(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105431
(43)【公開日】2023-07-31
(54)【発明の名称】積層体及び包装材料
(51)【国際特許分類】
B32B 27/32 20060101AFI20230724BHJP
B65D 65/40 20060101ALN20230724BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006247
(22)【出願日】2022-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】落合 信哉
(72)【発明者】
【氏名】塩川 俊一
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AA01
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA13
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3E086BB90
4F100AA17D
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(57)【要約】
【課題】リサイクル適性に優れ、且つ、ヒートシール性に優れた積層体を提供すること。
【解決手段】保護層と、基材層と、シーラント層と、がこの順で積層された構造を有し、基材層及びシーラント層がポリエチレンを含み、保護層が熱硬化性樹脂又は融点160℃以上の樹脂を含み、積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護層と、基材層と、シーラント層と、がこの順で積層された構造を有し、
前記基材層及び前記シーラント層がポリエチレンを含み、
前記保護層が熱硬化性樹脂又は融点160℃以上の樹脂を含み、
積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体。
【請求項2】
前記基材層と前記シーラント層との間に、蒸着層を備える、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記蒸着層が金属酸化物を含む、請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記保護層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド及びエポキシからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
前記保護層の厚さが、積層体の総厚の0.4%以上2.0%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記基材層が高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記シーラント層が低密度ポリエチレンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
前記基材層及び前記シーラント層の少なくとも一方が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項9】
前記基材層と前記シーラント層との間に中間層を備え、前記中間層がポリエチレンを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項10】
前記中間層が高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含む、請求項9に記載の積層体。
【請求項11】
前記中間層が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層である、請求項9又は10に記載の積層体。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の積層体を含む包装材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及びそれを用いた包装材料に関する。より詳しくは、本発明は、材料のリサイクル適性に優れる環境負荷の小さな積層体及びそれを用いた包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
包装袋は、包装する内容物の性質、内容物の量、内容物の変質を防ぐための後処理、包装袋を運搬する形態、包装袋を開封する方法、廃棄する方法などによって、さまざまな素材が組み合わせて用いられている。
【0003】
たとえば、積層したフィルムを用いるフレキシブルパッケージの包装袋においては、包装袋の機械的強度を得るためにポリプロピレンやポリエステルなどの二軸延伸フィルムを用い、包装袋として内容物を封止するためにポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などをヒートシール材料とするなどの組み合わせにより用いられている。また、内容物の劣化を抑制するために、アルミ箔や、エチレンビニルアルコール共重合体を積層するなども行われている。
【0004】
上記の機能分離した各種素材を用いた積層体は、内容物の包装から、輸送、保管、開封などの各過程での適性に重点をおいて設計されたものである。しかしながら、近年の環境問題への意識の高まりから、各種製品の省資源、リサイクル適性などの機能に重点がおかれるようになり、包装袋に用いられる積層体にも同様の機能が求められてきている。一般に、包装材料に含まれる主要な樹脂の割合が90質量%以上であるとリサイクル性が高いと考えられているが、従来の包装材料の多くは複数の樹脂材料や場合により紙、金属材料を含んで構成されており、かつこの基準を満たしていないため、リサイクルされていないのが現状である。
【0005】
そこで、特許文献1には、基材と、接着層と、ヒートシール層とを備えた積層体において、基材及びヒートシール層をポリエチレンから構成することが記載されている。基材及びヒートシール層を同一材料で構成することにより、上記リサイクル性の基準をクリアしやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の積層体を包装袋に適用した際に、包装袋を形成する製袋工程では、積層体のヒートシール層(シーラント層)同士を向かい合わせ、積層体の基材層外面側から高温治具により圧力をかけて挟み込むことで熱溶着(ヒートシール)させる工程がある。ヒートシール機の治具は高温になっており、直接治具に接触する基材層外面側は高温に曝されるため、従来の積層体では基材層が熱に冒されて治具に付着したり、ヒートシール部にシワが発生したりするなどの不具合が生じる場合があり、ヒートシール性が十分ではなかった。そのため、製袋温度の適正条件が狭く、生産性が悪いこと、また、包装袋の強度が十分でない場合があることなどが課題となっていた。
【0008】
そこで、本発明は、リサイクル適性に優れ、且つ、ヒートシール性に優れた積層体及びそれを用いた包装材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、保護層と、基材層と、シーラント層と、がこの順で積層された構造を有し、上記基材層及び上記シーラント層がポリエチレンを含み、上記保護層が熱硬化性樹脂又は融点160℃以上の樹脂を含み、積層体に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上である、積層体を提供する。
【0010】
上記積層体において、上記基材層と上記シーラント層との間に、蒸着層を備えていてもよい。
【0011】
上記積層体において、上記蒸着層が金属酸化物を含んでいてもよい。
【0012】
上記積層体において、上記保護層が、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド及びエポキシからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を含んでいてもよい。
【0013】
上記積層体において、上記保護層の厚さが、積層体の総厚の0.4%以上2.0%以下であってもよい。
