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特開2023-113122アライメント機構を内蔵した前置コリメータ。
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113122
(43)【公開日】2023-08-15
(54)【発明の名称】アライメント機構を内蔵した前置コリメータ。
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230807BHJP
【FI】
A61B6/03 320H
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004812
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】17/591,143
(32)【優先日】2022-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヴィシュワナス・ナヤック
(72)【発明者】
【氏名】サイーシュ・シュリヤカント・ライカール
(72)【発明者】
【氏名】サンジェイ・ディアワ・パティル
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093CA36
4C093EA12
4C093EA20
4C093FA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】CTイメージングシステム用の前置コリメータが提供される。
【解決手段】前置コリメータは、複数の壁を含むコリメータハウジングを含む。複数の壁は、前記前置コリメータが前記CTイメージングシステムに結合された場合、X線源に面するように構成された第1の壁と、前記第1の壁の両側に位置する第2の壁及び第3の壁とを含む。また、前置コリメータは、前記コリメータハウジング内に配置され、ボウタイフィルタを含むボウタイフィルタアセンブリを含む。さらに、前置コリメータは、前記コリメータハウジング内の前記第2の壁と前記第3の壁との間で前記ボウタイフィルタアセンブリをラテラル方向に移動させるように構成された調整機構を含む。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム用の前置コリメータであって、
複数の壁を含むコリメータハウジングであって、前記複数の壁は、前記前置コリメータが前記CTイメージングシステムに結合された場合、X線源に面するように構成された第1の壁と、前記第1の壁の両側に位置する第2の壁及び第3の壁とを含む、コリメータハウジング、
前記コリメータハウジング内に配置され、ボウタイフィルタを含むボウタイフィルタアセンブリ、及び
前記コリメータハウジング内の前記第2の壁と前記第3の壁との間で前記ボウタイフィルタアセンブリをラテラル方向に移動させるように構成された調整機構
を含む、前置コリメータ。
【請求項2】
複数の壁は、前記第1の壁に隣接する前記第2の壁と前記第3の壁との間に延在する第4の壁を含み、前記調整機構は、前記ボウタイフィルタアセンブリを前記第4の壁に向かうとともに前記第4の壁から離れるトランスバース方向に動かすように構成される、請求項1に記載の前置コリメータ。
【請求項3】
前記ボウタイフィルタアセンブリのラテラル方向への移動は、前記ボウタイフィルタアセンブリのトランスバース方向への移動とは独立している、請求項2に記載の前置コリメータ。
【請求項4】
前記調整機構は、
前記コリメータハウジング内に配置されたフレームであって、前記ボウタイフィルタアセンブリに結合されたフレームと、
前記フレームに結合された調整ねじであって、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記ラテラル方向への動きを調整する調整ねじと、
前記フレームに結合されたロックピンであって、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記トランスバース方向への動きを調整するロックピンと
を含む、請求項3に記載の前置コリメータ。
【請求項5】
前記フレームは、
前記ボウタイフィルタアセンブリが前記トランスバース方向に移動してスキャン面から離れたときに前記ロックピンを受け入れるための第1の開口部と、
前記ボウタイフィルタアセンブリが前記トランスバース方向に移動して前記スキャン面に入り込んだときに前記ロックピンを受け入れるための第2の開口部と
を含む、請求項4に記載の患者前リメータ。
【請求項6】
前記フレームは、前記調整ねじが貫通するスロットを含み、前記スロットは、前記ボウタイフィルタアセンブリが前記ラテラル方向に移動する場合、前記調整ねじがスロットを貫通するように保持する、請求項5に記載の前置コリメータ。
【請求項7】
前記調整機構は、前記コリメータハウジング内で前記ボウタイフィルタアセンブリが前記ラテラル方向及び前記トランスバース方向に移動するように、前記コリメータハウジングの外側から操作される、請求項2に記載の前置コリメータ。
【請求項8】
前記調整機構に結合された電動アクチュエータを含み、前記電動アクチュエータは、プロセッサからの制御信号に応答して、調整機構を作動させて、前記ボウタイフィルタアセンブリを前記ラテラル方向に移動させて前記ボウタイフィルタを前記X線源から放射されるX線ビームに対して中心に配置するように構成される請求項1に記載の前置コリメータ。
【請求項9】
前記ボウタイフィルタアセンブリは、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記ボウタイフィルタを部分的に囲むカバー及びフィルタ取付けプレートを含む、請求項1に記載の前置コリメータ。
【請求項10】
前記フィルタ取付けプレートと前記ボウタイフィルタに面するカバーとの両方のそれぞれの面に、放射線遮蔽材料が配置されている、請求項9に記載の前置コリメータ。
【請求項11】
前記フィルタ取付けプレート及びカバーは、異なるタイプのボウタイフィルタを部分的に囲むように構成される、請求項9に記載の前置コリメータ。
【請求項12】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム用の前置コリメータであって、
コリメータハウジング、
前記コリメータハウジング内に配置され、ボウタイフィルタを含むボウタイフィルタアセンブリ、及び
前記ボウタイフィルタアセンブリを前記コリメータハウジング内で第1の方向及び第2の方向に移動させるように構成された調整機構であって、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第1の方向の移動は、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第2の方向の移動とは独立しており、前記第1の方向及び前記第2の方向は互いに直交している、調整機構
を含む、前置コリメータ。
【請求項13】
前記コリメータハウジングは、前記前置コリメータが前記CTイメージングシステムに結合された場合、X線源に面するように構成された第1の壁を含み、前記第1の方向及び前記第2の方向は、前記第1の壁内で平行な面に沿って互いに直交する、請求項12に記載の前置コリメータ。
【請求項14】
前記コリメータハウジングは複数の壁を含み、前記複数の壁は、前記前置コリメータが前記CTイメージングシステムに結合された場合にX線源に面するように構成された第1の壁と、前記第1の壁の両側に位置する第2の壁及び第3の壁とを含み、前記調整機構は、前記第2の壁と前記第3の壁との間で前記ボウタイフィルタアセンブリを前記第1の方向に移動するように構成されている、請求項12に記載の前置コリメータ。
【請求項15】
前記複数の壁は、前記第1の壁に隣接する前記第2の壁と前記第3の壁との間に延在する第4の壁を含み、前記調整機構は、前記ボウタイフィルタアセンブリを、第4の壁に向かうとともに前記第4の壁から離れる第2の方向に移動させる、請求項14に記載の前置コリメータ。
【請求項16】
前記調整機構は、前記コリメータハウジング内で前記ボウタイフィルタアセンブリが前記第1の方向及び前記第2の方向に移動するように、前記コリメータハウジングの外側から操作される、請求項12に記載の前置コリメータ。
【請求項17】
前記ボウタイフィルタアセンブリは、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記ボウタイフィルタを部分的に囲むカバー及びフィルタ取付けプレートを含む、請求項12に記載の前置コリメータ。
【請求項18】
前記調整機構は、
前記コリメータハウジング内に配置されたフレームであって、前記ボウタイフィルタアセンブリに結合されたフレームと、
前記フレームに結合された調整ねじであって、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第1の方向への動きを調整する調整ねじと、
前記フレームに結合されたロックピンであって、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第2の方向への動きを調整するロックピンと
を含む、請求項12に記載の前置コリメータ。
【請求項19】
コリメータのボウタイフィルタのセンタリングを行う方法であって、
エアスキャンデータを取得するためのエアスキャンの前にボウタイフィルタをCTイメージングシステムのX線源によって放射されるX線ビームのビューの外側に移動させた状態で、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムを利用したエアスキャンを実行することによって得られるエアスキャンデータを、プロセッサにおいて取得することであって、前記ボウタイフィルタはコリメータハウジング内に配置されたボウタイフィルタアセンブリ内に配置されており、前記ボウタイフィルタアセンブリは前記コリメータハウジング内で第1の方向及び第2の方向に移動できるように構成されており、前記第1の方向は前記第2の方向に対して直交している、エアスキャンデータを取得すること、
前記エアスキャンデータを取得するためのアライメントスキャンの前に前記ボウタイフィルタが前記第2の方向に移動して前記スキャン面内に位置させた状態で、前記CTイメージングシステムを利用したエアスキャンを実行することにより得られるアライメントデータを、前記プロセッサにおいて取得すること、
前記プロセッサによって、前記X線ビームのビームライン経路からの前記ボウタイフィルタのオフセット距離を計算すること、
