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特開2023-102673廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102673
(43)【公開日】2023-07-25
(54)【発明の名称】廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/82 20190101AFI20230718BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20230718BHJP
【FI】
B29C48/82
B29C48/92
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003326
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】関屋 政洋
(72)【発明者】
【氏名】小水流 広行
【テーマコード(参考)】
4F207
【Fターム(参考)】
4F207AA50
4F207AJ08
4F207AR06
4F207KA01
4F207KA05
4F207KA17
4F207KK13
4F207KK43
4F207KK44
4F207KK48
4F207KL35
4F207KM04
4F207KM14
(57)【要約】
【課題】廃プラスチック成形物の品質又は成形性の低下を抑制することが可能な廃プラスチック成形物の製造装置を提供する。
【解決手段】内部に廃プラスチック原料を収容する容器と、前記容器の前記内部において混練され、加熱された前記廃プラスチック原料を前記容器の端部へ向かって移送する移送部と、前記容器の前記端部に設けられ、前記容器の前記内部と前記容器の外部とを連通する連通部と、前記容器に設けられた流路内を流通する冷媒を介して前記廃プラスチック原料を冷却する冷却部と、を備える、廃プラスチック成形物の製造装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に廃プラスチック原料を収容する容器と、
前記容器の前記内部において混練され、加熱された前記廃プラスチック原料を前記容器の端部へ向かって移送する移送部と、
前記容器の前記端部に設けられ、前記容器の前記内部と前記容器の外部とを連通する連通部と、
前記容器に設けられた流路内を流通する冷媒を介して前記廃プラスチック原料を冷却する冷却部と、
を備える、廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項2】
前記連通部を所定の温度以下に冷却する連通部冷却部をさらに備え、
前記冷却部は、前記連通部冷却部において前記所定の温度以下に冷却することが可能な温度以下に前記容器内の前記廃プラスチック原料を冷却する、請求項1に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項3】
制御部をさらに備え、
前記制御部は、少なくとも前記連通部冷却部での温度検出結果に基づいて、前記冷却部における冷媒の流量及び温度の少なくとも一方を制御する、請求項2に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項4】
前記流路は、前記容器の外周壁内に形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項5】
前記流路は、前記容器の外周壁に対して外方から取り付けられる管状部材により形成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項6】
前記冷媒は、前記流路における前記端部側の開口から導入される、請求項1~5のいずれか1項に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項7】
前記移送部は、前記廃プラスチック原料を移送するスクリュー部が外周面に設けられたシャフトを有し、
前記流路は、前記シャフトの内部に形成される、請求項1に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項8】
前記流路は、前記シャフトの中空部分である、請求項7に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項9】
前記移送部は、前記廃プラスチック原料を移送するスクリュー部が外周面に設けられたシャフトを有し、
前記流路は、前記容器の外壁と前記シャフトとの間の隙間に設けられる、請求項1に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項10】
前記流路は、前記容器の外壁に外側から差し込まれた冷却管の内部に形成され、
前記冷却管に対向する前記スクリュー部の羽根の径は、前記冷却管に対向しない位置の前記スクリュー部の羽根の径より小さく、
前記冷却管に対向しない前記スクリュー部の羽根の径は、前記冷却管に対向する位置の前記スクリュー部の羽根の径より大きい、
請求項9に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項11】
前記流路は、前記容器の前記端部側に設けられた面板との間に間隙を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項12】
前記冷却部は、前記冷媒を循環させる循環機構を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の廃プラスチック成形物の製造装置。
【請求項13】
廃プラスチック原料を容器の内部へ投入し、
前記廃プラスチック原料を前記容器の前記内部において混練及び加熱し、
前記廃プラスチック原料を前記容器の端部へ向かって移送し、
前記容器に設けられた流路内を流通する冷媒を介して前記廃プラスチック原料を冷却する、
廃プラスチック成形物の製造方法。
【請求項14】
前記容器内の温度を測定し、測定された温度に基づいて前記廃プラスチック原料の加熱温度と冷却温度とを制御する、請求項13に記載の廃プラスチック成形物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭ごみ等に含まれる廃プラスチックをリサイクルするために、コークス炉を使用して廃プラスチックを化学原料化する技術がある。コークス炉内に廃プラスチックを投入するためには、当該廃プラスチックを所定形状の成形物に成形する必要がある。例えば、下記特許文献1、2には、プラスチック主体の廃棄物を押出し成形機に供給し、塊状の成形製品を製造する技術が記載されている。
【0003】
