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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011106
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】拡張機能を内蔵した一体型発光素子
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/3725 20200101AFI20230117BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230117BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20230117BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20230117BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230117BHJP
   H05B 47/115 20200101ALI20230117BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20230117BHJP
【FI】
H05B45/3725
H01L33/00 J
H05B45/345
H05B45/20
H05B45/10
H05B47/115
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114726
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】515339147
【氏名又は名称】株式会社ワイズテックファクトリー
(71)【出願人】
【識別番号】516064699
【氏名又は名称】田中 冬人
(74)【代理人】
【識別番号】100169133
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 冬人
【テーマコード(参考)】
3K273
5F241
【Fターム(参考)】
3K273AA09
3K273BA03
3K273BA24
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA13
3K273CA14
3K273CA26
3K273FA03
3K273FA04
3K273FA07
3K273FA14
3K273FA27
3K273FA30
3K273GA03
3K273GA12
3K273HA15
5F241AA09
5F241AA24
5F241AA43
5F241BB02
5F241BC04
5F241BC47
5F241BD02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】LEDを用いた、多彩な機能を搭載した照明装置を提供する。
【解決手段】半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、
半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、
半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物を有し、
該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、
該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、
該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、
さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、
該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減す一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、
拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項2】
該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物は、
該発光素子構造物又は該回路構造変更用制御素子構造物を構成する半導体基板上に構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項3】
該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物は、
半導体基板上に一体的に構成されることを特徴とする、
請求項1に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項4】
該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物は、
夫々別の半導体基板上に構成され、且つ相互に電気的に接続されることを特徴とする、
請求項1に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項5】
半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、
半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、
該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、
該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、
該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、
該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、
さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、
該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減する一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項6】
前記回路構造変更用制御素子は、
制御信号に応答して前記発光素子構造物の動作を制御することを特徴とする、
請求項1乃至5の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項7】
該制御素子構造物は、
スイッチング素子を含むことを特徴とする、
請求項1乃至6の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項8】
該スイッチング素子は、
トランジスタであることを特徴とする、
請求項7記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項9】
該トランジスタは、
MOSFET又はJFETであることを特徴とする、
請求項8記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項10】
該LED接続構造は2の冪乗の数のLED発光素子により構成され、
該LED接続回路構造内の回路構造変更制御は、発光素子全数より小さい2の冪乗の数の発光素子群によって構成される発光単位に分割され、
該発光素子の接続回路形態を変更する該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構及び該接続回路構造変更制御回路は、印加される制御信号入力に対応して、接続回路構造パターンを動的に変化させることを特徴とする、
請求項1乃至9の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項11】
該マトリクス構造変更制御回路は、逐次変化する電力交流波形電圧に対応して、正規化された基準電圧との比較を動的に行うことによりマトリクス制御構造ビットの出力値を最適な値に確定することを特徴とする、
請求項10記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項12】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
夫々のLED発光素子に印加される電流がLED接続構造の変更に関わらず一定となるような一定電流制御回路を備えてなることを特徴とする、
請求項10又は11記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項13】
該一定電流制御回路は、
該LEDマトリクスの外部に一括制御定電流制御回路として配置されてなることを特徴とする、
請求項12記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項14】
該一括制御定電流制御回路は、
