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特開2023-122625円筒に形成されたスキャンウィンドウの接合部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122625
(43)【公開日】2023-09-04
(54)【発明の名称】円筒に形成されたスキャンウィンドウの接合部
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230828BHJP
   G01N 23/046 20180101ALI20230828BHJP
【FI】
A61B6/03 321
G01N23/046
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023009134
(22)【出願日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】17/678,525
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エリック・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・アラン・スミス
(72)【発明者】
【氏名】ウェズリー・ジョージ・ヘイマン
【テーマコード(参考)】
2G001
4C093
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA06
2G001HA14
2G001SA13
4C093AA22
4C093CA35
4C093EC43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】円筒に形成されたスキャンウィンドウを提供する。
【解決手段】イメージングシステム(10)のためのスキャンウィンドウ(50)は、X線透明材料で作成され、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つの可撓性シートを含む。また、スキャンウィンドウ(50)は、第1の端部と第2の端部との間に形成され、接合剤を介して固定され、少なくとも1つの可撓性シートとの接合部材を形成する少なくとも1つのテーパ付き接合部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステム用スキャンウィンドウであって、
X線透明材料で作成され、第1の端部と第2の端部を有する少なくとも1つの可撓性シートと、
第1の端部と第2の端部との間に形成され、接合剤を介して固定され、少なくとも1つの可撓性シートとの接合部材を形成する少なくとも1つのテーパ付き接合部と、
を備える、スキャンウィンドウ。
【請求項2】
第1の端部と第2の端部は、それぞれ第1のテーパ端部と第の2テーパ端部を含み、互いに重なり合って少なくとも1つのテーパ付き接合部を形成する、請求項1に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項3】
少なくとも1つの可撓性シートの第1の端部及び第2の端部の各々は、それぞれの端部の始点からそれぞれの端部の最も遠位の位置まで連続して狭くなっている、請求項2に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項4】
第1の端部と第2の端部の少なくとも一方の最遠位位置が嵌合段差を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項5】
第1の端部と第2の端部の両方の最遠位位置が嵌合段差を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項6】
第1の端部と第2の端部の少なくとも一方の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項7】
第1の端部と第2の端部の両方の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項8】
第1の端部の最遠位位置が嵌合段差を有し、第2の端部の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項9】
少なくとも1つの可撓性シートの第1の端部と第2の端部の各々は、それぞれの端部の始まりで狭くなり、その後、それぞれの端部の最遠位位置の近くまで一定の厚さを有し、その後、最遠位位置まで連続して狭くなる、請求項2に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項10】
第1の端部と第2の端部の両方の最遠位位置が丸みを帯びている、請求項9に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項11】
第1のテーパ端部と第2のテーパ端部の両方のテーパの始まりが、少なくとも1つのテーパ付き接合部の外側の位置における少なくとも1つの可撓性シートの厚さの半分であるそれぞれの厚さを有する、請求項2に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項12】
第1のテーパ端部と第2のテーパ端部の両方のテーパの始まりが、少なくとも1つのテーパ付き接合部の外側の位置における少なくとも1つの可撓性シートの厚さとほぼ同じであるそれぞれの厚さを有する、請求項11に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項13】
イメージングシステムがコンピュータ断層撮影システムを含む、請求項1に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項14】
少なくとも1つのテーパ付き接合部は、スキャンウィンドウの中心軸と平行である、請求項1に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項15】
少なくとも1つのテーパ付き接合部は、スキャンウィンドウの中心軸と非平行である、請求項1記載のスキャンウィンドウ。
【請求項16】
スキャンウィンドウの中心軸に垂直な方向における第1の端部と第2の端部の両方のそれぞれの長さの、少なくとも1つの柔軟なシートの厚さに対する比率は、5:1~20:1の範囲である、請求項1に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項17】
比率が10:1である、請求項16に記載のスキャンウィンドウ。