下記特許文献1には、成形品温度センサによる測定値が設定温度を超えた場合に、投入された廃棄物に所定量の注水を自動的に行うことが記載されている。また、下記特許文献2には、造粒機内のダイスの内周面に向けて冷却水を噴出することによりダイスを冷却し、廃プラスチックの温度を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-015384号公報
【特許文献2】特開2000-282073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の技術では、成形機内に直接冷却水を散布していることから、廃プラスチック原料が水を多量に含む。そのため、加熱による水分の膨張に伴う廃プラスチック成形物の品質(例えば、密度の低下)や、廃プラスチック原料に含有された水分に起因する成形時の温度低下によって押し出し成形時の成形性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、廃プラスチック成形物の品質又は成形性の低下を抑制することが可能な廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、内部に廃プラスチック原料を収容する容器と、上記容器の上記内部において混練され、加熱された上記廃プラスチック原料を上記容器の端部へ向かって移送する移送部と、上記容器の上記端部に設けられ、上記容器の上記内部と上記容器の外部とを連通する連通部と、上記容器に設けられた流路内を流通する冷媒を介して上記廃プラスチック原料を冷却する冷却部と、を備える、廃プラスチック成形物の製造装置が提供される。
【0008】
上記連通部を所定の温度以下に冷却する連通部冷却部をさらに備え、上記冷却部は、上記連通部冷却部において上記所定の温度以下に冷却することが可能な温度以下に上記容器内の上記廃プラスチック原料を冷却してもよい。
【0009】
制御部をさらに備え、上記制御部は、少なくとも上記連通部冷却部での温度検出結果に基づいて、上記冷却部における冷媒の流量及び温度の少なくとも一方を制御してもよい。
【0010】
上記流路は、上記容器の外周壁内に形成されてもよい。
【0011】
上記流路は、上記容器の外周壁に対して外方から取り付けられる管状部材により形成されてもよい。
【0012】
上記冷媒は、上記流路における上記端部側の開口から導入されてもよい。
【0013】
上記移送部は、上記廃プラスチック原料を移送するスクリュー部が外周面に設けられたシャフトを有し、上記流路は、上記シャフトの内部に形成されてもよい。
【0014】
上記流路は、上記シャフトの中空部分であってもよい。
【0015】
上記移送部は、上記記廃プラスチック原料を移送するスクリュー部が外周面に設けられたシャフトを有してもよい。
【0016】
上記流路は、上記容器の外壁に外側から差し込まれた冷却管の内部に形成され、上記冷却管に対向する上記スクリュー部の羽根の径は、上記冷却管に対向しない位置の上記スクリュー部の羽根の径より小さく、上記冷却管に対向しない上記スクリュー部の羽根の径は、上記冷却管に対向する位置の上記スクリュー部の羽根の径より大きくてもよい。
【0017】
上記流路は、上記容器の上記端部側に設けられた面板との間に間隙を有してもよい。
【0018】
上記冷却部は、上記冷媒を循環させる循環機構を備えてもよい。
【0019】
また、上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、廃プラスチック原料を容器の内部へ投入し、上記廃プラスチック原料を上記容器の上記内部において混練及び加熱し、上記廃プラスチック原料を上記容器の端部へ向かって移送し、上記容器に設けられた流路内を流通する冷媒を介して上記廃プラスチック原料を冷却する、廃プラスチック成形物の製造方法が提供される。
【0020】
上記容器内の温度を測定し、測定された温度に基づいて上記廃プラスチック原料の加熱温度と冷却温度とを制御してもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上、説明したように本発明によれば、成形後の廃プラスチック成形物の品質、又は成形性が低下を抑制することが可能な廃プラスチック成形物の製造装置及び廃プラスチック成形物の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す模式図である。
図2】同実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す外観斜視図である。
図3】同実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4】同実施形態の一の変形例に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す外観斜視図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す模式図である。
図6】第3の実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す模式図である。
図7】第3の実施形態に係る廃プラスチック成形物の製造装置の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
<<第1の実施形態>>
<1.廃プラスチック成形物の製造装置の構成>
まず、図1及び図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の構成例を示す模式図である。図2は、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の構成例を示す外観斜視図である。
【0025】
本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、廃プラスチック原料Mに対して、破砕、混練及び加熱等の処理を行った後、押出成形することで、所定の形状を有する廃プラスチック成形物Pを成形するための装置である。廃プラスチック成形物Pは、例えば、石炭とともにコークス炉内へ挿入され、化学原料としてリサイクルされる。
【0026】
廃プラスチック原料Mには、使用済みプラスチック容器をはじめとするプラスチックごみが含まれる。具体的には、廃プラスチック原料Mには、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料を主成分とするプラスチックごみが含まれる。
【0027】
廃プラスチック原料Mは、廃プラスチック成形物Pの製造装置100に投入される前の段階で、ある程度破砕された状態であってもよい。また、廃プラスチック原料Mは、廃プラスチック成形物Pの製造装置100に投入される前の段階で、ある程度、混練され、加熱された状態であってもよい。この場合、容器110内での廃プラスチック原料Mに対する混練、加熱を省略又は簡易的に行うようにしてもよい。
【0028】
廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、図1に示すように、容器110と、移送部120と、連通部130と、冷却部140とを有している。
【0029】
(容器)
容器110は、廃プラスチック原料Mを収容することが可能な筐体部分である。容器110は、図1におけるY方向の一端部111側に、Z方向に向かって開口されたホッパ113を有する。かかるホッパ113を介して、容器110内に廃プラスチック原料Mが投入される。廃プラスチック原料Mは、容器110の内部において、混練されるとともに、加熱される。このとき、廃プラスチック原料Mは、一例として容器110内で140℃程度以上に加熱されてもよい。
【0030】
容器110内での加熱温度が、140℃程度未満であると、廃プラスチック原料Mの溶融が十分でなく、後述する廃プラスチック成形物Pの成形過程において、表面側の固化が十分に行われない。つまり、容器110内の温度を140℃程度以上とすることで、廃プラスチック成形物Pの成形過程における固化が十分に行われる。
【0031】
また、容器110内において、廃プラスチック原料Mが140℃程度以上に加熱されるとは、容器110内の全ての領域において、140℃以上に加熱されていることを意味するものではなく、連通部130の近傍において押出し成形される状態となった廃プラスチック原料Mが、140℃以上に加熱されていれば足りる。具体的には、後述する面板117内に設けられた温度センサ180によって、容器110内の廃プラスチック原料Mの温度が測定され、かかる温度が140℃以上となっていればよく、150℃以上であれば好ましい。
【0032】
容器110内には、移送部120の一部が設けられ、かかる移送部120によって、容器110のY方向の他端部115へ向かって廃プラスチック原料Mが移送される。容器110の他端部115には、面板117が設けられている。面板117は、容器110の他端部115に設けられた板状部材であり、面板117には、連通部130が設けられている。連通部130の詳細については、後述する。面板117の板厚、形状等は、押出し成形における押圧力等を考慮して、適宜設定され得る。
【0033】
また、容器110には、冷却部140が設けられている。具体的には、図1に示すように、容器110の筐体構造を形成する外周壁119の内部に流路141が形成されている。詳細は後述するが、流路141内を冷媒Cが流通することで、容器110内の廃プラスチック原料Mが抜熱されて、冷却される。
【0034】
(移送部)
移送部120は、容器110内の廃プラスチック原料Mを容器110の他端部115へ向かって移送する。具体的には、移送部120は、いわゆる2軸押出し機構を有している。図1に示すように、移送部120は、容器110において、軸方向がY方向に沿って設けられた一対のシャフト121と、シャフト121の軸方向端部と連結された減速機構123と、減速機構123を介してシャフト121に回転力を付与する駆動源125とを有している。一対のシャフト121の回転方向は、同じ方向であってもよいし、逆方向であってもよく、容器110内の廃プラスチック原料Mの混練、加熱状態等に応じて適宜設定される。
【0035】
一対のシャフト121の外周面には、らせん状に設けられた刃状部分を有するスクリュー部127が設けられている。かかるスクリュー部127によって、シャフト121の回転に伴い、廃プラスチック原料Mが容器110の一端部111側から他端部115側へ移送される。また、一対のシャフト121に設けられたスクリュー部127同士の回転によって、廃プラスチック原料Mが混練されるとともに、摩擦によって加熱される。
【0036】
さらに、一対のシャフト121には、図示しないニーディングディスク部が設けられてもよい。ニーディングディスク部は、シャフト121の軸方向中間に設けられている。一対のシャフト121に設けられたニーディングディスク部同士の回転によって、廃プラスチック原料Mがより混練されるとともに、摩擦によって加熱される。
【0037】
(連通部)
連通部130は、図1に示すように、容器110の他端部115に周状に設けられた、横断面が円形の筒状部分であり、容器110内と外部とを連通している。廃プラスチック原料Mが、連通部130内を押し出されることにより、所定形状に形成され、廃プラスチック成形物Pとなる。
【0038】
図1に示すように、連通部130は、容器110の面板117に複数設けられる。特に、連通部130は、面板117におけるスクリュー部127の外周側に対応する位置に周状に設けられる。また、連通部130は、面板117の外方側の端面117Aから突出したノズル131を有している。
【0039】
ノズル131を有することにより、廃プラスチック原料Mが、連通部130の内周面131Bと接触する距離が長くなる。これにより、連通部130を介した冷却によって、廃プラスチック原料Mの溶融表面が固化される。
【0040】
また、廃プラスチック原料Mが、連通部130の内周面131Bと接触する距離が長くなることで、廃プラスチック成形物Pの成形性が向上する。すなわち、押し出し成形後、廃プラスチック成形物Pが所定の径を有する。
【0041】
また、図2に示すように、連通部130は、8の字状に複数設けられてもよい。さらに、連通部130は、径方向に複数列設けられてもよい。例えば、連通部130は、3重の円環状に配置され、当該円環が2つ隣接するように配置される。連通部130が、径方向に複数列設けられていることにより、廃プラスチック成形物Pの生産性が向上する。さらに、連通部130の数が増えることにより、廃プラスチック成形物Pの密度を、より広い範囲で調整することが可能となる。なお、全ての連通部130が使用されなくてもよく、必要に応じて閉塞されてもよい。
【0042】
(冷却部)
冷却部140は、図1及び図2に示すように、容器110に設けられた流路141内に冷媒Cを流通することにより、容器110内の廃プラスチック原料Mを抜熱する。この結果、容器110内の廃プラスチック原料Mが冷却される。
【0043】
具体的には、図1に示すように、容器110の外周壁119内に流路141が形成されている。かかる流路141は、一例として、断面円形状の管状とされている。また、流路141は、容器110において、らせん状に形成されている。すなわち、図2に示すように、廃プラスチック原料Mが移送される方向に沿って所定の間隔のピッチを有しながら、容器110の外周壁119の面内方向に沿って周回状に形成されている。
【0044】
流路141において、容器110の面板117側には、一端部141Aが形成されている。また、流路141において、容器110の面板117と反対側には、他端部141Bが形成されている。流路141の一端部141A及び他端部141Bは、外周壁119から外方へ突出している。また、一端部141A及び他端部141Bは、開口されている。かかる開口を介して、冷媒Cが流路141内に導入され、又は排出される。
