(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120273
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】撮像素子、および撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/704 20230101AFI20230822BHJP
H04N 23/12 20230101ALI20230822BHJP
H04N 25/10 20230101ALI20230822BHJP
H04N 25/11 20230101ALI20230822BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20230822BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20230822BHJP
【FI】
H04N25/704
H04N23/12
H04N25/10
H04N25/11
H04N25/70
H04N25/77
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096796
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2021034519の分割
【原出願日】2013-03-29
(31)【優先権主張番号】P 2012081167
(32)【優先日】2012-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】村田 寛信
(57)【要約】 (修正有)
【課題】撮像素子に焦点検出用の画素を設けることなく、撮像素子からの出力信号に基づいて画像信号の生成および位相差方式による焦点検出を行う撮像素子および撮像装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラのカメラボディにおいて、撮像素子12は、二次元状に配列した複数のマイクロレンズ40と、マイクロレンズ40毎に設けられた、異なる色成分の光を受光する複数の画素(R画素、G画素、B画素)と、を有し、複数のマイクロレンズ40のうちの隣接するマイクロレンズ40に設けられた同じ色成分の光を受光する画素が、隣接して配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1マイクロレンズを透過した光のうち第1波長の光を透過させる第1フィルタと、前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、
第2マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と、
第3マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、
第4マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第4光電変換部と、
前記第1光電変換部および前記第2光電変換部および前記第3光電変換部および前記第4光電変換部で生成された電荷の少なくとも1つを蓄積する蓄積部と、
を備える撮像素子。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像素子において、
前記蓄積部は、前記第1光電変換部および前記第2光電変換部および前記第3光電変換部および前記第4光電変換部で共有される撮像素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像素子において、
前記蓄積部に蓄積された電荷に基づく信号を出力する出力部を備え、
前記出力部は、前記第1光電変換部および前記第2光電変換部および前記第3光電変換部および前記第4光電変換部で共有される撮像素子。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像素子において、
前記出力部から出力された信号を処理する信号処理部を備える撮像素子。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像素子において、
前記信号処理部は、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路と、信号を記憶するメモリと、相関二重サンプリングを行う回路とのいずれかである撮像素子。
【請求項6】
請求項4または5に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部と前記第3光電変換部と前記第4光電変換部とが設けられる第1基板と、
前記信号処理部が設けられる第2基板と、
を備える撮像素子。
【請求項7】
請求項6に記載の撮像素子において、
前記蓄積部は前記第1基板に設けられる撮像素子。
【請求項8】
請求項6または7に記載の撮像素子において、
前記出力部は前記第1基板に設けられる撮像素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像素子において、
前記第1光電変換部と前記第2光電変換部とは行方向に並んで設けられ、
前記第1光電変換部と前記第3光電変換部とは列方向に並んで設けられ、
前記第3光電変換部と前記第4光電変換部とは行方向に並んで設けられ、
前記第2光電変換部と前記第4光電変換部とは列方向に並んで設けられる撮像素子。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の撮像素子と、
前記撮像素子から出力された信号に基づいて、画像データを生成する生成部と、
を備える撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像素子の一部に配置された複数の焦点検出専用の画素からの出力信号に基づいて、瞳分割型位相差方式による焦点検出を行う撮像装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特開2007-282109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術で焦点検出を行うには、焦点検出専用の画素が配置された位置に限られる。しかしながら、焦点検出専用の画素を増やすと、焦点検出専用の画素が配置された位置では画像信号が得られないために画質が低下してしまう。このように、従来技術では、撮像素子の出力信号に基づいて画像信号の生成に加え位相差方式による焦点検出を可能とする一方で、撮像素子の一部に焦点検出専用の画素を設けたことによる弊害が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によると、撮像素子は、第1マイクロレンズを透過した光のうち第1波長の光を透過させる第1フィルタと、前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第1光電変換部と、第2マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第2光電変換部と、第3マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第3光電変換部と、第4マイクロレンズを透過した光のうち前記第1フィルタを透過した光を光電変換して電荷を生成する第4光電変換部と、前記第1光電変換部および前記第2光電変換部および前記第3光電変換部および前記第4光電変換部で生成された電荷の少なくとも1つを蓄積する蓄積部と、を備える。
