IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-情報処理装置 図1
  • 特開-情報処理装置 図2
  • 特開-情報処理装置 図3
  • 特開-情報処理装置 図4
  • 特開-情報処理装置 図5
  • 特開-情報処理装置 図6
  • 特開-情報処理装置 図7
  • 特開-情報処理装置 図8
  • 特開-情報処理装置 図9
  • 特開-情報処理装置 図10
  • 特開-情報処理装置 図11
  • 特開-情報処理装置 図12
  • 特開-情報処理装置 図13
  • 特開-情報処理装置 図14
  • 特開-情報処理装置 図15
  • 特開-情報処理装置 図16
  • 特開-情報処理装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113019
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20230807BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230807BHJP
   G16Y 40/40 20200101ALI20230807BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
G05B23/02 T
G16Y40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015106
(22)【出願日】2022-02-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小澤 優太
(72)【発明者】
【氏名】阿邊 優一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 和人
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA15
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF24
3C223GG01
3C223HH08
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】 複数の装置の状態を簡易に把握できるようにする情報処理装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、情報処理装置は、インターフェースと状態指標計算部と正規化計算部と状態指標集約部と表示生成部と表示制御部とを有する。インターフェースは、複数の装置を搭載した車両内で収集した車両データを取得する。状態指標計算部は、車両データと車両に搭載した各装置に関するデータとに基づいて複数の状態指標値を計算する。正規化計算部は、状態指標計算部が計算した状態指標値を正規化する。状態指標集約部は、正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値を集約条件で集約した集約値を計算する。表示生成部は、正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値と状態指標集約部が集約した集約値とを指定された単位でまとめた表示データを生成する。表示制御部は、表示生成部が生成した表示データを表示装置に表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置を搭載した車両内で収集した車両データを取得するインターフェースと、
前記車両データと前記車両に搭載した各装置に関するデータとに基づいて複数の状態指標値を計算する状態指標計算部と、
前記状態指標計算部が計算した状態指標値を正規化する正規化計算部と、
前記正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値を集約条件で集約した集約値を計算する状態指標集約部と、
前記正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値と前記状態指標集約部が集約した集約値とを指定された単位でまとめた表示データを生成する表示生成部と、
前記表示生成部が生成した表示データを表示装置に表示させる表示制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記状態指標計算部は、前記車両に搭載された装置の劣化状態を示す状態指標値を含む複数の状態指標値を計算する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記正規化計算部は、前記状態指標計算部が計算する前記劣化状態を示す状態指標値を閾値に対する比率として正規化する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態指標計算部は、前記車両に搭載された装置の異常状態を示す状態指標値を含む複数の状態指標値を計算する、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記正規化計算部は、前記状態指標計算部が計算する前記異常状態を示す状態指標値を閾値に対する比率として正規化する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記状態指標集約部は、車形、編成、車両、装置、機器、状態指標の種別のうち少なくとも1つを含む集約条件に基づいて集約値を計算する、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記表示生成部は、前記状態指標値を閾値に対する比率として正規化した値に基づくバーゲージで表示させる、
請求項3又は5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記表示生成部は、
前記複数の状態指標値および前記集約値をもとに単一編成の状態を示す単一編成画面を表示するための表示データを生成する単一編成一覧生成部と、
前記複数の状態指標値および前記集約値をもとに全編成の状態を示す全編成画面を表示するための表示データを生成する全編成一覧生成部と、
前記複数の状態指標値および前記集約値をもとに状態指標の詳細情報を示す状態指標の詳細画面を表示するための表示データを生成する状態指標詳細生成部と、を有し、
前記表示制御部は、前記単一編成画面、前記全編成画面および前記状態指標の詳細画面の何れかを前記表示装置に表示させる、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記全編成画面に表示した1つの編成が選択された場合、前記表示装置に表示する画面を選択された編成に関する単一編成画面に遷移させる、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記単一編成画面に表示した状態指標が選択された場合、前記表示装置に表示する画面を選択された状態指標の詳細画面に遷移させる、
請求項8又は9の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記表示生成部は、さらに、前記複数の状態指標値および前記集約値をもとに1種類の装置に関する状態を一覧で表示する単一装置画面を表示するための表示データを生成する単一装置一覧生成部を有し、
前記表示制御部は、前記単一編成画面、前記全編成画面、前記状態指標の詳細画面、および、前記単一装置画面の何れかを前記表示装置に表示させる、
請求項8に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道などの車両に搭載される制御装置、駆動装置、空調装置、集電装置など複数の装置(機器)は、装置導入後の継続的な保守点検および検査によって状態の把握や異常の早期発見が実施される。近年では、車両や機器に搭載されたセンサ情報や機器の制御情報(以下、車両データ)を収集することにより車両に搭載された種々の機器の状態を遠隔で監視するための監視システムが実現されている。従来の監視システムとしては、収集した車両データに対して機器の状態を診断する技術を適用することで、異常の有無や故障個所の特定などを実施するための情報を提示するものが知られている。
【0003】
監視システムが提示する機器の状態を示す指標値(以下、状態指標値)としては、対象とする機器の種類や計算方法によって様々な状態を示す情報がある。例えば、状態指標値としては、装置の経時的な劣化と摩耗などで定まる物理的な設計情報に基づいて計算される指標値や機械学習等によって計算される異常の有無を検知する指標値などがあげられる。監視システムは、上述したような装置や機器の特徴を考慮した様々な種類の状態指標値によって車両に搭載される種々の機器の詳細な情報を提示する。
