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  • 特開-処理装置及び熱媒体発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117261
(43)【公開日】2023-08-23
(54)【発明の名称】処理装置及び熱媒体発生装置
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20230816BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20230816BHJP
   A23F 5/48 20060101ALN20230816BHJP
   B01D 11/00 20060101ALN20230816BHJP
   A23F 3/42 20060101ALN20230816BHJP
   A47J 27/04 20060101ALN20230816BHJP
【FI】
F24C1/00 340Z
A23L5/10 A
A23F5/48
B01D11/00
A23F3/42
A47J27/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022019883
(22)【出願日】2022-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】521381495
【氏名又は名称】株式会社JRS
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 豊
(72)【発明者】
【氏名】長門 貴
【テーマコード(参考)】
4B027
4B035
4B055
4D056
【Fターム(参考)】
4B027FB17
4B027FB28
4B027FP79
4B027FQ09
4B027FR05
4B035LC16
4B035LP01
4B035LP03
4B035LP59
4B035LT01
4B055AA22
4B055BA03
4B055BA34
4B055CB08
4B055DB12
4B055GB03
4B055GB20
4B055GC03
4D056AB14
4D056AC24
4D056CA22
4D056CA40
(57)【要約】
【課題】熱媒体の流量、温度、湿度の夫々を単独でコントロールして多様な熱処理が可能な処理装置及び熱媒体発生装置を提供する。
【解決手段】本発明による処理装置は、気流を生成する気流生成手段と、熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、液滴を生成する液滴生成手段と、被処理物を収容する収容室と、を備え、前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成され、前記熱媒体は、前記気流により前記収容室に案内され、前記収容室において、前記被処理物は前記熱媒体により熱処理される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流を生成する気流生成手段と、
熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、
液滴を生成する液滴生成手段と、
被処理物を収容する収容室と、を備え、
前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成され、
前記熱媒体は、前記気流により前記収容室に案内され、
前記収容室において、前記被処理物は前記熱媒体により熱処理される、処理装置。
【請求項2】
前記気流を冷却する冷却手段をさらに備える、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
さらに、前記熱媒体の状態を監視する監視手段を備え、
前記監視手段は、前記熱媒体の流量、温度及び湿度の少なくとも一つを監視する、請求項1又は請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
さらに、前記監視手段で監視した熱媒体の状態に基づいて、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する制御手段を備える、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記監視手段は前記被処理物の状態を監視し、
前記制御手段は、前記被処理物の状態に基づき、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する、請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記被処理物の製造履歴に基づいて、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する、請求項4又は請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記熱媒体で処理された被処理物を処理した後の水分を前記液滴生成手段に帰還する帰還手段を備える、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記冷却手段は前記熱媒体を冷却し、
