(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023117730
(43)【公開日】2023-08-24
(54)【発明の名称】キャリッジ移動装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20230817BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
B41J29/00 D
B41J2/01 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020450
(22)【出願日】2022-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 努
(72)【発明者】
【氏名】野中 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】古川 倫久
(72)【発明者】
【氏名】村中 大翔
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056FA10
2C056HA37
2C056HA38
2C056HA52
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AS02
2C061AS06
2C061CG06
2C061CG07
2C061CG08
(57)【要約】
【課題】キャリッジに接続されるフレキシブルケーブルを適切な姿勢で維持する。
【解決手段】キャリッジ移動装置10のフレキシブルケーブル41は、キャリッジ20に接続され、キャリッジ20と共に第1方向Yに移動する一端、位置が固定される他端、および、一端と他端との間に設けられる屈曲部53とを有する。支持部材60は、底壁71、底壁71から上方かつ第1方向Yに延びた第1側壁76、および、底壁71から上方および第1方向Yに延び、底壁71を挟んで第2方向Xに第1側壁76と併設された第2側壁77を有する。底壁71は、第1側壁76側において第1方向Yに延び、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の一端側を収容し、下方に凹設される第1溝81と、第2側壁77側において第1方向Yに延び、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の他端側を収容し、下方に凹設される第2溝82とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジと、
前記キャリッジを第1方向に移動させる移動機構と、
前記キャリッジに接続され、前記キャリッジと共に前記第1方向に移動する一端、位置が固定される他端、および、前記一端と前記他端との間に設けられる屈曲部を有するフレキシブルケーブルと、
底壁、前記底壁から上方に延び、かつ、前記第1方向に延びた第1側壁、および、前記底壁から上方に延びると共に前記第1方向に延び、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に、前記底壁を挟んで前記第1側壁と併設された第2側壁を有し、前記フレキシブルケーブルを支持する支持部材と、
を備え、
前記底壁は、
前記第1側壁側において前記第1方向に延び、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記一端側を収容し、下方に凹設される第1溝と、
前記第2側壁側において前記第1方向に延び、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記他端側を収容し、下方に凹設される第2溝と、
を有する、キャリッジ移動装置。
【請求項2】
前記フレキシブルケーブルの前記一端が前記キャリッジと共に前記第1方向に移動する際に、前記屈曲部の位置が変化するように構成されており、
前記第1溝は、
上下方向に延び、かつ、前記第1方向に延びた第1溝側面と、
前記第1溝側面よりも前記第2側壁側に配置され、上方に向かうにしたがって前記第1溝側面から離れる方向に傾斜して延び、かつ、前記第1方向に延びた第1溝傾斜面と、
を有し、
前記第2溝は、
前記上下方向に延び、かつ、前記第1方向に延びた第2溝側面と、
前記第2溝側面よりも前記第1側壁側に配置され、上方に向かうにしたがって前記第2溝側面から離れる方向に傾斜して延び、かつ、前記第1方向に延びた第2溝傾斜面と、
を有する、請求項1に記載されたキャリッジ移動装置。
【請求項3】
前記フレキシブルケーブルの前記一端が前記キャリッジと共に前記第1方向に移動する際に、前記屈曲部の位置が変化するように構成されており、
前記底壁は、前記第1溝と前記第2溝との間において前記第1方向に延び、前記第1溝および前記第2溝よりも隆起し、前記屈曲部を支持する隆起部を有している、請求項1または2に記載されたキャリッジ移動装置。
【請求項4】
前記フレキシブルケーブルは、前記キャリッジが前記第1方向に移動することで、前記フレキシブルケーブル全体に対する前記屈曲部の位置が変更されると共に、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記一端側の長さと、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記他端側の長さとが変更されるように構成され、
前記フレキシブルケーブルの前記屈曲部は、前記隆起部上に配置され、
前記フレキシブルケーブルの前記一端と、前記キャリッジとを接続する回転軸を備え、
前記フレキシブルケーブルの前記一端は、前記回転軸を軸にして上下方向に回転可能に構成された、請求項3に記載されたキャリッジ移動装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記支持部材における前記第1方向の全範囲のうち、前記キャリッジと共に前記屈曲部が移動するときに、前記屈曲部が通過する前記第1方向の通過軌跡の範囲において、前記屈曲部よりも上方に配置された上壁を有する、請求項1から4までの何れか1つに記載されたキャリッジ移動装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記支持部材における前記第1方向の全範囲のうち、前記キャリッジと共に前記屈曲部が移動するときに、前記屈曲部が通過しない前記第1方向の非通過軌跡の範囲において、前記第1溝の前記第1側壁と反対側の面の上端から上方に向かうにしたがって、前記第1側壁から離れるように傾斜して延び、かつ、前記第1方向に延びたガイド壁を有する、請求項1から5までの何れか1つに記載されたキャリッジ移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリッジ移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、キャリッジと、キャリッジに接続された帯状のフレキシブルケーブルとを備えたプリンタが開示されている。キャリッジは、走査方向に往復移動可能なものである。フレキシブルケーブルは、所定の固定支点から走査方向に立設姿勢で延設され、U字状のループ部を介して、延設先端部がキャリッジに接続されている。ここで、立設姿勢とは、フレキシブルケーブルの幅方向が垂直となる垂直姿勢を中心とする一定角度の範囲の立ち姿勢のことである。
【0003】
