(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023103638
(43)【公開日】2023-07-27
(54)【発明の名称】渦電流探傷装置、および、渦電流探傷方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/90 20210101AFI20230720BHJP
【FI】
G01N27/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004269
(22)【出願日】2022-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100195718
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊規
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 紳
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB21
2G053BA03
2G053BA10
2G053BB07
2G053BC14
2G053CA03
2G053DA01
2G053DA08
2G053DA09
2G053DB02
(57)【要約】
【課題】探傷装置に検査対象部に付着した付着物を除去する機能を付加することにより、付着物の除去と探傷とを同時または連続的に行うことを可能とし、点検期間の短縮を図る。
【解決手段】渦電流探傷装置100は、検査対象部に渦電流を誘起し、渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブ11と、探傷プローブ11を支持する支持装置6と、を具備し、探傷プローブ11には、検査対象部の被探傷面に付着した付着物を掻き取るブラシ14が取り付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象部に渦電流を誘起し、前記渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブと、
前記探傷プローブを支持する支持装置と
を具備し、
前記探傷プローブには、前記検査対象部の被探傷面に付着した付着物を掻き取るブラシが取り付けられている
渦電流探傷装置。
【請求項2】
前記探傷プローブは、複数の探傷用コイルが配置される板状のベース部材を備え、
前記ブラシは、板状の前記ベース部材の側端部に配置されている
請求項1に記載の渦電流探傷装置。
【請求項3】
前記ベース部材は、
前記探傷プローブの基端部から前記探傷プローブの先端部に向かう方向を第1方向と定義するとき、前記第1方向に延在する第1板部と、
前記第1方向とは異なる方向に延在する第2板部と
を有し、
前記第1板部には、前記複数の探傷用コイルの一部と、前記ブラシの一部とが配置され、
前記第2板部には、前記複数の探傷用コイルの他の一部と、前記ブラシの他の一部とが配置されている
請求項2に記載の渦電流探傷装置。
【請求項4】
前記支持装置は、
前記探傷プローブを支持する支持部材と、
前記支持部材を移動させる第1駆動部と
を備え、
前記支持部材は、前記探傷プローブを支持する中空の第1部分を有し、
前記第1部分は、前記ブラシによって掻き取られた前記付着物を吸引する吸引口を有する
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の渦電流探傷装置。
【請求項5】
前記探傷プローブとは独立して水平方向に移動可能な吸引ノズルを更に具備する
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の渦電流探傷装置。
【請求項6】
前記ブラシは、前記探傷プローブが回転軸まわりに回転されるときに、または、前記探傷プローブが幅方向に移動されるときに、前記付着物を前記検査対象部の奥に向かう方向に移動させるテーパ形状部を有する
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の渦電流探傷装置。
【請求項7】
支持装置によって支持され、検査対象部に渦電流を誘起し、前記渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブと、前記探傷プローブに取り付けられたブラシとを、前記検査対象部に対向する位置に配置する工程と、
前記探傷プローブおよび前記ブラシを回転軸まわりに回転させる回転工程と
を具備し、
前記回転工程は、
前記ブラシによって、前記検査対象部の被探傷面に付着した付着物を掻き取ることと、
前記探傷プローブによって、前記検査対象部を探傷することと
を含む
渦電流探傷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、渦電流探傷装置、および、渦電流探傷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
渦電流探傷における被検査体は、導電性材料である。渦電流探傷装置は、プローブのコイルに交流電流を供給して、被検査体の表面近傍に渦電流を誘起する。また、渦電流探傷装置は、この渦電流が作る反作用磁場を、コイルを用いて検出する。被検査体の表面近傍に欠陥が存在すると、欠陥により渦電流の流れが変化すると共に、渦電流が作る反作用磁場の強度および分布も変化する。渦電流探傷装置によって、これらの変化が検出されることにより、被検査体の欠陥の有無を検出することができる。関連する技術として、特許文献1には、原子炉圧力容器の点検装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被検査体の表面上に付着している酸化物であるソフトクラッド(ソフトクラッドのことを、被探傷面の付着物と言うこともできる。)が存在する場合、被検査体とコイルの間にソフトクラッドが介在することにより、渦電流の誘起が阻害されることとなる。よって、探傷感度への影響を低減するために、ソフトクラッドを除去する必要がある。
