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特開2023-111208不動産シミュレーションサーバ装置及びシミュレーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023111208
(43)【公開日】2023-08-10
(54)【発明の名称】不動産シミュレーションサーバ装置及びシミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/13 20200101AFI20230803BHJP
【FI】
G06F30/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022012951
(22)【出願日】2022-01-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】521119212
【氏名又は名称】FREEDOM X株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(72)【発明者】
【氏名】鐘撞 正也
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC05
5B146DG02
5B146DJ11
5B146DL08
5B146EA09
5B146EC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土地の図形内と建物の図形が納まるような配置の有無を判定できる不動産シミュレーションサーバ装置及びシミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】不動産シミュレーションサーバ装置100は、第1受付手段110と、第2受付手段120と、選定手段130と、移動制御手段140と、判定手段150と、返信手段160と、を有する。選定手段130は、第1及び第2受付手段110,120によって受け付けられた土地情報及び建物情報に基づいて、建物の外形寸法入りの平面図情報が格納されている格納媒体から、それらの情報に合致し得る建物を選定する。返信手段160は、判定手段150によって土地の形状を示す図形内に平面図情報の図形が納まると判定された特定情報を、クライアント装置に対して返信する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザから土地の大きさ及び形状を含む土地情報を受け付ける第1受付手段と、
前記ユーザが建築を希望する建物の階数及び部屋数を含む建物情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第1及び前記第2受付手段によって受け付けられた土地情報及び建物情報に基づいて、少なくとも建物の外形寸法入りの平面図情報が格納された格納媒体を参照して、合致し得る建物を選定する選定手段と、
前記選定手段によって選定された建物の平面図情報の図形と前記土地情報に含まれる土地の大きさ及び形状を示す図形とを重畳させた状態で移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段によって移動させた前記土地の形状を示す図形内に前記平面図情報の図形が納まるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記土地の形状を示す図形内に前記平面図情報の図形が納まると判定された建物を特定可能な特定情報を返信する返信手段と、
を備える不動産シミュレーションサーバ装置。
【請求項2】
前記選定手段は、
前記格納媒体に格納されている建物の平面図情報を当該土地における建築面積及び延床面積に基づいてフィルタリングする第1フィルタ手段と、
前記格納媒体に格納されている建物の平面図情報を前記土地の大きさに基づいてフィルタリングする第2フィルタ手段と、
を有する、請求項1記載の不動産シミュレーションサーバ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の不動産シミュレーションサーバ装置と、
前記不動産シミュレーションサーバ装置に対して前記土地情報と前記建物情報とを送信する送信手段と、前記不動産シミュレーションサーバ装置から返信される前記特定情報を受信する受信手段と、を備えるクライアント装置と、
がネットワークを介して接続されている不動産シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記クライアント装置は、
