(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023108554
(43)【公開日】2023-08-04
(54)【発明の名称】愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230728BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022009740
(22)【出願日】2022-01-25
(71)【出願人】
【識別番号】514235307
【氏名又は名称】アニコム ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124121
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100176566
【弁理士】
【氏名又は名称】渡耒 巧
(74)【代理人】
【識別番号】100180253
【弁理士】
【氏名又は名称】大田黒 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100169236
【弁理士】
【氏名又は名称】藤村 貴史
(72)【発明者】
【氏名】河野 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】藤田 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】石原 知奈
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】市川 宏史
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】高野 宏行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スムーズな愛玩動物のマッチングを実現する愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法を提供する。
【解決手段】愛玩動物マッチング装置10において、譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段11、譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段12及び引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段13を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、
引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段と
を有することを特徴とする愛玩動物マッチングシステム。
【請求項2】
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段をさらに備える請求項1記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項3】
前記健康診断が、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断である請求項2記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項4】
前記健康診断が、引き渡し場所から半径10km以内の施設で勤務している獣医師による訪問健診、又は、引き渡し場所から半径10km以内に所在している動物病院における健康診断である請求項2記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項5】
愛玩動物の品種、年齢及び前記健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案するフード提案手段をさらに備える請求項1~4のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項6】
愛玩動物の品種、年齢及び前記健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する保険提案手段をさらに備える請求項1~5のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項7】
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧するステップと、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約するステップと、
愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配するステップと
を有することを特徴とする愛玩動物マッチング方法。
【請求項8】
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配するステップをさらに備える請求項7記載の愛玩動物マッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法に関し、詳しくは、インターネットを介して愛玩動物の状態を確認することのできる閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所及び日時を指定する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを備える愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫、ウサギを始めとするペットは、人間にとってかけがえのない存在であり、様々なペット向けのサービスが普及、発展している。
