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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110726
(43)【公開日】2023-08-09
(54)【発明の名称】自立盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/20 20060101AFI20230802BHJP
   H02B 1/38 20060101ALI20230802BHJP
   H05K 7/00 20060101ALI20230802BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H02B1/20 R
H02B1/38 Z
H05K7/00 B
H05K5/03 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012333
(22)【出願日】2022-01-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 将人
【テーマコード(参考)】
4E352
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
4E352AA05
4E352AA09
4E352BB02
4E352BB12
4E352CC13
4E352CC40
4E352CC43
4E352CC52
4E352CC53
4E352DD07
4E352DD09
4E352DR02
4E352DR25
4E352GG12
4E352GG20
4E352GG25
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360AB09
4E360AB22
4E360AB23
4E360AB64
4E360AC14
4E360AC17
4E360AD01
4E360BA06
4E360BA11
4E360BB04
4E360BB23
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA16
4E360EA24
4E360EB03
4E360EC03
4E360EC11
4E360EC13
4E360EC16
4E360ED07
4E360ED27
4E360ED30
4E360GA03
4E360GA08
4E360GA12
4E360GA46
4E360GA52
4E360GB94
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC04
4E360GC08
5G016CC01
(57)【要約】
【課題】スライド扉を有し、扉の前方に開閉空間を必要とせず、かつ配線経路及び配線長の変化を抑制する自立盤を提供する。
【解決手段】本実施形態による自立盤は、少なくとも側板と開口部とを有する盤本体と、盤本体に対してスライドすることにより開口部を開閉するスライド扉と、スライド扉の内面に位置する機器と、機器から盤本体の内部に延びる配線と、スライド扉の内面に固定された第1ガイドレールと、第1ガイドレールに沿って移動自在であり、配線を保持する第1可動部材と、側板の内面に固定された第2ガイドレールと、第2ガイドレールに沿って移動自在であり、配線を保持する第2可動部材とを備え、スライド扉を開閉したとき、第1可動部材及び第2可動部材は、それぞれ配線を保持した状態で第1ガイドレール及び第2ガイドレールに沿って移動する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも側板と開口部とを有する盤本体と、
前記盤本体に対してスライドすることにより前記開口部を開閉するスライド扉と、
前記スライド扉の内面に位置する機器と、
前記機器から前記盤本体の内部に延びる配線と、
前記スライド扉の内面に固定された第1ガイドレールと、
前記第1ガイドレールに沿って移動自在であり、前記配線を保持する第1可動部材と、
前記側板の内面に固定された第2ガイドレールと、
前記第2ガイドレールに沿って移動自在であり、前記配線を保持する第2可動部材とを備え、
前記スライド扉を開閉したとき、前記第1可動部材及び前記第2可動部材は、それぞれ前記配線を保持した状態で前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールに沿って移動する、自立盤。
【請求項2】
前記配線は、前記第2可動部材に対して前記第1可動部材よりも遠い側において、前記側板に固定されている、請求項1に記載の自立盤。
【請求項3】
前記配線は、前記第1可動部材に対して相対移動可能である、請求項1又は2に記載の自立盤。
