(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023121794
(43)【公開日】2023-08-31
(54)【発明の名称】アクセサリ
(51)【国際特許分類】
G03B 17/14 20210101AFI20230824BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230824BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230824BHJP
H04N 23/66 20230101ALI20230824BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B17/56 Z
H04N23/50
H04N23/66
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104616
(22)【出願日】2023-06-27
(62)【分割の表示】P 2022033762の分割
【原出願日】2017-10-26
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】船岡 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】安夛 清
(72)【発明者】
【氏名】杉山 英昭
(57)【要約】
【課題】カメラボディと安定した通信を行うことができるアクセサリを提供する。
【解決手段】アクセサリは、第1クロック信号を出力するカメラ側第1クロック端子と、第1データ信号を出力するカメラ側第1データ端子と、第3データ信号が入力されるカメラ側第3データ端子とを有するカメラボディに取り付けられるアクセサリであって、前記アクセサリは、前記カメラ側第1クロック端子と接触する第8端子と、前記カメラ側第1データ端子と接触する第7端子と、前記カメラ側第3データ端子と接触する第9端子とを有し、前記第8端子は、前記第7端子と前記第9端子との間に配置される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号を出力するカメラ側第1クロック端子と、第1データ信号を出力するカメラ側第1データ端子と、第3データ信号が入力されるカメラ側第3データ端子とを有するカメラボディに取り付けられるアクセサリであって、
前記アクセサリは、
前記カメラ側第1クロック端子と接触する第8端子と、
前記カメラ側第1データ端子と接触する第7端子と、
前記カメラ側第3データ端子と接触する第9端子とを有し、
前記第8端子は、前記第7端子と前記第9端子との間に配置されるアクセサリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラボディに着脱可能なアクセサリが知られている(例えば特許文献1)。従来から、カメラボディにアクセサリを適正に使用可能な状態で装着する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によると、アクセサリは、第1クロック信号を出力するカメラ側第1クロック端子と、第1データ信号を出力するカメラ側第1データ端子と、第3データ信号が入力されるカメラ側第3データ端子とを有するカメラボディに取り付けられるアクセサリであって、前記アクセサリは、前記カメラ側第1クロック端子と接触する第8端子と、前記カメラ側第1データ端子と接触する第7端子と、前記カメラ側第3データ端子と接触する第9端子とを有し、前記第8端子は、前記第7端子と前記第9端子との間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図2】カメラボディと交換レンズとの間の電気的接続を模式的に示す回路図
【
図3】コマンドデータ通信の例を示すタイミングチャート
【
図4】ホットライン通信の例を示すタイミングチャート
【
図5】交換レンズ側から見たカメラボディのマウント面を模式的に示す正面図
【
図6】カメラボディ側から見た交換レンズのマウント面を模式的に示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0006】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るカメラシステム1の構成の概略を示す図である。カメラシステム1は、カメラボディ2と、カメラボディ2に着脱可能なアクセサリの例として交換レンズ3とを含む。
【0007】
交換レンズ3は、レンズ側マウント31、レンズ側端子保持部32、レンズ側制御部33、レンズ側通信部34、レンズ側記憶部35、撮像光学系36、および駆動部37を有する。レンズ側マウント31およびレンズ側端子保持部32については後に詳述する。
【0008】
レンズ側制御部33は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。レンズ側通信部34は、カメラボディ2との間で、後述するデータ通信を行う。レンズ側通信部34は、レンズ側端子保持部32に設けられたレンズ側端子群(後述)とレンズ側制御部33とに接続される。レンズ側記憶部35は不揮発性の記憶媒体である。レンズ側記憶部35は、レンズ側制御部33に接続される。レンズ側記憶部35には、レンズ側制御部33が実行する所定の制御プログラム等が予め記憶される。レンズ側制御部33は、レンズ側記憶部35から制御プログラムを読み込んでプログラムを実行することにより、交換レンズ3の制御を行う。
【0009】
撮像光学系36は、後述する撮像素子27の撮像面に被写体像を結像させる。撮像光学系36の光軸Oは、レンズ側マウント31および後述するボディ側マウント21の中心位置とほぼ一致する。
図1の撮像光学系36は、概略的にレンズ36a、フォーカスレンズ36b、およびレンズ36cを含む。フォーカスレンズ36bは、被写体像の結像位置を調節するレンズである。駆動部37は、レンズ側制御部33に接続され、不図示のアクチュエータ等を有する。駆動部37は、このアクチュエータ等により、フォーカスレンズ36bを光軸方向(+Z方向、-Z方向)に駆動する。
【0010】
カメラボディ2は、ボディ側マウント21、ボディ側端子保持部22、ボディ側制御部23、ボディ側通信部24、ボディ側記憶部25、給電部26、撮像素子27、および後述するロックピンの状態を検出するスイッチ28を有する。
【0011】
ボディ側制御部23は、マイクロコンピュータおよびその周辺回路等から構成される。尚、ボディ側制御部23は、ボディの種々の制御を行うが、本件では通信に関する部分のみ記載し、それ以外の機能については省略する。ボディ側通信部24は、交換レンズ3との間で、後述するデータ通信を行う。ボディ側通信部24は、ボディ側端子保持部22に設けられたボディ側端子(後述)とボディ側制御部23とに接続される。なお、ボディ側端子保持部22の一部の端子は、後述するようにボディ側制御部23に接続される。ボディ側記憶部25は不揮発性の記憶媒体である。ボディ側記憶部25は、ボディ側制御部23に接続される。ボディ側記憶部25には、ボディ側制御部23が実行する所定の制御プログラム等が予め記憶される。ボディ側制御部23は、ボディ側記憶部25から制御プログラムを読み込んでプログラムを実行することにより、カメラボディ2の制御を行う。
【0012】
給電部26は電源を有し、カメラボディ2内および交換レンズ3に対して電力の供給を行う。給電部26は、ボディ側端子保持部22に設けられたボディ側端子群(後述)とボディ側制御部23とに接続される。撮像素子27は、例えばCCDやCMOS等の固体撮像素子である。撮像素子27は、ボディ側制御部23に接続され、被写体を撮像して撮像信号を出力する。出力された撮像信号の処理については説明を省略する。
【0013】
図2は、カメラボディ2と交換レンズ3との間の電気的接続を模式的に示す回路図である。ボディ側端子保持部22は、LDET(B)端子、VBAT(B)端子、PGND(B)端子、V33(B)端子、GND(B)端子、RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、HCLK(B)端子、およびHDATA(B)端子を有する。これら計11個のボディ側端子をボディ側端子群と総称する。
【0014】
LDET(B)端子は、交換レンズ3の着脱検知に用いられる端子である。LDET(B)端子は、抵抗R2を介してボディ側制御部23に接続される。抵抗R2とボディ側制御部23との間には、抵抗R1を介して給電部26から供給される電源V33が接続され、LDET(B)端子がプルアップされる。
【0015】
VBAT(B)端子、PGND(B)端子、V33(B)端子、GND(B)端子は、給電部26に接続される電源系の端子である。
図2において、供給される電力の方向を矢印で示す。VBAT(B)端子は、交換レンズ3への電力供給に用いられる端子である。VBAT(B)端子を介して供給された電力により、交換レンズ3の駆動部37が駆動される。駆動部37の動作には、レンズ側制御部33よりも大きな電圧および大きな電流が必要であり、給電部26がVBAT(B)端子に印加する電圧は、最大で10V程度である。以下の説明において、給電部26がVBAT(B)端子に印加する電圧を、駆動系電圧と称する。PGND(B)端子は、VBAT(B)端子に対応する接地端子である。
【0016】
