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特開2023-126888環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023126888
(43)【公開日】2023-09-12
(54)【発明の名称】環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20230905BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 38/57 20060101ALI20230905BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230905BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/11 Z
A61K38/57
A61K48/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023109861
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2020552672の分割
【原出願日】2018-12-14
(31)【優先権主張番号】62/599,547
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/676,688
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520445473
【氏名又は名称】フラッグシップ パイオニアリング イノベーションズ シックス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】モラグ・ヘレン スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン シフエンテス-ロハス
(72)【発明者】
【氏名】キ・ヨン ペク
(72)【発明者】
【氏名】アバク カーベジアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・マッカートニー プルギス
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドラ・ソフィー デ ブール
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・ガブリエル ウェイステイン
(72)【発明者】
【氏名】セバスチャン トルーシル
(57)【要約】
【課題】環状ポリリボヌクレオチドを含む組成物及びその使用の提供。
【解決手段】本発明は、概して、環状ポリリボヌクレオチドの医薬組成物及び調製並びにその使用に関する。一態様において、本発明は、a)エンクリプトゲン(encryptogen);b)スタガー要素(stagger element);c)調節要素;d)複製要素;f)疑似二本鎖二次構造;及びg)発現配列から選択される少なくとも1つの構造要素と;a)線状同等物より高い翻訳効率;b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;c)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;d)線状同等物より増加した半減期;及びe)細胞分裂中の持続性から選択される少なくとも1つの機能特性とを含む環状ポリリボヌクレオチドを含む医薬組成物を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001] 本出願は、2017年12月15日に出願された米国仮特許出願第62/59
9,547号明細書及び2018年5月25日に出願された米国仮特許出願第62/67
6,688号明細書の利益を主張するものであり、これらのそれぞれは、全体が参照によ
り本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
[0002] 特定の環状ポリリボヌクレオチドは、健常人の組織及び細胞を含むヒト組織及
び細胞中に遍在的に存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] 一態様において、本発明は、a)エンクリプトゲン(encryptogen);b)ス
タガー要素(staggerelement);c)調節要素;d)複製要素;f)疑似二本鎖二次構
造;及びg)発現配列から選択される少なくとも1つの構造要素と;a)線状同等物より
高い翻訳効率;b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;c)エンクリプトゲンを欠い
た同等物より低い免疫原性;d)線状同等物より増加した半減期;及びe)細胞分裂中の
持続性から選択される少なくとも1つの機能特性とを含む環状ポリリボヌクレオチドを含
む医薬組成物を含む。
【0004】
[0004] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳能を有する。この
ような一実施形態において、疑似らせん構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントと
共に少なくとも1つの二本鎖RNAセグメントを含む。別のこのような実施形態において
、疑似らせん構造は、反復配列、例えばAリッチ配列で連結される第1の配列及び第2の
配列を含む。
【0005】
[0005] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エンクリプトゲンを含
む。ある実施形態において、エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチ
ド、例えばプソイドウリジン、N(6)メチルアデノシン(m6A)を含む。ある実施形
態において、エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位、例えばリボヌクレオチド結合タ
ンパク質を含む。ある実施形態において、エンクリプトゲンは、例えば、免疫応答、例え
ばCTL応答を回避するために免疫タンパク質結合部位を含む。
【0006】
[0006] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾
リボヌクレオチドを含む。
[0007] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RIG-I、
TLR-3、TLR-7、TLR-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、P
KR、IFN-βの少なくとも1つの発現、又はシグナル伝達、又は活性化によって評価
される際、エンクリプトゲンを欠いた同等物より少なくとも2倍低い免疫原性を有する。
【0007】
[0008] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、リボスイッチをさらに
含む。
[0009] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムをさらに
含む。
【0008】
[0010] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳開始配列、例えば
GUG、CUG開始コドン、例えばストレス条件下での発現を含む。
[0011] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、ポリペプチド
をコードする少なくとも1つの発現配列を含む。このような一実施形態において、発現配
列は、ペプチド又はポリヌクレオチドをコードする。ある実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、同じであるか又は異なる複数の発現配列を含む。
【0009】
[0012] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素、例えば
2Aを含む。
[0013] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸、例えばノン
コーディングRNAを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例え
ば、発現配列の発現を変化させる調節要素を含む。
【0010】
[0014] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約20塩基~約20k
bの範囲のサイズを有する。
[0015] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリヌクレオチド
の環状化によって合成される。
【0011】
[0016] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えばエキソヌ
クレアーゼに対して実質的に抵抗性である。
[0017] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、a)5’-UTR;b
)3’-UTR;c)ポリ-A配列;d)5’-キャップ;e)終止要素;f)内部リボ
ソーム進入部位;g)エキソヌクレアーゼによる分解感受性、及びh)キャップ結合タン
パク質への結合の少なくとも1つを欠いている。
【0012】
[0018] 一態様において、本発明は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド
を含む組成物を製造する方法を含む。
[0019] 一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上
の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドとを含む医薬組成物であって、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、ローリングサークル型翻訳の能力がある、医薬組成物を含む。
【0013】
[0020] ある実施形態において、1つ以上の発現配列のそれぞれは、環状ポリリボヌク
レオチド中のスタガー要素によって後続の発現配列から隔てられ、1つ以上の発現配列の
ローリングサークル型翻訳は、少なくとも2つのポリペプチド分子を生成し、例えば、ス
タガー要素は、伸長ポリペプチドがリボソームから落下するようにリボソームを停滞又は
停止させる。ある実施形態において、スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻
訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生
成を防止する。例えば、スタガー要素は、2つ以上の発現配列の2回以上の翻訳からの単
一のポリペプチドの生成を防止することができ、例えば、スタガー要素は、リボソームを
停止させ、且つ/又は伸長ポリペプチドが環状ポリリボヌクレオチドの周りを1周した後
にリボソームから落下することを可能にする。
【0014】
[0021] ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離され
た配列である。
[0022] ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の発現配列の一
部を含む。
【0015】
[0023] 一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上
の発現配列を含み、且つローリングサークル型翻訳の能力がある環状ポリリボヌクレオチ
ドとを含む医薬組成物であって、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチ
ドのローリングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくと
も10%、20%、30%、40%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少
なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも
97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が別個のポリペプチドである
ように構成され、別個のポリペプチドのそれぞれは、1つ以上の発現配列の1回の翻訳又
は1回未満の翻訳から生成される、医薬組成物を含む。
【0016】
[0024] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオ
チドのローリングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なく
とも10%、20%、30%、40%、50%、少なくとも60%、少なくとも70%、
少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくと
も97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が別個のポリペプチドであ
るように構成され、全ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率がインビトロ翻訳系にお
いて試験される。
【0017】
[0025] ある実施形態において、インビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物を含む

[0026] ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の少なくとも1
つの下流又は3’末端側にあり、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリン
グサークル型翻訳中にリボソームを停滞させるように構成される。
【0018】
[00207] 一態様において、本発明は、薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以
上の発現配列及び1つ以上の発現配列の少なくとも1つの下流又は3’末端側にあるスタ
ガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドとを含む医薬組成物を提供する。ある実施形態
において、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中に
リボソームを停滞させるように構成される。
【0019】
[0028] ある実施形態において、スタガー要素は、2A配列及び2A様配列からなる群
から選択されるペプチド配列をコードする。
[0029] ある実施形態において、スタガー要素は、GPであるC末端配列を有する配列
をコードする。
【0020】
[0030] ある実施形態において、スタガー要素は、D(V/I)ExNPG P(ここ
で、x=任意のアミノ酸である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードす
る。
【0021】
[0031] ある実施形態において、スタガー要素は、GDVESNPGP、GDIEEN
PGP、VEPNPGP、IETNPGP、GDIESNPGP、GDVELNPGP、
GDIETNPGP、GDVENPGP、GDVEENPGP、GDVEQNPGP、I
ESNPGP、GDIELNPGP、HDIETNPGP、HDVETNPGP、HDV
EMNPGP、GDMESNPGP、GDVETNPGP、GDIEQNPGP及びDS
EFNPGPの少なくとも1つをコードする。
【0022】
[0032] ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列のそれぞれの下
流又は3’末端側にある。
[0033] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列のスタ
ガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列に続く発現配列の第1の翻訳
開始配列の下流(5’末端側)にあり、スタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離
は、第1の発現配列及び後続の発現配列の連続した翻訳を可能にする。ある実施形態にお
いて、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列に続く発現配
列の翻訳開始配列から上流(5’末端側)の距離を有する環状ポリリボヌクレオチドにお
ける第1の発現配列の終止要素を含み、この距離は、第1の発現配列及びその後続の発現
配列の連続した翻訳を可能にする。
【0023】
[0034] ある実施形態において、第1のスタガー要素は、連続して翻訳された環状ポリ
リボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端側)にあり
、対応する環状ポリリボヌクレオチドは、連続して翻訳されていない対応する環状ポリリ
ボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にある第2のスタガー要
素を含み、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2のスタガー要素は、第2の翻訳開
始配列から、環状ポリリボヌクレオチド中の第1のスタガー要素と第1の翻訳開始との間
の距離より例えば少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍
大きい距離にある。ある実施形態において、スタガー要素は、連続して翻訳された環状ポ
リリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端側)にあ
る第1の終止要素を含み、対応する環状ポリリボヌクレオチドは、連続して翻訳されてい
ない対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2の翻訳開始配列から上
流にある第2の終止要素を含むスタガー要素を含み、対応する環状ポリリボヌクレオチド
中の第2の終止要素は、第2の翻訳開始配列から、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の
終止要素と第1の翻訳開始との間の距離より例えば少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、
6倍、7倍、8倍、9倍、10倍大きい距離にある。
【0024】
[0035] ある実施形態において、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始との間の距離は
、少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10
nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18
nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50
nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt又はそれを超える。ある実施
形態において、第2のスタガー要素と第2の翻訳開始との間の距離は、第1のスタガー要
素と第1の翻訳開始との間の距離より少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6n
t、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、1
5nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、3
5nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、7
5nt又はそれを超えて大きい。
【0025】
[0036] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を
含む。
[0037] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なく
とも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%
、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なく
とも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも
2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも
7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なく
とも50倍又は少なくとも100倍高い翻訳効率を有する。
【0026】
[0038] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なく
とも5倍高い翻訳効率を有する。
[0039] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部
位を欠いている。
【0027】
[0040] ある実施形態において、1つ以上の発現配列は、コザック開始配列を含む。
[0041] ある実施形態において、1つ以上の発現配列は、ペプチドをコードする。
[0042] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸、例えばノン
コーディングRNAを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例え
ば、発現配列の発現を変化させる調節要素を含む。
【0028】
[0043] 一態様において、本発明は、本明細書において提供される医薬組成物のいずれ
かの環状ポリリボヌクレオチドを提供する。
[0044] 一態様において、本発明は、本明細書において提供される医薬組成物を製造す
る方法であって、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド及び本明細書に記載さ
れる薬学的に許容される担体又は賦形剤を組み合わせることを含む方法を含む。
【0029】
[0045] 一態様において、本発明は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチド
を含む組成物を投与する方法を含む。
[0046] 一態様において、本発明は、タンパク質発現のための方法であって、本明細書
において提供される環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域を翻訳することを含む方
法を含む。
【0030】
[0047] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は
、インビトロで行われる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの少なくと
も領域の翻訳は、インビボで行われる。
【0031】
[0048] 一態様において、本発明は、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレ
オチドをコードするポリヌクレオチド、例えばDNAベクターを含む。
[0049] 一態様において、本発明は、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレ
オチドを製造する方法を含む。
【0032】
[0050] ある実施形態において、本方法は、線状ポリリボヌクレオチドのスプリントラ
イゲーション媒介性環状化を含む。
[0051] ある実施形態において、環状化、例えばスプリントライゲーション媒介性環状
化は、少なくとも2%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なく
とも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも34
%、少なくとも36%、少なくとも38%、少なくとも40%、少なくとも42%、少な
くとも44%、少なくとも46%、少なくとも48%又は少なくとも50%の効率を有す
る。ある実施形態において、スプリントライゲーション媒介性環状化は、約40%~約5
0%又は50%超の効率を有する。
定義
[0052] 本発明は、特定の実施形態に関して及び特定の図を参照して説明されるが、本
発明は、それらに限定されず、特許請求の範囲のみによって限定される。これ以降に記載
される用語は、一般に、特に示されない限り、それらの一般的な意味で理解されるべきで
ある。
【0033】
[0053] 「によって得ることができる」、「によって生成可能である」などの用語は、
請求項又は実施形態が化合物、組成物、生成物など自体を指す、すなわち、化合物、組成
物、生成物などが、化合物、組成物、生成物などの製造について記載される方法によって
得ることができるか又は生成可能であるが、化合物、組成物、生成物などが、記載される
方法以外の方法によっても得られるか又は生成され得ることを示すのに使用される。「に
よって得られる」、「によって生成される」などの用語は、化合物、組成物、生成物が、
記載される特定の方法によって得られるか又は生成されることを示す。「によって得るこ
とができる」、「によって生成可能である」などの用語は、「によって得ることができる
」、「によって生成可能である」などの好ましい実施形態として、「によって得られる」
、「によって生成される」などの用語も開示することが理解されるべきである。
【0034】
[0054] 「処置、調節などのための化合物、組成物、生成物など」という表現は、処置
、調節などの示される目的に好適な化合物、組成物、生成物など自体を指すことが理解さ
れるべきである。「処置、調節などのための化合物、組成物、生成物など」という表現は
、好ましい実施形態として、このような化合物、組成物、生成物などが処置、調節などに
使用するためのものであることをさらに開示する。
【0035】
[0055] 「に使用するための化合物、組成物、生成物など」又は「のための薬剤、医薬
組成物、獣医用組成物、診断用組成物などの製造における化合物、組成物、生成物などの
使用」という表現は、このような化合物、組成物、生成物などが、ヒト又は動物の身体に
おいて実施され得る治療方法に使用されるものであることを示す。それらは、処置などの
方法に関する実施形態及び請求項の均等な開示であると考えられる。実施形態又は請求項
が、このように、「疾患に罹患している疑いのあるヒト又は動物を処置するのに使用する
ための化合物」を指す場合、これは、「疾患に罹患している疑いのあるヒト又は動物を処
置するための薬剤の製造における化合物の使用」又は「疾患に罹患している疑いのあるヒ
ト又は動物に化合物を投与することによる処置の方法」の開示であるとも考えられる。「
処置、調節などのための化合物、組成物、生成物など」という表現は、処置、調節などの
示される目的に好適な化合物、組成物、生成物など自体を指すことが理解されるべきであ
る。
【0036】
[0056] 「医薬組成物」という用語は、医薬組成物内に含まれる環状ポリリボヌクレオ
チドが治療によるヒト又は動物の身体の処置のために使用され得ることも開示することが
意図される。したがって、それは、「治療に使用するための環状ポリリボヌクレオチド」
と同等であることが意図される。
【0037】
[0057] 本明細書に記載される、環状ポリリボヌクレオチド、このような環状ポリリボ
ヌクレオチドを含む組成物、このような環状ポリリボヌクレオチドを使用する方法などは
、異なる要素、例えば複製要素、発現配列、スタガー要素及びエンクリプトゲン(例えば
、実施例1を参照されたい)又は例えば発現配列、スタガー要素及び調節要素(例えば、
実施例30及び38を参照されたい)を含む環状ポリリボヌクレオチドエフェクターが、
異なる技術効果(例えば、実施例1及び38における線状同等物より増加した翻訳効率並
びに実施例38における線状同等物より増加した半減期)を達成するのにどのように使用
され得るかを示す実施例に部分的に基づいている。これ以降の説明が、実施例において考
えられる特定の発見及び組合せの様々な変形を想定していることは、特にこれらの実施例
に基づいている。
【0038】
[0058] 本明細書において使用される際、「環状RNA(circRNA)」、又は「
環状ポリリボヌクレオチド」、又は「環状RNA(circular RNA)」という
用語は、同義的に使用され、共有結合又は非共有結合を介して環状構造を形成するポリリ
ボヌクレオチドを指し得る。
【0039】
[0059] 本明細書において使用される際、「エンクリプトゲン」という用語は、免疫細
胞による検出を低下させ、避け、且つ/若しくは回避し、及び/又は環状ポリリボヌクレ
オチドに対する免疫応答の誘導を低下させるのに役立つ環状ポリリボヌクレオチドの核酸
配列又は構造を指し得る。
【0040】
[0060] 本明細書において使用される際、「発現配列」という用語は、産物、例えばペ
プチド若しくはポリペプチド又は調節核酸をコードする核酸配列を指し得る。ペプチド又
はポリペプチドをコードする例示的な発現配列は、複数のヌクレオチド三つ組を含むこと
ができ、これらは、それぞれアミノ酸をコードすることができ、「コドン」と呼ばれる。
【0041】
[0061] 本明細書において使用される際、「免疫タンパク質結合部位」という用語は、
免疫タンパク質に結合するヌクレオチド配列を指し得る。ある実施形態において、免疫タ
ンパク質結合部位は、外因性であるものとして環状ポリリボヌクレオチドをマスクするの
に役立ち、例えば、免疫タンパク質結合部位は、環状ポリリボヌクレオチドが免疫タンパ
ク質によって認識及び結合されることを防ぐタンパク質(例えば、競合阻害剤)によって
結合され得、それにより環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫応答を低下させるか又は
回避する。本明細書において使用される際、「免疫タンパク質」という用語は、例えば、
免疫原、例えば環状ポリリボヌクレオチドなどに対する免疫応答に関連する任意のタンパ
ク質又はペプチドを指し得る。免疫タンパク質の非限定的な例としては、T細胞受容体(
TCR)、抗体(免疫グロブリン)、主要組織適合性複合体(MHC)タンパク質、補体
タンパク質及びRNA結合タンパク質が挙げられる。
【0042】
[0062] 本明細書において使用される際、「修飾リボヌクレオチド」という用語は、糖
、核酸塩基又はヌクレオシド間結合に対する少なくとも1つの修飾を有するヌクレオチド
を指し得る。
【0043】
[0063] 本明細書において使用される際、「疑似らせん構造」という語句は、環状ポリ
リボヌクレオチドの高次構造を指し得、ここで、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも
一部がらせん構造に折り畳まれる。
【0044】
[0064] 本明細書において使用される際、「疑似二本鎖二次構造」という語句は、環状
ポリリボヌクレオチドの高次構造を指し得、ここで、環状ポリリボヌクレオチドの少なく
とも一部が内部二本鎖を形成する。
【0045】
[0065] 本明細書において使用される際、「調節要素」という用語は、環状ポリリボヌ
クレオチド内の発現配列の発現を調節する核酸配列などの部分を指し得る。
[0066] 本明細書において使用される際、「反復ヌクレオチド配列」という用語は、D
NA若しくはRNAのストレッチ内又はゲノム全体にわたる反復核酸配列を指し得る。あ
る実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリTG(UG)配列を含
む。ある実施形態において、反復ヌクレオチド配列は、イントロンのAluファミリー中
の反復される配列を含む。
【0046】
[0067] 本明細書において使用される際、「複製要素」という用語は、複製に有用であ
るか、又は環状ポリリボヌクレオチドの転写を開始させる配列及び/又はモチーフを指し
得る。
【0047】
[0068] 本明細書において使用される際、「スタガー要素」という用語は、翻訳中のリ
ボソームの休止を誘導するヌクレオチド配列などの部分を指し得る。ある実施形態におい
て、スタガー要素は、強いαらせん傾向を有するアミノ酸の非保存配列、続いてコンセン
サス配列-D(V/I)ExNPG P(ここで、x=任意のアミノ酸である)である。
ある実施形態において、スタガー要素は、グリセロール、非核酸連結部分、化学修飾、修
飾核酸又はそれらの任意の組合せなどの化学部分を含み得る。
【0048】
[0069] 本明細書において使用される際、「実質的に抵抗性」という用語は、対照と比
較して少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、
90%、95%、96%、97%、98%又は99%の抵抗性を有するものを指し得る。
【0049】
[0070] 本明細書において使用される際、「化学量論的翻訳」という用語は、環状ポリ
リボヌクレオチドから翻訳された発現産物の実質的に同等の生成を指し得る。例えば、2
つの発現配列を有する環状ポリリボヌクレオチドでは、環状ポリリボヌクレオチドの化学
量論的翻訳は、2つの発現配列の発現産物が実質的に等しい量を有し得ること、例えば2
つの発現配列間の量の差(例えば、モルの差)が約0又は1%、2%、3%、4%、5%
、6%、7%、8%、9%、10%、15%若しくは20%未満であり得ることを意味し
得る。
【0050】
[0071] 本明細書において使用される際、「翻訳開始配列」という用語は、環状ポリリ
ボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を開始させる核酸配列を指し得る。
[0072] 本明細書において使用される際、「終止要素」という用語は、環状ポリリボヌ
クレオチド中の発現配列の翻訳を停止させる核酸配列などの部分を指し得る。
【0051】
[0073] 本明細書において使用される際、「翻訳効率」という用語は、リボヌクレオチ
ド転写産物からのタンパク質又はペプチド産生の速度又は量を指し得る。ある実施形態に
おいて、翻訳効率は、例えば、所与の翻訳系、例えばウサギ網状赤血球溶解物のようなイ
ンビトロ翻訳系において又は真核細胞若しくは原核細胞のようなインビボ翻訳系において
、例えば所与の期間で、タンパク質又はペプチドをコードする所与の量の1転写産物当た
りで生成されるタンパク質又はペプチドの量として表され得る。
【0052】
[0074] 本明細書において使用される際、「環状化効率」という用語は、得られる環状
ポリリボヌクレオチドの、その出発材料と比べた測定値を指し得る。
[0075] 本明細書において使用される際、「免疫原性」という用語は、物質に対する免
疫応答を誘導する可能性を指し得る。ある実施形態において、生物又はある種の免疫細胞
の免疫系が免疫原性物質に曝されたとき、免疫応答が誘導され得る。「非免疫原性」とい
う用語は、物質に対する検出可能な閾値を超える免疫応答の欠如又は非存在を指し得る。
ある実施形態において、生物又はある種の免疫細胞の免疫系が非免疫原性物質に曝された
とき、免疫応答が検出されない。ある実施形態において、本明細書において提供される非
免疫原性環状ポリリボヌクレオチドは、免疫原性アッセイによって測定される際に所定の
閾値を超える免疫応答を誘導しない。例えば、免疫原性アッセイを用いて、環状ポリリボ
ヌクレオチド又は炎症マーカーに対して誘起される抗体を測定する際、本明細書において
提供される非免疫原性ポリリボヌクレオチドは、所定の閾値より低いレベルで抗体又はマ
ーカーの産生をもたらし得る。所定の閾値は、例えば、対照参照によって誘起される抗体
又はマーカーのレベルの1.5倍、2倍、3倍、4倍又は5倍以下であり得る。
【0053】
参照による援用
[0076] 本明細書に記載される全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれの個々の
刊行物、特許又は特許出願が具体的に及び個別に参照により援用されていることが示され
ているのと同程度に、参照により本明細書に援用される。
【0054】
[0077] 本発明の実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読んだときにより
よく理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、本明細書で例示される実施形
態が図面に示される。しかしながら、本発明は、図面に示される実施形態の正確な構成及
び手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】[0078] 図1は、様々な例示的な環状化方法を示す。
図2】[0079] 図2は、開始コドン、GFPをコードするORF(オープンリーディングフレーム)、スタガー要素(2A)、エンクリプトゲン及びIRES(内部リボソーム進入部位)を含有する環状RNAの例示的なインビトロ生成プロセスの概略図を示す。
図3】[0080] 図3は、環状RNAの例示的なインビボ生成プロセスの概略図を示す。
図4】[0081] 図4は、開始コドン、GFPをコードするORF、スタガー要素(2A)及びエンクリプトゲンを含む例示的な環状RNAの設計を示す。
図5】[0082] 図5A及び5Bは、2つの異なる環状RNAのインビボ化学量論的タンパク質発現を示す概略図である。
図6】[0083] 図6は、イントロンを有し、GFPを発現する対照環状RNAの概略図を示す。
図7】[0084] 図7は、リボスイッチに対するリガンドの存在下又は非存在下における環状RNAからのGFPの発現を調節する合成リボスイッチ(赤色)を有する例示的な環状RNAの概略図を示す。
図8】[0085] 図8は、例示的な環状RNAからのマウスモデルにおけるインビボタンパク質発現を示す概略図である。
図9】[0086] 図9は、マウスモデルにおける例示的な環状RNAのインビボ生体内分布を示す概略図である。
図10】[0087] 図10は、エンクリプトゲン(イントロン)を有する例示的な環状RNAからのマウスモデルにおけるインビボタンパク質発現を示す概略図である。
図11】[0088] 図11は、その構造情報についてドットブロット分析にかけられ得る、1つの二本鎖RNAセグメントを有する例示的な環状RNAの概略図を示す。
図12】[0089] 図12は、その構造情報についてSHAPE分析にかけられ得る、疑似らせん構造(HDVmin)を有する例示的な環状RNAの概略図を示す。
図13】[0090] 図13は、HDAg結合活性を示す、機能的疑似らせん構造(HDVmin)を有する例示的な環状RNAの概略図を示す。
図14】[0091] 図14は、例示的な自己複製可能な環状RNAの転写、自己切断及びライゲーションを示す概略図である。
図15】[0092] 図15は、インビボで発現され、向上したインビボ安定性を有する例示的な環状RNAの概略図を示す。
図16】[0093] 図16は、有糸分裂中に保存され、娘細胞内で持続する例示的な環状RNAの概略図を示す。示されるBrdUパルスは、分割した細胞を標識するのに使用される。
図17】[0094] 図17は、様々な例示的な環状RNAのインビトロ生成を示す変性PAGEゲル画像である。
図18】[0095] 図18は、様々な例示的な環状RNAの環状化効率をまとめたグラフである。
図19】[0096] 図19は、その線状同等物と比較して、例示的な環状RNAの低下した分解感受性を示す変性PAGEゲル画像である。
図20】[0097] 図20は、例示的な精製プロセス後の例示的な環状RNAを示す変性PAGEゲル画像である。
図21】[0098] 図21は、IRES、キャップ、5’及び3’UTRを欠いた例示的な環状RNAによるFlagタンパク質(約15kDa)の発現を示すウエスタンブロット画像である。
図22】[0099] 図22は、例示的な環状RNAのローリングサークル型翻訳を示すウエスタンブロット画像である。
図23】[0100] 図23は、例示的なスタガー要素を用いた又は用いない様々な例示的な環状RNAからの別個のタンパク質又は連続した長鎖ペプチドの生成を示すウエスタンブロット画像を示す。
図24】[0101] 図24Aは、例示的なスタガー要素又は終止要素(終止コドン)を用いた様々な例示的な環状RNA間のタンパク質発現の比較を示すウエスタンブロット画像である。[0102] 図24Bは、2つの例示的な環状RNAから翻訳されたタンパク質産物のウエスタンブロット分析からのシグナル強度をまとめたグラフである。
図25】[0103] 図25は、ビヒクル対照RNAと比較した、例示的な環状RNA及びその線状同等物の翻訳産物のルシフェラーゼ活性をまとめたグラフである。
図26】[0104] 図26は、例示的な環状RNAの半減期を試験する時間経過実験における異なる収集時点におけるRNA量をまとめたグラフである。
図27】[0105] 図27Aは、線状及び環状RNAの両方を捕捉したプライマーを用いた細胞への送達の24時間後の線状及び環状RNAレベルのqRT-PCR分析を示すグラフである。[0106] 図27Bは、環状RNAに対して特異的なプライマーを用いた線状及び環状RNAレベルのqRT-PCR分析を示すグラフである。
図28】[0107] 図28は、EGFタンパク質及びβ-チューブリンローディングコントロールについて調べられた環状RNA及び線状RNAからの細胞溶解物のブロットを示す画像である。
図29】[0108] 図29は、環状RNA又は線状RNAでトランスフェクトされた293T細胞からの免疫関連遺伝子のqRT-PCR分析を示すグラフである。
図30】[0109] 図30は、ローリングサークル型翻訳によって環状RNAから発現されたタンパク質のルシフェラーゼ活性を示すグラフである。
図31】[0110] 図31は、環状RNA又は線状RNAから発現されたタンパク質のルシフェラーゼ活性を示すグラフである。
図32】[0111] 図32は、ローリングサークル型翻訳によって線状RNA又は環状RNAから発現されたタンパク質のルシフェラーゼ活性を示すグラフである。
図33】[0112] 図33は、IRES翻訳開始によって環状RNAから発現されたタンパク質のルシフェラーゼ活性を示すグラフである。
図34】[0113] 図34は、IRES開始及びローリングサークル型翻訳によって環状RNAから発現されたタンパク質のルシフェラーゼ活性を示すグラフである。
図35】[0114] 図35は、環状RNA又は線状RNAからの発現産物のタンパク質ブロットを示す画像である。
図36】[0115] 図36は、環状RNA又は線状RNAからの発現産物のタンパク質ブロットを示す画像である。
図37】[0116] 図37は、例示的な環状RNAの疑似二本鎖構造を有する予測構造を示す。
図38】[0117] 図38は、例示的な環状RNAの疑似らせん構造を有する予測構造を示す。
図39】[0118] 図39は、例示的な環状RNAの反復配列と連結された疑似らせん構造を有する予測構造を示す。
図40】[0119] 図40は、例示的な環状RNAのRNAse Hによる分解が、コンカテマーRNAではなく環状RNAと一致する核酸分解産物を生成したという実験データを示す。
図41】[0120] 図41は、様々なRNA長さの形成のために生成された様々な長さのDNAの電気泳動画像を示す。
図42】[0121] 図42は、様々な長さの環状結合に対するRNAse R処理及びqPCR分析を用いてRNAの環状化を確認した実験データを示す。
図43】[0122] 図43は、miRNA結合部位を有する例示的な環状RNAの生成を示す。
図44】[0123] 図44は、自己スプライシングによる例示的な環状RNAの生成を示す。
図45】[0124] 図45は、タンパク質結合部位を有する例示的な環状RNAの生成を示す。
図46】[0125] 図46は、線状対照と比較して、分割細胞内の環状RNAのより高い安定性を示す実験データを示す。
図47】[0126] 図47は、複数の発現配列を有する例示的な環状RNAからのタンパク質発現及び複数の発現配列を有する例示的な環状RNAのローリングサークル型翻訳を示す実験データを示す。
図48】[0127] 図48は、線状対照と比較して、例示的な環状RNAのトランスフェクトされた細胞に対する減少した毒性を示す実験データを示す。
図49】[0128] 図49は、例示的な環状RNAがストレス条件下で線状RNAと比較してより高いレベルで翻訳されたことを示す。
図50】[0129] 図50は、リボスイッチを有する環状RNAの生成を示す。
図51A】[0130] 図51Aは、修飾環状RNAが細胞内で翻訳されたことを示す。
図51B図51Bは、修飾環状RNAが細胞内で翻訳されたことを示す。
図51C図51Cは、修飾環状RNAが細胞内で翻訳されたことを示す。
図52A】[0131] 図52Aは、修飾環状RNAが、トランスフェクトされた細胞内のMDA5、OAS及びIFN-β発現によって評価した際、細胞に対する非修飾環状RNAと比較して低下した免疫原性を有することを示す。
図52B図52Bは、修飾環状RNAが、トランスフェクトされた細胞内のMDA5、OAS及びIFN-β発現によって評価した際、細胞に対する非修飾環状RNAと比較して低下した免疫原性を有することを示す。
図52C図52Cは、修飾環状RNAが、トランスフェクトされた細胞内のMDA5、OAS及びIFN-β発現によって評価した際、細胞に対する非修飾環状RNAと比較して低下した免疫原性を有することを示す。
図53】[0132] 図53は、マウスへの注入後、環状RNAが、注入の3、4及び7日後の時点でマウスの肝臓における線状RNAより高いレベルで検出されたことを示す。
図54A】[0133] 図54Aは、マウスへのガウシアルシフェラーゼを発現する環状RNA又は線状RNAの注入後、ガウシアルシフェラーゼ活性が環状RNAの投与の1、2、7、11、16及び23日後の時点で血漿中において検出された一方、その活性が修飾線状RNAの投与の1及び2日後の時点でのみ血漿中において検出されたことを示す。
図54B図54Bは、マウスへのガウシアルシフェラーゼを発現する環状RNA又は線状RNAの注入後、ガウシアルシフェラーゼ活性が環状RNAの投与の1、2、7、11、16及び23日後の時点で血漿中において検出された一方、その活性が修飾線状RNAの投与の1及び2日後の時点でのみ血漿中において検出されたことを示す。
図55】[0134] 図55は、RNAの注入後、線状RNAではなく環状RNAがRNAの投与の16日後の時点で肝臓及び脾臓中で検出されたことを示す。
図56】[0135] 図56は、RNAの注入後、環状RNAではなく線状RNAが、RIG-I、MDA-5、IFN-B及びOASによって評価した際、免疫原性を示したことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0056】
[0136] 本発明は、概して、環状ポリリボヌクレオチド医薬組成物及び調製並びにその
使用に関する。
【0057】
環状ポリリボヌクレオチド
[0137] ある態様において、本明細書に記載される本発明は、組成物並びに環状ポリリ
ボヌクレオチドの使用及び作製方法並びに環状ポリリボヌクレオチドの送達を含む。ある
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物、例えばヒトにおいて非免疫
原性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、水産養殖動物(魚、
カニ、エビ、カキなど)に由来する細胞、哺乳動物細胞、例えばペット若しくは動物園の
動物(ネコ、イヌ、トカゲ、鳥類、ライオン、トラ及びクマなど)に由来する細胞、家畜
若しくは使役動物(ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリなど)に由来する細胞、ヒト細胞、培養
細胞、初代細胞若しくは細胞株、幹細胞、前駆細胞、分化した細胞、生殖細胞、癌細胞(
例えば、腫瘍形成性、転移性)、非腫瘍形成性細胞(正常細胞)、胎児細胞、胚細胞、成
体細胞、有糸分裂細胞、非有糸分裂細胞又はそれらの任意の組合せにおいて複製すること
が可能であるか又は複製する。ある実施形態において、本発明は、本明細書に記載される
環状ポリリボヌクレオチドを含む細胞を含み、ここで、細胞は、水産養殖動物(魚、カニ
、エビ、カキなど)に由来する細胞、哺乳動物細胞、例えばペット若しくは動物園の動物
(ネコ、イヌ、トカゲ、鳥類、ライオン、トラ及びクマなど)に由来する細胞、家畜若し
くは使役動物(ウマ、ウシ、ブタ、ニワトリなど)に由来する細胞、ヒト細胞、培養細胞
、初代細胞若しくは細胞株、幹細胞、前駆細胞、分化した細胞、生殖細胞、癌細胞(例え
ば、腫瘍形成性、転移性)、非腫瘍形成性細胞(正常細胞)、胎児細胞、胚細胞、成体細
胞、有糸分裂細胞、非有糸分裂細胞又はそれらの任意の組合せである。ある実施形態にお
いて、細胞は、環状ポリリボヌクレオチドを含むように改変される。
【0058】
[0138] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、配列又は発現産物を含
む。
[0139] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも、線状同等
物、例えば線状発現配列又は線状環状ポリリボヌクレオチドのものの半減期を有する。あ
る実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより増加した半減
期を有する。ある実施形態において、半減期は、約5%、10%、15%、20%、25
%、30%、35%、40%、45%、50%又はそれを超えて増加される。ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約1時間~約30日間又は少なく
とも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日
間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14
日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22
日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30
日間、60日間若しくはそれを超える時間又はそれらの間の任意の時間にわたって細胞内
で半減期又は持続性を有する。特定の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
約10分間以下~約7日間又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7
時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間
、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24時間
、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間以下又は
それらの間の任意の時間にわたって細胞内で半減期又は持続性を有する。ある実施形態に
おいて、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞が分割している間、細胞内で半減期又は持続
性を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、分割後の細胞内で半
減期又は持続性を有する。特定の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約1
0分間超~約30日間又は少なくとも約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時
間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、1
5時間、16時間、17時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、
6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間
、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間
、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間
、60日間若しくはそれを超える時間又はそれらの間の任意の時間にわたり、分割してい
る細胞内で半減期又は持続性を有する。
【0059】
[0140] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞機能、例えば一時
的に又は長期間調節する。特定の実施形態において、少なくとも約1時間~約30日間又
は少なくとも約2時間、6時間、12時間、18時間、24時間、2日間、3日間、4日
間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日
間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日
間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日
間、30日間、60日間若しくはそれを超える時間又はそれらの間の任意の時間にわたっ
て持続する、調節などの細胞機能は、安定して変化される。特定の実施形態において、例
えば約30分間以下~約7日間又は約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間
、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15
時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、24
時間、36時間、48時間、60時間、72時間、4日間、5日間、6日間、7日間以下
又はそれらの間の任意の時間にわたって持続する、調節などの細胞機能は、一時的に変化
される。
【0060】
[0141] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌク
レオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも
約50ヌクレオチド、少なくとも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド
、少なくとも約200ヌクレオチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約4
00ヌクレオチド、少なくとも約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオ
チド、少なくとも約2,000ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少
なくとも約6,000ヌクレオチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも
約8,000ヌクレオチド、少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,
000ヌクレオチド、少なくとも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,00
0ヌクレオチド、少なくとも約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌ
クレオチド、少なくとも約17,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレ
オチド、少なくとも約19,000ヌクレオチド又は少なくとも約20,000ヌクレオ
チドである。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソームのための
結合部位に対応するのに十分なサイズのものであり得る。当業者は、環状ポリリボヌクレ
オチドの最大サイズが、環状ポリリボヌクレオチドを生成し、且つ/又は環状ポリリボヌ
クレオチドを使用する技術的制約の範囲内である程度の大きさであり得ることを理解する
ことができる。理論によって制約されるものではないが、RNAの複数のセグメントが、
DNA並びにRNAの「列」を生成するようにアニールされたそれらの5’及び3’遊離
末端(それらは、最終的に、1つの5’遊離末端及び1つの3’遊離末端のみが残るとき
に環状化され得る)から生成され得ることが可能である。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドの最大サイズは、RNAをパッケージングと、標的に送達する能力に
よって制限され得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのサイズは、有
用なポリペプチドをコードするのに十分な長さであり、したがって少なくとも20,00
0ヌクレオチド、少なくとも15,000ヌクレオチド、少なくとも10,000ヌクレ
オチド、少なくとも7,500ヌクレオチド又は少なくとも5,000ヌクレオチド、少
なくとも4,000ヌクレオチド、少なくとも3,000ヌクレオチド、少なくとも2,
000ヌクレオチド、少なくとも1,000ヌクレオチド、少なくとも500ヌクレオチ
ド、少なくとも400ヌクレオチド、少なくとも300ヌクレオチド、少なくとも200
ヌクレオチド、少なくとも100ヌクレオチドの長さが有用であり得る。
【0061】
[0142] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に
記載される1つ以上の要素を含む。ある実施形態において、要素は、スペーサー配列又は
リンカーによって互いに隔てられ得る。ある実施形態において、要素は、1リボヌクレオ
チド、2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、
約20ヌクレオチド、約30ヌクレオチド、約40ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、
約60ヌクレオチド、約80ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチ
ド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約400ヌ