上記プリンタは、フレキシブルケーブルのうち、U字状のループ部の一部(例えば固定支点の近傍に位置するループ部の基端部)を下側から接して支える支え部を備えている。このように、支え部によって、フレキシブルケーブルのループ部の一部を下側から支えることで、フレキシブルケーブルの全体の立設姿勢における自立性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたプリンタにおいて、フレキシブルケーブルの一部が、支え部によって下側から支えられた場合であっても、フレキシブルケーブルが立設姿勢から傾くことがあり得る。特に、いわゆる大型プリンタでは、フレキシブルケーブルが長尺化するため、フレキシブルケーブルの立設姿勢を維持するための金属製のガイド部材などが必要になり得る。ここで、ガイド部材などによらずに長尺のフレキシブルケーブルの立設姿勢を維持することができれば、ガイド部材の分だけコストを削減することができる。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、キャリッジが移動しているときに、キャリッジに接続されたフレキシブルケーブルが、ガイド部材などの別部材を用いずに適切な姿勢で維持することが可能なキャリッジ移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るキャリッジ移動装置は、キャリッジと、移動機構と、フレキシブルケーブルと、支持部材とを備えている。前記移動機構は、前記キャリッジを第1方向に移動させる。前記フレキシブルケーブルは、前記キャリッジに接続され、前記キャリッジと共に前記第1方向に移動する一端、位置が固定される他端、および、前記一端と前記他端との間に設けられる屈曲部を有している。前記支持部材は、底壁、前記底壁から上方に延び、かつ、前記第1方向に延びた第1側壁、および、前記底壁から上方に延びると共に前記第1方向に延び、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に、前記底壁を挟んで前記第1側壁と併設された第2側壁を有し、前記フレキシブルケーブルを支持する。前記底壁は、第1溝と、第2溝とを有している。前記第1溝は、前記第1側壁側において前記第1方向に延び、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記一端側を収容し、下方に凹設される。前記第2溝は、前記第2側壁側において前記第1方向に延び、前記屈曲部より前記フレキシブルケーブルの前記他端側を収容し、下方に凹設される。
【0008】
前記キャリッジ移動装置によれば、キャリッジが第1方向に移動しているとき、フレキシブルケーブルは、屈曲部よりフレキシブルケーブルの一端側が第1溝に収容され、かつ、屈曲部よりフレキシブルケーブルの他端側が第2溝に収容された状態で、キャリッジの移動に合わせて連れ動く。このとき、屈曲部よりフレキシブルケーブルの一端側は第1溝にガイドされながら連れ動き、かつ、屈曲部よりフレキシブルケーブルの他端側は第2溝にガイドされながら連れ動くため、フレキシブルケーブルが、支持部材の底壁の中央側(ここでは第1側壁と第2側壁との間の中央側)に倒れることを抑制することができる。よって、キャリッジが移動しているときに、ガイド部材などの別部材を用いずに、フレキシブルケーブルを適切な姿勢(例えば立設姿勢)で配置することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キャリッジが移動しているときに、キャリッジに接続されたフレキシブルケーブルが適切な姿勢で維持することが可能なキャリッジ移動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るプリンタを模式的に示した平面図である。
【
図2】実施形態に係るプリンタを模式的に示した平面図である。
【
図3】実施形態に係るプリンタを模式的に示した平面図である。
【
図7】
図5BのVII-VII断面における支持部材の断面図であり、フレキシブルケーブルの第1部分および第2部分が配置された状態を示す図である。
【
図8】
図7相当図であり、フレキシブルケーブルの屈曲部が支持部材に配置された状態を示す図である。
【
図9】
図5BのIX-IX断面における支持部材の断面図である。
【
図10】
図5BのX-X断面における支持部材の断面図である。
【
図11】フレキシブルケーブルの第1部分の長さが変更されることで、第1部分の傾斜角度が変更されることを示す模式図である。
【
図12】カットキャリッジの後面図であり、カットキャリッジに対してフレキシブルケーブルの第1部分が回転する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るキャリッジ移動装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0012】
ここでは、本発明のキャリッジ移動装置として、プリンタ10を一例に挙げて説明する。
図1~
図3は、実施形態に係るプリンタ10を模式的に示した平面図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。符号Yは走査方向を示している。走査方向Yは第1方向の一例である。例えば走査方向Yは左右方向である。符号Xは搬送方向を示している。搬送方向Xは、第1方向と交差する第2方向の一例である。ここでは、搬送方向Xは、走査方向Yと平面視に置いて交差(詳しくは直交)している。例えば搬送方向Xは前後方向である。符号Zは、上下方向(言い換えると高さ方向)を示している。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。本実施形態では、プリンタ10は、カットキャリッジ付きのプリンタであり、カット機能を有している。プリンタ10は、媒体5に対して印刷およびカットが可能なプリント&カット機である。
【0014】
媒体5は、例えばロール状の記録紙である。ただし、媒体5は、例えばポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材によって形成されていてもよく、媒体5を形成する材料は特に限定されるものではない。また、媒体5は、シート状であってもよいし、所定の形状を有する立体物であってもよい。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、本体11と、プラテン13と、ガイドレール15と、を備えている。本体11は、走査方向Yに延びたケーシングを有する。プラテン13は、本体11の上部に設けられている。プラテン13は、媒体5への印刷および媒体5をカットする際、媒体5を支持するものである。プラテン13には、媒体5が載置される。ここでは、プラテン13は、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がっている。プラテン13に支持された媒体5は、搬送機構(図示せず)によって搬送方向Xに移動可能に構成されている。ガイドレール15は、プラテン13よりも上方において、本体11に固定されている。ガイドレール15は、走査方向Yに延びている。
【0016】
図1に示すように、プリンタ10は、カットキャリッジ20と、プリントキャリッジ25とを備えている。カットキャリッジ20は、本発明のキャリッジの一例である。カットキャリッジ20は、プラテン13に支持された媒体5をカットする機能を有する。カットキャリッジ20は、走査方向Yに移動可能に構成されている。
