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特開2023-124984’-エチルヌクレオシド類似体の酵素的合成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012498
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】4’-エチルヌクレオシド類似体の酵素的合成
(51)【国際特許分類】
   C07H 11/04 20060101AFI20230118BHJP
   C12P 19/32 20060101ALI20230118BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20230118BHJP
   C07C 31/24 20060101ALI20230118BHJP
   C07C 29/74 20060101ALI20230118BHJP
   C07F 9/09 20060101ALI20230118BHJP
   C07H 19/16 20060101ALN20230118BHJP
   C12N 11/02 20060101ALN20230118BHJP
【FI】
C07H11/04 ZNA
C12P19/32 Z
C12N9/99
C07C31/24
C07C29/74
C07F9/09 K
C07H19/16
C12N11/02
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022170820
(22)【出願日】2022-10-25
(62)【分割の表示】P 2021500463の分割
【原出願日】2019-07-02
(31)【優先権主張番号】62/695,508
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/822,320
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン,マーク・エー
(72)【発明者】
【氏名】フリスコフスカ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】コレフ,ジョシュア・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ディヴァイン,ポール・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】カンポス,ケヴィン・アール
(72)【発明者】
【氏名】トルッポ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ナウラット,クリストファー・シー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】4’-エチニルヌクレオシドおよびその類似体の改良された酵素的合成の方法を提供する。
【解決手段】本発明は、中間体上の保護基の使用を排除し、グリコシル化の立体選択性を改善し、他のプロセス改善の中でもとりわけ、以前の方法と比較して前記化合物を作製するために必要とされるプロセス工程の数を大幅に減少させる、EFdAを含む、4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシド類似体の新規な酵素合成における操作された酵素の使用を含む。本発明は更に、酵素プロセスの不可欠な部分である新規中間体に関するものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドまたはその類似体の合成方法であって、マン
ガン(II)塩を含む緩衝液中で化合物6.5
【化1】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

をプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼおよびヌクレオ塩基もしくはその類似体と組合せる
ことを含む、前記方法。
【請求項2】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドまたはその類似体が
【化2】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
化合物
【化3】

を単離することをさらに含む、請求項1または2記載の方法
【請求項4】
マンガン(II)塩を含む緩衝液中で化合物6
【化4】

およびホスホペントムタ-ゼをプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼおよびヌクレオシド塩
基と組み合わせることをさらに含む、請求項1に記載の4’-エチニル2’-デオキシヌ
クレオシドまたはその類似体の合成方法。
【請求項5】
反応溶液から無機リン酸副生成物を除去することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(a)反応混合物にスクロ-スホスホリラ-ゼおよびスクロ-スを加えること、または、
(b)反応混合物にカルシウム、マグネシウムまたはマンガンを加えることにより、反応
溶液から無機リン酸副生成物を除去することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドまたはその類似体を単離することをさらに含
む、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドまたはその類似体が
【化5】

である、請求項.4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
化合物
【化6】

を単離することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
化合物6を合成する工程をさらに含む請求項4に記載の方法であって、水溶液中で化合物

【化7】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

をアセトアルデヒドおよびデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼと組み合わせて化合物
6を生成することを含む、前記方法。
【請求項11】
反応が密閉容器で実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物5を合成する工程をさらに含む請求項10または11に記載の方法であって、化合
物4
【化8】

を、2価金属塩の存在下で緩衝液中のパントテン酸キナ-ゼと組み合わせ、その場で再生
したATPをリン酸源として組み合わせて、化合物5を生成する前記方法。
【請求項13】
(a)アセチルリン酸および酢酸キナ-ゼ、または(b)ピルビン酸、リン酸および酸素
の存在下でのピルビン酸オキシダ-ゼ、カタラ-ゼおよび酢酸キナ-ゼ、または(c)そ
れらの組合せを用いて、その場でATPを再生する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)パントテン酸キナ-ゼが固定されているか、または、(b)パントテン酸キナ-ゼ
と酢酸キナ-ゼが固定されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
化合物4を合成する工程をさらに含む請求項12に記載の方法であって、該合成が、酸素
の存在下で、緩衝液中において、化合物3
【化9】

をガラクト-スオキシダ-ゼ、銅、カタラ-ゼおよびパ-オキシダ-ゼまたは酸化剤と組
み合わせて、化合物4を生成させることを含む、前記方法。
【請求項16】
ガラクト-スオキシダ-ゼが固定されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドまたはその類似体の合成方法であって、マン
ガン(II)塩を含む緩衝液中において、化合物5
【化10】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。
]、
アセトアルデヒドおよびヌクレオ塩基またはその類似体を、デオキシリボ-ス-リン酸ア
ルドラ-ゼ、ホスホペントムタ-ゼおよびプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼと組み合わ
せることを含む、前記方法。
【請求項18】
反応混合物から無機リン酸副生成物を除去することをさらに含む、請求項17に記載の方
法。
【請求項19】
(a)反応混合物にスクロ-スホスホリラ-ゼおよびスクロ-スを加えること、または、
(b)反応混合物にカルシウム、マグネシウムまたはマンガンを加えることにより、反応
混合物から無機リン酸副生成物を除去することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドを単離することをさらに含む、請求項17か
ら19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドが
【化11】

である、請求項17から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
化合物
【化12】

を単離することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
化合物6.5
【化13】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を合成する方法であって、マンガン(II)塩を含む緩衝液中において化合物6
【化14】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

をホスホペントムタ-ゼと組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項24】
化合物6
【化15】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を合成する方法であって、化合物5
【化16】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を水溶液中でアセトアルデヒトおよびデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼと組み合わ
せて化合物6を生成することを含む、前記方法。
【請求項25】
化合物5
【化17】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を合成する方法であって、化合物4
【化18】

を、2価金属塩の存在下で緩衝液中のパントテン酸キナ-ゼと組合せ、その場で再生した
ATPをリン酸源として組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項26】
(a)アセチルリン酸および酢酸キナ-ゼ、または(b)ピルビン酸、リン酸および酸素
の存在下でのピルビン酸オキシダ-ゼ、カタラ-ゼおよび酢酸キナ-ゼ、または(c)そ
れらの組合せを用いて、その場でATPを再生する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
(a)パントテン酸キナ-ゼが固定されているか、または、(b)パントテン酸キナ-ゼ
と酢酸キナ-ゼが固定されている、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
化合物4
【化19】

を合成する方法であって、化合物3
【化20】

を、ガラクト-スオキシダ-ゼ、銅、カタラ-ゼ、およびペルオキシダ-ゼ、または酸化
剤と、酸素の存在下、緩衝溶液中で組み合わせて、化合物4を生成させることを含む、前
記方法。
【請求項29】
ガラクト-スオキシダ-ゼが固定されている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
化合物4
【化21】

を単離する方法であって、
(1)酸素の不在下で、水と混和しない有機溶媒中で安定なN,N-アセタ-ルまたはN
,O-アセタ-ルを生成するアミン、ジアミンまたはアミノアルコ-ルと化合物4を反応
させてアミナ-ルを形成し、
(2)水と混和しない有機溶媒の存在下でアミナ-ルを有機酸または無機酸と反応させて
化合物4を再生することを含む、前記方法。
【請求項31】
化合物5
【化22】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を合成する方法であって、化合物9
【化23】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を、酸素、カタラ-ゼおよびペルオキシダ-ゼもしくは化学酸化剤のいずれかの存在下で
、緩衝液中のガラクト-スオキシダ-ゼと組み合わせて化合物5を生成することを含む、
前記方法。
【請求項32】
化合物9
【化24】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。

を合成する方法であって、化合物3
【化25】

を、2価金属塩の存在下で緩衝液中のパントテン酸キナ-ゼと組み合わせ、その場で再生
したATPをリン酸源として組み合わせて、化合物9を生成する前記方法。
【請求項33】
下記式の化合物。
【化26】
【請求項34】
下記式の化合物。
【化27】
【請求項35】
下記式の化合物。
【化28】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。
【請求項36】
下記式の化合物。
【化29】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。
【請求項37】
下記式の化合物。
【化30】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、
(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
【0002】
4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシド類似体は、HIV、AIDSおよび関連疾患
に対する活性について知られている。
【化1】
【0003】
4’-エチニルヌクレオシド類似体の一例は、in vitro(Kawamoto、E
.、Sarafianos S. F. et al.、Int. J. Bioche
m. Cell Biol.; 40(11):2410-20[2008]; Ohr
ui、H.、H. et al.、Nucleosides & Nucleic Ac
ids、26, 1543-1546[2007]) およびin vivo (Hat
tori、S.、K.、Nakata、H. et al, Antimicrobia
l. Agents and Chemotherapy, 53, 3887-389
3 [2009])でのHIV-1およびSIVウイルス複製を遮断するヌクレオシド逆
転写酵素トランスロケ-ション阻害剤である、4’-エチニル2’-デオキシアデノシン
(EFdA、別名MK-8591)である。EFdAは、米国特許第7,339,053
号(特許第’053号では、2’-デオキシ-4’-C-エチニル2-フルオロアデノシ
ンと称されている)でクレ-ムされている。EFdAは次のような化学構造をもつ。
【化2】
【0004】
EFdAは細胞内で代謝され、HIV逆転写酵素を阻害する活性三リン酸アナボライトに
なる。入ってくるヌクレオチドの結合を阻害する3’-OH基を欠く、HIV感染症の治
療に現在利用可能なヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬(NsRTI)やヌクレオチド系逆
転写酵素阻害薬(NtRTI)とは対照的に、EFdAは3’-OH基を保持し、逆転写
酵素(RT)活性部位におけるプライマ-:鋳型の転座を妨げ、入ってくるデオキシリボ
ヌクレオチド三リン酸(dNTP)の結合を妨げることにより、鎖タ-ミネ-タ-として
作用する。さらに、EFdAの修飾リボ-ス環のパッカ-は、入ってくるヌクレオチドか
らのリン酸基転移が効率的でないベクタ-に3’-OHを配置することにより、逆転写酵
素の阻害に寄与すると考えられている。(Michailidis E, et al.
, Mechanism of inhibition of HIV-1 rever
se transcriptase by 4’-ethynyl-2-fluoro-2’-
deoxyadenosine triphospate, J Biol Chem 284:
35681-35691 [2009]; Michailidis E, et al
., 4’-ethynyl-2-fluoro-2’-deoxyadenosine (E
FdA) inhibits HIV-1 reverse transcriptas
e with multiple mechanisms, J Biol Chem
289:24533-24548 [2014])。
【0005】
in vitroのHIV複製アッセイでは、EFdAは強力な抗レトロウイルス薬であ
り、評価された全てのサブタイプにわたって臨床分離株に対して同等の抗ウイルス活性を
示す。これは、リンパ系由来細胞株および末梢血単核細胞のいずれにおいても、in v
itroで速やかに活性三リン酸に同化され、EFdA三リン酸(EFdA-TP)の細
胞内半減期は72時間を超える。(Stoddart, C. A., Galkina
, et al., Oral Administration of the Nuc
leoside EFdA (4’-エチニル-2-Fluoro-2’-Deoxya
denosine) Provides Rapid Suppression of
HIV Viremia in Humanized Mice and Favora
ble Pharmacokinetic Properties in Mice a
nd the Rhesus Macaque, Antimicrob Agents
Chemother, 2015 Jul; 59(7): 4190-4198,オ
ンライン2015年5月4日発行)。
【0006】
EFdAは、ヒト化マウスモデルおよびSIV感染アカゲザルモデルを含むHIV感染の
動物モデルにおいて有効性を有することが示されている。マウスおよびアカゲザルに経口
投与したEFdAの薬物動態試験では、速やかな吸収と高い血漿中濃度が示されている。
アカゲザルから分離した末梢血単核細胞は、薬剤投与24時間後にSIV感染に不応であ
ったことから、長い細胞内半減期が示された。(同書)
【0007】
EFdAを含む4’-エチニルヌクレオシド類似体の従来の合成は、エチニルデオキシリ
ボ-ス糖と2-フルオロアデニン(2-フルオロ-9H-プリン-6-アミンとも呼ばれ
る)ヌクレオ塩基との間のC-N結合の形成における低い立体選択性に悩まされている。
従来の合成では、合成効率を低下させるグリコシル化反応を行うために保護基も必要であ
る。
【0008】
(Kei Fukuyama, et al., Synthesis of EFd
A via a Diastereoselective Aldol Reactio
n of a Protected 3-Keto Furanose, Organi
c Letters 2015, 17(4), pp. 828-831; DOI:
10.1021/ol5036535)に記載されている合成は、ジアステレオ選択的
反応を用いて3つの立体中心を設定する、D-グルコ-スジアセトニドからの14工程合
成である。アノマ-中心の立体化学は、続いて加水分解と脱酸素によって除去される2′
-アセトキシ配向基をもつことによって制御される。この経路には4回のクロマトグラフ
ィ-による精製と、後期脱酸素に有毒な有機スズ試薬の化学量論的使用が必要である。
【0009】
別の経路(Mark McLaughlin, et al., Enantiose
lective Synthesis of 4′-ethyny.-2-fluoro-2′
-deoxyadenosine (EFdA) via Enzymatic Des
ymmetrization, Organic Letters 2017, 19
(4), pp. 926-929参照)では、酵素による非対称化により立体選択的に
完全置換4′カルビノ-ルが生成される。3’-立体中心は触媒的不斉移動水素化で設定
され、アノマ-1’-結合は基質制御を用いて適度な立体選択性で確立され、立体化学的
純度の向上は中間体の結晶化により達成される。この過程には15工程を要し、保護基の
使用が必要であり、低立体選択性(1.8:1)でヌクレオ塩基と糖断片の間のグリコシ
ル結合を生成する。
【0010】
R-グリセルアルデヒドアセトニドからEFdAを製造するための12工程の合成が、K
ageyama, M., et al., Concise Synthesis o
f the Anti-HIV Nucleoside EFdA, Biosci.
Biotechnol. Biochem, 2012 , 76, pp. 1219
ー1225; および Enantioselective Total Synth
esis of the Potent Anti-HIV Nucleoside E
FdA, Masayuki Kageyama, et al., Organic
Letters 2011 13 (19), pp. 5264-5266 [DOI
: 10.1021/ol202116k]に記載されている。この合成はキラルな出発
物質を用いて、中程度のジアステレオ選択性をもつ3’立体中心を設定する。立体異性体
をクロマトグラフィ-で分離した後、新しい立体中心を用いてジアステレオ選択的アルキ
ン付加を誘導し、完全置換4′-立体中心を設定する。アノマ-1′-位は立体制御が少
なく、アノマ-を分離するにはクロマトグラフィ-が必要である。この経路では、二つの
異なる段階でジアステレオ異性体をクロマトグラフィ-で分離する必要があり、高価なキ
ラル出発物質から出発する。
【0011】
Kohgo, S., et al., Design, Efficient Syn
thesis, and Anti-HIV Activity of 4′-C-Cy
ano- and 4′-C-ethynyl-2′-deoxy Purine Nucle
osides, Nucleosides, Nucleotides and Nuc
leic Acids, 2004, 23, pp. 671-690 [ DOI:
10.1081/NCN-120037508]は、既存のヌクレオシドから開始し、
糖部分およびヌクレオ塩基部分の両方を修飾する合成経路を記載している。2-アミノ-
2′-デオキシアデノシンから始まる18工程の合成で、全収率は2.5%と低い。
【0012】
プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(PNP、EC 2.4.2.1)のような酵素は、
高い立体選択性で、保護基を使用せずに、ヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体中でグ
リコシル結合を形成できることが知られている。例えば、総説New Trends i
n Nucleoside Biotechnology, Mikhailopul
o, I.A., Miroshnikov, A.I,. Acta Naturae
2010, 2, pp. 36-58.を参照。しかし、PNPによって触媒される
反応を受けることができる糖断片の現在の範囲は、天然リボ-スおよびデオキシリボ-ス
のα-1-リン酸体とC2’およびC3’位置における小さなH、NH、またはF置換
基およびC5’ OH基の置換体を有する少数の類似体に限定されている。環上に炭素置
換基をもつ糖、あるいはC4’位に何らかの置換を用いるPNPによって触媒されるグリ
コシル化に成功した報告はない。
【0013】
PNP触媒グリコシル化のためのリボ-スおよびデオキシリボ-スα-1-リン酸基質へ
のアクセスは、酵素ホスホペントムタ-ゼ(PPM、EC 5.4.2.7)による5’
-ヒドロキシル位から1’-ヒドロキシル位へのリン酸基の移動によって示されている(
Mikhailopulo、I.A.前出参照)。しかし、この反応を触媒することがで
きる糖の範囲は、リボ-ス、アラビノ-ス、2-デオキシリボ-ス、および2,3-ジデ
オキシリボ-スに限定されている。他の置換基を含む糖リン酸との反応に成功した例は報
告されていない。
【0014】
デオキシリボ-スリン酸アルドラ-ゼ(DERA、EC 4.1.2.4)酵素は、他の
短鎖アルデヒドへのアセトアルデヒドのアルド-ル付加を触媒することが知られている(
総説: Stephen M. Dean, et al., Recent Adva
nces in Aldolase-Catal-Cath. Synth. Cata
l. 2007, 349, pp. 1308 - 1320; DOI: 10.1
002/adsc.200700115を参照)。しかし、アルデヒドへの完全置換炭素
αを有するアルデヒドでの例は報告されていない。
【0015】
米国特許7,229,797号は、プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(PNP)の使用
により、さらにスクロ-スホスホリラ-ゼのような酵素を使用して無機リン酸副生成物を
除去し、平衡を駆動することにより、天然の非置換デオキシリボ-ス1-リン酸からデオ
キシリボヌクレオシドを生成することを記載している。当文献は、非天然の4-エチニル
D-2-デオキシリボ-ス1-リン酸からヌクレオシドを生成することができるPNP酵
素の創製のための酵素工学を開示しておらず、また、PPMおよびDERA酵素の工学を
介して、非天然の基質に作用するために、4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス1-リ
ン酸を生成することができるPNP酵素も開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,339,053号
【特許文献2】米国特許7,229, 797号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Kawamoto、E.、Sarafianos S. F. et al.、Int. J. Biochem. Cell Biol.; 40(11):2410-20[2008];
【非特許文献2】Ohrui、H.、H. et al.、Nucleosides & Nucleic Acids、26, 1543-1546[2007])
【非特許文献3】Hattori、S.、K.、Nakata、H. et al, Antimicrobial. Agents and Chemotherapy, 53, 3887-3893 [2009]
【非特許文献4】Michailidis E, et al., Mechanism of inhibition of HIV-1 reverse transcriptase by 4’-ethynyl-2-fluoro-2’-deoxyadenosine triphosphate, J Biol Chem 284:35681-35691 [2009]
【非特許文献5】Michailidis E, et al., 4’-エチニル-2-fluoro-2’-deoxyadenosine (EFdA) inhibits HIV-1 reverse transcriptase with multiple mechanisms, J Biol Chem 289:24533-24548 [2014])
【非特許文献6】Stoddart, C. A., Galkina, et al., Oral Administration of the Nucleoside EFdA (4’-ethynyl-2-Fluoro-2’-Deoxyadenosine) Provides Rapid Suppression of HIV Viremia in Humanized Mice and Favorable Pharmacokinetic Properties in Mice and the Rhesus Macaque, Antimicrob Agents Chemother, 2015 Jul; 59(7): 4190-4198,オンライン2015年5月4日発行
【非特許文献7】Kei Fukuyama, et al., Synthesis of EFdA via a Diastereoselective Aldol Reaction of a Protected 3-Keto Furanose, Organic Letters 2015, 17(4), pp. 828-831; DOI: 10.1021/ol5036535
【非特許文献8】Mark McLaughlin, et al., Enantioselective Synthesis of 4′-ethynyl-2-fluoro-2′-deoxyadenosine (EFdA) via Enzymatic Desymmetrization, Organic Letters 2017, 19 (4), pp. 926-929
【非特許文献9】Kageyama, M., et al., Concise Synthesis of the Anti-HIV Nucleoside EFdA, Biosci. Biotechnol. Biochem, 2012 , 76, pp. 1219 ー1225
【非特許文献10】Enantioselective Total Synthesis of the Potent Anti-HIV Nucleoside EFdA, Masayuki Kageyama, et al., Organic Letters 2011 13 (19), pp. 5264-5266 [DOI: 10.1021/ol202116k]
【非特許文献12】Kohgo, S., et al., Design, Efficient Synthesis, and Anti-HIV Activity of 4′-C-Cyano- and 4′-C-ethynyel-2′-deoxy Purine Nucleosides, Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids, 2004, 23, pp. 671-690 [ DOI: 10.1081/NCN-120037508]
【非特許文献13】New Trends in Nucleoside Biotechnology, Mikhailopulo, I.A., Miroshnikov, A.I,. Acta Naturae 2010, 2, pp. 36-58.
【非特許文献14】Stephen M. Dean, et al., Recent Advances in Aldolase-Catal-Cath. Synth. Catal. 2007, 349, pp. 1308 - 1320; DOI: 10.1002/adsc.200700115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
4’-エチニルヌクレオシド類似体を製造するために現在までに開発された困難で長時間
の合成オプションを考慮すると、プロセス工程の数を減らし、保護基の使用を最小限にし
、グリコシル化の立体選択性を改善し、毒性物質の使用を回避する、EFdAのような4
’-エチニルヌクレオシド類似体のための改良された酵素合成を開発することが望ましい
であろう。
【発明を解決するための手段】
【0019】
驚くべきことに、PPM酵素はリボ-ス上の4’位にある3-原子エチニル置換基に活性
を有し、当該酵素に突然変異を導入することにより、PPM酵素活性を改善し、PPMに
よって触媒された4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸(6.)の異性化反
応を成功裏に開発することができ、より効率的な4’-エチニル2-デオキシヌクレオシ
ドの産生方法が可能となることが見いだされた。
【0020】
さらに、PNPエンザイムは、デオキシリボ-ス上の4位にある3原子エチニル置換基に
活性を有しており、当該酵素に突然変異を導入することにより、PPM酵素活性を改善し
、PPMによって触媒された糖修飾反応を改善し、より効率的な4’-エチニル2-デオ
キシヌクレオシドの産生方法が可能となることも見いだされた。
【0021】
全体的な合成方法への更なる改良は、DERA酵素、特にShewanella hal
ifaxensis由来のDERAが、完全置換α-炭素を有する2-エチニル-グリセ
ルアルデヒド3-リン酸とのアルド-ル反応の活性を有するという知見からもたらされた
。この発見は、例えばEFdAを含む4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシド類似体
の前駆体である4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸の効率的な合成を可能
にした。
【0022】
発明の概要
【0023】
本発明は、中間体上の保護基の使用を排除し、グリコシル化の立体選択性を改善し、他の
プロセス改善の中でもとりわけ、以前の方法と比較して前記化合物を作製するために必要
とされるプロセス工程の数を大幅に減少させる、EFdAを含む、4’-エチニル2’-
デオキシヌクレオシド類似体の新規な酵素合成における操作された酵素の使用を含む。本
発明は更に、酵素プロセスの不可欠な部分である新規中間体に関するものである。
【0024】
全体的なプロセスは、以下の反応式1および反応式2に要約される。後者の反応式は、化
合物5を作製するための代替的な方法を提供する。
【0025】
【化3】
【0026】
【化4】
【0027】
リン酸中間体の酸形態または塩が、本明細書に記載されるプロセスにおいて使用すること
ができ、本明細書のプロセス段階の例示で提供される特定の酸形態または塩形態に限定さ
れるものではない。本明細書に記載される全てのリン酸中間体について、2Xは、2つ
のプロトン、1つのプロトンと1つの他の一価のカチオン、2つの一価のカチオン(同一
または異なる)または1つの二価のカチオンの任意の組み合わせを表す。
【0028】
同様に、-HO POで示されたリン酸中間体は、2つのプロトン、1つのプロトンと1
つの他の一価のカチオン、2つの一価のカチオン(同一または異なった)または1つの二
価のカチオンの任意の組合せを有することができる。例としては、カルシウム、マグネシ
ウム、または亜鉛の塩;モノまたはジナトリウム塩、モノまたはジカリウム塩、モノまた
はジリチウム塩;モノまたはジアンモニウム塩;または第一級、第二級または第三級アミ
ンを有する一価または二価の塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
当技術分野でよく理解されているように、本明細書中の合成工程においてアルデヒドまた
は水和物として本明細書中に示されるかまたは命名される中間化合物は、本明細書中に記
載される反応において、そのような形態のいずれかの形態またはそのような形態の混合物
で存在し得る。例えば、化合物(4)および(5)は、それぞれ反応式1において水和物
およびアルデヒドとして描かれているが、それぞれが存在する反応段階において、水和物
またはアルデヒド形態またはそれらの混合物として存在することができる。このような形
態の各々は、本明細書の工程内の化合物番号(4)または(5)を参照することによって
包含される。
【0030】
【化5】
【0031】
化合物(3)はアキラルであり、本明細書中では以下のいずれかで示され得る。
【化6】
【0032】
化合物(6)は、その環状または開鎖アルデヒドもしくは水和物として、それぞれが存在
する反応段階において、酸またはその塩として存在することができる。
【化7】
【0033】
発明の詳細な説明
【0034】
アノマ-C-N結合を有する4-エチニル2-デオキシ核酸及びその類似体
【化8】