【請求項18】
イメージングシステム用のガントリハウジングであって、
スキャンウィンドウを含み、
スキャンウィンドウが、
X線透明材料から作成され、第1のテーパ端部と第2のテーパ端部を有する少なくとも1つのシートと、
第1のテーパ端部と第2のテーパ端部との間に形成され、接合剤を介して固定され、少なくとも1つのシートとの接合部材を形成する、少なくとも1つのテーパ付き接合部と、
を備える、ガントリハウジング。
【請求項19】
第1のテーパ端部と第2のテーパ端部の両方のテーパの始まりが、少なくとも1つのテーパ付き接合部の外側の位置における少なくとも1つのシートの厚さの半分であるそれぞれの厚さを有する、請求項18に記載のガントリハウジング。
【請求項20】
プラスチック材料から作成され、第1のテーパ端部と第2のテーパ端部を有する可撓性シートと、
互いに重なり合う第1のテーパ端部と第2のテーパ端部との間に形成され、接合剤を介して固定されて接合部材を形成するテーパ付き接合部と、
を備える、接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、イメージングシステムに関し、より詳細には、イメージングシステムで利用するためにスキャンウィンドウを円筒に形成するための接合部を利用することである。
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)では、X線が患者や手荷物などの対象物に照射され、その一部が検出器に入射し、画像データが収集される。デジタルX線システムでは、光検出器が、検出器表面の個別のピクセル領域に衝突した放射線の量または強度を表す信号を生成する。この信号を処理して画像を生成し、それを表示して確認することができる。このようなシステムによって生成された画像において、被験者の体内の構造及び器官を識別し、検査することが可能である。CTイメージングシステムでは、一連の検出器要素またはセンサを含む検出器アレイが、ガントリが撮像される被験者または物体の周りを変位する際に様々な位置を介して同様の信号を生成し、体積画像再構成を得ることができる。
【0003】
CTイメージングシステムは、ガントリの開口部又はボア内に形成されたガントリの内壁内に配置された環状のスキャンウィンドウを含むことができる。スキャンウィンドウは、X線源から放出されたX線が、検出器による検出のために撮像される物体又は被写体を通過することを可能にするX線透明材料で作られている。通常、X線透明材料からなるシートの両端部を接合部(ジョイント)で接合し、接合部材を形成する。スキャンウィンドウが大きくなると、割れ、接合部の製造、汚染などの問題が発生し、管理が難しくなる。時間が経つと、接合部に亀裂が入ることがある。また、実際の機械的な故障に至る前に、割れる過程で接合部が汚染されることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願当初に請求された主題の範囲に相応する特定の実施形態が以下に要約される。これらの実施形態は、請求された主題の範囲を制限することを意図しておらず、むしろこれらの実施形態は、主題の可能な形態の簡単な要約を提供することのみを意図している。実際、主題は、以下に示す実施形態と類似していても異なっていてもよい、様々な形態を包含することができる。
【0005】
一実施形態では、イメージングシステム(撮像システム)用のスキャンウィンドウが提供される。スキャンウィンドウは、X線透明材料で作られ、第1の端部及び第2の端部を有する少なくとも1つの可撓性シートを含む。スキャンウィンドウは、第1の端部と第2の端部との間に形成され、接合剤を介して固定されて、少なくとも1つの可撓性シートとの接合部材を形成する少なくとも1つのテーパ付き接合部も含む。
【0006】
別の実施形態では、イメージングシステム用のガントリハウジングが提供される。ガントリハウジングは、スキャンウィンドウを含む。スキャンウィンドウは、X線透明材料で作られ、第1のテーパ端部と第2のテーパ端部とを有する少なくとも1つのシートを含む。スキャンウィンドウはまた、第1のテーパ端部と第2のテーパ端部との間に形成され、シートとの接合部材を形成するために接合剤を介して固定された少なくとも1つのテーパ付き接合部を含んでいる。
【0007】
さらなる実施形態では、被接合部材が提供される。被接合部材は、プラスチック材料から作成され、第1のテーパ端部と第2のテーパ端部とを有する可撓性シートを含む。また、可撓性円柱部材は、互いに重なり合う第1のテーパ端部と第2のテーパ端部との間に形成され、接合剤を介して固定されて接合部材を形成するテーパ付き接合部を含む。
【0008】
開示された主題のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面を参照して読むとよりよく理解されるであろうが、図面全体において、同様の文字は同様の部品を表し、ここで、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書で論じるコンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステムの結合された複合絵画図およびブロック図である。
図2】本開示の態様に従った、その中を延びる開口部またはボアを有するガントリの透視図である。
図3】本開示の態様に係る、接合部材の本体(例えば、角張った接合部を有する)の透視図である。
図4】本開示の態様に係る被接合部材の本体(例えば、平行接合部を有する)の透視図である。
図5】本開示の態様に係る、図3における被接合部材の本体を形成するためのシートの上面図である。
図6】本開示の態様に係る、図4における被接合部材の本体を形成するためのシートの上面図である。
図7】本開示の態様に係る、テーパ付き接合部を有する(例えば、両側にフルランプ:full rampを有する)被接合部材の本体の一部を示す端面図である。
図8】本開示の態様に係る、テーパ状の接合部を有する(例えば、両側に段差を有する)被接合部材の本体の一部を示す端面図である。
図9】本開示の態様に係る、テーパ付き接合部(例えば、片側にフルランプを有し、片側に段差を有する)を有する接合部材の本体の一部を示す端面図である。
図10】本開示の態様に係る、テーパ付き接合部を有する(例えば、両側に嵌合半径を有する)被接合部材の本体の一部を示す端面図である。
図11】本開示の態様に係る被接合部材(例えば、複数のシートから形成される)の本体の透視図である。
図12】本開示の態様に係る、図11の被接合部材の本体を形成するための複数のシートの上面図である;及び
図13】本開示の態様に係る、円筒状部材の透視図である。