【0003】
ペットを良好な環境で繁殖するには、広大な敷地や騒音の少ない自然環境が必要であり、ヒトの居住地とは離れた場所に繁殖場が設けられるのが一般的である。
【0004】
一方、ペットの潜在的な飼い主(本発明において「譲受人」と称す。)の多くは、市街地や住宅地に居住しており、ペットの繁殖地とは離れている。
【0005】
このため、ペットを、どうやってスムーズに引き渡すのかが課題となっている。
【0006】
特許文献1には、インターネット回線網を利用したペットの販売システムが開示されているが、愛玩動物をインターネット上で閲覧可能とする方法を開示するに留まっており、具体的な引き渡し方法については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、簡易な方法で、愛玩動物マッチングシステムや愛玩動物マッチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、愛玩動物の閲覧手段に、引き渡しの予約手段と輸送調整手段を組合わせることにより、譲受人と愛玩動物のマッチングをスムーズに実施できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
すなわち、本発明は以下の[1]~[8]である。
[1]
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、
引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段と
を有することを特徴とする愛玩動物マッチングシステム。
[2]
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段をさらに備える[1]の愛玩動物マッチングシステム。
[3]
前記健康診断が、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断である[2]の愛玩動物マッチングシステム。
[4]
前記健康診断が、引き渡し場所から半径10km以内の施設で勤務している獣医師による訪問健診、又は、引き渡し場所から半径10km以内に所在している動物病院における健康診断である[2]の愛玩動物マッチングシステム。
[5]
愛玩動物の品種、年齢及び前記健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案するフード提案手段をさらに備える[1]~[4]のいずれかの愛玩動物マッチングシステム。
[6]
愛玩動物の品種、年齢及び前記健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する保険提案手段をさらに備える[1]~[5]のいずれかの愛玩動物マッチングシステム。
[7]
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧するステップと、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約するステップと、
愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配するステップと
を有することを特徴とする愛玩動物マッチング方法。
[8]
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配するステップをさらに備える[7]の愛玩動物マッチング方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡易な方法で、愛玩動物マッチングシステムや愛玩動物マッチング方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の愛玩動物マッチングシステムの一実施態様を表すブロック図である。
【
図2】本発明の愛玩動物マッチング装置の一実施態様を表すブロック図である。
【
図3】本発明の愛玩動物マッチングシステムによる予約の流れの一例を表すフローチャート図である。
【
図4】本発明の愛玩動物マッチングシステムによる引き渡しの流れの一例を表すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<愛玩動物マッチングシステム>
本発明の一実施態様の愛玩動物マッチングシステムは、譲受人(譲受人から依頼を受けた代理人を含む)がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを有することを特徴とする。なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0014】
[閲覧手段]
閲覧手段は、繁殖者(繁殖者から依頼を受けた代理人及び繁殖者から愛玩動物を購入した愛玩動物販売者を含む)から提供された愛玩動物の画像を譲受人に提供する。閲覧手段は、繁殖者等から提供された愛玩動物の画像を取得する機能と、譲受人に画像を提供する機能を兼ね備える。画像の取得・提供方法は、繁殖者から送信された画像をシステム内に取り込んで当該画像を譲受人に提供する方法や、繁殖者が愛玩動物を公開しているサイトやSNS等に誘導する方法が挙げられるが、システム内に画像を取り込んだ方がページ遷移が早く好ましい。閲覧手段が譲受人に画像を提供する機能としては、繁殖者が愛玩動物を公開しているサイトやSNS等に誘導する方法のほか、例えば、譲受人に画像を配信する機能、譲受人がアクセスした際に画像を表示する機能など公知のものが挙げられる。画像のフォーマットは特に限定されず、静止画であっても動画であってもよい。また、画像は、白黒、グレースケール、カラーのいずれであってもよい。画像については、ノーマライゼーションが施されたものや、解像度が統一されたものであってもよい。
