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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011025
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/43 20200101AFI20230113BHJP
【FI】
D06F33/43
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022188732
(22)【出願日】2022-11-25
(62)【分割の表示】P 2021094810の分割
【原出願日】2021-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】戎家 嵩二
(57)【要約】
【課題】電気代のコストを増大しすぎることなく水槽及び洗濯槽をきれいに維持できる洗濯機を提供する。
【解決手段】洗濯機は、水槽と、水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、洗濯槽を回転駆動するモータ17と、水槽内の水を加熱するヒータ19と、水槽内又は洗濯槽内の温度を検知するセンサ33と、ヒータ19の駆動を制御する制御ユニット21と、水槽の水位を検知する水位センサ31とを備え、制御ユニット21は、ヒータ19により水蒸気を発生させて洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、ヒータ19により水蒸気を発生させて洗濯槽内の温度を第1温度より高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを定期的に自動で行うよう制御し、給水及び排水を制御し、第1スチーム洗浄及び第2スチーム洗浄において、前記ヒータ19が浸かる1.9L以上2.3L以下の範囲の水量を前記水槽に給水する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転駆動するモータと、
前記水槽内の水を加熱するヒータと、
前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、
前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、
前記水槽の水位を検知する水位センサと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、
前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記ヒータが浸かる1.9L以上2.3L以下の範囲の水量を前記水槽に給水する、
洗濯機。
【請求項2】
水槽と、
前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転駆動するモータと、
前記水槽内の水を加熱するヒータと、
前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、
前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、
前記水槽の水位を検知する水位センサと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、
前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記水槽内の水位が前記ヒータの上面に対して5mm以上15mm以下の範囲なる水量を前記水槽に給水する、
洗濯機。
【請求項3】
水槽と、
前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転駆動するモータと、
前記水槽内の水を加熱するヒータと、
前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、
前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、
前記水槽の水位を検知する水位センサと、
を備え、
前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、
前記洗濯槽の回転軸は、水平又は水平に対して10度以内の範囲で傾斜し、
前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記ヒータは浸かるが前記洗濯槽が浸からない範囲の水量を前記水槽に給水する、
洗濯機。
【請求項4】
前記水位センサは、半導体式水位センサである、
請求項1~3の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記洗濯槽を回転させる、
請求項1~4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、洗浄運転を開始すると、当該運転を報知部に報知させる、
請求項1~5の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄と前記第2スチーム洗浄とで異なる報知様式で前記報知部を報知させる、