前記送信手段によって送信される土地情報及び建物情報を入力する入力画面を表示する入力画面表示手段と、
前記受信手段によって受信される前記特定情報に含まれる平面図を前記土地情報に含まれる土地の形状を示す図形内に重畳させて表示する重畳画面表示手段と、
備える、請求項3記載の不動産シミュレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産シミュレーションサーバ装置及びシミュレーションシステムに関し、特に、土地を購入して建物を建築しようとしているユーザから、土地情報と建物情報を受け付け、それらに合致し得る建物の平面図を当該ユーザに提供する不動産シミュレーションサーバ装置及びシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、住宅販売の促進などを目的として、土地入力用の機能部で入力された土地の中に、間取りプラン選択用の機能部で選択した間取りプランが納まるかどうかを、間取りプランはめ込み用の機能部を使用して、確認することができる住宅販売支援システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-316819号公報の[0011]段落
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている発明は、土地の中に間取りプランが納まるかどうかを、どのようにして確認するかについて具体的手法は開示されていない。
【0005】
ただ、特許文献1の[0011]段落には、利用者の端末の表示部に、まず利用者の土地を表示させ、次いで利用者が選択した間取りプランを上記土地の上に配置するとしか記載されていないから、単に土地の図形上に間取りプランの図形を重畳させただけであると解される。
【0006】
そうだとすると、例えば、土地の図形が横長であり、かつ、間取りプランの図形もほぼ相似形の横長であれば、単に量図形の大きさだけを考慮すればよく、土地の図形の面積よりも間取りプランの図形の面積が小さければ、当該土地の図形内に当該間取りプランの図形が納まるので問題はない。
【0007】
一方、仮に、土地の図形の大きさも間取プラン(建物)の図形の大きさも同じ条件であるとしても、土地の図形が「縦長」の状態で保存されていてれば、そこに横長の建物の図形は納まらないという判定がされる可能性がある。その場合には、利用者にそのような間取プランとの接触機会を付与することができず問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、土地の図形と建物の図形を重畳させただけの状態で判定するのではなく、土地の図形内と建物の図形が納まるような配置の有無を判定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の不動産シミュレーションサーバ装置は、
ユーザから土地の大きさ及び形状を含む土地情報を受け付ける第1受付手段と、
前記ユーザが建築を希望する建物の階数及び部屋数を含む建物情報を受け付ける第2受付手段と、
前記第1及び前記第2受付手段によって受け付けられた土地情報及び建物情報に基づいて、少なくとも建物の外形寸法入りの平面図情報が格納された格納媒体を参照して、合致し得る建物を選定する選定手段と、
前記選定手段によって選定された建物の平面図情報の図形と前記土地情報に含まれる土地の大きさ及び形状を示す図形とを重畳させた状態で移動させる移動制御手段と、
前記移動制御手段によって移動させた前記土地の形状を示す図形内に前記平面図情報の図形が納まるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記土地の形状を示す図形内に前記平面図情報の図形が納まると判定された建物を特定可能な特定情報を返信する返信手段と、
を備える。
【0010】
前記選定手段は、
前記格納媒体に格納されている建物の平面図情報を当該土地における建築面積及び延床面積に基づいてフィルタリングする第1フィルタ手段と、
前記格納媒体に格納されている建物の平面図情報を前記土地の大きさに基づいてフィルタリングする第2フィルタ手段と、
を有することができる。
【0011】
さらに、本発明の不動産シミュレーションシステムは、
上記不動産シミュレーションサーバ装置と、
前記不動産シミュレーションサーバ装置に対して前記土地情報と前記建物情報とを送信する送信手段と、前記不動産シミュレーションサーバ装置から返信される前記特定情報を受信する受信手段と、を備えるクライアント装置と、
がネットワークを介して接続されている。
【0012】
また、前記クライアント装置は、
