IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図1
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図2
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図3
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図4
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図5
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図6
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図7
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図8
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図9
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図10
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図11
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図12
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図13
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図14
  • 特開-装置、方法およびプログラム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128555
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022032962
(22)【出願日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス ラミレス フアン エステバン
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA30
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF03
3C223FF05
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF22
3C223FF42
3C223FF52
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH08
3C223HH29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象の状態監視を支援する装置を提供する。
【解決手段】対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部と、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部と、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定部と、前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御部と、を備える、装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定部と、
前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御部と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記第1特定部は、
前記一のデータセットの座標点を含む領域において前記モデルを単純化した単純化モデルを生成する生成部と、
生成された前記単純化モデルに基づいて前記少なくとも1つの種類の測定データの特定を行う第1特定実行部と、
を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1特定部は、前記一のデータセットに対して基準近接度よりも近接する複数のデータセットを取得する第2取得部を有し、
前記生成部は、前記第2取得部により取得された前記複数のデータセットを用いて、前記単純化モデルを生成する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1特定部は、前記一のデータセットにおける各種類の測定データが前記一の状態指標値に与えた影響の度合いを算出する複数のアルゴリズムのそれぞれにより前記少なくとも1つの種類の測定データの特定を行い、
前記表示制御部は、前記第1特定部により用いられたアルゴリズムごとに、特定された種類の測定データを表示する、請求項1から3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1特定部は、前記複数のアルゴリズムそれぞれの性能指標値を算出し、
前記表示制御部は、前記第1特定部により用いられたアルゴリズムごとに、当該アルゴリズムの性能指標値を表示する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1特定部は、各アルゴリズムにより特定された種類の測定データが前記一の状態指標値に対して有する影響の度合いを算出し、
前記表示制御部は、各アルゴリズムにより特定された種類の測定データが前記一の状態指標値に対して有する影響の度合いを、正規化して表示する、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部をさらに備える、請求項1から6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部と、
を備える、装置。
【請求項9】
前記第2特定部は、
前記一のデータセットに対して基準近似度よりも近接するデータセットを複数取得する第3取得部と、
前記モデルを用い、前記第3取得部により取得された複数のデータセットを、前記第1状態に対応する第1状態のデータセットと、前記第2状態に対応する第2状態のデータセットとに分類する分類部と、
前記一のデータセットの座標点から、複数の前記第2状態のデータセットの重心の座標点へのベクトルを算出する算出部と、