【0005】
特許文献1に開示された原子炉圧力容器の点検装置を用いれば、渦電流探傷を実施することが可能であるが、ソフトクラッドの除去を、別の装置を用いて行う必要がある。換言すれば、ソフトクラッド除去装置を用いてソフトクラッドを除去した後に、ソフトクラッド除去装置を退避させ、その後、渦電流探傷装置を用いて探傷を行う必要がある。このため、点検期間が、全体として長期化してしまうとの課題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、探傷装置に検査対象部に付着した付着物を除去する機能を付加することにより、付着物の除去と探傷とを同時または連続的に行うことを可能とし、点検期間の短縮を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態における渦電流探傷装置は、検査対象部に渦電流を誘起し、前記渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブと、前記探傷プローブを支持する支持装置と、を具備し、前記探傷プローブには、前記検査対象部の被探傷面に付着した付着物を掻き取るブラシが取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
また、実施形態における渦電流探傷方法は、支持装置によって支持され、検査対象部に渦電流を誘起し、前記渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブと、前記探傷プローブに取り付けられたブラシとを、前記検査対象部に対向する位置に配置する工程と、前記探傷プローブおよび前記ブラシを回転軸まわりに回転させる回転工程と、を具備し、前記回転工程は、前記ブラシによって、前記検査対象部の被探傷面に付着した付着物を掻き取ることと、前記探傷プローブによって、前記検査対象部を探傷することと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態により、検査対象部に付着した付着物の除去と探傷とを同時または連続的に行うことが可能となり、点検期間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、原子炉圧力容器を模式的に示す概略縦断面図である。
【
図2】
図2は、原子炉圧力容器の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における渦電流探傷装置を模式的に示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における渦電流探傷装置の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態における渦電流探傷装置を模式的に示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、第3の実施形態における渦電流探傷装置の一部分を拡大して示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、第3の実施形態における渦電流探傷装置の据え付け状態を模式的に示す図であり、(a)は、概略正面図、(b)は、A-A矢視断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態における渦電流探傷方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態における渦電流探傷装置100、および、渦電流探傷方法に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0012】
(方向の定義)
本明細書において、
図3に示すように探傷プローブ11の基端部11aから探傷プローブ11の先端部11bに向かう方向を「第1方向DR1」と定義し、第1方向DR1と反対の方向を「第3方向DR3」と定義する。また、探傷プローブ11の幅方向(より具体的には、探傷プローブ11の第1側端部22aから探傷プローブ11の第2側端部22bに向かう方向)を「第2方向DR2」と定義する。第2方向DR2は、典型的には、第1方向DR1に垂直である。
【0013】
図1を参照して、実施形態における渦電流探傷装置100によって検査される検査対象部の一例について説明する。
【0014】
図1には、原子炉圧力容器1の構成が模式的に示されている。
図1に記載の例では、原子炉圧力容器1には、炉心5、給水スパージャ3、コアスプレイ配管4等の炉内構造物が配置されている。また、原子炉圧力容器1には、給水ノズル2が設けられ、給水ノズル2の内側には、サーマルスリーブ7が配置され、給水ノズル2とサーマルスリーブ7とは互いに接続されている。サーマルスリーブ7は、給水配管9から供給される冷却水が、直接、給水ノズル2のコーナー部2aに接触するのを防止し、当該コーナー部2aにおける温度変動を抑制する。
【0015】
給水スパージャ3は、給水ノズル2に、サーマルスリーブ7を介して接続される。コアスプレイ配管4(略して、「CS配管」という。)は、冷却材喪失事故時等に、炉心上部から冷却水をスプレーして冷却するための配管である。
