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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023118488
(43)【公開日】2023-08-25
(54)【発明の名称】吸着搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20230818BHJP
   B65G 15/58 20060101ALI20230818BHJP
   B65G 23/44 20060101ALI20230818BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20230818BHJP
【FI】
B65G47/14 K
B65G15/58 B
B65G23/44
A61J3/06 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022021456
(22)【出願日】2022-02-15
(71)【出願人】
【識別番号】305021292
【氏名又は名称】第一実業ビスウィル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(74)【代理人】
【識別番号】100184631
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】橋口 幸平
(72)【発明者】
【氏名】辻尾 立志
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 力
【テーマコード(参考)】
3F024
3F080
4C047
【Fターム(参考)】
3F024CA04
3F024DA03
3F080AA34
3F080BA02
3F080BC02
3F080BF16
3F080CE06
3F080DA17
4C047LL10
(57)【要約】
【課題】直線状でない搬送経路を形成する搬送ベルト上に、吸引チャンバ内を負圧にする動力を増加させることなく、安定した状態で吸着して搬送できる搬送装置を提供する。
【解決手段】無端環状に形成され、少なくとも往路45、第1接続路47及び復路46を形成する搬送ベルト35,36と、搬送ベルト35,36に負圧を作用させる吸引ボックス11,20と、搬送ベルト35,36を回動させる駆動機構37などを備える。往路45、第1接続路47及び復路46は吸着搬送路を形成し、第1接続路47に対応する部分には回動補助機構25が設けられる。回動補助機構25は、無端環状に形成された回動補助ベルト26,27を備えており、搬送ベルト35,36は、第1接続路47において、回動補助ベルト26,27に巻き掛けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端環状に形成され、相互に間隔を隔てて並んだ状態で設けられる直線状の往路及び復路、前記往路の終端と前記復路の始端とを接続する第1接続路、並びに前記往路の始端と前記復路の終端とを接続する第2接続路を形成する搬送ベルトと、
環状をした前記搬送ベルトの環内に配設され、少なくとも前記往路、復路及び第1接続路に対応する部分において、前記搬送ベルトの回動を案内する案内部を有するとともに、前記往路、復路及び第1接続路に沿って形成された吸引口を有し、該吸引口を介して、前記往路、復路及び第1接続路に負圧を作用させる吸引ボックスと、
前記第2接続路において前記搬送ベルトが巻き掛けられる駆動プーリ、及び該駆動プーリを回転させる駆動モータを有し、該駆動モータにより前記駆動プーリを駆動して前記搬送ベルトを回動させる駆動機構と、
前記吸引ボックスに負圧を作用させる負圧機構とを備え、
前記搬送ベルトは、その回動方向に沿って平行に形成された2つの搬送支持面を有し、該搬送支持面間に前記吸引ボックスからの負圧が作用することによって、前記往路、復路及び第1接続路が吸着搬送路を形成するように構成された吸着搬送装置であって、
前記吸引ボックスには、前記第1接続路に対応する部分において、前記搬送ベルトの回動を補助する回動補助機構が設けられ、
前記回動補助機構は、前記搬送ベルトの環内に配設される、無端環状に形成された回動補助ベルト、及び該回動補助ベルトが巻き掛けられる少なくとも2つのプーリを備え、該2つのプーリ間において、前記吸引ボックスに形成された案内部が該回動補助ベルトの内側から当接して、該回動補助ベルトの回動が案内されるように構成されるとともに、前記吸引ボックスに形成された前記吸引口を介した負圧が前記第1接続路に作用するように構成され、
前記搬送ベルトは、前記第1接続路において、前記回動補助ベルトに巻き掛けられていることを特徴とする吸着搬送装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトは、前記回動方向に沿って、その内面に、前記回動方向と直交する溝が所定間隔で形成された歯付ベルトであり、
前記駆動プーリは歯付プーリであり、
前記回動補助ベルトは平ベルトであることを特徴とする請求項1記載の吸着搬送装置。
【請求項3】
前記回動補助機構は、前記回動補助ベルトの張力を調整する張力調整部を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の吸着搬送装置。
【請求項4】
前記搬送ベルトの往路及び復路は相互に平行に形成され、更に前記第1接続路は円弧状に形成された請求項1から3のいずれか1項に記載の吸着搬送装置。
【請求項5】
前記吸引ボックスは、前記往路及び復路に対応した部分において、その前記吸引口を挟んだ両側に、前記搬送ベルトの走行を案内するガイド部を備えている請求項1から4のいずれか1項に記載の吸着搬送装置。
【請求項6】
前記搬送ベルトは、平行に設けられた2つのベルトから構成され、各ベルトの外面がそれぞれ前記搬送支持面を形成し、
前記回動補助ベルトは、前記搬送ベルトに対応して設けられる2つのベルトから構成され、
前記吸引ボックスは、前記往路及び復路に対応した部分において、その前記吸引口を挟んだ両側に、前記各搬送ベルトの走行を案内するガイド溝をそれぞれ備え、
