(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110363
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】積層フィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20230802BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B32B27/00 B
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022011760
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194250
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 直志
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 研太
(72)【発明者】
【氏名】西川 佳樹
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086BA04
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB01
3E086CA27
3E086CA31
3E086CA33
3E086DA08
4F100AJ06B
4F100AK01A
4F100AK21B
4F100AK51B
4F100AK54B
4F100AK69B
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4F100GB15
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4F100JD02
4F100JD04
4F100YY00
(57)【要約】
【課題】水蒸気透過性、ガスバリア性及び耐水性に優れた積層フィルムを提供すること。
【解決手段】基材層3と、前記基材層の一方の面に設けられたコーティング層2と、を備えた積層フィルム1であって、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における、前記積層フィルムの水蒸気透過量が、4000g/m
2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記積層フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であり、前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量が、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であり、前記熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%である、積層フィルム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、前記基材層の一方の面に設けられたコーティング層と、を備えた積層フィルムであって、
JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における、前記積層フィルムの水蒸気透過量が、4000g/m2・day以上であり、
JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記積層フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であり、
前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量が、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であり、
前記熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%である、積層フィルム。
【請求項2】
前記積層フィルムを、25℃の水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、90~100%である、請求項1に記載の積層フィルム。
【請求項3】
前記コーティング層の厚さが、0.1μm以上5.0μm以下である、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
前記コーティング層が、架橋構造を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記コーティング層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエーテル及びポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種が架橋された架橋樹脂を含む単層を備える、請求項4に記載の積層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の内容物を包装する際、内容物に錆等が発生するのを防止するため、包装する前に、内容物を乾燥させる必要がある。内容物が完全に乾燥していない場合は、包装後に内容物を乾燥しなければならないが、そのためには、内容物を包装するフィルムに透湿性を担保させる必要がある。
【0003】
従来、透湿性の高い基材フィルムは知られている(例えば、特許文献1)が、従来の高透湿基材フィルムでは、ガスバリア性を担保できないため、内容物が酸化により劣化する恐れがある。また、内容物の劣化を防止するためには、二酸化炭素や窒素等の不活性ガスを封入する必要があるが、従来の高透湿性基材フィルムでは、不活性ガスも透過してしまうため、不活性ガスを封入できず、包装した内容物の劣化を防止することが困難である。
【0004】
また、フィルムの耐水性が低いと、内容物が水を含んでいる場合や高温の水分が付着している場合に、フィルムが溶けて内容物を汚染したり、フィルムのガスバリア性が低下したりする恐れがある。また、包装の外部に水が掛かった場合に、フィルムが溶けてガスバリア性が低下する恐れもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、透湿性及びガスバリア性に優れると共に、耐水性にも優れた積層フィルムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0008】
[1]基材層と、前記基材層の一方の面に設けられたコーティング層と、を備えた積層フィルムであって、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における、前記積層フィルムの水蒸気透過量が、4000g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記積層フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であり、前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量が、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であり、前記熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%である、積層フィルム。
