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特開2023-120154アルミニウム系メッキブランク及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120154
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】アルミニウム系メッキブランク及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/30 20060101AFI20230822BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20230822BHJP
   C21D 9/50 20060101ALI20230822BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230822BHJP
   C22C 38/06 20060101ALI20230822BHJP
   C22C 38/38 20060101ALI20230822BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20230822BHJP
【FI】
B23K35/30 320A
C21D9/00 A
C21D9/50 101B
C22C38/00 301T
C22C38/06
C22C38/38
B23K26/21 F
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023013643
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2023504664の分割
【原出願日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142532
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】510307299
【氏名又は名称】ヒュンダイ スチール カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】リー、チャンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ソンリュル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョンソク
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン、ジュシク
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ユドン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、スングン
【テーマコード(参考)】
4E168
4K042
【Fターム(参考)】
4E168BA37
4E168BA83
4E168BA88
4E168CB04
4E168DA40
4E168DA43
4K042AA24
4K042AA25
4K042BA01
4K042BA14
4K042CA02
4K042CA06
4K042CA08
4K042CA09
4K042CA12
4K042DA01
4K042DC02
4K042DD01
4K042DE02
4K042DE05
4K042DE06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ブランク継手部の硬度及び物性低下を最小化できるアルミニウム系メッキブランク、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム系メッキ鋼板10が互いに連結された継手部30を含むアルミニウム系メッキブランク100であって、メッキ鋼板は、C;0.01~0.5重量%、Si;0.01~1.0重量%、Mn;0.5~3.0重量%、P;0.05重量%以下、S;0.01重量%以下、Al;0.1重量%以下、N;0.001重量%以下、残部Fe及不可避な不純物を含むベース鋼板12、及びベース鋼板の少なくとも一面にAlを含むメッキ層14を含み、継手部は、Al;0.2~2.0重量%を含むが、2以上のアルミニウム系メッキ鋼板のAc3のうち、最も高いAc3温度以上でフェライトが形成されない成分系からなり、継手部の平均硬度はベース鋼板の平均硬度以上であることを特徴とするアルミニウム系メッキブランクである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のアルミニウム系メッキ鋼板が互いに連結された継手部を含むアルミニウム系メッキブランクであって、
前記アルミニウム系メッキ鋼板は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含むベース鋼板;及び前記ベース鋼板の少なくとも一面に20~100g/mの付着量で形成され、アルミニウム(Al)を含むメッキ層;を含み、
前記継手部は、アルミニウム(Al)0.2~2.0重量%を含むが、前記2以上のアルミニウム系メッキ鋼板のAc3のうち、最も高いAc3温度以上でフェライトが形成されない成分系からなり、
前記継手部の平均硬度は、前記ベース鋼板の平均硬度以上であることを特徴とするアルミニウム系メッキブランク。
【請求項2】
前記ベース鋼板は、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びボロン(B)のうち、1つ以上の成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系メッキブランク。
【請求項3】
前記メッキ層は、前記ベース鋼板の表面に形成され、アルミニウム(Al)を80重量%以上含む表面層と、
前記表面層とベース鋼板との間に形成され、アルミニウム-鉄(Al-Fe)及びアルミニウム-鉄-シリコン(Al-Fe-Si)金属間化合物を含み、鉄(Fe)を20~70重量%含む合金化層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系メッキブランク。
【請求項4】
前記ホットスタンピング成形後、前記継手部は、
マルテンサイトを90面積%以上含む微細組織を有することを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系メッキブランク。
【請求項5】
2以上のアルミニウム系メッキ鋼板のうち、1つのメッキ鋼板の縁部と他の1つのメッキ鋼板の縁部とを互いに対向するように配置する鋼板整列段階と、
前記アルミニウム系メッキ鋼板が互いに対向する部位にフィラーワイヤが提供され、レーザヘッドからレーザビームを照射し、前記アルミニウム系メッキ鋼板の互いに対向する部位及びフィラーワイヤを溶融して継手部を形成する鋼板接合段階と、を含むアルミニウム系メッキブランクの製造方法であり、
前記鋼板の接合時、前記継手部の形成方向を基準に所定角度のパターンをなすようにレーザビームを照射して接合され、
前記レーザビームは、周波数100~1500Hz、パワー1~20kWであり、前記継手部の形成速度は、15~170mm/secであり、
前記アルミニウム系メッキ鋼板は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含むベース鋼板;及び前記ベース鋼板の少なくとも一面に20~100g/mの付着量で形成され、アルミニウム(Al)を含むメッキ層;を含む、アルミニウム系メッキブランクの製造方法。
【請求項6】
前記アルミニウム系メッキブランクをAc3以上に加熱してプレス成形し、300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却してホットスタンピング成形した場合、
前記継手部の平均硬度は、前記ベース鋼板の平均硬度以上であることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム系メッキブランクの製造方法。
【請求項7】
前記フィラーワイヤは、オーステナイト安定化元素を含むことを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム系メッキブランクの製造方法。
【請求項8】
前記パターンは、前記レーザビームの照射時、前記メッキ鋼板及びレーザヘッドのうち、1つ以上が運動してなることを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム系メッキブランクの製造方法。
【請求項9】
前記継手部形成速度は、15~120mm/secであり、
前記レーザビームの周波数、レーザビーム半径及び前記継手部形成速度は、下記式1の関係を満足することを特徴とする請求項5に記載のアルミニウム系メッキブランクの製造方法:
【数1】
(前記式1において、前記αは、0.7であり、前記fは、前記レーザビームの周波数(Hz)、前記rは、アルミニウム系メッキ鋼板の表面で測定した前記レーザビームの半径(mm)及び前記vは、前記継手部の形成速度(mm/sec)である)。
【請求項10】
2以上のアルミニウム系メッキ鋼板が互いに連結された継手部を含むアルミニウム系メッキブランクの製造装置において、
レーザ光源を生成するレーザ発振部と、
2以上のアルミニウム系メッキ鋼板が配置されるが、1つのメッキ鋼板の縁部と他の1つのメッキ鋼板の縁部を互いに対向するように配置される鋼板ローディング部と、
前記メッキ鋼板の継手部を形成するためのフィラーワイヤを供給するワイヤ供給部と、
前記レーザ発振部から供給されたレーザ光源を用いて前記アルミニウム系メッキ鋼板の互いに対向する部位及び前記供給されたフィラーワイヤにレーザビームを照射するレーザヘッドと、を含み、
前記鋼板の接合時、前記継手部の形成方向を基準に所定角度のパターンをなすようにレーザビームを照射して接合され、
前記レーザビームは、周波数100~1500Hz、パワー1~20kWであり、前記継手部の形成速度は、15~170mm/secであることを特徴とするアルミニウム系メッキブランク製造装置。
【請求項11】
