(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023107727
(43)【公開日】2023-08-03
(54)【発明の名称】吸音材及び集合継手
(51)【国際特許分類】
E03C 1/12 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
E03C1/12 Z
E03C1/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022156576
(22)【出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022008819
(32)【優先日】2022-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022053409
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB02
2D061AB10
2D061AC06
2D061AC07
2D061AC10
(57)【要約】
【課題】耐火材を保持しやすくできる吸音材及び集合継手を提供する。
【解決手段】集合継手1は、第1、第2の立管P1,P2及び横管P3が接続される継手上部11と、円筒管部16及び縮径部17を備える継手下部12と、継手下部12に設けられた耐火材19と、を備える。吸音材32は、集合継手1の継手下部12に取り付けられる。吸音材32は、無機繊維層41、難燃材層がこの順に積層され、無機繊維層41が継手下部12の側に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立管及び横管が接続される継手上部と、円筒管部及び縮径部を備える継手下部と、前記継手下部に設けられた耐火材と、を備える集合継手の前記継手下部に取り付けられる吸音材であって、
無機繊維層、難燃材層がこの順に積層され、
前記無機繊維層が前記継手下部の側に配置されることを特徴とする吸音材。
【請求項2】
前記難燃材層は、織布層、金属箔を積層したものであることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
【請求項3】
前記集合継手は、少なくとも前記円筒管部によって構成される円筒部を備え、
前記吸音材は、
前記円筒部の外周に配置される吸音材上部と、
前記縮径部の外周に配置される吸音材下部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
【請求項4】
前記吸音材上部と前記吸音材下部とが一部で連結されていることを特徴とする請求項3に記載の吸音材。
【請求項5】
前記吸音材を展開した状態において、
前記吸音材の上端が上方に向けて凸形となる円弧状に形成され、
前記吸音材の下端に切込みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
【請求項6】
前記吸音材を展開した状態において、
前記吸音材の上端から下端にかけて前記吸音材の幅が狭くなっていて、
前記吸音材の側方の端部の傾斜角度が2つあることを特徴とする請求項5に記載の吸音材。
【請求項7】
前記耐火材は、前記継手下部において前記円筒管部と前記縮径部とに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の吸音材。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の吸音材が前記継手下部の外周に配置され、
前記吸音材の外周に遮音材が配置されたことを特徴とする集合継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸音材及び集合継手に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、集合住宅やオフィスビル等には排水設備が設けられている。この排水設備は、例えば、建物の各階層を立管が上下に貫き、各階層内に横管が設置され、立管及び横管が集合継手により接続されている。集合継手は、建築物に施工される際に床スラブのスラブ貫通孔に配置されている。集合継手は、床スラブの上方に継手上部が突出されて立管と横管とが接続され、スラブ貫通孔に配置されるとともに床スラブの下方に継手下部が突出されている。
【0003】
ここで、集合継手は、金属製のものに加えて樹脂製のものが使用されている。樹脂製の集合継手は、金属製と比べて軽量なために排水音を減衰し難い。このため、樹脂製の集合継手の外周に吸音材と遮音材とを組み合わせた遮音カバーを設けて排水音の低減を図っている。遮音カバーでは、遮音材の内側に吸音材が設けられている。
【0004】
さらに、遮音材の内側に設けられた遮音材は、樹脂製の集合継手に設けられた熱膨張耐火材(以下、耐火材ということもある)が火災時に膨張したときに保持する役割も備えている。
耐火材は、例えば、建物の火災時に熱膨張して集合継手を変形させて閉塞する。熱膨張した耐火材により集合継手を閉塞することにより、例えば、火災時の煙が排水設備の内部から上層階へ移動することを防ぐことができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、継手下部は、例えば、継手上部が連通される円筒管部と、円筒管部から下方に向けて縮径する縮径部と、を有する。円筒管部は、スラブ貫通孔に配置(収納)されている。また、縮径部は、床スラブの下方に突出されている。
この継手下部に設ける吸音材として、例えば、シート状の無機繊維等を使用することが知られている。この吸音材は、例えば、吸音材上部と吸音材下部とを備えている。吸音材を展開した状態において、吸音材上部は矩形状であり、吸音材下部は円弧状である。吸音材上部の両端部を接合することにより、円筒管部の外周に対応させることができる。また、吸音材下部の両端部を接合することにより、縮径部の外周に対応させることができる。
【0007】
このように形成された吸音材上部と吸音材下部とは、例えば、吸音材下部の上端が吸音材上部の下端に連結されている。しかし、吸音材がシート状の無機繊維の場合、吸音材下部と吸音材上部との端部同士を連結するだけでは、連結部の強度を確保することが難しい。このため、熱膨張した耐火材を保持する効果が低くなり、耐火材が脱落して耐火材としての役割を果たせなくなることが考えられる。
【0008】
また、吸音材の異なる構造として、例えば、吸音材を展開した状態において、全体を円弧状に形成し、吸音材の上端に下方に延びる切込みが形成されたものが知られている。この吸音材によれば、吸音材のうち上端側の部位(切込みが形成された部位)の側方の両端部を接合することにより、円筒管部の外周に対応させることができる。このとき、この部位を、切込みを狭めるように丸め、切込みを挟んだ両側を例えばテープなどで固定する。また、吸音材のうち下端側の部位の側方の両端部を接合することにより、縮径部の外周に対応させることができる。
しかし、この吸音材は、吸音材下部のうち上端側の切込みを有する部位の強度が低下するため、やはり、熱膨張した耐火材を保持する効果が低くなる。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、耐火材を保持しやすくできる吸音材及び集合継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
「1」本発明に係る吸音材は、立管及び横管が接続される継手上部と、円筒管部及び縮径部を備える継手下部と、前記継手下部に設けられた耐火材と、を備える集合継手の前記継手下部に取り付けられる吸音材であって、無機繊維層、難燃材層がこの順に積層され、前記無機繊維層が前記継手下部の側に配置される。
「2」前記難燃材層は、織布層、金属箔を積層したものであってもよい。
【0011】
上述の吸音材であれば、継手下部に耐火材を設け、継手下部に吸音材を取り付けた。この吸音材として、無機繊維層及び難燃材層を積層し、さらに例えば、難燃材層を積層構造とすることで、この吸音材を無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層に積層した。さらに、無機繊維層を継手下部の側に配置した。これにより、吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0012】
さらに、吸音材を無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層に積層することにより、仮に吸音材に切込みなどが入っていても、吸音材の強度を高めることができる。また、吸音材は、耐火材の外周に対応して配置されている。これにより、例えば、建物の火災時に耐火材が熱膨張して集合継手を変形させて閉塞する際に、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
加えて、無機繊維層を継手下部の側に配置することにより、無機繊維層を耐火材に接触させることが可能になる。よって、熱膨張した耐火材を無機繊維層により引っ掛けることができる。これにより、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0013】
「3」本形態において、前記集合継手は、少なくとも前記円筒管部によって構成される円筒部を備え、前記吸音材は、前記円筒部の外周に配置される吸音材上部と、前記縮径部の外周に配置される吸音材下部と、を備えていてもよい。