[2]前記積層フィルムを、25℃の水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、90~100%である、[1]に記載の積層フィルム。
[3]前記コーティング層の厚さが、0.1μm以上5.0μm以下である、[1]又は[2]に記載の積層フィルム。
[4]前記コーティング層が、架橋構造を有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層フィルム。
[5]前記コーティング層が、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエーテル及びポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種が架橋された架橋樹脂を含む単層を備える、[4]に記載の積層フィルム。
【発明の効果】
【0009】
本発明の積層フィルムは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられたコーティング層と、を備えた積層フィルムであって、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における、前記積層フィルムの水蒸気透過量が、4000g/m2・day以上であり、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記積層フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であり、前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量が、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であり、前記熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%であるため、透湿性及びガスバリア性にも優れると共に、耐水性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を適用した一実施形態である積層フィルムの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<<積層フィルム>>
本実施形態の積層フィルムは、基材層と、前記基材層の一方の面に設けられたコーティング層と、を備えた積層フィルムであって、JIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における、前記積層フィルムの水蒸気透過量が、4000g/m2・day以上であるため、透湿性に優れる。
また、本実施形態の積層フィルムは、JIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、前記積層フィルムの空気の透気抵抗度が、5000秒以上であるため、ガスバリア性に優れる。
【0012】
さらに、本実施形態の積層フィルムは、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量が、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であり、前記熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%であるため、耐水性に優れる。
【0013】
また、本実施形態の積層フィルムは、前記積層フィルムを25℃の水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる水処理を行った後の前記コーティング層の質量が、前記水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、90~100%であると、耐水性がより向上するため好ましい。
【0014】
本実施形態の積層フィルムは、透湿性に優れるため、内容物を完全に乾燥せずに包装しても、包装後に乾燥させることができる。また、本実施形態の積層フィルムは、ガスバリア性に優れるため、包装後に不活性ガスを封入することにより、内容物の劣化を防止することができる。そのため、例えば、医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品を乾燥させないまま包装し、包装後に不活性ガスを封入することにより、包装後に乾燥することができるため、短時間で包装ができ、且つ、錆の発生等による劣化を防止することができる。さらに、本実施形態の積層フィルムは、耐水性に優れるため、内容物が水を含んでいる場合でも、フィルムが溶けて内容物を汚染したり、フィルムのガスバリア性が低下したりすることを防止することができる。
【0015】
まず、本発明の積層フィルムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の積層フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、以降の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0016】
本実施形態の積層フィルム1は、基材層3と、基材層3の一方の面に設けられたコーティング層2を備えて、概略構成されている。本実施形態の積層フィルム1は、包装体、特に医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品の包装用のフィルムとして用いることができる。
【0017】
<基材層>
基材層(コア層ともいう)3は、積層フィルム1に柔軟性を付与することができる。基材層3に用いることが可能な樹脂としては、上記機能を付与することが可能な樹脂であって、透湿性を有する樹脂であれば特に制限されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂やナイロン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合、オレフィン系エラストマー等が挙げられる。基材層は、透湿性を有していれば、多孔質性のものであっても、多孔質性のものでなくてもよい。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、ブテン系共重合体が挙げられ、これらの中でも、ポリエチレン系共重合体およびポリプロピレン系共重合体が好ましい。
また、これら共重合体の形態としては、接着性を向上できる観点から、ランダム共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が用いられ、特にランダム共重合体が好ましい。
【0019】
前記ポリオレフィン系樹脂とは、オレフィンの共重合物である。
前記ポリエチレン系共重合体とは、エチレンと、エチレン以外のモノマーと、の共重合物である。
前記ポリプロピレン系共重合体とは、プロピレンと、プロピレン以外のモノマーと、の共重合物である。
前記ブテン系共重合体とは、ブテンと、ブテン以外のモノマーと、の共重合物である。
【0020】
ポリエチレン系共重合体としては、特に限定されないが、エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0021】
