(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010471
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】投薬容器用ノズル及び投薬容器
(51)【国際特許分類】
A61J 1/10 20060101AFI20230113BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61J1/10 335C
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114658
(22)【出願日】2021-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】319006586
【氏名又は名称】和田 功実
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100121924
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 功実
【テーマコード(参考)】
3E064
4C047
【Fターム(参考)】
3E064AA01
3E064BA26
3E064EA30
3E064FA04
3E064HL05
3E064HM01
3E064HM02
3E064HN05
3E064HN12
3E064HR01
3E064HS07
4C047AA11
4C047BB13
4C047BB16
4C047CC04
4C047CC06
4C047CC11
4C047DD03
4C047DD12
(57)【要約】
【課題】開封が容易で、開封したときに排出孔が塞がれることがない投薬容器用ノズル及び投薬容器を提供する。
【解決手段】入口部8と排出部5とを有する投薬容器1の排出部5に取り付けられる投薬容器用ノズル10において、排出部5に一体に設けられたノズル本体11と、ノズル本体11から投薬容器1の内部に延びる内側部12と、ノズル本体11と内側部12を連結する可撓性を有する連結部13とを備える。ノズル本体11を貫通し、内側部12に至る排出穴17が形成されている。内側部12を投薬容器1の外側から折ると、内側部12がノズル本体11から分離され、排出穴17が投薬容器1の内部と連通する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口部と排出部とを有する投薬容器の前記排出部に取り付けられる投薬容器用ノズルにおいて、
前記排出部に一体に設けられたノズル本体と、
前記ノズル本体から前記投薬容器の内部に延びる内側部と、
前記ノズル本体と前記内側部を連結する可撓性を有する連結部とを備え、
前記ノズル本体を貫通し、前記内側部に至る排出穴が形成され、
前記内側部を前記投薬容器の外側から折ると、前記内側部が前記ノズル本体から分離され、前記排出穴が前記投薬容器の内部と連通するようにしたことを特徴とする投薬容器用ノズル。
【請求項2】
前記内側部の外周にノッチが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の投薬容器用ノズル。
【請求項3】
前記ノズル本体の前記排出穴は、前記ノッチを越えて前記内側部に延びていることを特徴とする請求項2に記載の投薬容器用ノズル。
【請求項4】
前記連結部は、湾曲部又は屈曲部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の投薬容器用ノズル。
【請求項5】
前記内側部は、前記投薬容器の内壁を形成する対向する2枚のシートに向かって突出する突出部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の投薬容器用ノズル。
【請求項6】
前記ノズル本体は、基部と、前記基部から外側に延びるコネクタ部とを有し、
前記コネクタ部は、外周面に雄ねじが形成された雌コネクタであり、
前記雌コネクタに対して、前記雌コネクタに挿入される円筒部と、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成された外筒部とからなる雄コネクタが装着可能であり、
前記コネクタ部と前記基部の間に前記基部の外形より大きい当て板が設けられている請求項1から5のいずれかに記載の投薬容器用ノズル。
【請求項7】
