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特開2023-113602積層体、証明証、および、積層体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113602
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】積層体、証明証、および、積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/05 20190101AFI20230808BHJP
   B42D 25/324 20140101ALI20230808BHJP
   B42D 25/41 20140101ALI20230808BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20230808BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20230808BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230808BHJP
   B23K 26/53 20140101ALI20230808BHJP
【FI】
B32B7/05
B42D25/324
B42D25/41
B32B27/36 102
B32B3/30
G02B5/18
B23K26/53
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069363
(22)【出願日】2023-04-20
(62)【分割の表示】P 2019564720の分割
【原出願日】2019-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2018001297
(32)【優先日】2018-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】南川 直樹
(57)【要約】
【課題】積層体が備えるセキュリティ箔の再利用を抑止することを可能とした積層体、証明証、および、積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】積層体10は、記録層11と、透光性の表面側被覆層12と、記録層11と表面側被覆層12とでラミネートされ積層体10内に封入されたセキュリティ箔20を備える。セキュリティ箔20の厚さが、記録層11の厚さの1/5以下である。セキュリティ箔20は、レリーフ面21Rを有するレリーフ層21と、レリーフ面21Rを覆う保護層22とを備え、かつ、厚さ方向において、保護層22は記録層11に接着しており、レリーフ層21は表面側被覆層12に接着している。セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録層と、
透光性の表面側被覆層と、
前記記録層と前記表面側被覆層とでラミネートされ、積層体内に封入された厚さが前記記録層の厚さの1/5以下であるセキュリティ箔と、を備え、
前記セキュリティ箔は、レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、かつ、前記厚さ方向において、前記保護層は前記記録層に接着しており、前記レリーフ層は前記表面側被覆層に接着しており、
前記保護層は、レーザー光線の照射によってアモルファス化し、これによって前記保護層のうちで前記レーザー光線が照射された部分における前記記録層に対する接着強度が、前記保護層のうちで前記レーザー光線が照射されていない部分における前記記録層に対する接着強度よりも低くなるように構成された結晶性の樹脂を含み、
前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高い
積層体。
【請求項2】
前記記録層は、前記積層体の厚さ方向から見て、前記セキュリティ箔が覆う領域に被照射領域を有し、
前記保護層は、前記被照射領域に接し、かつ、アモルファス化した低接着領域と、前記低接着領域以外の領域であって、前記結晶性の樹脂を含む高接着領域であって、前記低接着領域よりも前記記録層に対する接着強度が高い前記高接着領域と、を含み、
前記記録層と前記低接着領域との間の接着強度が、前記表面側被覆層と前記セキュリティ箔との間の接着強度よりも低い
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記記録層は、ポリカーボネートを含む
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記記録層および前記表面側被覆層は、ポリカーボネートを含み、
前記保護層は、前記ポリカーボネートの融点よりも低い融点を有する第1の樹脂を含み、
前記レリーフ層は、前記ポリカーボネートの融点よりも高い融点を有する第2の樹脂を含む
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
前記レリーフ層は、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、および、メラミンから構成される第1の物質群のうち少なくとも1つを含み、
前記記録層および前記表面側被覆層の各々は、ポリカーボネート、非晶質コポリエステル、および、ポリ塩化ビニルから構成される第3の物質群のうち少なくとも1つを含む
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項6】
前記レリーフ面は、前記レリーフ面に入射した入射光を回折する特性、前記入射光の反射を抑制する特性、前記入射光を等方的に反射する特性、前記入射光を異方的に反射する特性、前記入射光を集光する特性、および、前記入射光に含まれる特定の偏光を反射する特性の少なくとも1つを有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
前記表面側被覆層は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過し、
前記セキュリティ箔は、赤外線における前記一部の帯域または全帯域の波長を透過する
請求項1から6のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の積層体と、
前記積層体を補強する支持層と、を備える
証明証。
【請求項9】
記録層と表面側被覆層とを準備することと、
レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、前記記録層の1/5以下の厚さのセキュリティ箔を、前記記録層の外縁および前記表面側被覆層の外縁よりも内側に位置するように、前記記録層と前記表面側被覆層とによって封入することと、
前記記録層と前記表面側被覆層との間に前記セキュリティ箔を配置した状態で、前記記録層、前記表面側被覆層、および、前記セキュリティ箔に熱と圧力とを加えることによって、前記記録層と前記表面側被覆層とによって前記セキュリティ箔が封入された積層体を形成することと、を含み、
前記保護層は、レーザー光線の照射によってアモルファス化し、これによって前記保護層のうちで前記レーザー光線が照射された部分における前記記録層に対する接着強度が、前記保護層のうちで前記レーザー光線が照射されていない部分における前記記録層に対する接着強度よりも低くなるように構成された結晶性の樹脂を含み、
前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高い
積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、積層体、積層体を備える証明証、および、積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IDカード、パスポート、および、運転免許証などの認証用の情報が記録された証明証について、レリーフ構造を含むセキュリティ箔が2つの層に挟まれ、かつ、各層の外縁よりも内側に位置する構造が知られている。こうした証明証によれば、セキュリティ箔が証明証の外表面に位置する構造と比べて、セキュリティ箔に化学的な損傷および物理的な損傷の少なくとも一方が生じにくく、また、セキュリティ箔が証明証を構成する他の部材から分離されにくい(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6107137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、互いに同じ種類の証明証間では、互いに同じ画像を表示するセキュリティ箔が用いられることが多い。こうした証明証において、真正の証明証からセキュリティ箔が取り出されると、取り出されたセキュリティ箔は、改竄された認証用の情報を含む偽の証明証を製造するために再利用されてしまう。偽の証明証の認証が再利用されたセキュリティ箔に基づいて判断される場合、セキュリティ箔自体は真正の証明証に由来するものであるため、偽の証明証の判別が困難である。そのため、セキュリティ箔の再利用が難しい証明証が求められている。
【0005】
なお、こうした事項は、認証用の情報を含む証明証に限らず、セキュリティ箔を含む一方で、認証用の情報以外の他の情報を含む積層体にも共通している。
本開示は、積層体が備えるセキュリティ箔の再利用を抑止することを可能とした積層体、証明証、および、積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための積層体は、記録層と、透光性の表面側被覆層と、前記記録層と前記表面側被覆層とでラミネートされ、積層体内に封入された厚さが前記記録層の厚さの1/5以下であるセキュリティ箔と、を備える。前記セキュリティ箔は、レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、かつ、前記厚さ方向において前記保護層は前記記録層に接着しており、前記レリーフ層は前記表面側被覆層に接着している。前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高い。
【0007】
上記課題を解決するための証明証は、上記積層体と、前記積層体を支持する支持層と、を備える。
