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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023110932
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】セメント固着抑制剤
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/38 20060101AFI20230803BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20230803BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20230803BHJP
   C04B 24/04 20060101ALI20230803BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20230803BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C04B24/38 C
C04B14/28
C04B24/06 A
C04B24/04
C04B24/26 E
C09K3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012468
(22)【出願日】2022-01-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) ▲1▼ ウェブサイトの掲載日 令和03年(2021年)06月01日 ▲2▼ ウェブサイトのアドレス https://www.takecite.technology/_files/ugd/2770d2_f9bf694e16d0466ea85759176dd802f9.pdf ▲3▼ 公開者 タケ・サイト株式会社(静岡県静岡市駿河区敷地一丁目3番35号) ▲4▼ 公開された発明の内容 タケ・サイト株式会社が、上記アドレスのウェブサイトにて、武田雅成が発明したセメント固着抑制剤を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】517390074
【氏名又は名称】タケ・サイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅成
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MD00
(57)【要約】
【課題】 例えば、コンクリートポンプ車のホッパの内面に生コンクリートが固着することを抑制することが可能なセメント固着抑制剤を提供すること。
【解決手段】 本願発明によるセメント固着抑制剤は、セルロースナノファイバを添加してなるものであり、例えば、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内周面に塗布した場合には、セメントの固着を抑制することができる。
又、炭酸カルシウムを主成分とするものである。
又、上記炭酸カルシウムはその全部又は一部が生コンスラッジ回収炭酸カルシウムであるものである。
又、セルロースナノファイバの添加量が0.5重量%以上であるものである。
又、遅延剤が添加されているものである。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースナノファイバを添加してなることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項2】
請求項1記載のセメント固着抑制剤において、
炭酸カルシウムを主成分とすることを特徴とするものである。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のセメント固着抑制剤において、
上記炭酸カルシウムはその全部又は一部が生コンスラッジ回収炭酸カルシウムであることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、
セルロースナノファイバの添加量が0.5重量%以上であることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、
遅延剤が添加されていることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項6】
請求項5記載のセメント固着抑制剤において、
上記遅延剤はアスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリカルボン酸、ロッシェル酸、コルソルビン酸の少なくとも一つであることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項7】
請求項6記載のセメント固着抑制剤において、
上記遅延剤の添加量が0.05重量%以上であることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、
コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内面に塗布されるものであることを特徴とするセメント固着抑制剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント固着抑制剤に係り、特に、セルロースナノファイバ(CNF:Celulous Nano Fiber)を使用することにより、セメント固着を効果的に抑制することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートポンプ車は概略次のような構成になっている。まず、車両本体があり、この車両本体の後端部にはコンクリートホッパが搭載されている。上記コンクリートホッパの前方にはコンクリートポンプが搭載されている。上記コンクリートポンプにはポンピングチューブが圧縮可能に取り付けられている。上記ポンピングチューブの一端は上記コンクリートホッパ側に接続されていて他端はコンクリート輸送管に接続されている。
【0003】
上記コンクリートホッパ内には生コンクリートが投入される。上記コンクリートポンプを駆動して上記ポンピングチューブを圧縮することにより、上記コンクリートホッパ内の生コンクリートをポンピングチューブ、コンクリート輸送管を介して所定の場所まで圧送する。
