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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122407
(43)【公開日】2023-09-01
(54)【発明の名称】マンホール用防護柵
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20230825BHJP
【FI】
E02D29/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026086
(22)【出願日】2022-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】500047088
【氏名又は名称】株式会社トーケン
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】浅井 克則
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】マンホール内部での作業時にマンホール開口部へ歩行者や物品等が落下する事故を防止するためのマンホール用防護柵を提供する。
【解決手段】互いに連結された二本の支柱を有する方形状の前枠及び後枠と、前枠及び後枠の一方の支柱同士、他方の支柱同士に介設し一定距離の範囲で伸縮可能に構成された連結手段と、からなり、連結手段を伸長状態とすることで四角筒状の方形枠空間を形成し、連結手段を収縮状態とすることで折畳み可能としたことにより解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール開口部の上方に設置するマンホール用防護柵であって、
互いに連結された二本の支柱を有する方形状の前枠及び後枠と、
前記前枠と前記後枠とを一定範囲内で伸縮自在に連結する連結手段と、からなり、
前記前枠と前記後枠とを前記連結手段により連結することでマンホール開口部の上方に方形枠空間を形成し、
前記連結手段を収縮状態とすることで前枠及び後枠を折畳み可能としたことを特徴とするマンホール用防護柵。
【請求項2】
前記連結手段は、
パンタグラフ機構を利用した伸縮柵としたことを特徴とする請求項1に記載されたマンホール用防護柵。
【請求項3】
前記後枠の上部に回動自在に設けられたレールと、
前記レールに設けられたトロリーと、
前記前枠と前記レールとに設け当該レールを前記前枠と前記後枠とに架設可能にするレール連結金具と、
からなる搬送手段を備え、
前記方形枠空間の外部と内部との間で前記トロリーによる物品の搬送を可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載されたマンホール用防護柵。
【請求項4】
前記前枠及び前記後枠の少なくともいずれか一方にマンホール内部への作業員の出入りを補助する補助手段を設け、
前記補助手段は、
作業員の昇降を補助する梯子と、
前記梯子を前記前枠及び前記後枠の少なくともいずれか一方に対して、
使用状態と収納状態で移動可能に連結支持した梯子連結金具と、
より構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載されたマンホール用防護柵。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール内部で作業中に、マンホール開口部へ歩行者や物品が落下する事故が発生するのを防止するために、マンホール開口部の周囲を囲繞してかかる落下事故を防止するためのマンホール用防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路には、地下に埋設されている電線、ガス管、上下水道管等の施設の保守・点検作業を行うためにマンホールが設置されている。マンホールのほとんどは、地下に埋設された各種施設の点検口の役割を担っており、作業員が保守・点検作業等をマンホール内部に侵入して行っている。
【0003】
マンホール内で作業員が各種施設の保守・点検作業等を行っている間はマンホール蓋が開けられマンホール開口部が開放された状態であるため歩行者や物品がマンホール内部に落下しないように注意を喚起する必要がある。
【0004】
