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特開2023-123409サスペンション取付け構造体を備えた自動車用の前部フレームアセンブリ
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  • 特開-サスペンション取付け構造体を備えた自動車用の前部フレームアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023123409
(43)【公開日】2023-09-05
(54)【発明の名称】サスペンション取付け構造体を備えた自動車用の前部フレームアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20230829BHJP
   B60G 3/20 20060101ALI20230829BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20230829BHJP
   B62D 21/00 20060101ALN20230829BHJP
【FI】
B62D25/20 C
B60G3/20
B62D21/15 B
B62D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023027639
(22)【出願日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】102022000003419
(32)【優先日】2022-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエーレ テスタ
【テーマコード(参考)】
3D203
3D301
【Fターム(参考)】
3D203BA13
3D203BB16
3D203BB35
3D203BC03
3D203BC14
3D203CA08
3D203CA40
3D203CB09
3D203DA11
3D203DA13
3D203DA15
3D203DA22
3D203DA38
3D203DA72
3D203DA83
3D301AA72
3D301CA11
3D301DB20
3D301DB22
3D301DB60
(57)【要約】      (修正有)
【課題】横方向応力に対して許容可能な剛性を維持しながら、特にその重量及び寸法を制限することによって、既知のフレームアセンブリを改善する。
【解決手段】自動車用の前部フレームアセンブリ(11)は、自動車の車室を画定する車体セルに固定可能な取付部(13)と、サスペンション取付け構造体(12)に対して固定され、自動車のサスペンションの取付部への結合を可能にするように構成された1つ以上の取付要素(15)と、自動車のホイールハブを操舵するためのステアリングタイロッド(40)と、第1の直線軸(C)に沿って延在する管状ケーシング(41)と、ケーシング内で第1の軸に沿って軸方向に移動可能にステアリングタイロッド及び管状ケーシングに結合された伝達要素とを備えるステアリングボックス(7)と、を備えるサスペンション取付け構造体を含み、管状ケーシングは、サスペンション取付け構造体に堅固に固定される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)用の前部フレームアセンブリ(11)であって、前記前部フレームアセンブリ(11)が、
前記自動車(1)の車室を画定する車体セル(2)に固定可能な取付部(13)を備えるサスペンション取付け構造体(12)と、
前記サスペンション取付け構造体(12)に対して固定され、前記自動車(1)のサスペンション(3)の前記取付部(13)への結合を可能にするように構成された1つ以上の取付要素(15)と、
前記自動車(1)のホイールハブ(5)を操舵するためのステアリングタイロッド(40)と、第1の直線軸(C)に沿って延在する管状ケーシング(41)と、前記管状ケーシング(41)内で前記第1の軸(C)に沿って軸方向に移動可能であるように前記ステアリングタイロッド(40)及び前記管状ケーシングに結合された伝達要素とを備えるステアリングボックス(7)と、を備え、
前記管状ケーシング(41)が、前記サスペンション取付け構造体(12)に堅固に固定される、ことを特徴とする、前部フレームアセンブリ(11)。
【請求項2】
前記サスペンション取付け構造体(12)が複数のねじ孔を備え、前記アセンブリが、前記管状ケーシング(41)を前記サスペンション取付け構造体(12)に堅固に固定するために、前記ねじ孔及び前記管状ケーシング(41)にもそれぞれ結合された複数のねじ部材(44)を備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