【0014】
この場合には、吸音材上部の両端部を接合することにより、吸音材上部を円筒部の外周に対応させることができる。また、吸音材下部の両端部を接合することにより、吸音材下部を縮径部の外周に対応させることができる。これにより、吸音材上部及び吸音材下部で形成された吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。
また、吸音材は、例えば、無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層に積層されている。よって、吸音材の強度が高められている。これにより、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0015】
「4」本形態において、前記吸音材上部と前記吸音材下部とが一部で連結されていてもよい。
【0016】
この場合には、吸音材を形成する吸音材上部と吸音材下部とを一部で連結させた。よって、吸音材上部の両端部を吸音材下部に影響されることなく接合でき、吸音材上部を円筒部の外周に対応させることができる。また、吸音材下部の両端部を吸音材上部に影響されることなく接合でき、吸音材下部を縮径部の外周に対応させることができる。これにより、吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0017】
ここで、吸音材は、例えば、無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層で形成され、強度が高められている。よって、吸音材上部と吸音材下部とを連結させた連結部の強度を高めることができる。これにより、熱膨張した耐火材や吸音材下部の自重により吸音材下部が吸音材上部から脱落することを抑えることができる。したがって、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0018】
「5」本形態において、前記吸音材を展開した状態において、前記吸音材の上端が上方に向けて凸形となる円弧状に形成され、前記吸音材の下端に切込みが形成されていてもよい。
【0019】
この場合には、吸音材の上端を上方に向けて凸形の円弧状に形成し、吸音材の下端に切込みを形成した。よって、吸音材のうち上端側の部位の両端部を接合することにより、上端側の部位を円筒管部の外周に対応させることができる。また、吸音材のうち下端側の部位(すなわち、切込みが形成されている部位)の両端部を接合することにより、下端側の部位を縮径部の外周に対応させることができる。これにより、吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0020】
ここで、吸音材は、例えば、無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層で形成され、強度が高められている。よって、吸音材のうち下端側の部位(すなわち、切込みが形成されている部位)の強度を高めることができる。これにより、熱膨張した耐火材の自重により、切込みが形成されている部位から熱膨張した耐火材が脱落することを抑えることができ、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0021】
「6」本形態において、前記吸音材を展開した状態において、前記吸音材の上端から下端にかけて前記吸音材の幅が狭くなっていて、前記吸音材の側方の端部の傾斜角度が2つあってもよい。
【0022】
この場合には、吸音材の上端から下端にかけて幅が狭くなっていくように形成した。さらに、端部に傾斜角度を2つ備えた。よって、吸音材のうち上端側の部位の両端部を接合することにより、上端側の部位を円筒管部の外周に対応させることができる。また、吸音材のうち下端側の部位(すなわち、切込みが形成されている部位)の両端部を接合し、さらに切込みを接合することにより、下端側の部位を縮径部の外周に対応させることができる。これにより、吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。加えて、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0023】
「7」本形態において、前記耐火材は、前記継手下部において前記円筒管部と前記縮径部とに設けられていてもよい。
【0024】
この場合には、継手下部において円筒管部と縮径部とに耐火材を設けることにより、継手下部に耐火材を複数設けるようにした。ここで、吸音材は円筒管部と縮径部とに対応するように形成されている。これにより、円筒管部と縮径部とにおいて熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【0025】
また、継手下部に耐火材を複数設けることにより、例えば、建物の火災時に複数の耐火材を熱膨張させて継手下部を良好に変形させて閉塞することができる。これにより、例えば、火災時の煙が排水設備の内部から上層階へ移動することを良好に防ぐことができる。
【0026】
「8」本発明に係る集合継手は、「1」から「7」のいずれかに記載の吸音材が前記継手下部の外周に配置され、前記吸音材の外周に遮音材が配置されている。
【0027】
この集合継手であれば、例えば、吸音材を無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層に積層した。さらに、無機繊維層を継手下部の側に配置した。加えて、吸音材の外周に遮音材を配置した。これにより、吸音材による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0028】
さらに、吸音材を無機繊維層、織布層、及び金属箔の3層に積層することにより、吸音材の強度を高めることができる。さらに、吸音材の外周に遮音材を配置した。これにより、例えば、建物の火災時に耐火材が熱膨張して集合継手を変形させて閉塞する際に、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
加えて、無機繊維層を継手下部の側に配置することにより、無機繊維層を耐火材に接触させることが可能になる。よって、熱膨張した耐火材を無機繊維層により引っ掛けることができる。これにより、熱膨張した耐火材を吸音材により保持しやすくできる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、耐火材を保持しやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る集合継手を床スラブに取り付けた状態を示す断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る吸音材を示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る吸音材を展開した吸音素材を示す平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る吸音材を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る吸音材を展開した吸音素材を示す平面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る吸音材を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る吸音材を展開した吸音素材を示す平面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る吸音材を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係る集合継手の要部を示す半断面図である。
【
図10】本発明の第5実施形態に係る集合継手の断面図である。
【
図11】本発明の第6実施形態に係る集合継手の断面図である。
【
図12】本発明の第7実施形態に係る集合継手の断面図である。
【
図13】本発明の第8実施形態に係る集合継手の断面図である。
【
図14】本発明の第9実施形態に係る吸音材を展開した吸音素材を示す平面図である。
【
図15】本発明の第10実施形態に係る吸音材を展開した吸音素材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る吸音材及び集合継手について説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、集合継手1は、例えば、建物排水用として用いられ、床スラブ2に形成されたスラブ貫通孔3に取り付けられている。集合継手1は、集合継手本体10と、集合継手本体10を覆う遮音カバー20と、を備えている。
【0032】
集合継手本体10は、床スラブ2のスラブ貫通孔3に貫通された状態において床スラブ2に取り付けられている。集合継手本体10は、継手上部11と、継手上部11に接続された継手下部12と、継手下部12に設けられた耐火材19と、を備えている。集合継手本体10を構成する各部材の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。
継手上部11は、第1の立管P1に接続可能な立管接続部13と、立管接続部13の側面に突設されて横管P3を接続可能な横管接続部14と、を有している。継手上部11の上端部に第1の立管P1が接続される。