上記課題を解決するための積層体の製造方法は、記録層と表面側被覆層とを準備することと、レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、前記記録層の厚さの1/5以下の厚さのセキュリティ箔を、前記記録層の外縁および前記表面側被覆層の外縁よりも内側に位置するように、前記記録層と前記表面側被覆層とによって封入することと、前記記録層と前記表面側皮膚句層との間に前記セキュリティ箔を配置した状態で、前記記録層、前記表面側被覆層、および、前記セキュリティ箔に熱と圧力とを加えることによって、前記記録層と前記表面側被覆層とによって前記セキュリティ箔が封入された積層体を形成することと、を含む。前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高い。
【0008】
上記構成によれば、積層体からセキュリティ箔が取り出されるときには、まず、記録層と表面側被覆層とが分離される。このとき、セキュリティ箔と記録層との間の接着強度が、セキュリティ箔と表面側被覆層との間の接着強度よりも高いため、セキュリティ箔は記録層に残る。セキュリティ箔を再利用するためには、セキュリティ箔を記録層から分離する必要がある。厚さが記録層の1/5以下のセキュリティ箔では、セキュリティ箔の厚さが記録層の厚さの1/5よりも厚い構造、例えば、セキュリティ箔の厚さが記録層の厚さと同程度である構造と比べて、セキュリティ箔の剥離時にセキュリティ箔が破壊されやすい。そのため、セキュリティ箔を破壊することなく記録層からセキュリティ箔を剥がすことが難しい。それゆえに、積層体が備えるセキュリティ箔を再利用して偽の積層体を製造することが難しい。
【0009】
上記積層体において、前記記録層は、前記積層体の厚さ方向から見て、前記セキュリティ箔が覆う領域に被照射領域を有してもよい。上記構成によれば、被照射領域をセキュリティ箔が有する光学的な効果とともに視認できる。
【0010】
上記積層体において、前記記録層は、ポリカーボネートを含み、前記保護層は、カーボネート結合、ウレタン結合、または、エステル結合を有する樹脂を含んでもよい。上記構成によれば、記録層と保護層との間の接着強度を高くすることが容易である。
【0011】
上記積層体において、前記記録層および前記表面側被覆層は、ポリカーボネートを含み、前記保護層は、前記ポリカーボネートの融点よりも低い融点を有する第1の樹脂を含み、前記レリーフ層は、前記ポリカーボネートの融点よりも高い融点を有する第2の樹脂を含んでもよい。上記構成によれば、保護層と記録層との間の接着強度を高め、かつ、レリーフ層と表面側被覆層との間の接着強度を低めることができる。
【0012】
上記積層体において、前記レリーフ層は、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、および、メラミンから構成される第1の物質群のうち少なくとも1つを含み、前記保護層は、ポリウレタン、ポリアクリル酸メチル、ポリエステル、酸変性ポリオレフィン、および、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂から構成される第2の物質群のうち少なくとも1つを含み、前記記録層および前記表面側被覆層の各々は、ポリカーボネート、非晶質コポリエステル、および、ポリ塩化ビニルから構成される第3の物質群のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0013】
上記構成によれば、第3の物質群の各材料に対する第1の物質群の各材料の接着強度は、相対的に高い一方で、第3の物質群の各材料に対する第2の物質群の各材料の接着強度は、相対的に低い。そのため、レリーフ層が第1の物質群のうち少なくとも1つの物質を含み、保護層が第2の物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことによって、セキュリティ箔と記録層との間の接着強度が、セキュリティ箔と表面側被覆層との間の接着強度よりも高い構成の実現が容易である。
【0014】
上記積層体において、前記レリーフ面は、前記レリーフ面に入射した入射光を回折する特性、前記入射光の反射を抑制する特性、前記入射光を等方的に反射する特性、前記入射光を異方的に反射する特性、前記入射光を集光する特性、および、前記入射光に含まれる特定の偏光を反射する特性の少なくとも1つを有してもよい。
【0015】
上記構成によれば、レリーフ構造が入射光に関する特定の光学的な特性を有するため、セキュリティ箔の偽造が難しい。これにより、セキュリティ箔を備える積層体の偽造も難しくなり、結果として、積層体の偽造を抑えることができる。
【0016】
上記積層体において、前記表面側被覆層は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過し、前記セキュリティ箔は、赤外線における前記一部の帯域または全帯域の波長を透過してもよい。上記構成によれば、表面側被覆層とセキュリティ箔とを介して、記録層に被照射領域を形成することができる。すなわち、記録層の厚さ方向から見て、セキュリティ箔が覆う領域に被照射領域を形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、積層体が備えるセキュリティ箔の再利用が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態における積層体の構造を説明する平面図。
図2図1のI-I線に沿う積層体の構造を説明する断面図。
図3】他の積層体の構造を説明する断面図。
図4図1の積層体が分離された状態を説明する作用図。
図5】一実施形態における証明証の構造を説明する平面図。
図6図5のII-II線に沿う証明証の構造を説明する断面図。
図7図1の積層体の製造方法が含む一工程を説明する工程図。
図8図1の積層体の製造方法が含む一工程を説明する工程図。
図9図1の積層体の製造方法が含む一工程を説明する工程図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から図9を参照して、積層体、証明証、および、積層体の製造方法を説明する。以下では、積層体の構造、積層体の作用、証明証の構造、証明証における各層の材料、積層体の製造方法、および、実験結果を順に説明する。
【0020】
なお、本実施の形態は、発明の趣旨を説明するものであり、以下の実施形態の解釈を限定すべきものではない。本発明の代表的なものであることを理解されたい。以下に説明する代表的な実施形態は、当業者であれば、その設計を適宜変更することが可能である。
【0021】
また、図面は説明的なものであり、それらに示される寸法は、例えば、各層の厚さや、その比率など、実際と異なることがあり、図面中の寸法比は、それらに示される比に限定されるものと解釈すべきではない。また、便宜上の理由がない限り、各実施形態における同様な構成については同一の符号を付して説明し、重複する説明は省略する。本開示の実施形態は、背景からの独自の単一の発明を元とする一群の実施形態である。また、本開示の各側面は、単一の発明を元とした一群の実施形態の側面である。本開示の各構成は、本開示の各側面を有しうる。本開示の各フィーチャーは組合せ可能であり、各構成をなせる。したがって、本開示の各フィーチャー、本開示の各構成、本開示の各側面、本開示の各実施形態は、組み合わせることが可能であり、その組み合わせは相乗的機能を有し、相乗的な効果を発揮しうる。
【0022】
[積層体の構造]
図1および図2を参照して、積層体の構造を説明する。
図1のように、積層体10はシート状である。図1の構成では、積層体10の輪郭形状は角の丸い矩形状であるが、積層体10の外形は、矩形状以外に、円状または楕円状などでもよい。なお、積層体10が、シート状であり、かつ、輪郭形状が角の丸い矩形である場合、積層体10はカード状である。
【0023】
積層体10は、表面10Fと対向する平面視において、積層体10の外縁よりも内側に位置するセキュリティ箔20を備えている。セキュリティ箔20には、認証情報が記録されている。セキュリティ箔20の外形は楕円状としてもよいし、セキュリティ箔20の外形は、楕円状以外に、矩形状または円状などでもよい。セキュリティ箔20はレリーフ面を有し、レリーフ面は、レリーフ面に入射した光を反射できる。レリーフ面は認証情報を記録できる。レリーフ面の反射光は、認証情報として第1画像PIC1を呈する。第1画像PIC1は、レリーフ面の反射光により表示される。セキュリティ箔20は、認証情報として第1画像PIC1を表示する。図1では、第1画像PIC1は星形である。セキュリティ箔20が表示する第1画像PIC1の種類は、幾何学模様、文字、数字、記号(signal)、しるし(sign)、シンボル、エンブレム、紋章もしくはコード、またはこれらの組み合わせとできる。シンボルとエンブレムは、旗、盾、剣、槍、王冠、星、月、ハート、ロゴ、リボン、ライン、花、葉、穀物、果物、鳥、翼、魚、節足動物、哺乳類、伝説上の生物、爬虫類、両生類を含むことができる。コードは、一次元コード、二次元コードとできる。一次元コードはバーコード、シリアルナンバーまたは双方の組合せとできる。二次元コードはQRコード(登録商標)とできる。幾何学模様は、彩紋(Guilloche)とできる。
【0024】
セキュリティ箔20は、赤外線における一部の帯域または赤外の全帯域の波長を透過してもよい。透過する赤外線の帯域は、赤外レーザーの波長を含むことができる。特に、透過する赤外線の帯域は、900nm以上1100nm以下の波長を含むことができる。これにより、YAGレーザーの光線(beam)を、透過できる。この場合、セキュリティ箔20越しに、赤外線のレーザー光線(beam)を後述する記録層に照射し、記録層に被照射領域を形成することができる。なお、記録層は、本願の優先権主張の出願に記載の発色層と同一である。
【0025】
積層体10は、さらに、表面10Fを通じて第2画像PIC2を表示することができる。第2画像PIC2は、後述する記録層に形成された被照射領域として記録することができる。第2画像PIC2のとりうる種類は、第1画像PIC1のとりうる種類と同じとできる。第2画像PIC2は、第1画像PIC1と同種の形とできる。また、第2画像PIC2は、セキュリティ箔20を囲むことができる。第2画像PIC2は、第1画像PIC1にカップリングした形とできる。第2画像PIC2は複数のセグメントの集合とできる。図1では、第2画像PIC2は、第1画像PIC1を囲む楕円である。
【0026】
図2は、図1におけるI-I線に沿う積層体10の断面構造を示している。図2では、セキュリティ箔20の構造を説明する便宜上、セキュリティ箔20が備える各層の厚さが誇張されている。
【0027】