更に、前記回動補助機構の案内部は、その前記吸引ボックスの吸引口を挟んだ両側に、前記各回動補助ベルトの走行を案内するガイド溝をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の吸着搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤及びカプセル等の医薬品、キャンディ等の小さな菓子類や、ボタン電池等に代表される小物物品を吸着して搬送することができる吸着搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述した吸着搬送装置の一例として、特開2018-57788号公報(下記特許文献1)に開示された装置が知られている。同公報に開示されるように、この吸着搬送装置は、内部空間を有する第1の回転体、この第1の回転体の内部空間と連通するように当該第1の回転体に接続されたダクト、前記ダクト内を吸引する吸引管、前記ダクトを挟んで前記第1の回転体と対向するように設けられた第2の回転体、及び前記第1の回転体と前記第2の回転体とに架け渡された搬送ベルトなどから構成される。
【0003】
前記搬送ベルトは、前記第1の回転体および前記ダクトの内部空間に連通し、前記第1の回転体の回転方向に並ぶ複数の吸引孔を備え、前記第1の回転体および前記ダクトは、前記搬送ベルトにおける前記第1の回転体および前記ダクトの外周に位置する前記吸引孔に吸引力を付与する吸引チャンバを構成する。
【0004】
斯くして、この吸着搬送装置によれば、前記第1の回転体およびダクト内の負圧が、前記搬送ベルトの吸引孔に作用し、この負圧によって、錠剤が搬送ベルトに吸着され、搬送ベルトが走行することによって、当該搬送ベルトに吸着された対象物が搬送ベルトとともに搬送される。
【0005】
そして、上記従来の吸着搬送装置の近傍には、前記搬送ベルトによって形成される搬送路に臨むように印刷ヘッド装置が設けられており、前記搬送ベルトによって搬送される錠剤に対して、前記印刷ヘッド装置によって印刷が施されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-57788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の吸着搬送装置には、以下に説明するような問題があった。
即ち、従来の吸着搬送装置では、前記ダクトが、前記第1の回転体に、相互の内部空間が連通するように接続されており、固定配置されるダクトと、回転する第1の回転体とが相互に接続された構成を備えているため、前記ダクトと第1の回転体との間には、相互間の摩擦を回避するために、例えば、0.5mm~1.0mmの隙間が形成されている。
【0008】
このため、吸引チャンバを構成する前記ダクト及び第1の回転体の内部空間内に、この隙間から外気が流入して、当該内部空間の圧力が上昇し、これにより、搬送ベルトの吸引口に作用する吸引力が弱まるため、当該吸引口に吸着される錠剤の状態が不安定になるのである。特に、第1の回転体に巻き掛けられた搬送ベルトによって形成される搬送路は、円弧状に形成されているため、当該円弧状の搬送路上では、錠剤の吸着状態が不安定になり易い。
【0009】
一方、搬送ベルトによって形成される搬送路上に安定した状態で錠剤を吸着させるために、吸引チャンバを構成する前記ダクト及び第1の回転体の内部空間をより低圧にすることが考えられるが、このようにすれば、負圧を生成するためにより大きな動力が必要になるという、別の問題を生じる。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、搬送路以外からの外気の流入に防ぐことで、吸引チャンバ内を負圧にするための動力を増加させることなく、直線状を有しない搬送経路を形成する搬送ベルト上に、対象物を安定した状態で吸着して搬送することができる吸着搬送装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、
無端環状に形成され、相互に間隔を隔てて並んだ状態で設けられる直線状の往路及び復路、前記往路の終端と前記復路の始端とを接続する第1接続路、並びに前記往路の始端と前記復路の終端とを接続する第2接続路を形成する搬送ベルトと、
環状をした前記搬送ベルトの環内に配設され、少なくとも前記往路、復路及び第1接続路に対応する部分において、前記搬送ベルトの回動を案内する案内部を有するとともに、前記往路、復路及び第1接続路に沿って形成された吸引口を有し、該吸引口を介して、前記往路、復路及び第1接続路に負圧を作用させる吸引ボックスと、
前記第2接続路において前記搬送ベルトが巻き掛けられる駆動プーリ、及び該駆動プーリを回転させる駆動モータを有し、該駆動モータにより前記駆動プーリを駆動して前記搬送ベルトを回動させる駆動機構と、
前記吸引ボックスに負圧を作用させる負圧機構とを備え、
前記搬送ベルトは、その回動方向に沿って平行に形成された2つの搬送支持面を有し、該搬送支持面間に前記吸引ボックスからの負圧が作用することによって、前記往路、復路及び第1接続路が吸着搬送路を形成するように構成された吸着搬送装置であって、
前記吸引ボックスには、前記第1接続路に対応する部分において、前記搬送ベルトの回動を補助する回動補助機構が設けられ、
前記回動補助機構は、前記搬送ベルトの環内に配設される、無端環状に形成された回動補助ベルト、及び該回動補助ベルトが巻き掛けられる少なくとも2つのプーリを備え、該2つのプーリ間において、前記吸引ボックスに形成された案内部が該回動補助ベルトの内側から当接して、該回動補助ベルトの回動が案内されるように構成されるとともに、前記吸引ボックスに形成された前記吸引口を介した負圧が前記第1接続路に作用するように構成され、
前記搬送ベルトは、前記第1接続路において、前記回動補助ベルトに巻き掛けられた吸着搬送装置に係る。
【0012】
この吸着搬送装置によれば、環状をした搬送ベルトによって、直線状の往路及び復路と、往路の終端と復路の始端とを接続する第1接続路と、往路の始端と復路の終端とを接続する第2接続路とが形成される。この搬送ベルトは、前記駆動機構により駆動されて、その長手方向に回動し、この回動は、環内に配設された吸引ボックスの案内部によって案内され、更に、当該吸引ボックスに形成された吸引口を介して、前記往路、復路及び第1接続路において当該吸引ボックス内の負圧が作用する。
【0013】
また、前記搬送ベルトは、その回動方向に沿って平行に形成された2つの搬送支持面を有し、該搬送支持面間に前記吸引ボックスからの負圧が作用することによって、前記往路、第1接続路及び復路からなる吸着搬送路が形成され、搬送対象物は、搬送ベルトの2つの搬送支持面に跨るように当該搬送ベルトに吸着されて、往路、第1接続路及び復路上を搬送される。
【0014】