【0004】
しかしながら、上述したように、種々の機器の状態指標値は、対象とする装置や計算方法が異なることから状態を示す情報の尺度がそれぞれ異なる。このため、従来の監視システムでは、種々の機器の状態を詳細に把握するための尺度が異なる多数の状態指標値を提示すると、確認する情報が増加し、車両や編成などの単位で機器の状態を俯瞰的に把握することが難しくなることがある。また、監視システムが種々の機器に関する詳細な状態指標値などの多くの情報を一度に表示すると、情報の見間違いや見落としが起きやすくなる。さらに、監視システムが尺度の異なる複数の状態指標値を表示した場合、早急に対応が必要な状態の機器や各機器に対する点検の優先度などを把握するのに時間を要することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2018/220760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたもので、複数の装置の状態を簡易に把握できるようにする情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、情報処理装置は、インターフェースと状態指標計算部と正規化計算部と状態指標集約部と表示生成部と表示制御部とを有する。インターフェースは、複数の装置を搭載した車両内で収集した車両データを取得する。状態指標計算部は、車両データと車両に搭載した各装置に関するデータとに基づいて複数の状態指標値を計算する。正規化計算部は、状態指標計算部が計算した状態指標値を正規化する。状態指標集約部は、正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値を集約条件で集約した集約値を計算する。表示生成部は、正規化計算部が正規化した状態指標値を含む複数の状態指標値と状態指標集約部が集約した集約値とを指定された単位でまとめた表示データを生成する。表示制御部は、表示生成部が生成した表示データを表示装置に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置を含む列車情報監視システムのハードウエア構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る情報処理装置が備える機能の構成例を説明するためのブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る情報処理装置のデータ記憶部に記憶するBOMデータの例を示す図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る情報処理装置のデータ記憶部に記憶する設計データの例を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る情報処理装置のデータ記憶部に記憶する搭載データの例を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る情報処理装置のデータ記憶部に記憶する部材データの例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る情報処理装置のデータ記憶部に記憶する状態指標データの例を示す図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る情報処理装置における状態指標計算部が実行する状態指標の計算処理の例を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、第1の実施形態に係る情報処理装置における状態指標計算部による状態指標値の計算例を説明するための図である。
図10図10は、第1の実施形態に係る情報処理装置における状態指標正規化計算部が状態指標値を正規化する処理の例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、第1の実施形態に係る情報処理装置における状態指標正規化計算部が計算した状態指標の正規化値を追加した状態指標データの例を示す図である。
図12図12は、第1の実施形態に係る情報処理装置における単一編成一覧生成部が生成する表示データによって表示される単一編成画面の例を示す図である。
図13図13は、第1の実施形態に係る情報処理装置における全編成一覧生成部が生成する表示データによって表示される全編成画面の例を示す図である。
図14図14は、第1の実施形態に係る情報処理装置における状態指標詳細生成部が生成する表示データによって表示される状態指標の詳細画面の例を示す図である。
図15図15は、第2の実施形態に係る情報処理装置が備える機能の構成例を説明するためのブロック図である。
図16図16は、第2の実施形態に係る情報処理装置における単一装置一覧生成部が生成する表示データによって表示される単一装置画面の例を示す図である。
図17図17は、第2の実施形態に係る情報処理装置における単一装置一覧生成部が生成する表示データによって表示される単一装置の比較画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して第1および第2の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る情報処理装置10を含む列車情報監視システム1のハードウエア構成例を示す図である。
図1に示すように、列車情報監視システム1は、情報処理装置10、クライアントPC20、および、データ収集装置30などにより構成される。
【0010】
データ収集装置30は、対象となる車両に搭載される装置40に関するデータ(以下、車両データ)を収集する。データ収集装置30は、車両内に設置された装置40およびセンサなどから情報を取得するための車両内インターフェースを有するコンピュータである。例えば、データ収集装置30は、車両に搭載された各装置40を構成する各機器や部品に関する制御データおよびセンサデータを車両データとして収集する。データ収集装置30は、情報処理装置10と通信する通信インターフェースを有し、車両内において収集した車両データを情報処理装置10へ送信する。
【0011】
情報処理装置10は、データ収集装置30が収集する車両データなどを処理する列車情報処理装置である。情報処理装置10は、データ収集装置30が収集する車両データなどに基づいて車両内の各装置40を構成する各機器の状態を示す指標値を算出する。また、情報処理装置10は、各種の機器に関する状態指標値に対して正規化および集約などの処理を施して特定の単位にまとめた情報として提示する。
【0012】
情報処理装置10は、通信インターフェースを備えるサーバコンピュータなどにより構成される。図1に示す構成例において、情報処理装置10は、プロセッサ11、RAM12、ROM13、データメモリ14、通信インターフェース(I/F)15、16などを有する。
【0013】
プロセッサ11は、プログラムを実行することによりデータ処理および各部の制御などを実行する。RAM12は、データを一時的に記憶するメモリである。ROM13は、不揮発性のメモリであり、プロセッサ11が実行するプログラムおよび制御データなどを記憶する。データメモリ14は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。データメモリ14は、各種のデータを保存するデータ記憶部として機能する。
【0014】
また、データメモリ14は、プロセッサ11が実行するプログラムなどを記憶しても良い。通信インターフェース15は、データ収集装置30と通信するためのインターフェースである。通信インターフェース15は、データ収集装置30の通信方式に対応するインターフェースであれば良い。通信インターフェース16は、クライアントPC13と通信するためのインターフェースである。
【0015】
なお、後述するデータ記憶部に記憶する各種のデータの一部又は全部は、情報処理装置10としてのサーバとは別の外部装置としてのデータサーバなどに保存するようにしても良い。この場合、情報処理装置10は、データ記憶部として機能するデータサーバにアクセスするためのインターフェースを備えるものとすれば良い。
【0016】
クライアントPC20は、情報処理装置10に接続するためのインターフェースを備えるコンピュータである。クライアントPC20は、情報処理装置10が提示する状態指標値を含む表示データを表示装置26に表示し、オペレータが操作装置27を用いて入力する情報を情報処理装置10へ供給する。
【0017】
図1に示す構成例において、クライアントPC20は、プロセッサ21、RAM22、ROM23、NVM24、通信インターフェース(I/F)25、表示装置26、および、操作装置27などを有する。