【0014】
上記積層体において、上記基材層が高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
【0015】
上記積層体において、上記シーラント層が低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
【0016】
上記積層体において、上記基材層及び上記シーラント層の少なくとも一方が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層であってもよい。
【0017】
上記積層体は、上記基材層と上記シーラント層との間に中間層を備え、上記中間層がポリエチレンを含んでいてもよい。
【0018】
上記積層体において、上記中間層が高密度ポリエチレン又は中密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
【0019】
上記積層体において、上記中間層が、無延伸ポリエチレンフィルムからなる層であってもよい。
【0020】
本発明はまた、上記本発明の積層体を含む包装材料を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、リサイクル適性に優れ、且つ、ヒートシール性に優れた積層体及びそれを用いた包装材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の積層体の一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】本発明の積層体の一実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図1は、本発明の積層体の一実施形態を示す断面模式図である。
図1に示す積層体1は、基材層10と、第一の接着剤層40と、中間層20と、第二の接着剤層50と、シーラント層30とを備え、基材層10の外面10a側に保護層11を備え、中間層20の一方の面に蒸着層14を備える。また、積層体1は、基材層10の内面10b側に印刷層12を備え、蒸着層14の中間層20とは反対側にガスバリア性被覆層15を備える。以下、各層について説明する。
【0025】
基材層10はポリエチレンを含む層であり、例えばポリエチレンにより構成される無延伸フィルムであってよい。基材層10は、積層体1を用いて包装材料を形成する際に外面となる部分である。但し、本実施形態の積層体1においては、基材層10の外面は保護層11により保護されている。
【0026】
基材層10としては、高密度ポリエチレン(密度0.94g/cm3以上)、又は、中密度ポリエチレン(密度0.925~0.945g/cm3)からなるフィルムを用いることができる。これらの材料は、石油由来からなるものでも、植物由来からなるものでもよく、これらの混合物であってもよい。また、基材層10の表面には、コロナ処理、大気圧プラズマ処理などの乾式の表面処理により易接着処理を施すことができる。また、密度が異なるポリエチレンを共押出法により押出した多層構造の無延伸ポリエチレンフィルムを基材層10として用いることも可能である。
【0027】
基材層10の厚さは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上35μm以下であることがより好ましい。基材層10の厚さを10μm以上とすることにより、積層体1の強度を向上できる。基材層10の厚さを50μm以下とすることにより、積層体1の加工適性を向上できる。
【0028】
基材層10は、ポリエチレンをTダイ法又はインフレーション法などにより製膜することで作製できる。Tダイ法により基材層10を作製する場合、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましい。MFRを3g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを20g/10分以下とすることにより、作製された基材層10が破断してしまうことを防止できる。
【0029】
インフレーション法により基材層10を作製する場合、ポリエチレンのMFRは、0.5g/10分以上、5g/10分以下であることが好ましい。MFRを0.5g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
【0030】
基材層10として用いられる高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンの融点は、概ね120℃から140℃である。一方、後述するシーラント層30として用いられる低密度ポリエチレンの融点は、概ね90℃から120℃である。これら基材層10及びシーラント層30の積層体をヒートシールするために、ヒートシール機の治具であるヒートシールバーは130℃から140℃程度に加熱され、基材層10や後述する中間層20を通してシーラント層30に熱が伝えられ、熱溶着される。基材層10を形成するポリエチレンの融点と、ヒートシールバーの温度とがほぼ同一な為、基材層10を最外層とした場合、シワなどの外観上の不具合や、基材層10の熱溶着によるヒートシールバーへの付着(とられ)が発生する可能性がある。
【0031】
保護層11は、このような製袋や充填密封時にヒートシールする際の不具合を防止し、ヒートシール適性を確保するために設けられる。このような役割から、保護層11は、積層体の最外層として設けられてよい。
【0032】
積層体は、包装する内容物の重量に応じて、厚さが変更される。軽量の内容物を包装する場合には、コストを考慮して薄くし、重量物を充填する場合には、強度を考慮して厚くするのが一般的である。積層体の厚さが増すにつれて、シーラント層のヒートシール面が熱溶融するのに必要な熱量が増加する。このため、保護層11の厚さは、積層体の総厚に比例して変化させることが好ましい。積層体の総厚に対する保護層11の厚さの割合は、0.4%以上、2.0%以下であることが好ましい。この割合が0.4%以上であると、所望の耐熱性が得られやすく、より優れたヒートシール性を得ることができ、2.0%以下であると、保護層11の材料の無駄を抑制できると共に、ヒートシールに必要な熱量の増加を抑制できる。
【0033】
保護層11の厚さは、上述の通り積層体の総厚に応じて調整されるが、耐熱性の向上及びヒートシールに必要な熱量の低減の観点から、例えば、0.1~5.0μmであってよく、0.2~4.0μmであってよく、0.3~2.0μmであってよい。
【0034】
基材層10の外面に設けられた保護層11には、ヒートシール時に例えば140℃に加熱されても軟化、融解、分解などが生じない耐熱性が必要である。そのため、保護層11は、熱硬化性樹脂又は融点160℃以上の樹脂を含む。当該樹脂は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド及びエポキシからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。保護層11は、上述した樹脂又は硬化して上述した樹脂を生成する原料を含むコーティング剤を用いて形成することができる。
【0035】
融点160℃以上の樹脂を用いて保護層11を形成する場合、樹脂の融点は160℃以上であればよいが、より高い耐熱性を得る観点から、融点は180℃以上であってもよく、200℃以上であってもよい。
【0036】
保護層11を形成する手段としては、上述した樹脂又はその原料が水に分散したディスパージョンや、上述した樹脂又はその原料が有機溶剤に溶解した塗液を基材層10に塗布し、乾燥(硬化)させて形成する方法、基材層10を製膜する際に、無水マレイン酸変性ポリエチレンなどの接着性樹脂を介して共押出し、製膜して形成する方法などが挙げられる。
【0037】
ポリウレタンの例としては、三井化学社製のタケラックW、及びWSシリーズ、宇部興産社製のETERNACOLLシリーズ、DIC社製のハイドランシリーズ、ADEKA社製のアデカボンタイターHUXシリーズなどのディスパージョン、並びに、三井化学社製のタケラックEシリーズ、DIC社製のバーノックシリーズなどの溶剤型の塗液が挙げられる。
【0038】
