(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107097
(43)【公開日】2023-08-02
(54)【発明の名称】合成樹脂管用スクレーパー
(51)【国際特許分類】
B23D 79/12 20060101AFI20230726BHJP
B23B 5/12 20060101ALN20230726BHJP
B23B 25/00 20060101ALN20230726BHJP
F16L 47/02 20060101ALN20230726BHJP
【FI】
B23D79/12 Z
B23B5/12
B23B25/00 A
F16L47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022008206
(22)【出願日】2022-01-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 怜子
(72)【発明者】
【氏名】元持 和哉
【テーマコード(参考)】
3C045
3C050
3H019
【Fターム(参考)】
3C045CA07
3C045CA30
3C045DA07
3C050FD13
3C050FD15
3H019GA11
(57)【要約】
【課題】切削刃が切粉に乗り上げることを抑制して切削ムラの発生を抑えることができると共に、本体フレームにかかる遠心力の影響を最小限に抑えることができる合成樹脂管用スクレーパーを提供する。
【解決手段】合成樹脂管の外周面に当接するように配設される切削刃22と、切削刃22を合成樹脂管の外周面に沿って周方向および管軸方向に走行させる送り手段23と、合成樹脂管を切削可能に保持する保持手段21と、を有する本体フレーム2を備え、継手を用いて連結される合成樹脂管同士の連結部の外周面を、本体フレーム2を回転させて切削加工する合成樹脂管用スクレーパー1であって、本体フレーム2に直接的もしくは間接的に設置されている切削刃22に対して、切削進行方向よりも前方に、合成樹脂管の管軸方向に対して平行にプレート部材が配設されている、合成樹脂管用スクレーパー1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂管の外周面に当接するように配設される切削刃と、前記切削刃を前記合成樹脂管の外周面に沿って周方向および管軸方向に走行させる送り手段と、前記合成樹脂管を切削可能に保持する保持手段と、を有する本体フレームを備え、継手を用いて連結される前記合成樹脂管同士の連結部の外周面を、前記本体フレームを回転させて切削加工する合成樹脂管用スクレーパーであって、
前記本体フレームに直接的もしくは間接的に設置されている切削刃に対して、切削進行方向よりも前方に、前記合成樹脂管の管軸方向に対して平行にプレート部材が配設されている、合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項2】
前記切削刃に対して切削進行方向よりも前方に、ブロック状の切粉保持板を有する、請求項1に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項3】
前記プレート部材の長さが3mm以上50mm以下である、請求項1または2に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項4】
前記プレート部材の厚さが0.1mm以上5mm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項5】
前記切粉保持板の切削進行方向の長さへの長さが切削刃から1mm以上40mm以下である、請求項2に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項6】
前記切粉保持板の高さが1mm以上本体フレームの高さ以下である、請求項2または5に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項7】
前記プレート部材は脱着可能である、請求項1~6のいずれか1項に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項8】
弾性体を介して前記プレート部材を上下に動かす機構を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【請求項9】
前記切粉保持板と前記プレート部材とが、側面から見て弧を描いて一体化したような一部材からなる形状である、請求項2に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、合成樹脂管、特にポリエチレン管やポリプロピレン管等の樹脂管と継手とを融着させるに先だって、融着し易いようにその管端部の外表面を切削するための合成樹脂管用スクレーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、給排水用やガス用等の配管には、腐食や地震に強く、施工性に優れたポリエチレン管等の合成樹脂管が多く用いられている。この種の合成樹脂管を連結する方法としては、エレクトロフュージョン(電気融着)継手(EF継手)を用いて、合成樹脂管の端部外周面と、継手の内面とを加熱溶融して接合する融着接合が一般的に行われている。
【0003】
このようなEF継手による合成樹脂管の連結接合の場合、気密性や強度等の継手の品質を確保するために、融着する面の汚れや表面変質層を除去するという前工程が必要になる。そのため、接合作業前に予め、合成樹脂管の端部近傍の外表面を薄く切削する(スクレープ)加工を行っていた。
