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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128251
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】鉄道軌道材料及びバラスト軌道
(51)【国際特許分類】
   E01B 3/00 20060101AFI20230907BHJP
   E02D 27/34 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
E01B3/00
E02D27/34 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032472
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 康宏
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046DA18
(57)【要約】
【課題】枕木とバラストとの間の隙間を、方向を問わずに埋めることができる鉄道軌道材料及びバラスト軌道を提供することを目的とする。
【解決手段】枕木20とバラスト30との間に配置される鉄道軌道材料40であって、枕木20に配置される枕木側ネジと、枕木側ネジに螺合し、バラスト30に面するバラスト側ネジと、一方の端部が枕木側ネジ又は枕木20に配置され、他方の端部がバラスト側ネジに配置される付勢部材と、を備え、枕木側ネジは、枕木20に対して相対移動不可であり、バラスト側ネジは、枕木側ネジの軸まわりに回転可能であり、付勢部材は、枕木側ネジとバラスト側ネジとの螺合が緩む方向に、バラスト側ネジを付勢する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枕木とバラストとの間に配置される鉄道軌道材料であって、
前記枕木に配置される枕木側ネジと、
前記枕木側ネジに螺合し、前記バラストに面するバラスト側ネジと、
一方の端部が前記枕木側ネジ又は前記枕木に配置され、他方の端部が前記バラスト側ネジに配置される付勢部材と、
を備え、
前記枕木側ネジは、前記枕木に対して相対移動不可であり、
前記バラスト側ネジは、前記枕木側ネジの軸まわりに回転可能であり、
前記付勢部材は、前記枕木側ネジと前記バラスト側ネジとの螺合が緩む方向に、前記バラスト側ネジを付勢する、
鉄道軌道材料。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道軌道材料と、
鉄道が走行するレール部材と、
前記レール部材が配置される枕木と、
前記枕木を支持するバラストと、
を備えている、
バラスト軌道。
【請求項3】
前記枕木は、前記バラストを向く面であって全面にわたって面一な第1面を備え、
前記枕木側ネジは、前記第1面に配置されている、
請求項2に記載のバラスト軌道。
【請求項4】
前記枕木のうち前記バラストに面する面には窪みが設けられ、
前記鉄道軌道材料は、窪みの内部に配置される、
請求項2に記載のバラスト軌道。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道軌道材料及びバラスト軌道に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道軌道として、バラストの上に配置された枕木の上にレール部材を敷設する、いわゆるバラスト軌道が用いられることがある。バラスト軌道において、バラストが摩減すると、枕木とバラストとの間に隙間が発生する。前記隙間は、枕木の沈下の原因となる。
特許文献1では、枕木とバラストとの間に配置される沈下補正装置が開示されている。沈下補正装置は、枕木とバラストとの間に隙間が発生した時、装置内部の粒状体が移動することで、装置の厚みが変化する。これにより、前記隙間を埋めることで、枕木の沈下を防ぐものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-041795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る沈下補正装置において、粒状体の移動は、重力によってなされる。このため、枕木とバラストとの間の隙間が上下方向に発生した場合にのみ対応可能である。つまり、前記隙間が水平方向に発生した場合に対応できない。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、枕木とバラストとの間の隙間を、方向を問わずに埋めることができる鉄道軌道材料及びバラスト軌道を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る鉄道軌道材料は、枕木とバラストとの間に配置される鉄道軌道材料であって、前記枕木に配置される枕木側ネジと、前記枕木側ネジに螺合し、前記バラストに面するバラスト側ネジと、一方の端部が前記枕木側ネジ又は前記枕木に配置され、他方の端部が前記バラスト側ネジに配置される付勢部材と、を備え、前記枕木側ネジは、前記枕木に対して相対移動不可であり、前記バラスト側ネジは、前記枕木側ネジの軸まわりに回転可能であり、前記付勢部材は、前記枕木側ネジと前記バラスト側ネジとの螺合が緩む方向に、前記バラスト側ネジを付勢する。
【0007】
この発明によれば、バラスト側ネジは、枕木側ネジの軸まわりに回転可能であり、付勢部材は、枕木側ネジとバラスト側ネジとの螺合が緩む方向に、バラスト側ネジを付勢する。つまり、付勢部材の力が、バラスト側ネジをバラストに押し付けるように作用する。したがって、バラストが摩減した場合であっても、バラスト側ネジがバラストから離れることを防ぐことができる。これにより、枕木とバラストとの間の隙間を埋めることができる。よって、前記隙間によって生じる枕木の沈下を防ぐことができる。また、上述の作用は付勢部材の力によってなされる。つまり、重力を用いずに作用する。よって、方向を問わずに使用することができる。
【0008】
また、本発明に係るバラスト軌道は、本発明に係る鉄道軌道材料と、鉄道が走行するレール部材と、前記レール部材が配置される枕木と、前記枕木を支持するバラストと、を備えている。
【0009】
この発明によれば、本発明に係る鉄道軌道材料を備える。これにより、枕木とバラストとの間に生じる隙間を、鉄道軌道材料によって埋めることができる。よって、バラスト軌道において生じる枕木の沈下を防ぐことができる。