前記熱媒体と、前記冷却手段によって冷却された熱媒体とを選択可能に導出する切替手段をさらに備える、請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項9】
前記収容室の後段に配置され、前記熱処理により生成された香気成分を回収する香気成分回収手段をさらに備える、請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項10】
気流を生成する気流生成手段と、
熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、
液滴を生成する液滴生成手段と、を備え、
前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成される、熱媒体発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置及び熱媒体発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、高温高湿度の熱媒体により食品等を熱処理する方法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-77668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような熱媒体を生成する際には飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気とするため、水蒸気中の水分量は元の飽和水蒸気中の水分量のままであり、相対的に熱媒体の湿度は下がる。このように、熱媒体の流量、温度、湿度の夫々を所望の値にコントロールするのは難しい。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、熱媒体の流量、温度、湿度の夫々を単独でコントロールして多様な熱処理が可能な処理装置及び熱媒体発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、
気流を生成する気流生成手段と、
熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、
液滴を生成する液滴生成手段と、
被処理物を収容する収容室と、を備え、
前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成され、
前記熱媒体は、前記気流により前記収容室に案内され、
前記収容室において、前記被処理物は前記熱媒体により熱処理される、処理装置である。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱媒体の流量、温度、湿度の夫々を単独でコントロールして多様な熱処理が可能な処理装置及び熱媒体発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の処理装置を説明する図。
図2】本実施形態の処理装置の制御について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば以下のような構成を備える。
【0011】
[項目1]
気流を生成する気流生成手段と、
熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、
液滴を生成する液滴生成手段と、
被処理物を収容する収容室と、を備え、
前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成され、
前記熱媒体は、前記気流により前記収容室に案内され、
前記収容室において、前記被処理物は前記熱媒体により熱処理される、処理装置。
[項目2]
前記気流を冷却する冷却手段をさらに備える、項目1に記載の処理装置。
[項目3]
さらに、前記熱媒体の状態を監視する監視手段を備え、
前記監視手段は、前記熱媒体の流量、温度及び湿度の少なくとも一つを監視する、項目1又は項目2に記載の処理装置。
[項目4]
さらに、前記監視手段で監視した熱媒体の状態に基づいて、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する制御手段を備える、項目3に記載の処理装置。
[項目5]
前記監視手段は前記被処理物の状態を監視し、
前記制御手段は、前記被処理物の状態に基づき、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する、項目4に記載の処理装置。
[項目6]
前記制御手段は、前記被処理物の製造履歴に基づいて、前記気流生成手段、前記熱発生手段及び前記液滴生成手段の少なくとも一つを制御する、項目4又は項目5に記載の処理装置。
[項目7]
前記熱媒体で処理された被処理物を処理した後の水分を前記液滴生成手段に帰還する帰還手段を備える、項目1乃至項目6の何れか一つに記載の処理装置。
