(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010272
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】巻き取り駆動装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/72 20060101AFI20230113BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
E06B9/72
E06B9/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114288
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】飯盛 光洋
(72)【発明者】
【氏名】山川 稔
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042AA06
2E042BA01
2E042CA01
(57)【要約】
【課題】アース線の設置の必要がない巻き取り駆動装置を提供すること。
【解決手段】電動開閉体装置100の巻き取り駆動装置1は、モータ3を収納する金属製のケース2と、ケース2内に配置される基板4と、を備え、基板4における充電部42は、ケース2から離れて配置され、基板4は、絶縁性のシート5で覆われている。ケース2と、基板4とは、シート5を介して絶縁性の固定手段6で接続されていることが好ましい。固定手段6は、基板4の下側を支持する樹脂製の支持部材61を有し、支持部材61が、ケース2と接続されることが好ましい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動開閉体装置の巻き取り駆動装置であって、
モータを収納する金属製のケースと、
前記ケース内に配置される基板と、を備え、
前記基板における充電部は、前記ケースから離れて配置され、
前記基板は、絶縁性のシートで覆われている、巻き取り駆動装置。
【請求項2】
前記ケースと、前記基板とは、前記シートを介して絶縁性の固定手段で接続されている、請求項1に記載の巻き取り駆動装置。
【請求項3】
前記固定手段は、前記基板の下側を支持する樹脂製の支持部材を有し、
前記支持部材が、前記ケースと接続される、請求項2に記載の巻き取り駆動装置。
【請求項4】
前記支持部材と、前記基板との間に隙間が形成され、
前記基板から前記充電部の一部が突出して前記隙間に配置される、請求項3に記載の巻き取り駆動装置。
【請求項5】
前記固定手段は、固定具を有し、
前記固定具により、前記基板と前記シートとは固定されている、請求項2~4のいずれか1項に記載の巻き取り駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻き取り駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部を覆うシャッターやスクリーン等のカーテン素材を巻き取ることで、開口部を開閉する電動開閉体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。電動開閉体装置は、商用電源に接続し、接地される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフォームで電動開閉体装置を後付けする場合や、手動から電動に変更する場合、また古い電動開閉体装置を新たな電動開閉体装置に変更する場合には、電源線を接続するとともに、アース線を設置しなければならない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、電動開閉体装置の巻き取り駆動装置であって、モータを収納する金属製のケースと、前記ケース内に配置される基板と、を備え、前記基板における充電部は、前記ケースから離れて配置され、前記基板は、絶縁性のシートで覆われている、巻き取り駆動装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の電動開閉体装置を示す図である。
【
図2】第1実施形態の巻き取り駆動装置の展開図である。
【
図3】第1実施形態の巻き取り駆動装置の側面模式図である。
【
図4】第1実施形態の巻き取り駆動装置を下側から見た模式図である。
【
図5】第2実施形態の巻き取り駆動装置の展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。電動開閉体装置100は、例えば電動シャッターである。電動開閉体装置100は、窓等が設けられる建物の開口部200に配置される。電動開閉体装置100は、枠部110と、シャッターボックス120と、スラットカーテン130と、巻き取り軸部140と、巻き取り駆動装置1と、を有する。
【0008】
枠部110は、開口部200の周縁に沿って配置され、建物の外壁面に固定される。シャッターボックス120は、枠部110の上方で幅方向に沿って配置される。シャッターボックス120は、内部が中空に形成される。スラットカーテン130は、開口部200の外側で開閉可能な面状の素材である。スラットカーテン130は、ロール状に巻き取られ、下垂することで開口部200を閉じるように構成されている。スラットカーテン130は、巻き取られた状態で、シャッターボックス120の内部に収納される。
