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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023109619
(43)【公開日】2023-08-08
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 35/14 20060101AFI20230801BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
B01D35/14
B01D29/10 501A
B01D29/10 510C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011234
(22)【出願日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】000178675
【氏名又は名称】ヤマシンフィルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚大
(72)【発明者】
【氏名】北島 信行
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA30
4D116BB01
4D116BC13
4D116BC23
4D116BC27
4D116BC44
4D116BC46
4D116BC47
4D116BC75
4D116BC76
4D116DD05
4D116FF16B
4D116GG12
4D116GG13
4D116QB02
4D116QB12
4D116QB23
4D116QB26
4D116QB37
4D116QB44
4D116QB50
4D116VV01
(57)【要約】
【課題】フィルタエレメント挿入時に位置決めができない場合であっても、フィルタエレメントの周方向の位置決めを行うことができる。
【解決手段】フィルタエレメントの上プレートは、ヘッドと対向する上面に第1回転止め部を有し、ヘッドは、記上プレートと対向する下面に第2回転止め部を有し、第1回転止め部及び第2回転止め部は、一方が凸部であり、他方が凹部及び突起である。突起は、凹部の一部の壁面に沿って、凹部の深さ方向とは反対向きに突出するように設けられている。ケースまたはヘッドを回転させて第1ねじ部と第2ねじ部とを螺合させるとき、凸部と突起とが当接していないときはフィルタエレメントが回転し、凸部と突起とが当接しているときはフィルタエレメントが回転しない。ケースとヘッドとが組み立てられた状態では、凸部が凹部に挿入される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端が開口しており、当該開口の近傍に第1ねじ部が形成された略有底筒形状のケースと、
円筒形状の濾過部と、前記濾過部の上端に設けられた上プレートと、を有し、前記ケースの内部に前記ケースに対して回転可能に設けられたフィルタエレメントと、
前記第1ねじ部と螺合可能な第2ねじ部を有し、当該第2ねじ部と前記第1ねじ部とが螺合されると前記ケースの上端を覆うように前記ケースに設けられるヘッドと、
を備え、
前記上プレートは、前記ヘッドと対向する上面に第1回転止め部を有し、
前記ヘッドは、前記上プレートと対向する下面に第2回転止め部を有し、
前記第1回転止め部及び前記第2回転止め部は、一方が凸部であり、他方が凹部及び突起であり、
前記突起は、前記凹部の一部の壁面に沿って、前記凹部の深さ方向とは反対向きに突出するように設けられており、
前記ケースまたは前記ヘッドを回転させて前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とを螺合させると、前記凸部と前記突起とが当接していないときは前記フィルタエレメントが回転し、前記凸部と前記突起とが当接しているときは前記フィルタエレメントが回転せず、
前記ケースと前記ヘッドとが組み立てられた状態では、前記凸部が前記凹部に挿入される
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記突起の突出量は、前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部のピッチ以上である
ことを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記第1回転止め部は、前記凸部であり、前記ヘッドに向かって凸となっており、
前記第2回転止め部は、前記凹部及び前記突起であり、
前記フィルタエレメント及び前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記凸部の長手方向である第1方向は、前記第1方向の中心を通る径方向の線に直交する線、又は、前記中心軸を中心とした前記第1方向の中心を通る円に沿っており、
前記凸部の上端面は、前記第1方向の端に向けて低くなるように傾斜している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記凸部は前記濾過部と重なる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記第1回転止め部は、前記凹部及び前記突起であり、
前記第2回転止め部は、前記凸部であり、前記上プレートに向かって凸となっており、
前記フィルタエレメント及び前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記突起の長手方向である第2方向は、前記第2方向の中心を通る径方向の線に直交する線、又は、前記中心軸を中心とした前記第2方向の中心を通る円に沿っており、