また、前記吸引ボックスには、前記第1接続路に対応する部分において、前記搬送ベルトの回動を補助する回動補助機構が設けられている。この回動補助機構は、搬送ベルトの環内に配設される、無端環状に形成された回動補助ベルト、及びこの回動補助ベルトが巻き掛けられる少なくとも2つのプーリを備えており、該2つのプーリ間において、前記吸引ボックスに形成された案内部が当該回動補助ベルトの内側から当接して、当該回動補助ベルトの回動が案内されるように構成されている。そして、回動補助ベルトに前記搬送ベルトが巻き掛けられている。
【0015】
この回動補助機構では、2つのプーリに巻き掛けられた前記回動補助ベルトが、前記吸引ボックスの案内部に案内された状態で、その長手方向に回動可能に構成されており、このように回動することで、回動補助ベルトは、自身に巻き掛けられた搬送ベルトの回動を補助する。即ち、前記搬送ベルトが前記吸引ボックスの案内部に直接案内される構成では、当該案内部と搬送ベルトとの間の摩擦によって、搬送ベルトの安定した回動が阻害される虞があるが、前記吸引ボックスの案内部と搬送ベルトとの間に回動補助ベルトを介在させることで、前記案内部と搬送ベルトとの間に直接的な摩擦力が生じることなく、前記案内部と回動補助ベルトとの間の滑り接触、及び回動補助ベルトと搬送ベルトとの間の滑り接触により、当該搬送ベルトを安定した状態で回動させることができる。
【0016】
斯くして、この吸着搬送装置によれば、第1接続路に対応する部分において、搬送ベルトの回動を補助する回動補助機構を設けているので、搬送ベルトを安定した状態で回動させることができる。また、前記往路、復路及び第1接続路に対応して設けられる前記吸引ボックスは、固定した状態で構成され、従来のように、固定部と回転部から構成されていないので、吸引ボックスが複数の構造物を接続して構成される場合でも、その接続部を、外気が流入しないような気密状態で一体的に接続することができる。したがって、吸引ボックス内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、搬送対象物を安定して搬送ベルトに吸着して搬送することができる。また、前記吸引ボックスを一体的に形成することで、搬送ベルトの直進性を高めることができ、この意味においても、搬送対象物を安定して搬送することができる。
【0017】
尚、上記の吸着搬送装置において、前記回動補助ベルトは、平ベルトであるのが好ましく、更に、摩擦抵抗の低い硬質の樹脂製や金属製のものが好ましい。このようにすれば、前記案内部と回動補助ベルトとの間の摩擦抵抗を極力軽減することができ、前記搬送ベルトを安定した状態で回動させることができる。また、前記搬送ベルトには、その回動方向に沿って、その内面に、回動方向と直交する溝が所定間隔で形成された歯付ベルトを適用し、前記駆動プーリには歯付プーリを適用するのが好ましい。このようにすれば、搬送ベルトの回動速度を安定させることができ、これにより、安定した搬送速度で搬送対象物を搬送することができる。
【0018】
また、上記吸着搬送装置において、前記回動補助機構は、前記回動補助ベルトの張力を調整する張力調整部を備えているのが好ましい。この張力調整部により回動補助ベルトの張力が適当な張力となるように調整することで、当該回動補助ベルトを安定した状態で回動させることができる。
【0019】
また、上記吸着搬送装置において、前記搬送ベルトの往路及び復路は相互に平行に形成され、更に前記第1接続路は円弧状に形成された態様を採ることができる。このようにすれば、搬送ベルトをより円滑に回動させることができ、搬送対象物をより安定した状態で搬送することができる。
【0020】
また、上記吸着搬送装置において、前記吸引ボックスは、前記往路及び復路に対応した部分において、その前記吸引口を挟んだ両側に、前記搬送ベルトの走行を案内するガイド部を備えた態様を採ることができる。
【0021】
また、上記吸着搬送装置において、前記搬送ベルトは、平行に設けられた2つのベルトから構成され、各ベルトの外面がそれぞれ前記搬送支持面を形成し、
前記回動補助ベルトは、前記搬送ベルトに対応して設けられる2つのベルトから構成され、
前記吸引ボックスは、前記往路及び復路に対応した部分において、その前記吸引口を挟んだ両側に、前記各搬送ベルトの走行を案内するガイド溝をそれぞれ備え、
更に、前記回動補助機構の案内部は、その前記吸引ボックスの吸引口を挟んだ両側に、前記各回動補助ベルトの走行を案内するガイド溝をそれぞれ備えた態様を採ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る吸着搬送装置によれば、第1接続路に対応する部分において、搬送ベルトの回動を補助する回動補助機構を設けているので、搬送ベルトを安定した状態で回動させることができる。また、前記往路、復路及び第1接続路に対応して設けられる前記吸引ボックスは、固定した状態で構成され、従来のように、固定部と回転部から構成されていないので、吸引ボックスが複数の構造物を接続して構成される場合でも、その接続部を、外気が流入しないような気密状態で一体的に接続することができる。したがって、吸引ボックス内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、搬送対象物を安定して搬送ベルトに吸着して搬送することができる。また、前記吸引ボックスを一体的に形成することで、搬送ベルトの直進性を高めることができ、この意味においても、搬送対象物を安定して搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る検査・印刷装置を示した正面図である。
図2】本実施形態に係る第1吸着搬送装置を示した正断面図である。
図3】本実施形態に係る第2吸着搬送装置を示した正断面図である。
図4図1における矢視A方向の平面図である。
図5図4における矢視C-C方向の断面図である。
図6図5に示した第2吸引ボックス及び回動補助機構を示した斜視図である。
図7図2に示した矢視B-B方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1に示すように、本例の検査・印刷装置1は、第1吸着搬送装置10、第2吸着搬送装置50、3D検査ユニット90,95、印刷ユニット91,96、外観検査ユニット92,97、選別回収ユニット98、及び制御装置100などを備えて構成される。尚、本例の検査・印刷装置1では、処理対象物を医薬品である錠剤Tとし、この錠剤Tの上下面の立体形状および外観を検査し、且つ上下面に印刷を施すものとする。ただし、本例の検査・印刷装置1における上記構成及び配置はあくまでも一例を示すものであって、本発明の具現化においては、言うまでもなく、様々な装置構成及びその配置を採用することができる。以下、本例の検査・印刷装置1における各部の詳細について説明する。