請求項6に記載の洗濯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯槽の除菌機能を有する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
除菌機能を有する洗濯機として、例えば、「加熱手段、送風手段、給水手段、温度検知手段等を備えた洗濯乾燥機において、加熱手段及び送風手段を用いて洗濯槽内の温度を上げ、給水手段により加熱部もしくは洗濯槽等に給水し、加湿することにより、洗濯槽の洗浄及び除菌制御を行なう」洗濯乾燥機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-253584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、洗濯槽の洗浄及び除菌運転の実行をユーザが忘れると、洗濯槽内にカビや細菌が発生してしまう。なお、一度カビが発生すると、容易にキレイに除去することは困難である。
一方、洗濯運転後に毎回自動で洗浄及び除菌運転すると、洗濯槽内を高温多湿な環境にするための電気代が増大する。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、電気代のコストを増大しすぎることなく水槽及び洗濯槽をきれいに維持できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記水槽内の水を加熱するヒータと、前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御する。
【発明の効果】
【0006】
上記態様に係る洗濯機では、電気代のコストを増大しすぎることなく水槽及び洗濯槽をきれいに維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る洗濯機の外観構成を示す模式斜視図である。
図2】洗濯機の内部構成を示す第1模式断面図である。
図3】洗濯機の内部構成を示す第2模式断面図である。
図4】洗濯機の制御に係る構成の一部を示すブロック図である。
図5】洗濯機の制御ユニットが実行する洗浄処理のフローチャートである。
図6】洗濯機の制御ユニットが実行する第1スチーム洗浄処理のフローチャートである。
図7】洗濯機の制御ユニットが実行する第2スチーム洗浄処理のフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る洗濯機の制御に係る構成の一部を示すブロック図である。
図9】制御ユニットが実行する洗浄処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
実施形態の一形態に係る洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記水槽内の水を加熱するヒータと、前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、前記水槽の水位を検知する水位センサと、を備え、前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記ヒータが浸かる1.9L以上2.3L以下の範囲の水量を前記水槽に給水する。
実施形態の一形態に係る洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記水槽内の水を加熱するヒータと、前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、前記水槽の水位を検知する水位センサと、を備え、前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記水槽内の水位が前記ヒータの上面に対して5mm以上15mm以下の範囲なる水量を前記水槽に給水する。
実施形態に係る一態様に係る洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記水槽内の水を加熱するヒータと、前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、前記水槽の水位を検知する水位センサと、を備え、前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御し、前記洗濯槽の回転軸は、水平又は水平に対して10度以内の範囲で傾斜し、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記ヒータは浸かるが前記洗濯槽が浸からない範囲の水量を前記水槽に給水する。
上記の洗濯槽の上記構成により、ユーザーの操作に有無に関わらず、スチーム洗浄を自動で定期的に行うため、洗濯槽及び水槽を清潔に維持できる。また、一定の洗浄効果がある第1スチーム洗浄と、より高い洗浄効果が期待できる第2スチーム洗浄とを所定期間毎に行うことで、洗濯槽及び水槽内を清潔に保つことができる。なお、ここでいう「洗濯槽内の温度を第1温度とする」及び「洗濯槽内の温度を第2温度とする」は、「水槽内の温度を第1温度とする」及び「水槽内の温度を第2温度とする」と同じ意味である。