エチレンとビニル基含有モノマーとの共重合体としては、無水マレイン酸グラフト変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「LLDPE-g-MAH」と記載する。)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、「EVA樹脂」と記載する。)、エチレン-メチルメタアクリレート共重合体(以下、「EMMA樹脂」と記載する。)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(以下、「EEA樹脂」と記載する。)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(以下、「EMA樹脂」と記載する。)、エチレン-エチルアクリレート-無水マレイン酸共重合体(以下、「E-EA-MAH樹脂」と記載する。)、エチレン-アクリル酸共重合体(以下、「EAA樹脂」と記載する。)、エチレン-メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA樹脂」と記載する。)、アイオノマー(以下、「ION樹脂」と記載する。)、エチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なお、本明細書において、ION樹脂とは、エチレンと少量のアクリル酸又はメタクリル酸との共重合体を、酸部分と金属イオンとの塩形成によってイオン橋かけ構造にしたものを指す。
【0022】
ポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラメチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。
【0023】
ナイロン系樹脂としては、例えば、4-ナイロン、6-ナイロン、7-ナイロン、11-ナイロン、12-ナイロン、46-ナイロン、66-ナイロン、69-ナイロン、610-ナイロン、611-ナイロン、612-ナイロン、6T-ナイロン、6Iナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66)、6-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと611-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/12)、6-ナイロンと612ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと610-ナイロンのコポリマー、6-ナイロンと66-ナイロンと12-ナイロンのコポリマー(ナイロン6/66/12)、6-ナイロンと66-ナイロンと612-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6T-ナイロンのコポリマー、66-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、及び66-ナイロンと6T-ナイロンと6I-ナイロンのコポリマー、非晶性ナイロン等が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、及び入手の容易性の点から、6-ナイロン、12-ナイロン、66-ナイロン、ナイロン6/66、ナイロン6/12、及びナイロン6/66/12等が好ましく、6-ナイロンがより好ましい。
【0024】
基材層3は、1層のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。例えば、基材層3を、異なる材質の複数層からなるものとすることで、基材層3の硬さや透湿性等の特性を調節できる。
【0025】
基材層3の、積層フィルム1の全層に対する厚さの比率は、75~99.9%が好ましく、90~99.9%がより好ましく、95~99.9%がさらに好ましく、97~99.5%が特に好ましい。上記厚さの比率が、上記下限値以上であると、積層フィルム1に柔軟性を付与することができる。上記厚さの比率が、上記上限値以下であると、樹脂フィルムを積層した際の透湿性の低下が抑制される。
【0026】
基材層3の厚さは、10~100μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。上記厚さが好ましい範囲の下限値以上であると、樹脂フィルムを積層した際の透湿性の低下が抑制され、上限値以下であると、柔軟性が得られる。
【0027】
基材層3のJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における水蒸気透過量は、4000g/m2・day以上であることが好ましく、5000g/m2・day以上であることがより好ましく、6000g/m2・day以上が、さらに好ましく、例えば、7000g/m2・day以上であってもよい。上記水蒸気透過量は、基材層3の種類、厚さ、空隙率、細孔径等により調節することができる。
また、基材層3のJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における水蒸気透過量は、20000g/m2・day以下であることが好ましく、15000g/m2・day以下であることがより好ましい。上記水蒸気透過量が前記上限値以下であることにより、積層フィルムの外部が高湿度の場合に外部の水分(湿度)が基材層3を透過して内部に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0028】
<コーティング層>
コーティング層は、ガスの透過を抑制する樹脂層であり、基材層にガスバリア性を付与するために設けられている。ガスの種類としては、積層フィルムが包装する内容物に影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えば、二酸化炭素、窒素等が挙げられる。
【0029】
[ガスバリア性樹脂]
コーティング層は、ガスバリア性樹脂を含む。
ガスバリア性樹脂は、ガスの透過を抑制する樹脂であり、基材層にガスバリア性を付与する。ガスの種類としては、後述する積層フィルムが包装する内容物に影響を及ぼさないものであれば特に制限はなく、例えば、二酸化炭素、窒素等が挙げられる。
【0030】
コーティング層は、耐水性を付与させるため、架橋構造を有していることが好ましい。すなわち、コーティング層は、ガスバリア性樹脂として、架橋構造を有する樹脂(本明細書においては、「架橋ガスバリア性樹脂」と称することがある)を含んでいることが好ましい。架橋構造(架橋ガスバリア性樹脂)は、架橋構造を有しないガスバリア性樹脂(本明細書においては、「未架橋ガスバリア性樹脂」と称することがある)と架橋剤を反応させることにより形成させることができる。
【0031】
(未架橋ガスバリア性樹脂)
未架橋ガスバリア性樹脂は、基材層にガスバリア性を付与でき、且つ、基材層の透湿性の低下を抑制できるものが好ましい。具体的には、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの一部が変性された変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、セロハン、セルロース、デンプン等の多糖類;ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