【0016】
図2に記載の例では、給水スパージャ3は、原子炉圧力容器1の内面に沿って配置され、冷却水を原子炉圧力容器1内に供給する。より具体的には、給水配管9から、サーマルスリーブ7を介して、給水スパージャ3に冷却水が供給され、給水スパージャ3に配置された複数のフローノズル3aから冷却水が噴出される。こうして、冷却水が、原子炉圧力容器1内に注入される。
【0017】
実施形態における渦電流探傷装置100によって検査される検査対象部は、例えば、上述の給水ノズル2のコーナー部2aである。
図1には、検査対象部(より具体的には、給水ノズル2のコーナー部2a)の近傍に、探傷プローブを支持する支持装置6が配置された様子が示されている。なお、探傷プローブを用いて検査が実行されるとき、換言すれば、点検作業中には、原子炉圧力容器1は水で満たされているとともに、炉心5の上方かつコーナー部2aよりも高い位置に配置されている蒸気乾燥器、気水分離器等は予め取り外されている。
【0018】
以下、実施形態において、渦電流探傷装置100によって検査される検査対象部が、原子炉圧力容器1の給水ノズル2のコーナー部2aである場合の例について説明されるが、検査対象物は、原子炉圧力容器1の他の部分であってもよいし、原子炉圧力容器1とは異なるものであってもよい。また、以下の実施形態において、ブラシ14によって掻き取られる付着物が、ソフトクラッド(換言すれば、被探傷面に付着した酸化物)である場合の例について説明されるが、後述のブラシ14によって掻き取られる付着物は、ソフトクラッド以外の付着物であってもよい。換言すれば、以下の実施形態の説明において、「ソフトクラッド」は、付着物に読み替え可能である。
【0019】
(第1の実施形態)
図1乃至
図4を参照して、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aについて説明する。
図3は、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aを模式的に示す概略斜視図である。
図4は、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aの一部分を拡大して示す概略斜視図である。なお、
図3において、探傷プローブ11のベース部材21の側面23を視認できるようにするために、ブラシ14の記載が省略されている。
【0020】
(構成・作用)
図3に例示されるように、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aは、探傷プローブ11と、支持装置6と、を具備する。
【0021】
探傷プローブ11は、検査対象部に渦電流を誘起し、渦電流が作る磁場を検出する。支持装置6は、探傷プローブ11を支持する。
【0022】
図4に例示されるように、探傷プローブ11には、検査対象物の被探傷面に付着したソフトクラッド(例えば、粒状の酸化鉄)を掻き取るブラシ14が取り付けられている。よって、
図4に記載の例では、探傷プローブ11を用いて、被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取ることと、被探傷面を探傷することとを、同時または連続的に実行することができる。例えば、ブラシ14付きの探傷プローブ11の1つの移動動作によって、被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取ることと、被探傷面を探傷することとの両方を行うことができる。
【0023】
(効果)
従来、被探傷面からのソフトクラッドの除去は、探傷プローブとは別の装置を用いて、探傷とは完全に独立した手順で行われていた。これに対し、第1の実施形態では、被探傷面からのソフトクラッドの除去と、探傷とを、探傷プローブ11を用いて、同時または連続的に実行することができる。こうして、点検時間を短縮することができる。
【0024】
続いて、第1の実施形態(または、後述の第2の実施形態あるいは第3の実施形態)において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0025】
(探傷プローブ11、および、ブラシ14)
図3に記載の例では、探傷プローブ11は、基端部11a(換言すれば、第3方向DR3側の端部)と、先端部11b(換言すれば、第1方向DR1側の端部)とを有する。探傷プローブ11の基端部11aは、直接的または任意の取付部材27を介して、支持装置6に取り付けられ、支持装置6によって支持される。探傷プローブ11の先端部11bは、自由端部である。
図3に記載の例では、探傷プローブ11の長さ(換言すれば、第1方向DR1に沿う方向における探傷プローブ11の長さ)は、探傷プローブ11の幅(換言すれば、第2方向DR2に沿う方向における探傷プローブ11の長さ)よりも長い。探傷プローブ11は、第1方向DR1に沿う方向における長さが、他の方向に沿う方向における長さよりも長い長尺部材である。
【0026】
図4に記載の例では、探傷プローブ11は、複数の探傷用コイル26が配置される板状のベース部材21を備える。また、ブラシ14は、板状のベース部材21(より具体的には、ベース部材21の側端部22)に配置されている。ベース部材21が板状である場合、探傷用コイル26およびブラシ14の両方を、狭隘部(例えば、
図2に示される給水ノズル2とサーマルスリーブ7との間の隙間G)に、容易に挿入することができる。また、狭隘部に位置するソフトクラッドを掻き取ることと、狭隘部の探傷とを、同時または連続的に実行することができる。
