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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109171
(43)【公開日】2023-08-07
(54)【発明の名称】袴および袴の着付方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20230731BHJP
【FI】
A41D1/00 101F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009076
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2022009976
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516312475
【氏名又は名称】ライナス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】古川 眞理
【テーマコード(参考)】
3B030
【Fターム(参考)】
3B030BA08
3B030BB01
3B030BC07
(57)【要約】
【課題】腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる袴および袴の着付方法を提供する。
【解決手段】袴1は、前身頃部2と、板状の腰板31を備え、前身頃部2と一体の後身頃部3と、前身頃部2に設けられるとともに腰部に巻き付けられる帯状の第1の巻付け部4と、腰板31に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる帯状の第2の巻付け部5と、を有し、第2の巻付け部5は、固定具52と、固定具52に対して着脱可能に接続される被固定具54と、を備え、固定具52と被固定具54とが相互に接続された状態において長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側との両方が相互に反対方向に引っ張られることにより腰部に対する締め付け力が可変可能に構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃部と、
後身頃部と、
前記前身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部と、
前記後身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第2の巻付け部と、
を有し、
前記第2の巻付け部は、
固定具と、前記固定具に対して着脱可能に接続する被固定具と、を備えるとともに、前記固定具と前記被固定具は、挿通孔を介して前記第2の巻付け部を挿通し、前記固定具と前記被固定具とが相互に接続された状態において、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする袴。
【請求項2】
前身頃部と、
後身頃部と、
前記前身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部と、
前記後身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第2の巻付け部と、
を有し、
前記第2の巻付け部は、
固定具と、前記固定具に対して着脱可能に接続する被固定具と、を備えるとともに、前記固定具と前記被固定具は、挿通孔を介して前記第2の巻付け部を挿通し、前記固定具と前記被固定具とが相互に接続された状態において、前記第2の巻付け部における長手方向の一端側と他端側との両方を相互に反対方向に引っ張ることにより前記第2の巻付け部の長手方向の一端側と他端側の挿出長さが長くなるとともに、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って着用者に接近するように移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする袴。
【請求項3】
前記第1の巻付け部は、長手方向の両端部に設けられる相互に接離可能な第1の接続部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の袴。
【請求項4】
前記第1の巻付け部は、前記第1の接続部を着用者の後部側で接続するとともに、
前記第2の巻付け部は、前記固定具と前記被固定具とを前記着用者の前部側で装着することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の袴。
【請求項5】
前記第1の巻付け部は、長手方向に伸縮可能な伸縮部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の袴。
【請求項6】
前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とに着脱可能に装着されるとともに、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを覆い隠す前記第2の巻付け部の結び目を模した装飾部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の袴。
【請求項7】