更に、
前記自動車(1)の前方衝突を吸収するための吸収部品(16)であって、前記サスペンション取付け構造体(12)とは異なり、前記サスペンション取付け構造体(12)に対して固定され、前記第1の軸(C)を横切る第2の直線軸(D)に沿って前記サスペンション取付け構造体(12)から片持ち式に延在する、吸収部品(16)を備え、
前記サスペンション取付け構造体(12)が、前記第2の直線軸(D)にしたがって前記吸収部品(16)と前記取付部(13)との間に位置する折り畳み可能な部分(20)を更に備え、前記折り畳み可能な部分(20)が、前記吸収部品(16)の第2の圧縮剛性以上であり、前記取付部(13)の第3の圧縮剛性よりも小さい第1の圧縮剛性を有し、
前記管状ケーシング(41)が、前記折り畳み可能な部分(20)に固定され、前記第2の軸(D)に対して横方向に延在する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記管状ケーシング(41)が、前記折り畳み可能な部分(20)に固定され、前記第2の軸(D)に対して横方向に延在する唯一の梁要素であるか、又は前記アセンブリが、前記折り畳み可能な部分(20)に固定され、前記第2の軸(D)に対して横方向に延在する前記管状ケーシング(41)とは異なる梁要素を欠く、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記折り畳み可能な部分(20)が、第3の軸(H)に沿った延在部を有し、前記第3の軸(H)が、前記第3の軸(H)に沿った前記サスペンション取付け構造体(12)の延在部に等しい、前記第1の軸(C)及び前記第2の軸(D)に直交する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記折り畳み可能な部分(20)が前記第1の軸(C)に沿って貫通孔(22)を有し、それによって前記ステアリングボックス(7)が前記貫通孔(22)を通って前記折り畳み可能な部分(20)を通過する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記折り畳み可能な部分(20)が、前記第1の軸(C)及び前記第2の軸(D)に直交する第3の軸(H)にしたがう端部(21)を有し、前記端部(21)が、前記第2の軸(H)に沿って深さ方向に延在し、前記貫通孔(22)を備える凹部(22)を有する、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記凹部(22)が、前記第2の軸(D)と位置合わせされる、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記第2及び前記第3の軸(D、H)の双方を横切るそれぞれの方向に沿って延在するとともに、前記第3の軸(H)にしたがって前記凹部(22)と実質的に位置合わせされる、1つ以上の孔(23)を備える、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記折り畳み可能な部分(20)が、前記第2の軸(D)に沿って前記サスペンション取付け構造体(12)の全体的な延在部の半分未満にわたって前記第2の軸(D)に沿って延在する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記サスペンション取付け構造体(12)が、例えばダイカストによって製造された単一の部品である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
自動車(1)であって、
車室と、
前記車室を画定する車体セル(2)と、
サスペンション(3)と、
請求項1に記載の前部フレームアセンブリ(11)と、を備え、
前記前部フレームアセンブリ(11)の前記取付部(13)が前記車体セル(2)に固定され、前記サスペンション(3)が前記取付要素(15)に結合され、
前記第2の軸(D)が前記自動車(1)の前進方向と平行である、自動車(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年2月24日に出願されたイタリア特許出願第102022000003419号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、自動車、特にスポーツタイプの自動車用のサスペンション取付け構造体を備える、前部フレームアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、自動車の前部フレームは、車体構成部品、すなわちバンパーやボンネットなどの外装プレート、又は様々な連結ブラケットの支持機能と、前部衝突吸収機能、すなわち自動車の前進方向に沿って生じる前方衝突吸収機能との双方を有する。