図1、
図2、
図3では、本体11に対するカットキャリッジ20の位置が異なっている。
図1、
図2、
図3の順に、カットキャリッジ20が走査方向Yの右から左に移動している。カットキャリッジ20は、ガイドレール15に摺動可能に係合している。図示は省略するが、カットキャリッジ20には、カッターが設けられている。カッターは、上下方向Zに移動可能に構成されている。カッターは、カットキャリッジ20から下方に刃が突出可能である。本実施形態では、カッターは、ソレノイドを介してカットキャリッジ20に取り付けられている。ここで、ソレノイドがONまたはOFFされると、カッターは上下方向Zに移動して媒体5に接触し、あるいは離反する。このことで、カッターによって媒体5がカットされる。
【0017】
プリントキャリッジ25は、プラテン13に支持された媒体5に印刷する機能を有する。プリントキャリッジ25は、カットキャリッジ20と走査方向Yに並んで配置されている。プリントキャリッジ25は、走査方向Yに移動可能に構成されている。なお、
図1~
図3では、プリントキャリッジ25は、本体11の右部の内部に配置されているが、後述のようにプリントキャリッジ25がカットキャリッジ20に連結されている場合には、プリントキャリッジ25は、カットキャリッジ20と共に走査方向Yに移動する。プリントキャリッジ25は、ガイドレール15に摺動可能に係合している。図示は省略するが、プリントキャリッジ25には、プラテン13に支持された媒体5に向かってインクを吐出するインクヘッド(図示せず)が設けられている。インクヘッドは、例えばシアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインクや、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクなどを吐出する。
【0018】
本実施形態では、プリンタ10は、移動機構30を備えている。移動機構30は、カットキャリッジ20を走査方向Yに移動させる機構である。移動機構30の構成は特に限定されない。移動機構30は、図示は省略するが、例えばガイドレール15の左右の両端部の周囲に設けられた左右のプーリと、左右のプーリに巻き掛けられたベルトと、一方のプーリに接続されたキャリッジモータとを備えている。ベルトには、カットキャリッジ20が固定されている。ここでは、キャリッジモータが駆動することで、一方のプーリが回転し、ベルトが走行する。このことで、カットキャリッジ20は、ガイドレール15に沿って走査方向Yに移動する。
【0019】
本実施形態では、カットキャリッジ20と、プリントキャリッジ25は、連結可能に構成されている。カットキャリッジ20とプリントキャリッジ25とが離反しているときには、
図1~
図3に示すように、移動機構30によって、カットキャリッジ20は単独で走査方向Yに移動する。カットキャリッジ20とプリントキャリッジ25とが連結しているときには、移動機構30によって、カットキャリッジ20とプリントキャリッジ25が連結して走査方向Yに移動する。
【0020】
プリンタ10は、図示しない制御装置を備えている。制御装置は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。詳しい図示は省略するが、制御装置は、上述の搬送機構、カットキャリッジ20、プリントキャリッジ25、および、移動機構30にそれぞれ通信可能に接続されている。制御装置は、搬送機構、カットキャリッジ20、プリントキャリッジ25、および、移動機構30を制御可能に構成されている。
【0021】
本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ10は、ケーブルアセンブリ40と、支持部材60とを備えている。
図1~
図3に示すように、ケーブルアセンブリ40は、カットキャリッジ20の走査方向Yへの移動に合わせてカットキャリッジ20と連れ動くものである。ケーブルアセンブリ40は、カットキャリッジ20の走査方向Yへの移動に合わせてU字状に屈曲変形するものである。支持部材60は、U字状に屈曲変形したケーブルアセンブリ40を支持するものである。以下、ケーブルアセンブリ40、および、支持部材60について詳しく説明する。
【0022】
図4は、ケーブルアセンブリ40の断面図(詳しくは、ケーブルアセンブリ40の厚み方向に沿った断面におけるケーブルアセンブリ40の断面図)である。ここでは、
図4に示すように、ケーブルアセンブリ40は、フレキシブルケーブル41と、第1保護シート46と、第2保護シート47とを有している。
【0023】
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20の走査方向Yへの移動に合わせて連れ動くものである。フレキシブルケーブル41は、帯状の形状を有している。フレキシブルケーブル41は、例えばフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable(FFC))である。ただし、フレキシブルケーブル41の形状は、帯状に限定されるものではない。
図1に示すように、フレキシブルケーブル41は、U字状に屈曲変形可能に構成されている。本実施形態では、フレキシブルケーブル41の一端は、カットキャリッジ20に接続されている。フレキシブルケーブル41の一端は、カットキャリッジ20と共に走査方向Yに移動する。フレキシブルケーブル41の他端は、上述の制御装置に接続されており、本体11に固定されている。本実施形態では、フレキシブルケーブル41の他端は、本体11の走査方向Yの中央部分の固定位置P1で位置が固定されている。
図1~
図3に示すように、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているとき、フレキシブルケーブル41の他端は、位置が固定されているが、フレキシブルケーブル41の一端は、カットキャリッジ20と連れ動いている。
【0024】
本実施形態では、
図2に示すように、フレキシブルケーブル41は、第1部分51と、第2部分52と、屈曲部53とを有している。第1部分51は、フレキシブルケーブル41の一端を含んでいる。第1部分51の端部(ここでは右端部)は、カットキャリッジ20に接続されている。第1部分51は、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第1部分51は、カットキャリッジ20から走査方向Y(ここでは左方)に向かって延びている。
【0025】
第2部分52は、フレキシブルケーブル41の他端を含んでいる。第2部分52の端部(ここでは右端部)は、本体11に接続されており、位置が固定されている。ここでは、第2部分52は、本体11の走査方向Yの中央部分に位置する固定位置P1で固定されている。第2部分52は、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第2部分52は、固定位置P1から走査方向Y(ここでは左方)に向かって延びている。第2部分52は、第1部分51と搬送方向Xに並んで配置されている。本実施形態では、第2部分52は、第1部分51よりも後方に配置されている。第2部分52は、第1部分51と搬送方向Xで離間している。
【0026】