【0010】
以下、1つまたは複数の具体的な実施形態について説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供するための努力として、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトにおけるように、任意のそのような実際の実装の開発において、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装固有の決定を行わなければならず、それは実装ごとに異なる場合があることを理解されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する通常の技術者にとって、設計、製作、および製造の日常的な事業であることを理解されたい。
【0011】
本主題の様々な実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、その要素が1つ以上存在することを意味することが意図される。用語「comprising」、「including」、及び「having」は、包括的であることを意図し、記載された要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。さらに、以下の議論における任意の数値例は、非限定的であることを意図しており、したがって、追加の数値、範囲、及びパーセントは、開示される実施形態の範囲内である。
【0012】
以下の議論の側面は、医療又はヘルスケアイメージングの文脈で提供されるかもしれないが、本発明の技術は、そのような医療分野に限定されないことが理解されるべきである。実際、そのような医療分野における例及び説明の提供は、現実世界の実装及び応用の例を提供することによって説明を容易にするためだけである。しかしながら、本発明のアプローチは、製造された部品又は商品の非破壊検査(すなわち、品質管理又は品質審査用途)、及び/又はパッケージ、箱、荷物等の非侵襲検査(すなわち、セキュリティ又はスクリーニング用途)に用いられる産業用CT用の断層画像再構成等の他の文脈でも利用され得る。一般に、本アプローチは、概して環状または円筒状のスキャンウィンドウを利用する任意のイメージングまたはスクリーニングの状況において有用であり得る。
【0013】
本開示は、環状又は円筒状スキャンウィンドウのための実施形態を提供する。特に、環状又は円筒形スキャンウィンドウは、イメージングシステム(例えば、CTイメージングシステム)のガントリに配置される。特定の実施形態では、環状又は円筒形スキャンウインドウは、工学的接合部によって接合された端部を有する少なくとも1つのシートを含む。例えば、環状又は円筒状スキャンウィンドウは、テーパ付き接合部を形成するために接合剤を介して一緒に接合(例えば、締結、接着又は固定)された端部(例えば、テーパ状の端部)を有する少なくとも1枚のシートを含む。テーパ状の端部は、互いに重なり合ってテーパ付き接合部を形成している。テーパ付き接合部の形成により、少なくとも1枚のシートが環状又は円筒状の形状を形成することができる。特定の実施形態では、環状又は円筒状のスキャンウィンドウを形成するために、テーパ付き接合部を介して複数のシートが一緒に接合されてもよい。テーパの始めの端部はそれぞれ、テーパ付き接合部の外側のシートの厚さの少なくとも半分の厚さを含み、したがって、シートの端部が接合される接合部の強度を高め、スキャンウィンドウの寿命を延長することができる。テーパ付き接合部は、シートの厚さの5~20倍である距離にわたってテーパが付いており、したがって、他の接合部構成と比較して、環状又は円筒状スキャンウィンドウが(例えば、ガントリへの取り外し又は挿入中に)屈曲されるときの応力を分散させることができる。開示された実施形態は、環状又は円筒状スキャンウインドウに対して、より長い屈曲寿命とより少ない汚染リスクとを提供する。さらに、開示された実施形態は、一般に入手可能なプラスチック材料(例えば、熱可塑性ポリマー、ポリカーボネート)からスキャンウィンドウを製造することを可能にする。さらに、開示された実施形態は、工学的接合部を有する柔軟な接合部材を形成するために、医療又は画像化の以外でも利用されることができる。
【0014】
上述の事項を念頭に置き、図1を参照すると、一例として、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングシステム10が示されている。CTイメージングシステムは、ガントリ12を含む。ガントリ12は、ガントリ12の反対側にある検出器アセンブリ15に向かってX線のビーム16を投射するX線源14を有している。X線源14は、X線ビーム16のサイズ及び形状を決定するプリペイシェントコリメータアセンブリ13を通してX線ビーム16を投射する。検出器アセンブリ15は、コリメータアセンブリ18(ポストペイシェントコリメータアセンブリ)、複数の検出器モジュール20(例えば、検出器要素又はセンサ)、及びデータ取得システム(DAS)32を含む。複数の検出器モジュール20は、撮像される被写体又は物体22を通過する投影X線を検出し、DAS32はそのデータをその後の処理のためのデジタル信号に変換する。従来のシステムにおける各検出器モジュール20は、入射X線ビームの強度を表すアナログ電気信号を生成し、従って、被写体又は物体22を通過する際に減衰したビームを生成する。X線投影データを取得するための走査の間、ガントリ12及びそれに取り付けられた構成要素は、撮像ボリュームに対する複数のビュー角度から減衰データを収集するように、回転中心25(例えば、アイソセンタ)を中心に回転する。
【0015】
ガントリ12の回転及びX線源14の動作は、CTイメージングシステム10の制御システム26によって支配される。制御システム26は、X線源14に電力及びタイミング信号を供給するX線コントローラ28と、プリペイシェントコリメータ(患者前コリメータ)13の開口の長さ及び幅(従って、X線ビーム16のサイズ及び形状)を制御するコリメータコントローラ29と、ガントリ12の回転速度及び位置を制御するガントリモータコントローラ30と、を含む。画像再構成器34は、DAS32からサンプリングされデジタル化されたX線データを受信し、高速画像再構成を実行する。再構成された画像は、コンピュータ36への入力として適用され、コンピュータ36は画像を記憶装置38に格納する。コンピュータ36はまた、コンソール40を介してオペレータからコマンド及び走査パラメータを受け取る。関連するディスプレイ42によって、オペレータはコンピュータ36からの再構成された画像及び他のデータを観察することができる。オペレータが供給したコマンド及びパラメータは、コンピュータ36によって、DAS32、X線コントローラ28、コリメータコントローラ29、及びガントリモータコントローラ30に制御信号及び情報を提供するために使用される。さらに、コンピュータ36は、被写体22及びガントリ12を位置決めするために電動テーブル46を制御するテーブルモータコントローラ44を動作させる。特に、テーブル46は、ガントリ開口部又はボア48を通して被検体22の一部を移動させる。