そこで、作業者や歩行者の安全確保を目的として、マンホールの開口部の周りを柵やボードで確実に包囲して設置安定性も良好な落下防止具がある。これは作業者の出入りが容易であるとともにマンホール内部への人や物品の落下も防止することができ、使用後はコンパクトに収納可能としている。(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6309671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すマンホール防護柵は、未使用時(収納時)には折り畳んでコンパクト収納できるものの、使用時には仮想四角筒状体の四側面を形成するために出入り口を除く三側面に外枠を嵌め込み、残る一側面に扉枠と扉体からなる出入口を形成して煩雑な組立作業を必要としている。さらに、マンホール内部への物品の落下を防ぐために、三側面の外枠の下部をそれぞれ弾性部材で覆うように設置するため、マンホール防護柵を組立てるための部品点数が多く、組立がより煩雑になる虞がある。
【0007】
また、仮想四角筒状体の四側面を形成する三側面の外枠と一側面の扉体は、格子部材により正面視で田の字状に形成されているため開口部が大きく通風性は良好であるがマンホール防護柵の内部が外から丸見えであり遮蔽性に欠ける。さらに、大きく開いた田の字状の開口部は、外部からの人の侵入は防止できたとしても物品の侵入を防ぐには適さない。
【0008】
更に、マンホール開口部に設置する防護柵には各種の機能を持たせるべくマンホール用防護柵内のマンホールに外部から重量物を搬入するための搬送手段やマンホールの開口部直下の縦穴に垂直に梯子を垂設して作業員が安全にマンホール内外へ出入りできる作業者用の補助手段が設けられているが、マンホールの開口部を囲繞する機能以外に複雑な構造が付加されているために簡易で各種の機能を有する高機能のマンホール用防護柵が望まれている。
【0009】
本発明では、かかる課題を解消すべく、部品点数を可及的に少なくすることで、収納状態ではコンパクトすることができで使用状態ではマンホール開口部の周囲への設置が容易で、なおかつ、作業者の作業性や安全の向上を図ることができるマンホール用防護柵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、互いに連結された二本の支柱を有する方形状の前枠及び後枠と、前枠と後枠とを一定範囲内で伸縮自在に連結する連結手段と、からなり、前枠と後枠とを連結手段により連結することでマンホール開口部の上方に方形枠空間を形成し、連結手段を収縮状態とすることで前枠及び後枠を折畳み可能としたことを特徴とするマンホール用防護柵とした。
【0011】
また、連結手段は、パンタグラフ機構を利用した伸縮柵としたことにも特徴を有する。
【0012】
また、後枠の上部に回動自在に設けられたレールと、レールに設けられたトロリーと、前枠とレールとに設け当該レールを前枠と後枠とに架設可能にするレール連結金具と、からなる搬送手段を備え、方形枠空間の外部と内部との間でトロリーによる物品の搬送を可能としたことにも特徴を有する。
【0013】
また、前枠及び後枠の少なくともいずれか一方にマンホール内部への作業員の出入りを補助する補助手段を設け、補助手段は、作業員の昇降を補助する梯子と、梯子を前枠及び後枠の少なくともいずれか一方に対して、使用状態と収納状態で移動可能に連結支持した梯子連結金具と、より構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、一定距離の範囲で伸縮可能な連結手段を設けることで、作業員が安心して作業を行える方形枠空間を容易に形成することができ、さらに、収納時には連結手段の伸縮により容易に折り畳み移動時や収納時の省スペース化を行うことができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、連結手段としてパンタグラフ機構を利用したことにより、連結手段の伸縮動作をより容易行えると共に、収縮させた際によりコンパクトにすることができる。
また、パンタグラフ機構を利用した連結手段としたことで、伸縮幅に応じて方形枠空間の広さ容易に適宜変更させることができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、レールとトロリーを有した搬送手段を備えることにより、方形枠空間で作業を行っている作業員とマンホール用防護柵の外部で作業を行っている作業員との間で物品の搬出入を容易とすることができる。
また、搬送手段を構成するレールを回動自在に設けられていることにより、レールを後枠から地面に対して垂直に吊下げマンホール用防護柵をコンパクトな収納状態とする際に妨げにならないようにすることができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、使用状態と収納状態で移動可能に連結支持した梯子連結金具により梯子を前枠及び後枠の少なくともいずれか一方に対して連結した補助手段を備えることにより、梯子の使用状態ではマンホール開口付近の地面に梯子を設置し作業員のマンホール内部への出入りを補助することができ、梯子の収納状態では連結された前枠又は後枠の枠内且つ支柱の厚み内に収めることができマンホール用防護柵を収納状態とする際に妨げにならないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の設置状態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の設置状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の補助手段を説明する図である。
