(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103179
(43)【公開日】2023-07-26
(54)【発明の名称】自動車用フードアセンブリ及びその取付け方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/12 20060101AFI20230719BHJP
【FI】
B62D25/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000525
(22)【出願日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】102022000000425
(32)【優先日】2022-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ プリージ
【テーマコード(参考)】
3D004
【Fターム(参考)】
3D004AA12
3D004CA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、自動車、特にスポーツカー用のフードアセンブリ、並びに自動車のシャーシにそのアセンブリを取り付ける方法に関する。
【解決手段】自動車フードアセンブリは、フード(8)と、第1のアーム(12)を有するヒンジ(11)と、取付け軸線(X)に沿って突出するように第1のアーム(12)に固定されたピンと、ヒンジ軸(H)を中心として第1のアーム(12)にヒンジ止めされたフード(8)の第2のアーム(13)と、ピンに固定され、取付け軸線(X)に沿ってピンを軸方向に受け入れる孔が設けられた構造部材(10)とを含み、ヒンジ軸(H)及び取付け軸線(X)は、互いに平行な第1の平面及び第2の平面にそれぞれ位置し、第2の平面へのヒンジ軸(H)の投影は、取付け軸線(X)に直交する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用フードアセンブリであって、
例えば、前記自動車(1)のトランク又はエンジンルームのいずれかによって画定される区画を、カバーするのに適したフード(8)と、
第1のアーム(12)、取付け軸線(X)に沿って前記第1のアーム(12)に対して突出するように、前記第1のアーム(12)に固定されたピン(15)、及び前記フード(8)に固定され、前記フード(8)がヒンジ軸線(H)を中心に回転できるように、前記ヒンジ軸線(H)を中心に前記第1のアーム(12)にヒンジ止めされた第2のアーム(13)を備えるヒンジ(11)と、
前記ピン(15)に固定され、孔(16)が設けられており、前記孔(16)が前記取付け軸線(X)に沿って前記ピン(15)を軸方向に受け入れる構造部材(10)と、を備え、
前記ヒンジ軸線(H)及び前記取付け軸線(X)が、互いに平行な第1の平面及び第2の平面にそれぞれ位置し、前記第2の平面上への前記ヒンジ軸線(H)の投影が、前記取付け軸線(X)に直交する、フードアセンブリ。
【請求項2】
前記孔(16)が、前記構造部材(10)を貫通する貫通孔である、請求項1に記載のフードアセンブリ。
【請求項3】
前記孔(16)の内側で、かつ前記取付け軸線(X)に沿って軸方向に調整された位置で、前記構造部材(10)に着脱可能に固定されたスリーブ(17)を更に備え、前記スリーブ(17)が、前記孔(16)を貫通し、前記ピン(15)を軸方向に受け入れ、前記第1のアーム(12)に当接するように配置された面(19)を画定する端部(17b)を有する、請求項2に記載のフードアセンブリ。
【請求項4】
前記スリーブ(17)が、外ねじを有する、請求項3に記載のフードアセンブリ。
【請求項5】
前記孔(16)の外側で前記構造部材(10)に締め付けられるまで前記外ねじにねじ込まれ、それによって前記スリーブ(17)の位置を着脱可能に係止する、第1のねじ付きロックナット(20)を更に備える、請求項4に記載のフードアセンブリ。
【請求項6】
前記孔(16)が、前記スリーブ(17)の前記外ねじがねじ込まれる内ねじを有する、請求項4に記載のフードアセンブリ。
【請求項7】
前記ピン(15)が、半径方向の隙間を有して前記スリーブ(17)を完全に貫通し、ねじ付き端部(15a)で終端し、かつ、前記アセンブリが、前記ねじ付き端部(15a)にねじ込まれて前記スリーブ(17)に締め付けられ、それによって前記ピン(15)を前記スリーブ(17)に固定する、第2のねじ付きロックナット(21)を更に備える、請求項3に記載のフードアセンブリ。
【請求項8】
前記構造部材(10)が、前記取付け軸線(X)に直交する第3の平面に従って延在し、前記構造部材(10)が、前記自動車(1)の前記トランクに対して車室を区切るように、前記トランクと前記車室との間に配置されるように構成される、請求項1に記載のフードアセンブリ。