クレオチド、約500ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約
800ヌクレオチド、約900ヌクレオチド、約1000ヌクレオチド、最大で約1kb
、少なくとも約1000ヌクレオチド、それらの間のヌクレオチドの任意の量だけ互いに
隔てられ得る。ある実施形態において、1つ以上の要素は、例えば、スペーサー要素を欠
いて、互いに連続している。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ
以上の要素は、立体配座柔軟性がある。ある実施形態において、立体配座柔軟性は、配列
が二次構造を実質的に含まないことによる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、本明細書に記載される1つ以上の所望の機能又は特性に対応する、例えばリボ
ソームのための結合部位、例えば翻訳、例えばローリングサークル型翻訳に対応する二次
又は三次構造を含む。
【0062】
[0143] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、特定の配列特性を含む
。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、特定のヌクレオチド組成物を含み得る。あるこ
のような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のプリンリッチ領域
(アデニン又はグアノシン)を含み得る。あるこのような実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、1つ以上のプリンリッチ領域(アデニン又はグアノシン)を含み得る
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のAUリッチ領域又は
要素(ARE)を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ
以上のアデニンリッチ領域を含み得る。
【0063】
[0144] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に
記載される1つ以上の反復要素を含み得る。
[0145] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、本明細書の他の箇所に
記載される1つ以上の修飾を含む。
【0064】
[0146] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を
含み、インビボで対象の細胞内における持続的発現のために構成される。ある実施形態に
おいて、環状ポリリボヌクレオチドは、後の時点での細胞内における1つ以上の発現配列
の発現が前の時点と等しいか又はそれより多いように構成される。このような実施形態に
おいて、1つ以上の発現配列の発現は、比較的安定したレベルに維持され得るか、又は時
間と共に増加し得る。発現配列の発現は、長期間にわたって比較的に安定的であり得る。
例えば、ある場合において、少なくとも7、8、9、10、12、14、16、18、2
0、22、23日又はそれを超える期間にわたる細胞内における1つ以上の発現配列の発
現は、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は
5%減少しない。ある場合において、細胞内における1つ以上の発現配列の発現は、少な
くとも7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、23日又はそれを超え
て、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5
%を超えて変化しないレベルに維持される。
【0065】
発現配列
ペプチド又はポリペプチド
[0147] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ペプチド又はポリペプ
チドをコードする少なくとも1つの発現配列を含む。このようなペプチドとしては、限定
はされないが、低分子ペプチド、ペプチド模倣物(例えば、ペプトイド)、アミノ酸及び
アミノ酸類似体が挙げられる。ペプチドは、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。このような
ペプチドは、1モル当たり約5,000g未満の分子量、1モル当たり約2,000g未
満の分子量、1モル当たり約1,000g未満の分子量、1モル当たり約500g未満の
分子量並びにこのような化合物の塩、エステル及び他の薬学的に許容される形態を有し得
る。このようなペプチドとしては、限定はされないが、神経伝達物質、ホルモン、薬剤、
毒素、ウイルス若しくは微生物粒子、合成分子及びそれらのアゴニスト又はアンタゴニス
トが挙げられる。
【0066】
[0148] ポリペプチドは、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。ポリペプチドは、約5~約
40,000アミノ酸、約15~約35,000アミノ酸、約20~約30,000アミ
ノ酸、約25~約25,000アミノ酸、約50~約20,000アミノ酸、約100~
約15,000アミノ酸、約200~約10,000アミノ酸、約500~約5,000
アミノ酸、約1,000~約2,500アミノ酸又はそれらの間の任意の範囲の長さを有
し得る。ある実施形態において、ポリペプチドは、約40,000未満のアミノ酸、約3
5,000未満のアミノ酸、約30,000未満のアミノ酸、約25,000未満のアミ
ノ酸、約20,000未満のアミノ酸、約15,000未満のアミノ酸、約10,000
未満のアミノ酸、約9,000未満のアミノ酸、約8,000未満のアミノ酸、約7,0
00未満のアミノ酸、約6,000未満のアミノ酸、約5,000未満のアミノ酸、約4
,000未満のアミノ酸、約3,000未満のアミノ酸、約2,500未満のアミノ酸、
約2,000未満のアミノ酸、約1,500未満のアミノ酸、約1,000未満のアミノ
酸、約900未満のアミノ酸、約800未満のアミノ酸、約700未満のアミノ酸、約6
00未満のアミノ酸、約500未満のアミノ酸、約400未満のアミノ酸、約300未満
のアミノ酸又はそれを下回る長さを有し、有用であり得る。
【0067】
[0149] ペプチド又はポリペプチドのいくつかの例としては、限定はされないが、蛍光
タグ又はマーカー、抗原、ペプチド治療薬、天然生物活性ペプチドに由来する合成若しく
はアナログペプチド、アゴニスト若しくはアンタゴニストペプチド、抗菌ペプチド、孔形
成ペプチド、二環式ペプチド、標的化若しくは細胞毒性ペプチド、分解若しくは自壊性ペ
プチド及び複数の分解若しくは自壊性ペプチドが挙げられる。本明細書に記載される本発
明において有用なペプチドとしては、抗原結合ペプチド、例えば抗原結合抗体又は抗体様
フラグメント、例えば一本鎖抗体、ナノボディも挙げられる(例えば、Steeland
et al.2016.Nanobodies as therapeutics:b
ig opportunities for small antibodies.Dr
ug Discov Today:21(7):1076-113を参照されたい)。こ
のような抗原結合ペプチドは、細胞質抗原、核抗原、小器官内抗原に結合し得る。
【0068】
[0150] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のRNA発現
配列を含み、これらは、それぞれポリペプチドをコードし得る。ポリペプチドは、かなり
の量で生成され得る。したがって、ポリペプチドは、生成され得る任意のタンパク質分子
であり得る。ポリペプチドは、細胞から分泌されるか、又は細胞の細胞質、核若しくは膜
区画に限局され得るポリペプチドであり得る。いくつかのポリペプチドとしては、限定は
されないが、ウイルスエンベロープタンパク質の少なくとも一部、代謝調節酵素(例えば
、脂質又はステロイド産生を調節する)、抗原、トレラゲン、サイトカイン、毒素、非存
在が疾患に関連する酵素、及び切断されるまで動物内(例えば、動物の腸内)で活性でな
いポリペプチド、及びホルモンが挙げられる。
【0069】
[0151] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えば治
療用タンパク質をコードする発現配列を含む。ある実施形態において、本明細書に開示さ
れる環状ポリリボヌクレオチドから発現され得る治療用タンパク質は、酸化防止活性、結
合、積み荷受容体活性、触媒活性、分子担体活性、分子機能調節剤、分子トランスデュー
サ活性、栄養貯留活性、タンパク質タグ、構造分子活性、毒素活性、転写調節活性、翻訳
調節活性又は輸送活性を有する。治療用タンパク質のいくつかの例としては、限定はされ
ないが、酵素補充タンパク質、補充用のタンパク質、タンパク質ワクチン接種、抗原(例
えば腫瘍抗原、ウイルス、細菌)、ホルモン、サイトカイン、抗体、免疫療法(例えば、
癌)、リプログラミング/分化転換因子、転写因子、キメラ抗原受容体、トランスポザー
ゼ又はヌクレアーゼ、免疫エフェクター(例えば、免疫応答/シグナルに対する感受性に
影響を与える)、調節された死エフェクタータンパク質(例えば、アポトーシス又は壊死
の誘導因子)、腫瘍の非溶解性阻害剤(例えば、癌タンパク質の阻害剤)、エピジェネテ
ィック修飾剤、エピジェネティック酵素、転写因子、DNA又はタンパク質修飾酵素、D
NA挿入剤、排出ポンプ阻害剤、核内受容体活性化剤若しくは阻害剤、プロテアソーム阻
害剤、酵素用の競合阻害剤、タンパク質合成エフェクター若しくは阻害剤、ヌクレアーゼ
、タンパク質フラグメント若しくはドメイン、リガンド若しくは受容体及びCRISPR
システム若しくはその構成要素が挙げられる。
【0070】
[0152] ある実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから
発現され得る例示的なタンパク質としては、ヒトタンパク質、例えば受容体結合タンパク
質、ホルモン、成長因子、成長因子受容体モジュレータ及び再生タンパク質(例えば、増
殖及び分化に関与しているタンパク質、例えば創傷治癒のための治療用タンパク質)が挙
げられる。ある実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから
発現され得る例示的なタンパク質としては、EGF(上皮成長因子)が挙げられる。ある
実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから発現され得る例
示的なタンパク質としては、酵素、例えばオキシドレダクターゼ酵素、代謝酵素、ミトコ
ンドリア酵素、オキシゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ATP非依存性酵素及びデサチュラ
ーゼが挙げられる。ある実施形態において、本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオ
チドから発現され得る例示的なタンパク質としては、細胞内タンパク質又は細胞質タンパ
ク質が挙げられる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、NanoLu
c(登録商標)ルシフェラーゼ(nLuc)を発現する。ある実施形態において、本明細
書に開示される環状ポリリボヌクレオチドから発現され得る例示的なタンパク質としては
、分泌タンパク質、例えば分泌酵素が挙げられる。ある場合において、環状ポリリボヌク
レオチドは、血液中で治療効果のある短い半減期を有し得る分泌タンパク質を発現するか
、又は細胞内局在化シグナルを有するタンパク質若しくは分泌シグナルペプチドを有する
タンパク質であり得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ガウシア
ルシフェラーゼ(gLuc)を発現する。ある場合において、環状ポリリボヌクレオチド
は、非ヒトタンパク質、例えば蛍光タンパク質、エネルギー移動受容体又はFlag、M
yc若しくはHisのようなタンパク質タグを発現する。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドから発現され得る例示的なタンパク質としては、GFPが挙げられる
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タグ化タンパク質、例えばタン
パク質タグを含有する融合タンパク質又は改変タンパク質、例えばキチン結合タンパク質
(CBP)、マルトース結合タンパク質(MBP)、Fcタグ、グルタチオン-S-トラ
ンスフェラーゼ(GST)、AviTag(GLNDIFEAQKIEWHE)、カルモ
ジュリン-タグ(KRRWKKNFIAVSAANRFKKISSSGAL);ポリグル
タメートタグ(EEEEEE);E-タグ(GAPVPYPDPLEPR);FLAG-
タグ(DYKDDDDK)、HA-タグ(YPYDVPDYA);His-タグ(HHH
HHH);Myc-タグ(EQKLISEEDL);NE-タグ(TKENPRSNQE
ESYDDNES);S-タグ(KETAAAKFERQHMDS);SBP-タグ(M
DEKTTGWRGGHVVEGLAGELEQLRARLEHHPQGQREP);S
oftag 1(SLAELLNAGLGGS);Softag 3(TQDPSRVG
);Spot-タグ(PDRVRAVSHWSS);Strep-タグ(Strep-タ
グII:WSHPQFEK);TCタグ(CCPGCC);Tyタグ(EVHTNQDP
LD);V5タグ(GKPIPNPLLGLDST);VSV-タグ(YTDIEMNR
LGK);又はXpressタグ(DLYDDDDK)を発現する。
【0071】
[0153] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体、例えば抗体フラ
グメント又はその部分を発現する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドに
よって発現される抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、IgMなどの任意のアイソ
タイプのものであり得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、抗体の
一部、例えば軽鎖、重鎖、Fcフラグメント、CDR(相補性決定領域)、Fvフラグメ
ント又はFabフラグメント、そのさらなる部分を発現する。ある実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドは、抗体の1つ以上の部分を発現する。例えば、環状ポリリボヌ
クレオチドは、2つ以上の発現配列を含むことができ、これらは、それぞれ抗体の一部を
発現し、これらの集合が抗体を構成し得る。ある場合において、環状ポリリボヌクレオチ
ドは、抗体の重鎖をコードする1つの発現配列及び抗体の軽鎖をコードする別の発現配列
を含む。ある場合において、環状ポリリボヌクレオチドが細胞内又は無細胞環境で発現さ
れる場合、軽鎖及び重鎖は、適切な修飾、折り畳み又は機能的抗体を形成する他の翻訳後
修飾に供され得る。
【0072】
調節要素
[0154] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、調節要素、例えば環状
ポリリボヌクレオチド内の発現配列の発現を調節する配列を含む。
【0073】
[0155] 調節要素は、発現産物をコードする発現配列に隣接して位置する配列を含み得
る。調節要素は、隣接する配列に動作可能に連結され得る。調節要素は、調節要素が存在
しない場合に発現される産物の量と比較して、発現される産物の量を増加させ得る。さら
に、1つの調節要素が、並んで結合された複数の発現配列について発現される産物の量を
増加させ得る。したがって、1つの調節要素が1つ以上の発現配列の発現を促進すること
ができる。複数の調節要素が当業者に周知である。
【0074】
[0156] 本明細書において提供される調節要素は、選択的翻訳配列を含み得る。本明細
書において使用される際、「選択的翻訳配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド
、例えば特定のリボスイッチアプタザイム中の発現配列の翻訳を選択的に開始させるか又
は活性化する核酸配列を指し得る。調節要素は、選択的分解配列も含み得る。本明細書に
おいて使用される際、「選択的分解配列」という用語は、環状ポリリボヌクレオチド又は
環状ポリリボヌクレオチドの発現産物の分解を開始させる核酸配列を指し得る。例示的な
選択的分解配列は、リボスイッチアプタザイム及びmiRNA結合部位を含み得る。
【0075】
[0157] ある実施形態において、調節要素は、翻訳モジュレータである。翻訳モジュレ
ータは、環状ポリリボヌクレオチド中の発現配列の翻訳を調節し得る。翻訳モジュレータ
は、翻訳エンハンサー又はサプレッサーであり得る。ある実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、少なくとも1つの発現配列に隣接する少なくとも1つの翻訳モジュレ
ータを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、各発現配列に隣接す
る翻訳モジュレータを含む。ある実施形態において、翻訳モジュレータは、各発現配列の
1つの側又は両側に存在して、発現産物、例えばペプチド及び又はポリペプチドの分離を
もたらす。
【0076】
[0158] ある実施形態において、翻訳開始配列は、調節要素として機能し得る。ある実
施形態において、翻訳開始配列は、AUGコドンを含む。ある実施形態において、翻訳開
始配列は、AUG、CUG、GUG、UUG、ACG、AUC、AUU、AAG、AUA
又はAGGなどの任意の真核生物開始コドンを含む。ある実施形態において、翻訳開始配
列は、コザック配列を含む。ある実施形態において、翻訳は、選択的条件、例えばストレ
ス誘発性条件下で別の翻訳開始配列、例えばAUGコドン以外の翻訳開始配列から開始す
る。非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、ACGなどの別の翻訳開
始配列から開始する。別の非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチド翻訳は、別の
翻訳開始配列、CTG/CUGから開始し得る。さらに別の非限定的な例として、環状ポ
リリボヌクレオチド翻訳は、別の翻訳開始配列、GTG/GUGから開始し得る。さらに
別の非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドは、反復RNA、例えばCGG、G
GGGCC、CAG、CTGの短いストレッチを含む別の翻訳開始配列などのリピート関
連非AUG(RAN)配列から翻訳を開始し得る。
【0077】
[0159] 限定はされないが、開始コドン又は別の開始コドンなど、翻訳を開始させるコ
ドンに隣接するヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳効率、長さ及び/又は
構造に影響を与えることが知られている。(例えば、内容全体が参照により本明細書に援
用されるMatsuda and Mauro PLoS ONE,2010 5:11
を参照されたい)。翻訳を開始するコドンに隣接するヌクレオチドのいずれかをマスクす
ることを用いて、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳開始の位置、翻訳効率、長さ及び/又
は構造を変化させ得る。
【0078】
[0160] 一実施形態において、マスキング剤は、マスクされた開始コドン又は別の開始
コドンにおける翻訳開始の可能性を低下させるために、コドンをマスクするか又は隠すた
めに、開始コドン又は別の開始コドンの近くで使用され得る。マスキング剤の非限定的な
例としては、アンチセンスロックト核酸(LNA)オリゴヌクレオチド及びエクソン接合
部複合体(EJC)が挙げられる。(例えば、内容全体が参照により本明細書に援用され
るMatsuda and Mauro describing masking ag
ents LNA oligonucleotides and EJCs(PLoS
ONE,2010 5:11)を参照されたい)。別の実施形態において、マスキング剤
は、翻訳が別の開始コドンから開始する可能性を増加させるために、環状ポリリボヌクレ
オチドの開始コドンをマスクするために使用され得る。
【0079】
[0161] ある実施形態において、翻訳は、限定はされないが、GRSF-1の存在下に
おけるウイルス誘発性選択などの選択的条件下で開始され、環状ポリリボヌクレオチドは
、GRSF-1結合部位を含み、例えばhttp://jvi.asm.org/con
tent/76/20/10417.fullを参照されたい。
【0080】
翻訳開始配列
[0162] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリペプチドをコード
し、翻訳開始配列、例えば開始コドンを含み得る。ある実施形態において、翻訳開始配列
は、コザック又はシャイン・ダルガノ配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、発現配列に隣接する翻訳開始配列、例えばコザック配列を含む。ある実
施形態において、翻訳開始配列は、非コード開始コドンである。ある実施形態において、
翻訳開始配列、例えばコザック配列は、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現
産物の分離をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列
に隣接する少なくとも1つの翻訳開始配列を含む。ある実施形態において、翻訳開始配列
は、環状ポリリボヌクレオチドに立体配座柔軟性を与える。ある実施形態において、翻訳
開始配列は、環状ポリリボヌクレオチドの実質的に一本鎖領域内にある。
【0081】
[0163] 環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、少なくとも2つ、少なくと
も3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくと
も8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくと
も13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくと
も18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくと
も35、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60又は60超の開始コドンなど
の2つ以上の開始コドンを含み得る。翻訳は、第1の開始コドン上で開始し得るか、又は
第1の開始コドンの下流で開始し得る。
【0082】
[0164] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、第1の開始コドンでな
いコドン、例えばAUGから開始し得る。環状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、限定はさ
れないが、ACG、AGG、AAG、CTG/CUG、GTG/GUG、ATA/AUA
、ATT/AUU、TTG/UUGなどの別の翻訳開始配列から開始し得る(それぞれの
内容全体が参照により本明細書に援用されるTouriol et al.Biolog
y of the Cell 95(2003)169-178及びMatsuda a
nd Mauro PLoS ONE,2010 5:11を参照されたい)。ある実施
形態において、翻訳は、選択的条件、例えばストレス誘発性条件下で別の翻訳開始配列か
ら開始する。非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳は、ACGなどの別
の翻訳開始配列から開始し得る。別の非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチド翻
訳は、別の翻訳開始配列、CTG/CUGから開始し得る。さらに別の非限定的な例とし
て、環状ポリリボヌクレオチド翻訳は、別の翻訳開始配列、GTG/GUGから開始し得
る。さらに別の非限定的な例として、環状ポリリボヌクレオチドは、反復RNA、例えば
CGG、GGGGCC、CAG、CTGの短いストレッチを含む別の翻訳開始配列などの
リピート関連非AUG(RAN)配列から翻訳を開始し得る。
【0083】
[0165] ある実施形態において、翻訳は、Rocaglatesによる真核生物開始因
子4A(eIF4A)処理によって開始される(翻訳は、43Sスキャニングをブロック
することによって抑制されて、RocA-eIF4A標的配列を有する転写産物からの早
期の上流の翻訳開始及び減少したタンパク質発現につながり、例えばwww.natur
e.com/articles/nature17978を参照されたい)。
【0084】
IRES
[0166] ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、
内部リボソーム進入部位(IRES)要素を含む。環状ポリリボヌクレオチド中に含むの
に好適なIRES要素は、真核生物リボソームにかみ合うことが可能なRNA配列を含む
。ある実施形態において、IRES要素は、少なくとも約5nt、少なくとも約8nt、
少なくとも約9nt、少なくとも約10nt、少なくとも約15nt、少なくとも約20
nt、少なくとも約25nt、少なくとも約30nt、少なくとも約40nt、少なくと
も約50nt、少なくとも約100nt、少なくとも約200nt、少なくとも約250
nt、少なくとも約350nt又は少なくとも約500ntである。一実施形態において
、IRES要素は、限定はされないが、ウイルス、哺乳動物及びショウジョウバエ(Dros
ophila)を含む生物のDNAに由来する。このようなウイルスDNAは、限定はされない
が、脳心筋炎ウイルス(EMCV)cDNA及びポリオウイルスcDNAと共にピコルナ
ウイルス相補的DNA(cDNA)に由来し得る。一実施形態において、IRES要素が
由来するショウジョウバエ(Drosophila)DNAとしては、限定はされないが、キイロシ
ョウジョウバエ(Drosophilamelanogaster)に由来するアンテナペディア遺伝子が挙げ
られる。
【0085】
[0167] ある実施形態において、IRES要素は、ウイルスに少なくとも部分的に由来
し、例えば、それは、ABPV_IGRpred、AEV、ALPV_IGRpred、
BQCV_IGRpred、BVDV1_1-385、BVDV1_29-391、Cr
PV_5NCR、CrPV_IGR、crTMV_IREScp、crTMV_IRES
mp75、crTMV_IRESmp228、crTMV_IREScp、crTMV_
IREScp、CSFV、CVB3、DCV_IGR、EMCV-R、EoPV_5NT
R、ERAV_245-961、ERBV_162-920、EV71_1-748、F
eLV-Notch2、FMDV_type_C、GBV-A、GBV-B、GBV-C
、gypsy_env、gypsyD5、gypsyD2、HAV_HM175、HCV
_type_1a、HiPV_IGRpred、HIV-1、HoCV1_IGRpre
d、HRV-2、IAPV_IGRpred、idefix、KBV_IGRpred、
LINE-1_ORF1_-101_to_-1、LINE-1_ORF1_-302_
to_-202、LINE-1_ORF2_-138_to_-86、LINE-1_O
RF1_-44_to_-1、PSIV_IGR、PV_type1_Mahoney、
PV_type3_Leon、REV-A、RhPV_5NCR、RhPV_IGR、S
INV1_IGRpred、SV40_661-830、TMEV、TMV_UI_IR
ESmp228、TRV_5NTR、TrV_IGR又はTSV_IGRなどのウイルス
IRES要素に由来し得る。ある実施形態において、IRES要素は、AML1/RUN
X1、Antp-D、Antp-DE、Antp-CDE、Apaf-1、Apaf-1
、AQP4、AT1R_var1、AT1R_var2、AT1R_var3、AT1R
_var4、BAG1_p36delta236nt、BAG1_p36、BCL2、B
iP_-222_-3、c-IAP1_285-1399、c-IAP1_1313-1
462、c-jun、c-myc、Cat-1_224、CCND1、DAP5、eIF
4G、eIF4GI-ext、eIF4GII、eIF4GII-long、ELG1、
ELH、FGF1A、FMR1、Gtx-133-141、Gtx-1-166、Gtx
-1-120、Gtx-1-196、hairless、HAP4、HIF1a、hSN
M1、Hsp101、hsp70、hsp70、Hsp90、IGF2_leader2
、Kv1.4_1.2、L-myc、LamB1_-335_-1、LEF1、MNT_
75-267、MNT_36-160、MTG8a、MYB、MYT2_997-115
2、n-MYC、NDST1、NDST2、NDST3、NDST4L、NDST4S、
NRF_-653_-17、NtHSF1、ODC1、p27kip1、p53_128
-269、PDGF2/c-sis、Pim-1、PITSLRE_p58、Rbm3、
reaper、Scamper、TFIID、TIF4631、Ubx_1-966、U
bx_373-961、UNR、Ure2、UtrA、VEGF-A_-133_-1、
XIAP_5-464、XIAP_305-466又はYAP1などの細胞IRESに少
なくとも部分的に由来する。ある実施形態において、IRES要素は、合成IRES、例
えば(GAAA)16、(PPT19)4、KMI1、KMI1、KMI2、KMI2、
KMIX、X1又はX2を含む。
【0086】
[0168] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つ(例え
ば、2、3、4、5つ又はそれを超える)の発現配列に隣接する少なくとも1つのIRE
Sを含む。ある実施形態において、IRESは、少なくとも1つ(例えば、2、3、4、
5つ又はそれを超える)の発現配列の両側に隣接する。ある実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドは、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、得られるペプチド及び
又はポリペプチドの分離をもたらす1つ以上のIRES配列を含む。
【0087】
終止要素
[0169] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を
含み、各発現配列は、終止要素を有していても又は有していなくてもよい。ある実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列を含み、発現配列は、環状
ポリリボヌクレオチドが連続して翻訳されるように終止要素を欠いている。終止要素の排
除は、リボソームの停滞又は落下がないために、発現産物、例えばペプチド又はポリペプ
チドのローリングサークル型翻訳又は連続した発現をもたらし得る。このような実施形態
において、ローリングサークル型翻訳は、各発現配列を介して連続した発現産物を発現す
る。ある他の実施形態において、発現配列の終止要素は、スタガー要素の一部であり得る
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の発現配列は、終止要
素を含む。しかしながら、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の(例えば、第2、第3、
第4、第5などの)発現配列のローリングサークル型翻訳又は発現が行われる。このよう
な場合、リボソームが終止要素、例えば終止コドンに遭遇し、翻訳を終止するとき、発現
産物は、リボソームから落下し得る。ある実施形態において、翻訳は、リボソーム、例え
ばリボソームの少なくとも1つのサブユニットが環状ポリリボヌクレオチドと接触状態を
保ちながら終止される。
【0088】
[0170] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配列の
末端に終止要素を含む。ある実施形態において、1つ以上の発現配列は、連続して2つ以
上の終止要素を含む。このような実施形態において、翻訳が終止され、ローリングサーク
ル型翻訳が終止される。ある実施形態において、リボソームは、環状ポリリボヌクレオチ
ドと完全に離脱する。あるこのような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の
後続の(例えば、第2、第3、第4、第5などの)発現配列の生成は、リボソームが翻訳
の開始前に環状ポリリボヌクレオチドと再度かみ合うことを必要とし得る。一般に、終止
要素は、翻訳の終止を示すインフレームヌクレオチド三つ組、例えばUAA、UGA、U
AGを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド中の1つ以上の終止要素
は、限定はされないが、翻訳を終止し得るオフフレーム又は-1及び+1シフトされたリ
ーディングフレーム(例えば、隠れた停止)などのフレームシフト終止要素である。フレ
ームシフト終止要素は、発現配列の第2及び第3のリーディングフレームに現れるヌクレ
オチド三つ組、TAA、TAG及びTGAを含む。フレームシフト終止要素は、細胞に有
害であることが多い、mRNAの読み違いを防ぐ際に重要であり得る。
【0089】
スタガー要素
[0171] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現配列に隣接する少
なくとも1つのスタガー要素を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、各発現配列に隣接するスタガー要素を含む。ある実施形態において、スタガー要素は
、各発現配列の1つの側又は両側に存在して、発現産物、例えばペプチド及び又はポリペ
プチドの分離をもたらす。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列
の一部である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の発現配
列を含み、1つ以上の発現配列のそれぞれは、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガ
ー要素によって後続の発現配列から隔てられる。ある実施形態において、スタガー要素は
、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の発現配列の1回以上の
翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する。ある実施形態において、スタガー要素
は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である。ある実施形態において、スタガー
要素は、1つ以上の発現配列の発現配列の一部を含む。
【0090】
[0172] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素を含む。
ローリングサークル型翻訳を維持しながら、連続した発現産物、例えばペプチド又はポリ
ペプチドの生成を避けるために、スタガー要素は、翻訳中のリボソームの休止を誘導する
ために含まれ得る。ある実施形態において、スタガー要素は、1つ以上の発現配列の少な
くとも1つの3’末端にある。スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリング
サークル型翻訳中にリボソームを停滞させるように構成され得る。スタガー要素としては
、限定はされないが、2A様又はCHYSEL(シス作用性ヒドロラーゼ要素)配列が挙
げられる。ある実施形態において、スタガー要素は、XEXNPGP(ここ
で、Xは、存在しないか、又はG若しくはHであり、Xは、存在しないか、又はD若
しくはGであり、Xは、D、又はV、又はI、又はS、又はMであり、Xは、任意の
アミノ酸である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする。ある実施形
態において、この配列は、強いαらせん傾向を有するアミノ酸の非保存配列、続いてコン
センサス配列-D(V/I)ExNPG P(ここで、x=任意のアミノ酸である)を含
む。スタガー要素のいくつかの非限定的な例としては、GDVESNPGP、GDIEE
NPGP、VEPNPGP、IETNPGP、GDIESNPGP、GDVELNPGP
、GDIETNPGP、GDVENPGP、GDVEENPGP、GDVEQNPGP、
IESNPGP、GDIELNPGP、HDIETNPGP、HDVETNPGP、HD
VEMNPGP、GDMESNPGP、GDVETNPGP、GDIEQNPGP及びD
SEFNPGPが挙げられる。
【0091】
[0173] ある実施形態において、本明細書に記載されるスタガー要素は、本明細書に記
載されるコンセンサス配列のGとPとの間などで発現産物を切断する。1つの非限定的な
例として、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物を切断するために少なくとも1つのス
タガー要素を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1
つの発現配列に隣接するスタガー要素を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌク
レオチドは、各発現配列の後にスタガー要素を含む。ある実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、スタガー要素を含み、スタガー要素は、各発現配列の1つの側又は両
側に存在して、各発現配列からの個々のペプチド及び又はポリペプチドの翻訳をもたらす
【0092】
[0174] ある実施形態において、スタガー要素は、翻訳中にリボソームの休止を誘導す
る1つ以上の修飾ヌクレオチド又は非天然ヌクレオチドを含む。非天然ヌクレオチドは、
ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ及びロックト核酸(LNA)並びにグリコール核酸
(GNA)及びトレオース核酸(TNA)を含み得る。これらなどの例は、分子の骨格に
対する変化により、天然DNA又はRNAと区別される。例示的な修飾は、糖、核酸塩基
、ヌクレオシド間結合に対する(例えば、連結するホスフェート/ホスホジエステル結合
/ホスホジエステル骨格に対する)任意の修飾及び翻訳中にリボソームの休止を誘導し得
るそれらの任意の組合せを含み得る。本明細書において提供される例示的な修飾のいくつ
かが本明細書の他の箇所に記載される。
【0093】
[0175] ある実施形態において、スタガー要素は、他の形態で環状ポリリボヌクレオチ
ド中に存在する。例えば、ある例示的な環状ポリリボヌクレオチドにおいて、スタガー要
素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の終止要素及び第1の発現配列に続
く発現の第1の翻訳開始配列から終止要素を隔てるヌクレオチドスペーサー配列を含む。
いくつかの例において、第1の発現配列の第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオ
チド中の第1の発現配列に続く発現の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端側)にある。
ある場合において、第1の発現配列及び第1の発現配列に続く発現配列は、環状ポリリボ
ヌクレオチド中の2つの別個の発現配列である。第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配
列との間の距離は、第1の発現配列及びその後続の発現配列の連続した翻訳を可能にし得
る。ある実施形態において、第1のスタガー要素は、終止要素を含み、第1の発現配列の
発現産物をその後続の発現配列の発現産物から隔て、それにより別個の発現産物を形成す
る。ある場合において、環状ポリリボヌクレオチド中の後続の配列の第1の翻訳開始配列
の上流の第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチドは、連続して翻訳される一
方、第2の発現配列に続く発現配列の第2の翻訳開始配列の上流にある第2の発現配列の
スタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチドは、連続して翻訳されない。ある
場合において、環状ポリリボヌクレオチド中に1つのみの発現配列があり、第1の発現配
列及びその後続の発現配列は、同じ発現配列である。ある例示的な環状ポリリボヌクレオ
チドにおいて、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列の第1の
終止要素及び終止要素を下流の翻訳開始配列から隔てるヌクレオチドスペーサー配列を含
む。あるこのような例において、第1のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチド中の
第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端側)にある。ある場合において、
第1のスタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び任意の後
続の発現配列の連続した翻訳を可能にする。ある実施形態において、第1のスタガー要素
は、第1の発現配列のある回の発現産物を第1の発現配列の次回の発現産物から隔て、そ
れにより別個の発現産物を形成する。ある場合において、環状ポリリボヌクレオチド中の
第1の発現配列の第1の翻訳開始配列の上流の第1のスタガー要素を含む環状ポリリボヌ
クレオチドは、連続して翻訳される一方、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の
発現配列の第2の翻訳開始配列の上流のスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレ
オチドは、連続して翻訳されない。ある場合において、第2のスタガー要素と第2の翻訳
開始配列との間の距離は、環状ポリリボヌクレオチド中の第1のスタガー要素と第1の翻
訳開始との間の距離より、対応する環状ポリリボヌクレオチド中で少なくとも2倍、3倍
、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍又は10倍大きい。ある場合において、第1のス
タガー要素と第1の翻訳開始との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4nt、5n
t、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14
nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30
nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70
nt、75nt又はそれを超える。ある実施形態において、第2のスタガー要素と第2の
翻訳開始との間の距離は、第1のスタガー要素と第1の翻訳開始との間の距離より少なく
とも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、1
1nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、1
9nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、5
5nt、60nt、65nt、70nt、75nt又はそれを超えて大きい。ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つ以上の発現配列を含む。
【0094】
調節核酸
[0176] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸をコードし、
例えば内在性遺伝子及び/又は外来性遺伝子の発現を調節する1つ以上の発現配列を含む
。ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドの発現
配列は、限定はされないが、tRNA、lncRNA、miRNA、rRNA、snRN
A、マイクロRNA、siRNA、piRNA、snoRNA、snRNA、exRNA
、scaRNA、Y RNA及びhnRNAなど、ノンコーディングRNAのような調節
核酸に対してアンチセンスである配列を含み得る。
【0095】
[0177] 一実施形態において、調節核酸は、宿主遺伝子を標的にする。調節核酸として
は、限定はされないが、内在性遺伝子(例えば、本明細書の他の箇所に記載されるように
、miRNA、siRNA、mRNA、lncRNA、RNA、DNA、アンチセンスR
NA、gRNA)にハイブリダイズする核酸、ウイルスDNA又はRNAなどの外来性核
酸にハイブリダイズする核酸、RNAにハイブリダイズする核酸、遺伝子転写を妨げる核
酸、RNA翻訳を妨げる核酸、分解を標的化することなどによってRNAを安定させるか
又はRNAを不安定化する核酸及びDNA又はRNA結合因子を調節する核酸が挙げられ
る。一実施形態において、配列は、miRNAである。ある実施形態において、調節核酸
は、宿主遺伝子のセンス鎖を標的にする。ある実施形態において、調節核酸は、宿主遺伝
子のアンチセンス鎖を標的にする。
【0096】
[0178] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ガイドRNA(gRN
A)などの調節核酸を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ガイ
ドRNAを含むか、又はガイドRNAをコードする。gRNA短鎖合成RNAは、不完全
なエフェクター部分に結合するのに必要な「足場」配列及びゲノム標的のためのユーザー
定義の約20ヌクレオチド標的化配列から構成される。実際に、ガイドRNA配列は、一
般に、17~24ヌクレオチド(例えば、19、20又は21ヌクレオチド)の長さを有
し、標的化核酸配列に対して相補的であるように設計される。カスタムgRNAジェネレ
ータ及びアルゴリズムは、有効なガイドRNAの設計に使用するために市販されている。
遺伝子編集は、天然crRNA-tracrRNA複合体を模倣し、tracrRNA(
ヌクレアーゼに結合するため)及び少なくとも1つのcrRNA(編集のために標的化さ
れる配列にヌクレアーゼをガイドするため)の両方を含有する改変された(合成)単一R
NA分子であるキメラ「シングルガイドRNA」(「sgRNA」)を用いても行われた
。化学修飾されたsgRNAは、ゲノム編集に有効であることも実証され、例えばHen
del et al.(2015)Nature Biotechnol.,985-9
91を参照されたい。
【0097】
[0179] gRNAは、特定のDNA配列(例えば、遺伝子のプロモータ、エンハンサー
、サイレンサー若しくはリプレッサーに隣接するか又はそれらの中にある配列)を認識し
得る。
【0098】
[0180] 一実施形態において、gRNAは、遺伝子編集のためのCRISPRシステム
の一部として使用される。遺伝子編集のために、環状ポリリボヌクレオチドは、所望の標
的DNA配列に対応する1つ又は複数のガイドRNA配列を含むように設計され得、例え
ばCong et al.(2013)Science,339:819-823;Ra
n et al.(2013)Nature Protocols,8:2281-23
08を参照されたい。gRNA配列の少なくとも約16又は17ヌクレオチドが、DNA
切断が起こるためにCas9によって必要とされ;Cpf1について、gRNA配列の少
なくとも約16ヌクレオチドが、検出可能なDNA切断を達成するために必要とされる。
【0099】
[0181] 特定の調節核酸がRNA干渉(RNAi)の生物学的プロセスを介して遺伝子
発現を阻害することができる。RNAi分子は、典型的に、15~50塩基対(約18~
25塩基対など)を含有し、細胞内で発現される標的遺伝子中のコード配列と同一の(相
補的な)又はほぼ同一の(実質的に相補的な)核酸塩基配列を有するRNA又はRNA様
構造を含む。RNAi分子としては、限定はされないが、低分子干渉RNA(siRNA
)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(
shRNA)、メロ二本鎖(meroduplex)及びダイサー基質(dicer substrate)が挙げ
られる(米国特許第8,084,599号明細書、同第8,349,809号明細書及び
同第8,513,207号明細書)。
【0100】
[0182] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、典型的に、約5~50
0塩基対(特定のRNA構造に応じて、例えばmiRNA5~30bp、lncRNA2
00~500bp)のRNA又はRNA様構造であり、細胞内で発現される標的遺伝子中
のコード配列と同一の(相補的な)又はほぼ同一の(実質的に相補的な)核酸塩基配列を
有し得る調節核酸を含む。
【0101】
[0183] 長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)は、100ヌクレオチドより長
い非タンパク質コード転写産物として定義される。このいくらか任意的な制限は、マイク
ロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)及び他の短鎖RNAなどの小
分子調節RNAとlncRNAを区別する。一般に、大部分(約78%)のlncRNA
は、組織特異的であると特徴付けられる。近傍のタンパク質コード遺伝子(哺乳動物ゲノ
ム中の全lncRNAの約20%というかなりの割合を占める)と反対方向に転写される
分岐lncRNAが近傍の遺伝子の転写を場合により調節し得る。一実施形態では、本明
細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドは、lncRNAのセンス鎖を含む。
一実施形態では、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドは、lncRN
Aのアンチセンス鎖を含む。
【0102】
[0184] 環状ポリリボヌクレオチドは、内在性遺伝子又は遺伝子産物(例えば、mRN
A)の全て又はフラグメントに対して実質的に相補的な又は完全に相補的な調節核酸をコ
ードし得る。調節核酸は、イントロンとエクソンとの間、エクソン間又はエクソンに隣接
する境界にある配列を補完して、転写のためのmRNAへの、特定の遺伝子の新たに生成
された核RNA転写産物の成熟を防止し得る。特定の遺伝子に対して相補的な調節核酸は
、その遺伝子のためのmRNAとハイブリダイズし、その翻訳を防止し得る。アンチセン
ス調節核酸は、DNA、RNA又はそれらの誘導体若しくはハイブリッドであり得る。あ
る実施形態において、調節核酸は、内在性遺伝子又は外来性遺伝子の発現の調節に関与す
るタンパク質に結合し得るタンパク質-結合部位を含む。
【0103】
[0185] 環状ポリリボヌクレオチドの長さは、約5~30ヌクレオチド、約10~30
ヌクレオチド又は約11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、2
1、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれを超えるヌクレオ
チドである、対象とする転写産物にハイブリダイズする調節核酸をコードし得る。標的化
転写産物に対する調節核酸の同一性の程度は、少なくとも75%、少なくとも80%、少
なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%であるべきである。
【0104】
[0186] 環状ポリリボヌクレオチドは、標的遺伝子の約5~約25の連続ヌクレオチド
と同一のマイクロRNA(miRNA)分子をコードし得る。ある実施形態において、m
iRNA配列は、mRNAを標的にし、ジヌクレオチドAAで開始し、約30~70%(
約30~60%、約40~60%又は約45%~55%)のGC-含量を含み、例えば標
準的なBLAST検索によって決定した際、それが導入されるべきである哺乳動物のゲノ
ム中の標的以外の任意のヌクレオチド配列との高いパーセンテージの同一性を有さない。
【0105】
[0187] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのmi
RNA、例えば2、3、4、5、6つ又はそれを超えるものを含む。ある実施形態におい
て、環状ポリリボヌクレオチドは、このヌクレオチド配列のいずれか1つ又は標的配列に
対して相補的な配列との少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%
、97%、98%、99%又は100%のヌクレオチド配列同一性を有するmiRNAを
コードする配列を含む。
【0106】
[0188] siRNA及びshRNAは、内在性マイクロRNA(miRNA)遺伝子の
プロセシング経路中の中間体に類似している(Bartel,Cell 116:281
-297,2004)。ある実施形態において、siRNAは、miRNAとして機能す
ることができ、逆も同様である(Zeng et al.,Mol Cell 9:13
27-1333,2002;Doench et al.,Genes Dev 17:
438-442,2003)。siRNAのようなマイクロRNAは、RISCを用いて
、標的遺伝子を下方制御するが、siRNAと異なり、ほとんどの動物miRNAは、m
RNAを切断しない。代わりに、miRNAは、翻訳抑制又はポリA除去及びmRNA分
解によってタンパク質出力を減少させる(Wu et al.,Proc Natl A
cad Sci USA 103:4034-4039,2006)。公知のmiRNA
結合部位は、mRNA 3’UTR内にあり;miRNAは、miRNAの5’末端から
のヌクレオチド2~8に対してほぼ完全な相補性を有する部位を標的にするようである(
Rajewsky,Nat Genet 38 Suppl:S8-13,2006;L
im et al.,Nature 433:769-773,2005)。この領域は
、シード領域として知られている。siRNA及びmiRNAは、置き換え可能であるた
め、外因性siRNAは、siRNAとのシード相補性を有するmRNAを下方制御する
(Birmingham et al.,Nat Methods 3:199-204
,2006.Multiple target sites within a 3’
UTR give stronger downregulation(Doench
et al.,Genes Dev 17:438-442,2003)。
【0107】
[0189] 公知のmiRNA配列の一覧は、中でも特に、Wellcome Trust
Sanger Institute、Penn Center for Bioinf
ormatics、Memorial Sloan Kettering Cancer
Center及びEuropean Molecule Biology Labor
atoryなどの調査機関によって維持されているデータベースにおいて見られる。公知
の有効なsiRNA配列及び同種結合部位は、関連文献でも十分に表されている。RNA
i分子は、当該技術分野において公知の技術によって容易に設計及び生成される。さらに
、有効及び特定の配列モチーフを発見する機会を増加させるコンピューターによる手段が
ある(Lagana et al.,Methods Mol.Bio.,2015,1
269:393-412)。
【0108】
[0190] 環状ポリリボヌクレオチドは、遺伝子によってコードされるRNAの発現を調
節し得る。複数の遺伝子が、互いにある程度の配列相同性を共有し得るため、ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、十分な配列相同性を有する遺伝子のクラスを
標的にするように設計され得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、
異なる遺伝子標的間で共有されるか又は特定の遺伝子標的に固有の配列に対する相補性を
有する配列を含有し得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、いくつ
かの遺伝子間で相同性を有するRNA配列の保存領域を標的にし、それにより遺伝子ファ
ミリー(例えば、異なる遺伝子アイソフォーム、スプライス変異、突然変異遺伝子など)
におけるいくつかの遺伝子を標的にするように設計され得る。ある実施形態において、環
状ポリリボヌクレオチドは、単一の遺伝子の特定のRNA配列に固有の配列を標的にする
ように設計され得る。
【0109】
[0191] ある実施形態において、発現配列は、5000bp未満(例えば、約5000
bp、4000bp、3000bp、2000bp、1000bp、900bp、800
bp、700bp、600bp、500bp、400bp、300bp、200bp、1
00bp、50bp、40bp、30bp、20bp、10bp未満又はそれを下回る)
の長さを有する。ある実施形態において、発現配列は、独立して又はそれに加えて、10
bp超(例えば、少なくとも約10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、6
0bp、70bp、80bp、90bp、100bp、200bp、300bp、400
bp、500bp、600bp、700bp、800bp、900bp、1000kb、
1.1kb、1.2kb、1.3kb、1.4kb、1.5kb、1.6kb、1.7k
b、1.8kb、1.9kb、2kb、2.1kb、2.2kb、2.3kb、2.4k
b、2.5kb、2.6kb、2.7kb、2.8kb、2.9kb、3kb、3.1k
b、3.2kb、3.3kb、3.4kb、3.5kb、3.6kb、3.7kb、3.
8kb、3.9kb、4kb、4.1kb、4.2kb、4.3kb、4.4kb、4.