前記装飾部材は、十文字形状部と、前記十文字形状部の背面側の中央部から下方に帯状に延びる取り付け部と、を有するとともに、前記取り付け部の一端側における正面に第2の接続部を設け、かつ、前記取り付け部の他端側における背面に第3の接続部を設け、更に前記取り付け部の一端側を背面側に向かってターンさせつつ、前記相互に接続された前記固定具および前記被固定具に巻き付けながら前記第2の接続部を正面側に向けて前記背面側の第3の接続部と接続することにより、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを覆い隠すように前記装飾部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の袴。
【請求項8】
前身頃部と、
後身頃部と、
前記前身頃部の上端に設けられる帯状の第1の巻付け部と、
前記後身頃部に設けられる帯状の第2の巻付け部と、
を有する袴の着付方法であって、
前記第1の巻付け部を腰部に巻き付けた後に前記第2の巻付け部を腰部に巻き付けるとともに、前記第2の巻付け部の固定具と前記固定具に対して着脱可能に接続される被固定具とを接続した後に、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする袴の着付方法。
【請求項9】
前身頃部と、
後身頃部と、
前記前身頃部の上端に設けられる帯状の第1の巻付け部と、
前記後身頃部に設けられる帯状の第2の巻付け部と、
を有する袴の着付方法であって、
前記第1の巻付け部を腰部に巻き付けた後に前記第2の巻付け部を腰部に巻き付けるとともに、前記第2の巻付け部の固定具と前記固定具に対して着脱可能に接続される被固定具とを接続した後に、前記第2の巻付け部の長手方向の一端側と他端側との両方を引っ張って前記相互に接続された固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする袴の着付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袴および袴の着付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、男袴等の袴の着付方法としては、袴に両足を通した後に、前からもってきた紐を後ろの帯にひっかけるようにクロスさせ、紐をもう一度前にもってきて交差させ、右側の紐を折り返して後ろにまわすとともに、後ろにまわした紐をしっかり結ぶ。そして、帯に袴を乗せた後に、後ろの紐を前にもってきて交差させ、左側の紐を下の紐にひっかけて下から2回通し、反対側の紐を10cm位の長さに折りたたみ、折りたたんだ紐を横にして結び目の上に置くとともに、上の紐を2回又は3回巻き付けることにより着付が終了する。しかしながら、このような着付方法(腰に対する締め付け方法)は煩雑であり、袴を気軽に身に着けることができないという課題を有する。
【0003】
このような状況において、特許文献1は、角帯を締めたり、後紐を十字形に結ぶ作業を簡略化するべく、角帯に相当する部材や、十字形リボンを装飾的に予め縫い付けておくとともに、前紐の一部はゴム製とした上でバックルにより着脱し、後紐同士は面ファスナーによって着脱する袴を開示している。また、特許文献2は、袴の正面側上部に角帯に相当する角帯部材と、十字形の結び目を模した装飾体を縫い付けて備えるとともに、2本の前紐は、それぞれ装飾体から角帯部材の左右端を介してそのまま左右に延びた構成とした上で、これら2本の前紐には面ファスナーやバックルといった部材を設けずに相互に結び合うことで締結する袴を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】登録実用新案第3024144号公報
【特許文献2】特許第6883366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、マジックテープ(登録商標)を着ける位置を調整して腰回りに対する着脱手段の位置を調整するため、着脱手段および十字形リボンを腰回りの中央に位置させるための操作が面倒であるという課題を有する。また、特許文献2においては、2本の紐を結び合って締結するため、袴を容易に着脱することができないという課題を有する。
【0006】
本発明の目的は、腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる袴および袴の着付方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る袴は、前身頃部と、後身頃部と、前記前身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部と、前記後身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第2の巻付け部と、を有し、前記第2の巻付け部は、 固定具と、前記固定具に対して着脱可能に接続する被固定具と、を備えるとともに、前記固定具と前記被固定具は、挿通孔を介して前記第2の巻付け部を挿通し、前記固定具と前記被固定具とが相互に接続された状態において、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、上記の構成により、腰部に対する締め付け力を可変にすることができ、腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る袴は、前身頃部と、後身頃部と、前記前身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部と、 前記後身頃部に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第2の巻付け部と、 