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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011382
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02208 20210101AFI20230117BHJP
【FI】
H01S5/02208
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115212
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 輝明
(72)【発明者】
【氏名】松田 佳昭
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC04
5F173MD65
5F173MD84
5F173ME03
5F173ME14
5F173ME15
5F173ME64
5F173ME85
5F173MF03
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】特性劣化が抑制された短波長のレーザ光を出射可能な光半導体装置を提供する。
【解決手段】光半導体装置100は、レーザ光を出射する出射面30aを有する半導体レーザアレイ30と、半導体レーザアレイ30に電力を供給する第1電極体10及び第2電極体50と、出射面30aの周辺に気体を噴出する噴出孔40と、を少なくとも有している。半導体レーザアレイ30は、第1電極体10と第2電極体50とで半導体レーザアレイ30の厚さ方向に挟み込まれるように配置される。噴出孔40は第1電極体10に設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を出射する出射面を有する半導体レーザ素子と、
前記半導体レーザ素子に電力を供給する第1電極体及び第2電極体と、
前記出射面の周辺に気体を噴出する噴出孔と、を少なくとも有し、
前記半導体レーザ素子は、前記第1電極体と前記第2電極体とで前記半導体レーザ素子の厚さ方向である第1方向に挟み込まれるように配置され、
前記噴出孔が、前記第1電極体、前記第2電極体、前記半導体レーザ素子と前記第1電極体との間隙、または前記半導体レーザ素子と前記第2電極体との間隙のいずれかに設けられている、光半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光半導体装置において、
前記噴出孔は、前記出射面の法線方向と交差する方向である第2方向に沿って複数設けられている、光半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光半導体装置において、
前記半導体レーザ素子は、それぞれ前記レーザ光を出射するエミッタを複数有しており、
複数の前記エミッタは、前記第2方向に沿って互いに間隔をあけて設けられている、光半導体装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
前記レーザ光の光路中に前記出射面と所定の間隔をあけて配置された光学部品をさらに備え、
前記噴出孔から噴出された前記気体が前記光学部品と前記出射面との間を通るように、前記噴出孔が配置されている、光半導体装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光半導体装置において、
前記レーザ光の波長範囲は、380nm以上、550nm以下である、光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は光半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、レーザ加工等に使用される光半導体装置の光源として、短波長のレーザ光を出射する半導体レーザが用いられてきている。例えば、緑色から青紫色の波長域のレーザ光を用いることが多くなっている。
【0003】
また、高出力のレーザ光を得るために、複数のエミッタが一方向に配列された半導体レーザアレイが用いられる。複数のエミッタからそれぞれ出射されたレーザ光が1または複数の光学部品により結合され、1本のレーザ光に合成されることで、高出力のレーザ光が得られる。また、通常、半導体レーザアレイは、中空パッケージの内部に収容される。
【0004】
一方、短波長のレーザ光は、大気中の低分子シロキサン(以下、単にシロキサンと言う)を分解することが知られている。パッケージ内に存在するシロキサンがレーザ光により分解されると、レーザ光の光密度が最も高い半導体レーザアレイの光出射面に付着し、レーザ特性を劣化させるという課題があった。
【0005】
これを防止するため、通常、半導体レーザアレイを透明窓が設けられた中空パッケージに収容し、パッケージを気密封止することが行われる。
【0006】
しかし、半導体レーザアレイに搭載されるエミッタの数が増加すると、チップの幅が増大し、サイズが規格化された気密封止パッケージに収容することが難しくなる。
【0007】