は、HIV、AIDSおよび関連疾患に対する活性について探求されている。4’-エチ
ニル2’-デオキシヌクレオシドおよびその類似体は、プリンまたはピリミジンヌクレオ
塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル)または修飾プリンまたは
ピリミジンヌクレオ塩基へのアノマ-C-N結合を介して結合した4’-エチニル2’-
デオキシリボ-スを含む。
【0035】
4-エチニル2’-デオキシヌクレオシド類似体、例えばEFdAは、4-エチニルD-
2-デオキシリボ-ス5-リン酸(6)と2つの酵素、ホスホペントムタ-ゼ(PPM)
[例えば、配列番号:8。但しこれに限定されない]およびプリンヌクレオシドホスホ
リラ-ゼ(PNP) [例えば、配列番号:9、配列番号:15]とを組み合わせること
により、最終段階のワンポット法を用いて合成できることが、反応式2に示されている。
【化9】

【化10】
【0036】
反応式2に示すように、合成の最終段階では、(3番目の酵素を用いてもよい)2酵素反
応を用いて、反応の平衡を目的の最終生成物に向かわせる。最終段階は、化合物(6)ま
たはその塩で始まり、ここで(6)は、上記のような環状の4-エチニル2-デオキシリ
ボ-ス5-リン酸またはその開鎖アルデヒドもしくは水和物の形態である。
【0037】
化合物(6)は、マンガン(II)塩を含み適宜pH約6.5~8.0、またはそれ以上
、特に約7.0~7.5の範囲に調整された緩衝溶液中で、ホスホペントムタ-ゼ(PP
M)、プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(PNP)、スクロ-スホスホリラ-ゼ、スク
ロ-ス、および非置換または置換アデニンなどのヌクレオ塩基と組み合わせられる。ショ
糖:化合物(6)のモル比は、約1:1から4:1までであり得るが、これに限定されな
い。このワンポット反応の成分は、任意の順序で組み合わせることができる。
【0038】
反応は、酵素を変性させない温度範囲内、例えば約30~45℃で撹拌し、より詳細には
約35~45℃で撹拌する。ある程度までは、より冷たい温度で反応することがあるが、
反応速度を遅くするであろう。
【0039】
適切なpHを有し、マンガン(II)塩を含有する任意の緩衝液が、反応において使用さ
れ得る。このような緩衝剤の例としては、トリエタノ-ルアミン; PIPES、例えば
、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸); MOPS、例えば、3-(
N-モルホリノ)プロパンスルホン酸または3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸;
HEPES、例えば、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン
酸または2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸
; TRIS、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2-アミノ-2
-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;およびBIS-TRISメタン、
例えば、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロ
パン-1,3ジオ-ルである。特に、緩衝液はトリエタノ-ルアミンである。緩衝剤中の
マンガン(II)塩分は、例えば、塩化マンガン、塩化マンガン水和物、臭化マンガン、
ヨウ化マンガン、硝酸マンガン、および/または硫酸マンガンなどである。緩衝液中のマ
ンガン濃度は約0.05mM~約10mMの範囲にあり、特に約5mMである。
【0040】
平衡反応は、スクロ-スをD-フルクト-スとα-D-グルコ-ス-1-リン酸にリン酸
化分解することによって、副生成物である無機リン酸塩を消費することによって最終生成
物の高い変換に前進させることができる。これは、反応混合物に添加されたスクロ-スホ
スホリラ-ゼ(EC 2.4.1.7)によって触媒される。しかし、スクロ-スホスホ
リラ-ゼおよびスクロ-スを用いる代わりに、リン酸塩を除去するための他の任意の選択
肢、例えば、反応へのカルシウム、マグネシウム、またはマンガンの添加を用いてリン酸
塩を沈殿させることができる。この非常に効率的で生態に優しい過程は、保護基や有機溶
媒を使わずに非常に高い立体選択性で糖とヌクレオ塩基との間にアノマ-結合を形成し、
ワンポット反応として行うことができるという利点がある。
【0041】
一旦反応が完了すると、最終生成物の結晶化による単離および濾過による収集、または適
当な溶媒への抽出後の結晶化など、限定されるわけではないが、当業者に知られている標
準的な手順を用いて、最終生成物を単離することができる。
【0042】
反応式2Aに示すように、合成の最終段階では、(第4の酵素を用いてもよい)3酵素反
応を用いて、反応の均衡を所望の最終生成物に向かって駆動することができる。最終段階
は化合物(5)またはその塩で始まり、ここで(5)は(R)-2-エチニルグリセルア
ルデヒド3-リン酸またはその水和物の形態である。
【0043】
化合物(5)は、マンガン(II)塩を含み適宜pHを約4~10の範囲、または特に約
6.5~8.0、またはそれ以上、特に約7.0~7.5の範囲に調整された緩衝溶液中
で、デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ(DERA)、アセトアルデヒド、ホスホペ
ントムタ-ゼ(PPM)、プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(PNP)、スクロ-スホ
スホリラ-ゼ、スクロ-ス、およびそれらのヌクレオ塩基または類似体、例えば非置換ま
たは置換アデニンと組み合わせられる。ショ糖:化合物(5)のモル比は、約1:1から
4:1までであり得るが、これに限定されない。このワンポット反応の成分は、任意の順
序で組み合わせることができる。
【0044】
反応は、酵素を変性させない温度範囲内、例えば、約30~45℃、または特に約35~
45℃で行われる。ある程度までは、より冷たい温度が働くことがあるが、反応速度を遅
くするであろう。
【0045】
アセトアルデヒドを溶液として加え、特に、イソプロピルアルコ-ル中の40重量%溶液
として加える。反応には、アセトアルデヒドまたはニ-ト(neat)アセトアルデヒド
の任意の適当な溶液を用いることができる。このような溶液の例としては、イソプロパノ
-ル中のアセトアルデヒド溶液、エタノ-ル中のアセトアルデヒド溶液、水中のアセトア
ルデヒド溶液、THF中のアセトアルデヒド溶液が挙げられるが、これらに限定されない
。アルデヒド:化合物(5)のモル比は、限定されるわけではないが、約0.5:1~4
:1、より詳細には1.5:1とすることができる。
【0046】
適切なpHを有し、マンガン(II)塩を含有する任意の緩衝液が、反応において使用さ
れ得る。このような緩衝剤の例としては、トリエタノ-ルアミン; PIPES、例えば
、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸); MOPS、例えば、3-(
N-モルホリノ)プロパンスルホン酸または3-モルホリノプロパン-1-スルホン酸;
HEPES、例えば、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン
酸または2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸
; TRIS、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2-アミノ-2
-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;およびBIS-TRISメタン、
例えば、2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロ
パン-1,3-ジオ-ルが含まれる。特に、緩衝液はトリエタノ-ルアミンである。緩衝
剤中のマンガン(II)塩分は、例えば、塩化マンガン、塩化マンガン水和物、臭化マン
ガン、ヨウ化マンガン、硝酸マンガン、および/または硫酸マンガンなどである。緩衝液
中のマンガン濃度は約0.05mM~約10mMの範囲にあり、特に約5mMである。
【0047】
平衡反応は、スクロ-スをD-フルクト-スとα-D-グルコ-ス-1-リン酸にリン酸
化分解することによって、副生成物である無機リン酸塩を消費することによって最終生成
物の高い変換に前進させることができる。これは、反応混合物に添加されたスクロ-スホ
スホリラ-ゼ(EC 2.4.1.7)によって触媒される。しかし、スクロ-スホスホ
リラ-ゼおよびスクロ-スを用いる代わりに、リン酸塩を除去するための他の任意の選択
肢、例えば、反応へのカルシウム、マグネシウム、またはマンガンの添加を用いて、リン
酸塩を沈殿させることができる。この非常に効率的で生態に優しい過程は、保護基や有機
溶媒を使わずに非常に高い立体選択性で糖とヌクレオ塩基との間にアノマ-結合を形成し
、ワンポット反応として行うことができるという利点がある。
【0048】
一旦反応が完了すると、最終生成物の結晶化による単離および濾過による収集、または適
当な溶媒への抽出後の結晶化など、限定されるわけではないが、当業者に知られている標
準的な手順を用いて、最終生成物を単離することができる。
【0049】
最終生成物4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドおよびその類似体の合成のための
本工程で使用されるいくつかの上流中間体も、反応式3(反応式3Aおよび反応式3B)
に示すような酵素反応法を用いて製造される。
【化11】

