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  • 特開-収納装置 図1
  • 特開-収納装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023105873
(43)【公開日】2023-08-01
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/78 20060101AFI20230725BHJP
   A62C 19/00 20060101ALI20230725BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20230725BHJP
   G08B 3/10 20060101ALI20230725BHJP
   G08B 17/12 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
A62C13/78 A
A62C19/00
G08B17/00 F
G08B3/10
G08B17/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006868
(22)【出願日】2022-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山納 正人
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA11
5C085AB01
5C085AC18
5C085BA36
5C085FA11
5G405AA08
5G405AB05
5G405AD06
5G405CA25
5G405CA26
(57)【要約】
【課題】投てき型消火具の存在を知らせることができるとともに消火行為を行うこと、または避難を優先することを容易に認識できる収納装置を提供する。
【解決手段】
音声出力手段を有し、消火具を収納保持する収納装置であって、炎検出手段と、避難者を誘導するための音声情報を記憶する記憶手段と、を備え、収納装置は、炎検出手段の検出方向と収納装置からみた避難口方向とが略一致しており、炎検出手段が炎を検出すると、消火具の使用を促す音声情報を音声手段から出力するように構成した。または避難を促す音声情報としてもよい。さらには投てき型消火具を用いるのが好適である。また避難口方向は予め設定入力されて記憶されてもよい。


【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力手段を有し、消火具を収納保持する収納装置であって、
炎検出手段と、
避難者を誘導するための音声情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記収納装置は、前記炎検出手段の検出方向と当該収納装置からみた避難口方向とが略一致しており、前記炎検出手段が炎を検出すると、前記消火具の使用を促す前記音声情報を前記音声手段から出力する
ことを特徴とした収納装置。
【請求項2】
前記消火具は投てき型消火具であることを特徴とした請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記音声情報は、前記避難口方向へ向けて前記消火具の投てきを促す音声情報であることを特徴とした請求項2に記載の収納装置。
【請求項4】
音声出力手段を有し、消火具を収納保持する収納装置であって、
炎検出手段と、
避難者を誘導するための音声情報を記憶する記憶手段と、
を備え、
前記収納装置は、前記炎検出手段の検出方向と当該収納装置からみた避難口方向とが略一致しておらず、前記炎検出手段が炎を検出すると、避難を促す前記音声情報を前記音声手段から出力する
ことを特徴とした収納装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、さらに、設定入力された前記避難口方向を予め記憶することを特徴とした請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の収納装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投てき型消火具を収納保持可能な収納装置に関し、音声出力手段を備え、火災発生時に避難者を避難口へ音声案内により誘導することに利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内部には従来型の消火器のほかに、火災発生時の初期段階において簡便に火勢を弱めることが可能な投てき型の消火具が設置されることがある。投てき型消火具の多くは球形であり内部に消火剤を保持し、火災の発生を認識した者は当該消火具を収納装置(ホルダ)から取り出して火元を目がけて投げつける。すると消火具は火元付近で破裂するため、内部の消火剤が四散することで火勢が弱まり、場合に依ってはそのまま鎮火して全焼につながることを避けることができる。
