(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114881
(43)【公開日】2023-08-18
(54)【発明の名称】画像表示装置およびヘッドマウントディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 30/10 20200101AFI20230810BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20230810BHJP
H04N 13/344 20180101ALI20230810BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230810BHJP
G09F 9/46 20060101ALI20230810BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230810BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20230810BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230810BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
G02B30/10
G02B27/02 Z
H04N13/344
H04N5/64 511A
G09F9/46 Z
G09F9/00 357
G09F9/302 Z
G02F1/1347
G02F1/13 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022017452
(22)【出願日】2022-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】森本 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】米山 茂信
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H199
5C061
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA22
2H088HA12
2H088JA04
2H088MA01
2H189AA27
2H189AA28
2H189HA16
2H189JA14
2H189LA14
2H189MA15
2H199BA20
2H199BB08
2H199BB52
2H199BB59
2H199BB63
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA35
2H199CA82
2H199CA97
5C061AA01
5C061AB14
5C061AB16
5C061AB18
5C094AA02
5C094BA23
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA20
5C094DA03
5C094DA12
5C094FA01
5C094FA02
5G435AA01
5G435BB04
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435CC11
5G435GG02
(57)【要約】
【課題】積層方式のライトフィールド画像表示装置において、回折現象による表示画像の品質の劣化を回避する技術を提供する。
【解決手段】2枚以上のディスプレイが、それぞれのディスプレイ間に媒質層30を挟んで積層されたライトフィールド方式の画像表示装置1は、隣り合って配置されたディスプレイの少なくとも一組において、正面に近い方のディスプレイの画素の開口サイズが、正面から遠い方のディスプレイの画素の開口サイズよりも大きく、すべてのディスプレイの画素の開口サイズが、正面から遠い側から正面に近い側に向かって単調増加している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚以上のディスプレイが、それぞれの前記ディスプレイ間に媒質層を挟んで積層されたライトフィールド方式の画像表示装置であって、
隣り合って配置された前記ディスプレイの少なくとも一組において、正面に近い方のディスプレイの画素の開口サイズが、正面から遠い方のディスプレイの画素の開口サイズよりも大きく、
すべての前記ディスプレイの画素の開口サイズが、前記正面から遠い側から前記正面に近い側に向かって単調増加している、
画像表示装置。
【請求項2】
前記正面から近い方のディスプレイの画素の開口サイズは、前記正面から遠い方のディスプレイの画素の開口が形成するエアリーディスクの直径よりも大きい、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
最も正面から遠い前記ディスプレイが発光機能を有する、
請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像表示装置と、
前記画像表示装置に光入射面を向けて前記画像表示装置の正面側に配置された接眼レンズと、
を備える、
ヘッドマウントディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、より詳しくは、ライトフィールド技術を用いた画像表示装置に関する。この画像表示装置を備えたヘッドマウントディスプレイについても言及する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示ディスプレイから出射されユーザーの目へ入射する光線を制御するライトフィールド技術が注目されている。人間は、各種物体で反射された光線が瞳に入ることによりその物体を見ることができる。ライトフィールド技術はこの反射光線を人工的に画像表示ディスプレイで再現したものであり、結果として人が自然界で見るような奥行き感を提供することができる。