ポリエステルの例としては、東洋紡社製のバイロナール、東亜合成社製のアロンメルト、ユニチカ社製のエリーテルなどのディスパージョン、並びに、DIC社製のバーノックシリーズなどの溶剤型の塗液が挙げられる。
【0039】
ポリアミドの例としては、ωアミノ酸の組み合わせで合成されるナイロン6やナイロン12、ジアミンとジカルボン酸の組み合わせで合成されるナイロン66などが挙げられる。
【0040】
ポリアミドイミドの例としては、東洋紡社製のバイロマックスシリーズなどが挙げられる。
【0041】
エポキシの例としては、ADEKA社製のアデカニューコートシリーズ、ナガセケムテック社製のデナコールシリーズ、三菱ケミカル社製のjERシリーズなどが挙げられる。
【0042】
コーティング剤を塗布、乾燥(硬化)して保護層11を設ける場合、基材層10と保護層11との密着性を向上させる目的で、リサイクル性を損なわない範囲で、基材層10上に密着付与層を設けてもよい。
【0043】
また、基材層10を製膜する際に、基材層10を形成するポリエチレンと共に接着性樹脂を介して共押出して保護層11を形成する場合、保護層11の材料としては、ポリアミド(ナイロン)を例示できる。この場合、インフレーション法、又はTダイ法などにより、ポリエチレン、マレイン酸変性ポリエチレン、ポリアミドのそれぞれを加熱溶融し、共押出して製膜することができる。
【0044】
印刷層12は、基材層10において、保護層11が形成される側である外面10a、もしくは、中間層20と積層される側である内面10bに形成することができる。画像の形成方法は、特に限定されることなく通常のグラビア印刷やフレキソ印刷などにより、それぞれに応じたインキにより形成することができる。インキとしては、溶剤系インキと、水系インキとがあるが、環境面から水系インキを用いることが好ましい。また、基材層10の外面10a若しくは内面10bには、印刷層12の密着性を向上させるために、コロナ処理やプラズマ処理などの表面処理を行ってもよい。
【0045】
中間層20はポリエチレンを含む層であり、例えば、ポリエチレンにより構成された無延伸フィルムであってよい。中間層20に含まれるポリエチレンとしては、強度及び耐熱性の観点からは、高密度ポリエチレン及び中密度ポリエチレンが好ましい。これらの材料は、石油由来からなるものでも、植物由来からなるものでもよく、これらの混合物であってもよい。中間層20としては、基材層10と同様に、密度が異なるポリエチレンを共押出法により押出した多層構造の無延伸ポリエチレンフィルムを用いることも可能である。また、中間層20の表面には、コロナ処理、大気圧プラズマ処理などの乾式の表面処理により易接着処理を施すことができる。
【0046】
ここで、無延伸ポリエチレンフィルムとは、成膜時に延伸処理が行われず、ランダムに折りたたまれたポリエチレン分子鎖により構成された10~100μm程度の球状の結晶(球晶)が、非結晶性分子で繋ぎあった構造となっているポリエチレンフィルムをいう。無延伸ポリエチレンフィルムは、強い衝撃を受けた場合、球晶が破壊されて、分子鎖が配向して延伸することにより、フィルム自体が破れることを防止できるという性質を有する。そのため、基材層10、中間層20及びシーラント層30として無延伸ポリエチレンフィルムを積層した積層体で作製された包装体(包装袋を作製し、内容物を充填して密封したもの)は、落袋強度に優れるという特徴がある。
【0047】
中間層20の厚さは、9μm以上50μm以下であることが好ましく、12μm以上30μm以下であることがより好ましい。中間層20の厚さを9μm以上とすることにより、積層体の強度及び耐熱性を向上できる。中間層20の厚さを50μm以下とすることにより、積層体の加工適性を向上できる。
【0048】
中間層20は、ポリエチレンをTダイ法又はインフレーション法などにより製膜することで作製できる。Tダイ法により中間層20を作製する場合、ポリエチレンのメルトフローレート(MFR)は、3g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましい。MFRを3g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを20g/10分以下とすることにより、作製されたフィルムが破断してしまうことを防止できる。
【0049】
インフレーション法により中間層20を作製する場合、ポリエチレンのMFRは、0.5g/10分以上、5g/10分以下であることが好ましい。MFRを0.5g/10分以上とすることにより、積層体の加工適性を向上することができる。また、MFRを5g/10分以下とすることにより、製膜性を向上することができる。
【0050】
積層体1において、中間層20の少なくとも一方の面には、蒸着層14が形成されている。本実施形態において、蒸着層14は、中間層20の第二の接着剤層50に対向する面に形成されているが、反対面に形成してもよい。蒸着層14は、積層体1に酸素バリア性及び水蒸気バリア性を付与する。
【0051】
蒸着層14の構成としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化錫等の金属酸化物からなる蒸着層が挙げられる。透明性及びバリア性の観点から、金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、及び酸化マグネシウムからなる群より選択されてよい。さらに、コストを考慮すると、酸化アルミニウム、酸化珪素から選択される。さらに、加工時に引っ張り延伸性に優れる観点から、酸化珪素を用いた層とすることがより好ましい。蒸着層14を金属酸化物からなるバリア膜とすることにより、積層体1のリサイクル性に影響を与えない範囲のごく薄い層で、高いバリア性を得ることができる。
【0052】
金属酸化物からなる蒸着層は、透明性を有するため、金属からなる蒸着層と比べて、積層体からなる包装材料を手にする使用者に、金属箔が使用されているとの誤認を生じさせにくいという利点がある。
【0053】
酸化アルミニウムからなる蒸着層の膜厚は、5nm以上30nm以下であることが好ましい。膜厚が5nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる。また、膜厚が30nm以下であると、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生することを抑制し、ガスバリア性の低下を抑制することができる。なお、膜厚が30nmを超えると、材料使用量の増加、及び膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し易いため、経済的観点からも好ましくない。上記と同様の観点から、蒸着層の膜厚は、7nm以上15nm以下であることがより好ましい。
【0054】
酸化珪素からなる蒸着層の膜厚は、10nm以上50nm以下であることが好ましい。膜厚が10nm以上であると、十分なガスバリア性を得ることができる。また、膜厚が50nm以下であると、薄膜の内部応力による変形によりクラックが発生することを抑制し、ガスバリア性の低下を抑制することができる。なお、膜厚が50nmを超えると、材料使用量の増加、及び膜形成時間の長時間化等に起因してコストが増加し易いため、経済的観点からも好ましくない。上記と同様の観点から、蒸着層の膜厚は、20nm以上40nm以下であることがより好ましい。
【0055】
蒸着層14は、例えば真空成膜で形成することができる。真空成膜では、物理気相成長法あるいは化学気相成長法を用いることができる。物理気相成長法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。化学気相成長法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
上記真空成膜では、抵抗加熱式真空蒸着法、EB(Electron Beam)加熱式真空蒸着法、誘導加熱式真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法、プラズマ化学気相堆積法(PECVD法)等が特に好ましく用いられる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましい。
【0057】