【0033】
以下の説明において、立管接続部13の中心軸線Oに沿う方向を軸方向といい、軸方向に沿う立管接続部13の継手上部11側を上方、継手下部12側を下方という。また、軸方向から見た平面視で、中心軸線Oと直交する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0034】
横管接続部14は、立管接続部13の周壁から径方向の外側に向けて延びている。図示の例では横管接続部14は3つ配置されている。
3つの横管接続部14のうちの2つが中心軸線Oを径方向に挟む位置に各別に配置されている。残りの横管接続部14は、径方向のうち、前記2つの横管接続部14それぞれが延びる方向と、上面視で90°をなす方向に延びている。なお、横管接続部14の数量及び延びる方向は、このような態様に限られず、任意に変更することができる。
横管接続部14における径方向の外端部には、横管P3が各別に接続される接続環15が取付けられている。接続環15の外径は、横管接続部14の外径よりも大きくなっている。
【0035】
継手下部12は、上方よりも下方が縮径された管状をなしている。継手下部12は、上端部に位置し、継手上部11の下方に接続される円筒管部16(円筒部)と、円筒管部16の下方に接続されるとともに、下方に向かうに従い漸次、縮径する縮径部(縮径管部)17と、縮径部17の下端部に接続されるとともに、第2の立管P2が接続される下側管部18と、を備えている。円筒管部16、縮径部17、及び下側管部18は、例えば合成樹脂材料の射出成形により一体に形成されている。
【0036】
円筒管部16の外径は、継手上部11における立管接続部13の外径よりも小さくなっている。円筒管部16の周壁が、立管接続部13の内側に嵌合されている。縮径部17の上端部における外径は、円筒管部16の外径よりも小さくなっている。縮径部17の下端部における外径は、円筒管部16の外径よりも小さくなっている。縮径部17の軸方向の大きさは、円筒管部16の軸方向の大きさよりも大きくなっている。
【0037】
円筒管部16は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含有する樹脂組成物を含有する。すなわち、円筒管部16は、樹脂組成物を成形することによって作製される。通常、円筒管部16は、樹脂組成物を押出成形することによって作製される。
円筒管部16は、円筒管部16の全体が樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。複層構造の場合、いずれかの層が樹脂組成物から形成されていればよい。また、円筒管部16は、JIS K6741に記載の性能を満たすものであることが好ましい。
【0038】
縮径部17の内面には、偏流板17aが設けられている(
図9から
図13も参照)。偏流板17aは、縮径部17から径方向の内側に向けて突出している。偏流板17aは、中心軸線Oに対して傾斜している。偏流板17aは、縮径部17内で排水を旋回させて空気芯を形成し、立管P1、P2内の圧力差の発生を抑える。なお、偏流板17aは、縮径部17の外面を凹ませて形成してもよい。この場合、外面の凹みに、後述する第2耐火材22を充填してもよい。
【0039】
下側管部18の外径は、円筒管部16の外径よりも小さく、かつ縮径部17における下端部の外径よりも大きくなっている。下側管部18の軸方向の大きさは、円筒管部16の軸方向の大きさよりも大きくなっている。下側管部18の内側に、第2の立管P2が下方から嵌合されることにより、第2の立管P2が継手下部12に接続される。
【0040】
なお、継手上部11及び継手下部12を透明にしてもよい。これにより、継手上部11及び継手下部12の接続状態を視認することができる。また、継手上部11及び継手下部12に、非熱膨張黒鉛や水酸化マグネシウム等の難燃剤を配合しても良い。
【0041】
継手下部12には耐火材19が複数設けられている。実施形態においては、耐火材19は、第1耐火材21と、第2耐火材22と、を備えている。なお、耐火材19の個数は任意に選択できる。例えば、第2耐火材22がなくてもよく、第1耐火材21および第2耐火材22以外の耐火材があってもよい。
第1耐火材21は、継手下部12のうち円筒管部16の外周に設けられている。第1耐火材21は、集合継手本体10が床スラブ2に取り付けられた状態においてスラブ貫通孔3に収納(配置)されている。第1耐火材21は、円筒管部16の外周のうち全周囲に環状に設けられていてもよいし、間隔をあけて複数設けられていてもよいし、複数の第1耐火材21が積層されていてもよい。
第1耐火材21は、熱膨張性黒鉛等の熱膨張性耐火材とバインダー樹脂とをシートに加工した耐火シートやバインダー樹脂と無機材料を混合したパテ状の耐火パテ、または環状に成形された耐火部材が好適に用いられる。
【0042】
第2耐火材22は、継手下部12のうち縮径部17の外周に設けられている。第2耐火材22は、集合継手本体10が床スラブ2に取り付けられた状態においてスラブ貫通孔3に対して下方に配置されている。第2耐火材22は、縮径部17の外周のうち全周囲に環状に設けられていてもよいし、間隔をあけて複数設けられていてもよいし、複数の第1耐火材21が積層されていてもよい。
第2耐火材22は、第1耐火材21と同様に、熱膨張性黒鉛等の熱膨張性耐火材とバインダー樹脂とをシートに加工した耐火シートやバインダー樹脂と無機材料を混合したパテ状の耐火パテ、または環状に成形された耐火部材が好適に用いられる。
【0043】
第1耐火材21及び第2耐火材22は、建物の火災時に熱膨張することで集合継手本体10の円筒管部16及び縮径部17を変形させ、集合継手本体10を閉塞する。これにより、集合継手本体10の内部から火災時の煙が上層階へ移動することを防ぐ役割を有する。
【0044】
ここで、第1耐火材21の下端と第2耐火材22の上端との軸方向の間隔(耐火材21、22間の上下方向の間隔)は、0mm以上100mm未満が好ましく、0mm以上75mm未満がより好ましい。
集合継手1の設置環境によっては、集合継手1を床スラブ2の上面から浮かして施工する必要が生じることがある。この場合、床スラブ2が耐火材21、22の間に位置する可能性が有る。このような場合において、仮に床スラブ2が100mm以下と薄くても、前記間隔が100mm未満であることで、耐火材21、22のいずれかがスラブ貫通孔3内に位置し、耐火性が発揮される。
ここで、床スラブ2には耐火材21、22が30mm程度埋まっていることが好ましい。よって、第1耐火材21の下端と第2耐火材22の上端とは、5~45mm離れていてもよく、前記間隔は、5mm以上100mm未満、または、45mm以上100mm未満でもよい。
【0045】
なお、第1実施形態では、第1耐火材21及び第2耐火材22を継手下部12の外周に設ける(巻きつける)例について説明するが、これに限定しない。その他の例として、例えば、継手下部12の円筒管部16や縮径部17を表層と中間層と内層とからなる3層構造で形成し、中間層に耐火材を含有させてもよい。すなわち、円筒管部16や縮径部17に耐火材を埋設させてもよい。
【0046】
集合継手本体10において、継手上部11(立管接続部13)の下端部13aと、継手下部12の円筒管部16は、円筒部23を構成している。円筒部23は、集合継手本体10のうち、横管接続部14と縮径部17との間に位置している。図示の例では、円筒部23は、下方に向けて段階的に縮径する多段(2段)の円筒状である。
【0047】
集合継手本体10において、立管接続部13の下端部13aと継手下部12とに遮音カバー20が取り付けられている。遮音カバー20は、管状に変形された遮音材31と、管状に変形された状態で遮音材31の内周面に取り付けられた吸音材32と、を備えている。
遮音材31は、吸音材32の外周に配置されている。遮音材31の軸線は、立管接続部13の中心軸線O上に位置する。遮音材31の肉厚は、例えば1~5mm程度であることが好ましい。また、遮音材31の面密度は、1~8kg/m2であることが好ましい。
【0048】
また、集合継手1を床スラブ2に施工する際に、遮音材31をスラブ貫通孔3に埋め戻す場合、例えば、スラブ貫通孔3の口径が209mmである場合には、遮音材31の外径が165~190mm程度であることが好ましい。なお、図示の例では、遮音材31は円管形状であるが、例えば遮音材31が多角管形状であってもよい。
【0049】
遮音材31は、第1上管部33と、第1テーパ部34と、を備えている。第1上管部33は、軸方向の全長にわたって同径に形成されている。第1上管部33の外径は、例えば170mm程度である。
第1テーパ部34は、第1上管部33に軸方向に連なり、第1上管部33から離れるに従って先細りに形成されている。具体的には、第1テーパ部34は、第1上管部33の下端部に連なり、下方に向かうに従って縮径している。第1テーパ部34は、例えば、外径が150mm程度である。
【0050】
第1上管部33及び第1テーパ部34は、上側から下側に向けて(軸方向に沿って)この順に連続して配置されている。第1上管部33は円筒部23を覆い、第1テーパ部34は縮径部17を覆う。第1上管部33は、第1テーパ部34よりも軸方向に小さい。
【0051】