前記突起の上端面は、前記第2方向の端に向けて低くなるように傾斜している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記上端面の傾斜角は、前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部のリード角以上である
ことを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記凸部にはICタグが設けられており、
前記ヘッドには、前記凹部に隣接してアンテナが設けられている
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィルタエレメントのうちの濾材の上端面を覆うように設けられた上プレートの内部にICタグが設けられ、フィルタエレメントが挿入されるケースに取り付けられた蓋体にアンテナが設けられたフィルタ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-115879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明によれば、上プレートが凸部を有し、蓋体に凸部の周方向の位置決めを行う突起が形成されている。しかしながら、特許文献1に記載の発明は、蓋体が取り付けられたケースにフィルタエレメントを挿入する、すなわちフィルタエレメント挿入時に凸部及び突起が視認可能なリターンフィルタならではの構成であり、先にフィルタエレメントを挿入するカプセルフィルタ等に適用することはできない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、フィルタエレメント挿入時に位置決めができない場合であっても、フィルタエレメントの周方向の位置決めを行うことができるフィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るフィルタ装置は、例えば、上端が開口しており、当該開口の近傍に第1ねじ部が形成された略有底筒形状のケースと、円筒形状の濾過部と、前記濾過部の上端に設けられた上プレートと、を有し、前記ケースの内部に前記ケースに対して回転可能に設けられたフィルタエレメントと、前記第1ねじ部と螺合可能な第2ねじ部を有し、当該第2ねじ部と前記第1ねじ部とが螺合されると前記ケースの上端を覆うように前記ケースに設けられるヘッドと、を備え、前記上プレートは、前記ヘッドと対向する上面に第1回転止め部を有し、前記ヘッドは、前記上プレートと対向する下面に第2回転止め部を有し、前記第1回転止め部及び前記第2回転止め部は、一方が凸部であり、他方が凹部及び突起であり、前記突起は、前記凹部の一部の壁面に沿って、前記凹部の深さ方向とは反対向きに突出するように設けられており、前記ケースまたは前記ヘッドを回転させて前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とを螺合させると、前記凸部と前記突起とが当接していないときは前記フィルタエレメントが回転し、前記凸部と前記突起とが当接しているときは前記フィルタエレメントが回転せず、前記ケースと前記ヘッドとが組み立てられた状態では、前記凸部が前記凹部に挿入されることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るフィルタ装置によれば、フィルタエレメントの上プレートはヘッドと対向する上面に第1回転止め部を有し、ヘッドは上プレートと対向する下面に第2回転止め部を有する。第1回転止め部及び第2回転止め部は、一方が凸部であり、他方が凹部及び凹部の一部の壁面に沿って凹部の深さ方向とは反対向きに突出する突起である。ケースまたはヘッドを回転させて第1ねじ部と第2ねじ部とを螺合させると、凸部と突起とが当接していないときはフィルタエレメントが回転し、凸部と突起とが当接しているときはフィルタエレメントが回転せず、ケースとヘッドとが組み立てられた状態では凸部が凹部に挿入される。これにより、フィルタエレメント挿入時に位置決めができない場合であっても、フィルタエレメントの周方向の位置決めを行うことができる。
【0008】
前記突起の突出量は、前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部のピッチ以上であってもよい。これにより、凸部を最初に突起に当接させることができる。
【0009】
前記第1回転止め部は、前記凸部であり、前記ヘッドに向かって凸となっており、前記第2回転止め部は、前記凹部及び前記突起であり、前記フィルタエレメント及び前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記凸部の長手方向である第1方向は、前記第1方向の中心を通る径方向の線に直交する線、又は、前記中心軸を中心とした前記第1方向の中心を通る円に沿っており、前記凸部の上端面は、前記第1方向の端に向けて低くなるように傾斜していてもよい。これにより、フィルタエレメントがケース内部で破損する等不具合を防ぐことができる。
【0010】
前記凸部は前記濾過部と重なる位置に設けられていてもよい。これにより、ケースを回転させる力が第1回転止め部及び第2回転止め部に伝わりやすい。
【0011】
前記第1回転止め部は、前記凹部及び前記突起であり、前記第2回転止め部は、前記凸部であり、前記上プレートに向かって凸となっており、前記フィルタエレメント及び前記ケースの中心軸に沿って見たときに、前記突起の長手方向である第2方向は、前記第2方向の中心を通る径方向の線に直交する線、又は、前記中心軸を中心とした前記第2方向の中心を通る円に沿っており、前記突起の上端面は、前記第2方向の端に向けて低くなるように傾斜していてもよい。これにより、フィルタエレメントがケース内部で破損する等不具合を防ぐことができる。
【0012】