を有し、前記第2の巻付け部は、固定具と、前記固定具に対して着脱可能に接続する被固定具と、を備えるとともに、前記固定具と前記被固定具は、挿通孔を介して前記第2の巻付け部を挿通し、前記固定具と前記被固定具とが相互に接続された状態において、前記第2の巻付け部における長手方向の一端側と他端側との両方を相互に反対方向に引っ張ることにより前記第2の巻付け部の長手方向の一端側と他端側の挿出長さが長くなるとともに、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って着用者に接近するように移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、上記の構成により、腰部に対する締め付け力を可変にすることができ、腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる。
【0011】
前記第1の巻付け部は、長手方向の両端部に設けられる相互に接離可能な第1の接続部を備えることができる。
【0012】
前記第1の巻付け部は、前記第1の接続部を着用者の後部側で接続するとともに、前記第2の巻付け部は、前記固定具と前記被固定具とを前記着用者の前部側で装着することにより、例えば、第1の巻付け部を着用者の後部側で接続した状態で袴の装着位置を仮固定しながら第2の巻付け部を着用者の前部側で装着することができる等、袴を容易に装着することができる。
【0013】
前記第1の巻付け部は、長手方向に伸縮可能な伸縮部を備えることにより、着用者の体格に対応させて第1の巻付け部を伸縮させることができる。
【0014】
前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とに着脱可能に装着されるとともに、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを覆い隠す前記第2の巻付け部の結び目を模した装飾部材を備えることにより、相互に接続された固定具と被固定具を覆い隠しながら第2の巻付け部の結び目を模した装飾部材を着脱可能に装着することができる。
【0015】
前記装飾部材は、例えば、十文字形状部と、前記十文字形状部の背面側の中央部から下方に帯状に延びる取り付け部と、を有するとともに、前記取り付け部の一端側における正面に第2の接続部を設け、かつ、前記取り付け部の他端側における背面に第3の接続部を設け、更に前記取り付け部の一端側を背面側に向かってターンさせつつ、前記相互に接続された前記固定具および前記被固定具に巻き付けながら前記第2の接続部を正面側に向けて前記背面側の第3の接続部と接続することにより、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを覆い隠すように前記装飾部材を備えることができる。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る袴の着付方法は、前身頃部と、後身頃部と、前記前身頃部の上端に設けられる帯状の第1の巻付け部と、前記後身頃部に設けられる帯状の第2の巻付け部と、を有する袴の着付方法であって、前記第1の巻付け部を腰部に巻き付けた後に前記第2の巻付け部を腰部に巻き付けるとともに、前記第2の巻付け部の固定具と前記固定具に対して着脱可能に接続される被固定具とを接続した後に、前記相互に接続された前記固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る袴の着付方法は、前身頃部と、後身頃部と、前記前身頃部の上端に設けられる帯状の第1の巻付け部と、前記後身頃部に設けられる帯状の第2の巻付け部と、を有する袴の着付方法であって、前記第1の巻付け部を腰部に巻き付けた後に前記第2の巻付け部を腰部に巻き付けるとともに、前記第2の巻付け部の固定具と前記固定具に対して着脱可能に接続される被固定具とを接続した後に、前記第2の巻付け部の長手方向の一端側と他端側との両方を引っ張って前記相互に接続された固定具と前記被固定具とを前記第2の巻付け部に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る袴の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る袴の構成を示す別の斜視図である。
図3】袴の構成を示す正面図である。
図4】袴の第2の巻付け部の固定具の構成を示す正面図である。
図5】袴の第2の巻付け部の固定具の構成を示す平面図である。
図6】袴の第2の巻付け部の被固定具の構成を示す正面図である。
図7】袴の第2の巻付け部の被固定具の構成を示す平面図である。
図8】袴の第2の巻付け部の固定具と被固定具を相互に接続した状態を示す平面図である。
図9】袴の装飾部材の構成を示す図で、(a)は装飾部材を展開した状態を示す正面図、(b)は装飾部材を展開した状態を示す背面図、(c)は装飾部材を展開した状態を示す側面図である。
図10】袴の装飾部材の十文字形状部の構成を示す図で、(a)は十文字形状部の構成を示す正面図、(b)は十文字形状部の構成を示す側面図である。
図11】袴の装飾部材の取り付け部の構成を示す図で、(a)は取り付け部の構成を示す正面図、(b)は取り付け部の構成を示す背面図、(c)は取り付け部の構成を示す側面図である。
図12】取り付け部により十文字形状部を相互に接続された固定具および被固定具に取り付けた状態を示す側面図である。