屈曲部53は、フレキシブルケーブル41のうちのU字状に屈曲変形した部分を構成している。ここでは、屈曲部53は、走査方向Y(詳しくは左方)に凸となるようにU字状に屈曲変形している。屈曲部53は、フレキシブルケーブル41の一端と他端との間に設けられている。ここでは、屈曲部53は、第1部分51と第2部分52との間に配置され、第1部分51と第2部分52とを繋ぐものである。本実施形態では、屈曲部53は、第1部分51の左方に配置され、かつ、第2部分52の左方に配置されている。
【0027】
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、フレキシブルケーブル41全体に対する屈曲部53の位置が変更されるように構成されている。また、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、第1部分51の走査方向Yの長さ(以下、単に第1部分51の長さともいう。)、および、第2部分52の走査方向Yの長さ(以下、単に第2部分52の長さともいう。)が変更されるように構成されている。言い換えると、フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の一端側の長さと、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の他端側の長さとが変更されるように構成されている。本実施形態では、
図1に示すように、カットキャリッジ20が最も右側に配置されているとき、屈曲部53は、固定位置P1よりも左方に配置される。このときの屈曲部53の位置は、カットキャリッジ20が移動しているときにおける最も右側に配置される位置である。カットキャリッジ20が最も右側に配置されているとき、第1部分51の長さが最も長くなり、第2部分52の長さが最も短くなる。
図2に示すように、カットキャリッジ20が左方に移動すると、屈曲部53も左方に移動する。このとき、第1部分51の長さは徐々に短くなり、第2部分52の長さは徐々に長くなる。そして、
図3に示すように、カットキャリッジ20が最も左側に移動したとき、屈曲部53は最も左側に配置される。このとき、第1部分51の長さが最も短くなり、第2部分52の長さが最も長くなる。
【0028】
本実施形態では、
図4に示すように、帯状のフレキシブルケーブル41の対向する幅広の面の一方の面には、第1保護シート46が設けられている。フレキシブルケーブル41の対向する幅広の面の他方の面には、第2保護シート47が設けられている。ここでは、フレキシブルケーブル41は、第1保護シート46と第2保護シート47とに挟まれることで、ノイズから保護されている。第1保護シート46および第2保護シート47は、それぞれフレキシブルケーブル41に沿って延びている。そのため、第1保護シート46および第2保護シート47において、フレキシブルケーブル41のうち第1部分51および第2部分52に対応する部分では、走査方向Yに延びており、屈曲部53に対応する部分では、U字状に屈曲変形している。第1保護シート46および第2保護シート47は、樹脂で形成された樹脂シートである。ただし、第1保護シート46および第2保護シート47の材質は特に限定されない。なお、
図4以外の図面では、第1保護シート46および第2保護シート47の図示は省略されている。
【0029】
次に、支持部材60について説明する。上述のように、支持部材60は、
図2に示すように、フレキシブルケーブル41(言い換えると、ケーブルアセンブリ40)を支持するものである。支持部材60は、プラテン13よりも上方であって、ガイドレール15よりも後方に配置されている。ただし、支持部材60の配置位置は特に限定されない。支持部材60は、走査方向Yに延びたものである。
【0030】
図5A、
図5B、
図6は、それぞれ支持部材60を模式的に示した斜視図、平面図、正面図である。
図7は、
図5BのVII-VII断面における支持部材60の断面図である。
図8は、
図7相当図である。
図9、
図10は、それぞれ
図5BのIX-IX断面、
図5BのX-X断面における支持部材60の断面図である。
図5A、
図5Bおよび
図6に示すように、支持部材60は、底壁71と、第1側壁76と、第2側壁77とを有している。底壁71は、プラテン13(
図1参照)よりも上方において、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がったものである。ここでは、底壁71は、搬送方向Yよりも走査方向Yに長い形状を有している。
【0031】
図7に示すように、第1側壁76は、底壁71から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第1側壁76は、底壁71の前端に連結されている。ここでは、第1側壁76は、底壁71の前端から真上に延びている。ただし、第1側壁76は、傾斜していてもよく、例えば下から上に向かうにしたがって、底壁71から離れる方、ここでは前方に傾斜してもよい。
【0032】
第2側壁77は、第1側壁76と搬送方向Xで対向している。第2側壁77は、第1側壁76と搬送方向Xに並んで配置されている。第2側壁77は、搬送方向Xに底壁71を挟んで第1側壁76と併設されている。ここでは、第2側壁77は、第1側壁76の後方に配置されている。第2側壁77は、底壁71から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第2側壁77は、底壁71の後端に連結されている。ここでは、第2側壁77は、底壁71の後端から真上に延びている。ただし、第2側壁77は、傾斜していてもよく、例えば下から上に向かうにしたがって、底壁71から離れる方、ここでは後方に傾斜してもよい。
【0033】
本実施形態では、
図1に示すように、ケーブルアセンブリ40は、支持部材60の底壁71の上方であって、第1側壁76と第2側壁77との間に配置されている。
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20の走査方向Yへの移動に合わせて、支持部材60内で連れ動く。そのため、フレキシブルケーブル41の屈曲部53は、底壁71の上方において走査方向Yに移動する。本実施形態では、
図1に示すように、平面視において、支持部材60の走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20と共に屈曲部53が移動するときに、屈曲部53が通過する走査方向Yの通過軌跡の範囲を、通過範囲AR1という。通過範囲AR1は、支持部材60の走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているときに、屈曲部53が通過する走査方向Yの範囲である。
【0034】
一方、平面視において、支持部材60の走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20と共に屈曲部53が移動するときに、屈曲部53が通過しない走査方向Yの非通過軌跡の範囲を、非通過範囲AR2という。非通過範囲AR2は、支持部材60の走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているときに、屈曲部53が通過しない走査方向Yの範囲である。
【0035】
ここでは、通過範囲AR1と非通過範囲AR2は、走査方向Yに並んでいる。ここでは、通過範囲AR1は、非通過範囲AR2の左方に配置されている。本実施形態では、フレキシブルケーブル41の他端が固定される固定位置P1を境界にして、通過範囲AR1と非通過範囲AR2とに分かれている。ここでは、固定位置P1よりも左方に位置する支持部材60の範囲が通過範囲AR1である。固定位置P1よりも右方に位置する支持部材60の範囲が非通過範囲AR2である。