前記プロセッサによって、前記オフセット距離を、前記X線ビーム内の前記ボウタイフィルタの所望の中心位置の許容範囲と比較すること、
前記オフセット距離が許容範囲外である場合、前記プロセッサによって、前記ボウタイフィルタが前記X線ビームの中心に位置するように前記ボウタイフィルタを前記第2の方向に移動させる距離を計算すること、及び
前記プロセッサからの制御信号に応答して、前記ボウタイフィルタを前記第2の方向に前記距離だけ移動させること
を含む、方法。
【請求項20】
前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第1の方向の動きは、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第2の方向の動きとは独立している、請求項19に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される対象は、医用画像処理システムに関し、より詳細には、積層造形された構成要素を有する前置コリメータに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)では、X線が、患者などの関心対象に広がり、その一部が検出器に衝突し、画像データが収集される。デジタルX線システムでは、光検出器が、検出器表面の個別の画素領域に衝突した放射線量又は放射線強度を表す信号を生成する。次に、この信号は処理され画像が生成される。画像は表示され確認することができる。このようなシステムによって生成された画像では、患者の体内の構造及び器官を識別し、検査することが可能である。CTシステムでは、検出器アレイが、一連の検出器要素又はセンサを含んでおり、ガントリが患者の周りを移動するときに様々な位置で同様の信号を生成し、ボリュメトリック再構成(volumetric reconstruction)を得ることができる。
【0003】
CTイメージングシステムは、関心対象の受ける線量が意図されたものになるように、前置コリメータを含むことができる。前置コリメータのコリメータブレードは、適切な開口部又は開口が設定され、X線が通過するように、X線源の前面で調整され、オペレータによって設定されたスキャンが実行される。患者前置コリメータの調整は、正確な形状のX線ビームを取得して患者の高品質画像を取得するための鍵となる。通常、システムの調整の間は、X線フィルタ(ボウタイフィルタなど)をX線ビームの中心に合わせるように、X線フィルタを調整する必要がある。これには、コリメータ全体(通常は、非常に重いものである)を移動させるか、コリメータの複数の構成要素(例えば、カバー)を取り外してX線フィルタを移動させる必要がある。場合によっては、システムの調整中(例えば、エアスキャン中)に、Xフィルタを取り外す必要がある。これは、手順が面倒であり時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当初請求された対象の範囲に相応する特定の実施形態が以下に要約される。これらの実施形態は、請求される対象の範囲を制限することを意図しているわけではなく、これらの実施形態は、あり得そうな対象の形態の簡単な要約を与えることのみを意図している。実際、対象は、以下に示す実施形態と類似していてもよいし異なっていてもよい様々な形態を包含することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、CTイメージングシステム用の前置コリメータが提供される。前置コリメータは、複数の壁を含むコリメータハウジングを含む。複数の壁は、前記前置コリメータが前記CTイメージングシステムに結合された場合、X線源に面するように構成された第1の壁と、前記第1の壁の両側に位置する第2の壁及び第3の壁とを含む。また、前置コリメータは、前記コリメータハウジング内に配置され、ボウタイフィルタを含むボウタイフィルタアセンブリを含む。さらに、前置コリメータは、前記コリメータハウジング内の前記第2の壁と前記第3の壁との間で前記ボウタイフィルタアセンブリをラテラル方向に移動させるように構成された調整機構を含む。
【0006】
別の実施形態では、CTイメージングシステム用の前記コリメータが提供される。前置コリメータはコリメータハウジングを含む。また、前置コリメータは、前記コリメータハウジング内に配置され、ボウタイフィルタを含むボウタイフィルタアセンブリを含む。更に、前置コリメータは、前記ボウタイフィルタアセンブリを前記コリメータハウジング内で第1の方向及び第2の方向に移動させるように構成された調整機構を含む。前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第1の方向の移動は、前記ボウタイフィルタアセンブリの前記第2の方向の移動とは独立しており、前記第1の方向及び前記第2の方向は互いに直交している。
【0007】
更なる実施形態は、コリメータのボウタイフィルタのセンタリングを行う方法である。本方法は、エアスキャンデータを取得するためのエアスキャンの前にボウタイフィルタをCTイメージングシステムのX線源によって放射されるX線ビームのビューの外側に移動させた状態で、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムを利用したエアスキャンを実行することによって得られるエアスキャンデータを、プロセッサにおいて取得することであって、前記ボウタイフィルタはコリメータハウジング内に配置されたボウタイフィルタアセンブリ内に配置されており、前記ボウタイフィルタアセンブリは前記コリメータハウジング内で第1の方向及び第2の方向に移動できるように構成されており、前記第1の方向は前記第2の方向に対して直交している、エアスキャンデータを取得することを含む。また、本方法は、前記エアスキャンデータを取得するためのアライメントスキャンの前に前記ボウタイフィルタが前記第2の方向に移動して前記スキャン面内に位置させた状態で、前記CTイメージングシステムを利用したエアスキャンを実行することにより得られるアライメントデータを、前記プロセッサにおいて取得することを含む。更に、本方法は、前記プロセッサによって、前記X線ビームのビームライン経路からの前記ボウタイフィルタのオフセット距離を計算することを含む。さらに、本方法は、前記プロセッサによって、前記オフセット距離を、前記X線ビーム内の前記ボウタイフィルタの所望の中心位置の許容範囲と比較することを含む。さらに、本方法は、前記オフセット距離が許容範囲外である場合、前記プロセッサによって、前記ボウタイフィルタが前記X線ビームの中心に位置するように前記ボウタイフィルタを前記第2の方向に移動させる距離を計算することを含む。さらに、本方法は、前記プロセッサからの制御信号に応答して、前記ボウタイフィルタを前記第2の方向に前記距離だけ移動させることを含む。
【0008】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むことにより、更によく理解される。添付図面全体において、類似の文字は、類似の部品を表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書で説明されるコンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムの立体図及びブロック図の組合せを示す。
図2】本開示の態様による(例えば、X-Y面内で見た)X線源及び多列X線検出器の概略図である。
図3】本開示の態様による(例えば、Y-Z面内で見た)X線源及び多列X線検出器の概略図である)。
図4】プリントベッド上に配置された、本開示の態様によるコリメータの積層造形された構成要素の斜視図である。
図5】本開示の態様による、(例えば、中実構造の)コリメータの積層造形された構成要素の壁の一部の断面図である。
図6】本開示の態様による、(例えば、格子構造の)コリメータの積層造形された構成要素の壁の一部の断面図である。
図7】は、本開示の態様による、積層造形されたコリメータハウジングの異なる斜視図である。
図8】は、本開示の態様による、積層造形されたコリメータハウジングの異なる斜視図である。
図9】は、本開示の態様による、積層造形されたコリメータハウジングの異なる斜視図である。
図10】は、本開示の態様による、積層造形されたコリメータハウジングの異なる斜視図である。
図11】本開示の態様による、図7図10のコリメータハウジングの応力分布を示す図である。
図12】本開示の態様による、図7図10におけるコリメータハウジングの変形プロットである。
図13】本開示の態様による、積層造形されたアパーチャ移送プレートの斜視図である。
図14図13の積層造形されたアパーチャ移送プレートの側面図である。
図15図13の積層造形されたアパーチャ移送プレートの一部の線A-Aに沿う断面図である。
図16図13の積層造形されたアパーチャ移送プレートの取付けブラケットの一部を示す斜視図である。
図17】本開示の態様による、図13の積層造形された移送プレートの取付けブラケットであって、アクチュエータに結合された取付けブラケットの斜視図である。
図18】本開示の態様による、図13の積層造形された移送プレートの別の取付けブラケットであって、アクチュエータに結合された別の取付けブラケットの斜視図である。
図19】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための内蔵型アライメント機構の分解斜視図である。
図20】本開示の態様によるコリメータハウジングの透視斜視図であり、ボウタイフィルタアセンブリが、内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されている状態の図である。
図21】ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構内に結合された(例えば、ボウタイフィルタアセンブリをコリメータハウジングの第2の壁に近づけた状態の)図20のコリメータハウジングの正面図である。
図22】ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構内に結合された(例えば、ボウタイフィルタアセンブリをコリメータハウジングの第3の壁に近づけた状態の)図20のコリメータハウジングの正面図である。
図23】本開示の態様によるコリメータハウジングの断面側面図であり、ボウタイフィルタアセンブリが、内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されている(例えば、ボウタイフィルタアセンブリがスキャン面内に位置している)状態の図である。