【0009】
巻き取り軸部140は、内部が中空に形成され、シャッターボックス120の一端から他端まで延びる細長い円筒である。巻き取り軸部140の外側には、スラットカーテン130の端部が固定される。巻き取り軸部140が回転することにより、スラットカーテン130が巻き取られたり、巻き取り軸部140から垂らされたりする。巻き取り軸部140の内部の端部の一方側には、後述する巻き取り駆動装置1が配置される。巻き取り軸部140の内部の他方側には、スプリングセット141が配置されている。
【0010】
巻き取り駆動装置1は、巻き取り軸部140に固定され、巻き取り軸部140を回転させる装置である。巻き取り駆動装置1は、
図2及び
図3に示すように、ケース2と、モータ3と、基板4と、絶縁シート5と、固定手段6と、を有する。
【0011】
ケース2は、巻き取り駆動装置1の外形を形成する略円筒状の部材である。ケース2は、上ケース21と、下ケース22とを有する。上ケース21及び下ケース22は、それぞれが断面視略半円形で巻き取り軸部140の軸方向に沿って延びる横長の部材である。上ケース21及び下ケース22は、互いに連結されて円筒状に形成される。ケース2は、スラットカーテン130が連結された巻き取り軸部140を回転させるために十分な強度を有し、金属製で構成されている。
【0012】
モータ3は、電力により回転し、巻き取り駆動装置1を駆動する。モータ3は、下ケース22の内部に収納されている。モータ3は、ギヤ31に連結され、ケース2の一端側に配置される。
【0013】
基板4は、リモートコントローラー(不図示)から使用者の指示を受けてスラットカーテン130の開閉を行うように巻き取り駆動装置1を制御する制御基板である。基板4は、下ケース22内に配置される。基板4は、後述する固定手段6の支持部材61により支持されるとともに、絶縁シート5により覆われている。基板4には、各種の装置に接続されるハーネス43が接続されている。基板4は、基板本体部41と、充電部42と、を有する。
【0014】
基板本体部41は、絶縁性の薄い板であり、合成樹脂により構成される非充電部である。基板本体部41は、略長方形の形状を有し、長手方向がケース2の長手方向に沿って配置されている。基板本体部41は、基板4の外形を形成する。
【0015】
充電部42は、導電性で通常使用時に課電される部分であり、基板本体部41に配置された導体の配線や、電子部品が半田付けされた金属部分を含む。
図3に示すように、充電部42は、基板本体部41の下面から下方に突出する脚部421を有する。脚部421は、半田付けされた金属部分の一部である。
図3に示すように、充電部42は、ケース2から所定距離D離れて配置されている。より具体的には、充電部42における脚部421の下端は、下ケース22から少なくとも2.5mm離れて配置されている。充電部42が下ケース22から2.5mm以上離れることで、金属製のケース2と充電部42とが絶縁される。
【0016】
絶縁シート5は、非導電性の素材で構成され、可撓性の薄い板材である。絶縁シート5は、ケース2内に挿入可能な外径を有する円筒形に形成される。絶縁シート5は、その円筒形状の内側に基板4が配置されることで基板4を覆うとともに、基板4に配置されるハーネス43や変圧器7、基板4に隣接して配置されるモータ3等も共に覆う。絶縁シート5は、後述する固定手段6の支持部材61も基板4とともに覆う。言い換えれば、絶縁シート5で構成される円筒の中に、基板4、モータ3、支持部材61等が配置される。絶縁シート5が基板4を覆っているため、基板4とケース2とが付加的に絶縁される。
図2に示すように、絶縁シート5には、部分的に切り欠かれた開口部51が形成されている。絶縁シート5は、例えばポリプロピレンやポリカーボネート等で構成されてよい。
【0017】
固定手段6は、ケース2と基板4とを固定する部材である。固定手段6は、絶縁性の素材で構成されており、支持部材61と、ネジ62と、を有する。
【0018】
支持部材61は、
図2に示すように、基板4の長手方向に沿う縦長の薄い板により構成される。支持部材61は、支持部材本体部611と、ケース当接部612と、支持凸部613と、を有する。支持部材61は、樹脂製、具体的にはプラスチック製である。
【0019】
支持部材本体部611は、平面視で略長方形の形状を有し、基板本体部41の下方に配置される。支持部材本体部611の一部は、基板本体部41の下面から突出する充電部42の脚部421と干渉しないように切り欠かれている。
【0020】
ケース当接部612は、
図4に示すように、支持部材本体部611における基板4が配置される側と反対側の裏面において、支持部材本体部611の長手方向の両端及び長手方向の略中央部に配置される。ケース当接部612は、下ケース22の半円形状の湾曲部分に沿うように、湾曲した下面を有する弧状の部分である。ケース当接部612の幅は、支持部材本体部611の幅よりも広く、支持部材本体部611の幅方向の両端から突出している。
【0021】