【0015】
[予約手段]
予約手段は、譲受人の指定に従い、愛玩動物の引き渡し場所及び日時を予約する手段である。先約がある場合や、愛玩動物の輸送を調整できない場合には、引き渡し可能な代替日時や代替地を推奨する。例えば、譲受人の指定する引き渡し場所及び日時に先約がある場合には、譲受人の指示する日時に空いている近隣の引き渡し場所や、譲受人の指定する引き渡し場所で空いている日時を推奨する。また、引き渡し日時を予約することについては、予め繁殖者等が入力したスケジュールに基づいて、候補日を提案し、譲受人が提案された候補日の中から引き渡しを希望する日時を選択するという構成であってもよい。例えば、譲受人が閲覧する画面上に、『2月1日10時~12時(○)、13時~15時(×)、15時~17時(○)、2月3日10時~12時(×)、・・・』というように繁殖者のスケジュールを表示し、『○』と表示されている日時を譲受人が選択すると予約が完了するという構成である。予約が完了した場合、繁殖者にその旨を通知する構成を備えることが好ましい。通知方法はメール、メッセンジャー、繁殖者が本発明の装置やシステムにアクセスした際に表示される画面上に予約完了を知らせる表示をするなどの方法が挙げられる。予約手段は、譲受人の居住地や行動範囲が予め記憶されている場合に、最寄りの引き渡し場所を推奨する仕様であってもよい。引き渡し場所が最寄りかどうかについては、物理的距離又は時間距離によって決定する仕様であってもよい。時間距離とは、ある2点間のへだたりを人や物が移動するのに要する時間によって表わす指標である。都市部においては時間距離が重視されるのが一般的である。また、引き渡し場所を予約することについては、予め譲受人が入力した引き渡し可能な場所に基づいて、候補地を提案し、譲受人が提案された候補地の中から希望する場所を選択するという構成であってもよい。例えば、繁殖者の居住地、繁殖者の居住地の最寄り駅、譲受人の居住地、譲受人の居住地の最寄り駅、譲受人の居住地に近いターミナル駅、譲受人の居住地に近い空港、繁殖者が提示した場所などが候補地として提示され、その中から譲受人が希望する場所を選択する。
さらに他の例として、予約手段は、チャットなど繁殖者と譲受人とが文字などによって日時と場所について直接やり取りをすることができる構成を備えていてもよい。例えば、譲受人が譲受を希望する愛玩動物を選択すると、当該愛玩動物の繁殖者とやり取りのできるチャットルームに移行し、そこで繁殖者と引き渡しの場所及び日時の交渉、やり取りを行う。チャットルームなどの構成とする場合、交渉をする繁殖者と譲受人以外の人間が当該チャットルームを閲覧できないようにすることが好ましい。チャット等により引き渡し場所及び日時について合意がなされた場合、当該合意内容を譲受人が入力等すると予約が完了する構成とすることができる。
【0016】
[輸送調整手段]
輸送調整手段は、引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する。愛玩動物の繁殖場とヒトの居住地は離れた場所に設けられることが多く、輸送手段に制限があるため、愛玩動物のスムーズな引き渡しには輸送調整手段が必要である。輸送調整手段は、トラック、電車、船舶、飛行機等の輸送機器手配に加えて、引き渡しまでに実施されるイベント、例えば輸送準備、遺伝子検査、健康診断、トリミング等を含めて調整する。具体例として、仮に引き渡し場所が、譲受人の居住地に最も近い駅として予約され、日時が1ヶ月後の14時~15時として予約された場合、輸送調整手段は、公開されている経路・ルート検索アプリやウェブサイトにアクセスする、或いは、サーバーに内蔵されている経路・ルート検索ソフトウェアを用いて、繁殖者の居住地など愛玩動物が現存している場所から引き渡し場所までの経路・ルートを探索する。例えば、愛玩動物の所在地から最寄りの駅までは自動車で移動、その後電車で譲受人の居住地の最寄り駅まで移動するルートと各移動手段の時間、時刻表やスケジュールが探索される。
経路・ルートの決定は、探索された経路・ルートの候補から譲受人が希望する経路・ルートを選択する構成としてもよいし、自動的に最短時間や最低コストのルートが選択される構成としてもよい。
また、遺伝子検査や健康診断などのイベントについては、引き渡し日から逆算して最適な日時に遺伝子検査日や健康診断日などを設定する。この場合の最適な日時とは、飼い主への引き渡し日からどれくらい前に遺伝子検査や健康診断などを行うことがよいのかについての業界や学会などの知見をもとに設定することができる。
選択された経路・ルートの中に飛行機、電車などの公共交通手段が含まれる場合、輸送調整手段から当該公共交通手段のウェブサイト等にアクセスして当該交通手段のチケットの予約を取れる構成とすることも好ましい。
【0017】
譲受人の指定する引き渡し場所及び日時に愛玩動物を輸送する調整ができない場合には、その結果を予約手段にフィードバックして、予約手段は譲受人に代替日時や代替地を提案する。したがって、輸送調整手段は、スムーズな予約を実現するためにも必要である。
【0018】
[健康診断調整手段]
健康診断調整手段は、譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する。愛玩動物の取引においては、健康な状態で愛玩動物を引き渡すことが必要であり、愛玩動物の引き渡し前に健康診断を実施することが好ましい。健康診断とは、一般的には体重、疾病・裂傷の確認であり、必要に応じて遺伝子検査、腸内フローラ検査等を実施する。予約や輸送の手配と同時に健康診断を手配することで、スムーズな引き渡しを実現できる。
【0019】