前記パターンは、前記レーザビームの照射時、前記鋼板ローディング部のメッキ鋼板及びレーザヘッドのうち、1つ以上が運動してなることを特徴とする請求項10に記載のアルミニウム系メッキブランク製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム系メッキブランク及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、多様な強度を有する部品が使用される。例えば、車両衝突または転覆時、エネルギーを吸収せねばならない部分は、比較的弱い強度が要求され、搭乗者の生存空間確保のために形状保持の必要な部分は、強い強度が要求される。
【0003】
衝突時、エネルギーを吸収せねばならない部分の強度が過度に高ければ、衝撃エネルギーを適切に吸収できず、他の部分にそのまま伝達することになり、むしろ搭乗客と車両の他の部品に過度な衝撃を伝達する問題点をもたらすためである。
【0004】
車両は、持続的に軽量化と原価低減が要求されており、これにより、1つの部品が部分的に互いに異なる異種強度を有することが必要となった。
【0005】
部品の一部区間は、搭乗者保護のために高強度が要求されるが、一部区間は、衝撃エネルギー吸収のために相対的に低い強度が要求されるものである。
【0006】
このような部品には、代表的に乗用車のBピラーを例として挙げられる。前記Bピラーは、下部は、相対的に低い引張強度が要求され、上部は、高い引張強度が要求される。強度の差が必要な理由は、車両衝突時、高強度に形状が保持される部分(転覆時、ルーフを支えなければならない上部)と、潰れつつ衝撃を吸収する部分(他の車両と側面衝突可能性の高い下部)が同時に必要であるためである。
【0007】
また、搭乗客の負傷を防止することができる安定した空間を確保するために、Bピラーの上部は、形状が保持されねばならないので、高強度が要求される。Bピラーの上部強度が確保されなければ、車両転覆時、ルーフが押しつぶされて搭乗客の安全に大きな脅威となる。しかし、Bピラーの下部は、変形されつつ衝撃エネルギーを吸収せねばならないので、相対的に低い強度が要求される。Bピラーの下部も高強度を有するようになれば、側面衝突時の衝突エネルギーの吸収がなされず、他の構造材に衝撃が伝達されるからである。
【0008】
具体的な要求強度は、車両の種類や形態によって異なるが、Bピラーの上部の場合、約1500MPaの引張強度が要求される一方、Bピラーの下部の場合には、約500~1、000MPaの引張強度が要求される。
【0009】
従来には、低強度の素材で部品を形成した後、高強度が要求される部分に別途の補強材を付着する方式を使用したりしたが、1つの部品が区間的に異なる強度が要求される場合、上部は、硬化能の高い素材(または、厚肉素材)を使用し、下部は、強度が低く硬化能の低い素材(または薄肉素材)を使用し、2素材をレーザで接合してブランクを作り、ホットスタンピング工程を経て最終製品を作製した。
【0010】
一方、テーラーウェルデッドブランク(TWB)は、材質及び厚さのうち、1つ以上が互いに異なる2以上の鋼板素材を接合して製造される部品である。このようなTWB用鋼板素材としては、表面にAl-Siメッキ層が使用される。
【0011】
しかし、メッキ鋼板素材をレーザによって接合すれば、メッキ層の成分が接合(継手)部の溶融プール内に溶入されるために、接合部は、母材と異なる物性を有することになる。メッキ層がアルミニウム-シリコン(Al-Si)または亜鉛(Zn)系である場合、レーザ接合時にメッキ成分が接合部に混入されて機械的物性低下を引き起こす。
【0012】
そこで、フィラーワイヤの成分によって接合部の強度低下現象を解決するか、最小化することができるが、素材(メッキ付着量の多い素材)及び接合条件(高接合速度)によって混入されたメッキ層成分(Al)が均一に母材と希釈されず、偏析が発生するなどの問題が発生し、フィラーワイヤ成分による効果のみでは不十分である。
【0013】
本発明に係わる背景技術は、大韓民国登録特許公報第10-1637084号(2016.07.06.公告、発明の名称:フィラーワイヤ及びそれを用いたカスタマイズ型溶接ブランク製造方法)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題によれば、ブランク継手部の硬度及び物性低下を最小化することができるアルミニウム系メッキブランクを提供することである。
【0015】
本発明の一実施例によれば、ブランク継手部の偏析発生などの欠陥発生を防止することができるアルミニウム系メッキブランクを提供することである。
【0016】
本発明の一実施例によれば、ホットスタンピング工程以後ブランク継手部の物性低下を最小化することができるアルミニウム系メッキブランクを提供することである。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記アルミニウム系メッキブランクの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施例は、第1メッキ鋼板;前記第1メッキ鋼板と連結された第2メッキ鋼板;及び前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板との境界で前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板とを連結する継手部;を含み、前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板は、それぞれ素地鉄と、前記素地鉄の少なくとも一面に20~100g/mの付着量で形成され、アルミニウムを含むメッキ層と、を含み、前記素地鉄は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含み、前記継手部は、アルミニウム(Al)0.2重量%以上2.0重量%以下、マンガン(Mn)0.8重量%以上2.5重量%以下及び炭素(C)0.1重量%以上0.4重量%以下を含むが、前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板のうち、最も高いAc3温度以上でフェライトが形成されないアルミニウム系メッキブランクを開示する。
【0019】
本実施例において、前記アルミニウム系メッキブランクを前記Ac3以上に加熱してプレス成形し、300℃以下まで10℃/s~500℃/sの冷却速度で冷却してホットスタンピング成形した場合、前記継手部の平均硬度は、前記素地鉄の平均硬度以上である。
【0020】
本実施例において、前記ホットスタンピング成形後、前記継手部は、マルテンサイトを90面積%以上含む。
【0021】
本実施例において、前記素地鉄は、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びボロン(B)のうち、1つ以上の成分をさらに含む。
【0022】
本実施例において、前記メッキ層は、前記素地鉄の表面に形成され、アルミニウム(Al)を80重量%以上含む表面層;及び前記表面層と前記素地鉄との間に形成される合金化層;を含み、前記合金化層は、アルミニウム-鉄(Al-Fe)及びアルミニウム-鉄-シリコン(Al-Fe-Si)金属間化合物を含み、前記鉄(Fe)を20~70重量%含む。
【0023】
本発明の他の実施例は、第1メッキ鋼板と第2メッキ鋼板との縁部を互いに対向するように配置する段階;及び前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板との境界にフィラーワイヤを提供し、レーザビームを照射して前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板とを連結する継手部を形成する接合段階;を含み、前記継手部は、前記レーザビームの照射によって前記第1メッキ鋼板、前記第2メッキ鋼板及び前記フィラーワイヤが共に溶融されて形成され、前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板は、それぞれ素地鉄と、前記素地鉄の少なくとも一面に20~100g/mの付着量で形成され、アルミニウムを含むメッキ層と、を含み、前記継手部は、アルミニウム(Al)0.2重量%以上2.0重量%以下、マンガン(Mn)0.8重量%以上2.5重量%以下及び炭素(C)0.1重量%以上0.4重量%以下を含むが、前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板のうち、最も高いAc3温度以上でフェライトが形成されないアルミニウム系メッキブランクの製造方法を開示する。
【0024】
本実施例において、前記レーザビームは、前記境界を横切って往復動するように照射され、前記レーザビームは、周波数100~1500Hz、パワー1~20kWで、前記継手部の形成速度は、15~170mm/secでもある。
【0025】
本実施例において、前記継手部形成速度は、15~120mm/secであり、前記レーザビームの周波数、レーザビームの半径及び前記継手部形成速度は、下記式1の関係を満足する。
【数1】
【0026】
(前記式1において、前記αは、0.7であり、前記fは、前記レーザビームの周波数(Hz)、前記rは、アルミニウム系メッキ鋼板の表面で測定した前記レーザビームの半径(mm)及び前記vは、前記継手部の形成速度(mm/sec)である)。
【0027】
本実施例において、前記素地鉄は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含み、前記メッキ層は、前記素地鉄の表面に形成され、アルミニウム(Al)を80重量%以上含む表面層と、前記表面層と前記素地鉄との間に形成される合金化層と、を含み、前記合金化層は、アルミニウム-鉄(Al-Fe)及びアルミニウム-鉄-シリコン(Al-Fe-Si)金属間化合物を含み、前記鉄(Fe)を20~70重量%含む。
【0028】
本実施例において、前記アルミニウム系メッキブランクを前記Ac3以上に加熱してプレス成形し、300℃以下まで10℃/s~500℃/sの冷却速度で冷却してホットスタンピング成形した場合、前記継手部の平均硬度は、前記素地鉄の平均硬度以上であり、前記ホットスタンピング成形後、前記継手部は、マルテンサイトを90面積%以上含む微細組織を有するように形成されうる。