変性ポリビニルアルコールとしては、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、ノニオン変性ポリビニルアルコール、ビニルアルコール系ポリマーが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂(例えば、株式会社クラレ製「エクセバール」)、ポリビニルアルコールにアルデヒドを反応させて得られるポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学工業株式会社製「エスレック」)、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール(例えば、株式会社クラレ製「R-1130」)、分子内にアセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂(例えば、日本合成化学工業株式会社製「ゴーセファイマー(登録商標)Z/WRシリーズ」)等も変性ポリビニルアルコールに含まれる。
【0033】
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1-206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61-237681号公報及び同63-307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、及び特開平7-285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
【0034】
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7-9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体(例えば、三菱ケミカル株式会社製「ゴーセネックス(登録商標)WO」)、特開平8-25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体、シラノール基を有するシラノール変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル基やカルボニル基、カルボキシ基などの反応性基を有する反応性基変性ポリビニルアルコール(例えば、カルボニル基を有する反応性基変性ポリビニルアルコールである、日本酢ビ・ポバール株式会社製「Dポリマー」)等が挙げられる。
【0035】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61-10483号公報に記載されているような、第1級~第3級アミノ基や第4級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
【0036】
ビニルアルコール系ポリマーとしては、エクセバール(前出)やニチゴーGポリマー(商品名:日本合成化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0037】
ポリエーテルとしては、ポリオキシメチレン、塩素化ポリエーテル、グリコール縮合物(ポリエチレングリコール(ポリエチレンオキシド)、ポリプロピレングリコール、およびそれらの共重合組成物等)、芳香族環を含むポリエーテル(ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン等)等が挙げられる。
この中でも、グリコール縮合物は透湿性を高める効果があるという点で好ましい。グリコール縮合物を形成する成分としては、エチレングリコール(ポリマーの鎖中のエーテル結合間の炭素数が2)、プロピレングリコール(ポリマーの鎖中のエーテル結合間の炭素数が3)、ブチレングリコール(ポリマーの鎖中のエーテル結合間の炭素数が4)および、それらの誘導体などが挙げられる。高い透湿性を得るためには、前記炭素数は4以下が好ましく、3以下がより好ましく、2.2以下が特に好ましい。製膜後のガスバリア膜の吸湿性を抑え、形状を保持する効果に優れるという点では、前記ポリマーの鎖中のエーテル結合間の炭素数は2.01以上が好ましく、2.05以上がより好ましい。ここで、ポリマーの鎖中のエーテル結合間の炭素数は、ポリマーを形成する各繰り返し単位中の炭素数と繰り返し単位の数とから算出された平均値を示す。
ポリエーテルとしては、例えば、アルコックス(商品名:明成化学工業社製)等が挙げられる。
【0038】
ポリウレタンとしては、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエーテル系等が挙げられる。本明細書において、「ポリエステル系ポリウレタン」とは、「ポリエステルセグメントを有するポリウレタン」を意味する。「ポリカーボネート系ポリウレタン」とは、「ポリカーボネートセグメントを有するポリウレタン」を意味する。「ポリエーテル系ポリウレタン」とは、「ポリエーテルセグメントを有するポリウレタン」を意味する。
透湿性を高める効果がある点では、分子鎖に親水性の高いポリエーテルセグメントを有するポリエーテル系ポリウレタンが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレングリコールや、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体などのポリエーテルセグメントを有し、また、ウレタン結合間の長さが長いものが好ましい。また、透湿性を向上させるためには、ポリウレタンのTgは25℃以下が好ましく、-20℃以下がより好ましく、-50℃以下が特に好ましい。
また、ポリウレタンとして、ポリウレタンを分散させたワニスを用いてもよい。ワニスとしては、有機溶剤溶液型、水分散型等が挙げられる。環境を阻害しないこと、及び基材やアンカーコート層への浸透や浸食を抑える効果がある点では、水分散型を使用することが好ましい。ポリウレタンを分散させたワニスとしては、例えば、ハイドラン(商品名:DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0039】
これらの中でも、未架橋ガスバリア性樹脂は、特に、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール及びヒドロキシエチルセルロース等の親水基を含む樹脂、ポリエーテル並びにポリウレタンが、基材層の透湿性の低下を抑制できる効果に優れるため好ましい。
【0040】
ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールは、分子量とケン化度により、透湿性と、ガスバリア性を調整することができる。ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールのケン化度は、70~99モル%が好ましく、85~99モル%以上がより好ましく、97~99モル%以上がさらに好ましい。ケン化度が前記下限以上であれば、コーティング層は、耐水性が上がり、水と接触しても溶解しづらくなる。また、ケン化度が前記上限以下であることで、水溶性を適度に保持し、塗工性の良い溶液を作製可能となる。
また、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールの4質量%の溶液粘度は、3mPa・s以上が好ましく、8.0mPa・s以上がより好ましく、20mPa・s以上がさらに好ましい。ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールの4質量%の溶液粘度が、前記の粘度を有することで、コーティング層は、水蒸気透湿性が高く、また強度が上昇し、吸湿性も低くなる。