定電流素子(CRD)、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラトランジスタを含む定電流回路であることを特徴とする、
請求項13記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項15】
該一定電流制御回路は、
印加される電圧にかかわらずフィードバック制御により動的に一定電流制御を行うことを特徴とする、
請求項12乃至14の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項16】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部と、
入力される商用電源の波形に対する同期信号を生成する同期波形フィルタと、
該同期波形フィルタからの信号による動作ステートを決定する動作ステート比較検出器と、
該LEDマトリクスの接続構造を任意且つ/又は最適な状態に変更するLEDエレメントスイッチユニットとマトリクス構造変更制御回路とを備えることを特徴とする、
請求項1乃至15の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項17】
該同期波形フィルタは商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部に接続され、
該脈流からのフィルタリング信号を取得し、動作ステートを決定する動作ステート比較検出器に出力することを特徴とする、
請求項15記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項18】
該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、
該ブリッジ整流器は該LEDマトリクス及び該同期波形フィルタの双方に商用電源から全波整流または両波整流した脈流を出力することを特徴とする、
請求項16又は17記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項19】
該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、
該ブリッジ整流器は該LEDマトリクスに商用電源から整流した脈流を出力する第一のブリッジ整流器及び該同期波形フィルタに商用電源から整流した脈流を出力する第二のブリッジ整流器を備えることを特徴とする、
請求項16又は17記載のLEDを用いた拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項20】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
一定電流制御回路により制御するステート制御電流ルックアップテーブルを含み、
該正規化された電圧と電流の関係を保持するルックアップテーブルと逐次変化する電圧比較により一括制御定電流制御回路による段階的な一定電流制御を行うことを特徴とする、
請求項1乃至19の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項21】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
シリコン基板上に、電力を扱うFETスイッチ以外に演算増幅器、比較器、論理回路及び/又はCPUなどの高度なデータ処理を行うハードウエアが搭載されていることを特徴とする、
請求項1乃至20の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項22】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
デジタル制御の場合において、アナログ量を量子化し、その数値を使用して制御アルゴリズムを専用のソフトウエアにより実行することを特徴とする、
請求項1乃至21の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項23】
該拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、
アナログ制御の場合において、オペアンプと比較機を用いて、条件付き専用の論理回路の出力を構造変更及び/又は電流変更に使用することを特徴とする、
請求項1乃至21の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項24】
該制御素子構造物は、
サブストレートに形成され、
該発光素子構造物はサブストレート上に積層された異種の材料により形成されたことを特徴 とする、
請求項1乃至23の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項25】
該サブストレートは、
シリコンサブストレートであることを特徴とする、
請求項24記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項26】
該サブストレート上に積層された異種の材料は、
ガリウム及び砒素を主成分とすることを特徴とする、
請求項25記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項27】
該LED接続回路構造の変更にあたり、予め回路変更される対象の接続構造パターンが設定されてなり、
且つ、該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構を有し、
該接続回路構造変更制御回路から該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構に供給される制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更することを特徴とする、
請求項1乃至26の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項28】
該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構は、
あらかじめ設定された低抵抗配線による、回路パターンに対応するスイッチ切り替え接続機構であることを特徴とする、
請求項27記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項29】
該低抵抗配線は、
低抵抗金属配線パターンであることを特徴とする、
請求項28記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項30】
該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更するにあたり、
複数のLEDを結合し構造化する際に、すべてのLEDを一つのグループとして構造化するのではなく、複数のグループに分割し、それぞれの分割されたグループごとに、同一あるいは異なる所定の合成されたVfを作り出す構造を設定し、さらにそのグループ同士を結合して全体的なVfを合成することにより、入力電圧との差分電圧を減少せしめることにより損失を減少することを特徴とする、
請求項27乃至29の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項31】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はWiーFi機能であることを特徴とする
請求項1乃至30の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項32】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はメッシュWiーFi機能であることを特徴とする
請求項1乃至31の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項33】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はセンサー機能であって、
該センサーの出力に応じてLED発光素子の照度或いは色調が制御されることを特徴とする、
請求項1乃至30の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項34】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はセンサー機能であって、
該センサーは人感センサー、赤外線センサー、温度センサー或いは光センサーであることを特徴とする、
請求項32記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項35】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はマイク機能及び/又はスピーカー機能であることを特徴とする
請求項1乃至30の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項36】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能は少なくともスピーカー機能を有するとともに外部からの信号を受信し音声信号に変換して該スピーカーを駆動する機能を有するものであることを特徴とする