【0045】
図2に示すように、流路141には、一端部141Aの開口から冷媒Cが導入される(図2中の矢印参照)。換言すれば、冷媒Cは、流路141の容器110における他端部115側から導入される。流路141に導入された冷媒Cは、流路141内を流通する。図2に示すように、流路141が上記したような、らせん状に形成されている場合、冷媒Cは、外周壁119内において、廃プラスチック原料Mに対して外方から周回しながら、容器110の他端部115側から一端部111側へ流通する(図2中の矢印参照)。
【0046】
流路141内を冷媒Cが流通する際、容器110内の廃プラスチック原料Mの有する熱量が、外周壁119を介した伝熱によって廃プラスチック原料Mから冷媒Cへ移動する。すなわち、冷媒Cを介して廃プラスチック原料Mが抜熱される。この結果、廃プラスチック原料Mが冷却される。
【0047】
冷媒Cは、流路141内へ導入される際、容器110内で混練され、加熱された状態の廃プラスチック原料Mの温度よりも低い温度を有する。具体的には、冷媒Cは、流路141内へ導入される際、5℃以上80℃以下となるように設定されている。なお、上記温度範囲には、測定装置、測定条件の変動等の要因に伴う測定誤差が含まれ得る。例えば、上記温度範囲には、±5℃程度の測定誤差が含まれる。冷媒Cが所定の温度とされた状態で流路141に導入される結果、容器110内の廃プラスチック原料Mの熱量が、冷媒Cへ移動する。
【0048】
冷媒Cは、容器110内の廃プラスチック原料Mを冷却するために必要な冷却能力に応じた流量、又は流速に設定される。具体的には、後述する制御部190によってポンプ143Bが制御されることで、冷媒Cの流量、又は流速が設定される。また、冷媒Cの種類も特に限定されず、冷却能力に応じた物質が適宜選択される。冷媒Cは、一例として冷却水である。
【0049】
流路141の距離、断面形状、及び開口断面積は、容器110内の廃プラスチック原料Mを冷却するために必要な冷却能力に応じて適宜設定される。特に、流路141が容器110内の外周壁119において、らせん状に形成されている場合、らせん形状の巻き数、ピッチ等も適宜設定される。
【0050】
また、流路141は、面板117から離れて配置されている。すなわち、図1に示すように、流路141は、容器110の他端部115側に設けられた面板117との間に距離Lだけ間隙を有している。距離Lは、流路141と面板117とが最も近接した位置における距離である。かかる間隙によって、面板117近傍での冷却が抑制され、押し出し成形に必要な加熱温度が不十分となることが抑制される。具体的には、後述するように面板117は、加熱部150によって加熱されており、かかる加熱によって押し出し成形時に必要な温度制御を行っている。冷媒Cが流通する流路141は、面板117との間に間隙を有して、配置されていることで、かかる面板117における加熱を阻害することが抑制される。
【0051】
図1に示すように、冷却部140は、循環機構143を有してもよい。循環機構143は、冷媒Cを循環させて、容器110内の流路141に冷媒Cを繰り返し導入、排出させる。具体的には、循環機構143は、図1に示すように、チラー143Aと、ポンプ143Bとを有している。チラー143Aは、流路141から排出された冷媒Cが所定の温度となるように冷却する。具体的には、チラー143Aは、冷媒Cが5℃以上80℃程度以下となるように冷却する。チラー143Aにおける冷却技術には、公知の循環用冷媒に対する冷却手法が適宜採用され得る。ポンプ143Bは、冷媒Cを所定の圧力で循環させる。ポンプ143Bには、冷媒Cの種類、求められる圧力に応じて、公知の圧送手法が適宜採用され得る。
【0052】
(加熱部)
廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、面板117周辺の温度を調節可能な加熱部150を有している。図1に示すように、加熱部150は、一例として、面板117内に設けられた抵抗加熱式のヒータ151である。ヒータ151は、加熱用電源153と接続され、面板117内部での発熱によって、面板117及び、その近傍を加熱する。容器110の他端部115の面板117に設けられた加熱部150による加熱によって、廃プラスチック原料Mの温度低下が抑制される。つまり、連通部130内における廃プラスチック原料Mの溶融状態が維持される。
【0053】
(ノズル冷却部)
廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、図1に示すように、ノズル冷却部160を有する。ノズル冷却部160は、ノズル131を含む連通部130を冷却する。図1に示すように、ノズル冷却部160は、噴射ノズル161と、噴射ノズル161へ冷却水Wを供給するポンプ163を有する。
【0054】
噴射ノズル161の先端部は、連通部130に対向する位置に設けられ、噴射ノズル161の先端部から、連通部130のノズル131の外周面へ冷却水Wが散布される。ノズル冷却部160は、複数の噴射ノズル161を有し、各噴射ノズル161は、連通部130の各ノズル131に対して、1つ設けられる。連通部130のノズル131の外周面131Aへ冷却水Wが散布されることにより、冷却水Wと連通部130との接触面積が、ノズル131を有さない場合と比較して大きくなる。この結果、ノズル冷却部160による冷却の効率がより高くなる。なお、冷却水Wの散布には、冷却水Wの水流を連通部130へ向けて流出させる形態、又はミスト状の冷却水Wを連通部130へ噴射する形態が含まれる。
【0055】
ノズル冷却部160による冷却は、一例として連通部130を約100℃以下に冷却する。ノズル冷却部160による冷却によっても連通部130の温度が約100℃より高い温度であると、溶融した廃プラスチック原料Mの表面が、十分に固化されない。この結果、廃プラスチック成形物Pの高密度化が実現されない。また、連通部130が約100℃以上に冷却されるとは、連通部130の全ての領域において、100℃以下に冷却されていることを意味するものではなく、廃プラスチック原料Mを固化するために必要な範囲の連通部130が、約100℃以下に冷却されていれば足りる。
【0056】
具体的には、図1に示すように、連通部130に設けられた温度センサ131Cによって、連通部130の温度が測定される。さらに、温度センサ131Cは、噴射ノズル161の直下であって、連通部130の肉厚の径方向の中間部分の温度を測定可能な位置に設けられる。温度センサ131Cの一例としては熱電対が挙げられる。
【0057】
また、連通部130の冷却される範囲として、例えば、連通部130の全体の長さの内、連通部130の先端側(容器110の外方側)の少なくとも半分が100℃以下に冷却されていれば足りる。この場合、温度センサ131Cは、連通部130の長手方向において連通部130の先端側に設けられる。
【0058】