【0010】
また、前記枕木は、前記バラストを向く面であって全面にわたって面一な第1面を備え、前記枕木側ネジは、前記第1面に配置されていてもよい。
【0011】
この発明によれば、枕木は、バラストを向く面であって全面にわたって面一な第1面を備え、枕木側ネジは、第1面に配置されている。これにより、枕木に特殊な加工をすることなく、バラスト軌道に本発明に係る鉄道軌道材料を配置することができる。
【0012】
また、前記枕木のうち前記バラストに面する面には窪みが設けられ、前記鉄道軌道材料は、窪みの内部に配置されてもよい。
【0013】
この発明によれば、枕木のうちバラストに面する面には窪みが設けられ、鉄道軌道材料は、窪みの内部に配置される。これにより、枕木の周辺のバラストの配置に影響を及ぼすことなく、バラスト軌道に本発明に係る鉄道軌道材料を配置することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、枕木とバラストとの間の隙間を、方向を問わずに埋めることができる鉄道軌道材料及びバラスト軌道を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るバラスト軌道の第1例である。
図2】本発明に係る第1鉄道軌道材料の斜視図である。
図3】本発明に係る第1鉄道軌道材料の変形例である。
図4図1に示すIV部の拡大図である。
図5】本発明に係るバラスト軌道の第2例である。
図6図5に示すVI部の拡大図の第1例である。
図7】本発明に係る第2鉄道軌道材料の斜視図である。
図8図5に示すVI部の拡大図の第2例である。
図9】本発明に係るバラスト軌道の第3例である。
図10図9に示すX部の拡大図である。
図11】本発明に係るバラスト軌道の第4例である。
図12図11に示すXII部の拡大図の第1例である。
図13図11に示すXII部の拡大図の第2例である。
図14】本発明に係るバラスト軌道の第5例である。
図15図14に示すXV部の拡大図である。
図16】本発明に係るバラスト軌道の第6例である。
図17図16に示すXVII部の拡大図の第1例である。
図18図16に示すXVII部の拡大図の第2例である。
図19】鉄道軌道材料を備える枕木の施工例である。
図20】鉄道軌道材料と、枕木と、バラストと、の位置関係を示す模式図である。
図21】枕木とバラストとの間に隙間が発生した状態を示す模式図である。
図22】鉄道軌道材料が枕木とバラストとの間の隙間を埋めた状態を示す模式図である。
図23図5に示すVI部の第1変形例である。
図24図5に示すVI部の第2変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る鉄道軌道材料40及びバラスト軌道100を説明する。バラスト軌道100は、例えば、鉄道が走行するが走行するレールを敷設するために用いられる。以下の説明において、各方向を以下のように呼称する。すなわち、鉄道が走行する方向を、進行方向Yと呼称する。鉄道の高さ方向を、上下方向Zと呼称する。進行方向Y及び上下方向Zに直交する方向を左右方向Xと呼称する。
図1に示すように、本実施形態に係るバラスト軌道100は、レール部材10と、枕木20と、バラスト30と、鉄道軌道材料40と、を備える。
【0017】
レール部材10は、鉄道が走行する部位である。具体的には、鉄道が走行する際、車輪が接する部位である。レール部材10は、進行方向Yに沿って一対に配置される。レール部材10には、例えば、鋼鉄が好適に用いられる。レール部材10には、その他の材質を用いてもよい。
枕木20は、レール部材10が配置される部材である。枕木20は、進行方向Yに沿って、間隔を空けて複数設けられる。枕木20は、第1面20sを備える。第1面20sは、バラスト30を向く面である。第1面20sは、全面にわたって面一である。
【0018】
枕木20には、例えば、ガラス繊維補強発泡ウレタン、木、プレストレストコンクリートが好適に用いられる。枕木20には、その他の材質を用いてもよい。本実施形態において、枕木20には、積水化学工業株式会社製のエスロンネオランバーFFU(商品名)が用いられる。また、枕木20の各寸法は、上下方向Zの寸法(厚さ)が150mm、進行方向Yの寸法(幅)が240mm、左右方向Xの寸法(長さ)が2400mmである。
【0019】
バラスト30は、枕木20を支持する。バラスト30は、例えば、砕石や砂利が好適に用いられる。砕石や砂利には、例えば、花崗岩を原料とするものが好適に用いられる。バラスト30は、進行方向Yに沿って均等に敷き詰められる。図1に示すように、枕木20は、例えば、敷き詰められたバラスト30の内部に、上面を露出した状態で埋め込まれるようにして配置される。
【0020】
鉄道軌道材料40は、枕木20とバラスト30との間に配置される。ここで、バラスト30は、レール部材10を鉄道が走行する際の荷重を受ける事等によって摩減する。これにより、枕木20とバラスト30との間に隙間が発生する。前記隙間は、枕木20が沈下したり、位置がずれたりする原因となる。鉄道軌道材料40は、枕木20とバラスト30との間に発生した隙間を埋める。これにより、バラスト30が摩減した場合であっても、枕木20の沈下や位置ずれが発生することを防ぐ役割を有する。
【0021】
鉄道軌道材料40としては、第1鉄道軌道材料41や第2鉄道軌道材料42が例示される。第1鉄道軌道材料41は、本実施形態に係る鉄道軌道材料40の第1例である。第2鉄道軌道材料42は、本実施形態に係る鉄道軌道材料40の第2例である。以下において、第1鉄道軌道材料41と第2鉄道軌道材料42とを区別しない場合に、鉄道軌道材料40と呼称する。1つの枕木20に対して、第1鉄道軌道材料41および第2鉄道軌道材料42の両方が設けられていてもよく、第1鉄道軌道材料41および第2鉄道軌道材料42の一方のみが設けられていてもよい。
【0022】
(第1鉄道軌道材料41について)
第1鉄道軌道材料41は、図2に示すように、第1枕木側ネジ41a(枕木側ネジ)と、第1バラスト側ネジ41b(バラスト側ネジ)と、第1付勢部材41c(付勢部材)と、第1回転板41dと、を備える。
【0023】
第1枕木側ネジ41aは、枕木20の、バラスト30に面する部位に配置される。第1枕木側ネジ41aは、枕木20に対して相対移動不可である。つまり、第1枕木側ネジ41aは、枕木20に固定されている。第1枕木側ネジ41aは、両端部が開口する円筒状の部材である。