中間層20の蒸着層14が形成される側の面に、公知のアンカーコート剤を用いて、アンカーコート層を形成してもよい。これにより、金属酸化物からなる蒸着層の密着性を向上させることができる。アンカーコート剤としては、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂等を例示できる。耐熱性及び層間接着強度の観点からは、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
【0058】
さらに、第一の接着剤層40、第二の接着剤層50、蒸着層14、及び上述のアンカーコート層などとの密着性を向上する目的で、中間層20の対応する面にコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理が施されてもよい。
【0059】
アンカーコート剤として、ポリビニルアルコール系樹脂を用いてもよい。ポリビニルアルコール系樹脂としては、ビニルエステル単位がケン化されてなるビニルアルコール単位を有するものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)が挙げられる。
【0060】
アンカーコート剤としてポリビニルアルコール系樹脂を用いる場合、アンカーコート層の形成方法としては、ポリビニルアルコール系樹脂溶液を用いた塗布や、多層押出等が挙げられる。多層押出の場合は、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン等の接着性樹脂を介して積層してよい。
【0061】
ガスバリア性の向上及び蒸着層14の保護を目的として、蒸着層14上に、ガスバリア性被覆層15を設けてもよい。特に限定されるものではないが、ガスバリア性被覆層15は、水酸基含有高分子化合物を含んでよく、具体的には、水酸基含有高分子化合物及びその加水分解物の少なくともいずれかと、金属アルコキシド、シランカップリング剤及びそれらの加水分解物からなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する組成物の加熱乾燥物であってよい。
【0062】
ガスバリア性被覆層15は、例えば、水酸基含有高分子化合物と、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤とを、水或いは水/アルコール混合液に添加して得られる組成物(以下、オーバーコート剤という)を用いて形成することができる。オーバーコート剤は、例えば、水溶性高分子である水酸基含有高分子化合物を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液と、金属アルコキシド及び/又はシランカップリング剤とを直接、或いは予めこれらを加水分解させるなどの処理を行ったものとを混合して調製することができる。
【0063】
水酸基含有高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でもポリビニルアルコール(PVA)をガスバリア性被覆層のオーバーコート剤に用いた場合、ガスバリア性が特に優れるので好ましい。
【0064】
金属アルコキシドとしては、下記一般式(I)で表わされる化合物が挙げられる。
M(OR1)m(R2)n-m …(I)
上記一般式(I)中、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素数1~8の1価の有機基であり、メチル基、エチル基等のアルキル基であることが好ましい。MはSi、Ti、Al、Zr等のn価の金属原子を示す。mは1~nの整数である。なお、R1又はR2が複数存在する場合、R1同士又はR2同士は同一でも異なっていてもよい。
【0065】
金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O-2’-C3H7)3〕などが挙げられる。テトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムは、加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0066】
シランカップリング剤としては、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Si(OR11)p(R12)3-pR13 …(II)
上記一般式(II)中、R11はメチル基、エチル基等のアルキル基を示し、R12はアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アクリロキシ基で置換されたアルキル基、又は、メタクリロキシ基で置換されたアルキル基等の1価の有機基を示し、R13は1価の有機官能基を示し、pは1~3の整数を示す。なお、R11又はR12が複数存在する場合、R11同士又はR12同士は同一でも異なっていてもよい。R13で示される1価の有機官能基としては、グリシジルオキシ基、エポキシ基、メルカプト基、水酸基、アミノ基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、又は、イソシアネート基を含有する1価の有機官能基が挙げられる。
【0067】
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤などが挙げられる。
【0068】
また、シランカップリング剤は、上記一般式(II)で表される化合物が重合した多量体であってもよい。多量体としては三量体が好ましく、より好ましくは1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートである。これは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランの縮重合体である。この1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシア部には化学的反応性はなくなるが、ヌレート部の極性により反応性は確保されることが知られている。一般的には、3-イソシアネートアルキルアルコキシランと同様に接着剤などに添加され、接着性向上剤として知られている。よって1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを、水酸基含有高分子化合物に添加することにより、水素結合によりガスバリア性被覆層の耐水性を向上させることができる。3-イソシアネートアルキルアルコキシランは反応性が高く、液安定性が低いのに対し、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部はその極性により水溶性ではないが、水系溶液中に分散しやすく、液粘度を安定に保つことができる。また、耐水性能は3-イソシアネートアルキルアルコキシランと1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートとは同等である。
【0069】
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもあり、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。より好ましくは、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートであり、さらに好ましくは1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートである。このメトキシ基は加水分解速度が速く、またプロピル基を含むものは比較的安価に入手し得ることから1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートは実用上有利である。
【0070】
オーバーコート剤における金属アルコキシドの量は、蒸着層との密着性及びガスバリア性維持の観点から、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。同様に、シランカップリング剤の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して0.01~1質量部とすることができ、0.1~0.5質量部であってよい。金属アルコキシドとしてシラン化合物(アルコキシシラン)を用いる場合、オーバーコート剤におけるシラン化合物(金属アルコキシドとシランカップリング剤)の量は、水酸基含有高分子化合物1質量部に対して1~4質量部とすることができ、2~3質量部であってよい。