請求項35記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項37】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能は少なくともマイク機能を有するとともに外部からの音声を受信し解析して、音声によるリクエストに応じてLED発光素子の照度或いは色調を制御し或いは包含される拡張機能を制御する機能を有するものであることを特徴とする、
請求項35記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項38】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能は加速度センサー機能であることを特徴とする、
請求項1乃至30の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【請求項39】
該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物は、
拡張機能を発現する素子を構成するものであって、
該拡張機能はMEMS機能であることを特徴とする、
請求項1乃至30の何れか一に記載の拡張機能を内蔵した一体型発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDを用いた拡張機能を内蔵した一体型発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED素子、以下単にLEDとも称する)を使用した照明装置は、蛍光灯や白熱電球といった従来の照明器具に比べ、長寿命かつ低消費電力であるという特徴を有しており、環境への配慮に優れた次世代の照明機器として期待されている。交流電源を直接的に駆動電源として用いるものでは、当該交流電源を全波整流してLED列に供給する。
【0003】
交流電源を半波整流した場合は交流交番波形の一方の極性(例えばプラス側)の半波のみの間歇的な脈動波形となる。一方、全波整流した場合、一方の極性(例えばプラス側)に他方の極性(マイナス側)半波が折り返した連続する脈流波形となる。交流直接駆動は、このような脈流波形を持つ電源をLEDに直接印加して点灯する方式である。
【0004】
固定された回路構造を持つLEDには点灯のための所定の電圧(点灯電圧)と動作電流があり、点灯電圧以下では消灯となる。全波整流した脈流電圧を印加した場合に、脈流波形の電圧が上記点灯電圧以上で点灯(オン)し、それ以下の電圧では消灯(オフ)し、これを繰り返すため、この点灯から消灯、消灯から次の点灯までの期間(消灯期間)の繰り返しは所謂、フリッカ(照明光のちらつき)となる。50Hzの交流電源の場合、毎秒100回のフリッカが発生する。100HZの明滅は動体視力よりも早い速度の為に知覚されることはまれであるが、この消灯期間が潜在心理的に不快な現象として無意識のうちに認識され身体的に悪影響を受けることが証明されている。
【0005】
LED駆動回路からの高周波雑音の発生は、現在多くのLED照明装置が採用している直流駆動方式では極めて顕著である。直流駆動方式は、交流を平滑直流電圧に一旦変換し、LEDを所定レベルの直流電圧と電流にて駆動させるものである。交流電源を直流化するために用いる交直変換回路、所謂インバータ回路でのスイッチング動作に起因してエネルギーの大きな高周波が発生する。
【0006】
さらに、このような電源回路は素子数も多く、回路が複雑になり、コスト高となっている。また、この場合の平滑回路には電解コンデンサなどの大容量のコンデンサや電圧変圧器(トランス)を必要とする。このような電気部品は、LEDと比べて寿命が短く、長寿命の照明手段であることを特徴とするLEDとの組み合わせは好ましくない。
【0007】
LEDの駆動に関する従来技術を開示したものとして、例えば、特許文献1には、直流駆動方式のLED技術が開示されており、商用交流入力電流の高周波成分を低減させながら、直流平滑電圧で点灯させた場合と同等の光出力が得られるLED点灯装置(LED駆動回路)が開示されている。
【0008】
一方、特許文献2には、直列接続された複数のLEDを有するLED列を駆動するLED駆動回路であって、交流入力を整流する整流器と、オペアンプと該オペアンプの出力群に分圧抵抗を介して接続された複数の駆動用トランジスタとを有する定電流回路とを備え、整流器の出力側の一端をLED列の入力側に接続し、複数のトランジスタの出力側の一端をそれぞれ、LED列における異なるLED群数の接続ポイントに接続することにより、交流入力の電圧に応じて複数のトランジスタが選択的にLED列を駆動するように構成したLED駆動回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009ー134945号公報
【特許文献2】特開2013ー20929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、普及の促進を考慮した結果、特許文献2に開示されたLED駆動回路においても、交流入力で直接駆動できるような回路構成を採用していることから、例えば、50Hzの交流入力電圧であれば、全波整流した毎秒100回にも及ぶ電圧の増減に対して、よりきめ細やかに電流も追従可能な改善されたLED駆動回路が望まれる。また、特に多数のLEDを直列接続したLED列を駆動する場合など、交流入力電圧の変動によりLED列が点灯しない期間(消灯期間)が長くなってフリッカが顕著になる。
【0011】
このような人の眼に感じるフリッカをさらに抑制可能なLEDを用いた照明装置、LEDを用いた照明装置の駆動回路及びLEDを用いた照明装置の駆動方法が求められている。総合的に、簡便な構造で、部品点数の削減が可能であり低コストで製造可能で、信頼性が高いこととともに、フリッカや暗時間の問題を解決した安定した発光が得られ、高周波ノイズ問題がなく、低消費電力化と長寿命化を実現することが求められていると言える。
【0012】
筆者らは、これらの課題を解決し、簡便な構成で安定した発光が得られ、平滑コンデンサは不必要でコストダウンと信頼性向上がなされ、低消費電力を実現し、且つ電圧電流制御にスイッチングレギュレータを排除可能であり、電磁波ノイズを発生しないLEDを用いた照明装置、LEDを用いた照明装置の駆動回路及びLEDを用いた照明装置の駆動方法を提供せんと鋭意開発を進めている。(特願2016ー117619参照)
【0013】
本発明は、従来の構成をさらに発展させ、発光素子と構造変更素子を同一基板上に半導体技術により一体的に形成し、これにより従来の構成をさらに最適化し、電流制御回路の動作効率が最適化されることにより、制御回路、素子における損失を低減し、多大なコストダウンが可能となるLEDを用いた発光素子を提供する。
【0014】
さらに、今般、LEDを用いた照明装置には照明としての機能のみならず、多彩な機能が搭載されたものが開発されている。一例として、スピーカーを内蔵した照明装置などが発表されている。ここで、本発明に係る発光素子は回路構造変更用制御素子が半導体プロセスにより形成されるから、係るプロセスと同時に機能拡張を齎す電子回路を回路構造変更用制御素子を構成する半導体基板上に形成することが可能であり、これにより拡張機能を内蔵した一体型発光素子が実現されるものと期待された。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減す一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、拡張機能を内蔵した一体型発光素子である。
【0016】
また本発明は、該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が該発光素子構造物又は該回路構造変更用制御素子構造物を構成する半導体基板上に構成されることを特徴とする。また本発明は、 該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が半導体基板上に一体的に構成されることを特徴とする
【0017】
また本発明は、該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が夫々別の半導体基板上に構成され、且つ相互に電気的に接続されることを特徴とする
【0018】
また本発明は、半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減する一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、拡張機能を内蔵した一体型発光素子である。
【0019】