前記送信手段によって送信される土地情報及び建物情報を入力する入力画面を表示する入力画面表示手段と、
前記受信手段によって受信される前記特定情報に含まれる平面図を前記土地情報に含まれる土地の形状を示す図形内に重畳させて表示する重畳画面表示手段と、備えることもできる。
【発明の実施の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態の不動産シミュレーションシステムの模式図である。図1には、以下説明する、不動産シミュレーションサーバ装置100と、クライアント装置200と、格納媒体300と、ネットワーク400と、を示している。
【0015】
不動産シミュレーションサーバ装置100は、本実施形態の不動産シミュレーションシステムのサービス事業者によって管理されるものである。不動産シミュレーションサーバ装置100は、例えば、サーバ型コンピュータを用いることができる。
【0016】
不動産シミュレーションサーバ装置100は、主として、クライアント装置200からネットワーク400を介して送信される土地情報と建物情報とを受け付け、それらに合致し得る建物の平面図を提供するものである。
【0017】
本明細書における土地情報とは、クライアント装置200を操作するユーザが購入を検討している土地の少なくとも大きさ及び形状を含む情報のことをいう。更に、より詳細な建物についての情報を取得したい場合には、土地情報として、その土地に係る建蔽率、容積率などの情報を含めることもできる。
【0018】
本明細書における建物情報とは、当該ユーザが建築を希望する建物少なくともの階数及び部屋数を含む情報のことをいう。更に、より詳細な建物についての情報を取得したい場合には、建物情報として、その部屋の向き、庭やカースペースの大きさなどの情報を含めることもできる(なお、建蔽率、容積率は、建物情報として位置付けてもよい。)。
【0019】
また、不動産シミュレーションサーバ装置100が提供する建物を特定可能な特定情報に含まれる平面図は、建物の外形を示す見取図であっても、建物における各部屋などの大きさや配置を示す間取図であってもよい。特定の土地に対して建築可能な建物を大掴みでイメージできるようにしたい場合には前者、建物内まで更に詳細にイメージできるようにしたい場合には後者が好適である。本実施形態では、これらの双方を表示できるようにしているが、いずれか一方のみを表示するようにしてもよい。
【0020】
クライアント装置200は、土地の購入を検討しているユーザによって操作されるものである。クライアント装置200は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット装置、PDA、スマートフォン、携帯電話機などの総称である。クライアント装置200は、計算機能及び通信機能を有してさえいれば、これらに限定されるものではないが、ディスプレイを有しているか、ディスプレイが接続されていることが必要である。
【0021】
クライアント装置200は、主として、土地情報と建物情報とをネットワーク400を介して送信し、それに応じてクライアント装置200から返信される、前記特定情報を受信して、付帯するディスプレイに表示するものである。
【0022】
格納媒体300は、本実施形態の不動産シミュレーションシステムのサービス事業者やハウスメーカなどが過去に作成した、少なくとも建物の外形寸法入りの平面図情報が格納されたものである。本実施形態では、当該平面図情報は、その建物の、「金額」、「延床面積」、「部屋数」、「階数」と紐付けて格納している。なお、図1には、格納媒体300が、それ単独の装置である例を示しているが、例えば不動産シミュレーションサーバ装置100に内蔵するようにしてもよいし、複数台の装置によって実現してもよい。
【0023】
ネットワーク400は、インターネット、携帯電話網などの各種ネットワークの総称である。なお、ネットワーク400には、Wi-Fiやブルートゥースなどの無線ネットワーク、局所的に設けられたローカルエリアネットワークも含むものとする。
【0024】
図2は、図1に示す不動産シミュレーションサーバ装置100の模式図である。図2には、以下説明する、第1受付手段110と、第2受付手段120と、選定手段130と、移動制御手段140と、判定手段150と、返信手段160と、を示している。
【0025】
第1受付手段110は、クライアント装置200からネットワーク400を介して送信される土地情報を受け付けるものである。第2受付手段120は、クライアント装置200からネットワーク400を介して送信される建物情報を受け付けるものである。第1及び第2受付手段110,120は、受付対象が概念的に異なるものであるという理由から、別個の手段としているが、これらは一つの手段として実現してもよい。