V33(B)端子は、交換レンズ3への電力供給に用いられる端子である。V33(B)端子を介して給電部26より供給された電力により、レンズ側制御部33などを動作させる。レンズ側制御部33などの各部は、駆動部37に比べて小さな電圧および小さな電流で動作する。給電部26がV33(B)端子に印加する電圧は、最大で3.3V程度である。以下の説明において、給電部26がV33(B)端子に印加する電圧を、回路系電圧と称する。GND(B)端子は、V33(B)端子に対応する接地端子である。
【0017】
RDY(B)端子は、ボディ側通信部24に接続される。DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子、HCLK(B)端子、HDATA(B)端子は、ボディ側通信部24に接続される通信系の端子である。RDY(B)端子、DATAB(B)端子、CLK(B)端子、DATAL(B)端子は、後述するコマンドデータ通信に用いられる。また、HCLK(B)端子、HDATA(B)端子は、ボディ側通信部24に接続され後述するホットライン通信に用いられる。
図2において、信号の流れを矢印で示す。RDY(B)端子の電位により、交換レンズ3がコマンドデータ通信可能か否かが示される。DATAB(B)端子は、交換レンズ3に向けてデータ信号が出力される端子である。CLK(B)端子は、交換レンズ3に向けてクロック信号が出力される端子である。
【0018】
DATAL(B)端子は、交換レンズ3からのデータ信号が入力される端子である。
【0019】
HCLK(B)端子は、交換レンズ3からのクロック信号が入力される端子である。HDATA(B)端子は、交換レンズ3からのデータ信号が入力される端子である。
【0020】
レンズ側端子保持部32は、LDET(L)端子、VBAT(L)端子、PGND(L)端子、V33(L)端子、GND(L)端子、RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子、HCLK(L)端子、およびHDATA(L)端子を有する。これら計11個のレンズ側端子をレンズ側端子群と総称する。カメラボディ2に交換レンズ3を装着すると、
図2において破線で示したように、ボディ側端子とレンズ側端子とが電気的に接続される。具体的には、LDET(B)端子にはLDET(L)端子が接続され、VBAT(B)端子にはVBAT(L)端子が接続され、PGND(B)端子にはPGND(L)端子が接続され、V33(B)端子にはV33(L)端子が接続され、GND(B)端子にはGND(L)端子が接続され、RDY(B)端子にはRDY(L)端子が接続され、DATAB(B)端子にはDATAB(L)端子が接続され、CLK(B)端子にはCLK(L)端子が接続され、DATAL(B)端子にはDATAL(L)端子が接続され、HCLK(B)端子にはHCLK(L)端子が接続され、HDATA(B)端子にはHDATA(L)端子が接続される。個々のレンズ側端子の役割については、それぞれ接触するボディ側端子の役割と同一であるので、説明を省略する。
【0021】
LDET(L)端子は、抵抗R3を介して接地されている。LDET(L)端子がLDET(B)と接触すると、LDET(B)端子の電位はプルダウンされる。VBAT(L)端子とPGND(L)端子は、駆動部37に接続される。VBAT(L)端子およびPGND(L)端子の間には、いわゆるバイパスコンデンサC1が接続される。V33(L)端子およびGND(L)端子は、レンズ側制御部33などの各部に接続される。V33(L)端子およびGND(L)端子の間には、バイパスコンデンサC2が接続される。RDY(L)端子、DATAB(L)端子、CLK(L)端子、DATAL(L)端子、HCLK(L)端子、HDATA(L)端子は、それぞれレンズ側通信部34に接続される。
【0022】
(コマンドデータ通信の説明)
ボディ側制御部23からの制御指令(コマンド)を交換レンズ3のレンズ側制御部33へ送信した後、ボディ側制御部23からの制御内容(制御データ)とレンズ側制御部33からの応答内容(応答データ)とを並行して送受信する通信をコマンドデータ通信と呼ぶ。コマンドデータ通信は全二重通信である。コマンドデータ通信は、ボディ側通信部24およびレンズ側通信部34を介してRDY(B)端子、RDY(L)端子、DATAB(B)端子、DATAB(L)端子、CLK(B)端子、CLK(L)端子、DATAL(B)端子、およびDATAL(L)端子を用いたデジタルデータ通信により行う。
【0023】
ボディ側制御部23は、ボディ側通信部24およびレンズ側通信部34を介して、コマンドデータ通信により交換レンズ3に種々の制御指令、制御内容を送信し、交換レンズ3から応答内容を受信することにより交換レンズ3との間で種々の情報を送受信する。ここでいう制御指令とは、例えばレンズ情報の送信指令である。交換レンズ3から受信する種々の情報とは、例えば交換レンズ3の機種情報、撮像光学系36の焦点距離等の光学特性を示す情報などである。交換レンズ3に送信される種々の情報とは、例えばレンズの駆動量などの制御内容やカメラボディ2の機種情報などである。なお、制御指令には、フォーカスレンズ36bの駆動指令なども含まれる。レンズ側制御部33は、コマンドデータ通信によって、ボディ側制御部23から種々の制御指令を受信したり、ボディ側制御部23から種々の情報を取得したり、ボディ側制御部23に種々の情報を送信したりする。
【0024】
図3は、コマンドデータ通信のタイミングを示すタイミングチャートの例である。ボディ側制御部23は、コマンドデータ通信の開始時(T1)に、まずRDY(B)端子の信号レベルを確認する。RDY(B)端子の信号レベルはレンズ側制御部33のコマンドデータ通信の可否を表している。レンズ側制御部33は、コマンドデータ通信を行えない状態である場合には、RDY(L)端子の信号レベル(電位)をハイレベル(Hレベル)にする。レンズ側制御部33は、コマンドデータ通信を行える状態である場合には、レンズ側通信部34を介してRDY(L)端子の信号レベル(電位)をローレベル(Lレベル)にする。
【0025】
コマンドデータ通信の開始時(T1)に、RDY(B)端子の信号レベルがローレベル(Lレベル)であれば、ボディ側制御部23はボディ側通信部24を介してCLK(B)端子からクロック信号401を出力する。すなわち、ボディ側制御部23はCLK(B)端子およびCLK(L)端子を介してレンズ側制御部33にクロック信号401を送信する。
図3のクロック信号401のハイレベルとローレベルとを繰り返す周波数は、例えば8MHzである。ボディ側制御部23はクロック信号401に同期して、DATAB(B)端子から制御指令であるボディ側コマンド信号402を出力する。すなわち、ボディ側制御部23はDATAB(B)端子およびDATAB(L)端子を介してレンズ側制御部33にボディ側コマンド信号402を送信する。
図3のDATABのハイレベルとローレベルの切り替えで示されるボディ側コマンド信号402は、コマンドデータ通信によりボディ側制御部23がレンズ側制御部33に指示する制御を表す信号である。例えば、ボディ側コマンド信号402は、交換レンズ3の機種情報を要求することを表す信号や、フォーカスレンズ36bの駆動を指示することを表す信号である。
【0026】
レンズ側制御部33はレンズ側通信部34経由でボディ側コマンド信号402を受信すると、ボディ側コマンド信号402に含まれているエラー検出符号(例えばチェックサムデータなど)を用いて、ボディ側コマンド信号402の通信エラーの有無を検査する検査処理を実行する。その後、レンズ側制御部33はRDY(L)端子の信号レベルをハイレベル(Hレベル)にする(T2)。ボディ側制御部23は、RDY(B)端子の信号レベルがハイレベルである場合、ボディ側コマンド信号402の送信を行わない。
レンズ側制御部33は、受信したボディ側コマンド信号402の指示に基づいて第1制御処理404を開始する。
【0027】
レンズ側制御部33は、第1制御処理404が完了すると、レンズ側通信部34を介してRDY(L)端子の信号レベルをローレベル(Lレベル)にする(T3)。ボディ側制御部23は、RDY(B)端子の信号レベルがローレベルになると、CLK(B)端子からクロック信号405を出力する。すなわち、ボディ側制御部23はCLK(B)端子およびCLK(L)端子を介してレンズ側制御部33にクロック信号405を送信する。
また、ボディ側制御部23は、RDY(B)端子の信号レベルがハイレベルである場合、ボディ側データ信号406,レンズ側データ信号407の送受信を行わない。
【0028】
ボディ側制御部23はクロック信号405に同期して、ボディ側通信部24を介してDATAB(B)端子からボディ側データ信号406を出力する。すなわち、ボディ側制御部23は、DATAB(B)端子およびDATAB(L)端子を介してレンズ側制御部33にボディ側データ信号406を送信する。ボディ側データ信号406は、ボディ側コマンド信号402の制御パラメータを表す信号である。例えば、ボディ側コマンド信号402がフォーカスレンズ36bの駆動を指示することを表す信号であった場合、対応するボディ側データ信号406はフォーカスレンズ36bの駆動量を表す信号である。あるいは、ボディ側データ信号406は、コマンドデータ通信においてレンズ側制御部33が必要とする情報(カメラボディの機種情報など)を表す信号である。
【0029】