本発明の第2の態様によると、撮像装置は、第1の態様による撮像素子と、前記撮像素子から出力された信号に基づいて、画像データを生成する生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、撮像素子に焦点検出専用の画素を設けることなく、撮像素子からの出力信号に基づいて画像信号の生成および位相差方式による焦点検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。
【
図2】撮像素子における画素の配置を例示する平面図である。
【
図4】デフォーカス量を求める画素列を説明する図である。
【
図6】デフォーカス量を求める画素列を説明する図である。
【
図8】デフォーカス量を求める画素列を説明する図である。
【
図10】第1の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図11】第2の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図12】第3の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図13】第3の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図14】第3の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図15】第3の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図16】第3の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図17】撮影処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図18】変形例6の画像信号生成処理を説明する図である。
【
図20】撮像素子における回路の配置を例示する平面図である。
【
図21】(a)は撮像素子の入射面を例示する図であり、(b)は撮像素子の配線面を例示する図である。
【
図22】撮像素子と信号処理チップの接続を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるデジタルカメラの構成を例示する図である。デジタルカメラ1は、交換レンズ2とカメラボディ3から構成される。交換レンズ2は、マウント部4を介してカメラボディ3に装着される。
【0009】
交換レンズ2は、レンズ制御部5、主レンズ9、ズームレンズ8、フォーカシングレンズ7、および絞り6を含む。レンズ制御部5は、マイクロコンピュータとメモリなどで構成され、フォーカシングレンズ7と絞り6の駆動制御、絞り6の開口状態の検出、ズームレンズ8およびフォーカシングレンズ7の位置検出、後述するカメラボディ3側のボディ制御部14に対するレンズ情報の送信、ボディ制御部14からのカメラ情報の受信などを行う。
【0010】
カメラボディ3は、撮像素子12、撮像素子駆動制御部19、ボディ制御部14、液晶表示素子駆動回路15、液晶表示素子16、接眼レンズ17、および操作部材18などを含み、着脱可能なメモリカード20が装着されている。撮像素子12は、交換レンズ2の予定結像面に配置されて交換レンズ2により結像される被写体像を撮像する。
【0011】
ボディ制御部14は、マイクロコンピュータとメモリなどで構成される。ボディ制御部14は、デジタルカメラ全体の動作制御を行う。ボディ制御部14とレンズ制御部5は、マウント部4の電気接点部13を介して通信を行うように構成される。
【0012】
撮像素子駆動制御部19は、ボディ制御部14からの指示に応じて撮像素子12で必要な制御信号を生成する。液晶表示素子駆動回路15は、ボディ制御部14からの指示に応じて液晶ビューファインダー(EVF:電子ビューファインダー)を構成する液晶表示素子16を駆動する。撮影者は、接眼レンズ17を介して液晶表示素子16に表示された像を観察する。メモリカード20は、画像データなどを格納記憶する記憶媒体である。
【0013】
交換レンズ2によって撮像素子12上に結像された被写体像は、撮像素子12によって光電変換される。撮像素子12は、撮像素子駆動制御部19からの制御信号によって光電変換信号の蓄積および信号読出しのタイミング(フレームレート)が制御される。撮像素子12からの出力信号は、不図示のA/D変換部でデジタルデータに変換され、ボディ制御部14へ送られる。
【0014】
ボディ制御部14は、撮像素子12からの所定の焦点検出エリアに対応する出力信号に基づいてデフォーカス量を算出し、このデフォーカス量をレンズ制御部5へ送る。レンズ制御部5は、ボディ制御部14から受信したデフォーカス量に基づいてフォーカシングレンズ駆動量を算出し、このレンズ駆動量に基づいてフォーカシングレンズ7を不図示のモーター等で駆動して合焦位置へ移動させる。
【0015】
また、ボディ制御部14は、撮影指示後に撮像素子12から出力された信号に基づいて記録用の画像データを生成する。ボディ制御部14は、生成した画像データをメモリカード20に格納するとともに液晶表示素子駆動回路15へ送り、液晶表示素子16に再生表示させる。
【0016】
なお、カメラボディ3にはシャッターボタン、焦点検出エリアの設定部材などを含む操作部材18が設けられている。ボディ制御部14は、これらの操作部材18からの操作信号を検出し、検出結果に応じた動作(撮影処理、焦点検出エリアの設定など)の制御を行う。
【0017】
<撮像素子の説明>
本実施形態は、撮像素子12に特徴を有するので、以降は撮像素子12を中心に説明する。
図2(a)および(b)は、撮像素子12における画素の配置を例示する平面図である。ここでは、代表して10×10画素分を抜き出して図示している。各画素は略正方形にレイアウトされ、2次元状に配列されている。画素としては、赤色成分の光を受光する画素(R画素)、緑色成分の光を受光する画素(G画素)、青色成分の光を受光する画素(B画素)の3種類が設けられている。
【0018】
R画素は、赤色成分の光のみを透過させるカラーフィルタと、該カラーフィルタの背後に配置された光電変換部とから構成される。G画素は、緑色成分の光のみを透過させるカラーフィルタと、該カラーフィルタの背後に配置された光電変換部とから構成される。B画素は、青色成分の光のみを透過させるカラーフィルタと、該カラーフィルタの背後に配置された光電変換部とから構成される。
【0019】