【0026】
選定手段130は、第1及び前記第2受付手段110,120によって受け付けられた土地情報及び建物情報に基づいて、少なくとも建物の外形寸法入りの平面図情報が格納されている格納媒体300から、それらの情報に合致し得る建物を選定するものである。選定手段130による具体的な建物の選定例については、不動産シミュレーションシステムの動作とともに後述する。
【0027】
移動制御手段140は、選定手段130によって選定された建物の平面図情報の図形と第1受付手段110によって受け付けられた土地情報に含まれる土地の大きさ及び形状を示す図形とを重畳させた状態で移動させるものである。
【0028】
判定手段150は、移動制御手段140によって移動させた土地の形状を示す図形内に平面図情報の図形が納まるか否かを判定するものである。なお、判定の結果、土地の形状を示す図形内に平面図情報の図形が納まる場合には、その平面図情報は返信手段160による返信対象となり、そうでない場合には、その平面図情報は返信手段160による返信対象とならない。
【0029】
返信手段160は、判定手段150によって土地の形状を示す図形内に平面図情報の図形が納まると判定された前記特定情報を、ネットワーク400を介してクライアント装置200に対して返信するものである。
【0030】
また、選定手段130は、以下に説明する、第1フィルタ手段132と、第2フィルタ手段134と、を有する。
【0031】
第1フィルタ手段132は、格納媒体300に格納されている建物の平面図情報を、例えば、第1受付手段110によって受け付けられた土地に関する建築面積及び延床面積と、第2受付手段120によって受け付けられた建物情報とに基づいてフィルタリングするものである。
【0032】
第2フィルタ手段134は、格納媒体300に格納されている建物の平面図情報を、例えば、第1受付手段110によって受け付けられた土地情報に含まれる土地の大きさに基づいてフィルタリングするものである。
【0033】
図3は、図1に示すクライアント装置200の模式図である。図3には、以下説明する、送信手段210と、受信手段220と、入力画面表示手段230と、重畳画面表示手段240と、を示している。
【0034】
送信手段210は、入力画面表示手段230によって表示された入力画面を通じて入力された土地情報及び建物情報を、ネットワーク400を介して不動産シミュレーションサーバ装置100に対して送信するものである。
【0035】
受信手段220は、不動産シミュレーションサーバ装置100から、ネットワーク400を介して返信される前記特定情報を受信するものである。
【0036】
入力画面表示手段230は、送信手段210によって送信される土地情報及び建物情報を入力する入力画面を、ディスプレイに表示するものである。入力画面表示手段230は、例えば、ウェブブラウザの機能によって、該当するウェブサーバにアクセスして、そこに蓄積されている入力画面を含むウェブページの情報をダウンロードして、ディスプレイに表示する。
【0037】
重畳画面表示手段240は、受信手段220によって受信される前記特定情報に含まれる、土地情報に含まれる土地の形状を示す図形内に建物の平面図が重畳されたものを付帯するディスプレイに表示するものである。重畳画面表示手段240は、入力画面表示手段230と同様の手法によって、重畳画面ウェブページを含むウェブページの情報をダウンロードして、ディスプレイに表示することができる。
【0038】
図4(a)及び図4(b)は、図3に示すクライアント装置200のディスプレイに表示される入力画面例を示す図である。不動産シミュレーションシステムのサービス事業者などが、これらの入力画面を含むウェブページを用意し、それを所定のウェブサーバに蓄積しておき、クライアント装置200のウェブブラウザの機能によって、当該ウェブサーバにアクセスして、当該ウェブページの情報を取得して、当該ディスプレイに表示することができる。
【0039】
図4(a)には、ユーザが購入を検討している土地についての土地情報を入力するための入力画面230Aを示している。図4(a)には、行列方向に延びるグリッド線が描かれた土地形状入力領域231Aと、当該グリッド線間の間隔の尺度を選択するための選択領域232Aと、土地形状入力領域231A及び選択領域232Aに対する操作後にユーザによって押下される完了ボタン表示領域233Aと、を示している。
【0040】
図4(a)には、土地形状入力領域231Aに、ユーザが購入を検討している土地の形状を描き、その大きさを特定した例を示している。ここで例示する土地は、図面縦方向に10000mm、図面横方向に13,000mmとなる長方形から、右上部分が若干欠けた形状をしている。
