(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023112525
(43)【公開日】2023-08-14
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20230804BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20230804BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20230804BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230804BHJP
【FI】
H01M10/48 Z
H01M50/204 401D
H01M50/251
H02J7/00 302C
H02J7/00 Y
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014369
(22)【出願日】2022-02-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】密岡 重日
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 隆文
(72)【発明者】
【氏名】古木 一志
(72)【発明者】
【氏名】東 直樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB02
5G503EA08
5H030AA06
5H030AS01
5H030FF01
5H030FF68
5H040AA32
5H040AA39
5H040AS01
5H040AY04
5H040DD26
5H040GG26
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】外部に浸水情報を知らせることができる蓄電装置を提供すること。
【解決手段】柱状部材2の内部に上下方向に並んで設置された複数の電池パック5と、電池パック5の上方に配置され、電池パック5を制御する制御装置6と、複数の電池パック5のそれぞれの内部に設けられた水没センサと、浸水に関する情報を外部に通知する通知部と、を備え、制御装置6は、各電池パック5内の水没センサからの水没を示す情報を受信する通信部と、いずれの水没センサから水没を示す情報を受信したか否かに基づき、浸水の度合いを判定する判定部と、判定部により判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報を外部に通知するよう通知部を制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の負荷に電力を供給可能であって、柱状部材の内部に上下方向に並んで設置された複数の電池パックと、
前記電池パックの上方に配置され、前記電池パックを制御する制御装置と、
前記複数の電池パックのそれぞれの内部に設けられた水没センサと、
浸水に関する情報を外部に通知する通知部と、を備え、
前記制御装置は、
各電池パック内の前記水没センサからの水没を示す情報を受信する通信部と、
いずれの前記水没センサから前記水没を示す情報を受信したか否かに基づき、浸水の度合いを判定する判定部と、
前記判定部により判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報を外部に通知するよう前記通知部を制御する制御部と、を有することを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記柱状部材の外面に設けられたインジケータであることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記所定の負荷が照明装置である街灯に用いられる蓄電装置であって、
前記インジケータが前記照明装置によって構成されていることを特徴とする請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記浸水度合情報を外部に送信する通信装置からなることを特徴とする請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記インジケータに加えて、前記浸水度合情報を外部に送信する通信装置としての機能を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記電池パックが車載用の電池パックのリユース品であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載されていた電池パックをリユースする取り組みが知られている。こうした取り組みにおいては、電池パックをセルやモジュールに分解すると、コスト面で採算が合わないという課題があるため、電池パックをそのままリユースすることになる。
【0003】
しかしながら、小型リチウムイオン電池を用いた電池パックは、電池容量が小さいため、そのまま家庭用電源に用いることができない。そこで、小型リチウムイオン電池を用いた電池パックのリユース用途として、街灯用蓄電池がある。さらに、街灯をソーラー式の街灯(以下、「ソーラー街灯」という)とする場合がある。
