(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128307
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】エレベータ用ロープのロープテスタ
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20230907BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20230907BHJP
G01N 27/83 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
B66B5/02 C
B66B5/00 D
G01N27/83
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022032568
(22)【出願日】2022-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 暁
(72)【発明者】
【氏名】秦 輝
【テーマコード(参考)】
2G053
3F304
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB22
2G053BA03
2G053BA14
2G053BB03
2G053BC20
2G053CA03
2G053CA05
2G053DA01
3F304BA09
(57)【要約】
【課題】 案内部を取り外したり取り付けたりすることができるエレベータ用ロープのロープテスタを提供する。
【解決手段】 エレベータ用ロープのロープテスタは、エレベータ用ロープを案内する案内部を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、本体と、本体に着脱可能である着脱体と、を備え、案内部の全部は、着脱体に配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用ロープを案内する案内部を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、
本体と、
前記本体に着脱可能である着脱体と、を備え、
前記案内部の全部は、着脱体に配置される、エレベータ用ロープのロープテスタ。
【請求項2】
前記ロープを磁化させる磁化部と、
前記ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、
前記磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部と、を備え、
前記磁性部及び前記漏洩磁束検出部の両方は、本体又は着脱体の何れか一方に配置される、請求項1に記載のエレベータ用ロープのロープテスタ。
【請求項3】
前記磁性部及び前記漏洩磁束検出部の両方は、前記着脱体に配置され、
前記着脱体は、前記漏洩磁束検出部と電気的に接続される着脱接点を備え、
前記本体は、
前記着脱体が前記本体に取り付けられるときに、前記着脱接点と接する本体接点と、
前記本体接点と電気的に接続され、前記漏洩磁束検出部の信号を出力する出力部と、を備える、請求項2に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項4】
前記磁化部は、磁気を発生する磁石部を備え、
前記磁化部の全部は、前記本体に配置され、
前記本体は、前記磁石部の全体を覆うカバー部を備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項5】
前記案内部は、前記ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる案内凹面を備え、
前記案内凹面は、前記案内凹面の底面を構成する案内底面を備え、
前記着脱体は、複数備えられ、
複数の前記着脱体は、前記案内底面が前記第1方向視で第1直径の円弧状に形成される第1着脱体と、前記案内底面が前記第1方向視で前記第1直径と異なる第2直径の円弧状に形成される第2着脱体と、を含む、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ用ロープのロープテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータ用ロープのロープテスタは、ロープを案内する案内部を備えている(例えば、特許文献1)。ところで、特許文献1に係るロープテスタにおいては、案内部を取り外したり取り付けたりすることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、課題は、案内部を取り外したり取り付けたりすることができるエレベータ用ロープのロープテスタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