【0016】
図2は、ガントリ12を通って延びる開口又はボア48を有するガントリ12の透視図である。以下の実施形態は、CTイメージングシステムの観点から論じられているが、実施形態は、スキャンウィンドウ(スキャン窓)50を含む他のイメージングシステム(例えば、ポジトロン放出断層撮影(PET)イメージングシステム、CT/PETイメージングシステム、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)イメージングシステム及び他のハイブリッドCTイメージングシステム等)でも利用することが可能である。ガントリ12は、ハウジング52を含み、ガントリ12は、固定部と回転部とを含む。回転部は、静止部に対してz方向(体軸方向に相当する)に位置する軸の周りを回転する。X線源14及び検出器アセンブリ15は、回転部の回転要素である。ハウジング52は、ガントリ12の内部に配置された構成要素を覆うように構成されている。さらに、ハウジング52は、ハウジング52に囲まれた空間において、回転部がz方向の軸を中心として移動可能な移動用空間を形成している。
【0017】
描かれているように、ハウジング52は、前面カバー54及び背面カバー58を含む。別の例示的な実施形態では、ハウジング52は、前面カバー54と背面カバー58との間に配置されたメインカバー(図示せず)を含んでもよい。前面カバー54は、ガントリ12の前面側に固定され、背面カバー58は、ガントリ12の背面側に固定される。前面カバー54と背面カバー58とは、固定されている。なお、ハウジング52を形成するカバーの数および構造は、図2に描かれたものと異なっていてもよい。
【0018】
ボア48内では、前面カバー54と背面カバー58との間に隙間が形成される場合がある。スキャンウィンドウ50は、前面カバー54と背面カバー58との間に嵌め込まれて隙間を埋めるように構成されている。作業者(例えば、フィールドエンジニア又は画像形成システムの製造施設の従業員)は、隙間を埋めるためにボア48内にスキャンウィンドウ50を手動で嵌め込むことができる。また、作業者は、ボア48からスキャンウィンドウ50を手動で取り外すことができる。スキャンウィンドウ50は、スキャンウィンドウ50の一部を内側に撓ませて、スキャンウィンドウ50を部分的に折り畳んだり変形させたりして、ボア48から挿入又は除去することができる。スキャンウィンドウ50に使用される材料の柔軟性により、前面カバー54及び背面カバー58が所定位置に留まったまま、スキャンウィンドウ50を取り付け又は取り外すことができる。
【0019】
撮像セッションの間、被検体又は患者はボア48内で移動させられる。スキャンウィンドウ50は、自己支持し、被検体又は患者がガントリ12内の回転する構成要素に接触しないように安全障壁として機能する。
【0020】
スキャンウィンドウ50は、本体60と、端部部材62,64(例えば、弾性部材、可撓性部材、ガスケット等)とを含む。端部部材62,64は、それぞれ端部66,68において本体60の外面に配置されている。端部66,68は、前面カバー54及び背面カバー58に隣接して配置されている。スキャンウィンドウ50は、円筒状または環状の形状を有する。スキャンウィンドウ50は、両端部66,68において開口している。
【0021】
本体60は、X線に対して透明で(例えば、減衰が少ない)、可撓性または変形性を有するプラスチック材料からなる1枚のシート70で形成されている。例えば、プラスチック材料は、熱可塑性ポリマーまたはポリカーボネートであってもよい。単層シート70は、同じくX線に対して透明であり、可撓性または変形性を有する別の種類のプラスチック材料で作られてもよい。
【0022】
以下により詳細に説明するように、単一のシート70の端部(例えば、テーパ状の端部)は、円筒形状又は環状形状を形成するために、工学的接合部(例えば、テーパ付き接合部)を介して一緒に接合される。工学的接合部(エンジニアードジョイント)の長さ(例えば、幅)(例えば、スキャンウィンドウ50の中心軸に垂直な方向)は、シート70の厚さの約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部の長さ(例えば、幅)は、シート70の厚さの約10倍である。接合部の先細りは、接合部が屈曲する際の応力を分散させる。
【0023】
単一のシート70の端部は、接合剤を介して工学的接合部を形成するために一緒に固定される。特定の実施形態では、接合剤は、プラスチック溶解型、紫外線硬化型、又はエポキシベースの接合剤であってもよい。接合剤は、操作中及び屈曲中に接合部を通して応力の連続的な流れを提供するために、設計された接合部内のすべての潜在的な空容積を埋めるために利用される。
【0024】
特定の実施形態では、スキャンウィンドウ50は、複数の工学的接合部(例えば、テーパ付き接合部)を介して一緒に接合された複数のシート70で形成されてもよい。例えば、あるシート70の端部(例えば、テーパ状の端部)は、別のシート70の端部(例えば、テーパ状の端部)に固定され、工学的接合部を形成してもよい。
【0025】
工学的接合部(エンジニアードジョイント:engineered joint)は、シート70の基材の強度能力を有する。工学的接合部は、スキャンウィンドウ50の本体60を形成するために使用される典型的な接合部の少なくとも3~4倍の寿命の増加を有する。工学的接合部は、スキャンウィンドウ50のIFR90(最初の90日間におけるインファンタイル故障率:infantile failure rate)を改善し得る。また、工学的接合部は、スキャンウィンドウ50の数年にわたる長期的な信頼性を向上させることができる。工学的接合部は、大型カバースキャナ(70センチメートル(cm)以上)に特に有用であり得る。他の接合部(ジョイント)と比較してクラックのリスクが減少するため、工学的接合部は、時間の経過とともにより少ない汚染物質(これは、多くの表面積を有する大きなスキャンウィンドウの問題である)を受けることになる。また、曲げ加工によりウィンドウの寿命が延びるため、画像処理システムのダウンタイムが短縮される。さらに、工学的接合部は、スキャンウィンドウ50が割れるのに時間がかかるので、スキャンウィンドウ50のクリーニングをより簡単にすることができる。更に、工学的接合部は、スキャンされる被験者又は患者とガントリ12の内部部品との間により堅牢な物理的障壁を維持する。