また、撮像素子12には、交換レンズ2からの光束を効率的に4つの画素の組へ導くためのマイクロレンズ40が複数形成されている。
図2において5×5=25の円がマイクロレンズ40に対応する。マイクロレンズ40は、たとえば、その中心と光軸とが略一致する軸対称型の球面レンズあるいは非球面レンズで構成され、光入射側を凸形状として2次元状に配列されている。
【0020】
各マイクロレンズ40の背後には、一つのR画素、二つのG画素、一つのB画素が2行2列に配置される。本説明では、
図2(a)に示すように、マイクロレンズ40の背後に位置する4つの画素の組を、その配置の違いによって4通り(P1~P4)に分類する。
【0021】
マイクロレンズ40の背後において、第1の組P1では、左上にR画素、右上にG画素、左下にG画素、右下にB画素が配置される。第2の組P2では、左上にG画素、右上にR画素、左下にB画素、右下にG画素が配置される。第3の組P3では、左上にG画素、右上にB画素、左下にR画素、右下にG画素が配置される。第4の組P4では、左上にB画素、右上にG画素、左下にG画素、右下にR画素が配置される。
【0022】
第1の組P1および第2の組P2は、水平方向(X方向)に隣接し、且つ水平方向に交互に繰り返し配列される。第1の組P1および第2の組P2から形成される列を、第1列L1と呼ぶ。第3の組P3および第4の組P4は、水平方向に隣接し、且つ水平方向に交互に繰り返し配列される。第3の組P3および第4の組P4から形成される列を、第2列L2と呼ぶ。
【0023】
上記第1列L1および第2列L2は、鉛直方向(Y方向)に隣接し、且つ鉛直方向に交互に繰り返し配列される。これにより、各第1の組P1および第3の組P3は鉛直方向に隣接し、各第2の組P2および第4の組P4は鉛直方向に隣接する。
【0024】
このような配置により、マイクロレンズ40とR画素、G画素、B画素との位置関係は、以下のようになる。
【0025】
まず、R画素は、縦横に隣接する4つのマイクロレンズ40の背後において、それぞれ左上、右上、左下、右下に配置される。G画素は、縦横に隣接する4つのマイクロレンズ40の背後において、それぞれ右上および左下、左上および右下、左上および右下、右上および左下に配置される。B画素は、縦横に隣接する4つのマイクロレンズ40の背後において、それぞれ右下、左下、右上、左上に配置される。このように、R画素、G画素、B画素は、それぞれマイクロレンズ40の背後で特定の位置に偏らないように均等配置される。
【0026】
図2(b)は、
図2(a)と同様の箇所を抜き出した図である。
図2(a)に示した4つの画素の組分け(P1~P4)を縦横に1画素分ずらして見る場合、
図2(b)に示すように、R画素、G画素、B画素は、それぞれ隣接する2行2列の4画素が同色の画素となるように配置されている。
【0027】
また同色の2行2列の4画素は、それぞれ異なるマイクロレンズ40の背後に配置され、マイクロレンズ40に対する位置がそれぞれ異なる。換言すれば、異なる4つのマイクロレンズ40の背後にそれぞれ配置されたR画素、G画素、B画素は、それぞれの色ごとに2行2列に隣接するように配置される。
【0028】
上記同色2行2列の4つのR画素から構成される組50r、4つのG画素から構成される組50g、4つのB画素から構成される組50bは、4画素を1組として見る場合はベイヤー配列を形成する。
【0029】
<焦点検出処理>
次に、上述した構成の撮像素子12から焦点検出の信号を取得する例を、
図3~
図9を用いて説明する。
図3は、絞り6が開放された状態の交換レンズ2の射出瞳80を例示する図である。射出瞳80の4つの領域81~84を通過した光束は、それぞれ
図2のマイクロレンズ40の左上、右上、左下、および右下に位置する画素に入射する。各マイクロレンズ40において左上、右上、左下、および右下に位置する画素に入射する光束と、上記第1領域81、第2領域82、第3領域83、および第4領域84との対応関係は、交換レンズ2の光軸Axを対称軸として上下左右を反転したものとして考えればよい。なお、
図3は、概念を説明する図である。実際には、マイクロレンズ40を通った光が隣の組に含まれる画素へ入射して混色や解像度の低下などが生じないように構成されている。
【0030】
まず、
図4に例示するように、撮像素子12のうちG画素が水平方向(X軸方向)に並ぶ画素列90に基づいてデフォーカス量を求める場合を説明する。画素列90は、第2の組P2に含まれ、マイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)と、第1の組P1に含まれ、マイクロレンズ40の右上に位置するG画素(G-b)とから構成される。画素列90を構成する画素には、
図5に例示するように、射出瞳80上の第1領域81を介する光束Aと第2領域82を介する光束Bとが入射される。光束Aは、マイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)に入射される。光束Bは、マイクロレンズ40の右上に位置するG画素(G-b)に入射される。
【0031】
合焦時は撮像素子12に鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように異なる瞳位置に瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12上で一致する。つまり、画素列90において、光束Aを受光するG画素(G-a)から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)と、光束Bを受光するG画素(G-b)から得られる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)とは、その形状が重なる。
【0032】
一方、非合焦時は撮像素子12の手前で鮮鋭像を結ぶ状態、あるいは撮像素子12の後ろ側に鮮鋭像を結ぶ状態であるため、上記瞳分割された光束による一対の像は撮像素子12上では一致しない。この場合の光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Bによる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)は、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、互いの位置関係(ずれ方向およびずれ量)が異なる。
【0033】
ボディ制御部14は、光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Bによる信号波形(信号列b1、b2、b3、b4…)の位置関係に基づいて交換レンズ2による焦点位置の調節状態(デフォーカス量)を算出し、算出結果をカメラ情報としてレンズ制御部5へ送信する。レンズ制御部5がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ7を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子12上に鮮鋭像を結ぶようにフォーカスが調節される。