【0041】
なお、土地形状入力領域231Aに対する土地の形状の入力方法は不問であり、例えば角部をクリックする、線を描画する、スキャンデータ取り込む、その土地の販売情報が掲載されているウェブページから取り込むなどが考えられる。
【0042】
図4(b)には、図4(a)の完了ボタン表示領域233Aの完了ボタンが押下された場合に遷移する、ユーザが建築を希望する建物についての建物情報を入力するための入力画面例230Bを示している。
【0043】
図4(b)には、図4(a)に示す入力画面230Aを通じて複数の土地情報が入力済みである場合にそれらのうちいずれかの土地情報を選択するための選択領域231Bと、建物の階数及び部屋数を指定する指定領域232B,233Bと、建物の建築面積及び延床面積を入力する入力領域234B,235Bと、検索結果の表示順を選択する選択領域236Bと、選択領域231B,236B、指定領域232B~233B及び入力領域234B,235Bに対する操作後にユーザによって押下される適用ボタン表示領域237Bと、を示している。
【0044】
指定領域232B,233Bに係る建物の階数及び部屋数については「指定なし」という選択肢も用意しており、これらが選択されて「指定なし」という建物情報が不動産シミュレーションサーバ装置100に送信できるようにしている。また、入力領域234B,235Bに係る建物の建築面積及び延床面積に代えて又はそれらとともにその建蔽率及び容積率を入力し、送信できるようにしてもよい。
【0045】
図5は、図3に示すクライアント装置200に付帯するディスプレイに表示される重畳画面例240Aを示す図である。図5には、本実施形態の不動産シミュレーションシステムのサービス事業者によって割り当てられた建物管理番号(例えば「No.561」)と、その建物の施工に必要だった建物金額(例えば「1,245万円」)と、延床面積(例えば「75.7m(22.9坪)」)と、部屋数(例えば「2LDK)及び階数(例えば「3階建て」)といった情報も付記している。
【0046】
図5を参照して、具体的な重畳画面例240Aについて説明する。重畳画像表示領域241Aには、図4(a)に示す土地の形状を示す図形242Aに、当該土地に合致し得る建物の見取図の図形243Aが重畳された状態で表示されている。ここでは、図形242Aに対して土地の寸法も付記している。
【0047】
なお、その寸法は、例示する「8,000」mmや「7,000」mmといった細かい部分まで表示しなくてもよいし、反対に、右上の欠けた部分についても「4,500」mm、「3,000」mmなどの表示、更には、当該部分の斜め部分の概略寸法である「5,400」mmの表示をしてもよい。このことは、以下説明する、間取図244A等に付記する外形寸法についても当てはまる。
【0048】
間取図244Aは、この建物の1階部分の間取を示すものである。この例では、個室と、納戸と、収納(スペース)と、玄関と、ホールとの配置、形状及び大きさが、それぞれの帖数とともに示されている。また、間取図244Aには、その建物の外形寸法も付記している。
【0049】
間取図245Bは、間取図244Aに対応する2階部分の間取を示すものであり、間取図246Bは、間取図244Aに対応する3階部分の間取を示すものである。なお、重畳画面例240Aには、当該建物の正面図、側面図、背面図も表示できるようにしてもよい。
【0050】
図6は、図2に示す不動産シミュレーションサーバ装置100の移動制御手段140と判定手段150とによって実行される処理の説明図である。
【0051】
まず、その処理の前提について説明する。図6(A)には、図5等に示すものをそのまま踏襲した土地図形242Cを例示している。図6(B)には、図面縦方向に10,000mm、図面横方向に9,500mmとなる長方形から、右上部分の図面縦方向に4,800mm、図面横方向に3,500mmとなる長方形が欠けた形状の見取図で示される建物図形243Cを例示している。
【0052】
図6(a)~図6(f)には、図6(A)の土地図形242Cに対して図6(B)の建物図形243Cを移動させて、土地図形242C内に建物図形243Cが納まるか否かを判定する処理の状況を示している。
【0053】
なお、本明細書でいう「納まる」という意味は、隣地境界線から50cm以上の距離を保たなければならないということを定めた民法234条1項の規定に従って建築可能であることをいうが、その規定と異なる慣習があるときには当該慣習に従うという民法236条の規定に従って建築可能であるものとしてもよい。
【0054】
