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特開2023-10387発光装置、製造方法、及び、導波構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010387
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】発光装置、製造方法、及び、導波構造体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/377 20060101AFI20230113BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20230113BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
G02F1/377
G02B6/12 301
G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114488
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】旭 雄大
(72)【発明者】
【氏名】領木 直矢
(72)【発明者】
【氏名】西川 幸男
(72)【発明者】
【氏名】岡山 芳央
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AB11
2H137BA52
2H137BA53
2H137BA55
2H137BB02
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC12
2H137BC64
2H137CA34
2H137CB26
2H137CB32
2H137CB33
2H137CB35
2H137CC03
2H137DB08
2H137DB09
2H137DB10
2H137FA05
2H137FA06
2H137HA01
2H137HA05
2H147AB04
2H147AB20
2H147AB36
2H147BD10
2H147CA08
2H147CA19
2H147CA27
2H147CB03
2H147CC12
2H147EA12A
2H147EA12B
2H147EA13A
2H147EA13B
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147EA15A
2H147EA15B
2H147EA16A
2H147EA16B
2H147EA17A
2H147EA17B
2H147FD20
2H147GA06
2K102AA08
2K102BA18
2K102BB02
2K102BC01
2K102CA00
2K102DA04
2K102DD01
2K102DD03
2K102DD07
2K102EB10
2K102EB20
2K102EB26
(57)【要約】
【課題】光の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる発光装置、製造方法、及び導波構造体を提供する。
【解決手段】発光装置1は、光源2と、導波構造体5とを備える。光源2は、指向性を有する光6を出射する。導波構造体5は、光導波路3と、外装部4とを備える。光導波路3は、入射端面7及び出射端面8を有し、入射端面7から入射した光6を光の波長を変換して出射端面8から出射する。外装部4は、光透過性を有し、入射端面7及び出射端面8が露出するように光導波路3を覆う。光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性を有する光を出射する光源と、
入射端面及び出射端面を有し前記入射端面から入射した前記光を前記光の波長を変換して前記出射端面から出射する光導波路、及び光透過性を有し前記入射端面及び前記出射端面が露出するように前記光導波路を覆う外装部を含む導波構造体と、
を備え、
前記光導波路の長さ方向は、前記光導波路の長さ方向及び前記光の光軸を含む所定面内において前記光の光軸に対して所定角度で傾斜し、
前記所定角度は、前記光が前記光導波路内を前記光導波路と前記外装部との境界面で全反射しながら伝播するように設定される、
発光装置。
【請求項2】
前記導波構造体の端面に入射する前記光のピーク強度の1/e2で規定されるビーム断面に対応する領域は、前記入射端面内に収まる、
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記光の光軸上にあって前記光を前記入射端面に収束させる収束光学系をさらに備える、
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記外装部の屈折率をn1
前記光導波路の屈折率をn2
前記所定角度をθ1
前記所定面内において前記入射端面と前記光導波路の長さ方向に垂直な垂直面のなす角度をθ2
前記所定面内での前記収束光学系により前記入射端面に収束する前記光の光束の頂角をφ1とすると、
θ1は、次式を満たす、
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記所定角度は、前記光のピーク強度の1/e2で規定されるビームの前記入射端面で反射した一部が前記光源に入射しないように設定される、
請求項3又は4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記収束光学系の有効半径をr、
前記入射端面から前記収束光学系までの距離をx、
前記所定角度をθ1
前記所定面内において前記入射端面と前記光導波路の長さ方向に垂直な垂直面のなす角度をθ2
前記所定面内での前記収束光学系により前記入射端面に収束する前記光の光束の頂角をφ1とすると、
θ1は、次式を満たす、
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記収束光学系は、最も前記入射端面側に位置する部品が収束レンズであるように構成され、
前記有効半径は、前記収束レンズの半径であり、
前記入射端面から前記収束光学系までの距離は、前記入射端面から前記収束レンズまでの距離である、
請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記収束光学系は、最も前記入射端面側に位置する部品がアパーチャであるように構成され、
前記有効半径は、前記アパーチャの開口の半径であり、
前記入射端面から前記収束光学系までの距離は、前記入射端面から前記アパーチャまでの距離である、
請求項6に記載の発光装置。
【請求項9】
前記出射端面は、前記所定面内において前記入射端面と前記光導波路の長さ方向に垂直な垂直面に対して傾斜する、
請求項3~8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記光導波路の屈折率をn2
前記所定角度をθ1
前記所定面内において前記入射端面と前記光導波路の長さ方向に垂直な垂直面のなす角度をθ2
前記所定面内において前記出射端面が前記垂直面に対して傾斜する角度をθ3
前記所定面内での前記収束光学系により前記入射端面に収束する前記光の光束の頂角をφ1とすると、
θ3は、次式を満たす、
請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記所定面内において前記光の光軸を前記光導波路の長さ方向に対して前記所定角度で傾斜させる角度調整部材と、
前記所定面内における前記光の光軸と前記光導波路の長さ方向との間の角度を前記所定角度に維持したまま、前記光源において前記光が出射する出射面と前記光導波路の入射端面の距離を一定に保ちながら、前記光源及び前記導波構造体の少なくとも一方を移動させる位置調整部材と、
をさらに備える、
請求項1~10のいずれか一つに記載の発光装置。
【請求項12】
前記光源と前記光導波路との間に配置される反射防止膜をさらに備え、
前記光源は、前記光が出射する出射面を有し、
前記反射防止膜の厚み方向の第1面は前記光源の出射面に接し、
前記反射防止膜の厚み方向の第2面は前記光導波路の入射端面に接し、
前記所定面内において前記入射端面と前記光導波路の長さ方向に垂直な垂直面のなす角度は、前記所定角度に等しい、
請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項13】
前記外装部の屈折率をn1
前記光導波路の屈折率をn2
前記反射防止膜の屈折率をn3
前記所定角度をθ1
前記所定面内での前記反射防止膜内における前記光の光束の拡がり角をφ2とすると、
θ1は、次式を満たす、
請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記出射端面は、前記所定面内において前記垂直面に対して傾斜する、
請求項12又は13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記光導波路の屈折率をn2
前記反射防止膜の屈折率をn3
前記所定角度をθ1
前記所定面内において前記出射端面が前記垂直面に対して傾斜する角度をθ3
前記所定面内での前記反射防止膜内における前記光の光束の拡がり角をφ2とすると、
θ3は、次式を満たす、
請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
前記反射防止膜の厚みは、前記光源の出射面から出射した前記光のピーク強度の1/e2で規定されるビームが前記入射端面に入射するように設定される、
請求項12~15のいずれか一つに記載の発光装置。
【請求項17】
前記所定面内において前記光導波路の長さ方向に直交する方向での前記光導波路の寸法をDw
前記所定面内において前記光の光軸に直交する方向での前記光源の出射面の寸法をDa
前記反射防止膜の厚みをDc
前記所定角度をθ1
前記反射防止膜内での前記光の光束の拡がり角をφ2とすると、
cは、次式を満たす、
請求項16に記載の発光装置。
【請求項18】
前記反射防止膜の厚みは、50nmより大きく、2500nmより小さい、
請求項16又は17に記載の発光装置。
【請求項19】
前記所定面内において前記光の光軸を前記光導波路の長さ方向に対して前記所定角度で傾斜させる調整部材をさらに備え、
前記反射防止膜は、前記所定面内における前記光の光軸と前記光導波路の長さ方向との間の角度を前記所定角度に維持したまま、前記光源の出射面と前記光導波路の入射端面の距離を一定に保ちながら、前記光源及び前記導波構造体のうち少なくとも一方を移動するための位置調整部材の一部である、
請求項12~18のいずれか一つに記載の発光装置。
【請求項20】
前記光源と前記導波構造体とが配置される配置面を有する基体をさらに備え、
前記光源の前記光の光軸及び前記導波構造体の光導波路の長さ方向の少なくとも一方が、前記所定面内において前記基体の配置面の沿面方向に対して傾斜する、
請求項1~19のいずれか一つに記載の発光装置。
【請求項21】
前記導波構造体は、光導波路型SHG素子である、
請求項1~20のいずれか一つに記載の発光装置。
【請求項22】
指向性を有する光を出射する光源と、入射端面及び出射端面を有し前記入射端面から入射した前記光を前記光の波長を変換して前記出射端面から出射する光導波路、及び光透過性を有し前記入射端面及び前記出射端面が露出するように前記光導波路を覆う外装部を含む導波構造体とを備える発光装置の製造方法であって、
所定角度を、前記光が前記光導波路内を前記光導波路と前記外装部との界面で全反射しながら伝播するように設定することを含み、
前記所定角度は、前記光導波路の長さ方向及び前記光の光軸を含む所定面内における前記光導波路の長さ方向と前記光の光軸との間の角度である、
製造方法。
【請求項23】
前記発光装置は、
前記所定面内において前記光の光軸を前記光導波路の長さ方向に対して前記所定角度で傾斜させる角度調整部材と、
前記所定面内における前記光の光軸と前記光導波路の長さ方向との間の角度を前記所定角度に維持したまま、前記光源の出射面と前記光導波路の入射端面の距離を一定に保ちながら、前記光源及び前記導波構造体の少なくとも一方を移動させる位置調整部材と、