【請求項4】
前記配線は、前記第2可動部材に対して相対移動可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載の自立盤。
【請求項5】
前記第1ガイドレールは、下方に向かって湾曲する弧状形状を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の自立盤。
【請求項6】
前記スライド扉を開閉したとき、前記第2可動部材は、前記第1可動部材に連動して上下方向に移動する、請求項1~5のいずれか一項に記載の自立盤。
【請求項7】
前記スライド扉を支持する車輪をさらに備え、前記車輪は前記スライド扉に収納可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載の自立盤。
【請求項8】
前記スライド扉を、前記開口部に対して前後方向に移動させるスライド機構をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の自立盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自立盤に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外又は屋外に設置される自立盤において、片開き又は両開きの盤扉は、盤扉の前方に開閉空間を必要とする。このため自立盤を設置する場所が制約される。従来、スライド扉や巻取シャッター式の扉を設けることで、盤扉の前方における開閉空間を低減することが知られている。
【0003】
自立盤のスライド扉にボタンや計器等の機器を設ける場合、機器には、配線が接続される。しかしながら、このような配線が余長なくスライド扉や盤に固定されていると、スライド扉の開閉時に配線の経路が変化する。また、このような配線に余長を設けると、スライド扉の開閉時に配線が蛇行し、配線長の変化が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-121248号公報
【特許文献2】特開2014-217139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スライド扉を有し、扉の前方に開閉空間を必要とせず、かつ配線経路及び配線長の変化を抑制する自立盤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態による自立盤は、少なくとも側板と開口部とを有する盤本体と、前記盤本体に対してスライドすることにより前記開口部を開閉するスライド扉と、前記スライド扉の内面に位置する機器と、前記機器から前記盤本体の内部に延びる配線と、前記スライド扉の内面に固定された第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールに沿って移動自在であり、前記配線を保持する第1可動部材と、前記側板の内面に固定された第2ガイドレールと、前記第2ガイドレールに沿って移動自在であり、前記配線を保持する第2可動部材とを備え、前記スライド扉を開閉したとき、前記第1可動部材及び前記第2可動部材は、それぞれ前記配線を保持した状態で前記第1ガイドレール及び前記第2ガイドレールに沿って移動する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による自立盤を示す斜視図。
図2】一実施形態による、閉じた状態の自立盤の内部を後側から見た斜視図。
図3】一実施形態による、開閉中の自立盤の内部を後側から見た斜視図。
図4】一実施形態による、開いた状態の自立盤の内部を後側から見た斜視図。
図5】車輪が取り付けられた変形例による、自立盤を示す斜視図。
図6】スライド機構が取り付けられた変形例による、自立盤の閉じた状態を示す平面図。
図7】スライド機構が取り付けられた変形例による、自立盤の開閉中の状態を示す平面図。
図8】スライド機構が取り付けられた変形例による、自立盤の開いた状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
図1は、一実施形態による自立盤を概略的に示す斜視図である。図1に示されるように、自立盤1は、設置面S上に自立している。自立盤1は、例えば直方体状の形状を有している。自立盤1は、電気機器に用いられる電気を制御するものであっても良い。自立盤1としては、受電した電気を変圧して配る配電盤や、電気を分けて電気機器に供給する分電盤や、電気機器の駆動を目的とした電気を供給する動力盤や、電気機器の入出力を制御する制御盤等が例示される。また電気機器としては、モータ、ポンプ、ブロワ等が例示される。自立盤1は、例えば、上下水道処理場等の水処理施設や、ダム等の貯水施設に配置することができる。自立盤1は、屋外に設置されてもよいし、屋内に設置されてもよい。