図24】ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されている(例えば、ボウタイフィルタアセンブリがスキャン面内に位置している)図23のコリメータハウジングの斜視図である。
図25】ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されている(例えば、ボウタイフィルタアセンブリがスキャン面の外側に位置している)図23のコリメータハウジングの断面側面図である。
図26】ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されている(例えば、ボウタイフィルタアセンブリがスキャン面の外側に位置している)図23のコリメータハウジングの斜視図である。
図27】本開示の態様による前置コリメータの斜視図である。
図28】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための別の内蔵型アライメント機構の分解図である。
図29】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されたコリメータハウジングの正面側斜視図である(例えば、ボウタイフィルタアセンブリのトランスバース方向の動きを示している)。
図30】本開示の態様による、ボウタイフィルタアセンブリが内蔵型アライメント機構内に存在し且つ内蔵型アライメント機構に結合されたコリメータハウジングの背面側斜視図である(例えば、ボウタイフィルタアセンブリのラテラル方向の動きを示している)。
図31】本開示の態様による、組み立てられた前置コリメータの斜視図である。
図32】本開示の態様による、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリを移動させるための別の内蔵型アライメント機構の分解図である。
図33】本開示の態様による、図32の内蔵型アライメント機構のガイドピンをロック位置とロック解除位置との間で操作する様子を示す概略図である。
図34】本開示の態様による、組み立てられた前置コリメータの斜視図である。
図35】本開示の態様による、ボウタイフィルタを中心にくるように調整する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、1つ以上の具体的な実施形態が説明される。これらの実施形態を簡潔に説明することを考えているので、実際の実装の全ての特徴を本明細書に記載しているわけではない。どのような実際の実装の開発でも、様々なエンジニアリングプロジェクト又はデザインプロジェクトのように、実装に固有の多数の決定を行って開発者の特定の目標(実装によって異なると考えられるシステム関連の制約及びビジネス関連の制約の順守など)を達成しなければならないことを理解すべきである。さらに、このような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、本開示の利益を有する当業者にとっては、日常的な、設計、製作、及び製造の業務であることを理解すべきである。
【0011】
本対象の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図されている。用語「comprising」、「including」、及び「having」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在する場合があることを意味する。さらに、以下の説明における任意の数値例は非限定的であることを意図しており、したがって、その他の数値、範囲、及びパーセントも、開示される実施形態の範囲内である。
【0012】
以下の議論の態様は、医用画像処理の状況で説明されるが、本技術は、このような医用関係の状況に限定されないことが理解されるべきである。実際、そのような医用関係の状況で実施例が示され説明されているのは、単に、現実の実装及び用途の例を示すことによって説明が容易に行えるようにするためである。しかしながら、本手法は、製造された部品又は商品の非破壊検査(すなわち、品質管理又は品質審査の用途)で使用される産業用コンピュータ断層撮影(CT)用の断層画像再構成、及び/又はパッケージ、箱、荷物などの非侵襲的検査(すなわち、セキュリティ又はスクリーニングの用途)などの他の状況でも利用することができる。一般に、本手法は、X線ビームのサイズを制御するコリメータを利用するような、イメージング若しくはスクリーニングの状況又は画像処理分野で有用であると考えられる。
【0013】
本開示は、システムアライメント中にコリメータの調整(例えば、前置コリメータと一体化されたボウタイフィルタの調整)が正確かつ容易に行えるようにするための、前置コリメータ(例えば、積層造形された前置コリメータ)内に配置された内蔵型アライメント機構を提供する。特に、内蔵型アライメント機構によって、ボウタイフィルタを、ラテラル方向とトランスバース方向に互いに独立に調整する(例えば、X線ビーム経路に対して中心合わせを行って非常に良好な画質を提供する)ことができる。また、内蔵型アライメント機構の構成により、システムアライメント中にコリメータからサブ構成要素(例えば、ボウタイフィルタ)を取り外したり分解したりすることなく、ボウタイフィルタの調整を(例えば、アクチュエータ機構を介して)コリメータハウジングの外側から行うこともできる。さらに、内蔵型アライメント機構は、異なるタイプのボウタイフィルタで利用することができ、異なるイメージングプラットフォームで利用できるように拡張可能である。
【0014】
上記の内容を念頭に置いて図1を参照する。一例として、CTイメージングシステム10が示されている。CTイメージングシステムはガントリ12を含む。ガントリ12はX線源14を有している。X線源14は、ガントリ12の反対側にある検出器アセンブリ15に向けてX線のビーム16を投射する。X線源14はX線のビーム16を投射し、X線ビームは、X線のビーム16のサイズを決定する前置コリメータ又はコリメータアセンブリ13を通過する。検出器アセンブリ15は、コリメータセンブリ18(後置コリメータセンブリ)、複数の検出器モジュール20(例えば、検出器要素又はセンサ)、及びデータ取得システム(DAS)32を含む。複数の検出器モジュール20は、患者22を通過した投射X線を検出し、DAS32は、データを後続の処理のためにデジタル信号に変換する。従来のシステムにおける各検出器モジュール20は、入射したX線ビームの強度、したがって、患者22を通過する際に減衰したビームの強度を表すアナログ電気信号を生成する。X線投影データを取得するための走査の間、ガントリ12と、ガントリ12に取り付けられた構成要素は、撮像ボリュームに対する多数のビュー角から減衰データを収集するように、回転中心25(例えば、アイソセンタ)を中心に回転する。
【0015】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTシステム10の制御機構26によって管理される。制御機構26は、X線源14に電力及びタイミング信号を供給するX線制御器28と、前置コリメータ13の開口の幅(従って、X線ビーム16のサイズ)を制御するコリメータ制御器29と、ガントリ12の回転速度及び回転位置を制御するガントリモータ制御器30とを含んでいる。画像再構成器34は、DAS32からサンプリングされデジタル化されたX線データを受信し、高速再構成を実行する。再構成された画像は入力としてコンピュータ36に供給され、コンピュータ36は画像を大容量記憶装置38に格納する。また、コンピュータ36は、コンソール40を通じてオペレータからの命令及び走査パラメータを受け取る。接続されたディスプレイ42によって、オペレータはコンピュータ36からの再構成された画像及び他のデータを見ることができる。オペレータが供給した命令及びパラメータは、DAS32、X線制御器28、コリメータ制御器29、及びガントリモータ制御器30に制御信号及び情報が提供されるように、コンピュータ36によって使用される。さらに、コンピュータ36はテーブルモータ制御器44を動作させる。テーブルモータ制御器44は、患者22及びガントリ12が位置決めされるように電動テーブル46を制御する。特に、テーブル46は、ガントリの開口部又はボア48を通過するように患者22の一部を移動させる。
【0016】
全体的なイメージングシステム10に関する蒸気の説明を念頭に置いて、図2及び図3を参照すると、X線源14及び検出器アセンブリ15(例えば、複数の列50を有するX線検出器)の一例が、X-Y平面(図2)及びY-Z平面(図3)に図示されている。説明の便宜上、X線源14とともに回転しているガントリ12は、図1に示す位置からガントリの上方(+Y方向)に回転しているものとする。図示されているように、前置コリメータ13は、X線源14と検出器アセンブリ15との間に配置され、X線ビーム52の形状を決定する。特に、前置コリメータ13の一対のコリメータブレード56の間の開口部又はアパーチャ54(図3に示されている)は、X線ビーム52を形成する。FOV(field of view)24と、患者を走査することを意図したX線ビーム52のサイズに対応するビーム幅58も図示されている。コリメータブレード56を正しく位置決めすることは、患者が確実に適正の放射線量を受け、確実に適切な領域が走査されるようにするために重要である。ブレード56の形状は、図2及び図3において異なる方向から示されている。例として、ブレード56は、一般的に、XY面において湾曲しており、YZ面においては、ビームサイズを決定する円形の先端部を有している。XY面におけるブレードの形状は、平面及び角度が付けられたものを含め、他の多くの形状が可能であり、YZ面における先端部の形状も、例えば、矩形であってもよいし、三角形であってもよい。
【0017】
図4は、プリントベッド60に配置された、前置コリメータの積層造形された構成要素の斜視図である。図4に示されているように、コリメータの積層造形された構成要素は、コリメータハウジング62と、アパーチャ移送プレート64と、モータ取付けプレート66と、センサプレート68とを含む。特定の実施形態では、コリメータの他の構成要素を積層造形してもよい(例えば、ボウタイフィルタ、ボウタイフィルタを収容するためのプレート又はカバー、コリメータハウジング62用のカバープレートなど)。プリントベッド上の積層造形された構成要素のレイアウトは、コリメータの構成要素の積層造形又は3次元(3D)印刷のためのレイアウト構成の一例である。他のレイアウト構成を利用してもよい。積層造形された各構成要素は、(例えば、鉛の存在によって生じ得る作業上の危険性を軽減するために)鉛を含まない材料で作られる。特定の実施形態において、構成要素は、(例えば、直接金属レーザー焼結法によって)金属材料で形成することができる。特定の実施形態では、積層造形された構成要素の一部又は全体は、図5に示すように、中実構造70で製造することができる。例えば、センサプレート68の全体は、中実構造で製造されている。中実構造はX線を遮蔽するように機能することができる。特定の実施形態では、積層造形された構成要素の一部又は全体は、図6に示すように、格子構造72で製造することができる。例えば、モータ取付けプレート66の全体は、格子構造で製造することができる。格子構造により、軽量化を図ることができる。格子構造は、ハニカム構造又は他の格子構造を含んでいてもよい。以下に詳述するように、コリメータハウジング62及びアパーチャ移送プレート64の一部は格子構造で製造されており、他の部分は中実構造で製造されている。
