(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126216
(43)【公開日】2023-09-07
(54)【発明の名称】微粒子組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/362 20060101AFI20230831BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20230831BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230831BHJP
【FI】
A61K8/362
A61K8/41
A61Q1/00
A61Q5/00
A61Q11/00
A61Q13/00
A61Q15/00
A61Q19/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023096891
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2019533687の分割
【原出願日】2017-09-05
(31)【優先権主張番号】1615047.6
(32)【優先日】2016-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】519077300
【氏名又は名称】スフェリテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ウェリングス ドナルド エイ
(57)【要約】
【課題】本発明は、溶媒中に2つ以上の酸性基を有する酸と有機塩基とを有する自己組織化微粒子を有するパーソナルケア製品またはホームケア製品を提供する。微粒子はマクロ構造に形成してもよく、パーソナルケアまたはホームケア組成物の成分を担持するための支持体となり得る。粒子はミクロンスケールのものである。微粒子は、親水性溶媒中でビス酸と有機塩基とを接触させることによって得ることができ、酸は親水性溶媒に不溶または難溶であり、有機塩基は親水性溶媒に可溶である。
【解決手段】パーソナルケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むパーソナルケア製品等を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むパーソナルケア製品。
【請求項2】
パーソナルケアベース組成物が、スキンクリーム、化粧品、芳香剤、消臭剤、手または顔の拭取り用品、手洗い用品、ハンドスクラブ、シャンプー、コンディショナー、マウスウォッシュおよび練り歯磨きから選択される、請求項1に記載のパーソナルケア製品。
【請求項3】
ホームケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むホームケア製品。
【請求項4】
表面処理剤、表面スプレー、表面拭取り用品、洗剤組成物、布地柔軟剤、芳香剤、および食器洗い用組成物から選択されるホームケアベース組成物を含む、請求項3に記載のホームケア製品。
【請求項5】
自己組織化微粒子が、2つ以上の酸性基を有する酸と有機塩基とを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項6】
微粒子が、0.5~10μm、好ましくは1~5μmの粒径を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項7】
酸および塩基中の酸性基対塩基性基のモル比が0.6~1.4:1である、請求項1から6のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項8】
微粒子が、モル比が0.7~1.3:1の酸性基および塩基性基を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項9】
微粒子が、2つ以上の酸性基を有する酸と、有機塩基とを含み、親水性溶媒中で酸と有機塩基とを接触させることを含むプロセスによって得ることができる自己組織化微粒子を含み、酸は親水性溶媒に不溶または難溶であり、有機塩基は親水性溶媒に可溶である。請求項1から8のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項10】
溶媒が水溶液を含む、請求項9に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項11】
溶媒が、水相内に油中水型エマルジョンを含む、請求項9に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項12】
微粒子がビス酸を含む、請求項1から11のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項13】
酸がビス脂肪族酸を含む、請求項12に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項14】
酸が、末端カルボン酸が疎水性である領域によって連結しているビスカルボン酸脂肪酸を含む、請求項12または13に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項15】
微粒子が、酸性基同士が飽和もしくは不飽和脂肪族鎖または置換飽和もしくは置換不飽和脂肪族鎖によって隔てられている酸を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項16】
酸が、一般式HOOC-(CH2)n-COOHの化合物を含み、nはビス酸が水に難溶または不溶となるのに十分なほど大きい、請求項15に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項17】
nが、少なくとも5であり、40以下である、請求項16に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項18】
微粒子がブラシル酸、セバシン酸および/またはアゼライン酸を含む、請求項1から17のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項19】
塩基性を有する脂肪族アミンもしくは芳香族アミンを含む有機塩基または他の窒素含有塩基を含む、請求項1から18のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項20】
有機塩基が、アルキル化アミンおよびアルキル化ポリアミンのうちの1つまたは複数を含む、請求項19に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項21】
有機塩基が、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエタノール、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1-メチルアミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)およびポリεリシンのうちの1つまたは複数を含む、請求項20に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項22】
微粒子が多重ラメラ構造を含む、請求項1から21のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項23】
微粒子がビス酸を含み、ビス酸が有機塩基と反応して架橋種を形成する、請求項1から22のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項24】
有機塩基を含み、塩基が別の反応性塩基と置き換えられ、別の反応性塩基が次に反応して架橋種を形成する、請求項1から23のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項25】
i)パーソナルケアベース組成物またはホームケアベース組成物、およびii)架橋自己組織化微孔質粒子を含むマクロ孔質材料を含むパーソナルケア製品またはホームケア製品。
【請求項26】
パーソナルケアベース組成物またはホームケアベース組成物の1つまたは複数の成分のための担体としての自己組織化架橋微粒子の使用。
【請求項27】
自己組織化微粒子が抗菌特性を有する、請求項1から25のいずれか1項に記載の抗菌パーソナルケア製品または抗菌ホームケア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子組成物ならびにパーソナルケアおよびホームケア組成物におけるそれらの使用、特に自己組織化生分解性微粒子を含む微粒子組成物およびそれらの使用、微粒子組成物の調製方法、前記微粒子粒子から形成されるマクロ孔質材料を含む製品およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