をさらに備え、
前記製造方法は、前記角度調整部材と前記位置調整部材により前記光源及び前記導波構造体の少なくとも一方を移動させることによって前記導波構造体の出射端面から出射する前記光の量が最大となるように前記光源と前記導波構造体の位置を決定することを含む、
請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
入射端面及び出射端面を有し前記入射端面から入射した指向性を有する光を前記光の波長を変換して前記出射端面から出射する光導波路と、
光透過性を有し前記入射端面及び前記出射端面が露出するように前記光導波路を覆う外装部と、
を備え、
前記光導波路の長さ方向は、前記光導波路の長さ方向及び前記光の光軸を含む所定面内において前記光の光軸に対して所定角度で傾斜し、
前記所定角度は、前記光が前記光導波路内を前記光導波路と前記外装部との界面で全反射しながら伝播するように設定される、
導波構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、発光装置、発光装置の製造方法、及び導波構造体に関する。本開示は、より詳細には、指向性を有する光を出射する光源と導波構造体とを備える発光装置、この発光装置の製造方法、及びこの発光装置に用いられる導波構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発光装置として、光導波路型SHG素子を開示する。特許文献1では、半導体レーザから出射されるレーザ光の光軸に対して、光導波路型SHG素子の入射端面と出射端面の少なくとも一方がレーザ光の光軸に垂直な面に対して傾斜している。この構造により、入射端面または出射端面からの反射光がレーザ光源に戻りレーザ光源が損傷を受けるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-160930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の発光装置では、レーザ光が光導波路内に効率よく入射し、レーザ光が光導波路内を伝搬中に外装部へ漏れ出さずに高効率で伝搬する構造については考慮されていない。また、光導波路内を伝搬するレーザ光の波長変換の効率についても考慮されておらず、波長変換効率が低くなるおそれがある。
【0005】
本開示は、光源の損傷を低減でき、さらに光の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる発光装置、製造方法、及び導波構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の発光装置は、指向性を有する光を出射する光源と、入射端面及び出射端面を有し入射端面から入射した光を光の波長を変換して出射端面から出射する光導波路、及び光透過性を有し入射端面及び出射端面が露出するように光導波路を覆う外装部を含む導波構造体とを備える。光導波路の長さ方向は、光導波路の長さ方向及び光の光軸を含む所定面内において光の光軸に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光が光導波路内を光導波路と外装部との境界面で全反射しながら伝播するように設定される。
【0007】
本開示の一態様の製造方法は、指向性を有する光を出射する光源と、入射端面及び出射端面を有し入射端面から入射した光を光の波長を変換して出射端面から出射する光導波路、及び光透過性を有し入射端面及び出射端面が露出するように光導波路を覆う外装部を含む導波構造体とを備える発光装置の製造方法である。前記製造方法は、所定角度を、光が光導波路内を光導波路と外装部との界面で全反射しながら伝播するように設定することを含む。所定角度は、光導波路の長さ方向及び光の光軸を含む所定面内における光導波路の長さ方向と光の光軸との間の角度である。
【0008】
本開示の一態様の導波構造体は、入射端面及び出射端面を有し入射端面から入射した指向性を有する光を光の波長を変換して出射端面から出射する光導波路と、光透過性を有し入射端面及び出射端面が露出するように光導波路を覆う外装部とを備える。光導波路の長さ方向は、光導波路の長さ方向及び光の光軸を含む所定面内において光の光軸に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光が光導波路内を光導波路と外装部との界面で全反射しながら伝播するように設定される。
【発明の効果】
【0009】
本開示の態様によれば、光源の損傷を低減でき、さらに光の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1の発光装置の構成例の概略側面図
図2図1の発光装置の導波構造体の構成例の外観図
図3図1の発光装置の導波構造体の入射端面を説明する概略断面図
図4図1の発光装置の導波構造体の入射端面を説明する概略断面図
図5図1の発光装置の導波構造体の出射端面を説明する概略断面図
図6】実施の形態2の発光装置の構成例の概略側面図
図7図6の発光装置の導波構造体の入射端面を説明する概略断面図
図8図6の発光装置の導波構造体の入射端面を説明する概略断面図
図9】変形例1の発光装置の導波構造体の入射端面を説明する概略断面図
図10】変形例2の発光装置の構成例の概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
[1.実施の形態]
[1.1 実施の形態1]
[1.1.1 概要]
図1は、実施の形態1の発光装置1の構成例の概略側面図である。図1の発光装置1は、光源2と、導波構造体5とを備える。光源2は、指向性を有する光6を出射する。導波構造体5は、光導波路3と、外装部4とを備える。光導波路3は、入射端面7及び出射端面8を有し、入射端面7から入射した光6を光の波長を変換して出射端面8から出射する。外装部4は、光透過性を有し、入射端面7及び出射端面8が露出するように光導波路3を覆う。光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。
【0013】
図1の発光装置1では、光導波路3の長さ方向Aが、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度で傾斜する。そのため、光6の進行方向が、光導波路3の長さ方向に対して傾斜する。これにより、光6が光導波路3と外装部4との境界面Bで反射しながら光導波路3内を伝搬する光路長が、光導波路3の長さよりも長くなるため、波長変換の効率が高くなる。図1の発光装置1では、所定角度は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。これにより、光6は光導波路3から外装部4へ漏れ出さずにより効率良く伝搬することが可能である。したがって、本実施の形態の発光装置1によれば、光源の損傷を低減でき、さらに光の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0014】
[1.1.2 詳細]
以下、本実施の形態の発光装置1について詳細に説明する。図1に示すように、発光装置1は、光源2と、導波構造体5とを備える。
【0015】
光源2は、指向性を有する光6を出射する。図1では、光6は、光軸11に沿って進行する。光源2は、レーザ、例えば、半導体レーザである。光6は、レーザ光である。光源2は、例えば、活性層2aを有する。光源2の活性層2aの一端面が、光6が出射する出射面2bとなる。なお、半導体レーザは、加工用レーザ等に比べて低出力であるが小型であるため、小型の光学系と組み合わせることで小型の発光装置を構成することができる。光6の波長は、可視光領域の波長に限定されず、赤外線領域の波長及び紫外領域の波長であってもよい。
【0016】
図2は、導波構造体5の構成例を示す。図2において、(a)は導波構造体5の正面図であり、(b)は導波構造体5の断面図である。導波構造体5は、光導波路3と、外装部4とを備える。
【0017】
光導波路3は、光源2から出射された光6の伝送路である。光導波路3は、入射端面7と出射端面8とを有する。光導波路3は、入射端面7から入射した光6を光6の波長を変換して出射端面8から出射する。
【0018】
図1に示すように、導波構造体5において、光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度(第1所定角度)(図1においてθ1で示す)で傾斜する。θ1は、光導波路3の長さ方向Aに対して図1の時計周りの方向を正とする。また、導波構造体5において、入射端面7は、所定面内において光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度(図1においてθ2で示す)で傾斜する。θ2は、垂直面Pに対して図1の時計周りの方向を正とする。さらに、導波構造体5において、出射端面8は、所定面内において垂直面Pに対して第3所定角度(図1においてθ3で示す)で傾斜する。θ3は、垂直面Pに対して図1の時計周りの方向を正とする。第1所定角度θ1~第3所定角度θ3については後述する。
【0019】
本実施の形態では、光導波路3は六面体状である。より詳細には、本実施形態では、光導波路3の長さ方向Aの両面である入射端面7及び出射端面8は長方形であり、厚み方向の両面(図2(b)における上面及び下面)は長方形であり、幅方向の両面(図2(a)における左面及び右面)は台形である。光導波路3の形状はこれに限定されず、光6を伝送可能な形状であればよい。光導波路3は、光を透過する性質を有する材料、例えば、石英ガラス、サファイアなどの酸化物材料、シリコン、窒化ガリウムや窒化アルミニウムをはじめとする半導体等の無機材料、又はポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等のポリマー材料により形成される。
【0020】
外装部4は、光導波路3を覆う。図2の外装部4は、光導波路3の入射端面7及び出射端面8が露出するように光導波路3を覆う。外装部4は、直方体状である。外装部4は、外装部4の長さ方向が光導波路3の長さ方向Aに一致するように、光導波路3を覆う。光導波路3の入射端面7及び出射端面8は、外装部4の長さ方向の第1及び第2面4a,4bにそれぞれ露出する。本実施の形態では、外装部4は、光透過性を有する。外装部4は、光を透過する性質を有する材料、例えば、石英ガラス、サファイアなどの酸化物材料、シリコン、窒化ガリウムや窒化アルミニウムをはじめとする半導体等の無機材料、又はポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等のポリマー材料により形成される。本実施の形態において、外装部4は、光導波路3よりも屈折率が小さい材料により形成される。
【0021】
導波構造体5は、例えば、光導波路型SHG素子である。図2の導波構造体5は、光源2側の端面5aと、光源2とは反対側の端面5bとを有する。端面5aは、光導波路3の入射端面7と外装部4の第1面4aとを含む。端面5bは、光導波路3の出射端面8と外装部4の第2面4bとを含む。導波構造体5の光導波路3の入射端面7から光導波路3に入射した光6は、光導波路3と外装部4との界面Bで反射しながら光導波路3の長さ方向Aに伝搬し、伝搬の過程で波長が変換される。波長が変換された光6は、出射端面8から導波構造体5の外部に出射される。
【0022】
本実施の形態では、光6は指向性を有しており、例えば、レーザ光である。レーザ光は、一般に直進性が良いとされるが、実際には一定の角度に拡大しながら進む場合が多い。光源2から出射した光6が光導波路3の外側まで拡大した場合には、光6の一部が光導波路3に入らず損失となり、光結合の効率が低下する。そこで、発光装置1は、光6を収束させるために収束光学系20をさらに備える。
【0023】