【請求項9】
前記第2のアーム(13)及び前記ピン(15)が、前記第1のアーム(12)の各端部(12a,12b)を起点として前記取付け軸線(X)に従って延在し、前記各端部(12a,12b)が、前記取付け軸線(X)に照らして対向している、請求項1に記載のフードアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載のフードアセンブリを備える、自動車(1)。
【請求項11】
前記取付け軸線(X)が、前記自動車(1)の前進方向に従って延在する、又は前記取付け軸線(X)と平行である、請求項10に記載の自動車。
【請求項12】
前記第1の平面及び前記第2の平面が水平である、又は前記前進方向を含む、請求項10に記載の自動車。
【請求項13】
請求項1に記載のフードアセンブリの取付け方法であって、
前記ピン(15)を前記孔(16)に軸方向に挿入するステップと、
前記取付け軸線(X)に沿って、前記ピン(15)の位置を調整するステップと、
前記ピン(15)を、前記構造部材(10)に固定するステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記フードアセンブリが請求項3によるものである場合、前記ピン(15)を前記構造部材(10)に固定する前記ステップが、
前記ピン(15)が前記スリーブ(17)内に軸方向に挿入された状態で、前記孔(16)を介して取付け軸線(X)に従って前記スリーブ(17)の位置を軸方向に調整することによって、前記スリーブ(17)の前記端部(17b)の前記面(19)を、前記第1のアーム(12)に当接させるステップと、
前記スリーブ(17)を前記構造部材(10)に、前記軸方向に調整された位置で着脱可能に固定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ピン(15)を前記構造部材(10)に固定する前記ステップが、前記スリーブ(17)を前記構造部材(10)に固定する前記ステップの後に、前記ピン(15)を前記スリーブ(17)に固定するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年1月13日に出願されたイタリア特許出願第102022000000425号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動車、特にスポーツカー用のフードアセンブリ、並びに自動車のシャーシにそのアセンブリを取り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、車体構造には、自動車のより外側にあり、したがって、ユーザに見られる部品が備わっている。これらの部品には、典型的には、フード、すなわち自動車のエンジン及びトランクをカバーするようにそれぞれ配置された、テールゲートも含まれる。
【0004】
したがって、通常、自動車の前進方向に対して、一方のフードは自動車の前方領域に設置され、他方は自動車の後方領域に設置される。
【0005】
各フードは、それをシャーシ自体にヒンジ止めすることによって、自動車に取り付けられる。すなわち、1つ又はそれ以上のヒンジ、典型的には自動車の垂直中央平面の左右に対称的に配置された、2つのヒンジを介して取り付けられる。
【0006】
より具体的には、各ヒンジは、通常、シャーシに形成された、対応する孔の内側に固定されたピンを含む。このピンは、半径方向のクリアランスを有して孔に入っている。
【0007】
より正確には、自動車の横方向のほぼ全体にわたって、すなわち、例えば車体構造のフェンダ又はドアといった、より外側の側方部品が固定される領域まで、前進方向に対して水平かつ横方向に延びるシャーシの構造部分に、この孔は形成される。
【0008】
場合によっては、この孔の軸は垂直に向けられる。したがって、ピンをシャーシに締結する前に、ピンを孔の内側で水平に移動させることで、ピンの位置、したがって各ヒンジの水平面上の位置を調整することができる。
【0009】
一方、ピンとシャーシとの間に1つ又はそれ以上のスペーサを孔の外側付近に配置することによって、ヒンジの垂直位置、すなわちピンが孔に挿入される深さが調整される。
【0010】
上記事例での、このタイプのヒンジ位置調整は、それぞれの孔が自動車の中間領域、すなわち自動車の横方向の両端から十分に離れて配置されるため、簡単かつ効果的に行うことができる。
【0011】
実際には、このため、作業者が孔に比較的容易にアクセスすることができ、作業者はスペーサを無理なく配置することができる。
【0012】
ヒンジ位置、したがってフード位置の調整精度によって、車体構造外部から見える部品間の、不連続部のサイズ及び視認性が直接左右されるため、この調整精度は極めて重要なものである。