先に、移動制御手段140及び判定手段150による処理の手順例について説明する。
【0055】
(1)移動制御手段140は、土地図形242Cと建物図形243Cとの各重心を割り出し、それらが一致するように土地図形242Cに対して建物図形243Cを移動し、判定手段150は、土地図形242Cに建物図形243Cに納まるか否かについて判定する。
【0056】
(2)判定の結果、土地図形242Cに建物図形243Cに納まらない場合には、移動制御手段140は、土地図形242Cと建物図形243Cとの重複領域が増えるように建物図形243Cを平行移動し、逐次、判定手段150は、土地図形242Cに建物図形243Cに納まるか否かについて判定する。
【0057】
(3)平行移動をしても土地図形242Cに建物図形243Cに収まらない場合には、移動制御手段140は、建物図形243Cを回転移動し、逐次、判定手段150は、土地図形242Cに建物図形243Cに納まるか否かについて判定する。
【0058】
(4)回転移動をしても土地図形242Cに建物図形243Cに収まらない場合には、移動制御手段140は、建物図形243Cを反転移動し、更に、適宜、平行移動・回転移動を交えながら、逐次、判定手段150は、土地図形242Cに建物図形243Cに納まるか否かについて判定する。
【0059】
判定手段150は、移動制御手段140によって移動された建物図形243Cが土地図形242Cに納まる場合には、その土地図形242Cはクライアント装置200に対して返信する建物の特定情報に含めるものとし、そうでなければ特定情報に含めるものとはしない。
【0060】
図6(a)には、移動制御手段140によって、図6(A)の土地図形242Cに対して図6(B)の建物図形243Cをそのまま平行移動し、上記(1)~(2)の処理を実行後の状態を示している。図6(a)に示す例では、隣地境界線から50cm以上の距離を保てないから、判定手段150には、土地図形242C内に建物図形243Cが納まってないと判定することになる。
【0061】
なお、特許文献1に記載されている手法によれば、この段階で、土地図形242Cに係る土地に対して建物図形243Cに係る建物は納まらないとして扱われることになると推測される。
【0062】
図6(b)~図6(e)には、移動制御手段140によって、図6(A)の土地図形242Cに対して図6(B)の建物図形243Cを、それぞれ、反時計回りに90度、更に約135度、更に約45度、更に約135度回転移動し、上記(1)~(3)の処理を実行後の状態を示している。図6(b)~図6(e)に示す例では、判定手段150には、土地図形242C内に建物図形243Cが納まっていないと判定することになる。
【0063】
図6(f)には、移動制御手段140によって、図6(A)の土地図形242Cに対して図6(B)の建物図形243Cをそのまま平行移動し、上記(1)~(4)の処理を実行後の状態を示している。図6(f)では、これまでの処理とは異なり建物図形243Cを反転移動しており、建物図形243Cに係る建物が土地図形242Cに係る隣地境界線から50cm以上の距離を保てており(1マスが100cmである)、したがって、判定手段150には、土地図形242C内に建物図形243Cが納まっていると判定することになる。
【0064】
図7は、図1に示す不動産シミュレーションシステムの動作を示す流れ図である。ここでは、図4を用いて説明した入力画面が図示しないウェブサーバに格納されていることを前提に説明する。
【0065】
まず、土地の購入を検討しているユーザがクライアント装置200を操作すると、入力画面表示手段230は、そのブラウザ機能によって上記ウェブサーバにアクセスして、図4(a)に示す入力画面を取得して、付帯するディスプレイに表示する(ステップS1)。
【0066】
つづいて、ユーザがクライアント装置200を操作して、図4(a)に示す入力画面230Aにおける、土地形状入力領域231Aに所望の土地情報を入力し、選択領域232Aで尺度を選択し、完了ボタン表示領域233Aを押下すると、図4(b)に示す入力画面230Bに遷移する。
【0067】
引き続き、ユーザがクライアント装置200を操作して、図4(b)に示す指定領域232B,233Bを通じて建物の階数及び部屋数を指定し、入力領域234B,235Bを通じて建物の建築面積及び延床面積を入力し、選択領域236Bを通じて検索結果の表示順を選択し、適用ボタン表示領域237Bを押下すると、送信手段210は、入力画面230Aを通じて入力された土地情報と入力画面230Bを通じて入力された建物情報とを、ネットワーク400を介して、不動産シミュレーションサーバ装置100に送信する(ステップS2)。
【0068】