エレベータ用ロープのロープテスタは、エレベータ用ロープを案内する案内部を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、本体と、前記本体に着脱可能である着脱体と、を備え、前記案内部の全部は、着脱体に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】ロープテスタが用いられるエレベータの概要図
【
図9】同実施形態に係る本体の斜視図であって、一方のカバー板を取り外した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0007】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合がある。また、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0008】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0009】
以下、エレベータ用ロープのロープテスタ(以下、単に「ロープテスタ」ともいう)における一実施形態について、
図1~
図10を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、ロープテスタの構成等の理解を助けるために例示するものであり、ロープテスタの構成を限定するものではない。
【0010】
まず、ロープテスタの各構成を説明するのに先立って、ロープテスタが用いられるエレベータについて、
図1を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、エレベータ11は、例えば、人が乗るためのかご12と、かご12に接続されるかごロープ13と、かごロープ13に接続される釣合錘14と、かごロープ13を駆動してかご12及び釣合錘14を上下方向に走行させる巻上機15とを備えていてもよい。また、エレベータ11は、例えば、かご12を案内するかごレール16と、釣合錘14を案内する錘レール17と、かご12の走行速度を検出する調速機18と、エレベータ11の各部を制御する処理装置19とを備えていてもよい。
【0012】
また、本実施形態においては、かごロープ13の第1端がかご12に固定され、かごロープ13の第2端が釣合錘14に固定されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ13の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ13がかご12のシーブ及び釣合錘14のシーブにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ13がかご12及び釣合錘14にそれぞれ接続されている、という構成でもよい。
【0013】
また、本実施形態に係るエレベータ11は、巻上機15を機械室X2の内部に配置する、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、機械室X2が備えられておらず、エレベータ11は、巻上機15を昇降路X1の内部に配置する、という構成でもよい。
【0014】
巻上機15は、例えば、かごロープ13が巻き掛けられる綱車15aと、綱車15aを回転させる駆動源15bと、綱車15aを制動する制動部15cとを備えていてもよい。また、調速機18は、例えば、かご12に接続される無端環状のガバナロープ18aと、かご12の速度を検出するために、ガバナロープ18aが巻き掛けられるガバナ車18bと、ガバナロープ18aに張力を付与するために、ガバナロープ18aに吊り下げられる張り車18cと、ガバナロープ18aを把持する把持部18dとを備えていてもよい。
【0015】
かご12は、例えば、かごレール16を挟むことによってかご12を停止させる停止部12aと、調速機18の動作を停止部12aへ伝達する伝達部12bとを備えていてもよい。そして、例えば、かご12の速度が設定速度を超えた場合に、把持部18dがガバナロープ18aを把持し、ガバナロープ18aの走行が停止されることによって、かご12の停止部12aは、作動する、という構成でもよい。
【0016】
図2及び
図3に示すように、ロープテスタ1は、例えば、エレベータ用ロープ(以下、単に「ロープ」ともいう)X3を診断するために用いられる。なお、ロープX3は、エレベータ11に用いられるロープであれば、特に限定されない。例えば、ロープX3は、かご12に接続されるロープであって、かご12の走行に伴って走行するロープでもよい。具体的には、ロープX3は、例えば、かごロープ13、ガバナロープ18aであってもよい。
【0017】
ロープテスタ1は、例えば、本実施形態のように、ロープX3に接することによってロープX3を案内する案内部21と、ロープX3を磁化させる磁化部31と、ロープX3から漏洩する磁束を集める磁性部22と、磁性部22の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部23とを備えていてもよい。
【0018】
磁化部31は、例えば、本実施形態のように、磁気を発生する第1及び第2磁石部31a,31bと、第1磁石部31aと第2磁石部31bとを磁気的に接続する磁路部31cとを備えていてもよい。これにより、第1及び第2磁石部31a,31bと磁路部31cとは、ロープX3と協働することによって、無端環状の磁気回路を構成することができる。