入口部と排出部とを有し、前記排出部に請求項1から5のいずれかに記載のノズルが取り付けられ、
前記排出部から一方の側の縁部に向かって、傾斜した第1底縁が設けられ、
前記排出部から他方の側の縁部に向かって、水平な第2底縁と傾斜した第3底
縁とが連続して設けられていることを特徴とする投薬容器。
【請求項8】
前記投薬容器用ノズルの連結部が、前記第1底縁が設けられた側に位置していることを特徴とする請求項7に記載の投薬容器。
【請求項9】
前記第2底縁と前記第3底縁の交差部と対向する上縁部に吊り孔が形成されていることを特徴とする請求項7又は8に記載に投薬容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投薬容器用ノズル及び投薬容器に関する。
【背景技術】
【0002】
嚥下障害等により口から栄養が取れない患者の場合、経鼻胃管、胃瘻、腸瘻等の経管栄養補給法が行われている。このような経管栄養補給法では、ボトルやバッグ(以下、「投薬容器」という)に栄養剤を入れ、チューブを介して胃や腸に注入する。投薬容器には、排出部にノズルが設けられ、該ノズルにチューブが接続される。
【0003】
このような投薬容器では、投薬容器内でお湯と栄養剤を混合させて溶解又は懸濁している間は、投薬容器の排出部を密封し、患者に注入するときに、排出部を開封している。
【0004】
特許文献1には、容器のノズルに隔壁が設けられ、先端に接続針が設けられたカテーテルをノズルにねじ込む過程で、接続針が隔壁を破断するカテーテル接続構造が記載されている。引用文献1では、破断した隔壁片が容器内で遊離するので、隔壁片が排出孔を塞ぐ恐れがあった。
【0005】
また、特許文献2には、投薬容器に収容部とノズルからなる排出部とを備え、収容部と排出部との境界部分を閉塞する閉塞部をさらに備え、収容部に医薬品と液体を収容して、医薬品を崩壊、懸濁させて、収容部に力を加えて閉塞部を開き、収容部内の医薬品と液体の混合物を排出部のノズルを経てチューブに流出することができる投薬容器が記載されている。引用文献2では、収容部に力を加えて閉塞部を開く際に、投薬容器を二つ折りにして握り、収容部の混合物に圧力を加える必要があるため、特に女性の看護師や介護者にとって閉塞部の開放が困難であった、
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-210023号公報
【特許文献5】特許第5873483号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、斯かる従来の問題点に鑑みてなされたもので、開封が容易で、開封したときに排出孔が塞がれることがない投薬容器用ノズル及び投薬容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明の投薬容器用ノズルは、
(1)入口部と排出部とを有する投薬容器の前記排出部に取り付けられる投薬容器用ノズルにおいて、
前記排出部に一体に設けられたノズル本体と、
前記ノズル本体から前記投薬容器の内部に延びる内側部と、
前記ノズル本体と前記内側部を連結する可撓性を有する連結部とを備え、
前記ノズル本体を貫通し、前記内側部に至る排出穴が形成され、
前記内側部を前記投薬容器の外側から折ると、前記内側部が前記ノズル本体から分離され、前記排出穴が前記投薬容器の内部と連通するようにした。
【0009】
前記手段では、ノズルの内側部を投薬容器の外側から折るだけで、内側部がノズル本体から分離され、排出穴が投薬容器の内部と連通する。また、ノズル本体と内側部を連結する可撓性を有する連結部を備えているので、ノズルの内側部を投薬容器の外側から折って開封したときに、内側部が投薬容器内で遊離しない。
【0010】
(2)前記内側部の外周にノッチが形成されていることが好ましい。
このノッチにより、内側部を容易に折ることができる。
【0011】
(3)前記ノズル本体の前記排出穴は、前記ノッチを越えて前記内側部に延びていることが好ましい。
これにより、ノッチの底と排出穴との間が薄肉になり、内側部を僅かな外力で簡単に折ることができるとともに、折った後の排出穴に入口が確実に形成される。
【0012】
(4)前記連結部は、湾曲部又は屈曲部を有することが好ましい。
これにより、内側部が分離されたときに、内側部がノズル本体の排出穴の入口から離れた位置に移動するので、内側部がノズル本体の排出穴の入口を塞ぐことはない。
【0013】