【0026】
[第1吸着搬送装置]
前記第1吸着搬送装置10は、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20、この第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20に巻き掛けられた一対の搬送ベルト35,36、この搬送ベルト35,36を駆動する駆動機構37、前記第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20内を負圧にする排気ポンプ17、前記第2吸引ボックス20に設けられた回動補助機構25などから構成される。
【0027】
前記第1吸引ボックス11は、正面から見て矩形をした中空の部材であり、正面図である図1において前後方向に2分割され、その後側の部材(後側部材)11a及び前側の部材(前側部材)11bから構成される。そして前側部材11b及び後側部材11aが結合された状態で、その内部空間が負圧室11cに形成される。
【0028】
また、図1及び図7に示すように第1吸引ボックス11を構成する後側部材11a及び前側部材11bには、その上面に長手方向に沿ってそれぞれガイド溝13,14が形成され、下面には同じく長手方向に沿ってガイド溝15,16が形成されている。
【0029】
そして、前記後側部材11a及び前側部材11bが結合された状態で、上側の前記ガイド溝13,14間には、その長手方向に沿って、前記負圧室11cに繋がる開口である吸引口12が形成され、同様に下側の前記ガイド溝15,16間には、その長手方向に沿って、前記負圧室11cに繋がる吸引口12が形成されている。
【0030】
前記第2吸引ボックス20は、正面から見て右側が円弧となった半月状(半円形)をした中空の部材であり、直線状をした左側の端部が前記第1吸引ボックス11の右側の端部に結合されている。尚、結合部は外気が流入しないような気密状態で結合されている。この第2吸引ボックス20も正面図である図1において前後方向に2分割され、その後側の部材(後側部材)20a、及び前側の部材(前側部材)20bから構成され、これら前側部材20b及び後側部材20aが結合された状態で、その内部空間が負圧室20cに形成される。尚、前記第1吸引ボックス11の負圧室11cと第2吸引ボックス20の負圧室20cとは、相互に連通した状態になっている。
【0031】
また、図2図4図6に示すように、第2吸引ボックス20を構成する後側部材20a及び前側部材20bには、その側面である円弧面にそれぞれガイド溝22,23が形成されており、前記後側部材20a及び前側部材20bが結合された状態で、前記ガイド溝22,23間には、前記負圧室20cに繋がる開口である吸引口21が形成されている。
【0032】
図2図4図6に示すように、前記回動補助機構25は、前記第2吸引ボックス20のガイド溝22,23にそれぞれ嵌め込まれて、このガイド溝22,23の底面に対して摺動可能に設けられた無端環状の回動補助ベルト26,27と、前記第2吸引ボックス20のガイド溝22,23の上方位置にそれぞれ介在するように設けられ、前記回動補助ベルト26,27が巻き掛けられるプーリ28,29と、前記ガイド溝22,23の下方位置にそれぞれ介在するように設けられ、前記回動補助ベルト26,27が巻き掛けられるプーリ30,31と、プーリ28,29とプーリ30,31との間に配設されて、前記回動補助ベルト26,27にそれぞれ張力を付与する張力付与ローラ32,33とから構成される。
【0033】
前記回動補助ベルト26,27は平ベルトから構成され、前記ガイド溝22,23の底面に対する摩擦抵抗が低くなるように、硬質の樹脂から構成されている。また、プーリ28,29,30,31が設けられる箇所の前記ガイド溝22,23の底面は、前記負圧室20cに通じる開口が形成されており、前記プーリ28,29,30,31は、それぞれその外周頂部がガイド溝22,23の底面に相当する位置に臨むように設けられている。斯くして、プーリ28,29,30,31をこのように配設することで、前記回動補助ベルト26,27がそれぞれ巻き掛けられる。また、前記張力付与ローラ32,33は、回動補助ベルト26,27の外側(図2図5及び図6において図示左側)に配設され、右側に移動して回動補助ベルト26,27を右側(環内側)に付勢することによって、当該回動補助ベルト26,27に適度な張力を付与する。
【0034】
前記搬送ベルト35,36は、それぞれ無端環状に形成された歯付ベルト(タイミングベルト)からなり、第1吸引ボックス11のガイド溝13,14,15,16、及び第2吸引ボックス20のガイド溝22,23に嵌め込まれた状態で、当該第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20に巻き掛けられ、更に、第1吸引ボックス11の左下方に設けられた駆動プーリ38、及びその上方に設けられた従動プーリ40に巻き掛けられている。尚、前記ガイド溝22,23部では、搬送ベルト35,36は、回動補助ベルト26,27に外側から重なるように、当該回動補助ベルト26,27に巻き掛けられている。
【0035】
前記駆動プーリ38は、歯付プーリ(タイミングプーリ)から構成され、駆動モータ39に駆動されて前記搬送ベルト35,36を矢示D方向に回動させる。尚、駆動プーリ38及び駆動モータ39から駆動機構37が構成される。一方、従動プーリ40は、歯が形成されていない一般的な歯無プーリである。
【0036】
また、駆動プーリ38と従動プーリ40との間には、張力付与ローラ41が設けられており、この張力付与ローラ41は、搬送ベルト35,36の内側(図2において図示右側)に配設され、左側(環外側)に移動して搬送ベルト35,36を左側に付勢することによって、当該搬送ベルト35,36に適度な張力を付与する。
【0037】
以上のように構成された第1吸着搬送装置10では、排気ポンプ17により、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20内の空気を排気することで、内部が負圧となり、それぞれ負圧室11c及び負圧室20cが形成される。第1吸引ボックス11では、吸引口12を介して搬送ベルト35,36間に負圧室11c内の負圧が作用し、また、第2吸引ボックス20では、吸引口21を介して、搬送ベルト35,36間に負圧室20c内の負圧が作用する。