【0026】
図3は、アングル接合部(angled joint:角度付けされた接合)を有する、スキャンウィンドウなどの接合部材50の本体60を示す透視図である。本体60は、単一のシート70の端部(例えば、テーパ状の端部)が接合されて、アングル接合部72(例えば、テーパ付き接合部)を形成していることを含む。テーパ付き接合部72は、端部66から端部68まで延びている。描かれているように、テーパ付き接合部72は、中心軸74に対して角度が付けられている(すなわち、非平行である)。特定の実施形態(図4参照)において、テーパ付き接合部72は、中心軸74と平行である。図4は、中心軸74と平行である接合部72を有する、スキャンウィンドウなどの接合部材50の本体部60の透視図である。テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、幅)(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸74に垂直な方向)は、シート70の長さ(length)78(例えば、厚さ)の約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部の幅76は、シート70の厚さ78の約10倍である。接合部72の先細りは、テーパ付き接合部72が撓んだときに応力を広げる。
【0027】
図5及び図6は、図3及び図4のスキャンウインドウ等の被接合部材50の各本体60を形成するためのシート70の上面図である。シート70は、シート70の中央部84を挟む端部80,82(例えば、長手方向の端部)を含む。各端部80,82は、テーパ状の端部である。端部80,82は、接合剤を介して固定されたテーパ付き接合部を形成するように接合されている。端部80,82は、テーパ状の接合部を形成するように重なり合っている。端部80は、方向86(例えば、端部82から端部80に向かう方向)に先細りしている。端部82は、方向88(例えば、端部80から端部82に向けられた方向)に先細りしている。特定の実施形態では、端部80、82は、連続的にテーパしている。特定の実施形態では、端部80、82は、最初にテーパを付け、その後、端部80、82の最も遠位の位置に向かって一定の厚さを維持する。
【0028】
シート70は、長さ90(例えば、長手方向の長さ)と、長さ92(例えば、幅)(中央部84において、長さ90に直交する方向)とを有している。長さ90は、長さ92(例えば、幅)よりも大きい。図5において、端部80,82の長さ94は、シート70の中央部84の長さ92(例えば、幅)よりも大きい。図6において、端部80,82の長さ94は、シート70の中央部分84の長さ92(例えば、幅)と同じである。図5では、端部80、82は、長さ90に対して角度がつけられている。特定の実施形態では、端部80、82と長さ92(例えば、幅)との間に形成される角度96は、約60度であってよい。特定の実施形態では、角度96は、(図6に描かれているように)約90度から約30度の範囲であってもよい。シート70の長さ90は、ボア48の円周とほぼ同じである。例示的な実施形態では、接合部材又はスキャンウィンドウ50の設計は、上限がなく、約6インチより大きいシート長さ90に最も適している。長さが6インチ未満の柔軟で短いスキャンウィンドウは、しばしば自己支持することができ、この種の工学的接合部を必要としないかもしれない。しかし、シートの長さが長くなるにつれて、このタイプの工学的接合部の必要性がより重要になる。
【0029】
シート70は、X線に対して透明であり(例えば、最小限の減衰を有する)、可撓性または変形可能なプラスチック材料材料で作られている。例えば、プラスチック材料は、熱可塑性ポリマーまたはポリカーボネートであってもよい。単一のシート70は、同じくX線に対して透明であり変形可能な別のプラスチック材料で作られてもよい。特定の実施形態において、可撓性円筒部材が非撮影用途のためのテーパ付き接合部を利用して作られる場合、可撓性円筒部材の目的のために、(材料のX線に対する透過性を考慮する必要がなく)可撓性または変形可能で、所望の材料強度を有するプラスチック材料で作られたシート70が使用される。
【0030】
図7は、テーパ付き接合部72を有する(例えば、両側にフルランプを有する)スキャンウィンドウなどの接合部材50の本体部60の一部を示す端面図である。シート70は、テーパ付き接合部72を形成するために重なり合う端部80,82を有する。より具体的には、端部80、82は、テーパ付き接合部72を形成するために、互いにテーパ状に重なり合っている。各テーパの付いた端部80、82は、完全なランプを有する。言い換えれば(テーパ付き端部80に関して示されるように)、各テーパ付き端部80、82は、テーパ開始位置98(例えば、上流位置)から端部80、82の最も遠位の位置の終了位置100(例えば、下流位置)に向かって厚さ78が減少(80)又は増加(テーパ付き端部82に関して)する。図7に描かれているように、各テーパ付き端部80、82は、端部80、82の最も遠位の位置における開始位置98から終了位置100まで、テーパ付き接合部72の長さ76に沿って厚さ78を連続的に減少または狭めている。テーパ付き端部80、82の最も遠位の位置は、嵌合点を形成している。テーパの始点におけるテーパ付き端部80、82の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78とほぼ同じである。特定の実施形態では、厚み78は、約1.5ミリメートル(mm)(±0.05mm)以下であってよい。特定の実施形態では、厚さ78は、約1.0ミリメートル(±0.05ミリメートル)以下であってもよい。テーパ付き接合部72の利用により、シート70の厚み78を1.0mm(±0.05mm)以下とすることができる。また、テーパ開始位置98の厚み78は、他のタイプの接合部と比較して、本体60の屈曲下でクラックが発生して進行するのに時間がかかるようになる。
【0031】
テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸74に垂直な方向における幅)は、シート70の長さ78(例えば、厚さ)の約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部72の長さ76(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸に垂直な方向101における幅)は、シート70の厚さ78の約10倍である。接合部72が先細りになることで、テーパ付き接合部72が撓んだときに応力が分散される。
