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  • 特開-複合基板及びその製造方法 図1
  • 特開-複合基板及びその製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023127527
(43)【公開日】2023-09-13
(54)【発明の名称】複合基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 33/06 20060101AFI20230906BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230906BHJP
【FI】
C30B33/06
H01L21/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022096986
(22)【出願日】2022-06-16
(31)【優先権主張番号】111107364
(32)【優先日】2022-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519330098
【氏名又は名称】鴻創應用科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HONG CHUANG APPLIED TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100165663
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 光宏
(72)【発明者】
【氏名】曾彦凱
(72)【発明者】
【氏名】江柏萱
(72)【発明者】
【氏名】江瑞鳳
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA02
4G077BA04
4G077BB01
4G077BB10
4G077BE08
4G077BE13
4G077BE15
4G077BE46
4G077FF01
4G077HA12
(57)【要約】
【課題】 複合基板及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明により提供される複合基板及びその製造方法は、キャリア板と基板との間に複数の中間層を設けることにより、層間に良好な結合力があることを確保できるだけでなく、層間の熱膨張係数の差を調整することで基板が破断しやすい等の欠陥を防ぐことができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に対応して設けられたキャリア板と、
前記基板と前記キャリア板との間に設けられた複数の中間層と、
を備えた複合基板。
【請求項2】
前記基板は、多結晶又は単結晶材料で、その成分は窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、サファイア(アルミナ)、窒化ガリウム、ガリウムヒ素或いは酸化ガリウムである請求項1に記載の複合基板。
【請求項3】
前記キャリア板は、多結晶又は単結晶材料で、その成分は窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、サファイア(アルミナ)、ガリウムヒ素、窒化ガリウム或いは酸化ガリウムである請求項1に記載の複合基板。
【請求項4】
前記中間層は、多結晶又は単結晶で、その成分は窒化物、酸化物、酸窒化物或いは炭化物である請求項1に記載の複合基板。
【請求項5】
前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる請求項4に記載の複合基板。
【請求項6】
基板及びキャリア板を用意するステップと、
前記キャリア板を前記基板に対応して平行に設け、前記基板と前記キャリア板との間に複数の中間層を設けるステップと、
前記キャリア板に薄膜に形成させるステップと、
を含む複合基板の製造方法。
【請求項7】
前記基板と前記キャリア板の成分は異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる請求項6に記載の製造方法。
【請求項9】
前記薄膜の厚さは、0.5nm~1000μmの範囲である請求項6に記載の製造方法。
【請求項10】
基板及びキャリア板を用意するステップと、
前記基板上に少なくとも1つの中間層を形成し、前記キャリア板上に薄膜及び少なくとも1つの前記中間層を順次形成するステップと、
中間層を介して前記基板と前記キャリア板を接合させるステップと、
前記キャリア板を除去、薄化又は切断するステップと、
を含む複合基板の製造方法。
【請求項11】
前記基板と前記キャリア板の成分は、異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる請求項10に記載の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合基板及びその製造方法に関するものであるが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイス(Power Device)は、やはり電気エネルギーを伝送及び変換する重要な部品であり、その応用分野は低電力のコンシューマーエレクトロニク製品から高電力の交通輸送、グリーンエネルギー、産業用モータなどに至るまで非常に幅広い。現在のパワーデバイスの多くは、シリコンを基板として製造されているほか、広いバンドギャップの化合物半導体、例えば炭化ケイ素、酸化ガリウム及び窒化ガリウム等の材料が、パワーデバイスの応用にも高い注目を集めている。
【0003】