【0019】
そして、
図2の丸枠拡大図に示すように、ロープX3の断線部分X4が磁性部22の範囲に位置したときに、断線部分X4から漏洩した磁束が、磁性部22によって集められ、漏洩磁束検出部23は、磁性部22の内部を通る磁束を検出することができる。これにより、例えば、漏洩磁束検出部23で検出した漏洩磁束によって、漏洩磁束法によるケーブル診断を行うことができる。
【0020】
漏洩磁束検出部23の構成は、特に限定されないが、例えば、漏洩磁束検出部23は、磁束の大きさを電圧や電流の大きさに変換する各種磁気センサ(ホール素子、コイル)としてもよい。なお、
図2の丸枠拡大図は、ロープX3、磁性部22及び漏洩磁束検出部23のみを図示している。
【0021】
図3及び
図4に示すように、案内部21は、例えば、ロープX3が内部に挿入されるために、第1方向D1へ延びる案内凹面21aを備えていてもよい。案内凹面21aは、例えば、ロープテスタ1の第2方向D2の一端に配置されていてもよい。そして、案内凹面21aは、第1方向D1視において(
図7参照)、一部が開放された凹面に形成されていてもよい。
【0022】
そして、ロープテスタ1は、例えば、本実施形態のように、本体3と、本体3に着脱可能である着脱体2と、着脱体2を本体3に着脱させる着脱手段4とを備えていてもよい。そして、例えば、案内部21の全部、即ち、案内凹面21aの全部は、着脱体2に配置されていてもよい。
【0023】
これにより、着脱体2が本体3に着脱されることによって、本体3に対して案内部21を取り外したり取り付けたりすることができる。したがって、例えば、案内部21がロープX3を案内することによって、案内部21が摩耗や損傷等した場合に、新たな着脱体2と交換することで、ロープX3を正確に検査することができる。
【0024】
なお、着脱手段4の構成は、特に限定されない。着脱手段4は、例えば、本実施形態のように、着脱体2に取り付けられる着脱係合部4aと、本体3に取り付けられ、着脱係合部4aと係合する(例えば、引っ掛け合う)状態と当該係合を解除する状態とに切り替え可能な本体係合部4bとを備えていてもよい。
【0025】
図5及び
図6に示すように、例えば、磁性部22は、第1方向D1で離れる第1磁性片22a及び第2磁性片22bを備え、漏洩磁束検出部23は、第1磁性片22a及び第2磁性片22b間に配置されている、という構成でもよい。これにより、漏洩磁束検出部23は、各磁性片22a,22bと磁気的に接続される。
【0026】
したがって、漏洩磁束検出部23は、磁性部22、具体的には、各磁性片22a,22bの内部を通る磁束を検出できる。なお、漏洩磁束検出部23が磁性部22(各磁性片22a,22b)と磁気的に接続されていれば、例えば、漏洩磁束検出部23と磁性部22(各磁性片22a,22b)との間に、隙間が形成されていてもよい。
【0027】
このように、漏洩磁束検出部23が第1磁性片22a及び第2磁性片22b間に配置されることによって、漏洩磁束検出部23がロープX3からの漏洩磁束を検出できることに対して、例えば、本実施形態のように、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の両方は、着脱体2に配置されていてもよい。これにより、磁性部22及び漏洩磁束検出部23が一体となって、本体3に対して着脱体2を着脱することができる。
【0028】
そして、例えば、本実施形態のように、磁性部22に対する漏洩磁束検出部23の位置が固定されていてもよい。これにより、磁性部22と漏洩磁束検出部23との位置関係を保持することができるため、例えば、本体3に対して着脱体2が着脱されても、漏洩磁束検出部23で検出される磁束に誤差が生じることを抑制することができる。
【0029】
また、磁性部22及び漏洩磁束検出部23が一体となっているため、例えば、本体3に対して着脱体2が着脱されるときに、磁性部22と漏洩磁束検出部23とが当たり合うことを抑制することができる。これにより、例えば、磁性部22や漏洩磁束検出部23が損傷することを抑制することができる。なお、漏洩磁束検出部23は、例えば、本実施形態のように、磁性部22から離れていてもよく、また、例えば、磁性部22に接していてもよい。
【0030】
また、着脱体2は、例えば、本実施形態のように、磁性部22の透磁率よりも低い透磁率を有する非磁性部24をさらに備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、磁性部22の透磁率は、非磁性部24の透磁率の100倍以上としてもよく、また、1000倍以上であることが好ましい。また、例えば、磁性部22の透磁率は、大気の透磁率の100倍以上としてもよく、また、1000倍以上であることが好ましい。
【0031】
磁性部22の材質は、特に限定されないが、磁性部22は、磁性材料で形成され、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。また、非磁性部24の材質は、特に限定されないが、非磁性部24は、非磁性材料で形成され、低い透磁率を有しており、例えば、ロープX3の硬度よりも低い硬度の金属(例えば、アルミ青銅、アルミ)や硬質樹脂で形成されていてもよい。