収束光学系20は、光源2と導波構造体5との間に配置される。収束光学系20は、光6の光軸11上にあって光6を入射端面7に収束させる。図1の収束光学系20は、第1凸レンズ9と、第2凸レンズ10とを備える。収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品(第2凸レンズ10)が収束レンズであるように構成されている。第1凸レンズ9と、第2凸レンズ10とは、光6の光軸11上にあって、光源2からの光6は第1凸レンズ9、第2凸レンズ10をこの順番に通過して、導波構造体5に入射する。光6は第1凸レンズ9によって平行光となり、第2凸レンズ10によって収束される。このように、収束光学系20では、光源2と導波構造体5との間に配置された第1凸レンズ9と第2凸レンズ10とを用いて、光6を収束させる。本実施の形態では、光6はレーザ光である。一般にレーザ光の強度分布はガウシアン分布である。図2(a)において、領域Rは、導波構造体5の端面5aに入射する光6のピーク強度の1/e2で規定されるビーム断面に対応する。収束光学系20によって、図2(a)に示すように、領域Rは、入射端面7内に収まる。つまり、領域Rは、端面5aにおいて入射端面7内にあり、第1面4aには位置していない。換言すれば、光6の入射端面7における断面が、入射端面7に包含されているといえる。本実施の形態では、領域Rが入射端面7内に収まっているから、光6を光導波路3内に入射させる際の損失を低減させることができる。特に、図2(a)では、領域Rの形状は楕円形であり、光導波路3の入射端面7の形状は長方形である。ここで、領域Rの径は、入射端面7の短辺の長さより小さく、これにより、領域Rが入射端面7に包含されている。そのため、光6を効率よく光導波路3内に入射させることができる。
【0024】
上述したように、図1の発光装置1では、光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して第1所定角度(図1においてθ1で示す)で傾斜する。これにより、光6が光導波路3と外装部4との境界面Bで反射しながら光導波路3内を伝搬する光路長が、光導波路3の長さよりも長くなるため、波長変換の効率が高くなる。また、図1の導波構造体5において、入射端面7は、所定面内において光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度(図1においてθ2で示す)で傾斜する。これによって、光導波路3への入射端面7において反射した光6の一部が収束光学系20を介して光源2に戻る可能性を低減できる。これにより、光6の戻り光で光源2が損傷してしまう可能性を低減できる。
【0025】
以下、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2の関係についてさらに説明する。
【0026】
図1の発光装置1では、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。これにより、光6は光導波路3から外装部4へ漏れ出さずにより効率良く伝搬することが可能である。次に、図3を参照して、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2の関係について説明する。
【0027】
図3は、発光装置1の導波構造体5の入射端面7を説明する概略断面図である。なお、図3では、単に図面を見やすくするためだけに、断面を示すハッチングを省略している。
【0028】
図3において、入射端面7から光導波路3内に入射した光6が光導波路3外に漏れ出さずに効率的に伝搬していくには、光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射して光導波路3の長さ方向Aに進むことが望ましい。本実施の形態では、光6は第2凸レンズ10により収束しながら入射端面7に入射するので、図3における光6の外縁21が、外装部4への入射角が最小となる。第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、光6の光軸を通る中心光線ではなく光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの外縁21が光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射する条件を満たすように、設定される。図3において、所定面内での光6の外縁21の入射端面7への入射角をθi、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とする。頂角φ1は、入射端面7に入射する光6の光束の最も外側の光束間の角度である。この場合、θiは、θi=θ1+φ1/2-θ2で表わされる。外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、屈折角をθrとすると、スネルの法則より、sin(θi)/sin(θr)=n2/n1が成立する。そうすると、sin(θr)=sin(θ1+φ1/2-θ2)/n2であるから、θr=arcsin{sin(θ1+φ1/2-θ2)/n2}となる。光6の外縁21が光導波路3から外装部4に入射する入射角をθcとすると、θc=180°-90°-θr-θ2であるから、θc=90°-arcsin{sin(θ1+φ1/2-θ2)/n2}-θ2である。光6の外縁21が光導波路3と外装部4の境界面Bで全反射する条件は、θc≧arcsin(n1/n2)である。よって、90°-arcsin{sin(θ1+φ1/2-θ2)/n2}-θ2≧arcsin(n1/n2)との式をθ1について解くと、次式(1)が得られる。
【0029】
【数1】
【0030】
以上から、本実施の形態の発光装置1では、外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、第1所定角度をθ1、第2所定角度をθ2、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、上式(1)を満たす。
【0031】
図1の発光装置1では、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームが入射端面7で反射した一部が光源2に入射しないように設定される。これにより、光6の戻り光で光源2が損傷してしまうのを防ぐことができる。次に、図4を参照して、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2の関係について説明する。
【0032】
図4は、発光装置1の導波構造体5の光導波路3の入射端面7を説明する概略断面図である。なお、図4では、単に図面を見やすくするためだけに、断面を示すハッチングを省略している。
【0033】
図4において、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの一部が入射端面7において反射して、入射端面7での反射光が第2凸レンズ10に戻ると、さらに第2凸レンズ10及び第1凸レンズ9を介して光源2まで戻り、反射光のエネルギーにより光源2が損傷してしまう可能性がある。これを防止するためには、入射端面7での反射光が第2凸レンズ10に戻るのを抑制することが考えられる。本実施の形態では、光6は第2凸レンズ10により収束しながら入射端面7に入射するので、図4における光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの外縁22が、入射端面7への入射角が最小となる。光6の外縁22が、入射端面7で反射後に第2凸レンズ10に戻らないという条件を満たすように、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2が設定される。図4において、所定面内での光6の外縁22の入射端面7への入射角をθk、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とする。この場合、θk=θ1-φ1/2-θ2が成立する。光6の外縁22の入射端面7における反射光22aの反射角もθkである。入射端面7から収束光学系20までの距離をxとする。図4の場合、収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品が収束レンズ(第2凸レンズ10)であるように構成されている。よって、xは、入射端面7から収束レンズ(第2凸レンズ10)までの距離である。より詳細には、xは、入射端面7から収束レンズ(第2凸レンズ10)の表面までの距離である。所定面内での光6の光軸11に直交する方向における、光軸11と反射光22aとの距離をyとする。この場合、yは、y=x・tan(2θk+φ1/2)で表される。θk=θ1-φ1/2-θ2であるから、y=x・tan(2θ1-2θ2-φ1/2)である。収束光学系20の有効半径をrとする。図4の場合、収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品が収束レンズ(第2凸レンズ10)であるように構成されている。よって、rは、収束レンズ(第2凸レンズ10)の半径である。r<yであれば、光6の外縁22の反射光22aが第2凸レンズ10に入射しない。y=x・tan(2θ1-2θ2-φ1/2)であるから、r<x・tan(2θ1-2θ2-φ1/2)であり、これをθ1について解くと、次式(2)が得られる。
【0034】
【数2】
【0035】
以上から、収束光学系20の有効半径をr、入射端面7から収束光学系20までの距離をx、第1所定角度をθ1、第2所定角度をθ2、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、上式(2)を満たす。
【0036】
上述したように、図1の発光装置1では、導波構造体5において、出射端面8が所定面内において垂直面Pに対して第3所定角度θ3で傾斜する。第1所定角度θ1、第2所定角度θ2、及び第3所定角度θ3は、光導波路3内から出射端面8を通って外部に出ようとする光6が出射端面8で全反射されないように設定される。これにより、光6が光導波路3内に閉じ込められる可能性を低減して、光6の利用効率の向上が図れる。次に、図5を参照して、第1所定角度θ1、第2所定角度θ2、及び第3所定角度θ3の関係について説明する。
【0037】
図5は、発光装置1の導波構造体5の光導波路3の出射端面8を説明する概略断面図である。なお、図5では、単に図面を見やすくするためだけに、断面を示すハッチングを省略している。
【0038】
図5において、光導波路3内を伝搬後に出射端面8から出射する光6の量を増やすためには、出射端面8において反射して光導波路3内に戻る光6の量を抑制することが考えられる。本実施の形態では、光導波路3内を伝搬する光6のうち光導波路3から外装部4への入射角が最小となる外縁23に関して、光導波路3から外装部4への入射角をθcとする。図3と同様に、θc=90°-arcsin{sin(θ1+φ1/2-θ2)/n2}-θ2である。光6の外縁23の、出射端面8への入射角をθsとする。θsは、θs=90°-(θc-θ3)で表される。光6の外縁23が、出射端面8で全反射せずに導波構造体5の外部に出射する条件は、θs<arcsin(1/n2)である。θs=90°-(θc-θ3)を代入すると、90°-θc+θ3<arcsin(1/n2)である。これをθ3について解くと、次式(3)が得られる。
【0039】
【数3】
【0040】
以上から、光導波路3の屈折率をn2、第1所定角度をθ1、第2所定角度をθ2、第3所定角度をθ3、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ3は、上式(3)を満たす。
【0041】
上述したように、発光装置1は、光源2と、導波構造体5と、収束光学系20とを備え、更に、光源2と導波構造体5と収束光学系20とを支持するサポート30を備える。本実施の形態では、光源2と、導波構造体5と、収束光学系20とはサポート30に取り付けられることで、互いに位置関係が規定される。