また本発明は、前記回路構造変更用制御素子が制御信号に応答して前記発光素子構造物の動作を制御することを特徴とする。また本発明は、該制御素子構造物がスイッチング素子を含むことを特徴とする。さらに発明は、該スイッチング素子がトランジスタであることを特徴とする。さらに本発明は、該トランジスタがMOSFET又はJFETであることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、該LED接続構造は2の冪乗の数のLED発光素子により構成され、該LED接続回路構造内の回路構造変更制御は、発光素子全数より小さい2の冪乗の数の発光素子群によって構成される発光単位に分割され、該発光素子の接続回路形態を変更する該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構及び該接続回路構造変更制御回路は、印加される制御信号入力に対応して、接続回路構造パターンを動的に変化させることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、該マトリクス構造変更制御回路が、逐次変化する電力交流波形電圧に対応して、正規化された基準電圧との比較を動的に行うことによりマトリクス制御構造ビットの出力値を最適な値に確定することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、夫々のLED発光素子に印加される電流がLED接続構造の変更に関わらず一定となるような一定電流制御回路を備えてなることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、該一定電流制御回路が、該LEDマトリクスの外部に一括制御定電流制御回路として配置されてなることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、該一括制御定電流制御回路が、定電流素子(CRD)、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラトランジスタを含む定電流回路であることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、該一定電流制御回路が、印加される電圧にかかわらずフィードバック制御により動的に一定電流制御を行うことを特徴とする。
【0026】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部と入力される商用電源の波形に対する同期信号を生成する同期波形フィルタと、該同期波形フィルタからの信号による動作ステートを決定する動作ステート比較検出器と、該LEDマトリクスの接続構造を任意且つ/又は最適な状態に変更するLEDエレメントスイッチユニットとマトリクス構造変更制御回路とを備えることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、該同期波形フィルタが商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部に接続され、該脈流からのフィルタリング信号を取得し、動作ステートを決定する動作ステート比較検出器に出力することを特徴とする。
【0028】
また本発明は、該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、該ブリッジ整流器は該LEDマトリクス及び該同期波形フィルタの双方に商用電源から全波整流または両波整流した脈流を出力することを特徴とする。
【0029】
また本発明は、該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、該ブリッジ整流器は該LEDマトリクスに商用電源から整流した脈流を出力する第一のブリッジ整流器及び該同期波形フィルタに商用電源から整流した脈流を出力する第二のブリッジ整流器を備えることを特徴とする。
【0030】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、一定電流制御回路により制御するステート制御電流ルックアップテーブルを含み、該正規化された電圧と電流の関係を保持するルックアップテーブルと逐次変化する電圧比較により一括制御定電流制御回路による段階的な一定電流制御を行うことを特徴とする、。
【0031】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、シリコン基板上に、電力を扱うFETスイッチ以外に演算増幅器、比較器、論理回路及び/又はCPUなどの高度なデータ処理を行うハードウエアが搭載されていることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、デジタル制御の場合において、アナログ量を量子化し、その数値を使用して制御アルゴリズムを専用のソフトウエアにより実行することを特徴とする。
【0033】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、アナログ制御の場合において、オペアンプと比較機を用いて、条件付き専用の論理回路の出力を構造変更及び/又は電流変更に使用することを特徴とする。
【0034】
また本発明は、該制御素子構造物がサブストレートに形成され、該発光素子構造物はサブストレート上に積層された異種の材料により形成されたことを特徴とする。
【0035】
また本発明は、該サブストレートがシリコンサブストレートであることを特徴とする。
【0036】
また本発明は、該サブストレート上に積層された異種の材料がガリウム及び砒素を主成分とすることを特徴とする。
【0037】
また本発明は、該LED接続回路構造の変更にあたり、予め回路変更される対象の接続構造パターンが設定されてなり、且つ、該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構を有し、該接続回路構造変更制御回路から該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構に供給される制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更することを特徴とする。
【0038】
また本発明は、該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構が、あらかじめ設定された低抵抗配線による、回路パターンに対応するスイッチ切り替え接続機構であることを特徴とする。
【0039】
また本発明は、該低抵抗配線が低抵抗金属配線パターンであることを特徴とする。
【0040】
また本発明は、該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更するにあたり、複数のLEDを結合し構造化する際に、すべてのLEDを一つのグループとして構造化するのではなく、複数のグループに分割し、それぞれの分割されたグループごとに、同一あるいは異なる所定の合成されたVfを作り出す構造を設定し、さらにそのグループ同士を結合して全体的なVfを合成することにより、入力電圧との差分電圧を減少せしめることにより損失を減少することを特徴とする。
【0041】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はWiーFi機能であることを特徴とする。
【0042】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はメッシュWiーFi機能であることを特徴とする。
【0043】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はセンサー機能であって、該センサーの出力に応じてLED発光素子の照度或いは色調が制御されることを特徴とする。
【0044】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はセンサー機能であって、該センサーは人感センサー、赤外線センサー、温度センサー或いは光センサーであることを特徴とする。
【0045】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はマイク機能及び/又はスピーカー機能であることを特徴とする。
【0046】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は少なくともスピーカー機能を有するとともに外部からの信号を受信し音声信号に変換して該スピーカーを駆動する機能を有するものであることを特徴とする。
【0047】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は少なくともマイク機能を有するとともに外部からの音声を受信し解析して、音声によるリクエストに応じてLED発光素子の照度或いは色調を制御し或いは包含される拡張機能を制御する機能を有するものであることを特徴とする。
【0048】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は加速度センサー機能であることを特徴とする。