【0018】
プロセッサ21は、プログラムを実行することによりデータ処理および各部の制御などを実行する。RAM22は、データを一時的に記憶するメモリである。ROM23は、不揮発性のメモリであり、プロセッサ21が実行するプログラムおよび制御データなどを記憶する。NVM24は、書き換え可能な不揮発性のメモリである。NVM24は、プロセッサ11が実行するプログラムや制御データなどを記憶しても良い。通信インターフェース25は、情報処理装置10と通信するためのインターフェースである。
【0019】
表示装置26は、画像を表示するディスプレイである。表示装置26は、例えば、後述する情報処理装置10が生成する複数の状態指標値を含む表示データを表示する。操作装置27は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作デバイスである。操作装置27は、表示装置26に表示した入力画面にオペレータが情報を入力するためのデバイスを含む。なお、表示装置26および操作装置27は、クライアントPCが備えるインターフェースに接続する外部装置であっても良い。
【0020】
次に、実施形態に係る情報処理装置10が備える機能について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置10が備える機能の構成例を説明するためのブロック図である。
図2に示す構成例において、情報処理装置10は、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する機能として列車情報管理部100と列車情報表示部200とを有する。列車情報管理部100は、データ収集装置30が取集する車両データを含む種々のデータを取得および保存し、車両データが示す種々の機器に関する状態指標データの管理(処理)を実行する。列車情報表示部200は、列車情報管理部100が管理する状態指標データを特定の単位で集約したデータを表示するための処理を実行する。
【0021】
列車情報管理部100は、種々のデータを記憶するデータ記憶部101を有する。データ記憶部101は、プロセッサ11によってデータの読み出しおよび書き込みが制御されるデータメモリ14で実現される。
【0022】
データ記憶部101は、車両データ、BOM(Bill Of Materials)データ、設計データ、搭載データ、部材データ、状態指標データを記憶する。
車両データは、データ収集装置30から取得する。情報処理装置10の列車情報管理部100としては、プロセッサ11が通信インターフェース15を制御することによりデータ収集装置30から車両データを取得し、データ収集装置30から取得した車両データをデータ記憶部101に記憶する。車両データは、車両に搭載される装置を構成する各種の機器に関する制御データおよびセンサデータである。
【0023】
データ記憶部101が記憶するBOMデータは、装置を構成する各種の機器および部品構造に関する情報である。
図3は、BOMデータの例として車両に搭載される列車空調装置に関するBOMデータの例を示す図である。
図3に示すBOMデータは、構造番号、親構造番号、名称、および、型式の4種類のデータで構成される。図3は、各装置が備える機器および部品と装置、機器および部品の階層構造とを表している。列車空調装置は、室内送風機、室外送風機、空調圧縮機等の機器を備え、配管および冷媒などの部品を備える。さらに、列車空調装置の空調圧縮機は、防振ゴムおよびスペーサといった部品を有する。
【0024】
図3に示す例において、列車空調装置は、構造番号を「1」と定義するものとする。構造番号「1」の列車空調装置が備える室内送風機(構造番号「2」)、室外送風機(構造番号「10」)、空調圧縮機(構造番号「13」)は、親構造番号が「1」(列車空調装置の構造番号)とする。これにより、室内送風機、室外送風機、空調圧縮機が列車空調装置の下に構成されていることを識別することができる。
【0025】
また、構造番号「1」の列車空調装置を構成する空調圧縮機(構造番号「13」)が備える防振ゴム(構造番号「14」)およびスペーサ(構造番号「15」)は、親構造番号が「13」(空調圧縮機の構造番号)とする。これにより、列車空調装置を構成する空調圧縮機が防振ゴムおよびスペーサを備えていることを識別することができる。
【0026】
データ記憶部101が記憶する設計データは、装置、機器および部品の耐用年数や耐用動作に関する情報である。
図4は、装置、機器および部品ごとの設計データの例を示す図である。
図4に示す設計データの例では、装置、機器および部品について、名称、型式、耐用年数、耐用動作時間、耐用動作回数などを示す。図4に示す例において型式がCP-1000の、空調圧縮機については、耐用年数が10年、耐用動作時間が12,000時間、耐用動作回数が240,160であることを表している。図4に示すような設計データによれば、装置、機器および部品毎の耐用に関する情報を示す。これにより、装置、機器および部品毎に異なる保守に関する基準値は設計データから取得することができる。
【0027】
データ記憶部101が記憶する搭載データは、監視対象とする編成および車両に搭載される装置、機器および部品を示す情報である。
図5は、搭載データの例を示す図である。
図5に示す例において、搭載データは、搭載番号、親搭載番号、車形、編成、車両番号、名称、部材番号、設置日時から構成される。搭載番号は、編成と車両番号と名称に対応する搭載箇所の内容を表す情報である。図5に示す搭載番号「21」は、編成が「1000F」で「1050」の車両における空調圧縮機1という搭載箇所を表し、搭載される部材の部材番号が「21」であることを表す。さらに、設置日時は、搭載番号の箇所に部材番号の部材が設置された日時を表す。
【0028】
データ記憶部101が記憶する部材データは、保有する部材に関する情報を示す情報である。保有する部材とは、車両に搭載される装置、機器および部品だけなく、倉庫や車庫等に保管されている車両に搭載されていない装置、機器および部品を示す。
図6は、部材データの例を示す図である。
図6に示す例において、部材データは、部材番号、構造番号、製造番号、製造日からなる。部材番号は、個々の部材を識別する番号である。構造番号は、構造データに対応する情報である。構造番号を参照することにより、装置、機器および部品に関する構造や型名を取得することができる。製造番号は、部材に対応する製造番号である。部材データと搭載データを切り分けることで、例えば倉庫や車庫等に保管されている車両に搭載されていない装置を管理することができる。
【0029】
データ記憶部101が記憶する状態指標データは、装置、機器、部品、または車両の状態指標値を示す情報である。状態指標データは、列車情報管理部100が取得する車両データなどに応じて状態指標計算部102および状態指標正規化計算部103によって算出される。
図7は、状態指標データの例を示す図である。
図7に示す例において、状態指標データは、計算日時、搭載番号、状態指標種別、状態指標名称、状態指標値からなる。計算日時は、状態指標値を計算した日時を表す。計算日時は、状態指標値の計算間隔に対応する。図7に示す例では計算日時が年月日の単位であり、日毎に計算した状態指標値を管理した情報に相当する。搭載番号は、搭載データに対応する番号である。状態指標種別は、状態指標値の種別を示す。例えば、劣化を示す状態指標値の状態指標種別は「劣化」とし、異常を示す状態指標値の状態指標種別は「異常」とする。状態指標名称は、状態指標値の名称を示す。
【0030】
状態指標値は、1つの指標値に限らず任意の数の指標値で構成される。図7に示す例では、状態指標値は、指標値、指標値累積値、閾値(上限値)に対する予測残月数の3つの指標を示す。ただし、状態指標値は、図7に示すような3種類の指標に限定されるものではなく、任意の数の指標として良い。状態指標値が紐づく対象は、搭載データを参照して対応する搭載番号の情報を取得することで、車両または実物の製造番号を識別することができる。
【0031】
また、状態指標値は、装置、機器および部品などの実物に紐づいた指標値(例えば、劣化を示す指標値)だけでなく、車両毎の異常を検知するような場合においては車両などに紐づいた指標値(異常を検知する指標値)を計算するようにしても良い。図7に示す例において、車両に搭載された空調圧縮機(CP)については、状態指標の種別を「劣化」として、車両データに含まれる空調圧縮機の動作回数や動作時間に関する情報から算出される状態指標値が示される。また、車両については、状態指標の種別を「異常」とした異常を示す指標として、車両データに含まれる車両内の温度および故障発生に関する情報から算出される状態指標値が示される。