(5)前記内側部は、前記投薬容器の内壁を形成する対向する2枚のシートに向かって突出する突出部が形成されていることが好ましい。
これにより、投薬容器の内部が見えない場合であっても、手探りで突出部の位置が分かるので、容易に内側部を折ることができる。
【0014】
(6)前記ノズル本体は、基部と、前記基部から外側に延びるコネクタ部とを有し、
前記コネクタ部は、外周面に雄ねじが形成された雌コネクタであり、
前記雌コネクタに対して、前記雌コネクタに挿入される円筒部と、前記雄ねじに螺合する雌ねじが形成された外筒部とからなる雄コネクタが装着可能であり、
前記コネクタ部と前記基部の間に前記基部の外形より大きい当て板が設けられていることが好ましい。
これにより、雄コネクタが雌コネクタにねじ込まれる際に、雄コネクタの先端が当て板に当接して、雄コネクタのねじが進み過ぎるのを防止することができる。
【0015】
本発明の投薬容器は、
(7)入口部と排出部とを有し、前記排出部に前記ノズルが取り付けられ、
前記排出部から一方の側の縁部に向かって、傾斜した第1底縁が設けられ、
前記排出部から他方の側の縁部に向かって、水平な第2底縁と傾斜した第3底縁とが連続して設けられている。
これにより、投薬容器の底部に、第1底縁がある側に狭底部が形成され、第2底縁と第3底縁がある側に広底部が形成され、広底部に医薬品等の固形物が集積するので、広底部の外部から医薬品等を押し潰すことができる。
【0016】
(8)前記投薬容器用ノズルの連結部が、前記第1底縁が設けられた側に位置していることが好ましい。
連結部が第1底縁のある狭底部に位置することで、第2底縁と第3底縁のある広底部がより広くなり、広底部で医薬品等を潰す作業をしている間に、連結部に触れて内側部を折ることがなくなる。
【0017】
(9)前記第2底縁と前記第3底縁の交差部と対向する上縁部に吊り孔が形成されていることが好ましい。
これにより、吊り穴を上にして投薬容器を吊り下げたときに、第2底縁と第3底縁のある広底部が第1底縁にある狭底部より下になり、広底部に医薬品等の固形物が集積するので、ここで、広底部の外部から医薬品等を押し潰すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノズルの内側部を投薬容器の外側から折るだけで、内側部がノズル本体から分離され、排出穴が投薬容器の内部と連通するので、開封が容易である。
また、ノズル本体と内側部を連結する可撓性を有する連結部を備えているので、ノズルの内側部を投薬容器の外側から折って開封したときに、内側部が投薬容器内で遊離しないうえ、ノズル本体から分離された内側部により排出孔が塞がれることがないという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の投薬容器用ノズルが取り付けられた投薬容器の一部破断正面図。
【
図4】ノズルの正面図(a)、左側面図(b)、右側面図(c)、平面図(d)及び底面図(e)。
【
図6】医薬品の懸濁中の状態を示す投薬容器の側面図。
【
図7】医薬品の懸濁中の状態を示す投薬容器の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る投薬容器用ノズル(以下、単に「ノズル」という。)10が取り付けられた投薬容器1を示す。投薬容器1は、無色透明、半透明又は有色透明でポリエチレン等の軟質の合成樹脂で形成されている。投薬容器1は、矩形の2枚のシート2a、2bを重ね合わせ、左縁部3aと右縁部3bを互いに接着するとともに、底縁部4の中央の排出部5にノズル10を挟み、該底の縁部4を接着することにより、内部に医薬品と液体を収容する収容部6が形成されている。シート2a、2bの上縁部7も互いに接着され、シート2aの上縁部7より下方に入口部8が設けられている。入口部8の内側は、
図2に示すように、2つの溝と突条からなる周知のチャックテープ9が設けられ、収容部6を開閉可能にしている。
【0022】
収容部6の底は、中央の排出部5に対して左右非対称に設けられ、
図1において右側が左側より広くなっている。すなわち、収容部6の底縁部4は、排出部5から左縁部3aに向かって斜め上に延びる傾斜した第1底縁4aと、排出部5から右縁部3bに向かって水平に延びる水平な第2縁部4bと、当該第2縁部4bに連続して右縁部3bに向かって斜め上に延びる傾斜した第3縁部4cとが設けられている。排出部10に対して左側の第1底縁4aは狭底部6aを形成し、排出部10に対して右側の第2底縁4bと第3底縁4cは、狭底部6aより面積が大きい広底部6bを形成している。第2底縁4bと第3底縁4cの交差部と対向する上縁部7には、吊り孔7aが形成されている。