前記上端面の傾斜角は、前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部のリード角以上であってもよい。これにより、凸部を最初に突起に当接させることができる。
【0013】
前記凸部にはICタグが設けられており、前記ヘッドには、前記凹部に隣接してアンテナが設けられていてもよい。これにより、ICタグとアンテナとを近づけることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フィルタエレメント挿入時に位置決めができない場合であっても、フィルタエレメントの周方向の位置決めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】フィルタ装置1の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は正面図であり、(C)は平面図である。
図2】フィルタ装置1を図1(C)のA-A線で切断した斜視図である。
図3】フィルタ装置1を図1(C)のA-A線で切断した断面図である。
図4】フィルタ装置1の図1(B)のB-B断面図である。
図5】上プレート23の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は右側面図である。
図6】ヘッド30を-z側から見たときの概略を示す斜視図である。
図7】ヘッド30の概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。
図8】ケース10及びフィルタエレメント20をヘッド30に取り付ける様子を模式的に示す図である。
図9】ケース10及びフィルタエレメント20をヘッド30に取り付ける様子を模式的に示す図である。
図10】フィルタ装置2の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は右側面図である。
図11】フィルタ装置2を中心軸axを含むxz平面に平行な面で切断した斜視図である。
図12図11のD矢視図である。
図13図10(B)のC-C断面図である。
図14】上プレート23Aの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。
図15】ヘッド30Aの概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。
図16】本発明の一実施形態であるフィルタ装置3の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は右側面図であり、(C)は(B)のE-E断面図である。
図17】フィルタ装置3を中心軸axを含むxz平面に平行な面で切断した斜視図である。
図18図17のG矢視図である。
図19図16(B)のF-F断面図である。
図20】上プレート23Aの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)の面Hにおける断面図であり、(C)は(B)のI矢視である。
図21】ヘッド30Bを-z側から見たときの概略を示す斜視図である。
図22】ヘッド30Bの概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、濾過対象の液体として油を例に説明するが、濾過対象の液体は油に限られない。また、本実施の形態では、カプセルフィルタを例に説明するが、本発明のフィルタ装置はカプセルフィルタに限られない。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態であるフィルタ装置1の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は正面図であり、(C)は平面図である。以下、フィルタ装置1の延設方向(フィルタ装置1の中心軸axの延設方向)をz方向とし、z方向と直交する方向をx方向及びy方向とする。また、x方向とy方向とは直交する。一般的にz方向は鉛直方向であるが、これに限られない。
【0018】
フィルタ装置1は、主として、ケース10と、フィルタエレメント20と、ヘッド30と、を備える。ケース10がヘッド30に取り付けられた状態で、フィルタエレメント20がケース10及びヘッド30に設けられる。ヘッド30には、挿入部材40が設けられる。
【0019】
図2は、図1(C)のA-A線で切断した斜視図であり、図3は、図1(C)のA-A線で切断した断面図である。図4は、図1(B)のB-B断面図である。図2~4では断面を示すハッチングを省略する。図3の二点鎖線矢印は、油の流れを示す。
【0020】
ケース10は、有底略筒形状であり、耐腐食性の高い材料(例えば、ステンレス等の金属)により形成される。ケース10は、上端が開口しており、内部が空洞である。ケース10の内部には、フィルタエレメント20が設けられる。
【0021】
ケース10は、底面11を有する。底面11には、円筒形状の凸部11aが設けられている。凸部11aには、フィルタエレメント20が回転可能に設けられる(後に詳述)。
【0022】
ケース10の上端の開口部12は、広口となっており、ねじ部12a(本発明の第1ねじ部に相当)が形成されている。本実施の形態では、ねじ部12aは、開口部12の外周に形成された雄ねじである。
【0023】
フィルタエレメント20は、有底略筒形状の部材であり、ケース10の内部に設けられる。フィルタエレメント20は、主として、濾過部21と、内筒22と、上プレート23と、下プレート24と、を有する。
【0024】
濾過部21は、両端に開口を有する略円筒形状の部材である。濾過部21は、例えば、合成樹脂や紙等を用いた濾紙をひだ折りにし、ひだ折りにした濾紙の両端を連結して円筒状にすることによって形成される。
【0025】
濾過部21の上側の端には上プレート23が設けられ、濾過部21の下側の端には下プレート24が設けられる。上プレート23及び下プレート24は濾過部21に接着等により一体化される。