微粒子組成物およびマクロ孔質材料は、特に基材、例えば表面、物品、例えば布地、皮膚および頭皮などのヒトまたは動物の表面との相互作用が必要とされる広範囲のプロセスにおいて有用である。この組成物は、スキンクリームおよび化粧品、芳香剤、消臭剤、拭取り用品、手洗い用品、シャンプー、マウスウォッシュおよび練り歯磨きを含むパーソナルケア製品として特に有用であり、スプレーおよび拭取り用品、洗剤組成物、布地柔軟剤、芳香剤、および食器洗い用製品などの表面処理を含むホームケア製品として特に有用である。
微粒子は、パーソナルケア製品およびホームケア製品を含む広範囲の組成物に広く使用されている。プラスチック、シリカまたは砂、球晶およびセルロースからなる微粒子が知られており、プラスチックからなる微粒子は、現在他の微粒子よりも広く使用されている。マイクロプラスチックとしても知られるプラスチック微粒子は、それらの生分解性の欠如および海洋環境への排出および有機種による吸収または摂取のために、環境的に望ましくない。
【0003】
マイクロプラスチックは、海中の微生物に対し、最終的には連鎖において魚および哺乳類にとっての餌にはならず、むしろそれらにかなりの損傷を与える。マイクロプラスチックは現在、世界中のあらゆる主要な海洋だけでなく、我々が食べる魚介類を含むほとんどの海洋生物の腸にも見出される。マイクロプラスチックの性質のため、海からの粒子の除去は実現可能ではない。OSPAR委員会が主催し、オランダの社会基盤・環境省の支援を受けて、環境被害を減らすという課題が、2015年の政策会議の対象となった。OSPAR委員会は、1972年のオスロ条約と1974年のパリ条約を統合して更新した、1992年の北東大西洋の海洋環境保護のためのOSPAR条約によって設立された。OSPAR委員会は、欧州連合と共に、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、およびイギリスの政府を結集させている。2016年2月に発表されたエウノミア(Eunomia)の報告書によると、ヨーロッパからのものに限っても、パーソナルケア製品や化粧品からの2,400~8,600トンのマイクロプラスチックが毎年海洋環境に侵入している。
マイクロプラスチックはまた、練り歯磨きおよびホームケア製品、例えば布地洗浄および他の使用のための洗剤、布地調整剤、食器洗い用製品などにも広く使用されている。
典型的には、パーソナルケア製品および化粧品は、エンドユーザーに利益をもたらす種々の成分を含み、例として、日焼け止め、シミ防止剤およびひび割れた皮膚を落ち着かせるための薬剤などのヘルスケアの利益をもたらすスキンケア製品を含む。それらは、多くの場合、例として、ビタミンC、ニコチンアミド、アルファ-ヒドロキシ酸(グリコール酸、乳酸、酒石酸、およびクエン酸)、レチノール、ヒアルロン酸、およびジメチルアミノエタノールを含む、組み合わさった利益をもたらす抗菌成分または成分も含む。
【0004】
粒子状および多孔質材料はまた、医学的および診断的用途のために生体高分子を固定化するために使用される。これには、タンパク質、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体の固定化が含まれる。細胞培養は一般に、特定の表面特性および形態を有する固体支持体上で実施する。固定化酵素を使用することができ、これらには、化粧品およびパーソナルケア製品における用途が見出され得る。同様に、固定化酵素はすでに洗剤系に用途がある。
環境的に望ましくない微粒子またはマイクロプラスチックを含有するホームケア製品およびパーソナルケア製品は、したがって望ましくない。生体適合性および生分解性であり、望ましくは抗菌性であり、意図した使用に応じて機能性成分のための担体として作用する能力を有する、パーソナルケアおよびホームケアにおける使用のための組成物に対する必要性が存在する。
【0005】
公知のポリマー粒子の製造もまた不利であり得る。公知のポリマー粒子は、典型的には、重合の開始前にモノマーの溶液を非混和性溶媒(連続相)中に分散させる分散重合プロセスまたは乳化重合プロセスによって製造することができる。形成されたポリマー粒子は、次いで、典型的には濾過し、洗浄し、分級して必要な粒径分布を単離する。しかし、このプロセスは複雑で費用がかかる場合があり、有機溶媒を使用する必要性によって限定される場合がある。本明細書で使用する「ポリマー」という用語は、無機ポリマー、例えばシリカおよび有機ポリマー、例えばポリアミドを含む。
これらのプロセスは、連続相へのモノマーの損失、種々の粒径の生成および重合中の微細粒子の望ましくない生成を含むいくつかの点で不利であり、したがって、例えば篩分けまたは空気分級による煩雑な粒径分級を行うこととなる。
調製中の望ましくない製造コストおよび無駄に加えて、公知のポリマー粒子の物理的性質に関してある種の不利益が生じ得る。微孔質ポリマー粒子は、一般的に軟質であり、機械的堅牢性が低い場合がある。さらに、軟質粒子は、例えば水生環境に侵入する前に廃棄物流れから除去する、例えば濾過の際に、望ましくない形で圧縮されてファウリングを引き起こす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らはここで、パーソナルケア製品およびホームケア製品に関連するこれらおよび他の問題は、自己組織化微粒子を接触させることによって形成された、2つ以上のカルボン酸基を有する脂肪酸と塩基とを含む自己組織化微粒子を提供することによって改善し得ることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様では、本発明は、パーソナルケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むパーソナルケア製品を提供する。
パーソナルケアベース組成物は、スキンクリームおよび化粧品、芳香剤、消臭剤、拭取り用品、手洗い用品、ハンドスクラブ、シャンプー、コンディショナー、口腔用歯磨剤から好適に選択され、例えばマウスウォッシュ、練り歯磨き、チューインガム、ロゼンジ、生体接着パッチまたはストリップは、口腔表面のブラッシングおよび/またはすすぎなどに好適である。パーソナルケア製品は、局所または経口投与用の製品として好適に配合されており、局所または経口送達を助けるための公知の成分を含んでいてもよい。
【0009】
第2の態様では、本発明は、ホームケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むホームケア製品を提供する。
ホームケアベース組成物は、スプレーおよび拭取り用品などの表面処理剤、洗剤組成物、布地柔軟剤、芳香剤、および食器洗い用製品から好適に選択される。
「パーソナルケアベース組成物」および「ホームケアベース組成物」という用語は、本明細書に記載の生分解性微粒子またはその微粒子から形成されるマクロ孔質構造と組み合わせて、パーソナルケアでの使用またはホームケアでの使用に好適な製品を適宜提供する、特定用途に使用する従来の成分を含む組成物を意味する。
【0010】
好ましくは、パーソナルケアベース組成物は、マイクロプラスチックまたは他の非生分解性微粒子を実質的に含まない。好ましくは、ホームケアベース組成物は、マイクロプラスチックまたは他の非生分解性微粒子を実質的に含まない。
好適には、微粒子は、2つ以上の酸性基を有する酸と、親水性溶媒に可溶な有機塩基とを含む。好ましくは、酸はビス酸、好ましくはビス脂肪族酸を含み、好適には2つ以上のカルボン酸基を含むが、他の酸性基を使用してもよい。好適には、ビス酸は親水性溶媒に不溶または難溶である。好適には、酸、好ましくはビス脂肪族酸を親水性溶媒に可溶な有機塩基と接触させることによって、酸を可溶化してもよい。
溶媒は好適には親水性であり、好ましくは水溶液、例えば水相内、特に水内の油中水型エマルジョンである。
有利には、水性溶媒、好ましくは水により、微粒子を、環境的配慮が重要である用途に使用することが可能になる。
【0011】
好適には、微粒子の酸および塩基成分は、アミド結合によって架橋されている。有利には、微粒子は、プロテアーゼ活性および水性加水分解により生分解性であり、したがって環境的に有益である。好適には、他の成分は、アミド結合形成によって、または単純なイオン相互作用によって、親水性相互作用によって、もしくは疎水性相互作用によって担持されてもよい。
微粒子は、好適には狭い粒径分布を有する。
好ましい実施形態では、ビス脂肪族酸は、末端のカルボン酸が、末端のカルボン酸よりも親水性が低く、好ましくは疎水性である領域によって連結しているビスカルボン酸脂肪酸を含む。親水性がより低い領域は、置換基を有する主鎖を含んでもよく、および/または主鎖は、ヘテロ原子、例えばポリ-εリシンを含み得る。好ましくはカルボン酸を連結する領域は疎水性であり、好ましくはヒドロカルビル基である。特に好ましい実施形態では、疎水基は脂肪族ヒドロカルビル基である。好ましくは、ビス酸は一般式HOOC-(CH2)n-COOHの化合物を含み、nはビス酸が水に難溶または不溶となるのに十分なほど大きい。好ましくは、nは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、特に少なくとも7である。好適には、nは40以下、好ましくは36以下、より好ましくは25以下、特に20以下である。好ましくは、nは7~18である。
【0012】