【0029】
本実施例において、前記フィラーワイヤは、前記マンガン(Mn)を1.5重量%以上4.5重量%以下、前記炭素(C)を0.4重量%以上0.9重量%以下含み、前記第1メッキ鋼板の第1強度と前記第1メッキ鋼板の第1厚さとの積と、前記第2メッキ鋼板の第2強度と前記第2メッキ鋼板の第2厚さとの積との差が500MPA×mm超過1000MPA×mm以下でもある。
【0030】
本実施例において、前記フィラーワイヤは、前記マンガン(Mn)を2.5重量%以上4.0重量%以下、前記炭素(C)を0.5重量%以上0.9重量%以下含み、前記第1メッキ鋼板の第1強度と前記第1メッキ鋼板の第1厚さとの積と、前記第2メッキ鋼板の第2強度と前記第2メッキ鋼板の第2厚さとの積との差が500MPA×mm以下でもある。
【0031】
本実施例において、前記レーザビームの照射時、前記第1メッキ鋼板と前記第2メッキ鋼板及び前記レーザビームを照射するレーザヘッドのうち、1つ以上が運動することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明のアルミニウム系メッキブランクは、強度及び厚さのうち、1つ以上が互いに異なる2以上のアルミニウム系メッキ鋼板を接合して製造することで、ブランク継手部の硬度及び物性低下を最小化し、ブランク継手部の偏析発生などの欠陥発生を防止し、前記偏析がホットスタンピング工程によってAl-Fe金属間化合物に相変化して発生する継手部破断を最小化しうる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランクを概略的に示す断面図である。
図2】本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランク製造過程を概略的に示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランク製造過程を概略的に示す斜視図である。
図4】レーザビームを照射してアルミニウム系メッキ鋼板を接合する過程を概略的に示す平面図である。
図5】本発明の一実施例によるアルミニウム系ブランク製造装置を概略的に示す断面図である。
図6】アルミニウム系ブランクの断面をそれぞれ示す断面図である。
図7】アルミニウム系ブランクの断面をそれぞれ示す断面図である。
図8】アルミニウム系ブランクのホットスタンピング成形後、部位別硬度変化を示すグラフである。
図9】アルミニウム系ブランクのホットスタンピング成形後、部位別硬度変化を示すグラフである。
図10】アルミニウム系ブランクの断面を示す断面図である。
図11】アルミニウム系ブランクの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、多様な変換が可能であり、様々な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明で詳細に説明する。本発明の効果及び特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に、詳細に後述する実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下に開示される実施例に限定されるものではなく、多様な形態にも具現される。
【0035】
以下の実施例において、第1、第2などの用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用された。
【0036】
以下の実施例において、単数表現は、文脈上、明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0037】
以下の実施例において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載の特徴、または構成要素が存在することを意味し、1つ以上の異なる特徴または構成要素の付加可能性を予め排除するものではない。
【0038】
以下の実施例において、膜、領域、構成要素などの部分が、他の部分上に、または上部にあるとするとき、他の部分の直上にある場合だけではなく、その中間に他の膜、領域、構成要素などが介在されている場合も含む。
【0039】
図面では、説明の便宜上、構成要素がその大きさが誇張または縮小されうる。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜上、任意に示したものであって、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。
【0040】
ある実施例が異なって具現可能な場合に特定の工程順序は、説明される順序とは異なって遂行されうる。例えば、連続して説明される2つの工程が実質的に同時に遂行され、説明される順序とは逆順に進められうる。
【0041】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明し、図面を参照して説明するとき、同一であるか、対応する構成要素は、同じ図面符号を付する。
【0042】
図1は、本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランクを概略的に示す断面図であり、図2及び図3は、それぞれ本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランク製造過程を概略的に示す斜視図であり、図4は、レーザビームを照射してアルミニウム系メッキ鋼板を接合する過程を概略的に示す平面図である。
【0043】
まず、図1を参照すれば、本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランク100は、第1メッキ鋼板10、第1メッキ鋼板10と連結された第2メッキ鋼板20及び第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との境界において第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20とを連結する継手部30を含む。
【0044】
第1メッキ鋼板10は、第1素地鉄12と第1素地鉄12の少なくとも一面に形成された第1メッキ層14を含み、第2メッキ鋼板20は、第2素地鉄22と第2素地鉄22の少なくとも一面に形成された第2メッキ層24を含む。第1素地鉄12と第2素地鉄22は、同じ成分を含み、第1メッキ層14と第2メッキ層24は、同じ成分を含む。以下、説明の便宜上、第1素地鉄12と第1メッキ層14について説明するが、これは、第2素地鉄22と第2メッキ層24にそれぞれ同様に適用されうる。
【0045】
第1素地鉄12は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含む。
【0046】
炭素(C)は、鋼の強度、硬度を決定する主要元素であり、ホットスタンピング(または、熱間プレス)工程以後、鋼材の引張強度を確保する目的で添加される。また、焼入性特性を確保するための目的で添加される。一具体例において、前記炭素は、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.01~0.5重量%含まれる。前記炭素が0.01重量%未満含まれる場合、本発明の機械的強度を達成し難く、0.5重量%を超過する場合、鋼材の靭性低下の問題、または鋼の脆性制御の問題がもたらされる。
【0047】
シリコン(Si)は、第1素地鉄12内のフェライト安定化元素として作用する。フェライトを清浄にすることで延性を向上させ、低温域炭化物形成を抑制することでオーステナイト内の炭素濃化度を向上させる機能を遂行することができる。さらに、熱延、冷延、ホットスタンピング組織均質化(パーライト、マンガン偏析帯制御)及びフェライト微細分散の核心元素である。一具体例において、前記シリコンは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.01~1.0重量%含まれる。前記シリコンが0.01重量%未満含まれる場合、上述した機能を十分に発揮することができず、1.0重量%を超過する場合、熱延及び冷延負荷が増加し、熱延赤スケールが過多となり、接合性が低下してしまう。
【0048】
マンガン(Mn)は、熱処理時に焼入性及び強度増加の目的で添加される。一具体例において、前記マンガンは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.5~3.0重量%含まれる。前記マンガンを0.5重量%未満含むとき、焼入性不足によってホットスタンピング後、材質不足(硬質相分率不足)の可能性が高く、3.0重量%を超過して含むとき、マンガン偏析またはパーライト帯による延性及び靭性が低下し、曲げ性能低下の原因になり、不均質微細組織が発生してしまう。
【0049】
リン(P)は、偏析しやすい元素であり、鋼の靭性を阻害する元素である。一具体例において、前記リン(P)は、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0超過0.05重量%以下含まれる。前記範囲で含まれるとき、靭性低下を防止しうる。前記リンを0.05重量%を超過して含むとき、工程中にクラックを誘発し、リン化鉄化合物が形成されて靭性が低下してしまう。
【0050】
硫黄(S)は、加工性及び物性を阻害する元素である。一具体例において、前記硫黄は、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0超過0.01重量%以下含まれる。前記硫黄を、0.01重量%を超過して含むとき、熱間加工性を落として、巨大介在物生成によるクラックなどの表面欠陥が発生する。
【0051】
アルミニウム(Al)は、第1素地鉄12中の酸素を除去するための脱酸剤の役割を行う。一具体例において、前記アルミニウムは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0超過0.1重量%以下含まれる。前記アルミニウムの含量が0.1重量%を超過すれば、製鋼時のノズル閉塞の原因となり、鋳造時、アルミニウム酸化物などによって熱間脆性が発生してクラックが発生するか、延性が低下してしまう。
【0052】