【0071】
オーバーコート剤には、ガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、あるいは、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を必要に応じて加えることも可能である。
【0072】
オーバーコート剤は、例えば、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、ダイコート法、スクリーン印刷法、スプレーコート法、グラビアオフセット法等により塗布することができる。オーバーコート剤を塗布してなる塗膜は、例えば、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、高周波照射法、赤外線照射法、UV照射法、又はそれらの組み合わせにより乾燥させることができる。
【0073】
上記塗膜を乾燥させる際の温度は、例えば、温度50~150℃とすることができ、温度70~100℃とすることが好ましい。乾燥時の温度を上記範囲内とすることで、蒸着層やガスバリア性被覆層にクラックが発生することをより一層抑制でき、優れたバリア性を発現することができる。
【0074】
ガスバリア性被覆層は、水酸基含有高分子化合物(例えばポリビニルアルコール系樹脂)及びシラン化合物を含むオーバーコート剤を用いて形成されてよい。オーバーコート剤には、必要に応じて酸触媒、アルカリ触媒、光重開始剤等を加えてよい。
【0075】
シラン化合物としては、シランカップリング剤、ポリシラザン、シロキサン等が挙げられ、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0076】
ガスバリア性被覆層の厚さは、50~1000nmであることが好ましく、100~500nmであることがより好ましい。ガスバリア性被覆層の厚さが50nm以上であると、より十分なガスバリア性を得ることができる傾向があり、1000nm以下であると、十分な柔軟性を保持できる傾向がある。
【0077】
シーラント層30は、ポリエチレンにより構成されており、積層体1を用いて包装袋等の包装材料を形成する際に熱融着(ヒートシール)により接合される。シーラント層30を構成するポリエチレンは、ヒートシール性という観点からは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)が好ましい。また、環境負荷の観点から、バイオマス由来のポリエチレン又はリサイクルされたポリエチレンがシーラント層30に使用されることが好ましい。シーラント層30は、無延伸ポリエチレンフィルムで構成されていてよい。
【0078】
低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満のポリエチレンを使用することができる。直鎖状低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3以上0.925g/cm3未満のポリエチレンを使用することができる。超低密度ポリエチレンとしては、密度が0.900g/cm3未満のポリエチレンを使用することができる。シーラント層30には、積層体1の特性を損なわない範囲において、エチレンとその他のモノマーとの共重合体を使用することができる。
【0079】
シーラント層30の厚さは、作製される包装材料に充填する内容物の重量等に応じて適宜変更できる。例えば、1g以上、200g以下の内容物を充填する包装袋を作製する場合、シーラント層30の厚さは、20μm以上、60μm以下であることが好ましい。厚さを20μm以上とすることにより、充填された内容物が、シーラント層30の破損により漏れてしまうことを防止できる。厚さを60μm以下とすることにより、積層体1の加工適性を向上できる。
【0080】
他の例として、50g以上、2000g以下の内容物を充填するスタンディングパウチを作製する場合、シーラント層30の厚さは、50μm以上、200μm以下であることが好ましい。厚さを50μm以上とすることにより、充填された内容物が、シーラント層30の破損により漏れてしまうことを防止することができる。また、厚さを200μm以下とすることにより、積層体1の加工適性を向上でき、さらに150μmとすることが好ましい。
【0081】
上記基材層10、上記中間層20、上記シーラント層30に用いるポリエチレンには、酸化防止剤、帯電防止剤、造核剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加してもよい。
【0082】
第一の接着剤層40は、少なくとも1種類の接着剤を含有した層であり、基材層10と中間層20との間に設けられて両者を接合する。第二の接着剤層50は、少なくとも1種類の接着剤を含有した層であり、中間層20とシーラント層30との間に設けられて両者を接合する。1液硬化型、もしくは2液硬化型ウレタン系接着剤等のいずれの接着剤も第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50に使用できる。これらの接着剤は、バリア性をさらに高める目的で、層状無機化合物を含んでもよい。
【0083】
硬化後にガスバリア性を発現し得る接着剤を用いて第一の接着剤層40や第二の接着剤層50を形成することもできる。特に、ガスバリア性を発現する接着剤で蒸着層に接触する接着剤層を形成すると、蒸着層のクラック発生によるガスバリア性の低下をさらに抑制することが可能である。これにより、積層体1のガスバリア性能をさらに向上できる。このようなガスバリア性接着剤としては、エポキシ系接着剤、ポリエステル・ポリウレタン系接着剤等が挙げられる。具体例としては、三菱ガス化学社製の「マクシーブ」、DIC社製の「Paslim」等が挙げられる。
【0084】
第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50の厚さは、0.5μm以上6μm以下であることが好ましく、0.8μm以上5μm以下であることがより好ましく、1.0μm以上4.5μm以下であることがさらに好ましい。第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50の厚さを0.5μm以上とすることにより、第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50の接着性を向上することができる。第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50の厚さを6μm以下とすることにより、積層体1の加工適性を向上することができる。
【0085】
第一の接着剤層40及び第二の接着剤層50は、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法及びトランスファーロールコート法などの公知の各種方法により形成できる。
【0086】
上記の様に構成された本実施形態の積層体1は、基材層10、中間層20、及びシーラント層30がポリエチレンで構成されていることにより、積層体1に占めるポリエチレンの割合が90質量%以上となっている。これにより、積層体1は、高いリサイクル性を有する。基材層10、中間層20、及びシーラント層30がいずれもポリエチレンのみからなる場合、積層体1に占めるポリエチレンの割合(質量%)は、下記式(1)により算出できる。
(基材層10の質量+中間層20の質量+シーラント層30の質量)/積層体1全体の質量×100 …(1)
【0087】
シーラント層30を対向させつつ1枚の積層体1を折り曲げたり、シーラント層30を対向させつつ2枚の積層体1を重ねたりした状態で、内容物の充填部を残して周縁部のシーラント層30をヒートシールにより接合すると、積層体1からなる包装袋を形成できる。折り曲げた底フィルムを挟みつつ上記の様な接合を行うことにより、スタンディングパウチを形成できる。その他、ピロー包装、四方シール、三方シール、ガゼット袋など、各種包装袋として用いることができる。このように、積層体1は、各種包装袋に適用できる。