【0034】
次に、
図6に例示するように、撮像素子12のうちG画素が鉛直方向(Y軸方向)に並ぶ画素列120に基づいてデフォーカス量を求める場合を説明する。画素列120は、第2の組P2に含まれ、マイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)と、第4の組P4に含まれ、マイクロレンズ40の左下に位置するG画素(G-c)とから構成される。画素列120を構成する画素には、
図7に例示するように、射出瞳80上の第1領域81を介する光束Aと、第3領域83を介する光束Cとが入射される。光束Aはマイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)に入射される。光束Cはマイクロレンズ40の左下に位置するG画素(G-c)に入射される。
【0035】
合焦時は撮像素子12に鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように画素列120において、光束Aを受光するG画素(G-a)から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)と、光束Cを受光するG画素(G-c)から得られる信号波形(信号列c1、c2、c3、c4…)とは、その形状が重なる。
【0036】
一方、非合焦時の場合の光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Cによる信号波形(信号列c1、c2、c3、c4…)とは、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、互いの位置関係(ずれ方向およびずれ量)が異なる。
【0037】
ボディ制御部14は、光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Cによる信号波形(信号列c1、c2、c3、c4…)の位置関係に基づいて交換レンズ2による焦点位置の調節状態(デフォーカス量)を算出し、算出結果をカメラ情報としてレンズ制御部5へ送信する。レンズ制御部5がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ7を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子12上に鮮鋭像を結ぶようにフォーカスが調節される。
【0038】
さらに、
図8に例示するように、撮像素子12のうちG画素が斜め方向に並ぶ画素列150に基づいてデフォーカス量を求める場合を説明する。画素列150は、第2の組P2に含まれ、マイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)および右下に位置するG画素(G-d)と、第3の組P3に含まれ、マイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)および右下に位置するG画素(G-d)とから構成される。画素列150を構成する画素には、
図9に例示するように、射出瞳80上の第1領域81を介する光束Aと、第4領域84を介する光束Dとが入射される。光束Aはマイクロレンズ40の左上に位置するG画素(G-a)に入射される。光束Dはマイクロレンズ40の右下に位置するG画素(G-d)に入射される。
【0039】
合焦時は撮像素子12に鮮鋭像が結ばれる状態であるため、上述したように画素列150において、光束Aを受光するG画素(G-a)から得られる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)と、光束Dを受光するG画素(G-d)から得られる信号波形(信号列d1、d2、d3、d4…)とは、その形状が重なる。
【0040】
一方、非合焦時の場合の光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Dによる信号波形(信号列d1、d2、d3、d4…)は、合焦状態からのずれ(デフォーカス量)に応じて、互いの位置関係(ずれ方向およびずれ量)が異なる。
【0041】
ボディ制御部14は、光束Aによる信号波形(信号列a1、a2、a3、a4…)および光束Dによる信号波形(信号列d1、d2、d3、d4…)の位置関係に基づいて交換レンズ2による焦点位置の調節状態(デフォーカス量)を算出し、算出結果をカメラ情報としてレンズ制御部5へ送信する。レンズ制御部5がカメラ情報に基づいてフォーカシングレンズ7を光軸方向へ進退移動させると、撮像素子12上に鮮鋭像を結ぶようにフォーカスが調節される。
【0042】
<画像信号生成処理>
次に、上記撮像素子12から画像信号を取得する例を、
図10~
図16を用いて説明する。本実施形態では、上記撮像素子12からの出力信号に基づいてカラーの画像信号を生成する画像信号生成処理として、以下の3方法のいずれかを用いて行う。ボディ制御部14は、あらかじめ初期設定によって指示されている方法による画像信号生成処理を行う。
【0043】
(第1の画像信号生成処理)
図10は、第1の画像信号生成処理を説明する図である。第1の画像信号生成処理を行うボディ制御部14は、
図10(a)に示すように、同じマイクロレンズ40を介して光束を受光する4画素を1つの組200として扱う。各組200にはそれぞれ、G画素が2つ、B画素およびR画素が1つ含まれる。
【0044】
ボディ制御部14は、各組200において、R画素からの出力信号をその組200のR画像信号とし、B画素からの出力信号をその組200のB画像信号とし、2つのG画素からの出力信号の平均値をその組200のG画像信号とする。これにより、ボディ制御部14は、
図10(b)に示すように、撮像素子12に含まれる画素数の1/4画素数であるカラー画像信号(RGB)を得ることができる。ボディ制御部14は、このようにして得られたカラー画像信号を用いて記録用画像のファイルを生成する。
【0045】
このように第1の画像信号生成処理では、色信号を補間する色補間処理を行わずに、カラーの画像信号を取得することができる。
【0046】
(第2の画像信号生成処理)
図11は、第2の画像信号生成処理を説明する図である。第2の画像信号生成処理を行うボディ制御部14は、
図11(a)に示すように、隣接する同色の2行2列の4画素を1つの組210として扱う。
【0047】
ボディ制御部14は、各組210に含まれる4画素からの出力信号を加算した信号を、その組210の画像信号とする。具体的には、ボディ制御部14は、R画素の組210の場合、4つのR画素からの出力信号を加算した信号を、その組210のR画像信号とする。ボディ制御部14は、G画素の組210の場合、4つのG画素からの出力信号を加算した信号を、その組210のG画像信号とする。ボディ制御部14は、B画素の組210の場合、4つのB画素からの出力信号を加算した信号を、その組210のB画像信号とする。これにより、ボディ制御部14は、