【0004】
市場より回収した電池パックは、新品よりも例えば容量や内部抵抗といった性能が劣化しており、また性能のばらつきもある。こうした事情を考慮し、電池パックのリユースには、複数の電池パックを組み合わせて容量を増やすことが必要である。
【0005】
特許文献1には、例えば地震、津波、風水害または火災などの災害による異常が生じた場合において、蓄電池に蓄えられた電力を放電させ、二次災害が発生する可能性を従来よりも低減することを目的として、異常検出部から受信した信号に基づき異常が発生していると判断した場合に、電力消費部で蓄電池に蓄えられた電力を消費させ、設定充電量以下に蓄電池の電力量を低下させる電力制御部を備える蓄電池制御装置が知られている。
【0006】
特許文献1には、上記異常検出部が浸水の有無を検出する浸水センサーであることが開示されている。このような構成によれば、特許文献1に記載の蓄電池制御装置は、浸水による異常を検出することができ、蓄電システムが浸水により損傷する前に蓄電池を放電することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の蓄電池制御装置にあっては、蓄電システムの外部では浸水の情報(以下、「浸水情報」という)を知ることができないという課題があった。
【0009】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、外部に浸水情報を知らせることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、所定の負荷に電力を供給可能であって、柱状部材の内部に上下方向に並んで設置された複数の電池パックと、前記電池パックの上方に配置され、前記電池パックを制御する制御装置と、前記複数の電池パックのそれぞれの内部に設けられた水没センサと、浸水に関する情報を外部に通知する通知部と、を備え、前記制御装置は、各電池パック内の前記水没センサからの水没を示す情報を受信する通信部と、いずれの前記水没センサから前記水没を示す情報を受信したか否かに基づき、浸水の度合いを判定する判定部と、前記判定部により判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報を外部に通知するよう前記通知部を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部に浸水情報を知らせることができる蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の概略構成図であって、(a)に正面図、(b)に左側面図を示している。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電池パックの概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例に係るソーラー街灯の電気的接続の概略を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態に係る蓄電装置は、所定の負荷に電力を供給可能であって、柱状部材の内部に上下方向に並んで設置された複数の電池パックと、電池パックの上方に配置され、電池パックを制御する制御装置と、複数の電池パックのそれぞれの内部に設けられた水没センサと、浸水に関する情報を外部に通知する通知部と、を備え、制御装置は、各電池パック内の水没センサからの水没を示す情報を受信する通信部と、いずれの水没センサから水没を示す情報を受信したか否かに基づき、浸水の度合いを判定する判定部と、判定部により判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報を外部に通知するよう通知部を制御する制御部と、を有することを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る蓄電装置は、外部に浸水情報を知らせることができる。
【実施例0014】
以下、本発明の一実施例に係る蓄電装置について図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施例は、屋外に設置されるソーラー街灯に用いられる蓄電装置を例に説明するものである。
【0016】
(ソーラー街灯の構成)
街灯としてのソーラー街灯1は、柱状部材2と、ソーラーパネル3と、所定の負荷としての照明装置4と、複数の電池パック5と、制御装置6と、を含んで構成されている。ソーラー街灯1は、地面G上に設置されている。
【0017】
以下においては、柱状部材2を基準に、照明装置4側を「前」、その反対側を「後」、後側から前側を見たときに左側を「左」、右側を「右」、上側を「上」と、それぞれ定義する。また、柱状部材2の各側面のうち、照明装置4が設置された側面をソーラー街灯1の正面側とする。
【0018】
柱状部材2は、四角柱からなり、内部に空間を有する中空状に形成されている。柱状部材2は、角柱又は円柱など、四角柱以外の形状も採用可能である。柱状部材2の内部には、後述するように、照明装置4に電力を供給可能な複数の電池パック5と、制御装置6とが設置されている。