しかしながら、材料の使用における基板の物理的特性、化学的特性又は製造コストなどの要因を考慮すると、実務上、製品をあらゆる面でより競争力のあるものにするため、複数の材料で構成される複合基板構造を採用することが好ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の概要は、本発明について読者に基本的な理解を与えるため、本発明の概要を提供することを目的とする。この発明の概要は、本発明の網羅的な概要ではなく、本発明の実施例の重要或いはキーとなる要素を指摘するか、本発明の範囲を特定することを意図するものではない。
【0005】
背景技術で言及された内容によると本発明者らは、複合材料の異なる層間で同じ材料を採用すると、ファンデルワールス力結合が減少する可能性があり、異なる層間で異なる材料を採用すると、膨張係数が異なるために亀裂が発生する場合があることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、基板と、キャリア板と、複数の中間層とを備えた複合基板を提供する。前記キャリア板は前記基板に対応して設けられ、前記複数の中間層は前記基板と前記キャリア板との間に設けられる。
【0007】
本発明の一実施例によれば、前記基板は、多結晶又は単結晶材料で、その成分は窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、サファイア(アルミナ)、窒化ガリウム、ガリウムヒ素或いは酸化ガリウムである。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記キャリア板は、多結晶又は単結晶材料で、その成分は窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、サファイア(アルミナ)、窒化ガリウム、ガリウムヒ素或いは酸化ガリウムである。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記中間層は、多結晶又は単結晶で、その成分は窒化物、酸化物、酸窒化物或いは炭化物である。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【0011】
本発明の別の態様は、まず、基板及びキャリア板を用意するステップと、前記キャリア板を前記基板に対応して平行に設け、前記基板と前記キャリア板との間に複数の中間層を設けるステップと、前記キャリア板に薄膜に形成させるステップとを含む複合基板の製造方法を提供する。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記基板と前記キャリア板の成分は異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記薄膜の厚さは、0.5nm~1000μmの範囲である。
【0015】
本発明の別の態様は、基板及びキャリア板を用意するステップと、前記基板上に少なくとも1つの中間層を形成し、前記キャリア板上に薄膜及び少なくとも1つの前記中間層を順次形成するステップと、前記中間層を介して前記基板と前記キャリア板を接合させるステップと、前記キャリア板を除去、薄化又は切断するステップとを含む複合基板の製造方法を提供する。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記基板と前記キャリア板の成分は異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【発明の効果】
【0017】
本発明により提供される利点としては、キャリア板と基板との間に複数の中間層を設けることにより、本発明により提供される複合基板は、層間に良好な結合力があることを確保できるだけでなく、層間の熱膨張係数の差を調整することで基板が破断しやすい等の欠陥を防ぐことができる。
【0018】
本発明の上記目的及びその他の目的、特徴、利点及び実施例をより理解しやすくするため、図面を参照しつつ以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】複合基板の層構成を示す概略図である。
図2】本発明の異なる実施例に係る層構成を示す概略図である。
図3】本発明の異なる実施例に係る層構成を示す概略図である。
図4】本発明の異なる実施例に係る層構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一般的な慣行によると図面上の各種特徴及び構成要素は、実際の寸法比率で描かれていないが、本発明に関連する具体的特徴及び構成要素を提示するために最適な方法で描かれている。また、異なる図面の間において同一又は類似の符号で類似の構成要素及び部材を表す。
【0021】
本発明の説明をより詳細かつ完全にするため、以下は、本発明の実施形態及び具体的実施例の例示的な説明を提供するが、これは、本発明の具体的実施例を実施又は運用する唯一の形態ではない。本明細書及び添付される特許請求の範囲において、文脈が別段の指示をしない限り、「一」及び「該」も複数形として解釈され得る。また、本明細書及び添付される特許請求の範囲は別段に明記されていない限り、「何かの上に設けられた」は、貼付又は他の形で何かの表面と直接或いは間接的に接触していると見なすことができる。当該表面の特定は、明細書内容の前後の段落の文脈及び本発明の属する技術分野における通常の知識に基づいて判断しなければならない。
【0022】