窒素(N)は、多量添加時、固溶窒素量が増加して第1素地鉄12の衝撃特性及び延伸率を落とし、継手部の靭性を大きく低下させる。一具体例において、前記窒素は、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0超過0.001重量%以下含まれる。前記窒素を、0.001重量%を超過して含むとき、第1素地鉄12の衝撃特性及び延伸率が低下し、継手部靭性が低下してしまう。
【0053】
一具体例において、前記第1素地鉄12は、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びボロン(B)のうち、1つ以上の成分をさらに含む。
【0054】
ニオブ(Nb)は、マルテンサイト(Martensite)パケットサイズ(Packet size)減少による強度及び靭性増加を目的に添加される。一具体例において、前記ニオブは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.005~0.1重量%含まれる。前記範囲で含まれるとき、熱間圧延及び冷間圧延工程で鋼材の結晶粒微細化効果に優れ、製鋼/連鋳時、スラブのクラック発生と、製品の脆性破断の発生を防止し、製鋼性粗大析出物の生成を最小化しうる。
【0055】
チタン(Ti)は、ホットスタンピング熱処理後、析出物形成による焼入性強化及び材質向上目的で添加されうる。また、高温でTi(C,N)などの析出相を形成し、オーステナイト結晶粒微細化に効果的に寄与する。一具体例において、前記チタンは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.005~0.1重量%含まれる。前記含量範囲で含まれるとき、連鋳不良及び析出物の粗大化を防止し、鋼材の物性を容易に確保し、鋼材表面にクラック発生などの欠陥を防止することができる。
【0056】
前記クロム(Cr)は、前記第1アルミニウム系メッキ鋼板10の焼入性及び強度を向上させる目的で添加される。一具体例において、前記クロムは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.01~0.5重量%含まれる。前記範囲で含まれるとき、第1前記アルミニウム系メッキ鋼板10の焼入性及び強度を向上させ、生産費増加と鋼材の靭性低下を防止することができる。
【0057】
モリブデン(Mo)は、熱間圧延及びホットスタンピングの間、析出物の粗大化抑制及び焼入性増大を通じて強度向上に寄与することができる。モリブデン(Mo)は、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.001~0.008重量%含まれる。前記範囲で含まれるとき、熱間圧延及びホットスタンピングの間、析出物の粗大化抑制及び焼入性増大効果が優秀である。
【0058】
ボロン(B)は、マルテンサイト組織を確保することで、前記鋼材の焼入性及び強度を確保する目的で添加され、オーステナイト結晶粒成長温度の増加によって結晶粒微細化効果を有する。一具体例において、前記ボロンは、前記第1素地鉄12の全体重量に対して0.001~0.008重量%含まれる。前記範囲で含まれるとき、硬質相粒界脆性発生を防止し、高靭性と曲げ性とを確保することができる。
【0059】
一具体例において、第1メッキ鋼板10は、炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含む鋼スラブを再加熱し、前記再加熱したスラブを仕上げ圧延し、前記熱間圧延された鋼板を巻き取り、前記巻き取られた鋼板を冷間圧延し、前記冷間圧延された板材を焼鈍処理し、そして、前記焼鈍処理された板材の表面に第1メッキ層14を形成する段階を含んで製造することができる。
【0060】
第1素地鉄12の少なくとも一面上に形成される第1メッキ層14は、片面基準20~100g/mの付着量で形成されうる。また、第1メッキ層14は、アルミニウム(Al)を含む。一具体例において、前記第1メッキ層14は、600~800℃の溶融アルミニウム及びアルミニウム合金のうち、1つ以上を含むメッキ浴に、第1素地鉄12を浸漬した後、平均1~50℃/sの冷却速度で冷却させる段階を含めて形成されうる。
【0061】
一具体例において、前記第1素地鉄12をメッキ浴に浸漬した後、前記第1素地鉄12の表面に空気及びガスのうち、1つ以上を噴射して溶融メッキ層をワイピングし、噴射圧力を調節することで、第1メッキ層14のメッキ付着量を調節することができる。
【0062】
前記メッキ付着量は、前記第1素地鉄12の少なくとも一面に20~150g/mで形成されうる。望ましくは、前記第1素地鉄12の少なくとも一面に20~100g/mで形成される。前記メッキ付着量を20g/m未満に形成するとき、耐食性が低下し、100g/mを超過するとき、前記第1アルミニウム系メッキ鋼板10と前記第2アルミニウム系メッキ鋼板20とを接合するとき、継手部30に混入されるアルミニウム(Al)量が増加し、ホットスタンピング後、継手部30の強度が低下しうる。
【0063】
一具体例において、前記第1メッキ層14は、前記第1素地鉄12の表面に形成され、アルミニウム(Al)を80重量%以上含む表面層及び前記表面層と第1素地鉄12との間に形成され、アルミニウム-鉄(Al-Fe)及びアルミニウム-鉄-シリコン(Al-Fe-Si)金属間化合物を含み、鉄(Fe)を20~70重量%含む合金化層を含む。
【0064】
一具体例において、前記表面層は、アルミニウムを80~100重量%含み、平均厚さは、10~40μmである。表面層の平均厚さが10μm未満である場合、第1アルミニウム系メッキブランク10の耐食性が低下し、表面層の平均厚さが40μmを超過する場合、第1アルミニウム系メッキブランク10と第2アルミニウム系メッキブランク20とを接合するとき、継手部30に混入されるアルミニウム(Al)量が増加し、ホットスタンピング後、継手部30の機械的物性が低下する。例えば表面層の平均厚さは、10~30μmでもある。
【0065】
一具体例において、前記合金化層は、鉄(Fe)を20~70重量%含む。前記条件において前記合金化層は、高い融点を有し、ホットスタンピング加熱炉で前記表面層が溶融されて前記第1素地鉄12の組織に侵透する液体金属脆化現象{Liquid Metal Embrittlement}の発生を防止することができる。例えば、前記合金化層は、鉄(Fe)を20~60重量%含む。
【0066】
継手部30は、第1メッキ鋼板10の側面と第2メッキ鋼板20の側面とを互いに対向するように整列した後、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との境界にフィラーワイヤ200を供給し、レーザを照射して第1メッキ鋼板10、第2メッキ鋼板20及びフィラーワイヤ200を溶融させて形成し、形成される継手部30は、第1メッキ鋼板10のAc3温度と第2メッキ鋼板20のAc3温度のうち、さらに高いAc3温度以上でフェライトが形成されない成分系からなる。望ましくは、継手部30は、850℃以上でフェライトが形成されない成分系からなりうる。具体的に、ホットスタンピング工程を経た後の継手部30、すなわち、前記アルミニウム系メッキブランク100を850~1000℃まで加熱した後、プレス成形を行い、10~500℃/sの平均冷却速度で急冷するホットスタンピング工程を経た後の継手部30が、面積分率で90%以上のマルテンサイトを含む微細組織を有することができる成分系からなる。例えば、ホットスタンピング加熱温度において継手部30は、フルオーステナイト組織として存在し、以後、冷却時、面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織に変態されうる。
【0067】
前記継手部30は、アルミニウム(Al)0.2~2.0重量%を含む。前記アルミニウムの含量は、溶融された第1メッキ鋼板10、第2メッキ鋼板20及びフィラーワイヤ200から混入されるアルミニウム(Al)の和でもある。前記継手部30のアルミニウム(Al)含量が0.2重量%未満であれば、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との接合時、アルミニウム(Al)の混入量の調節のために、第1及び第2メッキ層14、24を除去せねばならないので、製造工程の効率が減少する。一方、継手部30のアルミニウム(Al)含量が2.0重量%を超過すれば、ホットスタンピング後、継手部のマルテンサイト分率が低下してメッキブランク100の機械的性質が低下する。一方、継手部30がアルミニウムを1.0重量%超過して含めば、継手部30の表面に酸化膜が形成される恐れがあるところ、それを防止するために継手部30は、アルミニウムを0.2~1.0重量%含みうる。
【0068】
また、継手部30は、第1及び第2素地鉄12、22よりもオーステナイト安定化元素をさらに多く含む。例えば、継手部30は、炭素(C)0.1重量%以上0.4重量%以下及びマンガン(Mn)0.8重量%以上2.5重量%以下含む。
【0069】
継手部30に含まれた炭素(C)の含量は、溶融された第1メッキ鋼板10、第2メッキ鋼板20及びフィラーワイヤ200から混入される炭素(C)の和でもある。前記継手部30の炭素(C)の含量が0.1重量%未満であれば、継手部30の硬度が第1メッキ鋼板10及び第2メッキ鋼板20の硬度より小さく、継手部30に破断が発生する。これに対して、炭素(C)の含量が0.4重量%を超過すれば、継手部30の硬度が過度に上昇して外部衝撃などによって継手部30に脆性破壊が発生しうる。
【0070】
継手部30に含まれたマンガン(M)の含量は、溶融された第1メッキ鋼板10、第2メッキ鋼板20及びフィラーワイヤ200から混入されるマンガン(M)の和でもある。前記継手部30のマンガン(M)の含量が0.8重量%未満であれば、ホットスタンピング時、継手部30にフェライト組織が共存し、マンガン(M)の含量が2.5重量%を超過すれば、継手部30の溶融時に粘性下落と、固相への変態時、膨脹係数の拡大によって継手部30形状の品質低下、及び継手部30にクラックなどが発生する。
【0071】