【0018】
図7図10は、積層造形されたコリメータハウジング62の異なる斜視図である。コリメータハウジング62は複数の壁を含んでおり、複数の壁には、コリメータがガントリに結合された場合、X線源に面するように構成された第1の壁74と、第1の壁74の両側に位置する第2の壁76及び第3の壁78と、第2の壁76と第3の壁78との間に延在する第4の壁80であって、第1の壁74に隣接する第4の壁80とが含まれている。各壁74、76、78、80は、壁74、76、78、80の少なくとも1つの縁部84に沿って延在する構造リブ82(例えば、それぞれの壁74、76、78、80に一体化されている構造リブ)を含む。例えば、第1の壁74は、縁部88の全体に沿って延在する単一の構造リブ86を含む。第2の壁76は、第1の縁部92の全体に沿って延在する(更に、リブ86から延在する)第1の構造リブ90と、第2の縁部96の全体に沿って延在する(更に、リブ90から延在する)第2の構造リブ94とを含んでいる。第3の壁78は、第1の縁部100の全体に沿って延在する(更に、リブ86から延在する)第1の構造リブ98と、第2の縁部104の全体に沿って延在する(更に、リブ98から延在する)第2の構造リブ102と、を含む。第4の壁80は、縁部106の第2の壁76及び第3の壁78に隣接する部分に沿って延在するリブ94及び102を含む。構造リブ86は、コリメータハウジング62の角部において応力が集中してしまうことを解消し、撓みを軽減する。さらに、リブ82は、カバーをコリメータハウジング62に結合するための取付面として利用される。
【0019】
追加の構造リブ108(例えば、第1の壁74と一体化した構造リブ)は、第1の壁74の内面に配置され、コリメータハウジング62の内部空間110に向かって突出している。構造リブ108は、コリメータがガントリ及びX線源に結合されたときにX線源からのX線ビームを受けるために開口部112の周囲に延在する。特に、構造リブ108は、コリメータハウジング62が締結具を介してX線源に結合できるようにする構造114(例えば、第1の壁74と一体化されている構造)の間に延在する。また、構造物114は、内部空間110に向かって突出している。構造リブ108は、管(X線源)の遠心力に起因する撓み及び応力の両方を低減する。構造リブ108は、コリメータハウジング62の剛性にも貢献する。構造リブ108は、積層造形している間、自己支持するように設計される。
【0020】
コリメータハウジング62の撓み及び応力に対する構造リブ86、108の効果は、図11及び図12に示されている。図11及び図12は、それぞれ、コリメータハウジング62がガントリに結合され、ガントリの回転中に様々な負荷力を受けたときの、コリメータハウジング62の応力及び変形のプロットである。リブ86、108によって、図11に示すように、コリメータハウジング62全体に均一な応力分布が付与されており、狭い領域に局所的な応力が見られるだけである。また、リブ86、108によって、図12に示すように、コリメータハウジング62に均一で対称的な撓みが付与される。
【0021】
図7図10に戻ると、第1の壁74の内面に配置されたレセプタクル116(例えば、第1の壁74と一体化されているレセプタクル)は、開口部112の側部に配置されており、ボウタイフィルタアセンブリの移動用ガイドがレセプタクル116を貫通することができるように構成されている。また、レセプタクル116は、内部空間110に向かって突出している。
【0022】
さらに、補強材118(補強材118は、例えば、第4の壁80と一体化している)は、第4の壁80の内面に配置されている。図示されているように、補強材118は、Xの模様を有するように形成されている。補強材118によって形成されるパターンは様々なパターンとすることができる。補強材118は、コリメータハウジング62に剛性を追加又は付与する。さらに、補強材118によって、製造中及び後処理作業の間に、コリメータハウジング62に反りや収縮が発生してしまうことを回避することができる。補強材118は、コリメータハウジング62をガントリ軸受けに結合できるようにする構造体120(構造体120は、例えば、第4の壁80と一体化している)の間に延在している。一部の構造体120は、第2の壁76又は第3の壁78のいずれか壁の内面にも部分的に配置されている。また、構造体120は、内部空間110に向かって突出している。第4の壁80の内面に存在している追加の構造体122(追加の構造体122は、例えば、第4の壁80と一体化している)は、内部空間110に向かって突出しており、ボウタイフィルタアセンブリをコリメータハウジング62に結合する締結具を受け入れるように構成されている。
【0023】
さらに、第2の壁76の内面に存在する側部構造体124(側部構造体124は、例えば、第2の壁76と一体化されている)は、内部空間110に向かって突出している。側面構造体124は、アパーチャ移送プレートを移動させるために、レールガイド(例えば、レールガイドに直接に)及びアクチュエータ(例えば、レールガイドを介してアクチュエータに間接的に)に結合するように構成されている。第3の壁78の内面に配置された側部構造体126(側部構造体126は、例えば、第3の壁78と一体化されている)は、内部空間110に向かって突出している。また、側部構造体126は、アパーチャ移送プレートを移動させるために、レールガイド(例えば、レールガイドに直接的に)及びアクチュエータ(例えば、レールガイドを介してアクチュエータに間接的に)に結合するように構成されている。
【0024】
特定の実施形態では、壁74、76、78、及び100の内面から突出する構造体の一部は、異なる領域に配置されてもよいし、設けなくてもよい。さらに、縁部に沿ったリブ82や、壁74、76、78、80から内部空間110に向かって突出する他の構造があるので、各壁74、76、78、80のそれぞれの厚さ128は、リブや他の構造の長さに従って変化してもよい。また、第4の壁80などの特定の壁については、構造物やリブが配置されていない領域において、図10に示されるように、第4の壁の厚さ128が変化する。さらに、各壁74、76、78、及び80のそれぞれの厚さ128は、(構造物又はリブが配置されていない領域において)約3.5ミリメートル(この値は、典型的なコリメータハウジングの壁の厚さの約5~35パーセントである)とすることができる。
【0025】
さらに、コリメータハウジング62の一部分は、(図5に示すように)中実構造で製造され、コリメータハウジング62の一部分は、(図6に示すように)格子構造で製造される。第1の壁74に関しては、構造体114及びリブ108は中実構造で製造されており、リブ88、レセプタクル116、及び第1の壁の残りの部分は格子構造で製造されている。第2の壁76に関して、側部構造体124の第1の部分130(第1の部分130は、例えば、レールガイドに直接結合されている)及びリブ90、94は、格子構造で製造されている。側部構造体124の第2の部分132(第2の部分132は、例えば、第2の壁76の内面に最も近い)及び第2の壁76の残りの部分は、中実構造で製造されている。第3の壁78に関して、第3の壁78のリブ98、102、側部構造体126、及び角部134は、格子構造で製造されている。第3の壁78の残りの部分は、中実構造で製造されている。第4の壁80に関して、リブ94,102の縁部106に沿う部分は、格子構造に製造されている。第4の壁80の残りの部分(補強材118、構造体120、及び構造体122を含む)は、中実構造で製造されている。
【0026】
壁74、76、78、及び80の一部分における中実構造を利用すると、隙間の無い一体化されたX線遮蔽体が提供され、コリメータハウジング62に追加の減衰材料を取り付ける必要がない。隙間の無いX線遮蔽体によって、X線は、アパーチャ移送プレート64のアパーチャを通過することを除いて、前置コリメータから放出されないようになる。格子構造を利用すると、コリメータハウジング62及びコリメータを軽量化することができる。例えば、コリメータハウジング62の重量は約3.3キログラム(kg)とすることができ、この重量は、典型的なコリメータハウジングの重さの約23.5パーセントである。加えて、コリメータハウジング62及びコリメータのフットプリント(面積)が減少する。コリメータのフットプリント及び重量が減少するので、コリメータを片手で取り扱うことができ、コリメータをガントリに結合する際に容易に回転させる(トルクをかける)ことができる。
【0027】
図13及び図14は、積層造形されたアパーチャ移送プレート64の図である。アパーチャ移送プレート64は、単一部品として一体化されたプレート部分136と取付けブラケット138とを含む。プレート部分136は、異なる幅142を有する複数のアパーチャ140を含む。放射線の放出中に、どの開口部140が利用されるかによって、コリメータから放射されるX線ビームのサイズが決定される。プレート部分136は、その長さに沿って厚さ143が変化している。プレート部分136は、図15に示すように、(X線を減衰させるために)中実構造で製造されている。図13及び図14に戻ると、取付けブラケット138は、プレート部分136の長手方向の端部144、146に設けられている。各取付けブラケット138は、プレート部分136に対して垂直に延在する第1の部分148と、プレート部分136に対して平行且つ他方の取付ブラケット138に向かって延在する第2の部分150とを含む。第1の部分148及び第2の部分150はX線の減衰に重要ではないので、両部分148,150は格子構造で製造されている。図16は、取付けブラケット138の第2の部分150の格子構造を示す。
【0028】