【0027】
図4に記載の例では、ベース部材21の厚さは、ベース部材21の幅(換言すれば、第2方向DR2に沿う方向におけるベース部材21の長さ)よりも小さい。
【0028】
図4に記載の例では、ブラシ14は、板状のベース部材21の側面23に取り付けられている。この場合、厚さ方向におけるブラシ14の突出量(換言すれば、被探傷面に対向配置されるベース部材21の主面24に対するブラシ14の突出量)が低減される。よって、ブラシ14付きの探傷プローブ11の全体としての厚さが薄くなり、ブラシ14付きの探傷プローブ11を、狭隘部に挿入し易くなる。
【0029】
図4に例示されるように、ブラシ14は、第1ブラシ部14aと、第2ブラシ部14bとを含んでいてもよい。第1ブラシ部14aは、例えば、ベース部材21の第1側端部22a(より具体的には、ベース部材21の第1側面23a)に取り付けられ、第2ブラシ部14bは、例えば、ベース部材21の第2側端部22b(より具体的には、ベース部材21の第2側面23b)に取り付けられる。
【0030】
図4に記載の例では、ベース部材21は、第1方向DR1に沿って延在する第1板部21aと、第1方向DR1とは異なる方向(より具体的には、第1方向DR1および第2方向DR2の両方に対して垂直な方向)に延在する第2板部21bと、を有する。第1板部21aは、第1方向DR1に沿う方向における長さが、第2方向DR2に沿う方向における長さ(換言すれば、幅)と比較して長い細長板部である。
図4に記載の例では、第2板部21bは、直接的または任意の取付部材27(必要であれば、
図3を参照。)を介して間接的に、支持装置6の支持部材60に取り付けられる。
【0031】
図4に記載の例では、第2方向DR2に沿う方向にみて、ベース部材21は、L字形状を有する。より具体的には、第1板部21aが、L字形状の長辺を規定し、第2板部21bが、L字形状の短辺を規定する。
【0032】
図4に記載の例では、第1板部21aには、複数の探傷用コイル26の一部と、ブラシ14の一部とが配置されている。また、第2板部21bには、複数の探傷用コイル26の他の一部と、ブラシ14の他の一部とが配置されている。この場合、第1板部21aおよび第2板部21bを用いて、検査対象部の2つの異なる面からソフトクラッドを掻き取ることができ、検査対象部の2つの異なる面を探傷することができる。
【0033】
図4に記載の例では、ブラシ14の一部が、第1板部21aの長手方向に沿って配置されている。当該ブラシ14の一部は、第1板部21aの長さと略等しい長さで、第1板部21aの長手方向に沿って配置されることが好ましい。また、
図4に記載の例では、ブラシ14の他の一部が、第2板部21bの延在方向(より具体的には、第1方向DR1および第2方向DR2の両方に垂直な第4方向DR4)に沿って配置されている。
【0034】
ブラシ14は、被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取り可能な部材(例えば、研磨材付きのブラシ)である。
【0035】
探傷プローブ11(より具体的には、探傷用コイル26)は、検査対象部の表面近傍に渦電流を誘起する励磁コイルと、当該渦電流によって作られる磁場を検出する検出コイルと、を含む。複数の探傷用コイル26のうちの少なくとも一つが、励磁コイルとして機能し、複数の探傷用コイル26のうちの少なくとも一つが、検出コイルとして機能してもよい。代替的に、各探傷用コイル26が、励磁コイルおよび検出コイルを含んでいてもよい。探傷プローブ11における探傷用コイル26(励磁コイルおよび検出コイル)の配置に、特に制限はなく、どのような配置が採用されても構わない。
図4に記載の例では、複数の探傷用コイル26が、2列で配置されているが、複数の探傷用コイル26は、1列、あるいは、3列以上で配置されていてもよい。
【0036】
図4に記載の例では、探傷プローブ11は、励磁コイルと検出コイルとからなるセットを、複数セット有する。換言すれば、探傷プローブ11は、マルチプローブである。
【0037】
図4に記載の例では、複数の探傷用コイル26のうちの一部が、第1方向DR1に沿って探傷プローブ11に配置されている。また、複数の探傷用コイル26のうちの他の一部が、第4方向DR4(換言すれば、第1方向DR1および第2方向DR2の両方に垂直な方向)に沿って配置されている。
【0038】
図4に記載の例では、複数の探傷用コイル26が、ベース部材21の中央部分(より具体的には、ベース部材21の幅方向における中央部分)に配置されている。他方、ブラシ14が、ベース部材21の側端部22に配置されている。この場合、ベース部材21をベース部材21の長手方向に平行な回転軸AX(
図3を参照。)まわりに回転させることにより、ブラシ14によって検査対象物の被探傷面に付着したソフトクラッドが掻き取られ、その直後に、ソフトクラッドが掻き取られた後の被探傷面に複数の探傷用コイル26を対向配置させることができる。
【0039】
図4に記載の例では、複数の探傷用コイル26(より具体的には、励磁コイルおよび検出コイル)が、第1ブラシ部14aと第2ブラシ部14bとの間に配置されている。この場合、ベース部材21を、回転軸AX(
図3を参照。)まわりのどちらの回転方向に回転させる場合でも、ブラシ14によって検査対象物の被探傷面に付着したソフトクラッドが掻き取られ、その直後に、ソフトクラッドが掻き取られた後の被探傷面に複数の探傷用コイル26を対向配置させることができる。
【0040】
(支持装置6)
図3に記載の例では、支持装置6は、探傷プローブ11を支持する支持部材60と、第1駆動部63と、を備える。支持装置6は、固定部材8、および/または、第2駆動部65を備えていてもよい。