好ましい実施形態では、有機酸はC7-C18ビスカルボキシ脂肪酸を含む。別の好ましい実施形態では、有機酸は、EDTA、ニトロトリ酢酸およびモノカルボン酸、好ましくはC6-C18カルボン酸、例えばカプロン酸、パルミチン酸およびオクタン酸から選択されるさらなる酸とともに、C7-C13ビスカルボキシ脂肪酸を含む。
例えば、異なるn値を有する2つ以上の酸を選択することによって、微粒子径を必要に応じて調整することができる。酸性基同士を繋ぐ疎水性部分が長いほど、大きな微粒子が好適に提供される。例えば、nが8のセバシン酸は、2.6μmの粒径を得、nが11のブラシル酸の場合、3.0μmの粒径を得ることができる。
ビスカルボキシ脂肪酸は、不飽和、例えばトラウマチン酸、もしくは置換、または不飽和と置換の両方であってもよい。好適には、置換によってビス酸は水溶液に可溶にされない。ビス脂肪族酸を、溶媒可溶性有機塩基を使用して接触させると、微粒子が自発的に形成される。
【0013】
ビス脂肪族酸は、一般式(HO)2OP-(CH2)n-PO(OH)2のビスホスホン酸または不飽和ビスホスホン酸、一般式HOOC-(CH2)n-PO(OH)2のモノカルボキシルモノホスホン酸またはそのようなビス酸の不飽和型、一般式(HO)O2S-(CH2)n-SO2(OH)のビススルホン酸またはそのようなビス酸の不飽和型、一般式HOOC-(CH2)n-SO2(OH)のモノカルボキシルモノスルホン酸またはそのようなビス酸の不飽和型、一般式(HO)2B-(CH2)n-B(OH)2のビスボロン酸もしくは不飽和ビスボロン酸、または置換ビスボロン酸、一般式HOOC-(CH2)n-B(OH)2のモノカルボン酸モノボロン酸またはそのようなビス酸の不飽和型、または前記ビス酸の置換型、を含んでもよい。これらの酸において、nはビス酸が水に難溶または不溶となるのに十分なほど大きい。好ましくは、nは少なくとも5、より好ましくは少なくとも6、および特に少なくとも7である。好適には、nは40以下、好ましくは36以下、より好ましくは25以下、および特に20以下である。好ましくは、nは7~18である。
【0014】
微粒子またはマクロ孔質材料の形成において、ビス酸成分は2つ以上の酸を含んでもよく、この場合、ビス酸は任意の割合で混合してもよい。
好適には、有機塩基は、ビス酸部分と組み合わさり、その結果、これらの2つの成分の組合せは、疎水性領域によって繋がれた2つの別々の親水性またはイオン性頭部領域を含む。理論に拘束されることを望むものではないが、有機塩基と隣接するビス酸の疎水性領域および親水性領域が整列してミセルを形成し、本発明の微粒子の自己組織化をもたらすと考えられる。好ましくは、微粒子は多重ラメラ構造を含み、有機塩基と共にビス酸を含むさらなる分子が、多重ラメラ構造を形成するように別のビス酸/有機塩基の親水性頭部とともに整列する。
有機塩基は、種々の塩基から選択してもよく、この有機塩基は、ビス酸と共に、自己組織化する微粒子を形成する。好ましくは、有機塩基はアミン、好適には塩基性を有する脂肪族アミンもしくは芳香族アミン、または他の窒素含有塩基、反応性アミンもしくはポリマーアミンを含む。
【0015】
好適な有機塩基の例としては、1つまたは2つのC1-4N-アルキル基を有するアミン、例えばメチル化アミンを含むアルキル化アミンおよびポリアミンが挙げられる。好ましいアミンの例としては、N-メチルモルホリン、4-メチルモルホリン(NMM)、N,N-ジメチルアミノエタノール(DMAE)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、イミダゾールまたは1-メチルアミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)およびドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)が挙げられる。
アミン含有有機成分は、ペプチド、タンパク質、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンを含むがこれらに限定されない反応性アミンまたはポリマーアミンであり得る。
【0016】
好適な反応性アミンおよびポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ポリ-e-リシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシシリル)-プロピル)ジエチレントリアミンが挙げられる。
有機塩基成分は、2つ以上の塩基を含み得、この場合、有機塩基は任意の割合で混合し得る。
好ましい実施形態では、酸は、好適には、メチルモルホリン(NMM)、N,N-ジメチルアミノエタノール(DMAE)、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、イミダゾール、1-メチルアミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)およびドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)から選択される塩基と組み合わせた、ブラシル酸、セバシン酸およびアゼライン酸のうちの1つまたは複数である。
【0017】
好ましい実施形態の例としては、ブラシル酸およびPDAC、ブラシル酸およびDDAC、ブラシル酸およびDDPT、セバシン酸およびNMM、セバシン酸、ブラシル酸およびアゼライン酸のうちの1つまたは複数と組み合わせたポリ-ε-リシンが挙げられる。
抗菌特性を有するアミンを含む本発明によるパーソナルケア製品またはホームケア製品に使用される微粒子が、抗菌組成物および殺生物剤としての使用に特に適していることを、本発明者らは見出した。塩基の抗菌活性のレベルは、本発明による自己組織化微粒子の形態である場合には、従来の配合物中にある場合と比較してより高くなり得る。
【0018】
さらなる態様によれば、本発明は、本明細書に記載のパーソナルケアベース組成物と、ビス酸および抗菌性塩基を含む自己組織化微粒子とを含む抗菌性パーソナルケア組成物を提供する。
別の態様によれば、本発明は、本明細書に記載のホームケアベース組成物と、ビス酸および抗菌塩基を含む自己組織化微粒子とを含む抗菌ホームケア組成物を提供する。
本発明はまた、ビス酸と、自己組織化微粒子の形態ではない場合の抗菌塩基よりも高いレベルの抗菌活性を有する抗菌塩基とを含む自己組織化微粒子の使用を提供する。
好適には、自己組織化微粒子中に抗菌塩基を提供することにより、抗菌活性が増大し、少なくとも2logの細菌量の減少、好ましくは少なくとも4logの細菌量の減少、および望ましくは少なくとも5logの細菌量の減少を提供する。
【0019】
酸および塩基を、酸中の酸性基対塩基中の塩基性基のモル比がほぼ化学量論的になるように相対量で好適に組み合わせると、自己組織化微粒子が形成される。酸性基対塩基性基のモル量は、自己組織化粒子が形成されるという条件で、化学量論的量より少なくても多くてもよい。酸性基対塩基性基の比率が低すぎるか、または高すぎる場合、過剰な成分が酸と塩基の構造を乱すので、組織化粒子は形成されない。自己組織化粒子の形成を可能にする酸性基対塩基性基の比は、特定の酸および特定の塩基に応じて変わるであろう。
当業者は、粒子を視覚的に観察することができるレベルの倍率で、例えば40倍の倍率で、顕微鏡下で観察することによって、自己組織化粒子が形成されているかどうかを判定することができるであろう。酸および塩基の相対量を変化させて、微粒子が形成される成分の最小比および最大比を決定することができるであろう。より長い鎖を有する酸は、より短い鎖を有する酸を含む(同じ塩基および同じモル比を有する)微粒子よりも安定な微粒子を提供し得る。安定性がより高いと、より低いレベルの酸を使用することができ、酸性基対塩基性基の比がより小さい場合、依然として微粒子を形成することができる。
【0020】
好適には、酸および塩基中の酸性基対塩基性基の比は、0.6~1.4:1、好ましくは0.7~1.3:1、より好ましくは0.8~1.2:1、望ましくは0.9~1.1:1である。セバシン酸およびブラシル酸が好ましい酸の例である。好適には、塩基と共にセバシン酸を含む微粒子は、0.85~1.15:1のセバシン酸対塩基の比を有する。好適には、塩基と共にブラシル酸を含む微粒子は、0.8~1.2:1のブラシル酸対塩基の比を有する。好ましい実施形態では、酸と塩基は、酸性基対塩基性基のモル比が1:1になるようなレベルで存在する。
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のパーソナルケアベース組成物と、マクロ孔質材料を形成するような条件下で自己組織化微粒子を接触させることによって形成されたマクロ孔質材料とを含むパーソナルケア製品を提供する。
【0021】
別の態様によれば、本発明は、本明細書に記載のホームケアベース組成物と、マクロ孔質材料を形成するような条件下で自己組織化微粒子を接触させることによって形成されたマクロ孔質材料とを含む抗菌ホームケア組成物を提供する。
マクロ孔質材料は、微粒子を架橋することによって好適に形成する。