【0032】
接合剤(Bonding agent)は、テーパ状端部80、82の間の界面102に沿って配置される。接合剤に起因して、テーパ付き接合部72に沿った領域における本体60の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78よりも大きくなってもよい。位置100における本体60の内面は、余分な接合剤を除去するために研磨されてもよく、位置100における本体60の外面には、余分な接合剤が残っていてもよい。
【0033】
図8は、テーパ付き接合部72を有する(例えば、両側に段差を有する)スキャンウィンドウなどの被接合部材50の本体部60の一部を示す端面図である。シート70は、テーパ付き接合部72を形成するために重なり合う端部80,82を有する。より具体的には、端部80,82は、テーパ付き接合部72を形成するために、互いにテーパ状に重なり合っている。各テーパ付き端部80,82は、段差(ステップ)104(例えば、嵌合段差:mating step)で終了する部分ランプを有する。言い換えれば、各テーパ付き端部80、82は、テーパ開始位置98(例えば、上流位置)から端部80、82の最も遠位の位置の終了位置100(例えば、下流位置)まで厚さ78が減少する。図8に描かれているように、各テーパ付き端部80、82は、開始位置98から段差104まで、テーパ付き接合部72の長さ76に沿って厚さ78を連続的に減少または狭めている。段差104は、約0.25mm(±0.05mm)の長さ106(例えば、厚さ)を有する。テーパの始点におけるテーパ付き端部80、82の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシートの厚さ78とほぼ同じである。特定の実施形態では、厚み78は、約1.5ミリメートル(mm)(±0.05mm)以下であってよい。特定の実施形態では、厚さ78は、約1.0ミリメートル(±0.05ミリメートル)以下であってもよい。テーパ付き接合部72の利用により、シート70の厚み78を1.0mm(±0.05mm)以下とすることができる。また、テーパ開始位置98の厚み78は、他のタイプの接合部と比較して、本体60の屈曲下でクラックが発生して進行するのに時間がかかるようになる。
【0034】
テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、幅)(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸74に垂直な方向)は、シート70の長さ78(例えば、厚み)の約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部の長さ76(例えば、幅)は、シート70の厚さ78の約10倍である。接合部72の先細りは、先細りの接合部72が屈曲する際の応力を分散させる。
【0035】
接合剤は、テーパ状端部80、82の間の界面102に沿って配置される。接合剤に起因して、テーパ付き接合部72に沿った領域における本体60の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78よりも大きくなってもよい。位置100における本体60の内面は、余分な接合剤を除去するために研磨されてもよく、位置100における本体60の外面には、余分な接合剤が残っていてもよい。
【0036】
図9は、テーパ付き接合部72を有する(例えば、片側に完全なランプを有し、片側に段差を有する)スキャンウィンドウなどの接合部材50の本体60の一部を示す端面図である。シート70は、テーパ付き接合部72を形成するために重なり合う端部80,82を有する。より具体的には、端部80、82は、テーパ付き接合部72を形成するために、互いにテーパ状に重なり合っている。一方のテーパ付き端部80は、嵌合点(mating point)で終了する完全なランプを有する。他方のテーパ付き端部82は、段差104(例えば、嵌合段差104)で終了する部分的なランプを有している。言い換えれば、各テーパ付き端部80、82は、テーパ開始位置98(例えば、上流位置)から端部80、82の最も遠位の位置の終了位置100(例えば、下流位置)まで厚さ78が減少する。図9に描かれているように、テーパ付き端部80は、開始位置98から段差104まで、テーパ付き接合部72の長さ76に沿って厚さ78を連続的に減少又は狭くしている。テーパ端部82は、開始位置98から嵌合位置まで、テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、幅)に沿って厚さ78が連続的に減少または狭くなっている。段差104は、約0.25mm(±0.05mm)の長さ106(例えば、厚み)を有する。テーパの始点におけるテーパ付き端部80、82の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78とほぼ同じである。特定の実施形態では、厚み78は、約1.5ミリメートル(mm)(±0.05mm)以下であってよい。特定の実施形態では、厚さ78は、約1.0ミリメートル(±0.05ミリメートル)以下であってもよい。テーパ付き接合部72の利用により、シート70の厚み78を1.0mm(±0.05mm)以下とすることができる。また、テーパ開始位置98の厚み78は、他のタイプの接合部と比較して、本体60の屈曲下でクラックが発生して進行するのに時間がかかるようになる。
【0037】
テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、幅)(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸74に垂直な方向)は、シート70の長さ78(例えば、厚み)の約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部の長さ76(例えば、幅)は、シート70の厚さ78の約10倍である。接合部72の先細りは、テーパ付き接合部72が屈曲する際の応力を分散させる。
【0038】
接合剤は、テーパ状端部80、82の間の界面(interface:インタフェース)102に沿って配置される。接合剤に起因して、テーパ付き接合部72に沿った領域における本体60の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78よりも大きくなってもよい。位置100における本体60の内面は、余分な接合剤を除去するために研磨されてもよく、位置100における本体60の外面には、余分な接合剤が残っていてもよい。