【化12】

【化13】
【0050】
化合物4:オキシダ-ゼ反応
【0051】
反応式3に示すように、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド(4)は、ガラクト-
スオキシダ-ゼと2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル(3)とを、pHが約
3~10、あるいはそれ以上、特に約6~8の範囲になるように適宜調整した緩衝液中で
反応させて調製する。適当なpH範囲を有する任意の緩衝液、例えば、リン酸ナトリウム
;酢酸ナトリウム; PIPES、例えば、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンス
ルホン酸); MOPS、例えば3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸または3-
ピペラジンエタンスルホン酸; HEPES、例えば4-(2-ヒドロキシエチル)-1
-ピペラジンスルホン酸または2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イ
ル]エタンスルホン酸; TRIS、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン
または2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;およびTR
ISメタン、例えば2-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメ
チル)プロパン-1,3-ジオ-ル;ホウ酸; CAPS、例えばN-シクロヘキシル-
3-アミノプロパンスルホン酸; MES、例えば2-(N-モルホリノ)エタンスルホ
ン酸; CHES、例えば、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸、グリシ
ン、またはビシン(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン);リン酸ナトリウ
ムが好ましい。
【0052】
銅とペルオキシダ-ゼは両方ともガラクト-スオキシダ-ゼ(GOase)を活性化する
反応に使われる。銅はCuSO、Cu(OAc)、CuCl、Cu(II)または
Cu(I)の他の塩を加えることによって反応混合物に供給される。ペルオキシダ-ゼは
西洋ワサビペルオキシダ-ゼ、または他の生物に由来するペルオキシダ-ゼであってもよ
いし、フェリシアニド、イリデ-ト、マンガン(III)塩、過硫酸塩および他の1つま
たは2つの電子酸化剤、または無機または有機酸化剤などの酸化剤によって置換すること
ができる。好ましくは、ペルオキシダ-ゼは西洋ワサビペルオキシダ-ゼである。GOa
seの不活性化を防ぐためにカタラ-ゼも加えられる。カタラ-ゼは、哺乳動物源(ウシ
)から、またはコリネバクテリウム、アスペルギルス、またはこの目的のために当該技術
分野で知られている他の生物などの細菌または真菌源からのものであり得る。
【0053】
反応は酸素の存在下で進行する。1つの便利な方法は、空気との反応をスパ-ジ(spa
rge)することである。あるいは、過酸化水素/カタラ-ゼ、ス-パ-オキシド、また
はこの目的のための当該分野で公知の他の方法の使用などの、酸素を生成するための他の
システムを使用することができる。
【0054】
反応は、基質濃度が10~180g/L程度、特に20~50g/L程度で行うことがで
きる。この反応は約0~40℃、特に約10~30℃の温度で行うことができる。
【0055】
化合物8:アミナ-ル生成
【0056】
反応式3Aに例示されるように、(R)-2-エチニル-グリセルアルデヒド(4)は、
それを、安定なN,N-アセタ-ルまたはN,O-アセタ-ルを形成する任意のアミン、
ジアミンまたはアミノアルコ-ル、例えば、N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジア
ミン、N,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン、N,N’-ジフェニルエタン-1
,2-ジアミン、およびN-ベンジルエタノ-ルアミンと反応させることによって、その
アミン形態(例えば、化合物8)で単離することができるが、N,N’-ジベンジルエタ
ン-1,2-ジアミンが好ましい。反応は、アミナ-ルの分解を避けるために、有機溶媒
中、約50℃以下、好ましくは20~30℃の温度で行われる。水と混和しない任意の溶
媒、例えば、MTBE、2-MeTHF、CPME、ジエチルエ-テル、ジイソプロピル
エ-テル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、DCM、またはこれらの混合物を
用いることができるが、これらに限定されない。反応は、基質濃度が10~100g/L
程度、特に20~50g/L程度で行うことができる。
【0057】
任意に、有機溶媒、例えばMTBE、2-MeTHF、CPME、ジエチルエ-テル、ジ
イソプロピルエ-テル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、DCMまたはこれら
の混合物から結晶化することによりアミナ-ルをさらに精製することができ、MTBEが
好ましい。結晶化はアミナ-ルの分解を避けるために、例えば約40℃で50℃以下で行
われる。
【0058】
反応は酸素不在で進行する。1つの簡便な方法は、Nによる反応の注入撹拌(spar
ge)である。あるいは、アルゴン、ヘリウム、またはこのために当技術分野で知られて
いる他の方法の使用のような、酸素を排除するための他のシステムを使用することができ
る。
【0059】
化合物4:アミナ-ル8からのアルデヒド4の再生
【0060】
(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド(4)は、アミナ-ルの分解を避けるために、
水と混和しない有機溶媒の存在下、50℃以下の温度、例えば約0~15℃で、有機また
は無機酸と反応させることによって、それぞれのアミナ-ルから再生することができる。
任意の有機酸または無機酸、例えば、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、カン
ホレスルホン酸、酢酸、塩酸、リン酸、硫酸が使用され得るが、これらに限定されない。
N,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミンビスp-トルエンスルホン酸塩の水への
溶解度が低いため、アミナ-ル8との反応ではp-トルエンスルホン酸が好ましい。水と
混和しない任意の溶媒、例えば、MTBE、2-MeTHF、CPME、ジエチルエ-テ
ル、ジイソプロピルエ-テル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、DCMまたは
これらの混合物;MTBEおよび2-MeTHFが好ましい。反応は、約5~100g/
L、特に20~50g/Lの基質濃度で行うことができる。
【0061】
任意に、アルデヒド4溶液を樹脂でさらに処理して、過剰の有機酸または無機酸を除去す
ることができる。樹脂処理は、DOWEX(商標) MARATHON(商標) A樹脂
(水酸化物型)やAMBERLYST(登録商標) 15樹脂(水素型)などの塩基性樹
脂、またはその混合物、望ましくはDOWEX(商標) MARATHON(商標) A
樹脂(水酸化物型)とAMBERLYST(登録商標) 15樹脂の混合物で行うことが
できる。
【0062】
任意に、アルデヒド4溶液を真空下でさらに蒸発させるか、またはガスで掃引して、過剰
の有機溶媒を除去することができる。
【0063】
化合物5:キナ-ゼ反応
【化14】

