(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012285
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】摩擦帯電発電機
(51)【国際特許分類】
H02N 1/04 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
H02N1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115826
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 豪男
(72)【発明者】
【氏名】城谷 友保
(72)【発明者】
【氏名】崔 ▲ジュン▼豪
(72)【発明者】
【氏名】ハレビル ラマスワミー シュリハシャ
(72)【発明者】
【氏名】高 莽
(57)【要約】
【課題】簡素化された加工工程で電極を形成することができる摩擦帯電発電機を提供する。
【解決手段】摩擦帯電発電機11は、回転軸線12a回りで回転自在に支持されて、回転軸線12aに同軸に回転軸線12a周りに連続する第1環状域14を有する回転体12と、第1環状域14に向き合わせられて回転軸線12aに同軸に回転軸線12a周りに連続する第2環状域15を有する支持体13と、支持体13に形成されて、グラウンドに接続される電極18と、第1環状域14に配置されて、第1素材で形成される第1接触面17aを有する第1帯電体17と、第2環状域15に配置されて電極18に接続され、第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて第1接触面17aに接触し第1接触面17aから離隔する第2接触面19aを有する第2帯電体19とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸線回りで回転自在に支持されて、前記回転軸線に同軸に前記回転軸線周りに連続する第1環状域を有する回転体と、
前記第1環状域に向き合わせられて前記回転軸線に同軸に前記回転軸線周りに連続する第2環状域を有する支持体と、
前記支持体に形成されて、グラウンドに接続される電極と、
前記第1環状域に配置されて、第1素材で形成される第1接触面を有する第1帯電体と、
前記第2環状域に配置されて前記電極に接続され、前記第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて前記第1接触面に接触し前記第1接触面から離隔する第2接触面を有する第2帯電体と
を備えることを特徴とする摩擦帯電発電機。
【請求項2】
グラウンドに接続される電極と、
前記電極から切り離され、特定方向に配列されて第1素材で形成される複数の第1接触面を有する第1帯電体と、
前記電極に固定され、前記第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて前記特定方向に配列され前記第1接触面に接触し前記第1接触面から離隔する第2接触面を有する第2帯電体とを備え、
前記特定方向に前記第1接触面の大きさは前記第2接触面同士の間隔以下に設定され前記第2接触面の大きさは前記第1接触面同士の間隔以下に設定される
ことを特徴とする摩擦帯電発電機。
【請求項3】
請求項2に記載の摩擦帯電発電機において、前記特定方向に、前記第1接触面は前記第2接触面と同じ大きさを有することを特徴とする摩擦帯電発電機。
【請求項4】
請求項2または3に記載の摩擦帯電発電機において、前記第2接触面は、前記特定方向に等間隔で配置される前記第1接触面に同位相で配列されることを特徴とする摩擦帯電発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1素材で形成される第1接触面を有する第1帯電体と、第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて第1接触面に接触し第1接触面から離隔する第2接触面を有する第2帯電体とを備える摩擦帯電発電機に関する。
【0002】
なお、摩擦帯電は、2つの物質が接触した際に発生する接触帯電と、2つの物質が接触状態から分離した際に発生する剥離帯電と、物質が導電体の場合に発生する誘導帯電とを含む。
【背景技術】
【0003】
非特許文献1は、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)で形成される第1帯電体と、FEPに接触すると帯電するアルミニウムで形成される第2帯電体とを有する摩擦帯電発電機を開示する。第1帯電体は1列に平行片を並べた格子形状に形作られる。第2帯電体は第1電極および第2電極に分割される。第1電極および第2電極は相互に噛み合う櫛歯形状に形作られる。第1電極の歯片と第2電極の歯片とは交互に一列に並ぶ。第1帯電体が平行片の列方向に移動すると、平行片は第1電極および第2電極に交互に接触する。第1電極および第2電極で交互に発電は実現される。非特許文献1では、第1電極および第2電極は相互に接続される。第1電極および第2電極の間に負荷は接続される。負荷には第1方向および第1方向に反対向きの第2方向から交互に電圧は作用する(電流は流通する)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yannan Xie外,「Grating-Structured Freestanding Triboelectric-Layer Nanogenerator for Harvesting Mechanical Energy at 85% Total Conversion Efficiency」,ADVANCED MATERIALS,ドイツ,Wiley Online Library,2014年8月25日,第26巻,p.6599-6607