これを解決するため、例えば、特許文献1には、気体の導入口と排気口とを設けたケース内にGaN系半導体レーザ素子を収容する構成が提案されている。この構成では、導入口から導入された気体を半導体レーザ素子の光出射面に吹き付けるための筒体が設けられている。筒体から気体を吹き付けることにより、光出射面にシロキサンの分解物等の汚染物質が付着するのを抑制できる。このことにより、レーザ特性の劣化を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2020/054593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示される従来の構成では、パッケージに筒体を取り付けるにあたって、有限の組立公差が発生する。これは、パッケージの内部に半導体レーザアレイを配置する場合にも生じる。したがって、筒体の先端、つまり、気体の噴出口と半導体レーザアレイの光出射面との距離や位置関係を正確に設定することは難しかった。このため、光出射面の周辺の雰囲気中にシロキサン等が残存し、分解物が光出射面に付着してしまうおそれがあった。
【0010】
また、光出射面に対し、気体が適切に吹き付けられない場合、光出射面の温度が上昇し、長時間使用時にレーザ特性が劣化してしまうおそれがあった。
【0011】
本開示はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、特性劣化が抑制された短波長のレーザ光を出射可能な光半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本開示に係る光半導体装置は、レーザ光を出射する出射面を有する半導体レーザ素子と、前記半導体レーザ素子に電力を供給する第1電極体及び第2電極体と、前記出射面の周辺に気体を噴出する噴出孔と、を少なくとも有し、前記半導体レーザ素子は、前記第1電極体と前記第2電極体とで前記半導体レーザ素子の厚さ方向である第1方向に挟み込まれるように配置され、前記噴出孔が、前記第1電極体、前記第2電極体、前記半導体レーザ素子と前記第1電極体との間隙、または前記半導体レーザ素子と前記第2電極体との間隙のいずれかに設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、特性劣化が抑制された短波長のレーザ光を出射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係る光半導体装置の斜視図である。
図2】光半導体装置の要部の正面図である。
図3図1のIII-III線での断面模式図である。
図4】変形例1に係る光半導体装置の断面模式図である。
図5】変形例1に係る別の光半導体装置の断面模式図である。
図6】実施形態2に係る光半導体装置の断面模式図である。
図7】変形例2に係る光半導体装置の断面模式図である。
図8】変形例2に係る別の光半導体装置の断面模式図である。
図9】変形例3に係る光半導体装置の断面模式図である。
図10】変形例3に係る別の光半導体装置の断面模式図である。
図11】実施形態3に係る光半導体装置の断面模式図である。
図12】実施形態3に係る別の光半導体装置の断面模式図である。
図13】その他の実施形態に係る光半導体装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0016】
(実施形態1)
[光半導体装置の構成]
図1は、実施形態1に係る光半導体装置の斜視図を示し、図2は、光半導体装置の要部の正面図を示し、図3は、図1のIII-III線での断面模式図を示す。
【0017】
なお、図1~3において、光半導体装置100及びこれを構成する各部の形状を模式的に図示している。
【0018】
なお、以降の説明において、エミッタ31(図2参照)から出射されるレーザ光の光軸方向をZ方向または前後方向あるいは第3方向と呼ぶことがある。Z方向は、半導体レーザアレイ30の出射面30aの法線方向に相当する。半導体レーザアレイ30の厚さ方向をY方向または上下方向あるいは第1方向と呼ぶことがある。Z方向及びY方向とそれぞれ交差する方向をX方向または左右方向あるいは第2方向と呼ぶことがある。Z方向において、レーザ光が出射される側を前または前側あるいは前方と呼び、その反対側を後または後側あるいは後方と呼ぶことがある。Y方向において、第2電極体50が配置された側を上または上側あるいは上方と呼び、その反対側である第1電極体10が配置された側を下または下側あるいは下方と呼ぶことがある。
【0019】
図1~3に示すように、光半導体装置100は、第1電極体10と支持体20と半導体レーザアレイ30と第2電極体50と絶縁体60とを有している。
【0020】
第1電極体10は、銅からなる板状の部材である。なお、第1電極体10の材質を銅合金としてもよい。また、第1電極体10の厚さは、要求される光半導体装置100の電気抵抗やレーザ光の出力や放熱性等に応じて適宜変更されうる。
【0021】
また、第1電極体10は、張り出し部11を有している。張り出し部11は、支持体20の前端面よりも前方に張り出した第1張り出し部11aと、第1張り出し部11aの左右に配置された第2張り出し部11bを有している。第2張り出し部11bの上面は、張り出し部11以外の第1電極体10の上面からそのまま連続して前方に延びている。一方、第1張り出し部11aの上面は、前方に延びるにつれて下方に傾斜している。