本実施形態において、第1枕木側ネジ41aの外径は、例えば、36mmである。第1枕木側ネジ41aの高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、36mmである。第1枕木側ネジ41aの円筒状の高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、56mmである。
【0024】
以下、第1鉄道軌道材料41の各構成の寸法を説明する際、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合と、枕木20の下面以外の側面に配置される場合とで、別の寸法を記載することがある。ここで、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合、第1鉄道軌道材料41は、枕木20を介してレール部材10を走行する鉄道の荷重を受ける。このため、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合と比較して、より大きな荷重に対応する必要がある。上記寸法の違いは、上記理由によるものである。
【0025】
第1枕木側ネジ41aは、内周面に雌ネジ部を備える。第1枕木側ネジ41aの一方の端部から、第1バラスト側ネジ41bが挿入される。第1枕木側ネジ41aの他方の端部は、蓋状の部材によって閉塞されていてもよいし、されていなくてもよい。
第1枕木側ネジ41aの素材は特に問わない。第1枕木側ネジ41aには、例えば、鉄製、ステンレス製、真鍮製、アルミ製、チタン製、樹脂製等のものが好適に用いられる。本実施形態において、第1枕木側ネジ41aは、ステンレス製のものが用いられる。
【0026】
第1バラスト側ネジ41bは、棒状の部材である。本実施形態において、第1バラスト側ネジ41bの長さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、45mmである。第1バラスト側ネジ41bの長さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、65mmである。
【0027】
第1バラスト側ネジ41bの一方の端部は、第1枕木側ネジ41aに螺合する。つまり、第1バラスト側ネジ41bの一方の端部は、第1枕木側ネジ41aの有する雌ネジ部に対応した雄ネジ部を有する。第1バラスト側ネジ41bは、第1枕木側ネジ41aの軸まわりに回転可能である。第1バラスト側ネジ41bの他方の端部は、バラスト30に面する。
【0028】
第1バラスト側ネジ41bが、枕木20に固定された第1枕木側ネジ41aに螺合した状態から、前記螺合が緩む方向、すなわち、第1バラスト側ネジ41bが第1枕木側ネジ41aから外れる方向に回転すると、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部が、バラスト30に押し付けられるように移動する。この移動は、枕木20とバラスト30との間に隙間が生じた際に、前記隙間を埋めるために行われる(詳細は後述する)。
【0029】
第1バラスト側ネジ41bの素材は特に問わない。第1バラスト側ネジ41bには、例えば、鉄製、ステンレス製、真鍮製、アルミ製、チタン製、樹脂製等のものが好適に用いられる。
第1枕木側ネジ41aと第1バラスト側ネジ41bとの素材は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態において、第1バラスト側ネジ41bは、ステンレス製の物が用いられる。
【0030】
以下、互いに螺合する第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bにおける、雄ネジ部または雌ネジ部について説明する。なお、以下において、前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部を合わせて、ネジと呼称する。
ネジの形状は、特に問わない。ネジは、例えば、三角ネジ、四角ネジ、台形ネジ、丸ネジ等が用いられる。本実施形態において、第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bには、台形ネジが用いられる。
ネジの方向は、右、左いずれのものを用いてもよい。ネジの条数は、特に問わない。第1枕木側ネジ41aの雌ネジ部には、コイルネジが用いられてもよい。
【0031】
本実施形態において、ネジの長さ、すなわち、第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量は、特に問わない。ネジの長さは、バラスト軌道100において生じることが想定される、枕木20とバラスト30との間の隙間の大きさ、及び、前記隙間が生じる頻度及び速度によって適宜決定されることが好ましい。
【0032】
例えば、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合は、10mm程度の隙間が生じることを想定する。この場合、少なくとも第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量は、少なくとも10mm以上備えることが好ましい。前記隙間の大きさが漸増することが想定される場合、より長いネジ長を備えてもよい。
【0033】
バラスト軌道100におけるバラスト30の配置を、重機等を用いた突き固めにより定期的に補正することを前提とする場合、第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量は、比較的少なくてもよい。この場合は、突き固めによってバラスト30の配置の補正を行う頻度によって、第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量を適宜決定することが好ましい。
【0034】
本実施形態において、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合、第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量は、例えば、20mmである。第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合、第1枕木側ネジ41aに対する第1バラスト側ネジ41bの移動可能量は、例えば、40mmである。
【0035】