また、溶液の塗工性の観点から、4質量%の溶液粘度が1000mPa・s以下であることが好ましい。
【0041】
前記樹脂フィルムに含まれる未架橋ガスバリア性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0042】
コーティング層は、未架橋ガスバリア性樹脂を含んでいてもよい。
【0043】
前記樹脂フィルムに含まれる未架橋ガスバリア性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0044】
(架橋剤)
架橋剤としては、例えば、チタン化合物、金属キレート系化合物、ホウ素系化合物、イソシアネート系化合物、有機酸、酸変性系ポリマー、ヒドラジド化合物、アルキルアミン、アゾ系化合物等が挙げられる。チタン化合物としては、アルコキシドチタン化合物、アシレートチタン化合物等が挙げられる。ヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、サリチル酸ヒドラジド等が挙げられる。金属キレート系化合物としては、ジルコニウム化合物(例えば、第一稀元素化学工業社製「ジルコゾールAC-7」、「ジルコゾールZC-20」)等が挙げられる。有機酸としてリンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸等の多価カルボン酸等が挙げられる。例えば、ガスバリア性樹脂が、水酸基を有する場合は、架橋剤は、チタン化合物、金属キレート系化合物等が好ましく、ガスバリア性樹脂がカルボニル基を有する場合には、ヒドラジド化合物やアルキルアミン、アゾ系化合物等の、カルボニル基とアミド結合を形成する化合物が好ましい。架橋剤の具体例としては、チタンラクテート(例えば、マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC310」)、チタントリエタノールアミネート(例えば、マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)等が挙げられる。
【0045】
前記未架橋ガスバリア性樹脂と反応させる前記架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0046】
架橋ガスバリア性樹脂としては、少なくとも一種の未架橋ガスバリア性樹脂と、少なくとも一種の前記架橋剤と、の反応物が挙げられる。
【0047】
(架橋ガスバリア性樹脂)
前記樹脂フィルムに含まれる架橋ガスバリア性樹脂は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0048】
架橋ガスバリア性樹脂の形成時には、未架橋ガスバリア性樹脂は、例えばポリビニルアルコール系樹脂を用い、架橋剤は例えばチタン系架橋剤、ヒドラジド化合物を用いることが好ましい。また、架橋剤の添加量は、樹脂に対して5~70重量%であることが好ましい。例えば、未架橋ガスバリア性樹脂として、ポリビニルアルコール系樹脂を用い、架橋剤として、チタン系架橋剤を用いる場合の架橋剤の添加量は、10~70質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。また、未架橋ガスバリア性樹脂として、変性ポリビニルアルコールを用い、架橋剤としてヒドラジド化合物を用いる場合の架橋剤の添加量は、5~20質量%が好ましい。
【0049】
未架橋ガスバリア性樹脂と架橋剤との反応によって、架橋ガスバリア性樹脂を形成するとき、反応温度は、70~120℃であることが好ましく、90~110℃であることがより好ましい。
反応時間は、0.1分~2時間であることが好ましく、0.2分~10分間であることがより好ましく、0.3分~3分間であることがさらに好ましい。
【0050】
未架橋ガスバリア性樹脂と架橋剤との反応時には、溶媒を用いることが好ましい。
反応時に用いる溶媒としては、例えば、水、エタノール、2プロパノール、酢酸エチル等が挙げられる。
反応時に用いる溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合は、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
反応後の架橋性ガスバリア樹脂は、溶媒を除去するため乾燥させることが好ましい。乾燥温度は、90~120℃が好ましく、乾燥時間は、0.2分~10分間であることが好ましく、1分~3分間が好ましい。
【0051】
好ましい架橋ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、セロハン、セルロース、デンプン及びポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも一種が架橋された架橋樹脂が挙げられる。
より好ましい架橋ガスバリア性樹脂としては、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエーテル及びポリウレタンからなる群より選ばれる少なくとも一種が架橋された架橋樹脂が挙げられる。
【0052】
コーティング層は、前記ガスバリア性樹脂のみ(換言すると、架橋ガスバリア性樹脂のみ、又は、架橋ガスバリア性樹脂及び未架橋ガスバリア性樹脂のみ)を含んでいてもよい(すなわち、ガスバリア性樹脂からなるものであってもよい)し、前記ガスバリア性樹脂に該当しない他の成分を含んでいてもよい(すなわち、前記ガスバリア性樹脂と、前記他の成分と、からなるものであってもよい)。
【0053】
(他の成分)
前記他の成分としては、例えば、当該分野で公知の添加剤が挙げられる。
前記添加剤としては、上記架橋剤の他、例えば、防曇剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、無機繊維、有機繊維、減粘剤、増粘剤、熱安定化剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。防曇剤は、樹脂フィルム表面を水に馴染みやすくすることができることにより、透湿性を向上させることできるため好ましく用いられる。防曇剤としては、例えば、グリセリンラウレート、ジグリセリンラウレート、デカグリセリンラウレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンステアレート等が挙げられる。無機繊維及び有機繊維は、フィルムの膜強度と耐水性を向上させることができる。有機繊維としては、例えば、セルロース等が挙げられ、セルロースナノファイバー(CNF)が好ましく用いられる。
【0054】
コーティング層が含む前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0055】
前記コーティング層において、コーティング層の総質量に対する、前記ガスバリア性樹脂の含有量の割合は、積層フィルムの用途に応じて、上述の数値範囲以外に、さらに異なる数値範囲に設定してもよい。
【0056】
コーティング層は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。コーティング層が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