5kb、4.6kb、4.7kb、4.8kb、4.9kb、5kb又はそれを超える)
の長さを有する。
【0110】
[0192] ある実施形態において、発現配列は、本明細書に記載される特徴の1つ以上、
例えば1つ以上のペプチド又はタンパク質をコードする配列、1つ以上の調節要素、1つ
以上の調節核酸、例えば1つ以上のノンコーディングRNA、他の発現配列及びそれらの
任意の組合せを含む。
【0111】
翻訳効率
[0193] ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチ
ドの翻訳効率は、参照、例えば線状同等物、線状発現配列又は線状環状ポリリボヌクレオ
チドより高い。ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレ
オチドは、参照の翻訳効率より少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、3
0%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、8
0%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、
250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、70%、8
00%、900%、1000%、2000%、5000%、10000%、100000
%又はそれを超えて高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、線状同等物のものより10%高い翻訳効率を有する。ある実施形態において、
環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物のものより300%高い翻訳効率を有する。
【0112】
[0194] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、化学量論比の発現産物
を生成する。ローリングサークル型翻訳は、実質的に同等の比率で発現産物を連続して生
成する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、発現産物が実質的に同等
の比率で生成されるような化学量論的翻訳効率を有する。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、複数の発現産物、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、
8つ、9つ、10、11、12又はそれを超える発現配列からの産物の化学量論的翻訳効
率を有する。
【0113】
ローリングサークル型翻訳
[0195] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳が開始されたら、環
状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは、環状ポリリボヌクレオチドの少なく
とも1回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。ある実施形態
において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサークル型翻
訳の能力がある。ある実施形態において、ローリングサークル型翻訳中、環状ポリリボヌ
クレオチドの翻訳が開始されたら、環状ポリリボヌクレオチドに結合されたリボソームは
、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少な
くとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、少な
くとも10回、少なくとも11回、少なくとも12回、少なくとも13回、少なくとも1
4回、少なくとも15回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少
なくとも50回、少なくとも60回、少なくとも70回、少なくとも80回、少なくとも
90回、少なくとも100回、少なくとも150回、少なくとも200回、少なくとも2
50回、少なくとも500回、少なくとも1000回、少なくとも1500回、少なくと
も2000回、少なくとも5000回、少なくとも10000回、少なくとも10回又
は少なくとも10回の翻訳を完了する前に環状ポリリボヌクレオチドから離脱しない。
【0114】
[0196] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻
訳は、環状ポリリボヌクレオチドの2回以上の翻訳から翻訳されたポリペプチド産物(「
連続した」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、スタガー要素を含み、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳は
、環状ポリリボヌクレオチドの1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成されるポリペプチ
ド産物(「別個の」発現産物)の生成をもたらす。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中に生成される
全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、
少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくと
も95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%
又は100%が別個のポリペプチドであるように構成される。ある実施形態において、全
ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率がインビトロ翻訳系において試験される。ある
実施形態において、量比率の試験に使用されるインビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶
解物を含む。ある実施形態において、量比率は、真核細胞若しくは原核細胞、培養細胞又
は生物内の細胞などのインビボ翻訳系において試験される。
【0115】
非翻訳領域
[0197] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非翻訳領域(UTR)
を含む。遺伝子を含むゲノム領域のUTRは、転写され得るが、翻訳されていない。ある
実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の翻訳開始配列の上流に含
まれ得る。ある実施形態において、UTRは、本明細書に記載される発現配列の下流に含
まれ得る。ある場合において、第1の発現配列のための1つのUTRは、第2の発現配列
のための別のUTRと同じであるか又はそれと連続しているか又はそれと重複している。
ある実施形態において、イントロンは、ヒトイントロンである。ある実施形態において、
イントロンは、完全長ヒトイントロン、例えばZKSCAN1である。
【0116】
[0198] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、中に埋め込まれたアデ
ノシン及びウリジンの1つ以上のストレッチを有するUTRを含む。これらのAUリッチ
シグネチャーは、発現産物のターンオーバ速度を上昇させ得る。
【0117】
[0199] UTR AUリッチ要素(ARE)の導入、除去又は修飾は、環状ポリリボヌ
クレオチドの安定性又は免疫原性を調節するのに有用であり得る。特定の環状ポリリボヌ
クレオチドを改変するとき、AREの1つ以上のコピーが環状ポリリボヌクレオチドに導
入され得、AREのコピーが発現産物の翻訳及び/又は生成を調節し得る。同様に、AR
Eは、環状ポリリボヌクレオチド中で同定され、除去又は改変されて細胞内安定性を調節
し、したがって得られるタンパク質翻訳及び生成に影響を与え得る。
【0118】
[0200] 任意の遺伝子からの任意のUTRは、環状ポリリボヌクレオチドのそれぞれの
隣接領域に組み込まれ得ることが理解されるべきである。非限定的な例として、組み込ま
れ得るUTR又はそのフラグメントは、それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用
される米国仮特許出願第61/775,509号明細書及び米国仮特許出願第61/82
9,372号明細書又は国際特許出願第PCT/米国特許出願公開第2014/0215
22号明細書に列挙されるUTRである。さらに、任意の公知の遺伝子の複数の野生型U
TRが用いられ得る。野生型遺伝子の変異型でない人工UTRを提供することも本発明の
範囲内である。これらのUTR又はその部分は、それらを選択した転写産物と同じ配向で
配置され得るか、又は配向若しくは位置が改変され得る。したがって、5’又は3’UT
Rは、反転され、短縮され、伸長され、1つ以上の他の5’UTR又は3’UTRと共に
キメラにされ得る。本明細書において使用される際、「改変」という用語は、それがUT
R配列に関する際、UTRが参照配列に対して何らかの方法で変化されたことを意味する
。例えば、3’又は5’UTRは、上に教示されるように配向若しくは位置の変化によっ
て野生型若しくは天然UTRに対して改変され得るか、又はさらなるヌクレオチドの包含
、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換又は転位によって改変され得る。「改変」U
TR(3’又は5’のいずれにかかわらず)を生成するこれらの変化のいずれも変異型U
TRを含む。
【0119】
[0201] 一実施形態において、5’又は3’UTRなどの二重、三重又は四重UTRが
使用され得る。本明細書において使用される際、「二重」UTRは、同じUTRの2つの
コピーが連続して又は実質的に連続してコードされるものである。例えば、内容全体が参
照により本明細書に援用される米国特許出願公開第20100129877号明細書に記
載されるように、二重β-グロビン3’UTRが使用され得る。
【0120】
ポリA配列
[0202] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリ-A配列を含み得
る。ある実施形態において、ポリ-A配列の長さは、10ヌクレオチド長を超える。一実
施形態において、ポリ-A配列は、15ヌクレオチド長を超える(例えば、少なくとも約
10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、9
0、100、120、140、160、180、200、250、300、350、40
0、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,
200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、
1,900、2,000、2,500及び3,000ヌクレオチド又はこれらを超える)
。ある実施形態において、ポリ-A配列は、約10~約3,000ヌクレオチド(例えば
、30~50、30~100、30~250、30~500、30~750、30~1,
000、30~1,500、30~2,000、30~2,500、50~100、50
~250、50~500、50~750、50~1,000、50~1,500、50~
2,000、50~2,500、50~3,000、100~500、100~750、
100~1,000、100~1,500、100~2,000、100~2,500、
100~3,000、500~750、500~1,000、500~1,500、50
0~2,000、500~2,500、500~3,000、1,000~1,500、
1,000~2,000、1,000~2,500、1,000~3,000、1,50
0~2,000、1,500~2,500、1,500~3,000、2,000~3,
000、2,000~2,500及び2,500~3,000)である。
【0121】
[0203] 一実施形態において、ポリ-A配列は、全環状ポリリボヌクレオチドの長さに
対して設計される。この設計は、コード領域の長さ、特定の特徴若しくは領域の長さ(第
1若しくは隣接領域など)に基づくか、又は環状ポリリボヌクレオチドから発現される最
終産物に基づき得る。これに関して、ポリ-A配列は、環状ポリリボヌクレオチド又はそ
の特徴より10、20、30、40、50、60、70、80、90又は100%大きい
長さであり得る。ポリ-A配列は、それが属する環状ポリリボヌクレオチドの一部として
も設計され得る。これに関して、ポリ-A配列は、構築物の全長又は構築物の全長マイナ
スポリ-A配列の10、20、30、40、50、60、70、80若しくは90%又は
それを超え得る。さらに、ポリ-A結合タンパク質のための環状ポリリボヌクレオチドの
改変された結合部位及び共役は、発現を促進し得る。
【0122】
[0204] 一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリA-Gカルテットを
含むように設計される。G-カルテットは、DNA及びRNAの両方におけるGリッチ配
列によって形成され得る4つのグアニンヌクレオチドの環状水素結合アレイである。一実
施形態において、G-カルテットは、ポリ-A配列の末端に組み込まれる。得られる環状
ポリリボヌクレオチド構築物は、安定性、タンパク質産生及び/又は様々な時点における
半減期を含む他のパラメータについてアッセイされる。ある実施形態において、ポリA-
Gカルテットは、120ヌクレオチド単独のポリ-A配列を用いて見られるものの少なく
とも75%に相当するタンパク質産生をもたらす。
【0123】
[0205] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリAを含むか、ポリ
Aを欠いているか、又は環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の特性を調節するための修
飾ポリAを有する。ある実施形態において、ポリAを欠いた又は修飾ポリAを有する環状
ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の機能特性、例えば免疫原性、半減期、発現効率など
を改善する。
【0124】
RNA結合
[0206] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のRNA結合
部位を含む。マイクロRNA(又はmiRNA)は、核酸分子の3’UTRに結合し、核
酸分子安定性を低下させるか又は翻訳を阻害することによって遺伝子発現を下方制御する
短鎖ノンコーディングRNAである。環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のマイクロ
RNA標的配列、マイクロRNA配列又はマイクロRNAシードを含み得る。このような
配列は、内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2005/02
61218号明細書及び米国特許出願公開第2005/0059005号明細書において
教示されるものなど、任意の公知のマイクロRNAに対応し得る。
【0125】
[0207] マイクロRNA配列は、「シード」領域、すなわち成熟マイクロRNAの2~
8位の領域中の配列を含み、この配列は、miRNA標的配列に対する完全なワトソン・
クリック相補性を有する。マイクロRNAシードは、成熟マイクロRNAの2~8又は2
~7位を含み得る。ある実施形態において、マイクロRNAシードは、7個のヌクレオチ
ド(例えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~8)を含み得、ここで、対応するm
iRNA標的におけるシード相補的部位は、マイクロRNA1位と反対のアデニン(A)
に隣接する。ある実施形態において、マイクロRNAシードは、6個のヌクレオチド(例
えば、成熟マイクロRNAのヌクレオチド2~7)を含み得、対応するmiRNA標的に
おけるシード相補的部位は、マイクロRNA1位と反対のアデニン(A)に隣接する。例
えば、それぞれ全体が参照により本明細書に援用されるGrimson A,Farh
K,Johnston WK,Garrett-Engele P,Lim LP,Ba
rrel DP;Mol Cell.2007 Jul 6;27(1):91-105
を参照されたい。
【0126】
[0208] マイクロRNAシードの塩基は、標的配列と実質的に相補性である。マイクロ
RNA標的配列を環状ポリリボヌクレオチド中に操作することにより、環状ポリリボヌク
レオチドは、該当するマイクロRNAが利用可能であることを条件として、宿主の免疫系
を回避するか若しくは宿主の免疫系によって検出され得、調節された分解又は調節された
翻訳を有し得る。このプロセスは、環状ポリリボヌクレオチド送達時のオフターゲット効
果の危険を低下させる。マイクロRNA、マイクロRNA標的領域並びにそれらの発現パ
ターン及び生物学における役割の特定が報告されている(それぞれ全体が参照により本明
細書に援用されるBonauer et al.,Curr Drug Targets
2010 11:943-949;Anand and Cheresh Curr
Opin Hematol 2011 18:171-176;Contreras a
nd Rao Leukemia 2012 26:404-413(2011 Dec
20.doi:10.1038/leu.2011.356);Barrel Cel
l 2009 136:215-233;Landgraf et al,Cell,2
007 129:1401-1414)。
【0127】
[0209] 逆に、マイクロRNA結合部位は、特定の組織におけるタンパク質発現を調節
するために、環状ポリリボヌクレオチドから出るように操作され得る(すなわち環状ポリ
リボヌクレオチドから除去され得る)。複数の組織における発現の調節は、1つ若しくは
いくつかのマイクロRNA結合部位の導入又は除去を通して行われ得る。
【0128】
[0210] マイクロRNAがmRNAを調節し、それによってタンパク質発現を調節する
ことが知られている組織の例としては、限定はされないが、肝臓(miR-122)、筋
肉(miR-133、miR-206、miR-208)、内皮細胞(miR-17-9
2、miR-126)、骨髄細胞(miR-142-3p、miR-142-5p、mi
R-16、miR-21、miR-223、miR-24、miR-27)、脂肪組織(
let-7、miR-30c)、心臓(miR-ld、miR-149)、腎臓(miR
-192、miR-194、miR-204)及び肺上皮細胞(let-7、miR-1
33、miR-126)が挙げられる。マイクロRNAは、血管新生(miR-132)
などの複雑な生物学的プロセスも調節し得る(全体が参照により本明細書に援用されるA
nand and Cheresh Curr Opin Hematol 2011
18:171-176)。本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドにおいて、こ
のようなプロセスに関与するマイクロRNAの結合部位は、生物学的に関連する細胞型に
対して又は関連する生物学的プロセスに関連して、環状ポリリボヌクレオチドからの発現
を調整するために除去又は導入され得る。マイクロRNA、miR配列及びmiR結合部
位の一覧は、2013年1月17日に出願された米国仮特許出願第61/753,661
号明細書の表9、2013年1月18日に出願された米国仮特許出願第61/754,1
59明細書の表9及び2013年1月31日に出願された米国仮特許出願第61/758
,921明細書の表7に列挙されており、これらは、それぞれ全体が参照により本明細書
に援用される。ある実施形態において、マイクロRNA結合部位は、例えば、miR-7
を含む。
【0129】
[0211] 本明細書に開示される環状ポリリボヌクレオチドは、miRBase、dee
pBase、miRBase、microRNA.org、miRGen 2.0;mi
RNAMap、PMRD、TargetScan又はVIRmiRNAなどのmiRNA
データベースに開示されているもののいずれかなどの任意のmiRNAにハイブリダイズ
するmiRNA結合部位を含み得る。ある場合において、miRNA結合部位は、その標
的遺伝子が、StarBase、StarScan、Cupid、TargetScan
、TarBase、Diana-microT、miRecords、PicTar、P
ITA、RepTarm RNA22、miRTarBase、miRwalk又はMB
STARなどのマイクロRNA標的遺伝子データベースに開示されているmiRNAに対
して相補的な任意の部位であり得る。
【0130】
[0212] 様々な細胞型のマイクロRNAの発現パターンの理解により、本明細書に記載
される環状ポリリボヌクレオチドは、特定の細胞型で又は特定の生物学的条件下のみでの
より標的化された発現のために操作され得る。組織特異的マイクロRNA結合部位の導入
により、環状ポリリボヌクレオチドは、組織において又は生物学的条件に関連して最適な
タンパク質発現のために設計され得る。組織又は疾患特異的遺伝子発現を駆動するための
マイクロRNAの使用の例が列挙されている(全体が参照により本明細書に援用されるG
etner and Naldini,Tissue Antigens.2012,8
0:393-403)。
【0131】
[0213] さらに、マイクロRNAシード部位は、環状ポリリボヌクレオチドに組み込ま
れて、生物学的改善をもたらす、特定の細胞における発現を調節することができる。この
例は、miR-142部位への組み込みである。本明細書に記載される環状ポリリボヌク
レオチドへのmiR-142部位の組み込みは、造血細胞における発現を調節し得るだけ
ではく、環状ポリリボヌクレオチドにおいてコードされるタンパク質に対する免疫応答を
低下させるか又はなくすことができる。
【0132】
[0214] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の大きい遺伝
子間ノンコーディングRNA(lincRNA)結合部位を含む。大きい遺伝子間ノンコ
ーディングRNA(lincRNA)は、長鎖ノンコーディングRNAの大部分を構成す
る。LincRNAは、非コード転写産物であり、ある実施形態において、約200ヌク
レオチドを超える長さである。ある実施形態において、それらは、タンパク質コード遺伝
子と類似のエクソン-イントロン-エクソン構造を有するが、オープンリーディングフレ
ームを包含せず、タンパク質をコードしない。8,000超のlincRNAが最近記載
されており、ヒトにおける非コードトランスクリプトームに由来するRNAの最大のサブ
クラスであると考えられている。何千ものlincRNAが知られており、いくつかが多
様な細胞過程の主な調節因子であるようである。個々のlincRNAの機能を決定する
ことは、依然として課題である。lincRNA発現は、コード遺伝子と比較して著しく
組織特異的であり、それらは、隣接するタンパク質コード遺伝子の対のものと同程度にで
はあるが、典型的にそれらの隣接する遺伝子と共発現される。
【0133】
[0215] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、FIRRE、LINC
00969、PVT1、LINC01608、JPX、LINC01572、LINC0
0355、C1orf132、C3orf35、RP11-734、LINC01608
、CC-499B15.5、CASC15、LINC00937、RP11-191など
の1つ以上のlincRNA又は公知のlncRNAデータベースからのものなどの他の
lincRNA若しくはlncRNAを含む。
【0134】
タンパク質結合
[0216] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質、例えばリ
ボソームが、RNA配列における内部部位に結合することを可能にする1つ以上のタンパ
ク質結合部位を含む。タンパク質結合部位、例えばリボソーム結合部位を環状ポリリボヌ
クレオチド中に操作することにより、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主の免疫系の構成
要素から環状ポリリボヌクレオチドをマスクすることにより、宿主の免疫系を回避するか
若しくは宿主の免疫系によって減少された検出を有し得、調節された分解又は調節された
翻訳を有し得る。
【0135】
[0217] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、免疫応答、例
えばCTL(細胞傷害性Tリンパ球)応答を回避するために少なくとも1つの免疫タンパ
ク質結合部位を含む。ある実施形態において、免疫タンパク質結合部位は、免疫タンパク
質に結合し、環状ポリリボヌクレオチドを外因性であるものとしてマスクするのに役立つ
ヌクレオチド配列である。ある実施形態において、免疫タンパク質結合部位は、免疫タン
パク質に結合し、環状ポリリボヌクレオチドを外因性又は外来性であるものとして隠すの
に役立つヌクレオチド配列である。
【0136】
[0218] 線状RNAへのリボソームのかみ合いの従来の機構は、RNAのキャップされ
た5’末端に結合するリボソームを含む。5’末端から、リボソームが開始コドンに移動
すると直ちに第1のペプチド結合が形成される。本発明によれば、環状ポリリボヌクレオ
チドの翻訳の内部の開始(すなわちキャップ非依存的)は、遊離末端又はキャップされた
末端を必要としない。むしろ、リボソームは、非キャップ内部部位に結合し、それにより
、リボソームは、開始コドンにおけるポリペプチド伸長を開始する。ある実施形態におい
て、環状ポリリボヌクレオチドは、リボソーム結合部位、例えば開始コドンを含む1つ以
上のRNA配列を含む。
【0137】
[0219] 天然5’UTRは、翻訳開始のために役割を果たす特徴を有する。それらは、
リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始させるプロセスに関与することが一般的に知られ
ているコザック配列のようなシグネチャーを有する。コザック配列は、コンセンサスCC
R(A/G)CCAUGGを有し、ここで、Rは、開始コドン(AUG)の3塩基上流の
プリン(アデニン又はグアニン)であり、その後、別の「G」が続く。5’UTRは、伸
長因子結合に関与する二次構造にも関与することが知られている。
【0138】
[0220] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、タンパク質に結合する
タンパク質結合配列をコードする。ある実施形態において、タンパク質結合配列は、環状
ポリリボヌクレオチドを標的にするか又はそれを特定の標的に限局する。ある実施形態に
おいて、タンパク質結合配列は、タンパク質のアルギニンリッチ領域に特異的に結合する
【0139】
[0221] ある実施形態において、タンパク質結合部位としては、限定はされないが、A
CIN1、AGO、APOBEC3F、APOBEC3G、ATXN2、AUH、BCC
IP、CAPRIN1、CELF2、CPSF1、CPSF2、CPSF6、CPSF7
、CSTF2、CSTF2T、CTCF、DDX21、DDX3、DDX3X、DDX4
2、DGCR8、EIF3A、EIF4A3、EIF4G2、ELAVL1、ELAVL
3、FAM120A、FBL、FIP1L1、FKBP4、FMR1、FUS、FXR1
、FXR2、GNL3、GTF2F1、HNRNPA1、HNRNPA2B1、HNRN
PC、HNRNPK、HNRNPL、HNRNPM、HNRNPU、HNRNPUL1、
IGF2BP1、IGF2BP2、IGF2BP3、ILF3、KHDRBS1、LAR
P7、LIN28A、LIN28B、m6A、MBNL2、METTL3、MOV10、
MSI1、MSI2、NONO、NONO-、NOP58、NPM1、NUDT21、P
CBP2、POLR2A、PRPF8、PTBP1、RBFOX2、RBM10、RBM
22、RBM27、RBM47、RNPS1、SAFB2、SBDS、SF3A3、SF
3B4、SIRT7、SLBP、SLTM、SMNDC1、SND1、SRRM4、SR
SF1、SRSF3、SRSF7、SRSF9、TAF15、TARDBP、TIA1、
TNRC6A、TOP3B、TRA2A、TRA2B、U2AF1、U2AF2、UNK
、UPF1、WDR33、XRN2、YBX1、YTHDC1、YTHDF1、YTHD
F2、YWHAG、ZC3H7B、PDK1、AKT1及びRNAに結合する任意の他の
タンパク質などのタンパク質への結合部位が挙げられる。
【0140】
エンクリプトゲン
[0222] 本明細書に記載される際、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞の自然免疫応答
を低下させるか、避けるか又は回避するためにエンクリプトゲンを含む。一態様において
、細胞に送達されると、参照化合物、例えば記載される環状ポリリボヌクレオチド又はエ
ンクリプトゲンを欠いた環状ポリリボヌクレオチドに対応する線状ポリヌクレオチドによ
って引き起こされる応答と比較して、宿主からの低下された免疫応答をもたらす環状ポリ
リボヌクレオチドが本明細書において提供される。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性を有する。
【0141】
[0223] ある実施形態において、エンクリプトゲンは、安定性を向上させる。核酸分子
及び翻訳の安定性に関してUTRが果たす調節的役割についての証拠が増加している。U
TRの調節的特徴は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性を向上させるために、エンクリ
プトゲンに含まれ得る。
【0142】
[0224] ある実施形態において、5’又は3’UTRは、環状ポリリボヌクレオチド中
のエンクリプトゲンを構成し得る。例えば、UTR AUリッチ要素(ARE)の除去又
は修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性を調節するのに有用であり得
る。
【0143】
[0225] ある実施形態において、発現配列、例えば翻訳可能領域におけるAUリッチ要
素(ARE)の修飾又は除去は、環状ポリリボヌクレオチドの安定性又は免疫原性を調節
するのに有用であり得る。
【0144】
[0226] ある実施形態において、エンクリプトゲンは、miRNA結合部位又は任意の
他のノンコーディングRNAへの結合部位を含む。例えば、本明細書に記載される環状ポ
リリボヌクレオチドへのmiR-142部位の組み込みは、造血細胞における発現を調節
するだけではなく、環状ポリリボヌクレオチドにおいてコードされるタンパク質に対する
免疫応答を低下させるか又はなくすことができる。
【0145】
[0227] ある実施形態において、エンクリプトゲンは、タンパク質、例えば免疫タンパ
ク質がRNA配列に結合することを可能にする1つ以上のタンパク質結合部位を含む。タ
ンパク質結合部位を、環状ポリリボヌクレオチド中に操作することにより、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、宿主の免疫系の構成要素から環状ポリリボヌクレオチドをマスクするこ
とにより、宿主の免疫系を回避するか若しくは宿主の免疫系によって減少された検出を有
し得、調節された分解又は調節された翻訳を有し得る。ある実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドは、例えば、免疫応答、例えばCTL応答を回避するために少なくとも
1つの免疫タンパク質結合部位を含む。ある実施形態において、免疫タンパク質結合部位
は、免疫タンパク質に結合し、環状ポリリボヌクレオチドを外因性であるものとしてマス
クするのに役立つヌクレオチド配列である。
【0146】
[0228] ある実施形態において、エンクリプトゲンは、1つ以上の修飾ヌクレオチドを
含む。例示的な修飾は、糖、核酸塩基、ヌクレオシド間結合に対する(例えば、結合ホス
フェート/ホスホジエステル結合/ホスホジエステル骨格に対する)任意の修飾及び環状
ポリリボヌクレオチドに対する免疫応答を防ぐか又は低下させ得るそれらの任意の組合せ
を含み得る。本明細書において提供される例示的な修飾のいくつかが以下に詳細に説明さ
れる。
【0147】
[0229] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば修
飾を欠いた環状ポリリボヌクレオチドによって引き起こされる応答と比較して、宿主から
の免疫応答を低下させるために、本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の修飾を含む
。特に、1つ以上のイノシンの追加は、ウイルスに対して内在性であるものとしてRNA
を区別することが示されている。例えば、全体が参照により援用されるYu,Z.et
al.(2015)RNA editing by ADAR1 marks dsRN
A as “self”.Cell Res.25,1283-1284を参照されたい
【0148】
[0230] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、shRNAのための1
つ以上の発現配列又はsiRNAにプロセシングされ得るRNA配列を含み、shRNA
又はsiRNAは、RIG-1を標的にし、RIG-1の発現を低下させる。RIG-1
は、外来性環状RNAを感知することができ、外来性環状RNAの分解をもたらす。した
がって、RIG-1標的化shRNA、siRNA又は任意の他の調節核酸のための配列
を有する環状ポリヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドに対する免疫、例えば宿主
細胞免疫を低下させ得る。
【0149】
[0231] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞の自然免疫応答を
低下させるか、避けるか又は回避する際に環状ポリリボヌクレオチドを補助する配列、要
素又は構造を欠いている。あるこのような実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド
は、ポリ配列、5’末端、3’末端、リン酸基、ヒドロキシル基又はそれらの任意の組合
せを欠き得る。
【0150】
リボスイッチ
[0232] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のリボスイッ
チを含む。
【0151】
[0233] リボスイッチは、典型的に、小さい標的分子に直接結合することができる環状
ポリリボヌクレオチドの一部であると考えられ、その標的の結合がRNA翻訳、発現産物
安定性及び活性に影響を与える(Tucker B J,Breaker R R(20
05),Curr Opin Struct Biol 15(3):342-8)。し
たがって、リボスイッチを含む環状ポリリボヌクレオチドは、その標的分子の存在又は非
存在に応じて、自らの活性を調節するのに直接関与する。ある実施形態において、リボス
イッチは、別個の分子に対するアプタマーのような親和性の領域を有する。したがって、
本発明のより広い文脈において、非コード核酸内に含まれる任意のアプタマーは、かさ容
積からの分子の隔離のために使用され得る。「(リボ)スイッチ」活性による事象の下流
での報告が特に有利であり得る。
【0152】
[0234] ある実施形態において、リボスイッチは、限定はされないが、転写終結、翻訳
開始の阻害、mRNA自己切断及び真核生物におけるスプライシング経路の変更を含む遺
伝子発現に影響を与え得る。リボスイッチは、トリガー分子の結合又は除去によって遺伝
子発現を制御するように機能し得る。したがって、リボスイッチを含む環状ポリリボヌク
レオチドを、リボスイッチを活性化、不活性化又はブロックする条件に供して、発現を変
化させる。発現は、例えば、RNAに結合するリボソームの転写の終止又はブロックの結
果として変化され得る。トリガー分子又はその類似体の結合は、リボスイッチの性質に応
じて、RNA分子の発現を低下させるか若しくは防ぐか、又はRNA分子の発現を促進す
るか若しくは増加させ得る。リボスイッチのいくつかの例が本明細書に記載される。
【0153】
[0235] ある実施形態において、リボスイッチは、コバラミンリボスイッチ(B12
素とも呼ばれる)であり、これは、アデノシルコバラミン(ビタミンB12の補酵素形態
)に結合して、コバラミン及び同様の代謝産物の生合成及び輸送を調節する。
【0154】
[0236] ある実施形態において、リボスイッチは、環状ジ-GMPリボスイッチであり
、これは、環状ジ-GMPに結合して様々な遺伝子を調節する。2つの非構造的に関連す
る種類が存在する - 環状ジ-GMP-l及び環状ジ-GMP-ll。
【0155】
[0237] ある実施形態において、リボスイッチは、FMNリボスイッチ(RFN要素と
も呼ばれる)であり、これは、フラビンモノヌクレオチド(FMN)に結合して、リボフ
ラビン生合成及び輸送を調節する。
【0156】
[0238] ある実施形態において、リボスイッチは、glmSリボスイッチであり、これ
は、十分な濃度のグルコサミン-6-リン酸があるときにそれ自体で切断する。
[0239] ある実施形態において、リボスイッチは、グルタミンリボスイッチであり、こ
れは、グルタミンに結合して、グルタミン及び窒素代謝に関与する遺伝子を調節する。そ
れらは、不明な機能の短鎖ペプチドにも結合する。このようなリボスイッチは、構造的に
関連する2つの種類に分類される:glnA RNA、モチーフ及び下流-ペプチドモチ
ーフ。
【0157】
[0240] ある実施形態において、リボスイッチは、グリシンリボスイッチであり、これ
は、グリシンに結合してグリシン代謝遺伝子を調節する。それは、同じmRNA中に2つ
の隣接するアプタマードメインを含み、協同的結合を示す公知の天然RNAのみである。
【0158】
[0241] ある実施形態において、リボスイッチは、リジンリボスイッチ(L-ボックス
とも呼ばれる)であり、これは、リジンに結合して、リジン生合成、異化及び輸送を調節
する。
【0159】
[0242] ある実施形態において、リボスイッチは、PreQ1リボスイッチであり、こ
れは、pre-クエオシンに結合して、クエオシンのこの前駆体の合成又は輸送に関与す
る遺伝子を調節する。2つの全く異なる種類のPreGIリボスイッチが公知である:P
reQ1-lリボスイッチ及びPreQ1-llリボスイッチ。PreQ1-lリボスイ
ッチの結合ドメインは、天然のリボスイッチの中でも非常に小さい。ストレプトコッカス
属(Streptococcus)及びラクトコッカス属(Lactococcus)の特定の種のみに見られるP
reGI-IIリボスイッチは、完全に異なる構造を有し、より大きい。
【0160】
[0243] ある実施形態において、リボスイッチは、プリンリボスイッチであり、これは
、プリンに結合して、プリン代謝及び輸送を調節する。異なる形態のプリンリボスイッチ
がグアニン(G-ボックスとして元々知られている形態)又はアデニンに結合する。グア
ニン又はアデニンのいずれかに対する特異性は、Y74位におけるリボスイッチ中の単一
のピリミジンによるワトソン・クリック相互作用に完全に依存する。グアニンリボスイッ
チにおいて、この残基は、シトシン(すなわちC74)であり、アデニン残基において、
それは、常にウラシル(すなわちU74)である。同種のタイプのプリンリボスイッチが
デオキシグアノシンに結合するが、単一のヌクレオチド突然変異より有意な差を有する。
【0161】
[0244] ある実施形態において、リボスイッチは、SAHリボスイッチであり、これは
、S-アデノシルホモシステインに結合して、S-アデノシルメチオニンがメチル化反応
に使用されるときに生成されるこの代謝産物の再利用に関与する遺伝子を調節する。
【0162】
[0245] ある実施形態において、リボスイッチは、SAMリボスイッチであり、これは
、S-アデノシルメチオニン(SAM)に結合して、メチオニン及びSAM生合成及び輸
送を調節する。3つの異なるSAMリボスイッチが公知である:SAM-I(元々S-ボ
ックスと呼ばれる)、SAM-II及びSKボックスリボスイッチ。SAM-Iは、細
菌中に広く存在するが、SAM-IIは、α-、β-及び少しのγ-プロテオバクテリア
のみに見られる。SKボックスリボスイッチは、ラクトバチルス目(Lactobacillales
)のみに見られる。これらの3つの種のリボスイッチは、配列又は構造に関して明らかな
類似点を有さない。第4の種、SAM-IVは、SAM-Iのものと類似のリガンド結合
コアを有するようであるが、異なる足場にある。
【0163】
[0246] ある実施形態において、リボスイッチは、SAM-SAHリボスイッチであり
、これは、同様の親和性でSAM及びSAHの両方に結合する。それらは、メチオニンア
デノシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を調節する位置において常に見られるた
め、SAMへのそれらの結合のみが生理学的に関連することが提示された。
【0164】
[0247] ある実施形態において、リボスイッチは、テトラヒドロ葉酸リボスイッチであ
り、これは、テトラヒドロ葉酸に結合して、合成及び輸送遺伝子を調節する。
[0248] ある実施形態において、リボスイッチは、テオフィリン結合リボスイッチ又は
チミンピロリン酸結合リボスイッチである。
【0165】
[0249] ある実施形態において、リボスイッチは、T.テングコンジェンシス(T.ten
gcongensis)glmS触媒リボスイッチであり、これは、グルコサミン-6リン酸(Kl
ein and Ferre-D’Amare 2006)を感知する。
【0166】
[0250] ある実施形態において、リボスイッチは、TPPリボスイッチ(THI-ボッ
クスとも呼ばれる)であり、これは、チアミンピロリン酸(TPP)に結合して、チアミ
ン生合成及び輸送並びに同様の代謝産物の輸送を調節する。それは、これまで真核生物の
みに見られるリボスイッチである。
【0167】
[0251] ある実施形態において、リボスイッチは、Mocoリボスイッチであり、これ
は、モリブデン補因子に結合して、この補酵素並びにそれ又はその誘導体を補因子として
使用する酵素の生合成及び輸送に関与する遺伝子を調節する。
【0168】
[0252] ある実施形態において、リボスイッチは、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio
vulnificus)のアデニンデアミナーゼコード遺伝子の5’UTRに見られるアデニン感
知add-Aリボスイッチである。
【0169】
アプタザイム
[0253] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムを含む。
アプタザイムは、アプタマー領域がアロステリック制御要素として使用され、触媒RNA
(後述される「リボザイム」)の領域に結合される条件的発現のためのスイッチである。
ある実施形態において、アプタザイムは、細胞型特異的翻訳において活性である。ある実
施形態において、アプタザイムは、細胞状態特異的翻訳、例えばウイルス感染細胞で又は
ウイルス核酸若しくはウイルスタンパク質の存在下で活性である。
【0170】
[0254] リボザイム(RNA酵素又は触媒RNAとも呼ばれるリボ核酸酵素に由来する
)は、化学反応を触媒するRNA分子である。多くの天然リボザイムは、それら自体のホ
スホジエステル結合の1つの加水分解又は他のRNAにおける結合の加水分解のいずれか
を触媒するが、それらは、リボソームのアミノトランスフェラーゼ活性を触媒することも
分かっている。より最近では、触媒RNAがインビトロ方法によって「発生」され得るこ
とが示されている[1.Agresti J J,Kelly B T,Jaschke
A,Griffiths A D:Selection of ribozymes
that catalyse multiple-turnover Diels-Al
der cycloadditions by using in vitro com
partmentalization.Proc Natl Acad Sci USA
2005,102:16170-16175;2.Sooter L J,Riede
l T,Davidson E A,Levy M,Cox J C,Ellingto
n A D:Toward automated nucleic acid enzy
me selection.Biological Chemistry 2001,3
82(9):1327-1334]。Winklerらは、上述されるリボスイッチ活性
と同様に、リボザイム及びそれらの反応生成物が遺伝子発現を調節し得ることを示した[
Winkler W C,Nahvi A,Roth A,Collins J A,B
reaker R R:Control of gene expression by
a natural metabolite-responsive ribozym
e.Nature 2004,428:281-286]。本発明に関して、リボザイム
が、かさ容積からの分子の化学変換のために細胞内の多くのコピーに存在するように、触
媒RNA又はリボザイムをより大きいノンコーディングRNA内に配置することが特に有
利であり得る。さらに、同じノンコーディングRNA中のアプタマー及びリボザイムの両
方をコードすることが特に有利であり得る。
【0171】
[0255] リボザイムのいくつかの非限定的な例としては、ハンマーヘッド型リボザイム
、VLリボザイム、リードザイム、ヘアピン型リボザイムが挙げられる。
[0256] ある実施形態において、アプタザイムは、RNA配列を切断することができ、
結合リガンド/モジュレータの結果として調節され得るリボザイムである。リボザイムは
、自己切断リボザイムでもあり得る。したがって、それらは、リボザイム及びアプタマー
の特性を兼ね備えている。アプタザイムは、トランスにおけるそれらの活性の可能性のた
めに従来のアプタマーを上回る利点を提供し、それらが発現を不活性化するように触媒的
に作用すること及びその不活性化は、それら自体の切断又は異種転写産物のために不可逆
的である。
【0172】
[0257] ある実施形態において、アプタザイムは、環状ポリリボヌクレオチドの非翻訳
領域に含まれ、リガンド/モジュレータの非存在下で不活性であり、導入遺伝子の発現を
可能にする。発現は、リガンドの添加によって停止され得る(又は下方制御され得る)。
特定のモジュレータの存在に応答して下方制御されるアプタザイムは、モジュレータに応
答した遺伝子発現の上方制御が望ましい制御系において使用され得ることが留意されるべ
きである。
【0173】
[0258] アプタザイムは、環状ポリリボヌクレオチド発現の自動調節のためのシステム
の開発も可能にし得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドのタンパク質産物は、特定の
小分子の合成における律速酵素であり、その分子の存在下で増加した触媒活性を有するよ
うに選択されるアプタザイムを含むように修飾され得、それにより、その合成のための自
己調節フィードバックループを提供する。代わりに、アプタザイム活性は、環状ポリリボ
ヌクレオチドからのタンパク質産物又は任意の他の細胞高分子の蓄積に対して感受性であ
るように選択され得る。
【0174】
[0259] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、アプタマー配列を含み
得る。いくつかの非限定的な例としては、RNAアプタマー結合リゾチーム、高い特異性
及び親和性でトロンビンに結合する2’フルオロピリミジンヌクレオチドを含むRNAア
プタマーであるToggle-25t、ヒト免疫不全ウイルストランス作用性応答要素(
HIV TAR)に結合するRNATat、RNAアプタマー結合hemin、RNAア
プタマー結合インターフェロンγ、RNAアプタマー結合血管内皮成長因子(VEGF)
、RNAアプタマー結合前立腺特異抗原(PSA)、RNAアプタマー結合ドーパミン及
びRNAアプタマー結合非古典的癌遺伝子、熱ショック因子1(HSF1)が挙げられる
【0175】
環状化
[0260] 一実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、環状化又はコンカテ
マー化され得る。ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、製剤化及び
/又は送達前にインビトロで環状化され得る。ある実施形態において、線状環状ポリリボ
ヌクレオチドは、細胞内で環状化され得る。
【0176】
細胞外環状化
[0261] ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、化学的方法を用い
て環状化又はコンカテマー化されて、環状ポリリボヌクレオチドを形成する。ある化学的
方法において、核酸(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)の5’末端及び3’末端
は、互いに近づけると、分子の5’末端と3’末端との間で新たな共有結合を形成し得る
化学的に反応性の基を含む。5’末端は、NHSエステル反応性基を含有し得、3’末端
は、3’-アミノ末端ヌクレオチドを含有し得、有機溶媒中において、線状RNA分子の
3’末端における3’-アミノ末端ヌクレオチドが、5’-NHS-エステル部分上で求
核攻撃を起こして、新たな5’-/3’-アミド結合を形成するようになっている。
【0177】
[0262] 一実施形態において、DNA又はRNAリガーゼを用いて、5’-リン酸化核
酸分子(例えば、線状環状ポリリボヌクレオチド)を核酸(例えば、線状核酸)の3’-
ヒドロキシル基に酵素的に連結して、新たなホスホロジエステル結合を形成し得る。例の
反応において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、製造業者のプロトコルに従って1~1
0単位のT4 RNAリガーゼと共に1時間にわたって37℃でインキュベートされる(
ニュー・イングランド・バイオラボ、マサチューセッツ州イプスウィッチ)。ライゲーシ
ョン反応は、酵素的ライゲーション反応を補助するために並んだ5’-及び3’-領域の
両方と塩基対合することが可能な線状核酸の存在下で起こり得る。一実施形態において、
ライゲーションは、スプリントライゲーションである。例えば、SplintR(登録商
標)リガーゼのようなスプリントリガーゼがスプリントライゲーションに使用され得る。
スプリントライゲーションでは、一本鎖RNAのような一本鎖ポリヌクレオチド(スプリ
ント)は、2つの末端が一本鎖スプリントとのハブリダイゼーション時に並置され得るよ
うに線状ポリリボヌクレオチドの両方の末端とハイブリダイズするように設計され得る。
したがって、スプリントリガーゼは、線状ポリリボヌクレオチドの並置される2つの末端
のライゲーションを触媒して、環状ポリリボヌクレオチドを生成し得る。
【0178】
[0263] 一実施形態において、DNA又はRNAリガーゼは、環状ポリヌクレオチドの
合成に使用され得る。非限定的な例として、リガーゼは、circリガーゼ又は環状リガ
ーゼである。
【0179】
[0264] 一実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端又は3’末端
のいずれかは、インビトロ転写中、得られる線状環状ポリリボヌクレオチドが、線状環状
ポリリボヌクレオチドの5’末端を線状環状ポリリボヌクレオチドの3’末端にライゲー
トすることが可能な活性リボザイム配列を含むように、リガーゼリボザイム配列をコード
し得る。リガーゼリボザイムは、グループIイントロン、デルタ肝炎ウイルス、ヘアピン
型リボザイムに由来し得るか、又はSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの体系的
な進化)によって選択され得る。リボザイムリガーゼ反応は、0~37℃の温度で1~2
4時間行われ得る。
【0180】
[0265] 一実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの非
核酸部分を用いることによって環状化又はコンカテマー化され得る。一態様において、少
なくとも1つの非核酸部分は、線状環状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー
化するために、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端の近傍及び/又は3’末端の近
傍の領域又は特徴と反応し得る。別の態様において、少なくとも1つの非核酸部分は、線
状環状ポリリボヌクレオチド5’末端及び/又は3’末端に位置するか又は連結されるか
又はその近傍にあり得る。考えられる非核酸部分は、同種又は異種であり得る。非限定的
な例として、非核酸部分は、疎水性結合、イオン結合、生分解性結合及び/又は切断可能
な結合などの結合であり得る。別の非限定的な例として、非核酸部分は、ライゲーション
部分である。さらに別の非限定的な例として、非核酸部分は、本明細書に記載されるアプ
タマー又は非核酸リンカーなどのオリゴヌクレオチド又はペプチド部分であり得る。
【0181】
[0266] 一実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、線状環状ポリリボヌ
クレオチド5’及び3’末端における、その近傍における若しくはそのような5’及び3
’末端に連結された、原子間、分子表面間の吸引力を引き起こす非核酸部分により、環状
化又はコンカテマー化され得る。非限定的な例として、1つ以上の線状環状ポリリボヌク
レオチドは、分子間力又は分子内力によって環状化又はコンカテマー化され得る。分子間
力の非限定的な例としては、双極子-双極子力、双極子-誘起双極子力、誘起双極子-誘
起双極子力、ファン・デル・ワールス力及びロンドン分散力が挙げられる。分子内力の非
限定的な例としては、共有結合、金属結合、イオン結合、共鳴結合、アグノスティック結
合(agnosticbond)、双極子結合、共役、超共役及び反結合が挙げられる。
【0182】
[0267] 一実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、5’末端の近傍及び
3’末端の近傍にリボザイムRNA配列を含み得る。リボザイムRNA配列は、配列がリ
ボザイムの残りの部分に曝されるとき、ペプチドに共有結合し得る。一態様において、5
’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNA配列に共有結合されたペプチドは、互いに
結合して、線状環状ポリリボヌクレオチドを環状化又はコンカテマー化させ得る。別の態
様において、5’末端及び3’末端の近傍でリボザイムRNAに共有結合されたペプチド
は、限定はされないが、タンパク質ライゲーションなどの当該技術分野において公知の様
々な方法を用いたライゲーションに線状一次構築物又は線状mRNAを供した後、それら
を環状化又はコンカテマー化させ得る。本発明の線状一次構築物若しくは線状RNAに使
用するためのリボザイムの非限定的な例又はペプチドを組み込み且つ/又は共有結合する
ための方法の非限定的な一覧が米国特許出願公開第20030082768号明細書に記
載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0183】
[0268] ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、5’トリ
ホスフェートをRNA 5’ピロホスホヒドロラーゼ(RppH)又はATPジホスホヒ
ドロラーゼ(アピラーゼ)と接触させることによって5’モノホスフェートに転化される
核酸の5’トリホスフェートを含み得る。代わりに、線状環状ポリリボヌクレオチドの5
’トリホスフェートを5’モノホスフェートに転化することは、(a)線状環状ポリリボ
ヌクレオチドの5’ヌクレオチドをホスファターゼ(例えば、アンタークティック(An
tarctic)ホスファターゼ、エビ由来アルカリホスファターゼ又は仔牛小腸由来ホ
スファターゼ)と接触させて、3つ全てのホスフェートを除去する工程;及び(b)工程
(a)後の5’ヌクレオチドを、1つのホスフェートを追加するキナーゼ(例えば、ポリ
ヌクレオチドキナーゼ)と接触させる工程を含む2工程反応によって行われ得る。
【0184】
[0269] ある実施形態において、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率
は、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25
%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45
%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80
%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は100%である。ある実施形態におい
て、本明細書において提供される環状化方法の環状化効率は、少なくとも約40%である
【0185】
スプライシング要素
[0270] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスプ
ライシング要素を含む。本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチドにおいて
、スプライシング要素は、環状ポリリボヌクレオチドのスプライシングを媒介し得る完全
なスプライシング要素であり得る。代わりに、スプライシング要素は、完了したスプライ
シング事象からの残留スプライシング要素でもあり得る。例えば、ある場合において、線
状ポリリボヌクレオチドのスプライシング要素は、線状ポリリボヌクレオチドの環状化を
もたらすスプライシング事象を媒介することができ、それにより、得られる環状ポリリボ
ヌクレオチドは、このようなスプライシングを介した環状化事象からの残留スプライシン
グ要素を含む。ある場合において、残留スプライシング要素は、スプライシングを媒介す
ることができない。他の場合、残留スプライシング要素は、特定の状況下でスプライシン
グを依然として媒介することができる。ある実施形態において、スプライシング要素は、
少なくとも1つの発現配列に隣接する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチ
ドは、各発現配列に隣接するスプライシング要素を含む。ある実施形態において、スプラ
イシング要素は、各発現配列の1つの側又は両側にあり、発現産物、例えばペプチド及び
又はポリペプチドの分離をもたらす。
【0186】
[0271] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製されると、スプラ
イスされた末端が互いに結合される内部のスプライシング要素を含む。いくつかの例は、
スプライス部位配列及びAluSq2、AluJr及びAluSzなどの短い逆方向反復
(30~40nt)、隣接するイントロン中の逆方向配列、隣接するイントロン中のAl
u要素並びに隣接するエクソンを有するバックスプライス部位の200bp前にある(上
流にある)又は後ろにある(下流にある)配列など、バックスプライス事象の近位にある
(suptable4富化モチーフ)シス-配列要素に見られるモチーフを有する小型の
イントロン(<100nt)を含み得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、内部のスプライシング要素として本明細書の他の箇所に記載される少なくとも1
つの反復ヌクレオチド配列を含む。このような実施形態において、反復ヌクレオチド配列
は、イントロンのAluファミリーからの反復配列を含み得る。ある実施形態において、
スプライシングに関連するリボソーム結合タンパク質は、環状ポリリボヌクレオチド生合
成を調節し得る(例えば、Muscleblind及びQuaking(QKI)スプラ
イシング因子)。
【0187】
[0272] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオ
チドの頭尾接合部(head-to-tailjunction)に隣接する標準スプライス部位を含み得る
【0188】
[0273] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの3-ヌクレオチ
ドバルジによって隣接される4-塩基対ステムを含むバルジ-ヘリックス-バルジモチー
フを含み得る。切断がバルジ領域において起こり、末端5’-ヒドロキシル基及び2’,
3’-環状ホスフェートを有する特徴的なフラグメントを生成する。環状化は、3’,5
’-ホスホジエステル架橋を形成する同じ分子の2’,3’-環状ホスフェートへの5’
-OH基の求核攻撃によって進行する。
【0189】
[0274] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、HPR要素を有する多
量体反復RNA配列を含み得る。HPRは、2’,3’-環状ホスフェート及び5’-O
H末端を含む。HPR要素は、線状環状ポリリボヌクレオチドの5’末端及び3’末端を
自己プロセシングし、それによって末端を互いにライゲートする。
【0190】
[0275] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲーションを
媒介する配列を含み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライ
ゲートするために、HDV配列(例えば、HDV複製ドメイン保存配列、
GGCUCAUCUCGACAAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCA
AGUUCGAGCAUGAGCC 又は
GGCUAGAGGCGGCAGUCCUCAGUACUCUUACUCUUUUCUGUAAAGAGGAGACUGCUGGACUCGCCGCCCGAGCC)を含
み得る。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己ライゲートするために
、ループE配列(例えば、PSTVd中に)を含み得る。別の実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、自己環状化イントロン、例えば5’及び3’スプライス接合部又
はグループI、グループII若しくはグループIIIイントロンなどの自己環状化触媒イ
ントロンを含み得る。グループIイントロン自己スプライシング配列の非限定的な例は、
T4バクテリオファージ遺伝子tdに由来する自己スプライシング置換イントロン-エク
ソン配列及びテトラヒメナ属(Tetrahymena)の介在配列(IVS)rRNAを含み得る
【0191】
他の環状化方法
[0276] ある実施形態において、線状環状ポリリボヌクレオチドは、個々のイントロン
内に又は隣接するイントロンにわたって反復又は非反復核酸配列を含む相補的配列を含み
得る。反復核酸配列は、環状ポリリボヌクレオチドのセグメント内に存在する配列である
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、反復核酸配列を含む。ある実施
形態において、反復ヌクレオチド配列は、ポリCA又はポリUG配列を含む。ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドの別のセグメント
中の相補的な反復核酸配列にハイブリダイズする少なくとも1つの反復核酸配列を含み、
ハイブリダイズされたセグメントが内部二本鎖を形成する。ある実施形態において、2つ
の別個の環状ポリリボヌクレオチドからの反復核酸配列及び相補的な反復核酸配列がハイ
ブリダイズして、単一の環状化ポリリボヌクレオチドを生成し、ハイブリダイズされたセ
グメントが内部二本鎖を形成する。ある実施形態において、相補的配列は、線状環状ポリ
リボヌクレオチドの5’及び3’末端において見られる。ある実施形態において、相補的
配列は、約3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14
、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、
28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、8
5、90、95、100又はそれを超える対合ヌクレオチドを含む。
【0192】
[0277] ある実施形態において、環状化の化学的方法が、環状ポリリボヌクレオチドを
生成するのに使用され得る。このような方法としては、限定はされないが、クリック化学
(例えば、アルキン及びアジドに基づく方法又はクリック可能な塩基)、オレフィンメタ
セシス、ホスホロアミデートライゲーション、ヘミアミナール-イミン架橋、塩基修飾及
びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0193】
[0278] ある実施形態において、環状化の酵素的方法は、環状ポリリボヌクレオチドを
生成するのに使用され得る。ある実施形態において、ライゲーション酵素、例えばDNA
又はRNAリガーゼは、環状ポリリボヌクレアーゼ若しくは相補体の鋳型、環状ポリリボ
ヌクレアーゼの相補鎖又は環状ポリリボヌクレアーゼを生成するのに使用され得る。
【0194】
[0279] 環状ポリリボヌクレオチドの環状化は、当該技術分野において公知の方法、例
えばNucleic Acids Res,2015,43(4):2454-2465
からのPetkovic及びMullerによる“RNA circularizati
on strategies in vivo and in vitro”及びRNA
Biol,2017,14(8):1018-1027からのMuller及びApp
elによる“In vitro circularization of RNA”に記
載されているものによって行われ得る。
【0195】
複製要素
[0280] 環状ポリリボヌクレオチドは、複製に有用な配列及び/又はモチーフをコード
し得る。環状ポリリボヌクレオチドの複製は、相補体環状ポリリボヌクレオチドを生成す
ることによって行われ得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、転写
を開始させるためのモチーフを含み、ここで、転写は、環状ポリリボヌクレオチドによっ
てコードされる内在性細胞機構(DNA依存的RNAポリメラーゼ)又はRNA依存的R
NAポリメラーゼのいずれかによって駆動される。ローリングサークル型転写事象の産物
は、単位長において相補的又は伝播される環状ポリリボヌクレオチドのいずれかを生成す
るためにリボザイムによって切断され得る。リボザイムは、環状ポリリボヌクレオチド、
その相補体又はトランスにおけるRNA配列によってコードされ得る。ある実施形態にお
いて、コードされたリボザイムは、環状RNA伝播を制御するためにリボザイムの活性を
調節する(阻害又は促進する)配列又はモチーフを含み得る。ある実施形態において、単
位長配列は、細胞内RNAリガーゼによって環状形態にライゲートされ得る。ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己増幅に役立つ複製要素を含む。このよう
な複製要素の例としては、限定はされないが、本明細書の他の箇所に記載されるHDV複
製ドメイン、ジャガイモやせいもウイロイド(Potato Spindle Tube
r Viroid)のRNAプロモータ(例えば、Kolonko 2005 Viro
logyを参照されたい)並びにアンチゲノム 5’-CGGGUCGGCAUGGCAUCUCCACCUCCUCGCGGU
CCGACCUGGGCAUCCGAAGGAGGACGCACGUCCACUCGGAUGGCUAAGGGAGAGCCA-3’ 若しくはゲノム5
’-UGGCCGGCAUGGUCCCAGCCUCCUCGCUGGCGCCGGCUGGGCAACAUUCCGAGGGGACCGUCCCCUCGGUAAUGGCG
AAUGGGACCCA-3’
などの複製コンピテント環状RNAセンス及び/又はアンチセンスリボザイムが挙げられ
る。
【0196】
[0281] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、複製を促進することが
本明細書に記載される少なくとも1つのスタガー要素を含む。環状ポリリボヌクレオチド
内のスタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドから複製された長い転写産物を、特定の
長さに切断することができ、これが後に環状化されて、環状ポリリボヌクレオチドに対す
る相補体を形成する。
【0197】
[0282] 別の実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオ
チドから複製された長い転写産物を特定の長さに切断するために、少なくとも1つのリボ
ザイム配列を含み、ここで、別のコードされたリボザイムがリボザイム配列において転写
産物を切断する。環状化は、環状ポリリボヌクレオチドに対する相補体を形成する。
【0198】
[0283] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、エキソヌクレ
アーゼによる分解に対して実質的に抵抗性である。
[0284] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製する。あ
る実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約10%~20%、20%~30%
、30%~40%、40%~50%、50%~60%、60%~70%、70%~75%
、75%~80%、80%~85%、85%~90%、90%~95%、95%~99%
又はそれらの間の任意のパーセンテージの速度において細胞内で複製する。ある実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製され、娘細胞に送られる。ある実
施形態において、細胞は、少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%
、90%、95%又は99%の効率で少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを娘細
胞に送る。ある実施形態において、減数分裂を行っている細胞は、少なくとも25%、5
0%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の効率で環状ポリリ
ボヌクレオチドを娘細胞に送る。ある実施形態において、有糸分裂を行っている細胞は、
少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99
%の効率で環状ポリリボヌクレオチドを娘細胞に送る。
【0199】
[0285] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主細胞内で複製する
。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、哺乳動物細胞、例えばヒト細胞内
で複製することが可能である。
【0200】
[0286] 実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主細胞内で複製するが、
環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、宿主の染色体により、宿主のゲノムに組み込まれ
ない。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、宿主の染色体によ
り、ごくわずかな組み換え頻度を有する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、例えば、宿主の染色体により、例えば約1.0cM/Mb、0.9cM/Mb、
0.8cM/Mb、0.7cM/Mb、0.6cM/Mb、0.5cM/Mb、0.4c
M/Mb、0.3cM/Mb、0.2cM/Mb、0.1cM/Mb未満又はそれを下回
る組み換え頻度を有する。
【0201】
他の配列
[0287] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、別の核酸配列をさらに
含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、DNA、RNA又は人工核
酸を含む他の配列を含み得る。他の配列としては、限定はされないが、tRNA、mRN
A、rRNA、miRNA、gRNA、siRNA又は他のRNAi分子をコードするゲ
ノムDNA、cDNA又は配列が挙げられる。一実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、環状ポリリボヌクレオチドと同じ遺伝子発現産物の異なる遺伝子座を標的にす
るためにsiRNAを含む。一実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポ
リリボヌクレオチドと異なる遺伝子発現産物を標的にするためにsiRNAを含む。
【0202】
[0288] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠いて
いる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠いている
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、ポリ-A配列を欠いている。あ
る実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、終止要素を欠いている。ある実施形
態において、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている。ある
実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解感受性
を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドが分解感受性を欠いて
いることは、環状ポリリボヌクレオチドがエキソヌクレアーゼによって分解されないか、
又はエキソヌクレアーゼの非存在下と同等又は同様の限られた程度にエキソヌクレアーゼ
の存在下でのみ分解されることを意味し得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌク
レオチドは、エキソヌクレアーゼによる分解を欠いている。ある実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、エキソヌクレアーゼに曝されたときに減少した分解を有する。
ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、キャップ結合タンパク質への結合
を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’キャップを欠
いている。
【0203】
[0289] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTRを欠いて
おり、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態にお
いて、環状ポリリボヌクレオチドは、3’-UTRを欠いており、その1つ以上の発現配
列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオ
チドは、ポリ-A配列を欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する
能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、終止要素を欠いてお
り、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態におい
て、環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いており、その1つ以上
の発現配列からタンパク質を発現する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、キャップを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現
する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、5’-UTR、
3’-UTR及びIRESを欠いており、その1つ以上の発現配列からタンパク質を発現
する能力がある。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、以下の配列の1
つ以上を含む:1つ以上のmiRNAをコードする配列、1つ以上の複製タンパク質をコ
ードする配列、外来性遺伝子をコードする配列、治療薬をコードする配列、調節要素(例
えば、翻訳モジュレータ、例えば翻訳エンハンサー又はサプレッサー)、翻訳開始配列、
内在性遺伝子(siRNA、lncRNAs、shRNA)を標的にする1つ以上の調節
核酸及び治療用mRNA又はタンパク質をコードする配列。
【0204】
[0290] 他の配列は、約2~約10000nt、約2~約5000nt、約10~約1
00nt、約50~約150nt、約100~約200nt、約150~約250nt、
約200~約300nt、約250~約350nt、約300~約500nt、約10~
約1000nt、約50~約1000nt、約100~約1000nt、約1000~約
2000nt、約2000~約3000nt、約3000~約4000nt、約4000
~約5000nt又はそれらの間の任意の範囲の長さを有し得る。
【0205】
[0291] その環状化の結果として、環状ポリリボヌクレオチドは、それを線状RNAと
区別するいくつかの特徴を含み得る。例えば、環状ポリリボヌクレオチドは、線状RNA
と比較して、エキソヌクレアーゼによる分解に対する感受性がより低い。したがって、環
状ポリリボヌクレオチドは、特に、エキソヌクレアーゼの存在下でインキュベートされる
とき、線状RNAより安定している。線状RNAと比較した環状ポリリボヌクレオチドの
増加した安定性により、環状ポリリボヌクレオチドが、ポリペプチドを生成する細胞形質
転換試薬としてより有用になり、線状RNAより容易に及びより長く貯蔵可能になる。エ
キソヌクレアーゼで処理された環状ポリリボヌクレオチドの安定性は、RNA分解が起こ
ったかどうかを決定する、当該技術分野において標準的な方法を用いて(例えば、ゲル電
気泳動によって)試験され得る。
【0206】
[0292] さらに、線状RNAと異なり、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌ
クレオチドが仔牛小腸由来ホスファターゼなどのホスファターゼと共にインキュベートさ
れるとき、脱リン酸化に対する感受性がより低い。
【0207】
ヌクレオチドスペーサー配列
[0293] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、スペーサー配列を含む
【0208】
[0294] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスペ
ーサー配列を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1、2、3、
4、5、6、7つ又はそれを超えるスペーサー配列を含む。
【0209】
[0295] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、約0.05:1、約0
.06:1、約0.07:1,約0.08:1、約0.09:1、約0.1:1、約0.
12:1、約0.125:1、約0.15:1、約0.175:1、約0.2:1、約0
.225:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.
45:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.65:1、約0.7:
1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1、
約0.98:1、約1:1、約1.02:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.1
5:1、約1.2:1、約1.25:1、約1.3:1、約1.35:1、約1.4:1
、約1.45:1、約1.5:1、約1.55:1、約1.6:1、約1.65:1、約
1.7:1、約1.75:1、約1.8:1、約1.85:1、約1.9:1、約1.9
5:1、約1.975:1、約1.98:1又は約2:1の、環状ポリリボヌクレオチド
、例えば発現配列のスペーサー配列対非スペーサー配列の比率を含む。
【0210】
[0296] ある実施形態において、スペーサー配列は、約0.5:1、約0.06:1、
約0.07:1,約0.08:1、約0.09:1、約0.1:1、約0.12:1、約
0.125:1、約0.15:1、約0.175:1、約0.2:1、約0.225:1
、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、約0.4:1、約0.45:1、約
0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.65:1、約0.7:1、約0.7
5:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:1、約0.95:1、約0.98:
1、約1:1、約1.02:1、約1.05:1、約1.1:1、約1.15:1、約1
.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:1、約1.6:1、約1.7:1、
約1.8:1、約1.9:1、約1.95:1、約1.975:1、約1.98:1、約
2.1:1、約2.2:1、約2.3:1、約2.4:1、約2.5:1、約2.6:1
、約2.7:1、約2.8:1、約2.9:1、約3:1、約3.1:1、約3.2:1
、約3.3:1、約3.4:1、約3.5:1、約3.6:1、約3.7:1、約3.8
:1、約3.85:1,約3.9:1、約3.95:1、約3.98:1又は約4:1の
、環状ポリリボヌクレオチドの下流(例えば、スペーサー配列3’末端側)の非スペーサ
ー要素に対するスペーサー配列の比率を含む。ある実施形態において、スペーサー配列は
、約0.5:1、約0.06:1、約0.07:1,約0.08:1、約0.09:1、
約0.1:1、約0.12:1、約0.125:1、約0.15:1、約0.175:1
、約0.2:1、約0.225:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.35:1、
約0.4:1、約0.45:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:1、約0.