【0032】
列車情報管理部100は、データ記憶部101が記憶する各種のデータを用いて計算した状態指標値を正規化し、正規化した状態指標値を含む状態指標データと集約条件に応じて集約した集約値とを列車情報表示部200へ出力する。列車情報管理部100は、状態指標計算部102、状態指標正規化計算部103、集約条件取得部104、および、状態指標集約部105などを有する。状態指標計算部102、状態指標正規化計算部103、集約条件取得部104、および、状態指標集約部105は、プロセッサ11がデータメモリ14等のメモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される処理機能である。
【0033】
状態指標計算部102は、車両データ、BOMデータ、搭載データおよび部材データを用いて、装置、機器および部品に対する状態指標値を計算する。状態指標計算部102には、対象とする装置、機器、部品、および、計算対象とする指標ごとに複数の状態指標値の計算するための計算方法が設定される。例えば、状態指標計算部102としては、計算対象とする指標ごとに状態指標値を計算するためのプログラムが個別に実装されるものとする。
【0034】
具体例として、車両に搭載される列車空調装置の空調圧縮機については、空調圧縮機の動作時間および空調圧縮機の動作回数に関する状態指標値を算出するためのプログラムがそれぞれ実装される。空調圧縮機の動作時間に関する状態指標値と空調圧縮機の動作回数に関する状態指標値とは、異なる指標であるため、それぞれを計算するためのプログラムが実装される。また、車両に搭載される列車空調装置の室内送風機については、室内送風機の動作時間に関する状態指標値を算出するためのプログラムが実装される。
【0035】
状態指標正規化計算部(正規化計算部)103は、状態指標計算部102で算出した状態指標値または状態指標値の累積値を正規化する計算を実行する。状態指標正規化計算部103は、状態指標計算部102で算出した状態指標値または状態指標値の累積値を取得する。状態指標正規化計算部103は、対象とする装置、機器および部品に関する部品データから状態指標値に対する閾値(上限値)を取得する。状態指標正規化計算部103は、状態指標値または状態指標値の累積値の閾値に対する比率を計算することで0から1の範囲に正規化した値を算出する。状態指標正規化計算部103は、状態指標値または状態指標値の累積値を閾値を用いて正規化した値(閾値に対する比率)をデータ記憶部101に状態指標データとして追記する。
【0036】
集約条件取得部104は、データ記憶部101に記憶した状態指標データを集約する条件(集約条件)を取得する。例えば、集約条件取得部104の所得する集約条件は、車形、編成、車両、装置、機器、および、状態指標の種別のうち少なくとも何れか1つを含む情報である。また、集約条件取得部104は、オペレータがクライアントPC20の操作装置27を用いて入力する集約条件を示す情報を取得するようにしても良い。
【0037】
状態指標集約部105は、集約条件取得部104が取得する集約条件に応じて状態指標データを集約した集約値を計算する。状態指標集約部105は、集約状態に応じて集約した集約値を含む集約情報を列車情報表示部200へ出力する。
【0038】
列車情報表示部200は、列車情報管理部100が管理する状態指標データと集約値とを提示する処理を実行する。列車情報表示部200は、状態指標取得部201、表示制御部202、全編成一覧生成部204、単一編成一覧生成部203および状態指標詳細生成部205を有する。列車情報表示部200における状態指標取得部201、表示制御部202、単一編成一覧生成部203、全編成一覧生成部204および状態指標詳細生成部205は、プロセッサ11がデータメモリ14等のメモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される処理機能である。
【0039】
状態指標取得部201は、データ記憶部101に保存する状態指標データと状態指標集約部105が集約条件で集約した集約値とを取得する。状態指標取得部201は、取得した状態指標データを表示制御部202、単一編成一覧生成部203、全編成一覧生成部204又は状態指標詳細生成部205へ出力する。
【0040】
表示制御部202は、状態指標データおよび集約値を元に生成された表示データをクライアントPC20の表示装置26に表示させる制御を実行する。表示制御部202は、単一編成一覧生成部203、全編成一覧生成部204および状態指標詳細生成部205の何れかが生成した表示データをクライアントPC20の表示装置26に表示するための表示データとして出力する。
【0041】
単一編成一覧生成部203、全編成一覧生成部204および状態指標詳細生成部205は、表示制御部202が表示装置26に表示するための表示データを生成する表示生成部の例である。単一編成一覧生成部203は、状態指標取得部201によって取得した状態指標をもとに、単一編成の状態を一覧で表示するための表示データを生成する。全編成一覧生成部204は、状態指標取得部201により取得した状態指標データをもとに、編成毎の状態を一覧で表示するための表示データを生成する。状態指標詳細生成部205は、状態指標取得部201によって取得した状態指標をもとに、単一指標の状態を一覧で表示するための表示データを生成する。
【0042】
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る情報処理装置10が実行する処理について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る情報処理装置10における状態指標計算部102が実行する状態指標の計算処理の例を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、状態指標計算部102は、状態指標値を計算する対象を示す情報(計算対象の情報)を取得する(ST11)。例えば、状態指標計算部102は、計算対象の情報として、状態指標値を計算する対象となる機器を特定するための情報(識別情報)、計算する状態指標の種別を示す情報(状態指標名称)、状態指標値を計算する期間を示す情報(計算先頭日時および計算終端日時)などを取得する。ここで、識別情報は、対象となる機器を搭載した車形および編成などを示す情報および対象となる機器の名称などの機器を示す情報などの情報である。
【0044】
状態指標計算部102は、計算対象を特定すると、データ記憶部101に記憶(蓄積)した車両データから実際に状態指標値を計算するために用いる情報を取得する(ST12)。例えば、状態指標計算部102は、車両データから識別情報(車形、編成および名称など)で特定される装置に関するデータを抽出し、抽出した車両データから状態指標名称で特定される計算すべき状態指標の種別に関する情報を取得する。
【0045】
状態指標計算部102は、車両データから状態指標値を計算するための情報を取得すると、さらに、データ記憶部101に保存されているBOMデータ、搭載データおよび部材データから状態指標値を算出するための情報を取得する(ST13)。例えば、状態指標計算部102は、状態指標値の計算対象を示す識別情報で特定される装置に関するBOMデータ、搭載データおよび部材データを取得する。
【0046】
状態指標計算部102は、車両データおよび各種の保存データ(BOMデータ、搭載データおよび部材データ)から状態指標値を計算するための情報を取得すると、取得したデータを用いて状態指標値を計算する(ST14)。
【0047】
図9は、状態指標計算部102による状態指標値の計算例として、データ収集装置30から取得した車両データをもとに空調圧縮機の動作回数に関する状態指標値を計算する例を示す図である。
図9に示す例において、車両データは、1編成分の2021年8月1日4時37分5秒から2021年8月1日23時46分51秒までの空調圧縮機の動作状態を示すデータである。ここで、空調圧縮機1および空調圧縮機2の動作状態を示す値は、0がオフ、1がオンの状態を示す。なお、図9に示す例において、車両データは、収集日時の時刻が1秒単位となっているが、これに限らずより長い周期または短い周期で収集されたデータでも良い。
【0048】
状態指標値の一例である空調圧縮機の動作回数は、空調圧縮機がオフ「0」からオン「1」となった回数をカウントする処理によって計算する。図9に示す区間(期間)の車両データによれば、空調圧縮機1は動作回数が2回となり、空調圧縮機2は動作回数が1回となる。
【0049】