【0057】
コーティング層の厚さとしては、特に限定されないが、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以上4.0μm以下であることがより好ましく、0.4μm以上3.0μm以下、0.4μm以上2.0μm以下のいずれであってもよい。コーティング層の厚さが前記下限値以上であることにより、基材層にガスバリア性を付与する効果が向上する。コーティング層の厚さが前記上限値以下であることにより、基材層の透湿性の低下をより抑制することができる。
ここで、「コーティング層の厚さ」とは、コーティング層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるコーティング層の厚さとは、コーティング層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0058】
前記積層フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における水蒸気透過量は、4000g/m2・day以上であって、4500g/m2・day以上であることが好ましく、5000g/m2・day以上であることがより好ましくさらに好ましく、例えば、6000g/m2・day以上であってもよい。上記水蒸気透過量は、基材層の種類、厚さ、空隙率、細孔径等、又は、コーティング層に含まれる成分の種類又はその含有量、或いはコーティング層の厚さにより調節することができる。
また、前記積層フィルムのJIS Z 0208に規定のカップ法によって測定した、30℃、97%RHの条件における水蒸気透過量は、20000g/m2・day以下であることが好ましく、15000g/m2・day以下であることがより好ましい。上記水蒸気透過量が前記上限値以下であることにより、フィルムの外部が高湿度の場合に外部の水分(湿度)がフィルムを透過して内部に影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0059】
前記積層フィルムのJIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、空気の透気抵抗度は、5000秒以上であって、1万秒以上が好ましく、5万秒以上がより好ましく、10万秒以上、100万秒以上のいずれであってもよい。上記空気の透気抵抗度は、基材の種類又は厚さ、コーティング層に含まれる成分の種類又はその含有量、或いはコーティング層の厚さにより調節することができる。
また、前記積層フィルムのJIS P 8117:2009に規定の王研法によって測定した、23℃、50%RHの条件における、空気の透気抵抗度は、1000万秒以下であることが好ましい。上記透気抵抗度が前記上限値以下であることにより、測定装置により測定できる限界以内での測定が可能となる。
【0060】
前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量は、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対して、75~125%であって、80~120%が好ましく、85~115%がより好ましく、例えば、75~120%、75~115%、80~125%、80~115%、85~125%、85~120%、90~125%、90~120%、90~115%、90~110%、90~105%、90~100%のいずれであってもよい。上記の積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量の、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの前記水蒸気透過量に対する割合(%)は、コーティング層に含まれる成分の種類又はその含有量、或いはコーティング層の厚さにより調節することができる。
【0061】
前記積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記コーティング層の質量は、前記熱水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、55~100%であって、60~100%が好ましく、65~100%がより好ましく、70~100%がさらに好ましく、75~100%が特に好ましく、例えば、80~100%であってもよいし、90~100%であってもよい。上記の積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる熱水処理を行った後の前記積層フィルムの質量の、前記熱水処理を行う前の前記積層フィルムの質量に対する割合(%)は、コーティング層に含まれる成分の種類又はその含有量、或いはコーティング層の厚さにより調節することができる。
【0062】
また、前記積層フィルムを、25℃の水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる水処理を行った後の前記コーティング層の質量は、前記水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対して、90~100%であることが好ましく、95~100%であることがより好ましい。上記の積層フィルムを、25℃の水に18時間浸漬し、100℃で乾燥させる水処理を行った後の前記コーティング層の質量の、前記水処理を行う前の前記コーティング層の質量に対する割合(%)は、コーティング層に含まれる成分の種類又はその含有量、或いはコーティング層の厚さにより調節することができる。
【0063】
<積層フィルムの製造方法>
次に、上述した積層フィルム1の製造方法について説明する。
本実施形態の積層フィルム1の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、基材層の一方の面上にコーティング層を塗工し積層することにより、製造することができる。
【0064】
例えば、前記ガスバリア性樹脂と、必要に応じて前記他の成分と、を含む樹脂組成物を、基材層の一方の面に塗工し、必要に応じて乾燥させることで、前記基材層上にコーティング層を形成(積層)できる。
【0065】
前記樹脂組成物は、その塗工適性が向上する点から、溶媒を含有していてもよい。
前記溶媒としては、例えば、水、2-プロパノール(IPA)、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエン、アセトン等が挙げられる。
【0066】
樹脂組成物が含む前記溶媒は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に選択できる。
【0067】
前記積層フィルムを、このように樹脂組成物の塗工を経て製造する方法は、目的とする積層フィルムが、比較的低温で分解、発火又は気化する成分等を含む場合に、特に有効である。このような、高温での取り扱いに適さない成分としては、例えば、ソルビン酸カリウム、乳酸ナトリウム等が挙げられる。
【0068】
樹脂組成物の塗工は、公知の方法で行えばよい。例えば、各種コーターを用いる方法で、樹脂組成物を塗工できる。
【0069】
樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、40~120℃で乾燥させることが好ましい。
【0070】
<<包装体及びその製造方法>>
前記積層フィルムを用いて、その中のコーティング層を、包装対象物側に配置し、包装対象物を包装することにより、包装体を製造できる。