支持凸部613は、ケース当接部612の端部から上方に突出する突起である。支持凸部613が基板本体部41の下側を支持する。支持凸部613は、基板本体部41と接続され、固定される。支持凸部613が基板本体部41を支持することで、基板本体部41と支持部材本体部611との間に隙間Gが形成されている。充電部42の脚部421は、基板本体部41から突出してこの隙間Gに配置される。これにより、充電部42の脚部421と支持部材本体部611とが直接接しないようになっている。充電部42から突出する脚部421の長さが所により異なっている場合に、基板本体部41が傾いたりせず、基板本体部41と支持部材61との距離が一定の状態が保たれる。
【0022】
ネジ62は、ケース2と支持部材61とを固定する樹脂製のねじである。ネジ62は、ケース2と、絶縁シート5と、支持部材61とを貫通して固定する。支持部材61は基板4と接続されて固定されているので、ネジ62でケース2と支持部材61とが接続され、固定されることにより、基板4とケース2とが絶縁シート5を介して接続され、固定される。
【0023】
第1実施形態によれば、以下の効果が奏される。電動開閉体装置100の巻き取り駆動装置1を、モータ3を収納する金属製のケース2と、ケース2内に配置される基板4と、を備え、基板4における充電部42を、ケース2から所定距離D離れて配置し、基板4を、絶縁シート5で覆うことにより構成した。充電部42がケース2から所定距離D離れて配置され、基板4が絶縁シート5で覆われることにより、基板4がケース2から二重に絶縁される。巻き取り駆動装置1が二重絶縁構造を有することとなる。これにより、巻き取り駆動装置1は電気用品安全法により規定されるアース線を設置する必要がなくなる。よって、巻き取り駆動装置1の施工が容易になる。特に、リフォーム等、後付けで電動開閉体装置を設置する場合の施工性が向上する。
【0024】
第1実施形態によれば、所定距離離れて配置されるケース2と基板4とを、絶縁シート5を介して絶縁性の固定手段6で接続した。これにより、金属製のケース2と基板4の充電部42とがより確実に絶縁される。
【0025】
第1実施形態によれば、固定手段6を、基板4の下側を支持する樹脂製の支持部材61を含んで構成し、支持部材61を、ケース2と接続させた。固定手段6が基板4の下側を支持する樹脂製の支持部材61を有することで、基板4が安定してケース2内に保持される。同時に、ケース2と基板4との間に支持部材61が位置することで、より確実で安全な絶縁構造が得られる。
【0026】
第1実施形態によれば、支持部材61と、基板4との間に隙間Gを形成し、基板4から充電部42の一部を突出させて隙間Gに配置させた。これにより、基板4の下方の支持部材61側へ充電部42の一部が延びても、ケース2と接続されることはない。よって、より確実で安全な絶縁構造が得られる。
【0027】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。第1実施形態では、ケース2と基板4とは、樹脂製の支持部材61を、樹脂製のネジ62で固定することで接続されている。ネジ62が樹脂製であることにより、確実な絶縁構造を得ることができる。しかし、支持部材61金属製のネジで固定してもよい。金属製のネジによれば、強固に締結できるとともに、耐久性が向上する。
【0028】
図5に示す第2実施形態では、巻き取り駆動装置1Aにおける絶縁性の固定手段は、絶縁性の固定具として、樹脂製のネジ62Aを有する。樹脂製のネジ62Aは、支持部材61を介さずに、ケース2と絶縁シート5で覆われた基板4とを直接的に固定する。
【0029】
基板4の基板本体部41は、ネジ62A固定用の貫通孔44を有する。貫通孔44は、基板本体部41の角の近傍で対角線上に配置されている。下ケース22は、ネジ62A固定用の貫通孔221aが形成された取付部221を有する。取付部221は、下ケース22における基板本体部41の貫通孔44と対応する位置に、下ケース22の下面から上方に向かって突出した突起により構成され、上面が平らに形成されている。取付部221の貫通孔221aは、取付部221の平らな上面に形成されている。
【0030】
ネジ62Aは、基板本体部41の貫通孔44と下ケース22の取付部221における貫通孔221aを挿通し、基板4と下ケース22とを固定する。基板4は、絶縁シート5で覆われており、ケース2と基板4とが所定距離D離れて配置されている。このため、支持部材61を介さずとも、基板4と下ケース22とをネジ62Aで固定するだけで基板4の充電部42と下ケース22とが絶縁される。
【0031】
固定具としては、樹脂製のネジ62Aを例示したが、ネジに限定されない。ケース2と基板4とを固定することができれば、ピン等であってもよい。固定具は、支持部材61を貫通して、ケース2と基板4とを固定してもよい。
【0032】
上記実施形態では、巻き取り駆動装置1が電動シャッターである電動開閉体装置100に設けられる例を説明した。巻き取り駆動装置1は、ロールスクリーンに設けられてもよく、電動開閉体装置やカーテン素材の種類は限定されない。
【符号の説明】
【0033】
1 巻き取り駆動装置、 2 ケース、 3 モータ、 4 基板、 5 絶縁シート(シート)、 6 固定手段、 42 充電部、 61 支持部材、 62 ネジ(固定具)、 100 電動開閉体装置