図式3および図式3Aに示すように、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン
酸水和物(5)は、大腸菌由来のパントテン酸キナ-ゼ(PanK)野生型またはその変
種を、適宜約4~10の範囲、好ましくは約6.5~8.5、より好ましくは5.5~8
.5のpHに調整した緩衝溶液中において、化合物(4)と反応させることにより調製さ
れる。適当なpH範囲を有する緩衝剤が使用でき、例えば(但し、これらに限定されるも
のではない)、リン酸ナトリウム、PIPES、例えば、ピペラジン-N,N′-ビス(
2-エタンスルホン酸);Bis-TRISメタン、例えば、2-[ビス(2-ヒドロキ
シエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;ホウ酸塩
、HEPES、例えば、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンスルホン酸又は
2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸;トリエ
タノ-ルアミンおよびTRIS、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまた
は2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ルが使用でき、リン
酸ナトリウムが好ましい。例えば、リン酸ナトリウムが好ましい。反応は、任意の適切な
2価金属塩、例えば、マグネシウム塩、例えば塩化マグネシウム、およびコバルト、マン
ガン、亜鉛またはカルシウムの塩の存在下で行うことができるが、これらに限定されない
【0064】
この反応は、5’-三リン酸(ATP)への再生を必要とするリン酸源としてアデノシン
5’-二リン酸(ADP)を利用する。ATPはその場で生成され、その後、ADP、ア
デノシン5’-一リン酸(AMP)またはアデノシンから公知の任意の方法によって再生
され得る。たとえば、アセチルリン酸と酢酸キナ-ゼの組合せは、ADPをATPに再生
するのに用いることができる。たとえば、ピルビン酸、リン酸、酸素の存在下では、ピル
ビン酸オキシダ-ゼとカタラ-ゼの組合せがアセチルリン酸を生成するので、酢酸キナ-
ゼの存在下でADPをATPに再生するのに用いることができる。
【0065】
反応は、約10~100g/L、特に約20~40g/Lの基質濃度で行うことができる
。この反応は約0~40℃、特に約10~25℃の温度で行うことができる。
【0066】
反応は、樹脂に固定したパントテン酸キナ-ゼ(PanK)でも、あるいは樹脂に固定し
たPanKと酢酸キナ-ゼの両方でも行うことができる。当該技術分野で公知の任意の適
切な酵素固定化方法、例えば、固定化金属イオンアフィニティ-クロマトグラフィ-(I
MAC)樹脂、または他の生物学的タグを用いたアフィニティ-樹脂固定化、共価固定化
、イオン樹脂上の固定化、吸着による固定化、カプセル化、および/または架橋酵素を用
いるが、これらに限定されない。例えば、金属イオン親和性クロマトグラフィ-(IMA
C)樹脂を使用することができ、またはIMAC樹脂と二価カチオンの任意の適切な組合
せを使用することができ、ここでカチオンは、例えば、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、
鉄、および/またはアルミニウムであり得るが、これらに限定されない。特に、ニッケル
を帯びたIMAC樹脂が使用できる。好ましくは、酢酸キナ-ゼおよびパントテン酸キナ
-ゼ(PanK)の両方が樹脂上に固定化される。
【0067】
化合物9:キナ-ゼ反応
【化15】
【0068】
反応式3Bに示すように、(S)-2-エチニルプロパン-1,3-トリオ-ル1-リン
酸(9)は、大腸菌由来のパントテン酸キナ-ゼ(PanK)野生型またはその変種を、
適宜pH約4~10の範囲、好ましくは約6.5~8.5、より好ましくは5.5.~8
.5で調整した緩衝溶液中において、化合物(3)と反応させることにより調製される。
適当なpH範囲を有する緩衝剤が使用でき、例えば(但し、これらに限定されるものでは
ない)、リン酸ナトリウム、PIPES、例えば、ピペラジン-N,N′-ビス(2-エ
タンスルホン酸);Bis-TRISメタン、例えば、2-[ビス(2-ヒドロキシエチ
ル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;ホウ酸塩、HE
PES、例えば、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンスルホン酸又は2-[
4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸;とりえたノ-
ルアミンおよびTRIS、例えば、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2-
アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ルが使用でき、リン酸ナト
リウムが好ましい。例えば、リン酸ナトリウムが好ましい。反応は、任意の適切な二価金
属塩、例えば、マグネシウム塩、例えば塩化マグネシウム、およびコバルト、マンガン、
亜鉛またはカルシウムの塩の存在下で行うことができるが、これらに限定されない。
【0069】
この反応は、5’-三リン酸(ATP)への再生を必要とするリン酸源としてアデノシン
5’-二リン酸(ADP)を利用する。ATPはその場で生成され、その後、ADP、ア
デノシン5’-一リン酸(AMP)またはアデノシンから公知の任意の方法によって再生
され得る。たとえば、アセチルリン酸と酢酸キナ-ゼの組合せは、ADPをATPに再生
するのに用いることができる。代わりに、(a)ピルビン酸、リン酸および酸素の存在下
でのピルビン酸オキシダ-ゼ、カタラ-ゼおよび酢酸キナ-ゼの組合せを用いてADPを
ATPに再生することができる、または(b)ピルビン酸、リン酸および酢酸キナ-ゼの
存在下でのピルビン酸オキシダ-ゼ、カタラ-ゼおよび酢酸キナ-ゼの組合せと、アセチ
ルリン酸および酢酸キナ-ゼとの組合せを用いて、ADPからのATP再生に用いること
ができる。
【0070】
反応は、約10~100g/L、特に約20~40g/Lの基質濃度で行うことができる
。この反応は約0~40℃、特に約10~25℃の温度で行うことができる。
【0071】
反応は、樹脂に固定したパントテン酸キナ-ゼ(PanK)でも、あるいは樹脂に固定し
たPanKと酢酸キナ-ゼの両方でも行うことができる。当該技術分野で公知の任意の適
切な酵素固定化方法、例えば、固定化金属イオンアフィニティ-クロマトグラフィ-(I
MAC)樹脂、または他の生物学的タグを用いたアフィニティ-樹脂固定化、共価固定化
、イオン樹脂上の固定化、吸着による固定化、カプセル化、および/または架橋酵素を用
いるが、これらに限定されない。例えば、金属イオン親和性クロマトグラフィ-(IMA
C)樹脂を使用することができ、またはIMAC樹脂と二価カチオンの任意の適切な組合
せを使用することができ、ここでカチオンは、例えば、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、
鉄、および/またはアルミニウムであり得るが、これらに限定されない。特に、ニッケル
を帯びたIMAC樹脂が使用できる。好ましくは、酢酸キナ-ゼおよびパントテン酸キナ
-ゼ(PanK)の両方が樹脂上に固定化される。
【0072】
化合物5:オキシダ-ゼ反応
【化16】
【0073】
反応式3Bに示すように、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド水和物3-リン酸(
5)は、ガラクト-スオキシダ-ゼと(S)-2-エチニルプロパン-1,2,3-トリ
オ-ル1-リン酸(9)とを、pHを約3~10、あるいは特に約6~8の範囲に調整し
た緩衝液中で反応させて調製する。適当なpH範囲を有する任意の緩衝液が使用でき、例
えば(但し、これらに限定されるものではない)、リン酸ナトリウム;酢酸ナトリウム;
PIPES、例えばピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸);MOPS
、例えば3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸または3-ピペラジンエタンスルホ
ン酸; HEPES、例えば4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンスルホン酸
または2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エタンスルホン酸;
TRIS、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンまたは2-アミノ-2-(
ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;Bis-TRISメタン、例えば、2
-[ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,
3-ジオ-ル;ホウ酸塩;CAPS、例えば、N-シクロエキシル-3-アミノプロパン
スルホン酸;グリシン;またはビシン(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン
);リン酸ナトリウムが使用でき、リン酸ナトリウムが好ましい。
【0074】
銅とペルオキシダ-ゼは両方ともガラクト-スオキシダ-ゼ(GOase)を活性化する
反応に使われる。銅はCuSO、Cu(OAc)、CuCl、またはCu(II)
もしくはCu(I)の他の塩を加えることによって反応混合物に供給される。ペルオキシ
ダ-ゼは西洋ワサビペルオキシダ-ゼ、または他の生物に由来するペルオキシダ-ゼであ
ってもよく、フェリシアニド、イリデ-ト、マンガン(III)塩、過硫酸塩および他の
1つまたは2つの電子酸化剤、または無機または有機酸化剤などの酸化剤によって置換す
ることができる。好ましくは、ペルオキシダ-ゼは西洋ワサビペルオキシダ-ゼである。
GOaseの不活性化を防ぐためにカタラ-ゼも加えられる。カタラ-ゼは、哺乳動物源
(ウシ)から、またはコリネバクテリウム、アスペルギルス、またはこの目的のために当
該技術分野で知られている他の生物などの細菌または真菌源からのものであり得る。
【0075】
反応は酸素の存在下で進行する。1つの便利な方法は、空気との反応をスパ-ジ(spa
rge)することである。あるいは、過酸化水素/カタラ-ゼ、ス-パ-オキシド、また
はこの目的のための当該分野で公知の他の方法の使用などの、酸素を生成するための他の
システムを使用することができる。
【0076】
反応は、基質濃度が10~180g/L程度、特に20~50g/L程度で行うことがで
きる。この反応は約0~40℃、特に約10~30℃の温度で行うことができる。
【0077】
化合物6:デオキシリボ-ス-ホスフェイトアルドラス(DERA)反応
【0078】
既知のプロセスよりも化合物(6)を生産するためのこの新しいル-トの重要な利点は、
保護基を使用せずに正しい酸化状態で糖骨格を作り出すことである。
【0079】
4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸(6)は、デオキシリボ-ス-リン酸
アルドラ-ゼ(DERA)と(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸(5)
を酸又は塩とし、必要に応じてpHを約5~9又はそれ以上、特に約6~8の範囲に調整
した水溶液中のアセトアルデヒドを反応させて調製する。(5)の塩の例には、カルシウ
ム、マグネシウム、亜鉛、モノ-もしくはジ-Na塩、モノ-もしくはジ-K塩、または
モノ-もしくはジ-Li塩;モノ-もしくはジ-アンモニウムもしくは塩;または第一級
、第二級もしくは第三級アミンを有する一価もしくは二価の塩が含まれるが、これらに限
定されない。反応は開放容器で行うか、またはアセトアルデヒドの蒸発を防ぐため密閉容
器で行うことが望ましい。
【0080】
反応は約10~100g/L、特に約30~60g/Lの基質濃度で行うことができる。
約0~40℃、特に約25~35℃の温度で実施することができる。
【0081】
この反応は緩衝剤なしで行うことができる。或いは、以下の緩衝剤を用いることができる
が、これらに限定されるものではない:トリエタノ-ルアミン;リン酸塩; MOPS、
例えば、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸または3-モルホリノプロパン-1
-スルホン酸; HEPES、例えば、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジン
エタンスルホン酸または2-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]エ
タンスルホン酸; BIS-TRISメタン、例えば、2-[ビス(2-ヒドロキシエチ
ル)アミノ]-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオ-ル;ホウ酸塩; P
IPES、例えば、ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸); MES、
例えば、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸;およびホウ酸塩;または適切なpH
範囲を有し、一級アミン基を有さない他の緩衝剤。
【0082】
1つ以上の酵素の使用を含む本明細書に記載されるプロセスの各工程および方法は、この
1つ以上の酵素を変性させない温度で実施される。1つ以上の酵素の使用を含む本明細書
に記載のプロセスの各工程および方法は、約3~10または約4~10の範囲のpHで行
うことができる。
【0083】
「ヌクレオ塩基」(または「窒素塩基」または「塩基」)は、DNAおよびRNAなどの
核酸のピリミジンまたはプリン複素環である。本明細書中で使用される場合、ヌクレオ塩
基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミンまたはウラシル、ならびに非天然修飾を有
するヌクレオ塩基、例えば、塩基が1つ以上の非天然置換基を有するヌクレオ塩基、また
はアノマ-C-N結合への任意の変化を除く塩基におけるヘテロ原子に影響を及ぼす修飾
を含む。
【0084】
4’-エチニル2’-デオキヌクレオシドはヌクレオ塩基を含む。本明細書中で使用され
る場合、4’-エチニル2’-デオキシヌクレオシドの類似体は、ヌクレオシドの塩基に
対する非天然修飾、例えば、塩基が1つ以上の非天然置換基を有すること、またはアノマ
-C-N結合への変換を除く塩基におけるヘテロ原子に影響する修飾を意味する。
【0085】
本明細書中で使用される場合、「ホスホペントムタ-ゼ」(「PPM」)酵素(例えば、
EC 5.4.2.7)は、リボ-ス1-リン酸からリボ-ス5-リン酸への可逆的異性
化およびデオキシリボ-スリン酸およびリボ-スリン酸およびデオキシリボ-スリン酸の
類似体などの関連化合物を触媒する酵素である。
【0086】
本明細書中で用いる「プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ」(「PNP」)酵素(EC
2.4.2.2)は、プリンリボヌクレオシドおよび関連化合物(例えば、リボヌクレオ
シドおよびデオキシリボヌクレオシドのデオキシリボヌクレオシドおよび類似体)の遊離
プリン塩基およびリボ-ス-1-リン酸(およびその類似体)への可逆的リン酸化を触媒
する酵素である。
【0087】
本明細書中で使用される場合、「ショ糖ホスホリラ-ゼ」(「SP」)酵素(EC 2.
4.1.7)は、ショ糖のD-フルクト-ス塩基およびグルコ-ス-1-リン酸への可逆
的リン酸化を触媒する酵素である(およびその類似体)。スクロ-スホスホリラ-ゼ(S
P)とスクロ-スとの併用は、プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(PNP)およびホス
ホムタ-ゼ(PPM)と併用して、反応から遊離リン酸イオンを除去するために用いられ
、ここで、酵素の組合せはヌクレオシドMK-8591(EFdA)の形成を触媒するが
、いくつかの実施形態においては、当該技術分野で知られている他の方法で置き換えるこ
とができる。
【0088】
本明細書中で用いる場合、「デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ」(「DERA」)
(例えば、EC 4.1.2.4)は、可逆的に炭素-炭素結合を切断または生成するリ
ア-ゼのファミリ-中の酵素を指す。本明細書中で使用されるデオキシリボ-ス-リン酸
アルドラ-ゼは、天然に存在する(野生型)デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼなら
びにヒト操作によって生成される非天然に存在する工学的ポリペプチドを含む。野生型デ
オキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼは、2-デオキシ-D-リボ-ス5-リン酸からD
-グリセルアルデヒド3-リン酸とアセトアルデヒドへの可逆反応を触媒する。
【0089】
本明細書中で用いる場合、「パントテン酸キナ-ゼ」、(「PanK」)は、天然形でパ
ントテン酸をリン酸化して4’-ホスホパントテン酸を生成する酵素(EC 2.7.1
.33)を指す。このようなPanK酵素に由来する変異体酵素は、そのような変異体が
パントテン酸に対して自然の機能を保持するかどうかにかかわらず、D-エチニルグリセ
ルアルデヒドの3’OH-基に対する活性および立体選択性の改善を示す可能性がある。
【0090】
本明細書で用いる場合、”ガラクト-スオキシダ-ゼ”(”GOase”; EC 1.
1.3.9)酵素は銅依存性酵素であり、二分子酸素の存在下では、第一級アルコ-ルの
対応するアルデヒドへの酸化を触媒する。これらは位置特異的にもエナンチオ特異的にも
作用し、官能基保護をほとんど、あるいは全く必要としない合成アプロ-チを可能にし、
所望の立体異性体を生じる。酸化の様式は穏やかであり、活性がアルコ-ルの対応するカ
ルボン酸への過剰酸化を導かないように制御されている。
【0091】
本明細書中で用いられる場合、「西洋ワサビペルオキシダ-ゼ」(HRP、EC 1.1
1.1.7)酵素は、正常なGOase触媒サイクルの間に生じる活性部位の不活性な酸
化還元状態を酸化することによって、GOase触媒活性を活性化し、維持する鉄依存性
酵素である。I型HRPは、本明細書に含まれる実施例において触媒様式で使用されるが
、このクラスまたは他の酵素クラスに属する他の電子伝達酵素および同様の役割を果たす
化学化合物を排除することを意図しない。
【0092】
本明細書中で使用される場合、「カタラ-ゼ」は、ガラクト-スオキシダ-ゼまたはピル
ビン酸オキシダ-ゼ反応の副生成物である過酸化水素に作用するヘム依存性酵素(EC
1.11.1.6)を指し、この過酸化水素はガラクト-スオキシダ-ゼまたはピルビン
酸オキシダ-ゼ反応の副生成物であり、これら酵素を一定レベル以上で不活化する。カタ
ラ-ゼは、過酸化水素を水および酸素に変換するために、本明細書の実施例において触媒
維持酵素として使用され、一方、いくつかの実施形態では、過酸化水素の電気化学的分解
などの他の方法で置き換えることができる。ヘム依存性カタラ-ゼは、本明細書に含まれ
る実施例において触媒様式で採用されているが、この役割を果たし得るこのクラスに属す
る他の酵素が存在するので、この役割に限定されることは意味されない。
【0093】
ここで用いられる場合、「酢酸キナ-ゼ」(「AcK」)は、酢酸およびアデノシン三リ
ン酸(ATP)からのアセチルリン酸の生成を触媒する酵素(EC 2.7.2.1)を
意味する。逆反応も触媒でき、アセチルリン酸の存在下でアデノシン5’-二リン酸(A
DP)をアデノシン5’-三リン酸(ATP)にリン酸化する。酢酸キナ-ゼは、本明細
書の実施例においてパントテン酸キナ-ゼ(PanK)によって必要とされるATPをリ
サイクルするために使用されるが、いくつかの実施形態においては、アセチルリン酸酢酸
キナ-ゼリサイクリング組合せは、当該技術分野で知られている他の方法によって置き換
えることができる。
【0094】
本明細書中で用いる「ピルビン酸オキシダ-ゼ」(「PO」)は、フラビンアデニンジヌ
クレオチド(FAD)およびチアミン二リン酸に依存する酵素(EC 1.2.3.3)
を意味する。ピルビン酸オキシダ-ゼはオキシドレダクタ-ゼファミリ-に属する酵素で
あり、特に酸素を受容体とする供与体のアルデヒド基またはオキソ基に作用し、ピルビン
酸、リン酸イオンと二分子酸素との化学反応を触媒してアセチルリン酸、二酸化炭素およ
び過酸化水素を生成する。ピルビン酸オキシダ-ゼ(PO)は、本明細書の例において、
酢酸キナ-ゼ(AcK)および触媒性ATP再生組合せとして、酢酸キナ-ゼ(AcK)
およびカタラ-ゼと組み合わせて用いられ、ここで、当該酵素の組合せは、酸素、ピルビ
ン酸およびリン酸イオンの存在下でADPからATPの生成を触媒するが、一方、いくつ
かの実施形態においては、それは当技術分野で知られている他の方法で置き換えることが
できる。
【0095】
本明細書中で使用される「野生型」および「天然に存在する」酵素は、天然中に見出され
る形態を意味する。例えば、野生型ポリペプチド配列とは、自然界の供給源から単離する
ことができ、かつヒトの操作によって意図的に改変されていない生物に存在する配列であ
る。
【0096】
本明細書中で使用される場合、「操作された」、「変異体」、「突然変異体」および「非
天然に存在する」とは、天然に存在しないであろう方法で改変された、ポリペプチドを含
む酵素、または物質の天然もしくは天然の形態に対応する物質を指す。いくつかの実施形
態において、ポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドと同一であるが、合成材料お
よび/または組換え技術を用いる操作によって産生または誘導される。
【0097】
酵素に関する「配列同一性のパ-センテ-ジ」、「同一性のパ-センテ-ジ」、「同一性
のパ-センテ-ジ」、および「同一性のパ-センテ-ジ」は、本明細書中では、ポリヌク
レオチド配列またはポリペプチド配列間の比較を指して用いられ、比較ウインドウ上の2
つの最適アラインメントされた配列を比較することによって決定され、ここで、比較ウイ
ンドウにおけるポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列の部分は、2つの配列の最適ア
ラインメントのための参照配列と比較して、付加または欠失(すなわち、ギャップ)を含
み得る。パ-センテ-ジは、同一のヌクレオ塩基またはアミノ酸残基のいずれかが両方の
配列で生じる位置の数、またはヌクレオ塩基またはアミノ酸残基がギャップと整列して一
致した位置の数を求め、一致した位置の数を比較のウインドウにおける位置の総数で除し
、結果に100を乗じて配列同一性のパ-センテ-ジを生じることによって計算される。
最適アラインメントおよびパ-セント配列同一性の決定は、BLASTおよびBLAST
2.0アルゴリズムを用いて行われる(例えば、Altschul et al.,
1990, J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltsc
hul et al., 1977, Nucleic Acids Res. 338
9-3402を参照されたい)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、Na
tional Center for Biotechnology Informat
ionのウェブサイトを通じて公開されている。
【0098】
簡潔に言えば、BLAST分析は、まず、デ-タベ-スシ-クエンス中の同じ長さの単語
と一致するか、または同じ長さの単語と一致するときにある正値閾値スコアTを満足する
、問合せシ-クエンス中の長さWの短い単語を同定することによって、高スコアシ-クエ
ンスペア(HSP)を同定することを含む。Tは近隣単語スコア閾値(Altschul
ら、前出)と呼ばれる。これらの最初の近傍単語ヒットは、それらを含むより長いHSP
を見つけるための探索を開始するためのシ-ドとして作用する。次に、累積アラインメン
トスコアを増加できる限り、各シ-ケンスに沿って両方向に単語ヒットを拡張する。累積
スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメ-タM(1対のマッチング残基に対する報
酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチング残基に対するペナルティスコア;常に<
0)を用いて算出される。アミノ酸配列については、スコアリングマトリックスを用いて
累積スコアを算出する。各方向の単語ヒットの伸長は、以下の場合に停止される:累積ア
ラインメントスコアがその最大達成値から量Xによって低下する;累積スコアがゼロまた
はそれ以下になる、1つ以上のマイナススコアの残基アラインメントが蓄積する;または
どちらかのシ-ケンスの末端に到達する。BLASTアルゴリズムパラメ-タW、T、お
よびXは、位置合わせの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオ
チド配列の場合)では、語長(W)11、期待ユ-ロング10、M=5、N=-4、およ
び両鎖の比較を欠損として使用する。アミノ酸配列については、BLASTPプログラム
は、3のワ-ルドレングス(W)、10の期待ユ-ロ(E)、およびBLOSUM62ス
コアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff, 1989,
Proc Natl Acad Sci USA 89:10915参照)を欠損とし
て使用する。
【0099】
BLASTと同様に機能する他の多くのアルゴリズムが、2つのシ-クエンスのパ-セン
ト同一性を提供するために利用できる。比較のための配列の最適アラインメントは、例え
ば、SmithおよびWaterman, 1981, Advの局所的相同性アルゴリ
ズム、1981、Adv.Appl.Math. 2:482, Needleman
and Wunsch, 1970, J. Molの相同性アルゴリズム、Pears
on and Lipman, 1988, Procの類似性検索、アルゴリズム(G
CGウィスコンシンソフトウェアパッケ-ジにおけるGAP, BESTFIT, FA
STAおよびTFASTA)のコンピュ-タ画像または目視検査(一般に、Curren
t Protocols in Molecular Biology、F. M. A
usubel et al., eds.、Current Protocols、Gr
eene Publishing Associates, Inc.とJohn Wi
ley & Sons, Inc.(1995 Supplement) (Ausub
el)との共同ベンチャ-を参照)によって、行うことができる。さらに、配列アライン
メントおよびパ-セント配列同一性の決定は、GCGウィスコンシンソフトウェアパッケ
-ジ(Accelerys, Madison WI)のBESTFITまたはGAPプ
ログラムを使用することができる。この場合、デフォルトパラメ-タを使用する。
【0100】
「実質的同一性」とは、少なくとも20残基位置の比較ウィンドウ、しばしば少なくとも
30~50残基のウィンドウにわたる参照配列と比較して、少なくとも85%、86%、
87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、
97%、98%、99%、またはそれ以上の配列同一性を有するポリヌクレオチドまたは
ポリペプチド配列であって、比較ウィンドウにわたる参照配列の合計20パ-セント以下
の欠失または付加を含む配列と比較することによって、配列同一性のパ-センテ-ジが計
算される、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を指す。ポリペプチドに適用される
具体的な実施形態では、「実質的な同一性」という用語は、2つのポリペプチド配列が、
デフォルトギャップ重みを用いたプログラムGAPまたはBESTFITなどによって、
最適にアラインメントされた場合、少なくとも80%の配列同一性、好ましくは少なくと
も89%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性(例えば、99%
の配列同一性)を共有することを意味する。好ましくは、同一でない残基の位置は、保存
的アミノ酸置換によって異なる。
【0101】
「立体選択性」とは、ある立体異性体が別の立体異性体よりも化学的または酵素的に優先
的に生成することをいう。立体選択性は部分的であり、一方の立体異性体の生成が他方よ
り有利な場合もあれば、一方の立体異性体しか形成されない場合もある。立体異性体がエ
ナンチオマ-である場合、立体選択性はエナンチオ選択性と呼ばれ、両方の合計における
一方のエナンチオマ-の分率(典型的にはパ-センテ-ジとして報告される)である。公
式[メジャ-エナンチオマ--マイナ-エナンチオマ-]/[メジャ-エナンチオマ-+
マイナ-エナンチオマ-]に従って計算されたエナンチオマ-過剰(e.)として当該技
術分野で一般的に(典型的にはパ-センテ-ジとして)代替的に報告される。立体異性体
がジアステレオ異性体である場合、立体選択性はジアステレオ選択性と呼ばれ、2つのジ
アステレオマ-の混合物中の1つのジアステレオマ-の割合(典型的にはパ-センテ-ジ
で報告される)であり、一般的にジアステレオマ-過剰(d.e.)として代替的に報告
される。鏡像異性体過剰とジアステレオマ-過剰は立体異性体過剰のタイプである。
【0102】
語句「適切な反応条件」は、本発明で使用される各ポリペプチドが基質を所望の生成物化
合物に変換することができる酵素変換反応溶液中の条件(例えば、酵素負荷、基質負荷、
温度、pH、緩衝液、共溶媒などの範囲)を指す。いくつかの例示的な適当な反応条件が
本明細書に提供される。
【0103】
本明細書中で使用される場合、酵素変換反応プロセスの文脈における「基質」は、本明細
書中で使用される操作された酵素によって作用される化合物または分子を指す。
【0104】
本明細書中で使用される、酵素変換プロセスとの関連における「生成物」とは、基質に対
する酵素ポリペプチドの作用に起因する化合物または分子を意味する。
【0105】
本明細書中で使用されるように、反応中に存在する特定の成分(例えば、酵素)が、目的
の成分が存在しない場合と比較して、より多くの製品を生成させる場合に、反応からの製
品(例えば、4’-エチニル2’-デオキシリボ-スリン酸類似体または4’-エチニル
2’-デオキシヌクレオシド類似体)の収率を増加させる。
【0106】
本明細書中で使用される「平衡」または「平衡」とは、化学反応または酵素反応において
化学種の定常状態濃度(例えば、2種のAおよびBの相互変換)をもたらす過程を指し、
これには、化学反応または酵素反応の前進速度定数および逆速度定数によって決定される
立体異性体の相互変換が含まれる。
【0107】
「鏡像異性体過剰」(ee)は、キラルな物質に用いられる純度の測定値である。これは
、試料中に一方の鏡像異性体が他方の鏡像異性体よりも多く含まれている度合いを反映し
ている。例えば、ラセミ体の混合物は鏡像異性体過剰0%であるが、完全に純粋なエナン
チオマ-が1個の場合はe.e.が100%であり、一方のエナンチオマ-が70%、他
方のエナンチオマ-が30%の試料ではe.e.が40%(70%~30%)である。ジ
アステレオマ-過剰(de)は、混合物中に2つのジアステレオ異性体のみが存在する場
合と同様に計算される。
【0108】
「タンパク質」、「酵素」、「ポリペプチド」、および「ペプチド」は、本明細書中では
、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、脂質化、ミリスチル化、1
0ユビキチン化など)にかかわらず、アミド結合によって共有結合した少なくとも2つの
アミノ酸のポリマ-を意味するために互換的に使用される。この定義の中に含まれるもの
は、D-およびL-アミノ酸、ならびにD-およびL-アミノ酸の混合物である。
【0109】
ここでいう「約」とは、ある特定の値に対して許容可能な誤差を意味する。ある場合には
、「約」とは、所定の値範囲の下端および上端において0.05%、0.5%、1.0%
または2.0%以内を意味する。pHに関しては、「約」とは、プラスまたはマイナス0
.5を意味する。
【0110】
本明細書中で使用される「実質的に純粋な」ポリペプチドまたは「精製された」タンパク
質は、そのポリペプチド種が存在する優勢な種である(すなわち、モルまたは重量ベ-ス
では、組成物中の他の任意の個々の高分子種よりも多い)組成を意味し、一般に、対象種
がモルまたは重量%で存在する高分子種の少なくとも約50%を含む場合に、実質的に精
製された組成である。しかし、いくつかの実施形態において、ポリペプチドを含む組成物
は、50%未満の純度のポリペプチドを含む(例えば、約10%、約20%、約30%、
約40%、または約50%)。一般に、実質的に純粋なポリペプチド組成物は、組成物中
に存在する全ての高分子種をモル%または重量%で、約60%以上、約70%以上、約8
0%以上、約90%以上、約95%以上、および約98%以上含む。いくつかの実施形態
において、ポリペプチドは、本質的に均一性に精製され(すなわち、汚染種は、従来の検
出方法によって組成物中で検出され得ない)、ここで、組成物は、本質的に単一の高分子
種からなる。溶媒種、小分子(<500ダルトン)、元素イオン種は巨大分子種とは考え
られない。いくつかの実施形態において、単離されたポリペプチドは実質的に純粋なポリ
ペプチド組成物である。
【0111】
本明細書中で使用される場合、酵素の「改善された特性」は、酵素の少なくとも1つの改
善された特性を指す。いくつかの実施形態において、本発明は、それぞれ、参照PPM、
PNP、DERA、PanK、AcK、SPまたはGOaseポリペプチド、および/ま
たはそれぞれ野生型PPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPまたはGOas
eポリペプチド、および/またはそれぞれ、他の改変されたPPM、PNP、DERA、
PanK、AcK、SPまたはGOaseポリペプチドと比較していずれかの酵素特性の
改善を示す組換えPPM、PNP,DERA、PanK、AcK、SPおよび/またはG
Oaseポリパプチドを利用する。したがって、「改良」のレベルを決定し、野生型を含
む種々のポリペプチドならびに操作されたポリペプチド間で比較することができる。改良
された特性には、タンパク質発現の増加、意図された産物の産生の増加、基質特異性また
は親和性の増加(すなわち、基質に対する活性の増加)、熱活性の増加、熱安定性、pH
活性の増加、安定性の増加、酵素活性の増加、比活性の増加、基質または最終産物阻害に
対する抵抗性の増加、化学的安定性の増加、化学選択性の改善、溶媒安定性の改善、酸性
pHに対する耐性の増加、タンパク質分解活性に対する耐性の増加(すなわち、タンパク
質分解に対する感受性の低下)、凝集の減少、溶解性の増加、および温度プロファイルの
変化などの特性が含まれるが、これらに限定されない。追加の実施態様において、この用
語は、PPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPおよび/またはGOase酵
素の少なくとも1つの改良特性を参照して使用される。いくつかの実施形態において、本
発明は、それぞれ参照PPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPおよび/また
はGOaseポリペプチドと比較して、任意の酵素特性において改良を示す改良型PPM
、PNP、DERA、PanK、SPおよび/またはGOaseポリペプチド;および/
または他の改変型PPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPおよび/またはG
Oaseポリペプチドをそれぞれ使用する。したがって、「改良」のレベルを決定し、野
生型を含む種々のポリペプチドならびに操作されたポリペプチド間で比較することができ
る。
【0112】
ここでいう「変換」とは、対応する生成物への基質の酵素的変換(又は生体内変換)を意
味し、「パ-セント」変換とは、特定の条件下で一定期間内に生成物に変換される基質の
パ-セントを意味する。したがって、ポリペプチドの「酵素活性」又は「活性」は、特定
の期間における生成物への基質のパ-セント変換として表すことができる。
【0113】
本明細書中で用いる「立体選択性」とは、ある立体異性体が別の立体異性体よりも化学的
または酵素的反応で優先的に生成することを意味する。立体選択性は部分的であり、一方
の立体異性体の生成が他方より有利な場合もあれば、一方の立体異性体しか形成されない
場合もある。立体異性体がエナンチオマ-である場合、立体選択性はエナンチオ選択性と
呼ばれ、両方の合計における一方のエナンチオマ-の分率(典型的にはパ-センテ-ジと
して報告される)である。それは、公式[メジャ-エナンチオマ--マイナ-エナンチオ
マ-]/[メジャ-エナンチオマ-+マイナ-エナンチオマ-]に従って、そこから計算
されるエナンチオマ-過剰(「e.e.」)として、当該技術分野において一般的に(典
型的にパ-センテ-ジとして)代替的に報告される。立体異性体がジアステレオ異性体で
ある場合、立体選択性はジアステレオ選択性と呼ばれ、2つのジアステレオマ-の混合物
中の1つのジアステレオマ-の割合(典型的にはパ-センテ-ジで報告される)であり、
一般的にジアステレオマ-過剰(”d.e.”)として代替的に報告される。鏡像異性体
過剰とジアステレオマ-過剰は立体異性体過剰のタイプである。
【0114】
本発明は、操作されたPPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPおよびGOa
seポリペプチド、特に配列番号1~21を有するもの、および配列番号1~21の各々
の保存的に修飾された変種と呼ばれる1つ以上の保存的アミノ酸置換を含む配列の使用を
包含する。
【0115】
本明細書中で用いられる「保存的」アミノ酸置換とは、タンパク質の生物学的活性を変化
させることなく頻繁に変化させることができるように、類似の特性(例えば、酸性、塩基
性、正または負に荷電した、極性または非極性、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格のコ
ンホメ-ションおよび剛性など)を有するタンパク質中のアミノ酸の置換を指す。これに
は、ポリペプチド中のアミノ酸の、同一または類似の規定されたクラスのアミノ酸内の異
なるアミノ酸による1つまたは複数の置換が含まれる。当業者は、一般に、ポリペプチド
の非必須領域における単一アミノ酸置換は、生物活性を実質的に変化させないことを認識
している(例えば、Watsonら(1987)、Molecular Biology
of the Gene, The Benjamin/Cummings Pub.
Co., p.224(第4版)を参照されたい)。さらに、構造的または機能的に類
似したアミノ酸の置換は、生物活性を破壊する可能性が低い。例を挙げ、限定するわけで
はないが、いくつかの実施形態において、脂肪族側鎖を有するアミノ酸は別の脂肪族アミ
ノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシン)で置換される;ヒド
ロキシル側鎖を有するアミノ酸は、ヒドロキシル側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、セ
リンおよびトレオニン)で置換される;芳香族側鎖を有するアミノ酸は、芳香族側鎖を有
する別のアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、およびヒス
チジン)で置換される;塩基性側鎖を有するアミノ酸は、別のアミノ酸(例えば、リジン
およびアルギニン)で置換される;酸性側鎖を有するアミノ酸は、酸性側鎖を有する別の
アミノ酸(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)で置換される;および/または
疎水性または親水性アミノ酸は、それぞれ別の疎水性または親水性アミノ酸で置換される
。さらなる例示的な保存的アミノ酸置換を表1に示す。
【0116】
【表1】
【0117】
用語「アミノ酸置換セット」または「置換セット」とは、参照配列と比較して、ポリペプ
チド配列中のアミノ酸置換のグル-プを意味する。置換セットは、1、2、3、4、5、
6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれ以上のアミノ酸置換
を有することができる。
【0118】
「機能的フラグメント」とは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失および/ま
たは内部欠失を有するが、残りのアミノ酸配列が、それが比較される配列中の対応する位
置と同一であり(例えば、本発明で使用される完全長の操作されたPPM、PNP、DE
RA、PanK、AcK、SPまたはGOase酵素)、完全長ポリペプチドの活性の実
質的に全てを保持するポリペプチドを指す。
【0119】
本明細書中で使用される「欠失」とは、参照ポリペプチドから1以上のアミノ酸を除去す
ることによるポリペプチドの修飾を意味する。欠失は、1個以上のアミノ酸、2個以上の
アミノ酸、5個以上のアミノ酸、10個以上のアミノ酸、15個以上のアミノ酸、または
20個以上のアミノ酸の除去、全アミノ酸数の最大10%、または参照酵素を構成する全
アミノ酸数の最大20%を含むことができ、一方、酵素活性を保持し、および/または操
作されたPPM、PNP、DERA、PanK、AcK、SPまたはGOase酵素の改
良された特性を保持することができる。欠失はポリペプチドの内部部分および/または末
端部分に向けることができる。様々な実施形態において、欠失は連続セグメントを含み得
るか、または不連続であり得る。欠失は典型的にはアミノ酸配列の”-”で示されている
【0120】
本明細書中で使用される「挿入」とは、参照ポリペプチドからの1以上のアミノ酸の付加
によるポリペプチドを意味する。挿入は、ポリペプチドの内部部分、またはカルボキシ末
端もしくはアミノ末端にあり得る。本明細書中で使用される挿入物には、当該技術分野で
公知である融合タンパク質が含まれる。挿入は、アミノ酸の連続したセグメントであって
もよいし、自然界に存在するポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸によって隔てられてい
てもよい。
【0121】
ここで使用される追加の頭字語および略語は以下の通りである:
【表2】
【0122】
実験手順
2-エチニル-2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイルジアセテ-トの合成(2)
方法A:
【化17】