本実施形態において、ネジの太さは、特に問わない。但し、第1鉄道軌道材料41を枕木20の下面に配置する場合は、枕木20に付加される鉄道の荷重を、バラスト30に十分に伝達する必要がある。ここで、前記荷重は、例えば、10t程度である。このため、ネジの太さは、前記荷重に対応可能な程度の太さを備える必要がある。
【0036】
ここで、前記荷重は、第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bの備えるネジ山への圧縮剪断荷重として付加される。このため、前記荷重に対応可能なネジの太さや、ネジ山の数を備える必要がある。
第1鉄道軌道材料41を、枕木20の下面以外の側面に配置する場合は、この限りでない。つまり、鉄道の荷重をバラスト30に伝達する役割を有さないため、ネジの太さは、比較的細くてもよい。
本実施形態において、ネジの対応可能な荷重は、例えば、10tである。第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bのネジ部は、例えば、径が24mm、ピッチが8mmである。
【0037】
第1付勢部材41cは、第1枕木側ネジ41aと第1バラスト側ネジ41bとの螺合が緩む方向に、第1バラスト側ネジ41bを付勢する。第1付勢部材41cには、例えば、ゼンマイばね、ねじりコイルばね、その他一般的なばねが好適に用いられる。第1付勢部材41cは、上述の線材の復元力によって、第1バラスト側ネジ41bを付勢する。第1付勢部材41cには、金属製、樹脂製のものを用いることが好ましく、鋼製、ステンレス製のものを用いることがより好ましい。
【0038】
本実施形態において、第1付勢部材41cには、ステンレス製のねじりコイルばねが用いられる。また、前記ねじりコイルばねを形成する線材は、厚さ0.1mm、幅5mmのものである。線材の長さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、1100mmである。線材の長さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、1600mmである。
【0039】
第1付勢部材41cの取り付け位置は、第1枕木側ネジ41aと第1バラスト側ネジ41bとの螺合や、枕木20の配置に支障がないことを前提に、特に問わない。本実施形態においては、図2に示すように、第1付勢部材41cの一方の端部は、第1枕木側ネジ41aに配置される。具体的には、第1付勢部材41cの一方の端部は、例えば、第1枕木側ネジ41aの外周面における、第1バラスト側ネジ41bの挿入部41aiに近い側に配置される。第1付勢部材41cの他方の端部は、第1バラスト側ネジ41bに配置される。具体的には、第1付勢部材41cの他方の端部は、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部の側に配置される。
第1付勢部材41cの一方の端部は、枕木20に配置されてもよい。
【0040】
第1付勢部材41cの、第1枕木側ネジ41a、第1バラスト側ネジ41b、又は枕木20との接続方法は、特に問わない。例えば、第1付勢部材41cの接続は、金属溶接、接着剤による接着が好適に用いられる。また、第1枕木側ネジ41a、第1バラスト側ネジ41b、又は枕木20に溝を設けて、第1付勢部材41cの端部を前記溝に嵌め込むことによって接続してもよい。
本実施形態において、第1付勢部材41cは、第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bの外周面に接着剤によって固定される。第1付勢部材41cは、図3に示すように、第1枕木側ネジ41aの筒状の内部に取り付けられてもよい。
【0041】
第1回転板41dは、バラスト30に接する板である。第1回転板41dは、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部に対して回転可能に取り付けられる。具体的には、第1回転板41dは、例えば、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部に軸受を介して取り付けられる。また、第1回転板と第1バラスト側ネジ41bの他方の端部とは、球関節によって接続されてもよい。具体的には、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部に球状の部位を備え、第1回転板の中央に前記球状の部位を収納可能な部位を備え、それらをはめ合うように接続する。このようにして、第1回転板41dを、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部に対して回転可能に取り付けてもよい。
ここで、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部が直接バラスト30に接していると、第1バラスト側ネジ41bが回転した時、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部とバラスト30とが擦れる。この時に生じる摩擦力により、第1バラスト側ネジ41bが回転しづらくなることがある。
【0042】
第1回転板41dがバラスト30に接していると、第1バラスト側ネジ41bが回転しても、第1回転板41dが回転しない。このため、第1バラスト側ネジ41bの回転によっては、第1回転板41dがバラスト30に押し付けられるのみとなる。このように、第1回転板41dは、前記摩擦力の発生を防ぎ、第1バラスト側ネジ41bを回転しやすくする役割を有する。
更に、第1回転板41dは、第1バラスト側ネジ41bの他方の端部のみがバラスト30に接する場合と比較して、より広い範囲のバラスト30に接する。これにより、より広い範囲において、枕木20とバラスト30との間の隙間を埋めることができるようにする役割を有する。
本実施形態において、第1回転板41dは、例えば、厚さ4mm、外径80mmの、ステンレス製の円盤である。
【0043】
上述の各構成を有する第1鉄道軌道材料41は、例えば、図4に示すように、第1枕木側ネジ41aが、第1面20sに配置されるようにして、枕木20に配置される。このとき、第1鉄道軌道材料41の周囲を、被覆部材Fによって覆うことが好ましい。
被覆部材Fは、例えば、第1枕木側ネジ41a及び第1バラスト側ネジ41bの外側に位置する第1付勢部材41cがバラスト30と干渉して、十分な付勢の効果が得られなくなることを防ぐために設けられる。
【0044】