一方、第1メッキ鋼板10の平均硬度と第2メッキ鋼板20の平均硬度は、互いに異なってもいる。また、継手部30の平均硬度は、第1メッキ鋼板10の平均硬度及び第2メッキ鋼板20の平均硬度より大きくもなる。一例として、継手部30の最小硬度値は、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20のうち、最大の硬度値よりも大きい。
【0072】
また、アルミニウム系メッキブランク100をAc3以上に加熱してプレス成形を行い、300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却してホットスタンピング成形した場合、継手部30の平均硬度は、第1素地鉄12及び第2素地鉄22の各平均硬度値よりも大きい。
【0073】
第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20は、強度及び厚さのうち、1つ以上が互いに異なってもいる。その場合、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との接合時、第1メッキ層14と第2メッキ層24から継手部30に溶入される成分の量は、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との強度及び厚さによって互いに異なってもいる。一方、フィラーワイヤ200は、Ac3温度以上で継手部30にフェライトが形成されないようにするために、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との接合時、第1メッキ層14と第2メッキ層24から溶入される成分を考慮し、その成分の含量を異ならせ、その結果、継手部30に含まれるオーステナイト安定化元素の含量が異なっている。
【0074】
例えば、第1メッキ鋼板10が第1厚さTと第1強度を有し、第2メッキ鋼板20が第2厚さTと第2強度を有するとき、第1強度と第1厚さTの積と、第2強度と第2厚さT2の積との差が500MPAXmm以下である場合、継手部30は、炭素(C)0.25重量%以上0.4重量%以下、マンガン(Mn)1.5重量%以上2.5重量%以下含むのである。
【0075】
また、第1強度と第1厚さT1との積と、第2強度と第2厚さT2との積との差が500MPAXmmよりも大きく、1000MPAXmm以下である場合、継手部30は、炭素(C)0.2重量%以上0.3重量%以下、マンガン(Mn)1.0重量%以上2.0重量%以下を含むのである。
【0076】
第1強度と第1厚さTとの積と、第2強度と第2厚さTとの積との差が1000MPAXmmよりも大きい場合、継手部30は、炭素(C)0.1重量%以上0.25重量%以下、マンガン(Mn)0.8重量%以上1.5重量%以下を含むのである。
【0077】
すなわち、第1強度と第1厚さTとの積と、第2強度と第2厚さTとの積との差が増加するほど、継手部30に含まれる炭素(C)とマンガン(Mn)の含量は減少し、前記範囲を満足するとき、ホットスタンピング加熱温度において継手部30は、フルオーステナイト組織として存在し、以後、冷却時、面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織に変態されうる。
【0078】
一方、前記のようなアルミニウム系メッキブランク100をAc3以上の温度まで加熱した後、プレス成形し、300℃以下温度まで10~500℃/sの平均冷却速度で冷却してホットスタンピング部材を形成することができるが、形成されたホットスタンピング部材のうち、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20及び継手部30に相応する部分は、前記ブランク100の第1及び第2メッキ鋼板10、20及び継手部30より引張強度が高くなる。特に、前記ブランク100の継手部30は、面積分率で90%以上のマルテンサイトを含む微細組織を有することができる。
【0079】
以下、図2及び図3を参照して、アルミニウム系メッキブランクの製造方法を説明する。
【0080】
本発明の一実施例によるアルミニウム系メッキブランク100の製造方法は、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との縁部を互いに対向するように配置する段階、及び前記第1メッキ鋼板10と前記第2メッキ鋼板20との境界にフィラーワイヤ200を提供し、レーザビームを310を照射して前記第1メッキ鋼板10と前記第2メッキ鋼板20とを連結する継手部30を形成する接合段階を含む。
【0081】
第1メッキ鋼板10の側面と第2メッキ鋼板20の側面は、互いに対向するように配置される。この際、第1メッキ鋼板10の側面と第2メッキ鋼板20の側面は、互いに当接しうる。
【0082】
第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との境界には、フィラーワイヤ200が提供され、レーザヘッド300からレーザビーム310を照射して、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との境界部で第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20とを連結する継手部30を形成する。
【0083】
継手部30は、レーザビーム310によって第1メッキ鋼板10、第2メッキ鋼板20及びフィラーワイヤ200が溶融されて形成され、その過程を通じて継手部30には、第1メッキ鋼板10の第1メッキ層14と第2メッキ鋼板20の第2メッキ層24との成分が溶入される。したがって、フィラーワイヤ200は、レーザ溶接時、第1メッキ層14と第2メッキ層24の成分溶入を考慮して、その組成が決定されねばならない。
【0084】
一具体例において、フィラーワイヤ200は、オーステナイト安定化元素を含む。例えば、前記オーステナイト安定化元素は、炭素(C)及びマンガン(Mn)のうち、1つ以上を含む。このようなフィラーワイヤ200は、継手部30に溶入され、継手部30の成分系を調節することができる。
【0085】
具体的に、第1メッキ層14と第2メッキ層24のアルミニウム(Al)が継手部30の溶融プールに混入されても、フィラーワイヤ200に添加されているオーステナイト安定化元素によって継手部30の微細組織がホットスタンピング後、面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織を有する。すなわち、本発明によれば、第1メッキ層14と第2メッキ層24とを除去せず、第1メッキ層14と第2メッキ層24の成分が継手部30に混入されても、継手部30の硬度及び強度低下を防止可能となり、継手部30の破断現象を防止することができる。
【0086】
一方、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20は、強度及び厚さのうち、1つ以上が互いに異なってもいる。その場合、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20との接合時、第1メッキ層14と第2メッキ層24から継手部30に溶入される成分の量は、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20の強度及び厚さによって互いに異なってもいる。このような場合、フィラーワイヤ200に含まれる炭素(C)及びマンガン(Mn)の含量は、第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20の強度及び厚さによって互いに異なってもいる。
【0087】
例えば、第1メッキ鋼板10が第1厚さTと第1強度を有し、第2メッキ鋼板20が第2厚さTと第2強度を有するとき、第1強度と第1厚さTとの積と、第2強度と第2厚さTとの積との差が、500MPAXmm以下である場合、フィラーワイヤ200は、炭素(C)0.5重量%以上0.9重量%以下、マンガン(Mn)2.5重量%以上4.5重量%以下含むのである。
【0088】
また、第1強度と第1厚さTとの積と、第2強度と第2厚さTとの積との差が、500MPAXmmより大きく、1000MPAXmm以下である場合、フィラーワイヤ200は、炭素(C)0.4重量%以上0.9重量%以下、マンガン(Mn)1.5重量%以上4.5重量%以下含むのである。
【0089】
また、第1強度と第1厚さTとの積と、第2強度と第2厚さTとの積との差が、1000MPAXmmより大きい場合、フィラーワイヤ200は、炭素(C)0.3重量%以上0.9重量%以下、マンガン(Mn)0.3重量%以上4.5重量%以下含むのである。
【0090】
このように第1メッキ鋼板10と第2メッキ鋼板20の強度と厚さとの積の差によって、フィラーワイヤ200に含まれた炭素(C)とマンガン(M)の含量が、前記のように異なって含まれることで、継手部30に含まれる炭素(C)とマンガン(M)の含量が調節され、その結果、ホットスタンピング加熱温度で継手部30は、フルオーステナイト組織として存在し、以後、冷却時面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織に変態されうる。
【0091】
一方、前記フィラーワイヤ200によって第1及び第2メッキ層14、24の溶入成分を希釈させても、接合条件によってフィラーワイヤ200の成分と第1及び第2メッキ層14、24を第1及び第2素地鉄12、14成分に均一に分布させ得ない。それを防止するために、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の接合時、前記継手部30の形成方向を基準に所定角度のパターンをなすようにレーザビーム310を照射することができる。
【0092】
一具体例において、前記パターンは、前記レーザビーム310の照射時、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20及びレーザヘッド300のうち、1つ以上が運動してなる。
【0093】
例えば、前記レーザビーム310は、前記継手部30が形成される方向と所定の角度でパターン運動し、前記フィラーワイヤ200と前記第1及び第2メッキ鋼板10、20を溶融させて前記継手部30を形成することができる。
【0094】