図2のように、積層体10は、記録層11、透光性の表面側被覆層12、および、セキュリティ箔20を備えている。セキュリティ箔20は、記録層11と表面側被覆層12とでラミネートされ、セキュリティ箔20が積層体10の外部に露出しないように、記録層11と表面側被覆層12との間にセキュリティ箔20が封入されている。セキュリティ箔20は、レリーフ面21Rを有するレリーフ層21を備えている。セキュリティ箔20の厚さT20は、記録層11の厚さT11の1/5以下である。また、セキュリティ箔20の厚さT20は、記録層11の厚さT11の1/200以上としてもよい。積層体10において、セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高い。接着強度は、JIS K 6854-1(ISO 8510-1)によって規定された90度剥離試験方法に準拠する方法により測定できる。
【0028】
レリーフ面21Rは、以下のいずれかの特性(property)の少なくとも1つを有することができる。
(a)レリーフ面21Rに入射した入射光を回折する特性
(b)レリーフ面21Rに入射した入射光の反射を抑制する特性
(c)レリーフ面21Rに入射した入射光を等方的に反射する特性
(d)レリーフ面21Rに入射した入射光を異方的に反射する特性
(e)レリーフ面21Rに入射した入射光を集光する特性
(f)レリーフ面21Rに入射した入射光に含まれる特定の偏光を反射する特性
【0029】
レリーフ構造は、上述したいずれの特性を有する場合にも、凹凸状を有している。言い換えれば、レリーフ面21Rは凹凸面である。1つのレリーフ面21Rは、上述した互いに異なる特性を有するレリーフ構造を少なくとも1つ含むことによって、上述した特性を少なくとも1つ有することができる。レリーフ層21の表面21Fに平行な平面を基準面に設定するとき、レリーフ構造における高さの最大値と最小値との差は、0.1μm以上10μm以下とすることができる。また、レリーフ構造において、凹部が位置する間隔、または、凸部が位置する間隔は、0.1μm以上20μm以下とすることができる。また、レリーフ層21は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過してもよい。透過する赤外線の帯域は、赤外レーザーの波長を含むことができる。特に、透過する赤外線の帯域は、900nm以上1100nm以下の波長を含むことができる。これにより、YAGレーザーの光線(beam)を、透過できる。この場合、セキュリティ箔20越しに、赤外線のレーザー光線を記録層11に照射し、これによって、記録層11に被照射領域11aを形成することができる。記録層11にレーザー光線を照射し被照射領域11aを形成するレーザーは、パルスレーザーとできる。パルスレーザーは、パルスの間隔、ワンパルスのエネルギーを変調することができる。これにより、パルスレーザーのレーザー光線で、記録層11の材質に合せて、記録層11に被照射領域11aを形成できる。また、レーザーは、赤外波長の赤外レーザーとできる。赤外レーザーのパルスレーザーは、YAGレーザーとできる。
【0030】
セキュリティ箔20は、レリーフ面21Rを覆う保護層22をさらに備えている。セキュリティ箔20は、セキュリティ箔20の厚さ方向において対向する一対の面を含んでいる。レリーフ層21は、レリーフ面21Rと、レリーフ面21Rとは反対側の面である表面21Fとを有する。保護層22は、レリーフ面21Rに接する面とは反対側の面である裏面22Rを有する。一対の面は第1面と第2面とを含む。保護層22の裏面22Rを、記録層11に接する第1の面とできる。レリーフ層21の表面21Fを、表面側被覆層12に接する第2の面とできる。また、保護層22は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過してもよい。透過する赤外線の帯域は、赤外レーザーの波長を含むことができる。特に、透過する赤外線の帯域は、900nm以上1100nm以下の波長を含むことができる。これにより、YAGレーザーの光線(beam)を、透過できる。この場合、セキュリティ箔20越しに、赤外線のレーザー光線を記録層11に照射し、記録層11に被照射領域11aを形成することができる。
【0031】
レリーフ層21は、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、および、メラミンから構成される第1の物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことができる。保護層22の素材は、ポリウレタン、ポリアクリル酸メチル、ポリエステル、酸変性ポリオレフィン、および、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂から構成される第2の物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことができる。
【0032】
セキュリティ箔20は、さらに反射層23を備えてもよい。反射層23は、レリーフ面21Rを覆っている。反射層23は、隠蔽性または透光性とできる。隠蔽性の反射層23は、金属製の反射層とできる。透光性の反射層23は、誘電体の反射層とできる。反射層23の誘電体の可視光での屈折率は、2.0以上とできる。屈折率が2.0以上であると、レリーフ層21との屈折率差を得やすい。セキュリティ箔20は、レリーフ面21Rに含まれるレリーフ構造が反射層23を備えることで、上述した(a)、(c)、(d)、(e)、および、(f)の少なくとも1つの特性において、反射率を向上できる。そのため、レリーフ面21Rからの反射光が、積層体10の観察者によって視認されやすくなる。また、反射層23は、赤外線のレーザー光線を透過するよう赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過してもよい。透過する赤外線の帯域は、赤外レーザーの波長を含むことができる。特に、透過する赤外線の帯域は、900nm以上1100nm以下の波長を含むことができる。これにより、YAGレーザーの光線(beam)を、透過できる。この場合、セキュリティ箔20越しに、赤外線のレーザー光線を記録層11に照射し、記録層11に被照射領域11aを形成することができる。
【0033】
レリーフ面21Rはレリーフ構造として回折格子を含むことができる。これにより、レリーフ面21Rに入射した光を回折する特性を有する。セキュリティ箔20は、レリーフ面21Rで反射された回折光によって、上述した第1画像PIC1を形成する。
【0034】
セキュリティ箔20は、上述したように、表面10Fと対向する平面視において、記録層11の外縁および表面側被覆層12の外縁よりも内側に位置している。記録層11および表面側被覆層12の各々において、表面10Fと対向する平面視において、セキュリティ箔20よりも外側に出た部分は、互いに接着している。すなわち、積層体10は、記録層11と表面側被覆層12とによって、セキュリティ箔20を封入している。また、セキュリティ箔20と記録層11は、接着している。セキュリティ箔20と表面側被覆層12は、接着している。より詳しくは、セキュリティ箔20のレリーフ層21と表面側被覆層12は、接着している。セキュリティ箔20の保護層22と表面側被覆層12は、接着している。
【0035】
記録層11の全体または一部は、レーザー光線の照射によって変性する。レーザー光線の照射によって変性した記録層11は、被照射領域11aとなる。そのため、記録層11にレーザー光線を照射することによって、被照射領域11aが形成され、情報を記録層11に記録することができる。記録層11は、被照射領域11aと未照射領域11bとから構成することができる。被照射領域11aは、レーザー光線の照射によって記録層11が変性した領域である。未照射領域11bは、レーザー光線が照射されていない領域である。積層体10は、被照射領域11aにより情報を記録することができる。
【0036】
積層体10に記録される情報は、識別情報であることができる。識別情報は、積層体毎に異なる情報である個別情報とできる。識別情報は、個人の認証に利用することが可能な個人認証情報であってもよい。個人認証情報には、生体情報と非生体情報との少なくとも一方が含まれてよい。
【0037】
生体情報は、生体の特徴のうち認証される個人に特有の特徴であり、肖像、指紋、静脈、および、サイン(signature)などの画像またはパターンである。生体情報は、識別可能な生体情報とできる。非生体情報は、生体情報以外の個人情報である。生体情報以外の個人情報は、名前、生年月日、年齢、血液型、性別、国籍、住所、所属、および、署名などを含む。非生体情報は、複数の文字、複数の数字、記号、図形、筆跡とすることができる。非生体情報は、デジタルデータとできる。デジタルデータはコードとして記録できる。これらは、暗号および平文のどちらか、またはこれらの両方であってもよい。
【0038】
図3のように、積層体10の厚さ方向から見て、セキュリティ箔20と重なる領域に被照射領域11aが形成されてもよい。この場合には、被照射領域11aがセキュリティ箔20の一部と重なり、かつ、未照射領域11bがセキュリティ箔20の他の一部と重なる。セキュリティ箔20に重なった被照射領域11aには、識別情報や識別可能な生体情報が記録されてもよい。識別可能な生体情報は、生体情報を含んだ個人認証情報とできる。セキュリティ箔20に重なった被照射領域11aに識別情報や識別可能な生体情報が記録されることで、識別情報や識別可能な生体情報の改ざんを防止できる。識別情報や識別可能な生体情報は、セキュリティ箔20と重なった領域と、セキュリティ箔20と重ならない領域との対で構成されてもよい。言い換えれば、セキュリティ箔20と重なった被照射領域11aとして記録された識別情報や識別可能な生体情報の一部と、セキュリティ箔20と重ならない被照射領域11aとして記録された識別情報や識別可能な生体情報の一部との対で構成されてもよい。この場合、セキュリティ箔20と重なった被照射領域11aとして記録された識別情報や識別可能な生体情報の一部は、セキュリティ箔20と重ならない被照射領域11aとして記録された識別情報や識別可能な生体情報の一部により補完されている。また、被照射領域11aとセキュリティ箔20との間の接着強度は、未照射領域11bとセキュリティ箔20との間の接着強度よりも低くてもよい。
【0039】