【0022】
また、第1張り出し部11aには、複数の噴出孔40が設けられている。図1,2に示すように、複数の噴出孔40は、X方向に沿って互いに間隔をあけて設けられている。また、複数の噴出孔40が配置された領域のX方向に沿った長さは、半導体レーザアレイ30のX方向の幅と同程度かそれよりも長い。
【0023】
図3に示すように、複数の噴出孔40のそれぞれは、第1電極体10の下面から第1張り出し部11aの上面にかけてY方向に沿って延在している。また、複数の噴出孔40のそれぞれは、第1張り出し部11aの上面において、半導体レーザアレイ30におけるレーザ光の出射面30a(以下、単に出射面30aと呼ぶ)の周辺に配置されている。
【0024】
図示しない気体供給装置から供給された気体は、第1電極体10の下面から複数の噴出孔40のそれぞれを通って、第1張り出し部11aの上面に噴出される。このため、図3に示すように、気体は、Y方向に沿って、出射面30aと略平行に、下方から上方に流れる。また、出射面30aのX方向の幅全体にわたって気体が流れる。
【0025】
なお、本実施形態において、噴出孔40から供給される気体は、ドライエアーであるが、特にこれに限定されない。他の種類の気体、例えば、水分量が調整された窒素等の不活性ガスであってもよい。
【0026】
支持体20は、銅とタングステンの金属複合体(線膨張係数 6.0×10-6/K、熱伝導率 154W/mK、ヤング率 350GPa)からなる板状の導電部材である。支持体20は、平面視で四角形状である。なお、支持体20のX方向の幅及びZ方向の幅は、半導体レーザアレイ30のサイズや放熱性等に応じて適宜変更されうる。
【0027】
また、支持体20は、後で述べる半導体レーザアレイ30を構成する主たる半導体材料と線膨張係数が近く、また、ヤング率が高い導電材料であればよい。よって、支持体20を他の材質、例えば、銅とダイヤモンドの複合体(線膨張係数 6.0×10-6/K、熱伝導率 530W/mK、ヤング率 560GPa)としてもよい。支持体20として銅とダイヤモンドの複合体を用いた場合、前述の銅とタングステンの金属複合体を支持体20に用いた場合よりも熱抵抗を低減することができる。なお、前述の複合体とは、銅のブロック中にタングステンの粒体やダイヤモンドの粒体が充満した状態の材料を言う。
【0028】
半導体レーザアレイ30は、それぞれ前方にレーザ光を出射する複数のエミッタ31(図2参照)を有している。半導体レーザアレイ30を構成する主たる半導体材料は窒化ガリウムである(GaN:線膨張係数 5.6×10-6/K)。半導体レーザアレイ30からは、短波長のレーザ光が出射される。ここで、「短波長」とは、例えば、400nm以上、460nm以下の波長範囲を言うが、特にこれに限定されない。レーザ光の波長範囲は、光半導体装置100の実使用期間において、シロキサンが所定量以上分解される程度の範囲である。例えば、レーザ光の波長範囲が、380nm以上、550nm以下であってもよい。
【0029】
半導体レーザアレイ30は、平面視で略四角形状であり、半導体レーザアレイ30の外形は、支持体20の外形よりも一回り小さくなるように設定される。半導体レーザアレイ30の上面及び下面にはそれぞれ金を主として含む電極(図示せず)が形成されている。
【0030】
また、図2及び図3に示すように、半導体レーザアレイ30の上面には、図示しない電極を介して複数のバンプ電極33が設けられている。複数のバンプ電極33は、X方向及びZ方向に互いに間隔をあけて設けられている。複数のバンプ電極33のそれぞれは、第2電極体50と直接、または図示しない導電材シートを介して、電気的に接続されている。
【0031】
また、図2,3に示すように、支持体20の上面に半導体レーザアレイ30が金属ロウ材70を介して接合されている。具体的には、エミッタ31の発光点32が支持体20の上面に近い側に位置するようにして半導体レーザアレイ30が配置される。なお、金属ロウ材70として、例えば、金スズ合金(AuSn)が用いられる。また、支持体20と第1電極体10とは、金属ロウ材70を介して接合されている。金属ロウ材70として、例えば、金スズ合金(AuSn)が用いられる。
【0032】
つまり、半導体レーザアレイ30は、複数のバンプ電極33と支持体20と金属ロウ材70とを介して、第1電極体10及び第2電極体50とそれぞれ電気的に接続されている。
【0033】
図3に示すように、半導体レーザアレイ30の前端面がレーザ光の出射面30aである。支持体20の前端面と半導体レーザアレイ30の前端面とが略面一になるようにするか、あるいは半導体レーザアレイ30の前端面を支持体20の前端面よりも所定の長さだけ前方に突出させるようにするかして、半導体レーザアレイ30が支持体20の上面に実装される。
【0034】
なお、本願明細書におけるエミッタ31は、1本のレーザ光を出射するための半導体レーザ構造を言う。また、本願明細書における半導体レーザアレイ30は、1つの半導体基板に複数のエミッタ31が形成された構造(図2参照)だけでなく、個別に形成された複数のエミッタ(図示せず)がX方向に配列された構造も含む。後者の場合、支持体20の表面からの発光点32の高さが、それぞれのエミッタ31で同じになるように、複数のエミッタ31が支持体20の上面に実装される。