【0010】
本実施形態による自立盤1は、盤本体10と、スライド扉20と、機器30と、配線35と、第1ガイドレール41と、第2ガイドレール42と、第1可動部材51と、第2可動部材52とを備えている。盤本体10は、一対の側板11と、天板14と、背面板15と、底板16と、開口部12とを有する。スライド扉20は、盤本体10に対してスライドすることにより、盤本体10の開口部12を開閉する。機器30は、スライド扉20の内面20aに位置する。配線35は、機器30から盤本体10の内部に延びる。第1ガイドレール41は、スライド扉20の内面20aに固定され、第2ガイドレール42は、側板11の内面11aに固定されている。第1可動部材51及び第2可動部材52は、配線35を保持する。第1可動部材51は、第1ガイドレール41に沿って移動自在である。第2可動部材52は、第2ガイドレール42に沿って移動自在である。スライド扉20を開閉したとき、第1可動部材51及び第2可動部材52は、それぞれ配線35を保持した状態で、第1ガイドレール41及び第2ガイドレール42に沿って移動する。
【0011】
本明細書中において、自立盤1及びその構成要素に対して用いる「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」の用語は、特に指示がない場合、自立盤1を基準とした「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前後方向」、「上下方向」、及び「左右方向」を意味する。
【0012】
「前後方向」とは、「左右」及び「上下」の両方向に直交する方向であり、各図におけるY方向に相当する。「前」側とは、各図におけるY方向マイナス側に相当する。「後」側とは、各図におけるY方向プラス側に相当する。「上下方向」とは、自立盤1の設置面Sに直交する方向であり、各図におけるZ方向に相当する。設置面Sが水平面である場合、「上下方向」とは鉛直方向を指す。「左右方向」とは、「前後」及び「上下」の両方向に直交する方向であり、各図におけるX方向に相当する。「右」側とは、各図におけるX方向プラス側に相当する。「左」側とは、各図におけるX方向マイナス側に相当する。
【0013】
方向の関係を図面間において明確にするため、X方向、Y方向、及びZ方向を、図面間で共通する矢印として示している。各図における矢印の先端側が、各方向のプラス側を意味する。各図における矢印の先端とは反対の側が、各方向のマイナス側を意味する。図6図8において、紙面に垂直な方向に沿って紙面の手前に向かう矢印を、円の中に点を設けた記号により示した。
【0014】
図1に示された例において、自立盤1は、例えば1m以上3m以下の高さ(上下方向における長さ)を有していても良い。自立盤1は、例えば0.5m以上2m以下の幅(左右方向における長さ)を有していても良い。自立盤1は、例えば0.5m以上2m以下の奥行(前後方向における長さ)を有していても良い。
【0015】
図1図4を参照して、自立盤1の構成要素についてさらに説明する。
【0016】
図1に示されるように、盤本体10は、全体として略直方体状の形状を有している。盤本体10は、電気機器に用いられる電気を制御するための回路部品を、自立盤1に収容し、保存する。回路部品として、変圧器、リレー、スイッチ、ヒューズ、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタ、基板等が例示される。なお、自立盤1の構成の理解を容易にするため、自立盤1の斜視図において、内部に収容されている回路部品の記載は、省略されている。
【0017】
盤本体10は、上述したように、一対の側板11と、天板14と、背面板15と、底板16と、開口部12とを有する。一対の側板11は、盤本体10の左右両側に位置する。天板14は、盤本体10の上側に位置する。天板14は、盤本体10の上側に位置する。背面板15は、盤本体10の後側に位置する。底板16は、盤本体10の下側に位置する。開口部12は、盤本体10の前側に位置する。この場合、一対の側板11と天板14と底板16とに取り囲まれることによって、前方に開口部12が形成されている。開口部12は、正面視において(前方からの観察において)長方形形状を有している。開口部12は、自立盤1の操作者が、盤本体10に収容された回路部品にアクセスするときに使用できる。盤本体10は、アルミニウム等の金属製の板状部材を曲げ加工することによって作製されてもよい。盤本体10は、アルミニウム等の金属からなる複数の板状部材を互いに溶接することによって作製されてもよい。
【0018】
