(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023122794
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230829BHJP
【FI】
B41J2/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022026504
(22)【出願日】2022-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】小林 良介
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056FA10
2C056KB13
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】チューブアセンブリを支持する支持部材の大型化を抑制する。
【解決手段】チューブアセンブリ30を支持する支持部材50は、第1側壁52と第2側壁53を有する。インクヘッド22の移動に伴って移動するチューブアセンブリ30は、インクヘッド22の移動に伴って、支持部材50内で変形可能なインクチューブ32と、インクチューブ32に沿って延びた湾曲変形するケーブル34と、インクチューブ32とケーブル34とを束ねるホルダ40を有する。ホルダ40は、インクチューブ32の長手方向に開放され、インクチューブ32が収容される収容孔を有するチューブ保持部41と、収容孔を形成する一端側の壁に設けられ、ケーブル34が収容される収容部42と、収容孔を形成する他端側の壁に設けられる摺動部43を有し、他端側の壁が第1側壁52または第2側壁53側に向けて支持部材50に支持されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するインクヘッドと、
前記インクヘッドを第1方向に移動させる移動機構と、
前記インクヘッドの前記第1方向への移動に伴って移動するチューブアセンブリと、
前記第1方向に延び、前記チューブアセンブリを支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、
底壁と、
前記底壁から上方に延び、かつ、前記第1方向に延びた第1側壁と、
前記底壁から上方に延びると共に前記第1方向に延び、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1側壁と並んで配置された第2側壁と、
を有し、
前記チューブアセンブリは、
前記インクヘッドに接続され、前記インクヘッドの前記第1方向への移動に伴って、前記第1側壁と前記第2側壁との間で湾曲して保持される変形可能なインクチューブと、
前記インクチューブに沿って延び、前記第1側壁と前記第2側壁との間で湾曲変形するフレキシブルケーブルと、
前記インクチューブと前記フレキシブルケーブルとを束ねるホルダと、
を有し、
前記ホルダは、
前記インクチューブの長手方向に開放され、前記インクチューブが収容される収容孔、および、前記収容孔を形成する複数の壁を有するチューブ保持部と、
前記複数の壁のうち、一端側の壁に設けられ、前記フレキシブルケーブルが収容される収容部と、
前記複数の壁のうち、前記収容部とは反対側の他端側の壁に設けられる摺動部と、
を有し、前記チューブ保持部の前記他端側の壁を前記第1側壁または前記第2側壁側に向けた状態で前記支持部材に支持されている、プリンタ。
【請求項2】
前記チューブアセンブリは、前記インクチューブに沿って延び、前記第1側壁と前記第2側壁との間で湾曲変形する板バネを有し、
前記板バネは、前記ホルダの前記収容部において前記フレキシブルケーブルと共に収容される、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記摺動部は、前記チューブ保持部から前記収容部の反対側に突出している、請求項1または2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記収容部は、前記チューブ保持部から前記摺動部の反対側に突出しており、
前記摺動部の突出長さは、前記収容部の突出長さよりも短い、請求項3に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記チューブアセンブリは、前記チューブ保持部における前記収容部とは反対側の他端側に設けられ、前記インクチューブに沿って延びた保護シートを有している、請求項1から4までの何れか1つに記載されたプリンタ。
【請求項6】
前記摺動部は、互いに対向して配置され、前記チューブ保持部から前記収容部の反対側に突出した第1突起および第2突起を有し、
前記第1突起における前記第2突起と対向する面には、第1溝が形成され、
前記第2突起における前記第1突起と対向する面には、第2溝が形成され、
前記保護シートは、前記第1突起と前記第2突起との間に配置され、前記第1溝と前記第2溝とに挟まれて支持されている、請求項5に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されたプリンタでは、プリンタ筐体と、記録ヘッドが搭載され、プリンタ筐体の左右方向に移動可能なキャリッジと、記録ヘッドに接続され、キャリッジの移動に合わせてU字状に湾曲変形する湾曲部を有するインクチューブと、インクチューブに沿って、湾曲部の外側に設けられる可撓性部材と、インクチューブおよび可撓性部材を保持する保持部材とを備えている。可撓性部材は、インクチューブの動きを規制するSUS板と、フレキシブル基板と、保護シートとを有している。
【0003】