【0049】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はMEMS機能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係るLEDを用いた照明装置は、簡便な回路構成でもフリッカや暗時間の問題を解決した安定した発光が得られ、整流後の平滑用キャパシタ及びスイッチング方式の大容量電解コンデンサが不要となり、低コストで製造可能であり且つ長期信頼性が向上するとともに、高周波ノイズ問題は、電流制御回路の動作条件が緩和されることにより、軽減され、さらに、効果的に逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧が最適化されるが故に、電流制御回路の動作エネルギ効率が最適化され、制御回路、素子における損失を低減することができるとともに、一体的な半導体プロセスを用いて形成することにより圧倒的な低コストで多彩な拡張機能を有するLEDを用いた照明装置を提供できる拡張機能を内蔵した一体型発光素子を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1は、本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子の構成を説明するための概念図である。
図2図2は、本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子の構成をさらに説明するための概念図である。
図3図3は、本発明に係る一体型発光素子の駆動方法の特徴を齎す構成を説明するための概念図である。
図4図4は、本発明に係るLEDを用いた照明装置のシリコン側のスイッチFE T及び制御回路のCMOSFETトランジスタを作成したところの基板断面図に相当 する概念図である。
図5図5は、本発明に係るLEDを用いた照明装置の電気的回路を多層にわたり トランジスタを結合するために作成したところの基板断面図に相当する概念図である 。
図6図6は、本発明に係るLEDを用いた照明装置の接着基板と電気的な結合をするためにコンタクトポイントを作成したところの基板断面図に相当する概念図である。
図7図7は、本発明に係るLEDを用いた照明装置のサファイア基板上にGaN単結晶を成長させたのち発光活性層を作成し、N型層のコンタクトホールを開けたところの基板断面図に相当する概念図である。
図8図8は、本発明に係るLEDを用いた照明装置の発光基板側のインターコネクト接合構造を作成したところの基板断面図に相当する概念図である。
図9図9は、本発明に係るLEDを用いた照明装置のシリコン支持基板と発光基板側を接着したところの基板断面図に相当する 概念図である。
図10図10は、本発明に係るLEDを用いた照明装置のサファイア基板をレーザーリフトオフして除去し、LED構造を分離したところの基板断面図に相当する概念図である。
図11図11は、本実施例に於けるスイッチマトリクス動作の理解のための説明図である。
図12図12は、LEDエレメントの直列数の変化を示した概念図である。
図13図13は、実用正帰化を行ったあとの交流電圧と状態(ステート1乃至6 )とLEDの直列数と電流変化と点灯状態を示した概念図である。
図14図14は、実用正帰化を行ったあとの交流電圧と状態(ステート1乃至6 )と電圧波形同期のパターンを示した概念図である。
図15図15は、LEDアレイマトリクスのアレイ形状の変化パターンを説明す る模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明に係る一体型発光素子を、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子の構成を説明するための概念図である。本発明は、半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減す一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、拡張機能を内蔵した一体型発光素子である。
【0053】
本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、その駆動方法に特徴からLED発光素子を駆動するために直流を必要としないため、コンデンサを含む回路構成である必要がなく、駆動回路を半導体プロセスのみで構成することができる。また、LED発光素子アレイはガリウム及び砒素を主成分とするサブストレート上に形成されるが、これもまた半導体プロセスである。このようにして構成した半導体基板を接合することで、一体型発光素子が形成される。ここで、一般に駆動回路をシリコンサブストレート上に形成することは容易であるとともに集積度を高くする事が出来、LED発光素子アレイに対して非常に小さい面積で形成が可能であり、駆動回路側のサブストレートには十分に余剰の面積が得られる。発明者らは、この余剰面積部分に電子機能素子を組み込み、機能を発現するようにする事で、拡張機能を内蔵した一体型発光素子を実現したのである。
【0054】
図1は、本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子の構成を説明するための概念図である。前記のように、駆動回路側のサブストレートの一部に機能拡張領域を形成することによって、電子機能素子を組み込み、機能を発現するようにした。
【0055】
図2は、本発明に係る拡張機能を内蔵した一体型発光素子の構成をさらに説明するための概念図である。本実施例では、一方のサブストレートはLEDスイッチ、ドライバ、制御回路を備え、さらに余剰領域にIT追加機能を実現するシリコン回路エリアを設けた切断済みシリコンダイスであり、他方のサブストレートは複数のLED発光素子を形成した切断済み窒化ガリウムダイスであり、これを接合して拡張機能を内蔵した一体型発光素子を形成した。
【0056】
以下、本発明に係る一体型発光素子を構成する実施例を図面を用いて説明する。図3は、本発明に係る一体型発光素子の駆動方法の特徴を齎す構成を説明するための概念図である。なお、以下の実施例では本発明に係る一拡張機能を内蔵した一体型発光素子の機能拡張部分は説明の簡便のために記載していない。しかし、駆動回路側のサブストレートの一部に機能拡張領域を形成することによって、電子機能素子を組み込み、機能を発現させることはそのプロセス上容易である。
【0057】
本実施例に於いては、まず、半導体プロセスにより形成されるスイッチ素子である回路構造変更用制御素子と、その状態を制御する電子回路を同じく形成した。縦型高効率発光素子を作る際に使用されるシリコン保持基板がこれに該当し、最終的に金属コンタクトポイント構造で相互接続されることにより、複数のすべての発光素子と回路的に結合される。図4は、シリコン側のスイッチ及び制御回路のMOSFETトランジスタを作成したところの基板断面図に相当する。一般的な半導体IC用シリコンウエファを利用する、基本的にN型でもP型でもよい。MOS型FETスイッチトランジスタはウエファの型に応じたチャンネルを持つことになる、制御回路部分は一般的なCMOS論理回路とトランジスタと抵抗を組み合わせたアナログ回路の構成になることから、必要な部分をマスキングしてウエファの相補チャンネルを作成するウエルを所定の回路構造となるようなレイアウト位置に従い作成する。具体的にはP型シリコン基板上にNチャンネルエンハンスメント型スイッチングMOSFETパワー素子とエンハンスメント型CMOS論理回路及びMOSEFETトランジスタと抵抗を作成する手順を採用した。したがって、ウエルはN型となり、その領域にはPチャンネルエンハンスメント型MOSFETを作成することになる。マスキングはウエファ全面にフォトレジスト塗布の後に光学マスクパターンを使用して露光、現像し、N型イオン注入を経て、不要なレジストは除去する。その後加熱処理を行うことにより、表面に打ち込まれたイオンは所定の深さ方向へ拡散する。
【0058】
次に、酸化炉中で薄い酸化膜を作成し、CVD(ケミカルべーパーデポジション)法により窒化膜を堆積したのちに、チャンネルストッパと呼ばれるトランジスタ素子ごとの活性部、非活性部分の分離をする。フォトレジストを使用して分離領域へ光学マスクパターンにより選択露光、現像したのちに、非活性部分の酸化膜と窒化膜のみをプラズマエッチングにより除去し、その後レジストを除去する。さらに、フォトレジストを使用してNウエル領域を、光学マスクパターンにより選択露光、現像してマスキングし、P型Bイオンの注入を行う。結果的には、P領域の分離領域にのみBが注入された事になる。その後不要なレジストは除去する。次に、素子分離領域を横切る配線を可能にするため十分に厚いアイソレーション酸化膜を高温水蒸気と反応させ作成する。トランジスタが作成される活性領域、能動領域あるいは素子領域には、以前のマスキング工程により酸化膜、窒化膜が残っているので、水蒸気との反応は阻止され、アイソレーション膜より薄い酸化膜にとどまる。その後、フッ酸、ドライエッチなどで活性領域、能動領域あるいは素子領域の酸化膜、窒化膜を大部分除去する。不活性領域は十分な酸化膜の厚さが確保されているのでエッチングにより若干薄くなるが、機能に影響はない。
【0059】
結果的に、素子領域におけるトランジスタの横幅、つまり所望のチャンネル長が所望のマスクレイアウトに従い決定される。パワーFETスイッチ部の大きさは要求される制御電力に応じて変更し、論理回路部のトランジスタ長より数十倍から百倍以上となる。トランジスタの並列化、直列化、多段ドライブ化など回路構成により多様に変形する。次に、各チャンネルのMOSEFETトランジスタのVt調節の目的のために、チャンネルの不純物濃度を制御する、その方法はイオン注入を規定量のチャンネルドープにより行う。まず、露光現像により所望のNウエル部分を隠すようにレジストを残し、所要のBイオンを注入する。次にレジストをドライエッチにより剥離し、再度、露光現像によりNウエル部分以外をレジストで隠しマスキングし、PまたはAsを所定量イオン注入する。このことにより各MOSFETのチャンネルになる部分のイオン濃度が決定され、MOSEFETトランジスタのVtを決める。不要となったレジストを除去し、さらに活性領域、能動領域あるいは素子領域の酸化膜を除去する。