被照射領域11aにレーザー光線が照射される際には、保護層22のなかで、被照射領域11aに接する部分にもレーザー光線が照射される。これにより、保護層22には、レーザー光線が照射された部分である低接着領域22aが形成される。保護層22は、低接着領域22aと、レーザー光線が照射されていない高接着領域22bとから形成される。低接着領域22aにおいて、レーザー光線により保護層22の一部が変性している。保護層22の高接着領域22bは、結晶性の樹脂を含有し、低接着領域22aは、保護層22の結晶性の樹脂がアモルファス化されていてもよい。保護層22の高接着領域22bが、結晶性の樹脂を含有する一方で、低接着領域22aは、保護層22の結晶性の樹脂がレーザー光線の照射によってアモルファス化することで、高接着領域22bの記録層11に対する接着強度を、低接着領域22aの接着強度以上とできる。言い換えれば、低接着領域22aの記録層11に対する接着強度は高接着領域22bよりも低い。このように、保護層22は結晶性の樹脂を含んでもよい。保護層22の結晶性の樹脂は、結晶性ポリエステルとできる。
【0040】
また、記録層11の被照射領域11aとセキュリティ箔20の低接着領域22aとの間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも低くてもよい。この場合、表面側被覆層12を剥離すると、セキュリティ箔20のうち、未照射領域11bと接している部分は、記録層11に残る。また、被照射領域11aは、表面側被覆層12に残る、すなわち、表面側被覆層12とともに剥離される。そのため、セキュリティ箔20が破壊される。これにより、セキュリティ箔20の再利用を防止することができる。また、記録層11の被照射領域11aに対応したセキュリティ箔20の領域が変質部となってもよい。この場合、セキュリティ箔20にも、被照射領域11aの情報が記録され、セキュリティ箔20が転用されることを防止することができる。
【0041】
被照射領域11aは、変性されている。変性は、被照射領域11aの炭化でもよい。変性は、被照射領域11aの発泡でもよい。変性により、被照射領域11aは着色されてもよい。着色は、黒とできる。なお、被照射領域11aの色は、黒以外の色であってもよく、被照射領域11aの色は、白、および、オパールとできる。記録層11において、未照射領域11bは、可視光を透過することが可能な透光性とできる。これに対して、被照射領域11aは、可視光を透過しなくてもよいし、可視光の一部を透過することが可能であってもよい。被照射領域11aは、不透明であってもよい。未照射領域11bの透過率は、被照射領域11aより高くできる。上述した第2画像PIC2は、被照射領域11aの像である。記録層11の厚さは、50μm以上800μm以下であることができる。
【0042】
表面側被覆層12は、可視光を透過する透光性とできる。また、表面側被覆層12は、赤外線における一部の帯域または赤外線における全帯域の波長の光を透過することもできる。表面側被覆層12のなかで、記録層11に接する面とは反対側の面が、積層体10の表面10Fである。表面側被覆層12が有する透光性によって、積層体10は、表面10Fを通じて各画像を表示することが可能である。表面側被覆層12が赤外線における一部の帯域または赤外線における全帯域の波長の光を透過することによって、表面側被覆層12越しに赤外線のレーザー光線により記録層11に被照射領域11aを形成することができる。表面側被覆層12の厚さは、50μm以上800μm以下であることができる。
【0043】
なお、表面側被覆層12とセキュリティ箔20とが赤外線を透過する構成であれば、記録層11は、記録層11の厚さ方向から見て、記録層11のうちセキュリティ箔20が覆う領域に被照射領域11aを有することができる。セキュリティ箔20で被照射領域11aを覆うことによって、被照射領域11aに記録された情報の改ざんを防止することができる。言い換えれば、セキュリティ箔20を記録層11から剥がし、かつ、新たに被照射領域11aを形成しなおすことによって被照射領域11aの情報を改ざんしようとすると、セキュリティ箔20は記録層11に強固に接着しているためセキュリティ箔20が壊れる。結果として、被照射領域11aを書き換え、かつ、セキュリティ箔20を貼りなおす積層体10の改ざんを防止することができる。
【0044】
記録層11および表面側被覆層12の各々は、ポリカーボネート、非晶質コポリエステル、および、ポリ塩化ビニルから構成される第3の物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことができる。第3の物質群に含まれる各材料に対する第1の物質群に含まれる各材料の接着強度は、相対的に高い一方で、第3の物質群に含まれる各材料に対する第2の物質群の各材料の接着強度は相対的に低い。そのため、レリーフ層21が第1の物質群のうち少なくとも1つの物質を含み、保護層22が第2の物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことによって、セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高い構造の実現が容易である。
【0045】
上述したように、セキュリティ箔20の厚さは、記録層11の厚さの1/5以下である。セキュリティ箔20は、記録層11と比べて非常に薄いため、セキュリティ箔20の側面が記録層11と接する面積は、保護層22の裏面22Rが記録層11に接する面積に対して無視できるほど小さい。それゆえに、セキュリティ箔20のなかで、記録層11と接する面は、保護層22の裏面22Rのみと見なしてもよい。なお、こうした事項は、レリーフ層21の表面21Fと表面側被覆層12との間の関係についても適用することができる。
【0046】
[積層体の作用]
図4を参照して積層体が分離された状態を説明する。
図4のように、積層体10からセキュリティ箔20が取り出されるときには、まず、記録層11と表面側被覆層12とが分離される。このとき、セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高いと、セキュリティ箔20は記録層11側に残る。そして、セキュリティ箔20を再利用するためには、セキュリティ箔20を記録層11から分離する必要がある。しかし、セキュリティ箔20の厚さT20は、記録層11の厚さT11の1/5以下であることにより、例えば、セキュリティ箔20の厚さT20が記録層11の厚さT11と同程度である構成と比べて、セキュリティ箔20を破壊せずに記録層11からセキュリティ箔20を剥がすことが難しい。それゆえに、積層体10が備えるセキュリティ箔20の再利用を困難にできる。そのため、セキュリティ箔20を用いて偽の積層体を製造することが難しい。さらに、セキュリティ箔20の厚さT20は、記録層11の厚さT11の1/5以下であることにより、セキュリティ箔20をレーザー光線が透過しやすい一方で、記録層11ではレーザー光線を吸収しやすくできる。また、セキュリティ箔20の厚さT20は、記録層11の厚さT11の1/200以上とすることで、加工性が高まる。また、記録層11の厚さがセキュリティ箔20の厚さの5倍よりも薄い場合、記録層11を削りとり、セキュリティ箔20を取り出しやすい。
【0047】
記録層11の厚さは、50μm以上800μm以下とできる。加えて、レリーフ構造における高さの最大値と最小値との差は、0.1μm以上10μm以下であり、かつ、凹部が位置する間隔、または、凸部が位置する間隔が、0.1μm以上20μm以下とできる。セキュリティ箔20の厚さが、記録層11の厚さの1/5以下であることによって、セキュリティ箔20に含まれるレリーフ面21Rを破壊せずにセキュリティ箔20を記録層11から剥がすことが難しくなる。それゆえに、剥がされたセキュリティ箔20が、真正のセキュリティ箔20とは異なる光学特性を有するレリーフ面21Rを含む確率を高めることができる。結果として、剥がされたセキュリティ箔20を用いた偽の積層体は、真正の積層体10の偽物であることが容易に判別される。
【0048】
[証明証の構造]
図5および図6を参照して、上述した積層体10を含む証明証の構造を説明する。以下では、証明証を身分証明書として具体化した例を説明する。図6では、証明証の構成を説明する便宜上、証明証が備える各層の厚さが誇張されている。証明証は、身分証明書、IDカード、パスポート、および、査証などである。
【0049】
図5のように、証明証30は、表面30Fを含んでいる。表面30Fと対向する平面視において、証明証30の形状は、カード状である。図5では、証明証30には、第1画像PIC1の情報、第3画像PIC3の情報、第4画像PIC4の情報、および、第5画像PIC5の情報が記録されている。証明証30は、表面30Fを通じて、第1画像PIC1、第3画像PIC3、第4画像PIC4、および、第5画像PIC5を表示することができる。言い換えれば、第1画像PIC1、第3画像PIC3、第4画像PIC4は、可視画像とできる。
【0050】
第3画像PIC3は、証明証30の種別を示すテキストを成している。第4画像PIC4は、証明証30の所有者の肖像を成している。第4画像PIC4は、識別可能な生体情報とできる。識別可能な生体情報は、個人の認証に利用することが可能な個人認証情報であってもよい。第5画像PIC5は、身分証明に用いられる識別情報の種類PIC5aと、各種類PIC5aに対応する所有者の識別情報PIC5bを構成している。第4画像PIC4は、レーザー光線で記録できる。第4画像PIC4は、被照射領域11aの像とできる。識別情報の種類PIC5aは、印刷またはレーザー光線で記録できる。識別情報の種類PIC5aは、印刷または被照射領域11aの像とできる。識別情報PIC5bは、レーザー光線で記録できる。識別情報PIC5bは、被照射領域11aの像とできる。識別情報PIC5bは、非生体情報としてもよい。証明証30は、その種別、所有者の肖像、所有者の識別情報を記録できる。所有者の肖像、所有者の識別情報は、被照射領域11aの形として証明証30に記録できる。なお、証明証30は、証明証30の所有者の認証に用いられる他の情報を含むことができる。
【0051】
図6は、図5におけるII-II線に沿う証明証30の断面構造を示している。
図6のように、証明証30は、積層体10に加えて支持層31を含んでいる。支持層31は、積層体10を補強できる。支持層31は単層構造でもよいし、多層構造でもよい。支持層31を多層構造とし、裏面側被覆層31aと白色層31bとから構成できる。証明証30において、裏面側被覆層31a、白色層31b、および、積層体10がこの順に積層されている。積層体10のなかで、記録層11が白色層31bに接している。
【0052】