本発明を特定する数値範囲及びパラメータは、概数値であるが、ここで具体的実施例内の関連数値をできる限り正確に提示されている。ただし、任意の数値は、本質的に個々のテスト方法による標準偏差が必然的に含まれている。本明細書で使用される場合、「約」は通常、実際値が特定数値又は1つの範囲の±10%、5%、1%或いは0.5%以内を意味する。若しくは、「約」という用語は、実際値が平均の許容可能な標準誤差内にあり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者の考えによって定めることを示す。したがって、特に断りのない限り、本明細書及び添付される特許請求の範囲に開示されている数値やパラメータは、均しく概数値であり、必要に応じて変更することができる。少なくとも、これらの数値やパラメータは、示された有効桁数及び通常の丸めを適用して得られた数値を意味すると解釈する必要がある。
【0023】
本発明は、基板と、キャリア板と、複数の中間層とを備えた複合基板を提供する。前記キャリア板は前記基板に対応して設けられ、前記複数の中間層は前記基板と前記キャリア板との間に設けられる。
【0024】
本明細書に記載の「基板」は、多結晶又は単結晶材料で、その成分はセラミック或いは半導体材料である。ここで、「セラミック」は、金属及び非金属の化合物を人為的な処理によって製造された非金属無機質固体材料をいい、これには、ケイ酸塩、酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、ホウ化物等を含み、好ましくは窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素及び窒化シリコンからなる群から選択されることを含むが、これらに限定されない。具体的には、前記基板の成分は、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、サファイア(アルミナ)、窒化ガリウム、ガリウムヒ素及び酸化ガリウムからなる群組から選択される。
【0025】
本明細書に記載の「キャリア板」は、多結晶又は単結晶材料で、その成分はセラミック或いは半導体材料である。ここで、「セラミック」は、金属及び非金属の化合物を人為的な処理によって製造された非金属無機質固体材料をいい、これには、ケイ酸塩、酸化物、炭化物、窒化物、硫化物、ホウ化物等を含み、好ましくは窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素及び窒化シリコンからなる群から選択されることを含むが、これらに限定されない。具体的には、前記キャリア板の成分は、窒化物セラミック、酸化物セラミック、炭化物セラミック、シリコン、炭化ケイ素、サファイア(アルミナ)、窒化ガリウム、ガリウムヒ素及び酸化ガリウムからなる群組から選択される。
【0026】
前記基板及び前記キャリア板は、同じ又は異なる材料で製造される。本発明のいくつかの実施例によれば、前記基板及び前記キャリア板は、異なる材料で構造されることで、本発明の複合基板に良好な結合力を持たせる。
【0027】
本明細書に記載の「中間層」は、多結晶又は単結晶材料で、その成分は酸化物、窒化物、炭化物或いは酸窒化物である。具体的には、前記中間層の成分は、アルミナ、ケイ素酸化物、酸化ガリウム、酸化チタン、窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化ガリウム、炭化ケイ素、酸窒化アルミニウム、酸窒化ケイ素及び酸窒化ガリウムからなる群から選択される。
【0028】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【0029】
<製造方法>
本発明は、基板及びキャリア板を用意するステップと、前記キャリア板を前記基板に対応して平行に設け、前記基板と前記キャリア板との間に複数の中間層を設けるステップと、前記キャリア板に薄膜に形成させるステップとを含む複合基板の製造方法を提供する。本発明の好ましい実施例によれば、前記基板と前記キャリア板の成分は異なる。本発明の好ましい実施例によれば、前記複数の中間層は、第1中間層と第2中間層とを重ね合わせて設けられ、前記第1中間層と前記第2中間層の成分が異なる又は成分が同じであるが結晶が異なる。
【0030】
異なる実施例によれば、本発明はまた、基板及びキャリア板を用意するステップと、前記基板上に少なくとも1つの中間層を形成し、前記キャリア板上に薄膜及び少なくとも1つの前記中間層を順次形成するステップと、前記中間層を介して前記基板と前記キャリア板を接合させるステップと、前記キャリア板を除去、薄化又は切断するステップとを含む別の複合基板の製造方法を提供する。使用者のニーズに応じて、最後の前記キャリア板を除去、薄化又は切断するステップは前記キャリア板に薄膜を形成させることと置き換えることもできる。本発明の好ましい実施例によれば、前記キャリア板と前記基板の成分は、異なる。
【0031】
詳細には、前記基板及び前記キャリア板の厚さは、100~1500μmの範囲で、例えば100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400又は1500μmである。前記中間層の厚さは、約10~200nmの範囲で、例えば10、50、100、150又は200nmである。本明細書に記載の「薄膜」とは、厚さが0.5nm~1000μmのフィルムをいい、厚さは0.5nm、100nm、100μm或いは1000μmであるがこれらに限定されない。
【0032】
製造工程に関して、本明細書に記載の「設けられた」又は「形成された」等の基板層の製造過程は、本願の属する技術分野で適用される様々な方法を採用し、これには化学蒸着法(chemical vapor deposition;CVD)、低圧化学蒸着法(low pressure CVD;LPCVD)、常圧化学蒸着法(atmospheric pressure CVD;APCVD)、超高真空化学蒸着法(ultrahigh vacuum CVD;UHVCVD)、原子層蒸着法(atomic layer deposition;ALD)、分子層堆積法(molecular layer deposition;MLD)、プラズマ化学蒸着(plasma enhanced CVD;PECVD)、有機金属化学蒸着法(metal-organic CVD;MOCVD)、分子線エピタキシー法(molecular beam epitaxy;MBE)、スパッタ法等又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0033】