65:1、約0.7:1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、約0.9:
1、約0.95:1、約0.98:1、約1:1、約1.02:1、約1.05:1、約
1.1:1、約1.15:1、約1.2:1、約1.3:1、約1.4:1、約1.5:
1、約1.6:1、約1.7:1、約1.8:1、約1.9:1、約1.95:1、約1
.975:1、約1.98:1、約2.1:1、約2.2:1、約2.3:1、約2.4
:1、約2.5:1、約2.6:1、約2.7:1、約2.8:1、約2.9:1、約3
:1、約3.1:1、約3.2:1、約3.3:1、約3.4:1、約3.5:1、約3
.6:1、約3.7:1、約3.8:1、約3.85:1,約3.9:1、約3.95:
1、約3.98:1又は約4:1の、環状ポリリボヌクレオチドの上流(例えば、スペー
サー配列の5’末端側)の非スペーサー要素に対するスペーサー配列の比率を含む。
【0211】
[0297] ある実施形態において、スペーサー配列は、少なくとも3リボヌクレオチド、
少なくとも4リボヌクレオチド、少なくとも5リボヌクレオチド、少なくとも約8リボヌ
クレオチド、少なくとも約10リボヌクレオチド、少なくとも約12リボヌクレオチド、
少なくとも約15リボヌクレオチド、少なくとも約20リボヌクレオチド、少なくとも約
25リボヌクレオチド、少なくとも約30リボヌクレオチド、少なくとも約40リボヌク
レオチド、少なくとも約50リボヌクレオチド、少なくとも約60リボヌクレオチド、少
なくとも約70リボヌクレオチド、少なくとも約80リボヌクレオチド、少なくとも約9
0リボヌクレオチド、少なくとも約100リボヌクレオチド、少なくとも約120リボヌ
クレオチド、少なくとも約150リボヌクレオチド、少なくとも約200リボヌクレオチ
ド、少なくとも約250リボヌクレオチド、少なくとも約300リボヌクレオチド、少な
くとも約400リボヌクレオチド、少なくとも約500リボヌクレオチド、少なくとも約
600リボヌクレオチド、少なくとも約700リボヌクレオチド、少なくとも約800リ
ボヌクレオチド、少なくとも約900リボヌクレオチド又は少なくとも約100リボヌク
レオチドの配列を含む。
【0212】
[0298] ある実施形態において、スペーサー配列は、スペーサーの完全長にわたり又は
スペーサーの連続した核酸残基の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、
91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%にわ
たり、例えば65%、60%、55%、50%、55%、50%、45%、40%、39
%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29
%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、20%、19%、18
%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、
7%、6%、5%、4%、3%、2%若しくは1%未満の低いGC含量を有する核酸配列
又は分子であり得る。ある実施形態において、スペーサー配列は、少なくとも95%、9
0%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、55%、5
0%、45%、40%、35%、30%、20%又はそれらの間の任意のパーセンテージ
のアデニンリボヌクレオチドを含み得る。ある実施形態において、スペーサー配列は、連
続して少なくとも5個以上のアデニンリボヌクレオチドを含む。ある実施形態において、
スペーサー配列は、連続して少なくとも6個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少な
くとも7個のアデニンリボヌクレオチド、少なくとも8個のリボヌクレオチド、連続して
少なくとも約10個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約12個のアデニ
ンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約15個のアデニンリボヌクレオチド、連続し
て少なくとも約20個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約25個のアデ
ニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約30個のアデニンリボヌクレオチド、連続
して少なくとも約40個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約50個のア
デニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約60個のアデニンリボヌクレオチド、連
続して少なくとも約70個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約80個の
アデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約90個のアデニンリボヌクレオチド、
連続して少なくとも約95個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約100
個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約150個のアデニンリボヌクレオ
チド、連続して少なくとも約200個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも
約250個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約300個のアデニンリボ
ヌクレオチド、連続して少なくとも約350個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少
なくとも約400個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約450個のアデ
ニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約500個のアデニンリボヌクレオチド、連
続して少なくとも約550個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約600
個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも約700個のアデニンリボヌクレオ
チド、連続して少なくとも約800個のアデニンリボヌクレオチド、連続して少なくとも
約900個のアデニンリボヌクレオチド又は連続して少なくとも約1000個のアデニン
リボヌクレオチドを含む。
【0213】
[0299] ある実施形態において、スペーサー配列は、1つ以上の要素間に位置する。あ
る実施形態において、スペーサー配列は、要素間の立体配座柔軟性を提供する。ある実施
形態において、立体配座柔軟性は、スペーサー配列が二次構造を実質的に含まないことに
よる。ある実施形態において、スペーサー配列は、40kcal/mol未満、-39、
-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、-30、-29、
-28、-27、-26、-25、-24、-23、-22、-20、-19、-18、
-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7
、-6、-5、-4、-3、-2又は-1kcal/mol未満など、二次構造を実質的
に含まない。スペーサーは、DNA又はRNAなどの核酸を含み得る。
【0214】
[0300] ある実施形態において、スペーサー配列は、RNA配列及び好ましくは分泌シ
グナルペプチドを含むタンパク質又はペプチド配列をコードし得る。
[0301] ある実施形態において、スペーサー配列は、非コード性であり得る。スペーサ
ーが非コード配列である場合、翻訳開始配列は、隣接する配列のコード配列において提供
され得る。ある実施形態において、コード配列の第1の核酸残基は、AUGなどの翻訳開
始配列のA残基であり得ることが想定される。スペーサーがRNA又はタンパク質又はペ
プチド配列をコードする場合、翻訳開始配列は、スペーサー配列において提供され得る。
【0215】
[0302] ある実施形態において、スペーサーは、本明細書に記載される別の配列に動作
可能に連結される。
【0216】
非核酸リンカー
[0303] 本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、非核酸リンカーも含み得
る。ある実施形態において、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、本明細
書に記載される配列又は要素の1つ以上の間に非核酸リンカーを有する。一実施形態にお
いて、本明細書に記載される1つ以上の配列又は要素は、リンカーを用いて連結される。
非核酸リンカーは、化学結合、例えば1つ以上の共有結合又は非共有結合であり得る。あ
る実施形態において、非核酸リンカーは、ペプチド又はタンパク質リンカーである。この
ようなリンカーは、2~30アミノ酸又はそれを超えるものであり得る。リンカーは、本
明細書に記載される可撓性、剛性又は切断可能なリンカーを含む。
【0217】
[0304] 最も一般的に使用される可撓性リンカーは、主に、Gly及びSer残基(「
GS」リンカー)のストレッチからなる配列を有する。可撓性リンカーは、ある程度の移
動又は相互作用を必要とするドメインを結合するのに有用であり得、小さい非極性(例え
ば、Gly)又は極性(例えば、Ser又はThr)アミノ酸を含み得る。Ser又はT
hrの組み込みは、水分子により水素結合を形成することによって水溶液中のリンカーの
安定性も維持し、したがってリンカーとタンパク質部分との間の好ましくない相互作用を
減少させ得る。
【0218】
[0305] 剛性リンカーは、ドメイン間の一定の距離を保持し、それらの独立した機能を
維持するのに有用である。剛性リンカーは、ドメインの空間的隔離が、融合中の1つ以上
の構成要素の安定性又は生物活性を保つのに重要である場合にも有用であり得る。剛性リ
ンカーは、αヘリックス構造又はProリッチ配列、(XP)を有し得、ここで、Xは
、任意のアミノ酸、好ましくはAla、Lys又はGluを示す。
【0219】
[0306] 切断可能なリンカーは、インビボで遊離機能的ドメインを解放し得る。ある実
施形態において、リンカーは、還元試薬又はプロテアーゼの存在下などの特定の条件下で
切断され得る。インビボで切断可能なリンカーは、ジスルフィド結合の可逆性を用い得る
。一例としては、2つのCys残基間のトロンビン感受性配列(例えば、PRS)を含む
。CPRSCのインビトロトロンビン処理は、トロンビン感受性配列の切断をもたらす一
方、可逆的なジスルフィド結合は無傷のままである。このようなリンカーが公知であり、
例えばChen et al.2013.Fusion Protein Linker
:Property,Design and Functionality.Adv D
rug Deliv Rev.65(10):1357-1369に記載されている。融
合中のリンカーのインビボ切断は、特定の細胞又は組織内で病的状態(例えば、癌又は炎
症)においてインビボで発現されるか、又は特定の細胞内区画内で制限されるプロテアー
ゼによっても行われ得る。多くのプロテアーゼの特異性は、制限された区画におけるリン
カーのよりゆっくりとした切断を提供する。
【0220】
[0307] 連結分子の例としては、疎水性リンカー、例えば負の電荷を帯びたスルホネー
ト基;脂質、例えばポリ(-CH-)炭化水素鎖、例えばポリエチレングリコール(P
EG)基、その不飽和形態、その水酸化形態、そのアミド化若しくは他の形のN含有形態
、非炭素リンカー;炭水化物リンカー;ホスホジエステルリンカー又は2つ以上のポリペ
プチドを共有結合することが可能な他の分子が挙げられる。例えば、ポリペプチドの疎水
性領域若しくはポリペプチドの疎水性伸長を介して、ポリペプチドが連結された疎水性脂
質小球、例えばロイシン、イソロイシン、バリン又はさらにおそらくアラニン、フェニル
アラニン或いはチロシン、メチオニン、グリシン又は他の疎水性残基に富んだ一連の残基
などの非共有結合リンカーも含まれる。ポリペプチドの正の電荷を帯びた部分が別のポリ
ペプチド又は核酸の負電荷に連結されるように、ポリペプチドは、電荷に基づいた化学を
用いて連結され得る。
【0221】
安定性/半減期
[0308] ある実施形態において、本明細書において提供される環状ポリリボヌクレオチ
ドは、対照、例えば同じヌクレオチド配列を有するが、環状されていない線状ポリリボヌ
クレオチド(線状同等物)より増加した半減期を有する。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、分解、例えばエキソヌクレアーゼに対して実質的に抵抗性である
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、自己分解に対して抵抗性である
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、酵素切断部位、例えばダイサー
切断部位を欠いている。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、対照、例
えば線状同等物より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少
なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少
なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、
少なくとも約120%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約1
60%、少なくとも約180%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なく
とも約400%、少なくとも約500%、少なくとも約600%、少なくとも約700%
、少なくとも約800%、少なくとも約900%、少なくとも約1000%又は少なくと
も約10000%長い半減期を有する。
【0222】
[0309] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞分裂中に細胞内で
持続する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、有糸分裂後に娘細胞内
で持続する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内で複製され、
娘細胞に送られる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボ
ヌクレオチドの自己複製を媒介する複製要素を含む。ある実施形態において、複製要素は
、環状ポリリボヌクレオチドに対して相補的な線状ポリリボヌクレオチド(線状相補性)
への環状ポリリボヌクレオチドの転写を媒介する。ある実施形態において、線状相補性ポ
リリボヌクレオチドは、相補的な環状ポリリボヌクレオチドに細胞内においてインビボで
環状化され得る。ある実施形態において、相補的ポリリボヌクレオチドは、出発環状ポリ
リボヌクレオチドと同じ又は類似したヌクレオチド配列を有する別の環状ポリリボヌクレ
オチドにさらに自己複製し得る。1つの例示的な自己複製要素としては、HDV複製ドメ
インが挙げられる(Beeharry et al,Virol,2014,450-4
51:165-173によって記載されるように)。ある実施形態において、細胞は、少
なくとも25%、50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%
の効率で少なくとも1つの環状ポリリボヌクレオチドを娘細胞に送る。ある実施形態にお
いて、減数分裂を行っている細胞は、少なくとも25%、50%、60%、70%、80
%、85%、90%、95%又は99%の効率で環状ポリリボヌクレオチドを娘細胞に送
る。ある実施形態において、有糸分裂を行っている細胞は、少なくとも25%、50%、
60%、70%、80%、85%、90%、95%又は99%の効率で環状ポリリボヌク
レオチドを娘細胞に送る。
【0223】
修飾
[0310] 環状ポリリボヌクレオチドは、参照配列に対して1つ以上の置換、挿入及び/
又は付加、欠失及び共有結合修飾を含み得、特に親ポリリボヌクレオチドが本発明の範囲
内に含まれる。
【0224】
[0311] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の転写後修飾
(例えば、キャッピング、切断、ポリアデニル化、スプライシング、ポリ-A配列、メチ
ル化、アシル化、リン酸化、リジン及びアルギニン残基のメチル化、アセチル化並びにチ
オール基及びチロシン残基のニトロシル化など)を含む。1つ以上の転写後修飾は、RN
Aにおいて同定された100を超える様々なヌクレオシド修飾のいずれかなどの任意の転
写後修飾であり得る(Rozenski,J,Crain,P,and McClosk
ey,J.(1999).The RNA Modification Databas
e:1999 update.Nucl Acids Res 27:196-197)
。ある実施形態において、第1の単離核酸は、メッセンジャーRNA(mRNA)を含む
。ある実施形態において、mRNAは、ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-アザ
-ウリジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオウリジン、4-チオ-プソイドウ
リジン、2-チオ-プソイドウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、
5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-プソイドウリジン、5-プロ
ピニル-ウリジン、1-プロピニル-プソイドウリジン、5-タウリノメチルウリジン、
1-タウリノメチル-プソイドウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1
-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-プソイド
ウリジン、4-チオ-1-メチル-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-プソイド
ウリジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デ
アザ-プソイドウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジ
ヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メ
トキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-プソイドウリジン及び4-メトキシ-2-
チオ-プソイドウリジンからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む
。ある実施形態において、mRNAは、5-アザ-シチジン、プソイドシチジン、3-メ
チル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジ
ン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-プソイドシチジン、ピロロ-シチジン
、ピロロ-プソイドシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、
4-チオ-プソイドシチジン、4-チオ-1-メチル-プソイドシチジン、4-チオ-1
-メチル-1-デアザ-プソイドシチジン、1-メチル-1-デアザ-プソイドシチジン
、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-
ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチ
ル-シチジン、4-メトキシ-プソイドシチジン及び4-メトキシ-1-メチル-プソイ
ドシチジンからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。ある実施形
態において、mRNAは、2-アミノプリン、2、6-ジアミノプリン、7-デアザ-ア
デニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ
-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8
-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N
6-イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン
、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリ
シニルカルバモイル(glycinylcarbamoyl)アデノシン、N6-トレオニルカルバモイル
アデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-
ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン及び2-メトキシ
-アデニンからなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオシドを含む。ある実施形
態において、mRNAは、イノシン、1-メチル-イノシン、ワイオシン、ワイブトシン
、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン
、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、
7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6
-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2
-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン
、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン及びN2,
N2-ジメチル-6-チオ-グアノシンからなる群から選択される少なくとも1つのヌク
レオシドを含む。
【0225】
[0312] 環状ポリリボヌクレオチドは、糖、核酸塩基又はヌクレオシド間結合などに対
する(例えば、連結ホスフェート/ホスホジエステル結合/ホスホジエステル骨格に対す
る)任意の有用な修飾を含み得る。ピリミジン核酸塩基の1つ以上の原子は、任意選択的
に置換されるアミノ、任意選択的に置換されるチオール、任意選択的に置換されるアルキ
ル(例えば、メチル若しくはエチル)又はハロ(例えば、クロロ若しくはフルオロ)で置
き換えられ得るか又は置換され得る。特定の実施形態において、修飾(例えば、1つ以上
の修飾)は、糖及びヌクレオシド間結合のそれぞれに存在する。修飾は、デオキシリボ核
酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(
PNA)、ロックト核酸(LNA)又はそのハイブリッド)へのリボ核酸(RNA)の修
飾であり得る。さらなる修飾が本明細書に記載される。
【0226】
[0313] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳効率を高めるため
に、少なくとも1つのN(6)メチルアデノシン(m6A)修飾を含む。ある実施形態に
おいて、N(6)メチルアデノシン(m6A)修飾は、環状ポリリボヌクレオチドの免疫
原性を低下させ得る。
【0227】
[0314] ある実施形態において、修飾は、化学修飾又は細胞誘導性修飾を含み得る。例
えば、細胞内RNA修飾のいくつかの非限定的な例は、Nat Reviews Mol
Cell Biol,2017,18:202-210からの“RNA modifi
cations and structures cooperate to guid
e RNA-protein interactions”においてLewis及びPa
nによって記載されている。
【0228】
[0315] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドのリボヌクレオチドに対す
る化学修飾は、免疫回避を促進し得る。環状ポリリボヌクレオチドは、参照により本明細
書に援用される“Current protocols in nucleic aci
d chemistry”,Beaucage,S.L.et al.(Eds.),J
ohn Wiley&Sons,Inc.,New York,NY,USAに記載され
ているものなど、当該技術分野において十分に確立された方法によって合成及び/又は修
飾され得る。修飾としては、例えば、末端修飾、例えば5’末端修飾(リン酸化(一-、
二-及び三-リン酸化)、共役、反転結合など)、3’末端修飾(共役、DNAヌクレオ
チド、反転結合など)、塩基修飾(例えば、安定化塩基、不安定化塩基又は広いレパート
リーのパートナーと塩基対合する塩基による置換)、塩基の除去(脱塩基ヌクレオチド)
又は共役塩基が挙げられる。修飾リボヌクレオチド塩基は、5-メチルシチジン及びプソ
イドウリジンも含み得る。ある実施形態において、塩基修飾は、環状ポリリボヌクレオチ
ドのいくつかの機能的効果を挙げると、発現、免疫応答、安定性、細胞内局在化を調節し
得る。ある実施形態において、修飾としては、双直交(bi-orthogonal)ヌクレオチド、
例えば非天然塩基が挙げられる。例えば、参照により本明細書に援用されるKimoto
et al,Chem Commun(Camb),2017,53:12309,D
OI:10.1039/c7cc06661aを参照されたい。
【0229】
[0316] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上のリボヌクレオ
チドの糖修飾(例えば、2’位若しくは4’位における)又は糖の置換には、骨格修飾だ
けでなく、ホスホジエステル結合の修飾又は置換を含み得る。環状ポリリボヌクレオチド
の具体例としては、限定はされないが、ホスホジエステル結合の修飾又は置換を含む、ヌ
クレオシド間修飾などの修飾骨格又は非天然ヌクレオシド間結合を含む環状ポリリボヌク
レオチドが挙げられる。修飾骨格を有する環状ポリリボヌクレオチドとしては、中でも特
に、骨格中にリン原子を有さないものが挙げられる。本出願の趣旨では、且つ当該技術分
野において時々参照されるように、それらのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有さない
修飾RNAもオリゴヌクレオシドであると考えられ得る。特定の実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、そのヌクレオシド間骨格中にリン原子を有するリボヌクレオチ
ドを含む。
【0230】
[0317] 修飾環状ポリリボヌクレオチド骨格としては、例えば、ホスホロチオエート、
キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキ
ルホスホトリエステル、3’-アルキレンホスホネート及びキラルホスホネートなどのメ
チル及び他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホロアミデート
及びアミノアルキルホスホロアミデートなどのホスホロアミデート、チオノホスホロアミ
デート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル及びこれらの
通常の3’-5’結合、2’-5’連結類似体を有するボラノホスフェート及び逆極性を
有するものが挙げられ、ここで、ヌクレオシド単位の隣接する対が連結される(3’-5
’を5’-3’に又は2’-5’を5’-2’に)。様々な塩、混合塩及び遊離酸形態も
含まれる。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、負の電荷又は正の電荷
を帯び得る。
【0231】
[0318] 環状ポリリボヌクレオチドに組み込まれ得る修飾ヌクレオチドは、ヌクレオシ
ド間結合(例えば、ホスフェート骨格)上で修飾され得る。本明細書において、ポリヌク
レオチド骨格に関して、「ホスフェート」及び「ホスホジエステル」という語句は、同義
的に使用される。骨格リン酸基は、酸素原子の1つ以上を様々な置換基で置換することに
よって修飾され得る。さらに、修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドは、本明細書に記載さ
れる別のヌクレオシド間結合による非修飾ホスフェート部分の大規模な置換を含み得る。
修飾リン酸基の例としては、限定はされないが、ホスホロチオエート、ホスホロセレネー
ト、ボラノホスフェート、ボラノリン酸エステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデー
ト、ホスホロジアミデート、アルキル又はアリールホスホネート及びホスホトリエステル
が挙げられる。ホスホロジチオエートは、両方の非連結酸素が硫黄で置換されている。ホ
スフェートリンカーは、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエー
ト)及び炭素(架橋メチレン-ホスホネート)による連結酸素の置換によっても修飾され
得る。
【0232】
[0319] 非天然ホスホロチオエート骨格結合によってRNA及びDNAポリマーに安定
性を与えるためにa-チオ置換ホスフェート部分が提供される。ホスホロチオエートDN
A及びRNAは、増加したヌクレアーゼ耐性、したがって細胞環境内でのより長い半減期
を有する。環状ポリリボヌクレオチドに連結されたホスホロチオエートは、細胞の自然免
疫分子のより弱い結合/活性化によって自然免疫応答を低減すると予測される。
【0233】
[0320] 特定の実施形態において、修飾ヌクレオシドとしては、α-チオ-ヌクレオシ
ド(例えば、5’-O-(1-チオホスフェート)-アデノシン、5’-O-(1-チオ
ホスフェート)-シチジン(α-チオ-シチジン)、5’-O-(1-チオホスフェート
)-グアノシン、5’-O-(1-チオホスフェート)-ウリジン又は5’-O-(1-
チオホスフェート)-プソイドウリジン)が挙げられる。
【0234】
[0321] リン原子を含有しないヌクレオシド間結合を含む、本発明に従って用いられ得
る他のヌクレオシド間結合が本明細書に記載される。
[0322] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上の細胞毒性ヌ
クレオシドを含み得る。例えば、細胞毒性ヌクレオシドは、二機能性修飾などの環状ポリ
リボヌクレオチドに組み込まれ得る。細胞毒性ヌクレオシドとしては、限定はされないが
、アデノシンアラビノシド、5-アザシチジン、4’-チオ-アラシチジン、シクロペン
テニルシトシン、クラドリビン、クロファラビン、シタラビン、シトシンアラビノシド、
1-(2-C-シアノ-2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)-シトシ
ン、デシタビン、5-フルオロウラシル、フルダラビン、フロクスウリジン、ゲムシタビ
ン、テガフール及びウラシルの組合せ、テガフール((RS)-5-フルオロ-1-(テ
トラヒドロフラン-2-イル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン)、トロキサ
シタビン、テザシタビン、2’-デオキシ-2’-メチリデンシチジン(DMDC)及び
6-メルカプトプリンが挙げられる。さらなる例としては、フルダラビンホスフェート、
N4-ベヘノイル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-オクタデシル-1
-β-D-アラビノフラノシルシトシン、N4-パルミトイル-1-(2-C-シアノ-
2-デオキシ-β-D-アラビノ-ペントフラノシル)シトシン及びP-4055(シタ
ラビン5’-エライジン酸エステル)が挙げられる。
【0235】
[0323] 環状ポリリボヌクレオチドは、分子の全長に沿って均一に修飾されても又はさ
れなくてもよい。例えば、ヌクレオチドの1つ以上若しくは全てのタイプ(例えば、天然
ヌクレオチド、プリン又はピリミジン又はA、G、U、C、I、pUのいずれか1つ以上
若しくは全て)は、環状ポリリボヌクレオチドにおいて又はその所与の所定の配列領域に
おいて均一に修飾されても又はされなくてもよい。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、プソイドウリジンを含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドは、イノシンを含み、これは、免疫系が、ウイルスRNAに対して内在性であるも
のとして環状ポリリボヌクレオチドを特徴付けることを促進し得る。イノシンの組み込み
は、向上したRNA安定性/減少した分解も媒介し得る。例えば、全体が参照により援用
されるYu,Z.et al.(2015)RNA editing by ADAR1
marks dsRNA as“self”.Cell Res.25,1283-1
284を参照されたい。
【0236】
[0324] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチド(又はその所与の配列)中
の全てのヌクレオチドが修飾される。ある実施形態において、修飾としては、発現を増大
し得るm6A;免疫応答を弱め得るイノシン;RNA安定性又は翻訳の読み過ごしを増大
し得るプソイドウリジン(スタガー要素)、安定性を増大し得るm5C;及び細胞内転座
(例えば、核局在化)を促進する2,2,7-トリメチルグアノシンが挙げられる。
【0237】
[0325] 様々な糖修飾、ヌクレオチド修飾及び/又はヌクレオシド間結合(例えば、骨
格構造)が環状ポリリボヌクレオチド中の様々な位置に存在し得る。当業者は、環状ポリ
リボヌクレオチドの機能が実質的に低下されないように、ヌクレオチド類似体又は他の修
飾が環状ポリリボヌクレオチドの任意の位置に位置し得ることを理解するであろう。修飾
は、非コード領域の修飾でもあり得る。環状ポリリボヌクレオチドは、約1%~約100
%の修飾ヌクレオチド(全ヌクレオチド含量に対して又はヌクレオチドの1つ以上のタイ
プ、すなわちA、G、U若しくはCのいずれか1つ以上に対して)又はその間の任意のパ
ーセンテージ(例えば、1%~20%>、1%~25%、1%~50%、1%~60%、
1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~
25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~
90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%
~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%
~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50
%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、7
0%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%
、90%~100%及び95%~100%)を含み得る。
【0238】
構造
[0326] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、高次構造、例えば二次
又は三次構造を含む。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの相補的セグメ
ントが二本鎖セグメントに折り畳まれ、対間、例えばA-U及びC-Gの水素結合で結合
される。ある実施形態において、末端ループに連結された二本鎖セグメントを有する、ス
テムとしても知られているらせんが分子内に形成される。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する少なくとも1つのセグメントを有す
る。ある実施形態において、疑似二本鎖二次構造を有するセグメントは、少なくとも3つ
、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、
17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、3
0、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95
、100又はそれを超える対合ヌクレオチドを有する。ある実施形態において、環状ポリ
リボヌクレオチドは、疑似二本鎖二次構造を有する1つ以上のセグメント(例えば、2、
3、4、5、6つ又はそれを超える)を有する。ある実施形態において、セグメントは、
3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、1
6、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29
、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、
95、100又はそれを超えるヌクレオチドによって隔てられる。
【0239】
[0327] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上の配列は、実質
的に一本鎖対二本鎖領域を含む。ある実施形態において、一本対二本鎖の比率は、環状ポ
リリボヌクレオチドの機能性に影響を与え得る。
【0240】
[0328] ある実施形態では、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ以
上の配列である。ある実施形態において、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチ
ドの1つ以上の配列は、タンパク質-又はRNA-結合部位を含み得る。ある実施形態に
おいて、実質的に一本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、増大した相互作用を可
能にするために立体配座柔軟性であり得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレ
オチドの配列は、結合するか又はタンパク質若しくは核酸結合を増加させるために、この
ような二次構造を含むように意図的に操作される。
【0241】
[0329] ある実施形態では、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列であ
る。ある実施形態において、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチドの1つ以上
の配列は、立体配座認識部位、例えばリボスイッチ又はアプタザイムを含み得る。ある実
施形態において、実質的に二本鎖である環状ポリリボヌクレオチド配列は、立体配座的に
固定され得る。あるこのような場合において、立体配座的に固定された配列は、環状ポリ
リボヌクレオチドを、タンパク質又は核酸の結合から立体的に遮蔽し得る。ある実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドの配列は、タンパク質又は核酸結合を回避又は低減
するために、このような二次構造を含むように意図的に操作される。
【0242】
[0330] 16の可能な塩基対合があるが、これらの6つ(AU、GU、GC、UA、U
G、CG)が実際の塩基対を形成し得る。残りは、ミスマッチと呼ばれ、らせん中に非常
に低い頻度で存在する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの構造は、そ
の機能に対する影響及び致命的な結果なしに容易に破壊することができず、それにより二
次構造を維持する選択を与える。ある実施形態において、ステム(すなわちそれらのヌク
レオチド配列)の一次構造は、らせん領域を依然として維持しながら、依然として変化し
得る。塩基の性質は、より高次の構造に伴い、置換は、それらが二次構造を保つ限り可能
である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん構造を有する
。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん構造を有する少なく
とも1つのセグメントを有する。ある実施形態において、疑似らせん構造を有するセグメ
ントは、少なくとも3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、
80、85、90、95、100又はそれを超えるヌクレオチドを有する。ある実施形態
において、環状ポリリボヌクレオチドは、疑似らせん構造を有する1つ以上のセグメント
(例えば、2、3、4、5、6つ又はそれを超える)を有する。ある実施形態において、
セグメントは、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、2
7、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80
、85、90、95、100又はそれを超えるヌクレオチドによって隔てられる。ある実
施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、Uリッチ又はAリッチ配列又はそれらの
組合せの少なくとも1つを含む。ある実施形態において、Uリッチ及び/又はAリッチ配
列は、三重疑似らせん構造を生成し得るように配置される。ある実施形態において、環状
ポリリボヌクレオチドは、二重疑似らせん構造を有する。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドは、二重疑似らせん構造を有する1つ以上のセグメント(例えば、2
、3、4、5、6つ又はそれを超える)を有する。ある実施形態において、環状ポリリボ
ヌクレオチドは、Cリッチ及び/又はGリッチ配列の少なくとも1つを含む。ある実施形
態において、Cリッチ及び/又はGリッチ配列は、三重疑似らせん構造を生成し得るよう
に配置される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、安定化を促進する
分子内三重疑似らせん構造を有する。
【0243】
[0331] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、2つの疑似らせん構造
(例えば、ホスホジエステル結合によって隔てられる)を有し、それらの末端塩基対がス
タックし、疑似らせん構造が同一直線上になり、「同軸上にスタックされた」部分構造を
もたらすようになっている。
【0244】
[0332] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、1つ以上のモチーフ、
例えばシュードノット、グアニン四重鎖、らせん及び同軸的スタッキングを有する三次構
造を含む。
【0245】
[0333] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの結合
部位、例えば少なくとも1つのタンパク質結合部位、少なくとも1つのmiRNA結合部
位、少なくとも1つのlncRNA結合部位、少なくとも1つのtRNA結合部位、少な
くとも1つのrRNA結合部位、少なくとも1つのsnRNA結合部位、少なくとも1つ
のsiRNA結合部位、少なくとも1つのpiRNA結合部位、少なくとも1つのsno
RNA結合部位、少なくとも1つのsnRNA結合部位、少なくとも1つのexRNA結
合部位、少なくとも1つのscaRNA結合部位、少なくとも1つのY RNA結合部位
、少なくとも1つのhnRNA結合部位及び/又は少なくとも1つのtRNAモチーフを
有する。
【0246】
送達
[0334] 本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドは、送達担体と共に医薬組成
物にも含まれ得る。
【0247】
[0335] 本明細書に記載される医薬組成物は、例えば、医薬担体及び/又はポリマー担
体、例えばリポソームなどの担体を含む製剤であり得、それを必要とする対象(例えば、
ヒト又は非ヒト農用動物又は家畜、例えばウシ、イヌ、ネコ、ウマ、家禽)に公知の方法
によって送達され得る。このような方法としては、限定はされないが、トランスフェクシ
ョン(例えば、脂質媒介性、カチオン性ポリマー、リン酸カルシウム、デンドリマー);
エレクトロポレーション又は膜破壊の他の方法(例えば、ヌクレオフェクション)、ウイ
ルス送達(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV)、微量
注入、微粒子銃(「遺伝子銃」)、フゲン(fugene)、直接音波負荷、細胞スクイージン
グ、光学的トランスフェクション、プロトプラスト融合、インペールフェクション、マグ
ネトフェクション、エクソソーム媒介性移動、脂質ナノ粒子媒介性移動及びそれらの任意
の組合せが挙げられる。送達の方法は、例えば、Gori et al.,Delive
ry and Specificity of CRISPR/Cas9 Genome
Editing Technologies for Human Gene The
rapy.Human Gene Therapy.July 2015、26(7):
443-451.doi:10.1089/hum.2015.074;及びZuris
et al.Cationic lipid-mediated delivery
of proteins enables efficient protein-ba
sed genome editing in vitro and in vivo.
Nat Biotechnol.2014 Oct 30;33(1):73-80にも
記載されている。
【0248】
[0336] 本発明は、本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを含む宿主又は宿
主細胞にさらに関する。ある実施形態において、宿主又は宿主細胞は、植物、昆虫、細菌
、真菌、脊椎動物、哺乳動物(例えば、ヒト)又は他の生物若しくは細胞である。
【0249】
[0337] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、宿主において非免疫原
性である。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、参照化合物、例えば記
載される環状ポリリボヌクレオチド又はエンクリプトゲンを欠いた環状ポリリボヌクレオ
チドに対応する線状ポリヌクレオチドによって引き起こされる応答と比較して、宿主の免
疫系による応答が減少されるか、又は宿主の免疫系による応答を生成することができない
。いくつかの免疫応答としては、限定はされないが、液性免疫応答(例えば、抗原特異的
抗体の産生)及び細胞媒介性免疫応答(例えば、リンパ球増殖)が挙げられる。
【0250】
[0338] ある実施形態において、宿主又は宿主細胞が環状ポリリボヌクレオチドと接触
される(例えば、それに送達又は投与される)。ある実施形態において、宿主は、ヒトな
どの哺乳動物である。宿主中の環状ポリリボヌクレオチド、発現産物又はその両方の量は
、投与後の任意の時点で測定され得る。特定の実施形態において、培養物中の宿主成長の
時間経過が決定される。成長が環状ポリリボヌクレオチドの存在下で増加又は減少される
場合、環状ポリリボヌクレオチド若しくは発現産物又はその両方は、宿主の成長を増加又
は減少させるのに有効であると特定される。
【0251】
生成の方法
[0339] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、非天然であり、組み換
え技術(以下に詳細に記載される方法、例えばDNAプラスミドを用いてインビトロで得
られる)又は化学合成を用いて生成され得るデオキシリボ核酸配列を含む。
【0252】
[0340] RNA環を生成するのに使用されるDNA分子が、天然の元の核酸配列のDN
A配列、その修飾形態又は自然界で通常見られない合成ポリペプチド(例えば、キメラ分
子又は融合タンパク質)をコードするDNA配列を含む得ることは、本発明の範囲内であ
る。DNA及びRNA分子は、限定はされないが、部位特異的突然変異誘発、突然変異を
誘発するための核酸分子の化学的処理、核酸フラグメントの制限酵素切断、核酸フラグメ
ントのライゲーション、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及び/又は核酸配列の選択
された領域の突然変異誘発、オリゴヌクレオチド混合物の合成及び核酸分子の混合物を「
構築する」ための混合物群のライゲーション並びにそれらの組合せなど、古典的な突然変
異誘発技術及び組み換え技術を含む様々な技術を用いて修飾され得る。
【0253】
[0341] 環状ポリリボヌクレオチドは、限定はされないが、化学合成及び酵素的合成を
含む任意の利用可能な技術に従って調製され得る。ある実施形態において、線状一次構築
物又は線状mRNAは、環状化又はコンカテマー化されて、本明細書に記載される環状ポ
リリボヌクレオチドを生成し得る。環状化又はコンカテマー化の機構は、限定はされない
が、化学的、酵素的、スプリントライゲーション)又はリボザイム触媒方法などの方法に
よって行われ得る。新たに形成される5’-/3’-結合は、分子内結合又は分子間結合
であり得る。
【0254】
[0342] 本明細書に記載される環状ポリリボヌクレオチドを作製する方法は、例えば、
Khudyakov&Fields,Artificial DNA:Methods
and Applications,CRC Press(2002);Zhao,Sy
nthetic Biology:Tools and Applications,(
First Edition),Academic Press(2013);及びEg
li&Herdewijn,Chemistry and Biology of Ar
tificial Nucleic Acids,(First Edition),W
iley-VCH(2012)に記載されている。
【0255】
[0343] 環状ポリリボヌクレオチドを合成する様々な方法は、当該技術分野でも記載さ
れている(例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6
210931号明細書、米国特許第5773244号明細書、米国特許第5766903
号明細書、米国特許第5712128号明細書、米国特許第5426180号明細書、米
国特許出願公開第20100137407号明細書、国際公開第1992001813号
パンフレット及び国際公開第2010084371号パンフレットを参照されたい)。
【0256】
[0344] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、生成不純物、例えば遊
離リボ核酸、線状又はニックRNA、DNA、タンパク質などを除去するために、生成後
にクリーンアップされ得る。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、当該
技術分野において一般的に使用される任意の公知の方法によって精製され得る。非限定的
な精製方法の例としては、カラムクロマトグラフィー、ゲル排除、サイズ排除などが挙げ
られる。
【0257】
医薬組成物
[0345] 本発明は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた組成物を含む
。医薬組成物1つ以上のさらなる活性物質、例えば治療的及び/又は予防的に活性な物質
を任意選択的に含み得る。本発明の医薬組成物は、滅菌されており且つ/又はパイロジェ
ンフリーであり得る。医薬品の製剤化及び/又は製造における概論は、例えば、Remi
ngton:The Science and Practice of Pharma
cy 21st ed.,Lippincott Williams&Wilkins,
2005(参照により本明細書に援用される)に見られる。
【0258】
[0346] 本明細書において提供される医薬組成物の説明は、主に、ヒトへの投与に好適
な医薬組成物に関するが、このような組成物は、一般に、任意の他の動物、例えば非ヒト
動物、例えば非ヒト哺乳動物への投与に好適であることが当業者によって理解されるであ
ろう。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な医薬組成
物の変更は、十分に理解されており、通常の技能を有する獣医薬理学者は、あったとして
も通常の実験のみでこのような変更を設計及び/又は行うことができる。医薬組成物の投
与が想定される対象としては、限定はされないが、ヒト及び/又は他の霊長類;家禽、ニ
ワトリ、カモ、ガチョウ及び/又はシチメンチョウなどの商業的に関連する鳥類を含むウ
シ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス及び/又はラット;及び/又は鳥類などの
商業的に関連する哺乳動物を含む哺乳動物が挙げられる。
【0259】
[0347] 本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学の技術分野において公知で
あるか又は今後開発される任意の方法によって調製され得る。一般に、このような調製方
法は、有効成分を賦形剤及び/又は1つ以上の他の補助成分と組み合わせて、次に必要に
応じて及び/又は望ましい場合、生成物を分割、成形及び/又は包装する工程を含む。
【0260】
発現の方法
[0348] 本発明は、タンパク質発現のための方法であって、本明細書において提供され
る環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域を翻訳することを含む方法を含む。
【0261】
[0349] ある実施形態において、タンパク質発現のための方法は、ポリペプチドへの、
環状ポリリボヌクレオチドの全長の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも3
0%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少
なくとも80%、少なくとも90%又は少なくとも95%の翻訳を含む。ある実施形態に
おいて、タンパク質発現のための方法は、少なくとも5アミノ酸、少なくとも10アミノ
酸、少なくとも15アミノ酸、少なくとも20アミノ酸、少なくとも50アミノ酸、少な
くとも100アミノ酸、少なくとも150アミノ酸、少なくとも200アミノ酸、少なく
とも250アミノ酸、少なくとも300アミノ酸、少なくとも400アミノ酸、少なくと
も500アミノ酸、少なくとも600アミノ酸、少なくとも700アミノ酸、少なくとも
800アミノ酸、少なくとも900アミノ酸又は少なくとも1000アミノ酸のポリペプ
チドへの、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳を含む。ある実施形態において、タンパク質
発現のための方法は、約5アミノ酸、約10アミノ酸、約15アミノ酸、約20アミノ酸
、約50アミノ酸、約100アミノ酸、約150アミノ酸、約200アミノ酸、約250
アミノ酸、約300アミノ酸、約400アミノ酸、約500アミノ酸、約600アミノ酸
、約700アミノ酸、約800アミノ酸、約900アミノ酸又は約1000アミノ酸のポ
リペプチドへの、環状ポリリボヌクレオチドの翻訳を含む。ある実施形態において、本方
法は、本明細書において提供される連続したポリペプチド、本明細書において提供される
別個のポリペプチド又はその両方への環状ポリリボヌクレオチドの翻訳を含む。
【0262】
[0350] ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は
、ウサギ網状赤血球溶解物など、インビトロで行われる。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は、例えば、真核細胞のトランスフェクショ
ン又は細菌などの原核細胞の形質転換後、インビボで行われる。
【0263】
[0351] ある態様において、本開示は、対象における1つ以上の発現配列のインビボ発
現の方法であって、1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞に
投与する工程と;細胞内の環状ポリリボヌクレオチドから1つ以上の発現配列を発現する
工程とを含む方法を提供する。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、後
の時点での細胞内における1つ以上の発現配列の発現が前の時点と等しいか又はそれより
多いように構成される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくと
も7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、23日間又はそれを超える
期間にわたる細胞内における1つ以上の発現配列の発現が約40%を超えて低下しないよ
うに構成される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内における
1つ以上の発現配列の発現が、少なくとも7、8、9、10、12、14、16、18、
20、22、23日間又はそれを超えて、約40%を超えて変化しないレベルに維持され
るように構成される。ある実施形態において、環状ポリリボヌクレオチドの投与は、本明
細書に記載される任意の送達方法を用いて行われる。ある実施形態において、環状ポリリ
ボヌクレオチドは、静脈注射によって対象に投与される。ある実施形態において、環状ポ
リリボヌクレオチドの投与としては、限定はされないが、出産前投与、新生児期投与、出
生後投与、経口、注入によるもの(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮内、皮下及び筋
肉内)、眼内投与及び鼻腔内投与によるものが挙げられる。
【0264】
[0352] ある実施形態において、タンパク質発現のための方法は、翻訳産物の修飾、折
り畳み又は他の翻訳後修飾を含む。ある実施形態において、タンパク質発現のための方法
は、例えば、細胞機構を介したインビボでの翻訳後修飾を含む。
【0265】
[0353] 本明細書に引用される全ての参考文献及び刊行物は、参照により本明細書に援
用される。
[0354] 上述される実施形態は、上記の機能特性を得るために組み合わされ得る。これ
は、得られる例示的な組合せ及び機能特性を記載する以下の実施例によっても示される。
表1は、上述される様々な要素がどのように組み合わされ得るか、及び観察される機能特
性を示す例示的な概要を示す。
【0266】
【表1-1】
【0267】
【表1-2】
【実施例0268】
[0355] 以下の実施例は、本発明のある実施形態をさらに例示するために提供されるが
、本発明の範囲を限定することを意図されておらず;それらの例示的な性質により、当業
者に公知の他の手順、方法又は技術が代わりに使用され得ることが理解されるであろう。
【0269】
実施例1:インビトロ環状RNA生成
[0356] この実施例は、環状RNAのインビトロ生成を実証する。
【0270】
[0357] 図2に示されるように、環状RNAは、開始コドン(配列番号1)、ORF(
配列番号2)、スタガー要素(配列番号3)、エンクリプトゲン(配列番号4)及びIR
ES(配列番号5)を用いて設計される。環状化は、ローリングサークル型翻訳、別個の
ORF発現及び制御されたタンパク質化学量論のための交互のスタガー要素を有する複数
のオープンリーディングフレーム(ORF)、RNA免疫原性を弱めるか又は軽減するた
めのエンクリプトゲン及びポリ-A配列なしでリボソーム進入のためのRNAを標的にす
る任意選択のIRESを可能にする。
【0271】
[0358] この実施例において、環状RNAは、以下のように生成される。非修飾線状R
NAは、5’-及び3’-ZKSCAN1イントロン及び2A配列に連結されたGFPを
コードするORFを有するDNAセグメントから、T7 RNAポリメラーゼを用いてイ
ンビトロ転写によって合成される。転写されたRNAがRNA精製システム(キアゲン)
を用いて精製され、製造業者の説明に従ってアルカリホスファターゼ(サーモフィッシャ
ーサイエンティフィック、EF0652)で処理され、RNA精製システムを用いて再度
精製される。
【0272】
[0359] スプリントライゲーション環状RNAは、T4 DNAリガーゼ(New E
ngland Bio,Inc.、M0202M)を用いて転写された線状RNA及びD
NAスプリントの処理によって生成され、環状RNAは、RNase R処理による富化
後、単離される。RNA品質がアガロースゲル又は自動化電気泳動(Agilent)に
よって評価される。
【0273】
実施例2:インビボ環状RNA生成、細胞培養
[0360] この実施例は、環状RNAのインビボ生成を実証する。
【0274】
[0361] GFP(配列番号2)が発現ベクター、例えばpcDNA3.1(+)(Ad
dgene)(配列番号6)にクローニングされる。図3に示されるように、このベクタ
ーは、細胞内での環状RNA生成を誘発するように突然変異誘発される(配列番号6及び
Kramer et al 2015によって記載される)。
【0275】
[0362] HeLa細胞を、ペニシリン-ストレプトマイシン及び10%のウシ胎仔血清
が補充された、高グルコース(ライフテクノロジーズ)を含むダルベッコ改変イーグル培
地(DMEM)中において、37℃及び5%のCOで成長させる。1μgの上記の発現
プラスミドを、脂質トランスフェクション試薬(ライフテクノロジーズ)を用いてトラン
スフェクトし、トランスフェクト細胞からの全RNAを、トランスフェクションの1時間
~20日後、製造業者の説明に従ってフェノール系RNA単離試薬(ライフテクノロジー
ズ)を用いて単離する。
【0276】
[0363] GFP環状RNA及びmRNAレベルを測定するために、ランダムヘキサマー
を用いたqPCR逆転写が行われる。要するに、RT-qPCRのために、同じ供給源か
らのHela細胞の全RNA及びRNase R-消化RNAがRT-PCRのための鋳
型として使用される。GFP mRNA及び環状GFP RNAのcDNAを調製するた
めに、逆転写反応は、製造業者の説明に従って逆転写酵素(Super-Script
II:RNase H;インビトロジェン)及びランダムヘキサマーを用いて行われる。
増幅されたPCR産物が6%のPAGEを用いて分析され、臭化エチジウム染色によって
視覚化される。富化因子を推定するために、PCR産物がデンシトメトリー(Image
Quant;Molecular Dynamics)によって定量化され、全RNAサ
ンプルの濃度がUV吸光度によって測定される。
【0277】
[0364] さらなるRNA測定がノーザンブロット分析を用いて行われる。簡潔には、全
細胞抽出物を、フェノール系試薬(TRIzol)を用いて得るか、又は核及び細胞質タ
ンパク質抽出物を市販のキット(CelLytic NuCLEAR Extracti
on Kit、シグマ)を用いて細胞の分画によって得る。RNAポリメラーゼII転写
を阻害するために、細胞を37℃で0~6時間にわたってフラボピリドール(1mMの最
終濃度;シグマ)で処理する。RNase R処理のために、10mgの全RNAを37
℃で1時間にわたって20UのRNase R(Epicentre)で処理する。
【0278】
[0365] オリゴヌクレオチドプローブを用いたノーザンブロットが以下のように行われ
る。オリゴヌクレオチドプローブ、PCRプライマーが標準的なプライマー設計ツールを
用いて設計される。T7プロモータ配列がリバースプライマーに加えられて、インビトロ
転写反応におけるアンチセンスプローブが得られる。インビトロ転写は、製造業者の説明
に従ってDIG-RNA標識用ミックスを用いて、T7 RNAポリメラーゼを用いて行
われる。DNA鋳型がDNA I消化によって除去され、RNAプローブがフェノールク
ロロホルム抽出及びその後の沈殿によって精製される。プローブは、50ng/mlで使
用される。全RNA(2μg~10μg)を、グリオキサールローディングダイ(アンビ
オン)を用いて変性させ、MOPS緩衝液中1.2%のアガロースゲル上で分解させる。
ゲルを20分間にわたって1×TBEに浸漬させ、セミドライブロッティングシステム(
バイオラッド)を用いて1時間(15V)にわたってHybond-N+膜(GEヘルス
ケア)に移す。膜を乾燥させ、120,000μJ/cmで1回、(265nmで)U
V架橋させる。プレハイブリダイゼーションを1時間にわたって68℃で行い、DIGで
標識したインビトロで転写されたRNAプローブを一晩ハイブリダイズする。膜を30分
間にわたって68℃において2×SSC、0.1%のSDSで3回洗浄した後、68℃に
おいて0.2×SSC、0.1%のSDSで30分間3回洗浄する。免疫検出は、アルカ
リホスファターゼ抗体と直接共役された抗DIGを用いて行われる。免疫活性ビースは、
化学発光アルカリホスファターゼ基質(CDP star試薬)並びに画像検出及び定量
化システムLAS-4000検出システム)を用いて視覚化される。
【0279】
実施例3:環状RNAの調製及びインビトロ翻訳
[0366] この実施例は、環状RNAからの遺伝子産物の遺伝子発現及び検出を実証する
【0280】
[0367] この実施例において、環状RNAは、開始コドン(配列番号1)、GFP O
RF(配列番号2)、スタガー要素(配列番号3)、ヒト由来エンクリプトゲン(配列番
号4)を用いて、且つIRES(配列番号5)を用いて若しくは用いずに設計される(図
4を参照されたい)。この実施例において、環状RNAは、実施例1及び2に記載される
ように、インビトロで又は細胞内で生成される。
【0281】
[0368] 環状RNAを30℃においてウサギ網状赤血球溶解物(プロメガ、米国ウイス
コンシン州フィッツバーグ)中で5時間又は一晩インキュベートする。反応混合物の最終
組成物は、70%のウサギ網状赤血球溶解物、10μMのメチオニン及びロイシン、20
μMのメチオニン及びロイシン以外のアミノ酸及び0.8U/μLのRNase阻害剤(
東洋紡、大阪)を含む。アリコートを混合物から取り、10~20%の勾配のポリアクリ
ルアミド/ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲル(アトー、東京)上で分離させる。上
清を除去し、ペレットを2×SDSサンプル緩衝液(0.125Mのトリス-HCl、p
H6.8、4%のSDS、30%のグリセロール、5%の2-メルカプトエタノール、0
.01%のブロモフェノールブルー)に70℃で15分間溶解させる。ヘモグロビンタン
パク質がこのプロセス中に除去される一方、ヘモグロビン以外のタンパク質が濃縮される
【0282】
[0369] 5分間にわたる1,400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の勾配の
ポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析する。市販の標準(バイオラッド)がサイズマ
ーカーとして使用される。セミドライ方法を用いてポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜
(ミリポア)に電気泳動転写された後、ブロットが化学発光キット(Rockland)
を用いて視覚化される。
【0283】
[0370] GFPタンパク質が細胞溶解物中で視覚化され、ローリングサークル型翻訳の
結果として、線状RNAより環状RNA中で多い量で検出されることが予測される。
【0284】
実施例4:環状RNAからの化学量論的タンパク質発現
[0371] この実施例は、タンパク質を化学量論的に発現する環状RNAの能力を実証す
る。
【0285】
[0372] この実施例において、1つの環状RNAは、エンクリプトゲン(配列番号4)
及びGFPをコードするORF(配列番号2)及びRFPをコードするORF(配列番号
8)を、GFP及びRFP ORFに隣接するスタガー要素(配列番号3)と共に含むよ
うに設計される(図5を参照されたい)。別の環状RNAが同様に設計されるが、隣接す
る2A配列の代わりに、それは、GFP及びRFP ORF間に終止及び開始コドンを有
する。環状RNAは、実施例1及び2に記載されるように、インビトロで又は細胞内で生
成される。
【0286】
[0373] 環状RNAを30℃においてウサギ網状赤血球溶解物(プロメガ、米国ウイス
コンシン州フィッツバーグ)中で5時間又は一晩インキュベートする。反応混合物の最終
組成物は、70%のウサギ網状赤血球溶解物、10μMのメチオニン及びロイシン、20
μMのメチオニン及びロイシン以外のアミノ酸及び0.8U/μLのRNase阻害剤(
東洋紡、大阪)を含む。アリコートを混合物から取り、10~20%の勾配のポリアクリ
ルアミド/ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ゲル(アトー、東京)上で分離させる。上
清を除去し、ペレットを2×SDSサンプル緩衝液(0.125Mのトリス-HCl、p
H6.8、4%のSDS、30%のグリセロール、5%の2-メルカプトエタノール、0
.01%のブロモフェノールブルー)に70℃で15分間溶解させる。ヘモグロビンタン
パク質がこのプロセス中に除去される一方、ヘモグロビン以外のタンパク質が濃縮される
【0287】
[0374] 5分間にわたる1,400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の勾配の
ポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析する。市販の標準(バイオラッド)がサイズマ
ーカーとして使用される。セミドライ方法を用いてポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜
(ミリポア)に電気泳動転写された後、ブロットが化学発光キット(Rockland)
を用いて視覚化される。
【0288】
[0375] GFP及びRFP ORFが終止及び開始コドンによって隔てられていない環
状RNAは、いずれのタンパク質も等量で有する一方、ORF間に開始及び終止コドンを
含む環状RNAで処理された細胞は、いずれのタンパク質も異なる量で有することが予測
される。
【0289】
実施例5:細胞培養物における非免疫原性
[0376] この実施例は、細胞感染後の環状RNAの免疫原性のインビボ評価を実証する
【0290】
[0377] この実施例において、環状RNAは、エンクリプトゲン、例えばZKSCAN
1イントロン及びGFP ORFを含むように設計される。さらに、対照環状RNAは、
イントロンを含むか又は含まずに、GFP ORFを含むように設計される(図6を参照
されたい)。環状RNAは、実施例1及び2に記載されるように、インビトロで又は細胞
内で生成される。HeLa細胞が500ngの環状RNAでトランスフェクトされる。
【0291】
[0378] 環状RNAのトランスフェクションは、以下の条件を含む:(1)細胞培養培
地中の裸の環状RNA(Lingor et al 2004);(2)エレクトロポレ
ーション(Muller et al 2015);(3)カチオン性脂質(SNALP
、Vaxfectin)(Chesnoy and Huang,2000);(3)カ
チオン性ポリマー(PEI、ポリブレン、DEAE-デキストラン)(Turbofec
t);(4)ウイルス様粒子(HPVからのL1、ポリオーマウイルスからのVP1)(
Tonges et al 2006);(5)エクソソーム(SBIからのExo-F
ect);(6)ナノ構造リン酸カルシウム(ナノCaP)(Olton et al
2006);(6)ペプチド形質導入ドメイン(TAT、ポリR、SP、pVEC、Sy
nB1など)(Zhang et al 2009);(7)小胞(VSV-G、TAM
EL)(Liu et al 2017);(8)細胞スクイージング;(SQZ Bi
otechnologies)(9)ナノ粒子(Neuhaus et al 2016
);及び/又は(10)マグネトフェクション(Mair et al 2009)。ト
ランスフェクション方法が細胞培養培地(DMEM 10%のFBS)中で行われ、細胞
が、その後、24~48時間にわたって培養される。
【0292】
[0379] トランスフェクションの2~48時間後、培地が除去され、示されるRNA及
びトランスフェクトされたRNAの相対的発現がqRT-PCRによって測定される。
[0380] qRT-PCR分析の場合、全RNAは、製造業者の説明に従ってフェノール
系RNA単離溶液(TRIzol)及びRNA(キアゲン)を用いて、細胞から単離され
る。qRT-PCR分析は、PCRマスターミックス(Brilliant II SY
BR Green qRT-PCR Master Mix)及びPCRサイクラー(L
ightCycler 480)を用いて3連で行われる。RIG-I、MDA5、OA
S、OASL及びPKRなどの周知の自然免疫調節因子のmRNAレベルが定量化され、
アクチン、GAPDH又はHPRT値に対して正規化される。環状RNAトランスフェク
ションについての示されるRNA遺伝子の相対的発現は、トランスフェクトされたRNA
のレベルによって正規化され、エンクリプトゲンを含有しない環状RNAトランスフェク
ションによる細胞の発現レベルと比較される。
【0293】
[0381] qRT-PCR分析に加えて、実施例4に上述されるように、ウエスタンブロ
ット分析及び免疫組織化学を用いて、GFP発現効率を評価する。
[0382] エンクリプトゲンを含有するGFP陽性細胞は、弱められた免疫原性応答を示
すことが予測される。
【0294】
[0383] さらに、(1)初代マウス樹枝状細胞;(2)TLR-7、8又は9を安定的
に発現するヒト胚腎臓293細胞(InvivoGen);(3)単球由来樹枝状細胞(
AllCells)、又は(4)Raw 264.7細胞は、上述されるようにGFPを
コードする環状RNAを生成するZKSCAN1又はtdイントロンを含むDNAプラス
ミドでトランスフェクトされる。トランスフェクションの6~48時間後、細胞培養物上
清が収集され、サイトカイン発現がELISAを用いて測定される。細胞培養物上清が収
集されるとき、細胞がノーザンブロット、遺伝子発現アレイ及びFACS分析のために収
集される。
【0295】
[0384] ELISAの場合、インターフェロン-β(IFN-β)、ケモカイン(C-
Cモチーフ)リガンド5(CCL5)、IL-12(BDバイオサイエンス)、IFN-
α、TNF-α及びIL-8(Biosource International)のた
めのELISAキットが使用される。ELISAが製造業者の推奨に従って行われる。環
状RNAトランスフェクト細胞についての示されるサイトカインの発現が対照RNAトラ
ンスフェクト細胞のレベルと比較される。エンクリプトゲンを有する環状RNAでトラン
スフェクトされた細胞は、対照トランスフェクト細胞と比較して低下されたサイトカイン
発現を有することが予測される。
【0296】
[0385] ノーザンブロット分析の場合。サンプルを処理し、上述されるように分析する
。プローブは、プラスミドから得られ、ヒトIFN-α 13、IFN-β(Open
Biosystems)、TNF-α又はGAPDH(ATCC)のコード領域に特異的
である。エンクリプトゲンを有する環状RNAでトランスフェクトされた細胞は、対照ト
ランスフェクト細胞と比較して低下されたサイトカイン発現を有することが予測される。
【0297】
[0386] 遺伝子発現アレイの場合、RNAがフェノール系溶液(TRIzol)及び/
又はRNA単離キット(RNeasy、キアゲン)を用いて単離される。RNAを増幅し
、分析する(例えば、Illumina BeadStation 500GX中のIl
luminaヒトHT12v4チップ)。モック対照処理細胞におけるレベルが増加倍数
の計算のためのベースラインとして使用される。エンクリプトゲンを有する環状RNAで
トランスフェクトされた細胞は、対照トランスフェクト細胞と比較して低下されたサイト
カイン発現を有することが予測される。
【0298】
[0387] FACS分析の場合、細胞をCD83(Research Diagnost
ics Inc)、HLA-DR、CD80又はCD86に対する直接共役抗体で染色し
、フローサイトメーターにおいて分析する。エンクリプトゲンを有する環状RNAでトラ
ンスフェクトされた細胞は、対照トランスフェクト細胞と比較して、これらのマーカーの
低下された発現を示すことが予測される。
【0299】
実施例6:選択的発現のためのリボスイッチ
[0388] この実施例は、インビボの環状RNAからのタンパク質発現を制御する能力を
実証する。
【0300】
[0389] この実施例では、環状RNAは、エンクリプトゲン(配列番号4)、GFPを
コードするORF(配列番号2)の発現を調節する合成リボスイッチ(配列番号9)を、
GFP ORFに隣接するスタガー要素(2A配列)(配列番号3)と共に含むように設
計される(図7を参照されたい)。環状RNAは、実施例1及び2に記載されるように、
インビトロで又は細胞内で生成される。
【0301】
[0390] テオフィリンは、リボスイッチの活性化を誘導して、遺伝子発現のオフスイッ
チをもたらす(Auslander et al 2010によって記載されるように)
。リボスイッチは、環状RNAからのGFP発現を制御することが予測される。テオフィ
リンの存在下でGFP発現が観察されることは予測されなかった。
【0302】
[0391] HeLa細胞を、テオフィリン依存性合成リボスイッチ(配列番号9)の制御
下でGFPをコードする500ngの記載される環状RNAでトランスフェクトして、選
択的発現を評価する。トランスフェクション方法は、実施例5に記載されるとおりである
【0303】
[0392] 37℃及び5%のCOで24時間の培養後、細胞を、1nM~3mMの範囲
の濃度のテオフィリンを用いて及び用いずに処理する。24時間の連続した培養後、細胞
を室温で15分間にわたって4%のパラホルムアルデヒド中で固定し、ブロックし、0.