【0036】
本実施形態では、
図7に示すように、支持部材60の底壁71には、第1溝81と、第2溝82とが形成されている。第1溝81は、第1側壁76側において走査方向Yに延び、下方に凹んだ溝である。言い換えると、第1溝81は、下方に凹設されている。ここでは、第1溝81は、走査方向Yに直線状に延びている。本実施形態では、第1溝81内には、フレキシブルケーブル41の第1部分51が配置される。言い換えると、第1溝81は、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の一端側を収容する。また、
図4のみに図示し、その他の図面における図示は省略するが、第1溝81内には、第1部分51に対応した第1保護シート46および第2保護シート47の部分も配置される。本実施形態では、
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41の第1部分51は、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているとき、支持部材60の通過範囲AR1および非通過範囲AR2を通過する。そのため、
図7~
図10に示すように、第1部分51が配置される第1溝81は、通過範囲AR1内の底壁71の部分に形成され、かつ、非通過範囲AR2内の底壁71の部分に形成されている。
【0037】
第1溝81の形状は特に限定されない。本実施形態では、
図7に示すように、第1溝81は、走査方向Yから見たときに、底が尖ったV字状の溝である。ここでは、第1溝81は、第1溝側面81aと、第1溝傾斜面81bとを有しており、第1溝側面81aと、第1溝傾斜面81bとでV字状の溝を形成している。第1溝側面81aは、上下方向Zに延び、かつ、走査方向Yに延びている。ここでは、第1溝側面81aは、第1側壁76の後面によって構成されている。第1溝傾斜面81bは、第1溝側面81aよりも第2側壁77側に配置されている。ここでは、第1溝傾斜面81bは、第1溝側面81aよりも後方に配置されている。第1溝傾斜面81bの下端は、第1溝側面81aの下端に接続されている。第1溝傾斜面81bは、第1溝側面81aの下端から上方に向かうにしたがって、第1溝側面81aから離れる方向に傾斜して延びている。ここでは、第1溝傾斜面81bは、上方に向かうにしたがって後方に傾斜している。第1溝傾斜面81bは、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第1溝側面81aと第1溝傾斜面81bとが成す角度は、鋭角である。
【0038】
第2溝82は、第2側壁77側において走査方向Yに延び、下方に凹んだ溝である。言い換えると、第2溝82は、下方に凹設されている。ここでは、第2溝82は、走査方向Yに直線状に延びている。第2溝82は、第1溝81よりも後方に配置されている。本実施形態では、第2溝82内には、フレキシブルケーブル41の第2部分52が配置される。言い換えると、第2溝82は、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の他端側を収容する。また、
図4のみに図示し、他の図面における図示は省略するが、第2溝82内には、第2部分52に対応した第1保護シート46および第2保護シート47の部分も配置される。本実施形態では、
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41の第2部分52は、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているとき、支持部材60の通過範囲AR1は通過するが、非通過範囲AR2は通過しない。すなわち、第2部分52は、通過範囲AR1内に配置される。そのため、本実施形態では、
図7および
図8に示すように、第2部分52が配置される第2溝82は、通過範囲AR1内の底壁71の部分に形成され、かつ、
図9および
図10に示すように、非通過範囲AR2内の底壁71の部分には形成されていない。また、本実施形態では、
図10に示すように、支持部材60の第2側壁77は、非通過範囲AR2内の一部では、形成されていない。
【0039】
第2溝82の形状は特に限定されない。本実施形態では、
図7に示すように、第2溝82は、第1溝81と同様の形状を有しており、ここでは走査方向Yから見たときに、底が尖ったV字状の溝である。ここでは、第2溝82は、第2溝側面82aと、第2溝傾斜面82bとを有しており、第2溝側面82aと、第2溝傾斜面82bとでV字状の溝を形成している。第2溝側面82aは、上下方向Zに延び、かつ、走査方向Yに延びている。ここでは、第2溝側面82aは、第2側壁77の前面によって構成されている。第2溝傾斜面82bは、第2溝側面82aよりも第1側壁76側に配置されている。ここでは、第2溝傾斜面82bは、第2溝側面82aよりも前方に配置されている。第2溝傾斜面82bの下端は、第2溝側面82aの下端に接続されている。第2溝傾斜面82bは、第2溝側面82aの下端から上方に向かうにしたがって、第2溝側面82aから離れる方向に傾斜して延びている。ここでは、第2溝傾斜面82bは、上方に向かうにしたがって前方に傾斜している。第2溝傾斜面82bは、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第2溝側面82aと第2溝傾斜面82bとが成す角度は、鋭角である。
【0040】
本実施形態では、
図7に示すように、支持部材60の底壁71は、隆起部83を有している。隆起部83は、第1溝81と第2溝82との間において走査方向Yに延びている。ここでは、隆起部83は、第1溝81と第2溝82との間に配置されている。隆起部83は、第1溝81および第2溝82よりも隆起している。ここでは、隆起部83が隆起しているとは、第1溝81の底、および、第2溝82の底よりも隆起していることを意味する。本実施形態では、隆起部83は、第1溝81を形成する面の上端と連続し、かつ、第2溝82を形成する面の上端と連続している。ここでは、隆起部83は、第1溝81の第1溝傾斜面81bの上端と、第2溝82の第2溝傾斜面82bの上端とを繋いでいる。隆起部83は、第1溝傾斜面81bの上端と、第2溝傾斜面82bの上端とを繋いだ平ら面によって構成されている。ただし、隆起部83は、平らな面に限定されない。
【0041】
本実施形態では、
図8に示すように、フレキシブルケーブル41の屈曲部53は、隆起部83上に配置されている。隆起部83は、屈曲部53を支持する。また、図示は省略するが、屈曲部53に対応した第1保護シート46および第2保護シート47の部分も、隆起部83上に配置されている。カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているとき、屈曲部53は、隆起部83上を走査方向Yに移動する。そのため、フレキシブルケーブル41において、
図7および
図8に示すように、屈曲部53は、第1溝81に配置される第1部分51よりも高い位置に配置され、かつ、第2溝82に配置される第2部分52よりも高い位置に配置される。
【0042】
図11は、フレキシブルケーブル41の第1部分51の長さが変更されることで、傾斜角度R1が変更されることを示す模式図である。ここでは、