被覆部材Fは、図4に示すように、枕木側被覆部材F1と、バラスト側被覆部材F2と、を備える。枕木側被覆部材F1及びバラスト側被覆部材F2は、いずれも筒状の部材の一方の端部に底部を備えた形状を有する。
本実施形態において、枕木側被覆部材F1及びバラスト側被覆部材F2の板厚は4mmである。本実施形態における、枕木側被覆部材F1及びバラスト側被覆部材F2の各部位の寸法の一例は、以下の通りである。
【0045】
枕木側被覆部材F1の底部は、100mm×100mの四角形である。枕木側被覆部材F1の筒状の高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合において49mmである。枕木側被覆部材F1の筒状の高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において69mmである。
バラスト側被覆部材F2の底部は、94mm×94mの四角形である。バラスト側被覆部材F2の筒状の高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面に配置される場合において47mmである。バラスト側被覆部材F2の筒状の高さは、第1鉄道軌道材料41が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において67mmである。
【0046】
枕木側被覆部材F1は、枕木20に固定される。枕木側被覆部材F1の、枕木20への固定方法は、特に問わない。例えば、接着剤による接着や、ネジによる締結が好適に用いられる。本実施形態において、枕木側被覆部材F1は、枕木20に対してタッピングビスネジで固定される。また、被覆部材Fが設けられる場合は、第1枕木側ネジ41aは、枕木側被覆部材F1に接着剤によって取り付けられる。
バラスト側被覆部材F2は、バラスト30に接する。バラスト側被覆部材F2は、第1バラスト側ネジ41bの移動に伴って移動可能に取り付けられる。
【0047】
バラスト側被覆部材F2は、例えば、第1回転板41dに取り付けられる。この時、バラスト側被覆部材F2と第1回転板41dとは、相対移動しないことが好ましい。本実施形態において、バラスト側被覆部材F2と第1回転板41dとは、例えば、接着剤によって取り付けられる。
バラスト側被覆部材F2は、例えば、第1バラスト側ネジ41bに取り付けられてもよい。つまり、この場合は、第1鉄道軌道材料41において、第1回転板41dが設けられていない。この時、バラスト側被覆部材F2と第1バラスト側ネジ41bとは、第1バラスト側ネジ41bの軸方向を中心として相対回転可能であることが好ましい。
【0048】
被覆部材Fを備えた第1鉄道軌道材料41が枕木20の下部に配置される場合、図4に示すように、枕木側被覆部材F1の内部にバラスト側被覆部材F2が入り込むようにして、重なり合っていることが好ましい。これにより、被覆部材Fの内部に雨水や埃が入りにくくすることが好ましい。
被覆部材Fを備えた第1鉄道軌道材料41が枕木20の下部以外の側面に配置される場合、被覆部材Fの内部に侵入した雨水や埃を排出するための水抜き穴(不図示)が設けられていることが好ましい。
被覆部材Fの素材は、特に問わない。被覆部材Fには、例えば、金属製、樹脂製、繊維強化プラスチック製、セラミック製のものが好適に用いられる。
【0049】
第1鉄道軌道材料41は、図5図6に示すように、第1枕木側ネジ41aが、枕木20のうちバラスト30に面する面に設けられた窪み20Dの内部に配置されるようにして、枕木20に配置されてもよい。この場合、第1回転板41dが、第1面20sと面一になるように配置することが好ましい。窪み20Dを必要最小限の大きさにするために、第1回転板41dは窪み20Dの内部に配置されなくてもよい。例えば、図23に示すように、第1回転板41dの枕木20側の面が、第1面20sと接するように配置されてもよい。また、窪み20Dは、第1付勢部材41cが干渉しない程度の十分な大きさを備えることが好ましい。
この場合における、枕木20の窪み20Dの内周面と、第1枕木側ネジ41aとの固定方法は、特に問わない、例えば、接着剤による接着や、ネジによる締結が好適に用いられる。本実施形態において、窪み20Dと第1枕木側ネジ41aとは、接着剤によって固定される。
【0050】
(第2鉄道軌道材料42について)
第2鉄道軌道材料42は、図7に示すように、第2枕木側ネジ42a(枕木側ネジ)と、第2バラスト側ネジ42b(バラスト側ネジ)と、第2付勢部材42c(付勢部材)と、第2回転板42dと、を備える。
【0051】
第2枕木側ネジ42aは、枕木20の、バラスト30に面する部位に配置される。第2枕木側ネジ42aは、枕木20に対して相対移動不可である。つまり、第2枕木側ネジ42aは、枕木20に固定されている。第2枕木側ネジ42aは、棒状の部材である。本実施形態において、第2枕木側ネジ42aの長さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、45mmである。前記棒状の長さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、65mmである。
【0052】
以下、第2鉄道軌道材料42の各構成の寸法を説明する際、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合と、枕木20の下面以外の側面に配置される場合とで、別の寸法を記載することがある。ここで、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合、第2鉄道軌道材料42は、枕木20を介してレール部材10を走行する鉄道の荷重を受ける。このため、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面以外の側面に配置される場合と比較して、より大きな荷重に対応する必要がある。上記寸法の違いは、上記理由によるものである。
【0053】
第2枕木側ネジ42aの一方の端部は、雄ネジ部を備える。第2枕木側ネジ42aの他方の端部には、枕木側フランジ42afが設けられる。
枕木側フランジ42afは、本実施形態において、例えば、厚さ4mm、外径36mmの円盤である。枕木側フランジ42afは、枕木20に第2枕木側ネジ42aを取り付ける際、枕木20の表面に接する部位である。
【0054】
第2枕木側ネジ42a及び枕木側フランジ42afの素材は特に問わない。第2枕木側ネジ42a及び枕木側フランジ42afには、例えば、鉄製、ステンレス製、真鍮製、アルミ製、チタン製、樹脂製等のものが好適に用いられる。本実施形態において、第2枕木側ネジ42aは、ステンレス製のものが用いられる。枕木側フランジ42afは、例えば、第2枕木側ネジ42aと一体に成形される。