【非特許文献2】Daehwan Choi外,「A Self-Powered Smart Roller-Bearing Based on a Triboelectri Nanogenerator for Measurement of Rotation Movement」,ADVANCED MATERIALS TECHNOLOGIES,ドイツ,Wiley Online Library,2018年12月14日,第3巻,1800219
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1に記載の摩擦帯電発電機では、第2帯電体は、相互に噛み合う櫛歯形状に分割されることから、第2帯電体の加工が煩雑だった。しかも、第1電極および第2電極の間に負荷が接続されることから、電気回路の配線は複雑化してしまう。
【0006】
本発明は、簡素化された加工工程で電極を形成することができる摩擦帯電発電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面によれば、回転軸線回りで回転自在に支持されて、前記回転軸線に同軸に前記回転軸線周りに連続する第1環状域を有する回転体と、前記第1環状域に向き合わせられて前記回転軸線に同軸に前記回転軸線周りに連続する第2環状域を有する支持体と、前記支持体に形成されて、グラウンドに接続される電極と、前記第1環状域に配置されて、第1素材で形成される第1接触面を有する第1帯電体と、前記第2環状域に配置されて前記電極に接続され、前記第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて前記第1接触面に接触し前記第1接触面から離隔する第2接触面を有する第2帯電体とを備える摩擦帯電発電機は提供される。
【0008】
第1接触面に第2接触面が接触すると、第2接触面に沿って第2帯電体内に電荷の偏在が生じる。第2接触面は帯電する。第2接触面の帯電に応じて電極およびグラウンドの間で電圧が作用する。摩擦帯電に基づき発電は実現される。
【0009】
電圧の取り出しにあたって電極はグラウンドに接続される。1つの電極から電圧は取り出されることができる。したがって、電極の加工は簡素化されることができる。しかも、1つの電極とグラウンドとの間に負荷は接続されればよく、電気回路の配線は簡素化されることができる。
【0010】
ここでは、回転体の回転動作に応じて第1接触面および第2接触面の相対変位は実現されることができる。したがって、簡単な構造で定常的に電圧は生成されることができる。回転体の回転動作に応じて安定的に電圧は生成されることができる。
【0011】
本発明の第2側面によれば、グラウンドに接続される電極と、前記電極から切り離され、特定方向に配列されて第1素材で形成される複数の第1接触面を有する第1帯電体と、前記電極に固定され、前記第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成されて前記特定方向に配列され前記第1接触面に接触し前記第1接触面から離隔する第2接触面を有する第2帯電体とを備え、前記特定方向に前記第1接触面の大きさは前記第2接触面同士の間隔以下に設定され前記第2接触面の大きさは前記第1接触面同士の間隔以下に設定される摩擦帯電発電機は提供される。
【0012】
第1接触面に第2接触面が接触すると、第2接触面に沿って第2帯電体内に電荷の偏在が生じる。第2接触面は帯電する。第2接触面の帯電に応じて電極およびグラウンドの間で電圧が作用する。摩擦帯電に基づき発電は実現される。
【0013】
電圧の取り出しにあたって電極はグラウンドに接続される。1つの電極から電圧は取り出されることができる。したがって、電極の加工は簡素化されることができる。しかも、1つの電極とグラウンドとの間に負荷は接続されればよく、電気回路の配線は簡素化されることができる。
【0014】
特定方向に第1帯電体および第2帯電体の間に相対変位が実現される際に、第2帯電体の第2接触面は1つの第1接触面に接触する。第2帯電体は2つの第1接触面に同時に接触することはない。したがって、第1接触面および第2接触面の間で接触面積の変化量は最大化されることができる。電極およびグラウンドの間で大きな電圧は生成されることができる。
【0015】
前記特定方向に、前記第1接触面は前記第2接触面と同じ大きさを有してもよい。第1接触面および第2接触面の間で効率的に接触面積は確保されることができる。電極およびグラウンドの間で効率的に電圧は生成されることができる。