【0042】
図1のサポート30は、第1取付部材12と、第2取付部材13と、基体14と、高さ調整部材15と、第1位置決めガイド16と、第2位置決めガイド17とを備える。
【0043】
第1取付部材12は、基体14の配置面14aに配置される。光源2及び収束光学系20は、第1取付部材12における基体14とは反対側の面(図1における上面)に設置される。第1取付部材12は熱伝導性が高い材料により形成されており、これによって、光源2の熱を基体14に伝達して放散させることができる。このように、第1取付部材12は、高さ調整機能と冷却機能とを有する。
【0044】
第2取付部材13は、基体14の配置面14aに配置される。導波構造体5は、第2取付部材13における基体14とは反対側の面(図1における上面)に設置される。第2取付部材13は熱伝導性が高い材料により形成されており、これによって、導波構造体5の熱を基体14に伝達して放散させることができる。このように、第2取付部材13は、高さ調整機能と冷却機能とを有する。
【0045】
高さ調整部材15は、基体14の配置面14aと第1取付部材12との間に配置される。高さ調整部材15は、基体14の配置面14aに対する第1取付部材12の高さを調整する機構であり、かつ、光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して傾斜させて設置する機構である。高さ調整部材15の配置面14aとは反対側の面(図1における上面)は、基体14の配置面14aに対して、第1所定角度θ1で傾斜している。これにより、光源2から出射される光6の光軸11に対する光導波路3の長さ方向Aの角度もθ1となる。高さ調整部材15は、例えば、くさび形である。高さ調整部材15は、所定面内において光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して第1所定角度θ1で傾斜させる角度調整部材である。
【0046】
第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17は、高さ調整部材15とともに、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま光源2を移動させる位置調整部材を構成する。位置調整部材は、光源2を平行に移動させるための平行移動補助部材である。第1位置決めガイド16は、第1取付部材12の導波構造体5に対向する端面に設置される。第2位置決めガイド17は、第1取付部材12の導波構造体5とは反対側の端面に設置される。第1位置決めガイド16の第1取付部材12に接する面は、光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度θ2で傾斜している。同様に、第2位置決めガイド17の第1取付部材12に接する面も、光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度θ2で傾斜している。
【0047】
高さ調整部材15を基体14の配置面14aに沿って導波構造体5に近付く方向又は導波構造体5から離れる方向(光導波路3の長さ方向A)に移動させると、光源2が、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度が第1所定角度θ1に維持されたまま第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17に沿って移動する。これにより、光源2の出射面2bと入射端面7との距離を保ったまま、すなわち、導波構造体5において光6が入射する領域Rの大きさを保ったまま、光源2の出射面2bを、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま移動させることができる。このため、入射端面7に光6が効率良く入射する位置の調整が容易になる。
【0048】
収束光学系20の第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10と、高さ調整部材15とは、導波構造体5により所定の波長に変換された光6の量が最大となるようにそれらの位置が調整された後に、接着剤18a,18b,18c等の固定手段で第1取付部材12及び基体14に固定される。図1では、第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10が接着剤18a,18bにより第1取付部材12に固定され、高さ調整部材15が接着剤18cにより基体14に固定されている。接着剤18a,18b,18cは、接着対象の部材を接着位置に設置して塗布した後も即座に硬化せず、位置調整が可能なものである。接着剤18a,18b,18cは、例えば紫外線硬化樹脂である。
【0049】
次に、光源2と、収束光学系20と、導波構造体5とをサポート30に取り付ける方法について説明する。まず、導波構造体5を第2取付部材13に取り付ける。次に、第2取付部材13を基体14の配置面14aに設置し、固定する。光源2及び収束光学系20を第1取付部材12に取り付ける。この時点では、収束光学系20の第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10は、未固定である。次に高さ調整部材15を基体14の配置面14aに設置する。第1取付部材12を高さ調整部材15に載置する。第1取付部材12及び高さ調整部材15は、未固定である。次に、接着剤18a,18b,18cとして紫外線硬化樹脂を塗布する。第1凸レンズ9、第2凸レンズ10、及び高さ調整部材15は、未固定である。この後に、基体14の配置面14aに第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17を設置し、固定する。この後に、光源2に電気系統を接続して光源2から光6を出射させる。この状態で、入射端面7を含む平面内において光6が最も収束するように第1凸レンズ9と第2凸レンズ10の精密な位置調整を行う。その後、高さ調整部材15を導波構造体5に対して接近又は離間する方向(光導波路3の長さ方向A)に移動させ、出射端面8から出射する光6の量が最大となるように精密な位置調整を行う。つまり、光6が入射する領域Rが入射端面7内に収まるように、収束光学系20の調整を行う。位置調整の後、紫外線を照射して接着剤18a,18b,18cを硬化させ、第1凸レンズ9、第2凸レンズ10、第1取付部材12及び高さ調整部材15を固定する。これによって、図1に示す発光装置1が得られる。
【0050】
[1.1.3 効果等]
以上述べたように、発光装置1は、指向性を有する光6を出射する光源2と、入射端面7及び出射端面8を有し入射端面7から入射した光6を光6の波長を変換して出射端面8から出射する光導波路3、及び光透過性を有し入射端面7及び出射端面8が露出するように光導波路3を覆う外装部4を含む導波構造体5とを備える。光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。この構成によれば、光源2の損傷を低減でき、さらに光6の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0051】
また、発光装置1において、導波構造体5の端面5aに入射する光6のピーク強度の1/e2で規定されるビーム断面に対応する領域Rは、入射端面7内に収まる。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0052】
また、発光装置1は、光6の光軸11上にあって光6を入射端面7に収束させる収束光学系20をさらに備える。この構成によれば、光6の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0053】
また、発光装置1において、外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、所定角度をθ1、所定面内において入射端面7と光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pのなす角度をθ2、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、
を満たす。この構成によれば、光6の波長変換効率の向上が図れる。
【0054】
また、発光装置1において、所定角度は、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの入射端面7で反射した一部が光源2に入射しないように設定される。この構成によれば、光源2の損傷の防止が図れる。
【0055】
また、発光装置1において、収束光学系20の有効半径をr、入射端面7から収束光学系20までの距離をx、所定角度をθ1、所定面内において入射端面7と光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pのなす角度をθ2、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、
を満たす。この構成によれば、光源2の損傷を低減できる。
【0056】
また、発光装置1において、収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品が収束レンズ(第2凸レンズ10)であるように構成される。有効半径は、収束レンズの半径である。入射端面7から収束光学系20までの距離は、入射端面7から収束レンズまでの距離である。この構成によれば、光源2の損傷を低減できる。
【0057】
また、発光装置1において、出射端面8は、所定面内において垂直面Pに対して傾斜する。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0058】
また、発光装置1において、光導波路3の屈折率をn2、所定角度をθ1、所定面内において入射端面7と光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pのなす角度をθ2、所定面内において出射端面8が垂直面Pに対して傾斜する角度をθ3、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ3は、
を満たす。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0059】
また、発光装置1は、所定面内において光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して所定角度で傾斜させる角度調整部材(高さ調整部材15)と、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を所定角度に維持したまま光源2の出射面2bと入射端面7の距離を一定に保ちながら、光源2及び導波構造体5の少なくとも一方を移動させる位置調整部材(高さ調整部材15、第1及び第2位置決めガイド16,17)とをさらに備える。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0060】
また、発光装置1は、光源2と導波構造体5とが配置される配置面14aを有する基体14をさらに備える。光源2の光6の光軸11が所定面内において基体14の配置面14aの沿面方向に対して傾斜する。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0061】
また、発光装置1において、導波構造体5は、光導波路型SHG素子である。この構成によれば、光6の波長変換効率の向上が図れる。
【0062】
以上述べた発光装置1の製造方法は、所定角度を、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定することを含む。所定角度は、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内における光導波路3の長さ方向Aと光6の光軸11との間の角度である。この構成によれば、光6の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0063】