【0060】
次にMOSEFETのゲート酸化膜を作成する。まず、フッ酸系のエッチング液により表面をクリーニングしたのちに高温酸素雰囲気中で酸化膜を作成する。この絶縁酸化膜がMOSEFETのゲート電極の電位によりチャンネル領域の状態を変化させてスイッチ動作を可能にする。次にMOSEFETのゲート電極を作成する。ゲート酸化膜の上に多結晶シリコンをCVD法により析出させる。ゲート電極の電気抵抗を低くするために成長させる多結晶シリコンに不純物を添加する。ゲート電極及び、ゲート電極と同じ材料を使用した最下層の配線構造となる部分のみに、所定のレイアウト情報に従って、露光、現像によりレジストを残しマスキングして、その他の部分をエッチングし、不要なレジストを除去する。結果的に、それぞれのMOSEFETのゲート電極と、多結晶シリコン配線レイヤーを形成する。
【0061】
次にMOSEFETのソース領域とドレイン領域を、フォトリソグラフィによりマスキングし、必要なイオン注入により作成する。まず、所定のレイアウト情報に従い露光、現像を行い、nウエルをレジストでマスキングし、基板全面にAsイオンを注入する。次にレジストを剥離して、さらに所定のレイアウトに従いnウエル部分以外をレジストでマスキングしてBイオンを注入し、レジストを除去する。次に、作成したPチャンネル及びNチャンネルのMOSEFETを保護するために表面にシランと酸素を加熱し、CVD法により、上層に位置する配線レイヤーとの絶縁膜を堆積する。図3は、電気的回路を多層にわたりトランジスタを結合するために作成したところの基板断面図に相当する。次にコンタクトホールを作成し、上層に位置する金属配線との接続構造を作る。レイヤー間絶縁膜のコンタクトになる部分以外を所定のレイアウト情報に従い露光、現像を行い、レジストを残し、マスキングし、ドライエッチングによりコンタクト部の層間絶縁酸化膜を的確に除去したのちに、レジストを除去する。
【0062】
次にコンタクトホールの空いた状態のウエファ面に配線となる金属アルミニウムをCVD法により堆積する。配線構造となる所定レイヤーのレイアウト情報に従い、露光、現像を行い、回路設計されたホール同士の結線部分のみにレジストを残しマスキングし、エッチングにより不要部分の金属を除去することにより、電気的な回路構造を作成する。次の多層レイヤー間絶縁膜のコンタクトになる部分以外を所定のレイアウト情報に従い露光、現像を行い、レジストを残し、マスキングし、ドライエッチングにより層間絶縁酸化膜を的確に除去したのちに、レジストを除去する。さらにコンタクトホールの空いた状態のウエファ面に配線となる金属アルミニウムをCVD法により堆積する。配線構造となる所定レイヤーのレイアウト情報に従い、露光、現像を行い、回路設計された結線部分のみにレジストを残しマスキングし、エッチングにより不要部分の金属を除去することにより、多層に配置される交差領域が絶縁される電気的な立体回路構造を作成する。所定の金属配線層数になるまで、レイヤーごとの金属配線レイアウト情報に従い、レイヤーごとの平坦化処理を挿入し、これを繰り返す。かかる工程によって、制御回路と制御素子である回路構造変更用制御素子を形成した。MOSEFETスイッチ素子とCMOSFET素子による制御回路を構成するすべてのレイヤーが完了したのち、全面の平坦化処理を行い、最終的に接続される発光素子基板上のP電極、N電極と回路を構成するレイアウト位置にある接続構造用コンタクトポイントを作成する。図4は、接着基板と電気的な結合をするためにコンタクトポイントを作成したところの基板断面図に相当する。
【0063】
所定の位置の接続コンタクトポイント以外を露光、現像によりレジストを残してマスキングし、ドライエッチングによりコンタクトポイントとなる領域の層間絶縁酸化膜を的確に除去したのちに、レジストを除去する。次にウエファ全面に低抵抗金属材料Al/NiをCVD法により堆積する。所定の位置のコンタクトポイント領域を、露光、現像によりレジストを残し、エッチングにより不要部分の金属を除去する。最後にレジストを剥離することにより、突出したレベルにあるオーミック接続可能なコンタクトポイントが作成される。突出厚さは、後の張り合わせ工程で使用されるAgSn層の厚さと同等となるようにプロセス管理する。この時点で、シリコン基板に構築された集積回路の品質は、検査用回路のコンタクトにプロービングすることにより、専用の機能テスト装置からの試験信号と電圧、電流計測により確認することができる。一方、発光素子構造物は窒化ガリウムをベースとする構成により形成した。図5は、サファイア基板上にGaN単結晶を成長させたのち発光活性層を作成し、N型層のコンタクトホールを開けたところの基板断面図に相当する。
【0064】
ラッピング・ポリッシング研磨されているベースサファイアウエファを使用する。のちに機能付きシリコン支持基板を接着するので、シリコン支持基板と同一サイズの8インチウエファを使用する。過酸化水素や塩酸、フッ酸などの洗浄液でウェーハ上のパーティクルや金属、有機物を除去する。純水にて薬剤を洗浄スピン乾燥する。次に単結晶膜成長のためのバッファ層をCVD法により成長する。さらに、発光活性層となるGaNのN型半導体層とP型半導体層をMOCVD法により成長させる。このことによりウエファ全面に発光活性層ができる。次に、すでにP電極予定領域は表面に露出していることから、内層にあるN電極予定領域へのコンタクトホールを作成する。全面に感光性レジストを塗布したのちに、コンタクトホール部分以外に、所定のレイアウト情報に従って、露光、現像によりレジストを残しマスキングし、プラズマエッチングによりコンタクト部のP型半導体層、および発光活性層を的確に除去したのちに、レジストを除去する。
【0065】
本実施例に於いては、さらに、発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物を形成した。シリコン基板側はすでに接合構造となるコンタクトポイントを準備してあるので、ここではGaN発光基板側のインターコネクト接合構造の準備となる。図8は、発光基板側のインターコネクト接合構造を作成したところの基板断面図に相当する。保持基板接着時に、相互のコンタクトポイントの位置アライメントが的確である必要がある。GaN基板に発光活性層を形成した時点において、P型層とN型層に電極を形成し、電極間バイアスにより発光することが確認できる。本実施においては、縦型高効率発光の目的と、複数の発光活性部の分離及び、制御回路機能付き保持基板と相互回路接合するための、N電極のインターコネクトを作成する。全面に感光性レジストを塗布したのちに、インターコネクト金属電極領域となる部分以外に、所定のレイアウト情報に従って、露光、現像によりレジストを残しマスキングし、ウエファ全面に低抵抗金属材料のAl/Ni合金をCVD法により堆積する。全面に感光性レジストを塗布したのちに、インターコネクト金属電極領域となる部分に、所定のレイアウト情報に従って、露光、現像によりレジストを残しマスキングし、ドライエッチングすることにより不要部分の金属を除去する。そしてレジストを剥離するとN電極はP型半導体層と同一レベルになる。
【0066】
次に素子の安定性を高めるためにP電極の接続構造領域となる部分とN電極接続構造を、所定のレイアウト情報に従って、露光、現像によりレジストを残しマスキングし、表面にシランと酸素を加熱し、CVD法により、酸化絶縁保護膜を堆積し、その後レジストを除去する。電極部分は酸化膜レベルより低い位置となり、このレベルでは基板接着時に導通しないため、電極領域にさらに金属を堆積させる。P電極領域は電極領域そのものの電気的抵抗を減少させる目的、そして、N電極は保持基板側の電極間との接触抵抗の低下を目的として、最適化されたレイアウト情報に従って露光、現像によりレジストを残しマスキングし、低抵抗金属材料のAgをCVD法により堆積する。その後、反転したレイアウトマスクを使用して露光、現像によりレジストを残しマスキングし、P電極とN電極以外をドライエッチングにより不要部分の金属を除去し、レジストを除去した後に平滑化研磨をすることにより、接続電極領域以外は絶縁酸化膜により保護されており、かつ、同一レベルにある表面に露出したP電極とN電極が形成される。かかる工程により、発光素子のP電極とN電極をシリコン基板と回路電気的に接続する構造物として、インターコネクト電極の形成が行われた。ここで形成されたインターコネクト電極は、複数の発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気回路的に接続するコンタクトポイント構造物と接続され、最終的に一体型発光素子が形成される。
【0067】