【0019】
柱状部材2の内部においては、制御装置6が複数の電池パック5の上方に配置されている。柱状部材2の正面側の側面2aには、第1の開口部21と、第1の開口部21よりも上方に位置する第2の開口部22と、が形成されている。
【0020】
第1の開口部21は、複数の電池パック5の設置位置に設けられている。第1の開口部21は、例えば電池パック5の交換やメンテナンスの作業を行う際に利用されるもので、それら作業を行わないときは蓋21aによって閉塞されている。
【0021】
第2の開口部22は、制御装置6の設置位置に設けられている。第2の開口部22は、例えば制御装置6の操作やメンテナンスの作業を行う際に利用されるもので、それら操作や作業を行わないときは蓋22aによって閉塞されている。
【0022】
本実施例においては、柱状部材2の内部における複数の電池パック5の設置領域が制御装置6の設置領域よりも柱状部材2の高さ方向に長いため、第2の開口部22よりも第1の開口部21の高さ方向の長さが長くなっている。
【0023】
柱状部材2の底部には、地面Gの下に埋まったドレン管25が接続されている。ドレン管25は、柱状部材2の底部に溜まった水分を排水として地下に流すための配管である。
【0024】
ソーラーパネル3は、柱状部材2の頂部23に取り付けられている。ソーラーパネル3は、太陽からの光エネルギを用いて電気を発生させる太陽電池モジュールからなり、ソーラー街灯1の設置箇所に応じて、例えば年間を通して一番多い日射量を得ることのできる向きに調整されている。ソーラーパネル3は、電池パック5及び制御装置6に電力を供給可能に接続されている。
【0025】
照明装置4は、柱状部材2の正面側の側面2aの上部に配置され、柱状部材2の上部から下方を照明するようになっている。
【0026】
電池パック5は、車両に搭載されていた車載用電池パックのリユース品である。本実施例では、ハイブリッド車に使用される容量の小さな電池パックのリユースを実現するため、複数の電池パック5を組み合わせて容量を増やして使用するようにしている。
【0027】
電池パック5がリユース品であると、使用履歴により容量や内部抵抗等の劣化度合いが異なるため、個々に性能のバラつきがある。組み合わせる複数の電池パック5で残寿命が異なるため、使用途中で電池パック5の交換が必要となる可能性が高い。本実施例では、上述のように柱状部材2の内部に複数の電池パック5を配置することにより、一部の電池パック5に異常が生じても残りの電池パック5で街灯としての動作を保証することができる。
【0028】
電池パック5は、横置きの場合に水平方向の辺の長さよりも鉛直方向の辺の長さが短い直方体状に構成されている。「横置き」とは、電池パック5の車両搭載時の置き方であり、電池パック5の厚みが最も小さくなる置き方である。
【0029】
本実施例において、電池パック5は、柱状部材2の内部に縦置きにして搭載されている。さらに、本実施例においては、縦置きにした複数の電池パック5が上下方向に並ぶように柱状部材2の内部に配置されている。
【0030】
また、柱状部材2の内部で上下方向に並んだ複数の電池パック5は電池パック群を構成している。本実施例においては、上下方向に並んだ5つの電池パック5で1つの電池パック群を構成している。電池パック群を構成する電池パック5の数は任意であり、5つに限定されるものではない。
【0031】
さらに、本実施例においては、上記電池パック群が柱状部材2の内部に2列設けられている。2列の電池パック群のうち、一方を電池パック群5A、他方を電池パック群5Bとする。柱状部材2の内部に設けられる電池パック群の列数は、2列に限定されるものではなく、例えば1列又は3列以上であってもよい。
【0032】
同一電池パック群の電池パック5は、同一の配線に接続されている。具体的には、電池パック群5Aを構成する5つの電池パック5は配線50Aに接続され、電池パック群5Bを構成する5つの電池パック5は配線50Bに接続されている。
【0033】
配線50A及び配線50Bは、柱状部材2の内部において上下方向に配策されている。配線50A及び配線50Bには、それぞれ対応する電池パック群の各電池パック5の後述する正極端子60、電源端子63、ソーラーパネル3、照明装置4や制御装置6等が接続されている。
【0034】
電池パック群5Aと電池パック群5Bとは、互いに別系統の電池パック群を構成しており、それぞれが独立して機能することができるようになっている。このため、一方の系統にトラブルが発生しても、トラブルが発生していない他方の系統によって電池パックを動作可能とすることができる。
【0035】
制御装置6は、電池パック5内の後述するBMS(Battery Management System)55(
図2参照)に接続されており、当該BMS55を介して複数の電池パック5を制御する。制御装置6は、BMS55との間で通信を通じて情報のやりとりを行う。
【0036】
制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。コンピュータユニットのROMには、各種定数等とともに、当該コンピュータユニットを制御装置6として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例における制御装置6として機能する。
