(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105379
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/00 20060101AFI20230724BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20230724BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230724BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20230724BHJP
【FI】
G01T1/00 D
G08B25/04 Z
G06Q50/10
B65G1/00 531
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006166
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 翔
【テーマコード(参考)】
2G188
3F022
5C087
5L049
【Fターム(参考)】
2G188DD30
2G188EE41
2G188GG04
2G188JJ05
2G188JJ08
3F022AA06
3F022AA10
3F022FF01
3F022MM35
3F022MM51
3F022MM70
3F022PP04
3F022QQ00
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA16
5C087AA19
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE07
5C087EE20
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF20
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】放射性物質在庫管理に要する時間と労力及び被ばく量の低減を図ることができるとともに、確実に放射性物質在庫管理を行うことのできる放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法を提供する。
【解決手段】放射性物質収納部2aを複数有する在庫管理貯蔵箱2と、各前記放射性物質収納部に設けられた放射線検出器4と、各前記放射性物質収納部に設けられ、前記放射線検出器による放射線検出の状態から放射性物質が収納されているか否かを表示する在庫状況表示装置3と、利用者が放射性物質を持ち出す際に入力した当該許可番号が正当である場合は該当する前記放射性物質収納部を開錠し、正当でない場合は開錠しない入力装置5と、前記許可番号を採番するとともに、採番した前記許可番号に関する情報を前記入力装置に送るメインシステム7と、を具備している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を収納する放射性物質収納部を複数有する在庫管理貯蔵箱と、
各前記放射性物質収納部に設けられた放射線検出器と、
各前記放射性物質収納部に設けられ、前記放射線検出器による放射線検出の状態から当該放射性物質収納部内に放射性物質が収納されているか否かを表示する在庫状況表示装置と、
利用者が放射性物質を持ち出す際に許可番号を入力し、当該許可番号が正当である場合は該当する前記放射性物質収納部を開錠し、正当でない場合は開錠しない入力装置と、
前記許可番号を採番するとともに、採番した前記許可番号に関する情報を前記入力装置に送るメインシステムと、
を具備したことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記メインシステムは、利用者の情報を入力して登録可能とされている
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記メインシステム及び前記入力装置は、それぞれ生体認証機能を具備し、生体認証情報である、顔、又は網膜、又は指紋、又は音声を識別可能である
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記メインシステムに登録された利用者の生体認証情報と、前記入力装置に許可番号を入力した際に当該入力装置によって得られた利用者の生体認証情報とが一致した場合にのみ該当する前記放射性物質収納部を開錠する
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記入力装置は、前記放射線検出器の検出信号によって前記放射性物質収納部内の放射性物質の有無を検出し、貸出中の放射性物質が持出予定期間が経過しても返却されない場合は、前記メインシステムに通知を送り、
前記メインシステムは前記通知を受け取ると警報を発報する
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記放射線検出器が、核種又は、計数率(cpm)又は、線量又は、放射能(Bq)が計測可能である
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の放射性物質在庫管理装置であって、