【0026】
上プレート23は、主として、濾過部21の上端面に沿って設けられた略円板形状の板状部23aと、板状部23aの下側に設けられた凹部23bと、板状部23aの上側に設けられた筒状の筒状部23cと、板状部23aの上側に設けられた板状の凸部23e(本発明の第1回転止め部に相当)とを有する。
【0027】
凹部23bは、板状部23aから-z方向(下方向)に突出する。凹部23bに濾過部21が設けられると、板状部23aが濾過部21の上端に配置される。筒状部23cは、板状部23aから+z方向(上方向)に突出する。筒状部23cには、ヘッド30の接続筒33(後に詳述)が挿入される。筒状部23cと接続筒33との間には、Oリング等の弾性部材51が設けられており、筒状部23cと接続筒33との間から油が漏れることはない。
【0028】
図5は、上プレート23の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図(+z方向から見た図)であり、(C)は右側面図(+x方向から見た図)である。凸部23eは、板状であり、板状部23aのヘッド30と対向する上面23dに設けられている。凸部23eは、ヘッド30に向かって凸となっている。凸部23eは、ケース10及びフィルタエレメント20の中心軸axに沿って見たときに、濾過部21と重なる位置に設けられている。また、ケース10及びフィルタエレメント20の中心軸axに沿って見たときに、凸部23eの長手方向(本発明の第1方向に相当)は、凸部23eの長手方向の中心Cを通る径方向の線L1に直交する線L2、すなわちy方向に沿っている。
【0029】
凸部23eの外側(-x側)の面には、z方向に沿ってICタグ25が設けられている。本実施の形態では、ICタグ25が露出しているが、凸部23eの内部にICタグ25が埋め込まれていてもよい。
【0030】
凸部23eの上端面23fは、y方向の端に向けて低くなるように傾斜している。本実施の形態では、上端面23fの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32b(後に詳述)のリード角以上である。なお、リード角φは、以下の数式(1)で表される。ここで、lはピッチ(リード)であり、dはねじの有効径である。
tanφ=l/πd ・・・(1)
【0031】
図1~4の説明に戻る。濾過部21の内側には、内筒22が設けられている。内筒22の側面には、油の流路となる孔22aが側面の略全体にわたって複数形成されている。内筒22の底面22bは孔が設けられておらず、濾過部21で濾過された油は内筒22の内部を+z方向に向かって流れる。内筒22の底面22bよりも-z側には、-z方向に突出する筒状部22cが設けられている。筒状部22cの内部には、凸部11aが挿入される。筒状部22cと凸部11aとの間には隙間を有するため、筒状部22c(すなわち、内筒22)が凸部11a(すなわち、ケース10)に対して回転可能である。
【0032】
下プレート24は、主として、濾過部21が挿入される凹部24aと、凹部24aの-z側に設けられた筒状の筒状部24bとを有する。筒状部24bは、内筒22の底面22b近傍に設けられた筒状部22dに挿入される。筒状部24bと筒状部22dとの間には、Oリング等の弾性部材52が設けられている。弾性部材52を設けることにより、筒状部24bと筒状部22dと間から油が漏れることはない。また、弾性部材52は、筒状部24b(すなわち、下プレート24)と、筒状部22d(すなわち、内筒22)とが相対的に回転しないように内筒22と下プレート24とを固定する。
【0033】
ヘッド30は、ケース10上端の開口部12を覆うようにケース10に設けられる。ヘッド30は、主として、ヘッド本体部31と、ヘッド本体部31の底面31jから-z方向に突出するように設けられた筒状部32と、ヘッド本体部31の略中央に-z方向に突出するように設けられた接続筒33とを有する。
【0034】
筒状部32の下端は開口部32aである。筒状部32には、ねじ部32b(本発明の第2ねじ部に相当)が形成されている。本実施の形態では、ねじ部32bは、筒状部32の外周に形成された雌ねじである。ねじ部12aとねじ部32bとが螺合されると、ヘッド30がケース10に設けられ、フィルタエレメント20がケース10及びヘッド30に設けられる。
【0035】
なお、本実施の形態では、ねじ部12aが雄ねじであり、ねじ部32bが雌ねじであるが、雄ねじと雌ねじは逆でもよい。
【0036】
図6は、ヘッド30を-z側から見たときの概略を示す斜視図である。図7は、ヘッド30の概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。図7では断面を示すハッチングを省略する。
【0037】
ヘッド本体部31は、油が流入する流入口31iと、油が流出する流出口31hとを有する。流入口31iから流入した油は、凹部31cを介してケース10に流入する。流出口31hは、接続筒33の中空部33aと連通する。
【0038】
また、ヘッド本体部31は、底面31jから+z方向に向かって設けられた凹部31aを有する。凹部31aは、筒状部32の中空部と連通する。凹部31aの底面、すなわちフィルタエレメント20(上プレート23)と対向する下面31bには、凹部31d及び突起31e(本発明の第2回転止め部に相当)が設けられている。凹部31dは、中心軸axに沿って見たときの形状が矩形状である。
【0039】
突起31eは、凹部31dの一部の壁面に沿って設けられている。突起31eは、凹部31dの深さ方向とは反対向きに突出している。したがって、突起31eの先端31fは、下面31bよりも-z側(上プレート23側)に位置する。なお、突起31eの先端31fと下面31bとの高さの差d1(突起31eの突出量)は、ねじ部12aとねじ部32bのピッチ以上であることが望ましい。また、ヘッド本体部31は、一端が凹部31dに開口する孔31gを有する。