取付けブラケット138の第2の部分150は、アパーチャ移送プレート64をX線ビームの経路の内外に(例えば、機械的又は電気的に)移動させるアクチュエータ及びレールガイドに取り付けられるように構成される。図17は、レールガイド156に結合されるアクチュエータ154に(例えば、締結具を介して)結合される取付けブラケット152(図13及び図14参照)の第2の部分150を示している。レールガイド156は、コリメータハウジング62内の側部構造体124に結合されている。アクチュエータ154は、レールガイド156に沿って移動して、アパーチャ移送プレート64を移動させる。図18は、レールガイド162に結合されているアクチュエータ160に(締結具を介して)結合された取付けブラケット158(図13及び図14参照)の第2の部分150を示す。レールガイド162は、コリメータハウジング62内の側部構造体126に結合されている。アクチュエータはモータによって駆動することができ、モータは、両方のアクチュエータ154、160がそれぞれのレールガイド156、162に沿って移動し、したがって、アパーチャ移送プレート64が移動するように駆動する。
【0029】
図13及び図14に戻ると、積層造形されたアパーチャ移送プレート64は約0.3kgの重量とすることができ、この重量は、典型的なコリメータ内の典型的なアパーチャ移送プレートを形成する複数の構成要素の重量の約23パーセントである。積層移送プレート64を積層造形することによって、典型的なコリメータ内のアパーチャ移送プレートの取付けに典型的に利用されるスペーサブロック及びピンが不要になる。
【0030】
積層造形された構成要素を利用することにより、大幅な質量低減(例えば、典型的なコリメータ(例えば、低コストのコリメータ)と比較して70%の質量低減)、組立時間の短縮(例えば、典型的なコリメータと比較して50%の短縮)、コスト削減(例えば、典型的なコリメータと比較して25%の削減)及び部品点数の効率化(例えば、典型的なコリメータと比較して部品点数を81%削減)を達成することができる。さらに積層造形された構成要素を利用してコリメータの質量を低減することによって、回転するCTのガントリの質量を低減し、これによって、ガントリ駆動によって消費される電力が少なくなり、運用コストをかなり削減することが可能となる(例えば、典型的なコリメータと比べて17%~18%の削減)。
【0031】
積層造形された構成要素の他に、本明細書に開示される前置コリメータは、ボウタイフィルタアセンブリの位置決めを調整するための内蔵型アライメント機構を含む。図19は、コリメータハウジング62内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための内蔵型アライメント機構164の分解図である。ボウタイフィルタアセンブリ166は、ベースプレート又はフィルタ取付けプレート168と、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いて製造されたボウタイフィルタ)と、カバー172(例えば、フロントカバー)とを含む。ベースプレート168は、ボウタイフィルタ170と、内蔵されたアライメント機構164の構成要素とを支持する。ベースプレート168とカバー172は、ボウタイフィルタ170を部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周囲には延在していない。放射線遮蔽層174(例えば、タングステン系ポリマーを使用して製造された遮蔽層)は、ベースプレート168の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面に配置される。放射線遮蔽層176は、カバー172の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面に配置される。ベースプレート168及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成される。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びベースプレート168の対応する開口部を貫通する締結具178(例えば、ねじ)を介してベースプレート168に結合される又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びベースプレート168の対応する開口部を貫通する締結具(図示せず、例えば、ねじ)を介して、ボウタイフィルタ170を囲むようにベースプレート168に結合される又は取り付けられる。
【0032】
内蔵型アライメント機構164は、ボウタイフィルタ170を第1の方向182(例えば、ラテラル方向、即ちX方向)及び第2の方向184(例えば、トランスバース方向、即ちZ方向、この方向はCTテーブルの移動と同じ方向)に移動するように構成された調整機構180を含む。ラテラル方向182の移動は、トランスバース方向184の移動とは独立している。ラテラル方向182の移動は、コリメータハウジング62の第2の壁76と第3の壁78との間で行われる。トランスバース方向184の移動は、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かう方向及び第4の壁80から離れる方向で行われる。ラテラル方向182は、トランスバース方向184と直交している。
【0033】
調整機構180は、ベースプレート168の一部であるフレーム186であって、ベースプレート168から延在するフレーム186を含む。単一のフレーム186によって、ラテラル方向182とトランスバース方向184の両方の動きを、互いに独立に行わせることができる。フレーム186は、第2の壁76及び第3の壁78と平行な方向184に延在している。フレーム186は、スロット188と、一対の開口部190,192とを含む。スロット188は、開口部190,192よりもコリメータハウジング62の第4の壁80に近い位置に配置されている。
【0034】
内蔵型アライメント機構164は、ボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるためのポリマーガイド194、196、198を含む。ポリマーガイド194、196のそれぞれの一部分(例えば、ねじ部)は、ベースプレート168の開口部を貫通し、ベースプレート168の裏側で締結具200(例えば、ナット)を介してベースプレート168に結合される。ポリマーガイド194、196は、第1の壁74のレセプタクル116(図8参照)を貫通する。ポリマーガイド198は、第4の壁80の構造体(例えば、図8の構造体122)に結合される。ポリマーガイド198は、ベースプレート168の開口部202を貫通する。レセプタクル116及び開口部202は、ボウタイフィルタアセンブリ166のラテラル方向182の移動範囲を規定する。ポリマーガイド194、196の端部206(第4の壁80から遠くに離れた方の端部)に結合された締結具204(例えば、取付けねじ)は、トランスバース方向184におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動範囲を制限する。また、これらの締結具204は、動作中にボウタイフィルタ170をスキャン面内に堅固に保持する。特定の実施形態では、締結具204を緩めた後で、ラテラル方向182に調節される。特定の実施形態では、締結具204が取り外された後で、トランスバース方向184に調節される。
【0035】
調整機構180は、コリメータハウジング62内のラテラル方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整する調整ねじ208を含む。調整ねじ208によって、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタに位置するように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することができる。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側のナット210(例えば、止めナット)を貫通して、コリメータハウジング62の(第2の壁76の開口部を通って)内部空間110に延在する。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の一部がスロット188を貫通して、締結具212(例えば、ナット)によってフレーム186に固定される。調整ねじ208を回転すると、ボウタイフィルタアセンブリ166はラテラル方向182に移動する。スロット188の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166のトランスバース方向184の移動を制限するものとして作用する。調整が完了すると、止めナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208は、機械的に作動させることができる。特定の実施形態では、調整ねじ208は、調整ねじ208に結合された電動アクチュエータ213が(図1のコリメータ制御器29の処理回路からの制御信号に応答して)自動的に作動させてもよい。図20に示されているように、第4の壁80に向かう円周方向218に調整ねじ208を回転させると、図21に示されているように、ボウタイフィルタアセンブリ166は第2の壁76に向かってラテラル方向182(+X方向)に移動する。図20に示されているように、第4の壁80から離れる円周方向220に調整ねじ208を回転させると、図22に示されているように、第3の壁78に向かってラテラル方向182(-X方向)にボウタイフィルタアセンブリ166が移動する。
【0036】
図19に戻ると、調整機構180は、コリメータハウジング62内のトランスバース方向184におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整するロックピンばね機構216に結合されたロックピン214も含む。ロックピンばね機構216は、コリメータハウジング62の外側に配置されている。ロックピン214は、コリメータハウジング62の外部からコリメータハウジング62の内部空間110内に(第2の壁76の開口部を通って)延在している。ロックピン214の一部は、フレーム186の開口部190,192のうちの1つの開口部を貫通する。ロックピン214が開口部190内に配置されると、ボウタイフィルタアセンブリ166は、図23及び24に示されているように、ボウタイフィルタ170が(第1の壁74の開口部112を通過する)スキャン面217内に位置するように配置される。ロックピン214が開口部192に配置されると、ボウタイフィルタアセンブリ166は、図25及び26に示されているように、第4の壁80の近くであって、スキャン面217の外側に配置される。ロックピン機構216がコリメータハウジング62から離れるように移動すると、ロックピン214が190、192のいずれかの開口部に配置されていたとしても、その開口部からロックピン214が引き出され、ボウタイフィルタアセンブリ166が、ポリマーガイド194、196、198に沿ってトランスバース方向184に移動することができる。ロックピン機構216が解除されると、ロックピン214が所望の開口部190、192と並んだときにロックピン214がその開口部を貫通することができる。ロックピン機構216は、機械的に作動させてもよいし、電動アクチュエータによって自動的に作動させてもよい。