【0004】
特に、前方衝突の吸収のために、フレームは、具体的には、前方向に平行に延在する一対の側方部材を含む、衝突ボックスとしても知られる吸収ボックスを含む。
【0005】
通常、側方部材は、特に、自動車サスペンション用のアタッチメントを含む、ショックタワーとしても知られるサスペンション取付け構造体から直接延在する。
【0006】
側方部材は、前方衝突を吸収する機能を果たすために圧縮変形可能であるが、サスペンション取付け構造体は、典型的には、サスペンションの動きによって引き起こされる振動の伝播を低減するために、並びにサスペンション自体のための固体支持ベースとして機能するために剛性である。
【0007】
場合によっては、サスペンション取付け構造体は、ダイカストによって一体に得られた2つの別個の本体を含む。本体は、側方部材と車体壁自体との間の前方向に平行な車体壁、特に防火壁から突出するように延在する。
【0008】
これらの場合、サスペンション取付け構造体は、せん断応力、すなわち前方向に対して横方向の応力に対して補強される必要がある。
【0009】
このため、前部フレームには、通常、前方向に直交し、2つの本体の間に配置された1つ以上の横材が設けられて、本体自体の間に堅固な接続を形成し、すなわち実際には、本体の間のブリッジとして機能する。
【0010】
横材は、せん断応力に対するサスペンション取付け構造体の剛性を高めるのに十分であるが、横材自体は、フレームアセンブリの全体的な寸法及び重量の増加に関して欠点を構成する。
【0011】
上記に照らして、横方向応力に対して許容可能な剛性を維持しながら、特にその重量及び寸法を制限することによって、既知のフレームアセンブリを改善する必要性が感じられる。
【0012】
本発明の目的は、好ましくは単純且つ確実な方法で、上記の要件を満たすことである。
【発明の概要】
【0013】
この目的は、請求項1に記載の自動車用の前部フレームアセンブリによって達成される。
【0014】
従属請求項は、本発明の特定の実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施形態を、非限定的な例として、添付の図面を参照して、本発明のより良い理解のために以下に説明する。
【0016】
図1】本発明にかかるフレームアセンブリを備える、自動車の前部の概略斜視図である。
【0017】
図2】フレームアセンブリの一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、参照符号1は、全体として自動車を示すために使用される。
【0019】
あらゆる自動車と同様に、自動車1は、通常の前進方向を有し、少なくとも1人の運転者、及び場合によって1人又はそれ以上の乗員を収容するための、車室を備える。
【0020】
自動車1は、車室を画定する、又は取り囲む、車体セル2を備える。例えば、車体セル2は、一体構造であってもよい。更にまた、車体セルは、炭素繊維を含んでもよく、又は炭素繊維から作られてもよい。
【0021】
特に、図1は、車体セル2の防火壁を概略的に示している。
【0022】
自動車1はまた、サスペンション3、ナックル4、ホイールハブ5、アクスルシャフト6、及びステアリングギアボックス又はステアリングボックス7といった典型的な構成要素の、少なくとも1つ、いくつか、又は全てを備える。
【0023】
ホイールハブ5は、ナックル4に対して固定される部分と、前方向に対して横断する軸Aを中心に回転する部分とを有する。
【0024】
固定される部分はナックル4によって支持され、一方、回転可能部分は、アクスルシャフトによって回転駆動されることができるように、アクスルシャフト6に結合される。
【0025】
固定部分は、ナックル4に対して固定されている。
【0026】
アクスルシャフト6は、軸Aに平行な直線軸Bに沿って延在するが、必ずしもこれと一致しない。
【0027】
ステアリングボックス7は、軸A、Bに平行な、更なるまっすぐな軸Cに沿って、又は横方向に、より正確には、前方向に直交して延在する。
【0028】
軸Cは水平であり、すなわち、地面によって平衡された重力の成分に直交する平面に属する。
【0029】
ステアリングボックス7は、ホイールハブ5に結合された周知の装置であり、ホイールハブ5の固定部分を操舵する機能、特に、自動車1のハンドル(図示せず)の回転運動を、ホイールハブ5の固定部分を操舵するのに有用な、軸Cに沿った直線運動に変換する機能を有する。
【0030】