【0040】
図2~4の説明に戻る。ケース10とヘッド30とが組み立てられた状態では、凸部23eが凹部31dに挿入される。孔31gには、先端にアンテナ41が設けられた挿入部材40が挿入されている。したがって、ケース10とヘッド30とが組み立てられ、凸部23eが凹部31dに挿入されると、アンテナ41とICタグ25とが隣接して(例えば、10mm程度離れた位置に)配置される。
【0041】
次に、このように構成されたフィルタ装置1の機能について説明する。図8、9は、ケース10及びフィルタエレメント20をヘッド30に取り付ける様子を模式的に示す図である。ねじ部12aとねじ部32bとを螺合させてケース10又はヘッド30を回転させると、ヘッド30に対してケース10及びフィルタエレメント20が時計回り(図8の矢印参照)に回転する。図8に示すように、ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了していない状態では、凸部23eがヘッド30に当接していないため、ケース10及びフィルタエレメント20が共に時計回りに回転する(ケース10に対してフィルタエレメント20が回転しない)。
【0042】
図9に示すように、突起31eの先端31fが下面31bよりも-z側(上プレート23側)に位置するため、そのままヘッド30に対してケース10及びフィルタエレメント20をねじ込むと、凸部23e(上端面23f)が突起31eに当接する(図9点線矢印参照)。上端面23fが傾斜しているため、ケース10及びフィルタエレメント20をヘッド30に対して回転させたると、上端面23fが突起31eに対して滑りながらフィルタエレメント20がケース10に対して回転する。したがって、フィルタエレメント20がケース10内部で破損する等不具合を防ぐことができる。また、凸部23eが濾過部21と重なる位置(径方向の外側、すなわち中心軸ax近傍ではない)に設けられているため、ケース10を回転させる力が凸部23eに伝わりやすい。
【0043】
本実施の形態では、突起31eの先端31fと下面31bとの高さの差d1は、ねじ部12aとねじ部32bのピッチ以上であるため、凸部23eを最初に突起31eに当接させることができる。また、上端面23fの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上であるため、凸部23eを下面31bに当接させることなく、突起31eに当接させることができる。
【0044】
さらにヘッド30に対してケース10及びフィルタエレメント20をねじ込むと、凸部23eが突起31eに当接しているため、ケース10に対してフィルタエレメント20が回転し、ケース10は時計回りに回転するが、フィルタエレメント20は回転せずにヘッド30に向かって押し上げられる(図9矢印参照)。その結果、凸部23eが突起31eに沿って凹部31dの内部に挿入されていく。
【0045】
ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了してケース10とヘッド30とが組み立てられると、図2~4に示すように、凸部23eが凹部31dの内部に挿入され、アンテナ41とICタグ25とが対向する。
【0046】
本実施の形態によれば、ケース10をヘッド30に取り付ける前にフィルタエレメント20をケース10に挿入する必要があり、フィルタエレメント20の挿入時にヘッド30に対してフィルタエレメント20の位置決めができないフィルタ装置1であっても、フィルタエレメント20を周方向に位置決めすることができる。特に、フィルタエレメント20が挿入されたケース10とヘッド30とを組み立てるだけで位置決めが可能であるため、位置決めがスムーズである。
【0047】
なお、本実施の形態では、凸部23eが2つの上端面23fを有し、凸部23eの上端が側面視三角形状であったが、凸部23eの上端の形状はこれに限られない。例えば、凸部23eの上端が平面であり、凸部23eが側面視矩形状であってもよい。また、例えば、2つの上端面23fが離間しており、凸部23eの上端が側面視台形状であってもよい。ただし、凸部23eの上端に上面23dと平行な面(平坦面)が突起31eに当たることによる不具合を生じさせないためには、凸部23eの上端に平坦面を有しないことが望ましい。また、凸部23eの上端面が1つの傾斜面(図5(C)における右側の傾斜面のみ)を有してもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、上端面23fの傾斜角がねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上であったが、上端面23fの傾斜角はこれに限られない。ただし、凸部23eを下面31bに当接させないようにするためには、上端面23fの傾斜角をねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上とすることが望ましい。
【0049】
また、本実施の形態では、先端31fと下面31bとの高さの差d1がねじ部12a及びねじ部32bのピッチ以上であったが、突起31eの下面31bに対する突出量はこれに限られない。ただし、確実に凸部23eを突起31eに当接させるためには、突起31eの下面31bに対する突出量をねじ部12aとねじ部32bのピッチ以上とすることが望ましい。
【0050】
また、本実施の形態では、中心軸axに沿って見たときの凹部31dの形状が矩形状であったが、凹部31dの形状はこれに限られない。例えば、中心軸axに沿って見たときの凹部31dの形状が部分円環状であってもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、中心軸axに沿って見たときに、凸部23eの長手方向が線L2に沿っていたが、凸部23eの長手方向の向きはこれに限られない。例えば、図5