【0038】
そして、搬送ベルト35,36間に作用する負圧によって、処理対象物である錠剤Tが搬送ベルト35,36に跨るようにして、当該搬送ベルト35,36に吸着される。また、搬送ベルト35,36は駆動機構37によって矢示D方向に回動しており、搬送ベルト35,36に吸着された錠剤Tは搬送ベルト35,36の回動とともに矢示D方向に搬送される。このように、搬送ベルト35,36は、その回動方向に沿って平行に設けられる搬送支持面を形成する。
【0039】
斯くして、搬送ベルト35,36の矢示D方向に沿った走行路の内、第1吸引ボックス11の上側が直線状の往路45、第1吸引ボックス11の下側が直線状の復路46、第2吸引ボックス20の部分が往路45の終端と復路46の始端を接続する円弧状の第1接続路47、駆動プーリ38及び従動プーリ40に対応する部分が、復路46の終端と往路45の始端を接続する直線状の第2接続路48となっている。尚、錠剤Tは、外部に設けられた適宜供給機構から、往路45の搬送始端の近傍に設定された供給部Spに、一つずつ連続的に供給される。
【0040】
また、前記第1接続路47は、円弧状をした搬送路となっているが、搬送ベルト35,36は、当該第1接続路47において、前記回動補助機構25の回動補助ベルト26,27に巻き掛けられているので、抵抗なくスムーズに走行することができる。即ち、回動補助ベルト26,27は、プーリ28,29、プーリ30,31に巻き掛けられて、その長手方向に回動可能に設けられているので、当該回動補助ベルト26,27は、自身が回動することによって搬送ベルト35,36の回動を補助する。
【0041】
搬送ベルト35,36が前記第2吸引ボックス20のガイド溝22,23に嵌め込まれて直接案内される構成では、当該ガイド溝22,23と搬送ベルト35,36との間の摩擦によって、搬送ベルト35,36の安定した回動が阻害される虞があるが、前記第2吸引ボックス20のガイド溝22,23と搬送ベルト35,36との間に回動補助ベルト26,27を介在させることで、ガイド溝22,23と搬送ベルト35,36との間に直接的な摩擦力が生じることなく、ガイド溝22,23と回動補助ベルト26,27との間の滑り接触、及び回動補助ベルト26,27と搬送ベルト35,36との間の滑り接触により、当該搬送ベルト35,36を安定した状態で回動させることができる。
【0042】
このように、この第1吸着搬送装置10によれば、第1接続路47に対応する部分において、搬送ベルト35,36の回動を補助する回動補助機構25を設けているので、搬送ベルト35,36を安定した状態で回動させることができる。また、前記往路45、復路46及び第1接続路47に対応して設けられる前記第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20は外気が流入しないような気密状態で一体的に結合されているので、従来に比べて、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、錠剤Tを安定して搬送ベルト35,36に吸着して搬送することができる。また、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20を一体的に形成することで、搬送ベルト35,36の直進性を高めることができ、この意味においても、錠剤Tを安定して搬送することができる。
【0043】
[第2吸着搬送装置]
前記第2吸着搬送装置50は、上述した第1吸着搬送装置10と同じ構成を備えるもので、第1吸着搬送装置10とは左右反転させた状態で、当該第1吸着搬送装置10の下方に配設される。尚、繰り返しになるが、この第2吸着搬送装置50の具体的な構成についても、以下に説明する。この説明においても、第1吸着搬送装置10を示した図1図2図4図7が参照される。
【0044】
図1及び図3に示すように、前記第2吸着搬送装置50は、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60、この第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60に巻き掛けられた一対の搬送ベルト75,76、この搬送ベルト75,76を駆動する駆動機構77、前記第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60内を負圧にする排気ポンプ57、前記第2吸引ボックス60に設けられた回動補助機構65などから構成される。
【0045】
前記第1吸引ボックス51は、正面から見て矩形をした中空の部材であり、正面図である図1において前後方向に2分割され、その後側の部材(後側部材)51a及び前側の部材(前側部材)51bから構成される。そして前側部材51b及び後側部材51aが結合された状態で、その内部空間が負圧室51cに形成される。
【0046】
また、図3に示すように第1吸引ボックス51を構成する後側部材51a及び前側部材51bには、その上面に長手方向に沿ってそれぞれガイド溝53,54が形成され、下面には同じく長手方向に沿ってガイド溝55,56が形成されている。
【0047】
そして、前記後側部材51a及び前側部材51bが結合された状態で、上側の前記ガイド溝53,54間には、その長手方向に沿って、前記負圧室51cに繋がる吸引口52が形成され、同様に下側の前記ガイド溝55,56間には、その長手方向に沿って、前記負圧室51cに繋がる吸引口2が形成されている。
【0048】
前記第2吸引ボックス60は、正面から見て左側が円弧となった半月状(半円形)をした中空の部材であり、直線状をした右側の端部が前記第1吸引ボックス51の左側の端部に結合されている。尚、結合部は外気が流入しないような気密状態で結合されている。この第2吸引ボックス60も正面図である図1において前後方向に2分割され、その後側の部材(後側部材)60a、及び前側の部材(前側部材)60bから構成され、これら前側部材60b及び後側部材60aが結合された状態で、その内部空間が負圧室60cに形成される。尚、前記第1吸引ボックス51の負圧室51cと第2吸引ボックス60の負圧室60cとは、相互に連通した状態になっている。
【0049】