図13】取り付け部により十文字形状部を相互に接続された固定具および被固定具に取り付けた状態を示す正面図である。
図14】本発明の実施形態に係る袴の第1の巻付け部を腰部に巻き付けた状態の正面図である。
図15】本発明の実施形態に係る袴の第1の巻付け部および第2の巻付け部を腰部に巻き付けた状態の正面図である。
図16】本発明の実施形態に係る袴の装飾部材を取り付けた状態の正面図である。
図17】本発明の変形例に係る袴の斜視図である。
図18】本発明の変形例に係る袴の別の斜視図である。
図19】本発明の変形例に係る袴の別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る袴および袴の着付け方法を図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る袴の構成を示す斜視図、図2は、本発明の実施形態に係る袴の構成を示す斜視図、図3は、袴の構成を示す正面図、図4は、袴の第2の巻付け部の固定具の構成を示す正面図、図5は、袴の第2の巻付け部の固定具の構成を示す平面図、図6は、袴の第2の巻付け部の被固定具の構成を示す正面図、図7は、袴の第2の巻付け部の被固定具の構成を示す平面図、図8は、袴の第2の巻付け部の固定具と被固定具を相互に接続した状態を示す平面図、図9は、袴の装飾部材の構成を示す図、図10は、袴の装飾部材の十文字形状部の構成を示す図、図11は、袴の装飾部材の取り付け部の構成を示す図、図12は、取り付け部により十文字形状部を相互に接続された固定具および被固定具に取り付けた状態を示す側面図、図13は、取り付け部により十文字形状部を相互に接続された固定具および被固定具に取り付けた状態を示す正面図で、図14は、本発明の実施形態に係る袴の第1の巻付け部を腰部に巻き付けた状態の正面図、図15は、本発明の実施形態に係る袴の第1の巻付け部および第2の巻付け部を腰部に巻き付けた状態の正面図、図16は、本発明の実施形態に係る袴の装飾部材を取り付けた状態の正面図である。なお、以下の説明において、なお、以下の説明においては、袴1を着用者Pが着用した状態を基準に各方向を定義するものとし、着用者Pの頭部側を上方、脚部側を下方、右手側を右方(側方)、左手側を左方(側方)、前部側を前方(正面側)、後部側を後方(背面側)とし、各方向を図において明示するものとする。
【0021】
<袴の構成>
本発明の実施形態に係る袴1の構成について、図1から図13を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0022】
袴1は、図1乃至図3に示すように、前身頃部2と、後身頃部3と、第1の巻付け部4と、第2の巻付け部5と、装飾部材6と、留め具7と、を有している。
【0023】
前身頃部2は、袴1の着用者Pの前側に位置する部分であり、地面に対する下端2´からの距離が略一定であるとともに、左右の側方においては、前方から後方に向かって下端2´からの長さ(上端2´´の高さ)が漸次短くなっており、上端2´´が前方から後方に向かって下方に直線的に下るように傾斜している。前身頃部2は、上下方向に延びる白色部分2aと黒色部分2bとが交互に並んで構成されている。
【0024】
後身頃部3は、袴1の着用者Pの後側に位置する部分であり、前身頃部2と一体になっている。すなわち、前身頃部2の左右の側端縁2A,2Bと後身頃部3の左右の側端縁3A,3Bとは縫合その他の方法により接続されている。後身頃部3は、地面に対する下端3´からの距離が略一定であるとともに、左右の側方においては、後方から前方に向かって下端3´からの長さ(上端3´´の高さ)が漸次短くなっており、上端3´´が後方から前方に向かって下方に直線的に下るように傾斜している。後身頃部3は、上下方向に延びる白色部分3aと黒色部分3bが交互に並んで構成されている。
【0025】
後身頃部3は、後方の上端3´´に所定の高さをもって板状の腰板31を備えている。後身頃部3の上端3´´と前身頃部2の上端2´´とは地面からの距離が同等であり、腰板31は、後身頃部3の上端3´´および前身頃部2の上端2´´から上方に所定の高さをもって突出している。
【0026】
上記の如く、前身頃部2は、左右の側方において前方から後方に向かって下端2´からの長さ(上端2´´の高さ)が漸次短くなって上端2´´が前方から後方に向かって下方に直線的に下るように傾斜しており、後身頃部3は、左右の側方において後方から前方に向かって下端2´,3´からの長さ(高さ)が漸次短くなって上端3´´が後方から前方に向かって下方に直線的に下るように傾斜しており、前身頃部2の上端2´´と後身頃部3の上端3´´とは、左右の側方においてV字状に接続している。
【0027】
第1の巻付け部4は、帯状であり、着用者Pの腰部に巻き付けられる。第1の巻付け部4は、取付部41と、左側巻付け部4aと、右側巻付け部4bと、接続部42と、接続部43と、を備えている。
【0028】
取付部41は、第1の巻付け部4の長手方向の中央より詳しくは左側巻付け部4aと右側巻付け部4bとの間に設けられており、前身頃部2の上端2´´に取り付けられている。左側巻付け部4aと右側巻付け部4bは、取付部41を介して前身頃部2の上端2´´に取り付けられている。
【0029】
左側巻付け部4aは、前身頃部2に対して左側に帯状に延びるように設けられている。右側巻付け部4bは、前身頃部2に対して右側に帯状に延びるように設けられている。
【0030】
接続部42は、第1の接続部として機能し、第1の巻付け部4の長手方向の一端4´側より詳しくは右側巻付け部4bの先端4´側に設けられている。
【0031】