また、好ましくは、ノズル冷却部160は、連通部130を70℃以下に冷却する。連通部130が70℃以下とされることにより、溶融した廃プラスチック原料Mの表面が、より十分に固化される。この結果、押し出し成形後の廃プラスチック原料Mの膨張がより抑制され、廃プラスチック成形物Pの高密度化が実現される。
【0059】
例えば、連通部130の全体の長さの内、容器110側の少なくとも半分が約100℃以下に冷却されていれば足りる。また、上記温度範囲には、測定装置、測定条件の変動等の要因に伴う測定誤差が含まれ得る。例えば、上記温度範囲には、±5℃程度の測定誤差が含まれる。
【0060】
連通部130を冷却することにより、廃プラスチック原料Mの溶融表面を固化することができる。これにより、成形後の廃プラスチック成形物Pの膨張が抑制され、廃プラスチック成形物Pの高密度化が実現される。また、廃プラスチック成形物Pが所定の剛性を有することにより、後述する切断部170による切断が容易になる。
【0061】
(切断部)
廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、切断部170を有している。図1に示すように、切断部170は、一例として、回転刃171と、駆動源173と、切断部シャフト175と有する。回転刃171は、放射状に延びたアームの先端に刃がついた部位である。回転刃171のアームの放射方向の中心には、切断部シャフト175の一端が設けられる。切断部シャフト175の他端には、駆動源173が取り付けられる。駆動源173は、切断部シャフト175を介して、回転刃171に対して回転力を付与する。回転刃171の当接によって、連通部130から押し出された廃プラスチック原料Mが切断され、廃プラスチック成形物Pとされる。
【0062】
また、切断部170は、所定の温度以下とされた連通部130において押し出し成形された廃プラスチック原料Mを切断する。このため、廃プラスチック原料Mの外周面が固化し、廃プラスチック原料Mの外形が維持された状態となるので、切断が容易となる。さらに、廃プラスチック原料Mが自重で適当な長さで折れる場合、又は外周面が固化されず押出し成形後に膨張した廃プラスチック原料Mを切断する場合と比較して、切断箇所がよく制御される。この結果、廃プラスチック成形物Pの形状、寸法が均一化し、廃プラスチック成形物Pの高密度化に加えて、かさ密度の向上が実現される。
【0063】
廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、図1に示すように、面板117周辺の温度を検出可能な温度センサ180を有している。温度センサ180は、一例として、面板117内に挿入された状態で使用される熱電対である。温度センサ180は、面板117内に設けられたヒータ151の加熱温度を検出可能な範囲内に設けられる。面板117内に設けられた温度センサ180によって、容器110内の温度が測定される。
【0064】
また、廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、図1に示すように、制御部190を有している。制御部190は、廃プラスチック成形物Pの製造装置100における廃プラスチック成形物Pの成形工程を制御する。
【0065】
具体的には、制御部190は、温度センサ180からの出力に基づいて、加熱部150による面板117周辺の加熱を制御する。制御部190は、温度センサ131Cからの出力に基づいて、ノズル冷却部160による連通部130の冷却を制御する。すなわち、本実施形態では、加熱制御用の温度センサが、温度センサ180であると共に、冷却制御用の温度センサが、温度センサ131Cである。さらに、制御部190は、切断部170の駆動源173、移送部120の駆動源125の回転数等を制御する。
【0066】
また、制御部190は、冷却部140による冷却において、温度センサ180及び/又は温度センサ131Cからの出力に基づいて、流路141に導入される冷媒Cの流量及び温度の少なくとも一方を制御する。具体的には、制御部190は、温度センサ131Cが検出する温度が所定の温度以下(例えば、100℃以下)になるように、チラー143A及び/又はポンプ143Bの動作を制御する。
【0067】
制御部190としての機能は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、及びストレージ等の協働によって実現される。すなわち、CPUは、ストレージに記憶された廃プラスチック成形物Pの製造装置100の制御プログラムをメモリ上で実行することで、制御部190として機能する。以上、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の概略構成について説明した。
【0068】
次に、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の機能、又は作用について説明する。まず、ホッパ113を介して容器110内に廃プラスチック原料Mが投入される。投入された廃プラスチック原料Mは、混練、加熱されながら移送部120によって一端部111から他端部115へ移送される。
【0069】
このとき、容器110に設けられた流路141内を冷媒Cが流通しており、容器110内の廃プラスチック原料Mの有する熱量から冷媒Cへ抜熱される。冷媒Cによる冷却によって、容器110内の廃プラスチック原料Mの温度が押出し成形に求められる温度を確保しながら、その後の連通部130で冷却可能な温度範囲内に維持される。すなわち、容器110内での冷媒Cを介した冷却によって、廃プラスチック原料Mは、面板117付近で140℃以上、かつ、後のノズル冷却部160での冷却によって100℃以下まで冷却可能な程度の温度以下とされる。
【0070】
このように、容器110内の廃プラスチック原料Mの温度が過度に上昇することが抑制されるので、連通部130を介して廃プラスチック原料Mが所定の形状に押出し成形されるとともに、連通部130での冷却によって廃プラスチック原料Mの表面が十分に固化される。その後、切断部170によって廃プラスチック原料Mが切断される結果、最終的に廃プラスチック成形物Pが形成される。
【0071】
<2.廃プラスチック成形物の製造方法>
次に、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造方法の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、廃プラスチック原料Mが容器110へ投入される(S101)。続いて、容器110内で廃プラスチック原料Mが混練され、加熱される(S103)。
【0072】