明細書の一態様に係る第1の洗濯機は、水槽と、前記水槽内に回転可能に支持された洗濯槽と、前記洗濯槽を回転駆動するモータと、前記水槽内の水を加熱するヒータと、前記水槽内又は前記洗濯槽内の温度を検知するセンサと、前記ヒータの駆動を制御する制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、前記ヒータにより水蒸気を発生させて前記洗濯槽内の温度を前記第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とを、定期的に自動で行うよう制御する。これにより、ユーザーの操作に有無に関わらず、スチーム洗浄を自動で定期的に行うため、洗濯槽及び水槽を清潔に維持できる。また、一定の洗浄効果がある第1スチーム洗浄と、より高い洗浄効果が期待できる第2スチーム洗浄とを所定期間毎に行うことで、洗濯槽及び水槽内を清潔に保つことができる。なお、ここでいう「洗濯槽内の温度を第1温度とする」及び「洗濯槽内の温度を第2温度とする」は、「水槽内の温度を第1温度とする」及び「水槽内の温度を第2温度とする」と同じ意味である。
【0009】
実施形態の別態様に係る第2の洗濯機は、第1の洗濯機において、前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄において前記第1温度となった状態を第1時間以上維持し、前記第2スチーム洗浄において前記第2温度となった状態を第2時間以上維持し、前記第2時間は前記第1時間よりも長い。これにより、第1スチーム洗浄は短時間で済ませることができる。電気代コストの比較的高い第2スチーム洗浄を、頻度を低く実施することで、電気代コスト(ランニングコスト)を軽減できる。
実施形態の別態様に係る第3の洗濯機は、第1又は第2の洗濯機において、前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄を第1周期で行い、前記第2スチーム洗浄を第2周期で行い、前記第2周期は前記第1周期よりも長い。これにより、ユーザーの操作に有無に関わらず、スチーム洗浄を自動で周期的に行うため、洗濯槽及び水槽を清潔に維持できる。一定の洗浄効果がある第1スチーム洗浄と、より高い洗浄効果が期待できる第2スチーム洗浄とを、所定周期毎に行うことで、洗濯槽及び水槽内を清潔に保つことができる。
【0010】
実施形態の別態様に係る第4の洗濯機は、第3の洗濯機において、前記第2周期は前記第1周期の3倍以上の長さである。これにより、電気代コストを軽減できる。
実施形態の別態様に係る第5の洗濯機は、第1~第4の何れかの洗濯機において、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、1.9L以上2.3L以下の範囲の水量を前記水槽に給水する。これにより、少ない水量でカビ等を抑制可能であり、水道代、電気代を抑制できる。また、少ない水を加熱するため温度上昇を短時間で行える。
実施形態の別態様に係る第6の洗濯機は、第1~第4の何れかの洗濯機において、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記水槽内の水位が前記ヒータの上面に対して5mm以上15mm以下の範囲なる水量を前記水槽に給水する。これにより、少ない水量でカビ等を抑制可能であり、水道代、電気代を抑制できる。少ない水を加熱するため温度上昇を短時間で行える。ヒータが水没するため、ヒータの空焚きを防ぐことができるとともに、確実にスチーム洗浄を実行できる。
【0011】
実施形態の別態様に係る第7の洗濯機は、第1~第4の何れかの洗濯機において、前記洗濯槽の回転軸は、水平又は水平に対して10度以内の範囲で傾斜し、前記制御ユニットは、給水及び排水を制御し、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記洗濯槽が浸からない範囲の水量を前記水槽に給水する。これにより、少ない水量でカビ等を抑制可能であり、水道代、電気代を抑制できる。少ない水を加熱するため温度上昇を短時間で行える。少ない水量であるがヒータの空焚きを防ぐことができる。給水した水が洗濯槽に接しないため、加熱時の熱エネルギを洗濯槽に奪われずに済み、効率的に水を昇温させることができるため、コストの抑制が可能となる。
実施形態の別態様に係る第8の洗濯機は、第1~第7の何れかの洗濯機において、前記水槽の水位の検知は半導体式水位センサにより行う。これにより、少量の水であっても、給水量を精度よく検知できる。
実施形態の別態様に係る第9の洗濯機は、第1~第8の何れかの洗濯機において、前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記洗濯槽を回転させる。これにより、発生させた水蒸気を短時間で均一に拡散できる。つまり、均一な湿熱環境の実現できる。
【0012】
実施形態の別態様に係る第10の洗濯機は、第1~第8の何れかの洗濯機において、前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、前記洗濯槽を300rpm以上500rpm以下の範囲内で回転させる。これにより、均一な湿熱環境を実現するのに必要な時間を最適化できる。
実施形態の別態様に係る第11の洗濯機は、第1~第10の何れかの洗濯機において、前記制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄及び前記第2スチーム洗浄において、洗浄運転を開始すると、当該運転を報知部に報知させる。これにより、定期的に自動で始まるスチーム洗浄であることをユーザが視認できる。