図4】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の連結手段を説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の搬送手段を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係るマンホール用防護柵の遮蔽手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の要旨は、互いに連結された二本の支柱を有する方形状の前枠及び後枠と、前枠と後枠とを一定範囲内で伸縮自在に連結する連結手段と、からなり、前枠と後枠とを連結手段により連結することでマンホール開口部の上方に方形枠空間を形成し、連結手段を収縮状態とすることで前枠及び後枠を折畳み可能としたことにある。
【0020】
また、連結手段は、パンタグラフ機構を利用した伸縮柵としたことにも特徴を有する。
【0021】
また、後枠の上部に回動自在に設けられたレールと、レールに設けられたトロリーと、前枠とレールとに設け当該レールを前枠と後枠とに架設可能にするレール連結金具と、からなる搬送手段を備え、方形枠空間の外部と内部との間でトロリーによる物品の搬送を可能としたことにも特徴を有する。
【0022】
また、前枠及び後枠の少なくともいずれか一方にマンホール内部への作業員の出入りを補助する補助手段を設け、補助手段は、作業員の昇降を補助する梯子と、梯子を前枠及び後枠の少なくともいずれか一方に対して、使用状態と収納状態で移動可能に連結支持した梯子連結金具と、より構成したことにも特徴を有する。
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき詳説する。図1は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の設置状態を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の設置状態且つ遮蔽手段を取付けた状態を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の連結手段を説明する図である。図4は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の搬送手段を説明する図である。図5は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の補助手段を説明する図である。図6は、本実施形態に係るマンホール用防護柵の遮蔽手段を説明する図である。
【0024】
本発明に係るマンホール用防護柵Mは、マンホールの内部で作業を行うに際して、マンホール開口部Hへ歩行者や物品が落下する事故を防止するために、マンホール開口部Hの上方を覆い安全な作業を行うことができる方形枠空間Sを設けることができるものである。
【0025】
本実施形態に係るマンホール用防護柵Mは、図1及び図2に示すように、主に互いに連結された二本の前支柱110を有する方形状の前枠100と、前枠と同様に互いに連結された二本の後支柱210を有する方形状の後枠200と、前枠100と後枠200とを介設し伸縮自在とした連結手段500と、より構成されている。
【0026】
前枠100は、地面Gに対して垂直に立設した二本の前支柱110に架設された二本の前横桟120と、により方形状に形成される。
前支柱110は、左右に所定の間隔で立設する右前支柱111と左前支柱112とからなる。
前横桟120は、二本の前支柱110の上端部付近に架設された上段前横桟121と二本の前支柱110の下端部付近に架設された下段前横桟122とからなる。
本実施形態において前支柱110と前横桟120とは断面円形状の棒部材として図示しているが、形状はこれに限定されずパイプ部材や断面四角形状などどのような形状のものであってもよい。
【0027】
前支柱110と前横桟120とには前枠100の強度を高めるための前枠補強部材130が設けられている。具体的には、前枠100の四隅に対して板状部材を斜めに溶接している。
この前枠補強部材130は板状部材に限らず、前枠100の四隅に対して斜めに溶接されるものであればどのような形状であってもよい。
【0028】