【0004】
ところで、上記コンクリートホッパの内面に生コンクリートが固着してしまうという問題があった。その問題を解決するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。
【0005】
まず、特許文献1に記載された潤滑油組成物は、動物油脂及び又は植物油脂と、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類の非イオン性界面活性剤とを含有する離型油であって、離型油がアスファルト混合物付着防止剤組成物又はコンクリート離型剤組成物であることを特徴とするものである。
【0006】
次に、特許文献2に記載された金属面へのセメント付着物防止剤は、ポリヒドロキシカルボン酸エステルを有することを特徴とするものである。
【0007】
さらに、特許文献3に記載されたセメント固着抑制剤は、凝縮遅延剤と増粘剤を備えたものであって、増粘剤としてセルロース誘導体系増粘剤、天然多糖系増粘剤の少なくとも一方を使用したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4205585号公報
【特許文献2】特許第3140565号公報
【特許文献3】特許第6571826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の構成によると、一定の固着抑制効果はあるものの決して十分とはいえずさらなる性能の向上が要求されていた。
【0010】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、例えば、コンクリートポンプ車のホッパの内面に生コンクリートが固着することを抑制することが可能なセメント固着抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるセメント固着抑制剤は、セルロースナノファイバを添加してなることを特徴とするものである。
又、請求項2によるセメント固着抑制剤は、請求項1記載のセメント固着抑制剤において、炭酸カルシウムを主成分とすることを特徴とするものである。
又、請求項3によるセメント固着抑制剤は、請求項1又は請求項2記載のセメント固着抑制剤において、上記炭酸カルシウムはその全部又は一部が生コンスラッジ回収炭酸カルシウムであることを特徴とするものである。
又、請求項4によるセメント固着抑制剤は、請求項1~請求項3の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、セルロースナノファイバの添加量が0.5重量%以上であることを特徴とするものである。
又、請求項5によるセメント固着抑制剤は、請求項1~請求項4の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、遅延剤が添加されていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるセメント固着抑制剤は、請求項5記載のセメント固着抑制剤において、上記遅延剤はアスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリカルボン酸、ロッシェル酸、コルソルビン酸の少なくとも一つであることを特徴とするものである。
又、請求項7によるセメント固着抑制剤は、請求項6記載のセメント固着抑制剤において、上記遅延剤の添加量が0.05重量%以上であることを特徴とするものである。
又、請求項8によるセメント固着抑制剤は、請求項1~請求項7の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内面に塗布されるものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように本願発明の請求項1によるセメント固着抑制剤によると、セルロースナノファイバを添加してなる構成であるので、例えば、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内周面に塗布した場合には、セメントの固着を抑制することができる。
又、請求項2によるセメント固着抑制剤によると、請求項1記載のセメント固着抑制剤において、炭酸カルシウムを主成分とするものであり、それによって、上記効果を高めることができる。
又、請求項3によるセメント固着抑制剤によると、請求項1又は請求項2記載のセメント固着抑制剤において、上記炭酸カルシウムはその全部又は一部が生コンスラッジ回収炭酸カルシウムであるので、上記効果を高めることができるとともに廃棄物の有効利用を図ることができる。
又、請求項4によるセメント固着抑制剤によると、請求項1~請求項3の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、セルロースナノファイバの添加量が0.5重量%以上であるので、上記効果を確実なものとすることができる。
又、請求項5によるセメント固着抑制剤によると、請求項1~請求項4の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、遅延剤が添加されているので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項6によるセメント固着抑制剤によると、請求項5記載のセメント固着抑制剤において、上記遅延剤はアスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリカルボン酸、ロッシェル酸、コルソルビン酸の少なくとも一つであるこので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項7によるセメント固着抑制剤によると、請求項6記載のセメント固着抑制剤において、上記遅延剤の添加量が0.05重量%以上であるので、上記効果をより確実なものとすることができる。
又、請求項8によるセメント固着抑制剤によると、請求項1~請求項7の何れかに記載のセメント固着抑制剤において、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内面に塗布されるものであることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態を示す図で、コンクリートポンプ車の側面図である。