[項目8]
前記冷却手段は前記熱媒体を冷却し、
前記熱媒体と、前記冷却手段によって冷却された熱媒体とを選択可能に導出する切替手段をさらに備える、項目1乃至項目7の何れか一つに記載の処理装置。
[項目9]
前記収容室の後段に配置され、前記熱処理により生成された香気成分を回収する香気成分回収手段をさらに備える、項目1乃至項目8の何れか一つに記載の処理装置。
[項目10]
気流を生成する気流生成手段と、
熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する熱発生手段と、
液滴を生成する液滴生成手段と、を備え、
前記液滴は、前記雰囲気の作用により加熱されて熱媒体が生成される、熱媒体発生装置。
【0012】
<実施の形態の詳細>
本発明の一実施形態に係る処理装置100の一例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号及び名称が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0013】
本実施形態において、熱媒体とは、加熱され若しくは冷却された蒸気を含む空気を意味する。本実施形態においては、熱媒体とは、特に高温・高湿度の空気を意味することがある。
【0014】
被処理物は、本実施形態に係る処理装置100において処理対象となる物であり、例えば、茶葉、珈琲豆、アーモンド及びナッツ等の種実類等の焙煎によって熱処理する食材が挙げられる。被処理物は、コオロギ等の昆虫やその他の動物、花、ハーブ等の上記以外の植物であってもよい。
【0015】
本実施形態に係る処理装置100は、例えば、従来、焙煎によって熱処理する被処理物を、その被処理物に適した及び/又は所望の食材を得るために熱媒体の流量、温度、湿度等を夫々単独でコントロールすることによって、多様な熱処理を可能とするものである。
【0016】
<処理装置の構成>
図1は、本実施形態に係る処理装置100の一例を示す図である。図中矢印は気流、熱媒体及び/又は水分の流れを示す。図1に示されるように、本実施形態の処理装置100は、ブロア(気流生成手段)110と、ヒータ(熱発生手段)120と、ノズル(気流生成手段)130と、収容室140と、熱交換器・コンデンサ150と、チラー310と、香気成分回収部410とを有することができる。その他、処理装置100は、制御部(制御手段)200(図2参照)、監視手段としての流量センサ160、温度センサ170、湿度センサ180、非処理物監視センサ190(図2参照)、図示しない排気手段、帰還手段、切替手段等を有することができる。
【0017】
ブロア110は外気を取り込み、気流を生成する。ヒータ120は、熱を発生させて加熱された雰囲気を生成する。ノズル130は、水や水溶液の液滴を生成する。収容室140は、処理対象である被処理物を収容する。
【0018】
熱交換器・コンデンサ150は、収容室140に案内された熱媒体を図示しないポンプ(排気手段)で強制吸引して外部に排出する機能を備える。チラー310は、気流を冷却する手段であり、熱媒体を冷却する構成とすることもできる。
【0019】
香気成分回収部410は、収容室140の後段に配置され、収容室140から排出される気流に含まれる熱処理により生成された香気成分を回収する。
【0020】
監視手段としての流量センサ160、温度センサ170、湿度センサ180は、例えば収容室140内、又は収容室140外に設けられ、被処理物を熱処理する熱媒体の状態を監視する。流量センサ160は、収容室140に収容された処理対象である被処理物に案内される熱媒体の流量(例えば、単位時間当たりの流量)を計測することにより監視する。温度センサ170は、被処理物に案内される熱媒体の温度を計測することにより監視する。湿度センサ180は、被処理物に案内される熱媒体の湿度を計測することにより監視する。非処理物監視センサ190は、収容室140内の被処理物の処理状態を監視する。
【0021】
排気手段は、熱媒体を排気する。制御部200(図2参照)は、熱媒体の状態や、被処理物の状態及び/又は被処理物の製造履歴に基づき、ブロア110、ヒータ120、ノズル130及び排気手段の少なくとも一つを制御する。
【0022】
帰還手段(図示せず)は、熱媒体で処理された被処理物を処理した後の水分をノズル130に帰還する。切替手段(図示せず)は、熱媒体と、チラー310によって冷却された熱媒体とを選択可能に導出する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る処理装置100の制御について説明する図である。制御部200は、収容室140に案内される熱媒体の温度、流量、水分を制御する手段である。
【0024】
制御部200は、吸引力制御部240と、送風力制御部250と、ヒータ制御部260と、液滴制御部270と、中央制御部280と、を備える。
【0025】
吸引力制御部240は、熱交換器・コンデンサ150内の図示しないポンプの吸引力を制御する。送風力制御部250は、ブロア110の送風力を制御する。ヒータ制御部260、ヒータ120の出力を制御する。液滴制御部270はノズル130で生成する液滴の量及び/又は大きさを制御する。これらの制御部240、250、260、270は、中央制御部280によって制御される。