THF (1000mL)中のジアセトキシアセトン(1)の-35℃溶液(159g、
914.0mmol)に、-20℃以下に温度を維持したTHF中の塩化エチニルマグネ
シウム0.5M溶液1600mLを加えた。反応が完了した後、400mLのメチルte
rt-ブチルエ-テル(MTBE)中の酢酸(78mL)を-20℃以下に保ちながら滴
加した。その後、MTBE (800mL)を加え、室温まで加温した。水中の飽和Na
Cl(1000mL)を加え、続いて水中の飽和NH4Cl溶液(1050mL)を加え
た。有機層を分離し、Na2SO4上に乾燥し、蒸発させて、化合物(2)を油状物とし
て得た(160g、88%)。1H NMR (CDCl3, 500 MHz): δ
4.26 (dd, 4 H), 2.55 (s, 1H), 2.14 (s,
6H).
【0123】
2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ルの合成(3)
方法B:
【化18】

2-エチニル2-ヒドロキシプロパン-1,3-ジイルジアセテ-ト(2)(70g、3
50mmol)のエタノ-ル溶液に、メトキシレ-トナトリウムのメタノ-ル溶液(69
.9mL、35.0mmol)0.5Mを室温(rt)で加えた。反応はrtで2時間(
h)撹拌して終了した。溶媒を蒸発させ、残留物を100mLの水に再溶解し、3×50
mLのMTBEで抽出した。水層を窒素で散布して残留溶媒を除去し、核磁気共鳴(NM
R) (内部標準としてマレイン酸)で測定したところ、2-エチニルプロパン-1,2
,3-トリオ-ル(3)(108g、収率100%)の40.9%溶液を得た。1H N
MR (D2O, 500 MHz): δ 3.60 (dd, 4 H), 2.8
5 (s, 1H).
【0124】
(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド (4) の代替調製
C1方法:
【化19】

攪拌した反応器中で、消泡剤204(Sigma A6426、1滴~20μL)を含む
リン酸ナトリウム緩衝液(30mL、100mM、pH 7.0)中の2-エチニルプロ
パン-1、2、3-トリオ-ル(3)(1.1g、9.47mmol)を12.5 sc
cmでスパ-グしながら30℃に加温した。ガラクト-スオキシダ-ゼ(GOOア-ゼ、
配列番号:1)(250mg)、ホ-スラジッシュペルオキシダ-ゼ(I型、5mg)お
よびウシカタラ-ゼ**(5mg)をリン酸ナトリウム緩衝液(5mL、100mM、p
H 7.0)に溶解し、その後CuSO4水溶液(100mM、150μL)を加えた。
反応混合物を空気散布しながら600rpmで47時間撹拌し、(R)-2-エチニルグ
リセルアルデヒド(4)を47%転化率(NMRによる)および72% e.e.で得た
。(本剤は単離されなかった。)1H NMR (D2O, 500 MHz): δ
4.29 (s, 1H), 3.65 (dd, 2H), 2.83 (s, 1H
).
* 西洋ワサビペルオキシダ-ゼ:ワサビ根(Amoracia rusticana)
から単離したSIGMA (P8125)から市販のワサビI型由来の野生型ペルオキシ
ダ-ゼ。
** ウシカタラ-ゼ:ウシ供給源由来のヘム依存性カタラ-ゼ、シグマ(C1345)
から市販
【0125】
C2方法:
【化20】

脱イオン水(56.2kg)を入れた100 Lのジャケット炉に、リン酸ナトリウム(
1.212kg、10mole)を加えた。25℃で10 N水酸化ナトリウム溶液(852
.6g)を用いてpHを7.02に調整した。反応器にアンチフォ-ム204(A642
6、10mL)を入れ、続いてCuSO・5HO(6.5g)を入れた。ガラクト-
スオキシダ-ゼ(451.2g) (配列番号10)を添加し、空気でスパ-ジしながら
15分間撹拌した。西洋ワサビペルオキシダ-ゼ*(200.2g)とカタラ-ゼ**(
502.6g)を加え、反応器を水(2.0kg)で洗浄した。次に水(9.48%、3
0.34kg、24.72mol)中の2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル
(3)溶液を加え、続いて消泡剤204(A6426、10mL)を追加した。反応は空
気でスパ-ジし、一晩かき混ぜて(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド(4)94.
0kgを66%変換(NMRによる)と84% e.e.で得た。分析の結果、60%:
1H NMR(D O, 500MHz): δ 4.29(s, 1H)、3.6
5(dd, 2H)、2.83(s, 1H)となる。
* 西洋ワサビペルオキシダ-ゼ:西洋ワサビ根(Amoracia rustican
a)から単離されたトヨボ(PEO-301)から市販されている、精製されたワサビ由
来の野生型ペルオキシダ-ゼ。
** ウシカタラ-ゼ:ウシ供給源由来のヘム依存性カタラ-ゼで、Sigma (C1
345)から市販されている。
【0126】
上記反応はガラクト-スオキシダ-ゼ(配列番号11)を用いても行い、生成物(4)は
67%変換(NMRによる)および88% e.e.で得られ、分析収率は59%: 1
H NMR(D O, 500MHz): δ 4.29(s, 1H)、3.65(
dd, 2H)、2.83(s, 1H)であった。
【0127】
C3方法:
【化21】
【0128】
スパ-ジャ-(sparger)とフロ-コントロ-ラを搭載した100mLイ-ジ-マ
ックス容器に、水(82mL)とPIPESカリウム緩衝液(5mL、0.5M)を充填
した。25℃で5MのKOH液を用いてpHを7.5に調整した。消泡剤204(200
μL)を加え、続いて進化ガラクト-スオキシダ-ゼ(配列番号:17、450mg酵素
粉末)と硫酸銅(II)五水和物(100μL,100mM)を加えた。反応混合物を1
25標準立方センチ/分(sccm)の空気で15分間スパ-ジした。ウシカタラ-ゼ(
C1345、Sigma-Aldrich、150mg、2000~5000 U/mg
、0.75 MU)を加え、続いて西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(HRP、Toyobo
PEO-301、100mg、130 U/mg、1.3 kU)と2-エチニルプロ
パン-1、2、3-トリオ-ル(3)の水溶液(25wt%,12mL,25.8 mm
ol)を加えた。反応液を125 sccmのエアレ-ションで30℃でかき混ぜ、20
時間かけてEasy Samplerを用いてサンプリングし、70%転換が得られ、5
8%アッセイ収率および99% e.e.で化合物(4)((R)-2-エチニルグリセ
ルアルデヒド)を生成した。1H NMR(D O,500MHz): δ4.29(
s,1H),3.65(dd,2H),2.83(s,1H)。粗反応流は直接、次のリ
ン酸化段階に運ばれた。
【0129】
C4方法:固定化ガラクト-スオキシダ-ゼによる酸化
【化22】
【0130】
酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni帯電樹脂(沈降容量に基づく16mL)をフィルタ-漏斗に
加え、バインディング緩衝液(10カラム容量、160mL; 500mM塩化ナトリウ
ム、50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH 8.0)で洗浄し、樹脂
保存液を除去した。容器内で進化したガラクト-スオキシダ-ゼ(配列番号:17、2.
00g)凍結乾燥粉末を硫酸銅(II)溶液(100μM;5.00mL)に再懸濁し、
結合緩衝液(50mL)および樹脂を添加した。溶液は20℃で5時間回転ミキサを用い
て混合した。この樹脂を、結合緩衝液(10カラム容量、160mL)およびカリウムP
IPES緩衝液(10カラム容量、160mL; 50mM、pH 7.5)でろ過洗浄
し、反応中に直接使用した。
【0131】
反応手順:
スパ-ジャ-とフロ-コントロ-ラを搭載した100mLイ-ジ-マックス容器に、水(
82mL)とPIPESカリウム緩衝液(5mL、1M)を入れた。25℃で5MのKO
H液を用いてpHを7.5に調整した。消泡剤204(200μL)を添加し、続いて樹
脂に固定化した進化ガラクト-スオキシダ-ゼ(配列番号:17、樹脂6mL当たり酵素
粉末750mg)および硫酸銅(II)五水和物(100μL,100mM)を添加した
。反応混合物を125標準立方センチ/分(sccm)の空気で15分間スパ-ジした。
ウシカタラ-ゼ(C1345、Sigma-Aldrich、210mg、2000~5
000 U/mg、1.05 MU)を加え、続いて西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(HR
P、Toyobo PEO-301、100mg、130 U/mg、1.3 kU)と
2-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル(3)の水溶液(25wt%,13mL
,29.4 mmol反応混合物を25℃で撹拌し、曝気を125 sccmで行った。
22時間後に反応は91%に達し、200mM(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド
(4)溶液(100mL、68%アッセイ収率、97% e.e.1H NMR(D
O,500MHz): δ4.29(s,1H),3.65(dd,2H),2.83(
s,1H)となった。粗反応流は直接、次のリン酸化段階に運ばれた。
【0132】
C5方法:アミナ-ル(8)の生成を介したアルデヒドの任意単離
ステップ1:(S)-2-(1,3-ジベンジルイミダゾリジン-2-イル)ブト
-3-エン-1,2-ジオ-ルの調製
【化23】