【0013】
ユーザは、車体構造の外部から見える部品間の連続性について最もよく気付くはずであり、優れた審美性を確保するためには、目に見える空隙を最小限に抑えることが不可欠である。このことは、ヒンジ位置を高精度で調整することでしか、得ることができない。
【0014】
例えば、上記のタイプの調整では、要求される精度が確実なものとなる。
【0015】
一般に、特に他の装置を収容するための中間ゾーンを確保する目的で、ヒンジを締結するための孔を、自動車の側方両端に移動させる必要があると考えられる。
【0016】
いずれにせよ、ヒンジを締結するための孔を保持すべき構造部分と、外側から見える側方部品との間の角度領域のアクセス性が低下するため、側方両端付近では、上記のタイプの調整を適用することが困難になる。
【0017】
結果として、特にヒンジを自動車の側方両端付近に取り付けねばならない場合に、いずれにせよ調整の単純さ及び精度を最大化する方向で、ヒンジ位置を調整するための、少なくとも1つの代替方法を見つけ出す必要があると考えられる。
【0018】
本発明の1つの目的は、後者の必要性を満たすことである。
【発明の概要】
【0019】
この目的は、独立請求項に定義されているフードアセンブリ及び取付け方法によって達成される。
【0020】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を定義するものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下、非限定的な実施例として、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態をよりよく理解するための説明を行う。
【
図1】本発明によるフードアセンブリを備える、自動車の平面図である。
【
図2】
図1の自動車の、フードアセンブリの一部の拡大斜視図である。
【
図3】
図2の部分の細部についての、更なる拡大斜視図である。
【
図4】
図1の自動車の前進方向に平行な垂直面による、
図2の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0023】
自動車1は、直線の長手方向軸線Aによって
図1に表されるその前進方向に従って、前部2及び後部3を有する。更に、自動車1は、軸線Aに従って、前部2と後部3との間に中間部4も備える。
【0024】
更に、自動車1は、
図2に部分的に示されるシャーシ5、及びシャーシ5に固定される車体構造6を備え、ひいては、前部2にフロントフード7を備え、後部3にリアフード8を備える。
【0025】
自動車の分野で通常行われるように、シャーシ5は、自動車1の外部に対して自動車1の内部を画定するのみならず、複数の典型的な区画、すなわちエンジンルーム、運転者及び1人又はそれ以上の同乗者を収容するための車室、及び荷物を格納するためのトランクを画定する。
【0026】
車体構造6は、自動車の内部に対するカバー機能又は閉鎖機能を有する。より正確には、フード7は、エンジンルームをカバーする又は閉鎖するのに適しており、又はそのように構成されている。他方のフード8は、トランクをカバーする又は閉鎖するのに適しており、又はそのように構成されている。更に、車体構造6は、車室をカバーする又は閉鎖するための、又はそのように構成された、ルーフパネル9を中間部4に備えることができる。
【0027】
シャーシ5は、より詳細には、2つの構造体又は構造部材を備える。その一方は、典型的にはファイアウォール(図示せず)として知られ、他方は、
図2に部分的に表され、本明細書では参照番号10で示されている。
【0028】
ファイアウォールは、エンジンルームに対して車室を区切るために、車室とエンジンルームとの間に配置される。
【0029】
詳細には、構造体10は、トランクに対して車室を区切るために、車室とトランクとの間に配置される。別の実施例によれば、構造体10は、ファイアウォールを備えることができる。あるいは、車室とエンジンルームとの間に配置されて、エンジンルームに対して車室を区切ることができる。
【0030】
構造体10は、軸線Aに対して横方向に、より正確には直交して延在する。軸線Aは水平面上にあり、構造体10は軸線Aに対して垂直かつ直交する平面に従って延在する。このことは、構造体10が平坦な構造に限定されることを意味するわけではない。
【0031】
以下に行う説明では、第1のフード8のみを参照するが、フード8について行った説明は、必要な論理的変更を伴って、第2のフード7に適用できる場合がある。
【0032】
図1において、フード8は、自動車1のトランクをカバー又は閉鎖しており、それにより、フード8がトランクをカバー又は閉鎖する、閉鎖位置にあることが分かる。