【0037】
制御装置6には、各種センサ7(
図4参照)が接続されている。例えば、照度センサ等の外部環境の変化を検出可能なセンサ類が接続されている。また、制御装置6は、照明時間や照明時刻を管理するタイマを備えていてもよい。制御装置6の詳細な構成については後述する。
【0038】
(電池パックの電気的構成)
次に、
図2を参照して、本実施例の電池パック5の電気的構成について説明する。
【0039】
図2に示すように、電池パック5は、バッテリ53と、リレー54と、BMS55と、水没センサ56と、を有している。これらバッテリ53、リレー54、BMS55及び水没センサ56は、電池パック5の内部に設けられている。
【0040】
バッテリ53は、例えばリチウムイオン電池等の充放電可能な二次電池によって構成されている。バッテリ53は、正極53a及び負極53bを有している。
【0041】
バッテリ53の正極53aは、リレー54を介して正極端子60に導通可能に接続されている。正極端子60は、バッテリ53の電圧を電池パック5の外部に出力する端子であって、電池パック5の外側に露出している。バッテリ53の負極53bは、アース端子61を介して電池パック5のケースに接続されている。
【0042】
リレー54は、バッテリ53の正極53aと正極端子60との間に設けられ、バッテリ53の正極53aと正極端子60とを接続する接続状態、又は、切断する切断状態を切替可能なスイッチである。
【0043】
リレー54は、水没センサ56により電池パック5の水没が検出された場合に切断状態に切り替えられるようになっている。
【0044】
BMS55は、バッテリ53の電圧値や残容量(SOC:state of charge)など、バッテリ53の状態を監視及び管理するようになっている。BMS55は、バッテリ53の充放電電流に基づきSOCを算出する。BMS55は、リレー54の接続状態又は切断状態の切替を制御するようになっている。
【0045】
BMS55は、電池パック5に設けられた通信端子62を通じて制御装置6に接続されている。BMS55は、電池パック5に設けられた電源端子63及び電源GND端子64を介して電源に接続されている。本実施例においては、バッテリ53及びソーラーパネル3を当該電源として用いる。
【0046】
水没センサ56は、電池パック5の水没を検出するセンサである。水没センサ56としては、例えば、水没を示す所定圧以上の水圧を感知することによって水没を検出するものや、プラスマイナスの端子が水に浸かることによってそれら端子間が導通することで水没を検出するもの等、種々の水没センサを用いることができる。
【0047】
ここで、電池パック5は、正極端子60が水没センサ56よりも上方に位置する向きとなるように、柱状部材2の内部に縦置きに設置される。これにより、正極端子60が水没センサ56よりも上方に位置することとなる。
【0048】
(制御装置の構成)
次に、
図3を参照して、本実施例の制御装置6の構成について説明する。
【0049】
図3に示すように、制御装置6は、各電池パック5内の水没センサ56からの水没を示す情報を受信する通信部71としての機能を有する。制御装置6は、各電池パック5内の水没センサ56のうち、いずれの水没センサ56から水没を示す情報を受信したか否かに基づき、浸水の度合いを判定する判定部72としての機能を有する。
【0050】
ここで、制御装置6のROMには、地面Gから電池パック5の設置位置までの高さが高さ情報として各電池パック5ごとに記憶されている。制御装置6は、水没を示す情報を受信した水没センサ56を有する電池パック5を特定し、その特定した電池パック5の高さ情報を参照することにより浸水の度合いを判定することができる。つまり、制御装置6は、ソーラー街灯1が何メートルの高さまで浸水しているかを判定することができる。
【0051】
制御装置6は、判定部72により判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報をソーラー街灯1の外部に通知するよう後述する通知部80を制御する制御部73としての機能を有する。浸水度合情報は、ソーラー街灯1の設置箇所における浸水の高さを示す情報である。
【0052】
制御装置6には、浸水に関する情報を外部に通知する通知部80が接続されている。通知部80は、例えば、アナログ式やデジタル式、又はその他の方式のインジケータによって構成されており、柱状部材2の外面に設けられている。これにより、制御装置6は、ソーラー街灯1の設置箇所における浸水の高さをインジケータに表示することができる。
【0053】
通知部80が設けられる柱状部材2の外面としては、例えば、柱状部材2の正面側の側面2aが好ましい。この場合、通知部80は、より広範に向けて通知を行えるよう、柱状部材2の正面側の側面2aの上方に設けられるのが望ましい。
【0054】
(ソーラー街灯の電気的接続)
次に、
図4を参照して、本実施例のソーラー街灯1の電気的接続について説明する。
【0055】