【0023】
図3は、ノズル10を示し、このノズル10は、ノズル本体11と、内側部12と、ノズル本体11と内側部12を連結する連結部13とから構成されている。ノズル10は、高密度ポリエチレン(HDPE)等の合成樹脂で一体に形成されている。
【0024】
図4に示すように、ノズル本体11は、投薬容器1の排出部5に取り付けられる基部14と、投薬容器1の外方に突出する雌コネクタ15と、当て板16とが一体に形成されたものである。
【0025】
ノズル本体11の基部14は、横断面が菱形で、対向する鈍角の角部が円弧で形成されている。
図5に示すように、基部14には、内側部12まで延びる排出穴17が形成されている。基部14の外面には、排出穴17の中心軸に直交する方向に延びる3つの突条18が形成され、投薬容器1の排出部5の2つのシート2a、2bに挟んで接着するとき接着強度を高めることができる。
【0026】
ノズル本体11の雌コネクタ15は、
図5に示すように、基部14の排出穴17に連通する円筒形状を有し、外周面に雄ねじ15aが形成されている。雌コネクタ15には、
図5に示すように、経鼻胃管、又は胃瘻や腸瘻のカテーテルに接続されたチューブ(以下、単に「チューブ)という)19の雄コネクタ20がねじ込んで装着される。雄コネクタ20は、雌コネクタ15に挿入される円筒部20aと、雌コネクタ15の雄ねじ15aに螺合する雌ねじ20bが形成された外筒部20cとからなる。雌コネクタ15と雄コネクタ20は、ISO80369-3に規定された寸法を有する。
【0027】
ノズル本体11の当て板16は、雌コネクタ15と基部14の間に設けられている。当て板16の外形は、
図4に示すように、基部14の外形より大きい長円形状を有している。当て板16は、
図5に示すように、雄コネクタ20が雌コネクタ15にねじ込まれる際に、雄コネクタ20の先端が当接して、雄コネクタ20のねじが進み過ぎるのを防止している。
【0028】
内側部12は、軸部21と、操作部22とが一体に形成されたものである。
【0029】
内側部12の軸部21は、基部14よりも小径で、基部14に連続して設けられている。軸部21の下端には、基部14の排出穴17と連通し、基部21の排出穴17と同径の穴21aが形成されている。軸部21の外周面には、V字形断面のノッチ21bが形成され、ノッチ21bの底は軸部21の穴21aに近接していて薄肉に形成されている。軸部21の穴21aは、ノッチ1bを越えて上方に延びている。
【0030】
内側部12の操作部22は、断面がH型に形成され、シート2a、2bに平行なウェブ部22aと、シート2a、2bに直交する2つのフランジ部22bとで構成されている。2つのフランジ部22bの上部には、シート2a、2bに向かって突出する突出部22cが形成されている。
【0031】
連結部13は、ノズル本体11の基部14の上端面と、内側部12の操作部22の側面との間に、鍵形に延びるように設けられている。連結部13は、シート2a、2bに対して直交する方向から見た幅Aと、シート2a、2bに平行な方向から見た厚さBとからなる矩形の横断面を有し、厚さBが幅Aより小さいく、可撓性を有する。連結部13は、シート2a、2bに対して直交する方向から見たとき、操作部22の側面に連結されて、当該側面から水平に延びる水平部13aと、水平部13aの端から下方に延びる第1垂直部13bと、第1垂直部13bの下端から軸部21に向かって斜めに延びる傾斜部13cと、傾斜部13cの下端からノズル本体11の基部14に向かって延びて、当該基部14に連結された第2垂直部13dとからなり、3箇所の屈曲部13e、13f、13gを有している。
【0032】
次に、前記構成のノズル10を備えた投薬容器1を使用して簡易懸濁法により投薬を行う場合における特にノズル10の作用を説明する。
【0033】
投薬容器1のノズル10の内側部12の軸部21が折れていないことを確認してから、投薬容器1のチャックテープ9を開き、入口部8を広げて、患者の投薬に必要なカプセル剤や錠剤等の医薬品と、常温の水または55℃の温湯を入れて、チャックテープ9を閉じる。この状態で、投薬容器1を所定時間放置し、医薬品を崩壊、懸濁させる。必要に応じて、投薬容器1を振ったり、外側から外力を加えて医薬品を崩壊させてもよい。
【0034】