健康診断は、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断であることが好ましい。専門家による健康診断を調整することにより、引き渡し直後に愛玩動物が罹患するといったトラブルを抑制することができる。
【0020】
健康診断は、引き渡し場所から半径10km以内の施設で勤務している獣医師による訪問健診、又は、引き渡し場所から半径10km以内に所在している動物病院における健康診断であることがより好ましい。引き渡し場所の近隣で勤務している獣医師、又は、近隣に所在している動物病院による健康診断を調整することで、引き渡し後の定期的な健康診断やワクチン接種等についても、引き渡し時の健康診断と同じ動物病院等で受診しやくなり、譲受人の負担を軽減することができる。
【0021】
[フード提案手段]
フード提案手段は、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案する。愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案することで、愛玩動物の健康維持に資するとともに、譲受人の負担を軽減することができる。なお、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果に基づいて愛玩動物に適したフードを提案することが好ましい。
【0022】
ここで、品種とは、生物の種以下の生物集団の単位である。例えば、犬でいうと、犬の品種は犬種とも呼ばれ、具体的には、トイプードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフント、柴犬、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・シュナウザー、シー・ズー、フレンチ・ブルドッグ、パピヨン、マルチーズ、ラブラドール、ダルメシアン、チャウチャウ等が挙げられる。猫でいうと、猫の品種は猫種とも呼ばれ、スコティッシュ・フォールド、アメリカン・ショートヘア、ノルウェージャン・フォレストキャット、ロシアンブルー、ブリティッシュ・ショートヘア、ラグドール、メイン・クーン、ペルシャ等が挙げられる。ウサギでいうと、ネザーランドドワーフ、ホーランドロップ、ロップイヤー、ミニレッキス、ドワーフロップ、アメリカンファジーロップ等が挙げられる。
【0023】
フード提案手段が用いる品種情報を得るために、品種判定用の学習済みモデルを用いて、愛玩動物の画像からその動物の品種を判定してもよい。
【0024】
品種判定用の学習済みモデルは、動物の画像と前記動物の品種との関係を学習した学習済みモデルである。好ましくは、動物の画像とその動物の品種とを教師データとして用いて学習を行い、入力を動物の画像とし、出力をその動物の品種の判定とする学習済みモデルを含む。
【0025】
教師データとして用いる動物の画像のフォーマットは特に限定されない。静止画でも動画でもよい。画像に写っている動物の部位は特に限定されないが、動物の画像は、動物の品種が特定しやすい画像、例えば、顔や尻尾が写っている画像や全身が映っている画像が好ましい。画像は、白黒、グレースケール、カラーのいずれであってもよい。画像編集ソフトウェアで形状が編集された画像、複数の動物が写っている画像、目や耳が判別出来ないほど小さく写っている画像あるいは不鮮明な画像は好ましくない。画像については、ノーマライゼーションが施されたものや、解像度が統一されたものが好ましい。教師データで用いた画像と、品種判定のために受け付けられた画像の解像度が統一されていることがより好ましい。
【0026】
学習済みモデルとしては、人工知能(AI)が好ましい。人工知能(AI)とは、人間の脳が行っている知的な作業をコンピュータで模倣したソフトウェアやシステムであり、具体的には、人間の使う自然言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのことをいう。人工知能としては、汎用型、特化型のいずれであってもよく、具体的には、ロジスティック回帰、決定木、k平均法、 多層パーセプトロン、再帰型ニューラルネットワーク、ディープニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク等の公知のもののいずれであってもよく、公開されているソフトウェアを使用することができる。
【0027】
学習済みモデルを生成するために、人工知能を学習させる。学習としては、機械学習とディープラーニング(深層学習)のいずれであってもよいが、ディープラーニングが好ましい。ディープラーニングは、機械学習を発展させたものであり、特徴量を自動的に見つけ出す点に特徴がある。
【0028】
学習済みモデルを生成するための学習方法としては、特に制限されず、公開されているソフトウェアやライブラリを用いることができる。学習方法は転移学習であってもよい。例えば、NVIDIAが公開しているDIGITS (the Deep Learning GPU Training System)を用いることができる。また、例えば、人工知能(ニューラルネットワーク)としてResNet、MobileNetやEfficientNetを使用し、機械学習ライブラリ(Deep Learningライブラリ)としてPytorchなどを用いて転移学習により学習済みモデルを生成することができる。その他、例えば、「サポートベクターマシン入門」(共立出版)等において公開されている公知のサポートベクターマシンを用いてもよい。
【0029】
[保険提案手段]
保険提案手段は、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する。保険販売者がマッチングシステムを通じて、保険の加入に必要な情報を取得することで、譲受人に愛玩動物に関する情報を入力することなく、愛玩動物に適した保険を提案することができる。