実施形態の別態様に係る第12の洗濯機は、第11の洗濯機において、制御ユニットは、前記第1スチーム洗浄と前記第2スチーム洗浄とで異なる報知様式で前記報知部を報知させる。これにより、定期的に自動で始まるスチーム洗浄であること、そのうち第1スチーム洗浄であるのか、第2スチーム洗浄であるのか、をユーザが視認できる。
【0013】
<第1実施形態>
1.概略構造
第1実施形態に係る洗濯機1の概略構造について、図1図3を用いて説明する。
洗濯機1は、洗濯機能(脱水機能を含めている場合もある)以外に、スチームを利用したスチーム洗浄機能を有する。スチーム洗浄は、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄とがあり、これらの洗浄処理は定期的に自動で行う。なお、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄とを区別する必要がない場合は、単にスチーム洗浄という。
ここでの洗濯機1は、洗濯槽15の中心軸が水平方向に配された、所謂、ドラム式(横型)である。なお、スチーム洗浄は、縦型洗濯機でも実施可能であるが、洗浄の際の加熱効率を考慮すると機内の密閉性が高いドラム式が好ましい。
【0014】
図1に示すように、洗濯機1では、略直方体形状の筐体3を備える。筐体3の前面には洗濯槽15の開口部を開閉するためのドア5が設けられている。
筐体3におけるドア5の上側には、インターフェースユニット7と洗剤投入部8とが設けられている。インターフェースユニット7は、その一部の面だけが筐体3の前上面側に露出している。インターフェースユニット7は、洗濯の運転についてユーザが操作するための操作部9、ユーザによる操作入力内容や運転状況(スチーム洗浄運転を含む)などを表示するための表示部11とを有する。
操作部9は、電源のON/OFF機能、運転スタート・一時停止の機能、洗濯コースの選択機能等を備える。なお、スチーム洗浄は自動的に行うため、ユーザが操作(選択)するための操作(選択)手段を有しないが、さらに、手動でスチーム洗浄を行えるようにするための操作手段を有してもよい。
表示部11は、スチーム洗浄運転を報知する報知手段12を備える。ここでは、報知手段12としてLEDを利用し、第1スチーム洗浄運転中では点灯し(「第1表示」である)、第2スチーム洗浄運転中では点滅し(「第2表示」である)、ユーザーがどのスチーム洗浄を洗濯機1がしているか認識できる。
【0015】
図2図3に示すように、筐体3の内部には、少なくとも、洗濯水等を貯留する水槽13と、水槽13内に回転可能に支持され且つ洗濯物が投入される洗濯槽15と、洗濯槽15を回転駆動するためのモータ17と、水槽13内の水を加熱するヒータ19と、モータ17の回転制御やヒータ19の加熱制御等を実行する制御ユニット21とが収容されている。なお、ヒータ19は、後述の乾燥ヒータと区別するために、温水ヒータ19と便宜上している。
温水ヒータ19は、図2及び図3に示すように、水槽13内であって洗濯槽15の外側に配されている。つまり、水槽13の周壁と洗濯槽15の周壁との間であって水槽13の最下位部分に設けられている。これにより、水槽13内の水を効率的に加熱できる。温水ヒータ19は、シーズヒータが利用され、ここでは、洗濯槽15の回転軸と平行に延伸するように設けられている。シーズヒータは、上方から見ると、例えば「W」字状をしている。
【0016】
洗濯機1は、洗濯機能、脱水機能及び洗浄機能(スチーム洗浄を含む)以外に、乾燥機能を有している。筐体3の内部には、図2及び図3に示すように、送風ファン25、送風ダクト27、乾燥ヒータ、熱交換器29、空気フィルタ等を備える。
スチーム洗浄機能は、温水ヒータ19を利用して、機内に蒸気を発生させることで行われる。なお、スチーム洗浄については後述する。
洗濯等の機能を果たすための、モータ17、温水ヒータ19、送風ファン25、乾燥ヒータ、表示部11、制御ユニット21等の駆動電力は電源部34から供給される。洗濯運転、乾燥運転は、操作部9の電源スイッチ(選択手段)がONされた後に行うが、洗浄機能は、電源スイッチがOFFの状態でも電源部34から受電可能に構成されている。なお、停電中は、制御ユニット21のカレンダ部45にバッテリ35から給電されるように構成されている。
洗濯機1は、上記機能、少なくとも洗濯機能と洗浄機能を果たすために、水位センサ31、温度センサ33等を備えている。
水位センサ31は、インターフェースユニット7に設けられ、ここでは、半導体式水位センサを利用している。これにより、水位の低い(水量が少ない)場合でも、精度よく水位を検知できる。
温度センサ33は水槽13に設けられ、洗濯槽15の内部(又は洗濯槽15の内部に相当する部位)の雰囲気温度、水温を検知する。
【0017】
2.洗濯機1の制御について
(1)概要
ここでは、スチーム洗浄の制御について説明する。
制御ユニット21は、温水ヒータ19により水蒸気を発生させて水槽13及び洗濯槽15を洗浄するスチーム洗浄処理を行う。つまり、水槽13への給水及び排水、温水ヒータ19の駆動(ON又はOFF)を制御する。ここでのスチーム洗浄処理は、洗濯槽15を回転させながら行われるため、制御ユニット21はモータ17の駆動等(ON、OFF、回転数)を制御する。
スチーム洗浄には、洗濯槽15の内部(又は内部に相当する部位)の温度を第1温度とする第1スチーム洗浄と、洗濯槽15の内部(又は内部に相当する部位)の温度を第1温度よりも高い第2温度とする第2スチーム洗浄とがある。