遮音材31は、後述する吸音材32よりも高い遮音性を備えている。遮音材31は、例えば、射出成形、圧空成形、ブロー成形、真空成形等により一体成型されている。遮音材31は、例えば、オレフィン系材料(オレフィン系樹脂100重量部に対して、無機フィラーを300~600重量部含有する樹脂組成物)等といった弾性を備えた樹脂材料により形成されている。
【0052】
前記無機フィラーとしては、特に限定されないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムボレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、脱水汚泥等が挙げられる。これらのうち、重量とコストのバランスから炭酸カルシウムを前記無機フィラーとして用いることが好ましい。なおこれらは、単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
前記オレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、アタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリαオレフィンが挙げられる。中でも密度が0.87~0.93g/cm3のポリエチレンが前記オレフィン系樹脂として好ましい。なお、密度が0.87g/cm3未満だと、遮音材31の強度が十分ではなく、0.93g/cm3を超えると、遮音材31を偏平させたとき(遮音材31に軸力が加えられたとき)に座屈してしまうおそれがある。また、オレフィン系樹脂の曲げ弾性率が、100~3000kg/cm2であれば、強度、巻き加工性として十分である。
なお、遮音材31は、オレフィン系材料とは異なる材料で形成されていてもよく、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、エラストマー材料等を用いても構わない。
【0054】
また、遮音材31は、射出成形、圧空成形、ブロー成形、真空成形等により一体成型されたものに限らないで、その他の例として、例えば、シート状の素材を丸めることにより形成してもよい。
【0055】
吸音材32は、遮音材31の内周面に沿って管状に形成されている。吸音材32は、継手下部12の外周、第1耐火材21の外周、及び第2耐火材22の外周に配置されている。吸音材32軸線は、遮音材31と同様に、立管接続部13の中心軸線O上に位置する。吸音材32は、第2上管部36と、第2テーパ部37と、を備えている。
【0056】
第2上管部36は、第1上管部33の内周面に沿って軸方向の全長にわたって同径に形成されている。第2上管部36は、少なくとも一部が床スラブ2のスラブ貫通孔3に埋設するように軸方向の長さを設定することが好ましい。第1実施形態では、第2上管部36の全体がスラブ貫通孔3に埋設された状態について説明する。
また、第2上管部36は、少なくとも一部が第1耐火材21に対して重なるように(対応するように)配置されることが好ましい。第1実施形態では、第2上管部36が第1耐火材21の外周全域に対応するように配置された状態について説明する。
これにより、スラブ貫通孔3に埋設された第2上管部36により、熱膨張された第1耐火材21を保持できるので、第1耐火材21による耐火性を高めることができる。
【0057】
第2テーパ部37は、第2上管部36に軸方向に連なり、第2上管部36から離れるに従って先細りに形成されている。具体的には、第2テーパ部37は、第2上管部36の下端部に連なり、第1テーパ部34の内周面に沿って下方に向かうに従って縮径している。また、第2テーパ部37は、縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に対応するように配置されている。
【0058】
第2上管部36及び第2テーパ部37は、上側から下側に向けて(軸方向に沿って)この順に連続して配置されている。第2上管部36は円筒部23を覆い、第2テーパ部37は縮径部17を覆うように形成されている。第2上管部36は、第2テーパ部37よりも軸方向において小さく形成されている。
【0059】
図1、
図2に示すように、吸音材32は、内層を形成する無機繊維層41と、無機繊維層41の外面に積層される難燃材層44として織布層42および金属箔43を備えている。織布層42は吸音材32の中間層を形成し、金属箔43は表層を形成している。無機繊維層41の表面は多数の繊維で構成されているため、無機繊維層41の端部同士をテープで接続することが困難であるが、無機繊維層41の外面に難燃材層44を設けたことにより端部をテープで接続することができる。難燃材層44は、無機繊維層51より燃えにくい(難燃性である)。吸音材32は、径方向において内側から外側に向けて無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の順に3層に積層されている。すなわち、吸音材32は、無機繊維層41が立管接続部13の下端部13aと継手下部12との側に配置されている。なお、無機繊維層41、織布層42および金属箔43の積層の順序は、この順に限られない。例えば、無機繊維層41、金属箔43、織布層42の順に積層されていてもよい。すなわち、金属箔43が中間層であり、織布層42が表層であってもよい。また、無機繊維層41よりも内側に、金属箔43とは異なる他の金属箔が更に設けられていてもよい。この場合、無機繊維層41および織布層42の積層体(または、無機繊維層41の単層)が、金属箔43および前記他の金属箔に挟まれる。
【0060】
無機繊維層41としては、例えば、ロックウール、グラスウール等が挙げられる。無機繊維層41の厚さは、例えば、5mm以上に設定することが好ましく、特に6~15mmに設定することが好ましい。また、織布層42としては、例えば、ガラスクロス(ガラス織布)、金網、金属メッシュ等が挙げられる。さらに、金属箔43としては、例えば、アルミニウム箔等が挙げられる。金属箔43の厚さは、例えば、0.01~1.0mmに設定することが好ましく、特に0.01~0.8mmに設定することが好ましい。
【0061】
吸音材32は、例えば、金属箔43のアルミニウム箔、織布層42のガラスクロス、無機繊維層41のパルプ混入ロックウールフェルトで3層に積層されている。この吸音材32は、例えば、総厚さが10.13±4に形成され、幅(軸方向の高さ)が140mm以上に形成されている。
無機繊維層41を形成するパルプ混入ロックウールフェルト(NM-8228、NM-9719)は、例えば、厚さが10±4に設定され、密度が230kg/m3以上に設定されている。さらに、パルプ混入ロックウールフェルトの組成は、例えば、JIS A 9504に規定されるロックウールが93.3(重量%)、パルプが3.0(重量%)、アクリル系樹脂が3.0(重量%)、硫酸アルミニウムが0.5(重量%)、ポリアクリルアミドが0.2(重量%)に設定されている。
【0062】
金属箔43及び織布層42を形成するアルミニウム箔及びガラスクロスは、ガラスクロスの内面が無機繊維層の全面に水溶性アクリル系樹脂の接着剤で接着されている。アルミニウム箔は、JIS H 4160で規定され、厚さが0.02mmに設定されている。さらに、ガラスクロスは、JIS R 3414で規定され、種類がEP11Eであり、厚さが0.11mmに設定されている。加えて、ガラスクロスは、目付を30/m2以上に設定することが好ましく、特に目付を50/m2以上に設定することがこのましい。これにより、織布層42のガラスクロスの内面に接着される無機繊維層41をガラスクロスで脱落し難くできる。
よって、金属箔43のアルミニウム箔と織布層42のガラスクロスにより無機繊維層41の脱落を防ぐことができる。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を無機繊維層41により保持できる。
なお、吸音材32は、金属箔43のアルミニウム箔と織布層42のガラスクロスの積層順序を逆にしてもよい。
【0063】
また、吸音材32は、筒状に形成された状態で遮音材31の内面に配置され、あるいは、遮音材31の内側において筒状に形成される。この状態において、金属箔43の外面、又は遮音材31の内面に点状あるいは線状に接着剤を塗布する。これにより、金属箔43の外面と遮音材31の内面とが接着剤により接着される。
【0064】
図1、
図2、
図3に示すように、吸音材32は、吸音素材52により形成される。吸音素材52は、無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43により3層に積層された平坦な素材(原反ということもある)を裁断して形成される。吸音素材52は、吸音材32を展開した形状に形成されている。すなわち、吸音素材52(吸音材32)は、平面状から管状に変形可能な程度の可撓性を備えている。
以下、吸音素材52の説明に際し、吸音素材52を管状の吸音材32に形成させて遮音材31内に配置した状態において、軸方向となる方向のうち、吸音素材52の周方向の中央を通る方向をY方向、周方向となる方向をX方向とし、Y方向において上側になる向きをY1、下側になる向きをY2として説明する。
【0065】
図3に示すように、吸音素材52は、紙面表側に金属箔43が配置された状態で示されている。吸音素材52は、吸音材上部53と、吸音材下部54と、を備えている。