図11(b)に示すように、撮像素子12に含まれる画素数の1/4画素数であるベイヤー配列の画像信号を得ることができる。
【0048】
ところで、マイクロレンズ40へ入射する光束の入射角によっては、マイクロレンズ40の背後に配置された4つの画素の受光量が均等にならない場合がある。たとえば、ある入射角θ1のときには、マイクロレンズ40の左上に位置する画素の受光量が大きくマイクロレンズ40の右下に位置する画素の受光量が小さくなったり、別の入射角θ2のときには、マイクロレンズ40の左上に位置する画素の受光量が小さくマイクロレンズ40の右下に位置する画素の受光量が大きくなったりする。
【0049】
第2の画像信号生成処理では、マイクロレンズ40の異なる位置(左上、右上、左下、右下)に配置された4画素(すなわち各組210に含まれる4画素)からの出力信号を加算した信号を画像信号とするようにしたので、マイクロレンズ40への光の入射角によらず適切な画像信号を生成することができる。
【0050】
ボディ制御部14はさらに、ベイヤー配列の画像信号において、隣接する組210からの信号を用いて不足する色成分を補間処理によって生成する。たとえば、G画素の組210の場合、R画像信号およびB画像信号が存在しないので、周辺の組210の信号を用いて色補間処理を行う。このようなベイヤー配列における色補間処理は公知であるので、詳細な説明は省略する。ボディ制御部14は、この色補間処理により得られたカラー画像信号(RGB)を用いて記録用画像のファイルを生成する。
【0051】
(第3の画像信号生成処理)
第3の画像信号生成処理を行うボディ制御部14は、まず、各画素において不足する色成分を補間する色補間処理を行う。
【0052】
図12は、G画像信号を補間する処理を説明する図である。ボディ制御部14は、各R画素およびB画素の位置において、その画素の最も近傍に位置する4つのG画素からの出力信号を用いてG画像信号を補間処理によって生成する。たとえば、
図12(a)の太枠で示すR画素の位置においてG画像信号を補間する場合、このR画素の最も近傍に位置する4つのG画素(G1~G4)からの出力信号を用いる。ボディ制御部14は、(αG1+βG2+γG3+δG4)/4を、該R画素のG画像信号とする。なお、α~δは、該R画素からの距離に応じた係数であり、該R画素からの距離が近いほど係数を大きくする。この場合、G画素G1およびG2の方が、G画素G3およびG4よりも該R画素に近いので、α=β>γ=δとする。
【0053】
このようにしてボディ制御部14は、R画素およびB画素の位置においてG画像信号を補間する処理を行うことで、
図12(b)に示すように、各画素30の位置においてG画像信号を得ることができる。
【0054】
図13は、R画像信号およびB画像信号を補間する処理を説明する図である。ボディ制御部14は、
図13(a)に示すように、隣接する同色の2行2列の4画素を1つの組220として扱い、4画素からの出力信号を加算した信号をその組220の画像信号とする。各組220は、
図13(b)に示すようにベイヤー配列を形成している。ボディ制御部14は、公知のベイヤー配列における色補間処理を用いて、各組220におけるR画像信号およびB画像信号の補間処理を行う。この補間処理の結果、
図14(a)に示すように各組220においてR画像信号が得られ、
図15(a)に示すように各組220においてB画像信号が得られる。
【0055】
ボディ制御部14は、各組220において補間されたR画像信号を4で除算した信号(R/4)を、各組220を構成する4つの画素におけるR画像信号とすることで、解像度を変換する。この結果、ボディ制御部14は、
図14(b)に示すように、各画素30の位置においてR画像信号を得ることができる。同様に、ボディ制御部14は、各組220において補間されたB画像信号を4で除算した信号(B/4)を、各組220を構成する4つの画素におけるB画像信号とすることで、解像度を変換する。この結果、ボディ制御部14は、
図15(b)に示すように、各画素30の位置においてB画像信号を得ることができる。
【0056】
ボディ制御部14は、上述のような色補間処理を行うことにより、
図16(a)に示すように、各画素30の位置においてRGBの画像信号を得る。そしてボディ制御部14は、各画素の位置におけるRGBの画像信号を用いて、各画素30の位置における輝度信号Yを得る。たとえば、ボディ制御部14は、0.299R+0.587G+0.114Bを、輝度信号Yとする。
【0057】
またボディ制御部14は、各画素30の位置において、R画像信号から輝度信号Yを引算した信号(R-Y)を色差信号Crとする。ボディ制御部14は、各画素30の位置において、B画像信号から輝度信号Yを引算した信号(B-Y)を色差信号Cbとする。
【0058】
この結果、ボディ制御部14は、
図16(b)に示すように、各画素30の位置において、輝度信号Yおよび色差信号Cr、Cbを得ることができる。ボディ制御部14は、このようにして得られたカラー画像信号(YCrCb)を用いて記録用画像のファイルを生成する。
【0059】
<撮影処理>
図17は、ボディ制御部14が実行する撮影処理の流れを説明するフローチャートである。ボディ制御部14は、操作部材18を構成する不図示のメインスイッチがオン操作された場合、撮像素子12に所定のフレームレートで光電変換を開始させ、画像信号に基づくスルー画像を液晶表示素子16に逐次再生表示させると共に、
図17に例示した処理を実行するプログラムを起動する。なお、スルー画像は、撮影指示前に取得するモニタ用の画像である。
【0060】
図17のステップS11において、ボディ制御部14は、撮影指示が行われたか否かを判定する。ボディ制御部14は、操作部材18を構成するレリーズボタンが押下操作されると、ステップS11を肯定判定してステップS12へ進む。ボディ制御部14は、レリーズボタンが押下操作されない場合には、ステップS11を否定判定してステップS18へ進む。
【0061】
ステップS18において、ボディ制御部14は、タイムアップか否かを判定する。ボディ制御部14は、所定時間(たとえば、5秒)を計時した場合にステップS18を肯定判定して
図17による処理を終了する。ボディ制御部14は、計時時間が所定時間に満たない場合には、ステップS18を否定判定してステップS11へ戻る。
【0062】
ステップS12において、ボディ制御部14は、AE処理およびAF処理を行う。AE処理では、上記スルー画像用の画像信号のレベルに基づいて露出演算を行い、適正露出が得られるように絞り値AVとシャッター速度TVを決定する。AF処理は、設定されている焦点検出エリアに含まれる画素列からの出力信号列に基づいて、上述した焦点検出処理を行ってフォーカス調節をする。ボディ制御部14は、以上のAE、AF処理を行うとステップS13へ進む。
【0063】
ステップS13において、ボディ制御部14は撮影処理を行ってステップS14へ進む。具体的には、上記AVに基づいて絞り6を制御し、上記TVに基づく蓄積時間で撮像素子12に記録用の光電変換を行わせる。ステップS14において、ボディ制御部14は、撮像素子12からの出力信号を用いて上述した画像信号生成処理を行い、得られた画像信号に対して所定の画像処理(階調変換処理、輪郭強調処理、ホワイトバランス調整処理など)を行う。ボディ制御部14は、画像処理を行うとステップS15へ進む。