より具体的には、洗濯槽15の内部の温度は、水槽13に設けられた温度センサ33(図4参照)を利用して制御され、第1温度や第2温度に対応する水槽13での温度(例えば、第1温度や第2温度より高い温度)があらかじめ実験等により設定されている。
ここで、第1温度はカビを除菌できる温度であり、第2温度は酵母等を除去できる温度であって、言い換えれば酵母等によるバイオフィルムの形成を防止又は抑制できる温度である。一例として、第1温度は50℃であり、第2温度は60℃である。これにより、発生したカビを除菌したり、バイオフィルムの形成を防止(抑制)したりできる。
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄処理と第2スチーム洗浄処理とを定期的且つ自動的に行う。ここでの定期的とは、第1スチーム洗浄処理ではカビの除去ができなくなる前であり、第2スチーム洗浄処理では、バイオフィルムが形成されやすくなる前である。これにより、ユーザーの操作なしで、スチーム洗浄が行われ、水槽13及び洗濯槽15をきれいに維持できる。
【0018】
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄では、第1温度となった状態を第1時間以上維持し、第2スチーム洗浄では第2温度となった状態を第2時間以上維持する。ここで、第2時間は第1時間よりも長い。第1時間はカビを除去できる時間である。第2時間は、第1スチーム洗浄で除去できなかった酵母やカビ以外の細菌類(酵母等)を除去して酵母等によるバイオフィルムの形成を抑制できる時間であり、第1スチーム洗浄で死滅しなかったカビを死滅させる時間でもある。
第1時間は、0秒も含み、例えば、第1温度になったことを検知した時点で、温水ヒータ19をOFFしてもよい。つまり、第1時間は0秒であってもよい。
第1時間と第2時間の一例として、第1時間は0秒であり、第2時間は10分である。
第1温度が50℃の場合、当該50℃に達した状態でカビは通常死滅するため、効果的かつ経済的にカビを除菌できる。第2温度が60℃の場合、当該60℃を10分維持することで、第1スチーム洗浄で洗浄しきれなかったカビ以外の酵母等を除去することができるとともに、酵母等由来のバイオフィルムが水槽13又は/及び洗濯槽15に形成されるのを防止できる。また、万が一バイオフィルムが形成されたとしても、バイオフィルムに潜むカビを効果的に死滅させることができるため、黒カビの発生を防止したり、酵母等を除去することでバイオフィルムそのものの増殖を防止したりできる。
【0019】
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄処理と第2スチーム洗浄処理とを周期的に行う。具体的には、第1スチーム洗浄処理を第1周期で行い、第2スチーム洗浄処理を第2周期で行う。ここで、第2周期は第1周期よりも長い。第2周期は第1周期の3倍以上であることが好ましい。
第1周期は3日以上7日(1週間)の範囲内が好ましい。これは、1週間よりも長くなると、50℃で第1スチーム洗浄を行っても、洗濯物に付着する等により残存するカビが多くなり、3日よりも短くなるとカビを殺菌できるが経済的負担(電気代)が大きくなる。
第2周期は、3週間以上5週間以下の範囲内が好ましい。これは、5週間よりも長くなると、バイオフィルムが水槽13又は/及び洗濯槽15の広い範囲に形成されてしまい、黒カビが発生する可能性が高くなり、3週間より短くなると、バイオフィルムの形成を抑制できるが経済的負担(電気代)が大きくなる。
一例としては、第1周期は1週間であり、第2周期は4週間であり、第2周期は第1周期の4倍である。なお、第1周期と第2周期とが重なる場合、第2スチーム洗浄が優先される。
【0020】
制御ユニット21は、給水及び排水の制御において、第1スチーム洗浄処理及び第2スチーム洗浄処理用に、例えば、1.9L以上2.3L以下の範囲の水量を給水する。これにより、スチーム洗浄に使用する水が確保され、確実にスチーム洗浄を行うことができる。また、電気代・水道代を抑えつつ(コスト低減)、短時間でスチームを発生することができる。なお、この場合、温水ヒータ19が給水された水に完全に浸かり、スチーム発生した後も完全に浸かるような水槽13の構造が必要となる。
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄処理及び第2スチーム洗浄処理用に、水槽13内の水位が温水ヒータ19の上面に対して5mm以上15mm以下の範囲の水量を給水する。これにより、水槽13の容量に関係なく、温水ヒータ19の空焚きを防止でき、安全性を向上できる。
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄処理及び第2スチーム洗浄処理において、洗濯槽15が浸からない範囲の水量を給水する。これにより、温水ヒータ19の加熱エネルギが洗濯槽15側に伝導されるのを防止でき、効果的且つ経済的に蒸気を発生させることができる。
制御ユニット21は、給水及び排水の制御を給水弁36及び排水弁37を介して行う。
【0021】
制御ユニット21は、第1スチーム洗浄処理及び第2スチーム洗浄処理において、洗濯槽15を回転させる。これにより、水槽13及び洗濯槽15の全体を洗浄でき、また、水槽13及び洗濯槽15内の温度を均一化でき、水槽13及び洗濯槽15の全体の広い範囲で除菌効果が得られる。洗濯槽15の回転は、300rpm以上500rpmの範囲内が好ましい。一例として400rpmで回転させる。これにより、水槽13及び洗濯槽15内の温度ムラを小さくできる。