また、CLK(L)端子にクロック信号405が入力されると、レンズ側制御部33はクロック信号405に同期してレンズ側データ信号407をDATAL(L)端子から出力する。
図3のDATALのハイレベルとローレベルの切り替えで示されるレンズ側データ信号407は、コマンドデータ通信によりレンズ側制御部33がボディ側制御部23に送信する信号である。例えば、ボディ側コマンド信号402が交換レンズ3の機種情報を要求することを表す信号であった場合、対応するレンズ側データ信号407は交換レンズ3の機種情報を表す信号である。
【0030】
レンズ側制御部33は、レンズ側データ信号407の送信が完了すると、RDY(L)端子の信号レベルを再びハイレベルにする(T4)。レンズ側制御部33は、受信したボディ側データ信号406の指示に基づいて第2制御処理408(後述)を開始する。
【0031】
ここで、レンズ側制御部33が行う第1制御処理404および第2制御処理408について述べる。例えば、受信したボディ側コマンド信号402が、交換レンズ3の特定の情報を要求する内容である場合について述べる。レンズ側制御部33は、第1制御処理404として、要求されている情報をレンズ側データ信号407として生成する処理を実行する。第1制御処理404で生成されたレンズ側データ信号407は、レンズ側通信部34、DATAL(L)端子、DATAL(B)端子およびボディ側通信部24を介してボディ側制御部23に送信される。
【0032】
例えば、受信したボディ側コマンド信号402が、フォーカスレンズ36bの駆動を指示することを表す信号である場合について述べる。レンズ側制御部33は、第1制御処理404として、フォーカスレンズ36bの駆動を指示することを表す信号を受信したことを表す信号を生成する処理を実行する。第1制御処理404で生成された信号は、レンズ側データ信号407として、レンズ側通信部34、DATAL(L)端子、DATAL(B)端子およびボディ側通信部24を介してボディ側制御部23に送信される。レンズ側制御部33は、第2制御処理408として、ボディ側データ信号406で指定された駆動量だけ駆動させる処理を実行する。
【0033】
レンズ側制御部33は第2制御処理408が完了すると、レンズ側通信部34を介してRDY(L)端子をローレベルにする(T5)。
【0034】
上述したタイミングT1~T5に行われた通信が、1回のコマンドデータ通信である。1回のコマンドデータ通信では、ボディ側制御部23により、ボディ側コマンド信号402およびボディ側データ信号406が送信される。すなわち、ボディ側コマンド信号402およびボディ側データ信号406を合わせて1つの制御データを構成する。
【0035】
以上のように、レンズ側制御部33は、ボディ側制御部23からの制御データの受信と、ボディ側通信部24への応答データの送信とを並行して行う。つまり、コマンドデータ通信は、いわゆる全二重方式の通信である。
【0036】
(ホットライン通信の説明)
もう1つの通信系統として、交換レンズ3のレンズ側制御部33からカメラボディ2のボディ側制御部23へデータを一方向に送信する通信があり、これをホットライン通信と呼ぶ。ホットライン通信は、ボディ側制御部23とレンズ側制御部33とが、ボディ側通信部24およびレンズ側通信部34を介してHCLK(B)端子、HCLK(L)端子、HDATA(B)端子、およびHDATA(L)端子を用いて行うデータ通信である。ボディ側制御部23は、ホットライン通信によって、交換レンズ3のレンズ側制御部33から交換レンズ3の状態に関する情報を取得する。交換レンズ3の状態に関する情報とは、例えばフォーカスレンズ36bの位置や、不図示の手振れ補正用レンズの位置、絞りの位置などである。なお、手振れ補正用レンズは、光軸方向に垂直な方向の成分を含むように移動(駆動)可能な部材であり、絞りは、光束の通過する開口の大きさを変更するように移動(駆動)可能な部材である。このホットライン通信は、カメラボディから通信開始の指示がコマンドデータ通信を介して送信されると、通信終了の指示が送られてくるまでコマンドデータ通信とは無関係に(独立して)レンズ側制御部33が自律してボディ側制御部23へレンズデータを送信する通信である。
【0037】
図4は、ホットライン通信のタイミングを示すタイミングチャートの例である。レンズ側制御部33は、ホットライン通信の開始のコマンドをカメラボディのボディ側制御部23からコマンドデータ通信によって受信すると(T6)、生成処理501を行う。生成処理501は、例えば1ミリ秒のサンプリング周期でレンズの状態を取得し、ホットライン通信のためのレンズ信号503を生成する処理である。レンズ信号503の生成が完了すると(T7)、レンズ側制御部33は、クロック信号502をレンズ側通信部34を介してHCLK(L)端子から出力する。すなわち、HCLK(L)端子およびHCLK(B)端子を介してボディ側制御部23にクロック信号502を送信する。
図4のクロック信号502のハイレベルとローレベルとを繰り返す周波数は、例えば8MHz~20MHzである。つまり、ホットライン通信のクロック信号502の周波数は、コマンドデータ通信のクロック信号401の周波数と同じ程度か、より高い。
【0038】
レンズ側制御部33は、生成処理501で生成されたレンズ信号503(例えばフォーカスレンズ36bの位置に関する情報)をレンズ側通信部34を介してクロック信号502に同期してHDATA(L)端子から出力する。すなわち、レンズ側制御部33は、レンズ側通信部34、HDATA(L)端子、HDATA(B)端子およびボディ側通信部24を介してボディ側制御部23にレンズ信号503を送信する。
図4のHDATAのハイレベルとローレベルの切り替えで示されるレンズ信号503は、ホットライン通信によりレンズ側制御部33がボディ側制御部23に送信する信号である。クロック信号502およびレンズ信号503はタイミングT8で出力を終了する。
レンズ側制御部33は、コマンドデータ通信によってレンズ信号503の送信停止指示を受け取るまで一定期間(例えば1ミリ秒)ごとにホットライン通信によるレンズデータの送信を繰り返す。
【0039】
コマンドデータ通信とホットライン通信は、一部ないし全部を並行して実行することが可能である。すなわち、ボディ側制御部23およびレンズ側制御部33は、コマンドデータ通信を行っているときにホットライン通信を開始することも終了することもできる。また、ホットライン通信を行っているときにコマンドデータ通信を開始することも終了することも可能である。
【0040】
以上説明したように、ホットライン通信はコマンド通信と独立して通信が行われる。レンズ側制御部33は、コマンド通信とは無関係にホットライン通信により交換レンズ3の状態に関する情報をボディ側制御部23に送信する。そのためボディ側制御部23は、コマンド通信中であっても交換レンズ3の状態を継続的に把握することができる。このため、ボディ側制御部23はフォーカスレンズ36bの位置を継続的に把握できるので、例えば高速にオートフォーカスを制御することができる。手振れ補正制御や絞り制御も同様である。
また、ボディ側制御部23は、レンズ側制御部33がホットライン通信を行っている間であっても交換レンズ3への種々の指示を任意のタイミングでコマンド通信により行うことができる。
【0041】
(レンズマウント機構の説明)
本実施の形態のカメラシステム1は、いわゆるバヨネット式のレンズマウント機構を備える。以下、カメラボディ2が有するボディ側マウント21および交換レンズ3が有するレンズ側マウント31について順に説明する。
【0042】
図5(a)は、交換レンズ3側から見たカメラボディ2のマウントを模式的に示す図である。カメラボディ2は、
図1で前述したボディ側マウント21およびボディ側端子保持部22を備える。ボディ側マウント21は、一定の幅を有する環状の基準面を有する。さらにボディ側マウント21は、ボディ側第1爪部29a、ボディ側第2爪部29b、ボディ側第3爪部29c、およびボディ側第4爪部29dを有する。以下の説明において、これら4つの爪部をボディ側爪部29と総称する。
【0043】
ボディ側爪部29は、ボディ側マウント21の円形の開口に沿って、互いに間隔を置いて配置される。
図5(a)に示すように、ボディ側第1爪部29aは右上の位置に、ボディ側第2爪部29bは左上の位置に、ボディ側第3爪部29cは左下の位置に、ボディ側第4爪部29dは右下の位置に、それぞれ配置される。
【0044】
ボディ側第1爪部29a~ボディ側第4爪部29dの円周方向の長さは、それぞれ異なっている。具体的には、ボディ側第1爪部29aが最も長く、ボディ側第3爪部29cが2番目に長く、ボディ側第4爪部29dが3番目に長く、ボディ側第2爪部29bが最も短い。
【0045】
ボディ側爪部29は、ボディ側マウント21から開口の中央に向かって突出し、開口の円周上には、ボディ側爪部29が存在する部分とボディ側爪部29が存在しない部分とがある。以下の説明において、ボディ側マウント21の開口の円周上における、ボディ側第1爪部29aとボディ側第4爪部29dとの間の空間40aをボディ側第1挿抜部40aと称する。同様に、ボディ側第1爪部29aとボディ側第2爪部29bとの間の空間40bをボディ側第2挿抜部40bと、ボディ側第2爪部29bとボディ側第3爪部29cとの間の空間40cをボディ側第3挿抜部40cと、ボディ側第3爪部29cとボディ側第4爪部29dとの間の空間40dをボディ側第4挿抜部40dと、それぞれ称する。これら4つのボディ側挿抜部をボディ側挿抜部40と総称する。