有機塩基は、自己組織化微粒子を架橋してマクロ孔質材料を形成することが可能なように反応性であってもよい。有機塩基は反応性である必要はなく、この場合には、これは好適には別の反応性種によって置き換え(displace)て、その後に架橋しマクロ孔質材料を形成することを可能にしてもよい。溶媒可溶性の有機塩基は、有機成分を含むアミンを含むがこれに限定されない反応性種を加えることによって、置き換えることができる。アミンによって、好適にはアミド結合が形成されて微粒子の架橋が可能になる。好ましい実施形態では、有機成分を含むアミンは、ペプチド、タンパク質、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンおよび他のポリアミンを含むがこれらに限定されないポリマーアミンである。
【0022】
好適なアミンおよびポリアミンの例としては、エチレンジアミン、ポリ-e-リシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、アミノプロピルトリアルコキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-(3-(トリメトキシシリル)-プロピル)ジエチレントリアミンが挙げられる。
微粒子またはマクロ孔質材料の形成において、上記のビス酸は任意の割合で混合してもよい。さらに、反応性アミンも混合してもよい。
好適には、微粒子またはマクロ孔質材料は、意図した使用によって必要に応じて調整された機能性成分を含む。例えば、エチレンジアミン四酢酸の添加は金属キレート化特性を付与する。
別の実施形態では、ポリエチレンイミンを結合してまたは支持構造として使用してもよい。
アルコキシシランを使用してもよく、微粒子のラメラ層中にシリカシェルを形成し得る。
【0023】
別の実施形態では、特定の酵素の活性部位を粒子内のペプチドに組み込むことができ、これにより、活性剤の制御放出が可能になる。例えば、創傷ベースのメタリノプロテアーゼ(wound based metallino-protease)の切断部位を創傷ケアベース材料に組み込むことにより、抗菌剤の制御放出を提供することが可能になる。
別の用途では、本発明の微粒子を使用して成長細胞用のマクロ構造を形成してもよい。
本発明による自己組織化微粒子またはマクロ孔質材料はまた、ポリマーによって支持された機能性材料を含み得る。好適な機能性材料の例としては、医薬活性物質、高分子、酵素、核酸配列およびタンパク質が挙げられる。
別の実施形態では、特定の酵素の活性部位を粒子内のペプチドに組み込むことができ、これにより、活性剤の制御放出が可能になる。例えば、創傷ベースのメタリノプロテアーゼ(wound based metallino-protease)の切断部位をパーソナルケア製品に組み込むことにより、抗菌剤の制御放出を提供することが可能になる。
本発明は、さらなる態様において、水性媒体中、好ましくは水中で、2つ以上の酸性基を有する2つの酸を有機塩基と接触させることを含む、水性媒体中で自己組織化微粒子またはマクロ孔質材料を製造する方法を提供する。
【0024】
好適には、重合および架橋は、当業者に公知のプロセスにより開始する。例えば、アミン含有成分により水中で調製された自己組織化微粒子またはマクロ孔質材料は、水溶性カルボジイミドを使用して架橋することができる。
好適には、自己組織化微粒子またはマクロ孔質材料は実質的に単分散性である。すなわち、材料は全て実質的に同径の粒子を有する。すなわち、材料は全て実質的に同径の粒子を有する。単分散微粒子またはマクロ孔質材料は、例えば薬剤の制御放出において有利であり得る。薬剤は、例えば化粧品またはパーソナルケア用途におけるビタミン、または生物学的洗剤における酵素であり得る。
本発明の好ましい実施形態における自己組織化微粒子の実質的に単分散の性質によって、スラリーを調製し、スラリーをカラムへ移動させてより均一な混合物を形成することが可能になる。あるいは、自己組織化微粒子の衝突によって形成されたマクロ孔質材料を使用して、フェイシャルトリートメントまたは拭取り用品としての使用に好適なモノリシックシートを調製することができる。
別の実施形態では、モノリス中の粒子間の空隙は、美容トリートメントなどの異なる成分で充填してもよい。
【0025】
本発明の自己組織化微粒子およびマクロ孔質材料は、触媒、バイオ触媒、酵素、タンパク質、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む抗体、全細胞およびポリマーを含む種を固定化するのに特に有用である。本発明は、洗剤およびパーソナルケア製品に一般的に使用される酵素、例えばリパーゼCal Bを支持するのに特に有利である。
自己組織化微粒子および/またはマクロ孔質材料を含有する本発明によるパーソナルケア製品またはホームケア製品は、吸収性製品として使用してもよい。
【0026】
好適には、支持体は、自己組織化微粒子および/またはマクロ孔質材料に結合した不活性の吸収性材料を含む。自己組織化微粒子および/またはマクロ孔質材料は、家庭でのこぼれたもの、例えば茶、コーヒーおよびワインを吸収するために使用し得る。吸収性支持体を使用してこぼれたものを吸収し、次いで物理的に除去するか、または水に少し油をこぼしてしまった場合は、収集して捨てるためにその油を効果的に捕らえ、保持された塊として油を保持することができる。
パーソナルケア製品は、ヒトまたは動物の身体のパーソナルケアにおける使用に適した任意の製品であり得る。パーソナルケアベース組成物は、好適には液体、ローション、クリーム、フォーム、スクラブ、ゲル、ソープバーもしくはトナーであるか、または用具を用いてもしくはフェイスマスク、パッドもしくはパッチを介して塗布される。
パーソナルケアベース組成物は、好ましくはスキンケア組成物、例えばスキンクリーム、化粧品、芳香剤、消臭剤、手または顔の拭取り用品、手洗い用品、ハンドスクラブ、美白組成物、シャンプー、コンディショナー、マウスウォッシュ、練り歯磨き、および歯のホワイトニング剤から選択される。
【0027】
スキンケア製品として使用するためのパーソナルケアベース組成物は、化粧品として許容される担体を好適に含む。好適な担体の例としては、水、皮膚軟化剤、脂肪酸、脂肪アルコール、湿潤剤、増粘剤およびそれらの組合せが挙げられる。担体は水性、無水またはエマルジョンであり得る。好ましくは、組成物は水性、特にW/OまたはO/WまたはW/O/W型の水および油エマルジョンである。水は、存在する場合、約5~約95質量%、好ましくは約20~約70質量%、最適には約35~約60質量%の範囲の量であり得る。
皮膚軟化剤は、化粧品として許容される担体として機能し得る。好適な皮膚軟化剤の例としては、シリコーン油、合成エステルおよび炭化水素が挙げられる。好ましくは、皮膚軟化剤は組成物の約0.1~約95質量%、好ましくは約1~約50質量%のレベルで存在する。
【0028】
パーソナルケア組成物は界面活性剤も含み得る。好適には、界面活性剤は組成物の約0.1~約40質量%、好ましくは約1~約20質量%、最適には約1~約5質量%のレベルで存在する。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性および両性活性物質からなる群から選択し得る。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たり2~100モルのエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドと縮合したC10-C20脂肪アルコールまたは酸疎水性物質、2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2-C10アルキルフェノール、エチレングリコールのモノ-およびジ-脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ソルビタン、モノ-およびジ-C8-C20脂肪酸、およびポリオキシエチレンソルビタン、ならびにそれらの組合せを有するものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も好適な非イオン性界面活性剤である。
好ましいアニオン性界面活性剤としては、石鹸、アルキルエーテルサルフェートおよびスルホネート、アルキルサルフェートおよびスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルおよびジアルキルスルホサクシネート、C8-C20アシルイセチオネート、C8-C20アルキルエーテルホスフェート、C8-C20サルコシネートおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0029】
好ましい実施形態では、パーソナルケアベース組成物はビタミン、特にビタミンB3を含む。ビタミンの例としては、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKおよびビオチンが挙げられる。好適には、ビタミンは組成物の0.0001~10質量%、好ましくは0.01質量%~1質量%、最適には0.1~0.5質量%のレベルで存在する。
【0030】