【0041】
支持部材60は、探傷プローブ11を支持する第1部分61と、第1部分61と第1駆動部63とを接続する第2部分62と、を有する。
【0042】
図4に記載の例では、第1部分61は、中空である。より具体的には、第1部分61は、吸引管61pである。また、第1部分61は、ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドを吸引する吸引口OPを有する。この場合、支持部材60は、ブラシ付きの探傷プローブ11を支持するとともに、ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドを、吸引口OPを介して、第1部分61の内側に引き込むことができる。
【0043】
図4に記載の例では、吸引口OPは、第1方向DR1に向かって開口している。換言すれば、吸引口OPは、支持部材60の第1方向DR1側の端に配置されている。この場合、ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドが、直ちに吸引口OPを介して第1部分61の内側に引き込まれ、当該ソフトクラッドが、第1方向DR1以外の方向に拡散されることが抑制される。
【0044】
なお、探傷プローブ11を支持する支持部材60が、吸引口OPおよび吸引管61pを有し、支持部材60の内側に吸引路が形成される場合、支持部材60に吸引機能を付加するに際して支持部材60のサイズをコンパクトに維持することができる。よって、支持部材60が、ブラシ14を狭隘部に挿入する際の妨げとならない。
【0045】
図4に記載の例では、吸引口OPは、第1吸引口OP1と、第2吸引口OP2と、を含む。第1吸引口OP1は、例えば、ベース部材21(より具体的には、ベース部材21の第2板部21b)よりも第2方向DR2側に配置される。第2吸引口OP2は、例えば、ベース部材21(より具体的には、ベース部材21の第2板部21b)よりも第2方向DR2とは反対側に配置される。
図4に記載の例では、第1吸引口OP1と第2吸引口OP2との間の領域において、探傷プローブ11が、支持部材60に取り付けられている。
【0046】
図4に記載の例では、支持部材60の第2部分62は、中空管62pを含む。当該中空管は、第1部分61に引き込まれた上述のソフトクラッドおよび液体(例えば、水)を移送する流路を規定する。中空管62pの流路断面積は、吸引管61pの流路断面積より小さくてもよい。
【0047】
なお、探傷プローブ11、および、支持部材60は、液体中に浸漬可能であることが好ましい。この場合、検査対象部に液体(例えば、水)が接し、かつ、探傷プローブ11、および、支持部材60が液体中(例えば、水中)に浸漬された状態で、ブラシ14は、検査対象部の被探傷部に付着したソフトクラッドを掻き取ることができる。ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドは、液体(例えば、水)とともに、吸引口OPを介して、第1部分61の内側に引き込まれる。
【0048】
図3に記載の例において、第1駆動部63は、支持部材60を移動させることができる。第1駆動部63が、支持部材60を移動させることによって、支持部材60に支持された探傷プローブ11、および、探傷プローブ11に取り付けられたブラシ14が、支持部材60とともに移動する。
【0049】
第1駆動部63は、支持部材60を、直線軌道に沿って移動させることが可能であることが好ましい。
図3に記載の例では、第1駆動部63は、支持部材60を、第1方向DR1に平行な方向に移動させることができる。第1駆動部63は、例えば、支持部材60の第2部分62を直線的に移動させることが可能な第1モータを含む。第1駆動部63と支持部材60の第2部分62とによって、探傷プローブ11を直線的に移動させるための直動機構が構成される。支持部材60(より具体的には、後述の第1フレーム64)は、探傷プローブ11の移動をガイドするガイド部64gを有していてもよい。
【0050】
第2駆動部65は、探傷プローブ11およびブラシ14を、回転軸AXまわりに回転させる。より具体的には、
図3に記載の例では、支持装置6は、第1駆動部63を支持する第1フレーム64と、第1フレーム64を回転軸AXまわりに回転させる第2駆動部65と、第2駆動部65を支持する第2フレーム66と、を有する。
【0051】
図3に記載の例では、第1フレーム64は、第2方向DR2に沿う方向に見て、略U字形状を有し、当該U字形状の内側に第2駆動部65が配置されている。また、第2フレーム66は、第1方向DR1に沿う方向に見て、矩形枠形状を有する。なお、第1フレーム64、第2フレーム66の形状は、
図3に記載の例に限定されず、任意である。
【0052】
第2駆動部65の本体部65aは、第2フレーム66に固定され、第2駆動部65の出力軸は、第1フレーム64に連結される。この場合、第2駆動部65は、第2フレーム66に対して、第1フレーム64を回転軸AXまわりに回転させることが可能である。第1フレーム64が、回転軸AXまわりに回転すると、第1フレーム64によって支持された第1駆動部63、第1駆動部63に連結された支持部材60、および、支持部材60に連結された探傷プローブ11が、回転軸AXまわりに回転する。
【0053】
固定部材8は、支持装置6を、被固定部材に固定するための部材である。
図3に記載の例では、固定部材8は、第1グリッパ8aと、第2グリッパ8bとを有する。第1グリッパ8aは、第2フレーム66の第1側部66aに配置されており、第2グリッパ8bは、第2フレーム66の第2側部66bに配置されている。