前記入力装置は、前記放射性物質収納部内に保管中の放射性物質の放射能量が設定値以下になると、前記メインシステムに信号を送る
ことを特徴とする放射性物質在庫管理装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の放射性物質在庫管理装置を用いて放射性物質の在庫管理を行う
ことを特徴とする放射性物質在庫管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の社会で、放射線は、医療分野や航空分野、エネルギー分野など様々な場所で利用され、放射線の利用は現代の社会には欠かせないものとなっている。しかし、放射線を利用するには、被ばくというデメリットや危険が伴うため、安全に扱うための措置を講じなければならない。
【0003】
放射線取扱施設においては、放射線による障害を防止するために、放射線管理区域を設定し、放射性物質に関しては貯蔵室に保管するよう法令で定められている。現在、研究所、病院及び学校等においては、所有している放射性物質が貯蔵室内に保管されているか否かの確認を定期的に目視により棚卸点検を行っている。また、放射性物質を貯蔵室から出し入れする際は、帳簿に記載し、鍵を貸し出すことにより行っていることが多い。
【0004】
この目視による定期的な棚卸点検は、貯蔵箱を1つずつ開けて確認しなければならず、時間と労力を要するとともに、被ばく量が多くなるため頻繁に行うことができない。また、このような管理方法の場合、ときに過失、故意による放射性物質の持ち出し、紛失等が発生する可能性がある。
【0005】
また、従来の放射性物質管理技術としては、例えば、特許文献1のように、人と放射性物質に直接ICタグを付け、出入口の所でICタグの情報を検出して、許可のない者の放射性物質の持出し、盗難を防止するものも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された方法においても、所有している放射性物質が貯蔵室内に保管されているか否かの確認を定期的に目視により行う棚卸点検は、貯蔵箱を1つずつ開けて確認しなければならず、時間と労力を要するとともに、被ばく量が多くなるという課題がある。
【0008】
また、放射性物質を貯蔵室から出し入れする際、紙の帳簿と物理錠で管理している場合、リアルタイムでの在庫状況確認ができないことや、過失、故意による放射性物質の持ち出しの可能性があるという課題がある。
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、従来に比べて放射性物質在庫管理に要する時間と労力及び被ばく量の低減を図ることができるとともに、確実に放射性物質在庫管理を行うことのできる放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の放射性物質在庫管理装置は、放射性物質を収納する放射性物質収納部を複数有する在庫管理貯蔵箱と、各前記放射性物質収納部に設けられた放射線検出器と、各前記放射性物質収納部に設けられ、前記放射線検出器による放射線検出の状態から当該放射性物質収納部内に放射性物質が収納されているか否かを表示する在庫状況表示装置と、利用者が放射性物質を持ち出す際に許可番号を入力し、当該許可番号が正当である場合は該当する前記放射性物質収納部を開錠し、正当でない場合は開錠しない入力装置と、前記許可番号を採番するとともに、採番した前記許可番号に関する情報を前記入力装置に送るメインシステムと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、放射性物質在庫管理に要する時間と労力及び被ばく量の低減を図ることができるとともに、確実に放射性物質在庫管理を行うことのできる放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る貯蔵室に設置の在庫管理貯蔵箱と連携している放射線管理室のメインシステムの全体構成を模式的に示す図。
【
図2】実施形態に係る在庫管理貯蔵箱の個々のロッカーの正面構成を模式的に示す図。
【
図3】実施形態に係る在庫管理貯蔵箱の個々のロッカーの側面構成を模式的に示す図。
【
図4】実施形態に係るメインシステムの動作を示すフロー図であり、(a)は初めての場合、(b)は2回目以降の場合、(c)は貸出期限超過時の場合を示している。
【
図5】実施形態に係る在庫管理貯蔵箱の入力装置の動作を示すフロー図であり、(a)は持出時の場合、(b)は返却時の場合、(c)は貸出期限超過時の場合を示している。
【
図6】実施形態に係る在庫状況表示装置の表示状態を説明するためのフロー図であり、(a)は持出時の場合、(b)は返却時の場合、(c)は貸出期限超過時の場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係る放射性物質在庫管理装置及び放射性物質在庫管理方法の詳細を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、実施形態に係る放射性物質在庫管理装置の全体構成を模式的に示す図であり、
図2、
図3は、
図1の要部構成を示す図である。
図1に示すように、放射性物質在庫管理装置は、貯蔵室1と、放射線管理室6とに亘って設けられている。
【0015】