【0046】
ボディ側マウント21の開口の内側には、ボディ側端子保持部22が設けられる。ボディ側端子保持部22は、環状のボディ側マウント21の形状に対応する円弧状の形状を有する。ボディ側端子保持部22は、ボディ側マウント21の開口に並行して、ボディ側マウント21の開口の上部に配置され、
図5(a)に示すように上部の中央に配置するのが好ましい。ボディ側端子保持部22は、上述したように複数のボディ側端子を有する。複数のボディ側端子は、ボディ側端子保持部22に、ボディ側マウント21の内側に一列に並べて円弧状に配置される。複数のボディ側端子は、
図5(a)に示すように右側からHDATA(B)、HCLK(B)、DATAL(B)、CLK(B)、DATAB(B)、RDY(B)、GND(B)、V33(B)、PGND(B)、VBAT(B)、最も左側にLDET(B)の11個の端子が配置される。ボディ側端子群は、それぞれ導電性のピンである。ボディ側端子群は、不図示のバネ等により、―Z方向(
図1)に向かって押されている。―Z方向とはすなわち、カメラに装着される交換レンズ3に向かう方向であり、被写体の方向である。
【0047】
ボディ側マウント21は、ロックピン42が貫通する孔を有する。ロックピン42が貫通する孔は、ボディ側第4爪部29dの右上に配置される。つまり、ボディ側マウント21の環状の基準面において、ロックピン42の孔は、ボディ側マウント21の開口内にボディ側第4爪部29dが存在する領域とボディ側第1爪部29aが存在する領域との間に配置される。ロックピン42は、不図示のバネ等により、―Z方向(
図1)に向かって押されている。
【0048】
図5(b)は、ボディ側マウント21を取り外したカメラボディ2のマウントを交換レンズ3側からみた模式図である。ボディ側第1爪部29aと対応した位置(ボディ側第1爪部29aの裏側)には、第1板バネ41aが設けられる。同様に、ボディ側第2爪部29bと対応した位置(ボディ側第2爪部29bの裏側)には、第2板バネ41bが設けられ、ボディ側第3爪部29cと対応した位置(ボディ側第3爪部29cの裏側)には、第3板バネ41cが設けられ、ボディ側第4爪部29dと対応した位置(ボディ側第4爪部29dの裏側)には、第4板バネ41dが設けられる。以下の説明において、これら4つの板バネを板バネ41と総称する。板バネ41は、後述するレンズ側爪部を+Z方向(カメラボディ2側)に押し付ける。
【0049】
図6は、カメラボディ2側から見た交換レンズ3のマウントを模式的に示す図である。交換レンズ3は、
図1で前述したレンズ側マウント31およびレンズ側端子保持部32を備える。レンズ側マウント31は、一定の幅を有する環状の基準面を有する。カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際に、レンズ側マウント31の環状の基準面は前述したボディ側マウント21の環状の基準面と接触する。さらにレンズ側マウント31は、その内周に光軸方向に伸びた円筒部を有する。レンズ側マウント31は、その円筒部の外周に沿って互いに間隔を置いてレンズ側第1爪部39a、レンズ側第2爪部39b、レンズ側第3爪部39c、およびレンズ側第4爪部39dを有する。以下の説明において、これら4つの爪部をレンズ側爪部39と総称する。
【0050】
レンズ側爪部39は、レンズ側マウント31の円筒部の外周からマウント外側(光軸Oから放射方向)に向かって突出する方向に設けられる。
図6に示すように、レンズ側第1爪部39aは左上の位置に、レンズ側第2爪部39bは右上の位置に、レンズ側第3爪部39cは右下の位置に、レンズ側第4爪部39dは左下の位置に、それぞれ配置される。レンズ側爪部39の後ろ側(レンズ側マウント31の基準面側)には、カメラボディ2に交換レンズ3を装着した際にそれぞれ対応するボディ側爪部29が入り込むための空間が存在する。
【0051】
レンズ側マウント31の開口の内側には、レンズ側端子保持部32が設けられる。レンズ側端子保持部32は、環状のレンズ側マウント31の形状に対応する円弧状の形状を有する。レンズ側端子保持部32は、レンズ側マウント31の開口に並行して、レンズ側マウント31の上部に配置され、
図6に示すように上部の中央に配置するのが好ましい。レンズ側端子保持部32は、上述したように複数のレンズ側端子を有する。複数のレンズ側端子は、レンズ側端子保持部32に、レンズ側マウント31の内側に一列に並べて円弧状に配置される。複数のレンズ側端子は、
図6に示すように右側からLDET(L)、VBAT(L)、PGND(L)、V33(L)、GND(L)、RDY(L)、DATAB(L)、CLK(L)、DATAL(L)、HCLK(L)、HDATA(L)の11個の端子が配置される。レンズ側端子群は、それぞれ導電性の接触面が+Z方向(
図1)に向かって露出するように配置される。+Z方向とはすなわち、撮像光学系36を通過した被写体光が撮像素子27へ向かう方向である。
【0052】
レンズ側マウント31は、ロックピン受部43を有する。ロックピン受部43は、
図6に示すようにレンズ側第4爪部39dの左上に配置される。つまり、ロックピン受部43は、レンズ側マウント31のうちレンズ側第1爪部39aに対応する部分とレンズ側第4爪部39dに対応する部分の間に配置されている。ロックピン受部43は、交換レンズ3をカメラボディ2に装着した際にロックピン42が収まる溝である。この溝は、-Z方向(
図1)に向かって設けられている。
【0053】
カメラボディ2に交換レンズ3が装着されると、複数のボディ側端子がそれぞれ対応する複数のレンズ側端子に物理的に接触する。この接触により、複数のボディ側端子と複数のレンズ側端子とが電気的に接続される。すなわち、複数のボディ側端子と複数のレンズ側端子とが電気的に導通する。
【0054】
(交換レンズの装着)
カメラボディ2への交換レンズ3の装着方法について説明する。交換レンズ3をカメラボディ2に取り付ける際、まずボディ側マウント21とレンズ側マウント31とを対向させ、レンズ側第1爪部39aをボディ側第1挿抜部40aの位置に合わせ、レンズ側第2爪部39bをボディ側第2挿抜部40bの位置に合わせ、レンズ側第3爪部39cをボディ側第3挿抜部40cの位置に合わせ、レンズ側第4爪部39dをボディ側第4挿抜部40dの位置に合わせる。そして、レンズ側第1爪部39aをボディ側第1挿抜部40aに挿入し、レンズ側第2爪部39bをボディ側第2挿抜部40bに挿入し、レンズ側第3爪部39cをボディ側第3挿抜部40cに挿入し、レンズ側第4爪部39dをボディ側第4挿抜部40dに挿入する。このとき、LDET(L)端子がCLK(B)端子に、VBAT(L)端子がDATAL(B)端子に、PGND(L)端子がHCLK(B)端子に、V33(L)端子がHDATA(B)端子にそれぞれ接触する。
【0055】
その状態から、交換レンズ3を
図5および
図6に示す装着方向44に回転させる。すなわち、ボディ側第1爪部29aがレンズ側第1爪部39aの裏側の空間に進入し、ボディ側第2爪部29bがレンズ側第2爪部39bの裏側の空間に進入し、ボディ側第3爪部29cがレンズ側第3爪部39cの裏側の空間に進入し、ボディ側第4爪部29dがレンズ側第4爪部39dの裏側の空間に進入する。このとき、複数のレンズ側端子は、複数のボディ側端子と順に接触していく。なお、交換レンズ3ではなくカメラボディ2を
図5および
図6に示す装着方向44とは逆方向に回転させてもよい。
【0056】
レンズ側爪部39をそれぞれ対応するボディ側挿抜部40に挿入し、装着方向44に回転させると、例えばLDET(L)端子は、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子、GND(B)端子、V33(B)端子、PGND(B)端子、VBAT(B)端子、LDET(B)端子に順に接触する。例えばVBAT(L)端子は、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子、GND(B)端子、V33(B)端子、PGND(B)端子、VBAT(B)端子に順に接触する。例えばPGND(L)端子はHCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子、GND(B)端子、V33(B)端子、PGND(B)端子に順に接触する。例えばV33(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子、GND(B)端子、V33(B)端子に順に接触する。例えばGND(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子、GND(B)端子に順に接触する。
【0057】
例えばRDY(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子、RDY(B)端子に順に接触する。例えばDATAB(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(L)端子に順に接触する。例えばCLK(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子、CLK(B)端子に順に接触する。例えばDATAL(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子、DATAL(B)端子に順に接触する。例えばHCLK(L)端子はHDATA(B)端子、HCLK(B)端子に順に接触する。