【0035】
第2電極体50は、銅からなる板状の部材である。第2電極体50の下面には、前方が開放された凹部51が形成されている。図3に示すように、第1電極体10と凹部51とで囲まれる空間に、支持体20及び半導体レーザアレイ30が収容される。なお、第2電極体50の材質を銅合金としてもよい。また、第2電極体50の厚さは、要求される光半導体装置100の電気抵抗やレーザ光の出力や放熱性等に応じて適宜変更されうる。
【0036】
また、第2電極体50は、凹部51から前方に張り出した張り出し部52を有している。第2電極体50の張り出し部52は、絶縁体60を挟んで第1電極体10の第2張り出し部11bと重なるように配置されている。
【0037】
光半導体装置100の第1電極体10及び第2電極体50は、前述の張り出し部11,52をそれぞれ有している。このことにより、支持体20から第1電極体10への熱引き及び半導体レーザアレイ30から第2電極体50への熱引きを向上できる。また、第1電極体10の第1張り出し部11aの上面が下り傾斜となっているため、第1電極体10に干渉されること無く、複数のエミッタ31のそれぞれからレーザ光を前方に向けて出射することができる。
【0038】
絶縁体60は、窒化アルミニウムからなるシート状の部材であり、図示しないが、その外形は、第1電極体10の上面の外形に対応している。図1,3に示すように、絶縁体60は、第1電極体10と第2電極体50とに挟み込まれて、第1電極体10と第2電極体50とを互いに電気的に絶縁している。なお、本実施形態では、絶縁性と放熱性を両立させる観点から、絶縁体60の材質を窒化アルミニウムとしたが、他の材質を選択してもよい。
【0039】
また、第1電極体10と半導体レーザアレイ30とは、金属ロウ材70と支持体20とを介して電気的に接続される一方、絶縁体60によって、第2電極体50と電気的に絶縁される。
【0040】
以上説明したように構成された光半導体装置100において、第1電極体10と第2電極体50との間に外部から所定の電圧を印加することで、半導体レーザアレイ30に所定量の電流が通電され、複数のエミッタ31のそれぞれからレーザ光が前方に向けて出射される。つまり、第1電極体10及び第2電極体50から、半導体レーザアレイ30に所定の電力が供給される。なお、高出力のレーザ光を得るために、1または複数の光学部品(図示せず)により、複数のレーザ光が結合され、1本のレーザ光に合成されてもよい。
【0041】
また、光半導体装置100を構成する各部品、つまり、第1電極体10と支持体20と半導体レーザアレイ30と第2電極体50と絶縁体60とは、互いに位置合わせを行った上で組み立てられる。したがって、組立公差の範囲内で、複数の噴出口40に対する出射面30aの位置は、設計された配置となる。
【0042】
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る光半導体装置100は、レーザ光を出射する出射面30aを有する半導体レーザアレイ(半導体レーザ素子)30と、半導体レーザアレイ30に電力を供給する第1電極体10及び第2電極体50と、出射面30aの周辺に気体を噴出する噴出孔40と、を少なくとも有している。
【0043】
半導体レーザアレイ30は、第1電極体と第2電極体50とで半導体レーザアレイ30の厚さ方向であるY方向(第1方向)に挟み込まれるように配置されている。
【0044】
噴出孔40は、第1電極体10の第1張り出し部11aをY方向に貫通して、かつX方向(第2方向)に互いに間隔をあけて複数設けられている。
【0045】
このように噴出孔40を設けることで、気体が出射面30aの周辺をY方向に沿って下方から上方に流れる。また、気体は出射面30aのX方向の幅全体にわたって流れる。
【0046】
本実施形態によれば、噴出孔40から気体を噴出させることで、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。このことにより、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。ここで、レーザ特性の劣化とは、例えば、長時間使用時にレーザ光の出力が許容範囲を超えて低下することを言い、レーザ発振が突然停止し、レーザ光が出射不能となる場合も含む。または、レーザ光の進行方向(Z方向)と交差する平面におけるレーザ光の広がり形状が、許容範囲を超えて変形してしまうことを言う。
【0047】
また、前述したように、組立公差の範囲内で、複数の噴出口40に対する出射面30aの位置が定められる。
【0048】
一方、特許文献1に開示された従来の構成では、パッケージに取り付けられた筒体から半導体レーザアレイ30の出射面30aに気体を吹き付けることになる。この場合、出射面30aに対する筒体の先端の位置及び角度は、パッケージに対する筒体の取り付け公差の範囲でばらつく。さらに、パッケージに対する半導体レーザアレイの組立公差の範囲のばらつきも重畳される。
【0049】