【0032】
図5~
図7に示すように、案内凹面21aは、例えば、凹状の曲面状に形成される案内底面21bと、平面状に形成され、第3方向D3で互いに対面するように配置される一対の案内側面21c,21cとを備えていてもよい。これにより、第1方向D1視において、案内底面21bは、円弧状に形成され、案内側面21cは、直線状に形成される。なお、第1~第3方向D1~D3は、互いに直交する方向である。
【0033】
ところで、ロープX3には、例えば、外径が8mm~18mmである複数のサイズ(例えば、8mm,10mm,12mm,16mm,18mm)が存在する。それに対して、例えば、着脱体2は、複数備えられ、
図7(a)に示すように、第1の着脱体2の案内底面21bは、第1方向D1視で第1直径W1の円弧状に形成され、
図7(b)に示すように、第2の着脱体2の案内底面21bは、第1方向D1視で第1直径W1と異なる第2直径W2の円弧状に形成されている、という構成でもよい。
【0034】
これにより、ロープX3の外径に対応した案内底面21bを有する着脱体2を、本体3に取り付けることができる。したがって、例えば、例えば、ロープX3の外径に適した着脱体2が本体3に取り付けられることによって、ロープX3が、ロープX3の外径に適した案内底面21bに、案内されるため、ロープX3が案内部21に対して振動等することを抑制することができる。
【0035】
また、例えば、サイズの異なる複数のロープX3に対して磁束を適正に検出するために、着脱体2が複数備えられていることに対して、本体3は、一つのみ備えられていればよい。これにより、例えば、ロープテスタ1の装置全体の大きさが小さくなるため、ロープテスタ1の持ち運びを容易にすることができたり、また、例えば、ロープテスタ1の装置全体のイニシャルコストを低減することができたりする。
【0036】
なお、着脱体2の種類、即ち、第1方向D1視における案内底面21bの直径W1,W2の種類は、例えば、2つでもよく、また、3つ以上でもよい。例えば、検査対象のロープX3の全ての外径に対して、当該外径と同じ直径W1,W2である案内底面21bを有する着脱体2を備えていることが好ましい。
【0037】
また、例えば、本実施形態のように、磁性部22は、第1方向D1視において、案内凹面21aに沿って配置される磁性凹面22cを備えていてもよい。磁性凹面22cは、例えば、本実施形態のように、第1方向D1視において案内底面21bに沿って配置される磁性底面22dと、第1方向D1視において案内側面21cに沿って配置される磁性側面22eとを備えていてもよい。
【0038】
これにより、磁性凹面22cがロープX3の外周面に沿って配置されることになるため、例えば、漏洩磁束を磁性部22で確実に集めることができる。したがって、漏洩磁束検出部23で漏洩磁束を正確に検出することができる。なお、例えば、本実施形態のように、各磁性片22a,22bは、磁性凹面22cを有する凹状部22fと、凹状部22fと漏洩磁束検出部23とを磁気的に接続する接続部22gとを備えていてもよい。
【0039】
案内凹面21aは、例えば、本実施形態のように、非磁性部24のみで形成されていてもよい。具体的には、磁性凹面22cは、第1方向D1視において、案内凹面21aよりも、案内凹面21aの外部側に配置されていてもよい。なお、「案内凹面21aの外部側」とは、案内凹面21aで形成される内空間の中心から遠い側のことである。例えば、「案内凹面21aの外部側」とは、案内凹面21aの内部に挿入されるロープX3の中心から遠い側ともいえる。
【0040】
これにより、案内凹面21aがロープX3に接してロープX3を案内するときに、ロープX3は、磁性凹面22cから離れることになる。したがって、ロープX3が磁性凹面22cに接することを抑制することができるため、磁性凹面22cが摩耗することを抑制することができる。
【0041】
特に限定されないが、第1方向D1視における磁性凹面22cと案内凹面21aとの距離(段差)は、例えば、0.1mm~0.6mmとしてもよく、また、例えば、0.2~0.4mmとしてもよい。なお、磁性凹面22cが第1方向D1視において案内凹面21aと重なるように配置することによって、案内凹面21aは、磁性部22(具体的には、磁性凹面22c)及び非磁性部24で形成されていてもよい。
【0042】
図8~
図10に示すように、例えば、着脱体2及び本体3は、互いに接する接点25,32を備えていてもよい。そして、例えば、本実施形態のように、着脱体2の着脱接点25は、基板26を介して漏洩磁束検出部23と電気的に接続され(
図5参照)、本体3は、本体接点32と電気的に接続される出力部33を備えている、という構成でもよい。
【0043】
これにより、着脱体2が本体3に取り付けられることによって、着脱接点25と本体接点32とが接して電気的に接続されるため、出力部33は、漏洩磁束検出部23と電気的に接続される。したがって、出力部33は、ロープテスタ1の外部へ向けて、漏洩磁束検出部23の信号を出力する。なお、出力部33は、例えば、有線又は無線によって、外部装置(例えば、当該情報に基づいてロープX3を診断する診断システム)へ向けて信号を出力してもよい。