実際には、ステアリングボックス7は、より一般的には、例えばハンドルも含み、ホイールハブ5の固定部分を操舵するように構成された、自動車1のステアリング装置の一部である。
【0031】
ステアリングボックス7は、ナックル4又はホイールハブ5に既知の方法で結合されたステアリングタイロッド40を備える。
【0032】
更にまた、ステアリングボックス7は、ステアリングホイールの回転をステアリングタイロッド40に伝達するように構成されたステアリングトランスミッションを備え、その結果、ステアリングタイロッド40は、ステアリングホイールの回転に応じて並進する。
【0033】
ステアリングトランスミッションは、例えば、必要に応じてボール再循環を伴う、ラック又はウォームねじなどの公知の図示しない伝達要素を備える。
【0034】
伝達要素は、ステアリングタイロッド40に結合される。例えば、伝達要素は、ステアリングタイロッド40に対して固定され、特にステアリングタイロッド40に固定される。
【0035】
ステアリングボックス7は、伝達要素を少なくとも部分的に収容し、軸Cに沿って延在する管状ケーシング41を備える。
【0036】
伝達要素は、ケーシング41の内部で軸Cに沿って軸方向に移動可能である又は並進するように管状ケーシング41に結合される。
【0037】
したがって、ステアリングタイロッド40は、伝達要素の並進に応答して移動するように構成され、したがってホイールハブ5を操舵し、特に、下方から上方に向けられた軸の周りのナックル4の回転を引き起こす。
【0038】
伝達要素は、例えば、ステアリングホイールの回転に応答して回転するようにステアリングホイールに結合され、シャフト43の回転を伝達要素に伝達するように伝達要素と協働するように構成された伝達部材(図示せず)によってケーシング41の内部で終端するシャフト43を含む、ステアリングトランスミッション運動連鎖を介してステアリングホイールに結合されてもよく、これは、この後者の回転に応答して並進する。
【0039】
例えば、伝達部材は、伝達部材の一部を形成するラックと噛み合うピニオンを備えてもよい。
【0040】
したがって、ステアリングトランスミッションは、ステアリングホイールに結合されたピニオンがタイロッドに結合されたラックと噛み合う典型的なラックアンドピニオン型機構であってもよい。ラックは、運動連鎖を介してステアリングホイールによって引き起こされる、ピニオンの回転に応答して軸Cに沿って並進する。
【0041】
任意に、ステアリングボックス7は、パワーステアリング機能を実行するためのアクチュエータ装置44を備えてもよい。
【0042】
アクチュエータ装置44は、ケーシング41によって担持され、例えばケーシング41に対して固定されたそのケーシング44aを有する。
【0043】
アクチュエータ装置44は、例えば、独立して、又はステアリングホイールの回転と協調して、伝達要素を軸Cに沿って移動させるように構成される。
【0044】
アクチュエータ装置44は、ケーシング44aの内部の電気モータと、電気モータから出力された動力を伝達部材に伝達するための図示されていない更なる伝達装置とを備えることができる。
【0045】
自動車1はまた、例えば自動車1の車体構成部品、すなわち例えばバンパー8、泥除け9、ボンネット10などの外部パネル又はシートのための支持機能を有する前部フレームアセンブリ11を備える。
【0046】
このアセンブリ11は、「ショックタワー」とも呼ばれる、サスペンション取付け構造体12を含む。
【0047】
より正確には、アセンブリ11は、水平方向に沿って、且つ前方向に直交して、ボディセル2の横方向端部に配置された2つのサスペンション取付け構造体又は本体12を備える。
【0048】
構造体12は、順方向に平行な、特に図1の防火壁に直交するそれぞれの軸Dに沿って互いに平行に延在する。
【0049】
構造体12は、車体セル2に対して突出するように延在する。より正確には、構造体12は、軸Dに沿って車体セル2から、特に車体セル2から直接突出している。
【0050】
構造体12は、互いに等しいことが好ましい。このため、以下の説明では、構造体12の一方のみを詳細に説明するが、構造体12の一方について説明した各特徴は、構造体12の他方にも適用可能であることが理解される。したがって、「構造体12」という表現は、構造体12のいずれかを区別なく指すことができる。
【0051】
構造体12は、場合によっては単一の構造体12と考えることもできる。
【0052】
構造体12は、例えば、特にボルトなどのねじ部材を備える解放可能な締結装置14によって、車体セル2に対して固定される、すなわち車体セル2に固定される取付部13を有する。
【0053】