【0088】
本発明の積層体は、ポリエチレンを含む基材層10の外面に、最外層としての保護層11を備えることで、ヒートシール部の耐熱性を高めることができ、適正な条件での製袋が可能となり、包装袋として要求される強度及び外観を良好にするものである。また、蒸着層14を備える無延伸フィルムからなる中間層20を組み合わせた構成とすることにより、内容物に液体を充填した包装袋を落とした際の衝撃により容易に破袋することが無く、包装袋の強度が高まるものである。
【0089】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、積層体は、印刷層、中間層、蒸着層及びガスバリア性被覆層のうちの一層以上を備えていなくてもよい。積層体が中間層を備えない場合、第一の接着剤層は不要であり、蒸着層は基材層上に設けられてよい。また、積層体がガスバリア性被覆層を備えない場合、積層体は
図2に示すものであってもよい。
【0090】
図2に示す積層体2は、積層体1からガスバリア性被覆層15を除いたものである。積層体2では、ガスバリア性被覆層15を除く代わりに、硬化後にガスバリア性を発現し得る接着剤(上述したガスバリア性接着剤)を用いて形成された第二の接着剤層60を備える。これにより、蒸着層14のクラック発生によるガスバリア性の低下を抑制することが可能である。
【実施例0091】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0092】
(アンカーコート剤の調製)
アクリルポリオールとトリレンジイソシアネートとを、アクリルポリオールのOH基の数に対してトリレンジイソシアネートのNCO基の数が等量となるように混合し、全固形分(アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量)が5質量%になるよう酢酸エチルで希釈した。希釈後の混合液に、さらにβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランを、アクリルポリオール及びトリレンジイソシアネートの合計量100質量部に対して5質量部となるように添加し、これらを混合することでアンカーコート剤を調製した。
【0093】
(オーバーコート剤の調製)
下記のA液、B液及びC液を、それぞれ70/20/10の質量比で混合することで、オーバーコート剤を調製した。
A液:テトラエトキシシラン(Si(OC2H5)4)17.9gとメタノール10gに0.1N塩酸72.1gを加えて30分間攪拌して加水分解させた固形分5質量%(SiO2換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5質量%水/メタノール溶液(水:メタノールの質量比は95:5)。
C液:1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルプロピル)イソシアヌレートを水/イソプロピルアルコールの混合液(水:イソプロピルアルコールの質量比は1:1)で固形分5質量%に希釈した加水分解溶液。
【0094】
(中間フィルムAの作製)
中間層としての両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)の一方の面に上述したアンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化珪素からなる厚さ30nmの透明な蒸着層をアンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Si比は、蒸着材料種を調整することにより1.8とした。蒸着層の上に上述したオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。以上により、シリカからなる蒸着層が形成された中間フィルムAを得た。
【0095】
(中間フィルムBの作製)
中間フィルムAと同一の無延伸ポリエチレンフィルムの一方の面にアンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、アルミニウムを蒸着源とした電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層をアンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Al比は、酸素導入量を調整することにより1.5とした。さらに蒸着層の上にオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。以上により、アルミナからなる蒸着層が形成された中間フィルムBを得た。
【0096】
(中間フィルムCの作製)
ガスバリア性被覆層を形成しなかったこと以外は、中間フィルムAと同様にして中間フィルムCを得た。
【0097】
(保護層形成用塗布液Aの調製)
ポリウレタンからなる保護層を形成するための塗布液として、タケラックW-5030(三井化学社製)と、硬化剤としてタケネートWD-725(三井化学社製)とを質量比9:1で混合し、不揮発成分が5質量%となるように溶媒(水/2-プロパノール(IPA)=9:1(質量比))で希釈した塗布液Aを用意した。
【0098】
(保護層形成用塗布液Bの調製)
ポリエステルからなる保護層を形成するための塗布液として、エリーテルKT-8803(ユニチカ社製)と、硬化剤としてBasonatHW1000(BASF社製)とを質量比1:1で混合し、不揮発成分が5質量%となるように溶媒(水/2-プロパノール(IPA)=9:1(質量比))で希釈した塗布液Bを用意した。
【0099】
(保護層形成用塗布液Cの調製)
ポリアミドイミドからなる保護層を形成するための塗布液として、バイロマックスHR-15ET(東洋紡社製、融点300℃)を不揮発成分が5質量%となるように溶剤(エタノール/トルエン=1/1(質量比))で希釈した塗布液Cを用意した。
【0100】
(保護層形成用塗布液Dの調製)
エポキシからなる保護層を形成するための塗布液として、jER1004(三菱ケミカル社製)と、硬化剤としてコロネートL(東ソー社製)とを質量比9:1で混合し、不揮発成分が5質量%となるように溶剤(エタノール/トルエン=1/1(質量比))で希釈した塗布液Dを用意した。
【0101】
(接着剤Aの調製)
三井化学社製のタケラックA525を100質量部に対し、三井化学社製のタケネートA52を11質量部及び酢酸エチル84質量部を混合して、ウレタン系接着剤である接着剤Aを調製した。
【0102】
(接着剤B)
三菱ガス化学社製のマクシーブC93Tを16質量部と、三菱ガス化学社製のマクシーブM-100を5質量部とを混合して、エポキシ系ガスバリア性接着剤である接着剤Bを調製した。
【0103】
(実施例1-1)
基材層として、両面がコロナ処理された厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)を準備した。基材層の外面側のコロナ処理面に、上述した保護層形成用塗布液Aをグラビアコート法により塗布して乾燥・硬化し、厚さ0.5μmの保護層を形成した。さらに、基材層の内面側のコロナ処理面に、ウレタン系インキを使用してグラビア印刷法により印刷層(厚さ1μm)を形成した。画像は形成せず全面にインキを塗工した。
【0104】
次に、接着剤Aを用いたドライネート法により、基材層の印刷層が形成された面と、中間フィルムAの蒸着層が形成されていないコロナ処理面とを接着した。該接着剤層を第一の接着剤層とした。第一の接着剤層の厚さは3μmであった。
【0105】
さらに、シーラント層として、厚さ60μmの片面コロナ処理済無延伸ポリエチレンフィルム(LLDPEの単層構成)を準備した。第二の接着剤層として接着剤Aを用いたドライネート法により、中間フィルムAの蒸着層側の面と、シーラント層のコロナ処理面とを接合した。以上により、実施例1-1の積層体を得た。
【0106】
(実施例1-2)
保護層の厚さを2μmとし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-2の積層体を得た。
【0107】
(実施例1-3)
中間フィルムAに代えて中間フィルムBを使用したこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-3の積層体を得た。