【0039】
図10は、テーパ付き接合部72を有する(例えば、両側に嵌合半径を有する)スキャンウィンドウなどの接合部材50の本体60の一部を示す端面図である。シート70は、テーパ付き接合部72を形成するために一緒に接合され得るか又は重なり合っている端部80、82を有する。より具体的には、端部80、82は、テーパ付き接合部72を形成するために、互いにテーパ状に重なり合っている。各テーパ付き端部80、82は、厚さ78で狭くなる半径108(例えば、丸みを帯びた端部)で終わる。特に、各テーパ付き端部80、82は、最初、テーパ開始位置98(例えば、上流位置)から厚さ78が減少している。その後、各テーパ付き端部80、82は、半径108まで、ほぼ一定の厚み78を有する。半径108から始まる各テーパ付き端部80、82は、端部80、82の最も遠位の位置の終了位置100(例えば、下流位置)まで、厚み78を連続的に減少させる。テーパの始まりにおけるテーパ付き端部80、82の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78とほぼ同じである。特定の実施形態では、厚み78は、約1.5ミリメートル(mm)(±0.05mm)以下であってよい。特定の実施形態では、厚さ78は、約1.0ミリメートル(±0.05ミリメートル)以下であってもよい。テーパ付き接合部72の利用により、シート70の厚み78を1.0mm(±0.05mm)以下とすることができる。また、テーパ開始位置98の厚み78は、他のタイプの接合部と比較して、本体60の屈曲下でクラックが発生して進行するのに時間がかかるようになる。
【0040】
テーパ付き接合部72の長さ76(例えば、幅)(例えば、スキャンウインドウ50の中心軸74に垂直な方向)は、シート70の長さ78(例えば、厚み)の約5倍~20倍である。特定の実施形態では、接合部の長さ76(例えば、幅)は、シート70の厚さ78の約10倍である。接合部72の先細りにより、テーパ付き接合部72が撓むと応力が分散される。
【0041】
接合剤は、テーパ状端部80、82の間の界面102に沿って配置される。接合剤に起因して、テーパ付き接合部72に沿った領域における本体60の厚さ78は、テーパ付き接合部72の外側の位置におけるシート70の厚さ78よりも大きくなってもよい。位置100における本体60の内面は、余分な接合剤を除去するために研磨されてもよく、位置100における本体60の外面には、余分な接合剤が残っていてもよい。
【0042】
図11は、スキャンウィンドウ等の被接合部材50の本体部60を示す透視図である。被接合部材50の本体60は、複数のシート70(例えば、第1のシート110と第2のシート112、図12にも描かれている)で構成されている。図12は、図11における被接合部材50の本体部60を形成するための複数のシート70(例えば、第1のシート110と第2のシート112)を示す上面図である。図11に描かれるように、複数のシート70(例えば、第1のシート110と第の2シート112)は、複数のテーパ付き接合部72(例えば、第1のテーパ付き接合部114と第2のテーパ付き接合部116)を介して結合される。 図11及び図12に描かれるように、各シート110、112は、テーパ付き端部80、82を有する。第1のシート110の端部80と第2のシート112の端部82は、一緒に接合されて(接合剤を介して固定されて)、第1のテーパ付き接合部114を形成している。第1のシート110の端部80と第2のシート112の端部82とは、互いに接合され(接合剤を介して固定され)、第2のテーパ付き接合部116が形成される。テーパ付き接合部114,116は、上述したようなものであってもよい。特定の実施形態では、被接合部材50を形成するためのシート70及びテーパ付き接合部の数は、2つ以上であってもよい。
【0043】
上述したように、テーパ付き接合部は、円筒形状を有する任意の可撓性部材と共に利用されてもよい。例えば、図13は、テーパ付き接合部120を有する円筒状部材118を描いている。円筒状部材118は、可撓性材料からなる側壁122を含む。側壁122の円筒形状は、シート122の端部を接合剤で接合して固定することにより、テーパ付き接合部120を形成している。テーパ付き接合部120は、上述したようなものであってもよい。側壁122の可撓性材料は、円筒部材118を所望のように利用できるように、所望の可撓性と材料強度を有する任意のプラスチック材料からなるものであってよい。円筒状部材118は、第1の端部124及び第2の端部126を含む。円筒状部材118の一方または両方の端部124,126は、開いていても閉じていてもよい。
【0044】
開示された実施形態の技術的効果としては、シートの端部同士を結合して工学的接合部(例えば、テーパ付き接合部)を形成することにより、スキャンウィンドウの本体を形成することが挙げられる。工学的接合部は、シートの基材の強度能力を有する。この接合部は、スキャンウィンドウの本体を形成するために使用される一般的な接合部と比較して、少なくとも3~4倍の寿命を有している。接合部は、スキャンウィンドウのIFR90を向上させることができる。また、工学的接合部は、数年にわたるスキャンウィンドウの長期的な信頼性を向上させることができる。他の接合部と比較してクラックのリスクが低いため、工学的接合部は時間の経過とともに汚染物質を受けにくくなる(これは、表面積が大きいスキャンウィンドウの問題である)。また、曲げ加工によりウィンドウの寿命が延びるため、画像処理システムのダウンタイムが短縮される。さらに、スキャンウィンドウが割れるまでの時間が長くなるため、スキャンウィンドウのクリーニングが容易になる。さらに、ハウジングとスキャンウィンドウは、患者とガントリの内部部品との間の物理的バリア(障壁)をより強固に保つ。
【0045】
本明細書で提示され、請求された技術は、現在の技術分野を実証的に改善する実用的な性質の物質的対象および具体例に参照および適用されており、そのため、抽象的、無形のまたは純粋に理論的なものではない。さらに、本明細書の末尾に付された請求項が、「[機能]を[実行]するための手段...」または「[機能]を[実行]するためのステップ...」として指定された1つ以上の要素を含む場合、かかる要素は、35 U.S.C.112(f)に基づいて解釈されることが意図されている。しかし、他の方法で指定された要素を含む請求項については、そのような要素は35 U.S.C.112(f)に基づいて解釈されないことが意図されている。