【0004】
このスクレープを行うための工具として、例えば、コレツト部材と、拡径用部材と、ねじ杆と、スクレーパー刃物と、を備えるパイプスクレーパー工具が知られている。コレツト部材は、外周を切削パイプの内周に近似する形状とし、内周を切削パイプの口部の方向で狭くしたテーパー形内面にすると共に、周方向において数個に分割されている。拡径用部材は、コレツト部材の内周形状に近似する外面とし、かつコレツト部材から突出する部分にナツトを螺合するオネジを設け、さらにコレツト部材に軸方向移動自由に嵌められている。ねじ杆は、拡径用部材の中心孔に形成したメネジにネジ部を螺合して突出し、その突出端に電気ドリル主軸チヤツクに挟着するヘツド軸部が設けられている。スクレーパー刃物は、ねじ杆に固定して切削パイプの外周とほぼ平行に突出した刃物支持杆に切削パイプの外周に接するように取付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、現在、市場で汎用的に使われているスクレーパーは、上記構造に加えて、切削刃が切粉に乗り上げることを防止するために、切粉収納カバーが付属することが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているようなスクレーパーは、切削途中に切粉が管に絡まり、絡まった切粉に切削刃が乗り上ることにより、切削ムラが発生するという課題があった。
また、特許文献1に記載の構造に加えて、切粉収納カバーを付属しているスクレーパーにおいては、切粉収納カバーの入口と切削刃の間に切粉が詰ることで、切粉が切粉収納カバー内に収納されずに、切粉収納カバーから溢れた切粉に刃が乗り上げることで切削出来ないという課題があった。また、そもそも切粉収納カバー内に切粉が上手く入っていかず、切粉収納カバーがない時と同様に、切削途中に切粉が管に絡まり、絡まった切粉に切削刃が乗り上ることにより、切削ムラが発生するという課題があった。
【0008】
さらに、合成樹脂管の口径が75A以上の中大口径以上の場合には、切削量が増えるため、切粉収納カバー自体が大きく、重くなることから、遠心力が発生し、切削刃を備える本体フレームが大きく振れて切削量のバラツキが大きくなるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、切削刃が切粉に乗り上げることを抑制して切削ムラの発生を抑えることができると共に、本体フレームにかかる遠心力の影響を最小限に抑えることができる合成樹脂管用スクレーパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]合成樹脂管の外周面に当接するように配設される切削刃と、前記切削刃を前記合成樹脂管の外周面に沿って周方向および管軸方向に走行させる送り手段と、前記合成樹脂管を切削可能に保持する保持手段と、を有する本体フレームを備え、継手を用いて連結される前記合成樹脂管同士の連結部の外周面を、前記本体フレームを回転させて切削加工する合成樹脂管用スクレーパーであって、
前記本体フレームに直接的もしくは間接的に設置されている切削刃に対して、切削進行方向よりも前方に、前記合成樹脂管の管軸方向に対して平行にプレート部材が配設されている、合成樹脂管用スクレーパー。
[2]前記切削刃に対して切削進行方向よりも前方に、ブロック状の切粉保持板を有する、[1]に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[3]前記プレート部材の長さが3mm以上50mm以下である、[1]または[2]に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[4]前記プレート部材の厚さが0.1mm以上5mm以下である、[1]~[3]のいずれかに記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[5]前記切粉保持板の切削進行方向の長さへの長さが切削刃から1mm以上40mm以下である、[2]に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[6]前記切粉保持板の高さが1mm以上本体フレームの高さ以下である、[2]または[5]に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[7]前記プレート部材は脱着可能である、[1]~[6]のいずれかに記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[8]弾性体を介して前記プレート部材を上下に動かす機構を有する、[1]~[7]のいずれかに記載の合成樹脂管用スクレーパー。
[9]前記切粉保持板と前記プレート部材とが、側面から見て弧を描いて一体化したような一部材からなる形状である、[2]に記載の合成樹脂管用スクレーパー。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、切削刃が切粉に乗り上げることを抑制して切削ムラの発生を抑えることができると共に、本体フレームにかかる遠心力の影響を最小限に抑えることができる。合成樹脂管用スクレーパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を一部破断して示す側面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を示す側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーを実施するための最良の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