側板11、天板14、背面板15及び底板16は、それぞれ板状の部材である。このうち側板11は、内面11a及び外面11bを有している。側板11における内面11aとは、自立盤1の内部空間を形成する側の面を意味する。図1に示された例において、内面11aは、一対の側板11に互いに対向する側の面である。外面11bは、内面11aの反対側の面であり、盤本体10の外方を向く面である。なお側板11は、少なくとも1つ設けられていれば良い。
【0019】
スライド扉20は、側板11に取り付けられている。スライド扉20は、直方体状の形状を有している。スライド扉20は、閉状態において開口部12を前方から覆うことができる高さ(上下方向における長さ)及び幅(左右方向における長さ)を有している。スライド扉20は、ある程度の奥行(前後方向における長さ)を有していてもよい。スライド扉20は、盤本体10に対してスライドすることにより、開口部12を開閉する。図1に示されるように、スライド扉20は、盤本体10に対して左右方向にスライド可能である。図1に示された例において、スライドするスライド扉20は、左右方向における右側の側板11を横切る。詳しくは後述するように、スライド扉20を盤本体10に対して左右方向における右側に移動させることで、開口部12を開くことができる。自立盤1の使用者は、スライド扉20に設けられた取手21を把持することで、スライド扉20をスライド可能である。スライド扉20は、アルミニウム等の金属製の板状部材を曲げ加工することによって作製されてもよい。
【0020】
スライド扉20は、内面20a及び外面20bを有している。スライド扉20における内面20aとは、スライド扉20が閉まった状態において、自立盤1の内部空間を形成する面を意味する。これに対して、スライド扉20における外面20bとは、スライド扉20が閉まった状態において、自立盤1の外観の一部を形成する面を意味する。
【0021】
機器30は、スライド扉20の内面20aに位置する。機器30は、スライド扉20を貫通して設けられていても良い。機器30は、自立盤1の使用者によって、スライド扉20の外面20bから観察されても良い。機器30は、スライド扉20が閉まった状態においても、自立盤1に収容された回路部品や、回路部品に電気的に接続された電気機器の制御及び観測を可能にする。機器30としては、指示計、ランプ、ボタン、スイッチ等が例示される。指示計は、回路の電流、電圧、電力、周波数等を計測する。指示計やランプは、自立盤1に収容された回路部品や、回路部品に電気的に接続された電気機器の状態を外部に示す。スライド扉20の内面20aに、指示計やランプ等の機器30が設けられることで、自立盤1の使用者は、スライド扉20が閉まった状態であっても、回路部品や、回路部品が接続された電気機器の状態を観察できる。ボタンやスイッチは、自立盤1に収容された回路部品を介して、回路部品に電気的に接続された電気機器の操作を可能にする。スライド扉20の内面20aに、ボタンやスイッチ等の機器30が設けられることで、自立盤1の使用者は、スライド扉20が閉まった状態であっても、回路部品や、回路部品が接続された電気機器を操作できる。図1に示されるスライド扉20において、左右方向における右側には、2つのランプが設けられている。また、左右方向における左側には、指示計及びボタンが設けられている。さらに、指示計は、ボタンよりも上方に設けられている。
【0022】
図2に示されるように、スライド扉20の内面20aに取り付けられた機器30は、スライド扉20の内面20aよりも後方に突出している。
【0023】
図2に示されるように、機器30から盤本体10の内部に向けて配線35が延びている。配線35は、機器30と盤本体10内の回路部品とを電気的に接続する。各機器30から下方に延びた複数の配線35は、スライド扉20に設けられた配線固定部36において、束ねられる。束ねられた配線35は、配線固定部36の下方に位置する引出点Pと、図示しない盤本体10内の回路部品との間に延びている。詳しくは後述するように、配線35は、機器30及び回路部品間において、第1可動部材51及び第2可動部材52に保持されている。配線35としては、機器30と盤本体10内の回路部品とを電気的に接続する材料であれば、いかなる材料を用いることもできるが、例えば銅製のリード線等を用いることができる。
【0024】
第1ガイドレール41は、スライド扉20の内面20aに固定されている。第1ガイドレール41は、後述する第1可動部材51の移動経路を規定する。第1ガイドレール41は、左右方向において、ある程度の長さを有している。第1ガイドレール41は、上下方向において、ある程度の長さを有していてもよい。第1ガイドレール41は、前後方向における後側に突出していてもよい。
【0025】