【0022】
(2)構成
洗濯機1の制御に係る構成について、図4を用いて説明する。なお、図4では、洗濯機1のスチーム洗浄処理に係る構成を中心に図示している。
【0023】
図4に示すように、制御ユニット21に対して、操作部9、水位センサ31、温度センサ33から適時に信号が入力される。制御ユニット21は、入力された各信号に基づいて、モータ17、温水ヒータ19、表示部11、給水弁36、排水弁37に適時に信号を出力する。また、制御ユニット21は、電源部34から電力供給を受ける。なお、カレンダ部45は、電源部34からの電力供給がなくなると、バッテリ35から電力供給を受ける。
【0024】
制御ユニット21は、制御部41、記憶部43、カレンダ部45及びタイマ47等を有する。制御部41は、CPUなどを含み構成されている。制御部41は、ユーザーの操作部9の操作にしたがって、対応するプログラムを実行する。記憶部43は、例えば、EEPROM、RAM、ROMなどを含み構成されている。記憶部43は、洗濯、脱水、乾燥、スチーム洗浄を行うための、プログラムやデータ等を記憶している。
カレンダ部45は、時計機能を有し、時間の計測により年月日をカウントでき、あらかじめ設定された、第1スチーム洗浄運転を行う第1時期と、第2スチーム運転を行う第2時期とを検出し、制御部41に出力する。なお、ここでのカレンダ部45は、図5に示すように、第1時期になると制御部41に対して第1スチーム洗浄を行う時期になったことを知らせる第1信号を出力し、第2時期になると制御部41に対して第2スチーム洗浄を行う時期になったことを知らせる第2信号を出力する。
【0025】
(3)処理
(3-1)全体
制御ユニット21が行う洗浄処理について、図5を用いて説明する。
洗浄するタイミングを具体例を用いて説明する。第1スチーム洗浄処理は1週間に1回行い、第2スチーム洗浄処理は4週間に1回行う。ここでの例では、5月の月曜日の3日、10日、17日、24日が第1スチーム洗浄処理を行う時期であり、5月の第4週目の月曜日である24日が第2スチーム洗浄処理を行う時期である。なお、5月24日は、第1スチーム洗浄処理を行う時期であるが、第1スチーム洗浄処理と第2スチーム洗浄処理の時期が重なる場合は、第2スチーム洗浄処理のみが実施される。
【0026】
カレンダ部45は、制御部41と別に独立で処理可能に構成されている。
5月3日になると、カレンダ部45は、第2時期(5月24日)でなく(S1の「No」である)、ステップS2で第1時期(5月3日)と判定されるため(「Yes」である)、第1信号を制御部41に出力する(S4)。同様に、5月10日、17日になると、ステップS4で第1信号を制御部41に出力する(S4)。
5月24になると、カレンダ部45はステップS1で第2時期(5月24日)と判定されるため(「Yes」である)、第2信号を制御部41に出力する(S3)。
ステップS3で第2信号を出力すると、ステップS1に戻る。カレンダ部45は、図5に示すフローを1日の定まった時間(例えば、16時)に1度だけ実行する。これにより、同じ信号を制御部41に出力するのを防止できるとともに、第1時期と重なる第2時期(5月24日)に第1信号を出力するのを防止できる。
【0027】
制御部41は、ステップS11で信号の入力があると判定されると(「Yes」である)、洗濯中であるか否かを確認する。なお、ここでの洗濯には、洗濯、脱水、乾燥等を含む。
洗濯中である場合(S13の「Yes」である)、洗濯終了まで待機し(S14の「No」である)、洗濯が終了すると(S14の「Yes」である)、カレンダ部45からの入力信号が第1信号か第2信号かを判定する(S15)。
ステップS15の判定が、第1信号の場合(「No」である)は、後述の第1スチーム洗浄処理を行って(S16)、入力信号をリセットし(S18)、ステップS11に戻る。なお、入力信号のリセットは、スチーム洗浄処理の終了後に、ステップS11で入力信号がありと判断して、再度スチーム洗浄を行うことを防止するための処理である。
ステップS15の判定が、第2信号の場合(「Yes」である)は、後述の第2スチーム洗浄処理を行って(S17)、入力信号をリセットし(S18)、ステップS11に戻る。
【0028】
(3-2)第1スチーム洗浄処理
第1スチーム洗浄処理について図6を用いて説明する。
第1スチーム洗浄処理が開始されると、制御部41は、表示部11の報知手段12に、第1スチーム洗浄の運転中であることを表示(報知)する第1表示を開始させる(S21)。具体的には、報知手段12の一例であるLEDを点灯させる。
制御部41は、水槽13内に所定の水量を給水する(S22)。具体的には、給水弁36の開閉と、水位センサ31とで行う。
給水が終了すると、制御部41は、温水ヒータ19と洗濯槽15の回転をONし(S23)、蒸気を発生させ、温度センサ33の検出温度が第1温度(例えば、50℃)になると(S24の「Yes」である)、温水ヒータ19と洗濯槽15の回転をOFFする(S25)。
その後、制御部41は、表示部11の報知手段12に第1表示を終了させ(S26)、水槽13内の水を排水して(S27)、図5のステップS16にリターンする。
【0029】
(3-3)第2スチーム洗浄処理
第2チーム洗浄処理について図7を用いて説明する。