上記プリンタによれば、インクチューブには、プリンタ筐体の左右方向に突出するようにU字状に湾曲変形した湾曲部が形成されている。インクチューブは、外周面に設けられた可撓性部材によって、その動きが規制されることによって、キャリッジの移動に追従してU字状の湾曲部の位置がキャリッジ移動領域内を移動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インクチューブは、U字状に湾曲しているが、インクチューブの材質などに応じて、U字状の部分の曲率半径が決定されて、U字状に湾曲した状態のインクチューブの前後方向の長さが決定される。上記プリンタでは、例えばインクチューブの湾曲部の外側に可撓性部材が設けられている。そのため、インクチューブおよび可撓性部材を支持する支持部材における前後方向の長さが、可撓性部材の厚み分、U字状に湾曲した状態のインクチューブの前後方向の長さよりも大きくなる。その結果、プリンタが前後方向に大型化するおそれがあった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクチューブを有するチューブアセンブリを支持する支持部材が大型化することを抑制可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、インクを吐出するインクヘッドと、前記インクヘッドを第1方向に移動させる移動機構と、前記インクヘッドの前記第1方向への移動に伴って移動するチューブアセンブリと、前記第1方向に延び、前記チューブアセンブリを支持する支持部材と、を備えている。前記支持部材は、底壁と、前記底壁から上方に延び、かつ、前記第1方向に延びた第1側壁と、前記底壁から上方に延びると共に前記第1方向に延び、かつ、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1側壁と並んで配置された第2側壁と、を有している。前記チューブアセンブリは、前記インクヘッドに接続され、前記インクヘッドの前記第1方向への移動に伴って、前記第1側壁と前記第2側壁との間で湾曲して保持される変形可能なインクチューブと、前記インクチューブに沿って延び、前記第1側壁と前記第2側壁との間で湾曲変形するフレキシブルケーブルと、前記インクチューブと前記フレキシブルケーブルとを束ねるホルダと、を有している。前記ホルダは、前記インクチューブの長手方向に開放され、前記インクチューブが収容される収容孔、および、前記収容孔を形成する複数の壁を有するチューブ保持部と、前記複数の壁のうち、一端側の壁に設けられ、前記フレキシブルケーブルが収容される収容部と、前記複数の壁のうち、前記収容部とは反対側の他端側の壁に設けられる摺動部と、を有し、前記チューブ保持部の前記他端側の壁を前記第1側壁または前記第2側壁側に向けた状態で支持部材に支持されている。
【0008】
上記プリンタによれば、チューブアセンブリは、支持部材の第1側壁と第2側壁との間において、フレキシブルケーブルが、湾曲するインクチューブの内側、インクチューブが、湾曲するフレキシブルケーブルの外側に配置されている。そのため、フレキシブルケーブルが外側、インクチューブが内側に配置される場合と比較して、インクチューブの湾曲した部分の曲率を大きく設定することができるため、支持部材の大型化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクチューブを有するチューブアセンブリを支持する支持部材が大型化することを抑制可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るプリンタを模式的に示した斜視図であり、チューブアセンブリおよび支持部材を示す図である。
【
図2】U字状に湾曲変形したチューブアセンブリを模式的に示した平面図である。
【
図3A】
図2の矢印Aから見たチューブアセンブリを示した模式図である。
【
図3B】複数のインクチューブがホルダに束ねられた状態を示す図であり、
図3Aから第2保護シートを省略した図である。
【
図4】
図3AのVI-VI断面におけるチューブアセンブリを模式的に示した断面図である。
【
図5】走査方向から見たときにおける支持部材の断面図であり、支持部材がチューブアセンブリを支持している状態を示す模式図である。
【
図6】チューブアセンブリのホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るプリンタの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係るプリンタ10を模式的に示した斜視図である。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれプリンタ10の前、後、左、右、上、下を示している。符号Yは走査方向を示している。走査方向Yは第1方向の一例である。例えば走査方向Yは左右方向である。符号Xは搬送方向を示している。搬送方向Xは、第1方向と平面視において交差する第2方向の一例である。ここでは、搬送方向Xは、走査方向Yと平面視において直交している。搬送方向Xは、例えば前後方向である、符号Zは、上下方向(言い換えると高さ方向)を示している。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、プリンタ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0013】
本実施形態では、プリンタ10は、インクジェット式のプリンタである。プリンタ10は、媒体5に対して印刷を行う。媒体5は例えばロール状の記録紙である。ただし、媒体5は、例えばポリ塩化ビニルやポリエステルなどの樹脂材料、アルミニウム、鉄、木材によって形成されていてもよく、媒体5を形成する材料は特に限定されるものではない。また媒体5はシート状であってもよいし、所定の形状を有する立体物であってもよい。
【0014】