【0037】
図27は、組み立てられた前置コリメータ13の斜視図である。コリメータ13は、上記の、積層造形されたコリメータハウジング62と、積層造形されたアパーチャ移送プレート64と、積層造形されたモータ取付けプレート66とを含む。さらに、コリメータ13は、内蔵型アライメント機構164と、調整機構180と、モータ取付けプレート66に結合されたモータ222であって、(アクチュエータ及びレールガイドによって)アパーチャ移送プレート64を移動させるように構成されたモータ222とを含んでいる。
【0038】
図28は、コリメータハウジング62内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための別の内蔵型アライメント機構224の分解図である。内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166に結合されたベースプレート226を含む。ボウタイフィルタアセンブリ166は、フィルタ取付けプレート228と、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレンを用いて製造されたボウタイフィルタ)と、カバー172(例えば、フロントカバー)とを含む。ベースプレート168は、ボウタイフィルタアセンブリ166と、内蔵型アライメント機構224の構成要素とを支持する。フィルタ取付けプレート228とカバー172は、ボウタイフィルタ170を部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周囲には延在していない。放射線遮蔽層174(例えば、タングステン系ポリマーを用いて製造された遮蔽層)は、フィルタ取付けプレート228の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面に配置される。放射線遮蔽層176は、カバー172の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面に配置される。フィルタ取付けプレート228及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成されている。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びフィルタ取付けプレート228の対応する開口部を貫通する締結具178(例えば、ねじ)によってフィルタ取付けプレート228に結合される又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びフィルタ取付けプレート228の対応する開口部を貫通する締結具(図示せず、例えば、ねじ)によってボウタイフィルタ170を囲むようにフィルタ取付けプレート228に結合される又は取り付けられる。
【0039】
内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166を第1の方向182(例えば、ラテラル方向)及び第2の方向184(例えば、トランスバース方向)に移動させるように構成された調整機構180を含む。ラテラル方向182の移動は、トランスバース方向184の移動とは独立である。ラテラル方向182の移動は、コリメータハウジング62の第2の壁76と第3の壁78との間で生じる。トランスバース方向184の移動は、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かって及び第4の壁80から離れるように生じる。ラテラル方向182は、トランスバース方向184と直交している。
【0040】
内蔵型アライメント機構224は、ボウタイフィルタアセンブリ166及びベースプレート226を移動させるための表面接触レールガイド230、232を含む。表面接触レールガイド230、232は、コリメータハウジング62の第4の壁80に取り付けられる取付けプレート234、236にそれぞれ結合される。ベースプレート226は、表面接触レールガイド230、232に配置される。調整機構180はアクチュエータねじアセンブリ238を含んでおり、アクチュエータねじアセンブリ238は、アクチュエータねじ240と、アクチュエータねじ240に結合されるノブ242と、ねじ部を含む受け部244とを含む。受け部244は、ベースプレート226の、レセプタクル244のねじ部用の開口部を含むレセプタクル部分246に取り付けられる。アクチュエータねじ240は、ボウタイフィルタアセンブリ166を表面接触レールガイド230、232に沿ってトランスバース方向184に動かす(例えば、スキャン面内及びスキャン面外に)ために、レセプタクルのねじ部に入る、及びねじ部から出るように構成されている。アクチュエータねじ240は、機械的に作動させてもよいし、電動アクチュエータによって自動的に作動させてもよい。図29に矢印248で示すように(ノブ242を介して)アクチュエータねじ240を作動させると、ボウタイフィルタアセンブリ166及びベースプレート226がトランスバース方向184に移動する。表面接触レールガイド230、232の端部206(第4の壁80から遠くに離れた方の端部)に結合された締結具204(例えば、取付けねじ)は、ボウタイフィルタアセンブリ166のトランスバース方向184への移動範囲を制限する。また、これらの締結具204は、動作中にボウタイフィルタ170をスキャン面内に堅固に保持する。
【0041】
調整機構180は、フィルタ取付け板228の一部であるフレーム250であって、フィルタ取付けプレート228から延在するフレーム250を含む。フレーム250によって、ボウタイフィルタアセンブリ166は、トランスバース方向184の動きとは独立したラテラル方向182に移動することができる。フレーム250は、第2の壁76及び第3壁78と平行の方向184に延在している。フレーム250は、スロット252を含む。
【0042】
調整機構180は、コリメータハウジング62内のラテラル方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を(ベースプレート226を移動せずに)調整する調整ねじ208を含む。調整ねじ208によって、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタに位置するように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することができる。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側にあるナット210(例えば、止めナット)を貫通し、コリメータハウジング62の内部空間110に(第2の壁76の開口部を通って)延在する。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の一部がスロット252を貫通し、締結具212(例えば、ナット)を介してフレーム250に固定される。調整ねじ208を回転させると、ボウタイフィルタアセンブリ166がラテラル方向182に移動する。スロット252の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166のトランスバース方向184の移動を制限するものとして機能する。調整が完了すると、止めナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208は、機械的に作動させてることができる。特定の実施形態では、調整ねじ208は、調整ねじ208に結合された電動アクチュエータ213が(図1のコリメータ制御器29の処理回路からの制御信号に応答して)自動的に作動させてもよい。図30に示されているように、第4の壁80に向かう円周方向(矢印254で示されている)に調整ねじ208を回転させると、ボウタイフィルタアセンブリ166は第2の壁76に向かってラテラル方向182に移動し、第4の壁80から離れる円周方向に調整ねじ208を回転させると、ボウタイフィルタアセンブリ166は第3の壁78に向かってラテラル方向182に移動する。
【0043】
図31は、組み立てられた前置コリメータ13の斜視図である。コリメータ13は、上記の積層造形されたコリメータハウジング62と、積層造形されたアパーチャ移送プレート64と、積層造形されたモータ取付けプレート66とを含んでいるが、いくつかの変更点がある。例えば、アパーチャ移送プレート64は、取付けブラケットを備えていない。アパーチャ移送プレート64のプレート部分136は、コリメータハウジング62の一体型側面構造256、258に(例えば、ガイドレール及びアクチュエータを介して間接的に)結合される。側面構造256、258は、図7図10のコリメータハウジング62における同様の側面構造と比較して、第1の壁74からさらに離れて配置されている。さらに、コリメータ13は、内蔵型アライメント機構224と、調整機構180と、モータ取付けプレート66に結合されたモータ222であって、(アクチュエータ及びレールガイドを介して)アパーチャ移送プレート64を移動するように構成されたモータ222とを含む。
【0044】
図32は、コリメータハウジング内でボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるための別の内蔵型アライメント機構260の分解図である。ボウタイフィルタアセンブリ166は、ベースプレート又はフィルタ取付けプレート262と、ボウタイフィルタ170(例えば、ポリテトラフルオロエチレンを使用して製造されたボウタイフィルタ)と、カバー172(例えば、フロントカバー)とを含む。フィルタ取付けプレート262及びカバー172は、ボウタイフィルタ170を部分的に囲む。カバー172は、ボウタイフィルタ170の上部及び底部の周囲には延在していない。特定の実施形態では、放射線遮蔽層(例えば、タングステン系ポリマーを使用して製造された遮蔽層)は、フィルタ取付けプレート262の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面に配置される。特定の実施形態では、放射線遮蔽層は、カバー172の、ボウタイフィルタ170と直接的に接合部分を形成する側の表面上に配置される。フィルタ取付けプレート262及びカバー172は、異なるタイプのボウタイフィルタ170を収容するように構成される。ボウタイフィルタ170は、ボウタイフィルタ170及びフィルタ取付けプレート228の対応する開口部を貫通する締結具178(例えば、ねじ)を介してフィルタ取付けプレート262に結合される又は取り付けられる。カバー172は、カバー172及びフィルタ取付けプレート262の対応する開口部を貫通する締結具(図示せず、例えば、ねじ)を介して、ボウタイフィルタ170を囲むようにフィルタ取付けプレート262に結合される又は取り付けられる。