構造体12は、サスペンション3を支持する機能を有する。実際には、アセンブリ11はまた、サスペンション3の取付部13への結合を可能にするように構成された複数の取付要素又はアタッチメント15(図2)を備える。
【0054】
アタッチメント15のいくつかは、取付部13に配置されているが、これは、他のアタッチメント15が構造体12の他の部分に配置されることができることを排除するものではない。
【0055】
更にまた、アタッチメント15は、構造体12の一部であってもよい。
【0056】
構造体12又はより良好には、構造体12のそれぞれは、好ましくは、例えば鋳造技術又はより正確にはダイカストを使用して作製された単一の部品であってもよい。
【0057】
サスペンション3は、ナックル4を担持し、特に構造体12に対して移動可能に、アタッチメント15を介して取付部13に結合される。次に、ナックル4は、サスペンション3に対して移動可能である。
【0058】
更にまた、アセンブリ11は、ステアリングタイロッド40を有するステアリングボックス7と、管状ケーシング41と、伝達要素とを備える。
【0059】
本発明によれば、管状ケーシング41は、構造体12に堅固に固定される。
【0060】
堅固に固定されるという用語は、管状ケーシング41が構造体12に対して固定されることを示す。換言すれば、ケーシング41は、金属などの一般に剛性として認識される材料の無視できる局所的な変形又は振動を超える構造体12に対する相対運動を有しなくてもよい。再び換言すれば、管状ケーシング41は、場合によってはゴム製のばね又は可撓体などの弾性装置によって構造体12に対して懸架されていない。
【0061】
好都合なことに、構造体12は、複数のねじ孔を備え、アセンブリ11は、ケーシング41を構造体12に堅固に固定するようにねじ孔及びケーシング41にも結合された複数のねじ部材49、例えばラグスクリューを備える。
【0062】
より正確には、ねじ部材49は、ケーシング41に対して固定され、ねじ孔に同軸に配置されたそれぞれのスリーブ45を通過する。
【0063】
スリーブ45は、ステアリングボックス7の一部を形成し、それぞれが2つの端面の間に軸方向に延在し、一方の端面は、対応するねじ孔の周りに配置され、他方の端面は、反対に配置される。
【0064】
特に、ねじ部材49は、ねじ部材49がねじ孔に螺合されるときに締め付けられるそれぞれのヘッド46を有する。ヘッド46は、ねじ孔の周りに配置されたものとは反対に面するスリーブ45の面にそれぞれ締め付けられる。
【0065】
更に、任意に、アセンブリ11は、自動車1の前方衝突を吸収するための少なくとも1つの吸収部品16を備える。吸収部品16は、自動車1の前方向に平行に延在する側方部材、すなわち、特に箱形梁を備えるか、又はむしろ側方部材である。
【0066】
部品16は、構造体12とは異なり、それに対して固定されている、すなわちそれに固定されている。
【0067】
部品16は、自動車1の前方向に平行な軸Dに沿って延在する。
【0068】
部品16は、構造体12から延在し、すなわち、構造体12に対して、特にバンパー8に向かって突出する。具体的には、部品16は、構造体12から直接延在し、すなわち、そこから直接突出する。
【0069】
実際には、アセンブリ11はまた、好ましくは前のものと同一であり、詳細に説明されている構造体12に類似しているため、詳細に説明されていない他の構造体12から軸Dに平行に突出する別の吸収部品17を備える。
【0070】
更にまた、アセンブリ11は、自動車1の前方衝突を吸収するための、第3の吸収部品18を備える。吸収部品18は、自動車1の前方向に対して横方向に延在し、より正確には、特に水平に直交する横材、すなわち梁、特に箱形梁を備えるか、又はむしろそのものある。
【0071】
部品18は、軸Dに沿って構造体12又は車体セル2に対してそれぞれ対応する両端において部品16、17に固定される2つの端部18a、18bを有する。
【0072】
部品16、17、18は、それぞれアセンブリ11の吸収ボックスの一部である。あるいは、吸収ボックスは、「クラッシュボックス」とも呼ばれる。
【0073】
構造体12はまた、軸Dにしたがって部品16と取付部13との間に配置された折り畳み可能な部分20を備える。
【0074】
より正確には、折り畳み可能な部分20は、軸D及び軸Cに直交する軸H、すなわち、同一軸Hに沿った構造体12の延在部全体にわたって上方から下方に向けられた軸に沿って延在する。換言すれば、折り畳み可能な部分20は、軸Hに沿った延在部が、同じ方向に沿った構造体12の延在部と等しい。
【0075】
更に、特に、折り畳み可能な部分20は、軸Dに対して部品16に隣接している。換言すれば、部品16は、片持ち式で折り畳み可能な部分20から、より具体的には折り畳み可能な部分20から直接延在する。