【0108】
(実施例1-4)
中間フィルムAに代えて中間フィルムCを使用し、第二の接着剤層として接着剤Bを使用したこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-4の積層体を得た。
【0109】
(実施例1-5)
保護層の厚さを4μmとし、中間フィルムを両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)とし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例1-5の積層体を得た。
【0110】
(実施例2-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Bを使用したこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例2-1の積層体を得た。
【0111】
(実施例2-2)
保護層の厚さを2μmとし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例2-1と同様にして、実施例2-2の積層体を得た。
【0112】
(実施例2-3)
中間フィルムAに代えて中間フィルムBを使用したこと以外は実施例2-1と同様にして、実施例2-3の積層体を得た。
【0113】
(実施例2-4)
中間フィルムAに代えて中間フィルムCを使用し、第二の接着剤層として接着剤Bを使用したこと以外は実施例2-1と同様にして、実施例2-4の積層体を得た。
【0114】
(実施例2-5)
保護層の厚さを4μmとし、中間フィルムを両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)とし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例2-1と同様にして、実施例2-5の積層体を得た。
【0115】
(実施例3-1)
保護層及び基材層の積層フィルムとして、ポリアミド・ポリエチレン共押出無延伸フィルム(ポリアミド(融点220℃)/マレイン酸変性ポリエチレン/HDPE/MDPE/HDPE=0.5μm/0.1μm/4.9μm/15μm/5μm)(総厚25.5μm)を準備した。この積層フィルムのポリアミドと反対の面をコロナ処理し、ウレタン系インキを使用してグラビア印刷法により印刷層(厚さ1μm)を形成した。画像は形成せず全面にインキを塗工した。それ以降は実施例1-1と同様にして、実施例3-1の積層体を得た。
【0116】
(実施例3-2)
保護層及び基材層の積層フィルムとして、ポリアミド・ポリエチレン共押出無延伸フィルム(ポリアミド(融点220℃)/マレイン酸変性ポリエチレン/HDPE/MDPE/HDPE=2μm/0.1μm/4.9μm/15μm/5μm)(総厚27μm)を用い、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例3-1と同様にして、実施例3-2の積層体を得た。
【0117】
(実施例3-3)
中間フィルムAに代えて中間フィルムBを使用したこと以外は実施例3-1と同様にして、実施例3-3の積層体を得た。
【0118】
(実施例3-4)
中間フィルムAに代えて中間フィルムCを使用し、第二の接着剤層として接着剤Bを使用したこと以外は実施例3-1と同様にして、実施例3-4の積層体を得た。
【0119】
(実施例3-5)
保護層及び基材層の積層フィルムとして、ポリアミド・ポリエチレン共押出無延伸フィルム(ポリアミド(融点220℃)/マレイン酸変性ポリエチレン/HDPE/MDPE/HDPE=4μm/0.1μm/4.9μm/15μm/5μm)(総厚29μm)とし、中間フィルムを両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)とし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例3-1と同様にして、実施例3-5の積層体を得た。
【0120】
(実施例4-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Cを使用したこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例4-1の積層体を得た。
【0121】
(実施例4-2)
保護層の厚さを2μmとし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例4-1と同様にして、実施例4-2の積層体を得た。
【0122】
(実施例4-3)
中間フィルムAに代えて中間フィルムBを使用したこと以外は実施例4-1と同様にして、実施例4-3の積層体を得た。
【0123】
(実施例4-4)
中間フィルムAに代えて中間フィルムCを使用し、第二の接着剤層として接着剤Bを使用したこと以外は実施例4-1と同様にして、実施例4-4の積層体を得た。
【0124】
(実施例4-5)
保護層の厚さを4μmとし、中間フィルムを両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)とし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例4-1と同様にして、実施例4-5の積層体を得た。
【0125】
(実施例5-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Dを使用したこと以外は実施例1-1と同様にして、実施例5-1の積層体を得た。
【0126】
(実施例5-2)
保護層の厚さを2μmとし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例5-1と同様にして、実施例5-2の積層体を得た。
【0127】
(実施例5-3)
中間フィルムAに代えて中間フィルムBを使用したこと以外は実施例5-1と同様にして、実施例5-3の積層体を得た。
【0128】
(実施例5-4)
中間フィルムAに代えて中間フィルムCを使用し、第二の接着剤層として接着剤Bを使用したこと以外は実施例5-1と同様にして、実施例5-4の積層体を得た。
【0129】
(実施例5-5)
保護層の厚さを4μmとし、中間フィルムを両面にコロナ処理を施した厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)とし、シーラント層の厚さを150μmとしたこと以外は実施例5-1と同様にして、実施例5-5の積層体を得た。
【0130】
(比較例1~5)
保護層を形成しなかったこと以外は実施例1-1~1-5と同様にして、比較例1~5の積層体を得た。
【0131】
(実施例6-1)
基材層として、両面がコロナ処理された厚さ25μmの無延伸ポリエチレンフィルム(HDPE/MDPE/HDPE=5μm/15μm/5μmの3層構成)を準備した。基材層の一方の面に上述したアンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化珪素からなる厚さ30nmの透明な蒸着層を上記アンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Si比は、蒸着材料種を調整することにより1.8とした。蒸着層の上に上述したオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。
【0132】
次に、基材層の蒸着層を形成した側と反対のコロナ処理面に、上述した保護層形成用塗布液Aをグラビアコート法により塗布して乾燥・硬化し、厚さ0.3μmの保護層を形成した。さらに、シーラント層として、厚さ20μmの片面コロナ処理済無延伸ポリエチレンフィルム(LLDPEの単層構成)を準備した。接着剤層として接着剤Aを用いたドライネート法により、ガスバリア性被覆層と、シーラント層のコロナ処理面とを接合した。以上により、実施例6-1の積層体を得た。
【0133】
(実施例6-2)
蒸着層を、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層に変更した以外は実施例6-1と同様にして、実施例6-2の積層体を得た。