【0044】
また、特に限定されないが、例えば、着脱接点25及び本体接点32の少なくとも一方(本実施形態においては、着脱接点25)は、弾性を有して形成されていてもよい。これにより、着脱体2が本体3に取り付けられることによって、着脱接点25及び本体接点32が確実に電気的に接続される。
【0045】
また、ロープテスタ1は、例えば、本実施形態のように、本体3に対する着脱体2の位置を決める位置決め手段を備えていてもよい。これにより、着脱体2が本体3に取り付けられたときに、着脱体2が本体3に位置決めされるため、例えば、着脱接点25及び本体接点32が確実に電気的に接続される。
【0046】
位置決め手段は、例えば、本実施形態のように、着脱体2が備える第1及び第2着脱嵌合部27,28と、本体3が備え、第1及び第2着脱嵌合部27,28とそれぞれ嵌合する第1及び第2本体嵌合部34,35とによって、構成されていてもよい。これにより、着脱体2と本体3とが二つの部分で嵌合するため、本体3に対して着脱体2を確実に位置決めすることができる。
【0047】
なお、例えば、本実施形態のように、少なくとも、第1着脱嵌合部27と第2本体嵌合部35とは、嵌合できない(具体的には、第1着脱嵌合部27の凹の内径が第2本体嵌合部35の凸の外径よりも小さい)、という構成でもよい。これにより、例えば、着脱体2が本体3に取り付けられたときに、本体3に対する着脱体2の向きが誤ることを抑制することができる。
【0048】
図9及び
図10に示すように、本体3は、例えば、把持される把持部36と、磁化部31を第3方向D3から覆い、磁化部31を第3方向D3で挟む一対のカバー板37,37とを備えていてもよい。なお、
図9は、一方(手前)のカバー板37が取り外された状態の本体3を図示している。
【0049】
また、本実施形態においては、ロープテスタ1でロープX3を診断(漏洩磁束を検出)するときに、把持部36が把持される、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、ロープテスタ1は、ロープX3を診断するときに、躯体(昇降路X1や機械室X2)やエレベータ11(例えば、巻上機15)に直接的に又は間接的に固定される、という構成でもよい。
【0050】
そして、磁化部31の全部は、例えば、本実施形態のように、本体3に配置されていてもよい。これにより、着脱体2が交換されても、磁化部31の構成が同じであるため、例えば、磁化部31により発生する磁力を一定にすることができる。また、一般的に、磁石部31a,31bのコストが高いため、例えば、着脱体2が複数備えられていても、ロープテスタ1の全体のコストが増嵩することを抑制することができる。
【0051】
なお、各磁石部31a,31bの構成は、特に限定されないが、例えば、各磁石部31a,31bは、永久磁石としてもよく、また、電磁石としてもよい。また、磁路部31cの材質は、特に限定されないが、磁路部31cは、高い透磁率を有しており、例えば、純鉄や低炭素鋼で形成されていてもよい。
【0052】
特に限定されないが、例えば、磁路部31cの透磁率は、非磁性部24の透磁率の100倍以上としてもよく、また、1000倍以上であることが好ましい。また、例えば、磁路部31cの透磁率は、大気の透磁率の100倍以上としてもよく、また、1000倍以上であることが好ましい。
【0053】
また、例えば、本実施形態のように、磁石部31a,31bは、自身の磁力によって、磁路部31cに接着しており、本体3は、磁石部31a,31bを保持する保持部38を備えている、という構成でもよい。これにより、磁路部31cに対する磁石部31a,31bの位置を維持する(即ち、不変とする)ことができる。
【0054】
そして、例えば、本実施形態のように、磁石部31a,31bの一部は、磁路部31cに覆われており、磁石部31a,31bの他部は、保持部38に覆われている、という構成でもよい。これにより、磁路部31c及び保持部38は、磁石部31a,31bの全体を覆うカバー部39を構成する。
【0055】
したがって、着脱体2が本体3から取り外されたときに、磁石部31a,31bが一部でも露出することを抑制することができる。その結果、例えば、磁性を有する異物が磁石部31a,31bに直接に付着することを抑制することができる。なお、例えば、カバー部39は、保持部38のみで構成されていてもよい。
【0056】
以上より、本実施形態のように、ロープテスタ1は、エレベータ用ロープX3を案内する案内部21を備える、エレベータ用ロープX3のロープテスタ1であって、本体3と、前記本体3に着脱可能である着脱体2と、を備え、前記案内部21の全部は、着脱体2に配置される、という構成が好ましい。
【0057】
斯かる構成によれば、案内部21の全部は、着脱体2に配置されており、着脱体2は、本体3に着脱可能である。これにより、着脱体2が本体3に着脱されることによって、本体3に対して案内部21を取り外したり取り付けたりすることができる。
【0058】