パーソナルケアベース組成物が制汗剤または消臭剤である場合、ベース組成物は、好適にはサルフェート、クロリド、クロロヒドロキシド(chlorohydroxide)、テトラクロロハイドレックスグリシネート(tetrachlorohydrex glycinate)、ミョウバン、フォルメート、ラクテート、ベンジルスルホネート、サクシネート、フェノールスルホネートなどの、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウムおよびジルコニウムアルミニウム混合物の金属塩、を含む。制汗剤/消臭剤の典型的なレベルは、組成物の約0質量%~約35質量%、好ましくは約0質量%~約25質量%である。
消臭剤または制汗剤組成物は、化粧品として許容される担体として従来の消臭剤ベースを好適に含み、親水性および/または疎水性成分を含んでもよい。好適な疎水性液体担体としては、25℃以下の融点および少なくとも100℃の沸点を有するシロキサン、炭化水素、分岐脂肪族アルコール、エステルおよびエーテルが挙げられる。好適な親水性担体液体としては、水および/または一価もしくは多価アルコールまたは水混和性同族体が挙げられる。
【0031】
硬い消臭剤については、ベース組成物は、ワックス様の感触を有し、30~40℃で水不溶性の固体である天然起源の材料を含み、典型的には50~95℃の間の幾分高い温度で溶融する、蜜蝋、キャンデリラまたはカルナバワックスなどのワックスを含み得る。他の好適なワックスとしては、炭化水素ワックス、例えばパラフィンワックス、ミネラルワックス、およびマイクロクリスタリンワックス、2000~10000ダルトンのポリエチレンなどの合成ワックス、ワックス誘導体、または天然ワックスのワックス成分が挙げられる。
制汗剤または消臭剤ベース組成物は、エアロゾル組成物の形態であってもよく、消臭剤/制汗剤ベース組成物に加えて噴射剤を含む。
パーソナルケア製品が歯磨剤、例えば練り歯磨きのマウスウォッシュまたは歯のホワイトニング剤である場合。歯磨剤は、意図的には飲み込まれないが口腔に塗布し、口腔を治療するために使用し、次いで吐き出される口腔用組成物である。好適には、歯磨剤は固体、半固体または液体、例えばペーストもしくはゲルである。
【0032】
歯磨剤ベース組成物は、好適には水性連続相を含み、好適には通常の量の水と多価アルコールとの混合物を含む。歯磨剤組成物に使用するための典型的な多価アルコールとしては、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、キシリトール(および他の食用多価アルコール)、水素化部分加水分解多糖およびそれらの混合物などの湿潤剤が挙げられる。歯磨剤は、研磨材料、例えば、粒子状カルシウムカーボネート研磨剤、研磨剤シリカ、他の、メタリン酸のカルシウムナトリウムおよびカリウム塩、ピロリン酸ナトリウムおよびピロリン酸カリウム、トリメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、粒子状ヒドロキシアパタイト、ならびにそれらの混合物を含み得る。歯磨剤は、結合剤または増粘剤を含有し得る。歯磨剤は、好適には歯磨剤の総質量に基づいて0.2~5質量%の量の界面活性剤を含み得る。
【0033】
歯磨剤は、口腔の表面をすすぐために使用される液体配合物であるマウスウォッシュであり得る。好ましいマウスウォッシュベース組成物は、当技術分野で公知の種々の相対量の水と多価アルコールとの混合物を含む。
本明細書のスキンケア組成物に有用なさらなる成分は、ありとあらゆるもの、すなわち、スキンコンディショニング剤、皮膚感触緩和剤、懸濁剤、補助増粘剤、粘度制御剤、分散剤、可溶化剤/清澄剤、安定剤、乳白剤/真珠光沢剤、キレート剤/金属イオン封鎖剤、ヒドロトロープ剤、殺菌剤/殺真菌剤、酸化防止剤、pH制御剤、緩衝剤、着色剤および香料/芳香剤、水、他の任意成分(補助剤)などから選択し得る。
本発明の組成物はまた、処理された拭取り用品の形態などの、皮膚への塗布用に水不溶性基材に組み込んでもよい。
パーソナルケア製品がパーソナルクリーニングに好適である場合、パーソナルケアベース組成物は、好ましくは本明細書に記載の1~80質量%の1つまたは複数の界面活性剤および担体を含む。
【0034】
任意の種類の界面活性剤、すなわち、アニオン性、カチオン性、非イオン性、双性イオン性または両性の界面活性剤を使用することができる。好ましくは、1つまたは複数の界面活性剤は、アニオン性、非イオン性であるか、またはアニオン性および非イオン性界面活性剤の組合せである。より好ましくは、1つまたは複数の界面活性剤は、アニオン性である。石鹸は、特に好ましい界面活性剤である。石鹸は、本発明の抗菌組成物のパーソナル洗浄用途に特に好適な界面活性剤である。石鹸は、好ましくはC8-C24石鹸である。石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムから好適に選択される。
パーソナルケア製品が口腔ケア、例えば歯磨剤/練り歯磨きまたは口腔リンス製品に使用するためのものである場合、パーソナルケアベース組成物は好ましくは1つまたは複数のアニオン性、非イオン性または両性界面活性剤を含む。好適なアニオン性界面活性剤としては、アルカリ金属アルキルサルフェート、より好ましくはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、ベタイン、より好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン、特にココアミドプロピルベタイン(CAPB)が挙げられる。口腔ケア用途における好適な界面活性剤濃度は、一般に、全組成物の約2質量%~約15質量%、好ましくは約2.2質量%~約10質量%、より好ましくは約2.5質量%~約5質量%である。
【0035】
パーソナルケアベース組成物は、好適には、界面活性剤としての石鹸、アルキルサルフェートまたは直鎖アルキルベンゼンスルホネート、および担体、好ましくは水を含む。
ホームケアベース組成物は、好適には、界面活性剤および担体を含む。好ましくは、界面活性剤は1つまたは複数のアニオン性、非イオン性または両性界面活性剤を含む。好ましくは、ホームケアベース組成物は、界面活性剤としての石鹸、アルキルサルフェートまたは直鎖アルキルベンゼンスルホネート、および担体、好ましくは水を含む。
ホームケアベース組成物は洗剤組成物であり得る。好ましくは、洗剤組成物は、上記の界面活性剤とビルダーとを含み、1つまたは複数の漂白剤と酵素とを含んでもよい。
ホームケアベース組成物が布地調整剤である場合、それは好適には、布地柔軟化化合物、例えば四級アンモニウム塩を含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】ブラシル酸微小球(非架橋)を示す図である。
【
図3】セバシン酸微小球(非架橋)を示す図である。
【
図5】架橋セバシン酸により形成されたシートを示す図である。
【
図6】骨芽細胞に関するCCK-8アッセイを示す図である。
【
図7】カルボキシルおよびヒドロキシアパタイトを示す図である。
【
図8】PDAC-ブラシル酸の微粒子の配合物を示す図である。
【
図9】対照被覆材(A)で処理した後、細菌回収率は、PBSのみの処理対照と同様であった。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、5logを超える減少を示している。
【
図10】処理後に生存している生命体は、主として緑膿菌であった。
【
図11】対照被覆材(A)による処理によって、PBS処理対照と比較して、回収された生存細菌数において1.27logの減少が生じた。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、7logを超える減少を示している。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を、以下の非限定的例により例示する。
(例1)
自己組織化微粒子の調製
ブラシル酸(1.54g、6.31mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.54g、12.62mmol)を水(10cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散の球状体を観察した(
図1)。
(例2)
自己組織化微粒子の調製
ブラシル酸(1.54g、6.31mmol)およびジメチルアミノエタノール(DMAE、1.12g、12.62mmol)を水(10cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
【0038】
(例3)
自己組織化微粒子の調製
ブラシル酸(1.54g、6.31mmol)および4-メチルモルホリン(NMM、1.275g、12.62mmol)を水(10cm3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
【0039】
(例4)
自己組織化微粒子の調製
上記のジカルボン酸溶解実験はまた、種々の酸および種々の水溶性有機塩基を使用して実施した。試験した組合せのうちのいくつかを以下に記載する。組合せは、0.9~1.1:1の酸性基対塩基性基のモル比を有した。これらの組合せの全てが、例1に記載のように球状体を形成した。
ピメリン酸+NMM
スベリン酸+NMM
アゼライン酸+NMM
セバシン酸+NMM
セバシン酸+DMAP