2%の洗浄剤を含むPBS中の10%のFBSを用いて45分間にわたって透過処理する
。次に、サンプルを、GFPに対する一次抗体(インビトロジェン)及び10%のFBS
及び0.1%の洗浄剤を含むPBS中のAlexa 488及びDAPI(インビトロジ
ェン)と共役された二次抗体と共に室温で2時間又は4℃で一晩インキュベートする。次
に、細胞をPBSで洗浄し、その後、蛍光顕微鏡を用いてGFP発現について分析する。
【0304】
実施例7:インビボ発現
[0393] この実施例は、インビボの環状RNAからタンパク質を発現する能力を実証す
る。
【0305】
[0394] この実施例では、環状RNAは、エンクリプトゲン(配列番号4)及びGFP
をコードするORF(配列番号2)又はRFP(配列番号8)又はルシフェラーゼ(配列
番号10)を、GFP、RFP又はルシフェラーゼORFに隣接するスタガー要素(配列
番号3)と共に含むように設計される(図8を参照されたい)。環状RNAは、実施例1
及び2に記載されるように、インビトロで又は細胞内で生成される。
【0306】
[0395] 6~8週齢の雄BALB/cマウスに、300mg/kg(6mg)の環状R
NA(50μL容量)を、本明細書に記載されるGFP、RFP若しくはルシフェラーゼ
ORF又は対照としての線状RNAと共に皮内(ID)、筋肉内(IM)、経口(PO)
、腹腔内(IP)又は静脈内(IV)投与によって投与する。動物に単回投与又は3回の
注入(1日目、3日目、5日目)を与える。
【0307】
[0396] 血液、心臓、肺、脾臓、腎臓、肝臓及び皮膚注入部位を非投与対照マウスから
、且つ投与の2、4、8、24、48、72、96、120、168及び264時間後の
時点(n=4匹のマウス/時点)で採取する。血液サンプルを試験の終了時に頸静脈穿刺
から採取する。
【0308】
[0397] 血清及び組織の両方についての環状RNA定量化が分岐DNA(bDNA)(
Panomics/Affymetrix)の定量化を用いて行われる。公知の量のRN
A(非処理の組織サンプルに加えられる)の各プレートに関する標準曲線は、処理された
組織中のRNAを定量化するために使用される。ピコグラム(pg)単位で計算される量
は、プレートに適用される溶解物中の計量された組織の量に対して正規化される。タンパ
ク質発現(RFP又はGFP)は、前の実施例に記載されるように、各組織におけるFA
CS又はウエスタンブロットによって評価される。
【0309】
[0398] ルシフェラーゼ環状RNAを投与されたマウスの別の群に3mgのルシフェリ
ンを投与の6、24、48、72及び96時間後の時点で注入し、動物をインビボイメー
ジングシステム(IVIS Spectrum、パーキンエルマー)においてイメージン
グする。投与の6時間後の時点で3匹の動物を殺処分し、解剖し、筋肉、皮膚、流入領域
リンパ節、肝臓及び脾臓をエクスビボでイメージングする。
【0310】
[0399] マウスは、処理された組織においてGFP、RFP又はルシフェラーゼを発現
することが予測される。
【0311】
実施例8:インビボ生体内分布
[0400] この実施例は、インビボの環状RNAの生体内分布を制御及び測定する能力を
実証する。
【0312】
[0401] この実施例において、マウスを、実施例9に記載されるように、ルシフェラー
ゼをコードする環状RNAで処理する。要するに、環状RNAは、エンクリプトゲン(配
列番号4)及びルシフェラーゼをコードするORF(配列番号10)を、ルシフェラーゼ
ORFに隣接するスタガー要素(配列番号3)と共に含むように設計される(図9を参照
されたい)。環状RNAは、実施例1及び2に記載されるように、インビトロで又は細胞
内で生成される。
【0313】
[0402] マウスにルシフェラーゼ環状RNAを投与し、投与の6、24、48、72及
び96時間後の時点で3mgのルシフェリンを注入し、動物をインビボイメージングシス
テム(IVIS Spectrum、パーキンエルマー)においてイメージングする。投
与の6時間後の時点で3匹の動物を殺処分し、解剖し、筋肉、皮膚、流入領域リンパ節、
肝臓及び脾臓をエクスビボでイメージングする。
【0314】
[0403] 血清及び組織の両方についての環状RNA定量化が分岐DNA(bDNA)(
Panomics/Affymetrix)の定量化を用いて行われる。公知の量のRN
A(非処理の組織サンプルに加えられる)の各プレートに関する標準曲線は、処理された
組織中のRNAを定量化するために使用される。ピコグラム(pg)単位で計算される量
は、プレートに適用される溶解物中の計量された組織の量に対して正規化される。
【0315】
[0404] 6~8週齢の雄BALB/cマウスの別の群に筋肉内(IM)又は皮内(ID
)投与によって4つの用量レベル:10、2、0.4及び0.08mgでルシフェラーゼ
環状RNAを投与する(1群当たりn=6)。投与の6、24、48、72及び96時間
後の時点で動物に3mgのルシフェリンを注入し、インビボイメージングシステム(IV
IS Spectrum、パーキンエルマー)においてイメージングする。投与の6時間
後の時点で3匹の動物を殺処分し、解剖し、筋肉、皮膚、流入領域リンパ節、肝臓及び脾
臓をエクスビボでイメージングする。また、マウスからの組織を、実施例9に記載される
ように、ルシフェラーゼ発現について評価し、この発現の組織分布を分析する。
【0316】
[0405] マウスは、処理された組織においてルシフェラーゼの発現を示すことが予測さ
れる。
【0317】
実施例9:インビボでの非免疫原性
[0406] この実施例は、細胞感染後の環状RNAの免疫原性のインビボ評価を実証する
【0318】
[0407] この実施例は、エンクリプトゲンを有する環状RNAの投与後の免疫応答の定
量化及び比較を記載している(図10を参照されたい)。一実施形態において、エンクリ
プトゲンを有する環状RNAのいずれも、対照と比較して、環状RNAの1回以上の投与
後、免疫原性応答を低下させる(例えば、対照RNAの投与と比較して低下させる)。
【0319】
[0408] 環状RNAについての免疫原性の指標は、血清中のサイトカインレベルである

[0409] この実施例において、サイトカイン血清濃度が環状RNAの1回以上の投与後
に調べられる。前の実施例のいずれか1つからの環状RNAが皮内(ID)、筋肉内(I
M)、経口(PO)、腹腔内(IP)又は静脈内(IV)を介して6~8週齢のBALB
/cマウスに投与される。血清が異なるコホートから抜き取られる:エンクリプトゲンを
有する環状RNA及びエンクリプトゲンを有さない環状RNAの注射を全身及び/又は局
所的に注入されたマウス。
【0320】
[0410] 採取された血清サンプルをPBS中で1~10倍に希釈し、酵素結合免疫吸着
法(PBL Biomedical Labs、ニュージャージー州ピスカタウェイ)及
びTNF-α(R&D、ミネソタ州ミネアポリス)により、マウスIFN-αについて分
析する。
【0321】
[0411] 血清中のサイトカインレベルに加えて、炎症マーカーの発現は、免疫原性の別
の指標である。この実施例において、ビヒクル(環状RNAなし)、線状RNA又は環状
RNAで処理されたマウスからの脾臓組織を投与の1、4及び24時間後に採取する。サ
ンプルを、以下の技術、qRT-PCR分析、ノーザンブロット又はFACS分析を用い
て分析する。
【0322】
[0412] qRT-PCR分析の場合、RIG-I、MDA5、OAS、OASL、TN
F-α及びPKRについてのmRNAレベルを上述されるように定量化する。
[0413] ノーザンブロット分析の場合。サンプルを処理し、上述されるようにIFN-
α 13、IFN-β(Open Biosystems)、TNF-α又はGAPDH
(ATCC)について分析する。
【0323】
[0414] FACS分析の場合、細胞をCD83に対する直接共役抗体(Researc
h Diagnostics Inc)、HLA-DR、CD80又はCD86で染色し
、フローサイトメーターにおいて分析する。
【0324】
[0415] 一実施形態において、エンクリプトゲンを有する環状RNAは、対照RNAと
比較して、1回又は複数回の投与後、サイトカインレベルを低下させるであろう(ELI
SA、ノーザンブロット、FACS及び/又はqRT-PCRによって測定される際)。
【0325】
実施例10:環状RNAは、少なくとも1つの二本鎖RNAセグメントを含む
[0416] この実施例は、環状RNAが少なくとも1つの二本鎖RNAセグメントを含む
ことを実証する。
【0326】
[0417] この実施例において、環状RNAは、上述される方法の1つにより、GFP
ORF及びIRESを含むように合成される(図11を参照されたい)。J2及びK1モ
ノクローナル抗体によるドットブロットアッセイを用いて、少なくとも40bpの長さの
二本鎖RNA構造を測定する。環状RNA(200ng)をナイロン膜(スーパーチャー
ジ(supercharged)Nytran)上にブロッティングし、乾燥させ、TBS-T緩衝
液(50mMのトリス-HCl、150mMのNaCl、0.05%のTween-20
、pH7.4)中5%の脱脂粉乳でブロックし、60分間にわたってdsRNA特異的m
Ab J2又はK1(English&Scientific Consulting)
と共にインキュベートする。膜をTBS-Tで6回洗浄し、次にHRP共役ロバ抗マウス
Ig(Jackson Immunology)で処理し、次に6回洗浄し、ドットを、
増強化学発光ウエスタンブロット検出試薬(アマシャム)を用いて視覚化する。
【0327】
[0418] 環状RNAは、内部の疑似二本鎖RNAセグメントを生成することが予測され
る。
【0328】
[0419] 実施例11:環状RNAは、疑似二本鎖構造を含む
[0420] この実施例は、環状RNAが疑似二本鎖構造を含むことを実証する。
【0329】
[0421] この実施例において、環状RNAは、HDVminの発現の追加を伴って及び
伴わずに、上述される方法の1つによって合成される(Griffin et al 2
014)。このRNA配列は、疑似らせん構造を形成し(図12を参照されたい)、陽性
対照として使用される(Griffin et al 2014によって示されるように
)。
【0330】
[0422] 環状RNA構造が機能的疑似二本鎖構造を含むかどうかを試験するために、本
発明者らは、プライマー伸長(SHAPE)によって分析される選択的2’OHアシル化
を用いて二次構造を決定する。SHAPEは、単一ヌクレオチド分解におけるRNAの局
所的骨格柔軟性を評価する。SHAPE求電子剤に対する塩基位置の反応性は、二次構造
に関連している:塩基対合された位置は、反応性が弱く、非対合位置は、より反応性が高
い。
【0331】
[0423] SHAPEが環状RNA、HDVmin及び線状RNAにおいて行われる。S
HAPEは、それぞれWilkinson et al 2006及びGriffin
2014 et alによって本質的に報告されるN-メチルイサト酸無水物(NMIA
)又はシアン化ベンゾイル(BzCN)を用いて行われる。BzCNを用いたSHAPE
について簡潔に述べると、ジメチルスルホキシド(DMSO)中の1μlの800mMの
BzCNを、160mMのトリス、pH8.0、1U/lのRNAse阻害剤(例えば、
SuperaseIn RNase阻害剤)中の3~6pmolのRNAを含有する20
μlの反応混合物に加え、37℃で1分間インキュベートする。対照反応混合物は、Bz
CNなしで1μlのDMSOを含む。BzCNとのインキュベーション後、RNAをフェ
ノールクロロホルムで抽出し、製造業者によって指示されるように精製し(例えば、RN
A Clean&Concentrator-5キットを用いて)、6μlの10mMの
トリス、pH8.0中で再懸濁させる。一染料系を用いて、BzCN付加物を検出する。
RNAを、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)で標識されたプライマーでアニ
ールする。プライマー伸長は、インキュベーション条件に対する以下の変更を伴い、製造
業者の推奨に従って逆転写酵素(SuperScript III、インビトロジェン)
を用いて行われる:42℃で5分、55℃で30分、65℃で25分及び75℃で15分
。2つのシーケンシングラダーは、プライマー伸長反応において0.5mMのddATP
又は0.5mMのddCTPのいずれかを用いて生成される。プライマー伸長産物をエタ
ノールで沈殿させ、洗浄して、過剰な塩を除去し、市販のサイズ標準(例えば、Lizサ
イズ標準Genewiz Fragment Analysis Service)と共
にキャピラリー電気泳動によって分解する。
【0332】
[0424] そのままの電気泳動図を、一次フラグメント分析ツール(例えば、PeakS
canner、アプライドバイオシステムズ)を用いて分析する。次に、電気泳動図の各
位置におけるピークを積分する。分析される各RNAについて、各プライマー伸長反応の
ためのバックグラウンドが、BzCNで処理されないRNAにおいて行われる陰性対照反
応のバックグラウンドに対して正規化されるように、ローディングエラー(loading erro
r)を補正するためのy軸スケーリングが行われる。シグナル減衰補正が各反応について
データに適用される。ピークは、2つのシーケンシング反応から生成されるラダーに整列
される。各位置において、陰性対照のピーク面積が、BzCN処理されたサンプルにおけ
るピーク面積から差し引かれ;次に、これらの値が、差し引かれたピーク面積を、差し引
かれたピーク面積の上位2%~10%の平均で除算することにより、正規化SHAPE反
応性に換算される。
【0333】
[0425] SHAPE分析に加えて、本発明者らは、NMR(Marchanka et
al 2015);ヒドロキシル基プロービング(Ding et al 2012)
;又はDMS及びCMTC及びケトキサールの組合せ(Tijerina et al
2007及びZiehler et al 2001)を行う。
【0334】
[0426] 環状RNAは、疑似二本鎖構造を有することが予測される。
【0335】
実施例12:環状RNAは、機能的疑似らせん構造を含む
[0427] この実施例は、環状RNAが機能的疑似らせん構造を含むことを実証する。
【0336】
[0428] この実施例において、環状RNAは、395Lの発現の追加を伴い、上述され
る方法の1つによって合成される(Defenbaugh et al 2009)。こ
のRNA配列は、疑似らせん構造(上に示されるように、RNA二次構造折り畳みアルゴ
リズムmfold及びDefenbaugh et al 2009によって)、図13
。この構造は、D型肝炎抗原(HDAg)との複合体形成に必須である。
【0337】
[0429] したがって、環状RNA構造が機能的疑似構造を含むかどうかを試験するため
に、本発明者らは、環状RNA及び線状RNAを、HDAg-160又はHDAg-19
5と共にインキュベートし、EMSAアッセイを用いて結合を分析する。結合反応を、1
0mMのトリス-HCl(pH7.0)、25mMのKCl、10mMのNaCl、0.
1g/lのウシ血清アルブミン(ニュー・イングランド・バイオラボ)、5%のグリセロ
ール、0.5mMのDTT、0.2U/lのRNase阻害剤(アプライドバイオシステ
ムズ)及び1mMのフッ化フェニルメチルスルホニル溶液を含む25μl中で行う。環状
RNAを0~110nMの範囲の濃度のHDAgタンパク質(Defenbaugh e
t al 2009によって記載されるように得られた)と共にインキュベートする。反
応混合物を氷上で集めて、37℃で1時間インキュベートし、2.5時間にわたって24
0Vで0.5トリス-ボレート-EDTA中において6%の天然ポリアクリルアミドゲル
上で電気泳動させる。遊離及び結合RNAのレベルを、核酸染色(例えば、ゲルレッド(
gelred))を用いて決定する。結合は、バックグラウンドを差し引いた全レーンの強度に
対する非結合RNAの強度として計算される。
【0338】
[0430] 環状RNAは、機能的疑似らせん構造を有することが予測される。
【0339】
実施例13:自己転写/複製
[0431] この実施例において、環状RNAは、HDV複製ドメインの発現の追加(Be
eharry et al 2014によって記載されるように)、アンチゲノム複製コ
ンピテントリボザイム及び核局在化シグナルを伴い、上述される方法の1つによって合成
される。これらのRNA配列は、環状RNAが核に位置することを可能にし、ここで、宿
主RNAポリメラーゼがRNAに結合し、RNAを転写する。次に、このRNAは、リボ
ザイムを用いて自己切断される。次に、RNAは、ライゲートされ、再度自己複製される
図14を参照されたい)。
【0340】
[0432] 環状RNA(1~5μg)は、上述される技術を用いてHeLa細胞中にトラ
ンスフェクトされる。HeLa細胞を、ペニシリン-ストレプトマイシン及び10%のウ
シ胎仔血清が補充された、高グルコース(ライフテクノロジーズ)を含むダルベッコ改変
イーグル培地(DMEM)中において37℃及び5%のCOで成長させる。トランスフ
ェクション後、HeLa細胞をさらに4~72時間培養し、次にトランスフェクトされた
細胞からの全RNAをトランスフェクションの1時間~20日後、製造業者の説明に従っ
てフェノール系RNA単離試薬(ライフテクノロジーズ)を用いて単離し、HDVドメイ
ンをコードする環状RNAの総量を決定し、本明細書に記載されるようにqPCRを用い
て、対照環状RNAと比較する。
【0341】
実施例14:環状RNA安定性/半減期
[0433] この実施例において、環状RNAは、上述される方法の1つによって合成され
る。環状RNAは、エンクリプトゲン(配列番号4)及びGFPをコードするORF(配
列番号2)を、GFP ORFに隣接するスタガー要素(配列番号3)と共に含むように
設計される(図15を参照されたい)。
【0342】
[0434] ヒト線維芽細胞(例えば、IMR-90)を、組織培養物で処理されたプレー
ト上で5%のCO下、37℃において、10%のウシ胎仔血清(FBS;インビトロジ
ェン)が補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;インビトロジェン)中でコ
ンフルエンスになるまで成長させる。線維芽細胞がコンフルエンスに達したとき、それら
は、接触阻止により分裂を停止する(Leontieva et al 2014)。脂
質トランスフェクション試薬(2μL;インビトロジェン)を、12ウェル組織培養物で
処理されたプレートの1つのウェル中において、1μgの環状RNA又は線状RNA(上
述される)及び145μLの血清低減培地(Opti-MEM I溶液)の混合物に加え
る。15分間にわたる室温でのインキュベーション後、10%のFBSを含むDMEM中
で懸濁された約1×10個の細胞を環状RNA溶液(上述される)に加える。
【0343】
[0435] 細胞を培養し、次に環状RNAトランスフェクションの1、2、3、4、5、
10、20及び30日後の時点で収集する。細胞をq-rt-PCRのために及び別のサ
ブセットをFACS分析のために単離する。GFP環状RNA及びmRNAレベルを測定
するために、実施例2に記載されるように、ランダムヘキサマーを用いたqPCR逆転写
が行われる。細胞を、本明細書に記載されるようにGFP抗体を用いて、FACSを用い
て分析する。
【0344】
[0436] 環状RNAは、少なくとも数日間にわたって細胞内で持続し、それらは、GF
Pタンパク質の機能的発現を保持することが予測される。
【0345】
実施例15:娘細胞における環状RNA保存
[0437] この実施例において、環状RNAは、上述される方法の1つによって合成され
る。環状RNAは、エンクリプトゲン(配列番号4)及びGFPをコードするORF(配
列番号2)を、GFP ORFに隣接するスタガー要素(配列番号3)と共に含むように
設計される(図16を参照されたい)。
【0346】
[0438] ヒト線維芽細胞(例えば、IMR-90)を、組織培養物で処理されたプレー
ト上で5%のCO下、37℃において、10%のウシ胎仔血清(FBS;インビトロジ
ェン)が補充されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;インビトロジェン)中で成
長させる。細胞を、指数増殖を維持するために定期的に継代する。脂質トランスフェクシ
ョン試薬(2μL;インビトロジェン)を、12ウェル組織培養物で処理されたプレート
の1つのウェル中において、1μgの環状RNA又は線状RNA(上述される)及び14
5μLの血清低減培地(Opti-MEM I溶液)の混合物に加える。15分間にわた
る室温でのインキュベーション後、10%のFBSを含むDMEM中で懸濁された1×1
個のHeLa細胞を環状RNA溶液(上述される)に加える。37℃及び5%のCO
で24時間にわたるインキュベーション後、細胞は、BrdU(例えば、シグマ-アル
ドリッヒ)を用いてパルスをかけられる。BrdU、標識期間がそれらの特定の集団の倍
加時間に従って各細胞型について最適化され、例えば、IMR-90ヒト線維芽細胞は、
27時間の倍加時間を有し、Elabd et al 2013によって記載されるよう
に、8~9時間にわたってパルスをかけられる。
【0347】
[0439] 細胞をBrdUパルスの1、2、3、4、5及び10日後の時点で収集する。
細胞のサブセットをq-rt-PCRのために単離し、別のサブセットをFACS分析の
ために単離する。GFP環状RNA及びmRNAレベルを測定するために、実施例2に記
載されるように、ランダムヘキサマーを用いたqPCR逆転写が行われる。細胞を、本明
細書に記載されるようにBrdU及びGFP抗体を用いて、FACSを用いて分析する。
【0348】
[0440] 環状RNAは、娘細胞内で持続し、娘細胞は、GFPタンパク質を発現するこ
とが予測される。
【0349】
実施例16:環状RNA環状化
[0441] この実施例は、スプリントライゲーションを用いた環状RNAのインビトロ生
成を実証する。
【0350】
[0442] 非天然環状RNAは、1つ以上の望ましい特性を含むように操作され得、組み
換えDNA技術を用いて生成され得る。以下の実施例に示されるように、スプリントライ
ゲーションが線状RNAを環状化した。
【0351】
[0443] 環状RNA1を、終止コドン(264nt)なしで三重FLAGタグ化EGF
をコードするように設計した。それは、翻訳開始のために開始コドンにおいてコザック配
列(配列番号11)を有する。環状RNA2は、それが終止要素(三重終止コドン)(2
73nt、配列番号12)を有することを除いて、環状RNA1と同一の配列を有する。
環状RNA3を、終止要素(終止コドン)(330nt)なしで、スタガー要素(2A配
列、配列番号13)によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設
計した。環状RNA4は、それが終止要素(三重終止コドン)(339nt)を有するこ
とを除いて、環状RNA3と同一の配列を有する。
【0352】
[0444] この実施例において、環状RNAを以下のように生成した。インビトロ転写の
ためのDNA鋳型を、T7プロモータを有するフォワードプライマー及び2-O-メチル
化ヌクレオチドをリバースプライマーと共に有する対応する配列(IDT)を有するgB
locks遺伝子フラグメントから増幅した。増幅されたDNA鋳型を、DNAゲル精製
キット(キアゲン)を用いてゲル精製した。250~500ngの精製されたDNA鋳型
をインビトロ転写に供した。線状、5’-一リン酸化インビトロ転写産物を7.5mMの
GMP、1.5mMのGTP、7.5mMのUTP、7.5mMのCTP及び7.5mM
のATPの存在下において、対応する配列を有する各DNA鋳型からT7 RNAポリメ
ラーゼを用いて生成した。約40μgの線状RNAを各反応において生成した。インキュ
ベーション後、各反応をDNaseで処理して、DNA鋳型を除去した。インビトロ転写
RNAを2.5Mの酢酸アンモニウムの存在下においてエタノールで沈殿させて、取り込
まれないモノマーを除去した。
【0353】
[0445] 転写された線状RNAを、鋳型としての20ntのスプリントDNAオリゴマ
ー(配列番号14)上でT4 RNAリガーゼ2を用いて環状化した。スプリントDNA
を、線状RNAの10ntの各5’又は3’末端をアニールするように設計した。スプリ
ントDNA(3μM)でアニールした後、1μMの線状RNAを37℃又は4時間で0.
5U/μlのT4 RNAリガーゼ2と共にインキュベートした。T4 RNAリガーゼ
2を含まない混合物を陰性対照として使用した。
【0354】
[0446] 線状RNAの環状化を6%の変性PAGEにおいてRNAを分離することによ
って監視した。よりゆっくりと移動するRNAバンドは、それらの環状構造のため、変性
ポリアクリルアミドゲルにおける線状RNAより環状RNAと一致する。図17から分か
るように、RNA混合物へのリガーゼの追加(+レーン)は、リガーゼを欠いた混合物(
-レーン)中に存在する線状RNAバンドを超えるようである新たなバンドを生成した。
よりゆっくりと移動するバンドは、全てのRNA混合物において見られ、これは、陰性対
照と比較して、複数の構築物で行われる成功したスプリントライゲーション(例えば、環
状化)を示す。
【0355】
実施例17:RNA環状化効率
[0447] この実施例は、RNAスプリントライゲーションの環状化効率を実証する。
【0356】
[0448] 1つ以上の望ましい特性を含むように操作された非天然環状RNAがスプリン
ト媒介性環状化を用いて生成され得る。以下の実施例に示されるように、スプリントライ
ゲーションは、対照より高い効率で線状RNAを環状化した。
【0357】
[0449] 実施例1に記載される環状RNA1、環状RNA2、環状RNA3及び環状R
NA4をここでも使用した。環状RNA5を、2A配列によって隣接されるFLAGタグ
化EGF、続いてFLAGタグ化ナノルシフェラーゼ(873nt、配列番号17)をコ
ードするように設計した。環状RNA6は、ナノルシフェラーゼ配列(762nt、配列
番号18)の末端において、EGF及びナノルシフェラーゼ遺伝子及び終止要素(三重終
止コドン)間に終止要素(三重終止コドン)を含んでいたことを除いて、環状RNA5と
同一の配列を有する。
【0358】
[0450] この実施例において、RNAの環状化効率を測定するために、6つの異なるサ
イズの線状RNA(264nt、273nt、330nt、339nt、873nt及び
762nt)を生成し、実施例1に記載されるように環状化した。環状RNAを6%の変
性PAGEによって分解し、線状又は環状RNAについてのゲルにおける対応するRNA
バンドを精製のために切除した。切除されたRNAゲルバンドを破砕し、RNAを、80
0μlの300mMのNaClで一晩溶離させた。ゲル破片を遠心分離フィルタによって
除去し、RNAを0.3Mの酢酸ナトリウムの存在下においてエタノールで沈殿させた。
【0359】
[0451] 環状化効率を以下のように計算した。溶離された環状RNAの量を、溶離され
た全RNAの量(環状+線状RNA)で除算し、結果を図18中のグラフとして示した。
[0452] T4 RNAseリガーゼ2を用いた線状RNAのライゲーションは、対照よ
り高い効率速度で環状RNAを生成した。傾向データは、より多い構築物がより高い速度
で環状化されたことを示した。
【0360】
実施例18:分解感受性を欠いた環状RNA
[0453] この実施例は、線状RNAと比較した、RNAse Rによる分解に対する環
状RNAの感受性を実証する。
【0361】
[0454] 環状RNAは、5’及び3’末端の欠如のために、線状RNAよりエキソヌク
レアーゼ分解に対して抵抗性である。以下の実施例に示されるように、環状RNAは、そ
の線状RNA同等物より分解に対する感受性が低い。
【0362】
[0455] 環状RNA5を生成し、本明細書に記載されるアッセイに使用するために実施
例2に記載されるように環状化した。
[0456] 環状RNA5の環状化を試験するために、20ng/μlの線状又は環状RN
A5を30分間にわたって37℃において、2U/μlのRNAse R、線状RNAを
消化するが、ラリアット又は環状RNA構造を消化しない3’-5’エキソリボヌクレア
ーゼと共にインキュベートした。インキュベーション後、反応混合物を6%の変性PAG
Eによって分析した。
【0363】
[0457 エキソヌクレアーゼを欠いたレーンに存在する線状RNAバンドは、環状RN
A5レーンに存在せず(図19を参照されたい)、これは、環状RNA5が、線状RNA
対照と比較して、エキソヌクレアーゼ処理に対するより高い抵抗性を示したことを示す。
【0364】
実施例19:環状RNAの単離及び精製
[0458] この実施例は、環状RNA精製を実証する。
【0365】
[0459] 特定の実施形態において、前の実施例に記載される環状RNAが単離され、コ
ードされるタンパク質産物の発現前に精製され得る。この実施例は、UREAゲル分離を
用いた単離を記載している。以下の実施例に示されるように、環状RNAを単離し、精製
した。
【0366】
[0460] 実施例2に記載される環状RNA1、環状RNA2、環状RNA3、環状RN
A4、環状RNA5及び環状RNA6を本明細書に記載されるように単離した。
[0461] この実施例において、線状及び環状RNAを記載されるように生成した。環状
RNAを精製するために、ライゲーション混合物を6%の変性PAGEにおいて分解し、
環状RNAのそれぞれに対応するRNAバンドを切除した。切除されたRNAゲルフラグ
メントを破砕し、RNAを800μlの300mMのNaClで一晩溶離させた。ゲル破
片を遠心分離フィルタによって除去し、RNAを0.3Mの酢酸ナトリウムの存在下にお
いてエタノールで沈殿させた。溶離された環状RNAを6%の変性PAGEによって分析
した(図20を参照されたい)。
【0367】
[0462] 単一のバンドを、可変サイズを有する環状RNAについてPAGEによって視
覚化した。
【0368】
実施例20:タンパク質発現の検出
[0463] この実施例は、環状RNAからのインビトロタンパク質発現を実証する。
【0369】
[0464] タンパク質発現は、mRNAから特定のタンパク質を生成するプロセスである
。このプロセスは、メッセンジャーRNA(mRNA)へのDNAの転写、続いてポリペ
プチド鎖へのmRNAの翻訳を含み、このポリペプチド鎖が最終的に機能的タンパク質に
折り畳まれ、特定の細胞内又は細胞外の位置に標的化され得る。
【0370】
[0465] 以下の実施例に示されるように、タンパク質を環状RNA配列からインビトロ
で発現させた。
[0466] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで
、2A配列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
【0371】
[0467] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及び
1μgの線状又は環状RNAを含有していた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0372】
[0468] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図21を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0373】
[0469] 蛍光が検出され、発現産物が存在することが示された。したがって、環状RN
Aがタンパク質の発現を駆動することが示された。
【0374】
実施例21:IRES非依存的発現
[0470] この実施例は、環状RNAがIRESの非存在下で発現を駆動することを実証
する。
【0375】
[0471] IRES又は内部リボソーム進入部位は、キャップ非依存的に翻訳開始を可能
にするRNA要素である。環状RNAがIRESの非存在下でFlagタンパク質の発現
を駆動することが示された。
【0376】
[0472] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで
、2A配列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
[0473] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0377】
[0474] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、増強化学発光(ECL)キットを用いて視覚化し(図21を参照されたい)、ウ
エスタンブロットバンド強度をImageJによって測定した。
【0378】
[0475] 発現産物は、IRESの非存在下でも環状RNA反応混合物中で検出された。
【0379】
実施例22:キャップ非依存的発現
[0476] この実施例は、環状RNAがキャップの非存在下で発現を駆動できることを実
証する。
【0380】
[0477] キャップは、mRNAの5’末端において特異的に改変されたヌクレオチドで
ある。5’キャップは、線状mRNAの安定性並びに翻訳開始のために有用である。環状
RNAは、キャップの非存在下で産物の発現を駆動した。
【0381】
[0478] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで
、2A配列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
[0479] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを15分間にわたって70℃で30μlの2×SDSサンプル緩
衝液に溶解させた。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の
勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0382】
[0480] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図21を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0383】
[0481] 発現産物は、キャップの非存在下でも環状RNA反応混合物中で検出された。
【0384】
実施例23:5’-UTRなしでの発現
[0482] この実施例は、5’非翻訳領域を欠いた環状RNAからのインビトロタンパク
質発現を実証する。
【0385】
[0483] 5’非翻訳領域(5’UTR)は、RNA転写産物の下流のタンパク質翻訳を
促進する開始コドンの直接上流にある領域である。
[0484] 以下の実施例に示されるように、環状RNA配列中の5’-非翻訳領域は、イ
ンビトロタンパク質発現に必要でなかった。
【0386】
[0485] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで
、2A配列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
【0387】
[0486] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0388】
[0487] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図21を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0389】
[0488] 発現産物は、5’UTRの非存在下でも環状RNA反応混合物中で検出された
【0390】
実施例24:3’-UTRなしでの発現
[0489] この実施例は、3’-UTRを欠いた環状RNAからのインビトロタンパク質
発現を実証する。
【0391】
[0490] 3’非翻訳領域(3’-UTR)は、翻訳終止コドンの直接下流にある領域で
あり、遺伝子発現に転写後に影響を与え得る調節領域を含む。3’-非翻訳領域は、mR
NAの局在化、安定性、輸送及び翻訳効率に影響を与えることにより、遺伝子発現におい
て役割も果たし得る。さらに、3’-UTRの構造特性及び別のポリアデニル化のその使
用が遺伝子発現において役割を果たし得る。
【0392】
[0491] 以下の実施例に示されるように、環状RNA配列中の3’-UTRは、インビ
トロタンパク質発現に必要でなかった。
[0492] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで
、2A配列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
【0393】
[0493] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0394】
[0494] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図21を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0395】
[0495] 発現産物は、3’UTRの非存在下でも環状RNA反応混合物中で検出された
【0396】
実施例25:終止コドンを用いない発現
[0496] この実施例は、終止コドンを欠いた環状RNAからのローリングサークル型翻
訳後のポリペプチド産物の生成を実証する。
【0397】
[0497] タンパク質は、アミノ酸の固有の配列から構成されるポリペプチドに基づいて
いる。各アミノ酸は、コドンと呼ばれるヌクレオチド三つ組によってmRNA中でコード
される。タンパク質翻訳中、mRNA中の各コドンは、成長しているポリペプチド鎖中の
アミノ酸の付加に対応する。終止要素又は終止コドンは、結合解放因子によってこのプロ
セスの終了を示し、それによりリボソームサブユニットを分離させて、アミノ酸鎖を解放
する。
【0398】
[0498] 以下の実施例に示されるように、終止コドンを欠いた環状RNAは、ローリン
グサークル型翻訳により、反復したポリペプチド配列から構成される大きいポリペプチド
産物を生成した。
【0399】
[0499] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(264nt、配列番号20)なしで
、三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計し、翻訳開始に有利に作用するよう
に開始コドンにおいてコザック配列を含んでいた。
【0400】
[0500] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0401】
[0501] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図22を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0402】
[0502] 発現産物は、終止コドンの非存在下でも環状RNA反応混合物中で検出された
【0403】
実施例26:終止要素(終止コドン)を用いない別個のタンパク質の発現
[0503] この実施例は、終止要素(終止コドン)を欠いた環状RNAから翻訳された別
個のタンパク質産物の生成を実証する。
【0404】
[0504] 2Aペプチドなどのスタガー要素は、約20aaの短いアミノ酸配列を含み得
、これは、単一のmRNAからの等モルレベルの複数の遺伝子の生成を可能にする。スタ
ガー要素は、リボソームに、2A要素のC末端におけるペプチド結合の合成をスキップさ
せて、2A配列の末端と下流の次のペプチドとの間の分離をもたらすことによって機能し
得る。分離は、C末端上に見られるグリシン及びプロリン残基間で起こり、上流のシスト
ロンは、末端に加えられたいくつかのさらなる残基を有する一方、下流のシストロンは、
プロリンから開始する。
【0405】
[0505] 以下の実施例に示されるように、終止要素(終止コドン)を欠いた環状RNA
は、大きいポリペプチドポリマーを生成し(図23の左側のパネル:スタガーなし-環状
RNAレーン)、コード領域の3’末端における2A配列の包含は、同等の線状RNA構
築物によって生成されるものと同等のサイズで別個のタンパク質の生成をもたらした(図
23の右側のパネル:スタガー-環状RNAレーン)。
【0406】
[0506] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)(264nt、配列番号20)なり及
びスタガー要素なしで、三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。第2の
環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで、2A配列
によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
【0407】
[0507] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMのアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及
び1μgの線状又は環状RNAを含んでいた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0408】
[0508] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図23を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0409】
[0509] 別個の発現産物が検出され、これは、スタガー要素を含む環状RNAが終止要
素(終止コドン)の非存在下でも個々のタンパク質の発現を駆動したことを示す。
【0410】
実施例27:ローリングサークル型翻訳
[0510] この実施例は、スタガー要素を用いた、環状RNAからのタンパク質の増加し
たインビトロ生合成を実証する。
【0411】
[0511] 非天然環状RNAを、スタガー要素を欠いた環状RNAを用いたタンパク質発
現と比較するために、スタガー要素を含むように操作した。以下の実施例に示されるよう
に、スタガー要素は、このような配列を欠いた以外は同一の環状RNAと比較して、タン
パク質を過剰発現した。
【0412】
[0512] 環状RNAを、終止要素(例えば、並んだ3つの終止コドン)(273nt、
配列番号21)を用いて、三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。第2
の環状RNAを、終止要素(終止コドン)(330nt、配列番号19)なしで、2A配
列によって隣接される三重FLAGタグ化EGFをコードするように設計した。
【0413】
[0513] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤及び
1μgの線状又は環状RNAを含有していた。インキュベーション後、ヘモグロビンタン
パク質を、酢酸(0.32μl)及び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え
、15℃で10分間にわたって20,817×gで遠心分離することによって除去した。
上清を除去し、ペレットを30lの2×SDSサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわ
たって70℃でインキュベートした。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清
を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0414】
[0514] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し(図24を参照されたい)、ウエスタンブロット
バンド強度をImageJによって測定した。
【0415】
[0515] 別個の発現産物が検出され、これは、スタガー要素を含む環状RNAが終止要
素(終止コドン)の非存在下でも個々のタンパク質の発現を駆動したことを示す。
【0416】
実施例28:インビトロでの生物活性タンパク質の発現
[0516] この実施例は、環状RNAからの生物活性タンパク質のインビトロ生合成を実
証する。
【0417】
[0517] 非天然環状RNAを、生物活性治療用タンパク質を発現するように操作した。
以下の実施例に示されるように、生物活性タンパク質が網状赤血球溶解物中で環状RNA
から発現された。
【0418】
[0518] 環状RNAを、2A配列によって隣接されるFLAGタグ化EGF、続いてF
LAGタグ化ナノルシフェラーゼ(873nt、配列番号17)をコードするように設計
した。
【0419】
[0519] 線状又は環状RNAを25μlの体積中において、30℃で、ウサギ網状赤血
球溶解物中で5時間にわたってインキュベートした。反応混合物の最終組成物は、70%
のウサギ網状赤血球溶解物、20μMアミノ酸、0.8U/μlのRNase阻害剤を含
有していた。翻訳混合物中のルシフェラーゼ活性を、製造業者のプロトコル(プロメガ)
に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて監視した。
【0420】
[0520] 図25に示されるように、対照ビヒクルRNAよりはるかに高い蛍光が環状R
NA及び線状RNAの両方で検出され、これは、発現産物が存在していたことを示す。し
たがって、環状RNAが生物活性タンパク質を発現することが示された。
【0421】
実施例29:線状RNA同等物より長い半減期を有する環状RNA
[0521] この実施例は、環状RNAが、線状RNAと比較して延長された半減期を有す
るように操作されることを実証する。
【0422】
[0522] 治療用タンパク質をコードする環状RNAは、例えば、線状RNAと比較して
、延長された生物学的半減期に起因する、より高いレベルのコードされたタンパク質を生
成する能力をレシピエント細胞に与えた。以下の実施例に示されるように、環状RNAは
、網状赤血球溶解物中でその線状RNA同等物より長い半減期を有していた。
【0423】
[0523] 環状RNAを、2A配列によって隣接されるFLAGタグ化EGF、続いてF
LAGタグ化ナノルシフェラーゼ(873nt、配列番号17)をコードするように設計
した。
【0424】
[0524] この実施例において、時間経過実験がRNA安定性を監視するために行われた
。100ngの線状又は環状RNAをウサギ網状赤血球溶解物と共にインキュベートし、
サンプルを1時間、5時間、18時間及び30時間の時点で収集した。全RNAを、フェ
ノール系試薬(インビトロジェン)を用いて溶解物から単離し、cDNAを逆転写によっ
て生成した。qRT-PCR分析を、色素ベースの定量的PCR反応ミックス(バイオラ
ッド)を用いて行った。
【0425】
[0525] 図26に示されるように、より高い濃度の環状RNAが線状RNAより後の時
点で検出された。したがって、環状RNAは、より安定しているか、又はその線状同等物
と比較して増加した半減期を有していた。
【0426】
実施例30:環状RNAは、細胞内における線状RNAより長い半減期を実証した
[0526] この実施例は、環状RNAが細胞内に送達され、線状RNAと比較して細胞内
での増加した半減期を有することを実証する。
【0427】
[0527] 非天然環状RNAを、生物活性治療用タンパク質を発現するように操作した。
以下の実施例に示されるように、環状RNAは、その線状RNA同等物と比較してより高
いレベルで存在し、これは、環状RNAのより長い半減期を実証している。
【0428】
[0528] この実施例において、環状RNA及び線状RNAを、コザック、2Aによって
隣接されるEGF、終止又は非終止配列(配列番号11、19、20、21)をコードす
るように設計した。細胞中のRNAの半減期を監視するために、0.1×10個の細胞
を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、1μgの線状又は環状RN
Aを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて各ウェル中
でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、全RNAを、フェノール
系抽出試薬(インビトロジェン)を用いて細胞から単離した。全RNA(500ng)を
逆転写に供して、cDNAを生成した。qRT-PCR分析を、色素ベースの定量的PC
Rミックス(バイオラッド)を用いて行った。プライマー配列は、以下のとおりであった
:線状又は環状RNAについてのプライマー、F:ACGACGGTGTGTGCATG
TAT、R:TTCCCACCACTTCAGGTCTC;環状RNAについてのプライ
マー、F:TACGCCTGCAACTGTGTTGT、R:TCGATGATCTTG
TCGTCGTC。
【0429】
[0529] 環状RNAは、その線状同等物と同様に、293T細胞中で問題なくトランス
フェクトされた。24時間後、保持された環状及び線状RNAを、qPCRを用いて測定
した。図27A及びBに示されるように、環状RNAは、線状RNAと比較して細胞内に
おけるより長い半減期を有することが示された。
【0430】
実施例31:合成環状RNAを細胞内で翻訳し、合成環状RNAをローリングサークル型
翻訳によって翻訳した
[0530] この実施例は、細胞内での合成環状RNAの翻訳を実証する。
【0431】
[0531] 以下の実施例に示されるように、環状RNA及び線状RNAを、終止要素(配
列番号11)なしで、コザック、3xFLAG-EGF配列をコードするように設計した
。環状RNAがポリマーEGFに翻訳された一方、線状RNAが翻訳されず、これは、細
胞が合成環状RNAのローリングサークル型翻訳を行ったことを実証している。
【0432】
[0532] この実施例において、細胞内での線状又は環状RNAの翻訳効率を監視するた
めに、0.1×10個の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日
後、1μgの線状又は環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビト
ロジェン)を用いて各ウェル中でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時
間後、200μlのRIPA緩衝液を各ウェルに加えることにより、細胞を収集した。次
に、10μgの細胞溶解物タンパク質を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SD
Sゲル上で分析した。ドライ転写方法を用いて、ニトロセルロース膜に電気泳動転写した
後、ブロットを抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベー
トした。ローディングコントロールとして、抗βチューブリン抗体を使用した。ブロット
を、増強化学発光(ECL)キットを用いて視覚化した。ウエスタンブロットバンド強度
をImageJによって測定した。
【0433】
[0533] 環状RNAは、その線状同等物と同様に、293T細胞中で問題なくトランス
フェクトされた。しかしながら、図28は、トランスフェクションの24時間後、EGF
タンパク質が環状RNAトランスフェクト細胞中で検出された一方、線状RNAトランス
フェクト細胞中で検出されなかったことを示す。したがって、環状RNAは、線状RNA
と比較して、ローリングサークル型翻訳によって細胞内で翻訳された。
【0434】
実施例32:合成環状RNAは、細胞内における低下した免疫原性遺伝子発現を実証した
[0534] この実施例は、環状RNAが線状RNAと比較して低下した免疫原性を有する
ように操作されることを実証する。
【0435】
[0535] 治療用タンパク質をコードした環状RNAは、線状RNAと比較して、レシピ
エント細胞内での免疫原性関連遺伝子(RIG-I、MDA5、PKA及びIFN-β)
の低下した誘導を示した。RIG-Iは、短い5’トリホスフェート非キャップ二本鎖又
は一本鎖RNAを認識し得る一方、MDA5は、より長いdsRNAを認識し得る。RI
G-I及びMDA5の両方は、MAVSを活性化し、抗ウイルス応答を引き起こすことに
関与し得る。PKRは、dsRNAによって活性化され、IFN-βなどのインターフェ
ロンによって誘導され得る。以下の実施例に示されるように、環状RNAは、q-PCR
によるRIG-I、MDA5、PKR及びIFN-βの発現によって評価した際、類似し
た線状RNAより、293T細胞内における免疫関連遺伝子の低下した活性化を有するこ
とが示された。
【0436】
[0536] 環状RNA及び線状RNAを、(1)コザック、終止要素(配列番号11)を
有さない3x FLAG-EGF配列;(2)コザック、終止要素(終止コドン)(配列
番号21)によって隣接された3x FLAG-EGF;(3)コザック、2A配列(配
列番号19)によって隣接された3x FLAG-EGF;又は(4)コザック、2A配
列によって隣接された3x FLAG-EGF配列、続いて終止要素(終止コドン)(配
列番号20)のいずれかをコードするように設計した。
【0437】
[0537] この実施例において、0.1×10個の細胞を12ウェルプレートの各ウェ
ル中で平板培養することにより、自然免疫応答遺伝子のレベルを細胞内で監視した。1日
後、1μgの線状又は環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビト
ロジェン)を用いて各ウェル中でトランスフェクトした。トランスフェクションの24時
間後、全RNAを、フェノール系抽出試薬(インビトロジェン)を用いて細胞から単離し
た。全RNA(500ng)を逆転写に供して、cDNAを生成した。qRT-PCR分
析を、色素ベースの定量的PCRミックス(バイオラッド)を用いて行った。
【0438】
[0538] 使用されるプライマー配列:GAPDHについてのプライマー、F:AGGG
CTGCTTTTAACTCTGGT、R:CCCCACTTGATTTTGGAGGG
A;RIG-I、F:TGTGGGCAATGTCATCAAAA、R:GAAGCAC
TTGCTACCTCTTGC;MDA5、F:GGCACCATGGGAAGTGAT
T、R:ATTTGGTAAGGCCTGAGCTG;PKR、F:TCGCTGGTA
TCACTCGTCTG、R:GATTCTGAAGACCGCCAGAG;IFN-β
、F:CTCTCCTGTTGTGCTTCTCC、R:GTCAAAGTTCATCC
TGTCCTTG。
【0439】
[0539] 図29に示されるように、環状RNAでトランスフェクトされた293T細胞
からの免疫関連遺伝子のqRT-PCRレベルは、線状RNAトランスフェクト細胞と比
較して、RIG-I、MDA5、PKR及びIFN-βの減少を示した。したがって、レ
シピエント細胞内における免疫原性関連遺伝子の誘導は、線状RNAトランスフェクト細
胞と比較して、環状RNAトランスフェクト細胞内で減少された。
【0440】
実施例33:細胞内におけるローリングサークル型翻訳による合成環状RNAからの増加
した発現
[0540] この実施例は、細胞内における合成環状RNAのローリングサークル型翻訳か
らの増加した発現を実証する。
【0441】
[0541] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)なしで、ナノルシフェラーゼ遺伝子又
はEGF陰性対照遺伝子と共にIRESを含むように設計した。細胞をEGF陰性対照(
配列番号22);nLUC stop(配列番号23):EMCV IRES、スタガー
配列(2A配列)、3x FLAGタグ化nLUC配列、スタガー配列(2A配列)及び
終止コドン;又はnLUCスタガー(配列番号24):EMCV IRES、スタガー配
列(2A配列)、3x FLAGタグ化nLUC配列及びスタガー配列(2A配列)でト
ランスフェクトした。図30に示されるように、両方の環状RNAは、機能的ルシフェラ
ーゼ活性を有する翻訳産物を生成した。
【0442】
[0542] この実施例において、環状RNAの翻訳を細胞内で監視した。具体的には、0
.1×10個の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、30
0ngの環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を
用いて各ウェル中でトランスフェクトした。24時間後、100μlのRIPA緩衝液を
加えることにより、細胞を収集した。溶解物中のナノルシフェラーゼ活性を、その製造業
者のプロトコル(プロメガ)に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定した
【0443】
[0543] 図30に示されるように、両方の環状RNAが細胞内でタンパク質を発現した
。しかしながら、スタガー要素、例えば2A配列を含み、終止要素(終止コドン)を欠い
た環状RNAは、終止要素(終止コドン)を有する環状RNAより、機能的ルシフェラー
ゼ活性を有するより高いレベルのタンパク質産物を生成した。
【0444】
実施例34:細胞内で翻訳される合成環状RNA
[0544] この実施例は、細胞内における合成環状RNA翻訳を実証する。さらに、この
実施例は、環状RNAがその線状同等物より多くの発現産物を生成したことを示す。
【0445】
[0545] 環状RNAは、その線状同等物と同様に、293T細胞中で問題なくトランス
フェクトされた。細胞を、陰性対照としてEGFをコードする環状RNA(配列番号22
):EMCV IRES、スタガー配列(2A配列)、3x FLAGタグ化EGF配列
、スタガー配列(2A配列);線状又は環状nLUC(配列番号23):EMCV IR
ES、スタガー配列(2A配列)、3x FLAGタグ化nLuc配列、スタガー配列(
2A配列)及び終止コドンでトランスフェクトした。図31に示されるように、環状RN
Aは、細胞内でナノルシフェラーゼにおいて翻訳された。
【0446】
[0546] 線状又は環状RNA翻訳を細胞内で監視した。具体的には、0.1×10
の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、300ngの線状又
は環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて
各ウェル中でトランスフェクトした。24時間後、100μlのRIPA緩衝液を加える
ことにより、細胞を収集した。溶解物中のナノルシフェラーゼ活性を、その製造業者のプ
ロトコル(プロメガ)に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定した。
【0447】
[0547] 図31に示されるように、環状RNA翻訳産物が細胞内で検出された。特に、
環状RNAは、その線状RNA同等物と比較して、より高いレベルのルシフェラーゼ活性
又は生成された増加したタンパク質を有していた。
【0448】
実施例35:合成環状RNAからのローリングサークル型翻訳が細胞内で機能的タンパク
質産物を生成した
[0548] この実施例は、終止要素(終止コドン)を欠いた、例えば細胞内において、終
止要素(終止コドン)を欠き、スタガー要素を有する、合成環状RNAからの機能的タン
パク質産物のローリングサークル型翻訳を実証する。さらに、この実施例は、スタガー要
素を有する環状RNAがその線状同等物より多い機能的タンパク質産物を発現したことを
示す。
【0449】
[0549] 環状RNAは、その線状同等物と同様に、293T細胞中で問題なくトランス
フェクトされた。細胞を環状RNA EGF陰性対照(配列番号22);線状及び環状n
LUC(配列番号24):EMCV IRES、スタガー配列(2A配列)、3x FL
AGタグ化nLuc配列、スタガー配列(2A配列)でトランスフェクトした。図32
示されるように、環状RNAは、細胞内でナノルシフェラーゼ中において翻訳された。
【0450】
[0550] 線状又は環状RNA翻訳を細胞内で監視した。具体的には、0.1×10
の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、300ngの線状又
は環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて
各ウェル中でトランスフェクトした。24時間後、100μlのRIPA緩衝液を加える
ことにより、細胞を収集した。溶解物中のナノルシフェラーゼ活性を、その製造業者のプ
ロトコル(プロメガ)に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定した。
【0451】
[0551] 図32に示されるように、環状RNA翻訳産物が細胞内で検出された。特に、
終止要素(終止コドン)を有さない環状RNAは、その線状RNA同等物より、機能的ル
シフェラーゼ活性を有するより高いレベルのタンパク質産物を生成した。
【0452】
実施例36:合成環状RNAが細胞内におけるIRES開始によって翻訳される
[0552] この実施例は、細胞内におけるIRESによる合成環状RNA翻訳開始を実証
する。
【0453】
[0553] 環状RNAを、ナノルシフェラーゼ遺伝子又はEGF陰性対照遺伝子と共にコ
ザック配列又はIRESを含むように設計した。細胞をEGF陰性対照(配列番号22)
、nLUCコザック(配列番号25):コザック配列、1x FLAGタグ化EGF配列
、スタガー配列(T2A配列)、1x FLAGタグ化nLUC、スタガー配列(P2A
配列)及び終止コドン;又はnLUC IRES(配列番号23):EMCV IRES
、スタガー配列(2A配列)、3x FLAGタグ化nLUC配列、スタガー配列(2A
配列)及び終止コドンでトランスフェクトした。図33に示されるように、IRESを有
する環状RNAは、コザック配列を有する環状RNAと比較して、より高いタンパク質レ
ベルに対応する、より高いレベルのルシフェラーゼ活性を示した。
【0454】
[0554] この実施例において、環状RNAの翻訳を細胞内で監視した。具体的には、0
.1×10個の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、30
0ngの環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を
用いて各ウェル中でトランスフェクトした。24時間後、100μlのRIPA緩衝液を
加えることにより、細胞を収集した。溶解物中のナノルシフェラーゼ活性を、その製造業
者のプロトコル(プロメガ)に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定した
【0455】
[0555] 図33に示されるように、環状RNAは、IRESによりタンパク質発現を開
始させ、コザックを有する環状RNAがタンパク質発現を開始させるより、機能的ルシフ
ェラーゼ活性を有するより高いレベルのタンパク質産物を生成した。
【0456】
実施例37:細胞内における合成環状RNAのローリングサークル型翻訳
[0556] この実施例は、IRESによりタンパク質産生を開始させる細胞内における合
成環状RNAのローリングサークル型翻訳によるより多いタンパク質産生を実証する。
【0457】