【0033】
自動車1は、フード8を構造体10、より正確にはヒンジ軸線Hにヒンジ止めするように構成された、複数のヒンジ11、より正確には、2つのヒンジ11を備える。
【0034】
したがって、フード8は、閉鎖位置と、自動車1の外部からトランクにアクセスできる開放位置との間で、軸線Hに対して回転することができる。
【0035】
各ヒンジ11はフード8を同一の軸線Hにヒンジ止めするため、その説明には重複する部分がある。したがって、以下の説明ではヒンジ11の一方のみに言及するが、その説明は他方のヒンジ11にも適用可能であるという事実を損なうものではない。
【0036】
軸線Hは直線であり、より正確には水平であるため、軸線Aと同一平面上にあり得る。更に、軸線Hは軸線Aを横断し、より正確には軸線Aと直交する。
【0037】
更に、それにもかかわらず、フード8に接する平面は、追加の軸線Hを含む水平面と交差する。この軸は、一般に軸線Hとは異なるが、いずれにせよ軸線Hに平行であるか、又はそれと一致し、特に軸線Aに対して横方向であるか、又はより良好には直交する。
【0038】
ヒンジ11の一方、ここではヒンジ11は、軸線Hの周りで互いにヒンジ止めされた、2つの主要部分、又はアーム12、13を備える。
【0039】
より詳細には、ヒンジ11はまた、軸線Hに沿って延在し、軸線Hの周りを回転するようにアーム12によって支持され、アーム13に対して固定される、ピン14を備える。これにより、アーム13は、ピン14とともに軸線H周りを回転する。
【0040】
アーム13は、フード8に固定される。特に、アーム13は、フード8に直接固定される。
【0041】
アーム13は、2つの対向する端部13a、13bの間、具体的には軸線Bに沿って、より正確には長手方向に従って、すなわち軸線Aに平行に延在する。具体的には、端部13bはピン14で終端し、例えば、端部13bを有する単一部品からなり、他方の端部13aは、より具体的にはフード8に固定される。
【0042】
軸線Bは、特に端部13bにおいて、詳細には軸線Hを含む水平面に面する、少なくとも一つの湾曲した凹状部分B’を有する。より具体的には、軸線Bは、軸線Hと1点で交差する。この湾曲部分B’は、技術用語で「グースネック」とされるものの輪郭を示す。
【0043】
軸線Bは、軸線Hに直交する平面に属し、したがって詳細には、構造体10が延在する平面に対して垂直であり、直交する。すなわち軸線Aに平行である。
【0044】
更に、ヒンジ11は、
図4に見られるように、取付け軸線Xに沿ってそれに対して突出するようにアーム12に固定された、別のピン15を備える。この場合、ピン15はアーム12から直接突出する。例えば、ピン15は、アーム12を伴う単一部品からなるか、又は、様々な締結手段によってアーム12に固定することができる。
【0045】
アーム13及びピン15は、軸線Xに従って、又はより正確には、軸線Hに直交し軸線Xを含む平面に従って、特に、アーム12の対応する対向した端部12a、12bから開始して、軸線Xに従って延在することが好ましい。
【0046】
特に、軸線B及び軸線Xは同一平面上にある。
【0047】
このことから、以下の説明が個別の概念を表すとしても、軸線Xが軸線Aに従って延在するか、又は軸線Aに平行であるか、又は基本的に平行であることは明らかである。言い換えれば、軸線Xは自動車の前進方向に従う方向に向けられる。
【0048】
端部12aがピン15をもたらし、一方、端部12bがピン14を支持して、ピン14は軸線Hの周りを回転する。
【0049】
ピン15は、構造体10に固定され、構造体10に設けられた孔16内に、配置又は挿入される。構造体10に設けられた孔16は、軸線Xに平行な軸線Dを有する。
図4では、軸線Xと軸線Dとは一致している。いずれにせよ、軸線Xと軸線Dは概して一致しないため、これは非限定的なものである。
【0050】
実際には、ピン15は、半径方向のクリアランスを有して孔16に挿入されるため、
図4に示されるピン15の半径方向位置は一例に過ぎず、自動車1の組立要件に基づいて、異なり得る。
【0051】
言い換えれば、孔16は、軸線Xに沿って、又はその軸線Dに平行な方向に沿って、ピン15を軸方向に受け入れる。
【0052】
孔16は、特に、構造体10の一端、より具体的には、例えばフェンダ又はサイドドアといった車体構造6の外側構成部品に隣接して設置される。
【0053】
図4に見られるように、孔16は貫通孔であり、すなわち構造体10を貫通している。
【0054】
本発明によれば、軸線H、軸線Xは、それぞれが対応する平行平面、すなわち、第1及び第2の平面上にある。これらの平行な平面は、一致してもよい。いずれにせよ、一般に、第2の平面上への軸線Hの投影は、軸線Xに直交する。第1の平面と第2の平面とが一致する場合、軸線Hは軸線Xに直接直交することは明らかである。