【0026】
中央制御部280は、各センサ160、170、180、190からの出力に基づいて、各制御部240、250、260、270をそれぞれ制御する。例えば、中央制御部280は、流量センサ160の監視結果に基づいて、被処理物に案内される熱媒体の流量を制御するために、吸引力制御部240及び/又は送風力制御部250を制御する。また、中央制御部280は、処理対象である被処理物に案内される熱媒体の流量を監視し、熱媒体の流量を変える場合は、吸引力制御部240の制御及び送風力制御部250の制御の一つまたは複数を組み合わせて行う。
【0027】
中央制御部280は、温度センサ170の監視結果に基づいてヒータ制御部260を制御する。また、温度は風量の影響を受けるため、中央制御部280は、温度センサ170の監視結果に基づいて被処理物に案内される熱媒体の流量を制御するように吸引力制御部240及び/又は送風力制御部250を制御する。
【0028】
中央制御部280は、処理対象である被処理物に案内される熱媒体の温度を監視し、熱媒体の温度を変える場合は、吸引力制御部240の制御、送風力制御部250の制御、ヒータ制御部260の制御及び液滴制御部270の制御の一つまたは複数を組み合わせて行う。例えば、熱媒体の温度を高くする場合は、ヒータ120の出力を上げ、液滴の量を少なくし及び/又は液滴の大きさを小さくするように制御する。
【0029】
中央制御部280は、湿度センサ180の監視結果に基づいて液滴制御部270を制御する。また、湿度は風量の影響を受けるため、中央制御部280は、湿度センサ180の監視結果に基づいて被処理物に案内される熱媒体の流量を制御するように吸引力制御部240及び/又は送風力制御部250を制御する。
【0030】
中央制御部280は、処理対象である被処理物に案内される熱媒体の湿度を監視し、熱媒体の湿度を変える場合には、吸引力制御部240の制御、送風力制御部250の制御、ヒータ制御部260の制御及び液滴制御部270の制御の一つまたは複数を組み合わせて行う。例えば、熱媒体に含まれる水分を多くする場合は、熱媒体の温度を高くするようにヒータ制御部260を制御し、液滴の量を多くし及び/又は液滴の大きさを大きくするように液滴制御部270を制御する。また、熱媒体に含まれる水分を多くする場合は、気流の流量を調整するために送風力制御部250を制御し、液滴の量を多くし及び/又は液滴の大きさを大きくするように液滴制御部270を制御する。
【0031】
<処理装置による処理>
ノズル130で生成した液滴はヒータ120で生成した雰囲気の作用により所望温度に加熱され、これにより高温で、かつ液滴の気化により液滴の蒸気を含む熱媒体が生成される。生成された熱媒体は、ブロア110で生成された気流により、熱媒体として収容室140内の被処理物に案内された後に、収容室140から排出される。
【0032】
収容室140において、被処理物は発生された熱媒体により熱処理される。ここで、熱媒体は水分を多く含む空気であり、水分量の多い空気はエンタルピーが高く、熱伝達率が高いことから、熱媒体が被処理物内部の水分の内部拡散を促進し、これにより被処理物を効率よく熱処理することが可能となる。
【0033】
本実施形態では、ブロア110、ヒータ120、ノズル130とを分けて別手段とし、熱媒体の流量、温度、湿度の3つの条件を夫々単独でコントロールすることから、所望の流量、温度、湿度による多様な熱処理が可能となる。例えば、上記の従来技術では、熱の発生源であるバーナから大量の気流が生成され、気流と熱が渾然一体となって被処理物に到達する。この場合、被処理物に当てる熱媒体の流量を調整するためには、バーナの火力を調整したり、被処理物を通過した熱媒体の強制排気で対応する必要がある。しかしながら、気流調整に伴ってバーナの火力も変わるため、例えば、温度を一定にして被処理物に当てる熱媒体を変えるような制御は難しい。熱媒体を生成する場合、所謂ボイラーを用いる場合には飽和水蒸気を加熱して過熱水蒸気とするため、水蒸気中の水分量は元の飽和水蒸気中の水分量のままであり、相対的に熱媒体の湿度は下がる。これに対し、本実施形態においては、ブロア110、ヒータ120、ノズル130とを分けて別手段とし、熱媒体は加熱された雰囲気を液滴に作用させることにより、任意の水蒸気量の過熱水蒸気とすることができる。これにより、幅広い水蒸気量(相対湿度)の加熱蒸気の熱媒体を発生させることが可能となり、特に、これまでは難しかった、高温でも水蒸気量が100%に近い高湿度の蒸気を作ることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態においては、ブロア110、ヒータ120、ノズル130とを分けて別手段としていることから、得られる熱媒体は、加熱時間の調整が容易であり、熱処理を一定温度に維持することができる。さらに、本実施形態においては、熱媒体は伝熱量の制御が可能となり、幅広い温度帯において伝熱量を大きくすることができる。また、相対温度を調整して乾燥速度を調整することができる。また、液滴のみに対してヒータ120で加熱された雰囲気を作用させるため、水の熱容量分だけエネルギー効率がよくなる。さらに、本実施形態においては、熱媒体の流量、温度、湿度の夫々を単独でコントロールすることで熱処理の効率化がはかれることから、従来法と同等の熱処理を従来よりも短時間で行うことが可能となる。また、熱媒体の温度を高くすることもできることから、被処理物を炭化させることなく短時間で熱処理することが可能となる。