【0134】
(実施例6-3)
ガスバリア性被覆層を設けずに、接着剤Aを上述した接着剤Bに変更したこと以外は実施例6-1と同様にして、実施例6-3の積層体を得た。
【0135】
(実施例6-4)
基材層に、蒸着層及びガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を設けなかったこと以外は実施例6-1と同様にして、実施例6-4の積層体を得た。
【0136】
(実施例7-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Bを使用したこと以外は実施例6-1と同様にして、実施例7-1の積層体を得た。
【0137】
(実施例7-2)
蒸着層を、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層に変更した以外は実施例7-1と同様にして、実施例7-2の積層体を得た。
【0138】
(実施例7-3)
ガスバリア性被覆層を設けずに、接着剤Aを上述した接着剤Bに変更したこと以外は実施例7-1と同様にして、実施例7-3の積層体を得た。
【0139】
(実施例7-4)
基材層に、蒸着層及びガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を設けなかったこと以外は実施例7-1と同様にして、実施例7-4の積層体を得た。
【0140】
(実施例8-1)
保護層及び基材層の積層フィルムとして、ポリアミド・ポリエチレン共押出無延伸フィルム(ポリアミド(融点220℃)/マレイン酸変性ポリエチレン/HDPE/MDPE/HDPE=0.3μm/0.1μm/4.9μm/15μm/5μm)(総厚25.3μm)を準備した。この積層フィルムのポリアミドと反対の面をコロナ処理し、コロナ処理面に上述したアンカーコート剤をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を設けた。次に、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、酸化珪素からなる厚さ30nmの透明な蒸着層を上記アンカーコート層上に形成した。蒸着層のO/Si比は、蒸着材料種を調整することにより1.8とした。蒸着層の上に上述したオーバーコート剤をグラビアコート法により塗布して乾燥し、ガスバリア機能を有する厚さ0.3μmのガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を形成した。
【0141】
さらに、シーラント層として、厚さ20μmの片面コロナ処理済無延伸ポリエチレンフィルム(LLDPEの単層構成)を準備した。接着剤層として接着剤Aを用いたドライネート法により、ガスバリア性被覆層と、シーラント層のコロナ処理面とを接合した。以上により、実施例8-1の積層体を得た。
【0142】
(実施例8-2)
蒸着層を、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層に変更した以外は実施例8-1と同様にして、実施例8-2の積層体を得た。
【0143】
(実施例8-3)
ガスバリア性被覆層を設けずに、接着剤Aを上述した接着剤Bに変更したこと以外は実施例8-1と同様にして、実施例8-3の積層体を得た。
【0144】
(実施例8-4)
基材層に、蒸着層及びガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を設けなかったこと以外は実施例8-1と同様にして、実施例8-4の積層体を得た。
【0145】
(実施例9-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Cを使用したこと以外は実施例6-1と同様にして、実施例9-1の積層体を得た。
【0146】
(実施例9-2)
蒸着層を、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層に変更した以外は実施例9-1と同様にして、実施例9-2の積層体を得た。
【0147】
(実施例9-3)
ガスバリア性被覆層を設けずに、接着剤Aを上述した接着剤Bに変更したこと以外は実施例9-1と同様にして、実施例9-3の積層体を得た。
【0148】
(実施例9-4)
基材層に、蒸着層及びガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を設けなかったこと以外は実施例9-1と同様にして、実施例9-4の積層体を得た。
【0149】
(実施例10-1)
保護層形成用塗布液Aに代えて保護層形成用塗布液Dを使用したこと以外は実施例6-1と同様にして、実施例10-1の積層体を得た。
【0150】
(実施例10-2)
蒸着層を、酸化アルミニウムからなる厚さ10nmの透明な蒸着層に変更した以外は実施例10-1と同様にして、実施例10-2の積層体を得た。
【0151】
(実施例10-3)
ガスバリア性被覆層を設けずに、接着剤Aを上述した接着剤Bに変更したこと以外は実施例10-1と同様にして、実施例10-3の積層体を得た。
【0152】
(実施例10-4)
基材層に、蒸着層及びガスバリア性被覆層(オーバーコート層)を設けなかったこと以外は実施例10-1と同様にして、実施例10-4の積層体を得た。
【0153】
(比較例6~9)
保護層を形成しなかったこと以外は実施例6-1~6-4と同様にして、比較例6~9の積層体を得た。
【0154】
<評価>
各実施例及び比較例の積層体に対し、以下の評価を行った。結果を表1~表9に示す。
【0155】
(リサイクル性)
上記式(1)に基づき、各例の積層体に占めるポリエチレンの割合(質量%)を算出した。評価は、以下の2段階とした。
A:ポリエチレンの含有割合が90質量%以上。
C:ポリエチレンの含有割合が90質量%未満。
【0156】
(ヒートシール性の評価)
作製した積層体をそれぞれ10cm角に切り出し、シーラント層が内側になるように二つ折りし、ヒートシールテスターを用いて、温度140℃、圧力0.1MPa、加熱時間1秒の条件にてヒートシールした。ただし、実施例1-2、実施例2-2、実施例3-2、実施例4-2、実施例5-2、及び、比較例2の加熱時間は3秒とした。得られたサンプルのヒートシール部を目視により観察し、ヒートシールバーへの積層体の付着の有無、及び、ヒートシール部のシワの有無によりヒートシール性を評価した。評価は、以下の基準に基づいて行った。
(1)ヒートシールバーへの付着
A:ヒートシールバーへの積層体の溶融付着が認められない。
B:ヒートシールバーに積層体が疑似接着するが、溶融付着は認められずに分離できる。
C:積層体が溶融し、ヒートシールバーへの付着が認められる。
(2)ヒートシール部のシワ
A:ヒートシール部にシワが認められない。
C:ヒートシール部にシワが認められる。
【0157】
(耐衝撃性)
各例の積層体を用いて、周縁部がヒートシールされた100mm×150mmの包装袋を10個作製した。ヒートシールは、上記ヒートシール性の評価と同じ条件で行った。この包装袋に蒸留水200gを充填してヒートシールにより封止し、5℃で1日保存した。保存後に各包装袋を1.5mの高さから50回落下させ、破袋した包装袋の数を記録した。
【0158】
(酸素透過度:OTR)
モコン法により、30℃、70%RH(相対湿度)の条件下で、酸素透過度を測定した。但し、蒸着層を有さない積層体については、酸素透過度を測定しなかった。
【0159】
(水蒸気透過度:WVTR)
モコン法により、40℃、90%RH(相対湿度)の条件下で、水蒸気透過度を測定した。但し、蒸着層を有さない積層体については、水蒸気透過度を測定しなかった。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
【0169】
表1~表9に示されるように、実施例及び比較例の全てが高いリサイクル性を有し、耐衝撃性及びガスバリア性に優れていたが、保護層が無い比較例の積層体では、ヒートシール性が不良であった。
1,2…積層体、10…基材層、10a…基材層外面、10b…基材層内面、11…保護層、12…印刷層、14…蒸着層、15…ガスバリア性被覆層、20…中間層、30…シーラント層、40…第一の接着剤層、50,60…第二の接着剤層。