セバシン酸+DMAE
セバシン酸+イミダゾール
ドデカン二酸+NMM
ドデカン二酸+DMAP
ドデカン二酸+DMAE
C36二量体酸+NMM
【0040】
(例5)
架橋自己組織化微粒子の調製
ブラシル酸(1.54g、6.31mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.54g、12.62mmol)を水(10cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散の球状体を観察した(
図1)。
ポリ-ε-リシン(PeK)(2g、12.04mmolのNH
2)を水(10cm
3)に溶解し、上記のブラシル酸/DMAP微小球の溶液に加えた。混合物を0.45μmの膜に通して濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmの微小球が依然として存在していた。この溶液を水で100cm
3に希釈した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(4.6g、2.4mmol)およびHONSu(1.38g、1.2mmol)を水(10cm
3)に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子を接線流濾過(TFF)によって洗浄し、凍結乾燥によって回収した(収量2.35g)。
図2は、得られた微小球の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【0041】
(例6)
プロトポルフィリンIX、ヘムB含有架橋自己組織化微粒子の調製
ブラシル酸(0.734g、3.3mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.734g、6.6mmol)を水(10cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmのほぼ単分散の球状体を観察した(
図1)。
ポリ-ε-リシン(PeK)(1g、6.02mmolのNH
2)を水(10cm
3)に溶解し、上記のブラシル酸/DMAP微小球の溶液に加えた。混合物を0.45μmの膜に通して濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約3μmの微小球が依然として存在していた。この溶液をヘムBの飽和溶液(50cm
3)で希釈した。N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(2.3g、1.2mmol)およびHONSu(0.7g、0.6mmol)を水(5cm
3)に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子を接線流濾過(TFF)によって洗浄し、凍結乾燥によって回収した(収量0.93g)。
【0042】
(例7)
架橋自己組織化微粒子の調製
セバシン酸(0.619g、6.12mmol)およびNMM(0.62g、6.12mmol)を水(10cm3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
ポリ-ε-リシン(PeK)(1g、5.83mmolのNH2)を水(10cm3)に溶解し、上記のセバシン酸/NMM微小球の溶液に加えた。混合物を0.45μmの膜に通して濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球が依然として存在していた。この溶液を水で50cm3に希釈した。EDCI(2.24g、11.7mmol)およびHONSu(2.0g、17.4mmol)を水(10cm3)に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られた粒子をTFFによって洗浄し、凍結乾燥によって回収した。
【0043】
(例8)
架橋自己組織化微粒子の調製
セバシン酸(5.06g、25mmol)およびイミダゾール(3.4g、50mmol)を水(50cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
ポリ-ε-リシン(PeK)(8.576g、50mmolのNH
2)を水(50cm
3)に溶解し、上記のセバシン酸/イミダゾール微小球の溶液に加えた。混合物を0.45μmの膜に通して濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球が依然として存在していた(
図3)。この溶液を水で500cm
3に希釈した。EDCI(4.8g、25mmol)を水(20cm
3)に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を1時間放置し、次いでさらに25mmolのEDCIを加えた後、一晩放置した。得られた粒子をデカンテーションにより水で洗浄し、凍結乾燥により回収した(
図4)。
(例9)
架橋自己組織化微粒子の調製
セバシン酸(5g、24.7mmol)および(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン(8.42g、46.9mmol)を水(50cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
混合物を一晩放置し、次いで濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えると、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生じた。
【0044】
(例10)
架橋自己組織化微粒子の調製
セバシン酸(5g、24.7mmol)およびN-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン(5.77g、51.9mmolのアミン)を水(50cm3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
この溶液を水で500cm3に希釈した。EDCI(20g、104mmol)を水(100cm3)に溶解し、上記の溶液に加えた。混合物を一晩放置し、次いで濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えると、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生じた。
【0045】
(例11)
架橋自己組織化微粒子の調製
セバシン酸(5g、24.7mmol)およびN1-(3-トリメトキシシリルプロピル)ジエチレントリアミン(4.37g、46.9mmolのアミン)を水(50cm3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
この溶液を水で500cm3に希釈した。EDCI(20g、104mmol)を水(100cm3)に溶解し、上記の溶液に加えた。混合物を一晩放置し、次いで濃塩酸で酸性化した。塩酸を加えると、粒子内にシリカが形成され、セバシン酸/シリカ複合体が生じた。
【0046】
(例12)
自己組織化マクロ孔質架橋シートの調製
セバシン酸(0.619g、6.12mmol)およびNMM(0.62g、6.12mmol)を水(10cm
3)に溶解し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmのほぼ単分散の球状体を観察した。
ポリ-ε-リシン(PeK)(1g、5.83mmolのNH
2)を水(10cm
3)に溶解し、上記のセバシン酸/NMM微小球の溶液に加えた。混合物を0.45μmの膜に通して濾過し、試料を顕微鏡上に配置した。直径約2.5μmの微小球が依然として存在していた。EDCI(2.24g、11.7mmol)およびHONSu(2.0g、17.4mmol)を水(10cm
3)に溶解し、上記の溶液に加えた。架橋反応を一晩放置し、得られたシートを水で洗浄し、凍結乾燥によって乾燥させた。
図5に示すSEMは、マクロ孔質ポリマーの融合微小球構造が形成されたことを明確に示している。
【0047】
(例13)
自己組織化マクロ孔質架橋シートの調製
(12-ホスホノドデシル)ホスホン酸(330mg、1mmol)およびNMM(404mg、4mmol)を水に溶解した。試料を顕微鏡上に配置して、実質的に単分散の微小球の存在を確認した。PeK(343mg、2mmolのNH2)を水(10cm3)に溶解し、上記で調製したビスホスホン酸溶液に加えた。この段階において、微小球は依然として存在していた。水(10cm3)に溶解したEDCI(1.15g、6mmol)を加え、混合物を直ちにトレイ中に注ぎ入れた。この段階においても、微小球は依然として存在していた。約2時間後にシートが形成され、これを水で完全に洗浄した。最終シートはゴム状の質感を有していた。
【0048】
(例14)
例1~13の自己組織化微粒子およびマクロ孔質架橋シートは全て、本発明によるパーソナルケア製品およびホームケア製品に使用するのに好適であった。微粒子は、公知のホームケアおよびパーソナルケア組成物中のマイクロプラスチックを置き換えるのに使用し得る。本発明による製品は、非生分解性マイクロプラスチックを含まないが生分解性でありながら微粒子の存在によって機能性が提供されるマイクロスケール粒子を含有するという利益を有する。