【0055】
第2バラスト側ネジ42bは、第2枕木側ネジ42aに螺合する。つまり、第2バラスト側ネジ42bは、雌ネジである。第2バラスト側ネジ42bは、両端部が開口する円筒状の部材である。第2バラスト側ネジ42bの内周面には、第2枕木側ネジ42aの雄ネジ部に対応した雌ネジ部が形成されている。
【0056】
本実施形態において、第2枕木側ネジ42aの外径は、例えば、36mmである。第2枕木側ネジ42aの高さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、36mmである。第2枕木側ネジ42aの高さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、56mmである。
【0057】
第2バラスト側ネジ42bは、第2枕木側ネジ42aの軸まわりに回転可能である。第2バラスト側ネジ42bの一方の端部は、第2枕木側ネジ42aに面する。第2バラスト側ネジ42bの他方の端部は、バラスト30に面する。本実施形態において、第2バラスト側ネジ42bの他方の端部には、バラスト側フランジ42bfが設けられる。
バラスト側フランジ42bfは、本実施形態において、例えば、厚さ4mm、外径80mmの円盤である。バラスト側フランジ42bfには、後述する第2回転板42dが取付けられる。
【0058】
第2バラスト側ネジ42bが、枕木20に固定された第2枕木側ネジ42aに螺合した状態から、前記螺合が緩む方向、すなわち、第2バラスト側ネジ42bが第2枕木側ネジ42aから外れる方向に回転すると、バラスト側フランジ42bfが、バラスト30に押し付けられるように移動する。この移動は、枕木20とバラスト30との間に隙間が生じた際に、前記隙間を埋めるために行われる。
【0059】
第2バラスト側ネジ42b及びバラスト側フランジ42bfの素材は特に問わない。第2バラスト側ネジ42b及びバラスト側フランジ42bfには、例えば、鉄製、ステンレス製、真鍮製、アルミ製、チタン製、樹脂製等のものが好適に用いられる。第2枕木側ネジ42aと第2バラスト側ネジ42bとの素材は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。本実施形態において、第2バラスト側ネジ42bは、ステンレス製の物が用いられる。バラスト側フランジ42bfは、第2バラスト側ネジ42bと一体に成形される。
【0060】
以下、互いに螺合する第2枕木側ネジ42a及び第1バラスト側ネジ41bにおける、雄ネジ部または雌ネジ部について説明する。なお、以下において、前記雄ネジ部及び前記雌ネジ部を合わせて、ネジと呼称する。
ネジの形状は、特に問わない。ネジは、例えば、三角ネジ、四角ネジ、台形ネジ、丸ネジ等が用いられる。本実施形態において、第2枕木側ネジ42a及び第2バラスト側ネジ42bには、台形ネジが用いられる。
ネジの方向は、右、左いずれのものを用いてもよい。ネジの条数は、特に問わない。第2バラスト側ネジ42bの雌ネジ部には、コイルネジが用いられてもよい。
【0061】
本実施形態において、ネジの長さ、すなわち、第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量は、特に問わない。ネジの長さは、バラスト軌道100において生じることが想定される、枕木20とバラスト30との間の隙間の大きさ、及び、前記隙間が生じる頻度及び速度によって適宜決定されることが好ましい。
【0062】
例えば、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合は、10mm程度の隙間が生じることを想定する。この場合、少なくとも第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量は、少なくとも10mm以上備えることが好ましい。前記隙間の大きさが漸増することが想定される場合、より長いネジ長を備えてもよい。
【0063】
バラスト軌道100におけるバラスト30の配置を、重機等を用いた突き固めにより定期的に補正することを前提とする場合、第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量は、比較的少なくてもよい。この場合は、突き固めによってバラスト30の配置の補正を行う頻度によって、第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量を適宜決定することが好ましい。
【0064】
本実施形態において、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合、第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量は、例えば、20mmである。第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面以外の側面に配置される場合、第2枕木側ネジ42aに対する第2バラスト側ネジ42bの移動可能量は、例えば、40mmである。
【0065】
本実施形態において、ネジの太さは、特に問わない。但し、第2鉄道軌道材料42を枕木20の下面に配置する場合は、枕木20に付加される鉄道の荷重を、バラスト30に十分に伝達する必要がある。ここで、前記荷重は、例えば、10t程度である。このため、ネジの太さは、前記荷重に対応可能な程度の太さを備える必要がある。
【0066】
ここで、前記荷重は、第2枕木側ネジ42a及び第2バラスト側ネジ42bの備えるネジ山への圧縮剪断荷重として付加される。このため、前記荷重に対応可能なネジの太さや、ネジ山の数を備える必要がある。
第2鉄道軌道材料42を、枕木20の下面以外の側面に配置する場合は、この限りでない。つまり、鉄道の荷重をバラスト30に伝達する役割を有さないため、ネジの太さは、比較的細くてもよい。
本実施形態において、ネジの対応可能な荷重は、例えば、10tである。第2枕木側ネジ42a及び第2バラスト側ネジ42bのネジ部は、例えば、径が24mm、ピッチが8mmである。
【0067】