窒素バブラ-、機械的撹拌器および熱電対を備えた100 Lジャケット付き円筒容器に
、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド(4)、26.0kg、1.85重量%アル
デヒド、3.64mol)を含む粗オキシダ-ゼ反応流を入れ、N2雰囲気で不活性化し
た。水溶液を20℃に加温し、N,N-ジメチルドデカン-1-アミンオキシド(DDA
O) (水中30重量%、798g、0.96mol;)を加えた後、MTBE (55
.3kg,76 L)とN,N’-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン(1.55kg
,6.43mol)を加えた。茶色の二相性混合物を、窒素雰囲気下、20℃で一晩撹拌
した。17時間後、撹拌を停止し、有機相を除去し、廃棄した。(S)-2-(1、3-
ジベンジルイミダゾリジン-2-イル)しかし-3-イン-1、2-ジオ-ル(56.5
kg、2.02重量%アミナ-ル、3.39mmol、93%アッセイ収率)の淡褐色M
TBE溶液を得た。
【0133】
6種類の同様のMTBE溶液を、一回の蒸留および結晶化段階(合計374.4kgの溶
液中で、7.91kgのアミナ-ルを含む)で一緒に処理した。
【0134】
機械的撹拌器、蒸留ヘッド(-20℃の冷却器)および熱電対を備えた50 Lのジャケ
ット付き円筒容器にアミナ-ル溶液(45 L)を装填し、容器(65~95torr)
に真空を加え、ジャケットを40℃に設定した。溶媒は35 Lの容量に達するまで蒸留
により除去した。この時点で、内部温度は6.1℃で、オフホワイトの固体が結晶化し始
めていた。残りのMTBE溶液は、35~40 Lの一定容積と0~10℃の内部温度を
維持しながら、ゆっくりと加えた。MTBE溶液がすべて添加されると、容量は25 L
に減少した。蒸留を停止し、容器に窒素を不活性化し、ジャケット温度を10℃に低下さ
せた。得られた淡黄色懸濁液をこの温度で2時間置き、固体をろ過により回収した。フィ
ルタ-ケ-キを冷(-2℃)MTBE(12.7kg)で洗浄した後、窒素流下で7時間
乾燥した。(S)-2-(1、3-ジベンジルイミダゾリジン-2-イル)-しかし-3
-イン-1、2-ジオ-ルをオフホワイト結晶固体(5.75kg)として得た。1H
NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.42 - 7.35 (m,
4H), 7.32 (td, J = 7.5, 1.6 Hz, 4H), 7.
27 - 7.21 (m, 2H), 5.10 (t, J = 5.6 Hz,
1H), 5.03 (s, 1H), 4.28 (d, J = 13.3Hz,
1H), 4.16 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.76 (s,
1H), 3.70 - 3.58 (m, 4H), 3.21 (d, J =
0.9 Hz, 1H), 2.90 - 2.80 (m, 2H), 2.60 -
2.51 (m, 2H).13C NMR (126 MHz, DMSO-d6)
δ 140.0, 140.0, 128.5, 128.3, 128 .2, 1
28.1, 126.8, 126.8, 88.6, 86.9, 75.0, 74
.0, 66.4, 60.7, 60.5, 50.4, 50.3, 39.5.H
R-MS(ESI)アミナル(M + H+) C21H25N2O2+337:計算値
1911;337.検出値1922。
【0135】
ステップ2 アミナ-ル(8)から(R)-2-エチニル-グリセルアルデヒド(4)の
調製
【化24】

窒素バブラ-と機械的撹拌器を備えた4Lジャケット付き円筒容器に、TsOH・H
(12.0g、63.1mmol)、水(60mL)、(S)-2-(1、3-ジベンジ
ルイミダゾリジン-2-イル)ブタ-3-イン-1、2-ジオ-ル(110g、327m
mol)とMTBE (1700mL)を入れた。二相混合物を窒素下に置き、ジャケッ
ト温度を15℃に設定した。TsOH・H2O(114g、599.3mmol)の水溶
液(600mL)をかき混ぜながら1.5時間かけて滴加した(200rpm)。添加終
了後、ジャケット温度を5℃に下げ、得られたスラリ-を1時間置いたた。固形物はろ過
により除去し、冷水(270mL)で洗浄した。二相溶液を分離漏斗に移し、有機相を除
去し、廃棄した。水相をDOWEX(商標) MARATHON(商標) A樹脂(水酸
化物形態、11.0g)およびAMBERLYST(登録商標) 15樹脂(水素形態、
11.0g)で処理し、一方、N2で200 sccmの速度で24時間スパ-ジし、残
留MTBEを除去した。この樹脂をろ過により除去し(R)-2-ヒドロキシ-2-(ヒ
ドロキシメチル)ブタ-3-イナ-ル(774g、4.6重量%アルデヒド、82%収率
)の無色水溶液を得た。1H NMR (500 MHz, D2O) δ 5.01
(s, 1H), 3.77 (d, J = 11.7 Hz, 1H), 3.73
(d, J = 11.7 Hz, 1H), 2.92 (s, 1H).13C
NMR (126MHz, D2O) δ 129.4, 125.4, 90.3,
81.0, 76.0, 73.9, 65.3。HRMS (ESI) Aldehy
de dimer (2M + Na) C10H12NaO6 計算値 251.
0526; 検出値 251.0530.
【0136】
(R)-2-エチニル-グリセルアルデヒド 3-リン酸塩 (5) の代替調製法:
D1方法:アセテ-トキナ-ゼ: ATP再生系
【化25】

撹拌リアクタ-内で、HEPES緩衝液(66mM、pH 7.5、30mL)中のアデ
ノシン二リン酸二ナトリウム塩(40mg、0.087mmol)および塩化マグネシウ
ム(38mg、0.400mmol)の溶液に(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド
(4)(1.9mL、水中210g/L溶液、3.51mmol)を加え、続いて酢酸キ
ナ-ゼ(配列番号3)(40mg)、およびパントテン酸キナ-ゼ(配列番号2)(12
0 mg)を加えた。反応混合物を25℃に加温し、HEPES緩衝液(50mM、pH
7.5、10mL)中のアセチルリン酸リチウムカリウム塩溶液(1.3g、7.01
mmol)を4時間かけて滴加し、5M水酸化ナトリウムを用いてpHを7.5に維持し
た。反応を18時間撹拌して(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸(5)
を85%変換(HPLCによる)で与えた(生成物は単離されなかった)。1H NMR
(D2O, 400 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4.00 (d
q, 2 H), 2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES, m/z):
C5H7O6P (M-H): 測定値193.1; 検出値 193.0.
【0137】
D2方法:ピルビン酸オキシダ-ゼATP再生系
【化26】

攪拌反応器において、76mLの水pH 7.5中のピルビン酸ナトリウム(3.11g
、28mmol)およびリン酸(0.523mL、7.71mmol)の溶液に、(R)
-2-エチニルグリセルアルデヒド(4)(3.8mL、水中210g/L溶液、7.0
1mmol)、アデノシン二リン酸二ナトリウム塩(80mg、0.174mmol)、
チアミンピロリン酸(40mg、0.086mmol)、フラビンアデニンジヌクレオチ
ド二ナトリウム塩水和物(64mg、0.077mmol)、および塩化マグネシウム(
400μL、水中1M溶液、0.4mmol)を入れた。pHを5M水酸化ナトリウムで
7.5に再調整し、反応容量を水で80mLに再調整した。酢酸キナ-ゼ(配列番号:3
)(80mg)、ピルビン酸オキシダ-ゼ(配列番号:4)(80mg、凍結乾燥細胞遊
離抽出物)、パントテン酸キナ-ゼ(配列番号:2)(400mg)、およびカタラ-ゼ
(800 μL、硫酸アンモニウム懸濁液CAT-101、Biocatalytics
)を添加した。反応物を空気スパ-ジしながら500rpmおよび30℃で72時間撹拌
すると、95%転化率(HPLCによる)で(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3
-リン酸5が得られた(生成物は単離されなかった)。1H NMR (D2O, 40
0 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4.00 (dq, 2 H),
2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES, m/z): calculate
d for C5H7O6P (M-H): 193.1; 検出値 193.0.
【0138】
上記反応はパントテン酸キナ-ゼ(配列番号13)を用いても行い、生成物5は66%変
換で得られた。(本剤は単離されなかった。)1H NMR (D2O, 400 MH
z): δ 5.02 (s, 1H), 4.00 (dq, 2 H), 2.88
(s, 1H).
【0139】
D3方法:アセテ-トキナ-ゼ:固定化酵素を用いたATP再生系
【化27】
【0140】
酵素固定化手順:
NUVIA(登録商標)固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィ-(IMAC)
ニッケル帯電樹脂(沈降容量に基づく168mL)をフィルタ-漏斗に加え、結合緩衝液
(1.6L;塩化ナトリウム500mM、リン酸ナトリウム50mM、pH 8.0)で
洗浄した。容器中で、パントテン酸キナ-ゼ(8.4g) (配列番号:12)および酢
酸キナ-ゼ(2.8g) (配列番号:3)を結合緩衝液(500mL)に溶解した。洗
浄した樹脂を容器に仕込み、溶液を20℃で4時間攪拌した。樹脂をろ過し、最初に結合
緩衝液(1.6L)で洗浄し、続いてピペラジン-N,N′-ビス(2-エタンスルホン
酸) (PIPES)緩衝液(840mL; 50mM, pH 6.5)で洗浄した。
洗浄した樹脂は次の段階で直接使用した。
【0141】
反応手順:
1L反応器に、水(608.7g、4.6重量%、212mmol)中の(R)-2-エ
チニルグリセルアルデヒド(4)の溶液を入れ、5℃に冷却した。冷却溶液ピペラジン-
N,N′-ビス(2-エタンスルホン酸) (PIPES)緩衝液(32.7mL、1M
、pH 6.5、32.7mmol)、塩化マグネシウム(9.33mL、1M、9.3
3mmol)、アセチルリン酸二アンモニウム塩(51.8g、265mmol)、アデ
ノシン二リン酸二ナトリウム塩水和物(1.17g、2.12mmol)及び水(192
mL)を加えた。溶液を撹拌し、5NのKOHを用いてpHを6.4に調整した。反応を
20℃に加温し、パントテン酸キナ-ゼ(配列番号12)および酢酸キナ-ゼ(配列番号
3)を固定化した樹脂168mLを加えた。反応をpH6.4に維持するために用いた5
N KOHで10時間撹拌し、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-りん酸(5
)を92%変換(HPLCによる)及び91%収率(内部標準として塩化テトラフェニル
ホスホニウムによる31P NMRによる)で与えた(生成物は単離されなかった)。1
H NMR (D2O, 400 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4.
00 (dq, 2 H), 2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES, m
/z): C5H7O6P (M-H): 計算値193.1; 検出値 193.0.
【0142】
4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸(6)の合成
方法E:
【化28】

(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸塩(5)(5、20mL、5.3m
mol)の水溶液に、アセトアルデヒドの水溶液(40 wt.%、2.02mL、15
.9mmol)を室温で加えた後トリエタノ-ルアミン塩酸塩緩衝液(1mL、1 M、
pH 7)中の25mgデオキシリボ-ス-リン酸塩アルドラ-ゼ (DERA)(配列
番号6)を加えた。反応器を密封し、混合物を30℃と600rpmで一夜撹拌し、99
% conv中に4-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-りん酸(6)を得た。99
%、すなわち1:1アノマ-混合物として99% d.e.(生成物は単離されなかった
)。α-アノ-マ: 1H NMR (D2O、600MHz) δ5.31(t、1H
)、4.13(t、1H)、3.81~3.72(m、2H)、2.89(s、1H)、
2.42~2.34(m、1H)、1.87~1.79(m、1H)、13C NMR
(D2O、151MHz) δ97.7(s)、81.4(d)、79.4(s)、78
.9(s)、71.1(s)、67.7(d)、39.6(s)。β-アノ-マ: 1H
NMR (D2O、600MHz) δ 5.40(dd、1H)、4.28(t、1
H)、3.88~3.80(m、2H)、2.87(s、1H)、2.13~2.06(
m、1H)、2.04~1.97(m、1H)、13C NMR (D2O、151MH
z) δ 97.3(s)、82.2(d)、78.7(s)、78.5(s)、71.
3(s)、68.4(d)、39.6(s)。LC-MS: (ES, m/z): C
7H10O7P (M-H): 237.0; 検出値 237.0
【0143】
(2R,3S,5R)-5-(6-アミノ-2-フルオロ-9H-プリン-9-イル)-
2-エチニル2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-オ-ル一水和物(7)
[別名4’-エチニル2-フルオロ-2’-デオキシアデノシンまたはEFdA]の代替
調製法
【0144】
F1方法
【化29】
【0145】
リン酸水素アンモニウム((2R、3S)-2-エチニル3、5-ジヒドロキシテトラヒ
ドロフラン-2-イル)メチル(1.00g、3.91mmol)をpH 7.5緩衝液
(5mM MnClを含む100mM triethanolamine・HCl)1
0mLに溶解した。溶液のpHは5NのNaOHで7.3に調整した。溶液に2-フルオ
ロアデニン(0.599g、3.91mmol)およびショ糖(2.68g、7.82m
mol)を加えた。酵素溶液は、ホスホペントムタ-ゼ(配列番号:8)(100mg)
、プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(配列番号:9)(50mg)及びショ糖ホスホリ
ラ-ゼ(配列番号:7)(10mg)をpH 7.5緩衝液10mLに溶解して調製した
。酵素溶液を試薬混合物に添加し、得られた懸濁液を40℃で振盪した。20時間後、懸
濁液を0℃に冷却し、ろ過して冷水で洗浄した。固体を吸引乾燥し、標記化合物(1.1
2g,92%)を単一異性体とした。
1H NMR: (300 MHz, DMSO-d6, ppm): δ 7.68
(br s, 2H), 7.32 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.
44 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 5.52 (d, J = 5.6
Hz, 1H), 5.27 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.44
(q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.60 (q, J = 6.0 H
z, 1H), 3.53 (q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.48 (
s, 1H), 2.48-2.41 (m, 1H), 2.37-2.30 (m,
1H).13C NMR (150.92 MHz, DMSO-d6, ppm)
δ 158.5 (d, JCF = 203.5), 157.6 (d, JCF
= 21.2), 150.2 (d, JCF = 20.2), 139.7 (d
, JCF = 2.4), 117.4 (d, JCF = 4.0), 85.1
, 82.0, 81.4, 78.7, 70.1, 64.2, 38.1.LC-
MS: (ES, m/z): C12H12FN5O3 (M+Na): 316.0
822; 計算値316.0818。
【0146】
このステップで使用したPPMおよびPNP酵素は、それぞれ大腸菌(Escheric
hia coli)由来の酵素からの突然変異に由来した。この段階で用いたスクロ-ス
ホスホリラ-ゼ(SP)はアロスカルドビア・オンニコレンスに由来した;他の生物に由
来するSPも用いることができた。
【0147】
F2方法:
【化30】