また、前記継手部30は、前記レーザビーム310がパターン運動しつつ、照射されると共に、第1及び第2メッキ鋼板10、20及びレーザヘッド300のうち、1つ以上が運動してなる。本明細書において、前記「相対運動」は、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20及びレーザ300ヘッドのうち、1つ以上が運動することを意味する。望ましくは、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20は、停止された状態で前記レーザヘッド300が運動して継手部30を形成することができる。
【0095】
一例として、図2は、第1及び第2メッキ鋼板10、20がパターン運動して継手部30を形成する過程を模式的に示す図面である。図2を参照すれば、レーザヘッド300は、固定された状態で前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の対向する部位に向かってフィラーワイヤ200が供給され、レーザビーム310が照射されうる。一方、第1及び第2メッキ鋼板10、20は、継手部30が形成される方向Y2に対して反対方向D1に平行に移動すると共に、レーザビーム310の移動経路Y1が継手部30の形成方向Y2と所定の角度をなすように、パターン運動を行い、レーザビーム310が照射されて継手部30を形成することができる。
【0096】
他の例として、図3は、レーザヘッド300が移動しながら継手部30を形成する過程を模式的に示す図面である。図3を参照すれば、第1及び第2メッキ鋼板10、20は、固定された状態で、アルミニウム系メッキ鋼板10、20が互いに対向する部位に向かってフィラーワイヤ200が供給され、レーザヘッド300が運動してレーザビーム310が照射されうる。この際、レーザヘッド300は、継手部30が形成される方向Y2と同じ方向D2に平行に移動すると共に、レーザビーム310の移動経路Y1が継手部30の形成方向Y2と所定の角度をなすように、パターン運動を行い、レーザビーム310が照射されて継手部30を形成することができる。レーザビーム310は、継手部形成方向Y2に対して、45゜以上90゜未満でパターン運動することができる。
【0097】
図3において、レーザビーム310は、前記レーザヘッド300の運動方向D2と異なる方向に運動することができる。望ましくは、レーザビーム310の運動方向は、前記レーザヘッド300の運動方向D2と一定角度をなすことができる。
【0098】
一例として、レーザビーム310の運動方向は、前記レーザヘッド300の運動方向D2と垂直な方向でもある。選択的実施例において、レーザビーム310は、前記レーザヘッド300の運動方向D2に対して45゜以上90゜未満の角度をなしてパターン運動可能である。
【0099】
結果として、前記レーザビーム310は、前記継手部の形成方向Y2と所定の角度を有するパターン運動しつつ照射されうる。したがって、レーザビーム310が継手部形成方向Y2と同じ方向に照射される場合よりも、第1及び第2メッキ鋼板10、20の表面でレーザビーム310の移動長さがさらに長くなり、第1及び第2メッキ鋼板10、20にレーザビーム310のエネルギーを伝達することができる面積が広くなるだけではなく、前記レーザビーム310の移動経路Y1と前記レーザビーム310の半径サイズによってエネルギーが伝達される領域が重畳されうるところ、前記第1及び第2メッキ層14、24の成分及びフィラーワイヤ200の成分を前記第1及び第2素地鉄12、14の成分に十分に希釈させて継手部30を形成することができる。
【0100】
一具体例において、前記レーザビーム310は、周波数100~1500Hz、パワー1~20kWでもある。一具体例において、前記レーザビーム310のパワーは、レーザ発振部の出力値を意味し、前記レーザビーム310の周波数は、前記レーザビーム310のパターン運動が有する周波数を意味することができる。
【0101】
一具体例において、前記アルミニウム系メッキブランク100の製造時、継手部30の形成速度は、1m/min以上、レーザ周波数は、1500Hz以下、レーザビーム310パワーは、20kW以下になって初めて、最小限の生産性及び事業性確保が可能である。前記レーザ周波数とレーザビーム310パワーは、高いほど良いが、1500Hzを超過する周波数及び20kWを超過するパワーを具現するためには、高性能の設備が必要なので、設備サイズが大きくなって設備コストが高くなる問題がある。また、最小限の生産性確保のためには、継手部30の形成速度を1m/min以上に保持する必要がある。前記継手部30の形成速度は、前記レーザヘッド300が前記継手部形成方向Y2と平行に相対運動した単位時間当り変位を意味する。
【0102】
一具体例において、前記継手部30の形成速度は、1~10m/minでもある。前記継手部30の形成速度が10m/minを超過する場合、レーザビーム310を周波数100~1500Hz、パワー1~20kWのパワー及び0.1~1.0mmのビーム半径条件でもって照射しても、前記レーザビーム310の移動経路Y1と継手部30が形成される方向Y2との角度が大きくなり、前記レーザビーム310によって第1及び第2メッキ層14、24及び第1及び第2素地鉄12、22が溶融されるとき、第1及び第2メッキ層14、24の成分が第1及び第2素地鉄12、22成分に十分に希釈され得ない部分が存在しうる。
【0103】
一具体例において、前記継手部30の形成速度は、15~170mm/secである。望ましくは、1~7m/minでもある。望ましくは、前記継手部30形成速度は、15~120mm/secでもある。
【0104】
一具体例において、前記レーザビーム310の半径は、0.1~1.0mmでもある。前記レーザビーム310の半径が1.0mmを超過するためには、前記フィラーワイヤ200と前記第1及び第2メッキ鋼板10、20とレーザヘッド300との距離が近くなければならないが、そのような場合は、フィラーワイヤ200が供給される空間または前記フィラーワイヤ200が消費された場合、それを交換する空間が十分ではなく、製造工程効率が低下してしまう。一方、レーザビーム310の半径が0.1mm未満である場合は、図4に図示されたように、レーザビーム310が照射されない領域(S)が存在しうる。前記図4を参照すれば、前記レーザビーム半径が0.1mm未満である場合には、レーザビームを周波数100~1500Hz、パワー1~20kWの条件で照射しても、レーザビーム半径が小さいために、前記レーザビーム310が照射されない領域(S)が存在しうる。
【0105】
一方、前記レーザビーム310の周波数が100Hz未満になれば、前記レーザビーム310のスポット間の間隔が増加するので、1~20kWのレーザビームパワー、0.1~1.0mmのレーザビーム310の半径及び1~7m/minの継手部30形成速度条件を満足しても、前記レーザビーム310を照射するとき、前記第1及び第2メッキ層14、24の成分が前記第1及び第2素地鉄12、22成分に十分に希釈され得ない部分が存在しうる。
【0106】
また、前記レーザビーム310のパワーが1kW未満である場合には、レーザビーム310の周波数100~1500Hz、レーザビーム310の半径0.1~1.0mm及び継手部30の形成速度1~7m/min条件を満足しても、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20に伝達されるエネルギー不足で前記レーザビーム310を照射しても、前記第1及び第2メッキ層14、24の成分が前記第1及び第2素地鉄12、22の成分に十分に希釈され得ない部分が存在しうる。
【0107】
選択的実施例として、前記レーザビーム310の照射時、互いに離隔された第1レーザビーム及び第2レーザビームを照射することができる。例えば、前記第1レーザビームがフィラーワイヤ200と第1及び第2メッキ層14、24及び第1及び第2素地鉄12、22を溶融させ、第2レーザビームで前記溶融された状態を保持させ、溶融された部位の均一な撹拌がなされて継手部30の偏析発生を防止し、品質及び機械的物性に優れるものでもある。一方、前記第1レーザビーム及び第2レーザビームを使用する場合、前記第1レーザビームと第2レーザビームとのパワーの和が1~20kWでもある。
【0108】
一方、前記アルミニウム系メッキブランク100は、上述したレーザビームパワー、半径、周波数及び前記継手部30の形成速度範囲内で接合した後、高温加熱して急冷する熱処理を遂行したとき、前記継手部30の平均硬度が前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の平均硬度以上でもあり、望ましくは、前記継手部30の最小硬度が前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の平均硬度以上でもある。前記継手部30の平均硬度が前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の平均硬度未満である場合は、前記熱処理されたブランク100に引張力が加えられた場合、前記継手部30において破断の発生可能性がある。一具体例において、前記アルミニウム系メッキブランク100をAc3以上に加熱してプレス成形を行い、300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却してホットスタンピング成形した場合、前記継手部30の平均硬度は、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の平均硬度以上である。
【0109】
一具体例において、前記継手部30の形成速度は、15~120mm/secであり、この際、前記レーザビーム310の周波数、レーザビーム310の半径、及び前記継手部30の形成速度は、下記式1の関係を満足する:
【数2】
【0110】
(前記式1において、前記αは、0.7であり、前記fは、前記レーザビームの周波数(Hz)、前記rは、アルミニウム系メッキ鋼板の表面で測定した前記レーザビームの半径(mm)及び前記vは、前記継手部の形成速度(mm/sec)である)。
【0111】