【0016】
前記第2接触面は、前記特定方向に等間隔で配置される前記第1接触面に同位相で配列されてもよい。第2接触面で第1接触面との相対位置は同期することから、1電極から出力される電圧は良好に増幅されることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように開示の摩擦帯電発電機によれば、簡素化された加工工程で電極を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る摩擦帯電発電機の構成を示す概念図である。
【
図2】第1帯電体および第2帯電体の配列を示す展開図である。
【
図3】本発明の第2実施形態に係る摩擦帯電発電機の構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態に係る摩擦帯電発電機の構成を概略的に示す。摩擦帯電発電機11はいわゆるスラスト滑り軸受の構造を有する。すなわち、摩擦帯電発電機11は、回転軸線12a回りで回転自在に回転体(軸体)12を支持する軸受(支持体)13を備える。回転体12は、回転軸線12aに直交し、回転軸線12aに同軸に回転軸線12a周りに連続する第1環状域14を有する。軸受13は、回転軸線12aに直交し、回転軸線12aに同軸に回転軸線12a周りに連続する第2環状域15を有する。第2環状域15は第1環状域14に重ね合わせられる。回転軸線12aの軸方向に回転体12に作用する荷重は第1環状域14および第2環状域15経由で軸受13に受け止められる。軸受13は特定の支持部材(図示されず)に組み込まれて利用されることができる。ここでは、「向き合わせ」の概念には、第2環状域15が第1環状域14に接する「重ね合わせ」も含まれるものとする。第1環状域14と第2環状域15との間には潤滑流体(例えば潤滑油)が供給されることができる。
【0021】
摩擦帯電発電機11は、回転軸線12a回りで回転体12に駆動力を付与する駆動源16を備える。駆動力に応じて回転軸線12a回りで回転体12は回転する。回転体12の第1環状域14と軸受13の第2環状域15との間で相対変位は引き起こされる。
【0022】
回転体12の第1環状域14には第1素材で形成される第1帯電体17が固定される。第1帯電体17は周方向に1列に配列される。第1素材には例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が用いられる。第1帯電体17は第1環状域14に面一に広がる第1接触面17aを有する。第1帯電体17はPTFEといった絶縁体のほか導電体から形成されてもよい。
【0023】
軸受13は、グラウンドに接続されて、回転体12の回転軸線12a回りに連続する電極18を備える。軸受13の鋼本体は電極18として機能する。電極18の第2環状域15には第2帯電体19が固定される。第2帯電体19は周方向に1列に配列される。第2帯電体19は第2環状域15に面一に広がる第2接触面19aを有する。第2接触面19aは第1帯電体17の第1接触面17aを受け止める。
【0024】
第2帯電体19は、第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成される。ここでは、第2素材には例えば鉄鋼が用いられる。第2帯電体19は電極18に一体化されればよい。回転軸線12a回りに周方向に第2接触面19a同士は分離体21で分離される。分離体21は例えば第2環状面15に面一に埋め込まれる。分離体21は例えば第2素材から形成されることができる。したがって、分離体21は第1帯電体17との接触時に帯電を回避することができる。回転体12が回転すると、回転体12は第2接触面19aおよび分離体21に相次いで第1接触面17aを接触させる。電極18には鉄鋼以外の導電体が用いられてもよい。
【0025】
摩擦帯電発電機11は、軸受13に接続されて、グラウンドに落とされる導電線22をさらに備える。導電線22には例えば電圧計23が接続されることができる。電圧計23は第1接触面17aおよび第2接触面19aの相対変位で生じる電圧を計測することができる。
【0026】
図2に示されるように、第1接触面17aは回転軸線12aに同軸に周方向に間隔Laの等間隔で配置される。第1接触面17a同士は回転体12の素材で相互に分離されることができる。第2接触面19aは第1接触面17aに同位相で配列される。回転軸線12aに同軸に周方向に第1接触面17aの大きさMaは第2接触面19a同士の間隔Lb以下に設定される。同様に、回転軸線12aに同軸に周方向に第2接触面19aの大きさMbは第1接触面17a同士の間隔La以下に設定される。回転軸線12aに同軸に周方向に第1接触面17aは第2接触面19aと同じ大きさMa=Mbを有する。
【0027】
次に本実施形態の動作を説明する。回転体12が回転すると、第1接触面17aおよび第2接触面19aの間で相対変位は引き起こされる。第1接触面17aおよび第2接触面19aの間で接触面積は増減する。第2接触面19aに対して第1接触面17aの接触面積が増大すると、第2接触面19aに沿って第2帯電体19内にプラスの電荷が増加する。第2帯電体19の電荷に応じて電極18およびグラウンドの間で電圧は作用する。電圧の大きさは接触面積の拡大に伴って増大する。