(例15)
殺生物剤配合物
パーソナルケア、化粧品、ホームケア、および一般的な消毒のための殺生物剤は、現在、摩損のために、処理すべき表面と接触したまま留まる時間が限定されている。例えば、病院内での消毒のために使用されるタイプの表面スプレーは、活性寿命が限定されており、したがって、MRSA、緑膿菌、C.ディフィシルなどの病院内感染に対する活性が低下する。さらに、いくつかの表面スプレーは、殺生物剤の摩損除去を減少させるために、イソプロパノールなどの有機溶媒またはシリコーン油などの非生分解性成分を含む。
【0049】
第4級アンモニウム化合物などのカチオン性および両性殺生物剤は、細胞膜を可溶化して細胞の溶解および死滅をもたらすことによって病原体に対して作用する。カチオン性化合物であるクロルヘキシジン、ベンザルコニウムクロリド、クリンバゾール、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジプロピレントリアミンを含む消毒用に商業的に使用されている多くの殺生物剤が存在する。さらに、いくつかの殺生物剤は、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)などのポリマーカチオン性化合物である。これらの化合物は、本明細書に記載する技術を用いて球状微粒子中に容易に配合することができ、これにより表面、皮膚、および毛髪上の摩損除去を減少させることができ、殺生物剤の制御放出が可能となり得る。さらに、同じ微粒子中に複数のカチオン性化合物を含む殺生物剤が可能であり、感染源が明確な特定の用途に合わせて調整して、それをターゲットにすることができる配合物を提供し得る。
【0050】
製造した試料は次の通りであった:
ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)SpheriSomes
PDAC(1.615g、10mmol)を水(50cm
3)に溶解し、NaOH(0.4g、10mmol)を加えた。ブラシル酸(1.22g、5mmol)をこの溶液に加えて、一晩溶解させた。これは透明な溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、PDACの新規な配合物であることが確認され、
図8に示す結果は、PDAC-ブラシル酸の微粒子の配合物を示す。
【0051】
ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)
DDAC(9.04cm3の40%w/v溶液、10mmol)を水で50cm3に希釈し、NaOH(0.4g、10mmol)を加えた。ブラシル酸(1.22g、5mmol)をこの溶液に加えて、一晩溶解させた。これは濁った溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、DDACの新規な配合物であることが確認された。
ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)
DDPT(9.97cm3の30%w/v溶液、10mmol)を水で50cm3に希釈し、ブラシル酸(3.66g、15mmol)をこの溶液に加えて一晩溶解させた。これは透明な溶液であるように見えたが、顕微鏡下で観察すると約3μmの微粒子の懸濁液であり、DDPTの新規な配合物であることが確認された。
【0052】
(例16)
抗菌マクロ孔質シート
ビスカルボキシ脂肪酸の微粒子の衝突によって形成された多孔質ポリマーの親水性は、吸収性シートにとって有利である。ビスカルボキシ脂肪酸をポリ-ε-リシンと組み合わせて架橋させ、そのような多孔質マトリックスを形成すると、創傷被覆材の成分の天然の抗菌活性を保持し、必要な場合には増強することができる。カチオン形態においては、脂肪酸よりも過剰のポリ-ε-リシンが存在している場合には、この材料は、食品保存特性を保持して新規な抗菌シートを提供することが示されている。微生物バイオフィルムを破壊することができるカチオン性と組み合わさって、この材料の多孔性は水分保持の改善を可能にする。
カチオン性シートの抗バイオフィルム能力は、混合微生物種CDC反応器モデルを使用して評価した。例13の製品をこれらの実験に用いた。
2つの混合種バイオフィルムを以下に示すように調製し、PBSおよび対照アニオン性被覆材に対して試験した。
【0053】
複数種バイオフィルム1
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) NCTC 8325
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) NCIMB 10434
アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii) ATCC 19606
表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)
複数種バイオフィルム2
黄色ブドウ球菌 NCTC 8325
MRSA
VREフェカリス(VRE faecalis) NCTC 12201
カンジダ・アルビカンス(Candida albicans) ATCC MYA-2876 SC5313
大腸菌(Escherichia coli) NCTC 12923 6DOT202(03)の3頁
【0054】
混合接種材料の調製1
滅菌綿棒を用いて、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、アシネトバクター・バウマニ、および表皮ブドウ球菌の24時間培養物を適当な寒天プレートから採取し、20cm3のトリプトンソイブロス(TSB)中に懸濁した。この混合種懸濁液をTSB中に希釈して、107±5×106cfuml-1の全濃度を与え、これをCDC反応器用の接種材料として使用した。バイオフィルムの成長を促進するために、CDC反応器を50rpmで振盪しながら37℃で72時間インキュベートした。
混合接種材料の調製2
滅菌綿棒を用いて、黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant staphylococcus aureus)、バンコマイシン耐性腸球菌(Vancomycin-resistant Enterococcus)、カンジダ・アルビカンス、および大腸菌の24時間培養物を適当な寒天プレートから採取し、20cm3のTSB中に懸濁した。この混合種懸濁液をTSB中に希釈して、107±5×106cfuml-1の全濃度を与え、これをCDC反応器用の接種材料として使用した。バイオフィルムの成長を促進するために、CDC反応器を50rpmで振盪しながら37℃で72時間インキュベートした。
【0055】
バイオフィルム処理
インキュベーション後、試験片をCDC反応器から取り出し、滅菌リン酸緩衝食塩水(PBS)中で3回洗浄して浮遊細胞を除去した。次いで、洗浄した試験片を、創傷被覆材料の2枚のディスクの間に試験片を挟むことによって処理した。試験前に、各ディスクに400mm3のPBS+1% TSBを加えることによって被覆材を活性化した。対照試験片を、1cm3のPBS+1% TSBに浸した。全ての試料を3回試験した。24時間の処理時間の後、試験片を1cm3のPBS中に配置し、15分間超音波処理して、試験片に付着した生存微生物を回収した。段階希釈および塗抹プレートを用いて、回収した微生物を定量した。
【0056】
混合接種材料1
図9に示すように、対照被覆材(A)で処理した後、細菌回収率は、PBSのみの処理対照と同様であった。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、5logを超える減少を示している。処理後に生存している生命体は、主として緑膿菌であった(
図10)。
混合接種材料2
対照被覆材(A)による処理によって、PBS処理対照と比較して、回収された生存細菌数において1.27logの減少が生じた。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、7logを超える減少を示している(
図11)。生存している生命体は、混合種であった(
図12)。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) パーソナルケアベース組成物又はホームケアベース組成物、および
ii) (a) 一般式HOOC-(CH
2
)
n
-COOHの化合物を含むビス酸と、ここでnは5~40であり、(b) 塩基性を有する、脂肪族アミン、アルキル化アミン、アルキル化ポリアミン、及び/又は芳香族アミンを含む有機塩基と、を含む自己組織化微粒子を含有する、粒子状成分、
を含み、酸中の酸性基対塩基中の塩基性基のモル比が0.6~1.4:1であり、自己組織化微粒子が0.5~10μmの粒径を有する、ケア製品。
【請求項2】
パーソナルケアベース組成物が、スキンクリーム、化粧品、芳香剤、消臭剤、手または顔の拭取り用品、手洗い用品、ハンドスクラブ、シャンプー、コンディショナー、マウスウォッシュおよび練り歯磨きから選択される、請求項1に記載のケア製品。