さらに、容器110の端部に設けられて容器110内と外部とを連通する連通部130へ向かって、加熱された廃プラスチック原料Mが移送される(S105)。廃プラスチック原料Mが容器110内において、流路141内を流通する冷媒Cによって抜熱されることにより、冷却される(S107)。ステップS105において、廃プラスチック原料Mが容器110の端部へ移送された廃プラスチック原料Mは、連通部130内を押し出される(S109)。最終的に、廃プラスチック原料Mは連通部130から押出され、切断部170により切断されて、廃プラスチック成形物Pが成形される(S111)。
【0073】
さらに、ステップS113において、廃プラスチック成形物Pの製造方法の終了条件が満たされたか否かが判定される。終了条件の一例としては、所定量の廃プラスチック成形物Pが製造された場合が挙げられる。ステップS113において、終了条件を満たすと判定された場合、廃プラスチック成形物Pの製造方法は終了する。一方、終了条件を満たすと判定されない場合、廃プラスチック成形物Pの製造方法は、ステップS101に戻る。
【0074】
なお、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造方法において、ステップS103とステップS105とは、別の工程として説明したが、これらの工程は同時に行われてもよい。つまり、容器110内で廃プラスチック原料Mが混練、加熱されながら、容器110の他端部115へ移送されてもよい。以上、本発明の第1の実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造方法について説明した。
【0075】
(作用効果)
本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100によれば、廃プラスチック原料Mが収容され、さらに内部において混練され、加熱される容器110に流路141が形成されている。かかる流路141内を流通する冷媒Cを介して容器110内の廃プラスチック原料Mが抜熱されることにより、廃プラスチック原料Mが冷却される。この結果、容器110内において廃プラスチック原料Mが過度に高温になることが抑制され、廃プラスチック成形物Pの品質又は成形性への影響が抑制される。
【0076】
換言すれば、流路141による冷却によって、その後の連通部130での冷却によって廃プラスチック原料Mの表面が十分固化される温度(例えば、100℃以下)まで冷却可能な温度以下に、容器110内の廃プラスチック原料Mが冷却される。一方、流路141による冷却によっても容器110内の廃プラスチック原料Mにおいて押出し成形に求められる温度が確保される。この結果、廃プラスチック成形物Pの高密度化が実現されるとともに、成形性が向上する。
【0077】
特に、本実施形態によれば、流路141内の冷媒Cに流通によって冷却を実現するので、容器110内の廃プラスチック原料M、又は成形後の廃プラスチック成形物Pの性状への影響が抑制される。すなわち、例えば、冷却に際して、冷却水を容器110内に直接散布する場合と比較して、加熱による水分の膨張によって、廃プラスチック成形物Pの密度が低下したり、廃プラスチック原料Mに含有された水分に起因する成形時の温度低下によって、表面形状が悪化(例えば、ひげの発生等)したりすることが抑制される。
【0078】
また、冷却水を容器110に対して外方から直接散布する場合と比較して、廃プラスチック成形物Pの製造装置100に対する影響が抑制される。すなわち、容器110に対して冷却水を直接散布して冷却する場合、廃プラスチック成形物Pの製造装置100の備える電気系又は駆動系に冷却水が侵入し、耐久性が著しく低下するおそれがある。一方で、廃プラスチック成形物Pの製造装置100に耐水機能を持たせる場合には、製造コストの上昇を招来する。さらに、散布された冷却水が容器110周辺で水蒸気となり、廃プラスチック成形物Pの製造装置100の周辺の作業環境が悪化することが考えられる。本実施形態によれば、流路141内の冷媒Cの流通によって冷却を実現するので、上記のような問題の発生を回避しながら、容器110内の廃プラスチック原料Mの冷却が実現される。
【0079】
また、本実施形態によれば、冷媒Cは、流路141の容器110の他端部115側から導入される。これにより、容器110内において廃プラスチック原料Mが比較的高温になる他端部115側から冷媒Cが導入されるので、容器110内における冷却の効率が向上される。具体的には、冷媒Cは、導入手段としてのポンプ等の圧送装置によって、流路141の他端部115側から導入される。
【0080】
また、本実施形態によれば、流路141は、容器110の他端部115側に設けられた面板117との間に間隙を有している。これにより、面板117の近傍では、流路141内を流通する冷媒Cによる冷却が抑制される。この結果、廃プラスチック原料Mが面板117に設けられる連通部130に対して挿入される際に必要な加熱状態が維持されやすくなるので、廃プラスチック成形物Pの成形性が向上する。
【0081】
また、本実施形態によれば、流路141は、容器110の外周壁119の内部に形成される。これにより、容器110内の廃プラスチック原料Mに対する冷却効率が向上する。また、本実施形態によれば、廃プラスチック成形物Pの製造装置100の小型化が実現される。
【0082】
また、本実施形態によれば、循環機構143によって、冷媒Cが循環されるので、冷媒Cを繰り返して使用することが実現される。これにより、冷却に掛かるコストが低減される。
【0083】
(変形例)
続いて、図4を参照しながら、本実施形態の一の変形例に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100について説明する。図4は、本実施形態の一の変形例に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の構成例を示す外観斜視図である。本変形例は、上記実施形態と比較して、流路141が、容器110の外周壁119の外方から取り付けられた管状部材145により形成される点で相違する。なお、本変形例の説明において、上記第1の実施形態と共通する構成についての説明は省略する場合がある。
【0084】
図4に示すように、本変形例に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、管状部材145を備えている。管状部材145は、容器110の外周壁119に外方から取り付けられる。具体的には、管状部材145は、容器110の外周壁119に接触した状態で取り付けられる。管状部材145の内部には、流路141が形成されている。すなわち、管状部材145の内部の中空部分が流路141となっている。
【0085】
管状部材145の一端部145Aには、開口が設けられており、かかる開口を介して流路141へ冷媒Cが導入される。一端部145Aは、容器110の他端部115側に設けられている。流路141内を流通する冷媒Cは、外周壁119及び管状部材145を介して、容器110内の廃プラスチック原料Mを抜熱することにより、廃プラスチック原料Mを冷却する。流路141内を流通した冷媒Cは、管状部材145の他端部145Bに設けられた開口から排出される。