図2に示されるように、第1ガイドレール41は、下方に向かって湾曲する弧状形状を有していてもよい。図示された例において、第1ガイドレール41は、配線35の引出点Pを中心とし、引出点P及び第1可動部材51間の距離LPを半径とする円弧形状を有している。このような形状を有する第1ガイドレール41に沿って、第1可動部材51が移動する場合、引出点P及び第1可動部材51間の距離の変動は、抑制される。とりわけ、引出点Pと、第1ガイドレール41に沿って移動する第1可動部材51との間の距離が実質的に一定になることが好ましい。
【0026】
第1可動部材51は、第1ガイドレール41に取り付けられている。第1可動部材51は、配線35を保持する。第1可動部材51は、スライド扉20の内面20aに固定された第1ガイドレール41に沿って、移動自在である。したがって、第1可動部材51は、スライド扉20の内面20aに沿って移動自在である。
【0027】
第1可動部材51は、配線35を保持した状態で、第1ガイドレール41に沿って移動する。第1可動部材51は、スライド扉20に対して、第1ガイドレール41に沿って左右方向に相対移動可能である。第1可動部材51は、図2図4に示されるように、スライド扉20に対して、第1ガイドレール41に沿って上下方向に相対移動可能である。図2に示された例において、第1可動部材51は、第1ガイドレール41に沿った可動領域の右側(紙面の左側)端部に位置している。図4に示された例において、第1可動部材51は、第1ガイドレール41に沿った可動領域の左側(紙面の右側)端部に位置している。
【0028】
第1ガイドレール41に取り付けられた第1可動部材51は、前後方向における後側に突出していてもよい。第1可動部材51は、配線35を保持可能であれば、例えば樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。第1可動部材51は、例えば、配線35を挿入可能なリング状の部分を有しており、この部分において、配線35を保持してもよい。
【0029】
第2ガイドレール42は、開閉時にスライド扉20が横切る側(左側)の側板11の内面11aに固定されている。第2ガイドレール42は、上下方向に沿って延びている。第2ガイドレール42は、後述する第2可動部材52の移動経路を規定する。第2ガイドレール42は、上下方向において、ある程度の長さを有している。第2ガイドレール42は、前後方向にも、ある程度の長さを有していてもよい。第2ガイドレール42としては、例えば金属製のレールを用いることができる。
【0030】
第2可動部材52は、第2ガイドレール42に取り付けられている。第2可動部材52は、配線35を保持する。第2可動部材52は、側板11の内面11aに固定された第2ガイドレール42に沿って、移動自在である。したがって、第2可動部材52は、側板11の内面11aに沿って移動自在である。
【0031】
第2可動部材52は、配線35を保持した状態で、第2ガイドレール42に沿って移動する。第2可動部材52は、第2ガイドレール42に沿って上下方向に相対移動可能である。第2可動部材52は、第2ガイドレール42に沿って前後方向に相対移動可能であってもよい。図2及び図4に示された例において、第2可動部材52は、第2ガイドレール42に沿った可動領域の上端部に位置している。
【0032】
配線35は、第2可動部材52に対して第1可動部材51よりも遠い側(Y方向プラス側)において、側板11に固定されている。図2に示された例において、第2ガイドレール42が固定された側板11の内面11aには、配線35を固定する固定部材60が設けられている。固定部材60は、第2可動部材52よりも後方に位置する。すなわち、固定部材60は、第2可動部材52よりも、第1可動部材51から離間している。固定部材60としては、側板11の内面11aに固定され、配線35を結束可能な結束バンド等が例示される。
【0033】
次に、図2図4を参照して、このような構成からなる本実施形態の作用について説明する。具体的には、スライド扉20をスライドさせることで、盤本体10の開口部12を開く方法について説明する。
【0034】
まず、上述した自立盤1において、盤本体10には、回路部品が収容されている。配線35は、この回路部品と、スライド扉20の内面20aに位置する機器30とを、電気的に接続している。図2に示されるように、スライド扉20が閉じられた状態において、開口部12は、前後方向における前側から覆われている。スライド扉20が閉じられた状態において、第1可動部材51及び第2可動部材52は、配線35を保持している。図2において、第1可動部材51は第1ガイドレール41の一端(右端)に位置しても良い。このとき第2可動部材52は、第2ガイドレール42の上端に位置しても良い。