【0028】
第2接触面19aに対して第1接触面17aの接触面積が減少すると、第2接触面19aに沿って第2帯電体19内にプラスの電荷は減少する。第2帯電体19の電荷に応じて電極18およびグラウンドの間で電圧は作用する。電圧の大きさは接触面積の縮小に伴って減少する。
【0029】
摩擦帯電発電機11では、第1接触面17aに第2接触面19aが接触すると、第2接触面19aに沿って第2帯電体19内に電荷の偏在が生じる。第2接触面19aは帯電する。第2接触面19aの帯電に応じて電極18およびグラウンドの間で電圧が作用する。摩擦帯電に基づき発電は実現される。
【0030】
電圧の取り出しにあたって電極18はグラウンドに接続される。1つの電極18から電圧は取り出されることができる。したがって、電極18の加工は簡素化されることができる。しかも、1つの電極18とグラウンドとの間に負荷は接続されればよく、電気回路の配線は簡素化されることができる。
【0031】
ここでは、回転体12の回転動作に応じて第1接触面17aおよび第2接触面19aの相対変位は実現されることができる。したがって、簡単な構造で定常的に電圧は生成されることができる。回転体12の回転動作に応じて安定的に電圧は生成されることができる。
【0032】
本実施形態では、回転軸線12a回りに周方向に第1帯電体17および第2帯電体19の間に相対変位が実現される際に、第2帯電体19の第2接触面19aは1つの第1接触面17aに接触する。第2接触面19aは2つの第1接触面17aに同時に接触することはない。したがって、第1接触面17aおよび第2接触面19aの間で接触面積の変化量は最大化されることができる。電極18およびグラウンドの間で大きな電圧は生成されることができる。
【0033】
本実施形態では、回転軸線12a回りに周方向に、第1接触面17aは第2接触面19aと同じ大きさを有する。第1接触面17aおよび第2接触面19aの間で効率的に接触面積は確保されることができる。電極18およびグラウンドの間で効率的に電圧は生成されることができる。加えて、第2接触面17aは、回転軸線12a回りの周方向に等間隔で配置される第1接触面17aに同位相で配列される。第2接触面19aで第1接触面17aとの相対位置は同期することから、1電極18から出力される電圧は良好に増幅されることができる。
【0034】
図3は本発明の第2実施形態に係る摩擦帯電発電機の構成を概略的に示す。摩擦帯電発電機31はいわゆるジャーナル(滑り)軸受の構造を有する。すなわち、摩擦帯電発電機31は、回転軸線32a回りで回転自在に回転体(軸体)32を支持する軸受(支持体)33を備える。回転体32は、回転軸線32aに平行に広がって、回転軸線32aに同軸に回転軸線32a周りに連続する第1環状域34を有する。第1環状域34は回転軸線32aに同軸に円筒面を形成する。
【0035】
軸受33は、回転軸線32aに平行に広がって、回転軸線32aに同軸に回転軸線32a周りに連続する第2環状域35を有する。第2環状域35は回転軸線32aに同軸に円筒面を形成する。第2環状域35は第1環状域34に向き合わせられる。第1環状域34と第2環状域35との間には潤滑流体(例えば潤滑油)が供給されることができる。径方向に回転体32に作用する荷重は第1環状域34および第2環状域35経由で軸受33に受け止められる。ここでは、「向き合わせ」の概念には、第2環状域35が第1環状域34に接する「重ね合わせ」も含まれるものとする。
【0036】
軸受33は、回転軸線32a周りで第2環状域35の一部分を形成する第1半体33aと、第1半体33aに結合されて、回転軸線32a周りで第2環状域35の残りを形成する第2半体33bとを有する。軸受33は一般の滑り軸受と同様に構成されることができる。軸受33は特定の支持部材(図示されず)に組み込まれて利用されることができる。
【0037】
摩擦帯電発電機31は、回転軸線32a回りで回転体32に駆動力を付与する駆動源36を備える。駆動力に応じて回転軸線32a回りで回転体32は回転する。回転体32の第1環状域34と軸受33の第2環状域35との間で相対変位は引き起こされる。
【0038】
回転体32の第1環状域34には第1素材で形成される第1帯電体37が固定される。第1帯電体37は周方向に1列に配列される。第1素材には例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が用いられる。第1帯電体37は第1環状域34に面一に広がる第1接触面37aを有する。第1帯電体37はPTFEといった絶縁体のほか導電体から形成されてもよい。
【0039】
軸受33は、グラウンドに接続されて、回転体32の回転軸線32a回りに連続する電極38を備える。軸受33の鋼本体は電極38として機能する。
図4を併せて参照し、電極38の第2環状域35には第2帯電体39が固定される。第2帯電体39は周方向に1列に配列される。第2帯電体39は第2環状域35に面一に広がる第2接触面39aを有する。第2接触面39aは第1帯電体37の第1接触面37aを受け止める。