【0003】
ライトフィールド技術を用いる画像表示装置としていくつかの態様が知られているが、代表的なものとして、マイクロレンズアレイ方式と積層方式を挙げることができる。
マイクロレンズアレイ方式では、直径がマイクロメートルオーダーのレンズを有するアレイがディスプレイパネルの表面に取り付けられている。マイクロレンズアレイ方式では、ディスプレイから出射された光をマイクロレンズアレイが特定の方向の光線の束に分解して見る者の目に導く。
【0004】
もう一方の積層方式では、特許文献1に記載のように、2枚のディスプレイパネルが媒質層を挟んで重ねられた構造を有する。見る者から遠い側に位置する第一のディスプレイパネルは、バックライト等を備え、光を出射する機能を有する。見る者に近い側に位置する第二のディスプレイパネルは光を出射する機能を有さず、第一のディスプレイから出射された光により照明される。
積層方式では、第一のディスプレイパネルのある画素から発せられた光線は、第二のディスプレイパネルのある画素を通って見る者の目に入射しており、光線が通過する画素の組み合わせにより光線を制御している。
【0005】
マイクロレンズアレイ方式では、1個のマイクロレンズが複数の画素を覆うため、原理的に表示解像度の低下が避けられない。
一方、積層方式では、第一のディスプレイパネルと第二のディスプレイパネルとを十分位置合わせする必要があるものの、解像度を上げることはそれほど困難ではない点で優れている。最新のディスプレイでは、1インチあたり900以上の画素を有するものも報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者らは、積層方式において画素サイズを小さくしていくと、光の回折現象により表示画像の品質が劣化することを見出した。発明者らは、これを解決して本発明を完成させた。
【0008】
本発明は、積層方式のライトフィールド画像表示装置において、回折現象による表示画像の品質の劣化を回避する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、2枚以上のディスプレイが、それぞれのディスプレイ間に媒質層を挟んで積層されたライトフィールド方式の画像表示装置である。
この画像表示装置は、隣り合って配置されたディスプレイの少なくとも一組において、正面に近い方のディスプレイの画素の開口サイズが、正面から遠い方のディスプレイの画素の開口サイズよりも大きく、すべてのディスプレイの画素の開口サイズが、正面から遠い側から正面に近い側に向かって単調増加している。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に係る画像表示装置と、画像表示装置に光入射面を向けて画像表示装置の正面側に配置された接眼レンズとを備えたヘッドマウントディスプレイである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、積層方式のライトフィールド画像表示装置における表示画像の品質の劣化を回避することに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置を示す模式断面図である。
【
図2】従来の画像表示装置を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、
図1および
図2を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る画像表示装置1を模式的に示す図である。画像表示装置1は、ライトフィールド方式の画像表示装置であり、第一ディスプレイ10と第二ディスプレイ20との2枚の液晶ディスプレイを備えている。
画像表示装置は、第二ディスプレイ20側が正面であり、使用者は正面側から表示される画像を見る。
【0014】
第一ディスプレイ10には、バックライト11と、液晶層12と、カラーフィルタ13とが順に配置されており、公知のカラー液晶ディスプレイと概ね同様の構造を有する。本実施形態において、第一ディスプレイ10の画素15は、カラーフィルタ13の赤フィルタRが配置された第一サブ画素15aと、カラーフィルタ13の緑フィルタGが配置された第二サブ画素15bと、カラーフィルタ13の青フィルタBが配置された第三サブ画素15cとを含む。
【0015】
第二ディスプレイ20は、液晶層22およびカラーフィルタ23を備えるが、バックライトを備えない。本実施形態において、第二ディスプレイ20の画素25は、カラーフィルタ23の赤フィルタRが配置された第一サブ画素25aと、カラーフィルタ23の緑フィルタGが配置された第二サブ画素25bと、カラーフィルタ23の青フィルタBが配置された第三サブ画素25cとを含む。
【0016】
第二ディスプレイ20の画素25の開口サイズは、第一ディスプレイ10の画素15の開口サイズよりも大きくなっている。すなわち、第二ディスプレイ20のカラーフィルタ23における第一サブ画素25aの開口サイズは、第一ディスプレイ10のカラーフィルタ13における第一サブ画素15aの開口サイズよりも大きい。同様に、第二サブ画素25bの開口サイズは、第二サブ画素15bの開口サイズよりも大きく、第三サブ画素25cの開口サイズは、第三サブ画素15cの開口サイズよりも大きい。
【0017】
図1には模式断面図を示しているが、本実施形態において、第一ディスプレイ10と第二ディスプレイ20の正面視形状は、同一寸法の長方形あるいは正方形である。第一ディスプレイ10と第二ディスプレイ20とは、第二ディスプレイ20側から見た画像表示装置1の正面視において、互いの四辺が一致するように配置されている。