図11に示すように、第1部分51は、カットキャリッジ20(ここでは、第1部分51の右端部)から屈曲部53に向かうにしたがって、第1溝81の底から、屈曲部53に向かって上方に傾斜している。第1部分51は、上述のように、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、走査方向Yの長さが変更されるように構成されている。例えば第1部分51の走査方向Yの長さが長いときには、屈曲部53からカットキャリッジ20までの距離が長くなり、第1部分51の傾斜が緩やかになり、第1部分51の傾斜角度R1が小さくなる。一方、
図11の2点破線に示すように、第1部分51の走査方向Yの長さが短いときには、屈曲部53からカットキャリッジ20までの距離が短くなり、第1部分51の傾斜が急になり、第1部分51の傾斜角度R1が大きくなる。
【0043】
本実施形態では、フレキシブルケーブル41の第1部分51の傾斜角度R1が変更された場合に対応できるために、第1部分51におけるカットキャリッジ20と接続されている端部(ここでは、フレキシブルケーブル41の一端)は、カットキャリッジ20に対して回転可能に接続されている。
図12は、カットキャリッジ20の後面図であり、カットキャリッジ20に対してフレキシブルケーブル41の第1部分51が回転する状態を示す模式図である。ここでは、
図12に示すように、フレキシブルケーブル41の第1部分51の端部(ここでは右端部であり、フレキシブルケーブル41の一端)と、カットキャリッジ20とを接続する回転軸55が設けられている。回転軸55は搬送方向Xに延びている。ここでは、第1部分51の端部には、回転孔(図示せず)が形成されており、この回転孔が回転軸55に挿入されている。そのため、第1部分51(言い換えると、フレキシブルケーブル41の一端)は、
図12の矢印A1のように、回転軸55を軸にして上下方向Zに回転可能に構成されている。
【0044】
また、本実施形態では、第1部分51の端部には、規制孔56が形成されている。規制孔56は、上下方向Zに長い長孔である。規制孔56には、搬送方向Xに延びた規制ピン57が挿入されている。規制ピン57は、カットキャリッジ20に固定されている。ここでは、フレキシブルケーブル41の第1部分51が回転軸55を軸に回転するとき、規制ピン57は、規制孔56内を上下方向Zに移動する。そして、規制ピン57が規制孔56の上端または下端に位置するとき、回転軸55回りにおける第1部分51の回転を規制する。
【0045】
本実施形態では、カットキャリッジ20が移動しているとき、フレキシブルケーブル41の屈曲部53が、支持部材60の隆起部83から浮き上がることがあり得る。そこで、
図8に示すように、支持部材60は、上壁73を有している。上壁73は、屈曲部53が隆起部83から浮き上がることを防止するためのものである。上壁73は、フレキシブルケーブル41が支持部材60に支持されている状態において、屈曲部53よりも上方に配置されている。上壁73の少なくとも一部は、平面視において隆起部83と重なる位置に配置されている。上壁73は、底壁71の上方において、走査方向Yに延びており、かつ、搬送方向Xに延びている。本実施形態では、上壁73は、第2側壁77の上端に接続されており、第2側壁77の上端から第1側壁76に向かって前方に延びている。ただし、上壁73は、第1側壁76の上端に接続され、第1側壁76から第2側壁77に向かって延びていてもよい。
【0046】
上壁73は、屈曲部53が通過する範囲に配置されているとよい。そこで、本実施形態では、
図1に示すように、上壁73は、支持部材60の走査方向Yにおける全範囲のうち通過範囲AR1に配置され、かつ、非通過範囲AR2には配置されていない。しかしながら、上壁73は、非通過範囲AR2に配置されることも可能である。
【0047】
本実施形態では、
図1~
図3に示すように、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動する際、カットキャリッジ20に直接接続されているフレキシブルケーブル41の第1部分51も、支持部材60の第1溝81内において走査方向Yに移動する。このとき、
図10に示すように、第1部分51が第1溝81から外れることがあり得る。例えば第1部分51は、第1溝81から隆起部83に移動しようとすることがあり得る。
【0048】
そこで、本実施形態では、支持部材60は、ガイド壁74を有している。ガイド壁74は、第1溝81から外れた第1部分51が第1溝81に戻るように、第1部分51をガイドするものである。ここでは、ガイド壁74は、第1溝81における第1側壁76と反対側の面(ここでは、第1溝傾斜面82b)の上端に接続されている。ガイド壁74は、第1溝81の第1溝傾斜面82bの上端から上方に向かうにしたがって、第1側壁76から離れるように傾斜して延び、かつ、走査方向Yに延びている。言い換えると、ガイド壁74は、第1溝傾斜面82bの上端から上方に向かうにしたがって後方に傾斜している。ガイド壁74は、第1溝傾斜面82bの延長線上に配置されている。
図7に示すように、ガイド壁74は、走査方向Yから見たときに、隆起部83の真上に配置されている。ここでは、ガイド壁74の傾斜角度は、第1溝傾斜面82bの傾斜角度と同じである。ただし、ガイド壁74の傾斜角度は、第1溝傾斜面82bの傾斜角度よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。
【0049】
このように、本実施形態では、ガイド壁74は、走査方向Yから見たときに、隆起部83の真上に配置されているため、平面視において、フレキシブルケーブル41の屈曲部53が通過する隆起部83と重なる位置には配置されてないことが好ましい。そのため、ここでは、
図1に示すように、ガイド壁74は、支持部材60の走査方向Yの全範囲のうち、非通過範囲AR2には配置されているが、通過範囲AR1には配置されていない。
【0050】
次に、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているときのフレキシブルケーブル41の移動について説明する。
図1に示すように、カットキャリッジ20が最も右側に配置されているとき、屈曲部53は、固定位置P1よりも左方に配置される。
図8に示すように、屈曲部53は、支持部材60の隆起部83上に配置される。
図1に示すように、カットキャリッジ20が最も右側に配置されているとき、第1部分51の長さが最も長くなり、第2部分52の長さが最も短くなる。このとき、
図7に示すように、第1部分51は、支持部材60の第1溝81内に配置され、第2部分52は、支持部材60の第2溝82内に配置される。
【0051】
図2に示すように、カットキャリッジ20が左方に移動すると、屈曲部53は、隆起部83上を左方に移動する。このとき、第1部分51の長さは徐々に短くなり、第2部分52の長さは徐々に長くなる。そして、
図3に示すように、カットキャリッジ20が最も左側に移動したとき、屈曲部53は最も左側に配置される。このとき、第1部分51の長さが最も短くなり、第2部分52の長さが最も長くなる。その後、カットキャリッジ20が右方に移動すると、屈曲部53は、隆起部83上を右方に移動する。このとき、第1部分51の長さは徐々に長くなり、第2部分52の長さは徐々に短くなる。このようにして、カットキャリッジ20が走査方向Yに往復移動する際に、フレキシブルケーブル41は、第1部分51が第1溝81内に配置され、かつ、第2部分52が第2溝82内に配置されながら、カットキャリッジ20に合わせて連れ動いている。