また、図3に示すように、第2吸引ボックス60を構成する後側部材60a及び前側部材60bには、その側面である円弧面にそれぞれガイド溝62,63が形成されており、前記後側部材60a及び前側部材60bが結合された状態で、前記ガイド溝62,63間には、前記負圧室60cに繋がる開口である吸引口61が形成されている。
【0050】
図3に示すように、前記回動補助機構65は、前記第2吸引ボックス60のガイド溝62,63にそれぞれ嵌め込まれて、このガイド溝62,63の底面に対して摺動可能に設けられた無端環状の回動補助ベルト66,67と、前記第2吸引ボックス60のガイド溝62,63の上方位置にそれぞれ介在するように設けられ、前記回動補助ベルト66,67が巻き掛けられるプーリ68,69と、前記ガイド溝62,63の下方位置にそれぞれ介在するように設けられ、前記回動補助ベルト66,67が巻き掛けられるプーリ70,71と、プーリ68,69とプーリ70,71との間に配設されて、前記回動補助ベルト66,67にそれぞれ張力を付与する張力付与ローラ72,73とから構成される。
【0051】
前記回動補助ベルト66,67は平ベルトから構成され、前記ガイド溝62,63の底面に対する摩擦抵抗が低くなるように、硬質の樹脂から構成されている。また、プーリ68,69,70,71が設けられる箇所の前記ガイド溝62,63の底面は、前記負圧室60cに通じる開口が形成されており、前記プーリ68,69,70,71は、それぞれその外周頂部がガイド溝62,63の底面に相当する位置に臨むように設けられている。斯くして、プーリ68,69,70,71をこのように配設することで、前記回動補助ベルト66,67がそれぞれ巻き掛けられる。また、前記張力付与ローラ72,73は、回動補助ベルト66,67の外側(図3において図示右側)に配設され、左側に移動して回動補助ベルト66,67を左側(環内側)に付勢することによって、当該回動補助ベルト66,67に適度な張力を付与する。
【0052】
前記搬送ベルト75,76は、それぞれ無端環状に形成された歯付ベルト(タイミングベルト)からなり、第1吸引ボックス51のガイド溝53,54,55,56、及び第2吸引ボックス60のガイド溝62,63に嵌め込まれた状態で、当該第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60に巻き掛けられ、更に、第1吸引ボックス51の右下方に設けられた駆動プーリ78、及びその上方に設けられた従動プーリ80に巻き掛けられている。尚、前記ガイド溝62,63部では、搬送ベルト75,76は、回動補助ベルト66,67に外側から重なるように、当該回動補助ベルト66,67に巻き掛けられている。
【0053】
前記駆動プーリ78は、歯付プーリ(タイミングプーリ)から構成され、駆動モータ79に駆動されて前記搬送ベルト75,76を矢示E方向に回動させる。尚、駆動プーリ78及び駆動モータ79から駆動機構77が構成される。一方、従動プーリ80は、歯が形成されていない一般的な歯無プーリである。
【0054】
また、駆動プーリ78と従動プーリ80との間には、張力付与ローラ81が設けられており、この張力付与ローラ81は、搬送ベルト75,76の内側(図3において図示左側)に配設され、右側(環外側)に移動して搬送ベルト75,76を右側に付勢することによって、当該搬送ベルト75,76に適度な張力を付与する。
【0055】
以上のように構成された第2吸着搬送装置50では、排気ポンプ57により、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60内の空気を排気することで、内部が負圧となり、それぞれ負圧室51c及び負圧室60cが形成される。第1吸引ボックス51では、吸引口52を介して搬送ベルト75,76間に負圧室51c内の負圧が作用し、また、第2吸引ボックス60では、吸引口61を介して、搬送ベルト75,76間に負圧室60c内の負圧が作用する。
【0056】
そして、搬送ベルト75,76間に作用する負圧によって、処理対象物である錠剤Tが搬送ベルト75,76に跨るようにして、当該搬送ベルト75,76に吸着される。また、搬送ベルト75,76は駆動機構77によって矢示E方向に回動しており、搬送ベルト75,76に吸着された錠剤Tは搬送ベルト75,76の回動とともに矢示E方向に搬送される。このように、搬送ベルト75,76は、その回動方向に沿って平行に設けられる搬送支持面を形成する。
【0057】
斯くして、搬送ベルト75,76の矢示E方向に沿った走行路の内、第1吸引ボックス51の上側が往路85、第1吸引ボックス51の下側が復路86、第2吸引ボックス60の部分が往路85の終端と復路86の始端を接続する第1接続路87、駆動プーリ78及び従動プーリ80に対応する部分が、復路86の終端と往路85の始端を接続する第2接続路88となっている。また、第2吸着搬送装置50は、その往路85の搬送始端が、前記第1吸着搬送装置10の復路46の搬送終端に接続するように、当該第1吸着搬送装置10の下方に配設されており、第1吸着搬送装置10の復路46の搬送終端まで搬送された錠剤Tは、この接続部において、第2吸着搬送装置50の往路85の搬送始端に受け渡され、第2吸着搬送装置50に吸着されて、往路85、第1接続路87及び復路46上を搬送される。
【0058】
尚、前記第1接続路87は、円弧状をした搬送路となっているが、搬送ベルト75,76は、当該第1接続路87において、前記回動補助機構65の回動補助ベルト66,67に巻き掛けられているので、抵抗なくスムーズに走行することができる。即ち、回動補助ベルト66,67は、プーリ68,69、プーリ70,71に巻き掛けられて、その長手方向に回動可能に設けられているので、回動補助ベルト66,67は、自身が回動することによって搬送ベルト75,76の回動を補助する。
【0059】
搬送ベルト75,76が前記第2吸引ボックス60のガイド溝62,63に嵌め込まれて直接案内される構成では、当該ガイド溝62,63と搬送ベルト75,76との間の摩擦によって、搬送ベルト75,76の安定した回動が阻害される虞があるが、前記第2吸引ボックス60のガイド溝62,63と搬送ベルト75,76との間に回動補助ベルト66,67を介在させることで、ガイド溝62,63と搬送ベルト75,76との間に直接的な摩擦力が生じることなく、ガイド溝62,63と回動補助ベルト66,67との間の滑り接触、及び回動補助ベルト66,67と搬送ベルト75,76との間の滑り接触により、当該搬送ベルト75,76を安定した状態で回動させることができる。
【0060】