【0045】
内蔵型アライメント機構260は、ボウタイフィルタアセンブリ166を第1の方向182(例えば、ラテラル方向)及び第2の方向184(例えば、トランスバース方向)に移動させるように構成された調整機構180を含む。ラテラル方向182の移動は、トランスバース方向184の移動とは独立である。ラテラル方向182の移動は、図7図10におけるコリメータハウジング62の第2の壁76と第3の壁78との間で発生する。トランスバース方向184の移動は、図7図10において、コリメータハウジング62の第4の壁80に向かう方向及び第4の壁80から離れる方向に発生する。ラテラル方向182は、トランスバース方向184と直交している。
【0046】
内蔵型アライメント機構260は、ボウタイフィルタアセンブリ166を移動させるためのガイド264、266を含む。ガイド264、266は、フィルタ取付けプレート262の一部である延長部268、270に結合され、トランスバース方向184に(例えば、図7図10の第4の壁80から離れるように)延在する。ガイド264、266は、ボウタイフィルタアセンブリ166を支持する。ガイド264、266は、図7図10においてコリメータハウジング62の第1の壁74上のレセプタクル116を貫通する。
【0047】
調整機構180は3つのガイドピン272を含んでおり、ガイドピン272は、フィルタ取付けプレート262のそれぞれのレセプタクル274を貫通して、支持パッド278内に配置されたそれぞれのクオーターターンブッシュ276(例えば、耐磨耗材料を使用して製造されたブッシュ)に延在する。支持パッド278は、締結具280を介して、図7図10のコリメータハウジング62の第4の壁80に結合される。レセプタクル274によって、ボウタイフィルタアセンブリ166は、ラテラル方向182及びトランスバース方向184の両方に移動することができる。図33に示されているように、ガイドピン272は、ロック位置284とロック解除位置286との間で矢印282によって示されるように、それぞれの方向に1/4回転するように構成されている。各ガイドピン272は、それぞれのガイドピン272に沿う方向において異なる軸方向位置に、突起288の第1のセットと突起290の第2のセットとを含む。突起288の第1のセット及び突起290の第2のセットは、ボウタイフィルタアセンブリ166がトランスバース方向184に移動するときの異なる2つの軸方向位置(1つの軸方向位置は、ボウタイフィルタ170がスキャン面内に存在する位置であり、もう1つの軸方向位置は、ボウタイフィルタ172がスキャン面の外部に存在する位置である)を形成している。ロック解除位置では、突起288の第1のセット及び/又は突起290の第2のセットはレセプタクル274を貫通し、ボウタイフィルタアセンブリ166がトランスバース方向184に移動できるようにする。ロック位置では、突起288の第1のセット又は突起290の第2のセットは、レセプタクル274を画定する壁と接合して、ボウタイフィルタアセンブリ166がトランスバース方向184に移動することを阻止する。
【0048】
調整機構180は、フィルタ取付け板262の一部であるフレーム292であって、フィルタ取付けプレート262から延在するフレーム292を含む。フレーム292によって、ボウタイフィルタアセンブリ166は、トランスバース方向184の移動とは独立してラテラル方向182に移動することができる。フレーム292は、図7図10におけるコリメータハウジング162の第2の壁76及び第3の壁78と平行の方向184に延在している。フレーム292は、スロット294を含む。
【0049】
調整機構180は、図7図10のコリメータハウジング62内のラテラル方向182におけるボウタイフィルタアセンブリ166の移動を調整する調整ねじ208を含む。調整ねじ208によって、ボウタイフィルタ170がX線ビームのアイソセンタに位置するように、ボウタイフィルタアセンブリ166を調整することができる。調整ねじ208の一部は、コリメータハウジング62の外側のナット210(例えば、止めナット)を貫通して、コリメータハウジング62の(第2の壁76の開口部を通って)内部空間110に延在する。コリメータハウジング62内では、調整ねじ208の一部がスロット294を貫通して、締結具212(例えば、ナット)によってフレーム292に固定される。調整ねじ208が回転すると、ボウタイフィルタアセンブリ166はラテラル方向182に移動する。スロット294の各端部は、ボウタイフィルタアセンブリ166のトランスバース方向184の移動を制限するものとして作用する。調整が完了すると、止めナット210を利用してボウタイフィルタアセンブリ166の位置を固定することができる。調整ねじ208は、機械的に作動させることができる。特定の実施形態では、調整ねじ208は、調整ねじ208に結合された電動アクチュエータが(図1のコリメータ制御器29の処理回路からの制御信号に応答して)自動的に作動させてもよい。第4の壁80に向かう円周方向に調整ねじ208を回転させると、図7図10のボウタイフィルタアセンブリ166はコリメータハウジング62の第2の壁76に向かってラテラル方向182に移動し、一方、第4の壁80から離れる円周方向に調整ねじ208を回転させると、ボウタイフィルタアセンブリ166は第3の壁78に向かってラテラル方向182に移動する。
【0050】
図34は、組み立てられた前置コリメータ13の斜視図である。コリメータ13は、上記の積層造形されたコリメータハウジング62と、積層造形されたアパーチャ移送プレート64と、積層造形されたモータ取付けプレート66とを含んでいる。さらに、コリメータ13は、内蔵型アライメント機構260と、調整機構180と、モータ取付けプレート66に結合されたモータ222であって、(アクチュエータ及びレールガイドによって)アパーチャ移送プレート64を移動させるように構成されたモータ222とを含んでいる。
【0051】
図35は、X線ビーム中心にボウタイフィルタを位置合わせするための方法296のフローチャートである。方法296は、図1のCTシステム10の1つ以上の構成要素(例えば、コンピュータ36、コリメータ制御器29など)を利用して実行することができる。方法296は、前置コリメータ内の(例えば、ボウタイフィルタアセンブリの一部としての)ボウタイフィルタをビューの外側に移動させた後又はスキャン面の外側に移動させた後でエアスキャンを実行してエアスキャンデータを得ることを含む(ブロック298)。ボウタイフィルタは、ボウタイフィルタアセンブリをトランスバース方向に移動させるための上述した複数の調整機構のうちの1つの調整機構を利用して、スキャン面の外に移動することができる。ボウタイフィルタは、ブロック298の間、コリメータから取り外されることはない。また、方法296は、ボウタイフィルタがトランスバース方向に移動してスキャン面内に入り込んだ後に(例えば、センターボディフィルタスキャン(center body filter scan)によって)アライメントスキャンデータを取得することを含む(ブロック300)。方法296は、エアスキャンデータ及びアライメントスキャンデータに基づいて、ビームライン経路の中心からのオフセット値又はオフセット距離を(例えば、処理回路によって)計算又は決定することをさらに含む(ブロック302)。方法296は、さらに、オフセット値をボウタイフィルタの中心位置の許容範囲又は所望の範囲(例えば、ボウタイフィルタの中心がアイソセンタ・アライメントと一致する)と比較することを含む(ブロック304)。オフセット値が許容範囲外である場合、方法296は、(例えば、許容範囲内における)所望の中心位置を達成するためにボウタイフィルタをラテラル方向に移動させる値又は距離を(例えば、処理回路によって)計算することを含む(ブロック306)。方法296は、さらに、ボウタイフィルタを、上述した複数の調整機構のうちの1つの調整機構(例えば、調整ねじ208)を利用してラテラル方向に計算された値又は距離(例えば、ミリメートル単位で)だけ移動させることを含む(ブロック308)。ボウタイフィルタのラテラル方向の調整は、ボウタイフィルタをラテラル方向に移動させるための調整機構(例えば、調整ねじ208)に結合されたアクチュエータに(例えば、コリメータ制御器29から)供給される制御信号に基づいて自動的に行うことができる。次いで、方法296は、ブロック298~304を繰り返す。オフセット値が許容範囲内である場合、方法296は終了する(ブロック310)。
【0052】
開示された実施形態の技術的効果は、システムアライメント中にコリメータを正確かつ容易に調整するために、前置コリメータ内に配置された内蔵型アライメント機構を提供することを含む。特に、内蔵型アライメント機構は、ボウタイフィルタを、ラテラル方向及びトランスバース方向の両方向に互いに独立に調整する(例えば、高画質が得られるようにX線ビーム経路に対して中央に配置する)ことができる。また、内蔵型アライメント機構の構成により、システムアライメント中にコリメータからサブ構成要素(例えば、ボウタイフィルタ)を取り外したり分解したりすることなく、コリメータハウジングの外側から(例えば、アクチュエータ機構を介して)ボウタイフィルタを調整することができる。さらに、内蔵型アライメント機構は、異なるタイプのボウタイフィルタで利用できるように構成されており、異なるイメージングプラットフォームで利用できるように拡張可能である。
【0053】
本明細書で提示され請求項に記載された技術は、現在の技術分野を実証的に改善する実用的な性質の具体例及び有形物に参照及び適用されており、そのため、抽象的なものではなく、無形物ではなく、純粋に理論的なものでもない。さらに、請求項が、「[機能]を[実行]するための手段...」又は「[機能]を[実行]するためのステップ...」として指定された一つ以上の要素を含む場合、かかる要素は、35 U.S.C.112(f)に基づいて解釈されることが意図されている。しかし、他の方法で指定された要素を含む請求項については、そのような要素は35 U.S.C.112(f)に基づいて解釈されるべきではないことが意図されている。