【0018】
第一ディスプレイ10と第二ディスプレイ20とは、間に媒質層30をはさんで配置されている。すなわち、第一ディスプレイ10と第二ディスプレイ20とは、媒質層30の厚さに応じた距離だけ離れて概ね平行に配置されている。
媒質層の典型例は空気層であるが、空気(屈折率1.0002926)とほぼ同様の屈折率を有する、アルゴン(屈折率1.000281)、二酸化炭素(屈折率1.000449)、ヘリウム(屈折率1.000036)、水素(屈折率1.000140)、窒素(屈折率1.000297)、酸素(屈折率1.000276)等からなる層や、これらの混合物からなる層も使用できる。さらに、真空層(屈折率1.0000)も使用でき、本発明における媒質層に含まれる。
【0019】
画像表示装置1における光線の経路について説明する。
まず、第一ディスプレイ10のバックライト11から光線が出射される。出射された光線は、液晶層12およびカラーフィルタ13、さらに媒質層30を通って第二ディスプレイ20に向かう。
【0020】
図2に、従来の画像表示装置100を示す。画像表示装置100は、画像表示装置1と同様、積層方式のライトフィールドディスプレイであるが、2枚のディスプレイ110、120のサブ画素のサイズは同一である。
画像表示装置100においては、ディスプレイ110からの光線は、同色のカラーフィルタが配置されたサブ画素を通過する。例えば、緑フィルタGを通ってディスプレイ110から出た光線は、
図2に示すように、ディスプレイ120のサブ画素のうち、緑フィルタGが配置されたサブ画素を通過して見る者の目に入射し、緑として視認される。
【0021】
積層方式のライトフィールドディスプレイにおいて表示解像度を向上させるには、2枚のディスプレイにおける画素サイズを小さくすればよい。例えば、各画素を構成するサブ画素の開口サイズを1/3にすると、表示解像度は理論上3倍になる。
【0022】
しかし、発明者らの検討により、このような解像度の向上には、光学的な限界があることが明らかになった。これは、見る者に近い側のディスプレイ120において、隣り合う画素に入射する光が干渉を生じることに起因する。すなわち、光の干渉による回折限界によって画像のボケを生じ、結果として表示画像の品質が劣化することが分かった。
【0023】
回折限界について、円形開口の例で単純化しつつ、以下に説明する。直径Dの2つの円形開口がお互いの円の中心からある距離だけ離れて位置する場合を考える。この2つの開口を非可干渉な光で照明したとき、開口における回折像は2つの開口を通過する光の重ね合わせ(干渉)で表現できる。ここで2つの開口による回折像が干渉している場合、2つの像が2点として判別できる限界の距離分解能が回折限界である。回折限界の定義は様々あるが、特に有名なのがレイリーの回折限界で、下記式1で表される。
【0024】
【0025】
式1において、λは光の波長で、主に人の目の感度がよい550nmが使われる。また、Lは開口からの後方側距離である。開口の形状が円形開口の場合における係数は1.22だが、矩形開口の場合は係数が1になるため、矩形開口の回折限界δは、下記式2で表される。
【0026】
【0027】
回折像間の距離がδ以上であれば2つの開口による回折像が分離して識別できることになる。逆にδより小さければ2つの開口による回折像が一つの点に見えてしまうため、表示画像の品質が劣化する。後方側距離Lにおける回折像のエアリーディスクの直径sは下記式3で表される。
【0028】
【0029】
発明者らは、この現象に着目し、媒質層により概ね定まる両ディスプレイ間の距離と、第一ディスプレイ10の画素15の開口サイズによって計算できるエアリーディスクの直径よりも、第二ディスプレイ20における画素25の開口サイズの方を大きくすることで回折限界を回避することに成功した。
具体的には、第一ディスプレイ10の画素15から出射された光線が入射する第二ディスプレイ20の画素25における各サブ画素の開口サイズを、第一ディスプレイ10の画素15における各サブ画素の開口サイズよりも大きくすることで、第二ディスプレイの隣り合う画素における回折限界の回避を実現した。これにより、画素15を通って画素25に入射する光線は、画素25を光学的に障害なく通過することができ、更に、第二ディスプレイにおける隣り合う画素による回折限界を回避することができるため、結果としてボケのない良好な品質の画像を表示することができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態に係る画像表示装置1は、回折限界による画像表示品質の劣化を抑えることができる。
さらに、手前に位置する第二ディスプレイの画素開口サイズを最も大きくすることにより、回折限界を生じないエアリーディスクの直径値の範囲を大きくでき、ディスプレイ間の距離の自由度が高まり、表示装置を構成しやすくなる利点もある。
【0031】
本実施形態では説明を単純化するためにディスプレイの積層枚数を2枚としたが、これはあくまで本発明の一態様に過ぎず、これ以外の構成も可能である。例えば、3層積層型ライトフィールドディスプレイ構造体の場合、第一ディスプレイ、第二ディスプレイに加えて、使用者の最も正面に近い側に位置する第三ディスプレイを配置しつつ、第一ディスプレイにおける画素の開口サイズが最も小さく、第二ディスプレイにおける画素の開口サイズが二番目に小さく、第三ディスプレイにおける画素の開口サイズが最も大きい、というように、使用者から一番近い方のディスプレイにおける画素の開口サイズが最も大きく、使用者から遠くなるにつれて画素の開口サイズが小さくなる構造を取ってもよい。
【0032】