【0030】
<実施形態>
以下、本発明の愛玩動物マッチングシステムの一実施態様を説明する。
【0031】
図1は、本発明のマッチングシステム1の一例である。マッチングシステム1では、マッチング装置10が、ネットワークを介して繁殖者端末2、ユーザー端末3、獣医師端末4-1、動物病院端末4-2、フード販売者端末5、保険販売者端末6と接続されている。
【0032】
図1中、繁殖者端末2は、マッチング装置を利用したい繁殖者が利用する端末である。端末2は、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末などが挙げられる。端末2は、CPUなどの処理部、ハードディスク、ROMあるいはRAMなどのメモリ/記憶部、液晶パネルなどの表示部、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力部、ネットワークアダプタなどの通信部などを含んで構成される。
繁殖者は、端末2を通じて装置10にアクセスして、繁殖者が保有している愛玩動物の画像を装置10にアップロードしたり、繁殖者が愛玩動物を公開しているサイトやSNSへ誘導するように指定できる。
【0033】
ユーザー端末3は、マッチング装置10を利用したい譲受人が利用する端末である。譲受人は、端末3から、ネットワークを通じて装置10にアクセスし、愛玩動物を閲覧する。愛玩動物の引き渡しを希望する場合には、譲受人は端末3を通じて愛玩動物の引き渡し場所及び日時を予約する。
【0034】
本発明のマッチングシステム1は、獣医師が利用する獣医師端末4-1、動物病院に設置された動物病院端末4-2を含むことができる(以下、合わせて端末4と称する)。端末4は、ネットワークを通じて装置10と接続される。愛玩動物の引き渡し場所及び日程が予約されて、健康診断が手配されると、端末4を通じて獣医師又は動物病院にその情報が通知される。また、獣医師又は動物病院は、端末4を通じて健康診断の結果をアップロードすることができる。
【0035】
本発明のマッチングシステム1は、フード販売者端末5を含むことができる。端末5は、ネットワークを通じて装置10と接続される。フード販売者とは、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを譲受人に提案する業者である。フード販売者は、端末5を通じて愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果を受領し、これらの情報に基づいたフードの提案を装置10にアップロードする。
【0036】
本発明のマッチングシステム1は、保険販売者端末6を含むことができる。端末6は、ネットワークを通じて装置10と接続される。保険販売者とは、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を譲受人に提案する業者である。保険販売者は、端末6を通じて愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果を受領し、これらの情報に基づいた保険の提案を装置10にアップロードする。なお、保険の募集は、保険の募集行為を含むものとする。
【0037】
なお、
図1では、繁殖者、獣医師及び動物病院、フード販売者、並びに、保険販売者を分けて表記しているが、これらが一体であってもよい。
【0038】
図2は、本発明のマッチング装置10の一例である。本実施形態においては、装置10はコンピュータによって構成されるが、本発明にかかる機能を有する限りにおいて、どのような装置であってもよい。
記憶部は、例えばROM、RAMあるいはハードディスクなどから構成される。記憶部には、本発明のマッチングシステムや装置の各部を動作させるための情報処理プログラムが記憶され、特に、閲覧手段11、予約手段12及び輸送調整手段13のためのプログラム/ソフトウェアなどが記憶される。
処理演算部(CPU)20が、プログラム/ソフトウェアを実行することで、閲覧手段11、予約手段12及び輸送調整手段13として機能する。
【0039】
インターフェース部(通信部)30は、受付手段31と出力手段32を備える。受付手段31は、繁殖者端末2やユーザー端末3から、愛玩動物の画像や予約の指示情報等を受け付ける。一方、出力手段32は、予約結果等を出力し、送信する。
【0040】
閲覧手段11は、繁殖者が端末2を通じてアップロードした画像や繁殖者が愛玩動物を公開しているサイトやSNSのURLを記録すると共に、端末3を通じてアクセスした譲受人に愛玩動物の画像やURLを開示する。
【0041】
予約手段12は、譲受人の指定する引き渡し場所及び日時が予約可能かどうかを判定し、その結果を端末3に表示する。予約手段12に記録されている別の予約がある場合や、輸送調整手段13により、輸送が調整できないとの結果がフィードバックされた場合には、譲受人の居住地や希望に応じて代替日時や代替地を提案する。譲受人が予約を確定させた場合には、端末2を通じてその結果を繁殖者に通知する。なお、予約の判定や新たな予約の提案は、処理演算部20によって自動で実施されることが好ましいが、必要に応じて一部業務をオペレーターが実施してもよい。
【0042】
輸送調整手段13は、予約手段12から提供された譲受人の指定する引き渡し場所及び日時に応じて、輸送機器手配と、引き渡しまでに実施されるイベントの日程や場所を調整する。輸送の調整ができない場合には、その結果を予約手段12にフィードバックする。譲受人の指定が変更された場合には、改めて輸送を調整する。なお、輸送の調整は、処理演算部20によって自動で実施されることが好ましいが、必要に応じて一部業務をオペレーターが実施してもよい。