図1に示すように、プリンタ10は、プリンタ本体11と、プリンタ本体11に設けられたプラテン12と、搬送機構(図示せず)と、を備えている。プラテン12は、走査方向Yおよび搬送方向Xに広がっている。プラテン12は、媒体5を支持する。プラテン12に載置された媒体5に対して印刷が行われる。上述の搬送機構は、媒体5を搬送方向Xに搬送する機構である。図示は省略するが、搬送機構は、例えばプラテン12に設けられたグリットローラと、グリットローラの上方に配置され、グリットローラと共に媒体5を挟むピンチローラと、グリットローラに接続されたフィードモータとを備えている。フィードモータが駆動してグリットローラが回転することで、媒体5は搬送方向Xに搬送される。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、ガイドレール18と、キャリッジ20と、インクヘッド22と、移動機構25とを備えている。ガイドレール18は、プラテン12の上方に配置され、走査方向Yに延びている。キャリッジ20は、ガイドレール18に係合しており、ガイドレール18に沿って走査方向Yに移動可能に構成されている。
【0016】
インクヘッド22は、キャリッジ20に設けられており、キャリッジ20と共に走査方向Yに移動可能である。インクヘッド22は、プラテン12よりも上方に配置されている。インクヘッド22は、インクを吐出する。インクヘッド22は、下方に向かって開口した複数のノズル(図示せず)を有し、当該ノズルからプラテン12に支持された媒体5に向かってインクを吐出する。ここでは、1つのインクヘッド22において、ノズルは、搬送方向Xに並んで配置されている。搬送方向Xに並んだノズルの列のことをノズル列という。ここでは、1つのインクヘッド22において、2つのノズル列が形成されている。
【0017】
インクヘッド22の数は特に限定されない。本実施形態では、インクヘッド22の数は4つである。4つのインクヘッド22は、走査方向Yに並んで配置されている。本実施形態では、ノズル列ごとに色が異なるインクを吐出する。ここでは、各インクヘッド22に2つのノズル列が形成されているため、プリンタ10は、8色のインクを吐出することが可能である。例えば各ノズル列を構成するノズルは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクなどのプロセスカラーインク、および、クリアインク、ホワイトインクなどの特色インクのうちの何れかの色のインクを吐出する。
【0018】
移動機構25は、キャリッジ20およびインクヘッド22を走査方向Yに移動させる機構である。本実施形態では、移動機構25は、キャリッジ20を走査方向Yに移動させることで、4つのインクヘッド22を走査方向Yに移動させる。移動機構25の構成は特に限定されない。移動機構25は、例えばガイドレール18の左右の両端部の周囲に設けられた左右のプーリ(図示せず)と、左右のプーリに巻き掛けられたベルト27と、一方のプーリに接続されたヘッドモータ(図示せず)とを備えている。ベルト27には、キャリッジ20が固定されている。ここでは、ヘッドモータが駆動することで、一方のプーリが回転し、ベルト27が走行する。このことで、キャリッジ20およびインクヘッド22は、走査方向Yに移動する。
【0019】
プリンタ10は、図示しない制御装置を備えている。制御装置は、例えばマイクロコンピュータによって構成されている。制御装置は、例えばホストコンピュータなどの外部機器から印刷データなどを受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリと、を備えている。詳しい図示は省略するが、制御装置は、上述の搬送機構、インクヘッド22、および、移動機構25にそれぞれ通信可能に接続されている。制御装置は、搬送機構、インクヘッド22、および、移動機構25を制御可能に構成されている。
【0020】
本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ10は、チューブアセンブリ30と、支持部材50とを備えている。チューブアセンブリ30は、インクヘッド22の走査方向Yへの移動に伴って、インクヘッド22と移動するものである。チューブアセンブリ30は、変形可能に構成されている。なお、
図1では、チューブアセンブリ30は、簡易的に描かれているが、実際には、
図2~
図5に示すような形状および構成を有している。支持部材50は、U字状に湾曲変形したチューブアセンブリ30を支持するものである。以下、チューブアセンブリ30および支持部材50について詳しく説明する。
【0021】
本実施形態では、支持部材50は、ガイドレール18、キャリッジ20およびインクヘッド22よりも後方であって、プラテン12よりも上方に配置されている。ただし、支持部材50の配置位置は特に限定されない。支持部材50は、走査方向Yに延びたものである。
【0022】
図2は、U字状に湾曲変形したチューブアセンブリ30を模式的に示した平面図である。
図3Aは、
図2の矢印Aから見たチューブアセンブリ30を示した模式図である。
図3Bは、複数のインクチューブ32がホルダ40に束ねられた状態を示す図であり、
図3Aから第2保護シート39が省略された図である。
図4は、
図3AのVI-VI断面におけるチューブアセンブリ30を模式的に示した断面図である。
図5は、走査方向Yから見たときにおける支持部材50の断面図であり、支持部材50がチューブアセンブリ30を支持している状態を示す模式図である。
図6は、チューブアセンブリ30のホルダ40を示す斜視図である。
【0023】
図5に示すように、支持部材50は、底壁51と、第1側壁52と、第2側壁53とを有している。
図1に示すように、底壁51は、プラテン12よりも上方において走査方向Yおよび搬送方向Xに広がっている。ここでは、底壁51は、搬送方向Xよりも走査方向Yに長い形状を有している。
【0024】