【0035】
次に、自立盤1の使用者は、スライド扉20を盤本体10に対してスライドさせることにより、開口部12を開く。自立盤1の使用者は、例えばスライド扉20の外面20bに設けられた取手21を操作することで、スライド扉20をスライドできる。
【0036】
図3に示すように、開口部12は、スライド扉20が盤本体10に対して左右方向における右側(紙面の左側)に相対移動していくことで、開かれていく。スライド扉20が、左右方向における右側(紙面の左側)に移動していくと、自立盤1は、図2に示された状態から、図3に示された状態に移行する。開口部12が開かれていくとき、第1可動部材51は、スライド扉20に対して、第1ガイドレール41に沿って相対移動する。図3に示される第1可動部材51は、図2に示される第1可動部材51と比較して、スライド扉20に対して、左右方向における左側(紙面の右側)及び下方に相対移動している。図3において、第1可動部材51は第1ガイドレール41の長手方向中央に位置する。このようにして開口部12が開かれていくとき、第2可動部材52は、第2ガイドレール42に沿って相対移動する。図3に示される第2可動部材52は、図2に示される第2可動部材52と比較して、スライド扉20に対して、下方に相対移動している。このとき第2可動部材52は、第2ガイドレール42の下端に位置しても良い。
【0037】
スライド扉20が、図3に示された状態から、さらに左右方向における右側(紙面の左側)に移動していくと、自立盤1は、図4に示された状態となる。図4に示された例において、スライド扉20は、左右方向における最も右側(紙面の左側)に位置している。図4に示された状態において、開口部12は、最も開かれている。開口部12が開かれていくとき、第1可動部材51は、スライド扉20に対して、第1ガイドレール41に沿って相対移動する。図4に示される第1可動部材51は、図3に示される第1可動部材51と比較して、スライド扉20に対して、左右方向における左側(紙面の右側)及び上方に相対移動している。図4において、第1可動部材51は第1ガイドレール41の他端(左端)に位置しても良い。開口部12が開かれていくとき、第2可動部材52は、スライド扉20に対して、第2ガイドレール42に沿って相対移動する。図4に示される第2可動部材52は、図3に示される第2可動部材52と比較して、スライド扉20に対して、上方に相対移動している。このとき第2可動部材52は、第2ガイドレール42の上端に位置しても良い。
【0038】
このようにして、盤本体10の開口部12が開かれる。自立盤1の使用者は、上述した手順とは逆の手順を取ることにより、スライド扉20を盤本体10に対してスライドさせ、開口部12を閉じることができる。
【0039】
ところで、スライド扉を有する自立盤に機器を設ける場合、機器には、配線が接続される。このような配線が余長なく(余裕を持った長さがなく)スライド扉や盤に固定されると、スライド扉の開閉時に配線経路が変化する問題がある。また、このような配線に余長を設けると、スライド扉の開閉時に配線が蛇行し、配線長が変化するという問題がある。
【0040】
これに対して本実施形態における自立盤1において、第1可動部材51は、スライド扉20の内面20aに固定された第1ガイドレール41に沿って移動自在である。第1可動部材51は、スライド扉20の相対移動に合わせて、配線35を保持した状態で第1ガイドレール41に沿って移動する。また、第2可動部材52は、側板11の内面11aに固定された第2ガイドレール42に沿って移動自在である。第2可動部材52は、スライド扉20の相対移動に合わせて、配線35を保持した状態で第2ガイドレール42に沿って移動する。
【0041】
このような具体例によれば、機器30と、盤本体10内の回路部品とを電気的に接続する配線35は、スライド扉20の開閉状態に関わらず、少なくとも第1可動部材51及び第2可動部材52を経由するようになる。このため、機器30と、盤本体10内の回路部品との間において、スライド扉20の開閉によって配線35の経路が大きく変化することを抑制できる。また、配線35の経路は、スライド扉20が開閉動作を繰り返しても、少なくとも第1可動部材51及び第2可動部材52を経由する。このため、スライド扉20を開閉するたびに配線35の経路が大きく変化することを、抑制できる。
【0042】