【0054】
なお、
図3に記載の例において、支持装置6は、探傷プローブ11(より具体的には、検出コイル)から信号を受信可能である。支持装置6は、探傷プローブ11から受信した信号を、オペレーティングフロアに設置された信号処理装置に送信可能であることが好ましい。当該信号処理装置は、支持装置6を介して探傷プローブ11から受信する信号を処理し、被探傷面における欠陥の有無を解析する。
【0055】
(動作)
第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aの動作の一例について説明する。原子炉圧力容器1の炉心5よりも上方に配置された給水ノズル2の近傍(例えば、給水ノズル2のコーナー部2a)を点検する際には、第1に、オペレーティングフロアから、水が満たされた原子炉圧力容器1の内部に天井クレーン等(図示されず。)で探傷プローブ11を支持する支持装置6が吊り降ろされ、第2に、支持装置6が、固定部材8(例えば、第1グリッパ8aおよび第2グリッパ8b)を介して、原子炉圧力容器1内の炉内構造物(例えば、給水スパージャ3、あるいは、給水スパージャ3の直下に配置されたコアスプレイ配管4)に固定される。なお、固定部材8は、グリッパではなく、炉内構造物に吸着固定可能な吸着部材であってもよい。第3に、第1駆動部63の駆動力により、探傷プローブ11が、給水ノズル2のコーナー部2aと、サーマルスリーブ7との間に隙間G(
図2を参照。)に挿入される。第4に、第2駆動部65の駆動力により、探傷プローブ11および探傷プローブ11に取り付けられたブラシ14が、回転軸AXまわりに回転する。当該ブラシ14が回転軸AXまわりに回転することにより、被探傷面(より具体的には、給水ノズル2のコーナー部2aの表面)に付着したソフトクラッドが掻き取られる。また、探傷プローブ11が回転軸AXまわりに回転することにより、被探傷面が、探傷プローブ11によって走査される。
【0056】
なお、ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドは、水中を浮遊する。支持装置6(より具体的には、支持部材60の第1部分61)が、ソフトクラッドを吸引する吸引口OPを有する場合には、水中に浮遊する当該ソフトクラッドを、オペレーティングフロアに設置されている吸引ポンプ(図示されず。)による吸引力によって、吸引口OPを介して、支持部材60の第1部分61に引き込むことができる。こうして、ソフトクラッドが水中に拡散することが防止または抑制される。
【0057】
(第2の実施形態)
図5を参照して、第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bについて説明する。
図5は、第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bを模式的に示す概略斜視図である。なお、
図5において、探傷プローブ11のベース部材21の側面23を視認できるようにするために、ブラシ14の記載が省略されている。
【0058】
第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bは、探傷プローブ11とは独立して移動可能な吸引ノズル15を有する点において、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aとは異なる。その他の点では、第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bは、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aと同様である。なお、
図5において、第1の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態における符号と同一の符号が付されている。
【0059】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第2の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態において説明済みの事項を第2の実施形態に適用できることは言うまでもない。例えば、第2の実施形態において、ベース部材21、ブラシ14、および、探傷用コイル26に関しては、第1の実施形態と同様の構成を採用可能である。
【0060】
(構成・作用)
図5に記載の例では、渦電流探傷装置100Bは、探傷プローブ11とは独立して水平方向に移動可能な吸引ノズル15を備える。被探傷面へのソフトクラッドの堆積量が多い場合、ブラシ14によって掻き取られるソフトクラッドの量が多くなり、水中を浮遊するソフトクラッドの量が多くなる。吸引ノズル15は、当該水中を浮遊するソフトクラッドを好適に回収することができる。
【0061】
図5に記載の例では、探傷プローブ11を支持する支持部材60の一部を構成する吸引管61pによって、水中に浮遊するソフトクラッドが回収され、当該吸引管61pとは別の位置に配置された吸引ノズル15によって、吸引管61pが回収し損ねたソフトクラッドを回収することができる。
【0062】
図5に記載の例では、渦電流探傷装置100B(より具体的には、支持装置6)は、吸引ノズル15に加えて、吸引ノズル15を移動可能に支持する第2支持部材67を有する。また、第2フレーム66は、第2支持部材67の移動をガイドするガイド部66gを有する。なお、第2支持部材67、および/または、第2フレーム66には、第2支持部材67に駆動力を付与する第3駆動部69が配置される。