貯蔵室1には、1又は複数の在庫管理貯蔵箱2が設けられている。本実施形態においてこの在庫管理貯蔵箱2は、ロッカー形式に構成されており、上下、左右に並べられた複数の放射性物質収納部(ロッカー)2aを具備している。
図2、
図3にも示すように、各ロッカー2aには、在庫状況表示装置3、放射線検出器4が設けられている。各ロッカー2aのサイズは、収納する放射性物質10の大きさに合わせて例えば、縦、横、高さが数十センチ程度等とされる。また、在庫管理貯蔵箱2には、入力装置5が設けられている。入力装置5は、コンピューター等から構成されており、必要な情報を入力するための機能の他、メインシステム7との情報の通信機能、ロッカー2aの施錠、開錠等の在庫管理貯蔵箱2の管理機能を有する。
【0016】
貯蔵室1は、放射線管理区域内にあり、
図2、
図3に示すように、在庫管理貯蔵箱2の各ロッカー2aには、放射性物質10が収納され保管される。また、各ロッカー2aの前面は、開閉可能な扉とされており、この扉には開閉するための取手9が設けられている。これらの各ロッカー2aの扉は、入力装置5による制御により、施錠、開錠される。また、各ロッカー2aは、夫々放射線遮蔽のための遮蔽構造物が設けられており、放射線検出器4によって各ロッカー2a内の放射性物質10からの放射線が検出されるようになっている。
【0017】
放射線管理室6は、放射線管理区域外の部屋であり、ここにはメインシステム7が設けられている。このメインシステム7は、貯蔵室1の入力装置5と配線8で電気的に接続されている。本実施形態において、入力装置5及びメインシステム7は、生体認証機能を具備しており、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋等の生体認証情報を識別可能とされている。
【0018】
在庫状況表示装置3と、放射線検出器4は、在庫管理貯蔵箱2の個々のロッカー2aに設置されている。配線8は、ロッカー2aの内壁を伝い、在庫状況表示装置3と放射線検出器4とを繋げている。
【0019】
このように構成された本実施形態におけるメインシステム7の動作フローを
図4に示す。
図4(a)のフロー図に示すように、初めて放射性物質を利用する利用者は、メインシステム7に貸出者(利用者)情報を入力して登録し(101)、放射性物質の使用計画番号を入力し(102)、放射性物質の使用場所、持出予定期間等を入力する(103)。この後、生体認証情報、すなわち、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の登録を行う(104)。このような操作の後、許可番号が採番される(105)。
【0020】
システムを利用するのが2回目以降の者は、
図4(b)のフロー図に示すように、登録者情報を検索し(111)、放射性物質の使用計画番号を入力し(112)、放射性物質の使用場所、持出予定期間等を入力する(113)。この後、生体認証情報、すなわち、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の一致確認を行う(114)。そして、生体認証情報の一致が確認されると許可番号が採番される(115)。一方、生体認証情報の一致が確認されない場合は、採番されない(116)。このように、システムを利用するのが2回目以降の場合、貸出者(利用者)情報、及び、生体認証情報、すなわち、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の登録を省略して許可番号の採番を行うことができる。
【0021】
次に、
図5を参照して在庫管理貯蔵箱2、入力装置5の動作について説明する。利用者が放射性物質10を在庫管理貯蔵箱2から持ち出す際は、
図5(a)のフロー図に示すように、メインシステム7によって採番された許可番号を入力装置5に入力し(201)、生体認証情報、すなわち、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の一致を確認し(202)、確認されたら在庫管理貯蔵箱2の許可該当のロッカー2aが開錠する(203)。利用者が入力装置5に誤った許可番号を入力、又は、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の一致が確認されない場合はエラーとなり(204)、ロッカー2aは開錠しない(205)。
【0022】
例えば、Cs-137のチェッキングソースを借りたい利用者が、メインシステム7で利用者情報と生体情報である顔情報を登録し、メインシステム7から許可番号を取得した後に、貯蔵室1まで行き、入力装置5に許可番号を入力の上、顔認証が成功すると該当のCs-137のチェッキングソースの入っているロッカー2aの鍵が開錠する。
【0023】
利用者が放射性物質10を在庫管理貯蔵箱2に返却する際は、
図5(b)のフロー図に示すように、メインシステム7によって採番された許可番号を入力装置5に入力し(211)、生体認証情報、すなわち、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の一致が確認されたら(212)、在庫管理貯蔵箱2の許可該当のロッカー2aが開錠され返却可能となる(213)。利用者が入力装置5に誤った許可番号を入力、又は、顔又は網膜又は静脈又は声又は指紋の一致が確認されない場合はエラーとなり(216)、ロッカー2aは開錠されない(217)。