【0086】
管状部材145の寸法(長さ、断面積(開口面積)、又は断面形状)は、廃プラスチック原料Mの冷却に必要な冷却能力に応じて適宜設定される。また、管状部材145を構成する材質も、熱伝導率、強度、又は加工性に応じて適宜設定される。
【0087】
本変形例によれば、流路141が、容器110に対して外方から取り付けられた管状部材145によって形成されるので、比較的簡便な構成で流路141を容器110に設けられることができる。
【0088】
また、既存の廃プラスチック成形物Pの製造装置100に対して管状部材145を取り付けることで流路141を成形できるので、後付けで容器110に廃プラスチック原料Mの冷却機能を持たせることができる。
【0089】
なお、上記実施形態において、流路141が、容器110を周回するらせん形状の経路を有するように形成される例を挙げて説明したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、複数の直線状の流路141が、容器110の外周壁119の面内方向に沿って並んで配置されてもよい。さらに、流路141は、既定の経路を有するものではなく、所定量の冷媒Cが貯留された空間であり、かかる空間内に冷媒Cが供給、排出されることで、冷媒Cが流路141内を流通する構造であってもよい。
【0090】
<<第2の実施形態>>
次に、本発明の第2の実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の構成例を示す模式図である。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、流路147が移送部120としてのシャフト121の内部に設けられている点で相違する。なお、本実施形態の説明において、上記第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する場合がある。
【0091】
図5に示すように、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、移送部120としてのシャフト121を有している。シャフト121の外周面には、スクリュー部127が設けられている。シャフト121が回転することで、スクリュー部127によって廃プラスチック原料Mが容器110内を一端部111から他端部115へと移送される。
【0092】
シャフト121の内部に流路147が形成されている。具体的には、流路147は、シャフト121の内部に設けられた中空部分である。すなわち、シャフト121は、図5に示すように、シャフト121の軸方向に沿って延在された空洞部分を備えた中空管形状を有している。かかる流路147としての中空部分には冷媒Cが流通している。かかる冷媒Cを介して容器110内の廃プラスチック原料Mが抜熱されることにより、廃プラスチック原料Mが冷却される。すなわち、シャフト121と廃プラスチック原料Mとの接触に伴う伝熱によって、容器110内の廃プラスチック原料Mの有する熱量が、廃プラスチック原料Mから冷媒Cへ移動する。この結果、冷媒Cを介して廃プラスチック原料Mが抜熱されることで、廃プラスチック原料Mが冷却される。
【0093】
冷媒Cのシャフト121の内部への供給及び排出に際しては、スイベルジョイント、ロータリージョイント等の公知の回転体への流体供給技術が採用され得る。例えば、シャフト121の端部が固定された減速機構123の内部にロータリージョイントを設けることにより、シャフト121を回転可能とした状態で、シャフト121内部の流路147内へ冷媒Cを供給するとともに、排出する。流路147に対しては、図5に示すようにチラー243A及びポンプ243Bから成る循環機構243によって、冷媒Cが供給及び排出される。
【0094】
本実施形態によれば、流路147がシャフト121に形成され、かかる流路147内を冷媒Cが流通する。これにより、容器110内の廃プラスチック原料Mを、流路147内を流通する冷媒Cを介して冷却することが実現される。さらに、シャフト121は、移送部120の一部を形成しているので、廃プラスチック原料Mの容器110内での加熱に伴う過度な温度上昇をより効果的に抑制できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、流路147は、シャフト121の内部に設けられた中空部分であるので、流路147をシャフト121に簡便に形成できる。
【0096】
なお、本実施形態において、流路147は、シャフト121だけではなく、スクリュー部127にも形成されてよい。また、図5に示すように、本実施形態において、流路147は、上記第1の実施形態と同様に外周壁119にも形成されてよい。
【0097】
また、本実施形態において、流路147は、シャフト121の軸方向に沿って設けられる中空部分である例を示したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、シャフト121の内部にらせん状に設けられた流路であってもよい。また、その他の例として、シャフト121の軸方向に沿った複数の直線状の流路が、シャフト121の周方向に沿って並んで配置されてもよい。
【0098】
<<第3の実施形態>>
次に、本発明の第3の実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6及び図7は、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100の構成例を示す模式図である。本実施形態は、上記第1の実施形態と比較して、流路149が、容器110の外周壁119とシャフト121との間の隙間に設けられた冷却管148の内部に設けられている点で相違する。なお、本実施形態の説明において、上記第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する場合がある。
【0099】
図6に示すように、本実施形態に係る廃プラスチック成形物Pの製造装置100は、移送部120としてのシャフト121を有している。シャフト121の外周面には、スクリュー部127,127Aが設けられている。シャフト121が回転することで、スクリュー部127,127Aによって廃プラスチック原料Mが、容器110内を一端部111から他端部115へと移送される。
【0100】
(冷却管)
図7に示すように、冷却管148は、容器110の外側から容器110の内部に差し込まれる。冷却管148の一部は、容器110の内部で、外周壁119の内面からシャフト121側に突出する。突出した冷却管148の先端は、シャフト121に近接する。なお、図7中では見易さのため、スクリュー部127,127Aの図示は省略する。図7に示すように、本実施形態では、10本の冷却管148が、互いに隙間を空けた状態で、2本のシャフト121を囲むように放射状に配置される。なお、本発明では容器の内部における廃プラスチック原料の移送が阻害されない範囲内で、冷却管の本数及び間隔を適宜変更できる。