【0064】
ステップS15において、ボディ制御部14は、液晶表示素子16に撮影画像を表示させて、ステップS16へ進む。ステップS16において、ボディ制御部14は記録用の画像ファイルを生成し、ステップS17へ進む。ステップS17において、ボディ制御部14は、画像ファイルをメモリカード20に記録して
図17による処理を終了する。
【0065】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)デジタルカメラ1は、交換レンズ2を通過した被写体光束による被写体像を撮像する撮像素子12と、撮像素子12からの出力信号に基づき、画像信号を生成するボディ制御部14と、撮像素子12からの出力信号に基づき、交換レンズ2の焦点調節状態を位相差検出方式により検出するボディ制御部14と、を備え、撮像素子12は、画素群と、画素群に被写体光束を導くように配置されたマイクロレンズ群とを有し、画素群は、互いに異なる第1、第2および第3の分光感度をそれぞれ有するR画素、B画素およびG画素が2次元状に配列され、マイクロレンズ群の各マイクロレンズ40の背後には、一つのR画素と一つのB画素と二つのG画素とが2行2列に配置され、これら4つの画素は、交換レンズ2の射出瞳80の4つの瞳領域81~84をそれぞれ通過する4つの光束A~Dをそれぞれ受光し、さらに、R画素、B画素およびG画素は、それぞれ略同一の分光感度を有する画素(すなわち同色の画素)同士で2行2列に隣接して配置され、該2行2列に隣接する4画素は、異なる4つのマイクロレンズ40の背後にそれぞれ配置され、且つマイクロレンズ40に対する位置がそれぞれ異なるように配置され、ボディ制御部14は、R画素、B画素およびG画素からの出力信号に基づいて画像信号を生成し、ボディ制御部14は、G画素からの出力信号に基づいて焦点調節状態を検出するように構成したので、撮像素子12に焦点検出専用の画素を設けることなく、撮像素子12の出力信号に基づいて画像信号の生成および位相差方式による焦点検出を行うことができる。
【0066】
(2)上記(1)のデジタルカメラ1において、R画素が赤色のカラーフィルタを有し、B画素が青色のカラーフィルタを有し、G画素が緑色のカラーフィルタを有するように構成したので、撮像素子12の出力信号から、赤緑青のカラー画像信号を取得することができる。
【0067】
(3)上記(2)のデジタルカメラ1において、画素群は、一つのマイクロレンズ40の背後に配置される2行2列の4画素の組が2次元状に配列されて形成され、該組は、画素の配置がそれぞれ異なる第1~第4の組P1~P4を有し、第1の組P1では、水平方向に隣接してR画素およびG画素が配置されると共に、鉛直方向に該R画素および該G画素にそれぞれ隣接してG画素およびB画素が配置され、第2の組P2では、水平方向に隣接してG画素およびR画素が配置されると共に、鉛直方向に該G画素および該R画素にそれぞれ隣接してB画素およびG画素が配置され、第3の組P3では、水平方向に隣接してG画素およびB画素が配置されると共に、鉛直方向に該G画素および該B画素にそれぞれ隣接してR画素およびG画素が配置され、第4の組P4では、水平方向に隣接してB画素およびG画素が配置されると共に、鉛直方向に該B画素および該G画素にそれぞれ隣接してG画素およびR画素が配置され、第1の組P1および第2の組P2は、水平方向に隣接し、且つ水平方向に交互に繰り返し配列され、第3の組P3および第4の組P4は水平方向に隣接し、且つ水平方向に交互に繰り返し配列され、第1の組P1および第2の組P2で形成される第1の列L1と第3の組P3および第4の組P4で形成される第2の列L2とは鉛直方向に隣接し、且つ鉛直方向に交互に繰り返し配列されるように構成したので、撮像素子12の出力信号に基づいて位相差方式による焦点検出を行うことができると共に、上記第1~第3の画像信号処理のいずれも行うことができる。
【0068】
(4)上記(2)または(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、2行2列で互いに隣接する4つのR画素からの出力信号を加算し、2行2列の形で隣接する4つのB画素からの出力信号を加算し、2行2列で互いに隣接する4つのG画素からの出力信号を加算することにより、ベイヤー配列の画像信号を生成する(すなわち上記第2の画像信号生成処理を行う)ように構成したので、マイクロレンズ40への光の入射角によらず適切な画像信号を生成することができる。さらに、色補間処理において、ベイヤー配列における色補間処理を行う既存の画像処理エンジンを用いることができる。
【0069】
(5)上記(1)~(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、各マイクロレンズ40の背後に配置されたR画素、B画素およびG画素からの出力信号に基づいて、各マイクロレンズ40位置における3つの色信号を取得する(すなわち上記第1の画像信号生成処理を行う)ように構成したので、色補間処理を行うことなく、カラーの画像信号を取得することができる。
【0070】
(6)上記(1)~(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、R画素、B画素、G画素の各画素位置において、他の2つの分光成分の信号を生成する色補間処理を行うことにより3つの色信号を取得し、該3つの色信号に基づいて輝度信号および色差信号を生成する(すなわち上記第3の画像信号生成処理を行う)ように構成したので、高解像度の画像信号を取得することができる。
【0071】
(7)上記(1)~(6)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、画素群のうち、略同一の分光感度を有し、且つマイクロレンズ40に対する位置が異なる一対の画素からの出力信号に基づいて、交換レンズ2の焦点調節状態を検出するように構成したので、撮像素子12からの出力信号に基づいて、適切に位相差方式により焦点調節状態を検出することができる。
【0072】
(8)上記(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、第1の組P1と第2の組P2にそれぞれ含まれるG画素からの出力信号に基づいて、水平方向において交換レンズ2の焦点調節状態を検出するように構成したので、撮像素子12からの出力信号に基づいて、撮像素子12の水平方向において適切に位相差方式により焦点調節状態を検出することができる。
【0073】
(9)上記(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、第2の組P2と第4の組P4にそれぞれ含まれるG画素からの出力信号に基づいて、鉛直方向において交換レンズ2の焦点調節状態を検出するように構成したので、撮像素子12からの出力信号に基づいて、撮像素子12の鉛直方向において適切に位相差方式により焦点調節状態を検出することができる。