図5に示すように、第1側壁52は、底壁51から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第1側壁52は、底壁51の前端に連結されている。第1側壁52は、下から上に向かうに従って、底壁51から離れる方、ここでは前方に傾斜している。第1側壁52は、2段階で傾斜している。これにより、チューブアセンブリ30が第1側壁52に沿って下方に移動した場合であっても、2段階の傾斜面の境界でチューブアセンブリ30を支持することができるため、チューブアセンブリ30が底壁51に当接することを抑制できる。第1側壁52は、詳しくは、前下傾斜壁52aと、前上傾斜壁52bとを有している。前下傾斜壁52aは、底壁51に接続され、底壁51から前斜め上に延びている。前上傾斜壁52bは、前下傾斜壁52aの上端に接続され、前下傾斜壁52aから前斜め上に延びている。前上傾斜壁52bは、前下傾斜壁52aよりも急な傾斜である。ここでは、前上傾斜壁52bと底壁51とが成す角度(ここでは内角)は、前下傾斜壁52aと底壁51とが成す角度(ここでは内角)よりも小さい。
【0025】
第2側壁53は、第1側壁52と搬送方向Xで対向している。第2側壁53は、第1側壁52と搬送方向Xに並んで配置されている。第2側壁53は、底壁51から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びている。本実施形態では、第2側壁53は、第1側壁52の後方に配置されており、底壁51の後端に接続されている。第2側壁53は、下から上に向かうに従って、底壁51から離れる方、ここでは後方に傾斜している。第2側壁53は、第1側壁52と同様に2段階で傾斜している。詳しくは、第2側壁53は、後下傾斜壁53aと、後上傾斜壁53bとを有している。後下傾斜壁53aは、底壁51に接続され、底壁51から後ろ斜め上に延びている。後上傾斜壁53bは、後下傾斜壁53aの上端に接続され、後下傾斜壁53aから後ろ斜め上に延びている。後上傾斜壁53bは、後下傾斜壁53aよりも急な傾斜である。ここでは、後上傾斜壁53bと底壁51とが成す角度(ここでは内角)は、後下傾斜壁53aと底壁51とが成す角度(ここでは内角)よりも大きい。
【0026】
次に、チューブアセンブリ30について説明する。
図5に示すように、チューブアセンブリ30は、支持部材50の第1側壁52と第2側壁53との間に配置されている。チューブアセンブリ30は、第1側壁52と第2側壁53とに支持されている。
図2に示すように、チューブアセンブリ30は、帯状のものであり、一部がU字状に湾曲変形している。チューブアセンブリ30の一端は、キャリッジ20に接続されている。図示は省略するが、チューブアセンブリ30の他端は、支持部材50に固定されている。詳しくは、チューブアセンブリ30の他端は、支持部材50のうち、第2側壁53の走査方向Yの中央部分に固定されている。チューブアセンブリ30のうちのU字状に湾曲変形した部分30aは、走査方向Y(ここでは左側)に凸となっている。
図2に示す破線のように、キャリッジ20が走査方向Yに移動することで、チューブアセンブリ30が連れ動き、チューブアセンブリ30におけるU字状に湾曲変形した部分30aも走査方向Yに移動する。なお、
図2では、チューブアセンブリ30は、上下方向に延びているように図示されているが、実際には、
図5のように第1側壁52および第2側壁53に沿って上下方向Zから傾いて配置される。
図4に示すように、チューブアセンブリ30は、インクチューブ32と、フレキシブルケーブル34と、板バネ36と、第1保護シート38と、第2保護シート39と、ホルダ40とを備えている。
【0027】
インクチューブ32は、インクヘッド22にインクを供給するものであり、インクヘッド22に接続されている。インクチューブ32の数は、特に限定されないが、例えばインクヘッド22に形成されたノズル列の総数と同じである。ここでは、インクチューブ32の数は8本である。インクチューブ32は、弾性変形可能なものであり、所定の弾性力を有する。
図2に示すように、インクチューブ32は、インクヘッド22の走査方向Yへの移動に伴って、
図5に示すように、第1側壁52と第2側壁53との間でU字状に湾曲した状態で保持される。インクチューブ32は、インクヘッド22の移動に伴って移動できるように、柔軟性や可撓性を有している。インクチューブ32を形成する材料は特に限定されないが、例えば樹脂製である。
【0028】
ここでは、インクチューブ32の一端は、インクヘッド22のノズル列を構成するノズルに接続され、インクチューブ32の他端は、インクカートリッジ80(
図1参照)に接続されている。インクチューブ32の他端の位置は固定され、インクチューブ32の一端の位置は、インクヘッド22の移動に合わせて移動する。
図1のインクカートリッジ80には、インクチューブ32に接続されたインクヘッド22のノズル列から吐出される色のインクが収容されている。インクカートリッジ80に収容されたインクは、インクチューブ32を通ってインクヘッド22に供給される。インクカートリッジ80の数は、インクチューブ32の数と同じであり、ここでは8つである。
【0029】
フレキシブルケーブル34は、各インクヘッド22に電気的に接続されている。図示は省略するが、フレキシブルケーブル34の一端は、インクヘッド22に接続され、フレキシブルケーブル34の他端は、上述の制御装置に接続されている。制御装置は、フレキシブルケーブル34を介してインクヘッド22に信号を送信する。インクヘッド22は、制御装置から送信された信号を受信し、当該信号に基づいてインクを吐出する。
【0030】
図2に示すように、フレキシブルケーブル34は、インクチューブ32に沿って延びている。フレキシブルケーブル34は、第1側壁52と第2側壁53との間でU字状に湾曲変形している。なお、