[0557] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)を用いるか又は用いずに、ナノルシフ
ェラーゼ遺伝子又はEGF陰性対照と共にコザック配列又はIRESを含むように設計し
た。細胞をEGF陰性対照(配列番号22);nLUC IRES stop(配列番号
23):EMCV IRES、スタガー配列(2A配列)、3x FLAGタグ化nLU
C配列、スタガー配列(2A配列)及び終止コドン;又はnLUC IRESスタガー(
配列番号24):EMCV IRES、スタガー配列(2A配列)、3x FLAGタグ
化nLUC配列及びスタガー配列(2A配列)でトランスフェクトした。図34に示され
るように、両方の環状RNAが発現産物を生成し、ローリングサークル型翻訳を実証し、
IRESを有し終止要素を有さない(例えば、コザック配列を有さない)環状RNAは、
IRESを有さず終止要素を有する(例えば、コザック配列を有する)環状RNAより、
機能的ルシフェラーゼ活性を有するより高いレベルのタンパク質産物を開始及び生成し、
これは、ローリングサークル型翻訳を実証している。
【0458】
[0558] この実施例において、環状RNAの翻訳を細胞内で監視した。具体的には、0
.1×10個の細胞を12ウェルプレートの各ウェル上で平板培養した。1日後、30
0ngの環状RNAを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を
用いて各ウェル中でトランスフェクトした。24時間後、100μlのRIPA緩衝液を
加えることにより、細胞を収集した。溶解物中のナノルシフェラーゼ活性を、その製造業
者のプロトコル(プロメガ)に従ってルシフェラーゼアッセイシステムを用いて測定した
【0459】
[0559] 図34に示されるように、環状RNAを、両方の環状RNAから与えられるロ
ーリングサークル型方法により、細胞内でタンパク質に翻訳した。しかしながら、終止要
素(終止コドン)を欠いた環状RNAである。しかしながら、環状RNAのローリングサ
ークル型翻訳は、IRESでより多いタンパク質産生を開始させ、終止要素コザック翻訳
開始を有する環状RNAと比較して、機能的ルシフェラーゼ活性を有するより多くのタン
パク質産物を生成した。
【0460】
実施例38:環状RNAから発現される増加したタンパク質
[0560] この実施例は、細胞内における合成環状RNA翻訳を実証する。さらに、この
実施例は、環状RNAが、その線状同等物より、適切な分子量のより多い発現産物を生成
したことを示す。
【0461】
[0561] 線状及び環状RNAを、終止要素(終止コドン)と共にナノルシフェラーゼ遺
伝子を含むように設計した。細胞を、ビヒクル:トランスフェクション試薬のみ;線状n
LUC(配列番号23):EMCV IRES、スタガー要素(2A配列)、3x FL
AGタグ化nLuc配列、スタガー要素(2A配列)及び終止要素(終止コドン);又は
環状nLUC(配列番号23):EMCV IRES、スタガー要素(2A配列)、3x
FLAGタグ化nLuc配列、スタガー要素(2A配列)及び終止要素(終止コドン)
でトランスフェクトした。図35に示されるように、環状RNAは、線状RNAと比較し
て、適切な分子量を有する、より多いレベルのタンパク質を生成した。
【0462】
[0562] 24時間後、100μlのRIPA緩衝液を加えることにより、細胞を収集し
た。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の勾配のポリアク
リルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0463】
[0563] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し、ウエスタンブロットバンド強度をImageJ
によって測定した。
【0464】
[0564] 図35に示されるように、環状RNAは、細胞内でタンパク質に翻訳された。
特に、環状RNAは、その線状RNA同等物と比較して、適切な分子量を有するより高い
レベルのタンパク質を生成した。
【0465】
実施例39:合成環状RNAのローリングサークル型翻訳が細胞内で別個のタンパク質産
物を生成した
[0565] この実施例は、別個のタンパク質産物が、終止要素(終止コドン)を欠いた、
例えば細胞内において、終止要素(終止コドン)の代わりにスタガー要素を有する合成環
状RNAからのローリングサークル型翻訳によって翻訳されたことを実証する。さらに、
この実施例は、スタガー要素を有する環状RNAが、その線状同等物より、適切な分子量
を有するより多いタンパク質産物を発現したことを示す。
【0466】
[0566] 環状RNAを、終止要素(終止コドン)の代わりに、スタガー要素と共にナノ
ルシフェラーゼ遺伝子を含むように設計した。細胞をビヒクル:トランスフェクション試
薬のみ;線状nLUC(配列番号24):EMCV IRES、スタガー要素(2A配列
)、3x FLAGタグ化nLuc配列及びスタガー要素(2A配列);又は環状nLU
C(配列番号24):EMCV IRES、スタガー要素(2A配列)、3x FLAG
タグ化nLuc配列及びスタガー要素(2A配列)でトランスフェクトした。図36に示
されるように、環状RNAは、線状RNAと比較して、適切な分子量を有するより高いレ
ベルのタンパク質を生成した。
【0467】
[0567] 24時間後、100μlのRIPA緩衝液を加えることにより、細胞を収集し
た。5分間にわたる1400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の勾配のポリアク
リルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0468】
[0568] ドライ転写方法を用いてニトロセルロース膜に電気泳動転写した後、ブロット
を抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペルオキシダーゼと共にインキュベートした。ブロ
ットを、ECLキットを用いて視覚化し、ウエスタンブロットバンド強度をImageJ
によって測定した。
【0469】
[0569] 図36に示されるように、環状RNA翻訳産物が細胞内で検出された。特に、
終止要素(終止コドン)を有さない環状RNAは、その線状RNA同等物より、適切な分
子量を有するより高いレベルの別個のタンパク質産物を生成した。
【0470】
実施例40:疑似二本鎖、らせん構造を有する環状RNAの調製
[0570] この実施例は、環状RNAが疑似二本鎖及びらせん構造の両方を有していたこ
とを実証する。
【0471】
[0571] 非天然環状RNAを、疑似二本鎖、らせん構造を採用するように操作した。同
様の構造は、固有に長い生体内半減期を有する天然環状RNAの縮合に関与することが示
された(Griffin et al 2014,J Virol.2014 Jul;
88(13):7402-11.doi:10.1128/JVI.00443-14,
Guedj et al,Hepatology.2014 Dec;60(6):19
02-10.doi:10.1002/hep.27357)。
【0472】
[0572] この実施例において、環状RNAを、EMCV IRES、ORFとしての3
XFLAGでタグ化されたNluc及びスタガー配列(EMCV 2A 3XFLAG
Nluc 2A no stop)をコードするように設計した、RNA二次構造を評価
するために、熱力学的RNA構造予測ツール(RNAfold)を使用した(Vienn
a RNA)。さらに、RNA三次構造を、RNAモデリングアルゴリズムを用いて分析
した。
【0473】
[0573] 図37及び38に示されるように、環状RNAは、疑似二本鎖、らせん構造を
採用したようにモデル化される。
【0474】
実施例41:反復配列と連結された疑似らせん構造を有する環状RNAの調製
[0574] この実施例は、環状RNAが、反復配列と連結された疑似らせん構造を有する
ように設計され得ることを実証する。
【0475】
[0575] 非天然環状RNAを、反復配列と連結された疑似らせん構造を採用するように
操作した。同様の構造は、固有に長い生体内半減期を有する天然環状RNAの縮合に関与
することが示された(Griffin et al 2014、Guedj et al
2014)。
【0476】
[0576] この実施例において、環状RNAを、EMCV IRES、Nluc及び反復
配列(配列番号26)を含むスペーサーをコードするように設計した。RNA三次構造を
評価するためにRNAモデリングアルゴリズムを使用した。
【0477】
[0577] 図39に示されるように、環状RNAは、疑似らせん構造を採用したようにモ
デル化される。
【0478】
実施例42:環状化RNAは、環状であり、コンカテマーでない
[0578] この実施例は、RNAse Hによる環状RNA分解が、環状RNAと一致し
、コンカテマーRNAと一致しない核酸分解産物を生成したことを実証する。
【0479】
[0579] RNAは、リガーゼと共にインキュベートされる場合、反応しないか又は分子
内若しくは分子間結合を形成することができないかのいずれかであり、これは、それぞれ
環状(遊離末端がない)又はコンカテマーRNAを生成する。相補的DNAプライマー及
びRNAse H、DNA/RNA二本鎖を認識する非特異的エンドヌクレアーゼによる
各タイプのRNAの処理は、出発RNA材料に応じて、特定のサイズの固有の数の分解産
物を生成することが予測される。
【0480】
[0580] 以下の実施例に示されるように、ライゲートされたRNAは、RNAse H
分解によって生成されるRNAの数及びサイズに基づいて環状であり、コンカテマーでな
いことが示された。
【0481】
[0581] EMCV T2A 3XFLAG-Nluc P2Aを含有する環状RNA及
び線状RNAを生成した。
[0582] RNA(1299nt)の環状化状態を試験するために、0.05pmole
/μlの線状又は環状RNAを20分間にわたって37℃において、1037-1046
ntのRNA(CACCGCTCAGGACAATCCTT、配列番号55)に対して、
0.25U/μlのRNAse H、DNA/RNA二本鎖を消化するエンドリボヌクレ
アーゼ及び0.3pmole/μlのオリゴマーと共にインキュベートした。インキュベ
ーション後、反応混合物を6%の変性PAGEによって分析した。
【0482】
[0583] 上述される使用される線状RNAについて、DNAプライマーの結合及びRN
Ase Hによるその後の切断後、2つの切断産物が1041nt及び258ntで得ら
れることが予測される。コンカテマーが258、1041及び1299ntの3つの切断
産物を生成することが予測される。環状が単一の1299nt切断産物を生成することが
予測される。
【0483】
[0584] RNAseエンドヌクレアーゼと共にインキュベートされた線状RNAレーン
中のバンドの数は、予測されるように1041nt及び258ntの2つのバンドを生成
した一方、1299ntの単一のバンドは、環状RNAレーンにおいて生成され(図40
を参照されたい)、これは、環状RNAが実際に環状であり、コンカテマーでなかったこ
とを示す。
【0484】
実施例43:大きい環状RNAの調製
[0585] この実施例は、約20塩基~約6.2Kbの範囲の環状ポリリボヌクレオチド
の生成を実証する。
【0485】
[0586] 1つ以上の望ましい特性を含むように操作された非天然環状RNAは、所望の
機能に応じたサイズの範囲で生成された。以下の実施例に示されるように、最大で620
0ntの線状RNAが環状化された。
【0486】
[0587] プラスミドpCDNA3.1/CAT(6.2kb)をここで使用した。プラ
イマーを、規則的な間隔でpCDNA3.1/CATにアニールして、500nt、10
00nt、2000nt、4000nt、5000nt及び6200ntに対応するDN
Aオリゴヌクレオチドを生成するように設計した。示されるDNAオリゴヌクレオチドの
インビトロ転写を行って、対応するサイズの線状RNAを生成した。環状RNAを、スプ
リントDNAを用いて、これらのRNAオリゴヌクレオチドから生成した。
【0487】
[0588] RNAの環状化効率を測定するために、6つの異なるサイズの線状RNA(5
00nt、1000nt、2000nt、4000nt、5000nt及び6200nt
)を生成した。それらを、DNAスプリント及びT4 DNAリガーゼ2を用いて環状化
した。対照として、1つの反応をT4 RNAリガーゼなしで行った。環状化サンプルの
半分をRNAse Rで処理して、線状RNAを除去した。
【0488】
[0589] 環状化効率を監視するために、各サンプルを、qPCRを用いて分析した。図
41に示されるように、環状RNAを異なる長さの様々なDNAから生成した。図42
示されるように、RNAの環状化を、環状接合部に対して、RNAse R処理及びqP
CR分析を用いて確認した。この実施例は、様々な長さの環状RNA生成を実証する。
【0489】
実施例44:タンパク質結合部位を用いて操作される環状RNA
[0590] この実施例は、タンパク質結合部位を有する環状RNAの生成を実証する。
【0490】
[0591] この実施例において、1つの環状RNAは、CVB3 IRES(配列番号5
6)及びガウシアルシフェラーゼ(Gluc)をコードするORF(配列番号57)、続
いて少なくとも1つのタンパク質結合部位を含むように設計される。特定の例では、シン
ドビスウイルス3’UTRからのHuR結合配列(配列番号52)を用いて、環状RNA
免疫原性に対するタンパク質結合の影響を試験する。HuR結合配列は、2つの要素、U
RE(Uリッチ要素;配列番号50)及びCSE(保存配列要素;配列番号51)を含む
。HuR結合配列を有さない又はUREを有する環状RNAが対照として使用される。ア
ナベナ属(Anabaena)自己触媒イントロン及びエクソン配列の一部をCVB3
IRES(配列番号56)の前に配置する。環状RNAは、記載されるようにインビトロ
で生成される。図45に示されるように、環状RNAは、HuR結合部位を含有するよう
に生成された。
【0491】
[0592] 環状RNA免疫原性に対するRNA結合タンパク質の影響を監視するために、
細胞を96ウェルプレートの各ウェル中で平板培養する。1日後、500ngの環状RN
Aを、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて各ウェル中
にトランスフェクトする。翻訳効率/RNA安定性/免疫原性を毎日最大で72時間監視
する。Gluc活性を監視するために培地を収集する。RNAレベルを測定するための細
胞溶解物を、リアルタイムRT-PCR(インビトロジェン)によって相対的遺伝子発現
の測定を可能にするキットを用いて調製する。
【0492】
[0593] 製造業者の説明(ピアース)に従ってガウシアルシフェラーゼフラッシュアッ
セイキットを用いて、Gluc活性を測定することにより、翻訳効率を監視する。
[0594] qRT-PCR分析のために、cDNAは、製造業者の説明(インビトロジェ
ン)に従って細胞溶解物調製キットを用いて生成される。qRT-PCR分析は、PCR
マスターミックス(Brilliant II SYBR Green qRT-PCR
Master Mix)及びPCRサイクラー(LightCycler 480)を
用いて3連で行われる。環状RNA安定性をNlucに対するプライマーによって測定す
る。RIG-I、MDA5、OAS、OASL及びPKRなどの周知の自然免疫調節因子
のmRNAレベルを定量化し、アクチン値に対して正規化する。
【0493】
実施例45:調節核酸部位を有する環状RNAの調製
[0595] この実施例は、調節RNA結合部位を有する環状RNAのインビトロ生成を実
証する。
【0494】
[0596] 異なる細胞型は、特定のRNA配列を標的にする独自の核酸調節機構を有する
。環状RNA中のこれらの特定の配列をコードすることは、異なる細胞型における独自の
特性を与え得る。以下の実施例に示されるように、環状RNAは、マイクロRNA結合部
位をコードするように操作された。
【0495】
[0597] この実施例において、環状RNAは、WT EMCV IRESをコードする
配列、mir692マイクロRNA結合部位(GAGGUGCUCAAAGAGAU)及
びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサー要素を含んでいた。
【0496】
[0598] 環状RNAをインビトロで生成した。転写を駆動するT7 RNAポリメラー
ゼプロモータに加えて、上に列挙される全てのモチーフを含むDNA鋳型から非修飾線状
RNAをインビトロで転写した。転写されたRNAを、RNAクリーンアップキット(ニ
ュー・イングランド・バイオラボ、T2050)を用いて精製し、製造業者の説明に従っ
てRNA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(ニュー・イングランド・バイオラボ、
M0356)で処理し、RNA精製カラムを用いて再度精製した。RppHで処理された
RNAを、スプリントDNA(GGCTATTCCCAATAGCCGTT)及びT4
RNAリガーゼ2(ニュー・イングランド・バイオラボ、M0239)を用いて環状化し
た。環状RNAを尿素-PAGEで精製し(図43)、緩衝液(0.5Mの酢酸ナトリウ
ム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)で溶離させ、エタノールで沈殿させ、RNa
seフリー水中で再懸濁させた。
【0497】
[0599] 図43に示されるように、環状RNAを、miRNA結合部位を用いて生成し
た。
【0498】
実施例46:環状RNAの自己スプライシング
[0600] この実施例は、自己スプライシングによって環状RNAを生成する能力を実証
する。
【0499】
[0601] この実施例では、環状RNAは、CVB3 IRES、ガウシアルシフェラー
ゼ(GLuc)をコードするORF及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサー要
素を含んでいた。
【0500】
[0602] 環状RNAをインビトロで生成した。上に列挙される全てのモチーフを含むD
NA鋳型から非修飾線状RNAをインビトロで転写した。インビトロ転写反応は、1μg
の鋳型DNA T7 RNAポリメラーゼプロモータ、10×T7反応緩衝液、7.5m
MのATP、7.5mMのCTP、7.5mMのGTP、7.5mMのUTP、10mM
のDTT、40UのRNase阻害剤及びT7酵素を含んでいた。転写を37℃で4時間
行った。転写されたRNAは、37℃で15分間1UのDNase Iで処理されたDN
aseであった。自己スプライシングによる環状化に有利に作用するように、さらなるG
TPを2mMの最終濃度に加え、55℃で15分間インキュベートした。次に、RNAを
カラム精製し、UREA-PAGEによって視覚化した。
【0501】
[0603] 図44は、自己スプライシングによって生成された環状RNAを示す。
【0502】
実施例47:エンクリプトゲンを含むスプライシング要素を有する環状RNA
[0604] この実施例は、環状RNAが、低下した免疫原性を有するように操作されるこ
とを実証する。
【0503】
[0605] この実施例では、環状RNAは、CVB3 IRES、ガウシアルシフェラー
ゼ(GLuc)をコードするORF及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサー要
素を含んでおり、これらの2つのスペーサー要素は、アナベナ属(Anabaena)自
己触媒イントロン及びエクソン配列(配列番号59)の一部であるスプライシング要素を
含む。
【0504】
[0606] 環状RNAは、インビトロで生成される。
[0607] この実施例において、細胞を12ウェルプレートの各ウェル中で平板培養する
ことにより、自然免疫応答遺伝子のレベルを細胞内で監視する。1日後、1μgの線状又
は環状RNAは、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて
各ウェル中にトランスフェクトされる。トランスフェクションの24時間後、全RNAは
、フェノール系抽出試薬(インビトロジェン)を用いて細胞から単離される。全RNA(
500ng)を逆転写に供して、cDNAを生成する。qRT-PCR分析は、色素ベー
スの定量的PCRミックス(バイオラッド)を用いて行われる。
【0505】
[0608] スプライシング要素を含む環状RNAでトランスフェクトされたBJ細胞から
の免疫関連遺伝子のqRT-PCRレベルは、線状RNAトランスフェクト細胞と比較し
て、RIG-I、MDA5、PKR及びIFN-βの減少を示すことが予測される。した
がって、レシピエント細胞内における免疫原性関連遺伝子の誘導は、線状RNAトランス
フェクト細胞と比較して、環状RNAトランスフェクト細胞内で減少されることが予測さ
れる。
【0506】
実施例48:細胞分裂中の環状RNAの持続性
[0609] この実施例は、細胞分裂中の環状ポリリボヌクレオチドの持続性を実証する。
1つ以上の望ましい特性を含むように操作された非天然環状RNAは、分解されずに細胞
分裂を通して細胞内で持続し得る。以下の実施例に示されるように、ガウシアルシフェラ
ーゼ(GLuc)を発現する環状RNAをHeLa細胞内で72時間にわたって監視した
【0507】
[0610] この実施例において、1307ntの環状RNAは、CVB3 IRES、ガ
ウシアルシフェラーゼ(GLuc)をコードするORF及びIRES-ORFに隣接する
2つのスペーサー要素を含んでいた。
【0508】
[0611] 細胞分裂にわたる環状RNAの持続性をHeLa細胞内で監視した。96ウェ
ルプレート中の5000個の細胞/ウェルは、環状RNAでトランスフェクトされた懸濁
液であった。Bright細胞イメージングをAvos imager(サーモフィッシ
ャー)において行い、細胞計数を、0時間、24時間、48時間、72時間及び96時間
の時点で発光細胞生存アッセイ(プロメガ)を用いて行った。ガウシアルシフェラーゼ酵
素活性をタンパク質発現の指標として毎日監視し、gLuc発現を、ガウシアルシフェラ
ーゼ活性アッセイ(サーモサイエンティフィック ピアース)を用いて、24時間ごとに
ウェルから除去された上清中で毎日監視した。50μlの1X Gluc基質を5μlの
血漿に加えて、Glucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレートを、発光測定装
置(プロメガ)において混合した直後に読み取った。
【0509】
[0612] 環状RNAからのタンパク質の発現は、分裂細胞内で線状RNAより高いレベ
ルで検出された(図46)。環状RNAを有する細胞は、測定される全ての時点において
、線状RNAと比較してより高い細胞分裂速度を有していた。この実施例は、その線状R
NA同等物より、細胞分裂中の環状RNAの増加した検出を実証する。
【0510】
実施例49:ローリングサークル型翻訳は、複数の発現配列を生成した
[0613] この実施例は、単一の構築物から複数のタンパク質を発現する環状RNAの能
力を実証する。さらに、この実施例は、複数のORFをコードする環状RNAのローリン
グサークル型翻訳を実証する。この実施例は、単一の構築物からの2つのタンパク質の発
現をさらに実証する。
【0511】
[0614] 1つの環状RNA(mtEMCV T2A 3XFLAG-GFP F2A
3XFLAG-Nluc P2A ISスペーサー)を、EMCV IRES(配列番号
58)及び3XFLAGタグを有するGFPをコードするORF及び3XFLAGタグを
有するナノルシフェラーゼ(Nluc)をコードするORFを含むようにローリングサー
クル型翻訳のために設計した。スタガー要素(2A)は、GFP及びNluc ORFに
隣接していた。別の環状RNAを同様に設計したが、Nluc ORFとスペーサーとの
間に三重終止コドンを含んでいた。アナベナ属(Anabaena)自己触媒イントロン
及びエクソン配列の一部がEMCV IRESの前に含まれていた。環状RNAを記載さ
れるようにインビトロで生成した。
【0512】
[0615] 環状RNAからのタンパク質の発現をインビトロ又は細胞内で監視した。イン
ビトロ分析の場合、環状RNAを30℃においてウサギ網状赤血球溶解物(プロメガ,F
itchburg,WI,USA)中で3時間インキュベートした。反応混合物の最終組
成物は、70%のウサギ網状赤血球溶解物、20μMの完全アミノ酸及び0.8U/μL
のRNase阻害剤(東洋紡、大阪)を含んでいた。
【0513】
[0616] インキュベーション後、ヘモグロビンタンパク質を、酢酸(0.32μl)及
び水(300μl)を反応混合物(16μl)に加え、15℃で10分間にわたって20
,817×gで遠心分離することによって除去した。上清を除去し、ペレットを2×SD
Sサンプル緩衝液に溶解させ、15分間にわたって70℃でインキュベートした。5分間
にわたる1400×gでの遠心分離後、上清を10~20%の勾配のポリアクリルアミド
/SDSゲル上で分析した。
【0514】
[0617] 細胞内での分析のため、細胞内での環状RNAの翻訳効率を監視するために細
胞を12ウェルプレートの各ウェル中で平板培養した。1日後、500ngの環状RNA
を、脂質ベースのトランスフェクション試薬(インビトロジェン)を用いて各ウェル中で
トランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、200μlのRIPA緩衝
液を各ウェルに加えることにより、細胞を収集した。次に、10μgの細胞溶解物タンパ
ク質を10~20%の勾配のポリアクリルアミド/SDSゲル上で分析した。
【0515】
[0618] ドライ転写方法を用いて、網状赤血球溶解物及び細胞からのサンプルをニトロ
セルロース膜に電気泳動転写した後、ブロットを抗FLAG抗体及び抗マウスIgGペル
オキシダーゼと共にインキュベートした。ローディングコントロールとして、抗βチュー
ブリン抗体を使用した。ブロットを、増強化学発光(ECL)キットを用いて視覚化した
。ウエスタンブロットバンド強度をImageJによって測定した。
【0516】
[0619] 図47に示されるように、GFP及びnLucをコードする環状RNAは、2
つのタンパク質産物を生成した。三重終止を有さない環状RNAからの翻訳は、三重終止
コドンを有する環状RNAより多い両方のタンパク質産物を生成した。最後に、三重終止
を有する及び有さない両方の環状RNAは、それぞれ1/3.24及び1/3.37の比
率でタンパク質を発現した。
【0517】
実施例50:環状RNAは、線状RNAと比較して低下した毒性を示す
[0620] この実施例は、環状RNAが、線状RNAより毒性が低いことを実証する。
【0518】
[0621] この実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、3XFLAGタグを有
し、且つスタガー要素(2A)及び終止要素(終止コドン)によって両側が隣接されたN
anoLucをコードするORFを含む。環状RNAをインビトロで生成し、本明細書に
記載されるように精製した。この実施例に使用される線状RNAは、グロビンUTRを有
するnLucをコードするキャップ修飾ポリAテイルRNA又はキャップ非修飾ポリAテ
イルRNAであった。
【0519】
[0622] 細胞内のRNAの毒性を監視するために、BJヒト線維芽細胞を96ウェルプ
レートの各ウェル上で平板培養した。50ngの環状又はキャップ修飾ポリAテイル線状
RNAのいずれかを、製造業者の推奨に従って脂質ベースのトランスフェクション試薬(
サーモフィッシャー)を用いて、0、48及び72時間後にトランスフェクトした。Br
ight細胞イメージングを96時間の時点でAvos imager(サーモフィッシ
ャー)において行った。1条件当たりの全細胞を、ImageJを用いて分析した。
【0520】
[0623] 図48に示されるように、環状RNAのトランスフェクションは、線状RNA
と比較して、低下した毒性を実証した。
【0521】
実施例51:ストレス条件下での発現
[0624] この実施例は、環状RNAが、線状RNAより、ストレス条件下でより良好に
発現されたことを実証する。
【0522】
[0625] この実施例では、環状RNAは、EMCV IRES、3XFLAGタグを有
し、且つスタガー要素によって隣接されたNanoLucをコードするORFを含む。環
状RNAをインビトロで生成し、記載されるように精製した。この実施例に使用される線
状RNAは、グロビンUTRを有するnLucをコードするキャップポリAテイルRNA
であった。
【0523】
[0626] 細胞からのガウシアルシフェラーゼの発現を監視するために、BJヒト線維芽
細胞を96ウェルプレートの各ウェル中で平板培養した。50ngの環状又はキャップ-
ポリAテイル線状RNAのいずれかを、製造業者の推奨に従って脂質ベースのトランスフ
ェクション試薬を用いて、0、48及び72時間後にトランスフェクトした。ガウシアル
シフェラーゼ酵素活性をタンパク質発現の指標として毎日監視し、gLuc発現を、ガウ
シアルシフェラーゼ活性アッセイ(サーモサイエンティフィック ピアース)を用いて、
24時間ごとにウェルから除去された上清中で毎日監視した。50μlの1X Gluc
基質を5μlの血漿に加えて、Glucルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレート
を、発光測定装置(プロメガ)において混合した直後に読み取った。
【0524】
[0627] 図49に示されるように、環状RNAは、ストレス条件下において、線状RN
Aと比較してより高いレベルで翻訳された。
【0525】
実施例52:選択的発現のためのリボスイッチ
[0628] この実施例は、環状RNAからのタンパク質発現を制御する能力を実証する。
【0526】
[0629] この実施例では、環状RNAを、NanoLucをコードするORFの発現を
調節する合成リボスイッチ(配列番号60)を含むように設計した(図50を参照された
い)。環状RNAをインビトロで生成した。転写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプ
ロモータに加えて、上に列挙される全てのモチーフを含むDNA鋳型から非修飾線状RN
Aをインビトロで転写した。転写されたRNAを、RNAクリーンアップキット(ニュー
・イングランド・バイオラボ、T2050)を用いて精製し、製造業者の説明に従ってR
NA 5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(ニュー・イングランド・バイオラボ、M
0356)で処理し、RNA精製カラムを用いて再度精製した。RppHで処理されたR
NAを、スプリントDNA(CCGTTGTGGTCTCCCAGATAAACAGTA
TTTTGTCC)及びT4 RNAリガーゼ2(ニュー・イングランド・バイオラボ、
M0239)を用いて環状化した。環状RNAを尿素-PAGEで精製した(図50)。
【0527】
[0630] テオフィリン又はテトラサイクリンは、その特定のリボスイッチの活性化を誘
導して、遺伝子発現のオフスイッチをもたらす(Auslander et al Mo
l Biosyst.2010 May;6(5):807-14及びOgawa et
al,RNA.2011 Mar;17(3):478-88.doi:10.126
1/rna.2433111.Epub 2011 Jan 11によって記載されるよ
うに)。リボスイッチは、環状RNAからのGFP又はNLuc発現を制御することが予
測される。したがって、GFP又はNLuc発現は、テオフィリン又はテトラサイクリン
の追加後に予測されない。
【0528】
[0631] リボスイッチの効率が無細胞翻訳系及びHeLa細胞内で試験される。無細胞
翻訳は、製造業者の推奨に従って無細胞翻訳キット(プロメガ、L4140)を使用し、
NLuc ORFについて発光測定装置(プロメガ)及びGFP ORFについて細胞イ
メージングマルチモードリーダー(BioTek)を用いて発光を測定することによって
行われる。
【0529】
[0632] 細胞アッセイのために、HeLa細胞/ウェルは、テオフィリン又はテトラサ
イクリン依存的合成リボスイッチ(theoN5についての第1のPCRフォワードプラ
イマー:ATACCAGCCGAAAGGCCCTTGGCAGAGAGGTCTGAAAAGACCTCTGCTGACTATGTGATCTTATTAAAATTA
GG;theoN5についての第2のPCRフォワードプライマー:GAAATTAATACGACTCACTA
TAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCCTCTATACCAGCCGAAAGGCCCTTGGCAG;tc-N5についての第1
のPCRフォワードプライマー:ACATACCAGATTTCGATCTGGAGAGGTGAAGAATACGACCACCTAGAGGT
CTGAAAAGACCTCTGCTGACTATGTGATC;tc-N5についての第2のPCRフォワードプライ
マー:GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCCTCTAAAACATACCAGATTTCGATC)の
いずれかの制御下において、1nMの、GFP又はNLucをコードする記載される環状
RNAでトランスフェクトされて、選択的発現を評価する。脂質ベースのトランスフェク
ション試薬が製造業者の推奨に従って使用される。
【0530】
[0633] 37℃及び5%のCOで24時間の培養後、細胞は、1nM~3mMの範囲
の濃度を有する、環状RNA内でコードされるリボスイッチに応じて、テオフィリン又は
テトラサイクリンを用いて及び用いずに処理される。24時間の連続した培養後、蛍光又
は発光が評価される。GFPについて、生細胞は、5%のFBS及びペニシリン/ストレ
プトマイシン及び核の染色を含む蛍光ニュートラルDMEM培地中でイメージングされる
。NLucについて、発光は、発光測定装置(プロメガ)を用いて、製造業者の説明に従
ってルシフェラーゼシステムを用いて評価される。
【0531】
NLuc(青色:チャバネアオカメムシ(Plautia stali)腸管ウイルスIRES、オ
レンジ色:NLuc ORF)についてのDNA鋳型
GACACGCGGCCTTCCAAGCAGTTAGGGAAACCGACTTCTTTGAAGAAGAAAGCTGACTATGTGATCTTATTAAAATTAGG
TTAAATTTCGAGGTTAAAAATAGTTTTAATATTGCTATAGTCTTAGAGGTCTTGTATATTTATACTTACCACACAAGATG
GACCGGAGCAGCCCTCCAATATCTAGTGTACCCTCGTGCTCGCTCAAACATTAAGTGGTGTTGTGCGAAAAGAATCTCAC
TTCAAGAAAAAGAAACTAGTATGGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTG
GACCAAGTCCTTGAACAGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGT
CCTGAGCGGTGAAAATGGGCTGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCC
AGATCGAAAAAATTTTTAAGGTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTA
ATCGACGGGGTTACGCCGAACATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGAT
CACTGTAACAGGGACCCTGTGGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCC
GAGTAACCATCAACGGAGTGACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGTAACTCGAGCTCGGTACCTGTCCGCGG
TCGCGACGTACGCGGGCGGCCGCCATAAATTGGATCCATATATAGGGCCCGGGTTATAATTACCTCAGGTCGACGTCCCA
TGGTTTTGTATAGAATTTACGGCTAGCGCCGGATGCGACGCCGGTCGCGTCTTATCCGGCCTTCCTATATCAGGCGGTGT
TTAAGACGCCGCCGCTTCGCCCAAATCCTTATGCCGGTTCGACGACTGGACAAAATACTGTTTATCT
eGFP(青色:チャバネアオカメムシ(Plautia stali)腸管ウイルスIRES、オ
レンジ色:eGFP ORF)についてのDNA鋳型
GACACGCGGCCTTCCAAGCAGTTAGGGAAACCGACTTCTTTGAAGAAGAAAGCTGACTATGTGATCTTATTAAAATTAGG
TTAAATTTCGAGGTTAAAAATAGTTTTAATATTGCTATAGTCTTAGAGGTCTTGTATATTTATACTTACCACACAAGATG
GACCGGAGCAGCCCTCCAATATCTAGTGTACCCTCGTGCTCGCTCAAACATTAAGTGGTGTTGTGCGAAAAGAATCTCAC
TTCAAGAAAAAGAAACTAGTATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGAC
GGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTT
CATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCC
GCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTC
TTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAA
GGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCA
TGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCC
GACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGC
CCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCA
TGGACGAGCTGTACAAGTAACTCGAGCTCGGTACCTGTCCGCGGTCGCGACGTACGCGGGCGGCCGCCATAAATTGGATC
CATATATAGGGCCCGGGTTATAATTACCTCAGGTCGACGTCCCATGGTTTTGTATAGAATTTACGGCTAGCGCCGGATGC
GACGCCGGTCGCGTCTTATCCGGCCTTCCTATATCAGGCGGTGTTTAAGACGCCGCCGCTTCGCCCAAATCCTTATGCCG
GTTCGACGACTGGACAAAATACTGTTTATCT
プライマー配列
2(下線:T7プロモータ)についてのフォワードプライマー:
GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTGACTATGTGATC
theoN5(オレンジ色:アプタマー;赤色:aIRES;紫色:aaIRES)につ
いての第1のPCRにおけるフォワードプライマー:
ATACCAGCCGAAAGGCCCTTGGCAGAGAGGTCTGAAAAGACCTCTGCTGACTATGTGATCTTATTAAAATTAGG
TheoN5 第2のPCR:
GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCCTCTATACCAGCCGAAAGGCCCTTGGCAG
tc-N5についての第1のPCRにおけるフォワードプライマー:
ACATACCAGATTTCGATCTGGAGAGGTGAAGAATACGACCACCTAGAGGTCTGAAAAGACCTCTGCTGACTATGTGATC
tc-N5についての第2のPCRにおけるフォワードプライマー:
GAAATTAATACGACTCACTATAGGGAGACCACAACGGTTTCCCTCCTCTAAAACATACCAGATTTCGATC
全てのPCRにおけるリバースプライマー:
AGATAAACAGTATTTTGTCCAGTCGTCGAAC
接合部:
GGACAAAATACTGTTTATCTGGGAGACCACAACGG
スプリント:
5’-CCG TTG TGGTCT CCC AGA TAA ACA GTA TTT TGT CC -3’
【0532】
実施例53:修飾ヌクレオチドを有する環状RNAが生成され、翻訳され、環状RNAの
免疫原性を低下させた
[0634] この実施例は、タンパク質産物を生成した修飾環状ポリリボヌクレオチドの生
成を実証する。さらに、この実施例は、ヌクレオチド修飾を有するように操作された環状
RNAが線状RNAと比較して低下した免疫原性を有していたことを実証する。
【0533】
[0635] 1つ以上の望ましい特性を含み、且つ修飾ヌクレオチドの完全又は部分的な組
み込みを有するように操作された非天然環状RNAを生成した。以下の実施例に示される
ように、完全長修飾線状RNA又は修飾及び非修飾線状RNAのハイブリッドを環状化し
、nLucの発現を評価した。さらに、修飾環状RNAは、非修飾環状RNAと比較して
、BJ細胞内における免疫関連遺伝子の低下した活性化を有することが示された(MDA
5、OAS及びIFN-β発現のq-PCR)。
【0534】
[0636] WT EMCV Nluc stopスペーサーを有する環状RNAを生成し
た。完全な修飾置換のために、修飾ヌクレオチド、プソイドウリジン及びメチルシトシン
又はm6Aを、インビトロ転写反応中、標準的な非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシト
シン又はアデノシンのそれぞれの代わりに加えた。ハイブリッド構築物について、WT
EMCV IRESをnLuc ORFとは別々に合成した。WT EMCV IRES
を、修飾又は非修飾ヌクレオチドのいずれかを用いて合成した。対照的に、nLuc O
RF配列を、インビトロ転写反応中、標準的な非修飾ヌクレオチド、ウリジン及びシトシ
ン又はアデノシンのそれぞれの代わりに、修飾ヌクレオチド、プソイドウリジン及びメチ
ルシトシン又はm6Aを用いて合成した。修飾又は非修飾IRES及び修飾ORFの合成
後、これらの2つのオリゴヌクレオチドを、T4 DNAリガーゼを用いて一緒にライゲ
ートした。図51Aに示されるように、修飾環状RNAを生成した。
【0535】
[0637] 完全修飾又はハイブリッド修飾構築物からのnLucの発現効率を測定するた
めに、0.1pmolの線状及び環状RNAを6時間にわたってBJ線維芽細胞中にトラ
ンスフェクトした。nLuc発現をトランスフェクションの6時間、24時間、48時間
及び72時間後の時点で測定した。
【0536】
[0638] 自然免疫応答遺伝子のレベルを、フェノール系抽出試薬(インビトロジェン)
を用いて、細胞から単離された全RNAから細胞中で監視した。全RNA(500ng)
を逆転写に供して、cDNAを生成した。qRT-PCR分析を、色素ベースの定量的P
CRミックス(バイオラッド)を用いて行った。
【0537】
[0639] 図51B及び51Cに示されるように、修飾環状RNAが翻訳された。図52
A~Cに示されるように、環状RNAでトランスフェクトされたBJ細胞からの免疫関連
遺伝子のqRT-PCRレベルは、非修飾環状RNAトランスフェクト細胞と比較して、
MDA5、OAS及びIFN-β発現の低下を示した。したがって、レシピエント細胞内
における免疫原性関連遺伝子の誘導は、非修飾環状RNAトランスフェクト細胞と比較し
て、修飾環状RNAでトランスフェクトされた細胞内で減少された。
【0538】
実施例54:環状RNAがインビボで投与され、より長い半減期/増加した安定性を示し

[0640] この実施例は、環状RNAを送達する能力及びインビボの線状RNAと比較し
て、環状RNAの増加した安定性を実証する。
【0539】
[0641] この実施例では、環状RNAを、ナノルシフェラーゼ(Nluc)をコードす
るORF及びスタガー配列(EMCV 2A 3XFLAG Nluc 2A no s
top及びEMCV 2A 3XFLAG Nluc 2A stop)と共にEMCV
IRESを含むように設計した。環状RNAをインビトロで生成した。
【0540】
[0642] Balb/cマウスに環状RNAをNluc ORF又は対照としての線状R
NAと共に静脈内(IV)尾静脈投与によって注入した。動物に、製造業者の説明に従い
、脂質ベースのトランスフェクション試薬(Mirus)中で製剤化された単回用量の5
μgのRNAを投与した。
【0541】
[0643] マウスを殺処分し、肝臓を投与の3、4及び7日後の時点で採取した(n=2
匹のマウス/時点)。肝臓を採取し、RNA安定化試薬(インビトロジェン)中で貯蔵し
た。組織を、マイクロチューブホモジナイザ(フィッシャーサイエンティフィック)を用
いてRIPA緩衝液中で均質化し、RNAを、cDNA合成のためにフェノール系RNA
抽出試薬を用いて抽出した。qPCRを用いて、肝臓中の線状及び環状RNAの両方の存
在を測定した。
【0542】
[0644] 組織におけるRNA検出をqPCRによって行った。線状及び環状RNAを検
出するために、Nluc ORFを増幅するプライマーを使用した。(F:AGATTT
CGTTGGGGACTGGC、R:CACCGCTCAGGACAATCCTT)。環
状RNAのみを検出するために、5’-3’接合物を増幅するプライマーは、線状RNA
構築物ではなく環状RNA構築物の検出を可能にした(F:CTGGAGACGTGGA
GGAGAAC、R:CCAAAAGACGGCAATATGGT)。
【0543】
[0645] 環状RNAは、注入の3、4-及び7日後の時点でマウスの肝臓中において線
状RNAより高いレベルで検出された(図53)。したがって、環状RNAが投与され、
投与後少なくとも7日間においてインビボで検出可能であった。
【0544】
実施例55:環状RNAのインビボ発現、半減期及び非免疫原性
[0646] この実施例は、インビボで環状RNAから発現を駆動する能力を実証する。そ
れは、線状RNAと比較して、環状RNAの増加した半減期を実証する。最後に、それは
、環状RNAがインビボで非免疫原性であるように操作されたことを実証する。
【0545】
[0647] この実施例では、環状RNAは、CVB3 IRES、ガウシアルシフェラー
ゼ(GLuc)をコードするORF及びIRES-ORFに隣接する2つのスペーサー要
素を含んでいた。
【0546】
[0648] 環状RNAをインビトロで生成した。上に列挙される全てのモチーフ並びに転
写を駆動するT7 RNAポリメラーゼプロモータを含むDNA鋳型から非修飾線状RN
Aをインビトロで転写した。転写されたRNAを、RNAクリーンアップキット(ニュー
・イングランド・バイオラボ、T2050)を用いて精製し、製造業者の説明に従ってR
NA5’-ホスホヒドロラーゼ(RppH)(ニュー・イングランド・バイオラボ、M0
356)で処理し、RNA精製カラムを用いて再度精製した。RppHで処理されたRN
Aを、スプリントDNA(GTCAACGGATTTTCCCAAGTCCGTAGCG
TCTC)及びT4 RNAリガーゼ2(ニュー・イングランド・バイオラボ、M023
9)を用いて環状化した。環状RNAを尿素-PAGEで精製し、緩衝液(0.5Mの酢
酸ナトリウム、0.1%のSDS、1mMのEDTA)で溶離させ、エタノールで沈殿さ
せ、RNaseフリー水中で再懸濁させた。
【0547】
[0649] マウスに、ガウシアルシフェラーゼORF又は対照としての線状RNAと共に
2.5μgの環状RNAの単回の尾静脈注入投与を与え、これらの両方は、担体として脂
質ベースのトランスフェクション試薬(Mirus)中で製剤化された。
【0548】
[0650] 投与の1、2、7、11、16及び23日後の時点で血液サンプル(50μl
)を各マウスの尾静脈からEDTAチューブ中に採取した。血漿を4℃において1300
gで25分間にわたって遠心分離によって単離し、ガウシアルシフェラーゼ、分泌酵素の
活性を、ガウシアルシフェラーゼ活性アッセイ(サーモサイエンティフィック ピアース
)を用いて試験した。50μlの1X Gluc基質を5μlの血漿に加えて、Gluc
ルシフェラーゼ活性アッセイを行った。プレートを、発光測定装置(プロメガ)において
混合した直後に読み取った。
【0549】
[0651] ガウシアルシフェラーゼ活性は、環状RNAの投与の1、2、7、11、16
及び23日後の時点で血漿中において検出された(図54A~B)。
[0652] 対照的に、ガウシアルシフェラーゼ活性は、修飾線状RNAの投与の1及び2
日後の時点でのみ血漿中で検出された。線状RNA由来タンパク質からの酵素活性は、6
日又はそれを超える時点でバックグラウンドレベルを超えて検出されなかった(図54A
~B)。
【0550】
[0653] 16日目に肝臓を3匹の動物から切除し、全RNAを、フェノール系抽出試薬
(インビトロジェン)を用いて細胞から単離した。全RNA(500ng)を逆転写に供
して、cDNAを生成した。qRT-PCR分析を、色素ベースの定量的PCRミックス
(バイオラッド)を用いて行った。
【0551】
[0654] 図55に示されるように、線状RNAではなく環状RNAのqRT-PCRレ
ベルは、16日目に肝臓及び脾臓の両方において検出された。図56に示されるように、
線状RNAでトランスフェクトされた肝臓からの免疫関連遺伝子は、RIG-I、MDA
5、IFN-B及びOASの増加した発現を示した一方、環状RNAでトランスフェクト
された肝臓は、16日目に、担体でトランスフェクトされた動物と比較して、これらのマ
ーカーRIG-I、MDA5、PKR及びIFN-βの増加した発現を示さなかった。し
たがって、レシピエント細胞内における免疫原性関連遺伝子の誘導は、トランスフェクト
された肝臓からの環状RNA中に存在しなかった。
【0552】
[0655] この実施例は、環状RNAが注入の複数日数後に血漿中のタンパク質活性のレ
ベルを有して、長期間にわたってインビボでタンパク質を発現したことを実証する。マウ
ス血漿中のガウシアルシフェラーゼの半減期が約20分間である場合(Tannous,
Nat Protoc.,2009,4(4):582-591を参照されたい)、同様
の活性レベルは、環状RNAからの連続した発現を示す。さらに、環状RNAは、免疫関
連遺伝子を誘導せずに、その修飾線状RNA同等物より長い発現プロファイルを示した。
【0553】
配列表
配列番号1(開始コドン)
AUG
配列番号2(GFP)
EGFP:
atggtgagcaagggcgaggagctgttcaccggggtggtgcccatcctggtcgagctggacggcgacgtaaacggccacaa
gttcagcgtgtccggcgagggcgagggcgatgccacctacggcaagctgaccctgaagttcatctgcaccaccggcaagc
tgcccgtgccctggcccaccctcgtgaccaccctgacctacggcgtgcagtgcttcagccgctaccccgaccacatgaag
cagcacgacttcttcaagtccgccatgcccgaaggctacgtccaggagcgcaccatcttcttcaaggacgacggcaacta
caagacccgcgccgaggtgaagttcgagggcgacaccctggtgaaccgcatcgagctgaagggcatcgacttcaaggagg
acggcaacatcctggggcacaagctggagtacaactacaacagccacaacgtctatatcatggccgacaagcagaagaac
ggcatcaaggtgaacttcaagatccgccacaacatcgaggacggcagcgtgcagctcgccgaccactaccagcagaacac
ccccatcggcgacggccccgtgctgctgcccgacaaccactacctgagcacccagtccgccctgagcaaagaccccaacg
agaagcgcgatcacatggtcctgctggagttcgtgaccgccgccgggatcactctcggcatggacgagctgtacaag
配列番号3(スタガー要素)
P2A:gctactaacttcagcctgctgaagcaggctggcgacgtggaggagaaccctggacct
T2A:gagggcaggggaagtctactaacatgcggggacgtggaggaaaatcccggccca
E2A:cagtgtactaattatgctctcttgaaattggctggagatgttgagagcaacccaggtccc
その他:F2A、BmCPV2A、BmIFV2A
配列番号4 ZKSCANイントロン
GTAAAAAGAGGTGAAACCTATTATGTGTGAGCAGGGCACAGACGTTGAAACTGGAGCCAGGAGAAGTATTGGCAGGCTTT
AGGTTATTAGGTGGTTACTCTGTCTTAAAAATGTTCTGGCTTTCTTCCTGCATCCACTGGCATACTCATGGTCTGTTTTT
AAATATTTTAATTCCCATTTACAAAGTGATTTACCCACAAGCCCAACCTGTCTGTCTTCAG
又は
GTAAGAAGCAAGGTTTCATTTAGGGGAAGGGAAATGATTCAGGACGAGAGTCTTTGTGCTGCTGAGTGCCTGTGATGAAG
AAGCATGTTAGTcctgggcaacgtagcgagaccccatctctacaaaaaatagaaaaattagccaggtatagtggcgcaca
cctgtgattccagctacgcaggaggctgaggtgggaggattgcttgagcccaggaggttgaggctgcagtgagctgtaat
catgccactactccaacctgggcaacacagcaaggaccctgtctcaaaaGCTACTTACAGAAAAGAATTAggctcggcac
ggtagctcacacctgtaatcccagcactttgggaggctgaggcgggcagatcacttgaggtcaggagtttgagaccagcc
tggccaacatggtgaaaccttgtctctactaaaaatatgaaaattagccaggcatggtggcacattcctgtaatcccagc
tactcgggaggctgaggcaggagaatcacttgaacccaggaggtggaggttgcagtaagccgagatcgtaccactgtgct
ctagccttggtgacagagcgagactgtcttaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaagaattaattaaaaatttaaaaaaaaatg
aaaaaaaGCTGCATGCTTGTTTTTTGTTTTTAGTTATTCTACATTGTTGTCATTATTACCAAATATTGGGGAAAATACAA
CTTACAGACCAATCTCAGGAGTTAAATGTTACTACGAAGGCAAATGAACTATGCGTAATGAACCTGGTAGGCATTA
配列番号5(IRES)
IRES(EMCV):
Acgttactggccgaagccgcttggaataaggccggtgtgcgtttgtctatatgttattttccaccatattgccgtctttt
ggcaatgtgagggcccggaaacctggccctgtcttcttgacgagcattcctaggggtctttcccctctcgccaaaggaat
gcaaggtctgttgaatgtcgtgaaggaagcagttcctctggaagcttcttgaagacaaacaacgtctgtagcgacccttt
gcaggcagcggaaccccccacctggcgacaggtgcctctgcggccaaaagccacgtgtataagatacacctgcaaaggcg
gcacaaccccagtgccacgttgtgagttggatagttgtggaaagagtcaaatggctctcctcaagcgtattcaacaaggg
gctgaaggatgcccagaaggtaccccattgtatgggatctgatctggggcctcggtgcacatgctttacatgtgtttagt
cgaggttaaaaaacgtctaggccccccgaaccacggggacgtggttttcctttgaaaaacacgatgataata
配列番号6(addgene p3.1ラッカーゼ)
pcDNA3.1(+)ラッカーゼ2 MCSエクソンベクター配列 6926bp
GACGGATCGGGAGATCTCCCGATCCCCTATGGTGCACTCTCAGTACAATCTGCTCTGATGCCGCATAGTTAAGCCAGTAT
CTGCTCCCTGCTTGTGTGTTGGAGGTCGCTGAGTAGTGCGCGAGCAAAATTTAAGCTACAACAAGGCAAGGCTTGACCGA
CAATTGCATGAAGAATCTGCTTAGGGTTAGGCGTTTTGCGCTGCTTCGCGATGTACGGGCCAGATATACGCGTTGACATT
GATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAA
CTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGT
AACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGT
ATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTA
TGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAA
TGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGGCACC
AAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAG
GTCTATATAAGCAGAGCTCTCTGGCTAACTAGAGAACCCACTGCTTACTGGCTTATCGAAATTAATACGACTCACTATAG
GGAGACCCAAGCTGGCTAGCGTTTAAACTTAAGCTTGGTACCGAGCTCGGATCCACTAGTCCAGTGTGGTGGAATTCCAT
TGAGAAATGACTGAGTTCCGGTGCTCTCAAGTCATTGATCTTTGTCGACTTTTATTTGGTCTCTGTAATAACGACTTCAA
AAACATTAAATTCTGTTGCGAAGCCAGTAAGCTACAAAAAGAAAaaacaagagagaatgctatagtcgtatagtatagtt
tcccgactatctgatacccattacttatctagggggaatgcgaacccaaaattttatcagttttctcggatatcgataga
tattggggaataaatttaaataaataaattttgggcgggtttagggcgtggcaaaaagttttttggcaaatcgctagaaa
tttacaagacttataaaattatgaaaaaatacaacaaaattttaaacacgtgggcgtgacagttttggGcggttttaggg
cgttagagtaggcgaggacagggttacatcgactaggctttgatcctgatcaagaatatatatactttataccgcttcct
tctacatgttacctatttttcaacgaatctagtatacctttttactgtacgatttatgggtataaTAATAAGCTAAATCG
AGACTAAGttttattgttatatatattttttttattttatGCAGAAATTAATTAAACCGGTCCTGCAGGTGATCAGGCGC
GCCGGTTACCGGCCGGCCCCGCGGAGCGTAAGTATTCAAAATTCCAAAATTTTTTACTAGAAATATTCGATTTTTTAATA
GGCAGTTTCTATACTATTGTATACTATTGtagattcgttgaaaagtatgtaacaggaagaataaagcatttccgaccatg
taaagtatatatattcttaataaggatcaatagccgagtcgatctcgccatgtccgtctgtcttattGttttattaccgc
cgagacatcaggaactataaaagctagaaggatgagttttagcatacagattctagagacaaggacgcagagcaagtttg
ttgatccatgctgccacgctttaactttctcaaattgcccaaaactgccatgcccacatttttgaactattttcgaaatt
ttttcataattgtattactcgtgtaaatttccatcaatttgccaaaaaactttttgtcacgcgttaacgccctaaagccg
ccaatttggtcacgcccacactattgaGcaattatcaaattttttctcattttattccccaatatctatcgatatccccg
attatgaaattattaaatttcgcgttcgcattcacactagctgagtaacgagtatctgatagttggggaaatcgactTAT
TTTTTATATACAATGAAAATGAATTTAATCATATGAATATCGATTATAGCTTTTTATTTAATATGAATATTTATTTGGGC
TTAAGGTGTAACCTcctcgacataagactcacatggcgcaggcacattgaagacaaaaatactcaTTGTCGGGTCTCGCA
CCCTCCAGCAGCACCTAAAATTATGTCTTCAATTATTGCCAACATTGGAGACACAATTAGTCTGTGGCACCTCAGGCGGC
CGCTCGAGTCTAGAGGGCCCGTTTAAACCCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGC
CCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCA
TTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCA
GGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGCTGGGGCTCTAGGGGGTATCCCCACGCG
CCCTGTAGCGGCGCATTAAGCGCGGCGGGTGTGGTGGTTACGCGCAGCGTGACCGCTACACTTGCCAGCGCCCTAGCGCC
CGCTCCTTTCGCTTTCTTCCCTTCCTTTCTCGCCACGTTCGCCGGCTTTCCCCGTCAAGCTCTAAATCGGGGGCTCCCTT
TAGGGTTCCGATTTAGTGCTTTACGGCACCTCGACCCCAAAAAACTTGATTAGGGTGATGGTTCACGTAGTGGGCCATCG