あるいは、第一ディスプレイにおける画素の開口サイズが最も小さく、第二ディスプレイにおける画素の開口サイズおよび第三ディスプレイにおける画素の開口サイズが同等でかつ二番目に小さい、というように使用者から一番遠い方のディスプレイ以外のディスプレイにおける画素の開口サイズが全て同等でかつ使用者から一番遠い方のディスプレイにおける画素の開口サイズよりも大きい構造を取ってもよい。
このように、本実施形態に係る表示装置においては、正面から最も遠い最奥のディスプレイから最も手前のディスプレイに向かって画素の開口サイズが単調増加していればよく、同一開口サイズのディスプレイが複数あっても効果を奏する。
【0033】
本発明に係る画像表示装置について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。本発明の技術的範囲は、実施例の具体的内容のみを根拠として限定されることはない。
【0034】
(実施例)
正面視長方形の同一サイズのIPS(In-Plane Switching)方式の液晶ディスプレイパネルを2枚準備した。一方のディスプレイにバックライトおよびカラーフィルタを取り付けて第一ディスプレイとし、もう一方はカラーフィルタのみ取り付けて第二ディスプレイとした。
第一ディスプレイの表示解像度は、1インチあたり200画素(200ppi)であり、各サブ画素の開口サイズは42.3μmである。
第二ディスプレイの表示解像度は、1インチあたり100画素(100ppi)であり、各サブ画素の開口サイズは84.7μmである。
【0035】
第一ディスプレイと第二ディスプレイとを7mmの間隔を空けて正面視で完全に重ね、この状態を固定することにより、実施例に係る画像表示装置を得た。この画像表示装置は、媒質層として、厚さ7mmの空気層を有する。
【0036】
実施例に係る画像表示装置に接眼レンズを取り付け、実施例に係るヘッドマウントディスプレイ(HMD)を作製した。
【0037】
実施例に係る画像表示品質について、HMDを用いて、目視による表示ボケの有無を評価した。
【0038】
実施例において、第二ディスプレイの位置におけるエアリーディスクの直径は、上述した式3より78.0μmである。一方、第二ディスプレイにおける画素の開口サイズは84.7μmである。
以上より、実施例のHMDでは、第二ディスプレイの画素の開口サイズとエアリーディスクの直径とが上記条件を満たしているため、回折による画像表示の品質の障害を回避できることが理論上示されている。
実際に、実施例に係るHMD画像の目視において表示のボケは認められず、良好であった。
【0039】
(比較例1)
第二ディスプレイの表示解像度が1インチあたり200画素(200ppi)である点を除き、実施例と同様の手順で比較例1に係る画像表示装置およびHMDを作製した。
比較例1において、第二ディスプレイの位置におけるエアリーディスクの直径は、実施例1と同様、78.0μmである。一方、第二ディスプレイの各サブ画素の開口サイズは、第一ディスプレイと同一の42.3μmであり、エアリーディスクの直径よりも小さい。
以上より、比較例1に係るHMDでは回折限界を回避できないことが理論上示されている。
実際に、目視によるHMD画像の品質評価では、表示のボケが認められ、良好ではなかった。
【0040】
(比較例2)
第一ディスプレイと第二ディスプレイとの間隔を3.5mmとした点を除き、実施例と同様の手順で比較例2に係る画像表示装置およびHMDを作製した。
比較例2において、第二ディスプレイの位置におけるエアリーディスクの直径は、90.9μmである。一方、第二ディスプレイにおける画素の開口サイズは84.7μmであり、エアリーディスクの直径よりも小さい。
以上より、比較例2に係るHMDでは回折限界を回避できないことが理論上示されている。
実際に、目視によるHMD画像の品質評価では、表示のボケが認められ、良好ではなかった。
【0041】
以上、本発明の各実施形態および実施例について説明したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
【0042】
例えば、本発明において、ディスプレイに発光機能を付与する手段は、上述したバックライトには限られない。すなわち、ディスプレイとして自発光ディスプレイを用いる場合は、有機EL(OLED)ディスプレイや、ミニLED、マイクロLED等を備えてサブ画素自体が発光するものなど、公知の各種構造のものを採用できる。この場合、例えば赤色、緑色、青色のミニLEDやマイクロLED等を備えることにより、第一ディスプレイをカラーフィルタを備えない構成としてもよい。
【0043】
さらに、画像表示装置自体が発光機能を有さず、後方に別途光源が配置されることにより画像表示可能な構成であってもよい。
【0044】
本実施形態に係る表示装置は、複数あるディスプレイの一つがカラー表示可能に構成されていれば、全体としてカラー表示可能となる。カラー表示可能なディスプレイはどこに位置していてもよい。
【0045】
モノクロ表示のディスプレイにおいては、個々の開口が独立した画素として機能し、サブ画素は存在しない。本実施形態に係る表示装置がモノクロ表示のディスプレイを含んで構成される場合も、個々の開口とカラーフィルタを備えるディスプレイのサブ画素の開口とのサイズ関係を上述のようにすることで、同様の効果を奏する。
【0046】
本発明に係る画像表示装置においては、実施例に示されたように、エアリーディスクの直径を算出し、これに基づいて第二ディスプレイのサブ画素の開口サイズ、および第一ディスプレイと第二ディスプレイとの間隔を決定することで、表示装置を構成する各ディスプレイの開口サイズを自由に設定しつつ、効果を発揮させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 画像表示装置
10 第一ディスプレイ
11 バックライト
15a、25a 第一サブ画素(画素)
15b、25b 第二サブ画素(画素)
15c、25c 第三サブ画素(画素)
20 第二ディスプレイ
30 媒質層