【0024】
放射線検出器4としては、例えば、核種又は、計数率(cpm)又は、線量又は、放射能(Bq)が計測できるものを使用することができる。放射線検出器4でこれらを計測することで各ロッカー2a内の放射性物質10の核種同定または、計数率(cpm)又は、線量又は、放射能(Bq)の変化を入力装置5に情報として送ることができる。そして、上述したように在庫管理貯蔵箱2の許可該当のロッカー2aが開錠され返却可能となった後(213)、実際に放射性物質が返却され、放射線検出器4が放射性物質を検出し、確認が取れると返却完了となる(214)。一方、放射線検出器4が放射性物質を検出せず、確認が取れない場合は返却が完了しない(215)。
【0025】
入力装置5は、
図5(c)のフロー図に示すように、放射性物質が持出予定日を超過しても返却されない場合(221)、メインシステム7に持出予定日超過の通知を送る(222)。
【0026】
メインシステム7では、
図4(c)のフロー図に示すように、上記の通知を受け取ると(121)、画面に警告の表示を行うとともに、警報を発報し管理者に知らせる(122)。また、メインシステム7は、在庫管理貯蔵箱2と連動しており、放射性物質10の在庫状況の有無、持出されている場合は、利用者情報、使用場所、持出予定期間を確認することが可能である。
【0027】
例えば、Cs-137のチェッキングソースを2021年4月1日に貸出し、2021年4月3日に返却予定を登録した。しかし、2021年4月3日を超過した時点で、Cs-137のチェッキングソースが保管されている在庫管理貯蔵箱2のロッカー2aの放射線検出器4が放射性物質を検出しなかったため、入力装置5は返却予定日超過と判断し、メインシステム7に持出予定日超過の通知を送る。メインシステム7では持出予定日超過の通知を受け取ると、画面に警告の表示を行うとともに警報を発報する。
【0028】
また、本実施形態では、入力装置5は、射線線検出器4で検出される、在庫管理貯蔵箱2に保管中の放射性物質10の放射能量がある設定値以下になると、メインシステム7に信号を送る。例えば、2021年に購入の1.0×103kBqのSr-90のチェッキングソースに5.0×102kBqという閾値を設定しておく。なお、Sr-90の半減期は約29年である。時が経ち、2030年にSr-90の放射能が5.0×102kBq以下になったと射線線検出器4が検出すると、入力装置5からメインシステム7にSr-90の放射能量が設定値以下になったという信号が送られ、該当の放射性物質10の放射能量が設定値以下になったことを通知する。これによって、放射性物質10の放射能量の状態を管理することができる。
【0029】
在庫状況表示装置3は、
図6に示す通り、放射性物質の有無によって点灯する色が変化する。放射性物質10の有無は放射線検出器4で検出し判断している。
図6(a)に示すように、放射性物質10がロッカー内に貯蔵中は青色、利用者によって持出された場合は黄色に変化する。そして、
図6(b)に示すように、
図5(b)のフロー図に示した手順で正常に放射性物質10が返却されれば青色に戻る。また、
図6(c)に示すように、放射性物質10が持出予定日を超過しても返却されない場合、持出予定日を超過すると赤色に変化し、返却されれば青色に戻る。
【0030】
なお、以上の説明では、放射性物質10がロッカー内に貯蔵中は青色、利用者によって持出された場合は黄色に変化、放射性物質10が返却されれば青色に戻り、放射性物質10が持出予定日を超過しても返却されない場合、持出予定日を超過すると赤色に変化し、返却されれば青色に戻るとしたが、在庫状況表示装置3の点灯する色に関してはこれに限らず何色としても良い。
【0031】
本実施形態によれば、放射性物質10の持出許可や放射性物質10の在庫情報がメインシステム7で管理可能となり、許可を受けない者による放射性物質10の持出、盗難を防止することができる。また、メインシステム7上で放射性物質10の利用状況や持出に関する情報の確認ができるため、リアルタイムでの放射性物質10の在庫管理が可能となる。
【0032】
また、本実施形態によれば、在庫管理貯蔵箱2のロッカー2aの扉を開けなくても、内部に放射性物質10が貯蔵されているか否かが在庫状況表示装置3によって外部からの目視により判別可能となる。これにより、従来から定期的に行っている棚卸作業は、在庫管理貯蔵箱2のロッカー2aの扉を開けずとも在庫状況表示装置3を確認することで行うことができる。したがって、従来に比べて放射性物質在庫管理に要する時間と労力を削減することができるとともに、被ばく量の低減を図ることができる。
【0033】
なお、本実施形態では、貯蔵室1は、放射線管理区域内にあり、放射線管理室6は、放射線管理区域外の部屋であるとしたが、貯蔵室1と放射線管理室6がどちらも放射線管理区域内にあっても良いし、放射線管理区域外で貯蔵できる場合は逆にどちらも放射線管理区域外に有っても良い。
【0034】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1……貯蔵室、2……在庫管理貯蔵箱、2a……放射性物質収納部(ロッカー)、3……在庫状況表示装置、4……放射線検出器、5……入力装置、6……放射線管理室、7……メインシステム、8……配線、9……取手、10……放射性物質。