第2付勢部材42cは、第2枕木側ネジ42aと第2バラスト側ネジ42bとの螺合が緩む方向に、第2バラスト側ネジ42bを付勢する。第2付勢部材42cには、例えば、ゼンマイばね、ねじりコイルばね、その他一般的なばねが好適に用いられる。第2付勢部材42cは、上述の線材の復元力によって、第2バラスト側ネジ42bを付勢する。第2付勢部材42cには、金属製、樹脂製のものを用いることが好ましく、鋼製、ステンレス製のものを用いることがより好ましい。
【0068】
本実施形態において、第2付勢部材42cには、ステンレス製のねじりコイルばねが用いられる。また、前記ねじりコイルばねを形成する線材は、例えば、厚さ0.1mm、幅5mmのものである。線材の長さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面に配置される場合において、例えば、1100mmである。線材の長さは、第2鉄道軌道材料42が枕木20の下面以外の側面に配置される場合において、例えば、1600mmである。
【0069】
第2付勢部材42cの取り付け位置は、第2枕木側ネジ42aと第2バラスト側ネジ42bとの螺合や、枕木20の配置に支障がないことを前提に、特に問わない。本実施形態においては、図7に示すように、第2付勢部材42cの一方の端部は、第2枕木側ネジ42aに配置される。具体的には、第2付勢部材42cの一方の端部は、例えば、第2バラスト側ネジ42bの外周面における、第2枕木側ネジ42aの挿入部42biに近い側に配置される。第2付勢部材42cの他方の端部は、第2枕木側ネジ42aに配置される。具体的には、第2付勢部材42cの他方の端部は、第2枕木側ネジ42aの他方の端部の側に配置される。
第2付勢部材42cの一方の端部は、枕木20に配置されてもよい。
【0070】
第2付勢部材42cの、第2枕木側ネジ42a、第2バラスト側ネジ42b、又は枕木20との接続方法は、特に問わない。例えば、第2付勢部材42cの接続は、金属溶接、接着剤による接着が好適に用いられる。また、第2枕木側ネジ42a、第2バラスト側ネジ42b、又は枕木20に溝を設けて、第2付勢部材42cの端部を前記溝に嵌め込むことによって接続してもよい。
本実施形態において、第2付勢部材42cは、第2枕木側ネジ42a及び第2バラスト側ネジ42bの外周面に接着剤によって固定される。
【0071】
第2回転板42dは、バラスト30に接する板である。第2回転板42dは、バラスト側フランジ42bfに対して回転可能に取り付けられる。具体的には、第2回転板42dは、例えば、バラスト側フランジ42bfに軸受を介して取り付けられる。具体的には、例えば、バラスト側フランジ42bfの中央に、第2回転板42dに向けて突出する棒状の突起を設け、第2回転板の中央に軸受を設け、それらを接続する。又は、第2回転板の中央に棒状の突起を設け、バラスト側フランジ42bfの中央に軸受を設け、それらを接続してもよい。
【0072】
また、第2回転板42dとバラスト側フランジ42bfとは、球関節によって接続されてもよい。具体的には、バラスト側フランジ42bfの中央に、第2回転板42dに向けて突出し、突端部が球状の部位を設け、第2回転板42dの中央に前記突端部を収納可能な部位を設け、それらをはめ合うように接続する。又は、第2回転板42dの中央に、バラスト側フランジ42bfに向けて突出し、突端部が球状の部位を設け、バラスト側フランジ42bfの中央に前記突端部を収納可能な部位を設け、それらをはめ合うように接続してもよい。このようにして、第2回転板42dを、バラスト側フランジ42bfの他方の端部に対して回転可能に取り付けてもよい。
ここで、バラスト側フランジ42bfが直接バラスト30に接していると、第2バラスト側ネジ42bが回転した時、バラスト側フランジ42bfとバラスト30とが擦れる。この時に生じる摩擦力により、第2バラスト側ネジ42bが回転しづらくなることがある。
【0073】
第2回転板42dがバラスト30に接していると、第2バラスト側ネジ42bが回転しても、第2回転板42dが回転しない。このため、第2バラスト側ネジ42bの回転によっては、第2回転板42dがバラスト30に押し付けられるのみとなる。このように、第2回転板42dは、前記摩擦力の発生を防ぎ、第2バラスト側ネジ42bを回転しやすくする役割を有する。
本実施形態において、第2回転板42dは、例えば、厚さ4mm、外径80mmの、ステンレス製の円盤である。
【0074】
第2鉄道軌道材料42は、例えば、図8に示すように、第2枕木側ネジ42aが、枕木20のうちバラスト30に面する面に設けられた窪み20Dの内部に配置されるようにして、枕木20に配置される。この場合、第2回転板42dが、第1面20sと面一になるように配置することが好ましい。窪み20Dを必要最小限の大きさにするために、第2回転板42dは窪み20Dの内部に配置されなくてもよい。例えば、図24に示すように、第2回転板42dの枕木20側の面が、第1面20sと接するように配置されてもよい。また、窪み20Dは、第2付勢部材42cが干渉しない程度の十分な大きさを備えることが好ましい。
【0075】
この場合における、枕木20の窪み20Dの内周面と、第2枕木側ネジ42aとの固定方法は、特に問わない、例えば、接着剤による接着や、ネジによる締結が好適に用いられる。本実施形態において、窪み20Dと第2枕木側ネジ42aとは、枕木側フランジ42afが窪み20Dの底面に接着されることで固定される。
【0076】
窪み20Dと第2枕木側ネジ42aとは、第2枕木側ネジ42aが窪み20Dに対して直接ネジ込まれるようにして固定されてもよい。この場合は、枕木側フランジ42afが設けられていなくてもよい。また、第2枕木側ネジ42aの他方の端部に、窪み20Dにネジ込むための雄ネジ部が別途設けられてもよい。
【0077】
(鉄道軌道材料40を配置する場所について)
枕木20における、鉄道軌道材料40を配置する位置は、バラスト30に接している位置であれば、特に限定しない。つまり、鉄道軌道材料40は、枕木20の、バラスト30に面する部位に配置される。
【0078】
鉄道軌道材料40は、例えば、図1図4に示すように、枕木20の下面における、レール部材10の直下に配置される。鉄道軌道材料40は、図5図6図8に示すように、枕木20の下面における、レール部材10の直下に設けられた窪み20Dの中に配置されてもよい。
このとき、鉄道軌道材料40は、進行方向Yに沿って一対に設けられたレール部材10に合わせて一対に設けられてもよい。また、一対に設けられたレール部材10のいずれか一方の直下にのみ設けられてもよい。このように、鉄道軌道材料40をレール部材10の直下に配置することで、より鉄道から付加される荷重を受け止めやすくすることが好ましい。鉄道軌道材料40は、枕木20の下面において、レール部材10の直下以外の部位に設けられてもよい。