ここでは、クライアント装置200は、土地情報と建物情報とを一緒に送信する例を説明したが、例えば、ユーザが完了ボタン表示領域233Aを押下したことをもって土地情報を送信し、ユーザが適用ボタン表示領域237Bを押下したことをもって建物情報を送信するようにしてもよい。
【0069】
不動産シミュレーションサーバ装置100では、クライアント装置200からネットワーク400を介して送信される土地情報と建物情報とを、それぞれ、第1及び第2受付手段110,120によって受け付けると、選定手段130における第1フィルタ手段132は、それらの情報に含まれる建物の階数及び部屋数と建築面積及び延床面積とを格納媒体300に出力し(ステップS3)、格納媒体300はそれらに合致し得る建物の平面図情報をフィルタリングして、格納媒体300は、それらの合致し得る平面図情報を第1フィルタリング結果として出力する(ステップS4)。
【0070】
つぎに、選定手段130における第2フィルタ手段134は、土地情報に含まれる土地の大きさを格納媒体300に出力し(ステップS3)、格納媒体300はそれに合致し得る建物の平面図情報をフィルタリングして、格納媒体300は、それらの合致し得る平面図情報を第2フィルタリング結果として出力する(ステップS4)。
【0071】
ここでは、不動産シミュレーションサーバ装置100が、第1,第2フィルタリング結果を別個に取得する手法を説明したが、ステップS3,S5において出力する情報を1回で出力することによって、単独のフィルタリング結果を取得することもできる。
【0072】
もっとも、図7に示すように、別個にフィルタリング結果を取得し、各々のフィルタリング結果に基づく建物の特定情報を、ユーザに対して別個に提供できるようにすると、例えば、土地の選定段階が進んでいないユーザに対して限定的でない情報が与えられるという利点がある。
【0073】
別個のフィルタリング結果に基づく建物の特定情報を提供するか、単独のフィルタリング結果に基づく建物の特定情報を提供するかについては、例えば、ユーザが選択できるようにしてもよく、その場合の具体的な対応としては、例えば、図4(b)に示す選択領域231Bに付帯して表示している「土地を指定」という選択ボックスがチェックされているか否かによって決定することもできる。
【0074】
いずれの態様を採用するにしても、不動産シミュレーションサーバ装置100では、選定手段130がフィルタリング結果によって土地情報及び建物情報に合致し得る建物の平面図情報を選定すると、その選定結果の平面図情報に対して、図6を用いて説明したように、移動制御手段140及び判定手段150によって、適宜、平行移動、回転移動、反転移動をし、判定を行えばよい(ステップS7,S8)。
【0075】
そして、不動産シミュレーションサーバ装置100では、判定手段150によって最終的に返信対象として判定された建物の特定情報を含む建物の特定情報を、返信手段160によって、ネットワーク400を介して、図4(b)に示すような態様でクライアント装置200に返信する(ステップS9)。
【0076】
したがって、クライアント装置200では、受信手段220によって適宜判定された建物の特定情報を受信し、重畳画面表示手段240によってディスプレイに表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
図1】本発明の実施形態の不動産シミュレーションシステムの模式図である。
図2図1に示す不動産シミュレーションサーバ装置100の模式図である。
図3図1に示すクライアント装置200の模式図である。
図4図3に示すクライアント装置200のディスプレイに表示される入力画面例を示す図である。
図5図3に示すクライアント装置200に付帯するディスプレイに表示される重畳画面例240Aを示す図である。
図6図2に示す不動産シミュレーションサーバ装置100の移動制御手段140と判定手段150とによって実行される処理の説明図である。
図7図1に示す不動産シミュレーションシステムの動作を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0078】
100 不動産シミュレーションサーバ装置
110 第1受付手段
120 第2受付手段
130 選定手段
132 第1フィルタ手段
134 第2フィルタ手段
140 移動制御手段
150 判定手段
160 返信手段
200 クライアント装置
210 送信手段
220 受信手段
230 入力画面表示手段
240 重畳画面表示手段
300 格納媒体
400 ネットワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7