【0040】
第2帯電体39は、第1素材に接触すると帯電する第2素材で形成される。ここでは、第2素材には例えば鉄鋼が用いられる。第2帯電体39は電極38に一体化されればよい。回転軸線32a回りに周方向に第2接触面39a同士は分離体41で分離される。分離体41は例えば第2環状面35に面一に埋め込まれる。分離体41は例えば第1素材から形成されることができる。したがって、分離体41は第1帯電体37との接触時に帯電を回避することができる。回転体32が回転すると、回転体32は第2接触面39aおよび分離体41に相次いで第1接触面37aを接触させる。電極38には鉄鋼以外の導電体が用いられてもよい。
【0041】
摩擦帯電発電機31は、軸受33に接続されて、グラウンドに落とされる導電線42をさらに備える。導電線42には例えば電圧計43が接続されることができる。電圧計43は第1接触面37aおよび第2接触面39aの相対変位で生じる電圧を計測することができる。
【0042】
前述と同様に、第1接触面37aは回転軸線32aに同軸に周方向に間隔Laの等間隔で配置される。第1接触面37a同士は回転体32の素材で相互に分離されることができる。第2接触面39aは第1接触面37aに同位相で配列される。回転軸線32aに同軸に周方向に第1接触面37aの大きさMaは第2接触面39a同士の間隔Lb以下に設定される。同様に、回転軸線32aに同軸に周方向に第2接触面39aの大きさMbは第1接触面37a同士の間隔La以下に設定される。回転軸線32aに同軸に周方向に第1接触面37aは第2接触面39aと同じ大きさMa=Mbを有する。
【0043】
次に本実施形態の動作を説明する。回転体32が回転すると、第1接触面37aおよび第2接触面39aの間で相対変位は引き起こされる。第1接触面37aおよび第2接触面39aの間で接触面積は増減する。第2接触面39aに対して第1接触面37aの接触面積が増大すると、第2接触面39aに沿って第2帯電体39内にプラスの電荷が増加する。第2帯電体39の電荷に応じて電極38およびグラウンドの間で電圧は作用する。電圧の大きさは接触面積の拡大に伴って増大する。
【0044】
第2接触面39aに対して第1接触面37aの接触面積が減少すると、第2接触面39aに沿って第2帯電体39内にプラスの電荷は減少する。第2帯電体39の電荷に応じて電極38およびグラウンドの間で電圧は作用する。電圧の大きさは接触面積の縮小に伴って減少する。
【0045】
摩擦帯電発電機31では、第1接触面37aに第2接触面39aが接触すると、第2接触面39aに沿って第2帯電体39内に電荷の偏在が生じる。第2接触面39aは帯電する。第2接触面39aの帯電に応じて電極38およびグラウンドの間で電圧が作用する。摩擦帯電に基づき発電は実現される。
【0046】
電圧の取り出しにあたって電極38はグラウンドに接続される。1つの電極38から電圧は取り出されることができる。したがって、電極38の加工は簡素化されることができる。しかも、1つの電極38とグラウンドとの間に負荷は接続されればよく、電気回路の配線は簡素化されることができる。
【0047】
ここでは、回転体32の回転動作に応じて第1接触面37aおよび第2接触面39aの相対変位は実現されることができる。したがって、簡単な構造で定常的に電圧は生成されることができる。回転体32の回転動作に応じて安定的に電圧は生成されることができる。
【0048】
本実施形態では、回転軸線32a回りに周方向に第1帯電体37および第2帯電体39の間に相対変位が実現される際に、第2帯電体39の第2接触面39aは1つの第1接触面37aに接触する。第2接触面39aは2つの第1接触面37aに同時に接触することはない。したがって、第1接触面37aおよび第2接触面39aの間で接触面積の変化量は最大化されることができる。電極38およびグラウンドの間で大きな電圧は生成されることができる。
【0049】
本実施形態では、回転軸線32a回りに周方向に、第1接触面37aは第2接触面39aと同じ大きさを有する。第1接触面37aおよび第2接触面39aの間で効率的に接触面積は確保されることができる。電極38およびグラウンドの間で効率的に電圧は生成されることができる。加えて、第2接触面37aは、回転軸線32a回りの周方向に等間隔で配置される第1接触面37aに同位相で配列される。第2接触面39aで第1接触面37aとの相対位置は同期することから、1電極38から出力される電圧は良好に増幅されることができる。
【符号の説明】
【0050】
11…摩擦帯電発電機、12…回転体、12a…回転軸線、13…支持体(軸受)、14…第1環状域、15…第2環状域、17…第1帯電体、17a…第1接触面、18…電極、19…第2帯電体、19a…第2接触面、31…摩擦帯電発電機、32…回転体、32a…回転軸線、33…支持体(軸受)、34…第1環状域、35…第2環状域、37…第1帯電体、37a…第1接触面、38…電極、39…第2帯電体、39a…第2接触面、Lb…(第2接触面の)間隔、Ma…(第1接触面の)大きさ、Mb…(第2接触面の)大きさ。