【0063】
図5に記載の例では、吸引ノズル15が、第2フレーム66の下側部分66cに配置されている。代替的に、吸引ノズル15は、第2フレーム66の上側部分、あるいは、第2フレーム66の第1側部66aまたは第2側部66bに配置されてもよい。
【0064】
(効果)
吸引ノズル15が付加されることにより、ソフトクラッドの回収がより確実となり、水中にソフトクラッドが拡散することを防止または抑制することができる。
【0065】
(第3の実施形態)
図6を参照して、第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cについて説明する。
図6は、第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cの一部分を拡大して示す概略斜視図である。
図7は、第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cの据え付け状態を模式的に示す図である。
図7(a)は、概略正面図であり、
図7(b)は、
図7(a)におけるA-A矢視断面図である。
【0066】
第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cは、ブラシ14が、ブラシ14によって掻き取られたソフトクラッドを検査対象部の奥側に移動させるテーパ形状部14tを有する点において、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aおよび第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bとは異なる。その他の点では、第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cは、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aまたは第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bと同様である。なお、
図6および
図7において、第1の実施形態または第2の実施形態と同様の構成については、第1の実施形態または第2の実施形態における符号と同一の符号が付されている。
【0067】
第3の実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。他方、第3の実施形態では、第1の実施形態または第2の実施形態で説明済みの事項についての繰り返しとなる説明は省略する。したがって、第3の実施形態において、明示的に説明をしなかったとしても、第1の実施形態または第2の実施形態において説明済みの事項を第3の実施形態に適用できることは言うまでもない。
【0068】
(構成・作用)
図6に記載の例では、ブラシ14は、ソフトクラッドを検査対象部の奥に向かう方向(より具体的には、第1方向DR1)に移動させるテーパ形状部14tを有する。
図6に記載の例では、テーパ形状部14tは、第1ブラシ部14aの第2方向DR2側の側面を構成する第1テーパ面141aと、第2ブラシ部14bの第2方向DR2とは反対側の側面を構成する第2テーパ面141bと、を含む。
【0069】
図7(a)および
図7(b)に記載の例では、探傷プローブ11が回転軸AXまわりに回転されるときに、または、探傷プローブ11が幅方向(換言すれば、第2方向DR2に沿う方向)に移動されるときに、テーパ形状部14tは、ソフトクラッド18を検査対象部の奥に向かう方向(より具体的には、第1方向DR1)に移動させる。
【0070】
図7(a)および
図7(b)に記載の例では検査対象部の被探傷面が、探傷プローブ11によって走査される際に、ブラシ14のテーパ形状部14tは、被探傷面に付着したソフトクラッド18を原子炉圧力容器1の内部に向けて掻き出さず、被探傷面に付着したソフトクラッド18を給水ノズル2の奥に押し込むことができる。
【0071】
(効果)
ソフトクラッド18を浮遊させずに検査対象部(例えば、給水ノズル2)の奥に押し込むことが可能となり、汚染物であるソフトクラッド18を吸引回収することなく、被探傷面の探傷を行うことができる。
【0072】
なお、第3の実施形態において、吸引管61p、および、吸引ノズル15は、省略されることが好ましいが、第3の実施形態において、吸引管61p、および/または、吸引ノズル15が設けられる態様は排除されない。
【0073】
(渦電流探傷方法)
図1乃至
図8を参照して、実施形態における渦電流探傷方法について説明する。
図8は、実施形態における渦電流探傷方法の一例を示すフローチャートである。
【0074】
実施形態における渦電流探傷方法は、渦電流探傷装置100を用いて実行される。当該渦電流探傷装置100は、第1の実施形態における渦電流探傷装置100Aであってもよいし、第2の実施形態における渦電流探傷装置100Bであってもよいし、第3の実施形態における渦電流探傷装置100Cであってもよいし、その他の渦電流探傷装置であってもよい。
【0075】
渦電流探傷装置100は、(1)検査対象部に渦電流を誘起し、当該渦電流が作る磁場を検出する探傷プローブ11と、(2)探傷プローブ11を支持する支持装置6と、を具備する。(3)探傷プローブ11には、検査対象部の被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取るブラシ14が取り付けられている。探傷プローブ11、支持装置6、および、ブラシ14については、第1の実施形態、第2の実施形態、または、第3の実施形態において説明済みであるため、探傷プローブ11、支持装置6、および、ブラシ14についての繰り返しとなる説明は省略する。