B)に示すように、凸部23eの長手方向が、中心軸axを中心とし、点Cを通る円L3に沿っていてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、凸部23eにICタグ25が設けられていたが、凸部23e以外の位置にICタグ25を設けてもよい。凸部23e及び凹部31dによりフィルタエレメント20が周方向に位置決められるため、ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了したときにICタグ25にアンテナ41が隣接するように、アンテナ41をヘッド30に設ければよい。
【0053】
<第2の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、ICタグ25がz方向に沿って設けられていたが、ICタグ25の配置はこれに限られない。本発明の第2の実施の形態にかかるフィルタ装置2は、ICタグ25がxy方向に沿って設けられた形態である。以下、フィルタ装置2について説明する。なお、フィルタ装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
図10は、本発明の一実施形態であるフィルタ装置2の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は右側面図である。フィルタ装置2は、主として、ケース10と、フィルタエレメント20Aと、ヘッド30Aと、を備える。ケース10がヘッド30Aに取り付けられた状態では、フィルタエレメント20Aがケース10及びヘッド30Aに設けられる。
【0055】
図11は、図10(A)を中心軸axを含むxz平面に平行な面で切断した斜視図であり、図12は、図11のD矢視図である。図13は、図10(B)のC-C断面図である。図11~13では断面を示すハッチングを省略する。図12の二点鎖線矢印は、油の流れを示す。
【0056】
フィルタエレメント20Aは、有底略筒形状の部材であり、ケース10の内部に設けられる。フィルタエレメント20Aは、主として、濾過部21と、内筒22と、上プレート23Aと、下プレート24と、を有する。
【0057】
濾過部21の上側の端には上プレート23Aが設けられる。上プレート23Aは、主として、板状部23aと、凹部23bと、筒状部23cと、板状部23aの上側に設けられた板状の凸部23g(本発明の第1回転止め部に相当)とを有する。凸部23gは、柱状であり、ヘッド30に向かって凸となっており、上面23dに設けられている。
【0058】
図14は、上プレート23Aの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は断面図である。図14では、断面を示すハッチングを省略する。凸部23gは、ケース10及びフィルタエレメント20の中心軸axに沿って見たときに、濾過部21と重なる位置に設けられている。凸部23gは、本体部23hと、補強のリブ23iとを有するが、凸部23gの形状および構造はこれに限られない。
【0059】
凸部23gの長手方向は、線L1に直交する線L2に沿っている。凸部23eの上端面23jは、y方向の端にいくにつれて低くなるように傾斜している。上端面23jの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上である。
【0060】
凸部23gの上側(+z側)の面には、xy方向に沿ってICタグ25が設けられている。本体部23hの上端は、中央部に凹形状に切り欠いた切り欠き部23kを有し、切り欠き部23kの内部にICタグ25が設けられている。これにより、上端面23jを残しつつ、凸部23gの上端近傍にICタグ25を設けることができる。なお、本実施の形態では、ICタグ25が露出しているが、凸部23gの内部にICタグ25が埋め込まれていてもよい。
【0061】
図11~13の説明に戻る。ヘッド30Aは、ケース10上端の開口部12を覆うようにケース10に設けられる。ヘッド30は、主として、ヘッド本体部31Aと、筒状部32と、接続筒33とを有する。
【0062】
図15は、ヘッド30Aの概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。図15では断面を示すハッチングを省略する。ヘッド本体部31Aは、凹部31aと、凹部31dと、突起31eと、流出口31hと、流入口31iとを有する。 また、ヘッド本体部31Aは、一端が凹部31dに開口する孔31gを有する。孔31gには、挿入部材40が挿入される。
【0063】
図11~13の説明に戻る。ケース10とヘッド30Aとが組み立てられた状態では、凸部23gが凹部31dに挿入される。したがって、アンテナ41とICタグ25とが隣接して配置される。
【0064】
次に、このように構成されたフィルタ装置2の機能について説明する。ねじ部12aとねじ部32bとを螺合させてケース10又はヘッド30Aを回転させると、ヘッド30Aに対してケース10及びフィルタエレメント20Aが時計回り(図11の矢印参照)に回転する。ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了していない状態では、凸部23gがヘッド30Aに当接していないため、ケース10及びフィルタエレメント20Aが共に時計回りに回転する。
【0065】
突起31eの先端31fが下面31bよりも-z側(上プレート23側)に位置するため、そのままヘッド30Aに対してケース10及びフィルタエレメント20Aをねじ込むと、凸部23gが突起31eに当接する。上端面23jの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上であるため、凸部23gを下面31bに当接させることなく、突起31eに当接させることができる。