図2および
図5では、見易くするという観点から、フレキシブルケーブル34と、板バネ36と、第1保護シート38は、まとめて図示されている。
図4に示すように、フレキシブルケーブル34は、例えば扁平状の形状を有しているが、フレキシブルケーブル34の形状は特に限定されない。本実施形態では、フレキシブルケーブル34の数は、2つであるが、特に限定されない。フレキシブルケーブル34の数は、制御装置による制御内容に応じて設定され、例えば1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。フレキシブルケーブル34は、インクヘッド22の移動に合わせて変形可能なように、柔軟性や可撓性を有している。
【0031】
図2に示すように、板バネ36は、インクチューブ32およびフレキシブルケーブル34に沿って延びたものである。板バネ36は、第1側壁52と第2側壁53との間でU字状に湾曲変形している。
図4に示すように、板バネ36は、フレキシブルケーブル34と重なるように配置されている。板バネ36は、所定の弾性力を有している。本実施形態では、
図2に示すように、チューブアセンブリ30がU字状に湾曲変形しているとき、板バネ36もU字状に湾曲変形している。このとき、板バネ36は、U字状に湾曲している状態から平らな状態に戻るような向きに弾性力を付与する。このように、平らな面に戻るときに働く力のことを反発力という。板バネ36は、湾曲して変形しているときに反発力を有している。なお、板バネ36の数は特に限定されない。本実施形態では、
図4に示すように、板バネ36は1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0032】
ホルダ40は、インクチューブ32(詳しくは8本のインクチューブ32)と、フレキシブルケーブル34と、板バネ36とを束ねるものである。
図2に示すように、ホルダ40は、インクチューブ32、フレキシブルケーブル34および板バネ36が延びている方向に沿って、所定の間隔(例えば等間隔)で配置されている。
図6に示すように、ホルダ40は、チューブ保持部41と、収容部42と、摺動部43とを有している。
【0033】
図3Bに示すように、チューブ保持部41は、複数のインクチューブ32(ここでは8本のインクチューブ32)を束ねて保持するものである。本実施形態では、
図5に示すように、チューブ保持部41は、第1側壁52または第2側壁53に沿った方向が長い環状のものである。しかしながら、チューブ保持部41は、複数のインクチューブ32を保持するものであれば、環状に限定されない。
【0034】
本実施形態では、チューブ保持部41には、収容孔95が形成されている。収容孔95には、インクチューブ32(ここでは8本のインクチューブ32)が収容され、かつ、挿入されている。収容孔95は、インクチューブ32の長手方向に開放(言い換えると開口)されている。すなわち、収容孔95は、インクチューブ32が差し込まれる方向に開放されている。
【0035】
チューブ保持部41は、収容孔95を形成する複数の壁90を有している。本実施形態では、
図6に示すように、複数の壁90は、一対の第1対向壁91および第2対向壁92と、上壁93と、下壁94とによって構成されている。
図5に示すように、第1対向壁91および第2対向壁92は、第1側壁52または第2側壁53に沿って延びた壁であり、第1側壁52または第2側壁53と対向している。ここでは、第1対向壁91は、第2対向壁92よりも第1側壁52または第2側壁53から離れた位置に配置されている。上壁93および下壁94は、第1対向壁91および第2対向壁92と直交する方向に延びている。上壁93は、第1対向壁91および第2対向壁92におけるそれぞれの上端に接続されている。下壁94は、第1対向壁91および第2対向壁92におけるそれぞれの下端に接続されている。
【0036】
本実施形態では、走査方向Yから見たとき、第1対向壁91と第2対向壁92とは、長手方向の長さ同じであり、上壁93と下壁94とは、長手方向の長さが同じである。走査方向Yから見たとき、第1対向壁91および第2対向壁92は、上壁93および下壁94よりも長い。収容孔95は、第1対向壁91、第2対向壁92、上壁93および下壁94に囲まれており、矩形状であるが、収容孔95の形状は特に限定されない。本実施形態では、複数のインクチューブ32は、第1対向壁91および第2対向壁92に沿うように配置されて、収容孔95に収容されている。
【0037】
なお、ここでは、
図6に示すように、収容孔95は、隔壁96によって第1収容孔95aと第2収容孔95bとに区画される。隔壁96によってチューブ保持部41の剛性を高めることができる。隔壁96は、上壁93と下壁94との間に配置されており、第1対向壁91および第2対向壁92と直交する方向に延びている。隔壁96は、第1対向壁91および第2対向壁92の中央部分に接続されている。ただし、隔壁96は、第1対向壁91および第2対向壁92の中央部分から上方または下方にズレた位置に配置されていてもよい。また、隔壁96は、省略されてもよい。例えばチューブ保持部41が保持するインクチューブ32の本数が少なく、第1対向壁91および第2対向壁92の長手方向の長さが短い場合には、隔壁96は省略されてもよい。ここでは、
図4に示すように、第1収容孔95aおよび第2収容孔95bには、インクチューブ32が4本ずつ収容されている。
【0038】
収容部42には、フレキシブルケーブル34および板バネ36が収容されている。収容部42は、チューブ保持部41の一端側に設けられている。すなわち、収容部42は、収容孔95を形成する複数の壁90のうち、一端側の壁(ここでは、第1対向壁91)に設けられている。ここでは、