ピペラジン-N,N′-ビス(2-エタンスルホン酸) (PIPES)緩衝液を含む(
R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸(5)(950mL、157mmol
)の約5.5~6.0のpHの水溶液にトリエタノ-ルアミン(7.09g、47.5m
mol)を加えた。溶液のpHは、水酸化カリウム(8mL、8M)を用いて7.1から
7.6に調整した。塩化マンガン(II)水和物(0.592g、4.70ミリモル)を
添加し、次いでスクロ-ス(161g、470ミリモル)を添加し、pH7.5を得て、
溶液に、以下の酵素:デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ(配列番号:14)(46
1mg)、スクロ-スホスホリラ-ゼ(配列番号:7)(494mg)、ホスホペントム
タ-ゼ(配列番号:8)(2.63g)、およびプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ(配
列番号:15)(659mg)を添加した。酵素が溶解したら、2-フルオロアデニン(
19.80g、125mmol)を加えた。反応を35℃に加熱し、アセトアルデヒドを
加えた(イソプロピルアルコ-ル中40wt%、29.8mL、235mmol)。2時
間反応させた後、混合物にEFdA結晶生成物(0.96g,2mol%)を播種した。
35℃で26時間反応させた後、スラリ-を0℃に冷却し、固体を濾過、水で2回洗浄す
ることによって収集した(40mL ea.)。固体を窒素スイ-プ下で乾燥した。43
.2g、92重量%、96.2%の補正値が得られる。 H NMR: (300 M
Hz, DMSO-d6, ppm): δ 7.68 (br s, 2H), 7.
32 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 6.44 (t, J = 5.8
Hz, 1H), 5.52 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 5.27
(t, J = 6.0 Hz, 1H), 4.44 (q, J = 6.4 H
z, 1H), 3.60 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 3.53 (
q, J = 6.4 Hz, 1H), 3.48 (s, 1H), 2.48-2
.41 (m, 1H), 2.37-2.30 (m, 1H).13 C核磁気共鳴
(150.92MHz, DMSO-d6, ppm) δ158.5(d, JCF
= 203.5),157.6(d, JCF = 21.2),150.2(d, J
CF = 20.2),139.7(d, JCF = 2.4),117.4(d,
JCF = 4.0),85.1,82.0,81.4,78.7,70.1,64.2
,38.1。LC-MS: (ES, m/z): C12H12FN5O3 (M+N
a): 316.0822;計算値316.0818。
【0148】
(S)-2-エチニル-プロパン-1,2,3-トリオ-ル 1-リン酸塩 (9) の
代替調製方法
G1方法:アセテ-トキナ-ゼ:酵素配列番号2および配列番号3を用いたATP再生系
【化31】

50mLのリアクタ-に2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル(3)の水溶液
(9.29g、9.46wt%、7.57mmol)カリウムPIPES緩衝液(1.0
2mL、1M、pH 6.5、1.02mmol)、塩化マグネシウム(292μL、1
M、0.292mmol)、アセチルリン酸二アンモニウム塩(1.851g、89wt
%、9.46mmol)、アデノシン二リン酸二ナトリウム塩水和物(ADP、42mg
、0.076mmol、0.01 eq)、および水(28mL)を入れた。5MのKO
Hを用いてpHを6.4に調整し、溶液を20℃に加温し、進化した(evolved)パント
テン酸キナ-ゼPanK 配列番号2(264mg)および酢酸キナ-ゼAcK 配列番
号3(88mg)を追加した。反応は5NのKOHを用いてpHを6.4に維持して16
時間撹拌した。最終反応含量は(S)-2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル
1-ホスフェ-ト(9)を>95% e.e.及び99%転化率(31 P-NMR)で
与えた。生成物は単離されなかった。 H NMR (D O, 500 MHz)
δ 3.89 (m, 2H), 3.72 (d, J = 11.6 Hz, 1
H), 3.65 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.93 (s,
1H).13 C NMR (D O, 126 MHz) δ 82.9 (s)
, 75.1 (s), 71.0 (d, J = 6.9 Hz), 67.0 (
d, J = 4.5 Hz), 64.7 (s).31P NMR (D O,
202 MHz) δ 3.39.HRMS: (ESI, m/z): [M-1]
P: 195.0058; 検出値195.0068 [M-H]
: 195.0058。
【0149】
G2方法:アセテ-トキナ-ゼ:酵素配列番号20および配列番号21を用いたATP再
生系。
【化32】

ジャケット反応器水溶液に2-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル(3)(11
.47kg、8.7重量%、8.61モル)および水(7.5kg)を入れ、次いで1M
BIS-TRISメタン緩衝液pH 6.5(1L)および塩化マグネシウム(41.
4g)を入れた。ATP (48g、0.086mol、0.01当量)及びリン酸ジア
ンモニウムアセチル2.021kg、89%、10.33mmol)を加え、20℃まで
加温し、KOH (270.4g)を用いてpHを6.8に再調整した。進化した(evol
ved)パントテン酸キナ-ゼ配列番号20(20.4g)および進化した酢酸キナ-ゼ配
列番号21(3g)を固体として装填した。この反応を20℃で16時間撹拌したところ
、pHは5.5に低下した。2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル(3)の定
量変換を Hと31P NMRで判断して得た。そのような調製された(S)-2-エ
チニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル1-リン酸(9)液(397mM、22.5k
g、98%の収率)は、さらなる浄化を行わずに、その後の酸化段階で使用した。
NMR (D O, 500 MHz) δ 3.89 (m, 2H), 3.7
2 (d, J = 11.6 Hz, 1 H), 3.65 (d, J = 11
.6 Hz, 1H), 2.93 (s, 1H).
【0150】
G3方法:アセテ-トキナ-ゼ:酵素配列番号20および配列番号2と重水素化化合物(
3)を用いて絶対立体化学を帰属させ、脱対称性のリン酸化を実証する。
【化33】
【0151】
進化したパントテン酸キナ-ゼ配列番号20(10g/L水溶液100μL)と進化した
酢酸キナ-ゼ配列番号21(2g/L水溶液100μL)を、リン酸ジアンモニウムアセチ
ル(41mg)、2-エチニルプロパン-1、1-d2-1、2、3-トリオ-ル((R
)-3-d2、20mg、170μmol)、塩化マグネシウム(水中1M溶液10μL
)、ADP (水中100g/L溶液10μL)及びリン酸ナトリウム緩衝液(水中1M
溶液10μL)を水中(800μL)に含むpH6.5の溶液に加えた。この反応をrtで
24時間インキュベ-トし、重水素化2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル1
-りん酸類似体(S)-9-(3,3-d2)および(S)-9-(1,1-d2)を9
5:5比および99%の全収率で得た。31 P NMRによりリン酸化化合物の比率を
約95:5と決定し、プロ-(S)ヒドロキシル基(すなわち脱対称性リン酸化)での2
-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル(3)の立体選択的リン酸化を確認した。
H NMR(D O、500MHz) δ3.89(m、2H)、3.72(d、
J = 11.6Hz、1H)、3.65(d、J = 11.6Hz、1H)、2.9
3(s,1H)。13 C NMR (D O, 126 MHz) δ 82.9
(s), 75.1 (s), 71.0 (d, J = 6.9 Hz), 67.
0 (d, J = 4.5 Hz), 64.7 (s).
【0152】
G4方法:アセテ-トキナ-ゼ:固定化酵素配列番号20および配列番号21を用いたA
TP再生系。
【化34】

酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni荷電樹脂(沈降容量に基づく75mL)をフィルタ-漏斗に
加え、水(9カラム容量、3×225mL)及び結合緩衝液(1カラム容量、75mL;
500mM塩化ナトリウム、50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH
8.0)で洗浄した。容器中でパントテン酸キナ-ゼ(配列番号:20、6.0g)凍
結乾燥粉末を結合緩衝液(200mL)に再懸濁し、洗浄した樹脂を加えた。25℃で6
時間回転ミキサ-を用いて混和した。この樹脂をろ過し、結合緩衝液(6カラム容量、6
x 225mL)およびBIS-TRIS緩衝液(8カラム容量、600mL; 50
mM、pH 6.2)で洗浄した。
反応手順:
2-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル(3)(574g、8.7%重量、0.
430mol)と水(350mL)の水溶液をジャケット付き反応器に入れ、続いて1M
BIS-TRISメタン緩衝液pH 6.5(50mL)と塩化マグネシウム(2.0
33g,0.01mol)を加えた。ATP (2.37g、0.0043モル、0.0
1当量)とリン酸ジアモニウム(101g、89%、0.530mmol、1.2当量)
を加え、20℃まで加温し、5M KOHを用いて液体のpHを6.8に再調整した。パ
ントテン酸キナ-ゼ配列番号20および進化した酢酸キナ-ゼ配列番号21(0.15g
)を固定化した樹脂(25mL)を固体として装填した。反応は20℃で16時間撹拌し
、その間pHは5.5に低下した。2-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル(3
)の(S)-2-エチニルプロパン-1、2、3-トリオ-ル1-りん酸(9)への定量
的転換を Hと31 P NMR(D O、500MHz) δ3.89(m、2H
)、3.72(d、J = 11.6Hz、1H)、3.65(d、J = 11.6H
z、1H)、2.93(s、1H)で判断して得た。
【0153】
(R)-2-エチニル-グリセルアルデヒド 3-リン酸塩 (5) の代替調製法:
H1方法: 固定化ガラクト-スオキシダ-ゼ配列番号16
【化35】

酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni帯電樹脂(沈降容量に基づき10mL)をフィルタ-漏斗に
加え、バインディング緩衝液(10カラム容量、100mL; 500mM塩化ナトリウ
ム、50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH 8.0)で洗浄し、樹脂
保存液を除去し、洗浄した樹脂16gを得た。容器内で進化させたガラクト-スオキシダ
-ゼ(配列番号:16、750mg)凍結乾燥粉末を硫酸銅(II)溶液(100μM;
5.00mL)に再懸濁し、結合緩衝液(20mL)および洗浄した樹脂(3.0g)を
添加した。20℃で5時間回転ミキサ-を用いて混和した。この樹脂をバインディング緩
衝液(10カラム容量、100mL)およびBIS-TRIS緩衝液(10カラム容量、
100mL; 50mM、pH 7.5)でろ過洗浄し、グリコシル化反応に直接使用し
た。
【0154】
反応手順:
固定化ガラクト-スオキシダ-ゼ配列番号16(3.0g)の樹脂をBIS-TRISメ
タン緩衝液(35mM、pH7.2に調整)中の(S)-2-エチニルプロパン-1、2
、3-トリオ-ル1-りん酸(9、5.4mmol、270mM、20mL)の溶液に加
え、続いて水中の硫酸銅(II)溶液(30μL、100mM)、及び水(600μL)
中に再懸濁させた西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(PEO-301、18mg)とウシカタ
ラ-ゼ(C1345、120mg)を加えた。この反応物を気体透過性膜で封じ、22℃
で4日間激しく振り混ぜて77%の最終転換に達し、(R)-2-エチニルグリセルアル
デヒド3-リン酸(5)を95% e.e.で得た。酵素樹脂をろ過し、(R)-2-エ
チニルグリセルアルデヒド3-リン酸(5)の溶液をグリコシル化反応に直接用いた。1
H NMR (D2O, 400 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4.
00 (dq, 2 H), 2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES, m
/z): C5H7O6P (M-H):測定値 193.1; 検出値 193.0.
【0155】
H2方法: 固定化ガラクト-スオキシダ-ゼ配列番号17
【化36】

酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni帯電樹脂(沈降容量に基づき10mL)をフィルタ-漏斗に
加え、バインディング緩衝液(10カラム容量、100mL; 500mM塩化ナトリウ
ム、50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH 8.0)で洗浄し、樹脂
保存液を除去し、洗浄した樹脂16gを得た。容器内で、進化したガラクト-スオキシダ
-ゼ(配列番号:16、750mg)凍結乾燥粉末を硫酸銅(II)溶液(100μM;
5.00mL)に再懸濁し、結合緩衝液(20mL)と洗浄した樹脂(3.0g)を添加
した。20℃で5時間回転ミキサ-を用いて混和した。この樹脂をバインディング緩衝液
(10カラム容量、100mL)およびBIS-TRISメタン緩衝液(10カラム容量
、100mL; 50mM、pH 7.5)でろ過洗浄し、反応に直接使用した。
反応手順:
固定化されたガラクト-スオキシダ-ゼSEQ ID NO.:17(3.0g)を、B
IS-TRISメタン緩衝液(35mM、pH7.2に調整)中の(S)-2-エチニル
プロパン-1、2、3-トリオ-ル1-リン酸(9、5.4mmol、270mM、20
mL)の溶液に加え、続いて水(30μL、100mM)中の硫酸銅(II)溶液、及び
水(600μL)に再懸濁させた西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(PEO-301、18m
g)とウシカタラ-ゼ(C1345、120mg)を加えた。この反応を気体透過性膜で
封じ、22℃で4日間激しく振り混ぜて77%の最終転換に達し、(R)-2-エチニル
グリセルアルデヒド3-りん酸(5)を95% e.e.で得た。酵素樹脂を濾別し、(
R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-ホスフェ-ト(5)の溶液をグリコシル化反
応に直接使用した。1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 5.02 (
s, 1H), 4.00 (dq, 2 H), 2.88 (s, 1H).LC-
MS: (ES, m/z): r C5H7O6P (M-H):計算値 193.1
; 検出値 193.0.
【0156】
H3方法: 固定化ガラクト-スオキシダ-ゼ配列番号18
【化37】

酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni帯電樹脂(沈降容量に基づく3mL)をフィルタ-漏斗に加
え、バインディング緩衝液(10カラム容量、30mL; 500mM塩化ナトリウム、
50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH 8.0)で洗浄し、樹脂保存
液を除去し、洗浄した樹脂2.4gを得た。バイアル進化ガラクト-スオキシダ-ゼ(配
列番号:18、75mg)凍結乾燥粉末を硫酸銅(II)溶液(100μM;1.00m
L)に再懸濁し、結合緩衝液(5mL)と洗浄樹脂(400mg)を添加した。20℃で
5時間回転ミキサ-を用いて混和した。この樹脂を、結合緩衝液(10カラム容量、4m
L)およびBIS-TRISメタン緩衝液(10カラム容量、4mL; 50mM、pH
7.5)でろ過洗浄し、反応に直接使用した。
反応手順:
固定化した進化したGOase SEQ ID NO.:18(400mg)をBIS-
TRISメタン緩衝液(35mM、pH7.2に調整)中の(S)-2-エチニル-pr
opane-1,2,3-triol 1-リン酸塩溶液((9)、5.4mmol、2
70mM、1mL)に添加した後、水(100 μL)に再懸濁させた西洋ワサビペルオ
キシダ-ゼ(PEO-301、1mg)およびCorynebacterium glu
tamicum由来のカタラ-ゼ(ロシュ、凍結乾燥剤、#11650645103、3
mg)を加えた。この反応を気体透過性膜で封じ、30℃で48時間激しく振とうした。
2日後の最終変換は90%変換に達し、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-り
ん酸(5)>99% e.e.であった。酵素樹脂を濾別し、(R)-2-エチニルグリ
セルアルデヒド3-ホスフェ-ト(5)の溶液をさらに精製することなく直接使用した。
1H NMR (D2O, 400 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4
.00 (dq, 2 H), 2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES,
m/z): r C5H7O6P (M-H): 計算値193.1; 検出値193.
0.
【0157】
H4方法: 固定化ガラクト-スオキシダ-ゼ配列番号19
【化38】

酵素固定化手順:
Nuvia IMAC Ni帯電樹脂(沈降容量に基づく3mL)をフィルタ-漏斗に加
え、バインディング緩衝液(10カラム容量、30mL; 500mM塩化ナトリウム、
50mMリン酸ナトリウム、15mMイミダゾ-ル、pH 8.0)で洗浄し、樹脂保存
液を除去し、洗浄した樹脂2.4gを得た。容器に進化したガラクト-スオキシダ-ゼ(
配列番号:19、75mg)凍結乾燥粉末を硫酸銅(II)溶液(100μM;1.00
mL)に再懸濁し、結合緩衝液(5mL)と洗浄樹脂(400mg)を添加した。20℃
で5時間回転ミキサ-を用いて混和した。この樹脂を、結合緩衝液(10カラム容量、4
mL)およびBIS-TRISメタン緩衝液(10カラム容量、4mL; 50mM、p
H 7.5)でろ過洗浄し、反応に直接使用した。
反応手順:
固定化GOase 配列番号18をBIS-TRISメタン緩衝液(35mM、pH7.
2に調整)中の(S)-2-エチニル-propane-1,2,3-triol 1-
リン酸塩溶液(9、5.4mmol、270mM、1mL)に添加(400mg)した後
、水(100μL)に再懸濁した西洋ワサビペルオキシダ-ゼ(PEO-301、1mg
)およびCorynebacterium glutamicum由来のカタラ-ゼ(ロ
シュ、凍結乾燥剤、#11650645103、3mg)を加えた。この反応液を気体透
過性膜で封じ、30℃で48時間激しく振とうした。2日後の最終変換は100%の変換
に達し、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-りん酸(5)は>99% e.e
.で得られた。酵素樹脂を濾別し、(R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-ホスフ
ェ-ト(5)の溶液をさらに精製することなく直接使用した。1H NMR (D2O,
400 MHz): δ 5.02 (s, 1H), 4.00 (dq, 2 H
), 2.88 (s, 1H).LC-MS: (ES, m/z): C5H7O6
P (M-H): 計算値193.1; 検出値193.0.
【0158】
「アミノ酸」は、IUPAC-IUB B Biochemical Nomencla
ture Commissionにより推奨されている1文字記号のいずれかによって本
明細書中で言及されている。本明細書中の記載の目的のために、本明細書中の方法で使用
される酵素のために遺伝的にコ-ドされるアミノ酸のために使用されるコ-ドは、表2に
おいて慣用的である:
【表3】
【0159】
本明細書に記載されるEFdAを合成するための工程および本明細書に記載される実験手
順における例示された工程において使用される、または使用され得る酵素の配列番号が、
表3のものに限定されるものではないが、提供される。
【表4】