図4に示すように、本実施例に係るソーラー街灯1においては、電池パック5が1からn個(本実施例では、n=5)設けられている。本実施例においては、複数の電池パック5のそれぞれを区別するために複数の電池パック5をそれぞれ電池パック5(1)から5(n)で示すこととする。電池パック5(1)から5(n)のうちいずれかの電池パックを特定せずに、1つの電池パックを示す場合には単に「電池パック5」と記す。
【0056】
また、
図4では、電池パック5(1)から5(n)として、配線50Aに接続される電池パック群5Aの電池パック5を例に記載している。よって、
図4では、配線50B及び電池パック群5Bを省略している。
【0057】
電池パック5(1)から5(n)は、配線50Aに対して互いに並列に接続されている。
【0058】
本実施例においては、電池パック5(1)から5(n)のいずれのバッテリ53、リレー54及びBMS55であるかを区別するため、電池パック5(1)から5(n)のそれぞれに対応するバッテリ53、リレー54及びBMS55を、バッテリ53(1)から53(n)、リレー54(1)から54(n)及びBMS55(1)から55(n)で示す。バッテリ53(1)から53(n)、リレー54(1)から54(n)及びBMS55(1)から55(n)について、電池パック5(1)から5(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つのバッテリ、リレー及びBMSを示す場合にはそれぞれ単に「バッテリ53」、「リレー54」、「BMS55」と記す。
【0059】
BMS55と配線50Aとの間には、BMS55と配線50Aとを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能な第1のスイッチ8が設けられている。第1のスイッチ8は、BMS55ごとに少なくとも1つ設けられている。本実施例では、BMS55ごとに第1のスイッチ8が1つ設けられた例を説明するが、BMS55ごとに第1のスイッチ8が2つ以上設けられていてもよい。
【0060】
本実施例においては、BMS55(1)から55(n)のいずれの第1のスイッチ8であるかを区別するため、BMS55(1)から55(n)のそれぞれに対応する第1のスイッチ8を、第1のスイッチ8(1)から8(n)で示す。第1のスイッチ8(1)から8(n)について、BMS55(1)から55(n)のいずれのものであるかを特定せずに、1つのスイッチを示す場合には単に「第1のスイッチ8」と記す。
【0061】
第1のスイッチ8のオン状態又はオフ状態の切替は、制御装置6によって制御されるようになっている。
【0062】
配線50Aの一端には、第2のスイッチ9が接続されている。第2のスイッチ9は、配線50Aとソーラーパネル3及び照明装置4との間に設けられ、配線50Aとソーラーパネル3又は照明装置4とを接続するオン状態、又は、切断するオフ状態を切替可能なスイッチである。
【0063】
すなわち、第2のスイッチ9は、配線50Aとソーラーパネル3とを接続する発電オン状態、又は、配線50Aと照明装置4とを接続する放電オン状態のいずれかのオン状態と、ソーラーパネル3及び照明装置4のいずれとも配線50Aを接続しないオフ状態と、に切替可能である。
【0064】
第2のスイッチ9の発電オン状態、放電オン状態又はオフ状態の切替は、制御装置6によって制御されるようになっている。ソーラー街灯1の初回起動時等、制御装置6の電源投入がなされていない状態においては、ソーラー街灯1を起動するための電力を確保する観点から第2のスイッチ9が発電オン状態に切り替えられているのが好ましい。
【0065】
制御装置6は、配線50Aに接続されており、配線50Aを介してソーラーパネル3又は電池パック5(1)から5(n)の少なくとも1つから電力が供給されるようになっている。制御装置6は、第1のスイッチ8及び第2のスイッチ9のオン状態又はオフ状態の切替を制御するようになっている。
【0066】
本実施例では、柱状部材2内において電池パック5(1)から5(n)の順に電池パック5が上から下に並んで配置されている。第1のスイッチ8はリレー54よりも上方に配置されている。
【0067】
(ソーラー街灯の動作)
次に、ソーラー街灯1が設置された場所が冠水した場合のソーラー街灯1の動作について説明する。上述のように構成されたソーラー街灯1において、ソーラー街灯1が設置された場所が冠水した場合、次のような動作がなされる。
【0068】
例えば、電池パック5(n)が電力を供給している状態において、電池パック5(n)の水没センサ56により水没が検出されると、電池パック5(n)よりも一段上に配置されている電池パック5(n-1)の第1のスイッチ8(n-1)がオン状態に切り替えられる。
【0069】
第1のスイッチ8(n-1)がオン状態に切り替えられた後は、リレー54(n-1)が接続状態に切り替えられる。その後、電池パック5(n)のリレー54(n)が切断状態に切り替えられる。
【0070】
リレー54(n)が切断状態に切り替えられると、第1のスイッチ8(n)がオフ状態に切り替えられる。
【0071】
ソーラー街灯1は、上記のような手順によって動作されることで、電池パック5からの電力供給が途切れないようにすることができる。また、一部の電池パック5が水没しても残りの電池パック5により照明装置4の点灯を継続することができる。