【0046】
この書面の説明は、最良の態様を含む本主題を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの製造および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含む本主題を当業者が実践することを可能にするために例を用いている。主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶ他の例を含むことができる。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
10:CTイメージングシステム 12:ガントリ 13:プリペイシェントコリメータアセンブリ 14:X線源 15:検出器アセンブリ 16:X線ビーム 18:コリメータアセンブリ 20:検出器モジュール 22:被写体 25:回転中心 26:制御システム 28:X線コントローラ 29:コリメータコントローラ 30:ガントリモータコントローラ 32:DAS 34:画像再構成器 36:コンピュータ 38:記憶装置 40:コンソール 42:ディスプレイ 44:テーブルモータコントローラ 46:テーブル 48:ガントリ開口部 50:スキャンウィンドウ 52:ハウジング 54:前面カバー 58:背面カバー 60:本体 62,64:端部部材 66,68:端部 70:シート 72:テーパ付き接合部 74:中心軸 76:幅 78:厚さ 80,82:端部 84:中央部 86,88:方向 90:シート長さ 92,94:長さ 96:角度 98:テーパ開始位置 100:テーパ終了位置 101:方向 102:界面 104:段差 106:長さ 108:半径 110:第1のシート 112:第2のシート 114,116:テーパ付き接合部 118:円筒状部材 120:テーパ付き接合部 122:側壁 124:第1の端部 126:第2の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステム用スキャンウィンドウ(50)であって、
X線透明材料で作成され、第1の端部(80)と第2の端部(82)を有する少なくとも1つの可撓性シート(70)と、
第1の端部(80)と第2の端部(82)との間に形成され、接合剤を介して固定され、少なくとも1つの可撓性シートとの接合部材を形成する少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)と、
を備える、スキャンウィンドウ(50)。
【請求項2】
第1の端部(80)と第2の端部(82)は、それぞれ第1のテーパ端部と第の2テーパ端部を含み、互いに重なり合って少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)を形成する、請求項1に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項3】
少なくとも1つの可撓性シート(70)の第1の端部(80)及び第2の端部(82)の各々は、それぞれの端部の始点からそれぞれの端部の最も遠位の位置まで連続して狭くなっている、請求項2に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項4】
第1の端部(80)と第2の端部(82)の少なくとも一方の最遠位位置が嵌合段差(104)を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項5】
第1の端部(80)と第2の端部(82)の両方の最遠位位置が嵌合段差(104)を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項6】
第1の端部(80)と第2の端部(82)の少なくとも一方の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項7】
第1の端部(80)と第2の端部(82)の両方の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項8】
第1の端部(80)の最遠位位置が嵌合段差を有し、第2の端部(82)の最遠位位置が嵌合点を有する、請求項3に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項9】
少なくとも1つの可撓性シート(70)の第1の端部(80)と第2の端部(82)の各々は、それぞれの端部の始まりで狭くなり、その後、それぞれの端部の最遠位位置の近くまで一定の厚さを有し、その後、最遠位位置まで連続して狭くなる、請求項2に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項10】
第1の端部(80)と第2の端部(82)の両方の最遠位位置が丸みを帯びている、請求項9に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項11】
第1のテーパ端部(80)と第2のテーパ端部(82)の両方のテーパの始まりが、少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)の外側の位置における少なくとも1つの可撓性シート(70)の厚さの半分であるそれぞれの厚さを有する、請求項2に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項12】
第1のテーパ端部(80)と第2のテーパ端部(82)の両方のテーパの始まりが、少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)の外側の位置における少なくとも1つの可撓性シート(70)の厚さとほぼ同じであるそれぞれの厚さを有する、請求項11に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項13】
イメージングシステム(10)がコンピュータ断層撮影システムを含む、請求項1に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項14】
少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)は、スキャンウィンドウ(50)の中心軸(74)と平行である、請求項1に記載のスキャンウィンドウ(50)。
【請求項15】
少なくとも1つのテーパ付き接合部(72)は、スキャンウィンドウ(50)の中心軸(74)と非平行である、請求項1記載のスキャンウィンドウ(50)。
【外国語明細書】