また、製造方法は、位置調整部材により光源2及び導波構造体5の少なくとも一方を移動させることによって導波構造体5の出射端面8から出射する光6の量が最大となるように光源2と導波構造体5の位置を決定することを含む。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0064】
以上述べた導波構造体5は、入射端面7及び出射端面8を有し入射端面7から入射した指向性を有する光6を光6の波長を変換して出射端面8から出射する光導波路3と、光透過性を有し入射端面7及び出射端面8が露出するように光導波路3を覆う外装部4とを備える。光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。この構成によれば、光6の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0065】
[1.2 実施の形態2]
[1.2.1 構成]
図6は、実施の形態2の発光装置1Aの構成例の概略側面図である。図6の発光装置1Aは、実施の形態1の発光装置1と同様に、光源2と、導波構造体5とを備える。
【0066】
図6の発光装置1Aは、収束光学系20を備える代わりに、光源2と光導波路3との間に配置される反射防止膜40をさらに備える。反射防止膜40の厚み方向の第1面40aは光源2の出射面2bに接する。反射防止膜40の厚み方向の第2面40bは光導波路3の入射端面7に接する。これによって、光源2は、反射防止膜40を介して、導波構造体5と直接結合している。なお、本実施の形態において、反射防止膜40は均一な厚みを有している。そのため、所定面内において入射端面7と光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pのなす角度(第2所定角度θ2)は、第1所定角度θ1に等しい。つまり、光源2の出射面2bと光導波路3の入射端面7とは互いに平行である。
【0067】
図6の反射防止膜40は、光6を透過する。本実施の形態では、光6はレンズ等の収束光学系20により収束されることはなく、拡大しながら進む光として入射端面7から光導波路3内に入射する。反射防止膜40は、例えば、光導波路3よりも屈折率の低い材料で構成された単層膜である。反射防止膜40の材料としては、例えば、弗化マグネシウム、弗化カルシウム、石英ガラス、及びサファイアが挙げられる。反射防止膜40によって、光源2からの光6が光源2の活性層2aに戻ることが抑制される。
【0068】
図6の発光装置1Aでは、光導波路3の長さ方向Aは、光導波路3の長さ方向A及び光6の光軸11を含む所定面内において光6の光軸11に対して第1所定角度(図6においてθ1で示す)で傾斜する。これにより、光6が光導波路3と外装部4との境界面Bで反射しながら光導波路3内を伝搬する光路長が、光導波路3の長さよりも長くなるため、波長変換の効率が高くなる。
【0069】
以下、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2の関係についてさらに説明する。
【0070】
図6の発光装置1Aでは、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、光6が光導波路3内を光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら伝播するように設定される。これにより、光6は光導波路3から外装部4へ漏れ出さずにより効率良く伝搬することが可能である。次に、図7を参照して、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2の関係について説明する。
【0071】
図7及び図8は、発光装置1Aの導波構造体5の入射端面7を説明する概略断面図である。なお、図7及び図8では、単に図面を見やすくするためだけに、断面を示すハッチングを省略している。
【0072】
図7において、光源2の活性層2aの出射面2bから出射された光6は、反射防止膜40を通過して、入射端面7から光導波路3内に入射する。光導波路3内に入射した光6が光導波路3外に漏れ出さずに効率的に伝搬していくには、光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射して光導波路3の長さ方向に進むことが望ましい。本実施の形態では、光6は拡大しながら入射端面7に入射するので、図7における光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの外縁24が、外装部4への入射角が最小となる。第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、光6の光軸を通る中心光線ではなく光6の外縁24が光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射する条件を満たすように、設定される。図8において、所定面内での光6の外縁24の入射端面7への入射角をθi、所定面内での反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とする。この場合、θi=φ2/2で表される。外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、反射防止膜40の屈折率をn3、屈折角をθrとすると、スネルの法則より、sin(θi)/sin(θr)=n2/n3が成立する。そうすると、sin(θr)=sin(φ2/2)・n3/n2であるから、θr=arcsin{sin(φ2/2)・n3/n2}となる。光6の外縁24の光導波路3から外装部4への入射角をθcとすると、θc=180°-90°-θ1-θrであるから、θc=90°-θ1-arcsin{sin(φ2/2)・n3/n2}となる。光6の外縁24が光導波路3と外装部4の境界面Bで全反射する条件は、θc≧arcsin(n1/n2)である。よって、90°-θ1-arcsin{sin(φ2/2)・n3/n2}≧arcsin(n1/n2)との式をθ1について解くと次式(4)が得られる。
【0073】
【数4】
【0074】
発光装置1Aにおいて、光源2の出射面2bと光導波路3の入射端面7とは平行であり、光6の光軸11と光導波路3の入射端面7とは垂直であるため、第1所定角度θ1と第2所定角度θ2とは互いに等しい。
【0075】
以上から、本実施の形態の発光装置1Aでは、また、発光装置1Aにおいて、外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、反射防止膜40の屈折率をn3、第1所定角度をθ1、所定面内での反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、θ1は、上式(4)を満たす。
【0076】
図6の発光装置1Aでは、発光装置1と同様に、導波構造体5において、出射端面8が所定面内において垂直面Pに対して第3所定角度θ3で傾斜する。第1所定角度θ1、第2所定角度θ2、及び第3所定角度θ3は、光導波路3内から出射端面8を通って外部に出ようとする光6が出射端面8で全反射されないように設定される。これにより、光6が光導波路3内に閉じ込められる可能性を低減して、光6の利用効率の向上が図れる。次に、図5を参照して、第1所定角度θ1、第2所定角度θ2、及び第3所定角度θ3の関係について説明する。
【0077】
図5において、光導波路3内を伝搬後に出射端面8から出射する光6の量を増やすためには、出射端面8において反射して光導波路3内に戻る光6の量を抑制することが考えられる。本実施の形態では、光導波路3内を伝搬する光6のうち光導波路3から外装部4への入射角が最小となる外縁23に関して、光導波路3から外装部4への入射角をθcとする。本実施の形態では、θc=90°-θ1-arcsin{sin(φ2/2)・n3/n2}である。光6の外縁23の、出射端面8への入射角をθsとする。θsは、θs=90°-(θc-θ3)で表される。光6の外縁23が、出射端面8で全反射せずに導波構造体5の外部に出射する条件は、θs<arcsin(1/n2)である。θs=90°-(θc-θ3)を代入すると、90°-θc+θ3<arcsin(1/n2)である。これをθ3について解くと、次式(5)が得られる。
【0078】
【数5】
【0079】
以上から、光導波路3の屈折率をn2、反射防止膜40の屈折率をn3、第1所定角度をθ1、第3所定角度をθ3、所定面内での反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、θ3は、上式(5)を満たす。
【0080】
図6の発光装置1Aでは、反射防止膜40の厚みは、光源2の出射面2bから出射した光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの全部が入射端面7に入射するように設定される。これにより、光6の利用効率の向上が図れる。次に、図7及び図8を参照して、反射防止膜40の厚みについて説明する。
【0081】
図7及び図8において、光源2の活性層2aの出射面2bから出射された光6は、反射防止膜40を通過して、入射端面7から光導波路3内に入射する。図7及び図8において、所定面内において光導波路3の長さ方向Aに直交する方向での光導波路3の寸法、つまり、光導波路3の厚みをDwとする。所定面内において光6の光軸11に垂直な方向での光導波路3の入射端面7の寸法をL1とする。この場合、L1=Dw/2・sin(90°-θ2)が成立する。本実施の形態では、前述のとおりθ2=θ1であるから、L1=Dw/2・sin(90°-θ1)である。図8において、光6の外縁24が反射防止膜40内で拡がる入射端面7上の長さをL2とする。L2は、光6の外縁24が反射防止膜40を通過する際に所定面内において光導波路3の長さ方向Aに直交する方向において光6の外縁24が移動する距離である。反射防止膜40の厚みをDc、所定面内での反射防止膜40内における光6の光束の拡がり角をφ2とする。この場合、L2=Dc・tan(φ2/2)が成立する。所定面内において光6の光軸11に直交する方向での光源2の出射面2bの寸法、つまり活性層2aの厚みをDaとする。この場合、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームが漏れなく入射端面7に入射する条件は、L2≦L1-Da/2である。よって、Dc・tan(φ2/2)≦Dw/2・sin(90°-θ1)-Da/2である。これをDcについて解くと、次式(6)が得られる。
【0082】
【数6】
【0083】
以上から、所定面内において光導波路3の長さ方向Aに直交する方向での光導波路3の寸法をDw、所定面内において光6の光軸11に直交する方向での光源2の出射面2bの寸法をDa、反射防止膜40の厚みをDc、第1所定角度をθ1、反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、Dcは、上式(6)を満たす。
【0084】
反射防止膜40の厚みDcは、上式(6)を満たす中で、工業的に形成に適した厚みであるほうがよい。反射防止膜40の厚みDcは、例えば、50nmより大きく、2500nmより小さい。
【0085】
上述したように、発光装置1Aは、光源2と、導波構造体5と、反射防止膜40とを備える。更に、発光装置1Aは、光源2と導波構造体5と反射防止膜40とを支持するサポート30Aを備える。本実施の形態では、光源2と、導波構造体5と、反射防止膜40とはサポート30Aに取り付けられることで、互いに位置関係が規定される。
【0086】
図6のサポート30Aは、第1取付部材32と、第2取付部材33と、基体34と、高さ調整部材35とを備える。
【0087】