前記ベクトルに基づいて前記推奨される修正内容を特定する第2特定実行部と、
を有する、請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2特定部は、
前記分類部による分類結果に基づいて、前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットの何れかに分類する線形モデルを生成する生成部を有し、
前記算出部は、前記ベクトルと、前記線形モデルとの交点をさらに算出し、
前記第2特定実行部は、前記ベクトルおよび前記交点に基づいて前記推奨される修正内容を特定する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、複数の前記第2状態のデータセットの平均の座標点を、前記重心の座標点とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、複数の前記第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットの座標点を、前記重心の座標点とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項13】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、前記複数の第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近い前記第2状態のデータセットの座標点を、前記重心の座標点とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2特定部は、
前記複数のデータセットのうち、前記複数の第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットが前記第1状態のデータセットであることに応じて、前記第3取得部にデータセットをさらに取得させる制御部、
を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第2特定部は、
前記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数以上となるまで、前記第3取得部に前記基準近似度を大きくさせてデータセットをさらに取得させる制御部
を有する、請求項9から14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第2特定部は、
前記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットのうち、前記一のデータセットから最も近いデータセットに対して前記基準近似度よりも近接するデータセットを前記第3取得部にさらに取得させる制御部
を有する、請求項9から15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第2特定部は、
前記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2特定実行部をディセーブルする制御部
を有する、請求項9から13の何れか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記第2特定部は、前記対象の状態を前記一のデータセットに対応する状態から前記第2状態にするための反事実的なデータセットを生成する学習アルゴリズムを用いて、前記推奨される修正内容を特定する、請求項7から9の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第2特定部は、前記選択データについて、推奨される範囲または値を特定する、請求項7から18の何れか一項に記載の装置。
【請求項20】
各測定データの測定値の範囲または値ごとに、当該測定データの測定値を当該範囲内または当該値にする操作データの内容を対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、
前記第2特定部は、前記選択データが操作データである場合に、前記対象の状態を前記第1状態から前記第2状態にするために推奨される何れかの種類の測定データの推奨範囲または推奨値を特定し、特定された推奨範囲または推奨値に対応付けられた操作データの内容を前記修正内容として特定する、請求項7から19の何れか一項に記載の装置。
【請求項21】
各データセットは、複数種類の測定データと、当該複数種類の測定データに対応する前記操作データとを含む、請求項7から19の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記推奨される修正内容を表示させる表示制御部をさらに備える、請求項7から21の何れか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記推奨される修正内容を示す信号を、前記対象を制御する制御装置に出力する出力部をさらに備える、請求項7から22の何れか一項に記載の装置。
【請求項24】
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得段階と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得段階により取得したデータセットを供給する供給段階と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定段階と、
前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御段階と、
を備える、方法。
【請求項25】
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得段階と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得段階により取得したデータセットを供給する供給段階と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定段階と、
を備える、方法。
【請求項26】
コンピュータを、
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定部と、
前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御部
として機能させる、プログラム。
【請求項27】
コンピュータを、