前記式1のレーザビーム310の周波数、パワー、半径及び前記継手部310の形成速度を制御するにしても、継手部30の十分な引張強度を確保するためには、アルミニウム(Al)の偏析面積分率を低めなければならない。そのためには、前記レーザビーム310の周波数、パワー、半径及び前記継手部30の形成速度だけではなく、前記レーザビーム310がレーザヘッド300から照射されて第1及び第2メッキ鋼板10、20まで伝達されつつ発生するエネルギー損失、第1及び第2メッキ層14、24の熱反射率、第1及び第2メッキ鋼板10、20の熱伝導率、第1及び第2素地鉄12、22の厚さ及び第1及び第2メッキ層14、24の厚さなど多くの変数を考慮せねばならない。
【0112】
また、前記レーザビーム310の半径を制御する際には、第1及び第2メッキ鋼板10、20の表面でのエネルギー密度を考慮せねばならず、かつ前記レーザビーム310の周波数と前記継手部300形成速度によって決定される第1及び第2メッキ鋼板10、20表面でのレーザビーム310の移動経路も考慮して、継手部30に均一にエネルギーを伝達させる必要があった。
【0113】
そこで、本発明者は、過度な反復実験を経て上述した多様な状況を考慮した補正係数(α)を使用してレーザビーム310の周波数と半径及び継手部30の形成速度のみで継手部30の十分な引張強度を確保することができる条件を導出した。
【0114】
前記式1による条件を満足するとき、アルミニウム(Al)偏析分率を5%以下に低めることができる。但し、この際、前記継手部30の形成速度は、1~7m/minであることが望ましく、さらに望ましくは、15~120mm/secでもある。前記継手部30の形成速度が速い場合、前記継手部30に均一にエネルギーを伝達する時間が不十分である問題がある。例えば、120~170mm/sの継手部30の形成速度条件では、前記式1を満足しても、継手部のAl偏析が過度に発生しうる。
【0115】
一方、前記継手部30のアルミニウム(Al)偏析面積分率が5%以下を満足しても、前記継手部30と第1及び第2素地鉄12、22との境界面にアルミニウム(Al)偏析が発生する場合には、継手部30、具体的には、継手部30及び第1及び第2メッキ鋼板10、20の境界面での破断の発生可能性が高い。
【0116】
一具体例において、前記レーザビーム310のパターン角度を45゜以上90゜未満に実施する場合、前記継手部30と第1及び第2メッキ鋼板10、20との境界面にアルミニウム(Al)偏析の発生を防止することができる。前記パターン角度は、前記継手部30が形成されるとき、前記第1及び第2メッキ鋼板10、20の表面で、前記継手部30の形成方向Y2と前記レーザビームの移動経路Y1とがなす角度を意味する。
【0117】
図5は、本発明の一実施例によるアルミニウム系ブランク製造装置を概略的に示す断面図である。
【0118】
前記図5を参照すれば、アルミニウム系メッキブランク製造装置1000は、レーザ光源を生成するレーザ発振部500、2以上のアルミニウム系メッキ鋼板が配置されるが、1つのメッキ鋼板の縁部と他の1つのメッキ鋼板の縁部とを互いに対向するように配置される鋼板ローディング部400、前記メッキ鋼板の継手部を形成するためのフィラーワイヤ200を供給するワイヤ供給部210及び前記レーザ発振部500から供給されたレーザ光源を用いて前記アルミニウム系メッキ鋼板の互いに対向する部位及び前記供給されたフィラーワイヤにレーザビームを照射するレーザヘッド300を含む。
【0119】
一具体例において、レーザヘッド300は、ロボットアーム320に締結され、前記継手部が形成される方向に対して反対方向に移動することができる。
【0120】
一具体例において、前記鋼板ローディング部400を用いてアルミニウム系メッキ鋼板を前記継手部が形成される方向と同じ方向に移動することができる。
【0121】
前記鋼板の接合時、前記継手部の形成方向を基準に所定角度のパターンをなすようにレーザビームを照射して接合され、前記レーザビームは、周波数100~1500Hz、パワー1~20kWである。前記継手部の形成速度は、1~10m/min、望ましくは、15~170mm/secでもある。
【0122】
前記アルミニウム系メッキ鋼板は、前述した第1及び第2メッキ鋼板(図1の10、20)でもある。
【0123】
一具体例において、前記パターンは、前記鋼板ローディング部のメッキ鋼板及びレーザビームのうち、1つ以上がパターン運動してなる。
【0124】
以下、本発明の望ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。但し、これは、本発明の望ましい例示として提示されたものであり、如何なる意味でも、これにより、本発明を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例0125】
実施例及び比較例
実施例1
炭素(C)0.01~0.5重量%、シリコン(Si)0.01~1.0重量%、マンガン(Mn)0.5~3.0重量%、リン(P)0超過0.05重量%以下、硫黄(S)0超過0.01重量%以下、アルミニウム(Al)0超過0.1重量%以下、窒素(N)0超過0.001重量%以下、残部の鉄(Fe)及びその他不可避な不純物を含む素地鉄;及び前記素地鉄の少なくとも一面に20~100g/mの付着量で形成され、アルミニウム(Al)を含むメッキ層;を含むが、互いに強度及び厚さがそれぞれ異なる2以上のアルミニウム系メッキ鋼板を準備した。前記アルミニウム系メッキ鋼板のメッキ層は、それぞれ前記素地鉄の表面に形成され、アルミニウム(Al)を80重量%以上含む表面層;及び前記表面層と素地鉄との間に形成され、アルミニウム-鉄(Al-Fe)及びアルミニウム-鉄-シリコン(Al-Fe-Si)金属間化合物を含み、鉄(Fe)を20~70重量%含む合金化層;を含む。
【0126】
そして、図5のようなアルミニウム系メッキブランクの製造装置の鋼板ローディング部に前記2以上のアルミニウム系メッキ鋼板のうち、1つのメッキ鋼板の縁部と他の1つのメッキ鋼板の縁部を互いに対向するように配置した。その後、前記アルミニウム系メッキ鋼板が互いに対向する部位にワイヤ供給部からフィラーワイヤを提供し、レーザビームを照射して、前記アルミニウム系メッキ鋼板の互いに対向する部位及びフィラーワイヤを溶融して継手部を形成してアルミニウム系メッキブランクを製造した。
【0127】
前記鋼板の接合時、前記継手部の形成方向を基準に所定角度のパターンをなすようにレーザビームを照射して接合した。具体的に、レーザヘッドは、継手部形成方向と同じ方向に平行に移動しながら、レーザビームは、前記継手部形成方向に対して60゜にパターン運動しつつ照射された。また、前記レーザビームは、周波数100Hz、ビームパワー1kW、ビーム半径0.1mmで照射し、継手部は、1m/minの形成速度で形成した。
【0128】
下記表1は、継手部によって連結された2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差、及びフィラーワイヤに含まれた炭素(C)とマンガン(M)の含量によるアルミニウム系メッキブランクの引張試験時の継手部の判断結果である。
【表1-1】
【表1-2】
【0129】
継手部によって連結される2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積が互いに異なる場合、レーザ照射時、継手部に溶入される成分の量に差が発生する。したがって、ホットスタンピング加熱温度で継手部がフルオーステナイト組織として存在し、以後、冷却時面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織に変態させるためには、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差によってフィラーワイヤに含まれた炭素(C)とマンガン(M)の含量を互いに異なって調節することができる。
【0130】
前記表1から分かるように、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が500MPAXmm以下である場合は、フィラーワイヤが炭素(C)0.5重量%~0.9重量%、マンガン(Mn)2.5重量%~4.5重量%未満含み、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が500MPAXmmよりも大きく、1000MPAXmm以下である場合、フィラーワイヤは、炭素(C)0.4重量%~0.9重量%、マンガン(Mn)1.5重量%~4.5重量%含み、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が1000MPAXmmより大きい場合、フィラーワイヤ200は、炭素(C)0.3重量%~0.9重量%、マンガン(Mn)0.3重量%~4.5重量%含むとき、継手部に破断の発生を防止しうる。
【0131】
これは、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差によって、フィラーワイヤが炭素(C)とマンガン(M)を前記範囲で含むとき、形成される継手部も2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差によって含む炭素(C)とマンガン(M)の含量が異なるが、この際、継手部に含まれる炭素(C)とマンガン(M)の含量によって第1メッキ層と第2メッキ層の成分が継手部に混入されても、継手部の硬度及び強度低下を防止可能となり、継手部の破断現象が防止されるものである。
【0132】
すなわち、接合される2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が500MPAXmm以下である場合、継手部は、炭素(C)0.25重量%~0.4重量%、マンガン(Mn)1.5重量%~2.5重量%含み、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が500MPAXmmより大きく、1000MPAXmm以下である場合、継手部は、炭素(C)0.2重量%~0.3重量%、マンガン(Mn)1.0重量%~2.0重量%含み、2つのメッキ鋼板の強度と厚さの積の差が1000MPAXmmより大きい場合、継手部は、炭素(C)0.1重量%~0.25重量%、マンガン(Mn)0.8重量%~1.5重量%を含み、ホットスタンピング加熱温度で継手部は、フルオーステナイト組織として存在し、以後、冷却時、面積分率で90%以上のマルテンサイト組織、望ましくは、フルマルテンサイト組織に変態されうる。