接続部43は、第1の接続部として機能し、第1の巻付け部4の長手方向の他端4´´側より詳しくは左側巻付け部4aの先端4´´側に設けられている。
【0032】
すなわち、第1の接続部としての接続部42と接続部43とは、長手方向の両端部に設けられる相互に接離可能な面ファスナーである。第1の接続部としての接続部42と接続部43は、着用者Pの後部側で接続する。なお、接続部42および接続部43は、面ファスナーに限らず、相互に接離可能な任意の構成にすることができる。
【0033】
第1の巻付け部4より詳しくは右側巻付け部4bは、長手方向において取付部41と接続部42との間に長手方向に伸縮可能な伸縮部44を備えている。第1の巻付け部4より詳しくは左側巻付け部4aは、長手方向において取付部41と接続部43との間に長手方向に伸縮可能な伸縮部45を備えている。伸縮部44は、接続部42に隣接して設けられている。伸縮部45は、接続部43に隣接して設けられている。伸縮部44,45は、例えばゴム帯で構成されている。
【0034】
第2の巻付け部5は、第1の巻付け部4に対し取り付け位置が上下方向において異なるものとなっている。より詳しくは、第2の巻付け部5の取付部51は、第1の巻付け部4の取付部41よりも上方に設けられており、第2の巻付け部5は、腰部に巻き付けられる。第2の巻付け部5は、腰板31の下端31´側に設けられている。第2の巻付け部5は、腰板31を介して後身頃部3に設けられている。第2の巻付け部5は、腰板31に対して左側に設けられる左側巻付け部5aと、腰板31に対して右側に設けられる右側巻付け部5bと、により構成されている。
【0035】
左側巻付け部5aは、取付部51と、固定具52と、を備えている。
【0036】
取付部51は、左側巻付け部5aの長手方向の一端5a´に設けられており、腰板31に取り付けられることにより左側巻付け部5aを腰板31に固定している。
【0037】
固定具52は、取付部51と、左側巻付け部5aの長手方向の他端5cと、の間において、移動可能に左側巻付け部5aに設けられている。具体的には、固定具52は、図4および図5に示すように、本体521と、挿通孔522と、ストッパ523と、を備えている。
【0038】
挿通孔522は、第1の挿通孔522aおよび第2の挿通孔522bを有している。第1の挿通孔522aは、本体521の一端部521a側に設けられ、第2の挿通孔522bは、本体521の他端部521b側に設けられている。第1の挿通孔522aと第2の挿通孔522bとの間には、ストッパ523が第1の挿通孔522aと第2の挿通孔522bとを仕切るように設けられている。
【0039】
挿通孔522には、左側巻付け部5aが挿通されている。すなわち、左側巻付け部5aは、他端5c側が第1の挿通孔522aの後方から挿通しつつ前方に挿出し、更に、ストッパ523に巻き付けられるようにしながら他端5c側が第2の挿通孔522bの前方から挿通しつつ後方に挿出する。これにより、本体521は、挿通孔522を介して左側巻付け部5a上を移動可能となっており左側巻付け部5a上の位置を変更可能に構成されている。
【0040】
ストッパ523は、棒状に形成されている。ストッパ523には、挿通孔522に挿通されている左側巻付け部5aが巻き付くことにより、左側巻付け部5aの長手方向に沿った固定具52の移動を所定に規制することができる。ストッパ523には、表面に図示せぬ凹凸が設けられており、固定具52が被固定具54と相互に接続した状態で、左側巻付け部5aの他端5cを長手方向に引っ張った際には、相互に接続した固定具52および被固定具54の長手方向に沿った移動を所定に規制することができる(他端5cを一定以上の力で引っ張ることにより固定具52および被固定具54が移動する)。
【0041】
右側巻付け部5bは、取付部53と、被固定具54と、を備えている。
【0042】
取付部53は、右側巻付け部5bの長手方向の一端5b´に設けられており、腰板31に取り付けられることにより右側巻付け部5bを腰板31に固定している。
【0043】
被固定具54は、取付部53と、右側巻付け部5bの長手方向の他端5dと、の間において、移動可能に右側巻付け部5bに設けられている。具体的には、被固定具54は、図6および図7に示すように、本体541と、挿通孔542と、ストッパ543と、を備えている。
【0044】
挿通孔542は、第1の挿通孔542aおよび第2の挿通孔542bを有している。第1の挿通孔542aは、本体541の一端部541a側に設けられ、第2の挿通孔542bは、本体541の他端部541b側に設けられている。第1の挿通孔542aと第2の挿通孔542bとの間には、ストッパ543が第1の挿通孔542aと第2の挿通孔542bとを仕切るように設けられている。
【0045】
挿通孔542には、右側巻付け部5bが挿通されている。すなわち、右側巻付け部5bは、他端5d側が第1の挿通孔542aの後方から挿通しつつ前方に挿出し、更に、ストッパ543に巻き付けられるようにしながら他端5d側が第2の挿通孔542bの前方から挿通しつつ後方に挿出する。これにより、本体541は、挿通孔542を介して右側巻付け部5b上を移動可能となっており右側巻付け部5b上の位置を変更可能に構成されている。
【0046】
すなわち、図8に示すように、被固定具54は、固定具52と相互に接続した状態で、左側巻付け部5aの他端部5cを保持しながら右側巻付け部5bの他端5dを長手方向に引っ張った際には、固定具52とともに、右側巻付け部5bの長手方向に沿って一端5b´に向かって移動可能となっている。
【0047】