また、本実施形態のように、ロープテスタ1は、前記ロープX3を磁化させる磁化部31と、前記ロープX3から漏洩する磁束を集める磁性部22と、前記磁性部22の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部23と、を備え、前記磁性部22及び前記漏洩磁束検出部23の両方は、本体3又は着脱体2の何れか一方(本実施形態においては、着脱体2)に配置される、という構成が好ましい。
【0059】
斯かる構成によれば、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の両方が、本体3又は着脱体2の何れか一方に配置されているため、磁性部22及び漏洩磁束検出部23が一体となった状態で、本体3に対して着脱体2を着脱することができる。これにより、例えば、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の位置関係を保持することができる。
【0060】
また、本実施形態のように、ロープテスタ1においては、前記磁性部22及び前記漏洩磁束検出部23の両方は、前記着脱体2に配置され、前記着脱体2は、前記漏洩磁束検出部23と電気的に接続される着脱接点25を備え、前記本体3は、前記着脱体2が前記本体3に取り付けられるときに、前記着脱接点25と接する本体接点32と、前記本体接点32と電気的に接続され、前記漏洩磁束検出部23の信号を出力する出力部33と、を備える、という構成が好ましい。
【0061】
斯かる構成によれば、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の両方が、着脱体2に配置されており、着脱体2が本体3に取り付けられるときに、着脱接点25と本体接点32とは、接することによって、電気的に接続される。そして、漏洩磁束検出部23が着脱接点25と電気的に接続されており、出力部33が本体接点32と電気的に接続されているため、出力部33は、漏洩磁束検出部23の信号を出力する。
【0062】
また、本実施形態のように、ロープテスタ1においては、前記磁化部31は、磁気を発生する磁石部31a,31bを備え、前記磁化部31の全部は、前記本体3に配置され、前記本体3は、前記磁石部31a,31bの全体を覆うカバー部39を備える、という構成が好ましい。
【0063】
斯かる構成によれば、磁化部31の全部は、本体3に配置され、カバー部39は、磁石部31a,31bの全体を覆っている。これにより、着脱体2が本体3から取り外されたときに、磁石部31a,31bが一部でも露出することを抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態のように、ロープテスタ1においては、前記案内部21は、前記ロープX3が内部に挿入されるために、第1方向D1へ延びる案内凹面21aを備え、前記案内凹面21aは、前記案内凹面21aの底面を構成する案内底面21bを備え、前記着脱体2は、複数備えられ、複数の前記着脱体2は、前記案内底面21bが前記第1方向D1視で第1直径W1の円弧状に形成される第1着脱体2と、前記案内底面21bが前記第1方向D1視で前記第1直径W1と異なる第2直径W2の円弧状に形成される第2着脱体2と、を含む、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、第1着脱体2の案内底面21bは、第1直径W1の円弧状に形成され、第2着脱体2の案内底面21bは、第1直径W1と異なる第2直径W2の円弧状に形成されている。これにより、例えば、検査対象のロープX3の外径に適した着脱体2を、本体3に取り付けることができる。
【0066】
なお、ロープテスタ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、ロープテスタ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0067】
(1)上記実施形態に係るロープテスタ1においては、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の両方は、着脱体2に配置されている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、磁性部22及び漏洩磁束検出部23の両方は、本体3に配置されている、という構成でもよい。また、例えば、磁性部22及び漏洩磁束検出部23のうち、一方は、着脱体2に配置され、他方は、本体3に配置されている、という構成でもよい。
【0068】
(2)また、上記実施形態に係るロープテスタ1においては、磁化部31の全部は、本体3に配置されている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、磁化部31の少なくとも一部は、着脱体2に配置されている、という構成でもよい。
【0069】
(3)また、上記実施形態に係るロープテスタ1においては、着脱体2が本体3から取り外されたときに、磁石部31a,31bの全体は、カバー部39によって覆われている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、着脱体2が本体3から取り外されたときに、磁石部31a,31bの一部が露出される、という構成でもよい。