前枠100の枠内下半部分には、方形枠空間Sへの出入りを行う扉140を備えている。
扉140は、方形状の扉枠141と前支柱110に扉枠141を回動自在に支持するヒンジ金具142とからなる。本実施形態では、左前支柱112にヒンジ金具142を設け、扉枠141をマンホール用防護柵Mの外側に回動を可能としている。
【0029】
後枠200は、地面Gに対して垂直に立設した二本の後支柱210に架設された三本の後横桟220と、により方形状に形成される。
後支柱210は、左右に所定の間隔で立設する右後支柱211と左後支柱212とからなる。
後横桟220は、二本の後支柱210の上端部付近に架設された上段後横桟221と二本の後支柱210を略二分する位置に架設された中段後横桟222と二本の後支柱210の下端部付近に架設された下段後横桟223とからなる。
本実施形態において後支柱210と後横桟220とは断面円形状の棒部材として図示しているが、形状はこれに限定されずパイプ部材や断面四角形状などどのような形状のものであってもよい。
【0030】
後支柱210の上部には後述する収納状態において前支柱110を保持するための前枠受け体240を設けている。
前枠受け体240は、後支柱210の上部で前枠100側に突出させた腕木241と、腕木241の先端部で切欠部分を前枠100側に向け取付けられる略コ字状の受け部242とからなる。
マンホール用防護柵Mを収納状態としたときに略コ字状の受け部242により前支柱110の上部を保持することができる。
【0031】
前枠受け体240は、本実施形態では収納状態での前支柱110を保持するために後支柱210に設けられているが、必ずしも後支柱210に設けられる必要はなく、前支柱110に設け後支柱210を受けるような形状としてもよい。
【0032】
後枠200には、図3に示すように、作業員がマンホール内部に出入りすることを補助する補助手段250を設けている。
補助手段250は、中段後横桟222と下段後横桟223との間に設けられた二本の梯子支持柱251と梯子連結金具253により梯子支持柱251に連結支持される梯子252とよりなる。
【0033】
梯子連結金具253は、薄板状の部材であり一端を梯子支持柱251にもう一端を梯子252に軸支している。そのため、梯子252を使用しない収納状態では、図3(a)に示すように、後枠200の枠内、且つ後支柱210の厚みの内側に収納することができる。梯子252を使用する使用状態では、図3(b)に示すように、梯子連結金具253を回動させることで後枠200より梯子252を延出させ地面Gに設置することができる。
【0034】
ところで、マンホール内部には、図1に示すような昇降用梯子Lが設けられていることが多い。しかしながら、マンホール開口部Hの下方、すなわち地面Gより低い位置に設けられているため、マンホール内部へ進入する際やマンホール内部から脱出する際には手掛かりになるものがなく作業員は腹ばいになりながら出入りすることになり踏ん張りが効きづらく安全性に問題があった。
そこで、マンホール用防護柵Mに補助手段250を備えたことにより、梯子252使用時にはマンホール開口部H付近の地面Gに梯子252を設置し、マンホールを出入りする際に作業員は直立姿勢を保ち梯子252を手掛かりとして安全に作業を行うことができる。
【0035】
上述した前枠100及び後枠200には、移動用のキャスター300と移動を規制させ設置場所に安静させるためのスタビライザー400とを設けている。
【0036】
キャスター300は、前支柱110及び後支柱210の各下端部にそれぞれ設けられ、マンホール用防護柵Mの移動を容易としている。
また、キャスター300にはキャスター300の動きを規制するためのブレーキ310を備えている。
【0037】
キャスター300は、マンホール用防護柵Mを移動可能とするものであればどのようなものであってもよいが、前後左右に移動可能な自在キャスターとすることが好ましい。
【0038】
スタビライザー400は、下段前横桟122及び下段後横桟223の下部に設けられ、内部に螺旋状の溝を有した筒体410と筒体410内部溝に螺合した固定ボルト420とよりなる。
固定ボルト420の下端部には地面Gとの接地面積を広くするため座部分を有している。
【0039】
スタビライザー400は、キャスター300によりマンホール用防護柵Mを所定の位置に運び設置した後に、よりマンホール用防護柵Mを地面Gに安定させるために設けられている。
すなわち、マンホール用防護柵Mの移動時には固定ボルト420を一方方向へ回転させて地面Gから浮かした状態とし、マンホール用防護柵Mの設置時には固定ボルト420もう一方の方向へ回転させ下端部の座部分を地面Gに当接させることで動きを規制し、設置状態を安定させることができる。
【0040】
前枠100と後枠200とは、図1及び図4に示すように、連結手段500により一体に連結される。