裏面側被覆層31aは、積層体10が含む表面側被覆層12と同様の構成とすることができる。言い換えれば、裏面側被覆層31aは、透光性を有することができる。なお、裏面側被覆層31aは、透光性を有しなくてもよい。また、支持層31は、白色層31bに代えて、白色以外の色で着色された着色層を備えてもよい。この場合には、着色層の色は、積層体10が含む被照射領域11aの色とは異なる色とできる。これにより、被照射領域11aの像が、着色層の色とのコントラストによって視認されやすくなる。
【0053】
白色層31bのなかで、裏面側被覆層31aに接する面とは反対側の面が表面31bFである。白色層31bの表面31bFに、印刷体32を備えてもよい。印刷体32は、インキを印刷して形成できる。印刷体32は、可視インキまたは不可視インキまたはその双方を印刷することで形成できる。可視印刷は、可視インキを印刷して形成できる。不可視印刷は、不可視インキを印刷して形成できる。積層体10の厚さ方向から見て、セキュリティ箔20と重なる領域に印刷体32を備えてもよい。
【0054】
印刷体32は、セキュリティ印刷とできる。また、積層体10の厚さ方向から見て、被照射領域11aがセキュリティ印刷と重なる領域に形成されてもよい。印刷体32に重なった被照射領域11aには、識別情報や識別可能な生体情報が記録されてもよい。セキュリティ箔20とセキュリティ印刷の間に、識別情報や識別可能な生体情報が記録された被照射領域11aを挟むことができる。セキュリティ印刷に重なった被照射領域11aに識別情報や識別可能な生体情報が記録されることで、識別情報や識別可能な生体情報の改ざんを防止できる。特に、記録層11を白色層31b側から削り、別の識別情報や識別可能な生体情報を記録する改ざんを防止できる。
【0055】
また、セキュリティ印刷は、彩紋(Guilloche)、マイクロ文字、不可視印刷、光学可変印刷とできる。可視インキは、メジウムに顔料を分散、または染料を混合したものとできる。顔料をパールインキや、磁性インキとすることで、可視インキを光学的変化インキ(Optical Variable Ink)とできる。光学的可変化インキを用いた印刷は、光学可変印刷とできる。不可視インキは、蛍光インキや赤外吸収インキとできる。蛍光インキは、紫外線励起蛍光インキ、可視光励起インキ、または赤外励起インキとできる。光学可変インキや不可視インキは、偽造防止技術として用いることができる。
【0056】
印刷は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷とできる。図6のように、印刷体32は、第3画像PIC3を表示する印刷部分、第4画像PIC4における肖像の背景を表示する印刷部分、および、第5画像PIC5における種類PIC5aを表示する印刷部分から構成されている。印刷体32の色は、被照射領域11aの色と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0057】
証明証30が備える積層体10では、被照射領域11aが不透明とできる一方で、未照射領域11bが透光性とできる。そのため、印刷体32は、未照射領域11b、および、表面側被覆層12の各々における透光性によって、証明証30の表面30Fを通じて観察者によって視認される。なお、表面側被覆層12のなかで、記録層11に接する面とは反対側の面が、証明証30の表面30Fである。
【0058】
図6のように、被照射領域11aは、第4画像PIC4の肖像を表示する領域と、第5画像PIC5の識別情報PIC5bを表示する領域とから構成できる。第4画像PIC4の肖像と、第5画像PIC5の識別情報PIC5bとは、証明証30の所有者ごとに異なる画像である。第5画像PIC5の識別情報PIC5bにより、所有者を識別できる。こうした画像を被照射領域11aによって表示することで、複数の証明証30間において、被照射領域11aが形成される前の記録層11に照射するレーザー光線のパターンを変えるのみによって、各人に対応した情報が記録された証明証30を製造することができる。
【0059】
なお、被照射領域11aまたは未照射領域11bに記録される情報は、識別情報とすることができる。識別情報は、一意な情報とすることができる。識別情報は、個人の認証に利用することが可能な個人認証情報であってもよい。個人認証情報には、生体情報と非生体情報との少なくとも一方が含まれてよい。
【0060】
このように、証明証30には、所有者に固有の情報が記録層11に記録されている。そのため、証明証30を改竄するためには、改竄された記録層に置き換えた後に、セキュリティ箔20をこれらの記録層に貼り付ける、言い換えればセキュリティ箔20を再利用する必要がある。しかしながら、上述したように、記録層11からセキュリティ箔20を剥がすことは難しいことから、証明証30の改竄を抑えることができる。なお、証明証30の識別情報が改竄されると、証明証30の被証明者が成りすまされてしまう。
【0061】
一方で、セキュリティ箔20から分離された表面側被覆層12は、セキュリティ箔20のように認証情報を含んでいない。それゆえに、表面側被覆層12がセキュリティ箔20から分離されたとしても、表面側被覆層12を利用して、証明証30が偽造されるおそれはない。
【0062】
[証明証における各層の材料]
以下、証明証30が備える各層を形成するための材料を説明する。
[各被覆層12,31a]
各被覆層12,31aを形成するための材料には、同等の材料を用いることができる。これら被覆層12,31aのなかで、特に表面側被覆層12には、セキュリティ箔20が表示する第1画像PIC1が証明証30の表面30Fを通じて外部に表示されることを可能にするために、可視光の波長、または、観察光の波長に対する透過性を有する必要がある。各被覆層12,31aを形成するための材料は、ポリカーボネート、非晶質コポリエステル、および、ポリ塩化ビニルとできる。
【0063】
各被覆層12,31aの厚さは、50μm以上800μm以下とできる。50μm以上の厚さの各被覆層12,31aでは、物理的な強度が高められる。物理的な強度の増加は、各被覆層12,31aのシワなどの欠陥の防止に役立つ。800μm以下の厚さの各被覆層12,31aでは、各被覆層12,31aにおける厚さのばらつきや撓みが減らせる。被覆層12,31aの厚さのばらつきや撓みの低減は、ラミネート加工時の反りなどの欠陥の防止に役立つ。
【0064】
[記録層11]
記録層11は、特定の波長を有したレーザー光線が照射されることによって、そのレーザー光線を吸収し、記録層11の材料が変質する。変質した記録層11の材料は所定の色を有することができる。記録層11の材料の変質は、炭化とできる。炭化することで、記録層11の材料は、黒色とすることができる。この黒色の反射率は、20%以下とできる。反射率は、入射光の輝度と反射光の輝度の比とできる。また、記録層11の材料は、レーザー光線の照射によって発色するような混合物であってもよい。こうした混合物は熱応答性マイクロカプセルを含む混合物とできる。熱応答性マイクロカプセルが混合した記録層11は、レーザー光線により熱応答性マイクロカプセルの反応により変質し、発色する。そのため、記録層11にレーザー光線を特定のパターンで照射することによって、記録層11に情報を記録することができる。
【0065】
記録層11を形成するための材料には、ポリカーボネートに、特定の波長を有したレーザー光線を吸収するエネルギー吸収体を添加した材料、または、エネルギー吸収分子構造を有した材料とできる。こうした材料では、エネルギー吸収体、エネルギー吸収分子構造がレーザー光線を吸収したことによって生じる熱で、ポリカーボネートが化学的に変化し、結果として、記録層11が所定の色を有する。この材料の一例は、LEXAN SD8B94(SABIC社製)(LEXANは登録商標)である。記録層11を形成するための材料は、ポリカーボネートの他に、ポリ塩化ビニル、および、非晶質コポリエステルなどとできる。
【0066】
なお、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、および、非晶質コポリエステルのなかでも、記録層11を形成するための材料にポリカーボネートを用いることによって、他の材料を用いる場合と比べて、記録層11の耐久性、および、発色時のコントラストを高めることができる。
【0067】
記録層11の厚さは、上述したように50μm以上800μm以下であることができる。記録層11の厚さが50μm以上であることによって、記録層11の厚さが足りずに被照射領域11aの発色が不十分であることが抑えられる。これにより、被照射領域11aと未照射領域11bとの間のコントラストが不十分であることが抑えられる。一方で、記録層11の厚さが800μm以下であることによって、未照射領域11bの透光性が低下し、被照射領域11aと未照射領域11bとの間のコントラストが不十分であることが抑えられる。記録層11および被覆層12の各々における接着強度に関し、各層の厚さが厚い方が、剥離時に応力が分散しやすく、高い接着強度を達成しやすい。そのため、記録層11の厚さを被覆層12の厚さよりも大きくすることで、本開示の条件を満たすように接着強度を調節することが可能である。
【0068】
[白色層31b]
白色層31bは、白色とできる。白色層31bが白色であることで、白色層31bと印刷体32との間の色の違いや、白色層31bと被照射領域11aとの間の色の違いによって、印刷体32や被照射領域11aが視認されやすくなる。白色層31bの可視光での全光線反射率は、70%以上99%以下とできる。全光線反射率は、入射光の輝度と反射光の輝度の比とできる。可視光での反射率を70%以上99%以下とすることで、印刷体32や被照射領域11aの視認性を高められる。
【0069】
また、白色層31bは隠蔽性とできる。これにより、証明証30に含まれる回路を証明証30の観察者から回路を隠蔽することができる。特に、証明証30に含まれる回路の全体を白色層31bによって覆うことで、証明証30の観察者から回路を完全に隠蔽することができる。こうした回路には、チップ、アンテナ、抵抗、配線、コンデンサなどを含むことができる。隠蔽性の白色層31bの光学透過濃度は、1.0以上としてもよい。また、白色層31bの光学透過濃度は、1.5以下ととしてもよい。証明証30に含まれる回路のチップに識別情報を記録してもよい。記録する識別情報には、証明証30にレーザー光線で記録した識別情報を含めることができる。記録する識別情報は、暗号化できる。
【0070】
白色層31bを形成するための材料は、ポリ塩化ビニル、非晶質コポリエステル、および、ポリカーボネートに、酸化チタンなどの白色の材料が含有した材料とできる。白色層31bの厚さは、200μm以上800μm以下とできる。白色層31bの厚さが200μm以上であることによって、容易に隠蔽性が得られる。白色層31bが800μm以下であることによって、白色層31bの厚さにおけるばらつきや撓みを減らせる。白色層31bの厚さのばらつきや撓みの低減は、ラミネート加工時の反りなどの欠陥の防止に役立つ。