状態指標計算部102は、空調圧縮機の動作回数を計算する場合、図9に示すような車両データを取得し、取得した車両データをもとに車形、編成、号車および車両番号毎に状態指標値を計算する。ここで、空調圧縮機のように1つの車両に複数の対象が含まれる場合、状態指標計算部102は、名称毎に状態指標値(動作回数)を計算することで各対象(空調圧縮機)の状態指標値が識別可能となる。また、車両データから車両番号が取得できない場合、状態指標計算部102は、車両データに含まれる車形、編成、号車、名称の情報をもとに搭載データを参照することで車両番号を取得する。
【0050】
状態指標計算部102は、ST14で計算した状態指標値に、BOMデータ、設計データおよび搭載データに含まれる情報を結合することにより状態指標データを生成する(ST15)。状態指標計算部102は、計算した状態指標値を含む状態指標データをデータ記憶部101に保存するようにしても良い。例えば、状態指標計算部102は、図9に示すように、車両データから計算した状態指標値を含む状態指標データを生成してデータ記憶部101に保存する。
【0051】
次に、実施形態に係る情報処理装置10において状態指標正規化計算部103が状態指標値を正規化する処理について説明する。
図10は、情報処理装置10において状態指標正規化計算部103が状態指標値を正規化する処理を説明するためのフローチャートである。
まず、状態指標正規化計算部103は、状態指標計算部102が計算するから状態指標データを取得し、状態指標値の対象となる装置に関する設計データをデータ記憶部101から取得する(ST21)。
【0052】
状態指標正規化計算部103は、状態指標値に対する閾値を特定し、特定した閾値に対する比率を計算する(ST22)。例えば、状態指標正規化計算部103は、状態指標値の対象となる装置に関する設計データが示す装置の耐用情報または状態指標算出処理に対応する情報から閾値を特定し、状態指標値または状態指標値の累積値に対応する閾値に対する比率を計算する。これにより、状態指標正規化計算部103は、状態指標計算部102が計算した状態指標値を0から1の範囲の値に正規化する。
【0053】
状態指標正規化計算部103は、状態指標計算部102が計算した状態指標値を含む状態指標データにST22で計算した比率(状態指標の正規化値)を状態指標値の1つとして追加する(ST23)。
【0054】
図11は、状態指標正規化計算部103が計算した比率(状態指標の正規化値)を追加した状態指標データの例を示す図である。
図11に示す状態指標データは、図7に示す状態指標データに状態指標正規化計算部103が計算する状態指標の正規化値を「状態指標値4」として追加した例となる。状態指標正規化計算部103が計算する状態指標の正規化値としての比率(上限値などの閾値に対する比率)は、いずれも0から1の範囲で正規化された値として状態指標データに保持される。状態指標正規化計算部103は、図11に示すような状態指標データをデータ記憶部101に記憶する。
【0055】
以上のような処理によって、データ記憶部101には、車両データをもとに計算した状態指標値および状態指標値を対象となる機器の上限値などの閾値で正規化した状態指標値を含む状態指標データが保存される。
【0056】
次に、実施形態に係る情報処理装置10における集約条件取得部104および状態指標集約部105が計算する状態指標値の集約値について説明する。
集約条件取得部104は、あらかじめ定義された集約条件または列車情報表示部200が表示する画面に応じてオペレータが指定する集約条件を示す情報を取得する。例えば、集約条件は、車形、編成、車両、装置、機器、および、状態指標の種別のうち少なくとも1つを含むものである。
【0057】
すなわち、集約条件としては、集約期間、集約項目、集約処理、集約対象などを示す情報が含まれる。具体例として、前日における指定の編成と車両毎の状態指標値の最大値を集約値として計算する場合、集約条件取得部104は、集約期間を前日、集約項目を編成と車両番号、集約処理を最大値、集約対象を状態指標値とした集約条件を取得する。
【0058】
状態指標集約部105は、集約条件取得部から取得した集約条件をもとに計算する集約値を含む集約情報を生成する。例えば、集約条件取得部104が取得する集約条件において、集約期間が前日、集約項目が編成と車両番号を示し、集約処理が最大値、集約対象が状態指標値である場合、集約条件取得部104は、前日における指定の編成と車両毎の状態指標値の最大値を集約値として計算する。集約条件取得部104は、計算した集約値と集約条件とを含む集約情報を生成し、生成した集約情報を列車情報表示部200へ出力する。
【0059】
次に、実施形態に係る情報処理装置10における列車情報表示部200が提示(表示)する情報について説明する。
列車情報表示部200は、状態指標取得部201によりデータ記憶部101に保存された状態指標データ、および、状態指標集約部105が計算した状態指標値の集約値を取得する。状態指標取得部201は、取得した状態指標データおよび集約値を表示制御部202、全編成一覧生成部204、単一編成一覧生成部203、状態指標詳細生成部205へ出力する。
【0060】
表示制御部202は、状態指標データと状態指標集約部105から取得した情報をもとに表示装置に表示させる情報を制御する。ここで、表示制御部202は、単一編成一覧生成部203、全編成一覧生成部204または状態指標詳細生成部205が生成する情報(表示データ)のいずれかをクライアントPC20の表示装置26に表示させる。
【0061】
単一編成一覧生成部203は、単一編成の状態を状態指標データおよび集約情報をもとに表示するための表示データを作成する。
図12は、単一編成一覧生成部203が生成する単一編成における空調装置の状態を示す表示データを表示した画面(単一編成画面)の例を示す図である。
図12に示す単一編成画面では、画面の上部において、車形、編成、型式などがそれぞれ選択可能なプルダウンメニュー(選択欄)を表示する。これらのプルダウンメニューによってオペレータは車形、編成、型式などを選択入力できる。
【0062】
図12に示す単一編成画面は、画面上部に単一編成全体(単一編成単位)での劣化状態を示す指標(劣化指標)と異常状態を示す指標(異常指標)とを表示する。劣化指標は状態指標データの状態指標種別の代表値として推定劣化度の最大値を100分率に変換してバーゲージで示す。異常指標は、状態指標データの異常指標種別の代表値として、温度異常、故障異常、推定異常度の最大値をそれぞれ示す。
【0063】
図12に示す単一編成画面は、画面中段に各車両を示す車両図を表示し、各車両図の下部に、上段の集約値のもととなる状態指標データの閾値に対する状態指標値を正規化した値(状態指標の正規化値)を100分率に変換し、それぞれをバーゲージで示している。図12に示すような単一編成画面によれば、各車両に搭載される装置および機器の状態は、0から1の範囲に正規化されたこれらのバーゲージを見ることで比較が可能となり、単一編成全体の状態を俯瞰的に把握することが可能となる。
【0064】
ここで、状態指標の正規化値に任意の閾値を設けることで、各車両の状態を識別することが可能となる。図12に示す例では、閾値を80%に設定した場合を示している。2号車のCP1動作時間の状態指標値が81%で閾値(80%)を超過しているため、2号車のCP1動作時間の状態指標値を示すバーゲージを斜線のパターンで表示することで閾値を超過していることを表示する。また。図12に示す例において、3号車の温度異常が83%で閾値(80%)を超過しているため、3号車の温度異常を示すバーゲージを縦線のパターンで表示する。
【0065】
また、単一編成画面では、図12に示すように、車両単位で集約した比率の最大値に応じて車両図の表示状態を変化させて表示しても良い。図12に示す単一編成画面では、2号車のCP1動作時間の状態指標値が81%で閾値を超過しているため、2号車のCP1動作時間の状態指標値を示すバーゲージと同様に、2号車の車両図を斜線のパターンで表示する。また、図12に示す単一編成画面では、3号車の温度異常が83%で閾値を超過しているため、温度異常を示すバーゲージと同様に3号車の車両図を縦線のパターンで表示する。これにより、車両単位の状態を簡易に把握することが可能となる。なお、閾値を超過した状態指標値の表示は、斜線または縦線以外に色などを用いて表示状態を切り替えるなどしても良い。
【0066】
全編成一覧生成部204は、全編成の状態を状態指標データおよび集約情報をもとに表示するための表示データを作成する。
図13は、全編成一覧生成部204が生成する全編成における各装置の状態を示す表示データを表示した画面(全編成画面)の例を示す図である。
図13に示す全編成画面は、画面の上部に3つのプルダウンメニューを表示し、それらのメニューの下側に個々の編成に搭載される装置毎の状態を集約した情報をまとめた一覧を提示する。
【0067】