【0003】
このような投てき型消火具を効果的に使用するためには、消火を試みる者が速やかにその消火具の存在とその設置位置を認識可能であり、直ちに使用できるようにしておく必要がある。
上記のような機能を有する消火具とそれに付随する器具に関する考案としては、例えば特許文献1や特許文献2に記載されているものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-13084号公報
【特許文献2】実用新案登録第3096538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムによれば、火災発生時に消火器の位置を速やかに認識できるので初期消火につなげやすい。また特許文献2に記載の消火具の収納ケースを用いれば投てき型消火具を簡単に取り出せるので同じく初期消火につなげやすい。
よって特許文献1と特許文献2に記載の考案により、その建物に居合わせた者は火勢を弱めつつ、火災報知システムが発するアナウンスや、建物の管理者の口頭による指示に従い避難口に向かって建物から退出し、逃げ遅れて命を落とすことを避けられる。
【0006】
ここで火災発生原因が放火であり、それが避難口付近に撒かれた引火しやすい燃料に着火されたことである場合には避難口付近が最も火勢が強く、そのまま火元を横断して避難口に到達しようとするのは危険であるため、避難者は咄嗟に避難口とは反対側に移動しようとする。
しかし避難口が1つしかない建物の構造であると、避難不能となりかねないので火元を通らざるを得ない場合があるが、火勢を弱めさせて避難経路を確保するため消火具を使うべきか、または火元の位置に依っては火元を通らずとも避難可能かの判断は、気が動転した避難者には難しいという課題があった。
【0007】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、避難者が投てき型消火具の使用により避難経路を確保可能となるための音声または消火活動は不要で直ちに非難すべき旨を伝える音声を選択的に出力する投てき型消火具の収納装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、音声出力手段を有し、消火具を収納保持する収納装置であって、炎検出手段と、避難者を誘導するための音声情報を記憶する記憶手段と、を備え、収納装置は、炎検出手段の検出方向と当該収納装置からみた避難口方向とが略一致しており、炎検出手段が炎を検出すると、消火具の使用を促す音声情報を音声手段から出力するように構成したものである。
【0009】
上記構成によれば、収納装置に備わった炎検出手段の検出方向に避難口があり、炎の検出時には消火具を利用すべきであることを避難者は容易に理解できる。
【0010】
ここで望ましくは、消火具は投てき型消火具とする。
これによれば、避難者は消火器一般の使い方に習熟していなくても、取り出して火元に投げつけるのみで火勢を弱めることができる。
【0011】
ここで望ましくは、音声情報は、避難口方向へ向けて消火具の投てきを促す音声情報であるように構成する。
かかる構成によれば、避難口への経路の確保が最優先となるため、避難者は消火具を避難口方向に向けて投げつけることに意識が向きやすくなる。
【0012】
また上記課題を解決するために、本発明は、音声出力手段を有し、消火具を収納保持する収納装置であって、炎検出手段と、避難者を誘導するための音声情報を記憶する記憶手段と、を備え、収納装置は、炎検出手段の検出方向と当該収納装置からみた避難口方向とが略一致しておらず、炎検出手段が炎を検出すると、避難を促す音声情報を音声手段から出力するように構成したものである。
【0013】
上記構成によれば、収納装置に備わった炎検出手段の検出方向とは異なる方向に避難口があり、炎の検出時には消火行為よりも自らの安全を確保すべく速やかに避難すべきことを避難者は容易に理解できる。
【0014】
ここで望ましくは、記憶手段は、さらに、設定入力された避難口方向を予め記憶するように構成する。
かかる構成によれば、運用開始前に予め避難口方向を設定入力して記憶することで設置場所や設置条件が変わっても的確な音声情報を出力することができる。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消火具の存在を速やかに認識できるとともに、炎の位置との関係で避難経路の確保または、自身の避難を優先すべきかを判別できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る収納装置の斜視図である。