【0101】
本実施形態では、図6に示したように、差し込まれた冷却管148に対向する位置のスクリュー部127Aの羽根の径は、冷却管148に対向しない、他の位置のスクリュー部127の羽根の径より小さい。また、冷却管148に対向しない上記スクリュー部127の羽根の径は、冷却管148に対向する位置のスクリュー部127Aの羽根の径より大きい。すなわち、本実施形態では、シャフト121には、互いに異なる2種類の羽根の径を有するスクリュー部127,127Aが設けられる。なお、本発明では、冷却管に対向するシャフトの位置のスクリュー部の羽根の径を小さくすることは、必須ではない。例えば、差し込まれた冷却管148に対向するシャフト121の位置に、スクリュー部そのものが存在することなく、シャフト121の外周面が、そのまま対向してもよい。
【0102】
また、例えば、本発明では、冷却管に対向するシャフトの位置のスクリュー部の羽根の径を小さくすることなく、冷却管が差し込まれる位置の外周壁119の領域を部分的に拡張することによって、冷却管が差し込まれる隙間を容器110の内部に形成することも排除されない。
【0103】
冷却管148の内部には、流路149が形成されている。具体的には、流路149は、内部でU字状に形成された中空部分である。かかる流路149としての中空部分には冷媒Cが流通している。冷媒Cは、チラー143Aとポンプ143Bとを有する循環機構143によって、流路149に繰り返し導入されると共に、流路149から排出される。
【0104】
なお、本発明では、流路をなす冷却管148の内部の中空部分の形状は、U字状に限定されない。冷媒Cが内部を流通できる限り、冷却管の内部の中空部分の形状は、例えばV字状、S字状、螺旋状等、他の形状に適宜変更できる。また、本実施形態では、冷却管148におけるシャフト121の径方向外側の端面に、冷媒Cの導入部分及び排出部分が形成されているが、本発明では、これに限定されない。冷媒Cの導入部分及び排出部分のうち少なくとも一方が、冷却管148の側面に形成されてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、冷却管148の内部の中空部分を冷媒Cが流通するが、本発明では、これに限定されない。本発明では、例えば、流路149をなす配管そのものを外周壁119に直接差し込むことによって、配管の一部を容器110の内部に露出させることも排除されない。具体的には、例えば、外周壁119に2箇所の貫通孔を近接して設け、設けられた貫通孔に、配管をU字状に屈曲させて差し込んでもよいし、或いは、弧状に撓ませて差し込んでもよい。
【0106】
かかる冷媒Cを介して容器110内の廃プラスチック原料Mが抜熱されることにより、廃プラスチック原料Mが冷却される。すなわち、冷却管148と廃プラスチック原料Mとの接触に伴う伝熱によって、容器110内の廃プラスチック原料Mの有する熱量が、廃プラスチック原料Mから冷媒Cへ移動する。この結果、冷媒Cを介して廃プラスチック原料Mが抜熱されることで、廃プラスチック原料Mが冷却される。
【0107】
本実施形態によれば、流路149が容器110の外周壁119とシャフト121との間の隙間に設けられた冷却管148の内部に形成され、かかる流路149内を冷媒Cが流通する。冷却管148の内部の流路149のうち、容器110の外周壁119とシャフト121との間の隙間に配置された部分が、本発明における「流路」に相当する。これにより、容器110の外周壁119とシャフト121との間の隙間を有効に利用しつつ、容器110内の廃プラスチック原料Mを、流路149内を流通する冷媒Cを介して冷却することが実現される。なお、本発明では、冷却管148の内部の流路149の全体が、容器110の外周壁119とシャフト121との間の隙間に、「流路」として設けられてもよい。
【0108】
また、本実施形態によれば、差し込まれた冷却管148に対向する位置のスクリュー部127Aの羽根の径は、冷却管148に対向しない位置のスクリュー部127の羽根の径より小さい。このため、冷却管148とスクリュー部127Aの羽根とが干渉しない。また、容器110の外周壁119の径を部分的に拡張する必要がないため、外周壁119とシャフト121との間に、冷却管148を配置する空間を簡易に確保できる。
【0109】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0110】
例えば、上記実施形態において、冷媒Cとして冷却水が利用される例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、冷媒Cとして、重油、ポリマー水溶液等が利用されてもよい。また、冷媒Cとして、液体だけではなく、気体が使用されてもよい。
【0111】
また、上記実施形態において、連通部130がノズル冷却部160によって冷却される例を示したが、本発明は、かかる例に限定されず、連通部130は、冷却されなくてもよい。さらに、上記実施形態において、連通部130がノズル131を有する形態例を示したが、本発明は、かかる例に限定されず、連通部130は、ノズル131を有さなくてもよい。
【0112】
また、上記実施形態において、一対のシャフトを有する2軸押出し成形の例を示したが、本発明は、かかる例に限定されない。例えば、1本のシャフトによる1軸押出し成形でもよい。また、本発明は、図1図7中に示した廃プラスチック成形物の製造装置の一部を組み合わせて構成することもできる。
【符号の説明】
【0113】
100 廃プラスチック成形物の製造装置
110 容器
111 一端部
113 ホッパ
115 他端部(端部)
117 面板
117A 端面
119 外周壁
120 移送部
121 シャフト
123 減速機構
125 駆動源
127,127A スクリュー部
130 連通部
131 ノズル
131A 外周面
131B 内周面
131C 温度センサ
140 冷却部
141、147,149 流路
141A 一端部
141B 他端部
143、243 循環機構
143A、243A チラー
143B、243B ポンプ
145 管状部材
145A 一端部
145B 他端部
148 冷却管
150 加熱部
151 ヒータ
153 加熱用電源
160 ノズル冷却部(連通部冷却部)
161 噴射ノズル
163 ポンプ
170 切断部
171 回転刃
173 駆動源
175 切断部シャフト
180 温度センサ
190 制御部
C 冷媒
M 廃プラスチック原料
P 廃プラスチック成形物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7