対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部と、
前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部と、
一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部
として機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「出力部12cは、収集部12aによって収集されたセンサデータを入力として、各モデルを用いて各検知対象機器20の異常度合いをそれぞれ出力する」と記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特許第6453504号
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、装置が提供される。装置は、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部を備えてよい。装置は、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部を備えてよい。装置は、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定部を備えてよい。装置は、前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御部を備えてよい。
【0004】
前記第1特定部は、前記一のデータセットの座標点を含む領域において前記モデルを単純化した単純化モデルを生成する生成部を有してよい。第1特定部は、生成された前記単純化モデルに基づいて前記少なくとも1つの種類の測定データの特定を行う第1特定実行部を有してよい。
【0005】
前記第1特定部は、前記一のデータセットに対して基準近接度よりも近接する複数のデータセットを取得する第2取得部を有してよい。前記生成部は、前記第2取得部により取得された前記複数のデータセットを用いて、前記単純化モデルを生成してよい。
【0006】
前記第1特定部は、前記一のデータセットにおける各種類の測定データが前記一の状態指標値に与えた影響の度合いを算出する複数のアルゴリズムのそれぞれにより前記少なくとも1つの種類の測定データの特定を行ってよい。前記表示制御部は、前記第1特定部により用いられたアルゴリズムごとに、特定された種類の測定データを表示してよい。
【0007】
前記第1特定部は、前記複数のアルゴリズムそれぞれの性能指標値を算出してよい。前記表示制御部は、前記第1特定部により用いられたアルゴリズムごとに、当該アルゴリズムの性能指標値を表示してよい。
【0008】
前記第1特定部は、各アルゴリズムにより特定された種類の測定データが前記一の状態指標値に対して有する影響の度合いを算出してよい。前記表示制御部は、各アルゴリズムにより特定された種類の測定データが前記一の状態指標値に対して有する影響の度合いを、正規化して表示してよい。
【0009】
装置は、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部をさらに備えてよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、装置が提供される。装置は、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部を備えてよい。装置は、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部を備えてよい。装置は、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部を備えてよい。
【0011】
前記第2特定部は、前記一のデータセットに対して基準近似度よりも近接するデータセットを複数取得する第3取得部を有してよい。第2特定部は、前記モデルを用い、前記第3取得部により取得された複数のデータセットを、前記第1状態に対応する第1状態のデータセットと、前記第2状態に対応する第2状態のデータセットとに分類する分類部を有してよい。第2特定部は、前記一のデータセットの座標点から、複数の前記第2状態のデータセットの重心の座標点へのベクトルを算出する算出部を有してよい。第2特定部は、前記ベクトルに基づいて前記推奨される修正内容を特定する第2特定実行部を有してよい。
【0012】
前記第2特定部は、前記分類部による分類結果に基づいて、前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットの何れかに分類する線形モデルを生成する生成部を有してよい。前記算出部は、前記ベクトルと、前記線形モデルとの交点をさらに算出してよい。前記第2特定実行部は、前記ベクトルおよび前記交点に基づいて前記推奨される修正内容を特定してよい。
【0013】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、複数の前記第2状態のデータセットの平均の座標点を、前記重心の座標点としてよい。
【0014】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、複数の前記第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットの座標点を、前記重心の座標点としてよい。
【0015】
前記算出部は、前記複数のデータセットのうち、前記複数の第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近い前記第2状態のデータセットの座標点を、前記重心の座標点としてよい。
【0016】
前記第2特定部は、前記複数のデータセットのうち、前記複数の第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットが前記第1状態のデータセットであることに応じて、前記第3取得部にデータセットをさらに取得させる制御部を有してよい。
【0017】
前記第2特定部は、前記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数以上となるまで、前記第3取得部に前記基準近似度を大きくさせてデータセットをさらに取得させる制御部を有してよい。
【0018】
前記第2特定部は、記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットのうち、前記一のデータセットから最も近いデータセットに対して前記基準近似度よりも近接するデータセットを前記第3取得部にさらに取得させる制御部を有してよい。