【0160】
西洋ワサビペルオキシダ-ゼ:ワサビ根(Amoracia rusticana)から
単離した、SIGMA (P8125)から市販のワサビI型由来の野生型ペルオキシダ
-ゼ。
【0161】
カタラ-ゼ:(1)SIGMA(C1345)から市販のウシ肝臓由来の野生型カタラ-
ゼ;または(2) CAT-101、生体触媒;または(3)Corynebacter
ium glutamicum (Roche、#11650645103)由来。
【0162】
本発明の追加の実施形態は、限定されるものではないが、4’-エチニル2’-デオキシ
ヌクレオシドまたはその類似体、例えば、EFdAを産生するための本明細書に記載され
る合成プロセス段階における以下の酵素の使用を含む。
【0163】
A.プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ。
1A. 配列番号:9または配列番号:15と少なくとも85%、86%、87%、
88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、
98%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む操作された
プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼであって、前記操作されたプリンヌクレオシドホスホ
リラ-ゼのポリペプチド配列が、配列番号:9または配列番号:15と比較して、少なく
とも1つのアミノ酸置換またはアミノ酸置換セットを含む、操作されたプリンヌクレオシ
ドホスホリラ-ゼ。
2A.前記操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼが、配列番号9または配列番
号15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一であるポリペプチ
ド配列を含む、1Aに記載の操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ。
3A.操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼであって、配列番号9又は配列番
号15に記載のポリペプチド配列を含むもの。
A4.野生型大腸菌プリンヌクレオシドホスホリラ-ゼと比較して少なくとも1つの改
良特性を含む、1A~3Aのいずれか1つの操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-
ゼ。
5A.改良された特性が、野生型E. coliプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼと
比較して、基質化合物6.5(その環状または開鎖アルデヒドもしくは水和物、または前
記のいずれかの塩)に対する改良された活性を含む、4A記載の操作されたプリンヌクレ
オシドホスホリラ-ゼ。
6A.改良された特性が、野生型E. coliプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼと
比較して、EFdA (化合物7)の改良された産生を含む、4A記載の操作されたプリ
ンヌクレオシドホスホリラ-ゼ。
7A.前記操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼが精製される、A1~6Aの
いずれか一項に記載の操作されたプリンヌクレオシドホスホリラ-ゼ。
8A.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存的
アミノ酸置換である、1A~7Aのいずれか1つの操作プリンヌクレオシドホスホリラ-
ゼ。
【0164】
B. ホスホペントムタ-ゼ。
1B.配列番号8と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、9
1%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同
一性を有するポリペプチド配列、またはその機能的断片を含む操作されたホスホペントム
タ-ゼであって、前記操作されたホスホペントムタ-ゼのポリペプチド配列が、配列番号
8と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換またはアミノ酸置換セットを含む、操作さ
れたホスホペントムタ-ゼ。
2B.遺伝子操作されたホスホペントムタ-ゼが、配列番号:8と少なくとも85%、
86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、
96%、97%、98%、99%またはそれ以上が同一のポリペプチド配列を含む、1B
記載の操作されたホスホペントムタ-ゼ。
3B.配列番号:8に記載のポリペプチド配列からなる、操作されたホスホペントムタ
-ゼ。
4B.野生型E. coliホスホペントムタ-ゼと比較して少なくとも1つの改良特
性を含む、1B~3Bのいずれか1つの操作されたホスホペントムタ-ゼ。
5B.改良された特性が、野生型E. coliホスホペントムタ-ゼと比較して、基
質化合物6(その環状または開鎖アルデヒドもしくは水和物、または前記のいずれかの塩
)に対する改良された活性を含む、4B記載の操作されたホスホペントムタ-ゼ。
6B.改良された特性が、野生型E. coliホスホペントムタ-ゼと比較して、化
合物6.5または化合物7(EFdA)の改良された産生を含む、4B記載の操作された
ホスホペントムタ-ゼ。
7B.操作されたホスホペントムタ-ゼが精製される、1B~6Bのいずれか1つの操
作されたホスホペントムタ-ゼ。
8B.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存的
アミノ酸置換である、1B~7Bのいずれか1つの操作されたホスホペントムタ-ゼ。
【0165】
C. デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
1C.配列番号:5に記載のShewanella halifaxensisポリペ
プチド配列由来の野生型からなるデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
2C.操作されたデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼであって、配列番号:6又は
配列番号:14に記載のポリペプチド配列を含むもの。
3C.前記操作されたデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼが、配列番号5、配列番
号6または配列番号14と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%
、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一
であるポリペプチド配列を含む、操作されたデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
4C.配列番号:5、配列番号:6もしくは配列番号:14に対して少なくとも85%
、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%
、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性を有するポリペプチド配列、または
配列番号:5、配列番号:6もしくは配列番号:14に対して少なくとも1つのアミノ酸
置換もしくはアミノ酸置換セットを含む、ポリペプチド配列を含む、操作されたデオキシ
リボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ、またはその機能的フラグメント
5C.基質化合物5((R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸、その水和
物又は上記のいずれかの塩)に活動を有する1C~4Cのいずれかのデオキシリボ-ス-
リン酸アルドラ-ゼ。
6C.反応中に基質化合物5(((R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸
、その水和物、又は前記のいずれかの塩)上の保護基を必要とせずに化合物6(4-エチ
ニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸、又はその開鎖アルデヒドもしくは水和物形態
、又は前記のいずれかの塩)を生成する能力を含む、1C~5Cのいずれか1つのデオキ
シリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
7C.デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼが、野生型Shewanella ha
lifaxensisデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼと比較して、化合物6(4
-エチニルD-2-デオキシリボ-ス5-リン酸、またはその開鎖アルデヒドもしくは水
和物形態、または前記のいずれかの塩)の改良された産生を含む改良された特性を有する
、2C~6Cのいずれか1つの操作されたデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
8C.デオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼが精製される、1C~7Cのいずれか1
つのデオキシリボ-ス-リン酸アルドラ-ゼ。
9C.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存的
アミノ酸置換である、2C~7Cのいずれか1つの操作されたデオキシリボ-ス-リン酸
アルドラ-ゼ。
【0166】
D.パントテン酸キナ-ゼ。
1D.少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性をSEQ
ID NO: 2、SEQ ID NO.:12、SEQ ID NO.:13または
SEQ ID NO.:20、またはそれらの機能性フラグメントに有するポリペプチド
配列を含み、ここに、前記工学的パントテン酸キナ-ゼのポリペプチド配列は、SEQ
ID NO: 2、SEQ ID NO.:12、SEQ ID NO.:13またはS
EQ ID NO.:20と比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換またはアミノ酸置
換セットを含む、工学的パントテン酸キナ-ゼ。
2D.前記操作されたパントテン酸キナ-ゼが、配列番号2、配列番号12、配列番号
13または配列番号20と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%
、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一
であるポリペプチド配列を含む、1Dに記載の操作されたパントテン酸キナ-ゼ。
3D.操作されたパントテン酸キナ-ゼであって、配列番号:2、配列番号:12、配
列番号:13または配列番号:20に記載のポリペプチド配列を含むもの。
4D.野生型E. coliパントテン酸キナ-ゼと比較して少なくとも1つの改良特
性を含む、1D~3Dのいずれか1つの操作されたパントテン酸キナ-ゼ。
5D.改良された特性が、野生型eと比較して基質化合物4((R)-2-エチニルグ
リセルアルデヒドまたはその水和物形態)に対する改良された活動を含む、4D記載の操
作されたパントテン酸キナ-ゼ。大腸菌のパントテン酸キナ-ゼ。
6D.改良された特性が、野生型パントテン酸キナ-ゼと比較して、化合物5((R)
-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸)の改良された産生を含む、5D記載の操
作されたパントテン酸キナ-ゼ。
7D.改良された特性が、野生型eと比較して基質化合物3(2-エチニルプロパン-
1,2,3-トリオ-ル)に対する改良された活性を含む、4D記載の操作されたパント
テン酸キナ-ゼ。大腸菌のパントテン酸キナ-ゼ。
8D.改良された特性が、野生型パントテン酸キナ-ゼと比較して、化合物9((S)
-2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル1-リン酸)の改良された産生を含む
、7D記載の操作されたパントテン酸キナ-ゼ。
9D.パントテン酸キナ-ゼが精製される、1D~8Dのいずれか1つの操作されたパ
ントテン酸キナ-ゼ。
10D.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存
的アミノ酸置換である、1D~9Dのいずれか1つの操作されたパントテン酸キナ-ゼ。
【0167】
E.ガラクト-スオキシダ-ゼ。
1E.少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%
、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列同一性をSEQ
ID NOs.:1、10、11、16、17、18または19に有するポリペプチド
配列、またはそれらの機能性フラグメントを含む工学的ガラクト-スオキシダ-ゼであっ
て、前記工学的ガラクト-スオキシダ-ゼのポリペプチド配列は、SEQ ID NOs
.:1、10、11、16、17、18または19と比較して、少なくとも1つのアミノ
酸置換またはアミノ酸置換セットを含む、工学的ガラクト-スオキシダ-ゼ。
2E.遺伝子操作されたガラクト-スオキシダ-ゼが、配列ID NO:1、10、1
1、16、17、18または19と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%
またはそれ以上であるポリペプチド配列を含む、1E記載の操作されたガラクト-スオキ
シダ-ゼ。
3E.操作されたガラクト-スオキシダ-ゼであって、配列番号1、10、11、16
、17、18又は19に示されるポリペプチド配列を含むもの。
4E.野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ-ゼと比較して少な
くとも1つの改良特性を含む、1E~3Eのいずれか1つの操作されたガラクト-スオキ
シダ-ゼ。
5E.改良された特性が、野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ
-ゼと比較して、第一級アルコ-ルである基質に対する改良された活性を含む、4E記載
の操作されたガラクト-スオキシダ-ゼ。
6E.改良された特性が、野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ
-ゼと比較して基質化合物3(2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ-ル)に対す
る改良された活動を含む、4Eの操作されたガラクト-スオキシダ-ゼ。
7E.改良された特性が、野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ
-ゼと比較して、化合物4((R)-2-エチニルグリセルアルデヒドまたはその水和物
形態)の改良された生産を含む、6Eの操作されたガラクト-スオキシダ-ゼ。
8E.改良された特性が、野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ
-ゼと比較して、基質化合物9(((S)-2-エチニルプロパン-1,2,3-トリオ
-ル1-リン酸)に対する改良された活性を含む、4Eの操作されたガラクト-スオキシ
ダ-ゼ。
9E.改良された特性が、野生型F. graminearumガラクト-スオキシダ
-ゼと比較して、化合物5((R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リン酸または
その水和物形態)の改良された生産を含む、8E記載の操作されたガラクト-スオキシダ
-ゼ。
10E.前記ガラクト-スオキシダ-ゼが精製される、1E~9Eのいずれか1つの操
作されたガラクト-スオキシダ-ゼ。
11E.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存
的アミノ酸置換である、1E~10Eのいずれか1つの操作されたガラクト-スオキシダ
-ゼ。
【0168】
F.酢酸キナ-ゼ。
1F.配列番号:3または配列番号:21に記載のThermotoga marit
imaポリペプチド配列由来の野生型からなる酢酸キナ-ゼ。
2F.操作されたアセテ-トキナ-ゼであって、前記操作されたアセテ-トキナ-ゼが
、配列番号3または配列番号21と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%
以上同一であるポリペプチド配列を含む、操作されたアセテ-トキナ-ゼ。
3F.配列番号:3または配列番号: 21と少なくとも85%、86%、87%、8
8%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、9
8%、99%またはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む、操作された
酢酸キナ-ゼ、ここで操作された酢酸キナ-ゼのポリペプチド配列は、配列番号:3また
は配列番号: 21と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換またはアミノ酸置換セット
を含む、操作された酢酸キナ-ゼ。
4F.野生型T. maritima酢酸キナ-ゼと比較して少なくとも1つの改良特
性を含む2Fまたは3Fの酢酸キナ-ゼ。
5F.改良された特性が、野生型Thermotoga maritima acet
ateキナ-ゼと比較して、基質化合物4((R)-2-エチニルグリセルアルデヒドま
たはその水和物形態)上のリン酸化反応におけるATP-補因子リサイクリングのための
改良された活性を含む、4F記載の酢酸キナ-ゼ。
6F.改良された特性が、野生型Thermotoga maritima acet
ateキナ-ゼと比較して、化合物5((R)-2-エチニルグリセルアルデヒド3-リ
ン酸またはその水和物形態、または前記のいずれかの塩)の改良された産生を含む、5F
記載の酢酸キナ-ゼ。
7F.前記改良された特性が、野生型Thermotoga maritima ac
etateキナ-ゼと比較して、基質化合物3(2-エチニルプロパン-1,2,3-ト
リオ-ル)上のリン酸化反応におけるATP-補因子リサイクリングのための改良された
活性を含む、4F記載の酢酸キナ-ゼ。
8F.前記改良された特性が、野生型Thermotoga maritima ac
etateキナ-ゼと比較して、化合物9(((S)-2エチニル-propane-1
,2,3-triol 1-リン酸塩)またはそのいずれかの塩の改良された生産を含む
、7F記載の酢酸キナ-ゼ。
9F.前記酢酸キナ-ゼが精製される、1F~8Fのいずれか一項に記載の酢酸キナ-
ゼ。
10F.少なくとも1つのアミノ酸置換(すなわち、1つ以上のアミノ酸置換)が保存
的アミノ酸置換である、2F~7Fのいずれか1つの操作された酢酸キナ-ゼ。
【配列表】
2023012498000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物6.5
【化13】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を合成する方法であって、マンガン(II)塩を含む緩衝液中において化合物6
【化14】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
をホスホペントムターゼと組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項2】
化合物6
【化15】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を合成する方法であって、化合物5
【化16】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を水溶液中でアセトアルデヒトおよびデオキシリボース-リン酸アルドラーゼと組み合わせて化合物6を生成することを含む、前記方法。
【請求項3】
化合物5
【化17】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を合成する方法であって、化合物4
【化18】

を、2価金属塩の存在下で緩衝液中のパントテン酸キナーゼと組合せ、その場で再生したATPをリン酸源として組み合わせることを含む、前記方法。
【請求項4】
(a)アセチルリン酸および酢酸キナーゼ、または(b)ピルビン酸、リン酸および酸素の存在下でのピルビン酸オキシダーゼ、カタラーゼおよび酢酸キナーゼ、または(c)それらの組合せを用いて、その場でATPを再生する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(a)パントテン酸キナーゼが固定されているか、または、(b)パントテン酸キナーゼと酢酸キナーゼが固定されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
化合物4
【化19】

を合成する方法であって、化合物3
【化20】

を、(a)ガラクトースオキシダーゼ、銅、カタラーゼ、および(b)ペルオキシダーゼ、または酸化剤と、酸素の存在下、緩衝溶液中で組み合わせて、化合物4を生成させることを含む、前記方法。
【請求項7】
ガラクトースオキシダーゼが固定されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
化合物4
【化21】

を単離する方法であって、
(1)酸素の不在下で、水と混和しない有機溶媒中で安定なN,N-アセタールまたはN,O-アセタールを生成するアミン、ジアミンまたはアミノアルコールと化合物4を反応させてアミナールを形成し、
(2)水と混和しない有機溶媒の存在下でアミナールを有機酸または無機酸と反応させて化合物4を再生することを含む、前記方法。
【請求項9】
化合物5
【化22】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を合成する方法であって、化合物9
【化23】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を、酸素、カタラーゼおよびペルオキシダーゼもしくは化学酸化剤のいずれかの存在下で、緩衝液中のガラクトースオキシダーゼと組み合わせて化合物5を生成することを含む、前記方法。
【請求項10】
化合物9
【化24】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
を合成する方法であって、化合物3
【化25】

を、2価金属塩の存在下で緩衝液中のパントテン酸キナーゼと組み合わせ、その場で再生したATPをリン酸源として組み合わせて、化合物9を生成する前記方法。
【請求項11】
下記式の化合物。
【化26】
【請求項12】
下記式の化合物。
【化27】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
【請求項13】
下記式の化合物。
【化28】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
【請求項14】
下記式の化合物。
【化29】

[式中、2Xは(a)2つのプロトン、(b)1つのプロトンと1つの1価カチオン、(c)同一または異なる2つの1価カチオン、または(d)1つの2価カチオンである。]
【外国語明細書】