吸音材上部53は、展開された状態において矩形状である。吸音材上部53は、第1長辺53aと、第2長辺53bと、第1短辺53cと、第2短辺53dと、を有する。第1長辺53aは、上側(すなわち、Y1側)に配置されてX方向に直線状に延びている。第2長辺53bは、第1長辺53aに対してY2側に間隔をあけて配置され、第1長辺53aに沿ってX方向に直線状に延びている。第1長辺53a及び第2長辺53bは、同じ長さに形成されている。第1短辺53cは、第1長辺53a及び第2長辺53bのそれぞれの一端を連結してY方向に延びている。第2短辺53dは、第1長辺53a及び第2長辺53bのそれぞれの他端を連結してY方向に延びている。
【0066】
吸音材上部53は、第1長辺53a、第2長辺53b、第1短辺53c、及び第2短辺53dにより矩形状に形成されている。吸音材上部53の第1短辺53cに第1接続テープ61が金属箔43の外面に接着されている。また、吸音材上部53の第2長辺53bのうち一端寄りの部位に第2接続テープ62が金属箔43の外面に接着されている。さらに、第2長辺53bのうち他端寄りの部位に第3接続テープ63が金属箔43の外面に接着されている。
【0067】
吸音材下部54は、展開された状態において円弧状である。吸音材下部54は、第1湾曲辺54aと、第2湾曲辺54bと、第1端辺54cと、第2端辺54dと、を有する。第1湾曲辺54aは、吸音材上部53に対してY2側に配置されている。第1湾曲辺54aは、吸音材上部53に向けて(すなわち、Y1方向に向けて)凸形となる円弧状に形成されている。第1湾曲辺54aは、X方向の中央部54eが第2長辺53bおいてX方向の中央部53eに連結されている。吸音素材52は、吸音材上部53と吸音材下部54とが一部(具体的には、第1湾曲辺54aの中央部54e及び第2長辺53bの中央部53eで連結されている。
【0068】
以下、吸音材上部53と吸音材下部54とが連結される一部を吸音素材52の連結部52aということもある。ここで、吸音素材52の連結部52aは、X方向の長さを50mm以上、あるいは80mm以上に設定することが好ましく、特に100mm以上に設定することが好ましい。連結部52aを好ましい長さに設定することにより、吸音材下部54を吸音材上部53から脱落し難くできる。
【0069】
第2湾曲辺54bは、第1湾曲辺54aに対してY2側に間隔をあけて配置され、第1湾曲辺54aに沿ってY1方向に向けて凸形となる円弧状に形成されている。第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bは、例えば、同心の円弧に形成されている。
第1端辺54cは、第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bのそれぞれの一端を連結するように、例えば第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bを形成する円の中心に対して径方向に延びている。第2端辺54dは、第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bのそれぞれの他端を連結するように、例えば第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bを形成する円の中心の中心に対して径方向に延びている。よって、第2湾曲辺54bは、第1湾曲辺54aに対して短く形成されている。
【0070】
吸音材下部54は、第1湾曲辺54a、第2湾曲辺54b、第1端辺54c、及び第2端辺54dにより吸音材上部53に向けて凸形となる湾曲帯状に形成されている。吸音材下部54の第1端辺54cに第4接続テープ64が金属箔43の外面に接着されている。
【0071】
図1、
図3、
図4に示すように、吸音素材52の吸音材上部53は、金属箔43の外面を外周にして第1長辺53a及び第2長辺53bが円形に丸められることにより、第1短辺53cが第2短辺53dに重ねられる。この状態において、第1短辺53cに接着されている第1接続テープ61が第2短辺53dの金属箔43に接着される。吸音材上部53の第1短辺53c及び第2短辺53d(すなわち、吸音材上部53の両端部)が第1接続テープ61により接合される。これにより、吸音材上部53が円筒状の第2上管部36に形成される。すなわち、吸音材上部53を円筒部23の外周及び第1耐火材21の外周に対応させることができる。
【0072】
また、吸音素材52の吸音材下部54は、金属箔43の外面を外周にして第1湾曲辺54a及び第2湾曲辺54bが円形に丸められることにより、第1端辺54cが第2端辺54dに重ねられる。この状態において、第1端辺54cに接着されている第4接続テープ64が第2端辺54dの金属箔43に接着される。吸音材下部54の第1端辺54c及び第2端辺54d(すなわち、吸音材下部54の両端部)が第4接続テープ64により接合される。これにより、吸音材下部54が上方から下方に向かうに従って縮径する第2テーパ部37に形成される。すなわち、吸音材下部54を縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に対応させることができる。
【0073】
吸音材上部53が第2上管部36に形成され、吸音材下部54が第2テーパ部37に形成された状態において、第2接続テープ62および第3接続テープ63が第1湾曲辺54aの金属箔43に接着される。これにより、吸音素材52から吸音材32が形成される。具体的には、吸音素材52の吸音材上部53から吸音材32の第2上管部36が形成される。また、吸音素材52の吸音材下部54から吸音材32の第2テーパ部37が形成される。
【0074】
ここで、第1接続テープ61から第4接続テープ64は、例えば、アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープが採用される。アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープは耐火性の高い粘着テープである。これにより、第1接続テープ61から第4接続テープ64で吸音材32の金属箔(アルミニウム箔)43の外面を接着することにより、吸音材32の金属箔43に接続された無機繊維層41を脱落し難くできる。第1接続テープ61から第4接続テープ64は、織布層および金属箔を含むテープ(強度が高いテープ)であることが好ましい。
【0075】
図1、
図3に示すように、吸音素材52の吸音材上部53から形成された吸音材32の第2上管部36が、円筒部23の外周及び第1耐火材21の外周に配置されている。また、吸音素材52の吸音材下部54から形成された吸音材32の第2テーパ部37が、縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に配置されている。
【0076】
以上説明したように、第1実施形態の吸音材32によれば、
図1、
図2に示すように、継手下部12に第1耐火材21及び第2耐火材22を設け、継手下部12、第1耐火材21、及び第2耐火材22の各外周に対応させて吸音材32を配置した。また、吸音材32を無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層に積層した。さらに、無機繊維層41を継手下部12の側に配置した。これにより、吸音材32による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0077】
さらに、吸音材32を無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層に積層することにより、吸音材32の強度を高めることができる。また、吸音材32は、第1耐火材21及び第2耐火材22の各外周に対応して配置されている。これにより、例えば、建物の火災時に第1耐火材21及び第2耐火材22が熱膨張して集合継手1を変形させて閉塞する際に、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
【0078】
加えて、無機繊維層41を継手下部12の側に配置することにより、無機繊維層41を第1耐火材21及び第2耐火材22に接触させることが可能になる。よって、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を無機繊維層41により引っ掛けることができる。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
【0079】
また、例えば、金属箔43のアルミニウム箔と織布層42のガラスクロスにより無機繊維層41の脱落を防ぐことができる。よって、無機繊維層41により熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を保持することができる。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
【0080】
さらに、
図1、
図3、
図4に示すように、吸音材上部53の第1短辺53c及び第2短辺53dを接合することにより、吸音材上部53を円筒部23の外周に対応させることができる。また、吸音材下部54の第1端辺54c及び第2端辺54dを接合することにより、吸音材下部54を縮径部17の外周に対応させることができる。これにより、吸音材上部53及び吸音材下部54で形成した吸音材32による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0081】