(具体的実施例)
以下の内容は、本願の図面を参照しつつ本発明のより具体的実施例又は比較例を提示し、その目的は本発明の内容をより明確に説明することのみであって、本発明の実施範囲を限定することを意図することはない。
【0034】
図1は、複合基板100の層構成を示す概略図である。図1を参照すると前記複合基板100は、キャリア板110と、キャリア板110に対向して設けられる基板130とを備え、前記基板130と前記キャリア板110との間に中間層120のみが設けられる。具体的には、前記キャリア板110の材料は、炭化ケイ素であり、前記基板130の材料は窒化アルミニウムであり、前記中間層120の材料はアルミナである。
【0035】
図2は、本発明の一実施例に係る複合基板200aの層構成を示す概略図である。図2を参照すると、前記複合基板200aは、キャリア板210と、キャリア板210に対向して設けられる基板230とを備え、前記基板230と前記キャリア板210との間に複数の中間層が設けられ、各々が第1中間層220a及び第2中間層220bである。具体的には、前記キャリア板110の材料は、炭化ケイ素であり、前記基板130の材料は窒化アルミニウムである。前記第1中間層220a及び前記第2中間層220bの材料は、それぞれケイ素酸化物又はアルミナで、かつ二者が同じ材料を用いることができ、異なる材料を用いることもでき、或いは成分が同じであるが結晶が異なることができる。本実施例において、前記第1中間層220aの材料は、ケイ素酸化物で、前記第2中間層220bの材料がアルミナである。
【0036】
図3は、本発明の一実施例に係る複合基板200bの層構成を示す概略図である。図3を参照すると、前記複合基板200bは、キャリア板210と、キャリア板210に対向して設けられる基板230とを備え、前記基板230と前記キャリア板210との間に複数の中間層が設けられ、各々が第1中間層220a、第2中間層220b及び第3中間層220cである。具体的には、前記キャリア板110の材料は、炭化ケイ素であり、前記基板130の材料は窒化アルミニウムである。前記第1中間層220a、前記第2中間層220b及び第3中間層220cの材料は、それぞれケイ素酸化物又はアルミナで、かつ三者が同じ材料を用いることができ、或いは成分が同じであるが結晶が異なり、また異なる材料を用いる又は、2種の異なる材料を重ねてからなることもできる。本実施例において、前記第1中間層220aの材料は、ケイ素酸化物で、前記第2中間層220bの材料がアルミナで、前記第3中間層220cの材料はケイ素酸化物である。
【0037】
図4は、本発明の一実施例に係る複合基板200cの層構成を示す概略図である。図4を参照すると、前記複合基板200cは、キャリア板210と、キャリア板210に対向して設けられる基板230とを備え、前記基板230と前記キャリア板210との間に複数の中間層が設けられ、各々が第1中間層220a、第2中間層220b、第3中間層220c及び第4中間層220dである。具体的には、前記キャリア板110の材料は、炭化ケイ素であり、前記基板130の材料は窒化アルミニウムである。前記第1中間層220a、前記第2中間層220b、第3中間層220c及び第4中間層220dの材料は、それぞれケイ素酸化物又はアルミナで、かつ四者が同じ材料を用いることができ、異なる材料を用いることもでき、又は2種の異なる材料を重ねてからなることができる。本実施例において、前記第1中間層220aの材料は、ケイ素酸化物で、前記第2中間層220bの材料がアルミナで、前記第3中間層220cの材料はケイ素酸化物で、前記第4中間層220dの材料はアルミナである。
【0038】
<引張強度の測定>
上記複合基板100、200a、200b及び200cの引張強度を測定した。具体的には、測定フローは、キャリア板又は基板を少なくとも1本の引張ワイヤに溶接させ、引張試験機で前記引張ワイヤを引っ張って引張強度を得る。
【0039】
前記測定結果によれば、複合基板100のサンプルは、5kgf/cm2程度の引張強度を有し、複合基板200aのサンプルは7kgf/cm2程度の引張強度を有し、複合基板200bのサンプルは8kgf/cm2程度の引張強度を有し、複合基板200cのサンプルは8.3kgf/cm2程度の引張強度を有する。
【0040】
本発明の具体的実施例の測定結果から分かるように、キャリア板と基板との間に複数の中間層を設けることにより、特に、キャリア板と基板の材料が異なり、かつ前記複数の中間層にも異なる材料で重ね合わせてからなる場合、本発明により提供される複合基板は層間に良好な結合力があることを確保できるだけではなく、層間の熱膨張係数の差を調整することで、複合基板全体の引張強度を向上させ、基板が破断しやすい等の欠陥を防ぐことができる。
【0041】
以上、本発明を詳細に説明したが、以上の述べるものは本発明の好ましい実施例のみであって、本発明の実施範囲に限定されることなく、本発明の特許請求の範囲に基づいて行う均等な変化と潤色をなし得ることは本発明の保護範囲内に含めるものであるのが勿論である。
【符号の説明】
【0042】
100、200a、200b、200c 複合基板
110、210 キャリア板
120 中間層
130、230 基板
220a 第1中間層
220b 第2中間層
220c 第3中間層
220d 第4中間層

図1
図2
図3
図4