【0074】
(10)上記(3)のデジタルカメラ1において、ボディ制御部14は、第2の組P2と第3の組P3にそれぞれ含まれるG画素からの出力信号に基づいて、水平方向に対して斜めの方向において交換レンズ2の焦点調節状態を検出するように構成したので、撮像素子12からの出力信号に基づいて、撮像素子12の斜め方向において適切に位相差方式により焦点調節状態を検出することができる。
【0075】
(変形例1)
上述した実施の形態では、G画素からの出力信号を用いて焦点検出処理を行うようにしたが、R画素やB画素からの出力信号を用いて焦点検出処理を行うようにしてもよい。
【0076】
変形例1のボディ制御部14は、撮像素子12からの出力信号を用いてAWB(オートホワイトバランス)評価値を求めるように構成されている。AWB評価値は、たとえば、R画素、G画素、B画素ごとの出力信号の積算値である。G画素における該積算値が低い場合、G画素からの出力信号では適切にデフォーカス量を算出できない可能性がある。そこで、変形例1のボディ制御部14は、G画素における該積算値が所定閾値以下の場合に、R画素およびB画素のうち該積算値がより大きい方を用いて上述した焦点検出処理を行う。これにより、G成分が少ない被写体を撮影する場合であっても、適切に焦点検出処理を行うことができる。
【0077】
(変形例2)
上述した実施形態では、第1~第3の画像信号生成処理のうち、あらかじめ初期設定によって指示されている処理を用いて記録用の画像信号を生成するようにしたが、これに限らなくてよい。
【0078】
たとえば、変形例2のボディ制御部14は、スルー画像を表示させる場合には、色補間処理を行わずに画像信号を生成できる第1の画像信号生成処理を選択し、選択した第1の画像信号生成処理を用いて画像信号を生成する。一方、記録用の画像については、高解像度の画像信号を生成できる第3の画像信号生成処理を選択し、選択した第3の画像信号生成処理を用いて画像信号を生成する。このように変形例2のボディ制御部14は、画像信号を生成する際に、第1、第2および第3の画像信号生成処理のいずれかを選択することにより、たとえば、リアルタイムに画像を表示したい場面で色補間処理がいらない第1の画像信号生成処理を選択し、高画質に画像を記録したい場面で第3の画像信号処理を選択するなど、生成する画像の用途に適した画像信号生成処理を選ぶことができる。
【0079】
また、ボディ制御部14は、動画像については、第1または第2の画像信号生成処理によって画像信号を生成し、静止画像については、第3の画像信号生成処理によって画像信号を生成するようにしてもよい。
【0080】
また、ボディ制御部14は、たとえば、第1および第2の画像信号生成処理を両方用いて画像信号を生成するようにしてもよい。この場合のボディ制御部14は、たとえば、第1の画像信号生成処理によって生成した画像、および第2の画像信号生成処理によって生成した画像を両方、背面の表示装置(不図示)に表示させる。ボディ制御部14は、表示させた2つの画像のうち、ユーザが操作部材18を介して選択した画像を、メモリカード20に記録する。
【0081】
(変形例3)
上述した実施の形態では、第1の組P1に含まれるG画素(G-b)と第2の組P2に含まれるG画素(G-a)とから構成される画素列90からの出力信号列に基づいて、水平方向におけるデフォーカス量を求めるようにしたが、これに限らなくてよい。第3の組P3に含まれるG画素(G-d)と第4の組P4に含まれるG画素(G-c)とから構成される画素列に基づいて水平方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよいし、該画素列と画素列90の双方に基づいて水平方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよい。
【0082】
また上述した実施の形態では、第2の組P2に含まれるG画素(G-a)と第4の組P4に含まれるG画素(G-c)とから構成される画素列120からの出力信号列に基づいて、鉛直方向におけるデフォーカス量を求めるようにしたが、これに限らなくてよい。第1の組P1に含まれるG画素(G-b)と第3の組P3に含まれるG画素(G-d)とから構成される画素列に基づいて鉛直方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよいし、該画素列と画素列120の双方に基づいて鉛直方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよい。
【0083】
また上述した実施の形態では、第2の組P2に含まれるG画素(G-a)および(G-d)と第3の組P3に含まれるG画素(G-a)および(G-d)とから構成される画素列150からの出力信号列に基づいて、斜め方向におけるデフォーカス量を求めるようにしたが、これに限らなくてよい。第1の組P1に含まれるG画素(G-b)および(G-c)と第4の組P4に含まれるG画素(G-b)および(G-c)とから構成される画素列に基づいて斜め方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよいし、該画素列と画素列150の双方に基づいて斜め方向におけるデフォーカス量を求めるようにしてもよい。
【0084】
(変形例4)
上述した実施の形態では、撮像素子12に、原色系(RGB)のカラーフィルタを用いる場合について説明したが、補色系(CMY)のカラーフィルタを用いるようにしてもよい。
【0085】
(変形例5)
上述した実施の形態では、カメラボディ3に交換レンズ2が装着される構成のデジタルカメラ1に本発明を適用するようにしたが、これに限らなくてもよい。たとえば、レンズ一体型のデジタルカメラにも本発明を適用することができる。
【0086】
(変形例6)
上述した実施の形態の第3の画像信号生成処理では、各R画素およびB画素の位置において、その画素の最も近傍に位置する4つのG画素(G1~G4)からの出力信号を用いるようにした(
図12)が、これに限らなくてもよい。たとえば、
図18(a)に示すように、補間対象画素に対して水平方向または垂直方向に位置し、且つ近傍の4つのG画素(G5~G8)からの出力信号を用いるようにしてもよい。この場合のボディ制御部14は、(aG5+bG6+cG7+dG8)/4を、補間対象画素のG画像信号とする。なお、a~dは、補間対象画素からの距離に応じた係数であり、補間対象画素からの距離が近いほど係数を大きくする。
図18(a)の場合は、a=b>c=dとする。
【0087】
また、
図18(b)に示すように、補間対象画素に対して水平方向または垂直方向に1画素を挟んで隣接する4つのG画素(G9~G12)からの出力信号を用いるようにしてもよい。この場合のボディ制御部14は、補間対象画素からの距離が4つのG画素において等しいので、(G9+G10+G11+G12)/4を、補間対象画素のG画像信号とする。こうすることにより、係数による重みづけの演算が省略できる分、演算を容易にすることができる。
【0088】