【0058】
交換レンズ3をカメラボディ2に対して所定の角度だけ回転させると装着完了位置に到達する。装着完了位置では対応するボディ側爪部29とレンズ側爪部39が光軸方向に対向し、ロックピン42が
図1の-Z方向に押されてロックピン受部43に進入する。ロックピン42がロックピン受部43に進入すると、交換レンズ3はカメラボディ2に対して取り外すための回転はできない。つまり、ボディ側爪部29およびレンズ側爪部39が所定の装着完了位置に到達すると、ボディ側マウント21とレンズ側マウント31との相対位置が固定される。レンズ側爪部39は板バネ41によってボディ側(
図1の+Z方向)に押される。これにより複数のレンズ側端子の各々は、それぞれ対応する複数のボディ側端子の各々に接触し、電気的に接続される。
【0059】
以下の説明において、ボディ側爪部29およびレンズ側爪部39が所定の装着完了位置に到達した状態を、装着完了状態と呼ぶ。レンズ側爪部39をボディ側挿抜部40に挿入した位置から装着完了位置の直前まで回転している途中の状態、もしくは装着完了位置の直前から挿入位置まで回転している途中の状態を装着中状態と呼ぶ。
【0060】
装着中状態のとき、LDET(B)端子の信号レベルはプルアップされており、ハイレベルである。ボディ側制御部23は、LDET(B)端子の信号レベルがハイレベルであることが検出されているとき、交換レンズ3が装着されていないと判断する。ボディ側制御部23は、交換レンズ3が装着されていないとき、給電部26に対してVBAT(B)端子およびV33(B)端子への電力供給を行わせない。
【0061】
装着完了状態のとき、上述(
図2)した様にLDET(B)端子の信号レベルはローレベルにプルダウンされる。ボディ側制御部23は、LDET(B)端子の信号レベルがローレベルになったことが検出されると、交換レンズ3が装着されたと判断する。また、装着完了状態ではロックピン42がロックピン受部43に進入して、ロックピン42に連動するスイッチ28(
図1)がオンされる。ボディ側制御部23は、LDET(B)端子の信号レベルがローレベルになったことおよびスイッチ28がオンされたことを検出すると、給電部26にV33(B)端子への電力供給を開始させる。なお、カメラボディ2はスイッチ28を必ずしも備えなくともよい。スイッチ28を備えていない場合は、LDET(B)端子の信号レベルがローレベルになったことを検出した時点で給電部26にV33(B)端子への給電を開始させるようにすればよい。
【0062】
V33(B)端子への電力供給が開始されると、V33(L)端子をとおして交換レンズ3のレンズ側制御部33への電源が供給され、レンズ側制御部33が動作を開始する。動作を開始したレンズ側制御部33は、ボディ側制御部23との間でコマンドデータ通信による初期通信を許可する。レンズ側制御部33が初期通信を許可した後に、ボディ側制御部23は初期通信を開始する。初期通信にはレンズ側制御部33によるVBAT(L)端子への電源供給を要求する信号が含まれる。VBAT(L)端子への電源供給を要求する信号がレンズ側制御部33からボディ側制御部23に送信されると、ボディ側制御部23はVBAT(B)端子への電源を供給し、カメラボディ2と交換レンズ3との間の初期化処理が行われる。初期化処理では、撮影動作や焦点調節動作など、カメラシステム1の種々の動作に必要な情報をカメラボディ2と交換レンズ3との間で交換したり、交換レンズのレンズ位置を基準位置に移動したりする。
【0063】
装着完了状態のときに、ユーザがカメラボディの不図示のロック解除ボタンを押下すると、ロックピン42がロックピン受部43から退避する。これにより、ボディ側マウント21とレンズ側マウント31との相対位置を変化させられるようになる。ボディ側制御部23は、ユーザが不図示のロック解除ボタンを押下するとロック解除ボタンに連動したスイッチ28がオフし、給電部26にVBAT(B)端子およびV33(B)端子への電力供給を停止させる。その状態から、交換レンズ3を
図5および
図6に示す装着方向44とは逆の方向に回転させると、複数のレンズ側端子は、前述とは逆の順序で複数のボディ側端子と接触していく。
【0064】
なお、ロック解除ボタンの操作に連動して電力供給を停止しなくてもよい。この場合、ボディ側制御部23は、交換レンズ3の装着方向44とは逆方向の回転によりLDET(L)端子とLDET(B)端子が離れ、LDET(B)端子の信号レベルがローレベルからハイレベルに変化したことを検知したときに、給電部26にVBAT(B)端子およびV33(B)端子への電力供給を停止させる。このようにすることで、カメラシステム1の部品点数を削減することができる。また、ロック解除ボタンが押下され、かつLDET(B)端子の信号レベルがローレベルからハイレベルに変化したことの両方を検知したときに、給電部26にVBAT(B)端子およびV33(B)端子への電力供給を停止させてもよい。あるいは、ロック解除ボタンが押下されるか、LDET(B)端子の信号レベルがローレベルからハイレベルに変化したことのいずれか一方を検知したときに、ボディ側制御部23は給電部26にVBAT(B)端子およびV33(B)端子への電力供給を停止させてもよい。
【0065】
以上で説明したように、交換レンズのカメラボディへの取り付け中および取り外し中(装着中状態)に、レンズ側端子が、取付け完了時に対応すべき端子以外のボディ側端子と接触してしまう。レンズ側端子およびボディ側端子の配列は、この取付け中および取り外し中での接触により生じる不具合が少ないことが望ましい。
【0066】
(ノイズを考慮した端子配置)
本実施の形態では、複数のボディ側端子のうちLDET(B)端子をレンズの装着方向(
図5(a)の矢印44)の最先端に配置した。すなわちLDET(B)端子の配置位置は上述したように
図5(a)におけるボディ側端子群の最も左側である。複数のレンズ側端子のうちLDET(L)端子も同様にレンズの装着方向(
図6の矢印44)の最先端に配置した。すなわちLDET(L)端子の配置位置は上述したように
図6におけるレンズ側端子群の最も右側である。従って、装着レンズの装着が完了するまでLDET(B)端子はLDET(L)端子以外のレンズ側端子と接触しない。それ故に、交換レンズの装着過程においてLDET(B)端子の信号レベルが誤ってローレベルになることがなく、レンズ装着を誤って認識することがない。
【0067】
本実施の形態では、VBAT(B)端子を、LDET(B)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から2番目に配置した。VBAT(L)端子を、LDET(L)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から2番目に配置した。このようにしたのは、レンズの装着過程においてカメラボディ側のVBAT(B)端子が接触するレンズ側の端子を少なくするためである。VBAT(B)端子に印加される電圧は他の端子よりも高電圧なので、カメラシステム1の故障などによりVBAT(B)端子に誤って高電圧がかかる状況下でVBAT(B)端子がVBAT(L)端子以外の端子と接触してしまうと、この高電圧が交換レンズ内の電気回路に予期せぬ負荷を掛けるおそれがある。本実施の形態では、VBAT(B)端子がLDET(B)端子の隣に位置しているので、交換レンズ3の装着中、VBAT(B)端子には、複数のレンズ側端子のうち、唯一LDET(L)端子のみが接触する。
図2に示した通り、LDET(L)端子は抵抗R3を介して接地されており、万一VBAT(B)端子から高電圧が印加されてもカメラシステム1に影響を及ぼさない。
【0068】
本実施の形態では、VBAT(B)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から3番目にPGND(B)端子を配置した。PGND(L)端子を、VBAT(L)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から3番目に配置した。VBAT(L)端子に接続されているコンデンサC1には、VBAT(B)端子から供給された高電圧が電荷蓄積される。交換レンズ3を取り外し方向に回転すると、VBAT(L)端子は、最初にPGND(B)端子に接触する。コンデンサC1に蓄積された電荷は、接地端子であるPGND(B)端子から速やかに排出され、カメラシステム1の他の回路に影響を及ぼすことはない。
【0069】
本実施の形態では、PGND(B)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から4番目にV33(B)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から5番目にGND(B)端子を配置した。PGND(L)端子の隣、すなわち装着方向の最先端から4番目にV33(L)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から5番目にGND(L)端子を配置した。V33(L)端子に接続されているコンデンサC2には、V33(B)端子から供給された電圧が電荷蓄積される。交換レンズ3を取り外し方向に回転すると、V33(L)端子は、最初にGND(B)端子に接触する。コンデンサC2に蓄積された電荷は、接地端子であるGND(B)端子から速やかに排出され、カメラシステム1の他の回路に影響を及ぼすことはない。