第2スチーム洗浄処理が開始されると、制御部41は、表示部11の報知手段12に、第2スチーム洗浄の運転中であることを表示(報知)する第2表示を開始させる(S31)。具体的には、報知手段12の一例であるLEDを点滅させる。
ステップS32において、水槽13内に所定の水量を給水すると、温水ヒータ19と洗濯槽15の回転とをONし(S33)、蒸気を発生させ、温度センサ33の検出温度が第2温度(例えば、60℃)になると(S34の「Yes」である)、温水ヒータ19をOFFする(S35)。
ステップS36において、タイマ47をスタートさせ、第2時間(例えば、10分)経過するまで(S37の「No」である)、温水ヒータ19をON/OFFを繰り返して洗濯槽15内の温度を維持し(S41)、第2時間が経過すると(S37の「Yes」である)、タイマ47をストップし、温水ヒータ19と洗濯槽15の回転とをOFFさせる(S38)。
その後、制御部41は、表示部11の報知手段12に第2表示を終了させ(S39)、水槽13内の水を排出して(S42)、図5のステップS17にリターンする。
【0030】
<第2実施形態>
第1実施形態の制御ユニット21はカレンダ部45を備え、カレンダ部45は、第1時期又は第2時期になると、第1信号又は第2信号を制御部41に出力していたが、カレンダ部を備えずに定期的且つ自動的に第1スチーム洗浄処理及び第2スチーム洗浄処理を行うようにしてもよい。この形態を第2実施形態として、図8及び図9を用いて説明する。
【0031】
1.制御ユニットの構成
制御ユニット121は、図8に示すように、制御部141、記憶部43、第1タイマ145、第2タイマ146、タイマ47等を有する。
第1タイマ145及び第2タイマ146は、第1実施形態におけるカレンダ部45に相当する。制御部141は、第1実施形態と同様に、CPUなどを含み構成され、第1タイマ145及び第2タイマ146で計測している時間に基づいて、第1スチーム洗浄処理と第2スチーム洗浄処理とを選択的に行う。
第1タイマ145及び第2タイマ146は、電源部34からの電力供給がない場合に、バッテリ35から駆動電力を受電する。第1タイマ145は、第1スチーム洗浄処理を行う時期を知らせるためのものであり、第2タイマ146は、第2スチーム洗浄処理を行う時期を知らせるためのものである。
【0032】
2.スチーム洗浄処理
制御ユニット121が行う洗浄処理について、図9を用いて説明する。
洗浄するタイミングを具体例を用いて説明する。第1スチーム洗浄処理は1週間に相当する168時間毎に1回行い、168時間経過時が第1時期であり、168時間が第1期間である。第2スチーム洗浄処理は4週間に相当する672時間毎に1回行い、672時間経過時が第2時期であり、672時間が第2期間である。
【0033】
制御部141は、ステップS101で、第1タイマ145と第2タイマ146とを0クリアした後、スタートさせる。
ステップS102で、第2タイマ146が計測した時間が第2期間を経過しているか否かを判定し、第2期間を経過していない場合(「No」である)、ステップS110に進み、第2期間を経過している場合(「Yes」である)、ステップS103に進む。
ステップS110で、第1タイマ145が計測した時間が第1期間を経過しているか否かを判定し、第1期間を経過していない場合(「No」である)、ステップS102に戻り、第1期間を経過している場合(「Yes」である)はステップS111に進む。
ステップS111において、洗濯中の場合(「Yes」である)は、洗濯終了後にステップS113に進み、洗濯中でない場合(「No」である)は、ステップS113に進む。
ステップS113で第1スチーム洗浄処理を行い、第1タイマ145をリセットした後にスタートさせて(S114)、ステップS102に戻る。
【0034】
ステップS102で、第2タイマ146が計測した時間が第2期間を経過している場合(「Yes」である)、ステップS103に進む。ステップS103において、洗濯中の場合(「Yes」である)は、洗濯終了後にステップS105に進み、洗濯中でない場合(「No」である)は、ステップS105に進む。
ステップS105で第2スチーム洗浄処理を行い、第1タイマ145及び第2タイマ146をリセットした後にスタートさせて(S106)、ステップS102に戻る。
【0035】
以上のように、第1及び第2実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものであってもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0036】
<変形例>
1.洗濯機
実施形態では、洗濯槽15の回転軸が水平方向と平行に設けられていたが、水平方向に対して前側上がりに傾斜してもよい。傾斜角度は、1度以上 10度以下の範囲である。
実施形態では、乾燥機能を有していたが、有しない洗濯機であってもよい。
実施形態では、第1表示又は第2表示を行う報知手段として1個のLEDを利用したが、例えば、発光色の異なる2個のLED利用して対応するスチーム洗浄に合わせて点灯させるようにしてもよい。また、報知手段として、ブザー、音楽等を発するものであってよい。
カレンダー部について特に説明していないが、カレンダ部の時計機能に代えて、無線通信部を備え、WiFi等を使って現在の日にち等を取得するようにしてもよい。
【0037】
2.スチーム洗浄
(1)回数