また、このような具体例によれば、配線35は、スライド扉20の開閉状態に関わらず、少なくとも第1可動部材51に保持されている部分において、スライド扉20の内面20aに沿うようになる。これにより、少なくとも第1可動部材51付近において、スライド扉20の内面20aの法線方向、すなわち図2図4における前後方向への配線35の移動が抑制される。したがって、配線35に余長が設けられた場合であっても、盤本体10内における配線35の前後方向への蛇行を抑制できる。同様に、配線35は、スライド扉20の開閉状態に関わらず、少なくとも第2可動部材52に保持されている部分において、側板11の内面11aに沿うようになる。これにより、少なくとも第2可動部材52付近において、側板11の内面11aの法線方向、すなわち図2図4における左右方向への配線35の移動が抑制される。したがって、配線35に余長が設けられた場合であっても、盤本体10内における配線35の左右方向への蛇行を抑制できる。
【0043】
結果として、このような具体例によれば、スライド扉20のスライドによる、配線経路及び配線長の変化を抑制できる。
【0044】
本実施形態において、スライド扉20を開閉したとき、第2可動部材52は、第1可動部材51に連動して上下方向に移動する。この場合、スライド扉20の開閉状態に関わらず、第1可動部材51及び第2可動部材52間の距離変動を抑制できる。これにより、スライド扉20の開閉により、第1可動部材51及び第2可動部材52間に生じる、配線長の変化を抑制できる。
【0045】
本実施形態において、配線35は、第2可動部材52に対して第1可動部材51よりも遠い側において、側板11に固定されている。図2図4に示されるように、配線35は、固定部材60によって固定されている。この場合、配線35は、固定部材60付近、及び固定部材60よりも第2可動部材52から遠い側の部分において、盤本体10に対する相対移動を抑制される。これにより、固定部材60と、盤本体10内に収容された回路部品との間における、配線経路及び配線長の変化を抑制できる。
【0046】
本実施形態において、配線35は、第1可動部材51に対して相対移動可能であってもよい。例えば、第1可動部材51がリング状であり、配線35は、リング状の第1可動部材51内を摺動可能であってもよい。このような具体例によれば、配線35は、引出点Pと、第1ガイドレール41に沿って移動する第1可動部材51との間の距離の変動に合わせて、機器30から離間する側へ移動できる。これにより、スライド扉20のスライドによって生じる、スライド扉20の内面20aの法線方向、すなわち図2図4における前後方向への配線35の蛇行が抑制される。したがって、スライド扉20の内面20aに沿った部分において、配線長の変化を抑制できる。
【0047】
本実施形態において、配線35は、第2可動部材52に対して相対移動可能であってもよい。例えば、第2可動部材52がリング状であり、配線35は、リング状の第2可動部材52内を摺動可能であってもよい。このような具体例によれば、配線35は、第1ガイドレール41に沿って移動する第1可動部材51と、第2ガイドレール42に沿って移動する第2可動部材52との間の距離の変動に合わせて、機器30から離間する側へ移動できる。これにより、側板11の内面11aの法線方向、すなわち図2図4における左右方向への配線35の蛇行が抑制される。したがって、側板11の内面11aに沿った部分において、配線長の変化を抑制できる。
【0048】
本実施形態において、第1ガイドレール41は、下方に向かって湾曲する弧状形状を有している。このような具体例によれば、引出点P及び第1可動部材51間の距離変動が抑制される。これにより、スライド扉20のスライドによって生じる、スライド扉20の内面20aの法線方向、すなわち図2図4における前後方向への配線35の蛇行が、より効果的に抑制される。したがって、スライド扉20の内面20aに沿った部分において、配線長の変化をより効果的に抑制できる。
【0049】
(変形例)
次に、図5図8を参照して、本実施形態の各種変形例について説明する。
【0050】
図5に示されるように、自立盤1は、スライド扉20を支持する車輪70をさらに有していてもよい。車輪70は、スライド扉20の下端部に設けられている。一般に、スライド扉20がスライドしていくと、スライド扉20が盤本体10に対して左右方向に張り出していく。この結果、盤本体10によるスライド扉20の支持は、困難になっていく。これに対して、このような具体例によれば、スライド扉20とともに、盤本体10に対してスライドする車輪70によって、スライド扉20の開閉状態に関わらず、スライド扉20を支持できる。これにより、スライド扉20を安定的に支持できる。このような具体例は、大型化等によって重量の増加したスライド扉を有する自立盤1において、とりわけ好適である。
【0051】
図5に示されるように、車輪70は、スライド扉20に収納可能であってもよい。車輪70は、未使用の状態において、スライド扉20内、すなわち図5において破線によって示された位置に収容されている。車輪70は、使用するとき、スライド扉20から設置面Sに向けて下降する。このような具体例によれば、車輪70を未使用の状態において、車輪70及び設置面S間の接触を回避できる。これにより、車輪70を未使用の状態において、スライド扉20を盤本体10に対して容易にスライドできる。