図5に示すように、チューブアセンブリ30が支持部材50に支持されている状態、すなわち第1側壁52と第2側壁53との間に配置されている状態において、収容部42は、チューブ保持部41の内側、すなわちインクチューブ32の内側に配置されている。
【0039】
なお、ここで内側とは、前側のチューブ保持部41に対して第1側壁52側と反対側、または、後側のチューブ保持部41に対して第2側壁53側と反対側(言い換えると、支持部材50の中心側)をいう。外側とは、前側のチューブ保持部41に対して第1側壁52側、または、後側のチューブ保持部41に対して第2側壁53側(言い換えると、支持部材50の中心側と反対側)をいう。
【0040】
図4に示すように、収容部42は、チューブ保持部41から突出する突起によって構成されている。ここでは、収容部42は、チューブ保持部41の第1対向壁91から第2対向壁92とは反対側に向かって突出している。本実施形態では、収容部42は、第1収容突起61と、第2収容突起62とを有している。第1収容突起61と、第2収容突起62は、チューブ保持部41の第1対向壁91に設けられている。第1収容突起61と第2収容突起62とは、第1対向壁91の長手方向に沿って並んで配置されている。第1収容突起61と第2収容突起62とは、互いに対向している。
【0041】
ここでは、第1収容突起61と第2収容突起62との間に、フレキシブルケーブル34および板バネ36が配置される。詳しくは、第1収容突起61における第2収容突起62と対向する面には、第1収容溝63が形成されている。第2収容突起62における第1収容突起61と対向する面には、第2収容溝64が形成されている。第1収容溝63と第2収容溝64とは、向かい合っている。フレキシブルケーブル34および板バネ36は、一部が第1収容溝63および第2収容溝64に挿入されて、第1収容溝63と第2収容溝64とに挟まれて支持されている。
【0042】
本実施形態では、収容部42内において、チューブ保持部41から離れる方向に向かって、2つのフレキシブルケーブル34、1つの板バネ36の順に重ねられて収容されている。すなわち、チューブアセンブリ30が支持部材50に支持されている状態において、板バネ36は、フレキシブルケーブル34よりも内側に配置される。
【0043】
ここでは、2つのフレキシブルケーブル34の間、および、フレキシブルケーブル34と板バネ36との間には、第1保護シート38が配置されている。第1保護シート38は、インクチューブ32に沿って延びた帯状のものであり、言い換えるとフレキシブルケーブル34および板バネ36に沿って延びたものである。第1保護シート38は、樹脂で形成された樹脂シートである。ただし、第1保護シート38の材質は特に限定されない。
【0044】
本実施形態では、第1保護シート38は、フレキシブルケーブル34とチューブ保持部41との間にも配置されている。第1保護シート38は、板バネ36を覆うように配置され、言い換えると、板バネ36におけるフレキシブルケーブル34と反対側の面にも配置されている。本実施形態では、収容部42内において、チューブ保持部41から離れる方向に向かって、第1保護シート38、フレキシブルケーブル34、第1保護シート38、フレキシブルケーブル34、第1保護シート38、板バネ36、第1保護シート38の順に重ねられている。なお、板バネ36が複数の場合には、板バネ36と板バネ36との間にも第1保護シート38が配置されていてもよい。
【0045】
図5に示すように、摺動部43は、インクヘッド22の走査方向Yへの移動に伴って、支持部材50の第1側壁52または第2側壁53に接触して摺動するものである。摺動部43は、収容部42とは反対側のチューブ保持部41の他端側に設けられている。すなわち、摺動部43は、収容孔95を形成する複数の壁90のうち、他端側の壁(ここでは、第2対向壁92)に設けられている。チューブ保持部41は、収容部42と摺動部43とに挟まれるように配置されている。ここでは、チューブアセンブリ30が支持部材50に支持されている状態、すなわち第1側壁52と第2側壁53との間に配置されている状態において、摺動部43は、チューブ保持部41の外側、すなわちインクチューブ32の外側に配置されている。
【0046】
摺動部43は、チューブ保持部41から収容部42の反対側に突出する突起によって構成されている。ここでは、
図4に示すように、摺動部43は、チューブ保持部41の第2対向壁92から第1対向壁91とは反対側に向かって突出している。本実施形態では、摺動部43は、第1突起71と、第2突起72とを有している。第1突起71と第2突起72は、チューブ保持部41の第2対向壁92に設けられている。第1突起71と第2突起72とは、第2対向壁92の長手方向に沿って並んで配置されている。第1突起71と第2突起72とは、互いに対向している。
図5に示すように、チューブアセンブリ30が支持部材50に支持されている状態において、第1突起71および第2突起72は、第1側壁52または第2側壁53に向かって突出しており、第1突起71および第2突起72のそれぞれの先端部が第1側壁52または第2側壁53に接触する。
【0047】
本実施形態では、チューブ保持部41における摺動部43側には、第2保護シート39が設けられている。第2保護シート39は、本発明の保護シートの一例である。
図5に示すように、第2保護シート39は、インクチューブ32よりも外側、ここではインクチューブ32よりも第1側壁52側または第2側壁53側に配置されている。第2保護シート39は、第1保護シート38と同様に、インクチューブ32に沿って延びており、
図3Aに示すように、帯状のものである。第2保護シート39は、樹脂で形成された樹脂シートである。ただし、第2保護シート39の材質は特に限定されない。また、第2保護シート39の数は、本実施形態では1つであるが、特に限定されない。第2保護シート39の数は、2つ以上であってもよい。
【0048】
本実施形態では、