第1取付部材32は、基体34の配置面34aに配置される。光源2は、第1取付部材32における基体34とは反対側の面(図6における上面)に設置される。第1取付部材32は熱伝導性が高い材料により形成されており、これによって、光源2の熱を基体34に伝達して放散させることができる。このように、第1取付部材32は、高さ調整機能と冷却機能とを有する。
【0088】
第2取付部材33は、基体34の配置面34aに配置される。導波構造体5は、第2取付部材33における基体34とは反対側の面(図6における上面)に設置される。第2取付部材33は熱伝導性が高い材料により形成されており、これによって、導波構造体5の熱を基体34に伝達して放散させることができる。このように、第2取付部材33は、高さ調整機能と冷却機能とを有する。
【0089】
高さ調整部材35は、基体34の配置面34aと第1取付部材32との間に配置される。高さ調整部材35は、基体34の配置面34aに対する第1取付部材32の高さを調整する機構であり、かつ、光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して傾斜させて設置する機構である。高さ調整部材35の配置面34aとは反対側の面(図6における上面)は、基体34の配置面34aに対して、第1所定角度θ1で傾斜している。これにより、光源2から出射される光6の光軸11に対する光導波路3の長さ方向Aの角度もθ1となる。高さ調整部材35は、例えば、くさび形である。高さ調整部材35は、所定面内において光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して第1所定角度θ1で傾斜させる角度調整部材である。
【0090】
高さ調整部材35は、反射防止膜40とともに、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま、光源2の出射面2bと入射端面7の距離を一定に保ちながら、光源2を移動させる位置調整部材を構成する。位置調整部材は、光源2を平行に移動させるための平行移動補助部材である。高さ調整部材35を基体34の配置面34aに沿って導波構造体5に近付く方向又は導波構造体5から離れる方向(光導波路3の長さ方向A)に移動させると、光源2が、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度が第1所定角度θ1に維持されたまま反射防止膜40に沿って移動する。これにより、光源2の出射面2bと入射端面7との距離を保ったまま、すなわち、導波構造体5において光6が入射する領域Rの大きさを保ったまま、光源2の出射面2bを、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま移動させることができる。このため、入射端面7に光6が効率良く入射する位置の調整が容易になる。
【0091】
光源2、導波構造体5、及び高さ調整部材35は、導波構造体5により所定の波長に変換された光6の量が最大となるようにそれらの位置が調整された後に、接着剤18d,18e等の固定手段で固定される。図6では、高さ調整部材35が接着剤18dにより基体34に固定され、光源2及び導波構造体5が接着剤18eにより互いに固定されている。接着剤18d,18eは、部材を概略位置に設置して塗布した後も即座に硬化せず、位置調整が可能なものである。接着剤18d,18eは、例えば紫外線硬化樹脂である。
【0092】
次に、光源2と、導波構造体5と、反射防止膜40とをサポート30Aに取り付ける方法について説明する。まず、導波構造体5を第2取付部材33に取り付ける。次に、第2取付部材33を基体34の配置面34aに設置し、固定する。光源2を第1取付部材32に取り付ける。次に高さ調整部材35を基体34の配置面34aに設置する。第1取付部材32を高さ調整部材35に載置する。第1取付部材32及び高さ調整部材35は、未固定である。さらに、光源2と導波構造体5との間に反射防止膜40が配置される。次に、接着剤18d,18eとして紫外線硬化樹脂を塗布する。光源2及び高さ調整部材35は、未固定である。この後に、光源2に電気系統を接続して光源2から光6を出射させる。この状態で、高さ調整部材35を導波構造体5に対して接近又は離間する方向(光導波路3の長さ方向A)に移動させ、出射端面8から出射する光6の量が最大となるように精密な位置調整を行う。位置調整の後、紫外線を照射して接着剤18d,18eを硬化させ、光源2と導波構造体5とを相互に固定し、高さ調整部材35を基体34に固定する。これによって、図6に示す発光装置1Aが得られる。
【0093】
[1.2.2 効果等]
以上述べた発光装置1Aは、光源2と光導波路3との間に配置される反射防止膜40をさらに備える。光源2は、光6が出射する出射面2bを有する。反射防止膜40の厚み方向の第1面40aは光源2の出射面2bに接する。反射防止膜40の厚み方向の第2面40bは光導波路3の入射端面7に接する。所定面内において入射端面7と光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pのなす角度(第2所定角度θ2)は、所定角度θ1に等しい。この構成によれば、光源2の損傷を低減でき、さらに光6の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0094】
また、発光装置1Aにおいて、外装部4の屈折率をn1、光導波路3の屈折率をn2、反射防止膜40の屈折率をn3、所定角度をθ1、所定面内での反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、θ1は、
を満たす。この構成によれば、光6の波長変換効率の向上が図れる。
【0095】
また、発光装置1Aにおいて、出射端面8は、所定面内において垂直面Pに対して傾斜する。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0096】
また、発光装置1Aにおいて、光導波路3の屈折率をn2、反射防止膜40の屈折率をn3、所定角度をθ1、所定面内において出射端面8が垂直面Pに対して傾斜する角度をθ3、所定面内での反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、θ3は、
を満たす。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0097】
また、発光装置1Aにおいて、反射防止膜40の厚みは、光源2の出射面2bから出射した光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの全部が入射端面7に入射するように設定される。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0098】
また、発光装置1Aにおいて、所定面内において光導波路3の長さ方向Aに直交する方向での光導波路3の寸法をDw、所定面内において光6の光軸11に直交する方向での光源2の出射面2bの寸法をDa、反射防止膜40の厚みをDc、所定角度をθ1、反射防止膜40内での光6の光束の拡がり角をφ2とすると、Dcは、
を満たす。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0099】
また、発光装置1Aにおいて、反射防止膜40の厚みは、50nmより大きく、2500nmより小さい。この構成によれば、光6の利用効率の向上が図れる。
【0100】
また、発光装置1Aは、所定面内において光6の光軸11を光導波路3の長さ方向Aに対して所定角度(第1所定角度θ1)で傾斜させる高さ調整部材(角度調整部材)35をさらに備える。反射防止膜40は、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を所定角度(第1所定角度θ1)に維持したまま、光源2の出射面2bと光導波路3の入射端面7の距離を一定に保ちながら、光源2及び導波構造体5のうち少なくとも一方を移動するための位置調整部材の一部である。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0101】
[2.変形例]
本開示の実施の形態は、上記実施の形態に限定されない。上記実施の形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施の形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0102】
[2.1 変形例1]
図9は、変形例1の発光装置の要部の概略断面図である。実施の形態1において、収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品が収束レンズであるように構成されている。変形例1では、収束光学系は、入射端面7と収束レンズ(第2凸レンズ10)との間にアパーチャ50が存在するように構成される。アパーチャ50は、光6の光軸11上において第2凸レンズ10と入射端面7との間に配置される。アパーチャ50は、第2凸レンズ10を露出させる開口50aを有する。
【0103】
変形例1においても、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2は、入射端面7で反射した光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの一部が光源2に入射しないように設定される。変形例1の場合、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームの外縁22が、入射端面7で反射後にアパーチャ50の開口50a内に戻らないという条件を満たすように、第1所定角度θ1及び第2所定角度θ2が設定される。収束光学系20の有効半径をr、入射端面7から収束光学系20までの距離をx、第1所定角度をθ1、第2所定角度をθ2、所定面内での収束光学系20により入射端面7に収束する光6の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、上式(2)を満たせばよい。変形例1の場合、入射端面7から収束光学系20までの距離xは、入射端面7からアパーチャ50までの距離である。有効半径は、アパーチャ50の開口50aの半径である。
【0104】
以上述べたように、収束光学系20は、入射端面7と収束レンズとの間にアパーチャ50が存在するように構成される。つまり、収束光学系20は、最も入射端面7側に位置する部品がアパーチャ50であるように構成される。有効半径は、アパーチャ50の開口50aの半径である。入射端面7から収束光学系20までの距離は、入射端面7からアパーチャ50までの距離である。この構成によれば、光源2の損傷を低減できる。
【0105】
[2.2 変形例2]
図10は、変形例2の発光装置1Bの構成例の概略側面図である。図10の発光装置1Bは、光源2と、導波構造体5と、収束光学系20と、サポート30Bとを備える。光源2と、導波構造体5と、収束光学系20とはサポート30Bに取り付けられることで、互いに位置関係が規定される。
【0106】
図10のサポート30Bは、第1取付部材12と、第2取付部材13と、基体14と、高さ調整部材15と、第1位置決めガイド16と、第2位置決めガイド17とを備える。
【0107】
図10の高さ調整部材15は、基体14の配置面14aと第2取付部材13との間に配置される。高さ調整部材15は、基体14の配置面14aに対する第2取付部材13の高さを調整する機構であり、かつ、光導波路3の長さ方向Aを光6の光軸11に対して傾斜させて設置する機構である。高さ調整部材15の配置面14aとは反対側の面(図10における上面)は、基体14の配置面14aに対して、第1所定角度θ1で傾斜している。これにより、光源2から出射される光6の光軸11に対する光導波路3の長さ方向Aの角度もθ1となる。高さ調整部材15は、例えば、くさび形である。高さ調整部材15は、所定面内において光導波路3の長さ方向Aを光6の光軸11に対して第1所定角度θ1で傾斜させる角度調整部材である。