図13に示す全編成画面の例において、編成の状態を示す一覧は、番号(No)、管轄、車形、編成、制御装置、駆動装置、空調装置、集電装置の情報で構成する。番号(No)は、1つの編成を識別するためのインデックス情報である。管轄は、編成や車両管理において管理を行うグループを示す。編成の状態は、車形と編成とが示す車両に搭載された各種の装置に関する集約情報や状態指標値などを示す。図13に示す例では、車形と編成とが示す車両に搭載された制御装置、駆動装置、空調装置、集電装置の状態を正常、注意、異常の3種類で示している。
【0068】
また、装置の状態は、表示欄における表示状態で表すようにしても良い。図13に示す例において、正常は通常表示、注意は斜線表示、異常は縦線表示として表示する。このように装置の状態に応じて状態指標値の表示欄の表示状態を切り替えることにより、各装置の状態をオペレータがより簡易かつ直感的に把握できるようにしている。なお、状態に応じて表示欄の表示方法は、図13に示す例に限ったものではなく、色などを用いて表示状態を切り替えるようにしても良い。
【0069】
また、管理する編成数によっては、情報が増えることで1つのページの画面に全ての情報を表示することが困難となる場合があると考えられる。図13に示す全編成画面は、画面の下部に配置されたページ番号をオペレータが選択することで表示範囲(表示ページ)が切り替えられるようにしている。全編成画面における表示範囲の切り替え方法は、図13に示す例に限ったものではなく、例えば、スクロールバーを用いて同一画面内において表示範囲を切り替えるようにしても良い。
【0070】
図13に示す全編成画面における画面上部に配置された3つのプルダウンメニューでは、管轄、車形、状態などをオペレータが選択することができる。管轄、車形、状態が選択された場合、全編成一覧生成部204は、選択された管轄、車形、状態に応じて一覧として表示する項目を絞り込み、絞り込んだ情報を表示する全編成画面の表示データを生成する。これにより、全編成一覧生成部204は、オペレータが選択した内容に応じて絞り込んだ情報を全編成画面において表示させることができる。
【0071】
また、表示制御部202は、オペレータの指示に応じて、表示装置26に表示させる画面を全編成画面から単一編成画面に遷移させる制御を行うようにしても良い。すなわち、表示制御部202は、全編成画面を表示装置26に表示した状態においてオペレータが操作装置27を用いて特定の編成を選択した場合、選択された編成に関する単一編成画面を表示装置26に表示させるようにしても良い。
【0072】
例えば、図13に示すような全編成画面において特定の編成に関する情報の表示部分(例えば空調装置の表示欄)をオペレータが選択すると、表示制御部202は、選択された編成に関する単一編成画面を表示装置26に表示するように制御する。これにより、オペレータは、表示装置に表示させる画面を全編成画面から所望の編成に関する状態指標を表示する単一編成画面に簡単に切り替えることができる。
【0073】
図14に、状態指標詳細生成部205が生成する状態指標の詳細を示す表示データを表示した画面(状態指標の詳細画面)の例を示す図である。
図14に示す状態指標の詳細画面は、画面の上部に4つのプルダウンメニューを表示する。図14に示す状態指標の詳細画面においては、それらのプルダウンメニューの下側に、状態指標値としての状態指標値1と状態指標の累積値としての状態指標値2との月毎の集約値をグラフで表示する。
【0074】
図14に示す状態指標の詳細画面における右部部分には、表示している装置(部材)に対応した部材情報、閾値到達の予測年月、および、状態指標値(比率)を示している。部材情報としては、対応する装置または装置を構成する機器を示す型式および製造番号などを表示する。閾値到達の予測年月は、対応する状態指標値が閾値に到達すると予測される年月を表示する。予測年月は、例えば、回帰式などにより推定される情報である。状態指標値(比率)は、閾値(上限値)に対する累積値の比率である。これらの表示によって、詳細画面では、個別の部材に関する状態を時系列で詳細に表示する。
【0075】
また、表示制御部202は、表示装置26に表示させる画面を単一編成画面からオペレータが指定する対象に関する状態指標の詳細画面に遷移させる制御を行うようにしても良い。すなわち、表示制御部202は、単一編成画面を表示装置26に表示した状態においてオペレータが特定の装置の状態指標を選択した場合、選択された状態指標に関する詳細情報を表示装置26に表示させるようにしても良い。
【0076】
例えば、図12に示す単一編成画面において空調圧縮装置1の動作回数を示す表示部分をオペレータが選択すると、表示制御部202は、図14に示すような選択された空調圧縮機1の動作回数に関する詳細画面を表示装置26に表示するように制御する。これにより、オペレータは、表示装置に表示させる画面を単一編成画面から所望の状態指標に関する詳細情報を表示する詳細画面に簡単に切り替えることができる。
【0077】
なお、上述した図12に例示する単一編成画面、図13に例示する全編成画面および図14に例示する詳細画面では、前日一日分のデータを対象として集約値および最新値などを表示するものとしているが、これに限らず、単一編成画面、全編成画面および詳細画面は、表示対象とするデータの期間を任意の期間として良い。
【0078】
以上説明したように、第1の実施形態に係る情報処理装置は、車両から取得する車両データおよび各種の保存データを用いて複数種類の状態指標値を計算し、計算した複数種類の状態指標値を状態指標データとして保存する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、複数の観点で装置、機器および部品などの対象物の状態を管理することができる。
【0079】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、状態指標正規化計算部によって状態指標値の種別に対応する閾値で種々の状態指標値を0から1の範囲で正規化した値として計算する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、尺度の異なる状態指標値を比較することが可能となるので、状態指標を他の装置および機器の状態と比較して把握することが容易になる。
【0080】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、状態指標集約部によって状態指標データとして保持される種々の状態指標値を、車形、編成、車両番号、号車、装置、機器などの集約条件によって集約した集約値を計算する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、対応する複数の情報を1つにまとめた集約値によって状態をより簡易に把握することができる。さらに、車両毎に搭載される装置および機器の劣化状態を示す状態指標値の最大値を集約することで、注意または異常のような正常以外の車両をより簡易に把握することができる。
【0081】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、単一編成一覧生成部によって状態指標値を集約した情報と個別の状態指標値とを分けて表示する単一編成画面を表示するための表示データを生成し、表示制御部の制御によって表示装置に単一編成画面を表示する。これにより、編成単位での状態、車両単位での状態、指標単位での状態を簡易に把握することができる。
【0082】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、単一編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する単一編成画面では劣化および異常に関する状態指標値毎に対応した閾値に対する比率をバーゲージで表示する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、劣化に関する状態指標値であれば耐用年数あるいは耐用動作に対する現状の比率を示し、異常に関する状態指標値であれば定義された閾値に対する現状の比率を簡易に把握することができる。さらに、単一編成画面では、0から1に正規化された比率がバーゲージで表示されるため、尺度の異なる状態指標値を比較し、他の装置や機器および状態指標値との関係から、状態をより簡易に把握することができる。
【0083】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、単一編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する単一編成画面において、状態指標値の比率に対して閾値を設け、閾値との比較に応じて状態指標値の比率の表示状態を切り替える。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、単一編成画面において、閾値を超える状態指標値の特定がしやすくなり、注意すべき状態指標をより簡易に把握することができる。