図2】本発明に係る収納装置の構成要素を表すブロック図である。
図3】当該収納装置の動作を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明にかかる収納装置の実施形態について説明する。
本実施形態の収納装置は、建物の壁面などに設置されて使用され、当該収納装置に備わる炎検知手段(炎センサー)の検知範囲において炎が発生したと判定された場合、炎検知手段の検知方向と予め設定記憶された避難口の方向と比較し、略一致と不一致のそれぞれの場合に適した音声情報を出力する機能を備えるよう構成されている。
【0018】
図1は、本実施形態の収納装置の全体斜視図である。
本実施形態の収納装置10は、図1に示すように、筐体11の全体は直方体の箱形状にて実現されている。
筐体11の上面には、投てき型消火具の形状に合わせて安定的に収納可能な凹み12が設けられており、常態では内部に消火剤を保持した投てき型消火具が置かれる。図1では、投てき型消火具が球形であることを想定して示しているが、適宜別の形状の投てき型消火具に対応すべく他の形の凹みでもよい。例えば投てき型消火具が円筒状や樽型ならば、その形に応じた凹みの形であってもよい。
【0019】
収納装置10は、いずれかの側面に炎検出手段14を備えている。図1では収納装置10は建物の内部の壁面などに設置されることを想定しており、収納装置10の正面方向、紙面では手前方向を検出範囲とするべく正面に備えているとして示している。
炎検出手段14は、その前方において発生した炎を検出するために備わっており、適宜周知なセンサー類とそれに付随した回路類を用いて実現されている。例えば遠赤外線が存在すると所定の出力をする画像センサーで実現できる。
【0020】
収納装置10は、音声出力手段15としてのスピーカーを備えている。図1に示すように目視確認できるような放音口を備えてもよいし、適宜他の形態、例えば底面に向けてスピーカーが備わってもよい。
また図示しないが、例えば収納装置10の背面に、当該収納装置からみてどの方向に避難口が設けられているかを設定可能な設定スイッチが備わっているとする。
例えば収納装置10の正面方向を0度として、左回転(上方から見下ろしたとして反時計方向)で真横方向を-90度、右回転(同じく時計方向)で真横方向を+90度として回転式スイッチで実現できる。
【0021】
本実施形態の収納装置10の機能ブロック図を図2に示す。
図2に示すように、収納装置10は、各部の制御を司る制御部19の他、炎検出手段14、設定スイッチ16、記憶手段17、音声出力手段15から構成されている。
【0022】
炎検出手段14は図1のように筐体において正面に設けられ、その前方向において発生した炎を検出する。図1のように1つでもよいし、複数備えるとしてステレオ式にセンシングして炎の発生方向を把握してもよい。
【0023】
設定スイッチ16は、収納装置10からみて避難口がどの方向にあるかを操作者が設定入力するためのスイッチであり適宜周知な回転式スイッチなどで実現される。
設定入力された避難口がどの方向にあるかの情報は記憶手段17に避難口方向173として記憶される。
【0024】
記憶手段17は、避難口方向173の他、第1の音声情報171、第2の音声情報172、そして各種パラメーター類が図示しないバッファに記憶されるとする。
第1の音声情報171は、炎検出手段14の検出方向と避難口方向173とが略一致する場合に、炎検出手段14が炎を検出すると音声出力手段15から出力される音声の内容を表す情報である。例えば「ここに消火具があります。避難経路を確保するよう床に投げつけてください」というテキスト情報である。または記憶容量に余裕があるならば音声データを直接記憶してもよい。
【0025】
第2の音声情報172は、炎検出手段14の検知方向と避難口方向173とが一致しない場合に、炎検出手段14が炎を検出すると音声出力手段15から出力される音声の内容を表す情報である。例えば「ここに消火具があります。ご自身の避難を優先してください」というテキスト情報である。または記憶容量に余裕があるならば音声データを直接記憶してもよい。
2つの音声情報のそれぞれが出力される場合を、図3を用いて説明する。
【0026】
第1の音声情報171が出力される状況を、図3(a)を用いて説明する。同図において装置の管理者は、設定スイッチ16を同図においておおよそ正面方向に避難口32があるとして設定入力しているとする。また同図においては、炎検出手段14が検知範囲33内における前方の炎を検知している。
【0027】
図3(a)の場合は、炎検出手段14の検出方向と避難口方向173に記憶されている方向と略一致することになるため、制御部19は、記憶手段17から第1の音声情報を読み出して音声データに変換し、音声出力手段15から出力する。