【0076】
第1ステップST1において、探傷プローブ11、および、探傷プローブ11に取り付けられたブラシ14が、検査対象部(例えば、給水ノズル2のコーナー部2a)に対向する位置に配置される。第1ステップST1は、配置工程である。
【0077】
なお、検査対象部に対向する位置に配置される探傷プローブ11は、支持装置6によって支持されている(必要であれば、
図3等を参照。)。また、探傷プローブ11は、検査対象部に渦電流を誘起し、渦電流が作る磁場を検出するプローブ(換言すれば、渦電流探傷プローブ)である。
【0078】
検査対象部が、水に接している場合には、配置工程は、探傷プローブ11、および、探傷プローブ11を支持する支持部材60を、水中に配置することを含んでいてもよい。より具体的には、配置工程は、探傷プローブ11、および、支持部材60を、原子炉圧力容器1の内側の水中に配置することを含んでいてもよい。配置工程は、支持装置6の固定部材8を被固定部材(例えば、給水スパージャ3、コアスプレイ配管4等の炉内構造物)に固定することを含んでいてもよい。また、配置工程は、第1駆動部63の駆動力を用いて、探傷プローブ11を移動させることを含んでいてもよい。より具体的には、第1駆動部63の駆動力を用いて、探傷プローブ11が、給水ノズル2とサーマルスリーブ7との間の隙間G(必要であれば、
図2、
図7(a)等を参照。)に挿入されてもよい。
【0079】
第2ステップST2において、探傷プローブ11およびブラシ14が回転軸AXまわりに回転される。第2ステップST2は、回転工程である。
【0080】
回転工程は、第2駆動部65の駆動力を用いて、探傷プローブ11およびブラシ14を回転軸AXまわりに回転させることを含む。
【0081】
回転工程は、ブラシ14によって、検査対象部(例えば、給水ノズル2のコーナー部2a)の被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取ること(ステップST2-1)と、探傷プローブ11によって、検査対象部(例えば、給水ノズル2のコーナー部2a)の被探傷面を探傷すること(ステップST2-2)、とを含む。
【0082】
(効果)
実施形態における渦電流探傷方法では、探傷プローブ11およびブラシ14を同時に回転軸AXまわりに回転させることにより、被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取ることと、被探傷面を探傷することとを、同時または連続的に実行することができる。例えば、ブラシ14付きの探傷プローブ11の1つの回転動作によって、被探傷面に付着したソフトクラッドを掻き取ることと、被探傷面を探傷することとの両方を行うことができる。
【0083】
なお、
図7(a)に記載の例では、探傷プローブ11およびブラシ14を、回転軸AXまわりに回転させる際に、探傷プローブ11またはブラシ14が、給水ノズル2の近傍に配置される給水スパージャ3と干渉する可能性がある。このような場合には、(1)第1に、探傷プローブ11およびブラシ14を回転軸AXまわりに回転させて、被探傷面の第1領域AR1からソフトクラッドの掻き取り、かつ、被探傷面の第1領域AR1を探傷し、(2)第2に、探傷プローブ11およびブラシ14を第3方向DR3に退避させ、(3)第3に、探傷プローブ11およびブラシ14が、給水スパージャ3と干渉しない位置に到達するまで、探傷プローブ11およびブラシ14を回転軸AXまわりに回転させ、(4)第4に、探傷プローブ11およびブラシ14を、第1方向DR1に進出させ、(5)第5に、探傷プローブ11およびブラシ14を回転軸AXまわりに回転させて、被探傷面の第2領域AR2からソフトクラッドの掻き取り、かつ、被探傷面の第2領域AR2を探傷してもよい。
【0084】
また、被探傷面の第3領域AR3が、給水スパージャ3の背後に位置する場合には、湾曲アームを含む支持部材によって支持された探傷プローブ11を用いて、当該第3領域AR3が探傷されてもよい。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1…原子炉圧力容器、2…給水ノズル、2a…コーナー部、3…給水スパージャ、3a…フローノズル、4…コアスプレイ配管、5…炉心、6…支持装置、7…サーマルスリーブ、8…固定部材、8a…第1グリッパ、8b…第2グリッパ、9…給水配管、11…探傷プローブ、11a…基端部、11b…先端部、14…ブラシ、14a…第1ブラシ部、14b…第2ブラシ部、14t…テーパ形状部、15…吸引ノズル、18…ソフトクラッド、21…ベース部材、21a…第1板部、21b…第2板部、22…側端部、22a…第1側端部、22b…第2側端部、23…側面、23a…第1側面、23b…第2側面、24…主面、26…探傷用コイル、27…取付部材、60…支持部材、61…支持部材の第1部分、61p…吸引管、62…支持部材の第2部分、62p…中空管、63…第1駆動部、64…第1フレーム、64g…ガイド部、65…第2駆動部、65a…第2駆動部の本体部、66…第2フレーム、66a…第1側部、66b…第2側部、66c…下側部分、66g…ガイド部、67…第2支持部材、69…第3駆動部、100、100A、100B、100C…渦電流探傷装置、141a…第1テーパ面、141b…第2テーパ面、AR1…第1領域、AR2…第2領域、AR3…第3領域、AX…回転軸、DR1…第1方向、DR2…第2方向、DR3…第3方向、DR4…第4方向、G…隙間、OP…吸引口、OP1…第1吸引口、OP2…第2吸引口