【0054】
本明細書の説明は実施例を使用して、ベストモードを含む本明細書に記載された本対象を開示し、また、本開示を当業者が実施できるようにする(任意の装置又はシステムを製造及び使用すること並びに組み込まれた任意の方法を実行することなど)ものである。本対象の特許性のある範囲は、特許請求の範囲で規定されており、当業者が思い浮かぶ他の例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の字義通りの文言と異ならない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の字義通りの文言と実質的な差異がない等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されるものである。
【符号の説明】
【0055】
10 CTシステム
13 前置コリメータ
14 X線源
62 コリメータハウジング
74 レセプタクル
76 壁
78 壁
80 壁
166 ボウタイフィルタアセンブリ
170 ボウタイフィルタ
182 ラテラル方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
【手続補正書】
【提出日】2023-07-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム(10)用の前置コリメータ(13)であって、
複数の壁(74、76、78、80)を含むコリメータハウジング(62)であって、前記複数の壁(74、76、78、80)は、前記前置コリメータ(13)が前記CTイメージングシステム(10)に結合された場合、X線源(14)に面するように構成された第1の壁(74)と、前記第1の壁(74)の両側に位置する第2の壁(76)及び第3の壁(78)とを含む、コリメータハウジング(62)、
前記コリメータハウジング(62)内に配置され、ボウタイフィルタ(170)を含むボウタイフィルタアセンブリ(166)、及び
前記コリメータハウジング(62)内の前記第2の壁(76)と前記第3の壁(78)との間で前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)をラテラル方向(182)に移動させるように構成された調整機構(180)
を含む、前置コリメータ。
【請求項2】
複数の壁(74、76、78、80)は、前記第1の壁(74)に隣接する前記第2の壁(76)と前記第3の壁(78)との間に延在する第4の壁(80)を含み、前記調整機構(180)は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)を前記第4の壁(80)に向かうとともに前記第4の壁から離れるトランスバース方向(184)に動かすように構成される、請求項1に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項3】
前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)のラテラル方向(182)への移動は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)のトランスバース方向(184)への移動とは独立している、請求項2に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項4】
前記調整機構(180)は、
前記コリメータハウジング(62)内に配置されたフレーム(186)であって、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)に結合されたフレームと、
前記フレーム(186)に結合された調整ねじであって、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)の前記ラテラル方向(182)への動きを調整する調整ねじ(208)と、
前記フレーム(186)に結合されたロックピンであって、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)の前記トランスバース方向(184)への動きを調整するロックピン(214)と
を含む、請求項3に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項5】
前記フレーム(186)は、
前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)が前記トランスバース方向(184)に移動してスキャン面(217)から離れたときに前記ロックピン(214)を受け入れるための第1の開口部(192)と、
前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)が前記トランスバース方向(184)に移動して前記スキャン面(217)に入り込んだときに前記ロックピン(214)を受け入れるための第2の開口部(190)と
を含む、請求項4に記載の患者前リメータ(13)。
【請求項6】
前記フレーム(186)は、前記調整ねじ(208)が貫通するスロット(188)を含み、前記スロット(188)は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)が前記ラテラル方向(182)に移動する場合、前記調整ねじ(208)がスロット(188)を貫通するように保持する、請求項5に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項7】
前記調整機構(180)は、前記コリメータハウジング(62)内で前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)が前記ラテラル方向(182)及び前記トランスバース方向(184)に移動するように、前記コリメータハウジング(62)の外側から操作される、請求項2に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項8】
前記調整機構(180)に結合された電動アクチュエータを含み、前記電動アクチュエータ(213)は、プロセッサからの制御信号に応答して、調整機構(180)を作動させて、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)を前記ラテラル方向(182)に移動させて前記ボウタイフィルタ(170)を前記X線源(14)から放射されるX線ビームに対して中心に配置するように構成される請求項1に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項9】
前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)の前記ボウタイフィルタ(170)を部分的に囲むカバー(172)及びフィルタ取付けプレート(168、228、262)を含む、請求項1に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項10】
前記フィルタ取付けプレート(168、228、262)と前記ボウタイフィルタに面するカバー(172)との両方のそれぞれの面に、放射線遮蔽材料が配置されている、請求項9に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項11】
前記フィルタ取付けプレート(168、228、262)及びカバー(172)は、異なるタイプのボウタイフィルタを部分的に囲むように構成される、請求項9に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項12】
コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム(10)用の前置コリメータ(13)であって、
コリメータハウジング(62)、
前記コリメータハウジング(62)内に配置され、ボウタイフィルタ(170)を含むボウタイフィルタアセンブリ(166)、及び
前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)を前記コリメータハウジング(62)内で第1の方向(182)及び第2の方向(184)に移動させるように構成された調整機構(180)であって、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)の前記第1の方向(182)の移動は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)の前記第2の方向(184)の移動とは独立しており、前記第1の方向(182)及び前記第2の方向(184)は互いに直交している、調整機構(180)
を含む、前置コリメータ。
【請求項13】
前記コリメータハウジング(62)は、前記前置コリメータ(13)が前記CTイメージングシステム(10)に結合された場合、X線源(14)に面するように構成された第1の壁(74)を含み、前記第1の方向(182)及び前記第2の方向(184)は、前記第1の壁(74)内で平行な面に沿って互いに直交する、請求項12に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項14】
前記コリメータハウジング(62)は複数の壁(74、76、78、80)を含み、前記複数の壁(74、76、78、80)は、前記前置コリメータ(13)が前記CTイメージングシステム(10)に結合された場合にX線源に面するように構成された第1の壁(74)と、前記第1の壁(74)の両側に位置する第2の壁(76)及び第3の壁(78)とを含み、前記調整機構(180)は、前記第2の壁(76)と前記第3の壁(78)との間で前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)を前記第1の方向(182)に移動するように構成されている、請求項12に記載の前置コリメータ(13)。
【請求項15】
前記複数の壁(74、76、78、80)は、前記第1の壁(74)に隣接する前記第2の壁(76)と前記第3の壁(78)との間に延在する第4の壁(80)を含み、前記調整機構(180)は、前記ボウタイフィルタアセンブリ(166)を、第4の壁(80)に向かうとともに前記第4の壁から離れる第2の方向(184)に移動させる、請求項14に記載の前置コリメータ(13)。



【外国語明細書】