ストッパ543は、棒状に形成されている。ストッパ543には、挿通孔542に挿通されている右側巻付け部5bが巻き付くことにより、右側巻付け部5bの長手方向に沿った被固定具54の移動を所定に規制することができる。ストッパ543には、表面に図示せぬ凹凸が設けられており、被固定具54が固定具52と相互に接続した状態で、右側巻付け部5bの他端5dを長手方向に引っ張った際には、相互に接続した固定具52および被固定具54の長手方向に沿った移動を所定に規制することができる(他端5dを一定以上の力で引っ張ることにより固定具52および被固定具54が移動する)。
【0048】
固定具52と被固定具54とは、スナップフィットにより相互に着脱可能に接続されており、固定具52と被固定具54とは、着用者Pの前部側で装着される。
【0049】
すなわち、図8に示すように、固定具52は、被固定具54と相互に接続した状態で、左側巻付け部5aの他端5cおよび右側巻付け部5bの他端5dを長手方向に相互に反対方向に引っ張った際には、左側巻付け部5aおよび右側巻付け部5bにおいて、固定具52および被固定具54から他端5c,5dまでの挿出長さが長くなる一方、固定具52および被固定具54から一端5a´,5b´までの挿出長さが短くなり、被固定具54とともに、長手方向に沿って左側巻付け部5aの一端5a´および右側巻付け部5bの一端5b´に向かって移動することとなる。
【0050】
つまり、第2の巻付け部5は、固定具52と、固定具52に対して着脱可能に接続する被固定具54と、を備えるとともに、固定具52と被固定具54は、挿通孔522,542を介して第2の巻付け部5を挿通し、固定具52と被固定具54とが接続された状態において、長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側との両方が反対方向に引っ張られることにより相互に接続された固定具52と被固定具54とを第2の巻付け部5に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることができる。
【0051】
より詳しくは、第2の巻付け部5は、固定具52と、固定具52に対して着脱可能に接続する被固定具54と、を備えるとともに、固定具52と被固定具54は、挿通孔522,542を介して第2の巻付け部5を挿通し、固定具52と被固定具54とが接続された状態において、長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側との両方が反対方向に引っ張られることにより第2の巻付け部5の長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側の挿出長さが長くなるとともに、相互に接続された固定具52と被固定具54とを第2の巻付け部5に沿って着用者Pに接近するように移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることができる。
【0052】
装飾部材6は、図9に示すように、袴1の結び目より詳しくは第2の巻付け部5の結び目を模したものであり正面視で十字形状となっている。装飾部材6は、相互に接続された固定具52と被固定具54とに着脱可能に装着される。装飾部材6は、固定具52と被固定具54とを相互に接続した状態において固定具52と被固定具54とを覆い隠すように取り付けられている。
【0053】
すなわち、装飾部材6は、図10に示す十文字形状部61と、図11に示す帯状に延びる取り付け部62と、を有している。装飾部材6は、取り付け部62の一端62a´側における正面62aに第2の接続部63を設け、かつ、取り付け部62の他端62b´側における背面62bに第3の接続部64を設けている。装飾部材6は、更に第2の接続部63が設けられた取り付け部62の一端62a´側を背面側に向かってターンさせつつ、図12および図13に示すように、相互に接続された固定具52および被固定具54に巻き付けながら第2の接続部63を正面側に向けて背面側の第3の接続部64と接続する。これにより、相互に接続された固定具52と被固定具54とを覆い隠すように装飾部材6を備えることができる。また、装飾部材6を第2の巻付け部5に容易に取り付けることができる。なお、第2の接続部63および第3の接続部64は、相互に接離可能な面ファスナーにより構成されている。
【0054】
留め具7は、腰板31の下端31´に揺動可能に保持されており、腰板31の下端31´より下方に突出している。
【0055】
<袴の着付方法>
本発明の実施形態に係る袴1の着付方法について、図14から図16を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【0056】
以下に示す袴1の着付方法は、前身頃部2と、後身頃部3と、前身頃部2に設けられる第1の巻付け部4と、後身頃部3に設けられる第2の巻付け部5と、を有する袴1の着付方法であって、第1の巻付け部4を腰部に巻き付けた後に第2の巻付け部5を腰部に巻き付けるとともに、第2の巻付け部5の固定具52と固定具52に対して着脱可能に接続される被固定具54とを接続した後に、相互に接続された固定具52と被固定具54とを第2の巻付け部5に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にする袴1の着付方法である。
【0057】