実施形態では、スチーム洗浄は、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄を含んでいたが、例えば、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄と第3スチーム洗浄を含んでもよい。この場合、第3スチーム洗浄時の第3温度は第2温度より高く設定されてもよい。第3スチーム洗浄の周期(時期)は、第3温度が第2温度よりも高い場合は、第2スチーム洗浄の第2周期よりも長く設定されてもよく、第3温度が第2温度よりも低い場合は、第2スチーム洗浄の第2周期よりも短く設定されてもよい。
【0038】
(2)温度
(2-1)第1温度
実施形態では、第1温度は50℃で一定であったが、カビの殺菌の観点からは、50℃以上が好ましい。第1温度は、第1周期、第1時間、洗濯槽15の回転等との関係で、カビを死滅させることができる範囲内で適宜決定してもよい。
実施形態では、第1温度は一定であったが、例えば、時間の経過とともに第1温度を高くしてもよい。第1実施形態での「2.洗濯機1の制御について (3)処理」の例で説明すると、5月の3日に行う第1スチーム洗浄の第1温度を50℃に設定し、10日に行う第1スチーム洗浄の第1温度を55℃に設定し、17日に行う第1スチーム洗浄の第1温度は60℃に設定してもよい。
(2-2)第2温度
実施形態では、第2温度は60℃であったが、カビの殺菌、黒カビ発生抑制、カビ以外の細菌や酵母によるバイオフィルム形成防止の観点からは、60℃以上が好ましい。但し、安全性を考慮すると、70℃以下の温度が好ましい。
第2温度は、第2周期、第2時間、洗濯槽15の回転等との関係で、バイオフィルムの形成を抑制できる範囲内で適宜決定してもよい。
【0039】
(3)時間
(3-1)第1時間
実施形態では、第1温度が50℃の場合に第1時間が0秒であったが、洗濯槽15を回転させない場合は、第1時間を1200秒(20分)以上としてもよい。これにより、効果的にカビを死滅させることができる。
目安としては、洗濯槽を回転させ、第1温度が50℃以上の場合に第1時間が0秒以上であり、第1温度が45℃の場合、第1時間は3分以上である。
なお、第1時間は、第1温度、第1周期、洗濯槽15の回転等の関係で、カビを死滅させることができる範囲内で適宜決定してもよい。
(3-2)第2時間
実施形態では、洗濯槽を回転させ、第2温度が60℃の場合に第2時間が10分であったが、洗濯槽15を回転させない場合は、第2時間を30分以上としてもよい。これにより、効果的にカビを死滅させることができる。但し、消費電力を考慮すると、洗濯槽15を回転させて、第2温度を60℃以上の範囲内で、第2時間を短くする方が好ましい。
なお、第2時間は、第2温度、第2周期、洗濯槽15の回転等の関係で、バイオフィルムの形成を抑制できる範囲内で適宜決定してもよい。
【0040】
(4)周期
(4-1)第1周期
実施形態では、第1温度が50℃の場合、第1周期を1週間としたが、例えば、第1温度が50℃よりも低い範囲であってカビを死滅させることができる温度の場合、第1周期を、1週間よりも短い、例えば3日としてもよい。逆に、第1温度が50℃よりも高い温度の場合、第1周期を、1週間よりも長い、例えば10日としてもよい。
なお、第1周期は、第1温度、第1時間、洗濯槽15の回転等の関係で、カビを死滅させることができる範囲内で適宜決定してもよい。
実施形態では、第1周期は一定であったが、例えば、時間の経過とともに第1周期の期間を短くしてもよい。第1実施形態での「2.洗濯機1の制御について (3)処理」の例で説明すると、第2スチーム洗浄後の1回目の第1スチーム洗浄を第2スチーム洗浄から10日後に行い、2回目の洗浄を1回目の第1スチーム洗浄から7日後に行い、3回目の洗浄を2回目の第1スチーム洗浄から4日後に行うようにしてもよい。
(4-2)第2周期
実施形態では、第2温度が60℃の場合、第2周期を4週間としたが、例えば、第2温度が60℃よりも低い範囲であってバイオフィルムの形成を抑制できる温度の場合、第2周期を、4週間よりも短い、例えば3週間としてもよい。逆に、第2温度が60℃よりも高い温度の場合、第2周期を、4週間よりも長い、例えば5週間としてもよい。
なお、第2周期は、第2温度、第2時間、洗濯槽15の回転等の関係で、バイオフィルムの形成を抑制できる範囲内で適宜決定してもよい。
【0041】
(5)洗濯槽の回転
実施形態では、洗濯槽15の回転は、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄とで同じあったが、異なってもよい。また、第1スチーム洗浄での洗濯槽15の回転は一定であったが、例えば、時間の経過とともに回転速度を速めてもよいし、遅めてもよい。
(6)給水量
実施形態では、第1スチーム洗浄と第2スチーム洗浄とで供給する水量を同じとしていたが、異なる水量としてもよい。この場合、第2スチーム洗浄の第2温度が第1温度よりも高く且つ第2時間が第1時間よりも長いことから、第2スチーム洗浄の際の水量を第1スチーム洗浄の際の水量よりも多くしてもよい。これにより、使用する水量を最適化でき、スチーム洗浄で使用する水量を少なくできる。
【0042】
1 洗濯機
10 筐体
13 水槽
15 洗濯槽
17 モータ
19 ヒータ
21 制御ユニット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9