【0066】
凸部23gが突起31eに当接した状態でヘッド30Aに対してケース10及びフィルタエレメント20Aをねじ込むと、ケース10に対してフィルタエレメント20Aが回転し、ケース10は時計回りに回転するが、フィルタエレメント20Aは回転せずにヘッド30Aに向かって押し上げられる。その結果、凸部23gが突起31eに沿って凹部31dの内部に挿入されていく。ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了してケース10とヘッド30Aとが組み立てられると、凸部23gが凹部31dの内部に挿入され、アンテナ41とICタグ25とが対向する。
【0067】
本実施の形態によれば、ケース10をヘッド30Aに取り付ける前にフィルタエレメント20Aをケース10に挿入する必要があり、フィルタエレメント20Aの挿入時にヘッド30Aに対してフィルタエレメント20Aを周方向に位置決めできないフィルタ装置2であっても、フィルタエレメント20Aを周方向に位置決めすることができる。特に、フィルタエレメント20Aが挿入されたケース10とヘッド30Aとを組み立てるだけで位置決めが可能であるため、位置決めがスムーズである。
【0068】
<第3の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態では、上プレート23の凸部23eが、ヘッド本体部31の凹部31dに挿入されることでフィルタエレメント20の位置決めが行われたが、凸部と凹部が逆でもよい。本発明の第3の実施の形態にかかるフィルタ装置3は、上プレートに凹部が設けられ、ヘッド本体部に凸部が設けられた形態である。以下、フィルタ装置3について説明する。なお、フィルタ装置1と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0069】
図16は、本発明の一実施形態であるフィルタ装置3の概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は右側面図であり、(C)は(B)のE-E断面図である。フィルタ装置3は、主として、ケース10と、フィルタエレメント20Bと、ヘッド30Bと、を備える。ケース10がヘッド30Bに取り付けられた状態では、フィルタエレメント20Bがケース10及びヘッド30Bに設けられる。
【0070】
図17は、図16(A)を中心軸axを含むxz平面に平行な面で切断した斜視図であり、図18は、図17のG矢視図である。図19は、図16(B)のF-F断面図である。図17~19では断面を示すハッチングを省略する。図18の二点鎖線矢印は、油の流れを示す。
【0071】
フィルタエレメント20Bは、有底略筒形状の部材であり、ケース10の内部に設けられる。フィルタエレメント20Bは、主として、濾過部21と、内筒22と、上プレート23Bと、下プレート24と、を有する。
【0072】
上プレート23Bは、主として、板状部23aと、凹部23bと、凸部23sと、上面23dに+z方向に突出するように設けられた筒状の筒状部23lと有する。
【0073】
図20は、上プレート23Aの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は(A)の面Hにおける断面図であり、(C)は(B)のI矢視である。図20では断面を示すハッチングを省略する。筒状部23lは、主として、筒状部23mと、筒状部23mの内周面に沿って帯状に設けられた筒状部23nとを有する。筒状部23nは、濾過部21に向けて(-z方向に)凹となる凹部23oと、ヘッド30Bと対向する上面23rに+z方向に向けて(凹部23oの深さ方向とは反対向きに)突出する突起23pとを有する。突起23pは、凹部23oの一部の壁面に沿っている。凹部23o及び突起23pは、筒状部23mに沿って設けられている。筒状部23n、凹部23o及び突起23pは、本発明の第1回転止め部に相当する。
【0074】
中心軸axに沿って見たときに、突起23pの長手方向(本発明の第2方向に相当)は、中心軸axを中心とし、突起23pの長手方向の中心Cを通る円L3に沿っている。突起23pの突出量d2は、ねじ部12aとねじ部32bのピッチ以上である。突起23pの上端面23qは、周方向外側に向けて低くなるように傾斜している。上端面23qの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上とすることが望ましい。
【0075】
図17~19の説明に戻る。ヘッド30Bは、ケース10上端の開口部12を覆うようにケース10に設けられる。ヘッド30Bは、主として、ヘッド本体部31Bと、筒状部32と、ヘッド本体部31の略中央に-z方向に突出するように設けられた接続筒33Aとを有する。
【0076】
図21は、ヘッド30Bを-z側から見たときの概略を示す斜視図である。図22は、ヘッド30Bの概略を示す図であり、(A)は断面斜視図であり、(B)は断面図である。図22では断面を示すハッチングを省略する。
【0077】
ヘッド本体部31Bは、底面31jから+z方向に向かって設けられた凹部31kと、流入口31iと、流出口31hと、孔31gとを有する。流入口31iから流入した油は、凹部31kを介してケース10に流入する。
【0078】
凹部31aの下面31lには、接続筒33Aが設けられている。接続筒33Aは、下面31lから-z方向に突出する筒状部33b、33cを有する。筒状部33bは、筒状部33cの外側に設けられており、筒状部33cよりも高さが低い。筒状部33bの先端面、すなわちフィルタエレメント20B(上プレート23B)と対向する下面33dには、上プレート23Bに向けて突出する凸部33e(本発明の第2回転止め部に相当)が設けられている。
【0079】