【0019】
前記第2特定部は、前記一のデータセットの座標点と、前記モデルが前記複数のデータセットを前記第1状態のデータセットおよび前記第2状態のデータセットに分類する境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、前記複数のデータセットのうち前記第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、前記第2特定実行部をディセーブルする制御部を有してよい。
【0020】
前記第2特定部は、前記対象の状態を前記一のデータセットに対応する状態から前記第2状態にするための反事実的なデータセットを生成する学習アルゴリズムを用いて、前記推奨される修正内容を特定してよい。
【0021】
前記第2特定部は、前記選択データについて、推奨される範囲または値を特定してよい。
【0022】
装置は、各測定データの測定値の範囲または値ごとに、当該測定データの測定値を当該範囲内または当該値にする操作データの内容を対応付けて記憶する記憶部をさらに備えてよい。前記第2特定部は、前記選択データが操作データである場合に、前記対象の状態を前記第1状態から前記第2状態にするために推奨される何れかの種類の測定データの推奨範囲または推奨値を特定し、特定された推奨範囲または推奨値に対応付けられた操作データの内容を前記修正内容として特定してよい。
【0023】
各データセットは、複数種類の測定データと、当該複数種類の測定データに対応する前記操作データとを含んでよい。
【0024】
前記推奨される修正内容を表示させる表示制御部をさらに備えてよい。
【0025】
装置は、前記推奨される修正内容を示す信号を、前記対象を制御する制御装置に出力する出力部をさらに備えてよい。
【0026】
本発明の第3の態様においては、方法が提供される。方法は、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得段階を備えてよい。方法は、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得段階により取得したデータセットを供給する供給段階を備えてよい。方法は、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定段階を備えてよい。方法は、前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御段階を備えてよい。
【0027】
本発明の第4に態様においては、方法が提供される。方法は、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得段階を備えてよい。方法は、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得段階により取得したデータセットを供給する供給段階を備えてよい。方法は、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定段階を備えてよい。
【0028】
本発明の第5の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データのうち、前記一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データを、前記一のデータセットに基づいて特定する第1特定部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、前記一の状態指標値、および、前記少なくとも1つの種類の測定データを併せて表示させる表示制御部として機能させてよい。
【0029】
本発明の第6の態様においては、プログラムが提供される。プログラムは、コンピュータを、対象の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する第1取得部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、前記データセットが入力されることに応じて、前記対象の状態の分類を示す状態指標値を出力するモデルに対し、前記第1取得部が取得したデータセットを供給する供給部として機能させてよい。プログラムは、コンピュータを、一の前記データセットが供給されることに応じて前記モデルから一の前記状態指標値が出力される場合に、前記複数種類の測定データと、前記対象に対する操作を示す操作データとのうちから選択される選択データについて、前記対象の状態を前記一の状態指標値で示される第1状態から第2状態にするために推奨される修正内容を、前記一のデータセットに基づいて特定する第2特定部として機能させてよい。
【0030】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態に係るシステム1を示す。
図2】装置4の動作を示す。
図3】状態指標値の推移の例を示す。
図4】クエリポイントの選択画面の例を示す。
図5】表示画面の例を示す。
図6】要因データの他の表示例を示す。
図7】要因データの他の表示例を示す。
図8】要因データの他の表示例を示す。
図9】要因データの他の表示例を示す。
図10】第2実施形態に係るシステム1Aを示す。
図11】装置4Aの動作を示す。
図12】修正内容特定部415による修正内容の特定手法を示す。
図13】修正可能データの選択画面の例を示す。
図14】修正内容の表示画面の例を示す。
図15】本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
[1.第1実施形態]
[1.1.システム1の構成]
図1は、本実施形態に係るシステム1を示す。システム1は、対象の状態監視を支援するものであり、対象の一例としての設備2と、装置4とを備える。
【0034】
[1.1.1.設備2]
設備2には、1または複数のセンサ20が設けられる。例えば設備2は、複数の機器21が設けられたプラントでもよいし、複数の機器21を複合させた複合装置でもよい。プラントとしては、化学やバイオ等の工業プラントの他、ガス田や油田等の井戸元やその周辺を管理制御するプラント、水力・火力・原子力等の発電を管理制御するプラント、太陽光や風力等の環境発電を管理制御するプラント、上下水やダム等を管理制御するプラント等が挙げられる。
【0035】
[1.1.1-1.機器21]