【0028】
図3(a)の場合は、避難者30は避難口32に辿りついて避難するためには火元31を通る必要があるので、火勢が強くなり始めると安全な避難が困難となる。そこで収納装置10は、第1の音声情報171を音声出力手段15から出力する。避難者30は当該音声情報を聞くと、収納装置10が設置されていることと、収納された投てき型消火具の存在を直ちに認識できる。
【0029】
その際、第1の音声情報171は、前述のように投てき型消火具について避難経路を確保するような使い方を促す旨の内容を含んでいるため、避難者30は慌てずに点線矢印40に示すように収納装置10に近づき、投てき型消火具を取り出して点線矢印41のように投てき型消火具を火元31に目がけて投げつけることができる。その結果、火元31の火勢は弱まるので、避難者30は安全に避難口32を通って避難が可能となる。
【0030】
第2の音声情報172が出力される状況を、図3(b)を用いて説明する。
図3(b)に示すように、収納装置10からみて炎検知手段14の検出方向とは異なる方向に避難口32が存在している場合、検出方向と避難口方向173に記憶されている方向とは一致しないことになるため、制御部19は、記憶手段17から第2の音声情報を読み出して音声データに変換し、音声出力手段15から出力する。
【0031】
図3(b)の場合は、避難者30は避難口32に辿りついて避難するためには火元31を通る必要は無いため、避難者30は点線矢印42に示すように安全に避難口32に向かうことができる。そこで収納装置10は、第2の音声情報172を音声出力手段15から出力する。避難者30は当該音声情報を聞くと、消火行為よりも自らの避難を優先すべきことを直ちに認識できる。
【0032】
その際、第2の音声情報172は、前述のように投てき型消火具の存在を知らせる旨の内容を含んでいるため、余裕があれば投てき型消火具を使用して火勢を弱めてから避難を開始すると安全性を高めることが可能となる。
【0033】
音声出力手段15は、記憶手段17に記憶されている音声情報を外部に聴覚にて認識可能に出力するスピーカーとそれに付随する回路類である。記憶手段17に記憶されている第1の音声情報171と第2の音声情報がテキストデータの場合には、テキストデータを音声データに変換する機能を備えてもよい。あるいは当該機能は制御部19が担ってもよい。
【0034】
以上述べてきた実施の形態においては、消火具として投てき型のものとしていたがこれに限らない。
投てき型消火具は、取り出して火元を目がけて投げつければよいので簡便性というメリットがあるが、従業員に対して消火行為の訓練が十分実施されているオフィスビル向けには小型の消火器を収納保持することとしてもよい。この場合、消火器に充填されている消火剤を火元に目がけて噴射することで火勢を弱めることになる。
さらにはスプレーにて消火剤を噴霧する簡易な消火具を収納保持してもよい。
【0035】
また以上述べてきた実施の形態においては、収納装置からみた避難口方向は装置の管理者が設置時に予め設定スイッチを操作することで入力して記憶手段に記憶させることとしていた。これに対し避難口方向ごとに収納装置を実現することとして、設定スイッチを省略してもよい。つまり避難口が正面方向にある場合専用の収納装置として実現しても同様な効果を奏する。他の方向にある場合専用として実現しても同様である。
【0036】
さらには以上述べてきた実施の形態においては、図3(a)と同図(b)で示したように、炎検出手段の検出方向と避難口方向との関係は、一旦設置すると出力される音声は固定されるがこれに限られない。炎検出手段を複数備え、収納装置から見た火元の方向を把握して出力される音声を異ならせてもよい。
すなわち収納装置の対向する側面、図1の全体斜視図でいうと向かって左右の側面それぞれに炎検出手段を備えることとする。そして炎の存在を検出した炎検出手段の検出方向と避難口方向とが略一致する場合には図3(a)に示すような音声情報とし、一致しない場合には図3(b)に示すような音声情報とすることができる。
【0037】
また複数の炎検出手段を収納装置の正面においてスピーカーを挟むように備えることとして、ステレオ画像技術に準えて具体的に炎の存在方向や離間距離を求めてもよい。
この場合、出力する音声情報を危険度合いや緊急度合いに応じて複数種類用意して記憶手段に記憶しておき、炎の存在方向、離間距離、避難口方向との関係で出力する音声情報を決定できるので、発生している状況と取るべき行動を的確に避難者に伝えることができる。

【符号の説明】
【0038】
10 収納装置
14 炎検出手段
15 音声出力手段
171 第1の音声情報
172 第2の音声情報
173 避難口方向
31 火元
32 避難口


図1
図2
図3