連結手段500は、複数の杆状部材511をそれぞれ回動自在に菱形に形成した、所謂パンタグラフ機構を利用した伸縮柵510と、前支柱110及び後支柱210に連結するための柵連結金具520とよりなる。
【0041】
伸縮柵510は、パンタグラフ機構を利用したことにより、伸縮自在としている。そのため、伸縮柵510を伸長状態とすることで前枠100及び後枠200との間に方形枠空間Sを形成し使用状態とすることができる。その反対に伸縮柵510を収縮状態とすることで前枠100及び後枠200とを接近させてマンホール用防護柵Mをコンパクトに折り畳み収納状態とすることができる。
【0042】
柵連結金具520は、前支柱110及び後支柱210に設けられ、長孔を有した摺動支持部521と杆状部材511を軸支する回動支持部522とよりなる。
【0043】
摺動支持部521は、略長方形薄板状とし長手方向の一方を前支柱110の後枠200側と後支柱210の前枠100側とに一体に設けられる。また、摺動支持部521長手方向には長孔を形成している。パンタグラフ機構は、伸縮動作を行う際に各杆状部材511の連結部分が回動すると共に上下に移動することとなるが、摺動支持部521に長孔を形成することでその上下移動を可能とし、伸縮動作を妨げないようにしている。
【0044】
回動支持部522は、略方形薄板状とし略中央部に伸縮柵510を軸支するように構成している。
【0045】
すなわち、柵連結金具520は、伸縮柵510の伸縮動作時に伸縮柵510の左右端部の一箇所を回動支持部522に軸支させ、伸縮柵510の左右端部のその他の箇所を軸支しつつ上下摺動させることでパンタグラフ機構が伸長又は収縮可能となるように構成している。
【0046】
連結手段500は、上述したパンタグラフ機構を利用した伸縮柵510により構成したことで、伸長と収縮が容易でありマンホール用防護柵Mの使用状態(図1及び図4(b)を参照。)である方形枠空間Sの形成と収納状態(図4(a)を参照。)である連結手段500の折り畳みが速やかに行うことができる。
【0047】
また、本実施形態を示す図では、連結手段500を最大に伸長させて形成した方形枠空間Sが平面視略正方形状としている(図1を参照。)が、伸縮柵510の最大伸長をさらに長くすることで、方形枠空間Sを広く形成し複数人での内部作業を可能にするよう構成してもよい。その場合、伸縮柵510の伸長幅を変えることで方形枠空間Sの大きさを任意の広さに変更できることは云うまでもない。
【0048】
マンホール用防護柵Mの上部には、方形枠空間Sの内部と方形枠空間Sの外部との間で物品の搬入又は搬出するための搬送手段600を備えている。
【0049】
搬送手段600は、図1図2及び図5に示すように、上段後横桟221の略中央に回動自在に取付けられたレール610とレール610に設けられたトロリー620とからなる。
【0050】
レール610は、方形枠空間Sの奥行よりも長いH鋼からなり、一方の端部付近にU字状のレール支持金具611をU字の湾曲を外側にして設けている。
レール610は、レール610とレール支持金具611の湾曲内側とで形成された環状部612に上段後横桟221を挿通することで回動自在に支持される。
【0051】
また、上段前横桟121とレール610とは互いにレール連結金具613を設けている。
レール連結金具613は、雌雄で嵌着可能な部材であり、雌雄のいずれか一方は上段前横桟121の略中央下部に設け、もう一方はレール610、且つ方形枠空間Sを形成した場合の上段前横桟121の位置に対応する箇所に設けられている。
【0052】
レール610を上述した構成とすることにより、マンホール用防護柵Mの収納状態では、図4に示すように、レール支持金具611により上段後横桟221に吊下げるようにして連結手段500の折り畳みの妨げとならないようにすることができる。
【0053】
また、マンホール用防護柵Mの使用状態、すなわち方形枠空間Sを形成した際には、レール連結金具613により上段前横桟121と連結させることで、図1及び図2に示すように、方形枠空間Sの上部にレール610を架設することができる。
【0054】
トロリー620は、方形枠空間Sの上部に架設したレール610の下部に設けられレール610に沿って水平に移動可能に構成されている。
また、レール610を方形枠空間Sの奥行よりも長くすることで、レール610の先端をマンホール用防護柵Mの外側に延出しており、トロリー620が方形枠空間Sの内部と外部を自由に移動可能としている。
【0055】
搬送手段600は、上述したレール610とトロリー620により、マンホール用防護柵Mの内側、すなわち方形枠空間S内で作業している作業員とマンホール用防護柵Mの外側で作業している作業員との間で工具や工事部材等の物品の受け渡しを容易にすることができる。
【0056】