【0071】
[レリーフ層21]
レリーフ層21を形成する材料は、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、酸変性ポリオレフィン、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂材料、ポリメタクリル酸メチル、環状ポリオレフィン、メラミン、無機物粒子、エポキシ系樹脂、および、セルロース系樹脂、および、これらの材料の混合、複合、共重合とできる。レリーフ層21を形成する材料は、硬化樹脂とできる。硬化樹脂は、硬化性前駆体を硬化したものである。硬化樹脂は、紫外線、熱、電子線により、硬化したものとできる。硬化性前駆体は、熱可塑性とできる。
【0072】
レリーフ層21を形成するための硬化性前駆体は、エチレン性不飽和結合またはエチレン性不飽和基を含むモノマー、オリゴマー、および、ポリマーなど、紫外線硬化性樹脂も用いることができる。モノマーは、1,6‐ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどとできる。オリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、および、ポリエステルアクリレートなどとできる。レリーフ層21を形成するための硬化性前駆体は、これら以外の材料でもよい。
【0073】
なお、レリーフ層21を形成するための材料は、上述したように、ポリメタクリル酸メチル、酸変性ポリオレフィン、および、メラミンの少なくとも1つを含むことができる。これらの材料は、成形性に優れる。なお、レリーフ層21は単層に限らず、多層であってもよい。多層のレリーフ層21は、硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の積層体とできる。レリーフ層21のレリーフ面21R側を硬化性樹脂の層とし、その反対側を熱可塑性樹脂の層としてもよい。熱可塑性樹脂は、ポリメタクリル酸メチル、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂とできる。あるいは、多層のレリーフ層21は、物性の異なる熱可塑性樹脂の層を含むことができる。または、レリーフ層21は無機パウダーまたはポリマーパウダーを含有してもよい。パウダーを含有することで、レリーフ層21と表面側被覆層12との間の接着強度を調整することができる。そのため、レリーフ層21のレリーフ面21R側を硬化性樹脂の層とし、その反対側を無機パウダーまたはポリマーパウダーを含有する熱可塑性樹脂の層としてもよい。
【0074】
[保護層22]
保護層22を形成する材料には、レリーフ層21を形成するための材料を用いることができる。なかでも、保護層22を形成するための材料は、ポリメタクリル酸メチル、ポリエステル、環状ポリオレフィン、メラミン、および、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂の少なくとも1つを含むことができる。これらの材料は、保護層22と保護層22に接するポリカーボネートを含む層との間で十分な接着強度を得やすい。また、保護層22を形成するための材料には、カーボネート結合(‐O‐CO‐O‐)、ウレタン結合(‐NH‐CO‐)、または、エステル結合(‐O‐CO‐)を有する樹脂を用いることができる。ポリカーボネートとの接着においては、カーボネート結合と類似の構造を有するエステル結合やウレタン結合を有する樹脂とポリカーボネートとの間の接着強度が高い傾向がある。そのため、保護層22にこれらの結合を有する樹脂を含有させることで、保護層22と保護層22に接するポリカーボネートを含む層との間の接着強度を高くすることが容易である。保護層22を形成する材料は、結晶性樹脂を含有してもよい。結晶性樹脂は、結晶性ポリエステルなどとしてもよい。また、保護層22を形成する材料は、熱可塑性樹脂とできる。保護層22を形成する材料は、融点の異なる2種以上の樹脂の複合としてもよい。結晶性樹脂は、レーザー照射により接着性を変化させることができる。これによりセキュリティ箔20を剥離した際の痕跡が残るようにできる。
【0075】
積層体10において、保護層22が、ポリカーボネートよりも低い融点を有する樹脂を含み、かつ、レリーフ層21が、ポリカーボネートよりも高い融点を有する樹脂を含むことができる。
【0076】
特に、ポリカーボネートのように、他の材料との接着方法として熱と圧力による直接溶融接着を主とする材料において、互いに接する2つの材料、すなわち界面を形成する材料の各々が、接着時に溶融したか否かは、2つの材料が接着する強度に対して大きな影響を及ぼす。界面を構成する2つの材料が互いに溶融した場合は、これらの接着が強固となる。これに対して、2つの材料を接着させるときに、2つの材料のうち、いずれか一方あるいは両方が溶融していない場合は、これらの間での接着は弱くなる。そのため、保護層22が、ポリカーボネートよりも低い融点を有する樹脂を含み、かつ、レリーフ層21が、ポリカーボネートよりも高い融点を有する樹脂を含むことで、ポリカーボネートを含む層との間の接着強度が調節できる。
【0077】
[反射層23]
反射層23は、隠蔽性であってもよいし、透光性であってもよい。隠蔽性の反射層23は、金属製の反射層とできる。反射層23を形成する金属は、アルミニウム、銀とできる。一方で、透光性の反射層23は、誘電体の反射層とできる。反射層23の誘電体は、金属化合物または酸化ケイ素とできる。金属化合物は、金属硫化物、金属酸化物とできる。金属硫化物は、硫化亜鉛とできる。金属酸化物は二酸化チタンとできる。反射層23の厚さは、10nm以上20nm以下であることができる。反射層23は、堆積により形成することができる。堆積には、物理堆積(PVD)または化学堆積(CVD)を適用できる。物理堆積は、真空蒸着法およびスパッタ法などを適用できる。また、反射層23は、単層でもよいし多層でもよい。多層の反射層23は、堆積を複数回行うことで形成することができる。
【0078】
反射層23はレリーフ面21Rの全体に位置してもよいし、レリーフ面21Rの一部にのみ位置してもよい。反射層23がレリーフ面21Rの一部にのみ位置するときには、反射層23は複数のエリアから構成され、かつ、各エリアの外形が、幾何学模様シンボル、エンブレム、紋章、またはこれらの組合せの形状でもよい。シンボルとエンブレムは、旗、盾、剣、槍、王冠、星、月、ハート、ロゴ、リボン、ライン、花、葉、穀物、果物、鳥、翼、魚、節足動物、哺乳類、伝説上の生物、爬虫類、両生類を含むことができる。幾何学模様は、彩紋(Guilloche)とできる。また、1つの反射層23において、一部が隠蔽性であり、かつ、残りの部分が透光性であってもよい。これらの構成によれば、証明証30の意匠性が高まることに加えて、反射層23を形成するための加工が複雑になる分、証明証30の偽造がより難しくなる。
【0079】
反射層23をレリーフ面21Rの一部に形成する方法は、以下の方法とできる。第1の方法では、溶解性の樹脂をレリーフ面21Rの一部に塗布した後、反射層23を形成するための材料によって薄膜を形成し、溶解性の樹脂を、溶解性の樹脂上に形成された薄膜とともに洗浄によって除去する。第2の方法では、まず、レリーフ面21Rの全体に反射層23を形成するための材料によって薄膜を形成した後、薄膜上に、耐酸性または耐アルカリ性の樹脂を用いてマスクを形成する。そして、マスクを用いて薄膜をエッチングする。第3の方法では、まず、レリーフ面21Rの全体に反射層23を形成するための材料によって薄膜を形成した後、薄膜上に、感光性の樹脂によってマスクを形成する。そして、マスクを用いて薄膜をエッチングする。なお、反射層23をレリーフ面21Rの一部にのみ形成することが可能であれば、これら以外の方法を用いてもよい。
【0080】
[印刷体32]
印刷体32は、任意の色を有することができる。また、印刷体32は、白色層31bの表面31bFにおける全体に位置してもよいし、表面31bFの一部にのみ位置してもよい。また、印刷体32は、幾何学模様、背景、風景、柄、文字、数字、記号(signal)、印(sign)、シンボル、エンブレム、紋章、または、コード、またはこれらの組合せたものを印刷できる。シンボルとエンブレムは、旗、盾、剣、槍、王冠、星、月、ハート、ロゴ、リボン、ライン、花、葉、穀物、果物、鳥、翼、魚、節足動物、哺乳類、伝説上の生物、爬虫類、両生類を含むことができる。コードは、一次元コード、二次元コードとできる。一次元コードはバーコード、シリアルナンバーまたは双方の組合せとできる。二次元コードはQRコードとできる。幾何学模様は、彩紋(Guilloche)とできる。
【0081】
印刷体32を形成するための材料には、インキを用いることができる。インキには、印刷方式に応じて、オフセットインキ、活版インキ、および、グラビアインキなどを用いることができる。インキには、組成の違いに応じて、樹脂インキ、油性インキ、および、水性インキなどを用いることができる。また、インキには、乾燥方式の違いに応じて、酸化重合型インキ、浸透乾燥型インキ、蒸発乾燥型インキ、および、紫外線硬化型インキなどを用いることができる。
【0082】
また、インキには、機能性インキを用いることができる。機能性インキは、証明証30に照射される光の照射角度、または、証明証30を観察する角度に応じて色が変わるインキである。こうした機能性インキには、光学的変化インキ(Optical Variable Ink)、カラーシフトインキ、および、パールインキなどが挙げられる。
【0083】
印刷体32は、トナーを用いた電子写真法により形成されてもよい。この場合には、帯電性を有したプラスチック粒子に黒鉛および顔料などの色粒子を付着させたトナーを準備する。そして、帯電による静電気を利用してトナーを被印刷体に転写させた後、被印刷体に転写されたトナーを加熱して定着させることによって、印刷体32を形成することができる。
【0084】
[積層体の製造方法]