【0070】
GND(B)端子の隣、すなわち最先端から6番目にRDY(B)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から7番目にDATAB(B)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から8番目にCLK(B)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から9番目にDATAL(B)端子を配置し、さらにその隣、すなわち最先端から10番目にHCLK(B)端子を配置し、その隣である最後端にHDATA(B)端子を配置した。
【0071】
GND(L)端子の隣、すなわち最先端から6番目にRDY(L)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から7番目にDATAB(L)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から8番目にCLK(L)端子を配置し、その隣、すなわち最先端から9番目にDATAL(L)端子を配置し、さらにその隣、すなわち最先端から10番目にHCLK(L)端子を配置し、その隣である最後端にHDATA(L)端子を配置した。
【0072】
次に、各ボディ側端子と各レンズ側端子とで構成される通信ラインが及ぼすノイズの影響について記載する。ホットライン通信は、通信開始後はボディに対して一方的に情報を送信する通信であり、高頻度に(ごく短い周期で繰り返し)行われる。ホットライン通信時は、HCLK(L)端子からHCLK(B)端子にクロック信号が送られる。クロック信号はハイレベルとローレベルとを短い周期で繰り返す信号であるため、他の信号に対して大きなノイズ源となりうる。更に、HCLK(L)端子からHCLK(B)端子に送信されるクロック信号は交換レンズ3から出力される信号であるため、そのクロック信号に誤ってノイズが乗ってもカメラボディ2側はそのノイズを認識することができない。このように、HCLK端子を流れる信号は、カメラボディ2にとってノイズ源となる可能性もあり、カメラシステム1の誤動作の原因になるおそれがある。誤動作の例としては交換レンズの装着の誤検出やコマンド通信の可否を間違えることなどが挙げられる。本実施の形態では、HCLK端子は高電圧のかかるVBAT端子から離れた位置に配置した。また、HCLK端子をコマンド通信の可否を示すために用いられるRDY端子に隣接しないように離して配置した。
【0073】
また、HCLK端子の両隣には、HDATA端子およびDATAL端子を配置した。このようにすることで、HCLK端子のノイズがHDATA端子およびDATAL端子以外に及ぼす影響を抑えることができる。
【0074】
次に、コマンドデータ通信は、上述したようにボディと交換レンズ間で双方向に情報を送受信する通信である。コマンドデータ通信時は、CLK(B)端子からCLK(L)端子にクロック信号が送られる。CLK端子で送信されるクロック信号も前述した理由と同じくノイズ源になりうる。従って、本実施の形態では、CLK端子は高電圧のかかるVBAT端子から離れた位置に配置した。また、CLK端子をコマンド通信の可否を示すために用いられるRDY端子に隣接しないように離して配置した。また、HCLK端子とCLK端子とを隣接させると、一方のクロック信号が他のクロック信号に影響を及ぼしノイズ源となりうる。本実施の形態では、CLK端子とHCLK端子との間にDATAL端子を配置した。また、CLK端子とRDY端子との間にDATAB端子を配置した。すなわちCLK端子の両側にはDATAL端子およびDATAB端子を配置した。このようにしたので、CLK端子に起因するノイズのカメラシステムへの影響を抑えることができる。
【0075】
また上述したように、コマンドデータ通信を行うにはRDY端子のレベルを判別する必要がある。すなわちRDY端子の信号レベルはコマンドデータの通信可否を表すため、ノイズによる撮影動作への影響が大きい。ここで、コマンドデータを通信できない状態であるにも関わらず、ノイズにより通信可能な状態であるとボディ側制御部23が誤認識した場合を考える。この場合、レンズ側制御部33はコマンドデータを受信できないが、ボディ側制御部23はコマンドデータを送信し、そのコマンドデータに則った制御が交換レンズで行われるとボディ側制御部23は誤認識する。しかし、レンズ側制御部33はコマンドデータを受け付けられないため、誤送信されたコマンドデータに則った制御が行われることはない。したがって、カメラシステム1の動作に支障が生じる。そのため、RDY端子の信号にノイズが乗らないようにする必要がある。RDY端子の信号にノイズが乗らないようにするためにRDY端子の両隣には比較的安定した信号、すなわち単位時間当たりの信号レベルの変化が少ない信号が流れる端子を配置することが望ましい。本実施の形態では、RDY端子の両隣には、GND端子およびDATAB端子を配置した。GND端子は接地電位の端子であるため安定しており、DATAB端子もCLK端子やHCLK端子に比べて安定した信号が流れる端子である。このようにしたので、RDY端子の信号が受けるノイズの影響を抑えることができる。
【0076】
次に、VBAT(B)端子からVBAT(L)端子へ供給される電力は、交換レンズ3の駆動部37のアクチュエータ(例えばステッピングモータ等)の駆動に使用される。従って、VBAT端子に流れる電流は、そのアクチュエータが駆動しているときと駆動していないときとで大きく変動する。このような電流の変動は他の端子に流れる信号に対するノイズ源になる。本実施の形態では、VBAT端子をコマンドデータ通信に用いられるRDY端子、DATAB端子、CLK端子、DATAL端子、およびホットライン通信に用いられるHCLK端子とHDATA端子から離れた位置に配置した。さらに、VBAT端子とこれらの通信に用いられる端子との間に、GND端子、V33端子、およびPGND端子を配置した。これにより、VBAT端子を流れる電流の変動に起因するノイズがデータ通信に及ぼす影響が抑えられる。
【0077】
以上説明したノイズを考慮した端子配置についてここでまとめる。
RDY端子は、ノイズ源となるVBAT端子とHCLK端子のいずれとも隣接しないように離して配置した。これにより、コマンド通信の可否を示すために用いられるRDY端子へのノイズによる影響を抑えられる。
ノイズ源となるHCLK端子をHDATA端子とDATAL端子とで挟み、CLK端子をDATAL端子とDATAB端子とで挟んだ。すなわち、装着方向の後端から順にHDATA端子、HCLK端子、DATAL端子、CLK端子、DATAB端子と配置した。これにより、RDY端子などへのクロック信号に起因するノイズによる影響を抑えられる。
さらに、ノイズの影響を考慮してRDY端子を挟んで電源供給用の端子群と通信に用いる端子群とを離して配置した。詳述すると、RDY端子を挟んで装着方向の先端側に電源供給用の端子であるVBAT端子、PGND端子、V33端子、GND端子を先端側から順に配置し、装着方向の後端側に通信に用いる端子であるDATAB端子、CLK端子、DATAL端子、HCLK端子、HDATA端子を先端側から順に配置した。これによりVBAT端子などの電源供給系端子群およびHCLK端子やCLK端子などの通信に用いる端子群のRDY端子に及ぼすノイズの影響を抑えることができる。
【0078】
ホットライン通信に用いられるクロック信号が送られるHCLK端子とコマンドデータ通信に用いられるクロック信号が送られるCLK端子とでは、HCLK端子をCLK端子よりもVBAT端子から離れた位置に配置した。これは、CLK端子で交換レンズへ送られるクロック信号はボディ側通信部24を介してボディ側制御部23が出力するが、交換レンズからレンズ側通信部34経由でHCLK(L)端子を介してカメラボディに送られるクロック信号にノイズが乗るとボディ側制御部23は誤認識するためHCLK端子のクロック信号に乗るノイズの方がカメラシステム1に及ぼす影響が大きいからである。
HCLK端子とGND端子とでは、HCLK端子をGND端子よりもVBAT端子から離れた位置に配置した。さらに、GND端子とVBAT端子との間にはPGND端子を配置した。これにより、ホットライン通信に用いられるクロック信号が送られるHCLK端子へのVBAT端子に起因するノイズをシールドすることができる。
CLK端子とGND端子とでは、CLK端子をGND端子よりもVBAT端子から離れた位置に配置した。さらに、GND端子とVBAT端子との間にはPGND端子を配置した。これにより、コマンドデータ通信に用いられるクロック信号が送られるCLK端子へのVBAT端子に起因するノイズをシールドすることができる。
【0079】
(摩耗を考慮した端子配置)
これより、カメラボディ2に交換レンズ3を着脱する際の各端子の接触について記載する。
交換レンズ3をカメラボディ2に取り付ける際、ボディ側端子はレンズ側端子に次々に接触する。カメラボディ2から交換レンズ3を取り外す際も同様である。つまり、ボディ側端子保持部22から突出したピンであるボディ側端子と、露出した導電性の接触面であるレンズ側端子とが次々と擦り合わされる。一つのカメラボディに対して複数の交換レンズが着脱されるため、レンズ側端子に比べてボディ側端子の方がより摩耗しやすい。特に、交換レンズ3の装着方向の後端側に位置するボディ側端子ほど、より多数のレンズ側端子に擦りつけられ、多く摩擦する。従って、後端側に位置するボディ端子ほど先端側に位置するボディ側端子よりもピンの先端の摩耗が進み易い。ボディ側端子の摩耗はレンズ側端子との接触性に影響するので、データ通信が不安定になるおそれがある。