また、吸音材32は、無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層に積層されている。よって、吸音材32の強度が高められている。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22(特に、第2耐火材22)を吸音材32により保持しやすくできる。
【0082】
加えて、吸音材32を形成する吸音材上部53と吸音材下部54とを第1湾曲辺54aの中央部54e及び第2長辺53bの中央部53e(すなわち、吸音素材52の連結部52a)で連結させた。よって、吸音材上部53の第1短辺53c及び第2短辺53dを吸音材下部54に影響されることなく接合でき、吸音材上部53を円筒部23の外周に対応させることができる。また、吸音材下部54の第1端辺54c及び第2端辺54dを吸音材上部53に影響されることなく接合でき、吸音材下部54を縮径部17の外周に対応させることができる。これにより、吸音材32による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0083】
ここで、吸音材32は、無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層で形成され、強度が高められている。よって、吸音材上部53と吸音材下部54とを連結させた連結部52aの強度を高めることができる。さらに、連結部52aにおけるX方向の長さを50mm以上、あるいは80mm以上に設定し、好ましくは100mm以上に設定した。 これにより、熱膨張した第2耐火材22や吸音材下部54の自重により吸音材下部54が吸音材上部53から脱落することを抑えることができる。したがって、熱膨張した第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
【0084】
また、継手下部12において、複数の耐火材として円筒部23(円筒管部16)に第1耐火材21を設け、縮径部17に第2耐火材22を設けた。ここで、吸音材32は円筒部23と縮径部17とに対応するように形成されている。これにより、円筒部23において熱膨張した第1耐火材21と、縮径部17において熱膨張した第2耐火材22とを吸音材32により保持しやすくできる。なお、第1耐火材21は継手上部11の外面に設けてもよく、横管接続部14より下側の円筒部23(立管接続部13の下端部13a)の外面に設けることができる。
【0085】
さらに、複数の耐火材として円筒部23に第1耐火材21を設け、縮径部17に第2耐火材22を設けることにより、例えば、建物の火災時に複数の第1耐火材21及び第2耐火材22を熱膨張させて継手下部12を良好に変形させて閉塞することができる。これにより、例えば、火災時の煙が排水設備の内部から上層階へ移動することを良好に防ぐことができる。
【0086】
また、第1実施形態の集合継手1によれば、
図1、
図2に示すように、吸音材32を無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層に積層した。さらに、無機繊維層41を継手下部12の側に配置した。加えて、吸音材32の外周に遮音材31を配置した。これにより、吸音材32による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0087】
さらに、吸音材32を無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層に積層することにより、吸音材32の強度を高めることができる。加えて、吸音材32の外周に遮音材31を配置した。これにより、例えば、建物の火災時に第1耐火材21及び第2耐火材22が熱膨張して集合継手1を変形させて閉塞する際に、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
また、無機繊維層41を継手下部12の側に配置することにより、無機繊維層41を第1耐火材21及び第2耐火材22に接触させることが可能になる。よって、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を無機繊維層41により引っ掛けることができる。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材32により保持しやすくできる。
【0088】
つぎに、第2実施形態及び第3実施形態の吸音材及び集合継手を
図5から
図8に基づいて説明する。なお、第2実施形態及び第3実施形態において第1実施形態の吸音材32及び集合継手1と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0089】
[第2実施形態]
図5、
図6に示すように、吸音材100は、吸音素材101により形成される。吸音素材101は、吸音材上部103と吸音材下部105とが分割されて別体に形成された点で第1実施形態の吸音素材52と異なるだけで、その他の構成は第1実施形態の吸音素材52と同様である。
吸音材上部103は、第1実施形態の吸音材上部53と同様に、第1長辺103a、第2長辺103b、第1短辺103c、及び第2短辺103dにより矩形状に形成されている。吸音材上部103の第1短辺103cに第1接続テープ111が金属箔43の外面に接着されている。また、吸音材上部103の第2長辺103bに第2接続テープ112が金属箔43の外面に接着されている。
【0090】
吸音材下部105は、第1実施形態の吸音材下部54と同様に、第1湾曲辺105a、第2湾曲辺105b、第1端辺105c、及び第2端辺105dにより吸音材上部53に向けて凸形となる湾曲帯状に形成されている。吸音材下部105の第1端辺105cに第3接続テープ113が金属箔43の外面に接着されている。
【0091】
図1、
図5、
図6に示すように、吸音素材101の吸音材上部103は、金属箔43の外面を外周にして第1長辺103a及び第2長辺103bが円形に丸められることにより、第1短辺103cが第2短辺103dに重ねられる。この状態において、第1短辺103cに接着されている第1接続テープ111が第2短辺103dの金属箔43に接着される。吸音材上部103の第1短辺103c及び第2短辺103d(すなわち、吸音材上部103の両端部)が第1接続テープ111により接合される。
これにより、吸音材上部103が円筒状の第2上管部102に形成される。第2上管部102は、第1実施形態の第2上管部36と同様に形成されている。すなわち、吸音材上部103を円筒部23の外周及び第1耐火材21の外周に対応させることができる。
【0092】
また、吸音素材101の吸音材下部105は、金属箔43の外面を外周にして第1湾曲辺105a及び第2湾曲辺105bが円形に丸められることにより、第1端辺105cが第2端辺105dに重ねられる。この状態において、第1端辺105cに接着されている第3接続テープ113が第2端辺105dの金属箔43に接着される。吸音材下部105の第1端辺105c及び第2端辺105d(すなわち、吸音材下部105の両端部)が第3接続テープ113により接合される。
これにより、吸音材下部105が上方から下方に向かうに従って縮径する第2テーパ部104に形成される。第2テーパ部104は、第1実施形態の第2テーパ部37と同様に形成されている。すなわち、吸音材下部105を縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に対応させることができる。
【0093】
吸音材上部103が第2上管部102に形成され、吸音材下部105が第2テーパ部104に形成された状態において、第2接続テープ112が第1湾曲辺105aの金属箔43に接着される。これにより、吸音素材101から吸音材100が形成される。具体的には、吸音素材101の吸音材上部103から吸音材100の第2上管部102が形成される。また、吸音素材101の吸音材下部105から吸音材100の第2テーパ部104が形成される。
【0094】
第1接続テープ111から第3接続テープ113は、第1実施形態の第1接続テープ61から第4接続テープ64と同様に、例えば、アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープが採用される。アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープは耐火性の高い粘着テープである。これにより、第1接続テープ111から第3接続テープ113により吸音材100の金属箔(アルミニウム箔)43の外面を接着することにより、吸音材100の金属箔43に接続された無機繊維層41を脱落し難くできる。
【0095】
また、第2接続テープ112を吸音材上部103における第2長辺103bの長さ以上に設定することが好ましい。第2接続テープ112を第2長辺103bの長さ以上に設定することにより、スラブ貫通孔3に埋設された吸音材上部103(すなわち、第2上管部102)に吸音材下部105(すなわち、第2テーパ部104)を第2接続テープ112により固定できる。これにより、吸音材下部105が吸音材上部103から脱落し難くできる。
【0096】
以上説明したように、第2実施形態の吸音材100及び集合継手によれば、例えば、建物の火災時に第1耐火材21及び第2耐火材22が熱膨張して集合継手を閉塞する際に、第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材100により保持しやすくできる。