【0070】
(4)また、上記実施形態に係るロープテスタ1は、着脱体2を複数備えている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、ロープテスタ1は、着脱体2を一つのみ備えている、という構成でもよい。
【0071】
(5)また、上記実施形態に係るロープテスタ1においては、着脱体2の案内底面21bは、第1方向D1視で円弧状に形成されている、即ち、凹状の曲面状に形成されている、という構成である。しかしながら、ロープテスタ1は、斯かる構成に限られない。例えば、着脱体2の案内底面21bは、第1方向D1視で直線状に形成されている、即ち、平面状に形成されている、という構成でもよい。
【0072】
(6)また、ロープテスタ1は、例えば、ロープX3の内部を通る磁束を検出する内部磁束検出部をさらに備えていてもよい。内部磁束検出部は、例えば、磁路部31cの内部を通過する磁束を検出してもよい。これにより、例えば、内部磁束検出部で検出した磁束によって、全磁束法によるケーブル診断を行うことができる。
【0073】
なお、ロープX3のサイズ(断面積)によって、ロープX3の内部を通る磁束の量が変わる。したがって、外部装置(例えば、診断システム)において、内部磁束検出部の検出値は、ロープX3の劣化を診断するための情報としてだけでなく、ロープX3のサイズを算出するための情報として使用されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ロープテスタ、2…着脱体、3…本体、4…着脱手段、4a…着脱係合部、4b…本体係合部、11…エレベータ、12…かご、12a…停止部、12b…伝達部、13…かごロープ、14…釣合錘、15…巻上機、15a…綱車、15b…駆動源、15c…制動部、16…かごレール、17…錘レール、18…調速機、18a…ガバナロープ、18b…ガバナ車、18c…張り車、18d…把持部、19…処理装置、21…案内部、21a…案内凹面、21b…案内底面、21c…案内側面、22…磁性部、22a…第1磁性片、22b…第2磁性片、22c…磁性凹面、22d…磁性底面、22e…磁性側面、22f…凹状部、22g…接続部、23…漏洩磁束検出部、24…非磁性部、25…着脱接点、26…基板、27…第1着脱嵌合部、28…第2着脱嵌合部、31…磁化部、31a…第1磁石部、31b…第2磁石部、31c…磁路部、32…本体接点、33…出力部、34…第1本体嵌合部、35…第2本体嵌合部、36…把持部、37…カバー板、38…保持部、39…カバー部、D1…第1方向、D2…第2方向、D3…第3方向、X1…昇降路、X2…機械室、X3…エレベータ用ロープ、X4…断線部分
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ用ロープを案内する案内部を備える、エレベータ用ロープのロープテスタであって、
本体と、
前記本体に着脱可能である着脱体と、を備え、
前記案内部の全部は、着脱体に配置され、
前記ロープテスタは、
前記ロープを磁化させる磁化部と、
前記ロープから漏洩する磁束を集める磁性部と、
前記磁性部の内部を通る磁束を検出する漏洩磁束検出部と、を備え、
前記磁性部及び前記漏洩磁束検出部の両方は、前記着脱体に配置される、エレベータ用ロープのロープテスタ。
【請求項2】
前記案内部は、前記ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる案内凹面を備え、
前記磁性部は、前記第1方向で離れる第1磁性片及び第2磁性片を備え、
前記漏洩磁束検出部は、前記第1磁性片及び前記第2磁性片間に配置され、
前記第1磁性片及び前記第2磁性片のそれぞれは、前記第1方向視において、前記案内凹面に沿って配置される磁性凹面を備える、請求項1に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項3】
前記着脱体は、前記漏洩磁束検出部と電気的に接続される着脱接点を備え、
前記本体は、
前記着脱体が前記本体に取り付けられるときに、前記着脱接点と接する本体接点と、
前記本体接点と電気的に接続され、前記漏洩磁束検出部の信号を出力する出力部と、を備える、請求項1又は2に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項4】
前記磁化部は、磁気を発生する磁石部を備え、
前記磁化部の全部は、前記本体に配置され、
前記本体は、前記磁石部の全体を覆うカバー部を備える、請求項1~3の何れか1項に記載のエレベータ用ロープテスタ。
【請求項5】
前記案内部は、前記ロープが内部に挿入されるために、第1方向へ延びる案内凹面を備え、
前記案内凹面は、前記案内凹面の底面を構成する案内底面を備え、
前記着脱体は、複数備えられ、
複数の前記着脱体は、前記案内底面が前記第1方向視で第1直径の円弧状に形成される第1着脱体と、前記案内底面が前記第1方向視で前記第1直径と異なる第2直径の円弧状に形成される第2着脱体と、を含む、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ用ロープテスタ。