図4に示すように、第2保護シート39は、ホルダ40の摺動部43に収容されている。第2保護シート39は、摺動部43の第1突起71と第2突起72との間に配置されている。本実施形態では、第1突起71における第2突起72と対向する面には、第1溝73が形成されている。第2突起72における第1突起71と対向する面には、第2溝74が形成されている。第1溝73と第2溝74とは、向かい合っている。第2保護シート39は、一部が第1溝73および第2溝74に挿入されて、第1溝73と第2溝74とに挟まれて支持されている。
【0049】
本実施形態では、摺動部43の突出長さL1は、収容部42の突出長さL2よりも短い。ここで、突出長さL1は、摺動部43における支持部材50の第1対向壁91(または第2対向壁92)の長手方向と直交する方向の最大の長さのことである。突出長さL1は、摺動部43の第1突起71(または第2突起72)の突出長さでもある。突出長さL2は、収容部42における支持部材50の第1対向壁91(または第2対向壁92)の長手方向と直交する方向の最大の長さのことである。突出長さL2は、収容部42の第1収容突起61(または第2収容突起62)の突出長さでもある。
【0050】
以上、チューブアセンブリ30の構成について説明した。本実施形態では、
図2に示すように、チューブアセンブリ30は、平面視において走査方向Yに凸になるように、U字状に湾曲変形した状態で、支持部材50に支持される。ここでは、チューブアセンブリ30は、U字状に湾曲変形した状態で、支持部材50の第1側壁52と第2側壁53との間に配置される。移動機構25によってインクヘッド22が走査方向Yに移動しているときには、チューブアセンブリ30は、第1側壁52と第2側壁53との間で、U字状に湾曲変形した部分30aの位置が変更されながら、インクヘッド22と連れ動く。
【0051】
本実施形態では、
図5に示すように、チューブアセンブリ30が、第1側壁52と第2側壁53との間に配置されているとき、ホルダ40の収容部42は、チューブ保持部41よりも内側に配置され、ホルダ40の摺動部43は、チューブ保持部41よりも外側に配置される。このとき、摺動部43の第1突起71および第2突起72は、第1側壁52(詳しくは前上傾斜壁52b)または第2側壁53(詳しくは後上傾斜壁53b)に接触する。チューブアセンブリ30は、U字状に湾曲変形している状態において、インクチューブ32、フレキシブルケーブル34および板バネ36の反発力によって、前後方向Xに広がる力が矢印Bの向きに働く。そのため、チューブアセンブリ30の下端部の前部は、第1側壁52に当て付けられて、前方に傾いて配置される。このとき、チューブアセンブリ30の下端部の前部に配置されたホルダ40の摺動部43が、第1側壁52に接触する。同様に、チューブアセンブリ30の下端部の後部は、第2側壁53に当て付けられて、後方に傾いて配置される。このとき、チューブアセンブリ30の下端部の後部に配置されたホルダ40の摺動部43が、第2側壁53に接触する。
【0052】
以上、本実施形態では、
図1に示すように、プリンタ10は、インクヘッド22の走査方向Yへの移動に伴って移動するチューブアセンブリ30と、走査方向Yに延び、チューブアセンブリ30を支持する支持部材50とを備えている。
図5に示すように、支持部材50は、底壁51と、底壁51から上方に延び、かつ、走査方向Yに延びた第1側壁52と、底壁51から上方に延びると共に走査方向Yに延び、かつ、走査方向Yと交差する搬送方向Xに第1側壁52と並んで配置された第2側壁53とを有している。チューブアセンブリ30は、インクヘッド22に接続され、インクヘッド22の走査方向Yへの移動に伴って、第1側壁52と第2側壁53との間で湾曲して保持される変形可能なインクチューブ32と、インクチューブ32に沿って延び、第1側壁52と第2側壁53との間で湾曲変形するフレキシブルケーブル34と、インクチューブ32とフレキシブルケーブル34とを束ねるホルダ40と、を有している。ホルダ40は、インクチューブ32の長手方向に開放され、インクチューブ32が収容される収容孔95、および、収容孔95を形成する複数の壁90を有するチューブ保持部41と、複数の壁90のうち、一端側の壁(ここでは第1対向壁91)に設けられ、フレキシブルケーブル34が収容される収容部42と、複数の壁90のうち、収容部42とは反対側の他端側の壁(ここでは第2対向壁92)に設けられる摺動部43と、を有し、チューブ保持部41の第2対向壁92を第1側壁52または第2側壁53側に向けた状態で支持部材50に支持されている。
【0053】
このことによって、チューブアセンブリ30は、支持部材50の第1側壁52と第2側壁53との間において、フレキシブルケーブル34が、湾曲するインクチューブ32の内側、インクチューブ32が、湾曲するフレキシブルケーブル34の外側に配置されることができる。そのため、フレキシブルケーブル34が外側、インクチューブ32が内側に配置される場合と比較して、インクチューブ32の湾曲した部分の曲率を大きく設定することができるため、支持部材50の特に搬送方向Xの大型化を抑制することができる。ここで、インクチューブ32の湾曲した部分は、インクの流路を形成する部分であるため、当該湾曲した部分の曲率が小さいとインクの流れが遅くなったり、インクチューブ32の劣化などが発生し易くなったりすることがあり得る。そのため、インクチューブ32の湾曲した部分の曲率は、一定の曲率を確保することが必要になる。この曲率を確保することができるように、第1側壁52と第2側壁53との間隔が設定される。ここで、本実施形態のように、フレキシブルケーブル34が内側、インクチューブ32が外側に配置されることで、支持部材50の第1側壁52に支持されるインクチューブ32の部分と、第2側壁53に支持されるインクチューブ32の部分との間隔を、フレキシブルケーブル34が外側、インクチューブ32が内側に配置される場合と比較して、広く設定することができるため、当該間隔が広い分、インクチューブ32の湾曲した部分の曲率を大きく設定することができる。一方、フレキシブルケーブル34が外側、インクチューブ32が内側に配置されたために、インクチューブ32の湾曲した部分の曲率を確保できない場合には、第1側壁52と第2側壁53との間隔を広げるなどの対策が必要になるため、支持部材50が大型化となる。よって、チューブアセンブリ30では、インクヘッド22の移動によって連れ動く場合に、ホルダ40の摺動部43を第1側壁52または第2側壁53に接触させることで、インクチューブ32が第1側壁52または第2側壁53と接触することを防止することができると共に、インクチューブ32の湾曲した部分について一定の曲率を確保しつつ、支持部材50の大型化を抑制することができる。