【0108】
図10の第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17は、高さ調整部材15とともに、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま導波構造体5を移動させる位置調整部材を構成する。位置調整部材は、導波構造体5を平行に移動させるための平行移動補助部材である。第1位置決めガイド16は、第2取付部材13の光源2に対向する端面に設置される。第2位置決めガイド17は、第2取付部材13の光源2とは反対側の端面に設置される。第1位置決めガイド16の第2取付部材13に接する面は、光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度θ2で傾斜している。同様に、第2位置決めガイド17の第2取付部材13に接する面も、光導波路3の長さ方向Aに垂直な垂直面Pに対して第2所定角度θ2で傾斜している。
【0109】
高さ調整部材15を基体14の配置面14aに沿って光源2に近付く方向又は光源2から離れる方向に移動させると、導波構造体5が、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度が第1所定角度θ1に維持されたまま第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17に沿って移動する。これにより、光源2の出射面2bと光導波路3の入射端面7との距離を保ったまま、すなわち、導波構造体5において光6が入射する領域Rの大きさを保ったまま、導波構造体5の入射端面7を、所定面内における光6の光軸11と光導波路3の長さ方向Aとの間の角度を第1所定角度θ1に維持したまま移動させることができる。このため、入射端面7に光6が効率良く入射する位置の調整が容易になる。
【0110】
収束光学系20の第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10と、高さ調整部材15とは、導波構造体5により所定の波長に変換された光6の量が最大となるようにそれらの位置が調整された後に、接着剤18a,18b,18c等の固定手段で第1取付部材12及び基体14に固定される。図10では、第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10が接着剤18a,18bにより第1取付部材12に固定され、高さ調整部材15が接着剤18cにより基体14に固定されている。接着剤18a,18b,18cは、接着対象の部材を接着位置に設置して塗布した後も即座に硬化せず、位置調整が可能なものである。接着剤18a,18b,18cは、例えば紫外線硬化樹脂である。
【0111】
次に、光源2と、収束光学系20と、導波構造体5とをサポート30Bに取り付ける方法について説明する。まず、光源2及び収束光学系20を第1取付部材12に取り付ける。次に、第1取付部材12を基体14の配置面14aに設置し、固定する。この時点では、収束光学系20の第1凸レンズ9及び第2凸レンズ10は、未固定である。次に導波構造体5を第2取付部材13に取り付ける。次に高さ調整部材15を基体14の配置面14aに設置する。第2取付部材13を高さ調整部材15に載置する。第2取付部材13及び高さ調整部材15は、未固定である。次に、接着剤18a,18b,18cとして紫外線硬化樹脂を塗布する。第1凸レンズ9、第2凸レンズ10、及び高さ調整部材15は、未固定である。この後に、基体14の配置面14aに第1位置決めガイド16及び第2位置決めガイド17を設置し、固定する。この後に、光源2に電気系統を接続して光源2から光6を出射させる。この状態で、入射端面7を含む平面内において光6が最も収束するように第1凸レンズ9と第2凸レンズ10の精密な位置調整を行う。その後、高さ調整部材15を光源2に対して接近又は離間する方向(光導波路3の長さ方向A)に移動させ、光導波路3の出射端面8から出射する光6の量が最大となるように精密な位置調整を行う。つまり、光6が入射する領域Rが入射端面7内に収まるように、収束光学系20の調整を行う。位置調整の後、紫外線を照射して接着剤18a,18b,18cを硬化させ、第1凸レンズ9、第2凸レンズ10、第2取付部材13及び高さ調整部材15を固定する。これによって、図10に示す発光装置1Bが得られる。
【0112】
このように、基体14の配置面14aに対して光源2ではなく導波構造体5を傾斜させて設置し、位置調整する構造においても、入射端面7における光6の断面が、入射端面7に包含され、光6の光軸11が光導波路3の長さ方向Aに対して傾斜していることによって、光6のピーク強度の1/e2で規定されるビームが漏れなく入射端面7から光導波路3内に入射し、光導波路3と外装部4との境界面Bで全反射しながら光導波路3内を伝搬する光路長が光導波路3の長さよりも長くなるため、波長変換の効率が高くなる。
【0113】
以上述べたように、発光装置1Bは、光源2と導波構造体5とが配置される配置面14aを有する基体14をさらに備える。導波構造体5の光導波路3の長さ方向Aが、所定面内において基体14の配置面14aの沿面方向に対して傾斜する。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0114】
[2.3 その他の変形例]
一変形例では、光源2は、半導体レーザに限定されず、他の光源であってもよい。また、光源2の代わりに、指向性を有する電磁波を照射する電磁波源であってもよい。
【0115】
一変形例では、光導波路3の形状は、六面体状に限定されず、円柱状や、他の多面体状であってもよい。入射端面7および出射端面8の断面形状は、長方形に限定されず、円や楕円、その他の多角形であってもよい。
【0116】
一変形例では、外装部4の形状は、六面体状に限定されず、円柱状や、他の多面体状であってもよい。
【0117】
一変形例では、導波構造体5は、光導波路型SHG素子に限定されず、他の導波構造体であってもよい。
【0118】
一変形例では、収束光学系20は、第1凸レンズ9と第2凸レンズ10とを備える構成に限定されず、他の収束光学系であってもよい。レンズ形状は、凸レンズだけでなく、球レンズであってもよい。第1凸レンズ9と第2凸レンズ10は、光軸11の方向から見て、正円形状に限定されず、楕円形上、正多角形状等の多角形形状であってもよい。
【0119】
一変形例では、出射端面8における光導波路3の断面形状は、長方形に限らず、円や楕円、その他の多角形であってもよい。
【0120】
一変形例では、出射端面8における光6の断面形状は、楕円形に限らず、円や、その他の多角形であってもよい。
【0121】
一変形例では、接着剤18a~18eは、紫外線硬化樹脂に限らず、熱硬化樹脂や室温硬化樹脂や、その他の接着剤であってもよい。接着剤18a~18eは、接着対象の部材を接着位置に設置した後に塗布することに限らず、予め接着位置に塗布されていてもよいし、精密な位置調整を行った後に塗布されてもよい。
【0122】
一変形例では、反射防止膜40は、光導波路3よりも屈折率の低い材料で構成された膜に限定されず、他の膜であってもよい。膜の構成については、単層膜に限らず、屈折率の低い材料と屈折率の高い材料を組み合わせた多層膜であってもよい。反射防止膜40は、導波構造体5の入射端面7に形成されたものに限定されず、光源2の出射面2bに形成されてもよい。この場合、光源2と導波構造体5との位置調整の際、高さ調整部材35の導波構造体5に対する光導波路3の長さ方向Aの移動によって、光源2が反射防止膜40に沿って移動するのではなく、光源2に形成された反射防止膜40が導波構造体5の入射端面7に沿って移動する。
【0123】
実施の形態1では、光源2の光6の光軸11が所定面内において基体14の配置面14aの沿面方向に対して傾斜する。変形例2では、導波構造体5の光導波路3の長さ方向Aが所定面内において基体14の配置面14aの沿面方向に対して傾斜する。一変形例では、光源2の光6の光軸11及び導波構造体5の光導波路3の長さ方向Aの少なくとも一方が、所定面内において基体14;34の配置面14a;34aの沿面方向に対して傾斜していてもよい。この構成によれば、光源2と導波構造体5との位置関係を容易に設定できる。
【0124】
[3.態様]
上記実施の形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施の形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0125】
第1の態様は、発光装置(1;1A)であって、指向性を有する光(6)を出射する光源(2)と、入射端面(7)及び出射端面(8)を有し入射端面(7)から入射した光(6)を光(6)の波長を変換して出射端面(8)から出射する光導波路(3)、及び光透過性を有し入射端面(7)及び出射端面(8)が露出するように光導波路(3)を覆う外装部(4)を含む導波構造体(5)とを備える。光導波路(3)の長さ方向(A)は、光導波路(3)の長さ方向(A)及び光(6)の光軸(11)を含む所定面内において光(6)の光軸(11)に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光(6)が光導波路(3)内を光導波路(3)と外装部(4)との境界面(B)で全反射しながら伝播するように設定される。この態様によれば、光源(2)の損傷を低減でき、さらに光(6)の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0126】
第2の態様は、第1態様に基づく発光装置(1)である。第2の態様において、導波構造体(5)の端面(5a)に入射する光(6)のピーク強度の1/e2で規定されるビーム断面に対応する領域(R)は、入射端面(7)内に収まる。この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0127】
第3の態様は、第2の態様に基づく発光装置(1)である。第3の態様において、発光装置(1)は、光(6)の光軸(11)上にあって光(6)を入射端面(7)に収束させる収束光学系(20)をさらに備える。この態様によれば、光源(2)の損傷を低減でき、さらに光(6)の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0128】
第4の態様は、第3の態様に基づく発光装置(1)である。第4の態様において、外装部(4)の屈折率をn1、光導波路(3)の屈折率をn2、所定角度をθ1、所定面内において入射端面(7)と光導波路(3)の長さ方向(A)に垂直な垂直面(P)のなす角度をθ2、所定面内での収束光学系(20)により入射端面(7)に収束する光(6)の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、次式を満たす。
この態様によれば、光(6)の波長変換効率の向上が図れる。
【0129】
第5の態様は、第3又は第4の態様に基づく発光装置(1)である。第5の態様において、所定角度は、光(6)のピーク強度の1/e2で規定されるビームの入射端面(7)で反射した一部が光源(2)に入射しないように設定される。この態様によれば、光源(2)の損傷の防止が図れる。
【0130】
第6の態様は、第5の態様に基づく発光装置(1)である。第6の態様において、収束光学系(20)の有効半径をr、入射端面(7)から収束光学系(20)までの距離をx、所定角度をθ1、所定面内において入射端面(7)と光導波路(3)の長さ方向(A)に垂直な垂直面(P)のなす角度をθ2、所定面内での収束光学系(20)により入射端面(7)に収束する光(6)の光束の頂角をφ1とすると、θ1は、次式を満たす。
この態様によれば、光源(2)の損傷を低減できる。
【0131】