【0043】
記憶部は、健康診断調整手段14、フード提案手段15及び保険提案手段16のためのプログラム/ソフトウェアなどを記憶していてもよい。
【0044】
健康診断調整手段14は、予約手段12から提供された譲受人の指定する引き渡し場所及び日時に応じて、健康診断の日程及び場所を調整する。健康診断の調整ができない場合には、その結果を予約手段12にフィードバックする。譲受人の指定が変更された場合には、改めて健康診断を調整する。なお、健康診断調整手段14は、輸送調整手段13の一機能として実行されてもよい。また、健康診断の調整は、処理演算部20によって自動で実施されることが好ましいが、必要に応じて一部業務をオペレーターが実施してもよい。
【0045】
フード提案手段15は、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを選定する。選定結果は、端末3を通じて譲受人に開示されてもよいし、予め端末2を通じて繁殖者に結果を開示しておき、繁殖者から譲受人に伝達されてもよい。なお、フードの提案内容については、処理演算部20によって自動で作成されてもよいし、獣医師等の専門家によって作成されてもよい。
【0046】
保険提案手段16は、愛玩動物の品種、年齢及び健康診断結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を選定する。選定結果は、端末3を通じて譲受人に開示されてもよいし、予め端末2を通じて繁殖者に結果を開示しておき、繁殖者から譲受人に伝達されてもよい。なお、保険の提案内容については、処理演算部20によって自動で作成されてもよいし、保険募集人等の専門家によって作成されてもよい。
【0047】
本発明の愛玩動物マッチングシステムの一実施態様に基づく予約のフローチャートを
図3に示す。譲受人が、閲覧手段に、閲覧を希望する愛玩動物の種、品種、年齢、性別等の基本情報を入力すると、繁殖者がアップロードした画像や繁殖者が愛玩動物を公開しているサイトやSNSのURLが開示される(ステップS1)。譲受人が愛玩動物の引き渡しを希望する場合には、予約手段を通じて引き渡し場所及び日時を予約する(ステップS2)。サーバの処理演算部は、輸送調整手段を用いて輸送を手配する。輸送が手配できないときには、予約の修正を要求する(ステップS3)。更に、必要に応じて愛玩動物の健康診断を手配する(ステップS4)。
【0048】
本発明の愛玩動物マッチングシステムの一実施態様に基づく愛玩動物の引き渡しのフローチャートを
図4に示す。ステップS4に基づいて、健康診断が手配されている場合には、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断が実施される(ステップS11)。譲受人は、健康診断結果等を考慮したうえで、愛玩動物を譲り受ける(ステップS12)。譲り受けが決定したら譲受人及び愛玩動物の情報を、端末(
図1に列挙してる端末以外の端末も含む)を通じて、マッチング装置に送信する(ステップS13)。サーバの処理演算部は、譲受人及び愛玩動物の情報等に基づいて、愛玩動物に適したフードや保険の情報を生成し、譲受人に提案する(ステップS14、15)。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、
引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段と
を有することを特徴とする愛玩動物マッチングシステム。
【請求項2】
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段をさらに備える請求項1記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項3】
前記健康診断が、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断である請求項2記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項4】
前記健康診断が、引き渡し場所から半径10km以内の施設で勤務している獣医師による訪問健診、又は、引き渡し場所から半径10km以内に所在している動物病院における健康診断である請求項2記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項5】
愛玩動物の品種、年齢及び健康診断の結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案するフード提案手段をさらに備える請求項2~4のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項6】
愛玩動物の品種、年齢及び健康診断の結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する保険提案手段をさらに備える請求項2~5のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。
【請求項7】
譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧するステップと、
譲受人が引き渡し場所及び日時を予約するステップと、
愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配するステップと
を有することを特徴とする愛玩動物マッチング方法。
【請求項8】
譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配するステップをさらに備える請求項7記載の愛玩動物マッチング方法。