また、吸音材100を備えた第2実施形態の集合継手によれば、吸音材100の外周に遮音材31が配置されている。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材100により保持しやすくできる。
【0097】
さらに、吸音素材101を吸音材上部103と吸音材下部105とに分割して、第2上管部102と第2テーパ部104とを別体に形成した。よって、吸音素材101の裁断形状を簡素化できる。これにより、吸音素材101を裁断する際に、原反の利用効率を高めることができる。すなわち、吸音材100の製造効率を高めることができる。
加えて、吸音材上部103と吸音材下部105とを別々に丸めることができるので、遮音材31に吸音材100を設置しやすくできる。
【0098】
[第3実施形態]
図7、
図8に示すように、吸音材120は、第1実施形態の吸音材32に相当する部材である。吸音材120は、吸音素材121により形成される。吸音素材121は、展開された状態において円弧状である。吸音素材121は、吸音材上部123と、吸音材下部125と、を備えている。
【0099】
吸音材上部123は、展開された状態において円弧状である。吸音材上部123は、第1長辺(上端)123aと、第2長辺123bと、第1短辺(端部)123cと、第2短辺(端部)123dと、を有する。第1長辺123a及び第2長辺123bは、Y1(上方)に向けて凸形となる円弧状に形成されている。また、第2長辺123bは、例えば、第1長辺123aと同じ長さに形成されている。すなわち、吸音材上部123は、第1長辺123a、第2長辺123b、第1短辺123c、及び第2短辺123dにより、Y1に向けて凸形となる湾曲帯状に形成されている。吸音材上部123の第1短辺123cに第1接続テープ131が金属箔43の外面に接着されている。
【0100】
吸音材下部125は、展開された状態において円弧状である。吸音材下部125は、第1湾曲辺125aと、第2湾曲辺(下端)125bと、第1端辺(端部)125cと、及び第2端辺(端部)125dと、を有する。第1湾曲辺125aは、第2長辺123bに対して一体に形成(連結)されている。第2湾曲辺125bは、第1湾曲辺125aに沿って形成されている。第2湾曲辺125bには、X方向に間隔をあけて複数(第3実施形態では3つ)が切込み127が逆V字状に形成されている。すなわち、吸音材下部125に複数が切込み127が形成されている。吸音材下部125の切込み127に第2接続テープ132が金属箔43の外面に接着されている。なお、切込み127の数は任意に選択可能である。また、第2接続テープ132は全ての切込み127に設けなくてもよく、一部の切込み127のみに設けるか、または設けなくてもよい。
【0101】
ここで、第1端辺125c及び第2端辺125dは、例えば、第1湾曲辺125aを形成する円の中心に対して径方向に延びている。よって、第2湾曲辺125bは、第1湾曲辺125aに対して短く形成されている。すなわち、吸音素材121は、第1長辺123aから第2湾曲辺125bにかけてX方向の幅が狭くなるように形成されている。
【0102】
また、吸音素材121は、第1短辺123cに対して第1端辺125cが傾斜角度θで傾斜されている。さらに、吸音素材121は、第2短辺123dに対して第2端辺125dが傾斜角度θで傾斜されている。すなわち、吸音素材121は、両端部に傾斜角度θを2つ備えている。よって、吸音素材121は、両端部に屈曲部121a及び屈曲部121bを2つ備えている。なお、傾斜角度θは、第1短辺123cおよび第2短辺123dに対して第1端辺125cおよび第2端辺125dが吸音素材121の中心側へ向かうような傾斜角度とされる。
第3実施形態では、吸音素材121の両端部に屈曲部121a及び屈曲部121bを2つ備える例について説明するが、一端部のみに屈曲部を備えてもよく、両端部に屈曲部を備えていなくてもよい。
吸音材下部125の第1端辺125cには第3接続テープ133が金属箔43の外面に接着されている。
【0103】
図1、
図7、
図8に示すように、吸音素材121は、金属箔43の外面を外周にして第1長辺123a、第2長辺123b(第1湾曲辺125a)、及び第2湾曲辺125bが円形に丸められる。これにより、第1短辺123cが第2短辺123dに重ねられる。また、第1端辺125cが第2端辺125dに重ねられる。
【0104】
この状態において、吸音材上部123の第1短辺123cに接着されている第1接続テープ131が第2短辺123dの金属箔43に接着される。吸音材上部123の第1短辺123c及び第2短辺123d(すなわち、吸音材上部123の両端部)が第1接続テープ131により接合される。これにより、吸音材上部123が円筒状の第2上管部122に形成される。第2上管部122は、第1実施形態の第2上管部36と同様に形成されている。すなわち、吸音材上部123を円筒部23の外周及び第1耐火材21の外周に対応させることができる。
【0105】
さらに、吸音材下部125の第1端辺125cに接着されている第3接続テープ133が第2端辺125dの金属箔43に接着される。吸音材下部125の第1端辺125c及び第2端辺125d(すなわち、吸音材下部125の両端部)が第3接続テープ133により接合される。
加えて、吸音材下部125の切込み127に接着されている第2接続テープ132が切込み127を塞ぐように金属箔43の外面に接着されることにより、切込み127が塞がれた状態に接合される。これにより、吸音材下部125が上方から下方に向かうに従って縮径する第2テーパ部124に形成される。第2テーパ部124は、第1実施形態の第2テーパ部37と同様に形成されている。すなわち、吸音材下部125を縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に対応させることができる。
【0106】
吸音材上部123が第2上管部122に形成され、吸音材下部125が第2テーパ部124に形成されることにより、吸音素材121から吸音材120が形成される。具体的には、吸音素材121の吸音材上部123から吸音材120の第2上管部122が形成される。また、吸音素材121の吸音材下部125から吸音材120の第2テーパ部124が形成される。
ここで、第2上管部122を円筒部23の外周に対応させ、第2テーパ部124を縮径部17の外周に対応させることができる。これにより、吸音材120による排水音の吸音性を十分に確保できる。
【0107】
第1接続テープ131から第3接続テープ133は、第1実施形態の第1接続テープ61から第4接続テープ64と同様に、例えば、アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープが採用される。アルミニウム箔貼りガラスクロス粘着テープは耐火性の高い粘着テープである。これにより、第1接続テープ131から第3接続テープ133により吸音材120の金属箔(アルミニウム箔)43の外面を接着することにより、吸音材120の金属箔43に接続された無機繊維層41を脱落し難くできる。
【0108】
以上説明したように、第3実施形態の吸音材120及び集合継手によれば、吸音材120が無機繊維層41、織布層42、及び金属箔43の3層で形成され、強度が高められている。よって、吸音材120のうち第2湾曲辺125b側の部位(すなわち、切込み127が形成されている第2テーパ部124)の強度を高めることができる。
これにより、熱膨張した第2耐火材22の自重により第2テーパ部124から第2耐火材22が脱落することを抑えることができる。したがって、例えば、建物の火災時に第1耐火材21及び第2耐火材22が熱膨張して集合継手を閉塞する際に、第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材120により保持しやすくできる。
【0109】
また、吸音素材121は、第1長辺123aから第2湾曲辺125bにかけてX方向の幅が狭くなるように形成されている。さらに、吸音素材121は、両端部に屈曲部121a及び屈曲部121bを2つ備えている。よって、吸音材上部123の第1短辺123c及び第2短辺123dを第1接続テープ131により接合することにより、吸音材上部123を円筒部23の外周及び第1耐火材21の外周に対応させることができる。
さらに、吸音材下部125の第1端辺125c及び第2端辺125dを第3接続テープ133により接合し、切込み127を塞いだ状態に接合することにより、吸音材下部125を縮径部17の外周及び第2耐火材22の外周に対応させることができる。
これにより、吸音材120による排水音の吸音性を十分に確保できる。加えて、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材120により保持しやすくできる。
【0110】
また、吸音材120を備えた第3実施形態の集合継手によれば、吸音材120の外周に遮音材31が配置されている。これにより、熱膨張した第1耐火材21及び第2耐火材22を吸音材120により保持しやすくできる。
【0111】
つぎに、第4実施形態から第7実施形態の吸音材及び集合継手を
図9から
図12に基づいて説明する。なお、第4実施形態及び第7実施形態において第1実施形態の吸音材32及び集合継手1と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