各機器21は、器具、機械または装置であり、例えば、設備2のプロセスにおける圧力、温度、pH、速度、流量などの少なくとも1つの物理量を制御するバルブ、ポンプ、ヒータ、ファン、モータ、スイッチ等のアクチュエータであってよい。各機器21は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上の機器21が同種でもよい。本実施形態では一例として、機器21は外部から有線または無線で制御されるが、手動で制御されてもよい。
【0036】
[1.1.1-2.センサ20]
各センサ20は、設備2の状態の測定を行う。センサ20は、圧力、温度、pH、速度、流量などの少なくとも1つの物理量を測定してよい。また、センサ20は、設備2の収量や、混入する不純物の割合、各機器21の運転状況などの測定を行ってもよい。各センサ20は互いに異種でもよいし、少なくとも一部の2以上のセンサ20が同種でもよい。一例として、複数のセンサ20は、設備2内の炉における別々の位置に設けられた温度センサであってよい。各センサ20は、測定データを装置4に供給してよい。
【0037】
なお、センサ20と、装置4との間の通信は、例えばISA(International Society of Automation:国際計測制御学会)の無線通信プロトコルで行われてよく、一例としてISA100、HART(Highway Addressable Remote Transducer)(登録商標)、BRAIN(登録商標)、FOUNDATION Fieldbus、PROFIBUS等で行われてよい。
【0038】
[1.1.2.装置4]
装置4は、学習済みのモデル431を用いて設備2の監視を支援する。装置4は、取得部401と、供給部402と、記憶部403と、入力部404と、ラベル付加部405と、要因特定部408と、予兆検出部409と、改善操作特定部410と、表示制御部411と、表示部412とを有する。
【0039】
[1.1.2-1.取得部401]
取得部401は、第1取得部の一例であり、設備2の状態を示す複数種類の測定データを含むデータセットを取得する。取得部401は、各センサ20から各種類の測定データを逐次取得してよい。取得部401は、対応する時点で測定された複数種類の測定データを一のデータセットとして取得してよい。取得部401は、取得したデータセットを供給部402に供給してよい。
【0040】
なお、測定データの種類は、本実施形態では一例としてセンサ20毎に異なってよいが、対象とする物理量によって異なってもよい。データセットは、設備2の動作点(operational point)を示してよく、データセットに含まれる各測定データは動作点の特徴値(feature value)であってよい。
【0041】
[1.1.2-2.供給部402]
供給部402は、モデル431に対し、取得部401が取得したデータセットを供給する。本実施形態では一例として、モデル431は後述の記憶部403に記憶されており、供給部402は記憶部403内のモデル431に対してデータセットを供給してよい。
【0042】
また、供給部402は、記憶部403にデータセットを記憶させてよい。供給部402は、データセットに含まれる各測定データに測定時間と、測定したセンサ20の識別情報とを付加して記憶部403に記録してよい。測定データの測定時間は、当該測定データが測定された時間であってよく、設備2において実行される処理の開始時間からの経過時間を示してよい。測定データの測定時間は、取得部401による測定データやデータセットの取得時間であってもよい。なお、測定時間およびセンサ20の識別情報は、センサ20から供給される測定データに予め付加されていてもよい。
【0043】
[1.1.2-3.記憶部403]
記憶部403は、種々の情報を記憶する。例えば、記憶部403は、データファイル430と、学習済みのモデル431と、対応テーブル432とを記憶してよい。
【0044】
[1.1.2-3-1.データファイル430]
データファイル430は、供給部402から供給されるデータセットを格納する。
【0045】
[1.1.2-3-2.モデル431]
モデル431は、データセットが入力されることに応じて、設備2の状態の分類を示す状態指標値を出力する。なお、本実施形態では、モデル431に一のデータセットが入力されて一の状態指標値がモデル431から出力される都度、当該一の状態指標値が当該一のデータセットに対応付けられてデータファイル430に記憶されてよい。
【0046】
設備2の状態の分類は、本実施形態では一例として良好(正常(normal)とも称する)を示す分類と、不良(異常(abnormal)とも称する)を示す分類との何れかであってよい。モデル431は、設備2の状態が良好であることを示す値と、不良であることを示す値とで2値化されていない状態指標値(ヘルスインデックスとも称する)を出力してよい。例えば、モデル431は、設備2の状態が良好であることを示す値、および設備2の状態が不良であることを示す値の2値を用いて学習したものであってよく、閾値との比較による2値化前の状態指標値を出力してよい。本実施形態では一例として、設備2の状態が良好である場合(または良好に近い場合)には状態指標値は正の値であってよく、設備2の状態が不良である場合(または不良に近い場合)には状態指標値は負の値であってよい。また、状態指標値の絶対値が小さい場合(つまり状態指標値がゼロに近い場合)には、設備2の状態が良好または不良である度合いが小さくてよい。状態指標値の絶対値が大きい場合(つまり状態指標値がゼロから遠い場合)には、設備2の状態が良好または不良である度合いが大きくてよい。
【0047】
モデル431は、例えばサポートベクトルマシンであってよいが、ロジスティック回帰や決定木、ニューラルネットワークなどの他のアルゴリズムによる学習済みのモデルであってもよい。
【0048】
[1.1.2-3-3.対応テーブル432]
対応テーブル432は、センサ20によって測定される各測定データの種類に対し、当該測定データの測定値を改善するための操作(改善操作とも称する)を対応付けて記憶する。改善操作は、設備2における何れかの機器21の操作であってよく、改善対象の測定値に直接的に関係する機器21の操作であってもよいし、直接的には関係しない機器21の操作であってもよい。一例として、温度の測定データの測定値が高すぎる場合に、当該測定値を改善するための改善操作は、測定位置付近のヒータの出力を下げる操作であってもよいし、測定位置の近傍を流れる流体の流量を調整するバルブの開度を変更する操作であってもよいし、当該流量を測定する流量計のセットポイントを変更する操作であってもよい。対応テーブル432の内容は試行錯誤を通じて予め設定されてよい。