【請求項3】
表面処理剤、表面スプレー、表面拭取り用品、洗剤組成物、布地柔軟剤、芳香剤、および食器洗い用組成物から選択されるホームケアベース組成物を含む、請求項1に記載のケア製品。
【請求項4】
前記ビス酸は水に不溶であり、前記有機塩基は水に可溶である。請求項1から3のいずれか1項に記載のケア製品。
【請求項5】
微粒子がブラシル酸、セバシン酸および/またはアゼライン酸を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のケア製品。
【請求項6】
有機塩基が、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエタノール、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1-メチルアミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、及びドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)のうちの1つまたは複数を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のケア製品。
【請求項7】
前記有機塩基が反応性塩基と置き換えられ、反応性塩基が次にビス酸と反応して架橋種を形成する、請求項1から6のいずれか1項に記載のケア製品。
【請求項8】
(a) 水に不溶の、一般式HOOC-(CH
2
)
n
-COOHの化合物を含むビス酸、ここでnは5~40である、
(b) 塩基性を有し、水に可溶の、脂肪族アミン、アルキル化アミン、アルキル化ポリアミン、及び/又は芳香族アミンを含む有機塩基、
を水中で接触させることを含む、請求項1に記載の自己組織化微粒子の製造方法であって、ここで、酸中の酸性基対塩基中の塩基性基のモル比が0.6~1.4:1である、製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
混合接種材料1
図9に示すように、対照被覆材(A)で処理した後、細菌回収率は、PBSのみの処理対照と同様であった。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、5logを超える減少を示している。処理後に生存している生命体は、主として緑膿菌であった(
図10)。
混合接種材料2
対照被覆材(A)による処理によって、PBS処理対照と比較して、回収された生存細菌数において1.27logの減少が生じた。カチオン性被覆材(B)で処理した試験片からは、生存生命体は回収されなかった。これは、PBS処理対照と比較して、7logを超える減少を示している(
図11)。生存している生命体は、混合種であった(
図12)。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕パーソナルケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むパーソナルケア製品。
〔2〕パーソナルケアベース組成物が、スキンクリーム、化粧品、芳香剤、消臭剤、手または顔の拭取り用品、手洗い用品、ハンドスクラブ、シャンプー、コンディショナー、マウスウォッシュおよび練り歯磨きから選択される、前記〔1〕に記載のパーソナルケア製品。
〔3〕ホームケアベース組成物、および自己組織化微粒子を含む粒子状成分を含むホームケア製品。
〔4〕表面処理剤、表面スプレー、表面拭取り用品、洗剤組成物、布地柔軟剤、芳香剤、および食器洗い用組成物から選択されるホームケアベース組成物を含む、前記〔3〕に記載のホームケア製品。
〔5〕自己組織化微粒子が、2つ以上の酸性基を有する酸と有機塩基とを含む、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔6〕微粒子が、0.5~10μm、好ましくは1~5μmの粒径を有する、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔7〕酸および塩基中の酸性基対塩基性基のモル比が0.6~1.4:1である、前記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔8〕微粒子が、モル比が0.7~1.3:1の酸性基および塩基性基を含む、前記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔9〕微粒子が、2つ以上の酸性基を有する酸と、有機塩基とを含み、親水性溶媒中で酸と有機塩基とを接触させることを含むプロセスによって得ることができる自己組織化微粒子を含み、酸は親水性溶媒に不溶または難溶であり、有機塩基は親水性溶媒に可溶である。前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔10〕溶媒が水溶液を含む、前記〔9〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔11〕溶媒が、水相内に油中水型エマルジョンを含む、前記〔9〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔12〕微粒子がビス酸を含む、前記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔13〕酸がビス脂肪族酸を含む、前記〔12〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔14〕酸が、末端カルボン酸が疎水性である領域によって連結しているビスカルボン酸脂肪酸を含む、前記〔12〕または〔13〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔15〕微粒子が、酸性基同士が飽和もしくは不飽和脂肪族鎖または置換飽和もしくは置換不飽和脂肪族鎖によって隔てられている酸を含む、前記〔1〕から〔14〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔16〕酸が、一般式HOOC-(CH
2
)
n
-COOHの化合物を含み、nはビス酸が水に難溶または不溶となるのに十分なほど大きい、前記〔15〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔17〕nが、少なくとも5であり、40以下である、前記〔16〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔18〕微粒子がブラシル酸、セバシン酸および/またはアゼライン酸を含む、前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔19〕塩基性を有する脂肪族アミンもしくは芳香族アミンを含む有機塩基または他の窒素含有塩基を含む、前記〔1〕から〔18〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔20〕有機塩基が、アルキル化アミンおよびアルキル化ポリアミンのうちの1つまたは複数を含む、前記〔19〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔21〕有機塩基が、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエタノール、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、1-メチルアミダゾール、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド(DDAC)、ドデシルジプロピレントリアミン(DDPT)およびポリεリシンのうちの1つまたは複数を含む、前記〔20〕に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔22〕微粒子が多重ラメラ構造を含む、前記〔1〕から〔21〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔23〕微粒子がビス酸を含み、ビス酸が有機塩基と反応して架橋種を形成する、前記〔1〕から〔22〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔24〕有機塩基を含み、塩基が別の反応性塩基と置き換えられ、別の反応性塩基が次に反応して架橋種を形成する、前記〔1〕から〔23〕のいずれか1項に記載のパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔25〕i)パーソナルケアベース組成物またはホームケアベース組成物、およびii)架橋自己組織化微孔質粒子を含むマクロ孔質材料を含むパーソナルケア製品またはホームケア製品。
〔26〕パーソナルケアベース組成物またはホームケアベース組成物の1つまたは複数の成分のための担体としての自己組織化架橋微粒子の使用。
〔27〕自己組織化微粒子が抗菌特性を有する、前記〔1〕から〔25〕のいずれか1項に記載の抗菌パーソナルケア製品または抗菌ホームケア製品。
【外国語明細書】