本実施の形態では、LDET(B)端子を装着方向の最も先端に配置したので、LDET(B)端子の摩耗は最も少ない。これにより、LDET(B)端子とLDET(L)端子とは良好に接触し、交換レンズ3の着脱を誤検知する可能性は少ない。
【0080】
前述したように、本実施の形態では、通信へのノイズの影響を抑止するため、CLK(B)端子やHCLK(B)端子をVBAT(B)端子から離れた位置に配置した。つまり、VBAT(B)端子は装着方向の先端側から2番目に配置し、CLK(B)端子やHCLK(B)端子はVBAT(B)端子から離れた後端側に配置した。従って、CLK(B)端子やHCLK(B)端子は、LDET(B)端子やVBAT(B)端子に比べて摩耗が多くなる。本実施の形態では、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子をボディ側第1爪部29aのすぐ傍に配置した。すなわち、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子を、VBAT(B)端子よりもボディ側第1爪部29aの内周縁に近い位置に配置した。換言すると、CLK(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離はVBAT(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離よりも短く、またHCLK(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離はVBAT(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離よりも短い。上述したようにボディ側第1爪部29aの裏側には第1板バネ41aがあり、第1板バネ41aによりレンズ側第1爪部39aを+Z方向(
図1)に押し付ける。第1板バネ41aの観点で見ても、CLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離、および、HCLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離は、いずれも、VBAT(B)端子と第1板バネ41aとの距離よりも短い。またLDET(B)端子もVBAT(B)端子と同様であり、CLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離、およびHCLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離は、いずれもLDET(B)端子と第1板バネ41aとの距離よりも短い。このようにしたので、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子は、VBAT(B)端子およびLDET(B)端子よりもレンズ側端子に強く押しつけられる。
【0081】
レンズ側においても、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子を、VBAT(L)端子よりもレンズ側第1爪部39aの内周縁に近い位置に配置した。換言すると、CLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離はVBAT(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離よりも短く、またHCLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離はVBAT(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離よりも短い。それゆえ、レンズ側第1爪部39aの傍にあるCLK(L)端子およびHCLK(L)端子は装着完了状態で第1板バネ41aによりそれぞれ対応するボディ側端子に押し付けられる。またLDET(L)端子もVBAT(L)端子と同様であり、装着完了状態でCLK(L)端子と第1板バネ41aとの距離、およびHCLK(L)端子と第1板バネ41aとの距離は、いずれもLDET(L)端子と第1板バネ41aとの距離よりも短い。このようにしたのでCLK(L)端子およびHCLK(L)端子は、装着完了状態でLDET(L)端子よりもボディ側端子に押しつける力がより強く働く。これによりCLK(B)端子やHCLK(B)端子が摩耗しても良好な接触を維持でき、クロック信号が安定し、安定したデータ通信が行える。また例えば、装着完了状態を維持したままカメラボディ2や交換レンズ3に衝撃が加わっても、CLK(B)端子とCLK(L)端子との接触およびHCLK(B)端子とHCLK(L)端子との接触は保たれる。
【0082】
仮にレンズ側第1爪部39aの一部を切り欠いた場合であっても、ボディ側第1爪部29aに対向する領域に配置される突出部および切り欠いた部分を合わせた全体をレンズ側第1爪部とする。切り欠き方としては、レンズ側爪部を円周方向に2以上に分割するように切り欠いてもよく、レンズ側爪部の一部を欠くように切り欠いてもよく、レンズ側爪部の少なくとも一部を径方向の長さが短くなるように切り欠いてもよい。また、レンズ側爪部の円周方向の長さは、対応するボディ側挿抜部を通過する範囲で変更してもよい。レンズ側第2爪部39b、レンズ側第3爪部39c、レンズ側第4爪部39dも同様である。また、円筒部の径方向の厚さは適宜変更可能であり、本実施形態の円筒部より内側に少なくとも一部が突出する形状であってもよい。
【0083】
上述したように、CLK(B)端子やHCLK(B)端子は、LDET(B)端子およびVBAT(B)端子に比べて摩耗が多くなる。本実施の形態では、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子をボディ側第1爪部29aのすぐ傍に配置した。すなわち、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子を、LDET(B)端子やVBAT(B)端子よりもボディ側第1爪部29aの内周縁に近い位置に配置した。換言すると、CLK(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離はLDET(B)端子やVBAT(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離よりも短く、またHCLK(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離はLDET(B)端子やVBAT(B)端子とボディ側第1爪部29aの内周縁との距離よりも短い。上述したようにボディ側第1爪部29aの裏側には第1板バネ41aがあり、第1板バネ41aによりレンズ側第1爪部39aを+Z方向(
図1)に押し付ける。第1板バネ41aの観点で見ても、CLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離、および、HCLK(B)端子と第1板バネ41aとの距離は、いずれも、LDET(B)端子やVBAT(B)端子と第1板バネ41aとの距離よりも短い。
【0084】
レンズ側においても、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子を、LDET(L)端子やVBAT(L)端子よりもレンズ側第1爪部39aの内周縁に近い位置に配置した。換言すると、CLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離はLDET(L)端子やVBAT(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離よりも短く、またHCLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離はLDET(L)端子やVBAT(L)端子とレンズ側第1爪部39aの内周縁との距離よりも短い。それゆえ、レンズ側第1爪部39aの傍にあるCLK(L)端子およびHCLK(L)端子は第1板バネ41aによりそれぞれ対応するボディ側端子に押し付けられる。このようにしたので、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子は、LDET(B)端子やVBAT(B)端子よりもレンズ側端子に強く押しつけられる。これによりCLK(B)端子やHCLK(B)端子が摩耗しても良好な接触を維持でき、安定した通信を行える。また例えば、装着完了状態を維持したままカメラボディ2や交換レンズ3に衝撃が加わっても、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子とレンズ側端子との接触は保たれる。
【0085】