第7の態様は、第6の態様に基づく発光装置(1)である。第7の態様において、収束光学系(20)は、最も入射端面(7)側に位置する部品が収束レンズ(第2凸レンズ10)であるように構成される。有効半径は、収束レンズの半径である。入射端面(7)から収束光学系(20)までの距離は、入射端面(7)から収束レンズまでの距離である。この態様によれば、光源(2)の損傷を低減できる。
【0132】
第8の態様は、第6の態様に基づく発光装置(1)である。第8の態様において、収束光学系(20)は、最も入射端面(7)側に位置する部品がアパーチャ(50)であるように構成される。有効半径は、アパーチャ(50)の開口(50a)の半径である。入射端面(7)から収束光学系(20)までの距離は、入射端面(7)からアパーチャ(50)までの距離である。この態様によれば、光源(2)の損傷を低減できる。
【0133】
第9の態様は、第3~第8の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1)である。第9の態様において、出射端面(8)は、所定面内において入射端面(7)と光導波路(3)の長さ方向(A)に垂直な垂直面(P)に対して傾斜する。この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0134】
第10の態様は、第9の態様に基づく発光装置(1)である。第10の態様において、光導波路(3)の屈折率をn2、所定角度をθ1、所定面内において入射端面(7)と光導波路(3)の長さ方向(A)に垂直な垂直面(P)のなす角度をθ2、所定面内において出射端面(8)が垂直面(P)に対して傾斜する角度をθ3、所定面内での収束光学系(20)により入射端面(7)に収束する光(6)の光束の頂角をφ1とすると、θ3は、次式を満たす。
この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0135】
第11の態様は、第1~第10の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1)である。第11の態様において、発光装置(1)は、所定面内において光(6)の光軸(11)を光導波路(3)の長さ方向(A)に対して所定角度で傾斜させる角度調整部材(高さ調整部材15)と、所定面内における光(6)の光軸(11)と光導波路(3)の長さ方向(A)との間の角度を所定角度に維持したまま光源(2)の出射面(2b)と入射端面(7)の距離を一定に保ちながら、光源(2)及び導波構造体(5)の少なくとも一方を移動させる位置調整部材(高さ調整部材15、第1及び第2位置決めガイド16,17)とをさらに備える。この態様によれば、光源(2)と導波構造体(5)との位置関係を容易に設定できる。
【0136】
第12の態様は、第1又は第2の態様に基づく発光装置(1A)である。第12の態様において、発光装置(1A)は、光源(2)と光導波路(3)との間に配置される反射防止膜(40)をさらに備える。光源(2)は、光(6)が出射する出射面(2b)を有する。反射防止膜(40)の厚み方向の第1面(40a)は光源(2)の出射面(2b)に接する。反射防止膜(40)の厚み方向の第2面(40b)は光導波路(3)の入射端面(7)に接する。所定面内において入射端面(7)と光導波路(3)の長さ方向(A)に垂直な垂直面(P)のなす角度は、所定角度に等しい。この態様によれば、光源(2)の損傷を低減でき、さらに光(6)の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0137】
第13の態様は、第12の態様に基づく発光装置(1A)である。第13の態様において、外装部(4)の屈折率をn1、光導波路(3)の屈折率をn2、反射防止膜(40)の屈折率をn3、所定角度をθ1、反射防止膜(40)内での光(6)の光束の拡がり角をφ2とすると、θ1は、次式を満たす。
この態様によれば、光(6)の波長変換効率の向上が図れる。
【0138】
第14の態様は、第12又は第13の態様に基づく発光装置(1A)である。第14の態様において、出射端面(8)は、所定面内において垂直面(P)に対して傾斜する。この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0139】
第15の態様は、第14の態様に基づく発光装置(1A)である。第15の態様において、光導波路(3)の屈折率をn2、反射防止膜(40)の屈折率をn3、所定角度をθ1、所定面内において出射端面(8)が垂直面(P)に対して傾斜する角度をθ3、所定面内での反射防止膜(40)内での光(6)の光束の拡がり角をφ2とすると、θ3は、次式を満たす。
この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0140】
第16の態様は、第12~第15の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1A)である。第16の態様において、反射防止膜(40)の厚みは、光源(2)の出射面(2b)から出射した光(6)のピーク強度の1/e2で規定されるビームが入射端面(7)に入射するように設定される。この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0141】
第17の態様は、第16の態様に基づく発光装置(1A)である。第17の態様において、所定面内において光導波路(3)の長さ方向(A)に直交する方向での光導波路(3)の寸法をDw、所定面内において光(6)の光軸(11)に直交する方向での光源(2)の出射面(2b)の寸法をDa、反射防止膜(40)の厚みをDc、所定角度をθ1、所定面内での反射防止膜(40)内での光(6)の光束の拡がり角をφ2とすると、Dcは、次式を満たす。
この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0142】
第18の態様は、第16又は第17の態様に基づく発光装置(1A)である。第18の態様において、反射防止膜(40)の厚みは、50nmより大きく、2500nmより小さい。この態様によれば、光(6)の利用効率の向上が図れる。
【0143】
第19の態様は、第12~第18の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1A)である。第19の態様において、発光装置(1A)は、所定面内において光(6)の光軸(11)を光導波路(3)の長さ方向(A)に対して所定角度で傾斜させる調整部材(35)をさらに備える。反射防止膜(40)は、所定面内における光(6)の光軸(11)と光導波路(3)の長さ方向(A)との間の角度を所定角度に維持したまま、光源(2)の出射面(2b)と入射端面(7)の距離を一定に保ちながら、光源(2)及び導波構造体(5)の少なくとも一方を移動するための位置調整部材の一部である。この態様によれば、光源(2)と導波構造体(5)との位置関係を容易に設定できる。特に、発光装置(1A)は、導波構造体5に対する光源2の高さを調整する高さ調整部材(35)をさらに備える、高さ調整部材(35)は、反射防止膜(40)とともに、位置調整部材を構成する。
【0144】
第20の態様は、第1~第19の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1;1A)である。第20の態様において、発光装置(1;1A)は、光源(2)と導波構造体(5)とが配置される配置面(14a;34a)を有する基体(14;34)をさらに備える。光源(2)の光(6)の光軸(11)及び導波構造体(5)の光導波路(3)の長さ方向(A)の少なくとも一方が、所定面内において基体(14;34)の配置面(14a;34a)の沿面方向に対して傾斜する。この態様によれば、光源(2)と導波構造体(5)との位置関係を容易に設定できる。
【0145】
第21の態様は、第1~第20の態様のいずれか一つに基づく発光装置(1;1A)である。第21の態様において、導波構造体(5)は、光導波路型SHG素子である。この態様によれば、光(6)の波長変換効率の向上が図れる。
【0146】
第22の態様は、発光装置(1;1A)の製造方法である。発光装置(1)は、指向性を有する光(6)を出射する光源(2)と、入射端面(7)及び出射端面(8)を有し入射端面(7)から入射した光(6)を光(6)の波長を変換して出射端面(8)から出射する光導波路(3)、及び光透過性を有し入射端面(7)及び出射端面(8)が露出するように光導波路(3)を覆う外装部(4)を含む導波構造体(5)とを備える。製造方法は、所定角度を、光(6)が光導波路(3)内を光導波路(3)と外装部(4)との境界面(B)で全反射しながら伝播するように設定することを含む。所定角度は、光導波路(3)の長さ方向(A)及び光(6)の光軸(11)を含む所定面内における光導波路(3)の長さ方向(A)と光(6)の光軸(11)との間の角度である。この態様によれば、光源(2)の損傷の防止でき、さらに光(6)の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0147】
第23の態様は、第22の態様に基づく製造方法である。第23の態様において、発光装置(1;1A)は、所定面内において光(6)の光軸(11)を光導波路(3)の長さ方向(A)に対して所定角度で傾斜させる角度調整部材(高さ調整部材15;35)と、所定面内における光(6)の光軸(11)と光導波路(3)の長さ方向(A)との間の角度を所定角度に維持したまま光源(2)の出射面(2b)と入射端面(7)の距離を一定に保ちながら、光源(2)及び導波構造体(5)の少なくとも一方を移動させる位置調整部材(高さ調整部材15、第1及び第2位置決めガイド16,17;高さ調整部材35及び反射防止膜40)とをさらに備える。製造方法は、角度調整部材と位置調整部材により光源(2)及び導波構造体(5)の少なくとも一方を移動させることによって導波構造体(5)の出射端面(8)から出射する光(6)の量が最大となるように光源(2)と導波構造体(5)の位置を決定することを含む。この態様によれば、光源(2)と導波構造体(5)との位置関係を容易に設定できる。
【0148】
第24の態様は、導波構造体(5)であって、入射端面(7)及び出射端面(8)を有し入射端面(7)から入射した指向性を有する光(6)を光(6)の波長を変換して出射端面(8)から出射する光導波路(3)と、光透過性を有し入射端面(7)及び出射端面(8)が露出するように光導波路(3)を覆う外装部(4)とを備える。光導波路(3)の長さ方向(A)は、光導波路(3)の長さ方向(A)及び光(6)の光軸(11)を含む所定面内において光(6)の光軸(11)に対して所定角度で傾斜する。所定角度は、光(6)が光導波路(3)内を光導波路(3)と外装部(4)との境界面(B)で全反射しながら伝播するように設定される。この態様によれば、光源(2)の損傷の防止でき、さらに光(6)の利用効率及び波長変換効率の向上が図れる。
【0149】
なお、第2~第21の態様は、第22の態様又は第24の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示は、発光装置に適用可能である。具体的には、指向性を有する光を出射する光源を備える発光装置に、本開示は適用可能である。また、本開示は、指向性を有する電磁波を照射する照射装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0151】
1,1A 発光装置
2 光源
2b 出射面
3 光導波路
4 外装部
5 導波構造体
6 光
7 入射端面
8 出射端面
9 第1凸レンズ
10 第2凸レンズ
11 光軸
14 基体
14a 配置面
15 高さ調整部材
16 第1位置決めガイド
17 第2位置決めガイド
20 収束光学系
34 基体
34a 配置面
35 高さ調整部材
40 反射防止膜
40a 第1面
40b 第2面
50 アパーチャ
50a 開口
A 長さ方向(光導波路の長さ方向)
B 境界面(光導波路と外装部との境界面)
P 垂直面
R 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10