【0052】
なお、屈曲部53が隆起部83上を移動しているとき、
図8に示すように、屈曲部53の上方には、支持部材60の上壁73が配置されている。そのため、仮に屈曲部53が隆起部83から浮き上がろうとした場合であっても、屈曲部53が上壁73に接することで、隆起部83から浮き上がることが防止される。
【0053】
また、カットキャリッジ20が移動している間、フレキシブルケーブル41の第1部分51は、カットキャリッジ20と連れ動くことになるため、第1溝81上を走査方向Yに移動する。上述のように、ガイド壁74は、フレキシブルケーブル41の第1部分51が第1溝81から外れた場合に、非通過範囲AR2(ここでは、カットキャリッジ20のホームポジション側)で第1溝81に戻すためのガイドである。そのため、通過範囲AR1でフレキシブルケーブル41が第1溝81から外れた場合であっても、非通過範囲AR2において、
図10に示すように、フレキシブルケーブル41の第1部分51の一部は、支持部材60のガイド壁74に乗り上がる。その後、重力によってガイド壁74に沿って、
図10の矢印A2のように、第1溝81内に移動することになる。よって、通過範囲AR1でフレキシブルケーブル41が第1溝81から外れた場合であっても、第1溝81から外れた状態で、通過範囲AR1と非通過範囲AR2との間を往復移動することはない。したがって、フレキシブルケーブル41の第1部分51が第1溝81から外れた状態で走査方向Yに移動することを抑制することができる。
【0054】
以上、本実施形態では、
図2に示すように、プリンタ10は、カットキャリッジ20の走査方向Yへの移動に合わせて連れ動くフレキシブルケーブル41と、走査方向Yに延び、フレキシブルケーブル41を支持する支持部材60とを備えている。フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20に接続され、カットキャリッジ20と共に走査方向Yに移動する一端と、位置が固定される他端と、一端と他端との間に設けられる屈曲部53とを有している。
図7に示すように、支持部材60は、底壁71と、第1側壁76と、第2側壁77とを有している。第1側壁76は、底壁71から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びている。第2側壁77は、底壁71から上方に延びると共に走査方向Yに延び、かつ、搬送方向Xに、底壁71を挟んで第1側壁76と併設されている。底壁71は、第1側壁76側において走査方向Yに延び、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の一端側(ここでは第1部分51)を収容し、下方に凹設される第1溝81と、第2側壁77側において走査方向Yに延び、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の他端側(ここでは第2部分52)を収容し、下方に凹設される第2溝82とを有している。
【0055】
このことによって、
図1~
図3に示すように、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動しているとき、
図7に示すように、フレキシブルケーブル41は、第1部分51が第1溝81に収容され、かつ、第2部分52が第2溝82に収容された状態で、カットキャリッジ20の移動に合わせて連れ動く。このとき、第1部分51は第1溝81にガイドされながら連れ動き、かつ、第2部分52は第2溝82にガイドされながら連れ動くため、フレキシブルケーブル41が底壁71の中央側(ここでは第1側壁76と第2側壁77との間の中央側)に倒れることを抑制することができる。よって、カットキャリッジ20が移動しているときに、フレキシブルケーブル41を適切な姿勢(例えば立設姿勢)で配置することができる。
【0056】
また、本実施形態では、フレキシブルケーブル41を立設姿勢で維持するために使用されるガイド部材などの別部材が不要となるため、コストの削減を図ることができる。更に、ガイド部材を使用する場合と比較して、支持部材60の第1側壁76と第2側壁77との間隔を狭くすることができるため、支持部材60の小型化を図ることができる。支持部材60の小型化を図ることができる理由として、以下のことが考えられる。
【0057】
例えばガイド部材を使用する場合には、ガイド部材は例えば金属などで形成される。このため、フレキシブルケーブル41の屈曲部53に対応するガイド部材における耐久性の観点から、ガイド部材の屈曲率に制限が発生する。このガイド部材の屈曲率の制限に対応するために、第1側壁76と第2側壁77との間隔を所定値だけ確保する必要があった。しかしながら、本実施形態では、ガイド部材が不要となるため、第1側壁76と第2側壁77との間隔を所定値だけ確保する必要がない。そのため、フレキシブルケーブル41による走査方向Yへの移動に差し支えない範囲で、第1側壁76と第2側壁77との間隔を設定することができるため、ガイド部材を使用する場合と比較して、支持部材60の小型化を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態では、
図4に示すように、フレキシブルケーブル41は、第1保護シート46と第2保護シート47とによって挟まれている。第1保護シート46および第2保護シート47のそれぞれの一端側は、第1溝81に収容され、他端側は第2溝82に収容されている。よって、ガイド部材を使用しない場合であっても、第1保護シート46および第2保護シート47に挟まれたフレキシブルケーブル41の立設姿勢を維持することができる。
【0059】
仮に第1溝81および第2溝82を用いずに、第1保護シート46と第2保護シート47に挟まれたフレキシブルケーブル41がカットキャリッジ20と共に移動した場合には、フレキシブルケーブル41が湾曲することで、一端側と他端側との間で、第1保護シート46と第2保護シート47とに対して擦れが発生する。ここで、第1保護シート46および第2保護シート47は、樹脂(例えばPET)で形成されているため、フレキシブルケーブル41と、第1保護シート46および第2保護シート47とが擦れることにより、電気的ノイズ(例えば静電気)が発生し、その結果、通信エラーを引き起こすことがあり得る。しかしながら、本実施形態では、ガイド部材を使用しない場合であっても、第1保護シート46と第2保護シート47とに挟まれたフレキシブルケーブル41の立設姿勢を維持することができる。そのため、フレキシブルケーブル41の一端側と他端側との間で擦れが発生することを抑制することができ、通信エラーを引き起こすことを抑制することができる。
【0060】
本実施形態では、フレキシブルケーブル41は、一端がカットキャリッジ20と共に走査方向Yに移動する際に、屈曲部53の位置が変化するように構成されている。第1溝81は、上下方向Zに延び、かつ、走査方向Yに延びた第1溝側面81aと、第1溝側面81aよりも第2側壁77側に配置され、上方に向かうにしたがって第1溝側面81aから離れる方向に傾斜して延び、かつ、走査方向Yに延びた第1溝傾斜面81bとを有している。第2溝82は、上下方向Zに延び、かつ、走査方向Yに延びた第2溝側面82aと、第2溝側面82aよりも第1側壁76側に配置され、上方に向かうにしたがって第2溝側面82aから離れる方向に傾斜して延び、かつ、走査方向Yに延びた第2溝傾斜面82bとを有している。第1溝81および第2溝82を上記のような構成にすることで、フレキシブルケーブル41がカットキャリッジ20と共に走査方向Yに連れ動く際、フレキシブルケーブル41における屈曲部53の位置が走査方向Yで変化することにより、フレキシブルケーブル41にバタつきが発生する。この場合であっても、第1溝傾斜面81bおよび第2溝傾斜面82bに沿ってフレキシブルケーブル41を移動させることにより、フレキシブルケーブル41のバタつきを抑えることができる。よって、フレキシブルケーブル41の一端側および他端側を第1溝81および第2溝82から外れ難くすることができる。