【0052】
また、図6図8に示されるように、自立盤1は、スライド扉20を、開口部12に対して前後方向に移動させるスライド機構80をさらに有していてもよい。スライド機構80は、自立盤1に複数設けられてもよい。図6図8に示された例において、2つのスライド機構80が、自立盤1の上端部に設けられている。スライド機構80は、自立盤1の下端部に設けられてもよい。
【0053】
スライド機構80は、可動アーム81と、スライドレール82とを有している。可動アーム81は、スライド金具83を介して、スライドレール82に接続されている。
【0054】
可動アーム81は、スライド扉20及び盤本体10のいずれか一方に、回動可能に取り付けられている。図6図8に示された例において、左右方向における右側(紙面の左側)の可動アーム81は、盤本体10に回動可能に取り付けられている。また、左右方向における左側(紙面の右側)の可動アーム81は、スライド扉20に回動可能に取り付けられている。スライド扉20を開くとき、可動アーム81は、前後方向に対して平面視において傾斜した状態(図6に示された状態)から、前後方向に平行な状態(図7に示された状態)へと回動する。可動アーム81のこのような動作により、スライド機構80は、スライド扉20を開口部12に対して前方に移動させる。
【0055】
スライドレール82は、スライド扉20のスライド方向に延びている。スライドレール82は、スライド扉20及び盤本体10のいずれか一方に固定されている。図6図8に示された例において、前方(紙面の上方)のスライドレール82は、スライド扉20に固定されている。また、後方(紙面の下方)のスライドレール82は、盤本体10に固定されている。スライド扉20は、図7に示された状態から、スライドレール82の延びる方向に沿って、盤本体10に対して相対移動していく。スライド扉20に固定されたスライドレール82は、盤本体10に固定された可動アーム81に接続された状態で、左右方向における右側(紙面の左側)にスライドしていく。同時に、スライド扉20に固定された可動アーム81は、盤本体10に固定されているスライドレール82に沿って、左右方向に移動する。このようにして、図8に示されるように、盤本体10の開口部12が開かれる。図7及び図8において、閉じた状態におけるスライド扉20の前後方向における位置が、二点鎖線によって示されている。
【0056】
自立盤1の使用者は、上述した手順とは逆の手順を取ることにより、スライド扉20を盤本体10に対してスライドさせ、開口部12を閉じることができる。開口部12を閉じる際に、スライド機構80は、スライド扉20を開口部12に対して後方に移動させる。
【0057】
このような具体例によれば、図7及び図8における二点鎖線によって示されるように、開口部12を閉じた状態におけるスライド扉20は、盤本体10に対してスライドするスライド扉20よりも後方に位置する。すなわち、開口部12を閉じた状態における自立盤1の奥行(前後方向における長さ)を低減できる。また、スライド扉20の内面20aに設けられた機器30、配線35、配線固定部36、第1ガイドレール41、第1可動部材51等の部材も、スライド扉20とともに前後方向に移動する。これにより、これらの部材は、図7及び図8に示されるように、前後方向において、盤本体10及びスライド扉20間に位置するようになる。したがって、スライド扉20の内面20aに設けられた部材と、盤本体10との接触を回避できる。結果として、スライド扉20を容易にスライドでき、開口部12を容易に開閉できる。
【0058】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で、実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
1・・・自立盤、10・・・盤本体、11・・・側板、11a・・・内面(側板)、11b・・・外面(側板)、12・・・開口部、20・・・スライド扉、20a・・・内面(スライド扉)、20b・・・外面(スライド扉)、21・・・取手、30・・・機器、35・・・配線、36・・・配線固定部、41・・・第1ガイドレール、42・・・第2ガイドレール、51・・・第1可動部材、52・・・第2可動部材、60・・・固定部材、70・・・車輪、80・・・スライド機構、81・・・可動アーム、82・・・スライドレール、83・・・スライド金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8