本実施の形態では、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子はボディ側第4爪部29dの近くでもある。すなわち、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子を、VBAT(B)端子やLDET(B)端子よりもボディ側第4爪部29dに近い位置に配置した。換言すると、CLK(B)端子とボディ側第4爪部29dとの距離はVBAT(B)端子またはLDET(B)端子とボディ側第4爪部29dとの距離よりも短く、またHCLK(B)端子とボディ側第4爪部29dとの距離はVBAT(B)端子またはLDET(B)端子とボディ側第4爪部29dとの距離よりも短い。上述したようにボディ側第4爪部29dの裏側には第4板バネ41dがあり、第4板バネ41dによりレンズ側第4爪部39dを+Z方向(
図1)に押し付ける。それゆえ、レンズ側第4爪部39dの近くにあるCLK(B)端子およびHCLK(B)端子は第4板バネ41dによりVBAT(B)端子やLDET(B)端子よりも安定してレンズ側端子に強く押し付けられる。
【0086】
前述したCLK(B)端子とボディ側第1爪部29a(ボディ側第4爪部29dも同様であるが、以下では省略する)との距離とは、ボディ側第1爪部29aの一端とCLK(B)端子との直線距離のことであり、ボディ側第1爪部29aの他端とCLK(B)端子との直線距離で規定してもよい。もしくは、前述したCLK(B)端子とボディ側第1爪部29aとの距離とは、ボディ側マウント21の円周方向におけるボディ側第1爪部29aの中間の位置と、CLK(B)端子との直線距離で規定してもよい。HCLK(B)端子、VBAT(B)端子、LDET(B)端子など、他のボディ側端子とボディ側第1爪部29aとの距離も同様に直線距離である。第1板バネ41a(第4板バネ41d)とボディ側端子との距離も同様に直線距離である。
【0087】
なお、前述したCLK(B)端子とボディ側第1爪部29a(ボディ側第4爪部29dも同様であるが、以下では省略する)との距離は、ボディ側マウント21の円周方向におけるボディ側第1爪部29aの一端とCLK(B)端子との円弧状の距離と規定してもよいし、ボディ側第1爪部29aの他端とCLK(B)端子との円弧状の距離と規定してもよい。もしくは、前述したCLK(B)端子とボディ側第1爪部29aとの距離とは、ボディ側マウント21の円周方向におけるボディ側第1爪部29aの中間の位置と、CLK(B)端子との円弧状の距離と規定してもよい。HCLK(B)端子やVBAT(B)端子やLDET(B)端子など、他のボディ側端子とボディ側第1爪部29aとの距離も同様に円弧状の距離である。第1板バネ41a(第4板バネ41d)とボディ側端子との距離も同様に円弧状の距離である。
【0088】
以上はカメラボディ2について記載したが、交換レンズ3についても同様である。本実施の形態では、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子をレンズ側第1爪部39aのすぐ傍に配置した。すなわちCLK(L)端子およびHCLK(L)端子を、VBAT(L)端子およびLDET(L)端子よりもレンズ側第1爪部39aに近い位置に配置した。換言すると、CLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aとの距離はVBAT(L)端子またはLDET(L)端子とレンズ側第1爪部39aとの距離よりも短く、またHCLK(L)端子とレンズ側第1爪部39aとの距離はVBAT(L)端子またはLDET(L)端子とレンズ側第1爪部39aとの距離よりも短い。レンズ側第1爪部39aはボディ側の第1板バネ41aにより+Z方向(
図1)に押し付けられる。それゆえ、上述と同様にレンズ側第1爪部39aの近くにあるCLK(L)端子およびHCLK(L)端子は第1板バネ41aによりVBAT(L)端子あるいはLDET(L)端子よりもボディ側端子に強く押し付けられる。
【0089】
本実施の形態では、
図5(a)に示すように、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子を、マウント21の開口の中心位置(すなわち交換レンズ3の光軸Oの位置)と円弧状のボディ側第1爪部29aとで形成される扇形(角度50の範囲)の内部に配置した。もしくは、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子を、マウント21の開口の中心位置(すなわち交換レンズ3の光軸Oの位置)とボディ側第1爪部29aの内周側の両端とで形成される三角形の領域の内部に配置した。そのため、マウント21の開口の中心位置とLDET(B)端子とを結ぶ一点鎖線51の延長線上にはボディ側第1爪部29aが存在しないが、マウント21の開口の中心位置とHCLK(B)端子とを結ぶ一点鎖線52の延長線上にはボディ側第1爪部29aが存在し、マウント21の開口の中心位置とCLK(B)端子とを結ぶ一点鎖線53の延長線上にはボディ側第1爪部29aが存在する。これにより、装着完了状態において、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子は、LDET(B)端子よりも対応するレンズ側端子に強く押し付けられる。
【0090】
図6に示すように、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子を、マウント31の開口の中心位置(すなわち交換レンズ3の光軸Oの位置)と円弧状のレンズ側第1爪部39aとで形成される扇形(角度60の範囲)の内部に配置した。もしくは、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子を、マウント31の開口の中心位置(すなわち交換レンズ3の光軸Oの位置)とレンズ側第1爪部39aの外周側の両端とで形成される三角形の領域の内部に配置した。そのため、マウント31の開口の中心位置とLDET(L)端子とを結ぶ一点鎖線61の延長線上にはレンズ側第1爪部39aが存在しないが、マウント31の開口の中心位置とHCLK(L)端子とを結ぶ一点鎖線62の延長線上にはレンズ側第1爪部39aが存在し、マウント31の開口の中心位置とCLK(L)端子とを結ぶ一点鎖線63の延長線上にはレンズ側第1爪部39aが存在する。これにより、装着完了状態において、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子は、LDET(L)端子よりも安定して対応するボディ側端子と接触する。換言すると、CLK(L)端子およびHCLK(L)端子は、LDET(L)端子よりもボディ側端子に押しつけるより強い力が働く。従って、CLK(B)端子およびHCLK(B)端子の先端が摩耗した場合であっても、カメラボディ2と交換レンズ3とのクロック信号の通信は安定して行われる。
【0091】
次のような変形も可能であり、一つもしくは複数の変形例を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
コマンドデータ通信またはホットライン通信に用いるいずれかの端子に、交換レンズ3からカメラボディ2への電源オン信号を送信する機能を兼ね備えさせてもよい。例えば交換レンズ3に電源スイッチ機能を設ける。交換レンズ3が装着完了状態でありカメラシステム1が電源オフ状態であっても、給電部26はV33(B)端子から交換レンズ3のレンズ側制御部33への電力供給を行う。交換レンズ3の電源スイッチが操作されると、レンズ側制御部33は、例えばレンズ側通信部34経由でRDY(L)端子に電源オン信号を出力する。ボディ側制御部23は、ボディ側通信部24経由でRDY(B)端子を介して電源オン信号を検知すると、カメラボディ2に設けられた電源スイッチ(不図示)が操作されたときと同様に、カメラシステム1を電源オフ状態から電源オン状態に遷移させる。
【0092】
(変形例2)
実施の形態ではCLK(B)端子の装着方向の先端側にDATAB(B)端子を、後端側にDATAL(B)端子を配置したが、DATAB(B)端子とDATAL(B)端子の位置を入れ替えてもよい。すなわち、装着方向の先端側からDATAL(B)端子、CLK(B)端子、DATAB(B)端子の順に配置してもよい。
なお、上記の実施の形態ではアクセサリとしてカメラの交換レンズを例に挙げて説明したが、アクセサリは交換レンズに限らない。例えばカメラボディと交換レンズとの間に装着され、交換レンズの焦点距離を変更するテレコンバータやワイドコンバータ、接写リングなどでもよい。あるいは、上述したカメラボディのマウント規格に他のマウント規格の交換レンズを含むアクセサリを装着可能にするマウントアダプタなどにも適用できる。すなわち、カメラボディのマウントに装着して使用するアクセサリであればいずれにも同様に適用できる。その場合レンズ側端子群、レンズ側爪部39、レンズ側通信部34などは、それぞれのアクセサリのアクセサリ側端子群、アクセサリ側突出部、アクセサリ側通信部などに相当する。
上記の実施の形態では、カメラボディに着脱可能なアクセサリとしたが、上記のカメラボディは、上述したマウント規格とは異なるカメラボディに上述したマウント規格の交換レンズを装着可能にするマウントアダプタであってもよく、そのマウントアダプタに上述したアクセサリを装着可能とする構成としてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…カメラシステム、2…カメラボディ、3…交換レンズ、21…ボディ側マウント、22…ボディ側端子保持部、31…レンズ側マウント、32…レンズ側端子保持部