【0061】
本実施形態では、フレキシブルケーブル41は、一端がカットキャリッジ20と共に走査方向Yに移動する際に、屈曲部53の位置が変化するように構成されている。底壁71は、第1溝81と第2溝82との間において走査方向Yに延び、第1溝81および第2溝82よりも隆起し、屈曲部53を支持する隆起部83を有している。このことによって、フレキシブルケーブル41における屈曲部53の位置が走査方向Yで変化した場合であっても、屈曲部53における上下方向の位置を一定に保つことができる。そのため、第1溝81および第2溝82からフレキシブルケーブル41を外れ難くすることができる。
【0062】
本実施形態では、
図1~
図3に示すように、フレキシブルケーブル41は、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、フレキシブルケーブル41全体に対する屈曲部53の位置が変更されると共に、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の一端側(ここでは第1部分51)の長さと、屈曲部53よりフレキシブルケーブル41の他端側(ここでは第2部分52)の長さとが変更されるように構成されている。
図8に示すように、フレキシブルケーブル41の屈曲部53は、隆起部83上に配置されている。
図12に示すように、プリンタ10は、フレキシブルケーブル41の第1部分51の端部と、カットキャリッジ20とを接続する回転軸55を備えている。フレキシブルケーブル41の第1部分51は、回転軸55を軸にして上下方向Zに回転可能に構成されている。
【0063】
このことによって、フレキシブルケーブル41において、
図11に示すように、屈曲部53は、第1溝81に配置されるフレキシブルケーブル41の一端(ここでは第1部分51)よりも高い位置に配置される。第1部分51は、カットキャリッジ20(例えば第1部分51の右端部)から屈曲部53に向かうにしたがって、第1溝81の底から、屈曲部53に向かって上方に傾斜している。第1部分51は、上述のように、カットキャリッジ20が走査方向Yに移動することで、走査方向Yの長さが変更されるように構成されている。例えば第1部分51の走査方向Yの長さが長いときには、屈曲部53からカットキャリッジ20までの距離が長くなり、第1部分51の傾斜角度R1が小さくなる。一方、第1部分51の走査方向Yの長さが短いときには、屈曲部53からカットキャリッジ20までの距離が短くなり、第1部分51の傾斜角度R1が大きくなる。本実施形態では、第1部分51の傾斜角度R1が変更された場合であっても、
図12に示すように、第1部分51は、カットキャリッジ20に対して回転軸55を軸に回転するため、第1部分51を第1溝81内に適切に配置することができる。
【0064】
本実施形態では、支持部材60は、支持部材60における走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20と共に屈曲部53が移動するときに、屈曲部53が通過する走査方向Yの通過軌跡の範囲(ここでは通過範囲AR1)において、
図8に示すように、屈曲部53よりも上方に配置された上壁73を有している。このことによって、仮に屈曲部53が隆起部83から浮き上がろうとした場合であっても、屈曲部53が上壁73に接することで、隆起部83から浮き上がることを防止すことができる。
【0065】
本実施形態では、支持部材60は、支持部材60における走査方向Yの全範囲のうち、カットキャリッジ20と共に屈曲部53が移動するときに、屈曲部53が通過しない走査方向Yの非通過軌跡の範囲(ここでは非通過範囲AR2)において、
図10に示すように、カットキャリッジ20と接続される一端側(ここでは第1部分51)が収容される第1溝81における第1側壁76と反対側の面(ここでは第1溝傾斜面81b)の上端から上方に向かうにしたがって、第1側壁76から離れるように傾斜して延び、かつ、走査方向Yに延びたガイド壁74を有している。フレキシブルケーブル41の一端側(ここでは第1部分51)は、カットキャリッジ20と連れ動くために、第1溝81上を走査方向Yに移動する。このとき、仮に第1部分51が第1溝傾斜面81bに沿って上方に移動して、第1溝81から隆起部83に乗り上げた場合(第1溝81から外れてしまった場合)であっても、屈曲部53が通過しない走査方向Yの非通過軌跡の範囲(ここでは非通過範囲AR2)において、ガイド壁74は、第1溝81における第1溝傾斜面81bの上端から上方に向かうにしたがって、第1側壁76から離れるようにして延び、かつ、走査方向Yに延びている。そのため、フレキシブルケーブル41が非通過範囲AR2を移動するとき、第1部分51における第1溝81から外れた部分は、ガイド壁74に沿って上方に移動する。ガイド壁74に沿って上方に移動したフレキシブルケーブル41の一端側(第1部分51)の一部は、走査方向Yに移動する際に、重力によってガイド壁74に沿って、
図10の矢印A2のように下方に移動しつつ、第1溝81内に移動することになる。このことによって、第1部分51が第1溝81から外れた場合であっても、非通過範囲AR2を移動する際に第1溝81内に戻すことができるため、フレキシブルケーブル41の一端側(第1部分51)が第1溝81から外れて移動し続けることを防止することができる。
【0066】
なお、本発明に係るキャリッジ移動装置は、プリンタ10に限定されるものではなく、キャリッジ移動装置が備えるキャリッジは、カットキャリッジ20に限定されるものではない。本発明に係るキャリッジ移動装置は、プリンタ10のような印刷機能を有していなくてもよく、プリントキャリッジ25が省略され、かつ、カットキャリッジ20が設けられた、いわゆるカッティング装置であってもよい。また、本発明に係るキャリッジ移動装置が備えるキャリッジは、例えばセンサが搭載されたセンサキャリッジであってもよい。
【0067】
本実施形態では、支持部材60の第1溝81および第2溝82は、走査方向Yから見たときにV字状の溝であった。しかしながら、第1溝81および第2溝82の形状は、特に限定されない。例えば第1溝81および第2溝82は、走査方向Yから見たときにU字状の溝であってもよいし、四角形状の溝であってもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 プリンタ(キャリッジ移動装置)
20 カットキャリッジ(キャリッジ)
30 移動機構
41 フレキシブルケーブル
51 第1部分
52 第2部分
53 屈曲部
55 回転軸
60 支持部材
71 底壁
73 上壁
74 ガイド壁
76 第1側壁
77 第2側壁
81 第1溝
81a 第1溝側面
81b 第1溝傾斜面
82 第2溝
82a 第2溝側面
82b 第2溝傾斜面
83 隆起部
X 搬送方向(第2方向)
Y 走査方向(第1方向)