前記包装体が前記積層フィルムを備えていることにより、前記包装体中の内容物を包装後に乾燥させることができ、且つ、包装体の中に不活性ガスを封入することにより、内容物の劣化を防止することができる。また、内容物が水を含んでいても、コーティング層が溶けて、内容物を汚染したり、コーティング層のガスバリア性が消失又は低下したりすることを防止することができる。そのため、例えば、医療機器、工業部材、電子部品等の金属製の物品の錆の発生等による劣化を防止することができる。
【0071】
包装時には、例えば、1枚の前記積層フィルムで包装対象物を包み込み、積層フィルムの余剰部位(包装対象物を包み込んでいない部位)を積層フィルムの他の部位と重ね合わせて、シールすることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中のコーティング層を重ね合わせてもよいし、コーティング層と基材層を重ね合わせてもよい。
また、包装時には、例えば、2枚の前記積層フィルムで包装対象物を挟み込み、これら積層フィルム同士を重ね合わせて、シールすることで、包装対象物を包装できる。このとき、積層フィルム中のコーティング層同士を重ね合わせてもよいし、コーティング層と基材層を重ね合わせてもよい。
また、トレーを用いて、その上に包装対象物を載置し、前記積層フィルム中のコーティング層を、トレーの周縁部とシールすることで、包装対象物を包装できる。
【実施例0072】
以下、本発明の効果を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「エクセバールRS-2117」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:26.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=9:1の混合溶媒)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC310」)(チタンラクテート44%、水40%、イソプロパノール16%)30phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC310 30質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2時間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0074】
[実施例2]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「エクセバールRS-2117」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:26.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水:2-プロパノール=9:1の混合溶媒)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)(チタントリエタノールアミネート80%、イソプロパノール20%)30phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 30質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0075】
[実施例3]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)30phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 30質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0076】
[実施例4]
<<積層フィルムの製造>>
チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)を50phr用いる以外は、実施例3と同様にして、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0077】
[実施例5]
<<積層フィルムの製造>>
チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)を60phr用いる以外は、実施例3と同様にして、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0078】
[実施例6]
<<積層フィルムの製造>>
チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)を70phr用いる以外は、実施例3と同様にして、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0079】
[実施例7]
<<積層フィルムの製造>>
チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)30phrの代わりに、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)30phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 30質量部)と、架橋助剤として有機繊維であるセルロースナノファイバー(王子ホールディングス社製「アウロ・ヴィスコ」)20phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してアウロ・ヴィスコ 20質量部)を用いる以外は、実施例3と同様にして、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0080】
[実施例8]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固形分濃度:2質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)75質量%と、ヒドロキシエチルセルロース(住友精化社製「HEC AG-15F」)(固形分濃度:100質量%、20℃での2質量%水溶液粘度:200~300mPa・s)25質量%とを溶媒(水)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)60phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 60質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0081】
[実施例9]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固形分濃度:2質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)75質量%と、ヒドロキシエチルセルロース(住友精化社製「HEC AV-15F」)(固形分濃度:100質量%、20℃での2質量%水溶液粘度:3000~6000mPa・s)25質量%とを溶媒(水)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、チタン系架橋剤(マツモトファインケミカル社製「オルガチックスTC400」)60phr(変性ポリビニルアルコール100質量部に対してオルガチックスTC400 60質量部)とを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0082】