CCCTGATAGACGGTTTTTCGCCCTTTGACGTTGGAGTCCACGTTCTTTAATAGTGGACTCTTGTTCCAAACTGGAACAAC
ACTCAACCCTATCTCGGTCTATTCTTTTGATTTATAAGGGATTTTGCCGATTTCGGCCTATTGGTTAAAAAATGAGCTGA
TTTAACAAAAATTTAACGCGAATTAATTCTGTGGAATGTGTGTCAGTTAGGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAG
GCAGAAGTATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCAGGTGTGGAAAGTCCCCAGGCTCCCCAGCAGGCAGAAGT
ATGCAAAGCATGCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAG
TTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCTGCCTCTGAGCTAT
TCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTCCCGGGAGCTTGTATATCCATTTTCGGA
TCTGATCAAGAGACAGGATGAGGATCGTTTCGCATGATTGAACAAGATGGATTGCACGCAGGTTCTCCGGCCGCTTGGGT
GGAGAGGCTATTCGGCTATGACTGGGCACAACAGACAATCGGCTGCTCTGATGCCGCCGTGTTCCGGCTGTCAGCGCAGG
GGCGCCCGGTTCTTTTTGTCAAGACCGACCTGTCCGGTGCCCTGAATGAACTGCAGGACGAGGCAGCGCGGCTATCGTGG
CTGGCCACGACGGGCGTTCCTTGCGCAGCTGTGCTCGACGTTGTCACTGAAGCGGGAAGGGACTGGCTGCTATTGGGCGA
AGTGCCGGGGCAGGATCTCCTGTCATCTCACCTTGCTCCTGCCGAGAAAGTATCCATCATGGCTGATGCAATGCGGCGGC
TGCATACGCTTGATCCGGCTACCTGCCCATTCGACCACCAAGCGAAACATCGCATCGAGCGAGCACGTACTCGGATGGAA
GCCGGTCTTGTCGATCAGGATGATCTGGACGAAGAGCATCAGGGGCTCGCGCCAGCCGAACTGTTCGCCAGGCTCAAGGC
GCGCATGCCCGACGGCGAGGATCTCGTCGTGACCCATGGCGATGCCTGCTTGCCGAATATCATGGTGGAAAATGGCCGCT
TTTCTGGATTCATCGACTGTGGCCGGCTGGGTGTGGCGGACCGCTATCAGGACATAGCGTTGGCTACCCGTGATATTGCT
GAAGAGCTTGGCGGCGAATGGGCTGACCGCTTCCTCGTGCTTTACGGTATCGCCGCTCCCGATTCGCAGCGCATCGCCTT
CTATCGCCTTCTTGACGAGTTCTTCTGAGCGGGACTCTGGGGTTCGAAATGACCGACCAAGCGACGCCCAACCTGCCATC
ACGAGATTTCGATTCCACCGCCGCCTTCTATGAAAGGTTGGGCTTCGGAATCGTTTTCCGGGACGCCGGCTGGATGATCC
TCCAGCGCGGGGATCTCATGCTGGAGTTCTTCGCCCACCCCAACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGC
AATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATC
TTATCATGTCTGTATACCGTCGACCTCTAGCTAGAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTT
ATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTC
ACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCTGCATTAATGAATCGGCCAACG
CGCGGGGAGAGGCGGTTTGCGTATTGGGCGCTCTTCCGCTTCCTCGCTCACTGACTCGCTGCGCTCGGTCGTTCGGCTGC
GGCGAGCGGTATCAGCTCACTCAAAGGCGGTAATACGGTTATCCACAGAATCAGGGGATAACGCAGGAAAGAACATGTGA
GCAAAAGGCCAGCAAAAGGCCAGGAACCGTAAAAAGGCCGCGTTGCTGGCGTTTTTCCATAGGCTCCGCCCCCCTGACGA
GCATCACAAAAATCGACGCTCAAGTCAGAGGTGGCGAAACCCGACAGGACTATAAAGATACCAGGCGTTTCCCCCTGGAA
GCTCCCTCGTGCGCTCTCCTGTTCCGACCCTGCCGCTTACCGGATACCTGTCCGCCTTTCTCCCTTCGGGAAGCGTGGCG
CTTTCTCATAGCTCACGCTGTAGGTATCTCAGTTCGGTGTAGGTCGTTCGCTCCAAGCTGGGCTGTGTGCACGAACCCCC
CGTTCAGCCCGACCGCTGCGCCTTATCCGGTAACTATCGTCTTGAGTCCAACCCGGTAAGACACGACTTATCGCCACTGG
CAGCAGCCACTGGTAACAGGATTAGCAGAGCGAGGTATGTAGGCGGTGCTACAGAGTTCTTGAAGTGGTGGCCTAACTAC
GGCTACACTAGAAGAACAGTATTTGGTATCTGCGCTCTGCTGAAGCCAGTTACCTTCGGAAAAAGAGTTGGTAGCTCTTG
ATCCGGCAAACAAACCACCGCTGGTAGCGGTTTTTTTGTTTGCAAGCAGCAGATTACGCGCAGAAAAAAAGGATCTCAAG
AAGATCCTTTGATCTTTTCTACGGGGTCTGACGCTCAGTGGAACGAAAACTCACGTTAAGGGATTTTGGTCATGAGATTA
TCAAAAAGGATCTTCACCTAGATCCTTTTAAATTAAAAATGAAGTTTTAAATCAATCTAAAGTATATATGAGTAAACTTG
GTCTGACAGTTACCAATGCTTAATCAGTGAGGCACCTATCTCAGCGATCTGTCTATTTCGTTCATCCATAGTTGCCTGAC
TCCCCGTCGTGTAGATAACTACGATACGGGAGGGCTTACCATCTGGCCCCAGTGCTGCAATGATACCGCGAGACCCACGC
TCACCGGCTCCAGATTTATCAGCAATAAACCAGCCAGCCGGAAGGGCCGAGCGCAGAAGTGGTCCTGCAACTTTATCCGC
CTCCATCCAGTCTATTAATTGTTGCCGGGAAGCTAGAGTAAGTAGTTCGCCAGTTAATAGTTTGCGCAACGTTGTTGCCA
TTGCTACAGGCATCGTGGTGTCACGCTCGTCGTTTGGTATGGCTTCATTCAGCTCCGGTTCCCAACGATCAAGGCGAGTT
ACATGATCCCCCATGTTGTGCAAAAAAGCGGTTAGCTCCTTCGGTCCTCCGATCGTTGTCAGAAGTAAGTTGGCCGCAGT
GTTATCACTCATGGTTATGGCAGCACTGCATAATTCTCTTACTGTCATGCCATCCGTAAGATGCTTTTCTGTGACTGGTG
AGTACTCAACCAAGTCATTCTGAGAATAGTGTATGCGGCGACCGAGTTGCTCTTGCCCGGCGTCAATACGGGATAATACC
GCGCCACATAGCAGAACTTTAAAAGTGCTCATCATTGGAAAACGTTCTTCGGGGCGAAAACTCTCAAGGATCTTACCGCT
GTTGAGATCCAGTTCGATGTAACCCACTCGTGCACCCAACTGATCTTCAGCATCTTTTACTTTCACCAGCGTTTCTGGGT
GAGCAAAAACAGGAAGGCAAAATGCCGCAAAAAAGGGAATAAGGGCGACACGGAAATGTTGAATACTCATACTCTTCCTT
TTTCAATATTATTGAAGCATTTATCAGGGTTATTGTCTCATGAGCGGATACATATTTGAATGTATTTAGAAAAATAAACA
AATAGGGGTTCCGCGCACATTTCCCCGAAAAGTGCCACCTGACGTC
配列番号8(RFP)
mCherry:
atggtgagcaagggcgaggaggataacatggccatcatcaaggagttcatgcgcttcaaggtgcacatggagggctccgt
gaacggccacgagttcgagatcgagggcgagggcgagggccgcccctacgagggcacccagaccgccaagctgaaggtga
ccaagggtggccccctgcccttcgcctgggacatcctgtcccctcagttcatgtacggctccaaggcctacgtgaagcac
cccgccgacatccccgactacttgaagctgtccttccccgagggcttcaagtgggagcgcgtgatgaacttcgaggacgg
cggcgtggtgaccgtgacccaggactcctccctgcaggacggcgagttcatctacaaggtgaagctgcgcggcaccaact
tcccctccgacggccccgtaatgcagaagaagaccatgggctgggaggcctcctccgagcggatgtaccccgaggacggc
gccctgaagggcgagatcaagcagaggctgaagctgaaggacggcggccactacgacgctgaggtcaagaccacctacaa
ggccaagaagcccgtgcagctgcccggcgcctacaacgtcaacatcaagttggacatcacctcccacaacgaggactaca
ccatcgtggaacagtacgaacgcgccgagggccgccactccaccggcggcatggacgagctgtacaag
配列番号9(リボスイッチ)
アプタザイム(テオフィリン依存性、Auslander 2010 Mol Bios
ysを参照されたい):
cugagaugcagguacauccagcugaugagucccaaauaggacgaaagccauaccagccgaaaggcccuuggcaggguucc
uggauuccacugcuauccac
配列番号10(ルシフェラーゼ)
nLuc:
ATGGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGG
AGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGC
TGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAG
GTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAA
CATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGT
GGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTG
ACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGTAA
配列番号11
コザック3XFLAG-EGF nostop(264bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCCT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
配列番号12
コザック3XFLAG-EGF stop(273bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCTGATAGTAACT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
263~271:三重終止コドン
配列番号13
コザック3XFLAG-EGF P2A nostop(330bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACC
CTGGACCTCT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
263~328:P2A
配列番号14
構築物コザック3XFLAG-EGF nostop(264bp)についてのスプリン

GGTGGCTCCCAGGCGCAGTT
配列番号15
構築物コザック3XFLAG-EGF stop(273bp)についてのスプリント
GGTGGCTCCCAGTTACTATC
配列番号16
構築物コザック3XFLAG-EGF P2A nostop(330bp)についての
スプリント
GGTGGCTCCCAGAGGTCCAG
配列番号17
コザック1XFLAG-EGF T2A 1XFLAG-Nluc P2A nosto
p(873bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGT
ACTGCCTCCACGACGGTGTGTGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGG
GAGCGCTGTCAGTACCGAGACCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCGGCTCCGGCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGG
GGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGACTATAAGGACGACGACGACAAAATCATCGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTG
GGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTC
GGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGCTGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCC
GTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAGGTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACT
TTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAACATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTAT
GAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGTGGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCG
CCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTGACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTC
TGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCTCT
5~13:コザック配列
14~202:1XFLAG-EGF
203~265:T2A
266~805:1XFLAG-Nluc
806~871:P2A
配列番号18
コザック1XFLAG-EGF stop 1XFLAG-Nluc stop(762
bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGT
ACTGCCTCCACGACGGTGTGTGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGG
GAGCGCTGTCAGTACCGAGACCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCTGATAGTAAGACTATAAGGACGACGACGACAAAATCAT
CGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGGAG
GTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGCTG
AAGATCGACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAGGT
GGTGTACCCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAACA
TGATCGACTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGTGG
AACGGCAACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTGAC
CGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGTGATAGTAACT
5~13:コザック配列
14~202:1XFLAG-EGF
203~211:三重終止コドン
212~751:1XFLAG-Nluc
752~760:三重終止コドン
配列番号19
コザック3XFLAG-EGF P2A nostop(330bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACC
CTGGACCTCT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
263~328:P2A
配列番号20
コザック3XFLAG-EGF nostop(264bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCCT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
配列番号21
コザック3XFLAG-EGF stop(273bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATA
AGGACGACGACGACAAAGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTG
TGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGA
CCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCTGATAGTAACT
5~13:コザック配列
14~262:3XFLAG-EGF
263~271:三重終止コドン
配列番号22
EMCV IRES T2A 3XFLAG-EGF P2A nostop(954b
p)
GGGACCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGC
CGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCC
AAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTCAAGACAAACAACGTCTGTAGC
GACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTG
CAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTC
AACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATG
TGTTCAGTCGAGGTTAAAAAACGTCCAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATA
TGGCCACAACCATGGGCTCCGGCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGAC
TACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAA
AGCCATTAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGTACTGCCTCCACGACGGTGTGTGCATGTATATTGAAG
CATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGGGAGCGCTGTCAGTACCGAGACCTGAAGTGGTGGGAA
CTGCGCGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCTCT
5~574:EMCV IRES
575~637:T2A
638~886:3XFALG-EGF
887~952:P2A
配列番号23
EMCV T2A 3XFLAG Nluc P2A stop(1314nt)
GGGACCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGC
CGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCC
AAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTCAAGACAAACAACGTCTGTAGC
GACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTG
CAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTC
AACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATG
TGTTCAGTCGAGGTTAAAAAACGTCCAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATA
TGGCCACAACCATGGGCTCCGGCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGAC
TACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAA
AGCCATTGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAAC
AGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAAT
GGGCTGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTT
TAAGGTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGC
CGAACATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACC
CTGTGGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGG
AGTGACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAG
ACGTGGAGGAGAACCCTGGACCTTGATAGTAACT
5~574:EMCV IRES
575~637:T2A
638~1237:3XFLAG Nluc
1238~1303:P2A
1304~1312:三重終止コドン
配列番号24
EMCV T2A 3XFLAG Nluc P2A nostop(1305nt)
GGGACCTAACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGC
CGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCC
AAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTCAAGACAAACAACGTCTGTAGC
GACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTG
CAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTC
AACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATG
TGTTCAGTCGAGGTTAAAAAACGTCCAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATA
TGGCCACAACCATGGGCTCCGGCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGAC
TACAAGGACGACGACGACAAGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAA
AGCCATTGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAAC
AGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAAT
GGGCTGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTT
TAAGGTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGC
CGAACATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACC
CTGTGGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGG
AGTGACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAG
ACGTGGAGGAGAACCCTGGACCTCT
5~574:EMCV IRES
575~637:T2A
638~1237:3XFLAG Nluc
1238~1303:P2A
配列番号25
コザック1XFLAG-EGF T2A 1XFLAG-NLuc P2A stop(
882bp)
GGGAGCCACCATGGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCAATAGTGACTCTGAGTGTCCCCTGTCCCACGACGGGT
ACTGCCTCCACGACGGTGTGTGCATGTATATTGAAGCATTGGACAAGTACGCCTGCAACTGTGTTGTTGGCTACATCGGG
GAGCGCTGTCAGTACCGAGACCTGAAGTGGTGGGAACTGCGCGGCTCCGGCGAGGGCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGG
GGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGACTATAAGGACGACGACGACAAAATCATCGTCTTCACACTCGAAGATTTCGTTG
GGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTTTCAGAATCTC
GGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGCTGAAGATCGACATCCATGTCATCATCCC
GTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAGGTGGTGTACCCTGTGGATGATCATCACT
TTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAACATGATCGACTATTTCGGACGGCCGTAT
GAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGTGGAACGGCAACAAAATTATCGACGAGCG
CCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTGACCGGCTGGCGGCTGTGCGAACGCATTC
TGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACCTTGATAGTAA
CT
5~13:コザック配列
14~202:1XFLAG-EGF
266~805:1XFLAG-NLuc
806~871:P2A
872~880:三重終止コドン
配列番号26
例示的な反復スペーサー配列
AAAAAACAAAAAACAAAACGGCTATTATGCGTTACCGGCGAGACGCTACGGACTTGGGAAAATCCGTTGACCTTAAACGG
TCGTGTGGGTTCAAGTCCCTCCACCCCCACGCCGGAAACGCAATAGCCGAAAAACAAAAAACAAAAAAAACAAAAAAAAA
ACCAAAAAAACAAAACACA
配列番号27
pCDNA3.1/CATから鋳型を増幅するために実施例43に使用されるフォワード
プライマー
CGCGGATCCTAATACGACTCACTATAGGGAGACCCAAGCTGGC
配列番号28
pCDNA3.1/CATから0.5kb鋳型を増幅するために実施例43に使用される
リバースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACATCGTCGTGGTATTCACTCCAGAGCGATG
配列番号29
pCDNA3.1/CATから1kb鋳型を増幅するために実施例43に使用されるリバ
ースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACACGGGGGAGGGGCAAACAACAGATGG
配列番号30
pCDNA3.1/CATから2kb鋳型を増幅するために実施例43に使用されるリバ
ースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACGCTTTTTGCAAAAGCCTAGGCCTCCAAAAA
AGCC
配列番号31
pCDNA3.1/CATから4kb鋳型を増幅するために実施例43に使用されるリバ
ースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACTAGCACCGCCTACATACCTCGCTCTGC
配列番号32
pCDNA3.1/CATから5kb鋳型を増幅するために実施例43に使用されるリバ
ースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACCTATGTGGCGCGGTATTATCCCGTATTGAC
配列番号33
pCDNA3.1/CATから6.2kb鋳型を増幅するために実施例43に使用される
リバースプライマー
AATAGCCGTTTTGTTTTTTGGATTACCAGTGTGCCATAGTGCAGGATCACATTTCGATAAGCCAGTAAGCAGTGGGTTCT
CTAG
配列番号34
pCDNA3.1/CATから線状転写産物を検出するために実施例43に使用されるフ
ォワードqPCRプライマー
ATTCTTGCCCGCCTGATGAA
配列番号35
pCDNA3.1/CATから線状転写産物を検出するために実施例43に使用されるリ
バースqPCRプライマー
TTGCTCATGGAAAACGGTGT
配列番号36
pCDNA3.1/CATから環状転写産物を検出するために実施例43に使用されるフ
ォワードqPCRプライマー
TGATCCTGCACTATGGCACA
配列番号37
pCDNA3.1/CATから環状転写産物を検出するために実施例43に使用されるリ
バースqPCRプライマー
CTGGACTAGTGGATCCGAGC
配列番号38
ACTINを検出するために実施例44に使用されるフォワードプライマー配列
GACGAGGCCCAGAGCAAGAGAGG
配列番号39
ACTINを検出するために実施例44に使用されるリバースプライマー配列
GGTGTTGAAGGTCTCAAACATG
配列番号40
RIG-Iを検出するために実施例44に使用されるフォワードプライマー配列
TGTGGGCAATGTCATCAAAA
配列番号42
RIG-Iを検出するために実施例44に使用されるリバースプライマー配列
GAAGCACTTGCTACCTCTTGC
配列番号42
MDA5を検出するために実施例44に使用されるフォワードプライマー配列
GGCACCATGGGAAGTGATT
配列番号43
MDA5を検出するために実施例44に使用されるリバースプライマー配列
ATTTGGTAAGGCCTGAGCTG
配列番号44
PKRを検出するために実施例44に使用されるフォワードプライマー配列
TCGCTGGTATCACTCGTCTG
配列番号45
PKRを検出するために実施例44に使用されるリバースプライマー配列
GATTCTGAAGACCGCCAGAG
配列番号46
IFN-βを検出するために実施例44に使用されるフォワードプライマー配列
CTCTCCTGTTGTGCTTCTCC
配列番号47
IFN-βを検出するために実施例44に使用されるリバースプライマー配列
GTCAAAGTTCATCCTGTCCTTG
配列番号48
EMCV T2A 3XFLAG-GFP F2A 3XFALG-Nluc P2A
IS
GGGAATAGCCGAAAAACAAAAAACAAAAAAAACAAAAAAAAAACCAAAAAAACAAAACACAACGTTACTGGCCGAAGCCG
CTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGA
AACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTC
GTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGTAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCC
ACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACG
TTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAG
GTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTCAGTCGAGGTTAAAAAACGTCCA
GGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATATGGCCACAACCATGGGCTCCGGCGAGG
GCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATC
GACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAAAGCCATTGTGAGCAAGGGCGAGGAGCT
GTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCG
AGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTC
GTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGC
CATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGT
TCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAG
CTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGAT
CCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGC
TGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTG
CTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGGGAAGCGGAGTGAAACAGACTTTGAA
TTTTGACCTTCTCAAGTTGGCGGGAGACGTGGAGTCCAACCCTGGACCTGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATCG
ACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAAAGCCATTATCATCGTCTTCACACTCGAA
GATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGGAGGTGTGTCCAGTTTGTT
TCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGCTGAAGATCGACATCCATG
TCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAGGTGGTGTACCCTGTGGAT
GATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAACATGATCGACTATTTCGG
ACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGTGGAACGGCAACAAAATTA
TCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTGACCGGCTGGCGGCTGTGC
GAACGCATTCTGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAACCCTGGACC
TTAAAAAAAACAAAAAACAAAACGGCTATT
配列番号49
EMCV T2A 3XFLAG-GFP F2A 3XFALG-Nluc P2A
IS
GGGAATAGCCGAAAAACAAAAAACAAAAAAAACAAAAAAAAAACCAAAAAAACAAAACACAACGTTACTGGCCGAAGCCG
CTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTTGGCAATGTGAGGGCCCGGA
AACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAATGCAAGGTCTGTTGAATGTC
GTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTGTAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTTGCAGGCAGCGGAACCCCCC
ACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTGCAAAGGCGGCACAACCCCAGTGCCACG
TTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGGGCTGAAGGATGCCCAGAAG
GTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTCAGTCGAGGTTAAAAAACGTCCA
GGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATATGGCCACAACCATGGGCTCCGGCGAGG
GCAGGGGAAGTCTTCTAACATGCGGGGACGTGGAGGAAAATCCCGGCCCAGACTACAAGGACGACGACGACAAGATCATC
GACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAAAGCCATTGTGAGCAAGGGCGAGGAGCT
GTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCG
AGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTC
GTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGC
CATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGT
TCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAG
CTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGAT
CCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGC
TGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTG
CTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGGGAAGCGGAGTGAAACAGACTTTGAA
TTTTGACCTTCTCAAGTTGGCGGGAGACGTGGAGTCCAACCCTGGACCTTGATAGTAAGACTACAAGGACGACGACGACA
AGATCATCGACTATAAAGACGACGACGATAAAGGTGGCGACTATAAGGACGACGACGACAAAGCCATTATCATCGTCTTC
ACACTCGAAGATTTCGTTGGGGACTGGCGACAGACAGCCGGCTACAACCTGGACCAAGTCCTTGAACAGGGAGGTGTGTC
CAGTTTGTTTCAGAATCTCGGGGTGTCCGTAACTCCGATCCAAAGGATTGTCCTGAGCGGTGAAAATGGGCTGAAGATCG
ACATCCATGTCATCATCCCGTATGAAGGTCTGAGCGGCGACCAAATGGGCCAGATCGAAAAAATTTTTAAGGTGGTGTAC
CCTGTGGATGATCATCACTTTAAGGTGATCCTGCACTATGGCACACTGGTAATCGACGGGGTTACGCCGAACATGATCGA
CTATTTCGGACGGCCGTATGAAGGCATCGCCGTGTTCGACGGCAAAAAGATCACTGTAACAGGGACCCTGTGGAACGGCA
ACAAAATTATCGACGAGCGCCTGATCAACCCCGACGGCTCCCTGCTGTTCCGAGTAACCATCAACGGAGTGACCGGCTGG
CGGCTGTGCGAACGCATTCTGGCGGGAAGCGGAGCTACTAACTTCAGCCTGCTGAAGCAGGCTGGAGACGTGGAGGAGAA
CCCTGGACCTTAAAAAAAACAAAAAACAAAACGGCTATT
配列番号50
URE
UCAUAAUCAAUUUAUUAUUUUCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUU
配列番号51
CSE
AUUUUGUUUUUAACAUUUC
配列番号52
URE/CSE
UCAUAAUCAAUUUAUUAUUUUCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUUAUUUUGUUUUUAACAUUUC
配列番号53
CVB3-GLuc-STOP-URE
AAAAUCCGUUGACCUUAAACGGUCGUGUGGGUUCAAGUCCCUCCACCCCCACGCCGGAAACGCAAUAGCCGAAAAACAAA
AAACAAAAAAAACAAAAAAAAAACCAAAAAAACAAAACACAUUAAAACAGCCUGUGGGUUGAUCCCACCCACAGGCCCAU
UGGGCGCUAGCACUCUGGUAUCACGGUACCUUUGUGCGCCUGUUUUAUACCCCCUCCCCCAACUGUAACUUAGAAGUAAC
ACACACCGAUCAACAGUCAGCGUGGCACACCAGCCACGUUUUGAUCAAGCACUUCUGUUACCCCGGACUGAGUAUCAAUA
GACUGCUCACGCGGUUGAAGGAGAAAGCGUUCGUUAUCCGGCCAACUACUUCGAAAAACCUAGUAACACCGUGGAAGUUG
CAGAGUGUUUCGCUCAGCACUACCCCAGUGUAGAUCAGGUCGAUGAGUCACCGCAUUCCCCACGGGCGACCGUGGCGGUG
GCUGCGUUGGCGGCCUGCCCAUGGGGAAACCCAUGGGACGCUCUAAUACAGACAUGGUGCGAAGAGUCUAUUGAGCUAGU
UGGUAGUCCUCCGGCCCCUGAAUGCGGCUAAUCCUAACUGCGGAGCACACACCCUCAAGCCAGAGGGCAGUGUGUCGUAA
CGGGCAACUCUGCAGCGGAACCGACUACUUUGGGUGUCCGUGUUUCAUUUUAUUCCUAUACUGGCUGCUUAUGGUGACAA
UUGAGAGAUCGUUACCAUAUAGCUAUUGGAUUGGCCAUCCGGUGACUAAUAGAGCUAUUAUAUAUCCCUUUGUUGGGUUU
AUACCACUUAGCUUGAAAGAGGUUAAAACAUUACAAUUCAUUGUUAAGUUGAAUACAGCAAAAUGGGAGUCAAAGUUCUG
UUUGCCCUGAUCUGCAUCGCUGUGGCCGAGGCCAAGCCCACCGAGAACAACGAAGACUUCAACAUCGUGGCCGUGGCCAG
CAACUUCGCGACCACGGAUCUCGAUGCUGACCGCGGGAAGUUGCCCGGCAAGAAGCUGCCGCUGGAGGUGCUCAAAGAGA
UGGAAGCCAAUGCCCGGAAAGCUGGCUGCACCAGGGGCUGUCUGAUCUGCCUGUCCCACAUCAAGUGCACGCCCAAGAUG
AAGAAGUUCAUCCCAGGACGCUGCCACACCUACGAAGGCGACAAAGAGUCCGCACAGGGCGGCAUAGGCGAGGCGAUCGU
CGACAUUCCUGAGAUUCCUGGGUUCAAGGACUUGGAGCCCAUGGAGCAGUUCAUCGCACAGGUCGAUCUGUGUGUGGACU
GCACAACUGGCUGCCUCAAAGGGCUUGCCAACGUGCAGUGUUCUGACCUGCUCAAGAAGUGGCUGCCGCAACGCUGUGCG
ACCUUUGCCAGCAAGAUCCAGGGCCAGGUGGACAAGAUCAAGGGGGCCGGUGGUGACUAAUCAUAAUCAAUUUAUUAUUU
UCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUUAUUUUGUUUUUAACAUUUCAAAAAACAAAAAACAAAACGGCUAUUAUGC
GUUACCGGCGAGACGCUACGGACUU
配列番号54
CVB3-GLuc-STOP-URE/CSE
AAAAUCCGUUGACCUUAAACGGUCGUGUGGGUUCAAGUCCCUCCACCCCCACGCCGGAAACGCAAUAGCCGAAAAACAAA
AAACAAAAAAAACAAAAAAAAAACCAAAAAAACAAAACACAUUAAAACAGCCUGUGGGUUGAUCCCACCCACAGGCCCAU
UGGGCGCUAGCACUCUGGUAUCACGGUACCUUUGUGCGCCUGUUUUAUACCCCCUCCCCCAACUGUAACUUAGAAGUAAC
ACACACCGAUCAACAGUCAGCGUGGCACACCAGCCACGUUUUGAUCAAGCACUUCUGUUACCCCGGACUGAGUAUCAAUA
GACUGCUCACGCGGUUGAAGGAGAAAGCGUUCGUUAUCCGGCCAACUACUUCGAAAAACCUAGUAACACCGUGGAAGUUG
CAGAGUGUUUCGCUCAGCACUACCCCAGUGUAGAUCAGGUCGAUGAGUCACCGCAUUCCCCACGGGCGACCGUGGCGGUG
GCUGCGUUGGCGGCCUGCCCAUGGGGAAACCCAUGGGACGCUCUAAUACAGACAUGGUGCGAAGAGUCUAUUGAGCUAGU
UGGUAGUCCUCCGGCCCCUGAAUGCGGCUAAUCCUAACUGCGGAGCACACACCCUCAAGCCAGAGGGCAGUGUGUCGUAA
CGGGCAACUCUGCAGCGGAACCGACUACUUUGGGUGUCCGUGUUUCAUUUUAUUCCUAUACUGGCUGCUUAUGGUGACAA
UUGAGAGAUCGUUACCAUAUAGCUAUUGGAUUGGCCAUCCGGUGACUAAUAGAGCUAUUAUAUAUCCCUUUGUUGGGUUU
AUACCACUUAGCUUGAAAGAGGUUAAAACAUUACAAUUCAUUGUUAAGUUGAAUACAGCAAAAUGGGAGUCAAAGUUCUG
UUUGCCCUGAUCUGCAUCGCUGUGGCCGAGGCCAAGCCCACCGAGAACAACGAAGACUUCAACAUCGUGGCCGUGGCCAG
CAACUUCGCGACCACGGAUCUCGAUGCUGACCGCGGGAAGUUGCCCGGCAAGAAGCUGCCGCUGGAGGUGCUCAAAGAGA
UGGAAGCCAAUGCCCGGAAAGCUGGCUGCACCAGGGGCUGUCUGAUCUGCCUGUCCCACAUCAAGUGCACGCCCAAGAUG
AAGAAGUUCAUCCCAGGACGCUGCCACACCUACGAAGGCGACAAAGAGUCCGCACAGGGCGGCAUAGGCGAGGCGAUCGU
CGACAUUCCUGAGAUUCCUGGGUUCAAGGACUUGGAGCCCAUGGAGCAGUUCAUCGCACAGGUCGAUCUGUGUGUGGACU
GCACAACUGGCUGCCUCAAAGGGCUUGCCAACGUGCAGUGUUCUGACCUGCUCAAGAAGUGGCUGCCGCAACGCUGUGCG
ACCUUUGCCAGCAAGAUCCAGGGCCAGGUGGACAAGAUCAAGGGGGCCGGUGGUGACUAAUCAUAAUCAAUUUAUUAUUU
UCUUUUAUUUUAUUCACAUAAUUUUGUUUUUAUUUUGUUUUUAACAUUUCAAAAAACAAAAAACAAAACGGCUAUUAUGC
GUUACCGGCGAGACGCUACGGACUU
配列番号55
実施例42に使用される相補的プライマー
CACCGCTCAGGACAATCCTT
配列番号56
CVB3 IRES
TTAAAACAGCCTGTGGGTTGATCCCACCCACAGGCCCATTGGGCGCTAGCACTCTGGTATCACGGTACCTTTGTGCGCCT
GTTTTATACCCCCTCCCCCAACTGTAACTTAGAAGTAACACACACCGATCAACAGTCAGCGTGGCACACCAGCCACGTTT
TGATCAAGCACTTCTGTTACCCCGGACTGAGTATCAATAGACTGCTCACGCGGTTGAAGGAGAAAGCGTTCGTTATCCGG
CCAACTACTTCGAAAAACCTAGTAACACCGTGGAAGTTGCAGAGTGTTTCGCTCAGCACTACCCCAGTGTAGATCAGGTC
GATGAGTCACCGCATTCCCCACGGGCGACCGTGGCGGTGGCTGCGTTGGCGGCCTGCCCATGGGGAAACCCATGGGACGC
TCTAATACAGACATGGTGCGAAGAGTCTATTGAGCTAGTTGGTAGTCCTCCGGCCCCTGAATGCGGCTAATCCTAACTGC
GGAGCACACACCCTCAAGCCAGAGGGCAGTGTGTCGTAACGGGCAACTCTGCAGCGGAACCGACTACTTTGGGTGTCCGT
GTTTCATTTTATTCCTATACTGGCTGCTTATGGTGACAATTGAGAGATCGTTACCATATAGCTATTGGATTGGCCATCCG
GTGACTAATAGAGCTATTATATATCCCTTTGTTGGGTTTATACCACTTAGCTTGAAAGAGGTTAAAACATTACAATTCAT
TGTTAAGTTGAATACAGCAAA
配列番号57
Gluc
ATGGGAGTCAAAGTTCTGTTTGCCCTGATCTGCATCGCTGTGGCCGAGGCCAAGCCCACCGAGAACAACGAAGACTTCAA
CATCGTGGCCGTGGCCAGCAACTTCGCGACCACGGATCTCGATGCTGACCGCGGGAAGTTGCCCGGCAAGAAGCTGCCGC
TGGAGGTGCTCAAAGAGATGGAAGCCAATGCCCGGAAAGCTGGCTGCACCAGGGGCTGTCTGATCTGCCTGTCCCACATC
AAGTGCACGCCCAAGATGAAGAAGTTCATCCCAGGACGCTGCCACACCTACGAAGGCGACAAAGAGTCCGCACAGGGCGG
CATAGGCGAGGCGATCGTCGACATTCCTGAGATTCCTGGGTTCAAGGACTTGGAGCCCATGGAGCAGTTCATCGCACAGG
TCGATCTGTGTGTGGACTGCACAACTGGCTGCCTCAAAGGGCTTGCCAACGTGCAGTGTTCTGACCTGCTCAAGAAGTGG
CTGCCGCAACGCTGTGCGACCTTTGCCAGCAAGATCCAGGGCCAGGTGGACAAGATCAAGGGGGCCGGTGGTGACTAA
配列番号58
終止突然変異を有するEMCV IRES
ACGTTACTGGCCGAAGCCGCTTGGAACAAGGCCGGTGTGCGTTTGTCTATATGTTATTTTCCACCATATTGCCGTCTTTT
GGCAATGTGAGGGCCCGGAAACCTGGCCCTGTCTTCTTGACGAGCATTCCTAGGGGTCTTTCCCCTCTCGCCAAAGGAAT
GCAAGGTCTGTTGAATGTCGTGAAGGAAGCAGTTCCTCTGGAAGCTTCTTCAAGACAAACAACGTCTGTAGCGACCCTTT
GCAGGCAGCGGAACCCCCCACCTGGCGACAGGTGCCTCTGCGGCCAAAAGCCACGTGTATACGATACACCTGCAAAGGCG
GCACAACCCCAGTGCCACGTTGTGAGTTGGATAGTTGTGGAAAGAGTCAAATGGCTCTCCTCAAGCGTATTCAACAAGGG
GCTGAAGGATGCCCAGAAGGTACCCCATTGTATGGGATCTGATCTGGGGCCTCGGTGCACATGCTTTACATGTGTTCAGT
CGAGGTTAAAAAACGTCCAGGCCCCCCGAACCACGGGGACGTGGTTTTCCTTTGAAAAACACGATGATAATATGGCCACA
ACCATG
配列番号59
スペーサー1
AAAAUCCGUUGACCUUAAACGGUCGUGUGGGUUCAAGUCCCUCCACCCCCACGCCGGAAACGCAAUAGCCGAAAAACAAA
AAACAAAAAAAACAAAAAAAAAACCAAAAAAACAAAACACA
スペーサー2
AAAAAACAAAAAACAAAACGGCUAUUAUGCGUUACCGGCGAGACGCUACGGACUU
配列番号60
ATACCAGCCGAAAGGCCCTTGGCAGAGAGGTCTGAAAAGACCTCTGCTGACTATGTGATCTTATTAAAATTAGGTTAAAT
TTCGAGGTTAAAAATAGTTTTAATATTGCTATAGTCTTAGAGGTCTTGTATATTTATACTTACCACACAAGATGGACCGG
AGCAGCCCTCCAATATCTAGTGTACCCTCGTGCTCGCTCAAACATTAAGTGGTGTTGTGCGAAAAGAATCTCACTTCAAG
AAAAAGAAACTAGT
【0554】
実施形態の段落
[1]対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞に投与する工程と;
細胞内の環状ポリリボヌクレオチドから1つ以上の発現配列を発現する工程と
を含み、環状ポリリボヌクレオチドは、後の時点での細胞内における1つ以上の発現配列
の発現が前の時点と等しいか又はそれより多いように構成される、方法。
【0555】
[2]対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞に投与する工程と;
細胞内の環状ポリリボヌクレオチドから1つ以上の発現配列を発現する工程と
を含み、環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも7、8、9、10、12、14又は1
6日間の期間にわたる細胞内における1つ以上の発現配列の発現が約40%を超えて低下
しないように構成される、方法。
【0556】
[3]対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを対象の細胞に投与する工程と;
細胞内の環状ポリリボヌクレオチドから1つ以上の発現配列を発現する工程と
を含み、環状ポリリボヌクレオチドは、細胞内における1つ以上の発現配列の発現が、少
なくとも7、8、9、10、12、14又は16日間にわたって約40%を超えて変化し
ないレベルに維持されるように構成される、方法。
【0557】
[4]1つ以上の発現配列の発現産物は、治療用タンパク質を含む、段落[1]~[3]のいず
れか1つに記載の方法。
[5]治療用タンパク質は、酸化防止活性、結合、積み荷受容体活性、触媒活性、分子担
体活性、分子機能調節剤、分子トランスデューサ活性、栄養貯留活性、タンパク質タグ、
構造分子活性、毒素活性、転写調節活性、翻訳調節活性又は輸送活性を有する、段落[4]
に記載の方法。
【0558】
[6]1つ以上の発現配列の発現産物は、分泌タンパク質を含む、段落[1]~[5]のいずれ
か1つに記載の方法。
[7]分泌タンパク質は、分泌酵素を含む、段落[6]に記載の方法。
【0559】
[8]分泌タンパク質は、分泌抗体を含む、段落[6]に記載の方法。
[9]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約30
ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約50ヌクレオチド、少なく
とも約75ヌクレオチド、少なくとも約100ヌクレオチド、少なくとも約200ヌクレ
オチド、少なくとも約300ヌクレオチド、少なくとも約400ヌクレオチド、少なくと
も約500ヌクレオチド、少なくとも約1,000ヌクレオチド、少なくとも約2,00
0ヌクレオチド、少なくとも約5,000ヌクレオチド、少なくとも約6,000ヌクレ
オチド、少なくとも約7,000ヌクレオチド、少なくとも約8,000ヌクレオチド、
少なくとも約9,000ヌクレオチド、少なくとも約10,000ヌクレオチド、少なく
とも約12,000ヌクレオチド、少なくとも約14,000ヌクレオチド、少なくとも
約15,000ヌクレオチド、少なくとも約16,000ヌクレオチド、少なくとも約1
7,000ヌクレオチド、少なくとも約18,000ヌクレオチド、少なくとも約19,
000ヌクレオチド又は少なくとも約20,000ヌクレオチドである、段落[1]~[8]の
いずれか1つに記載の方法。
【0560】
[10]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約1時間、2時間、6時間、12時間、
18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日
間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日
間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日
間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間若しくはそれを超え
る時間又はそれらの間の任意の時間にわたって細胞内で持続性を有する、段落[1]~[9]の
いずれか1つに記載の方法。
【0561】
[11]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約1時間、2時間、6時間、12時間、
18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日
間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日
間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日
間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間若しくはそれを超え
る時間又はそれらの間の任意の時間にわたり、細胞が分裂しているときに細胞内で持続性
を有する、段落[1]~[10]のいずれか1つに記載の方法。
【0562】
[12]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも約1時間、2時間、6時間、12時間、
18時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日
間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日
間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日
間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、60日間若しくはそれを超え
る時間又はそれらの間の任意の時間にわたって分割後の細胞内で持続性を有する、段落[1
]~[11]のいずれか1つに記載の方法。
【0563】
[13]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つのスペーサー配列を含む、段落[1]
~[12]のいずれか1つに記載の方法。
[14]スペーサー配列は、スペーサー配列の両側の環状ポリリボヌクレオチドの要素間の
立体配座柔軟性を与えるように構成される、段落[13]に記載の方法。
【0564】
[15]環状ポリリボヌクレオチド、例えば発現配列のスペーサー配列対非スペーサー配列
の比率は、約0.05:1、約0.06:1、約0.07:1、約0.08:1、約0.