シリコン支持基板のコンタクトポイント接続構造と、インターコネクト電極領域以外に、接着材料AuSnが塗布されたGaN発光基板を、正確にアライメントした位置に調整し圧着し、加熱することにより張り合わせる。図7は、シリコン支持基板と発光基板側を接着したところの基板断面図に相当する。結果的に張り合わせできるので、シリコン基板側に、接着材料AuSnを塗布しても構わない。この時点で発光素子のP電極とN電極は、支持基板側のMOSEFETトランジスタ制御回路とオーミック接合している。次に、縦型複数ジャンクション高効率発光素子構造とするための準備をする。図10は、サファイア基板をレーザーリフトオフして除去し、LED構造を分離したところの基板断面図に相当する。
【0068】
まず、ウエファを反転し、土台となるサファイア基板をレーザーリフトオフして除去し、LED構造の分離領域以外を、所定のレイアウト情報に従い、露光、現像によりレジストを残しマスキングし、プラズマエッチングにより不要部分のGaN層を除去し、その後レジストを除去することにより、複数のLED素子に分離する。LED素子は個々に分離されるが、個々のLEDのインターコネクト部のP電極とN電極は、シリコン支持基板上の所定の駆動回路となる相互のMOSEFETスイッチ素子とすべて接続されている。かかる工程により作成された発光素子は、複数の発光素子と、それらの接続構造を変更する素子、その状態を制御する回路が相互に接続され、入力された交流電力波形に追従し、動的に変改することにより、最適化された電圧と損失を実現することが可能になる。
【0069】
図11は、本実施例に於けるスイッチマトリクス動作の理解のための説明図である。本発明は、かかる駆動方法を用いたことにより本来直流駆動素子であるLED発光素子を商用電源からの交流によって駆動することが可能となり、このことによって直流への整流回路が不要となりそこで必要であったコンデンサ等の部品を用いずに半導体により構成される回路のみでの駆動が可能となったことにより、一体型発光素子が可能となったのである。以下、かかる駆動方法について説明する。
【0070】
本図においては、128個のLEDを用いる場合の例について説明する。なお、本発明はLEDの実装数に限定はなく、効率も考慮した上で任意の数のLEDを作り込めば良い。最高動作電圧を超える電圧域に於いては図中最上段に示すように全LED発光素子が直列になるようにスイッチされる。電圧が最高動作電圧の1/2の場合は1/2直列となるようにスイッチされる。以下、ビット数に対応してマトリクスがスイッチングされ、最終的に最高動作電圧の1/128の場合はすべて並列になるようにスイッチングされる。
【0071】
この場合、論理的には128個のLEDを2の冪乗となる形状に逐次変化させ、同時に要求される電圧を加えればよいが、実際のLED素子の動作電圧は最低でも3V必要となるため、それぞれのマトリクススイッチの形状の要求電圧は、必ずしも交流100Vの周期的な電圧波形と一致しない。そのため、正規化を行うことによりマトリクス構造制御ビットの最適化を行う。図10は、本実施例に於けるLEDエレメントの直列数の変化を示した概念図である。
【0072】
図13は、実用正帰化を行ったあとの交流電圧と状態(ステート1乃至6)とLEDの直列数と電流変化と点灯状態を示した概念図である。実用化の為のマトリクス構造の切り替え方法と基板上配線数の決定のため、かかる正規化が必要となる。動作メカニズムとしては、交流電源の変化する電圧に応じた動作ステートに従い、LEDマトリクスを動的に変形させると同時に、逐次変化するLEDエレメントの印加電圧に応じてその動作ステートに必要となるLEDの電流値も制御する。
【0073】
図14は、実用正帰化を行ったあとの交流電圧と状態(ステート1乃至6)と電圧波形同期のパターンを示した概念図である。LEDアレイマトリクスを直列、並列で切り替えることにより全LEDをどの動作電圧でも点灯させることができる。本発明に係るLEDを用いた照明装置、LEDを用いた照明装置の駆動回路及びLEDを用いた照明装置の駆動方法は、128個のLEDアレイ形状を入力される交流波形に伴って、並列、直列構造を変化させることにより、印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、電流制御回路の動作効率が最適化されることにより、制御回路、素子における損失(廃熱)を最小化することができる。
【0074】
本発明に係るLEDを用いた照明装置、LEDを用いた照明装置の駆動回路及びLEDを用いた照明装置の駆動方法は、すべてのLEDは、LEDの最小起動電圧Vfを越えた時点で全点灯が可能である。図15は、LEDアレイマトリクスのアレイ形状の変化パターンを説明する模式図である。交流電圧の低い部分では並列化されているために、低電圧から点灯可能となる。また、常時すべてのLEDが点灯しているため、一般的なコンデンサレス交流方式とは異なり、フリッカーが発生しないという利点がある。
【0075】
以上述べてきたように、本発明に係るLEDを用いた照明装置は、従来の構成をさらに発展させ、発光素子と構造変更素子を同一基板上に半導体技術により一体的に形成し、こ
れにより従来の構成をさらに最適化し、電流制御回路の動作効率が最適化されることによ
り、制御回路、素子における損失を低減し、多大なコストダウンが可能となるLEDを用
いた照明装置を提供できるとともに、このプロセス及び構成を活かし、駆動回路側のサブスの余剰面積部分に電子機能素子を同一の半導体プロセスで組み込み、機能を発現するようにする事で、拡張機能を内蔵した一体型発光素子を実現した。
【0076】
本発明は、半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減す一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、拡張機能を内蔵した一体型発光素子である。
【0077】
また本発明は、該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が該発光素子構造物又は該回路構造変更用制御素子構造物を構成する半導体基板上に構成されることを特徴とする。また本発明は、 該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が半導体基板上に一体的に構成されることを特徴とする
【0078】
また本発明は、該発光素子構造物、該回路構造変更用制御素子構造物及び該半導体基板上に設けられた電子機能素子構造物が夫々別の半導体基板上に構成され、且つ相互に電気的に接続されることを特徴とする
【0079】
また本発明は、半導体基板上に設けられた発光素子構造物と、半導体基板上に設けられた回路構造変更用制御素子構造物と、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物と、該発光素子構造物と該回路構造変更用制御素子構造物を電気的に接続する構造物とを有し、該発光素子は半導体プロセスにより形成されるLED発光素子であり、該回路構造変更用制御素子は半導体プロセスにより形成される制御素子であり、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は基板上に夫々複数が形成され、さらに、該発光素子及び該回路構造変更用制御素子は該電気的接続する構造物により相互に接続され且つ電子機能素子構造物と該回路構造変更用制御素子が相互に接続されることにより、該発光素子の接続構造を動的に変更可能にするとともに電子機能素子による機能発現を可能とし、該回路構造変更用制御素子は回路構造変更制御回路からの制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した接続構造に変更することにより、逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、且つ交流電力波形を直流に変換しないにもかかわらず常時すべての素子がほぼ点灯することによりフリッカーが低減され、さらに電流制御回路の動作効率が最適化されることにより損失発熱を低減する一体型発光素子として機能するとともに、電子機能素子による機能を発現することを特徴とする、拡張機能を内蔵した一体型発光素子である。
【0080】
また本発明は、前記回路構造変更用制御素子が制御信号に応答して前記発光素子構造物の動作を制御することを特徴とする。また本発明は、該制御素子構造物がスイッチング素子を含むことを特徴とする。さらに発明は、該スイッチング素子がトランジスタであることを特徴とする。さらに本発明は、該トランジスタがMOSFET又はJFETであることを特徴とする。
【0081】
また本発明は、該LED接続構造は2の冪乗の数のLED発光素子により構成され、該LED接続回路構造内の回路構造変更制御は、発光素子全数より小さい2の冪乗の数の発光素子群によって構成される発光単位に分割され、該発光素子の接続回路形態を変更する該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構及び該接続回路構造変更制御回路は、印加される制御信号入力に対応して、接続回路構造パターンを動的に変化させることを特徴とする。
【0082】
また本発明は、該マトリクス構造変更制御回路が、逐次変化する電力交流波形電圧に対応して、正規化された基準電圧との比較を動的に行うことによりマトリクス制御構造ビットの出力値を最適な値に確定することを特徴とする。