このように、この第2吸着搬送装置50によれば、第1接続路87に対応する部分において、搬送ベルト75,76の回動を補助する回動補助機構65を設けているので、搬送ベルト75,76を安定した状態で回動させることができる。また、前記往路85、復路86及び第1接続路87に対応して設けられる前記第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60は外気が流入しないような気密状態で一体的に結合されているので、従来に比べて、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、錠剤Tを安定して搬送ベルト75,76に吸着して搬送することができる。また、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60を一体的に形成することで、搬送ベルト75,76の直進性を高めることができ、この意味においても、錠剤Tを安定して搬送することができる。
【0061】
[3D検査ユニット、印刷ユニット、外観検査ユニット及び選別回収ユニット]
前記3D検査ユニット90、印刷ユニット91及び外観検査ユニット92は、前記第1吸着搬送装置10の往路45に臨むように、矢示D方向に沿って当該第1吸着搬送装置10の上方に順次配設されている。また、前記3D検査ユニット95、印刷ユニット96及び外観検査ユニット97は前記第2吸着搬送装置50の往路85に臨むように、矢示E方向に沿って当該第2吸着搬送装置30の上方に順次配設され、前記選別回収ユニット98は、前記第2吸着搬送装置50の復路86に臨むように、当該第2吸着搬送装置30の下方に配設されている。
【0062】
前記3D検査ユニット90,95は、搬送方向の斜め前方又は後方から、搬送方向と直交するスリット光を照射するとともに、錠剤Tに照射されたスリット光の画像をその直上からカメラによって撮像し、得られた画像に基づいて、所謂光切断法により錠剤Tの3次元形状を測定して、その良否を判別する検査ユニットである。
【0063】
前記印刷ユニット91,96は、錠剤Tにインク滴を吐出して印刷を施す、所謂インクジェット印刷機構を備えたユニットである。
【0064】
また、前記外観検査ユニット92,97は、カメラによって錠剤Tの外表面を撮像し、得られた画像に基づいて、錠剤Tの外表面に存在する割れ、欠け、汚れといった外観不良の有無や、前記印刷ユニット91,96によって施された印刷の良否を検査するユニットである。
【0065】
また、選別回収ユニット98は、前記3D検査ユニット90,95、及び外観検査ユニット92,97の検査結果に基づいて、良品の錠剤Tと不良品の錠剤Tとを選別して回収するユニットである。
【0066】
[制御装置]
前記制御装置100は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成され、第1吸着搬送装置10、第2吸着搬送装置50、3D検査ユニット90,95、印刷ユニット91,96、外観検査ユニット92,97及び選別回収ユニット98の作動を制御するとともに、3D検査ユニット90,95及び外観検査ユニット92,97において撮像された画像の処理を実行し、これに基づいた良否の判別処理を実行する。
【0067】
以上の構成を備えた本例の検査・印刷装置1によれば、前記第1吸着搬送装置10より上流側に設けられた外部供給機構から、前記往路45上に設定された供給部Spに、搬送ベルト35,36に跨るように、一つずつ連続的に錠剤Tが供給される。そして、供給された錠剤Tは、搬送ベルト35,36間に作用する負圧によって、当該搬送ベルト35,36上に吸着され、このようにして吸着された状態で、搬送ベルト35,36の矢示D方向に向けた走行により、第2吸着搬送装置50に向けて搬送される。
【0068】
そして、第1吸着搬送装置10によって搬送される過程で、錠剤Tは、前記3D検査ユニット90によって、その上面(一方面)の3次元形状の良否が判別された後、前記印刷ユニット91によって、上方から上面に適宜印刷が施され、この後、前記外観検査ユニット92によって、上面の外観の良否及び印刷の良否が判別され、このような各処理を経た後、円弧状の第1接続路47を経て復路46に至る。そして、往路45から第1接続路47を経て復路46に至るその移送過程において、錠剤Tは、その天地が反転され、復路46上では、前記一方面とは反対の面である他方面が上面となり、復路46の搬送終端で第2吸着搬送装置50に受け渡される。
【0069】
尚、前記第1接続路47では、搬送ベルト35,36の回動を補助する回動補助機構25が設けられているので、搬送ベルト35,36を安定した状態で回動させることができる。また、前記往路45、復路46及び第1接続路47に対応して設けられる前記第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20は外気が流入しないような気密状態で一体的に結合されているので、従来に比べて、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、錠剤Tを安定して搬送ベルト35,36に吸着して搬送することができる。また、第1吸引ボックス11及び第2吸引ボックス20を一体的に形成することで、搬送ベルト35,36の直進性を高めることができ、この意味においても、錠剤Tを安定して搬送することができる
【0070】
次に、錠剤Tは、前記第2吸着搬送装置50の往路85の吸着搬送始端において、その負圧の作用により、搬送ベルト75,76に跨るようにその下面(他方面)が吸着され、矢示E方向に向けて、この往路85から第1接続路87を経て復路86側に移送される。
【0071】
そして、第2吸着搬送装置50によって搬送される過程で、錠剤Tは、前記3D検査ユニット90によって、その上面(他方面)の3次元形状の良否が判別された後、前記印刷ユニット91によって、上方から他方面に適宜印刷が施され、この後、前記外観検査ユニット92によって、当該他方面の外観の良否及び印刷の良否が判別され、このような各処理を経た後、円弧状の第1接続路87を経て復路86に至り、その移送過程において、錠剤Tは、その天地が再度反転され、復路86上では、前記一方面が上面となる。そして、このような各処理を経た後、復路86側に設けられた選別回収ユニット98において、前記3D検査ユニット90,95、及び外観検査ユニット92,97の検査結果に基づいて、良品の錠剤Tと不良品の錠剤Tとが選別された状態で回収される。
【0072】