【0076】
アタッチメント15のいくつかは、任意に折り畳み可能な部分20に配置される。
【0077】
好ましくは、構造体12は、部分13、20、及び場合によっては更にアタッチメント15からなる。
【0078】
折り畳み可能な部分20は、取付部13よりも圧縮剛性が低い。換言すれば、折り畳み可能な部分20は、取付部13よりも圧縮剛性が低い。
【0079】
更にまた、折り畳み可能な部分20は、部品16の圧縮剛性以上の圧縮剛性を有するが、これは厳密には必要ではない。実際には、代替的な実施形態によれば、折り畳み可能な部分20は、部品16よりも圧縮時の剛性が低くてもよい。
【0080】
特に、折り畳み可能な部分20は、140kNから200kN、より好ましくは160kNから180kNの範囲内の任意の値に等しい圧縮破壊応力によって画定される圧縮強度を有する。
【0081】
更にまた、より詳細には、軸Dに沿った折り畳み可能な部分20の延在部は、軸Dに沿った構造体12の全体的な延在部の半分未満、すなわち部品16と車体セル2との間の距離未満である。
【0082】
より正確には、軸Dに沿った折り畳み可能な部分20の延在部は、軸Dに沿った構造体12の全体的な延在部の3/5未満である。
【0083】
特に、折り畳み可能な部分20は、軸Dに沿った自動車1の最大減速度が15Gから25Gの範囲内の任意の値に等しくなるようなものである。
【0084】
好ましくは、ケーシング41は、折り畳み可能な部分20に固定され、軸Dに対して横方向に、すなわち軸Cに沿って延在する。ここで、「において(at)」という用語は、構造体12に対するケーシング41の実際の固定点が折り畳み可能な部分20に属することを意味する。
【0085】
より具体的には、ねじ孔は、折り畳み可能な部分20に形成される。
【0086】
特に、軸Cによれば、ねじ孔は、吸収部品16、17の内側又は吸収部品16、17の間に形成される。
【0087】
有利には、ケーシング41は、折り畳み可能な部分20に固定され、軸Dに対して横方向に延在する唯一の梁又は梁要素である。
【0088】
換言すれば、アセンブリ11は、折り畳み可能な部分20に固定され、軸Dに対して横方向に延在するケーシング41とは異なる梁要素又は梁を有しない。
【0089】
したがって、C軸に平行に又は軸Dに対して横方向に延在することによって構造体12の折り畳み可能な部分20を接続する梁又は横材は存在しない。
【0090】
同様に、一方の構造体12の折り畳み可能な部分20を他方の構造体12の取付部13に接続する梁又は横材は存在しない。
【0091】
図示の実施形態では、アセンブリ11は、取付部13において構造体12に固定された梁又は横材48を備える。
【0092】
横材48は、軸Dに対して横方向に、又は軸Cに平行に延在する。更に、好ましくは、横材48は、構造体12の間に配置され、より正確には、それらの取付部13において双方の構造体12に固定されることによってそれらを接続する。
【0093】
好ましくは、折り畳み可能な部分20は、軸Cに沿って貫通孔を有する。ステアリングボックス7は、貫通孔を介して折り畳み可能な部分20を貫通する。すなわち、ステアリングボックス7は、軸Cに沿って貫通孔を通過する。特に、ステアリングタイロッド40は、軸Cに沿って貫通孔を通過する。
【0094】
より正確には、折り畳み可能な部分20は、軸Hに沿った端部21、特に上端を有する。
【0095】
端部21は、軸Cに沿って通過し、軸Hに沿って深さ方向に延在する孔を含むか、又は孔によって画定される凹部22を有する。
【0096】
凹部22は、ステアリングボックス7、より正確にはステアリングタイロッド40を収容する。換言すれば、ステアリングボックス7又はより正確にはステアリングタイロッド40は、凹部22を通って構造体12を横切る、すなわち、軸Cに沿って凹部22を横切るか又はそれを通って延在する。
【0097】
ケーシング41は、特に構造体12に対してサスペンションアタッチメント15の反対側から延在する。
【0098】
換言すれば、ケーシング41は、構造体12の間に延在する。
【0099】
ステアリングタイロッド40は、軸Cにしたがってケーシング41に対して突出するか、又はケーシング41から出る。
【0100】
好ましくは、凹部22は、軸Hに沿って、特に上方に開いている。換言すれば、凹部22は、軸Hに対して横方向に延在する入口開口部、すなわち上端を有する。
【0101】
凹部22は、軸Hに対して、特に上部に向かってU字形又は凹形を有する。
【0102】
軸Cによれば、凹部22は、軸Cに沿って、すなわち凹部22自体で、折り畳み可能な部分20の延在部又は幅全体にわたって延在する。
【0103】