第4実施形態及び第7実施形態は、主に、第1実施形態の集合継手1に対して、主に円筒部23の構成が相違している。
【0112】
[第4実施形態]
図9に示すように、第4実施形態に係る集合継手1Aでは、継手下部12の円筒管部16は、受け口16aと、本管部16bと、を備えている。受け口16aは、本管部16bよりも大径である。継手上部11(立管接続部13)の下端部13aは、受け口16a内に配置されている。第1耐火材21は、受け口16aの下方(本管部16bの上端)に配置されている。第2耐火材22は、設けられていない。
円筒部23は、前記下端部13aおよび円筒管部16を含む。この集合継手1Aでは、円筒部23が、円筒部23の軸方向の中央において局所的に拡径している。円筒部23は、集合継手本体10の材質(例えば、ポリ塩化ビニル樹脂)のみで構成される。
吸音材上部53は、円筒管部16よりも軸方向に大きい。吸音材32の上端は、円筒部23の拡径部分よりも上方に位置している。吸音材32の上端は、継手上部11の前記下端部13aを径方向の外側から覆っている。なお吸音材32の下端が、縮径部17を径方向の外側から覆っていてもよい。
【0113】
[第5実施形態]
図10に示すように、第5実施形態に係る集合継手1Bでは、第1耐火材21が、継手上部11と継手下部12との間に配置された中間管25として機能する。本実施形態では、第1耐火材21は、管(耐火管)である。第1耐火材21は、単層管であっても、多層管であってもよい。例えば、第1耐火材21の少なくとも1層は、熱膨張性黒鉛を含有する層である。
本実施形態では、継手上部11の前記下端部13aが受口である。継手下部12の円筒管部16も受口である。第1耐火材21の上下両端は、下端部13a内および円筒管部16内に配置され、下端部13aおよび円筒管部16それぞれに接着される。
円筒部23は、前記下端部13aおよび円筒管部16を含む。
吸音材上部53は、円筒部23の外周面を覆う。吸音材上部53は、第1耐火材21よりも軸方向に大きい。吸音材上部53の上端は、第1耐火材21の上端よりも上方に位置する。吸音材上部53の下端は、第1耐火材21の下端よりも下方に位置する。これにより、第1耐火材21が膨張したときに、膨張した第1耐火材21を吸音材上部53が保持し易くなる。
【0114】
[第6実施形態]
図11に示すように、第6実施形態に係る集合継手1Cは、第5実施形態に係る集合継手1Bと、継手上部11の前記下端部13aが、下端部13aよりも上方に位置する部分に比べて拡径している点で異なっている。この場合、前記下端部13aが拡径していない場合(すなわち、第5実施形態)と比べて、継手上部11の内部の空間(容積)を確保できる。よって、排水性能が向上する。
ただしこの場合、前記下端部13aが拡径することで、スラブ貫通孔3が大きくなるため、耐火材19が閉塞する必要がある空間が大きくなり、耐火性が低下するおそれがある。そのため、第2耐火材22を設けることが好ましい。
吸音材上部53は、円筒部23の外周面を覆う。吸音材上部53は、前記下端部13aおよび円筒管部16の両方を、径方向の外側から覆っている。
【0115】
[第7実施形態]
図12に示すように、第7実施形態に係る集合継手1Dは、第6実施形態に係る集合継手1Cと、以下の点で異なる。すなわち、継手上部11の前記下端部13aの下端縁と、継手下部12の円筒管部16の上端縁と、の間が軸方向に大きく、両者の間に環状空間Sができている。環状空間Sは、第1耐火材21と吸音材32との間に設けられる。
本実施形態では、環状空間Sに間詰め材24が設けられている。ただし、間詰め材24はなくてもよい。この場合、第1耐火材21が、環状空間Sから径方向の外側に露出される。
間詰め材24としては、制振シート(制振ゴムシート)、耐火パテ、耐火シートなどが挙げられる。間詰め材24が制振シートである場合、遮音性が向上する。間詰め材24が耐火パテや耐火シートである場合、耐火性が向上する。耐火パテや耐火シートも、第1耐火材21と同様に、熱膨張性を具備している。言い換えると、この場合、間詰め材24は、耐火材19として機能するとも言える。なお前述したように、前記下端部13aが拡径することで、耐火性が低下するおそれがある。よって本実施形態において、間詰め材24として耐火パテや耐火シートを採用して耐火性が向上するという作用効果が顕著に奏功される。
【0116】
[第8実施形態]
図13に示すように、第8実施形態に係る集合継手1Eは、第7実施形態に係る集合継手1Dと、以下の点で異なる。すなわち、中間管25が、第1耐火材21として機能するのに代えて、第1耐火材21が中間管25とは別に設けられている。第1耐火材21は、中間管25の外面に設けられている。図示の例では、第1耐火材21が、間詰め材24に代えて環状空間Sに設けられている。第1耐火材21の上端は、継手上部11の下端より下にある。第1耐火材21の下端は、継手下部12の上端よりも上にある。
ここで、第1耐火材21の下端と第2耐火材22の上端との軸方向の間隔(耐火材21、22間の上下方向の間隔)は、0mm以上100mm未満が好ましく、0mm以上75mm未満がより好ましい。
集合継手1Eの設置環境によっては、集合継手1Eを床スラブ2の上面から浮かして施工する必要が生じることがある。この場合、床スラブ2が耐火材21、22の間に位置する可能性が有る。このような場合において、仮に床スラブ2が100mm以下と薄くても、前記間隔が100mm未満であることで、耐火材21、22のいずれかがスラブ貫通孔3内に位置し、耐火性が発揮される。
ここで、床スラブ2には耐火材21、22が30mm程度埋まっていることが好ましい。よって、第1耐火材21の下端と第2耐火材22の上端とは、5~45mm離れていてもよく、前記間隔は、5mm以上100mm未満、または、45mm以上100mm未満でもよい。
【0117】
[第9実施形態]
図14に示すように、第9実施形態に係る吸音材120Aは、第3実施形態に係る吸音材120と、以下の点で異なる。すなわち、第3実施形態に係る吸音材120では、1つの吸音素材121が分断されることなく連続しているのに対して、本実施形態に係る吸音材120Aでは、1つの吸音素材121が、2つの素材片121Aに分断されている。図示の例では、2つの素材片121Aは、1つの吸音素材121を周方向に2等分した形状である。1つの吸音素材121は、分割線Lを境界として2つの素材片121Aに分割される。分割線Lは、Y方向に延びる仮想線である。分割線Lは、吸音材上部123に設けられている。2つの素材片121Aは、第5接続テープ65により接続される。第5接続テープ65としては、例えば、他の接続テープと同様に材質を好適に採用することができる。第5接続テープ65は、分割線L上に配置される。
【0118】
[第10実施形態]
図15に示すように、第10実施形態に係る吸音材120Bは、第9実施形態に係る吸音材120Aと、以下の点で異なる。すなわち、第9実施形態に係る吸音材120Aでは、逆V字状の切込み127が、吸音材下部125に設けられているのに対して、本実施形態に係る吸音材120Bでは、切込み127に代えて、正V字状の切込み127Aが、吸音材上部123(吸音材120Bの上端)に設けられている。切込み127Aの下端は、第2長辺123bのよりも上方に位置している。分割線Lは、吸音材下部125に設けられている。ただし、分割線Lがなくてもよく、1つの吸音素材121が分断されることなく連続していてもよい。
【0119】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0120】
通常、遮音材31の第1上管部33の軸方向の長さは、第1テーパ部34の軸方向の長さよりも短いが、これに限るものではなく、第1上管部33の軸方向の長さが、第1テーパ部34の軸方向の長さと同じであってもよく、第1上管部33の軸方向の長さが、第1テーパ部34の軸方向の長さよりも長くてもよい。
同様に、吸音材32の第2上管部36の軸方向の長さは、第2テーパ部37の軸方向の長さよりも短いが、これに限るものではなく、第2上管部36の軸方向の長さが、第2テーパ部37の軸方向の長さと同じであってもよく、第2上管部36の軸方向の長さが、第2テーパ部37の軸方向の長さよりも長くてもよい。
特に、第5実施形態以降の中間管25を備える場合、継手本体10の横管接続部14の下端から縮径部17の上端までの軸方向の長さが大きくなる。しかしながら、遮音材31や吸音材32の上部に他の遮音材や吸音材を設けるよりも、第1上管部33や第2上管部36を、上記のように軸方向に小さくすることで、遮音材31や吸音材32の取り付けが容易になる。
なお、遮音材31や吸音材32の上端と横管接続部14との間に、他の遮音材や吸音材を設けてもよい。
【0121】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…集合継手、11…継手上部、12…継手下部、16…円筒管部、17…縮径部、19…耐火材、20…遮音カバー、21…第1耐火材、22…第2耐火材、23…円筒部、31…遮音材、32、120、120A、120B…吸音材、41…無機繊維層、42…織布層、43…金属箔、44…難燃材層、52a…連結部(吸音材上部と吸音材下部とが連結される一部)、53,103,123…吸音材上部、54,105,125…吸音材下部、121a,121b…屈曲部、123a…第1長辺(上端)、125b…第2湾曲辺(下端)、127…切込み、P1,P2…第1、第2の立管(立管)、P3…横管、θ…傾斜角度。