積層体10の製造方法は、記録層11と表面側被覆層12とを準備することを含んでいる。また、製造方法は、レリーフ面21Rを含むレリーフ層21を備え、記録層11の厚さの1/5以下の厚さのセキュリティ箔20を、記録層11の外縁および表面側被覆層12の外縁よりも内側に位置するように、記録層11と表面側被覆層12とによってラミネートすることを含んでいる。さらに、製造方法は、記録層11と表面側被覆層12との間にセキュリティ箔20を配置した状態で、記録層11、表面側被覆層12、および、セキュリティ箔20に熱と圧力とを加えることによって、記録層11と表面側被覆層12とによってセキュリティ箔20が封入された積層体を形成することを含んでいる。こうした製造方法によって製造された積層体10において、セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高い。以下、図7から図9を参照して、積層体10の製造方法を説明する。
【0085】
図7が示すように、積層体10を製造するときには、まず、セキュリティ箔20が記録層11の表面に転写される。キャリア41上のセキュリティ箔20に、キャリア41を介して熱や圧力が加えられることによって、保護層22と記録層11とが接着する。そして、セキュリティ箔20に対するキャリア41の相対位置が変わることによって、セキュリティ箔20がキャリア41から剥がれる。なお、セキュリティ箔20は、記録層11に限らず表面側被覆層12に転写されてもよい。
【0086】
セキュリティ箔20の転写は、金属製または樹脂製のスタンパーを用いて行うことができる。この転写工程では、セキュリティ箔20が転写する条件として、温度を80℃以上150℃以下に設定し、スタンパーによりセキュリティ箔20が被転写体に接触する時間を0.1秒以上3秒以下に設定し、かつ、転写圧を100kg/cm以上500kg/cm以下に設定することができる。温度、接触時間、および、転写圧の各々が各上限値以下に設定されることによって、過剰な熱量がセキュリティ箔20の周囲の部分を被転写体に転写させること、および、過剰な熱量が被転写体の表面を変形させることが抑えられる。また、温度、接触時間、および、転写圧の各々が各下限値以上に設定されることによって、被転写体に対するセキュリティ箔20の接着性の不十分さが、セキュリティ箔20の一部を被転写体に転写させないことが抑えられる。
【0087】
図8が示すように、セキュリティ箔20が転写された記録層11を表面側被覆層12によって覆う。そして、セキュリティ箔20、記録層11、および、表面側被覆層12に熱と圧力とを加えることによって、記録層11と表面側被覆層12とを接着し、かつ、記録層11と表面側被覆層12とによってセキュリティ箔20を封入する。この接着工程では、記録層11および表面側被覆層12を軟化しかつ変形させる熱量を、記録層11および表面側被覆層12に与えることができる。これにより記録層11と表面側被覆層12との接着における確実性を高められる。なお、記録層11および表面側被覆層12がポリカーボネートを含むときには、これらに熱を与える熱源の温度を170℃以上200℃以下に設定し、かつ、熱源がこれらに接する時間を1分以上30分以下に設定することができる。これにより、ポリカーボネートを含む記録層11および表面側被覆層12を確実に接着できる。
【0088】
なお、転写工程において、表面側被覆層12にセキュリティ箔20を転写したときには、接着工程において、セキュリティ箔20が転写された表面側被覆層12を記録層11によって覆えばよい。
【0089】
図9が示すように、表面側被覆層12を介して記録層11の一部にレーザー光線Lを照射する。この照射工程によって、記録層11に被照射領域11aを形成することができる。これにより、被照射領域11aを有した積層体10を得ることができる。被照射領域11aを有した積層体10は、証明証とできる。
【0090】
なお、セキュリティ箔20を支持するキャリア41には、フィルムを用いることができる。フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリプロピレン(PP)などのプラスチック製のフィルムを用いることができる。キャリア41に用いられるフィルムは、セキュリティ箔20の転写時にキャリア41に与えられる熱や圧力によって変形や変質を生じにくいフィルムとできる。なお、キャリア41には、紙、合成紙、プラスチック複層紙、および、樹脂含浸紙などを用いることができる。キャリア41の厚さは、4μm以上とできる。さらに、12μm以上50μm以下としてもよい。キャリア41の厚さが4μm以上であることによって、キャリア41の物理的な強度が不十分であることが、キャリア41を取り扱いにくくすることが抑えられる。
【0091】
キャリア41は、単層構造に限らず、多層構造でもよい。キャリア41が多層構造であるときには、上述したプラスチック製のフィルムなどのようにキャリア41に物理的な強度を与えるコア層と、コア層とセキュリティ箔20との間に位置する中間層とを備える構成であってもよい。こうした中間層には、セキュリティ箔20の剥離のされやすさを調整する層を用いることができる。
【0092】
また、上述した証明証30を製造するときには、図7を用いて先に説明した工程において、記録層11を表面側被覆層12で覆う。そして、記録層11、白色層31b、および、裏面側被覆層31aをこの順に積層した状態で、セキュリティ箔20、記録層11、表面側被覆層12、白色層31b、および、裏面側被覆層31aに熱と圧力とを加える。これにより、証明証30の前駆体を形成することができる。この前駆体の記録層11に、識別情報や識別可能な生体情報を記録することで証明証30が得られる。
【0093】
[実験結果]
以下、証明証の実験結果と比較結果とを説明する。
[実験結果1]
証明証の製造に先立ち、キャリア上にセキュリティ箔を以下の方法で形成した。まず、厚さが25μmであるPETフィルム(ルミラー25T60、東レ(株)製)(ルミラーは登録商標)をキャリアとして準備し、グラビア印刷法によって、PETフィルムの1つの面にレリーフ層用の樹脂Aを塗布した。このとき、樹脂Aに含まれる溶剤を揮発させることによって除去した後の塗膜の厚さが3μmとなるように、樹脂AをPETフィルムに塗布した。そして、溶剤を除去した後の塗膜に金属円筒版を押し当てることによって、ロール形成加工を行った。これにより、レリーフ面を含むレリーフ層を得た。このとき、プレス圧力を2kgf/cmに設定し、プレス温度を240℃に設定し、プレススピードを10m/分に設定した。
【0094】
そして、真空蒸着法を用いて、硫化亜鉛(ZnS)製の反射層を600Åの厚さでレリーフ面に形成した。次いで、保護層用の樹脂Bを反射層上にグラビア印刷法によって塗布した。このとき、樹脂Bに含まれる溶剤を揮発させることによって除去した層である保護層の厚さが4μmとなるように、樹脂Bを反射層に塗布した。これにより、キャリアに形成されたセキュリティ箔を得た。なお、セキュリティ箔の厚さは、7.06μmであることが認められた。
【0095】
[レリーフ層用の樹脂A]
ポリメタクリル酸メチル 20質量部
ポリエステル 10質量部
メチルエチルケトン 80質量部
【0096】
[保護層用の樹脂B]
ポリアクリル酸エステル 20質量部
ポリエステル 10質量部
メチルエチルケトン 50質量部
トルエン 50質量部
【0097】
次に、厚さが100μmである記録層(LEXAN SD8B94、SABIC社製)を準備し、ホットスタンプ転写機を用いて、記録層にセキュリティ箔を転写した。このとき、転写温度を140℃に設定し、圧力を200Kg/cmに設定し、転写時間を1秒に設定した。
【0098】
厚さが100μmである各被覆層(LEXAN SD8B14、SABIC社製)、および、厚さが400μmであり、かつ、印刷体が形成された白色層(LEXAN SD8B24、SABIC社製)を準備した。そして、裏面側被覆層、白色層、記録層、および、表面側被覆層が厚さ方向に沿ってこの順に並び、かつ、記録層と表面側被覆層とにセキュリティ箔が封入されるように、これらの層を積層した。その後、これらの層の積層体に熱源を用いて熱と圧力とを加えることによって、裏面側被覆層、白色層、記録層、および、表面側被覆層を接着した。このとき、熱源の温度を190℃に設定し、圧力を80N/cmに設定し、熱源が積層体に接触する時間を15分に設定した。
【0099】
次いで、得られた積層体をカード状に打ち抜いた。そして、レーザー印刷機を用いて記録層の一部にレーザー光線を照射することによって、被照射領域を形成した。このとき、レーザー印刷機として、波長が1064nmであるレーザー光線を出力する印刷機を用いた。なお、被照射領域を形成することによって、証明証の所有者に紐付けられた個別情報を記録層に記録した。これにより、証明証を得た。
【0100】
[比較結果1]
レリーフ層用の樹脂を樹脂Aから樹脂Cに変更し、かつ、保護層用の樹脂を樹脂Bから樹脂Dに変更する以外は、実験結果1と同じ方法によって、比較結果1の証明証を得た。
【0101】
[レリーフ層用の樹脂C]
ポリアクリル酸エステル 20質量部
ポリエステル 10質量部
メチルエチルケトン 50質量部
トルエン 50質量部
【0102】
[保護層用の樹脂D]
ポリメタクリル酸メチル 20質量部
ポリエステル 10質量部
メチルエチルケトン 80質量部
【0103】
[評価]
実験結果1の証明証と、比較結果1の証明証の各々について、セキュリティ箔と記録層との間の接着強度、および、セキュリティ箔と表面側被覆層との間の接着強度を測定した。なお、接着強度を、JIS K 6854-1(ISO 8510-1)によって規定された90度剥離試験方法に準拠する方法で測定した。実験結果1および比較結果1における測定結果は、以下の表1に示す通りであった。また、上述したように、セキュリティ箔の厚さが7.06μmであり、記録層の厚さが100μmであるため、実験結果1と比較結果1との両方において、セキュリティ箔の厚さは、記録層の厚さのおよそ1/12.5であることが認められた。
【0104】
【表1】
【0105】
表1が示すように、実験結果1の証明証において、セキュリティ箔と表面側被覆層との間の接着強度が5.1N/15mm幅であり、セキュリティ箔と表面側被覆層との界面における分離が可能であることが認められた。これに対して、セキュリティ箔と記録層との間の接着強度が20N/15mm幅以上であることが認められた。また、セキュリティ箔と記録層との界面における分離が困難であり、セキュリティ箔を記録層から剥がそうとすると、セキュリティ箔と記録層との界面付近において、セキュリティ箔が破壊され、ひいては、レリーフ層が破壊されることが認められた。そのため、実験結果1の証明証に含まれるセキュリティ箔の再利用は難しいことが認められた。
【0106】