つまり、前述した従来の構成では、本実施形態に示す構成に比べて、出射面30aに対する筒体の先端、つまり、気体が噴出される部分の位置が大幅にばらついてしまう。また、出射面30aに対する筒体の先端の角度もばらつく。これらのことにより、出射面30aに対して、気体が適切に吹き付けられず、出射面30aの周辺の雰囲気中にシロキサン等が所定量以上残存してしまうおそれがあった。また、シロキサンの分解物の付着により、レーザ特性が劣化してしまうおそれがあった。さらに、出射面30aに対して、気体が適切に吹き付けられない場合、出射面30aの温度が上昇し、長時間使用時にレーザ特性が劣化してしまうおそれがあった。
【0050】
一方、本実施形態によれば、複数の噴出口40に対する出射面30aの位置ばらつきを、小さくできる。このことにより、出射面30aの周辺に気体を適切に噴出することができ、シロキサンの分解物の付着によるレーザ特性の劣化を抑制できる。また、出射面30aの温度上昇を抑制して、長時間使用時のレーザ特性の劣化を抑制できる。
【0051】
さらに本実施形態によれば、シロキサンの分解物の付着を防止する観点では、中空パッケージ内に光半導体装置100を気密封止する必要が無い。このことにより、光半導体装置100のコストを低減できる。また、複数の光半導体装置100を用いて高出力のレーザ光源(図示せず)を構成する場合、レーザ光源の内部での光半導体装置100の配置自由度を高められる。
【0052】
また、従来の構成では、中空パッケージの内部に筒体を配置するため、パッケージ自体が大きくなり、ひいては、光半導体装置100が大型化してしまうおそれがあった。
【0053】
一方、本実施形態によれば、少なくとも筒体が不要となるため、光半導体装置100を小型化できる。
【0054】
半導体レーザアレイ30は、それぞれレーザ光を出射するエミッタ31を複数有している。複数のエミッタ31は、X方向(第2方向)に沿って互いに間隔をあけて設けられている。
【0055】
半導体レーザアレイ30をこのようにすることで、複数のエミッタ31から出射されたレーザ光をまとめて、1本の高出力のレーザ光を出射できる。
【0056】
なお、半導体レーザアレイ30が実装された支持体20を第1電極体10と第2電極体50とで挟み込んで保持固定する手法は、種々考えられる。例えば、第1電極体10と第2電極体50のそれぞれの四隅であって、平面視で支持体20と重ならない部分にねじ孔(図示せず)を設けてもよい。この場合、それぞれのねじ孔にねじまたはボルト(いずれも図示せず)を挿通して、第1電極体10と第2電極体50とが導通しないように、ねじ孔に締結する。このようにすることで、半導体レーザアレイ30及び支持体20を第1電極体10と第2電極体50とで挟み込んで保持固定してもよい。
【0057】
<変形例1>
図4は、本変形例に係る光半導体装置の断面模式図を示し、図5は、別の光半導体装置の断面模式図を示す。なお、説明の便宜上、図4,5及び以降に示す各図面において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
噴出孔を第1電極体10に形成するにあたって、図3に示す例以外に種々の配置が考えられる。例えば、図4に示すように、噴出孔41を第1電極体10に設けてもよい。噴出孔41は、その一端が、第1電極体10の後端面に設けられている。また、噴出孔41は、当該一端から第1電極体10の内部をZ方向に沿って延びている。さらに、噴出孔41は、支持体20の前端面の近傍で上方に向かい、他端が第1張り出し部11aの上面に達している。なお、図示しないが、噴出孔40と同様に、噴出孔41は、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。このことは、実施形態1に示す構成と同様である。なお、この場合、第1電極体10の後端面に設けられた複数の噴出孔41の一端が、一つにまとめられていてもよい。
【0059】
図4に示す構成においても、気体が出射面30aの周辺をY方向に沿って下方から上方に流れる。また、気体は出射面30aのX方向の幅全体にわたって流れる。
【0060】
したがって、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、噴出孔41から気体を噴出させることで、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。このことにより、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。また、出射面30aの温度上昇を抑制して、長時間使用時のレーザ特性の劣化を抑制できる。
【0061】
また、図5に示すように、噴出孔42を第1電極体10に設けてもよい。噴出孔42は、第1電極体10をY方向に貫通している点で、図3に示す噴出孔40と同様である。また、なお、図示しないが、噴出孔40と同様に、噴出孔42は、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。このことは、実施形態1に示す構成と同様である。ただし、Z方向に沿った配置が異なり、噴出孔42は、凹部51のZ方向の内側面と支持体20の後端面との間に配置されている。