より詳しくは、以下に示す袴1の着付方法は、前身頃部2と、後身頃部3と、前身頃部2に設けられる第1の巻付け部4と、後身頃部3に設けられる第2の巻付け部5と、を有する袴1の着付方法であって、第1の巻付け部4を腰部に巻き付けた後に第2の巻付け部5を腰部に巻き付けるとともに、第2の巻付け部5の固定具52と固定具52に対して着脱可能に接続される被固定具54とを接続した後に、第2の巻付け部5の長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側との両方を引っ張って相互に接続された固定具52と被固定具54とを第2の巻付け部5に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にする袴1の着付方法である。
【0058】
すなわち、袴1の着用者Pは、袴1を着付けする前に、図示しない着物を着る。
【0059】
着物を着た着用者Pは、前身頃部2と後身頃部3との間に足を通す。
【0060】
次に、留め具7を図示しない着物の帯の中に差し込む。
【0061】
次に、図14に示すように、第1の巻付け部4を着用者Pの腰部に巻き付けるとともに腰板31の外側に巻き付ける。
【0062】
次に、第1の巻付け部4の接続部42と接続部43とを接続する。この際に、接続部42と接続部43とを面ファスナーにすることにより、第1の巻付け部4を腰部に容易に巻き付けることができる。また、第1の巻付け部4に伸縮部44と伸縮部45とを設けることにより、第1の巻付け部4を腰部に対して安定して保持させることができる。
【0063】
次に、図15に示すように、第2の巻付け部5を腰部に巻き付けるとともに、第2の巻付け部5の固定具52と被固定具54とをスナップフィットによって接続する。この状態において、第2の巻付け部5は、第1の巻付け部4よりも上方に位置する。固定具52と被固定具54とをスナップフィットによって接続することにより、第2の巻付け部5を腰部に容易に巻き付けることができる。
【0064】
次に、左側巻付け部5aの固定具52と他端5cとの間と、右側巻付け部5bの被固定具54と他端5dとの間と、を引っ張って、第2の巻付け部5の腰部に対する締め付け力を可変にして調整する。
【0065】
次に、図16に示すように、装飾部材6において、第2の接続部63が設けられた取り付け部62の一端62a´側を背面側に向かってターンさせつつ、相互に接続された固定具52および被固定具54に取り付け部62を巻き付けながら第2の接続部63を正面側に向けて背面側の第3の接続部64と接続することにより、相互に接続された固定具52と被固定具54とを覆い隠す。
【0066】
これにより、袴1の着付けを終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、前身頃部2と、後身頃部3と、前身頃部2に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部4と、後身頃部3に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる帯状の第2の巻付け部5と、を有し、第2の巻付け部5が、固定具52と、固定具52に対して着脱可能に接続される被固定具54と、を備えるとともに、固定具52と被固定具54は、挿通孔522,542を介して第2の巻付け部5を挿通し、固定具52と被固定具54とが接続された状態において、相互に接続された固定具52と被固定具53とを第2の巻付け部5に沿って移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることにより、より詳しくは、前身頃部2と、後身頃部3と、前身頃部2に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第1の巻付け部4と、後身頃部3に設けられるとともに、腰部に巻き付けられる第2の巻付け部5と、を有し、第2の巻付け部5は、固定具52と、固定具52に対して着脱可能に接続する被固定具54と、を備えるとともに、固定具52と被固定具54は、挿通孔522,524を介して第2の巻付け部5を挿通し、固定具52と被固定具54とが相互に接続された状態において、第2の巻付け部5における長手方向の一端側と他端側との両方を相互に反対方向に引っ張ることにより前記第2の巻付け部の長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側の挿出長さが長くなるとともに、相互に接続された固定具52と被固定具54とを第2の巻付け部5に沿って着用者Pに接近するように移動させ腰部に対する締め付け力を可変にすることにより、腰部に対する締め付け力を可変にすることができ、腰部に対する締め付け力を容易に調整することができる。
【0068】
また、第1の巻付け部4は、第1の接続部としての接続部42と接続部43を着用者Pの後部側で接続するとともに、第2の巻付け部5は、固定具52と被固定具54とを着用者Pの前部側で装着することにより、第1の巻付け部4を着用者Pの後部側で接続した状態で袴1の装着位置を仮固定しながら第2の巻付け部5を着用者Pの前部側で装着することができる等、袴1を容易に装着することができる。
【0069】
更に、第1の巻付け部4は、長手方向に伸縮可能な伸縮部45を備えることにより、着用者Pの体格に対応させて第1の巻付け部4を伸縮させることができる。
【0070】
更にまた、相互に接続された固定具52と被固定具54とに着脱可能に装着されるとともに、相互に接続された固定具52と被固定具54とを覆い隠す第2の巻付け部5の結び目を模した装飾部材6を備えることにより、相互に接続された固定具52と被固定具54を覆い隠しながら第2の巻付け部5の結び目を模した装飾部材6を着脱可能に装着することができる。
【0071】