【0084】
さらに、第1の実施形態に係る情報処理装置は、単一編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する単一編成画面において閾値を超えた状態指標値を車両単位で集約し、閾値を超える状態指標値の有無に応じて車両の表示状態を切り替える。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、閾値を超える状態指標値の有無を車両単位で簡易に把握することができる。
【0085】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、単一編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する単一編成画面において、編成ごとの集約情報として、劣化に関する状態指標と、車内温度に関する異常の状態指標と、故障に関する異常の状態指標と、推定異常度に関する異常の状態指標とを同時に表示させる。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、装置に直接関係する情報と、車内の温度状態の運用状態に関する情報と、故障信号の発生や推定異常度による故障予兆等に関する情報とを識別して把握することができる。この結果として、オペレータは、能力の低下が起きている状態であっても運用としては問題がないような実態に合わせた装置の状態を把握することができる。
【0086】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、全編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する全編成画面において、管轄と車形と編成に対応する各種装置の集約情報とを表形式で表示している。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、編成と装置毎の正常、注意、異常状態とを俯瞰して把握できるような表示画面を提供できる。
【0087】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、全編成一覧生成部が生成する表示データによって表示する全編成画面において、正常、注意、異常の状態に応じて表示方法を切り替える。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、オペレータは表示装置に表示された全編成画面によって注意すべき状態をより簡易に識別できる。
【0088】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、全編成画面において、管轄、車形、状態を選択(入力)するための選択欄を表示し、選択欄において選択された条件で絞り込んだ情報を表示する全編成画面の表示データを全編成一覧生成部により生成し、表示制御部によって選択された条件で絞り込んだ情報を表示する全編成画面を表示装置に表示させる。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、オペレータは着目したい条件の編成をより簡易に把握することができる。
【0089】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、状態指標詳細生成部が生成する表示データによって表示する詳細画面において、車形、編成、車両番号、部材、状態指標に対応する状態指標値またはそれらの集約値の情報を時系列で示す情報として複数のグラフを表示する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、特定の状態指標値の推移を時系列で把握することが可能となり、個別の状態指標をより詳細に把握することができる。
【0090】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、状態指標詳細生成部が生成する表示データによって表示する詳細画面において、時系列で示す情報に加えて、部材情報、閾値到達の予測年月、状態指標の閾値に対する比率を表示する。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、オペレータは詳細画面によって対応する部材の状態指標が閾値に到達する時期を把握することが可能となる。
【0091】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、詳細画面において、車形、編成、車両番号、部材、状態指標などを選択(入力)するための選択欄を表示し、選択欄において選択された条件で絞り込んだ情報を表示する詳細画面の表示データを状態指標詳細生成部により生成し、表示制御部によって選択された条件で絞り込んだ情報を表示する詳細画面を表示装置に表示させる。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、オペレータは着目したい状態指標をより簡易に選択してその詳細画面を表示装置に表示させることができる。
【0092】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置は、表示制御部によって表示装置に表示する画面を単一編成画面、全編成画面および状態指標の詳細画面の何れかに切り替える。これにより、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、全編成画面で全体の情報を把握するとともに、全編成画面に表示した編成から選択される編成に関する単一編成画像を表示装置に表示させることができる。この結果、オペレータは、全編成における状態を俯瞰的に把握しつつ単一編成の状態をも確認することが容易に実施でき、複数の編成における装置などの状態と編成単位での状態とを簡易に把握することができる。
【0093】
また、第1の実施形態に係る情報処理装置によれば、単一編成画面で表示した状態指標から選択された状態指標に関する状態指標の詳細画面を表示装置に表示させることができる。この結果、オペレータは、単一編成の状態を確認しつつ個々の状態指標に関する詳細な情報を確認することが容易に実施でき、編成ごとの状態指標と各状態指標の詳細情報とを簡易に把握することができる。
【0094】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図15乃至図17を参照して説明する。
第2の実施形態に係る情報処理装置10´および列車情報監視システム1´は、基本的なハードウエア構成において第1の実施形態で説明した情報処理装置10および列車情報監視システム1と同様な構成を備えるもので実現できる。このため、以下の第2の実施形態に係る情報処理装置10´および列車情報監視システム1´の説明においては、第1の実施形態で説明したものと同様の構成で実現できるものには同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0095】
図15は、第2の実施形態に係る情報処理装置10´が備える機能の構成例を示すブロック図である。
図15に示す列車情報監視システム1´は、図2に示す第1の実施形態で説明した列車情報監視システム1とは情報処理装置10´の列車情報表示部200´が単一装置一覧生成部206を備える点が異なる。
【0096】
単一装置一覧生成部206は、1種類(単一)の装置について管理している全台数の状態指標値を一覧で表示する単一装置画面を表示するための表示データを生成する。単一装置一覧生成部206は、表示制御部202が表示装置26に表示させる表示データを生成する表示生成部の一例である。単一装置一覧生成部206が生成する表示データによる単一装置画面は、表示制御部202によって表示装置26に表示される。
【0097】
次に、以上のように構成された第2の実施形態に係る情報処理装置10´における
単一装置一覧生成部206について説明する。
図16は、第2の実施形態に係る情報処理装置10´における単一装置一覧生成部206が生成する表示データによって表示される単一装置画面の例を示す図である。
図16に示す単一装置画面には、画面の上部において、車形、編成、車両番号、部材、表示情報および並び順からなるプルダウンメニュー(選択欄)と比較の実行ボタンとが配置される。また、単一装置画面の画面中央には、一覧表示と記載された表が表示される。
【0098】
