のそれぞれの値をより黒色に近い値に近づけることができる。
【0111】
・調光シート10が少なくとも条件1を満たすように構成されるのであれば、着色層14は割愛されてもよい。この場合、調光シート10の厚さを薄くすることができる。なお、この場合であっても、調光シート10が条件2、3を満たすように構成されることが好ましい。例えば、第1透明電極層12A、第2透明電極層12B、第1透明支持層13A、及び、第2透明支持層13Bの組み合わせによって、着色層14を備える場合と同等の光学特性が達成されるように、調光シート10を構成する各層の構成を変えてもよい。
【0112】
・調光シート10が少なくとも条件1を満たすように構成されるのであれば、着色層14が呈する色は、二色性色素DPが不透明状態で呈する色と異なる色であってもよい。この場合であっても、着色層14によって、不透明状態における調光シート10の全光線透過率を低めることができる。
【0113】
・調光シート10が少なくとも条件1を満たすように構成されるのであれば、スペーサ33が呈する色は、二色性色素DPが不透明状態で呈する色と異なる色であってもよい。この場合であっても、例えば、スペーサ33が有色であれば、不透明状態において生じる散乱光をスペーサ33によって吸収できる。これにより、不透明状態における平行線透過率PTaを低めることができ、結果として、PTaに対する透明状態における平行線透過率PTbの割合を高めることができる。また、調光層11に添加されるスペーサ33の一部又は全てを無色透明とし、粒径を調整することによって、スペーサ33が目立たない外観としてもよい。
【0114】
・調光シート10が少なくとも条件1を満たすように構成されるのであれば、色度a*及び色度b*の両方、もしくは、何れか一方が、条件3の範囲から外れてもよい。すなわち、不透明状態において、調光シート10が黒色または黒色に近い色以外の色を呈する構成であってもよい。この場合であっても、上記の(1),(2)に準じた効果を得ることができる。
【0115】
・調光シート10が少なくとも条件1を満たすように構成されるのであれば、不透明状態における調光シート10の全光線透過率が30%超であってもよい。この場合であっても、PTaに対するPTbの割合が大きいことから、透明状態と不透明状態との間のコントラストを鮮明に視認できる。
【0116】
・液晶化合物LCMの配向状態の変化に基づいて、調光シート10の透明状態と不透明状態とを切り換える構成であれば、調光シート10は、1ないし複数の他の機能層を備えてもよい。他の機能層は、調光層11に向けた酸素や水分の透過を抑えるガスバリア層でもよいし、調光層11に向けた特定波長以外の紫外光線の透過を抑える紫外線バリア層でもよい。他の機能層は、調光シート10の各層を機械的に保護するハードコート層でもよいし、調光シート10における層間の密着性を高める接着層でもよい。
【0117】
・上記実施形態では、調光層11が有機高分子層31及び液晶組成物32を有する構造とした。これに代えて、調光シート10を配向粒子としての光調整粒子を有するSPD(Suspended Particle Device)方式のものとしてもよい。SPD方式は、光調整粒子を含む光調整懸濁液を、樹脂マトリックス中に分散させる方式である。
【符号の説明】
【0118】
DP…二色性色素
LCM…液晶化合物
10…調光シート
11…調光層
12A…第1透明電極層
12B…第2透明電極層
13A…第1透明支持層
13B…第2透明支持層
14…着色層
31…有機高分子層
31D…空隙
32…液晶組成物
33…スペーサ
図1
図2
図3
図4