ノズル10は、排出穴17が閉じているので、投薬容器1の収容部6内の医薬品と温湯の懸濁液が外部に漏れることはない。懸濁中は、
図6に示すように、ノズル10を下にして、投薬容器1の上縁部7の吊り孔7aをスタンド23のフック24に掛けて吊るしてもよい。
図7に示すように、吊り孔7aは、第2底縁4bと第3底縁4cの交差部の対角線上にあるので、スタンド23に吊るした状態では、
図7に示すように、投薬容器1の広底部6bが狭底部6aより下になって投薬容器1が傾く。これにより、医薬品が広底部6bに集積するので、広底部6bの外部から医薬品を押し潰すことができる。常温の水で懸濁した場合は、人の体温近くまで加温してもよい。
【0035】
ノズル10の連結部13は、第1底縁4aが設けられた狭底部6aに位置するので、第2底縁4bと第3底縁4cのある広底部6bが狭底部6aよりさらに広くなり、広底部6bで医薬品等を潰す作業をしている間に、誤って連結部13に触れて内側部12を折ることがなくなる。
【0036】
投薬容器1内の医薬品と温湯の懸濁液が体温に近い温度になると、
図6に示すように、投薬容器1のノズル10の雌コネクタ15にチューブ19の雄コネクタ20を接続する。続いて、
図8に示すように、ノズル10の内側部12の突出部22cとノズル本体11の当て板16との間を投薬容器1の外側から指で挟んで押圧し、内側部12の軸部21を折る。
【0037】
ここで、内側部12の外周にノッチ21bが形成されているので、このノッチ21bにより、内側部12を容易に折ることができる。
【0038】
また、ノズル本体11の排出穴17は、ノッチ21bを越えて内側部12に延びて内側部12の軸部14に穴21aを形成しているので、ノッチ21bの底と排出穴17との間が薄肉になり、内側部12の軸部14を僅かな外力で簡単に折ることができるとともに、折った後の排出穴17に入口が確実に形成される。
【0039】
さらに、ノズル10の内側部12の操作部22に投薬容器1のシート2a、2bに向かって突出する突出部22cが形成され、懸濁液により投薬容器1の内部が見えない場合であっても、手探りで突出部22cの位置が分かるので、容易に内側部12の軸部21を折ることができる。
【0040】
ノズル10の内側部12は、軸部21と基部14の間のノッチ21bの位置で折れると、ノズル本体11から離れる。これにより、ノズル本体11の排出穴17が投薬容器1の内側の収容部6と連通し、投薬容器1の内部からノズル本体11の排出穴17を通る流路が形成され、この流路を通って投薬容器1の収容部6の懸濁液がチューブ19を介して患者の胃や腸に投与される。
【0041】
ノズル本体11から分離された内側部12は、連結部13によりノズル本体11の基部14と連結されているので、投薬容器1の内部で遊離することはない。また、連結部13は、内側部12がノズル本体11から分離すると、内側部12とノズル本体11に両端が固定された拘束状態から解放されて、自由状態に変位する結果、内側部12がノズル本体11の排出穴17の入口から離れた位置に移動するので、内側部12の軸部21がノズル本体11の排出穴17の入口を塞ぐことはない。
【0042】
懸濁液の投与が終わりに近づくと、傾いた投薬容器1を真っ直ぐに戻すことで、投薬容器1の広底部6bに残留した懸濁液を残らず投与することができる。懸濁液の投与が終わると、チューブ19の雄コネクタ20を外し、投薬容器1を廃棄することができる。なお、ノズル本体11の雌コネクタ15に適宜キャップを取り付けることで、残液を漏らさずに投薬容器1を廃棄してもよい。
【0043】
本発明は以上の実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々変更することができる。例えば、前記実施形態では、連結部13に屈曲部13e、13f、13fを設けているが、これら又は連結部13の全体を円弧状の湾曲部としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…投薬容器
2a、2b…シート
3a、3b…左右縁部
4…底縁部
4a…第1底縁
4b…第2底縁
4c…第3底縁
5…排出部
6…収容部
6a…狭底部
6b…広底部
7…上縁部
7a…吊り穴
8…入口部
10…ノズル
11…ノズル本体
12…内側部
13…連結部
14…軸部
15…雌コネクタ
16…当て板
17…排出穴
20…雄コネクタ
21…軸部
21a…穴
21b…ノッチ
22…操作部
22c…突出部