一方で、比較結果1の証明証において、セキュリティ箔と表面側被覆層との間の接着強度が20N/15mm幅以上であることが認められた。また、セキュリティ箔を表面側被覆層から剥がそうとすると、セキュリティ箔と表面側被覆層との界面付近において、セキュリティ箔が破壊され、ひいては、レリーフ層が破壊されることが認められた。これに対して、セキュリティ箔と記録層との間の接着強度は、4.6N/15mm幅であり、セキュリティ箔と記録層との界面における分離が可能であることが認められた。つまり、比較結果1では、個別情報を含まない表面側被覆層とともにセキュリティ箔が記録層から分離されることから、セキュリティ箔を表面側被覆層とともに再利用し、これによって、偽造した記録層とセキュリティ箔とを組み合わせることによって、偽の証明証を製造することが可能であることが認められた。言い換えれば、比較結果1の証明証に含まれるセキュリティ箔の再利用が容易であることが認められた。
【0107】
以上説明したように、積層体、証明証、および、積層体の製造方法の一実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)セキュリティ箔20の厚さは、記録層11の厚さの1/5以下であるため、例えば、セキュリティ箔20の厚さが記録層11の厚さと同程度である構成と比べて、セキュリティ箔20を破壊せず記録層11からセキュリティ箔20を剥がすことが難しい。それゆえに、積層体10が備えるセキュリティ箔20を再利用して偽の積層体を製造することが難しい。
【0108】
(2)被照射領域11aをセキュリティ箔20で覆うことで、被照射領域11aに記録された情報の改ざんを防止することができる。
(3)記録層11がポリカーボネートを含み、かつ、保護層22がカーボネート結合、ウレタン結合、または、エステル結合を含むことによって、記録層11と保護層22との間の接着強度を高くすることが容易である。
【0109】
(4)記録層11および表面側被覆層12がポリカーボネートを含み、かつ、保護層22がポリカーボネートよりも低い融点の樹脂を含み、かつ、レリーフ層21がポリカーボネートよりも高い融点の樹脂を含むことができる。これにより、保護層22と記録層11との間の接着強度を高め、かつ、レリーフ層21と表面側被覆層12との間の接着強度を低めることができる。
【0110】
(5)レリーフ層21が第1の物質群のうち少なくとも1つの物質を含み、保護層22が第2のうち物質群のうち少なくとも1つの物質を含むことによって、セキュリティ箔20と記録層11との間の接着強度が、セキュリティ箔20と表面側被覆層12との間の接着強度よりも高い構成の実現が容易である。
【0111】
(6)レリーフ構造が入射光に対する特定の光学的な特性を有するため、セキュリティ箔20の偽造が難しい。これにより、セキュリティ箔20を備える積層体10の偽造も難しくなり、結果として、積層体10の偽造を抑えることができる。
【0112】
(7)表面側被覆層12は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過し、セキュリティ箔20は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過することができる。これにより、表面側被覆層12とセキュリティ箔20とを介して、記録層11に被照射領域11aを形成することができる。すなわち、記録層11の厚さ方向から見て、セキュリティ箔20が覆う領域に被照射領域11aを形成することができる。
【0113】
なお、上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施することができる。
・反射層23の可視光に対する屈折率は、2.0未満であってもよい。こうした構成であっても、反射層23の屈折率が、レリーフ層21の屈折率よりも高ければ、積層体10が反射層23を備えることによって、上述した反射層23による効果を少なからず得ることはできる。
【0114】
本開示の範囲は、図示され記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含むことができる。更に、本開示の範囲は、請求項により画される発明の特徴(feature)に限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴(feature)、その特徴(feature)のあらゆる組み合わせも含む。
【0115】
本開示で用いられる「部分」、「要素」、「画素」、「セル」、「セグメント」「単位」「表示体」、「物品」という用語は、物理的存在である。物理的存在は、物質的形態、または、物質に囲まれた空間的形態を指すことができる。物理的存在は、構造体とできる。構造体は、特定の機能を有するものとできる。特定の機能を有した構造体の組み合わせは、各構造体の各機能の組み合わせにより相乗的効果を発現できる。
【0116】
本開示および特に添付の特許請求の範囲内で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は、一般的に、「オープンな」用語として意図される(例えば、「含む」という用語は、 「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「含むがそれに限定されない」などと解釈されるべきである。)
【0117】
また、用語、構成、フィーチャー、側面、実施形態を解釈する場合、必要に応じて図面を参照すべきである。図面により、直接的かつ一義的に導き出せる事項は、テキストと同等に、補正の根拠とすべきである。
【0118】
さらに、特定の数の導入されたクレーム記載が意図される場合、そのような意図はクレームに明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」の導入句の使用を含み、請求の列挙を導入することができる。しかしながら、そのような語句の使用は、不定冠詞「a」または「an」によるクレーム記載の導入が、そのようなクレームを含む特定のクレームを、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。 「1つ以上」または「少なくとも1つ」の冒頭の語句および「a」または「an」などの不定冠詞(例えば、「a」および/または「an」)は、少なくとも「少なくとも」を意味すると解釈されるべきである(「1つ」または「1つ以上」)。クレーム記述を導入するために使用される明確な記事の使用についても同様である。
【0119】
また、本願が優先権を主張する、日本国特許出願2018-001297号(2018年1月9日出願)の全内容は、参照により本開示に組み込まれる。
【符号の説明】
【0120】
10…積層体、10F,21F,30F,31bF…表面、11…記録層、11a…被照射領域、11b…未照射領域、12…表面側被覆層、20…セキュリティ箔、21…レリーフ層、21R…レリーフ面、22…保護層、22R…裏面、23…反射層、30…証明証、31…支持層、31a…裏面側被覆層、31b…白色層、32…印刷体、41…キャリア、L…レーザー光線、PIC1…第1画像、PIC2…第2画像、PIC3…第3画像、PIC4…第4画像、PIC5…第5画像、PIC5a…識別情報の種類、PIC5b…識別情報。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録層と、
透光性の表面側被覆層と、
前記記録層と前記表面側被覆層とでラミネートされ、積層体内に封入された厚さが前記記録層の厚さの1/5以下であるセキュリティ箔と、を備え、
前記セキュリティ箔は、レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、かつ、前記厚さ方向において、前記保護層は前記記録層に接し、前記レリーフ層は前記表面側被覆層に接し、
前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高く、
前記レリーフ層は、ポリメタクリル酸メチルを含む
積層体。
【請求項2】
前記記録層は、前記積層体の厚さ方向から見て、前記セキュリティ箔が覆う領域に被照射領域を有する
請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記記録層は、ポリカーボネートを含み、
前記保護層は、カーボネート結合、ウレタン結合、または、エステル結合を有する樹脂を含む
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項4】
前記保護層は、ポリウレタン、ポリアクリル酸メチル、ポリエステル、酸変性ポリオレフィン、および、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂から構成される第2の物質群のうち少なくとも1つを含み、
前記記録層および前記表面側被覆層の各々は、ポリカーボネート、非晶質コポリエステル、および、ポリ塩化ビニルから構成される第3の物質群のうち少なくとも1つを含む
請求項1または2に記載の積層体。
【請求項5】
前記レリーフ面は、前記レリーフ面に入射した入射光を回折する特性、前記入射光の反射を抑制する特性、前記入射光を等方的に反射する特性、前記入射光を異方的に反射する特性、前記入射光を集光する特性、および、前記入射光に含まれる特定の偏光を反射する特性の少なくとも1つを有する
請求項1からのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項6】
前記表面側被覆層は、赤外線における一部の帯域または全帯域の波長を透過し、
前記セキュリティ箔は、赤外線における前記一部の帯域または全帯域の波長を透過する
請求項1からのいずれか一項に記載の積層体。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の積層体と、
前記積層体を補強する支持層と、を備える
証明証。
【請求項8】
記録層と表面側被覆層とを準備することと、
レリーフ面を有するレリーフ層と、前記レリーフ面を覆う保護層とを備え、前記記録層の1/5以下の厚さのセキュリティ箔を、前記記録層の外縁および前記表面側被覆層の外縁よりも内側に位置するように、前記記録層と前記表面側被覆層とによって封入することと、
前記記録層と前記表面側被覆層との間に前記セキュリティ箔を配置した状態で、前記記録層、前記表面側被覆層、および、前記セキュリティ箔に熱と圧力とを加えることによって、前記記録層と前記表面側被覆層とによって前記セキュリティ箔が封入され、かつ、前記保護層が前記記録層に接し、前記レリーフ層が前記表面側被覆層に接する積層体を形成することと、を含み、
前記セキュリティ箔と前記記録層との間の接着強度が、前記セキュリティ箔と前記表面側被覆層との間の接着強度よりも高く、
前記レリーフ層は、ポリメタクリル酸メチルを含む
積層体の製造方法。