凸部33eは、筒状部33cに沿って設けられている。凸部33eの上端面33fは、周方向外側に向けて低くなるように傾斜している。上端面33fの傾斜角は、ねじ部12a及びねじ部32bのリード角以上とすることが望ましい。
【0080】
図17~19に戻り、このように構成されたフィルタ装置3の機能について説明する。ねじ部12aとねじ部32bとを螺合させてケース10又はヘッド30Bを回転させると、ヘッド30Bに対してケース10及びフィルタエレメント20Bが時計回り(図17の矢印参照)に回転する。ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了していない状態では、凸部33eがフィルタエレメント20B(上プレート23B)に当接していないため、ケース10及びフィルタエレメント20Bが共に時計回りに回転する。
【0081】
そのままヘッド30Aに対してケース10及びフィルタエレメント20Aをねじ込むと、凸部33eが突起23pに当接する。突起23pの突出量d2がねじ部12aとねじ部32bのピッチ以上であるため、凸部33eを下面31bに当接させることなく、突起23pに当接させることができる。また、上端面23qが傾斜しているため、ケース10及びフィルタエレメント20Bをヘッド30Bに対して回転させたると、上端面23qが凸部33eに対して滑りながらフィルタエレメント20Bがケース10に対して回転する。したがって、フィルタエレメント20Bがケース10内部で破損する等不具合を防ぐことができる。
【0082】
凸部33eが突起23pに当接した状態でヘッド30Bに対してケース10及びフィルタエレメント20Bをねじ込むと、ケース10に対してフィルタエレメント20Bが回転し、ケース10は時計回りに回転するが、フィルタエレメント20Bは回転せずにヘッド30Bに向かって押し上げられる。その結果、凸部33eが突起23pに沿って凹部23oの内部に挿入されていく。ねじ部12aとねじ部32bとの螺合が終了すると、凸部33eが凹部23oの内部に挿入される。
【0083】
また、凸部33eが凹部23oの内部に挿入されることで、フィルタエレメント20Bが周方向に位置決めされるため、凸部23sに設けられたICタグ25と、ヘッド30Bに設けられたアンテナ41とが対向する。
【0084】
本実施の形態によれば、ケース10をヘッド30Bに取り付ける前にフィルタエレメント20Bをケース10に挿入する必要があり、フィルタエレメント20Bの挿入時にヘッド30Bに対してフィルタエレメント20Bを周方向に位置決めできないフィルタ装置3であっても、フィルタエレメント20Bを周方向に位置決めすることができる。特に、フィルタエレメント20Bが挿入されたケース10とヘッド30Bとを組み立てるだけで位置決めが可能であるため、位置決めがスムーズである。
【0085】
なお、本実施の形態では、中心軸に沿って見たときに凸部33e、凹部23o及び突起23pが濾過部21と重ならないが、凸部33e、凹部23o及び突起23pが濾過部21と重なるようにしてもよい。例えば、凹部23o及び突起23pを筒状部23mの外周面に設け、凸部をヘッド本体部31Bに設けてもよい。
【0086】
また、本実施の形態では、突起23pが棒状であるが、突起23pの形状はこれに限られず、例えば板状であってもよい。同様に、本実施の形態では凸部33eが棒状であるが、凸部33eの形状はこれに限られない。また、本実施の形態では、突起23pの長手方向が円L3に沿っているが、凸部23gの長手方向が線L1に直交する線L2に沿っていてもよい。本実施の形態では、凸部33eが棒状であるが、凸部33eの形状はこれに限られない。
【0087】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成の追加、削除、置換等をすることが可能である。
【0088】
また、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、「略円筒形状」とは、厳密に円筒形状の場合には限られず、例えば円筒形状と同一視できる場合を含む概念である。また、例えば、単に直交、平行、一致等と表現する場合において、厳密に直交、平行、一致等の場合のみでなく、略平行、略直交、略一致等の場合を含むものとする。
【0089】
また、「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、端近傍という場合に、端の近くのある範囲の領域であって、端を含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0090】
1、2、3:フィルタ装置
10 :ケース
11 :底面
11a :凸部
12 :開口部
12a :ねじ部
20、20A、20B:フィルタエレメント
21 :濾過部
22 :内筒
22a :孔
22b :底面
22c :筒状部
22d :筒状部
23、23A、23B:上プレート
23a :板状部
23b :凹部
23c :筒状部
23d :上面
23e、23g、23s:凸部
23f、23j:上端面
23h :本体部
23i :リブ
23k :切り欠き部
23l :筒状部
23m、23n:筒状部
23o :凹部
23p :突起
23q :上端面
23r :上面
24 :下プレート
24a :凹部
24b :筒状部
25 :ICタグ
30、30A、30B:ヘッド
31、31A、31B:ヘッド本体部
31a、31k:凹部
31b、31l:下面
31c、31d:凹部
31e :突起
31f :先端
31g :孔
31h :流出口
31i :流入口
31j :底面
32 :筒状部
32a :開口部
32b :ねじ部
33、33A:接続筒
33a :中空部
33b、33c:筒状部
33d :下面
33e :凸部
33f :上端面
40 :挿入部材
41 :アンテナ
51、52:弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22