尚、前記第1接続路87では、搬送ベルト75,76の回動を補助する回動補助機構65が設けられているので、搬送ベルト75,76を安定した状態で回動させることができる。また、前記往路85、復路86及び第1接続路87に対応して設けられる前記第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60は外気が流入しないような気密状態で一体的に結合されているので、従来に比べて、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60内の内圧(負圧)を安定した圧力に維持することができ、この結果、過剰な動力を要することなく、錠剤Tを安定して搬送ベルト75,76に吸着して搬送することができる。また、第1吸引ボックス51及び第2吸引ボックス60を一体的に形成することで、搬送ベルト75,76の直進性を高めることができ、この意味においても、錠剤Tを安定して搬送することができる
【0073】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明が採り得る具体的な態様は、何ら、これに限定されるものではない。
【0074】
例えば、上例の第1吸着搬送装置10では、第1吸引ボックス11の負圧室11cと、第2吸引ボックス20の負圧室20cとを連通させた構成としたが、これに限られるものではなく、負圧室11cと負圧室20cとが連通していない構成としても良い。この場合、負圧室20cを前記排気ポンプ17によって負圧にしても良いが、前記排気ポンプ17とは別の排気ポンプによって負圧にしても良い。
【0075】
また、前記第1吸着搬送装置10において、前記張力付与ローラ41を、搬送ベルト35,36の環外側(図2において左側)に配設し、右側に移動して搬送ベルト35,36を右側に付勢することによって、当該搬送ベルト35,36に張力を付与する構成としても良い。
【0076】
また、前記第1吸着搬送装置10において、前記張力付与ローラ32,33を、回動補助ベルト26,27の内側(図2図5及び図6において右側)に配設し、左側に移動して回動補助ベルト26,27を左側に付勢することによって、当該回動補助ベルト26,27に張力を付与する構成としても良い。
【0077】
同様に、前記第1吸着搬送装置50では、第1吸引ボックス51の負圧室51cと、第2吸引ボックス60の負圧室60cとを連通させた構成としたが、これに限られるものではなく、負圧室51cと負圧室60cとが連通していない構成としても良い。この場合、負圧室60cを前記排気ポンプ57によって負圧にしても良いが、前記排気ポンプ57とは別の排気ポンプによって負圧にしても良い。
【0078】
また、前記第2吸着搬送装置50において、前記張力付与ローラ81を、搬送ベルト75,76の環外側(図3において右側)に配設し、左側に移動して搬送ベルト75,76を左側に付勢することによって、当該搬送ベルト75,76に張力を付与する構成としても良い。
【0079】
また、前記第2吸着搬送装置50において、前記張力付与ローラ72,73を、回動補助ベルト66,67の内側(図3において左側)に配設し、右側に移動して回動補助ベルト66,67を右側に付勢することによって、当該回動補助ベルト66,67に張力を付与する構成としても良い。
【0080】
また、前記回動補助ベルト26,27、66,67は、金属製の平ベルトから構成されていても良い。
【0081】
また、上例では、第1吸着搬送装置10の往路45及び復路46、並びに第2吸着搬送装置50の往路85及び復路86を水平にしたが、必ずしも、厳密な意味で水平である必要はなく、印刷に支障をきたさない範囲で、多少の傾斜を有していても良い。また、第1吸着搬送装置10の第1接続路47、及び第2吸着搬送装置50の第1接続路87を円弧状に形成したが、必ずしも、このような形状に限られるものではなく、多様な形状を採ることができる。
【0082】
また、上例では、第1吸着搬送装置10において2本の搬送ベルト35,36を用いて搬送路を形成し、同様に、第2吸着搬送装置50においても2本の搬送ベルト75,76を用いて搬送路を形成したが、このような構成に限られるものではない。例えば、帯状の一つの搬送ベルトから構成し、この搬送ベルトの外面に周方向に沿って吸引用の溝を形成することによって、2つの搬送支持面を形成するとともに、この吸引用の溝の底面に、周方向に沿って複数の貫通孔を形成することで、第1吸引ボックス11,51の吸引口12,52、並びに第2吸引ボックス20,60の吸引口21,61に作用する負圧を、この貫通孔を介して前記溝内、即ち、2つの搬送支持面間に作用させるようにしても良い。このようにしても、2つの搬送支持面上に錠剤Tを吸着させることができる。
【0083】
そして、この場合に、前記第1吸引ボックス11,51は吸引口12,52を挟んだ両側に、第2吸引ボックス20,60は吸引口21,61を挟んだ両側に、それぞれ前記搬送ベルトの走行を案内するガイド部を備えているのが好ましい。
【0084】
また、本例の検査・印刷装置1に適用可能な対象物は、上例の錠剤Tに限られるものではなく、錠剤Tの他に、カプセル等の医薬品、キャンディ等の小さな菓子類や、ボタン電池等に代表される小物物品を適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 検査・印刷装置
10 第1吸着搬送装置
11 第1吸引ボックス
11c 負圧室
12 吸引口
13,14,15,16 ガイド溝
17 排気ポンプ(負圧機構)
20 第2吸引ボックス
20c 負圧室
21 吸引口
22,23 ガイド溝
25 回動補助機構
26,27 回動補助ベルト
35,36 搬送ベルト
37 駆動機構
45 往路
46 復路
47 第1接続路
48 第2接続路
50 第2吸着搬送装置
51 第1吸引ボックス
51c 負圧室
52 吸引口
53,54,55,56 ガイド溝
57 排気ポンプ(負圧機構)
60 第2吸引ボックス
60a,60b ボックス形成部材
60c 負圧室
61 吸引口
62,63 ガイド溝
65 回動補助機構
66,67 回動補助ベルト
75,76 搬送ベルト
77 駆動機構
85 往路
86 復路
87 第1接続路
88 第2接続路
90,95 3D検査ユニット
91,96 印刷ユニット
92,97 外観検査ユニット
98 選別回収ユニット
100 制御装置
T 錠剤

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7