また更に、第2の巻付け部5は、固定具52と被固定具54とが接続された状態において長手方向の一端5a´,5b´側と他端5c,5d側との両方が反対方向に引っ張られることにより相互に接続された固定具52および被固定具54が移動可能に構成されることにより、相互に接続された固定具52と被固定具54を介して装飾部材6を適切な位置に移動させることができる。
【0072】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
【0073】
すなわち、上述した実施形態においては、伸縮部44を接続部42に隣接して設けるとともに伸縮部45を接続部43に隣接して設けたが、これに限らず、伸縮部を接続部42と接続部43との間の任意の位置に設けることができる。
【0074】
また、上述した実施形態においては、伸縮部44および伸縮部45と、接続部42および接続部43と、を2つずつ設けたが、これに限らず、伸縮部および接続部の各々を任意の数だけ設けることができる。
【0075】
更に、上述した実施形態においては、装飾部材6を設けたが、これに限らず、装飾部材6を設けずに第2の巻付け部を結ぶことによって装飾部材6と同様の結び目を形成するようにしてもよい。
【0076】
更にまた、上述した実施形態においては、固定具52と被固定具54とを接続することによって第2の巻付け部5を腰部に巻き付けたが、これに限らず、固定具52および被固定具54以外の構成のスナップフィットによって接続してもよいし、スナップフィット以外の方法によって第2の巻付け部を腰部に巻き付けてもよい。
【0077】
また更に、上述した実施形態においては、前身頃部2と後身頃部3を一体としているが、図17に示すように、前身頃部2の左右の側端縁2A,2Bのいずれか一方と後身頃部3A,3Bの左右の側端縁3A,3Bのいずれか一方を切離可能としてもよい(図17においては、前身頃部2の側端縁2Aと後身頃部3の側端縁3Aが切離可能となっている)。このように切離可能とすることで、着用者Pは袴1を側端側から容易に着用することができる。
【0078】
前身頃部2の側端縁2Aと後身頃部3の側端縁3Aとの切離は、これら側端縁2A,3A間に所定の係合手段8を設けて行うことができる。係合手段8は、例えばチャックファスナーとすることができ、図18および図19に示すように、チャックファスナーの始端8aを側端縁2A,3Aの上端2A´,3A´とすることができる。チャックファスナーの始端8aを側端縁2A,3Aの上端2A´,3A´とすることで、着用者Pは前身頃部2の側端縁2Aと後身頃部3の側端縁3Aとの係合を容易に行うことができる。
【0079】
なお、前身頃部2の側端縁2Aと後身頃部3の側端縁3Aをいずれも白色部分2a,2b若しくは黒色部分2b,3bとする等、同一色とするとともに、更に、係合手段8(チャックファスナー)を側端縁2A,3Aと同一色とすることができる。
【0080】
このように、同一色とすることで、係合手段8(チャックファスナー)が袴1と混然一体となり美感を損なうことを少なくすることができる。特に前身頃部2の側端縁2Aと後身頃部3の側端縁3Aをいずれも黒色部分2b,3bとするとともに、更に、係合手段8(チャックファスナー)を黒色とすることで、係合手段8(チャックファスナー)と袴1とが一層混然一体となりより好ましい実施形態となる。前身頃部2の側端縁2A、後身頃部3の側端縁3A、係合手段8(チャックファスナー)の色は、白、黒の他に茶色等各種の色を採用することができる。また、前身頃部2および後身頃部3をいずれも同一の一色(例えば、黒色のみで前身頃部2および後身頃部3を構成する、白色のみ前身頃部2および後身頃部3を構成する)で構成し、側端縁2A,3Aを含む前身頃部2および後身頃部3と係合手段8(チャックファスナー)とを同一色とすることとしてもよい。
【0081】
また、係合手段8(チャックファスナー)は、前身頃部2の左右の側端縁2A,2Bと後身頃部3A,3Bの左右の側端縁3A,3Bのいずれにも設けて側端縁2A,2B,3A,3Bのいずれも切離可能としてもよい。また係合手段8は、チャックファスナーの他面ファスナーや釦等各種のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0082】
P 着用者
1 袴
2 前身頃部
2A,2B 側端縁
2A´ 上端
2a 白色部分
2b 黒色部分
2´ 下端
2´´ 上端
3 後身頃部
3A,3B 側端縁
3A´ 上端
3a 白色部分
3b 黒色部分
3´ 下端
3´´ 上端
4 第1の巻付け部
4a 左側巻付け部
4b 右側巻付け部
4´ 一端(先端)
4´´ 他端(先端)
5 第2の巻付け部
5a 左側巻付け部
5a´ 一端
5b´ 一端
5b 右側巻付け部
5c 他端
5d 他端
6 装飾部材
61 十文字形状部
61´ 中央部
62 取り付け部
62a 一の面
62a´一端
62b 他の面
62b´ 他端
63 第2の接続部
64 第3の接続部
7 留め具
31 腰板
31´ 下端
41 取付部
42 接続部
43 接続部
44 伸縮部
45 伸縮部
51 取付部
52 固定具
53 取付部
54 被固定具
521 本体
521a 一端部
521b 他端部
522 挿通孔
522a 第1の挿通孔
522b 第2の挿通孔
523 ストッパ
541 本体
541a 一端部
541b 他端部
542 挿通孔
542a 第1の挿通孔
542b 第2の挿通孔
543 ストッパ
8 係合手段
8a 始端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19