【0083】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、夫々のLED発光素子に印加される電流がLED接続構造の変更に関わらず一定となるような一定電流制御回路を備えてなることを特徴とする。
【0084】
また本発明は、該一定電流制御回路が、該LEDマトリクスの外部に一括制御定電流制御回路として配置されてなることを特徴とする。
【0085】
また本発明は、該一括制御定電流制御回路が、定電流素子(CRD)、電界効果トランジスタ(FET)、バイポーラトランジスタを含む定電流回路であることを特徴とする。
【0086】
また本発明は、該一定電流制御回路が、印加される電圧にかかわらずフィードバック制御により動的に一定電流制御を行うことを特徴とする。
【0087】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部と入力される商用電源の波形に対する同期信号を生成する同期波形フィルタと、該同期波形フィルタからの信号による動作ステートを決定する動作ステート比較検出器と、該LEDマトリクスの接続構造を任意且つ/又は最適な状態に変更するLEDエレメントスイッチユニットとマトリクス構造変更制御回路とを備えることを特徴とする。
【0088】
また本発明は、該同期波形フィルタが商用電源から整流した脈流をLEDマトリクスに供給する電源部に接続され、該脈流からのフィルタリング信号を取得し、動作ステートを決定する動作ステート比較検出器に出力することを特徴とする。
【0089】
また本発明は、該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、該ブリッジ整流器は該LEDマトリクス及び該同期波形フィルタの双方に商用電源から全波整流または両波整流した脈流を出力することを特徴とする。
【0090】
また本発明は、該商用電源から整流した脈流をLEDマトリクス及び該同期波形フィルタに供給する電源部はブリッジ整流器であり、該ブリッジ整流器は該LEDマトリクスに商用電源から整流した脈流を出力する第一のブリッジ整流器及び該同期波形フィルタに商用電源から整流した脈流を出力する第二のブリッジ整流器を備えることを特徴とする。
【0091】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、一定電流制御回路により制御するステート制御電流ルックアップテーブルを含み、該正規化された電圧と電流の関係を保持するルックアップテーブルと逐次変化する電圧比較により一括制御定電流制御回路による段階的な一定電流制御を行うことを特徴とする、。
【0092】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、シリコン基板上に、電力を扱うFETスイッチ以外に演算増幅器、比較器、論理回路及び/又はCPUなどの高度なデータ処理を行うハードウエアが搭載されていることを特徴とする。
【0093】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、デジタル制御の場合において、アナログ量を量子化し、その数値を使用して制御アルゴリズムを専用のソフトウエアにより実行することを特徴とする。
【0094】
また本発明は、該拡張機能を内蔵した一体型発光素子が、アナログ制御の場合において、オペアンプと比較機を用いて、条件付き専用の論理回路の出力を構造変更及び/又は電流変更に使用することを特徴とする。
【0095】
また本発明は、該制御素子構造物がサブストレートに形成され、該発光素子構造物はサブストレート上に積層された異種の材料により形成されたことを特徴とする。
【0096】
また本発明は、該サブストレートがシリコンサブストレートであることを特徴とする。
【0097】
また本発明は、該サブストレート上に積層された異種の材料がガリウム及び砒素を主成分とすることを特徴とする。
【0098】
また本発明は、該LED接続回路構造の変更にあたり、予め回路変更される対象の接続構造パターンが設定されてなり、且つ、該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構を有し、該接続回路構造変更制御回路から該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構に供給される制御信号に従い、該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更することを特徴とする。
【0099】
また本発明は、該予め設定された接続回路構造パターンに対応する接続機構が、あらかじめ設定された低抵抗配線による、回路パターンに対応するスイッチ切り替え接続機構であることを特徴とする。
【0100】
また本発明は、該低抵抗配線が低抵抗金属配線パターンであることを特徴とする。
【0101】
また本発明は、該発光素子に印加される交流電力波形に適した形態にLED接続回路構造を変更するにあたり、複数のLEDを結合し構造化する際に、すべてのLEDを一つのグループとして構造化するのではなく、複数のグループに分割し、それぞれの分割されたグループごとに、同一あるいは異なる所定の合成されたVfを作り出す構造を設定し、さらにそのグループ同士を結合して全体的なVfを合成することにより、入力電圧との差分電圧を減少せしめることにより損失を減少することを特徴とする。
【0102】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はWiーFi機能であることを特徴とする。この場合、WiーFi機能を発現させるためにアンテナについては外部に設置する必要がある。
【0103】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はメッシュWiーFi機能であることを特徴とする。この場合、WiーFi機能を発現させるためにアンテナについては外部に設置する必要がある。
【0104】
係る拡張機能を有することにより、照明器具を設置するだけで例えばオフィス全域で高速且つ安定したWiーFi環境を簡便に提供する事が可能となった。
【0105】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はセンサー機能であって、該センサーの出力に応じてLED発光素子の照度或いは色調が制御されることを特徴とする。
【0106】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はセンサー機能であって、該センサーは人感センサー、赤外線センサー、温度センサー或いは光センサーであることを特徴とする。
【0107】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はマイク機能及び/又はスピーカー機能であることを特徴とする。
【0108】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は少なくともスピーカー機能を有するとともに外部からの信号を受信し音声信号に変換して該スピーカーを駆動する機能を有するものであることを特徴とする。
【0109】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は少なくともマイク機能を有するとともに外部からの音声を受信し解析して、音声によるリクエストに応じてLED発光素子の照度或いは色調を制御し或いは包含される拡張機能を制御する機能を有するものであることを特徴とする。
【0110】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能は加速度センサー機能であることを特徴とする。
【0111】
また本発明は、該回路構造変更用制御素子構造物の近傍にさらに設けられた電子機能素子構造物が、拡張機能を発現する素子を構成するものであって、該拡張機能はMEMS機能であることを特徴とする。
【0112】
本発明は、電球照明装置の発展型ではなく、デジタル技術を適用した、新しい着想に基ついた拡張機能を内蔵した一体型発光素子をリーズナブルに実現する構成であり、その応用範囲は非常に広範であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係るLEDを用いた照明装置に用いる拡張機能を内蔵した一体型発光素子は、簡便な構成でフリッカや暗時間の問題を解決した安定した発光が得られ、整流後の平滑用キャパシタ及びスイッチングレギュレータ用の大容量電解コンデンサが不要となり低コストで製造可能であり且つ長期信頼性が向上するとともに、効果的に逐次変化する印加電圧と素子の要求電圧を最適化し、電流制御回路の動作エネルギ効率が最適化されることにより、制御回路、素子における損失の最小化を実現するとともに、高周波ノイズが低減されることを特徴とするLEDを用いた照明装置を提供できるとともに、一体的な半導体プロセスを用いて形成することにより圧倒的な低コストで多彩な拡張機能を有するLEDを用いた照明装置を提供できる拡張機能を内蔵した一体型発光素子を提供出来、以って産業上の利用価値は多大であると言える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15