【0035】
さらには、本実施形態においては、熱媒体の加熱時間、加熱温度、加熱湿度によって熱媒体の性質を変えることが可能であるため、同一の非処理物から性質の異なる素材を生み出すことができる。例えば、茶葉や珈琲豆の焙煎を行うだけでなく、熱媒体の条件を変えることで、茶葉や珈琲豆からタンパク質や後述のように香気成分を抽出するだけでなく、カフェインやその他の成分を抽出することも可能となる。
【0036】
また、本実施形態においては、流量センサ160、温度センサ170、湿度センサ180により、被処理物を処理する熱媒体の流量、温度及び湿度に基づいて、熱媒体の生成及び熱媒体の流量を制御するため、処理対象に好適な熱処理が可能となる。また、非処理物監視センサ190により、被処理物の処理状況に応じた熱処理が可能になる。
【0037】
本実施形態において、帰還手段により、熱媒体で処理される処理対象を処理したあとの水分をノズル130に帰還して液滴を生成させるようにした場合には、被処理物を処理したあとの水分を効率よく使用することができる。また、被処理物を処理したあとの水分には香気その他の成分が含まれているため、この成分を使用して液滴を生成すれば香気その他の成分を含む熱媒体を生成し、被処理物の風味付けや香付け等が可能となる。
【0038】
また、本実施形態において、熱交換器・コンデンサ150とチラー310により収容室140に収容された被処理物を冷却する冷却工程を行う場合には、図示しない切替手段により加熱工程から冷却工程への切り替えを行う。ブロア110で生成された気流はチラー310を介して収容室140に導入されたのちに排出される。収容室140に収容される被処理物を冷却する目的は、例えば、被処理物にヒートショックを与えるためである。また、本実施形態において、チラー310からの気流を熱交換器・コンデンサ150を介してノズル130後段に供給するバルブを設けてもよい。チラー310の気流をノズル130後段に供給する目的は、例えば、収容室140に供給する熱媒体を冷却し、熱媒体の温度を目的温度に素早く収束させるためである。
【0039】
香気成分回収部410により被処理物から排出される気流に含まれる香気成分を回収する工程を実施する場合には、例えば、加熱工程と冷却工程とを切替手段により切り替えて実施する。例えば、高温で茶葉を火入れするときに水分を多く含む高いエンタルピーを有する熱媒体を茶葉に当てると香気が強くなる。収容室140で茶葉に対して高温高湿度の熱媒体を当てることにより生成される香気を直接若しくは熱交換器・コンデンサ150を介して香気成分回収部410に案内して香気を回収する。これにより、本実施形態により被処理物の処理により発生した香気成分の回収が可能となる。
【0040】
なお、熱交換機・コンデンサ150から排出される水蒸気の一部をノズル130に還流可能に構成し、香気成分回収部410で回収した香気成分を蒸留する場合には、ノズル130から供給される高温高湿の気流を利用して蒸発させ、チラー310から供給される冷気を利用して凝縮して溜出液として取り出すことができる。これにより、処理装置内で生成される高温の熱媒体と低温の熱媒体を効率よく利用しながら香気成分を抽出液として取り出すことができる。
【0041】
本実施形態において、熱媒体で処理される処理対象の製造履歴に基づいて、ブロア110、ヒータ120、ノズル130の少なくとも一つを制御するようにしてもよい。この場合には、処理対象の製造履歴に基づいて処理条件を設定することができる。また、本実施形態において、外部環境に基づいて、ブロア110、ヒータ120、ノズル130の少なくとも一つを制御するようにしてもよい。この場合には、処理対象を処理するときの外部環境に基づいて処理条件を設定することができる。
【0042】
なお、本実施形態において、熱媒体の性質を変える場合には、ノズル130から生成する液滴となる水や水溶液の性質を変えることによっても行うことができる。例えば、水や水溶液のpHを変えたり、水溶液に含まれる塩を異なるものとしてもよい。また、熱処理する前に被処理物を前処理することもできる。
【0043】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100 処理装置
110 ブロア(気流生成手段)
120 ヒータ(熱発生手段)
130 ノズル(気流生成手段)
140 収容室
150 熱交換器・コンデンサ
160 流量センサ(監視手段)
170 温度センサ(監視手段)
180 湿度センサ(監視手段)
190 非処理物監視センサ(監視手段)
200 制御装置(制御手段)
240 吸引力制御部
250 総風力制御部
260 ヒータ制御部
270 液滴制御部
280 中央制御部
310 チラー(冷却手段)
410 香気成分回収部(香気成分回収手段)
図1
図2