図2】本発明の一実施の形態を示す図で、コンクリートポンプ車の平面図である。
図3】本発明の一実施の形態を示す図で、生コンクリート工場で発生する生コンスラッジから生コンスラッジ回収炭酸カルシウムを製造する工程を示す系統図である。
図4】本発明の一実施の形態を示す図で、効果を示す子クリートホッパ内部の写真である。
図5】比較例を示す図で、コンクリートホッパ内部の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図1乃至図5を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
まず、コンクリートポンプ車1の構成であるが、例えば、実開昭61-31936号公報に記載されているような構成をなしていて、図1図2に示すように、車両本体3があり、この車両本体3はシャシ5を備えていて、このシャシ5の前端には運転席7が設置されている。又、上記シャシ5の後端にはコンクリートホッパ9が設置されている。
【0015】
上記シャシ5であって上記コンクリートホッパ9の側方にはコンクリートポンプ11が設置されている。上記コンクリートポンプ11にはポンピングチューブ13が設置されていて、このポンピングチューブ13の一端は上記コンクリートホッパ9のコンクリート吐出口に接続されている。上記ポンピングチューブ13の他端にはコンクリート輸送管15が接続されている。
【0016】
上記シャシ5にはブーム17が伸縮自在に設置されていて、このブーム17は、第1アーム19、第2アーム21、第3アーム23とから構成されている。上記コンクリート輸送管15は上記第3アーム23の根元まで延長されている。図2に示すように、上記第3アーム23の根元からは別のコンクリート輸送管25が繰り出されていて上記第3アーム23の先端まで延長されている。そして、上記第3アーム23の先端からはさらに別のコンクリート輸送管25が繰り出されている。
【0017】
上記ブーム17を伸ばすことにより上記コンクリート輸送管25を所望の高さまで持ち上げてその先端から生コンクリートを打設する。
【0018】
上記シャシ5の上には水タンク31、油タンク33が設置されているとともに制御盤35が設置されている。
【0019】
上記コンクリートホッパ9の内周面にはセメント固着抑制剤41が塗布されている。このセメント固着抑制剤41は、水に、炭酸カルシウム(CaCO)、セルロースナノファイバ、ペーパースラッジ、遅延剤を添加したものである。
【0020】
まず、上記炭酸カルシウムであるが、多孔質炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、から構成されている。
上記多孔質炭酸カルシウムは、例えば、生コンクリート工場から発生する生コンスラッジを処理して粒度調整、成分調整を行ったものである。この多孔質炭酸カルシウムは粒子の角が丸くなっているため潤滑効果(ベアリング効果)があり、又、多孔質であるため吸水性能が高く、セメント固着抑制剤41自体の流動性に寄与する。
尚、上記生コンスラッジとは、例えば、生コンクリートミキサー車の洗浄やトラックアジテータのドラムの洗浄によってスラッジ水が発生し、このスラッジ水や戻りコンクリート・残りコンクリートから骨材を回収した残さのことである。
【0021】
上記ハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウムも、例えば、生コンクリート工場から発生する生コンスラッジを処理して粒度調整、成分調整を行ったものであり、粉末度が高くハイドロタルサイトとカルサイトのみの成分からできている微粉末である。このハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウムは粘土鉱物と同じ作用があり、本実施の形態におけるセメント固着抑制剤41においては粘土調整の役割を担っているとともに材料分離抑制にも寄与する。
上記ハイドロタルサイトは、一般式[M2+1-x3+(OH)][An-x/n・mHO]で表される化合物の一つである。M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-x/nは層間陰イオン、をそれぞれ表している。又、0<x<1であり、nはAの価数、0≦m≦1である。
【0022】
上記多孔質炭酸カルシウムと上記ハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウムは、例えば、特許第4501098号公報に記載されている「廃棄物からの有用粒状物の回収方法及び装置」により生産される。図3は特許第4501098号公報に記載されている回収装置の概略の構成を示す系統図である。まず、生コンクリート工場で発生する泥状廃棄物51を沈殿装置53に導入して生コンスラッジを沈殿させる。次に、沈殿した生コンスラッジを取り出して脱水装置55に導入し、含水率が60%以下になるまで脱水処理する。次に、脱水スラッジを取り出して含水率が25%以下になるまで乾燥(自然乾燥或いは機械乾燥)させ、次に、粉砕装置57に導入して粒度が30mm以下になるまで粉砕する。
【0023】
次に、上記粉砕された乾燥スラッジを投入装置59によってサイクロン61に投入し、粒度が250μm又は比表面積が4000cm/g(空気透過式ブレーン測定法)以上になるまで微粉砕する。そして、得られた微粉砕粒子を捕集装置63によって捕集する。上記捕集装置63にはバグフィルタ65、67が二段階にわたって設置されていて、最初のバグフィルタ65によって捕集されるのが上記多孔質炭酸カルシウムであり、二段目のバグフィルタ67によって捕集されるのが上記ハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウムである。これら多孔質炭酸カルシウムとハイドロタルサイト含有多孔質炭酸カルシウムはベルトコンベア69上に落下・捕集される。
【0024】
上記沈降性炭酸カルシウムは合成炭酸カルシウムであり、化学的処理によって粒子形状を均一とされた微粉末炭酸カルシウムである。この沈降性炭酸カルシウムは粒子形状が揃っているので、セメント固着抑制剤41によって潤滑層43を形成する際、その潤滑層43の面を均一で凹凸が少ない面にする作用がある。
【0025】