[比較例1]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「エクセバールRS-2117」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:26.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0083】
[比較例2]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(三菱ケミカル社製「ゴーセネックスWO320N」)(固形分濃度:2質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:6.5~8.5mPa・s、ケン化度:97.5-99モル%)を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0084】
[比較例3]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製「DポリマーDF-20」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:28.5±3mPa・s、ケン化度:98-99モル%)を溶媒(水)で固形分濃度を2質量%に希釈したものと、アジピン酸ジヒドラジド(東京応化工業社製「ADH」)10phrとを、混合して得られた樹脂溶液を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0085】
[比較例4]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「クラレポバール44-88」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:40.~48.0mPa・s、ケン化度:87.0-89モル%)を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0086】
[比較例5]
<<積層フィルムの製造>>
変性ポリビニルアルコール(クラレ社製「クラレポバール5-98」)(固形分濃度:100質量%、20℃での4質量%水溶液粘度:5.2~6.0mPa・s、ケン化度:98-99モル%)を、基材フィルム(3M社製「マイクロポーラスフィルム」、厚さ30μm)の一方の面に塗工し、100℃で2分間乾燥させることによって、基材フィルム上にコーティング層(厚さ1μm)を形成した。
以上により、基材フィルムに、コーティング層が積層されて構成された積層フィルムを得た。
【0087】
<<積層フィルムの水蒸気透過量の測定>>
上記で得られた実施例1~9、及び、比較例1~5の積層フィルムについて、JIS Z 0208に規定のカップ法により、30℃、97%RHの条件における水蒸気透過量をそれぞれ測定した。測定は、乾燥した20gの塩化カルシウムを入れた透過面積5cm2の容器を用いて実施し、評価開始3時間まで吸湿量から水蒸気透過量を算出した。結果を表1に示す。
【0088】
<<樹脂フィルムの透気抵抗度の測定>>
上記で得られた実施例1~9、及び、比較例1~5の積層フィルムについて、JIS P 8117:2009に規定の王研法により、23℃、50%の条件における、空気の透気抵抗度を測定した。結果を表1に示す。
【0089】
<<積層フィルムの劣化防止効果の評価>>
大きさが5cm×5cmの0.2cm(鉄板)片を10分間水に浸した後、上記の各実施例及び比較例で製造した、大きさが12cm×12cmの積層フィルム又はフィルム同士を重ね合わせて、1900℃の温度で溶着した袋に入れ、内部に二酸化炭素を封入し、包装体とした。
このような包装体を、常圧下、23℃で、5日間保管後、保管中の鉄片を試験片として包装体から取り出し、鉄板片表面の錆の発生を目視により確認した。
<評価基準>
A:金属片表面に錆が全く発生していない。
B:金属片表面の一部に錆が発生している。
C:金属片の全体に錆が発生している。
【0090】
<<耐水性の評価>>
<熱水処理によるコーティング層の水蒸気透過量変化の測定>
上記で得られた実施例1~9、及び、比較例1~5の積層フィルムを、95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で60分間乾燥させた。この熱水処理前後の積層フィルムについて、上記の水蒸気透過量の測定を行い、熱水処理を行う前の積層フィルムの水蒸気透過量に対する割合(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0091】
<熱水処理によるコーティング層の質量変化の測定>
上記で得られた実施例1~9、及び、比較例1~5で得られた樹脂組成物を、アルミカップに流し込み、120分間乾燥させて、厚さ50μmの樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムを95℃の熱水に18時間浸漬し、100℃で60分間乾燥させた。この熱水処理前後の樹脂フィルムについて、質量の測定を行い、熱水処理を行う前の樹脂フィルムの質量に対する割合(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0092】
<水処理によるコーティング層の質量変化の測定>
上記で得られた実施例1~9、及び、比較例1~5で得られた樹脂組成物を、アルミカップに流し込み、120分間乾燥させて、厚さ50μmの樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムを25℃の水に18時間浸漬し、100℃で60分間乾燥させた。この水処理前後の樹脂フィルムについて、質量の測定を行い、水処理を行う前の樹脂フィルムの質量に対する割合(%)を測定した。結果を表1に示す。
【0093】
【0094】
上記結果から明らかなように、実施例1~9の積層フィルムは、水蒸気透過量が、4000g/m2・day以上であって、空気の透気抵抗度が、5000秒以上であり、金属片の錆の発生が抑制されていた。また、熱水処理後の積層フィルムの水蒸気透過量の、熱水処理前の水蒸気透過量に対する割合が86~112%であり、熱水処理後の積層フィルムの質量の、熱水処理前の質量に対する割合が75~100%であり、水処理後の積層フィルムの質量の、水処理前の質量に対する割合が93~99%であり、コーティング層の水への溶解が抑制されていた。さらに、実施例1~9の積層フィルムは、劣化防止効果も良好であった。
それに対し、比較例1~5の積層フィルムは、熱水処理後の積層フィルムの水蒸気透過量の、熱水処理前の水蒸気透過量に対する割合が125%を超えており、また、熱水処理後の積層フィルムの質量の、熱水処理前の質量に対する割合が0~10%であり、コーティング層の全部又は殆どが熱水に溶解していた。また、比較例4の積層フィルムは、水処理後の積層フィルムの質量の、水処理前の質量に対する割合が0%であり、コーティング層の全部が水に溶解していた。また、比較例5の積層フィルムは、水処理後の積層フィルムの質量の、水処理前の質量に対する割合が80%であり、コーティング層の水に対する溶解性が高かった。さらに、比較例4~5の積層フィルムは、劣化防止効果が劣っていた。