【0049】
[1.1.2-4.入力部404]
入力部404は、オペレータからの操作入力を受ける。本実施形態では一例として入力部404は、設備2の状態を調べる対象の時点(クエリポイントとも称する)の選択操作を受けてよい。クエリポイントは現時点でもよいし、過去の時点でもよい。入力部404は、クエリポイントで測定されたデータセット(クエリポイントのデータセットとも称する)の識別情報(クエリポイントのデータセットIDとも称する)を、要因特定部408および予兆検出部409に供給してよい。
【0050】
また、入力部404は、何れかのデータセットに含まれる測定データが表示されている場合に、当該データセットに対して設備2の状態の良否を示すラベルを付加する旨の操作を受けてよい。入力部404は、操作が行われた旨の信号をラベル付加部405に供給してよい。
【0051】
[1.1.2-5.ラベル付加部405]
ラベル付加部405は、オペレータの操作に応じて、各データセットに対し、設備2の状態の良否を示すラベルを付加する。ラベル付加部405は、記憶部403内の該当のデータセットに対し、良好な状態または不良な状態であったことを示すラベルを付加してよい。
【0052】
[1.1.2-6.要因特定部408]
要因特定部408は、第1特定部の一例であり、一のデータセット(本実施形態では一例としてクエリポイントのデータセット)がモデル431に供給されることに応じてモデル431から一の状態指標値(クエリポイントの状態指標値とも称する)が出力される場合に、複数種類の測定データのうち、当該一の状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の測定データ(要因データとも称する)を特定する。要因データは設備2の監視において重要なデータとなり得る。
【0053】
要因特定部408は、クエリポイントのデータセットに基づいて要因データの特定を行ってよい。本実施形態では一例として、要因特定部408は、入力部404からクエリポイントのデータセットIDが供給されることに応じて、該当するデータセット、つまりクエリポイントのデータセットをデータファイル430から読み出して、要因データの特定を行ってよい。
【0054】
要因特定部408は、要因データを特定するアルゴリズム(特定アルゴリズムとも称する)を用いて要因データを特定してよい。特定アルゴリズムは、一のデータセットが供給されることに応じてモデル431から一の状態指標値が出力される場合に、当該一のデータセットにおける各種類の測定データが当該一の状態指標値に与えた影響の度合いを算出するアルゴリズムであってよい。また、特定アルゴリズムは、モデル431による分類の根拠を特定するアルゴリズムであってよい。
【0055】
特定アルゴリズムは、モデルアグノスティックかつインタプリタブルなアルゴリズム(model agnostic interpretable algorithm)であってよい。モデルアグノスティックなアルゴリズムによれば、モデル431の種類によらず、要因データを特定することができ、インタプレタブルなアルゴリズムによれば、オペレータにとって理解可能な態様で要因データを特定することができる。このような特定アルゴリズムとしては、例えばLIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanations)やSHAP(SHapley Additive exPlanations)等が挙げられる。SHAPはカーネルSHAP(Kernel SHAP)でもよいし、ツリーSHAP(Tree SHAP)でもよい。
【0056】
LIMEは、次の文献1で説明されるアルゴリズムであってよい。
文献1:Ribeiro等、「Why should I trust you? Explaining the predictions of any classifier」、Proceedings of the 22nd ACM SIGKDD international conference on knowledge discovery and data mining、ACM(2016)、インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/1602.04938>
【0057】
SHAPは、次の文献2で説明されるアルゴリズムであってよい。
文献2: Lundberg等、 「A unified approach to interpreting model predictions」、Advances in Neural Information Processing Systems、2017年、インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/1705.07874>
【0058】
本実施形態では一例として、要因特定部408は、少なくともLIMEを用いて要因データを特定してよい。要因特定部408は、取得部4081、分類部4082、生成部4083および特定実行部4085を有する。
【0059】
[1.1.2-6(1).取得部4081]
取得部4081は、第2取得部の一例であり、クエリポイントのデータセットに対して基準近接度よりも近接する複数のデータセットを取得する。取得部4081は、取得した複数のデータセットを分類部4082に供給してよい。
【0060】
ここで、クエリポイントのデータセットに対して他のデータセットが近接するとは、測定データの各種類に対応する座標軸を有する座標空間において、クエリポイントのデータセットの座標点に対して他のデータセットの座標点が近接することであってよい。基準近接度は、オペレータにより任意に設定されてよい。
【0061】
取得部4081は、記憶部403のデータファイル430から複数のデータセットを取得してよい。これに代えて、本実施形態では一例として、取得部4081は、クエリポイントのデータセットを元にして複数のデータセット(複数の合成(synthetic)データセットとも称する)を生成する。例えば、取得部4081は、クエリポイントのデータセットに含まれる少なくとも1つの測定データの測定値を摂動(perturbing)させることで、クエリポイントのデータセットに近接する合成データセットを生成してよい。取得部4081は、データファイル430に格納された各種類の測定データの確率分布に基づいて測定値を摂動させてもよいし、測定値をランダムに摂動させてもよい。測定データの確率分布は、混合ガウスモデルを用いて算出されてよい。
【0062】
[1.1.2-6(2).分類部4082]