【0055】
したがって、第1の平面及び第2の平面は、両方とも水平面である。言い換えれば、第1の平面及び第2の平面の少なくとも一方、又は両方は、軸線A又は自動車1の前進方向を含む。
【0056】
フード8、ヒンジ11、及び構造体10は、自動車1のフードアセンブリの一部である。
【0057】
フードアセンブリは、構造体10に対するピン15の位置を調整して締結するための、手段又は装置を備える。したがって、ピン15は、これらの手段又は装置によって構造体10に固定される。
【0058】
調整及び締結のためのアセンブリ又は手段は、特に軸線Xに沿ったピン15の位置を調整するための、スリーブ17を備えることが好ましい。したがって、スリーブ17は、軸線Xに沿ったヒンジの位置を補償又は確定するための補償装置を設定するものである。
【0059】
スリーブ17は、孔16の内側に配置されるか、又は、その中に挿入される。より正確には、スリーブ17は孔16と同軸である。更に、スリーブ17は、その内側でピン15を軸方向に受け入れる。言い換えれば、
図4が軸線Dの例示的な構成を示しているとはいえ、ピン15は、必ずしもそれと同軸である必要はなく、スリーブ17の軸でもある、軸線Dにも平行な軸線Xに沿って延在する。
【0060】
スリーブ17は、構造体10に対して着脱可能に固定される。
【0061】
また、スリーブ17は、孔16を完全に横断していることが好ましい。スリーブ17は、正確には2つの軸方向端部17a、17bを有し、特に、孔16又は構造体10の反対側の軸方向側で(すなわち、軸線Dに従って)、孔16の外側に配置される。
【0062】
更に、端部17bは、より正確には、アーム12に当接するように配置された面19で、軸方向端部を画定する。
【0063】
より具体的には、スリーブ17は、軸線Dの周りに外面を有する。この外面は、軸線Dに沿って軸方向に延在し、軸線Dの周りで孔16を画定する表面と接触して連係する。
【0064】
特に、スリーブ17の外面は、少なくとも部分的にねじ切りされており、したがってスリーブ17の外ねじを画定する。これに対応して、孔16を画定する表面にもねじ切りされており、したがって、外ねじがねじ込まれる、孔16の内ねじを画定する。端部17aは、外ねじの一部を含む。
【0065】
場合によっては、スリーブ17は、ガイドスライド型継ぎ手、例えば溝付き継ぎ手を介して、孔16内を摺動するように結合することができるため、これは絶対に必要なものではない。
【0066】
スリーブ17は、軸線Xに対して固定された軸方向位置を有するが、この軸方向位置は、軸線Xに沿って調整された位置でもある。
【0067】
この事実は、外ねじと内ねじとの間の結合の例から明らかである。孔16にスリーブ17をねじ込むことで、スリーブ17とピン15との間の相互の軸方向位置、すなわち軸線Xに沿ったスリーブ17の位置を変化させ、したがって調整することが可能となる。
【0068】
この調整された位置は、いずれにせよ、特に上述した調整及び締結のための手段又は装置を使用して、固定又は係止される。
【0069】
詳細には、フードアセンブリ、又は調整及び締結のための手段は、ねじ付きロックナット20を備える。このねじ付きロックナットは、孔16の外側の構造体10に締め付けられるまでスリーブ17の外ねじにねじ込まれ、したがってスリーブ17の調整された位置を係止する。
【0070】
実際には、ねじ付きロックナット20は、端部17aにねじ込まれ、また、軸線Dの周りに横方向に配置され、軸線Dの周りに横方向に配置された構造体10の対応する面にしっかりと接触する、リング状面を有する。
【0071】
特に、調整された位置が係止される前に、面19がアーム12に当接することを考えると、軸線Xに沿ってスリーブ17の位置を調整することは、アーム12、したがってヒンジ11のピン15、より広くはフード8の位置を、常に軸線Xに沿って調整することにも相当する。
【0072】
好都合には、ピン15は、スリーブ17を完全に横断する。
【0073】
ピン15は、スリーブ17に対して固定される。特に、より具体的には、調整及び締結のための手段によってスリーブ17に固定される。
【0074】
詳細には、ピン15は、ねじ付き端部15aを有する。
【0075】
更に、フードアセンブリ、又は調整及び締結のための手段は、スリーブ17に締め付けられるまでねじ付き端部15aにねじ込まれ、したがってピン15をスリーブ17に締結する、更なるねじ付きロックナット21を備える。
【0076】
一般に、「~にねじ込まれる」という表現は、直接接触することを必要とするものではなく、例えばこの場合、スリーブ17とねじ付きロックナット21との間の1つ又はそれ以上のワッシャ22を介して、間接的に締め付ける可能性も含む。