[合成樹脂管用スクレーパー]
図1は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を一部破断して示す側面図である。
図2は、本発明の一実施形態に係る合成樹脂管用スクレーパーの一例を示す側面図である。
図1および
図2に示すように、本実施形態の合成樹脂管用スクレーパー1は、本体フレーム2を備える。本体フレーム2は、合成樹脂管3を切削可能に保持する保持手段21と、保持状態の合成樹脂管3の外周面に当接するように配設される切削刃22と、切削刃22を合成樹脂管3の外周面に沿って周方向および管軸方向に走行させる送り手段23とを有する。
本実施形態の合成樹脂管用スクレーパー1は、継手を用いて連結される合成樹脂管3同士の連結部31の外周面を、本体フレーム2を回転させて切削加工するものである。
【0015】
保持手段21は、合成樹脂管3の内径に合わせて拡径可能なコア部211を備え、このコア部211の外側に設けられた当接板212が、合成樹脂管3の連結部31の内周面に取り付けられて、合成樹脂管3を保持する構成となっている。
【0016】
また、本体フレーム2には、コア部211と同軸上に延びる回転軸231が設けられている。送り手段23は、回転軸231が回転することによって、自動的に切削刃22を進めるように構成されている。
図1および
図2に示す形態では、本体フレーム2の外側に突設されて回転軸231の延長軸上に形成された連結軸部232に、電動ドリル等の回転操作治具を連結して、回転軸231を任意に回転させられるように構成されている。
【0017】
本体フレーム2には、保持状態の合成樹脂管3の外周面に沿って管軸方向と平行になるようにアーム24が延設されている。切削刃22は、本体フレーム2に直接的もしくは間接的に設置されている。切削刃22は、アーム24の先端部に備えられている。切削刃22としては、薄肉切削用のバイトが用いられている。薄肉切削用のバイトとしては、厚さが0.2mmの刃を使用することが一般的とされているが、切削量が多い刃を使用しても構わない。切削刃22の刃の出代は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.15mm以上0.45mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上0.4mm以下であることがさらに好ましい。
【0018】
さらに、アーム24には、切削刃22に対して、切削進行方向よりも前方に、合成樹脂管3の管軸方向に対して平行に切粉保持板25とプレート部材26が配設されている。切粉保持板25は、切削刃22に対して切削進行方向よりも前方に配設されている。切粉保持板25は、ブロック状をなしている。プレート部材26が切削後の切粉をすくい上げ、切粉保持板25で切削刃22よりも一定距離前方へ切粉を保持することにより、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる仕組みとなっている。
【0019】
切粉保持板25とプレート部材26とが、側面から見て弧を描いて一体化したような一部材からなる形状であることが好ましい。側面から見て弧を描いて一体化したような一部材からなる形状とは、具体的には、
図3に示す様にプレート部材から切粉保持板25へかけて斜めにテーパーのついている構造や、
図4に示す滑り台のように側面から見ると弧を描き、前面からみると長方形に見える構造のような形状のことである。切粉保持板25とプレート部材26とがこのような形状をなしていることにより、合成樹脂管3に絡まっている切削後の切粉の下にプレート部材26が侵入し一定距離前方へ切粉を保持することにより、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる。
【0020】
プレート部材26は、アーム24から脱着可能であることが好ましい。プレート部材26が脱着可能であることにより、本体フレーム2の肉厚比べて厚みの薄いプレート部材26が変形した際に交換することができるため、長期的に使用することができる。
【0021】
本実施形態の合成樹脂管用スクレーパー1は、弾性体を介してプレート部材26を上下に動かす機構を有することが好ましい。このような機構を有することにより、合成樹脂管3の管端が斜め切れであった場合も、管端形状に追従して切削することができ、合成樹脂管3に乗り上げた後も切粉の下にプレート部材26が侵入し一定距離前方へ切粉を保持することにより、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる。
【0022】
弾性体としては、例えば、コイルばね、板バネを始めとする金属バネや、高分子材料バネ、無機材バネ、流体バネを始めとする非金属ばね等が挙げられる。
【0023】
プレート部材26の長さは、3mm以上50mm以下であることが好ましく、4mm以上40mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることがさらに好ましい。プレート部材26の長さが前記下限値以上であると、切粉の下にプレート部材26が進入しやすくなると同時に、一定量の切粉をプレート部材26の前方に保持することができる。プレート部材26の長さが前記上限値以下であると、工具としての取り回しがしやすく、プレート部材26が変形にし難いため、長期的に使用することができる。
【0024】