また、
図12に示した補間処理と、
図18(a)および(b)に示した補間処理とを組み合わせてもよいし、演算量や補間精度に応じて選択するようにしてもよい。
【0089】
(変形例7)
上述した実施の形態の撮像素子12は、裏面照射型(BSI: Backside Illumination)で構成されていてもよい。この場合の撮像素子12の構成について、以下説明する。
【0090】
図19は、変形例7の撮像素子12における回路構成を例示する図である。変形例7の撮像素子12では、隣接する同色2行2列の4つの画素を1組として回路が構成されているため、
図19ではその1組の回路構成を例示する。
【0091】
4つの画素にそれぞれ対応する4つのフォトダイオードPD(PD1~PD4)は、それぞれに対応する4つの転送トランジスタTX(TX1~TX4)の各ソースにそれぞれ接続される。各転送トランジスタTX1~TX4の各ゲートは、転送トランジスタTX1~TX4をオン/オフするための転送パルス信号が供給される制御線Cn1~Cn4にそれぞれ接続される。各転送トランジスタTX1~TX4のドレインは、共通接続されてリセットトランジスタRTのソースに接続される。リセットトランジスタRTのゲートは、リセットトランジスタRTをオン/オフするためのリセットパルス信号が供給される制御線Cn5に接続される。各転送トランジスタTX1~TX4のドレインとリセットトランジスタRTのソース間のいわゆるフローティングディフュージョンFDは、ソースフォロワアンプトランジスタSFのゲートに接続される。ソースフォロワアンプトランジスタSFのドレインは、選択トランジスタSのソースに接続される。選択トランジスタSのゲートは、選択トランジスタSをオン/オフするための選択パルス信号が供給される制御線Cn6に接続される。選択トランジスタSのドレインは、出力線Outに接続される。
【0092】
4つのフォトダイオードPD1~PD4は、それぞれに対応して設けられたカラーフィルタを透過した光を光電変換して信号電荷を生成する。4つのフォトダイオードPD1~PD4により生成された信号電荷は、それぞれに対応する転送トランジスタTX1~TX4を介してフローティングディフュージョンFDに転送される。フローティングディフュージョンFDは、ソースフォロワアンプトランジスタSFのゲートに接続されているため、選択トランジスタSがオンしていれば、フローティングディフュージョンFDの電位に対応した信号が、ソースフォロワアンプトランジスタSFにより増幅されて選択トランジスタSを介して出力線Outに出力される。リセットトランジスタRTは、フローティングディフュージョンFDの信号電荷を排出してリセットする。
【0093】
なお、4つのフォトダイオードPD1~PD4で、フローティングディフュージョンFD、ソースフォロワアンプトランジスタSF、選択トランジスタSおよびリセットトランジスタRTを共有するので、撮像素子12は、1つのフォトダイオードPDごとの信号を出力することもできるし、4つのフォトダイオードPD1~PD4からの信号を加算した信号を出力することもできる。
【0094】
図20(a)および(b)は、撮像素子12における、上述した回路の配置を例示する図である。
図20(a)では、代表して8×8画素分を抜き出して図示している。また、
図20(b)は、
図20(a)における一つのマイクロレンズ40(2×2画素分)に対応する部分を拡大した図である。
図20に示すように、フローティングディフュージョンFD、ソースフォロワアンプトランジスタSF、選択トランジスタSおよびリセットトランジスタRTは、1つのマイクロレンズ40内で隣接する2行2列の4つの画素で共有されるのではなく、隣接する同色の2行2列の4つの画素で共有される。したがって、撮像素子12からは、1画素ずつ信号を読み出すこともできるし、隣接する同色2行2列の4画素を加算した信号を読み出すこともできる。ゆえに、後述する第1の画像信号生成処理においてマイクロレンズ40ごとのRGB信号を読み出す際には、撮像素子12から1画素ずつ信号を読み出せばよい。また、後述する第2の画像信号生成処理において、隣接する同色2行2列の4つの画素を1つの画素として扱う場合には、撮像素子12から隣接する同色2行2列の4画素を加算した信号を読み出せばよい。
【0095】
また、裏面照射型の撮像素子12では、基板表面側に配線層が設けられ、この配線層と反対側の基板裏面側にフォトダイオードPDが設けられ、基板裏面側から光が入射される。したがって
図20では、説明のため、マイクロレンズ40およびRGBのカラーフィルタと回路構成(配線)とが両方見えるように図示したが、実際には、
図21(a)に示すように、光の入射面(基板裏面)側から撮像素子12を見るとマイクロレンズ40およびRGBのカラーフィルタは見えるが回路(配線)は見えず、
図21(b)に示すように、光の入射面と反対側(基板表面側)から撮像素子12を見ると、回路(配線)は見えるがマイクロレンズ40およびRGBのカラーフィルタは見えない構成となっている。裏面照射型の撮像素子12では、従来の表面照射型の撮像素子に比べてフォトダイオードPDの開口が拡がるので光の損失を少なくでき、画像を高感度に撮像することができると共に、後述する焦点検出処理の精度を向上することができる。
【0096】
また、変形例7の撮像素子(イメージセンサチップ)12は、接合部材(例えばマイクロバンプなど)60を介して信号処理(DSP)チップ70と接続される積層構造とすることができる。
図22は、この撮像素子12と信号処理チップ70の接続を説明する概念図である。撮像素子12と信号処理チップ70とは上下に積層されて構成され、多数の接合部材60を介して接続される。接合部材60は、例えば、撮像素子12の上述した隣接する同色2行2列の4つの画素の組ごとに設けられる。なお、
図22では、説明のため、1つの接合部材60に対応する部分のみを図示している。
【0097】
信号処理チップ70は、撮像素子12からの出力をうけて信号処理を行うチップであり、相関二重サンプリング(CDS)・アナログ/デジタル(A/D)変換を行う回路71などを含む。なお、信号処理チップ70には、メモリや演算回路が設けられていてもよい。
【0098】
撮像素子12のフォトダイオードPD1~PD4から出力された信号は、接合部材60を介して信号処理チップ70の回路71に入力され、回路71により相関二重サンプリング(CDS)、アナログ/デジタル変換される。
【0099】
(変形例8)
上述した実施の形態の撮像素子12は、表面照射型の撮像素子で構成されてもよい。
【0100】
(変形例9)
上述した実施の形態の撮像素子(イメージセンサチップ)12は、信号処理チップ70と1チップで形成されていてもよい。
【0101】
以上の説明はあくまで一例であり、上記の実施形態の構成に何ら限定されるものではない。また、上記実施形態に各変形例の構成を適宜組み合わせてもかまわない。
【0102】
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特許出願2012年第081167号(2012年3月30日出願)