分類部4082は、記憶部403に格納されたモデル431を用い、取得部4081により取得された複数の合成データセットを分類する。分類部4082は、複数の合成データセットを第1状態(本実施形態では一例として良好な状態)に対応する第1状態の合成データセットと、第2状態(本実施形態では一例として不良な状態)に対応する第2状態の合成データセットとに分類してよい。分類部4082は、各合成データセットをモデル431に供給して出力される状態指標値に基づいて、各合成データセットを分類してよい。本実施形態では一例として、分類部4082は、状態指標値がゼロ以上であった合成データセットを第1状態の合成データセットに分類し、状態指標値が負であった合成データセットを第2状態の合成データセットに分類してよい。
【0063】
分類部4082は、複数の合成データセットのそれぞれに対し、第1状態の合成データセットおよび第2状態の合成データセットの何れに分類されたかを示すラベルを付加してよい。分類部4082は、ラベルを付加した複数の合成データセットを生成部4083に供給してよい。
【0064】
[1.1.2-6(3).生成部4083]
生成部4083は、クエリポイントのデータセットの座標点を含む領域においてモデル431を単純化した単純化モデル(ローカルサロゲートモデルとも称する)を生成する。生成部4083は、取得部4081により取得された複数のデータセットを用いて、単純化モデルを生成してよい。
【0065】
ここで、クエリポイントのデータセットを含む領域は、測定データの各種類に対応する座標軸を有する座標空間において、クエリポイントのデータセットの座標点を含む領域であってよい。一例として、クエリポイントのデータセットを含む領域は、クエリポイントのデータセットの座標点に対して基準近接度よりも近接する領域であってよい。
【0066】
また、単純化モデルは、複数の合成データセットをモデル431と同様に分類するモデルであってよく、局所的にモデル431と一致するモデルであってよい。生成部4083は、複数の合成データセットを、分類部4082により付加されたラベルで示される分類の通りに分類するように単純化モデルを生成してよい。生成部4083は、単純化モデルとして線形モデルを生成してよい。生成部4083は、生成した単純化モデル431を特定実行部4085に供給してよい。
【0067】
[1.1.2-6(4).特定実行部4085]
特定実行部4085は、生成された単純化モデルに基づいて少なくとも1つの種類の要因データの特定を行う。特定実行部4085は、クエリポイントのデータセットに含まれる複数種類の測定データのうち、生成部4083により生成された単純化モデルにおける分類の境界から最も遠い少なくとも1種類の測定データを要因データとして特定してよい。特定実行部4085は、オペレータにより指定される個数だけ、要因データを特定してよい。特定実行部4085は、特定した要因データの種類を表示制御部411に出力してよい。特定実行部4085は、特定した要因データの種類を、クエリポイントのデータセットと対応付けて記憶部403に記憶させてよい。
【0068】
特定実行部4085は、設備2の状態が良好な場合での各要因データの代表値(一例として平均値や中央値、最頻値)を算出してよい。設備2の状態が良好な場合での各要因データとは、ラベル付加部405によって良好な状態を示すラベルが付加されたデータセットにおける各要因データの測定値であってもよいし、モデル431により良好な状態を示す状態指標値が出力されたデータセットにおける各要因データの測定値であってもよい。特定実行部4085は、設備2の状態が良好な場合での要因データをデータファイル430から読み出して代表値を算出してよい。特定実行部4085は、算出した代表値を表示制御部411に供給してよい。
【0069】
[1.1.2-7.予兆検出部409]
予兆検出部409は、状態指標値の推移に基づいて、設備2の状態が不良となる予兆を検出する。予兆検出部409は、入力部404からクエリポイントのデータセットIDが供給されることに応じて、該当するクエリポイントの時点を含む基準期間内の各データセットに対応付けられた状態指標値をデータファイル430から読み出してよい。また、予兆検出部409は、クエリポイントを含む基準期間における状態指標値の分散と基準分散とを比較して、クエリポイントの時点において設備2の状態が不良となる予兆を検出してよい。本実施形態では一例として、予兆検出部409は、基準期間内における分散が基準分散より大きくなったことに応じて、予兆がある旨の検出を行ってよい。なお、クエリポイントは一例として現時点であってよく、クエリポイントを含む基準期間は、クエリポイントを終点とする期間であってよい。基準期間および基準分散は任意に設定されてよい。予兆検出部409は、予兆の検出結果を改善操作特定部410および表示制御部411に供給してよい。
【0070】
[1.1.2-8.改善操作特定部410]
改善操作特定部410は、クエリポイントの時点において設備2の状態が不良となる予兆が検出されたことに応じて、当該予兆の要因となった要因データの測定値を改善する改善操作を特定してよい。改善操作特定部410は、クエリポイントのデータセットに対して要因特定部408により特定された種類の要因データを、予兆の要因となった要因データとしてよい。改善操作特定部410は、対応テーブル432において要因データに対応付けられた改善操作を特定してよい。改善操作特定部は、改善操作の内容を表示制御部411に供給してよい。
【0071】
[1.1.2-9.表示制御部411]
表示制御部411は、表示部412を制御する。表示制御部411は、少なくともクエリポイントの状態指標値、および、クエリポイントでの要因データを併せて表示させてよい。状態指標値および要因データを併せて表示させるとは、一緒に表示させることであってよい。一例として、表示制御部411は、状態指標値および要因データを表示部412の同一画面に表示させてもよいし、別々の画面に表示させてもよい。
【0072】
表示制御部411は、クエリポイントの時点のみの状態指標値を表示させてもよいし、クエリポイントを含む複数の時点の状態指標値を表示させてもよい。表示制御部411は、複数の時点の状態指標値を表示させる場合には、複数の時点でモデル431から出力された状態指標値の推移を表示させてよい。また、表示制御部411は、状態指標値の移動平均(moving average)または指数平滑移動平均(exponential moving average)を表示させてもよい。
【0073】