【0062】
この場合、噴出孔42から噴出された気体は、図5に示すように、凹部51の上側面に当たった後、第2電極体50と半導体レーザアレイ30との間隙、さらに言うと、複数のバンプ電極33と凹部51の上側面との間隙を前方に向かって流れる。気体は、そのまま、出射面30aの前方に流れる。つまり、第2電極体50と半導体レーザアレイ30との間隙は、噴出孔42の一部として機能する。
【0063】
図5に示す場合、気体は、出射面30aの上方から噴出され、さらに前方に流れる。このため、図3図4に示す場合とは気体の流れが異なる。
【0064】
しかし、図5に示す場合、気体の流れの後方が陰圧となるため、出射面30aの周辺の雰囲気が陰圧となった方向に移動し、気流が生じる。このことにより、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。つまり、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。したがって、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。
【0065】
(実施形態2)
図6は、本実施形態に係る光半導体装置の断面模式図を示す。
【0066】
図6に示す光半導体装置100は、第2電極体50に噴出孔43が設けられている点で、実施形態1や変形例1に示す光半導体装置100と異なる。なお、図示しないが、噴出孔40と同様に、噴出孔43が、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられているのは、実施形態1や変形例1に示す光半導体装置100と同様である。
【0067】
噴出孔43は、その一端が、第2電極体50の後端面に設けられている。また、噴出孔43は、当該一端から第2電極体50の内部をZ方向に沿って延びている。さらに、噴出孔43の他端は、凹部51のZ方向の内側面に達している。
【0068】
図6に示す光半導体装置100では、図5に示すのと同様に、噴出孔43から噴出された気体は、第2電極体50と半導体レーザアレイ30との間隙、さらに言うと、複数のバンプ電極33と凹部51の上側面との間隙を前方に向かって流れる。気体は、そのまま、出射面30aの前方に流れる。つまり、第2電極体50と半導体レーザアレイ30との間隙は、噴出孔43の一部として機能する。
【0069】
本実施形態によれば、図5に示すのと同様に、出射面30aの周辺の雰囲気が、気体の流れの後方に向かって、移動する。このことにより、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。つまり、変形例1、ひいては実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。したがって、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。
【0070】
<変形例2>
図7は、本変形例に係る光半導体装置の断面模式図を示し、図8は、別の光半導体装置の断面模式図を示す。
【0071】
第1電極体10及び第2電極体50の形状は、実施形態1,2や変形例1に示す構成に特に限定されない。例えば、図7,8に示すように、第1電極体10から張り出し部11を省略してもよい。また、第2電極体50から張り出し部52を省略してもよい。ただし、この場合、出射面30aから出射されるレーザ光が第1電極体10や第2電極体50でけられないようにする必要がある。図7,8に示す例で言えば、レーザ光が第2電極体50でけられないように、バンプ電極33のY方向の高さや出射面30aと第2電極体50の前端面とのZ方向の間隔を適切に設定する必要がある。
【0072】
また、図7に示すように、噴出孔44を第2電極体50に設けてもよい。噴出孔44は、第2電極体50をY方向に貫通し、その一端が、凹部51のY方向の内側面に達している。また、噴出孔44の一端は、出射面30aの周辺に配置される。なお、図示しないが、噴出孔40と同様に、噴出孔44は、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。このことは、実施形態1に示す光半導体装置100と同様である。
【0073】
また、図8に示すように、噴出孔45を第2電極体50に設けてもよい。噴出孔45の一端は、第2電極体50の後端面に設けられている。また、噴出孔45は、当該一端から第2電極体50の内部をZ方向に沿って延びている。さらに、噴出孔45は、支持体20の前端面の近傍で下方に向かい、他端が凹部51のY方向の内側面に達している。なお、図示しないが、噴出孔40と同様に、噴出孔45は、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。このことは、実施形態1に示す光半導体装置100と同様である。なお、この場合、第2電極体50の後端面に設けられた複数の噴出孔45の一端が、一つにまとめられていてもよい。
【0074】