【0077】
ここで、ねじ付きロックナット21は、軸線Xの周りに横方向に配置され、端部17aの対応するリング状面に、詳細にはワッシャ22を介して間接的に締め付けられた、リング状面を有する。端部17aのリング状面は、軸線Dを中心として、横方向に配置される。
【0078】
上記から、特に
図4を参照すると、ピン15は、特にねじ付きロックナット21を締め付けることによってスリーブに固定される前には、スリーブ17の内側で半径方向に並進する自由度を有することが明らかである。このことは、軸線Xに直交する2つの軸に対するピン15、したがってヒンジ11の位置を、例えば手動で調整する可能性に対応する。
【0079】
反対に、スリーブ17の調整された位置が係止されると、ピン15及びヒンジ11は、スリーブ17の調整された位置が係止される前には可能であったような、軸線Xに沿った移動を行うことができない。
【0080】
フードアセンブリ4を取り付ける方法は、以下の通りである。
【0081】
概して、この方法は、ピン15を孔16に軸方向に挿入するステップ、軸線Xに沿ってピン15の位置を調整するステップ、及びピン15を構造体10に締結するステップを含む。
【0082】
より具体的には、ピン15の位置を調整することは、ピン15が固定されるアーム12を、軸線Xに沿った所望の位置に配置することを含む。
【0083】
ピン15は、軸線Xに従って移動可能に、孔16と接触して連係するように予め孔16に結合されたスリーブ17の、内側の軸線Xに沿って並進する。特に、スリーブ17の外ねじは、孔16の内ねじに係合するため、孔にスリーブ17をねじ込むことで、軸線Xに対するスリーブ17の軸方向位置を調整することが可能となる。
【0084】
所望の位置で、フード8は自動車1のシャーシ上に載置され、特にピン15を構造体10に締結するステップを見込んで、所望の位置に安定して留まる。
【0085】
この時点で、ピン15を構造体10に締結するステップは、面19をアーム12に当接させ、したがって孔16を介して軸線Xに従って、スリーブ17の位置を軸方向に調整することを含む。その間、ピン15はスリーブ17内に挿入されたままである。
【0086】
したがって、軸線Xに従ってスリーブ17の位置が調整されると、ピン15を構造体10に締結するステップは、軸方向に調整された位置で、スリーブ17を構造体10に着脱可能に締結するステップを含む。
【0087】
このことは、特に、ねじ付きロックナット20をスリーブ17に対して締め付けるまで、ねじ付きロックナット20を端部17aの外ねじ部にねじ込むことによって行われる。
【0088】
ここで、ヒンジ11は、軸線Xに対して固定されるが、軸線Xに直交する2つの軸に対して、依然としてその位置を調整することができる。
【0089】
したがって、ピン15を構造体10に締結するステップは、軸線Xに直交する2つの軸に対するピン15の位置を調整し、それによってピン15及びヒンジ11を最終位置にするステップを更に含む。
【0090】
したがって、ピン15を締結するステップは、スリーブ17が構造体10に締結された後に、ピン15をスリーブ17に実際に締結することをもって完了する。
【0091】
このことは、具体的には、ねじ付きロックナット21がスリーブ17に対して、より正確には端部17aに対して締め付けられるまで、ねじ付きロックナット21をねじ付き端部15aにねじ込むことによって行われる。
【0092】
上記のことから、本発明によるアセンブリ4及びその方法の利点は明らかである。
【0093】
特に、構造体10は、概念的に自動車1の車室からトランクを分割するため、この取付け作業は、ほとんど全て車室側、したがって作業者が容易にアクセスできる領域で行われる。実際に、ねじ付きロックナット20、21は両方とも、アーム12、13が互いにヒンジ止めされ、フード8がヒンジ止めされる側に対して、構造体10の軸方向の反対側に位置する。
【0094】
更に、フードアセンブリは、ピン15を単純な方法で、連続してスリーブ17の内側で移動させることができるため、軸線Xに沿って、かつそれに直交する2つの軸に沿って、基本的に無限の精度でヒンジ11の位置を調整できるようになることは明らかである。
【0095】
その外ねじ山と孔16の内ねじ山との間の結合を介して、スリーブ17を軸方向に移動させることにより、調整精度の最大化がもたらされる。
【0096】
更に、構造体10にピン15を締結することは、ねじ付きロックナット20、21を操作することのみによって行われるため、簡単かつ効果的である。
【0097】
最後に、特許請求の範囲によって規定される保護の範囲から逸脱することなく、本発明によるフードアセンブリ及び方法、及びそこから発生した変形物に、修正を加えることができることは明らかである。
【外国語明細書】