上記セルロースナノファイバはセルロースの繊維であり、繊維幅を1μmの数百分の1以下のナノオーダーまで微細化した素材であり、一般的には木材から大量に得られる。上記セルロースナノファイバは、軽くて強い、超微細な繊維、比表面積が大きい、熱による寸法変化が小さい、ガスバリア性が高い、水中で特徴的な粘性を示す、環境に優しい、といった特徴点を備えている。
【0026】
上記セルロースナノファイバがセメント固着抑制剤41の中でマトリックス状に広がることにより、水より比重が重い微粒子の沈降防止を図るとともに、セメント固着抑制剤41にチキソ性(一定の圧力が作用することより流体の粘度が下がるとともに一定時間経過すると元の状態に戻る性質)を付与している。それによって、コンクリートホッパ9内においてセメント固着抑制剤41が分塊することを防止し、又、力が加わることにより流動するため搬送速度に順応する効果がある。又、コンクリートホッパ9内に、洗浄不充分なセメントペースト固化体等が残留している場合でも、そのセメントペースト固化体に多量のセメント固着抑制剤41内の水分が持っていかれ閉塞することが懸念されるが、本実施の形態によるセメント固着抑制剤41の場合は、セルロースナノファイバの添加により、コンクリートホッパ9の内周面へのセメント固着抑制剤41の過剰な付着等はなく閉塞を防止することができる
【0027】
上記ペーパースラッジであるが、具体的には、ペーパースラッジ由来のマイクロサイズのセルロースファイバであり、セメント固着抑制剤41においては、生コンクリートとの材料分離に寄与する。
【0028】
上記遅延剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリカルボン酸、ロッシェル酸、コルソルビン酸、等の使用が考えられる。
【0029】
本実施の形態における実施例1の場合には次のような成分比率になっている。
(実施例1)
水 :10.750 kg
生コンスラッジ由来炭酸カルシウム: 2.500 kg
沈殿性炭酸カルシウム : 2.500 kg
ペーパースラッジ : 2.250 kg
セルロースナノファイバ : 0.200 kg
エリソルビン酸ナトリウム : 0.015 kg
この実施例1の場合には、式(1)に示すように、セルロースナノファイバが1.0重量%添加されている。
0.200kg/18.2150kg≒0.011―――(I)
セルロースナノファイバが0.5重量%以上添加されていることが望ましい。
又、式(II)に示すように、エリソルビン酸ナトリウムが0.1重量%添加されている。
0.015kg/18.2150kg≒0.001―――(II)
エリソルビン酸ナトリウムが0.05重量%以上添加されていることが望ましい。
【0030】
実施例1の場合には、セルロースナノファイバとして、株式会社スギノマシン社製のバイオマスナノファイバ「ビンフィス(登録商標)」を使用している。このバイオマスナノファイバは、セルロース、キチン、キトサン、カルボキシメチルセルロース(CMC)を超高圧ウォータージェット技術で加工したものである。実施例1で使用したセルロースナノファイバはセルロースを超高圧ウォータージェット技術で加工したものであり、直径が20nm、長さ数μmの極細繊維である。
【0031】
以上本実施の形態によると嗣のような効果を奏することができる。
すなわち、コンクリートホッパ9の内周面にはセメント固着抑制剤41が塗布されているので、コンクリートホッパ9の内周面におけるセメントの固着を抑制することができる。
【0032】
上記効果を図4図5を参照して説明する。
図4は本実施の形態によるセメント固着抑制剤41を塗布した場合のコンクリートホッパ9の内周面を示す写真、図5は従来からある油脂系の付着防止剤を塗布した場合のコンクリートホッパ9の内周面を示す写真である。
図5の写真の場合にはセメントが固着しているのに対して、図4に示す写真の場合にはセメントの固着が殆ど視認できない。
図4に示す場合には、セメント固着抑制剤41にセルロースナノファイバが添加されていてチキソ性があるため、塗布したセメント固着抑制剤41の液だれがなく、コンクリートがコンクリートホッパ9内に溜まることもない。したがって、生コンクリートに与える影響も少ない。又、乾燥被膜が成形されるため付着防止効果も高い。
これに対して、図5に示す場合には、従来からある油脂系の付着防止剤41´が塗布されているが、チキソ性がないため塗布した油脂系の付着防止剤41´がコンクリートホッパ9の下部に溜まり、その結果、付着防止効果も低い。又、生コンクリートに混ざってしまうため、生コンクリートの品質に影響を与えてしまう。
【0033】
尚、本発明は前記一実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記一実施の形態においては、セメント固着抑制剤を構成する各成分の量に関してその一例を実施例1として示したが、それに限定されるものではない。
又、セルロースナノファイバの添加量についてもこれを特に限定するものではない。
又、セルロースナノファイバの製造方法については、「ビンフィス(登録商標)」の水中対向衝突法の他、グラインター法、ボールミル法等の物理的処理、TEMPOの触媒酸化法等の科学的処理によって製造された各種セルロースナノファイバの使用も可能である。
又、前記一実施の形態の場合には、炭酸カルシウムの一部をスラッジ回収炭酸カルシウムとしたがそれに限定されるものではなく、全てをスラッジ回収炭酸カルシウムとすることも考えられる。
又、スラッジ回収炭酸カルシウムを使用しない場合も考えられる。
又、前記一実施の形態の場合には。生コンクリート工場の泥状廃棄物を処理してスラッジ回収炭酸カルシウムを得るようにしたが、それに限定されるものではなく、その他の泥状廃棄物を処理してもよい。
又、前記一実施の形態の場合には、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内周面を例に挙げて説明したが、適用場所についてはこれを特に限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、セメント固着抑制剤に係り、特に、セルロースナノファイバを使用することにより、セメント固着を効果的に抑制することができるように工夫したものに関し、例えば、コンクリートポンプ車のコンクリートホッパの内周面に塗布してセメントの固着を抑制する場合に好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 コンクリートポンプ車
9 コンクリートホッパ
41 セメント固着抑制剤
43 潤滑層
図1
図2
図3
図4
図5