【0054】
本実施形態では、チューブアセンブリ30は、インクチューブ32に沿って延び、第1側壁52と第2側壁53との間で湾曲変形する板バネ36を有している。板バネ36は、ホルダ40の収容部42においてフレキシブルケーブル34と共に収容されている。このことによって、板バネ36の反発力によって、湾曲部分の外側(前後方向X)に広がる力が矢印Bの向きに働く。よって、フレキシブルケーブル34は、板バネ36の反発力によって第1側壁52および第2側壁53に向かって撓み易くなる。したがって、フレキシブルケーブル34が支持部材50の内側に向かって撓むことを抑制することができる。
【0055】
本実施形態では、摺動部43は、チューブ保持部41から収容部42の反対側に突出している。このことによって、チューブアセンブリ30が支持部材50の第1側壁52と第2側壁53とに支持されている状態において、突出した摺動部43が第1側壁52または第2側壁53に接触するため、インクチューブ32と第1側壁52との距離、および、インクチューブ32と第2側壁53との距離を、摺動部43の突出長さL1(
図4参照)分、長くすることができる。よって、インクヘッド22が走査方向Yに移動してチューブアセンブリ30が連れ動いているときに、インクチューブ32が、第1側壁52および第2側壁53に接触し難くすることができる。
【0056】
本実施形態では、
図4に示すように、収容部42は、チューブ保持部41から摺動部43の反対側に突出している。摺動部43の突出長さL1は、収容部42の突出長さL2よりも短い。仮にチューブ保持部41の支持部材50(ここでは、第1側壁52または第2側壁53)側(言い換えると、チューブ保持部41の外側)に収容部42を設けた場合、収容部42に収容されるフレキシブルケーブル34の厚み分、収容部42の突出長さ(ここでは、チューブ保持部41から支持部材50(例えば第1側壁52または第2側壁53)に向かう長さ)を長くする必要がある。しかしながら、本実施形態では、収容部42をチューブ保持部41の内側に設け、摺動部43をチューブ保持部41の外側に設けている。そのため、チューブ保持部41から支持部材50(例えば第1側壁52または第2側壁53)までの長さを、フレキシブルケーブル34の厚み分、確保する必要がない。よって、チューブ保持部41における支持部材50側に収容部42を設けた場合と比較して、チューブ保持部41から支持部材50(ここでは、第1側壁52または第2側壁53)側へ突出させる摺動部43の突出長さL1を短くすることができる。このことによって、摺動部43の突出長さL1を、収容部42の突出長さL2よりも短くすることで、チューブ保持部41の支持部材50側に収容部42を設けた場合と比較して、インクチューブ32が湾曲しているときの曲率半径を大きく設定することができる。したがって、第1側壁52と第2側壁53との間の距離を大きくすることなく、インクチューブ32の曲率半径を確保することができるため、プリンタ本体11が前後方向(ここでは搬送方向X)に大型化することを抑制することができる。
【0057】
本実施形態では、チューブアセンブリ30は、チューブ保持部41における収容部42とは反対側の他端側に設けられ、インクチューブ32に沿って延びた第2保護シート39を有している。このことによって、
図5に示すように、摺動部43がチューブ保持部41よりも外側に配置されるようにチューブアセンブリ30をU字状に湾曲変形させたとき、インクチューブ32と第1側壁52との間、および、インクチューブ32と第2側壁53との間には、第2保護シート39が配置される。よって、インクヘッド22が走査方向Yに移動しているときに、インクチューブ32が第1側壁52および第2側壁53に直接接触し難くすることができる。
【0058】
本実施形態では、
図4に示すように、摺動部43は、互いに対向して配置され、チューブ保持部41から収容部42の反対側に突出した第1突起71および第2突起72を有している。第1突起71における第2突起72と対向する面には、第1溝73が形成されている。第2突起72における第1突起71と対向する面には、第2溝74が形成されている。第2保護シート39は、第1突起71と第2突起72との間に配置され、第1溝73と第2溝74とに挟まれて支持されている。このように、第1突起71の第1溝73と、第2突起72の第2溝74とに第2保護シート39を挟むという簡単な方法で、第2保護シート39を、チューブ保持部41の摺動部43側に配置することができる。
【符号の説明】
【0059】
10 プリンタ
22 インクヘッド
25 移動機構
30 チューブアセンブリ
32 インクチューブ
34 フレキシブルケーブル
36 板バネ
38 第1保護シート
39 第2保護シート(保護シート)
40 ホルダ
41 チューブ保持部
42 収容部
43 摺動部
50 支持部材
51 底壁
52 第1側壁
53 第2側壁
71 第1突起
72 第2突起
73 第1溝
74 第2溝
X 搬送方向(前後方向、第2方向)
Y 走査方向(左右方向、第1方向)