図7,8に示す構成において、気体が出射面30aの周辺をY方向に沿って上方から下方に流れる。また、気体は出射面30aのX方向の幅全体にわたって流れる。この場合も、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、噴出孔44または噴出孔45から気体を噴出させることで、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。このことにより、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。また、出射面30aの温度上昇を抑制して、長時間使用時のレーザ特性の劣化を抑制できる。
【0075】
<変形例3>
図9は、本変形例に係る光半導体装置の断面模式図を示し、図10は、別の光半導体装置の断面模式図を示す。
【0076】
図9に示す光半導体装置100は、第1電極体10及び第2電極体50にそれぞれ張り出し部11,52が設けられていない点を除き、図3に示す光半導体装置100と同じである。つまり、噴出孔40と同様に、噴出孔46は、第1電極体10をY方向に貫通し、また、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。
【0077】
また、図10に示す光半導体装置100は、第1電極体10及び第2電極体50にそれぞれ張り出し部11,52が設けられていない点を除き、図4に示す光半導体装置100と同じである。つまり、噴出孔40と同様に、噴出孔47は、その一端が、第1電極体10の後端面に設けられている。また、噴出孔47は、当該一端から第1電極体10の内部をZ方向に沿って延びている。さらに、噴出孔47は、支持体20の前端面の近傍で上方に向かい、他端が第1電極体10の上面に達している。なお、図示しないが、噴出孔41と同様に、噴出孔47は、X方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。また、第1電極体10の後端面に設けられた複数の噴出孔47の一端が、一つにまとめられていてもよい。
【0078】
本変形例によれば、実施形態1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、噴出孔46または噴出孔47から気体を噴出させることで、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。このことにより、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。また、出射面30aの温度上昇を抑制して、長時間使用時のレーザ特性の劣化を抑制できる。
【0079】
なお、図9,10に示す第1電極体10及び第2電極体50の外形は、図7,8に示す第1電極体10及び第2電極体50の外形と同様である。
【0080】
したがって、出射面30aから出射されるレーザ光が第1電極体10や第2電極体50でけられないようにする必要がある。つまり、レーザ光が第2電極体50でけられないように、バンプ電極33のY方向の高さや出射面30aと第2電極体50の前端面とのZ方向の間隔を適切に設定する必要がある。
【0081】
(実施形態3)
図11は、本実施形態に係る光半導体装置の断面模式図を示し、図12は、別の光半導体装置の断面模式図を示す。
【0082】
図11に示す光半導体装置100は、固定部材80とコリメートレンズ(光学部品)90を備えている点で、図3に示す光半導体装置100と異なる。また、図12に示す光半導体装置100は、固定部材80とコリメートレンズ90を備えている点で、図5に示す光半導体装置100と異なる。
【0083】
固定部材80は、コリメートレンズ90を第2電極体50に取り付け固定するための部材である。コリメートレンズ90は、図示しない接着材を介して固定部材80に取り付けられる。また、固定部材80は、第2電極体50の前端面に、図示しない接着材を介して取り付けられる。コリメートレンズ90は、固定部材80の前端面に、図示しない接着材を介して取り付けられる。固定部材80は、コリメートレンズ90が取り付けられる前に第2電極体50に取り付けられてもよい。また、コリメートレンズ90が取り付けられた後に、固定部材80が第2電極体50に取り付けられてもよい。
【0084】
コリメートレンズ90は、半導体レーザアレイ30から出射されたレーザ光を整形するための光学部品である。コリメートレンズ90は、固定部材80を介して出射面30aの前方に配置されている。別の見方をすれば、コリメートレンズ90は、レーザの光路中であって、出射面30aの前方に出射面30aと所定の間隔をあけて配置されている。本実施形態では、コリメートレンズ90と出射面30aとのZ方向に沿った間隔は、30μm~200μm程度である。
【0085】
レーザ光は、エミッタ31の活性層(図示せず)から出射される際、活性層の幅方向よりも厚さ方向に広がって進行する。本願明細書に示す例では、活性層の幅方向はX方向であり、厚さ方向はY方向である。一方、レーザ加工等にレーザ光を利用する場合、その広がり形状は、レーザ光の進行方向と交差する断面視で真円に近い形状の方が好ましい。そこで、本実施形態では、レーザ光の光路中にコリメートレンズ90を設けて、レーザ光のY方向の広がりを抑えている。
【0086】