【0079】
鉄道軌道材料40は、例えば、図9図10に示すように、枕木20の左右方向Xの側面に一対に設けられてもよい。鉄道軌道材料40は、図11図12図13に示すように、枕木20の左右方向Xの側面に設けられた窪み20Dの中に一対に配置されてもよい。
このとき、鉄道軌道材料40は、枕木20の左右方向Xの側面のいずれか一方にのみ設けられてもよい。
【0080】
鉄道軌道材料40は、例えば、図14図15に示すように、枕木20の進行方向Yの側面に一対に設けられてもよい。鉄道軌道材料40は、図16図17図18に示すように、枕木20の左右方向Xの側面に設けられた窪み20Dの中に一対に配置されてもよい。
このとき、前記一対の鉄道軌道材料40は、更に左右方向Xに一対に設けられてもよい。つまり、枕木20の進行方向Yの側面において、鉄道軌道材料40が4つ設けられてもよい。また、鉄道軌道材料40は、枕木20の進行方向Yの側面及び左右方向Xの側面のいずれか一方にのみ設けられてもよい。
また、鉄道軌道材料40を枕木20の進行方向Yの側面に配置する場合、バラスト30の突き固めを行う部位を避けて配置することが好ましい。この場合、鉄道軌道材料40は、例えば、枕木20の左右方向Xの端部付近に設けることが好ましい。
【0081】
上記態様に限らず、鉄道軌道材料40は、1つの枕木20に対してより多くの個数設けられていてもよい。鉄道軌道材料40は、1つの枕木20に対して1つのみ設けられていてもよい。鉄道軌道材料40は、1つの枕木20における複数の面に対して設けられていてもよい。
【0082】
(鉄道軌道材料40を有する枕木20の施工方法について)
図19に示すように、鉄道軌道材料40が取付けられた枕木20をバラスト30に配置する際は、第1鉄道軌道材料41の第2バラスト側ネジ、又は第2鉄道軌道材料42の第2バラスト側ネジ42bが、バラスト30に向かって移動しないように、バンドB等によって固定した状態で配置することが好ましい。その後、バラスト30を突き固める事等によって枕木20の設置が完了した後に、バンドBを取り外すことで、施工完了とすることが好ましい。
バンドBの材質は特に問わない。バンドBは、例えば、ポリプロピレン製、ナイロン製、フッ素樹脂製、エラストマー製、ステンレス製のものが好適に用いられる。
【0083】
(鉄道軌道材料40の動きについて)
バラスト軌道100において、バラスト30が摩減すると、図21に示すように、枕木20とバラスト30との間に隙間Sが発生する。すると、第1付勢部材41c又は第2付勢部材42cによって、第2バラスト側ネジ又は第2バラスト側ネジ42bが、バラスト30に向かって移動する。これにより、図22に示すように、枕木20とバラスト30との間の隙間が埋められる。
【0084】
なお、図21に示す隙間Sは仮想のものである。実使用の環境においては、バラスト30が摩減すると同時に、第2バラスト側ネジ又は第2バラスト側ネジ42bが、バラスト30に向かって移動する。このため、隙間Sが発生することが未然に防がれる。
このようにして、鉄道軌道材料40は、枕木20とバラスト30との間の隙間を埋める。
【0085】
以上説明したように、本実施形態に係る鉄道軌道材料40によれば、バラスト側ネジは、枕木側ネジの軸まわりに回転可能であり、付勢部材は、枕木側ネジとバラスト側ネジとの螺合が緩む方向に、バラスト側ネジを付勢する。つまり、付勢部材の力が、バラスト側ネジをバラスト30に押し付けるように作用する。したがって、バラスト30が摩減した場合であっても、バラスト側ネジがバラスト30から離れることを防ぐことができる。これにより、枕木20とバラスト30との間の隙間Sを埋めることができる。よって、前記隙間Sによって生じる枕木20の沈下を防ぐことができる。また、上述の作用は付勢部材の力によってなされる。つまり、重力を用いずに作用する。よって、方向を問わずに使用することができる。
【0086】
また、本実施形態に係るバラスト軌道100によれば、本発明に係る鉄道軌道材料40を備える。これにより、枕木20とバラスト30との間に生じる隙間Sを、鉄道軌道材料40によって埋めることができる。よって、バラスト軌道100において生じる枕木20の沈下を防ぐことができる。
【0087】
また、枕木20は、バラスト30を向く面であって全面にわたって面一な第1面20sを備え、枕木側ネジは、第1面20sに配置されている。これにより、枕木20に特殊な加工をすることなく、バラスト軌道100に本発明に係る鉄道軌道材料40を配置することができる。
【0088】
また、枕木20のうちバラスト30に面する面には窪みが設けられ、鉄道軌道材料40は、窪みの内部に配置される。これにより、枕木20の周辺のバラスト30の配置に影響を及ぼすことなく、バラスト軌道100に本発明に係る鉄道軌道材料40を配置することができる。
【0089】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2バラスト側ネジの回転が、バラスト30との間に生じる摩擦力の影響を受けない場合、第2バラスト側ネジの他方の端部に第1回転板41dを設けることに代えて、第2バラスト側ネジの他方の端部にフランジ形状を一体に設けてもよい。また、前記フランジ形状を設けなくとも、第2バラスト側ネジの他方の端部によって枕木20とバラスト30との間の隙間を埋めることが可能であれば、前記フランジ形状を設けなくてもよい。
第2バラスト側ネジ42bの回転が、バラスト30との間に生じる摩擦力の影響を受けない場合、第2回転板42dが設けられなくてもよい。
【0090】
被覆部材Fは、第1枕木側ネジ41a及び第2バラスト側ネジの外側に位置する第1付勢部材41cがバラスト30と干渉しないことが担保できれば、設けられなくてもよい。
本実施形態において、第2鉄道軌道材料42は、枕木20の窪み20Dの内部に配設される場合のみ説明したが、第2鉄道軌道材料42が、枕木20の表面に配置されてもよい。この場合は、第2鉄道軌道材料42が、被覆部材Fの内部に配置されてもよい。
本実施形態において説明した各部材の各寸法は一例であり、その他任意の寸法を用いてもよい。
【0091】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 レール部材
20 枕木
20s 第1面
30 バラスト
40 鉄道軌道材料
100 バラスト軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24