なお、本実施形態のトロリー620は、周知のプレーントロリー、ギヤードトロリー、電動トロリー等の様々な種類が好適に用いられる。
【0057】
マンホール用防護柵Mの下半部四側面には、図2に示すように、方形枠空間Sを外部から遮蔽するための遮蔽手段700を設けている。
遮蔽手段700は、図6に示すように、四枚の同一方形状のシートからなる遮蔽部711と各遮蔽部711を横一列に配置し隣り合う遮蔽部711を一体に連設させる連設部712とからなる遮蔽シート710と、各遮蔽部711の四隅に穿設された係止孔720と、からなる。
【0058】
前支柱110、後支柱210及び扉枠141には略L字状の係止フック800が設けられており、図2に示すように、この係止フック800に係止孔720を挿通することで遮蔽手段700はマンホール用防護柵Mに取り付け可能としている。
遮蔽手段700をマンホール用防護柵Mに取付けることにより、マンホール用防護柵Mの四側面外周を覆い、方形枠空間Sが開部から視認できないようにすると共に外部からの物品の侵入を防ぐことができる。
【0059】
具体的な取り付け方法としては、遮蔽シート710の端部側を扉枠141の回動端部側に設けた係止フック800に取付けてマンホール用防護柵Mの四側面外周にぐるりと巻き付けるようにすることで、方形枠空間S内部への出入りの妨げとならないようにすることができる。
【0060】
遮蔽シート710は、マンホール用防護柵Mを覆うことができる布状の素材例えば帆布等であってもよいが、遮光性と防水性を備えた樹脂製のシートが好適に用いられる。
また、遮蔽シート710の遮蔽部711には図6(b)に示すように、看者に対して注意を促すようなサインを印刷したものを用いることで、作業員がより安全に作業を行えるように寄与することができる。
【0061】
係止孔720は、単に各遮蔽部711の四方に開口を穿設したものであってもよいが、ハトメ金具等により補強することが望ましい。これはマンホール用防護柵Mを長期に亘って繰り返し使用する際に劣化しやすいことが予測される遮蔽手段700の経年劣化を可及的に防止すると共に、何かしらの物品が衝突することで遮蔽手段700にかかる応力で破れることを可及的に防止することができるためである。
【0062】
上述したように、本発明に係るマンホール用防護柵Mは、マンホール開口部H内での作業時にマンホール開口部Hの上方を四方囲繞するように覆うことができ、物品の侵入や歩行者の落下等の事故を防止する方形枠空間Sを提供することができる。
【0063】
また、連結手段500を構成する伸縮柵510を収縮状態とすることでマンホール用防護柵Mを折畳み、収納状態としてコンパクトにすることができる。
【0064】
また、マンホール用防護柵Mの上部に主にレール610とトロリー620からなる搬送手段600を備えることで、方形枠空間S内で作業を行う作業員とマンホール用防護柵Mの外で作業を行う作業員との間で工具や工事資材等の物品の移動を容易とすることができる。
【0065】
また、使用時にのみ梯子連結金具253によりマンホール開口部Hの近傍に設置可能な補助手段250を設けていることから、作業員がマンホール開口部Hに出入りする際にマンホール内部に設けられた昇降用梯子Lの延長として作業を円滑に行えるように寄与することができる。
【0066】
以上、上述した実施形態を通して本発明のマンホール防護柵について説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各種効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0067】
M マンホール用防護柵
S 方形枠空間
100 前枠
110 前支柱
111 右前支柱
112 左前支柱
120 前横桟
121 上段前横桟
122 下段前横桟
130 前枠補強部材
140 扉
141 扉枠
142 ヒンジ金具
200 後枠
210 後支柱
211 右後支柱
212 左後支柱
220 後横桟
221 上段後横桟
222 中段後横桟
223 下段後横桟
230 後枠補強部材
240 前枠受け体
241 腕木
242 受け部
250 補助手段
251 梯子支持柱
252 梯子
253 梯子連結金具
300 キャスター
310 ブレーキ
400 スタビライザー
410 筒体
420 固定ボルト
500 連結手段
510 伸縮柵
511 杆状部材
520 柵連結金具
521 摺動支持部
522 回動支持部
600 搬送手段
610 レール
611 レール支持金具
612 環状部
613 レール連結金具
620 トロリー
700 遮蔽手段
710 遮蔽シート
711 遮蔽部
712 連設部
720 係止孔
800 係止フック
G 地面
H マンホール開口部
L 昇降用梯子

図1
図2
図3
図4
図5
図6