プレート部材26の厚さは、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上4mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上3mm以下であることがさらに好ましい。プレート部材26の厚さが前記下限値以上であると、プレート部材26が施工時の衝撃や現場での取り回しの際に変形しないだけの強度を、プレート部材26に持たせることができる。プレート部材26の厚さが前記上限値以下であると、合成樹脂管3に絡まった切粉の下にプレート部材26が進入しやすくなり、一定距離前方へ切粉を保持することにより、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる。
【0025】
切粉保持板25の切削進行方向への長さは、切削刃22から1mm以上40mm以下であることが好ましく、3mm以上35mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることがさらに好ましい。切粉保持板25の切削進行方向への長さが前記下限値以上であると、切粉保持板25の前方に保持した切粉が切削刃22の下に進入せずに、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる。切粉保持板25の切削進行方向への長さが前記上限値以下であると、分岐から切削部が近いような配管やレジューサのような径が途中で変わるような継手であっても、切粉保持板25と合成樹脂管3とが干渉せずに切削することが出来る。
【0026】
切粉保持板25の高さは、1mm以上本体フレーム2の高さ以下であることが好ましく、3mm以上40mm以下であることがより好ましく、5mm以上30mm以下であることがさらに好ましい。切粉保持板25の高さが前記下限値以上であると、切削刃22の高さよりも切粉保持板25が上方になるため切粉を一定高さ以上に保持することにより、切粉保持板25の前方に保持した切粉が切削刃22の下に進入せずに、切削刃22が合成樹脂管3に絡まった切粉に乗り上げずに切削できる。切粉保持板25の高さが前記上限値以下であると、本体から切粉保持板25がせり出さないため切粉を本体フレーム2から取り外す際に引っかかりがないため施工の作業性が良くなる。
【0027】
このような合成樹脂管用スクレーパー1は、合成樹脂管3の融着接続の作業現場において用いられるものであるため、軽量であり、かつ堅牢であることが好ましい。そのため、本体フレーム2を構成する主要部材の材質としては、例えば、アルミニウム、ジュラルミン等の軽量の金属類が用いられることが好ましい。
【0028】
切削刃22は、例示したようなバイトであってもよく、螺旋回転刃であってもよく、合成樹脂管3の外表面を薄く切削可能な鋼製刃物であればどのようなものであってもよい。
【0029】
本実施形態の合成樹脂管用スクレーパー1は、切粉収納カバーを取り付けることなく、切削刃22に対して、切削進行方向よりも前方に、合成樹脂管3の管軸方向に対して平行にプレート部材26が配設されているため、切削刃22が切削する箇所の合成樹脂管3の表面の切粉をプレート部材26によりすくい上げて、切削刃22が切粉に乗り上げることを抑制し、切削ムラの発生を抑えることができる。
また、プレート部材26は切粉収納カバーに比べて軽量かつ小型であるために本体フレーム2にかかる遠心力の影響を最小限に抑えることができる。切粉収納カバー使用時は、合成樹脂管3の切削終了後に切粉収納カバーから切粉を取り出す際に、切粉収納カバーを取り外す作業が必要であった。本実施形態の合成樹脂管用スクレーパー1は、切粉収納カバーを設けていないため、切粉収納カバーから切粉を取り出す手間も省けるため、作業性が向上する。
【0030】
[合成樹脂管用スクレーパーの使用方法]
合成樹脂管用スクレーパー1の使用方法を説明する。
合成樹脂管用スクレーパー1の使用にあたっては、まず、継手により接合する合成樹脂管3の連結部31の外周面に、挿入標線をマーキングする。合成樹脂管3の表面にキズや凹み等がある場合には、その部分を除去すると共に表面の汚れを取り除く。
【0031】
次に、合成樹脂管3の連結部31を、アーム24と管軸方向とが平行になるように本体フレーム2の保持手段21にセットする。合成樹脂管3の内側にはコア部211を挿入し、拡径させて取り付ける。また、合成樹脂管3の挿入標線の手前までが切削長さとなるように、切粉保持板25を管軸方向に位置調整する。
【0032】
そして最後に、電動ドリル等の回転操作治具を連結軸部232に連結し、切削を開始する。これにより、合成樹脂管3の連結部31の外周面の切削加工を、所定の切削長さ分だけ行うことが容易である上に、その後の合成樹脂管3の連結作業も効率良く進めることができる。
【0033】
このように、合成樹脂管用スクレーパー1は、合成樹脂管3の連結部31の外周面の切削加工を、所定の切削長さ分だけ行うことが容易である上に、その後の合成樹脂管3の連結作業も効率良く進めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、合成樹脂管、特にポリエチレン管やポリプロピレン管などの樹脂管と継手とを融着させるに先だって、融着しやすいようにその管端部の外表面を切削するのに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 合成樹脂管用スクレーパー
2 本体フレーム
21 保持手段
211 コア部
212 当接板
22 切削刃
23 送り手段
231 回転軸
232 連結軸部
24 アーム
25 切粉保持板
26 プレート部材
3 樹脂管
31 連結部