好ましくは、凹部22は、軸Hに沿った折り畳み可能な部分20の全体的な延在部の少なくとも1/3よりも大きい軸Hに沿った深さを有する。
【0104】
更にまた、好都合なことに、凹部22は、軸Dに沿った折り畳み可能な部分20の全体的な延在部の少なくとも1/3以上、より好ましくは少なくとも半分よりも大きい軸Dに平行な延在部を有する。
【0105】
あるいは、軸Dに平行な凹部22の最大延在部と軸Dに沿った構造体12の全体的な延在部との比は、1/15から1/3の間の任意の値に等しい。
【0106】
したがって、凹部22に起因して且つ凹部において、折り畳み可能な部分20は、同じ軸Dに対して取付部13の任意の横断面に対して弱められる軸Dに対して横断面を有する。
【0107】
したがって、この意味では、折り畳み可能な部分20は、一般に、取付部13に対して弱められている。これは、取付部13に対する折り畳み可能な部分20の圧縮剛性が低い理由である。
【0108】
好都合なことに、折り畳み可能な部分20は、例えば折り畳み可能な部分20が双方の軸D、Hに対して横方向に、例えば軸Cに平行に延在する1つ以上の孔23を備えるため、更に弱められることができる。換言すれば、孔23は、双方の軸D、Hに対して横方向の又は軸Cに平行なそれぞれの方向に沿って延在する。
【0109】
任意に、孔23は、軸Hにしたがって凹部22と実質的に位置合わせされる。ここで、実質的にという用語は、軸Hと平行な少なくとも1つの軸が、凹部22の内部を延在し、同時に孔23のうちの1つと交差又は接することを示す。
【0110】
孔33のそれぞれは、任意に、折り畳み可能な部分20の貫通孔であってもよい。
【0111】
好ましくは、凹部22は、第1の軸Dと位置合わせされる。すなわち、軸Dは、凹部22の内側を延在する。明確にするために、ここでは、軸Dが部品16を画定する梁又は側方部材の軸であることを想起されたい。
【0112】
好ましくは、ケーシング41を締結するためのねじ孔は、軸Hに平行なそれぞれの軸を有する。
【0113】
以上から、本発明にかかるアセンブリ11の利点が明らかである。
【0114】
実際には、取付部13に対する折り畳み可能な部分20のより低い圧縮剛性は、従来技術によれば典型的には剛性である構造体12に、変形可能性の特性、したがって前方衝突の吸収の特性を付加する。
【0115】
このようにして、折り畳み可能な部分20は、部品16が軸Dに沿った伸長を必要としないように、前方衝突を吸収する際に部品16と協働することができる。
【0116】
しかしながら、これに関連して、折り畳み可能な部分20は、軸Dに対する横方向応力に対して更に補強を必要とする。
【0117】
この補強は、有利には、ステアリングボックス7のケーシング41によって提供される。実際には、ケーシング41は、梁要素又は梁又は横材を画定し、これは、構造体12に堅固に接続されることによって構造体に堅固な材料を実質的に付加し、したがって構造体の剛性を高める。
【0118】
特に、補強は、有利には、取付部13に対して弱められた折り畳み可能な部分20において行われる。
【0119】
したがって、ケーシング41を折り畳み可能な部分20に堅固に固定することは、折り畳み可能な部分20において軸Cに平行に延在する横材又は梁がフレームアセンブリ11のばたつきを回避するのに適しているという設計要件に応答する。
【0120】
ケーシング41は、ステアリングボックス7の一部であるため、いずれの場合も、自動車1に既に通常含まれる要素である。したがって、全体の重量及び全体の寸法は増加しない。
【0121】
したがって、ケーシング41は、構造的補強要素と伝達要素を収容する二重の機能を果たす。
【0122】
軸Cに平行又は軸Dを横切る追加の梁は必要ではなく、したがって存在せず、その結果、アセンブリ11の重量及びバルクは収容されたままである。
【0123】
最後に、本発明にかかるアセンブリ11に変更及び変形を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱しないことは明らかである。
【0124】
特に、記載及び図示された構成要素の数及び形状は異なっていてもよく、具体的には、大きな自由度もって変更することができる。
【0125】
更に、記載された各範囲は、複数の単一の代替値として解釈されるべきである。範囲内の各単一の数値は、明示的に言及されていなくても、具体的に記載されていると見なされなければならない。
【0126】
最後に、折り畳み可能という用語は、特に取付部13よりも折り畳み可能であるという意味で、取付部13に対して相対的に理解されるべきであり、折り畳み可能な部分20の好ましい材料は、例えばアルミニウム又は鋼などの延性材料であることが理解される。
図1
図2
【外国語明細書】