09:1、約0.1:1、約0.12:1、約0.125:1、約0.15:1、約0.
175:1、約0.2:1、約0.225:1、約0.25:1、約0.3:1、約0.
35:1、約0.4:1、約0.45:1、約0.5:1、約0.55:1、約0.6:
1、約0.65:1、約0.7:1、約0.75:1、約0.8:1、約0.85:1、
約0.9:1、約0.95:1、約0.98:1、約1:1、約1.02:1、約1.0
5:1、約1.1:1、約1.15:1、約1.2:1、約1.25:1、約1.3:1
、約1.35:1、約1.4:1、約1.45:1、約1.5:1、約1.55:1、約
1.6:1、約1.65:1、約1.7:1、約1.75:1、約1.8:1、約1.8
5:1、約1.9:1、約1.95:1、約1.975:1、約1.98:1又は約2:
1である、段落[13]又は[14]に記載の方法。
【0565】
[16]スペーサー配列は、少なくとも3リボヌクレオチド、少なくとも4リボヌクレオチ
ド、少なくとも5リボヌクレオチド、少なくとも約8リボヌクレオチド、少なくとも約1
0リボヌクレオチド、少なくとも約12リボヌクレオチド、少なくとも約15リボヌクレ
オチド、少なくとも約20リボヌクレオチド、少なくとも約25リボヌクレオチド、少な
くとも約30リボヌクレオチド、少なくとも約40リボヌクレオチド、少なくとも約50
リボヌクレオチド、少なくとも約60リボヌクレオチド、少なくとも約70リボヌクレオ
チド、少なくとも約80リボヌクレオチド、少なくとも約90リボヌクレオチド、少なく
とも約100リボヌクレオチド、少なくとも約120リボヌクレオチド、少なくとも約1
50リボヌクレオチド、少なくとも約200リボヌクレオチド、少なくとも約250リボ
ヌクレオチド、少なくとも約300リボヌクレオチド、少なくとも約400リボヌクレオ
チド、少なくとも約500リボヌクレオチド、少なくとも約600リボヌクレオチド、少
なくとも約700リボヌクレオチド、少なくとも約800リボヌクレオチド、少なくとも
約900リボヌクレオチド又は少なくとも約100リボヌクレオチドを含む、段落[13]~
[15]のいずれか1つに記載の方法。
【0566】
[17]スペーサー配列は、少なくとも95%、90%、85%、80%、75%、70%
、65%、60%、55%、50%、55%、50%、45%、40%、35%、30%
、20%又はそれらの間の任意のパーセンテージのアデニンリボヌクレオチドを含む、段
落[13]~[16]のいずれか1つに記載の方法。
【0567】
[18]環状ポリリボヌクレオチドは、ローリング翻訳の能力がある、段落[1]~[17]のい
ずれか1つに記載の方法。
[19]1つ以上の発現配列のそれぞれは、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要
素によって後続の発現配列から隔てられ、1つ以上の発現配列のローリングサークル型翻
訳は、少なくとも2つのポリペプチド分子を生成する、段落[18]に記載の方法。
【0568】
[20]スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の
発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する、段落[19]に記載
の方法。
【0569】
[21]スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である、段落[19]又は
[20]に記載の方法。
[22]スタガー要素は、1つ以上の発現配列の発現配列の一部を含む、段落[19]又は[20]
に記載の方法。
【0570】
[23]環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型
翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が
別個のポリペプチドであるように構成され、別個のポリペプチドのそれぞれは、1つ以上
の発現配列の1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成される、段落[18]~[22]のいずれか
1つに記載の方法。
【0571】
[24]環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型
翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が
別個のポリペプチドであるように構成され、全ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率
は、インビトロ翻訳系において試験される、段落[23]に記載の方法。
【0572】
[25]インビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物を含む、段落[24]に記載の方法。
[26]スタガー要素は、1つ以上の発現配列の少なくとも1つの3’末端にあり、スタガ
ー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中にリボソームを停滞
させるように構成される、段落[19]~[25]のいずれか1つに記載の方法。
【0573】
[27]スタガー要素は、2A配列及び2A様配列からなる群から選択されるペプチド配列
をコードする、段落[19]~[26]のいずれか1つに記載の方法。
[28]スタガー要素は、GPであるC末端配列を有する配列をコードする、段落[19]~[2
7]のいずれか1つに記載の方法。
【0574】
[29]スタガー要素は、D(V/I)ExNPGP(ここで、x=任意のアミノ酸である
)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする、段落[19]~[28]のいずれか
1つに記載の方法。
【0575】
[30]スタガー要素は、GDVESNPGP、GDIEENPGP、VEPNPGP、I
ETNPGP、GDIESNPGP、GDVELNPGP、GDIETNPGP、GDV
ENPGP、GDVEENPGP、GDVEQNPGP、IESNPGP、GDIELN
PGP、HDIETNPGP、HDVETNPGP、HDVEMNPGP、GDMESN
PGP、GDVETNPGP、GDIEQNPGP及びDSEFNPGPからなる群から
選択される配列をコードする、段落[19]~[29]のいずれか1つに記載の方法。
【0576】
[31]スタガー要素は、1つ以上の発現配列のそれぞれの3’末端にある、段落[19]~[3
0]のいずれか1つに記載の方法。
[32]環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列のスタガー要素は、環状ポリリボヌ
クレオチド中の第1の発現配列に続く発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端側
)にあり、スタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び後続
の発現配列の連続した翻訳を可能にする、段落[19]~[31]のいずれか1つに記載の方法。
【0577】
[33]環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列のスタガー要素は、連続して翻訳さ
れた環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現に続く発現配列の第1の翻訳開始配列の上
流(5’末端側)にあり、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第2
の翻訳開始配列の上流にある第2のスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオチ
ドは、連続して翻訳されておらず、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2のスタガ
ー要素は、第2の翻訳開始配列から、環状ポリリボヌクレオチド中のスタガー要素と第1
の翻訳開始との間の距離より例えば少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8
倍、9倍、10倍大きい距離にある、段落[19]~[32]のいずれか1つに記載の方法。
【0578】
[34]スタガー要素と第1の翻訳開始との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4n
t、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13n
t、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25n
t、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65n
t、70nt、75nt又はそれを超える、段落[19]~[33]のいずれか1つに記載の方法
【0579】
[35]第2のスタガー要素と第2の翻訳開始との間の距離は、スタガー要素と第1の翻訳
開始との間の距離より少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、8
nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16n
t、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40n
t、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt又はそれ
を超えて大きい、段落[19]~[34]のいずれか1つに記載の方法。
【0580】
[36]環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列に続く発現配列は、第1の発現
配列以外の発現配列である、段落[19]~[35]のいずれか1つに記載の方法。
[37]環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列の後続の発現配列は、第1の発
現配列である、段落[19]~[35]のいずれか1つに記載の方法。
【0581】
[38]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)エンクリプトゲン;
b)スタガー要素;
c)調節要素;
d)複製要素;及び
f)疑似二本鎖二次構造
から選択される少なくとも1つの構造要素を含む、段落[1]~[37]のいずれか1つに記載
の方法。
【0582】
[39]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)線状同等物より高い翻訳効率;
b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;
c)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;
d)線状同等物より増加した半減期;及び
e)細胞分裂中の持続性
から選択される少なくとも1つの機能特性を含む、段落[1]~[38]のいずれか1つに記載
の方法。
【0583】
[40]環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なくとも5%、少なくとも10%
、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なく
とも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90
%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少な
くとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少な
くとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍又は少なくとも1
00倍高い翻訳効率を有する、段落[1]~[39]のいずれか1つに記載の方法。
【0584】
[41]環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なくとも5倍高い翻訳効率を有す
る、段落[1]~[40]のいずれか1つに記載の方法。
[42]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)5’-UTR;
b)3’-UTR;
c)ポリ-A配列;
d)5’-キャップ;
e)終止要素;
f)内部リボソーム進入部位;
g)エキソヌクレアーゼによる分解感受性;及び
h)キャップ結合タンパク質への結合
の少なくとも1つを欠いている、段落[1]~[41]のいずれか1つに記載の方法。
【0585】
[43]環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を含む、[1]~[42]のいず
れか1つに記載の方法。
[44]環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている、[1]~[42]
のいずれか1つに記載の方法。
【0586】
[45]1つ以上の発現配列は、コザック開始配列を含む、[1]~[43]のいずれか1つに記
載の方法。
[46]疑似らせん構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントと共に少なくとも1つの
二本鎖RNAセグメントを含む、[38]~[45]のいずれか1つに記載の方法。
【0587】
[47]疑似らせん構造は、反復配列、例えばAリッチ配列で連結される第1の配列及び第
2の配列を含む、段落[38]又は[46]に記載の方法。
[48]エンクリプトゲンは、スプライシング要素を含む、段落[38]~[47]のいずれか1つ
に記載の方法。
【0588】
[49]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチドを含む、段
落[38]~[48]のいずれか1つに記載の方法。
[50]環状ポリリボヌクレオチドは、その全長の一部に修飾リボヌクレオチドを含む、段
落[38]~[49]のいずれか1つに記載の方法。
【0589】
[51]エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチド、例えばプソイドウ
リジン、N(6)メチルアデノシン(m6A)を含む、段落[38]~[50]のいずれか1つに
記載の方法。
【0590】
[52]エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位、例えばリボヌクレオチド結合タンパク
質を含む、段落[38]~[51]のいずれか1つに記載の方法。
[53]エンクリプトゲンは、例えば、免疫応答、例えばCTL応答を回避するために免疫
タンパク質結合部位を含む、段落[38]~[52]のいずれか1つに記載の方法。
【0591】
[54]環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RIG-I、TLR-3、TLR-7、T
LR-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、IFN-βの少なくと
も1つの発現、又はシグナル伝達、又は活性化によって評価される際、エンクリプトゲン
を欠いた同等物より少なくとも2倍低い免疫原性を有する、段落[38]~[53]のいずれか1
つに記載の方法。
【0592】
[55]環状ポリリボヌクレオチドは、リボスイッチをさらに含む、段落[38]~[54]のいず
れか1つに記載の方法。
[56]環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムをさらに含む、段落[38]~[55]のいず
れか1つに記載の方法。
【0593】
[57]環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳開始配列、例えばGUG、CUG開始コドン、
例えばストレス条件下での発現を含む、段落[38]~[56]のいずれか1つに記載の方法。
[58]環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素、例えば2Aを含む、段落[38]~[57]
のいずれか1つに記載の方法。
【0594】
[59]環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸、例えばノンコーディングRNAを含む、
段落[38]~[58]のいずれか1つに記載の方法。
[60]環状ポリリボヌクレオチドは、約20塩基~約20kbの範囲のサイズを有する、
段落[38]~[59]のいずれか1つに記載の方法。
【0595】
[61]環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリヌクレオチドの環状化によって合成される
、段落[38]~[60]のいずれか1つに記載の方法。
[62]環状ポリリボヌクレオチドは、同じであるか又は異なる複数の発現配列を含む、段
落[38]~[61]のいずれか1つに記載の方法。
【0596】
[63]環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えばエキソヌクレアーゼに対して実質的に
抵抗性である、段落[38]~[62]のいずれか1つに記載の方法。
[64]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)5’-UTR;
b)3’-UTR;
c)ポリ-A配列;
d)5’-キャップ;
e)終止要素;
f)内部リボソーム進入部位;
g)エキソヌクレアーゼによる分解感受性;及び
h)キャップ結合タンパク質への結合
の少なくとも1つを欠いている、段落[38]~[63]のいずれか1つに記載の方法。
【0597】
[65]
a)エンクリプトゲン;
b)スタガー要素;
c)調節要素;
d)複製要素;
f)疑似二本鎖二次構造;及び
g)発現配列;
から選択される少なくとも1つの構造要素と、
a)線状同等物より高い翻訳効率;
b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;
c)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;
d)線状同等物より増加した半減期;及び
e)細胞分裂中の持続性
から選択される少なくとも1つの機能特性と
を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む医薬組成物。
【0598】
[66]環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳能を有する、段落[65]に記載の組成物。
[67]疑似らせん構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントと共に少なくとも1つの
二本鎖RNAセグメントを含む、段落[65]又は[66]に記載の組成物。
【0599】
[68]疑似らせん構造は、反復配列、例えばAリッチ配列で連結される第1の配列及び第
2の配列を含む、段落[65]~[67]のいずれか1つに記載の組成物。
[69]エンクリプトゲンは、スプライシング要素を含む、段落[65]~[68]のいずれか1つ
に記載の組成物。
【0600】
[70]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチドを含む、段
落[65]~[69]のいずれか1つに記載の組成物。
[71]エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチド、例えばプソイドウ
リジン、N(6)メチルアデノシン(m6A)を含む、段落[65]~[70]のいずれか1つに
記載の組成物。
【0601】
[72]エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位、例えばリボヌクレオチド結合タンパク
質を含む、段落[65]~[71]のいずれか1つに記載の組成物。
[73]エンクリプトゲンは、例えば、免疫応答、例えばCTL応答を回避するために免疫
タンパク質結合部位を含む、段落[65]~[72]のいずれか1つに記載の組成物。
【0602】
[74]環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RIG-I、TLR-3、TLR-7、T
LR-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、IFN-βの少なくと
も1つの発現、又はシグナル伝達、又は活性化によって評価される際、エンクリプトゲン
を欠いた同等物より少なくとも2倍低い免疫原性を有する、段落[65]~[73]のいずれか1
つに記載の組成物。
【0603】
[75]環状ポリリボヌクレオチドは、リボスイッチをさらに含む、段落[65]~[74]のいず
れか1つに記載の組成物。
[76]環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムをさらに含む、段落[65]~[75]のいず
れか1つに記載の組成物。
【0604】
[77]環状ポリリボヌクレオチドは、翻訳開始配列、例えばGUG、CUG開始コドン、
例えばストレス条件下での発現を含む、段落[65]~[76]のいずれか1つに記載の組成物。
[78]環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、ポリペプチドをコードする少なくとも1つ
の発現配列を含む、段落[65]~[77]のいずれか1つに記載の組成物。
【0605】
[79]発現配列は、ペプチド又はポリヌクレオチドをコードする、段落[78]に記載の組成
物。
[80]環状ポリリボヌクレオチドは、スタガー要素、例えば2Aを含む、段落[65]~[79]
のいずれか1つに記載の組成物。
【0606】
[81]環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸、例えばノンコーディングRNAを含む、
段落[65]~[80]のいずれか1つに記載の組成物。
[82]環状ポリリボヌクレオチドは、約20塩基~約20kbの範囲のサイズを有する、
段落[65]~[81]のいずれか1つに記載の組成物。
【0607】
[83]環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリヌクレオチドの環状化によって合成される
、段落[65]~[82]のいずれか1つに記載の組成物。
[84]環状ポリリボヌクレオチドは、同じであるか又は異なる複数の発現配列を含む、段
落[65]~[83]のいずれか1つに記載の組成物。
【0608】
[85]環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えばエキソヌクレアーゼに対して実質的に
抵抗性である、段落[65]~[84]のいずれか1つに記載の組成物。
[86]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)5’-UTR;
b)3’-UTR;
c)ポリ-A配列;
d)5’-キャップ;
e)終止要素;
f)内部リボソーム進入部位;
g)エキソヌクレアーゼによる分解感受性;及び
h)キャップ結合タンパク質への結合
の少なくとも1つを欠いている、段落[65]~[85]のいずれか1つに記載の組成物。
【0609】
[87]段落[65]~[86]のいずれか1つに記載の組成物を製造する方法であって、環状ポリ
リボヌクレオチドを薬学的に許容される担体又は賦形剤と組み合わせる工程を含む方法。
[88]治療の方法であって、段落[65]~[86]のいずれか1つに記載の組成物を投与する工
程を含む方法。
【0610】
[89]タンパク質発現の方法であって、段落[65]~[86]のいずれか1つに記載の環状ポリ
リボヌクレオチドの少なくとも領域を翻訳する工程を含む方法。
[90]環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は、インビトロで行われる、段
落[89]に記載の方法。
【0611】
[91]環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は、インビボで行われる、段落
[89]に記載の方法。
[92]段落[65]~[86]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチドをコードするポ
リヌクレオチド。
【0612】
[93]薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌ
クレオチドとを含む医薬組成物であって、環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサー
クル型翻訳の能力がある、医薬組成物。
【0613】
[94]1つ以上の発現配列のそれぞれは、環状ポリリボヌクレオチドにおけるスタガー要
素によって後続の発現配列から隔てられ、1つ以上の発現配列のローリングサークル型翻
訳は、少なくとも2つのポリペプチド分子を生成する、段落[93]に記載の組成物。
【0614】
[95]スタガー要素は、(a)単一の発現配列の2回の翻訳から、又は(b)2つ以上の
発現配列の1回以上の翻訳からの単一のポリペプチドの生成を防止する、段落[94]に記載
の組成物。
【0615】
[96]スタガー要素は、1つ以上の発現配列から切り離された配列である、段落[94]又は
[95]に記載の組成物。
[97]スタガー要素は、1つ以上の発現配列の発現配列の一部を含む、段落[94]又は[95]
に記載の組成物。
【0616】
[98]薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列を含み、且つローリン
グサークル型翻訳の能力がある環状ポリリボヌクレオチドとを含む医薬組成物であって、
環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中
に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも50%、少なくとも60%、少
なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも
96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が別個の
ポリペプチドであるように構成され、別個のポリペプチドのそれぞれは、1つ以上の発現
配列の1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成される、医薬組成物。
【0617】
[99]環状ポリリボヌクレオチドは、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型
翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも50%、少なくとも60
%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少な
くとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%が
別個のポリペプチドであるように構成され、全ポリペプチドにわたる別個の産物の量比率
は、インビトロ翻訳系において試験される、段落[98]に記載の組成物。
【0618】
[100]インビトロ翻訳系は、ウサギ網状赤血球溶解物を含む、段落[99]に記載の組成物

[101]スタガー要素は、1つ以上の発現配列の少なくとも1つの3’末端にあり、スタ
ガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリングサークル型翻訳中にリボソームを停
滞させるように構成される、段落[93]~[100]のいずれか1つに記載の組成物。
【0619】
[102]薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列及び1つ以上の発現
配列の少なくとも1つの3’末端におけるスタガー要素を含む環状ポリリボヌクレオチド
とを含む医薬組成物であって、スタガー要素は、環状ポリリボヌクレオチドのローリング
サークル型翻訳中にリボソームを停滞させるように構成される、医薬組成物。
【0620】
[103]スタガー要素は、2A配列及び2A様配列からなる群から選択されるペプチド配
列をコードする、段落[101]又は[102]に記載の組成物。
[104]スタガー要素は、GPであるC末端配列を有する配列をコードする、段落[101]~
[103]のいずれか1つに記載の組成物。
【0621】
[105]スタガー要素は、D(V/I)ExNPGP(ここで、x=任意のアミノ酸であ
る)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする、段落[101]~[104]のいず
れか1つに記載の組成物。
【0622】
[106]スタガー要素は、GDVESNPGP、GDIEENPGP、VEPNPGP、
IETNPGP、GDIESNPGP、GDVELNPGP、GDIETNPGP、GD
VENPGP、GDVEENPGP、GDVEQNPGP、IESNPGP、GDIEL
NPGP、HDIETNPGP、HDVETNPGP、HDVEMNPGP、GDMES
NPGP、GDVETNPGP、GDIEQNPGP及びDSEFNPGPからなる群か
ら選択される配列をコードする、段落[101]~[105]のいずれか1つに記載の組成物。
【0623】
[107]スタガー要素は、1つ以上の発現配列のそれぞれの3’末端にある、段落[101]~
[106]のいずれか1つに記載の組成物。
[108]環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列のスタガー要素は、環状ポリリボ
ヌクレオチド中の第1の発現配列に続く発現配列の第1の翻訳開始配列の上流(5’末端
側)にあり、スタガー要素と第1の翻訳開始配列との間の距離は、第1の発現配列及び後
続の発現配列の連続した翻訳を可能にする、段落[93]~[107]のいずれか1つに記載の組
成物。
【0624】
[109]環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現配列のスタガー要素は、連続して翻訳
された環状ポリリボヌクレオチド中の第1の発現に続く発現配列の第1の翻訳開始配列の
上流(5’末端側)にあり、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2の発現配列の第
2の翻訳開始配列の上流にある第2のスタガー要素を含む対応する環状ポリリボヌクレオ
チドは、連続して翻訳されておらず、対応する環状ポリリボヌクレオチド中の第2のスタ
ガー要素は、第2の翻訳開始配列から、環状ポリリボヌクレオチド中のスタガー要素と第
1の翻訳開始との間の距離より例えば少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、
8倍、9倍、10倍大きい距離にある、段落[93]~[107]のいずれか1つに記載の組成物
【0625】
[110]スタガー要素と第1の翻訳開始との間の距離は、少なくとも2nt、3nt、4
nt、5nt、6nt、7nt、8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13
nt、14nt、15nt、16nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25
nt、30nt、35nt、40nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65
nt、70nt、75nt又はそれを超える、段落[108]又は[109]に記載の組成物。
【0626】
[111]第2のスタガー要素と第2の翻訳開始との間の距離は、スタガー要素と第1の翻
訳開始との間の距離より少なくとも2nt、3nt、4nt、5nt、6nt、7nt、
8nt、9nt、10nt、11nt、12nt、13nt、14nt、15nt、16
nt、17nt、18nt、19nt、20nt、25nt、30nt、35nt、40
nt、45nt、50nt、55nt、60nt、65nt、70nt、75nt又はそ
れを超えて大きい、段落[108]又は[109]に記載の組成物。
【0627】
[112]環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列に続く発現配列は、第1の発
現配列以外の発現配列である、段落[108]~[110]のいずれか1つに記載の組成物。
[113]環状ポリリボヌクレオチドにおける第1の発現配列の後続の発現配列は、第1の
発現配列である、段落[108]~[110]のいずれか1つに記載の組成物。
【0628】
[114]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)エンクリプトゲン;
b)スタガー要素;
c)調節要素;
d)複製要素;及び
f)疑似二本鎖二次構造
から選択される少なくとも1つの構造要素を含む、段落[93]~[113]のいずれか1つに記
載の組成物。
【0629】
[115]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)線状同等物より高い翻訳効率;
b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;
c)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;
d)線状同等物より増加した半減期;及び
e)細胞分裂中の持続性
から選択される少なくとも1つの機能特性を含む、段落[93]~[114]のいずれか1つに記
載の組成物。
【0630】
[116]環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なくとも5%、少なくとも10
%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少な
くとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも9
0%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少
なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少
なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも50倍又は少なくとも
100倍高い翻訳効率を有する、段落[93]~[115]のいずれか1つに記載の組成物。
【0631】
[117]環状ポリリボヌクレオチドは、線状同等物より少なくとも5倍高い翻訳効率を有
する、段落[93]~[115]のいずれか1つに記載の組成物。
[118]環状ポリリボヌクレオチドは、
a)5’-UTR;
b)3’-UTR;
c)ポリ-A配列;
d)5’-キャップ;
e)終止要素;
f)内部リボソーム進入部位;
g)エキソヌクレアーゼによる分解感受性;及び
h)キャップ結合タンパク質への結合
の少なくとも1つを欠いている、段落[93]~[117]のいずれか1つに記載の組成物。
【0632】
[119]環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている、段落[93]
~[118]のいずれか1つに記載の組成物。
[120]1つ以上の発現配列は、コザック開始配列を含む、段落[93]~[119]のいずれか1
つに記載の組成物。
【0633】
[121]疑似らせん構造は、少なくとも1つの非二本鎖セグメントと共に少なくとも1つ
の二本鎖RNAセグメントを含む、段落[114]~[120]のいずれか1つに記載の組成物。
[122]疑似らせん構造は、反復配列、例えばAリッチ配列で連結される第1の配列及び
第2の配列を含む、段落[121]に記載の組成物。
【0634】
[123]エンクリプトゲンは、スプライシング要素を含む、段落[114]~[122]のいずれか
1つに記載の組成物。
[124]環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチドを含む、
段落[93]~[123]のいずれか1つに記載の組成物。
【0635】
[125]エンクリプトゲンは、少なくとも1つの修飾リボヌクレオチド、例えばプソイド
ウリジン、N(6)メチルアデノシン(m6A)を含む、段落[93]~[124]のいずれか1
つに記載の組成物。
【0636】
[126]エンクリプトゲンは、タンパク質結合部位、例えばリボヌクレオチド結合タンパ
ク質を含む、段落[93]~[125]のいずれか1つに記載の組成物。
[127]エンクリプトゲンは、例えば、免疫応答、例えばCTL応答を回避するために免
疫タンパク質結合部位を含む、段落[93]~[126]のいずれか1つに記載の組成物。
【0637】
[128]環状ポリリボヌクレオチドは、例えば、RIG-I、TLR-3、TLR-7、
TLR-8、MDA-5、LGP-2、OAS、OASL、PKR、IFN-βの少なく
とも1つの発現、又はシグナル伝達、又は活性化によって評価される際、エンクリプトゲ
ンを欠いた同等物より少なくとも2倍低い免疫原性を有する、段落[93]~[127]のいずれ
か1つに記載の組成物。
【0638】
[129]環状ポリリボヌクレオチドは、リボスイッチをさらに含む、段落[93]~[128]のい
ずれか1つに記載の組成物。
[130]環状ポリリボヌクレオチドは、アプタザイムをさらに含む、段落[93]~[129]のい
ずれか1つに記載の組成物。
【0639】
[131]環状ポリリボヌクレオチドは、非標準的翻訳開始配列、例えばGUG、CUG開
始コドン、例えばストレス条件下での発現を開始させる翻訳開始配列を含む、段落[93]~
[130]のいずれか1つに記載の組成物。
【0640】
[132]1つ以上の発現配列は、ペプチドをコードする、段落[93]~[131]のいずれか1つ
に記載の組成物。
[133]環状ポリリボヌクレオチドは、調節核酸、例えばノンコーディングRNAを含む
、段落[93]~[132]のいずれか1つに記載の組成物。
【0641】
[134]環状ポリリボヌクレオチドは、約20塩基~約20kbの範囲のサイズを有する
、段落[93]~[133]のいずれか1つに記載の組成物。
[135]環状ポリリボヌクレオチドは、線状ポリリボヌクレオチドの環状化によって合成
される、段落[93]~[134]のいずれか1つに記載の組成物。
【0642】
[136]環状ポリリボヌクレオチドは、同じヌクレオチド配列又は異なるヌクレオチド配
列のいずれかを有する複数の発現配列を含む、段落[93]~[135]のいずれか1つに記載の
組成物。
【0643】
[137]環状ポリリボヌクレオチドは、分解、例えばエキソヌクレアーゼに対して実質的
に抵抗性である、段落[93]~[136]のいずれか1つに記載の組成物。
[138]段落[94]~[137]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド。
【0644】
[139]段落[93]~[137]のいずれか1つに記載の組成物を製造する方法であって、段落[9
3]~[137]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチド及び段落[93]~[137]のいず
れか1つに記載の薬学的に許容される担体又は賦形剤を組み合わせる工程を含む方法。
【0645】
[140]治療の方法であって、段落[93]~[137]のいずれか1つに記載の組成物を投与する
工程を含む方法。
[141]タンパク質発現のための方法であって、段落[93]~[137]のいずれか1つに記載の
環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域を翻訳する工程を含む方法。
【0646】
[142]環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は、インビトロで行われる、
段落[141]に記載の方法。
[143]環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域の翻訳は、インビボで行われる、段
落[141]に記載の方法。
【0647】
[144]段落[65]~[137]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチドをコードする
ポリヌクレオチド。
[145]段落[65]~[137]のいずれか1つに記載の環状ポリリボヌクレオチドを製造する方
法。
【0648】
[146]線状ポリリボヌクレオチドのスプリントライゲーション媒介性環状化を含む、段
落[145]に記載の方法。
[147]スプリントライゲーション媒介性環状化は、少なくとも2%、少なくとも5%、
少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくと
も30%、少なくとも32%、少なくとも34%、少なくとも36%、少なくとも38%
、少なくとも40%、少なくとも42%、少なくとも44%、少なくとも46%、少なく
とも48%又は少なくとも50%の効率を有する、段落[146]に記載の方法。
【0649】
[148]スプリントライゲーション媒介性環状化は、約40%~約50%又は50%超の
効率を有する、段落[146]に記載の方法。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 1つ以上の発現配列のローリングサークル型翻訳の方法であって、ローリン
グサークル型翻訳を介して、環状ポリリボヌクレオチドから前記1つ以上の発現配列を発
現する工程を含み、前記環状ポリリボヌクレオチドは、前記1つ以上の発現配列、前記発
現配列の少なくとも1つの3’末端におけるスタガー要素を含み、且つ終止要素を欠いて
いる、方法。
[項目2] 前記スタガー要素は、前記環状ポリリボヌクレオチドの前記ローリングサー
クル型翻訳中にリボソームを停滞させるように構成される、項目1に記載の方法。
[項目3] 前記スタガー要素は、D(V/I)ExNPGP(ここで、x=任意のアミ
ノ酸である)であるC末端コンセンサス配列を有する配列をコードする、項目1に記載の
方法。
[項目4] 前記1つ以上の発現配列を発現する工程は、前記環状ポリリボヌクレオチド
の前記ローリングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なく
とも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は9
5%の別個のポリペプチドを生成し、前記別個のポリペプチドのそれぞれは、単一の発現
配列から生成される、項目1に記載の方法。
[項目5] 前記発現配列の少なくとも1つは、分泌タンパク質をコードする、項目1に
記載の方法。
[項目6] 前記環状ポリリボヌクレオチドは、内部リボソーム進入部位を欠いている、
項目1に記載の方法。
[項目7] 前記1つ以上の発現配列は、コザック開始配列を含む、項目1に記載の方法

[項目8] 前記環状ポリリボヌクレオチドは、
(a)エンクリプトゲン;
(b)調節要素;
(c)複製要素;及び
(d)疑似二本鎖二次構造
から選択される少なくとも1つの構造要素をさらに含む、項目1に記載の方法。
[項目9] 前記環状ポリリボヌクレオチドは、
(i)線状同等物より高い翻訳効率;
(ii)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;
(iii)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;
(iv)線状同等物より増加した半減期;及び
(v)細胞分裂中の持続性
から選択される少なくとも1つの機能特性を含む、項目1に記載の方法。
[項目10] 前記1つ以上の発現配列を発現する前記工程は、線状同等物より少なくと
も5倍多い発現産物を生成する、項目1に記載の方法。
[項目11] 前記1つ以上の発現配列を発現する前記工程は、前記環状ポリリボヌクレ
オチドを含む細胞内で前記1つ以上の発現配列を発現することを含む、項目1に記載の方
法。
[項目12] 前記環状ポリリボヌクレオチドは、細胞分裂中に持続する、項目11に記
載の方法。
[項目13] 前記環状ポリリボヌクレオチドの量の少なくとも約60%は、前記細胞内
で少なくとも約7日間にわたって持続する、項目11に記載の方法。
[項目14] (a)後の時点での前記細胞内における前記1つ以上の発現配列の発現は
、前の時点と等しいか又はそれより多いか;又は
(b)少なくとも約7日間の期間にわたる前記細胞内における前記1つ以上の発現配列
の発現は、40%だけ低下しないか;又は
(c)前記細胞内における前記1つ以上の発現配列の発現は、少なくとも約7日間にわ
たって40%を超えて変化しないレベルに維持される、項目11に記載の方法。
[項目15] 前記1つ以上の発現配列を発現する前記工程は、哺乳動物対象において前
記発現配列を発現することを含む、項目1に記載の方法。
[項目16] 前記終止要素は、終止コドンを含む、項目1に記載の方法。
[項目17] 前記環状ポリリボヌクレオチドは、前記環状ポリリボヌクレオチドの自己
複製を媒介するように構成される複製ドメインをさらに含む、項目11に記載の方法。
[項目18] 環状ポリリボヌクレオチドを含む医薬組成物であって、
(a)1つ以上の発現配列と、前記1つ以上の発現配列の少なくとも1つの3’末端に
おけるスタガー要素とを含む環状ポリリボヌクレオチドであって、ローリングサークル型
翻訳の能力があり、且つ終止要素を欠いている、環状ポリリボヌクレオチドと;
(b)薬学的に許容される賦形剤と
を含む医薬組成物。
[項目19] 1つ以上の発現配列と、前記1つ以上の発現配列の少なくとも1つの3’
末端におけるスタガー要素とを含む環状ポリリボヌクレオチドを含む細胞であって、前記
環状ポリリボヌクレオチドは、ローリングサークル型翻訳の能力があり、且つ終止要素を
欠いている、細胞。
[項目20] 対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
前記1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを前記対象の細胞に投与する
工程と;
前記細胞内の前記環状ポリリボヌクレオチドから前記1つ以上の発現配列を発現する工
程と
を含み、前記環状ポリリボヌクレオチドは、後の時点での前記細胞内における前記1つ以
上の発現配列の発現が前の時点と等しいか又はそれより多いように構成される、方法。
[項目21] 対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
前記1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを前記対象の細胞に投与する
工程と;
前記細胞内の前記環状ポリリボヌクレオチドから前記1つ以上の発現配列を発現する工
程と
を含み、前記環状ポリリボヌクレオチドは、少なくとも7、8、9、10、12、14又
は16日間の期間にわたる前記細胞内における前記1つ以上の発現配列の発現が約40%
を超えて低下しないように構成される、方法。
[項目22] 対象における1つ以上の発現配列のインビボ発現の方法であって、
前記1つ以上の発現配列を含む環状ポリリボヌクレオチドを前記対象の細胞に投与する
工程と;
前記細胞内の前記環状ポリリボヌクレオチドから前記1つ以上の発現配列を発現する工
程と
を含み、前記環状ポリリボヌクレオチドは、前記細胞内における前記1つ以上の発現配列
の発現が、少なくとも7、8、9、10、12、14又は16日間にわたって約40%を
超えて変化しないレベルに維持されるように構成される、方法。
[項目23] a)エンクリプトゲン;
b)スタガー要素;
c)調節要素;
d)複製要素;
f)疑似二本鎖二次構造;及び
g)発現配列
から選択される少なくとも1つの構造要素と、
a)線状同等物より高い翻訳効率;
b)複数の翻訳産物の化学量論的翻訳効率;
c)エンクリプトゲンを欠いた同等物より低い免疫原性;
d)線状同等物より増加した半減期;及び
e)細胞分裂中の持続性
から選択される少なくとも1つの機能特性と
を含む環状ポリリボヌクレオチドを含む医薬組成物。
[項目24] 薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列を含む環状ポ
リリボヌクレオチドとを含む医薬組成物であって、前記環状ポリリボヌクレオチドは、ロ
ーリングサークル型翻訳の能力がある、医薬組成物。
[項目25] 薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列を含み、且つ
ローリングサークル型翻訳の能力がある環状ポリリボヌクレオチドとを含む医薬組成物で
あって、前記環状ポリリボヌクレオチドは、前記環状ポリリボヌクレオチドの前記ローリ
ングサークル型翻訳中に生成される全ポリペプチド(モル/モル)の少なくとも50%、
少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくと
も95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%
又は100%が別個のポリペプチドであるように構成され、前記別個のポリペプチドのそ
れぞれは、前記1つ以上の発現配列の1回の翻訳又は1回未満の翻訳から生成される、医
薬組成物。
[項目26] 薬学的に許容される担体又は賦形剤と、1つ以上の発現配列及び前記1つ
以上の発現配列の少なくとも1つの3’末端におけるスタガー要素を含む環状ポリリボヌ
クレオチドとを含む医薬組成物であって、前記スタガー要素は、前記環状ポリリボヌクレ
オチドのローリングサークル型翻訳中にリボソームを停滞させるように構成される、医薬
組成物。
[項目27] 項目18又は23~26のいずれか一項に記載の組成物を製造する方法で
あって、項目18又は23~26のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチド及び
項目18又は23~26のいずれか一項に記載の薬学的に許容される担体又は賦形剤を組
み合わせる工程を含む方法。
[項目28] 治療の方法であって、項目18又は23~26のいずれか一項に記載の組
成物を投与する工程を含む方法。
[項目29] タンパク質発現のための方法であって、項目18又は23~26のいずれ
か一項に記載の環状ポリリボヌクレオチドの少なくとも領域を翻訳する工程を含む方法。
[項目30] 前記環状ポリリボヌクレオチドの前記少なくとも領域の前記翻訳は、イン
ビトロで行われる、項目29に記載の方法。
[項目31] 前記環状ポリリボヌクレオチドの前記少なくとも領域の前記翻訳は、イン
ビボで行われる、項目29に記載の方法。
[項目32] 項目18又は23~26のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチ
ドをコードするポリヌクレオチド。
[項目33] 項目18又は23~26のいずれか一項に記載の環状ポリリボヌクレオチ
ドを製造する方法。
図1
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図51A
図51B
図51C
図52A
図52B
図52C
図53
図54A
図54B
図55
図56
【配列表】
2023126888000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬組成物を製造する方法であって、
(a)内部リボソーム進入部位(IRES)要素と、(b)5’キャップおよびポリA配列の一方または両方を欠く治療用ポリペプチドをコードする、発現配列と、(c)終止要素と、を含む線状ポリリボヌクレオチドを提供すること;
前記線状ポリリボヌクレオチドを環状化して、環状ポリリボヌクレオチドを含む環状ポリリボヌクレオチド調製物を生成すること;
前記環状ポリリボヌクレオチド調製物から前記環状ポリリボヌクレオチドを濃縮して、濃縮された調製物を形成すること;および
前記濃縮された調製物を、薬学的に許容される担体または賦形剤とともに製剤化し、それによって、前記医薬組成物を生成すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記内部リボソーム進入部位要素が、ピコルナウイルス相補的DNA、脳心筋炎ウイルス(EMCV)相補的DNA、ポリオウイルス相補的DNA、またはキイロショウジョウバエに由来するアンテナペディア遺伝子、に由来する配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i)前記環状ポリリボヌクレオチド調製物中の1または複数の不純物の量を測定すること、および、(ii)前記医薬組成物中の1または複数の不純物の量を測定すること、の一方または両方をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記線状ポリリボヌクレオチドが、前記線状ポリリボヌクレオチドの5’末端および3’末端においてそれぞれ互いに対して相補的な配列の対を欠く、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記濃縮が、カラムクロマトグラフィー、ゲル排除、サイズ排除、またはこれらの任意の組み合わせを介して前記環状ポリリボヌクレオチドを精製することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記濃縮が、前記環状ポリリボヌクレオチド調製物から遊離リボ核酸、線状RNA、ニックRNA、DNA、またはタンパク質のうちの1つまたは複数を除去することを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記濃縮された調製物の製剤化が、脂質担体を用いて前記環状ポリリボヌクレオチドを製剤化することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】