図11に示すように、噴出孔40から噴出された気体は、コリメートレンズ90と出射面30aとの間をY方向に沿って下方から上方に流れる。また、図12に示すように、噴出孔42から噴出された気体は、コリメートレンズ90と出射面30aとの間をY方向に沿って下方から上方に流れる。言い換えると、噴出孔40または噴出孔42から噴出された気体が、コリメートレンズ90と出射面30aとの間を通るように、噴出孔40または噴出孔42が配置されている。なお、図12に示す例において、第2電極体50と半導体レーザアレイ30との間隔が噴出孔42の一部として機能することは、変形例1に示したのと同様である。
【0087】
本実施形態によれば、実施形態1や変形例1に示す構成が奏するのと同様の効果を奏することができる。つまり、噴出孔40または噴出孔42から気体を噴出させることで、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを防止できる。このことにより、半導体レーザアレイ30からレーザ光が出射された場合に、出射面30aにシロキサンの分解物が付着し、レーザ特性が劣化するのを抑制できる。また、出射面30aの温度上昇を抑制して、長時間使用時のレーザ特性の劣化を抑制できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、出射面30aの前方に所定の間隔をあけてコリメートレンズ90が配置されている。このため、例えば、気体の流れがZ方向に広がりすぎることが無く、出射面30aの周辺に効率良く気体を流すことができる。このことにより、出射面30aの周辺にシロキサンを含む雰囲気が滞留するのを確実に防止でき、出射面30aへのシロキサンの分解物の付着、ひいてはレーザ特性の劣化を確実に抑制できる。
【0089】
なお、本実施形態では、出射面30aの前方に配置される光学部品をコリメートレンズ90としたが、特にこれに限定されない。例えば、集光レンズであってもよい。あるいは、レーザ光の進行方向を変更させる部品、例えば、回折格子等であってもよい。また、本実施形態では、固定部材80を介してコリメートレンズ90を第2電極体50に取り付けたが、コリメートレンズ90を第2電極体50に直接取り付けてもよい。後者の場合、第2電極体50の前端面がコリメートレンズ90の取り付け面になる。よって、レーザ光のけられの防止及び気体がスムーズに流れることを考慮した上で、第2電極体50の前端面と出射面30aとのZ方向の間隔を適切に設定する必要がある。
【0090】
(その他の実施形態)
実施形態1~3及び各変形例に示した各構成要素を適宜組み合わせて、新たな実施形態とすることもできる。例えば、実施形態3に示す固定部材80やコリメートレンズ90を実施形態2や変形例2,3に示す第2電極体50に取り付けるようにしてもよい。また、支持体20と半導体レーザアレイ30との間に介在する金属ロウ材70の材質や融点が、支持体20と第1電極体10との間に介在する金属ロウ材70の材質や融点と異なっていてもよい。
【0091】
また、図13に示すように、支持体20が金属ロウ材70を介して第2電極体50、さらに言うと、凹部51の上側面に取り付けられていてもよい。この場合、半導体レーザアレイ30はバンプ電極33を介して第1電極体10と電気的に接続される。
【0092】
また、図13に示す例では、Z方向に沿って、凹部51の後側面と支持体20の後端面との間に配置された噴出孔42から気体が噴出される。噴出された気体は、半導体レーザアレイ30と第1電極体10との間隙、さらに言うと、複数のバンプ電極33と第1電極体10との間隙をZ方向に沿って流れ、さらに出射面30aの前方に流れる。この場合、半導体レーザアレイ30と第1電極体10との間隙が噴出孔42の一部として機能することは言うまでもない。
【0093】
以上の通りであるから、本開示の光半導体装置100において、噴出孔40~47は、第1電極体10、第2電極体50、半導体レーザアレイ30と第1電極体10との間隙、または半導体レーザアレイ30と第2電極体50との間隙のいずれかに設けられていると言える。このようにすることで、本願明細書に開示された光半導体装置100は、高出力でかつ特性劣化が抑制された短波長のレーザ光を出射することができる。
【0094】
なお、本願明細書では、半導体レーザ素子として半導体レーザアレイ30を例に取って説明したが、特にこれに限定されない。半導体レーザ素子が、単一のエミッタ31を有する半導体レーザ素子であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示の光半導体装置は、半導体レーザ素子の出射面にシロキサンの分解物が付着するのを防止できるため、特性劣化が抑制された短波長のレーザ光を出射可能な光半導体装置として有用である。
【符号の説明】
【0096】
10 第1電極体
11 張り出し部
20 支持体
30 半導体レーザアレイ(半導体レーザ素子)
30a 出射面
31 エミッタ
40~47 噴出孔
50 第2電極体
51 凹部
52 張り出し部
60 絶縁体
70 金属ロウ材
80 固定部材
90 コリメートレンズ(光学部品)
100 光半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13