【0072】
制御装置6は、最上段の電池パック5(1)よりも上方に設置されているため、全ての電池パック5が水没するまで、電池パック5からの電力供給を継続可能にして照明装置4を点灯させ続けることができる。
【0073】
また上述のように、ソーラー街灯1が設置された場所が冠水した場合、柱状部材2内に設置された最下段の電池パック5から最上段の電池パック5まで順に各電池パック5内の水没センサ56が作動する。
【0074】
この場合、上述のように、制御装置6が電池パック5よりも上方に設置されているため、全ての電池パック5が水没しても制御装置6が水没していなければ制御装置6は作動可能である。したがって、制御装置6は、全ての電池パック5の水没の有無を把握可能である。
【0075】
制御装置6は、水没を示す情報を受信した電池パック5の高さ情報に基づき、ソーラー街灯1が何メートルの高さまで浸水しているかを判定し、浸水度合情報を通知部80を介して外部に通知する。
【0076】
また、制御装置6は、同一電池パック群に属する複数の電池パック5のうち、ある1つの電池パック5の水没センサ56から水没を示す情報を受信した場合に、その水没が検出された電池パック5よりも下の電池パック5の水没センサ56から水没を示す情報を受信していない場合には、水没を示す情報を送信した水没センサ56に異常があると判定する。
【0077】
なお、制御装置6は、水没が検出された電池パック5よりも下の電池パック5の水没センサ56を含む各水没センサ56からの受信状況の多数決により、水没を示す情報を送信した水没センサ56の正常又は異常を判定してもよい。
【0078】
また、制御装置6は、複数の電池パック群のうち、一の電池パック群に属するある1つの電池パック5の水没センサ56から水没を示す情報を受信した場合に、その水没が検出された電池パック5と高さ位置が同じ同一段であって他の電池パック群に属する電池パック5から水没を示す情報を受信していない場合には、水没を示す情報を送信した水没センサ56に異常があると判定する。
【0079】
なお、制御装置6は、水没が検出された電池パック5と同一段であって他の電池パック群に属する電池パック5の水没センサ56を含む各水没センサ56からの受信状況の多数決により、水没を示す情報を送信した水没センサ56の正常又は異常を判定してもよい。
【0080】
以上のように、本実施例に係る蓄電装置は、制御装置6が、いずれの水没センサ56から水没を示す情報を受信したか否かに基づき浸水の度合いを判定し、その判定された浸水の度合いを示す浸水度合情報を外部に通知するよう通知部80を制御するので、外部に浸水情報を知らせることができる。
【0081】
また、本実施例に係る蓄電装置において、通知部80が柱状部材2の正面側の側面2aに設けられたインジケータであるので、ソーラー街灯1の単体で浸水度合情報を外部、例えばソーラー街灯1の周囲に通知することができる。このため、ソーラー街灯1の周囲に存在する車両のドライバに対して、冠水しているソーラー街灯1の設置箇所付近に進入しないように注意喚起することができる。
【0082】
なお、本実施例においては、通知部80をインジケータによって構成したが、これに限らず、通知部80を照明装置4によって構成してもよい。この場合、照明装置4の点滅パターンや点滅周期によって、ソーラー街灯1の周囲に存在する車両のドライバに冠水状態を通知することができる。制御装置6は、例えば、水没を検出した電池パック5が多い程、点滅周期を短くする。また、冠水時は、冠水時以外のときに照明として用いる照明色以外の点灯色で照明装置4を点灯させてもよい。さらに、照明装置4に例えば赤色灯などを設けて、当該赤色灯を点灯させることによって冠水状態を通知してもよい。このように、通知部80を照明装置4によって構成すれば、照明装置4を利用して浸水度合情報を通知するため、インジケータを別に備える必要が無く、簡易な構成とすることができる。
【0083】
また、通知部80を、浸水度合情報を外部に送信する通信装置によって構成してもよい。この場合、ソーラー街灯1の遠隔から冠水状況を監視したい機関にソーラー街灯1の設置箇所周辺が冠水状態であることを知らせることができ、例えば自治体等に冠水状態を早急に通報することができる。自治体等では、冠水に対する必要な対応を早急に行うことができる。
【0084】
また、通知部80は、インジケータに加えて、浸水度合情報を外部に送信する通信装置としての機能を有していてもよい。この場合、ソーラー街灯1の周囲に加えて、ソーラー街灯1の周囲以外にも冠水状態を知らせることができる。
【0085】
本実施例においては、発電装置としてソーラーパネル3を用いたソーラー街灯1に本発明に係る蓄電装置を適用した例について説明したが、これに限らず、例えば発電装置として風力発電装置を備える街灯に本発明に係る蓄電装置を適用してもよい。
【0086】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正および等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。