図16に示す単一装置画面の一覧表示では、番号(No)、車形、編成、車両番号、製造番号、空調圧縮機1の動作回数、空調圧縮機2の動作時間、室内送風機の動作時間、および、推定劣化度が表示される。ここで、空調圧縮機1の動作回数、空調圧縮機2の動作時間、室内送風機の動作時間、および、推定劣化度は、それぞれが状態指標値であり、状態指標値の正規化値に基づくバーゲージが表示される。
【0099】
単一装置画面の上部に表示する「表示情報」のプルダウンメニュー(選択欄)では、一覧表示の表で出力する項目が入力(選択)される。図16に示す例では、車形から推定劣化度までの8件を選択していることを示す。
「並び順」のプルダウンメニュー(選択欄)では、一覧表示の行を並び替える設定を示す情報が入力(選択)される。図16に示す例では、「推定劣化度」の値に対して「降順」で並び替えて表示することが選択されている。
【0100】
一覧表示における各行は、オペレータが選択することが可能な状態で表示される。オペレータが選択された行は、表示状態を変更することで明示される。図16に示す例では、番号(No)の表示欄を反転表示させることで番号「1」の行が選択中であることを示している。なお、選択中の行は、行全体の表示状態(例えば色)を変化させて示すようにしても良い。
【0101】
比較の実行ボタンは、一覧表示で選択している行を抽出し、選択した行とその他の一覧とを区別で表示する比較画面に遷移することを指示するためのボタンである。
図17は、比較の実行ボタンが指示された場合に表示される比較画面の表示例を示す図である。
図17に示す比較画面において、画面の中央部に表示される表は、上段と下段とに分離して表示される。上段は、選択中した情報(行)を表示する。下段は、選択されたもの以外の一覧を表示する。これにより、比較画面では、オペレータが選択する特定の装置に関する情報とその他の装置に関する状態を示す情報とを比較表示することができる。例えば、図17に示す比較画面では、並び順を「推定劣化度」かつ「降順」としているため、選択した装置の状態指標値と対比して、一覧表示において選択中の装置と同種の装置のうち推定劣化度が小さい装置を順番に表示することができる。
【0102】
以上説明したように、第2の実施形態に係る情報処理装置は、単一装置一覧生成部によって、1種類(単一)の装置について指定された条件で抽出した状態指標データおよび集約情報を一覧表示する単一装置画面を表示する表示データを生成し、表示制御部によって表示装置に単一装置画面を表示する。これにより、保有および管理している単一装置の状態の状態指標値を一覧で参照することができ、車両の搭載されている装置だけでなく、車庫や倉庫に保管されている車両に搭載されていない装置を含めた各装置の状態を網羅的に把握することができる。
【0103】
また、第2の実施形態に係る情報処理装置は、単一装置画面に表示する比較の実行ボタンが選択された場合、選択中の装置(行)に対応する情報とその他の装置の情報を一覧表示した情報とを分けて表示する。これにより、第2の実施形態に係る情報処理装置によれば、着目する装置および車両とその他の装置の状態とを比較しながら視認することが容易にできる。
【0104】
以上により、第1および第2の実施形態に係る情報処理装置によれば、オペレータは、車両に搭載した装置の状態を編成単位および車両単位で把握することができ、正規化された状態指標値およびバーゲージで状態を比較することで、劣化傾向あるいは異常が発生する傾向のある装置およびこれを搭載する車両を簡易に把握することもできる。この結果として、第1および第2の実施形態に係る情報処理装置によれば、保守点検および保守計画において、点検を優先すべき装置や車両を容易に把握することができる。
【0105】
また、上述したように、第1および第2の実施形態に係る情報処理装置は、以下のような特徴を備える。
(1)
実施形態に係る情報処理装置は、
車両で収集された車両データとBOMデータと設計データと搭載データと部材データとから状態指標値を計算する状態指標計算部と、
前記状態指標計算部の状態指標値の正規化値を計算する状態指標正規化計算部と、
前記状態指標正規化計算部が計算した状態指標値の正規化値を含む複数の状態指標値を示す状態指標データを記憶するデータ記憶部と、
集約条件に基づいて計算する状態指標値の集約値を含む集約情報を生成する状態指標集約部と、
前記状態指標データおよび前記集約情報をもとに単一編成の状態を示す単一編成画面を表示するための表示データを生成する単一編成一覧生成部と、
前記状態指標データおよび前記集約情報をもとに全編成の状態を示す全編成画面を表示するための表示データを生成する全編成一覧生成部と、
前記状態指標データおよび前記集約情報をもとに状態指標の詳細情報を示す詳細画面を表示するための表示データを生成する状態指標詳細生成部と、
前記単一編成画面、前記全編成画面および前記詳細画面のうち何れか1つを表示装置に表示させる表示制御部と、
を有する。
【0106】
(2)
前記(1)の情報処理装置において、前記状態指標値は、前記車両に搭載されている装置の劣化状態を示す情報である。
【0107】
(3)
前記(1)の情報処理装置において、前記状態指標値は、前記車両に搭載されている装置の異常状態を示す情報である。
【0108】
(4)
前記(1)の情報処理装置において、前記状態指標値は、前記劣化状態を示す情報と前記異常状態を示す情報とを組合せた状態を示す情報である。
【0109】
(5)
前記(1)乃至(4)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記状態指標集約部は、車形、編成、車両、装置、機器、および、状態指標の種別のうち少なくとも何れか1つを含む集約条件に基づいて集約値を計算する。
【0110】
(6)
前記(1)乃至(5)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記単一編成画面、前記全編成画面又は前記詳細画面において前記状態指標値の正規化値をバーゲージで表示する。
【0111】
(7)
前記(1)乃至(6)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記表示制御部は、前記単一編成画面に表示した状態指標が選択された場合に前記表示装置に表示する画像を選択された状態指標の詳細画面に遷移させる。
【0112】
(8)
前記(1)乃至(7)の何れか1つに記載の情報処理装置において、前記表示制御部は、前記単一編成画面への入力に応じて前記詳細画面を表示させる、前記全編成画面に表示した1つの編成が選択された場合に前記表示装置に表示する画像を選択された編成に関する単一編成画面に遷移させる。
【0113】
(9)
前記(1)乃至(7)の何れか1つに記載の情報処理装置において、単一の装置に関する状態を示す単一装置画面を表示するための単一装置一覧生成部をさらに有し、前記表示制御部は、前記単一編成画面、前記全編成画面、前記詳細画面および前記単一装置画面のうち何れか1つを表示装置に表示させる。
【0114】
なお、上記した各処理はいくつかのソフトウェアによって実行することが可能である。このため、上記処理の手順を実行するいくつかのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこれらプログラムを遠隔操作装置にインストールして実行することで、上記処理を容易に実現することができる。例えば、遠隔操作装置は、プログラムをネットワーク経由でダウンロードし、ダウンロードしたプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。また、遠隔操作装置は、上記プログラムを各種の情報記憶媒体から読み取り、読み取ったプログラムを記憶することで、プログラムをインストールするようにしても良い。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0116】
1…列車情報監視システム、10…情報処理装置、11…プロセッサ、14…データメモリ、15…通信インターフェース(インターフェース)、16…通信インターフェース20…クライアントPC、21…プロセッサ、25…通信インターフェース、26…表示装置、27…操作装置、30…データ収集装置、40…装置、100…列車情報管理部、101…データ記憶部、102…状態指標計算部、103…状態指標正規化計算部(正規化計算部)、104…集約条件取得部、105…状態指標集約部、200…列車情報表示部、201…状態指標取得部、202…表示制御部、203…単一編成一覧生成部(表示生成部)、204…全編成一覧生成部(表示生成部)、205…状態指標詳細生成部(表示生成部)、206…単一装置一覧生成部(表示生成部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17