【0133】
実施例2~16及び比較例1~12
下記表2条件のレーザビームパワー、ビーム半径、周波数、継手部形成速度条件を適用してアルミニウム系メッキ鋼板を接合したことを除き、前記実施例1と同様の方法でアルミニウム系メッキブランクを製造した。
【0134】
実験例(1)硬度テスト:前記実施例1~16及び比較例1~12のアルミニウム系メッキブランク試片をそれぞれ3個ずつ製造した後、各試片をオーステナイト単相域温度以上(Ac3以上)に加熱して300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却した後、前記アルミニウム系メッキブランクの継手部と前記アルミニウムメッキ鋼板の平均硬度値を測定した。ここで、硬度は、金属材料のビッカース硬度試験方法(荷重300g)で測定し、前記継手部の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度以上である場合は、Pass、平均硬度未満である場合は、Failと判定し、その結果を下記表2に示した。また、継手部の最小硬度は、一定間隔で離隔された5地点で測定された継手部の硬度値のうち、最小値であり、素地鉄の平均硬度は、一定間隔で離隔された5地点で測定された素地鉄の硬度値の平均値である。
【表2】
【0135】
以下、本発明において「エネルギー密度」は、「レーザ発振器のビームパワーP(kW)を鋼板表面でのレーザビーム面積
で割った値(但し、前記rは、レーザビームの半径)」と仮定する。
【0136】
前記表2の結果から、本発明のレーザビームの照射及び継手部形成速度を満足する実施例1~16の場合、前記継手部の最小硬度は、前記素地鉄の平均硬度以上であることが分かった。
【0137】
一方、比較例1、2、7及び8の場合、エネルギー密度は、十分であるが、継手部形成速度を最小にするとしても、レーザビームの半径が小さいために、前記レーザビームにより、前記アルミニウムメッキ鋼板のメッキ層及び素地鉄の溶融時、前記メッキ層の成分が前記素地鉄成分に十分に希釈され得ない部分が存在し、前記継手部の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度未満に形成された。
【0138】
比較例3、4、9及び10の場合、レーザビーム半径値を最大(1.0mm)にし、継手部形成速度を最小(1m/min)にしたとしても、周波数が低いために、前記レーザビーム移動経路の間隔が大きくなり、前記レーザビームにより、前記アルミニウムメッキ鋼板のメッキ層及び素地鉄が溶融されるとき、前記メッキ層の成分が前記素地鉄成分に十分に希釈され得ない部分が存在し、前記継手部の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度未満に形成された。
【0139】
また、比較例5、6、11及び12の場合、エネルギー密度は、十分であり、ビーム半径も最大にしたとしても、速度が非常に速く、前記レーザビーム移動経路の間隔が大きくなり、前記レーザビームにより、前記アルミニウムメッキ鋼板のメッキ層及び素地鉄が溶融されるとき、前記メッキ層の成分が前記素地鉄成分に十分に希釈され得ない部分が存在し、前記継手部の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度未満に形成された。
【0140】
実施例17~68及び比較例13~52
下記表3ないし表6によるレーザビームパワー、ビーム半径、周波数、継手部形成速度と、下記式1による条件を適用してアルミニウム系メッキ鋼板を接合し、レーザヘッドは、継手部形成方向と同じ方向に平行に移動しながら、レーザビームは、前記継手部形成方向に対して45゜のパターン運動を行いつつ照射したことを除き、前記実施例1と同様の方法でアルミニウム系メッキブランクを製造した。
【数3】
【0141】
(前記式1において、前記αは、0.7であり、前記fは、前記レーザビームの周波数(Hz)、前記rは、アルミニウム系メッキ鋼板の表面で測定した前記レーザビームの半径(mm)及び前記vは、前記継手部の形成速度(mm/sec)である)。
【0142】
実験例(2)継手部のアルミニウム(Al)偏析分率(%)及び引張テスト:前記実施例17~68及び比較例13~52のブランク試片をそれぞれ3個ずつ製造した後、各試片をオーステナイト単相域温度以上(Ac3以上)に加熱し、300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却した。次いで、前記各試片の継手部のアルミニウム偏析面積分率と引張テストを実施し、その結果を下記表3ないし表6に示した。具体的に、前記継手部のアルミニウム(Al)偏析の面積分率測定は、3個試片でのAl偏析面積分率の平均値で示し、前記引張試験結果は、試片に引張力を加えた後、3個の試片をいずれも前記継手部で破断が生じない場合をPass、継手部から1回以上破断が発生した場合をFailと表示したものである。
【表3】
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】
【0145】
【表6】
【0146】
前記表3ないし表6の結果を参照すれば、本発明の実施例17~68の場合、式1の条件を満足し、継手部のアルミニウム偏析面積分率が5%以下を満足し、引張テスト結果継手部で破断が発生しなかった(PASS)。しかし、本発明の条件を外れた比較例13~52の場合、本発明の式1の条件を満足していない場合、継手部のアルミニウム偏析面積分率が5%を超過し、引張テスト時、継手部で破断が発生した。また、式1を満足しても、継手部形成速度が7m/minを超過する場合、継手部形成速度が速く、レーザビームが素地鉄の内部まで十分に撹拌することができず、アルミニウム偏析が過度に発生し、引張テスト時、継手部で破断が発生した。
【0147】
実施例69~98及び比較例53~72
下記表7及び表8によるレーザビームパワー、継手部形成速度、ビーム半径、周波数を適用してアルミニウム系メッキ鋼板を接合し、レーザヘッドは、継手部形成方向と同じ方向に平行に移動しながら、レーザビームは、前記継手部形成方向に対して下記表7及び表8条件のパターン角度で照射したことを除き、前記実施例1と同様の方法でアルミニウム系メッキブランクを製造した。この際、前記パターン角度は、前記継手部が形成されるとき、前記メッキ鋼板の表面で前記継手部形成方向と前記レーザビームの移動経路がなす角度を意味する。
【0148】
実験例(3)継手部のアルミニウム(Al)偏析分率(%)、継手部境界面のアルミニウム偏析及び継手部の破断有無確認:前記実施例69~98及び比較例53~72のブランク試片をそれぞれ3個ずつ製造した後、各試片をオーステナイト単相域温度以上(Ac3以上)に加熱し、300℃以下まで10~500℃/sの冷却速度で冷却した。次いで、前記各試片の継手部のアルミニウム偏析面積分率を、継手部境界面のアルミニウム偏析発生有無と、引張テスト結果を下記表7及び表8に示した。具体的に、前記継手部のアルミニウム(Al)偏析の面積分率測定は、3個試片でのAl偏析面積分率の平均値で示し、前記引張試験結果は、試片に引張力を加えた後、3個の試片いずれも前記継手部で破断が生じない場合を×、継手部で1回以上破断が生じた場合を○と判定した。
【表7】
【0149】
【表8】
【0150】
一方、前記継手部のアルミニウム偏析の面積分率が5%以下を満足しても、前記継手部と素地鉄との境界面にアルミニウム(Al)偏析が発生する場合には、継手部、具体的に、継手部及び鋼板の境界面での破断の発生可能性が高い。前記表7及び表8の結果を参照すれば、パターン角度を45゜以上90゜未満に適用した実施例の場合、継手部のアルミニウム偏析が面積分率5%以下に形成され、継手部と素地鉄との境界面にアルミニウム(Al)偏析の発生を防止し、引張試験時の継手部の破断が防止されることが分かった。一方、45゜未満のパターン角度を適用した比較例53~72の場合、継手部境界面にアルミニウム偏析が発生して継手部の破断が発生する。
【0151】
図6は、レーザビームで接合するが、レーザビームを所定のパターン角度を適用していない従来方法で製造されたアルミニウム系ブランクの断面を示したものであり、図7は、実施例1のアルミニウム系ブランクの断面を示す光学顕微鏡写真である。前記図6及び図7を参照すれば、レーザビームを所定のパターン角度を適用していない従来方法を適用するとき、メッキ層の成分が素地鉄の成分に十分に希釈されず、継手部アルミニウム偏析の面積分率が増加したが、前記実施例1の場合、メッキ層の成分が素地鉄の成分に十分に希釈され、継手部にアルミニウム偏析発生を最小化することができた。
【0152】
図8は、実施例7のアルミニウム系ブランクのホットスタンピング成形後、部位別硬度変化を示すグラフであり、図9は、比較例5のアルミニウム系ブランクの部位別硬度変化を示すグラフである。前記図8及び図9を参照すれば、実施例7は、ホットスタンピング成形後、前記継手部30の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度以上を有したが、本発明の条件を外れた比較例5の場合、ホットスタンピング成形後、前記継手部30の最小硬度が前記素地鉄の平均硬度未満であった。
【0153】
図10は、実施例34のアルミニウム系ブランクの断面を示し、図11は、比較例28のアルミニウム系ブランクの断面を示す光学顕微鏡写真である。
【0154】
前記図10及び図11を参照すれば、実施例34のアルミニウム系ブランクは、継手部のアルミニウム偏析を最小化したが、本発明の式1の条件を外れた比較例28の場合、前記実施例34に比べて継手部のアルミニウム偏析発生が増加した。
【0155】
このように本発明は、図示された一実施例に基づいて説明したが、これは、例示的なものに過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、それから多様な変形及び実施例の変形が可能であるという点を理解するであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決定されねばならない。
図1
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図11