また、表示制御部411は、各要因データの種類(一例として要因データの物理量の種類や、要因データを測定したセンサ20の名称や識別情報、タグ)を表示させてよい。これに加えて、表示制御部411は、各要因データの測定値をデータファイル430から読み出して表示させてよい。一例として、表示制御部411は、各要因データについて、クエリポイントでの測定値を表示させてよい。表示制御部411は、各要因データについて、クエリポイントを含む複数の時点で測定された測定値の移動平均値(一例としてクエリポイントを含む基準期間の移動平均値)を算出して表示させてもよい。また、表示制御部411は、各要因データについて、クエリポイントを含む複数の時点での測定値を表示させてもよく、一例として複数の時点で測定された測定値の推移を表示させてよい。
【0074】
また、表示制御部411は、設備2の状態が良好な場合での各要因データの測定値の代表値を、要因データの測定値と共に表示させてよい。表示制御部411は、要因データの種類ごとに、測定値と代表値とを対応付けて表示させてよい。
【0075】
表示制御部411は、設備2の状態が不良となる予兆が予兆検出部409により検出されたことをさらに表示させてよい。例えば、表示制御部411は、予兆が検出されたことを示すメッセージを表示させてよい。
【0076】
表示制御部411は、状態不良の予兆の要因となった要因データを改善するための改善操作をさらに表示させてよい。本実施形態では一例として、表示制御部411は、改善操作特定部410により特定された改善操作の内容を表示させてよい。
【0077】
[1.1.2-10.表示部412]
表示部412は、表示制御部411からの制御によって表示を行う。なお、本実施形態においては一例として、表示部412は装置4に具備されているが、装置4に外部接続されてもよい。
【0078】
以上のシステム1における装置4によれば、クエリポイントのデータセットが供給されることに応じてモデル431から一の状態指標値、つまりクエリポイントの状態指標値が出力される場合に、複数種類の測定データのうち、クエリポイントの状態指標値に与えた影響が基準よりも大きい種類の要因データがクエリポイントのデータセットに基づいて特定され、状態指標値と、特定された種類の要因データとが併せて表示される。従って、設備2の状態指標値と、その根拠となった種類の要因データとをまとめて確認することができる。
【0079】
また、クエリポイントのデータセットの座標点を含む領域においてモデル431を単純化した単純化モデル、つまりローカルサロゲートモデルが生成され、当該単純化モデルに基づいて特定が行われる。従って、オペレータにとって理解可能な態様で、状態指標値に影響を与えた測定データが特定される。
【0080】
また、クエリポイントのデータセットに対して基準近接度よりも近接する複数のデータセットを用いて単純化モデルが生成される。従って、クエリポイントのデータセットの近傍のローカルな領域において分類精度の高い単純化モデルを生成することができる。
【0081】
また、設備2の状態が良好な場合での各要因データの測定値の代表値がクエリポイントでの要因データの測定値と共に表示されるので、クエリポイントでの要因データの測定値が代表値からどの程度ずれているかを即座に把握することができる。
【0082】
また、オペレータにより指定される個数だけ要因データが特定されるので、オペレータによって把握可能な要因データの数を予め設定しておくことにより、状態が不良の場合に、その要因データを確実に把握することができる。
【0083】
また、モデル431は、設備2の状態が良好であることを示す値と、不良であることを示す値とで2値化されていない状態指標値を出力するので、状態がどの程度、良好または不良であるのかを把握することができる。
【0084】
また、状態指標値の推移に基づいて、設備2の状態が不良となる予兆が検出されて表示されるので、状態が不良となることを予め把握することができる。
【0085】
また、基準期間における状態指標値の分散が基準分散より大きくなったことに応じて予兆が検出されるので、状態指標値が変動してばらつくことに応じて予兆を検出することができる。
【0086】
また、各測定データの種類に対し、当該測定データの測定値を改善するための操作が対応付けて記憶され、設備2の状態が不良となる予兆が検出される場合には、予兆の要因となった要因データの種類に対応付けられた操作が表示される。従って、状態を改善する操作を即座に把握して実行することができる。
【0087】
[1.2.動作]
図2は、装置4の動作を示す。装置4は、ステップS11~S33の処理により設備2の監視を支援する。なお、この動作は設備2が起動されることに応じて開始してよい。また、動作の開始時点においては記憶部403にモデル431が記憶されていてよい。
【0088】
ステップS11において取得部401は、設備2の状態を示すデータセットを取得する。取得部401は、現時点で測定された測定データセットを取得してよい。ステップS13において供給部402は、取得されたデータセットをモデル431に供給する。これにより、ステップS15においてデータセットで示される状態に応じた状態指標値がモデル431から出力され、データファイル430に記憶される。
【0089】
ステップS17において入力部404は、現時点または過去の時点の何れかをクエリポイントとして選択する。入力部404は、オペレータにより操作が行われない場合には、現時点をクエリポイントとして選択してよい。これに代えて、入力部404は、前回のステップS17の処理で選択されたクエリポイントや、前回のステップS17の処理で選択されたクエリポイントの直後の時点を、新たなクエリポイントとして選択してもよい。
【0090】
ステップS19において要因特定部408は、クエリポイントのデータセットに含まれる測定データの中から、クエリポイントの状態指標値に対して与えた影響が基準よりも大きい少なくとも1つの種類の要因データを特定する。要因特定部408は、複数の特定アルゴリズム(一例としてLIMEやSHAPなど)のそれぞれにより少なくとも1つの種類の要因データを特定してよい。また、要因特定部408は、特定した各要因データについて、設備2の状態が良好な場合での代表値(一例として平均値や中央値、最頻値)を算出してよい。
【0091】
また、要因特定部408は、複数の特定アルゴリズムそれぞれの性能指標値を算出してよい。特定アルゴリズムの性能指標値としては、次の文献3で説明される忠実度(fidelity)または安定度(stability)の少なくとも一方を用いることができる。忠実度は特定アルゴリズムによる元のモデル431の再現度を示す指標であり、高い方が好ましい。安定度は、特定アルゴリズムに対する入力を変化させた場合に出力がどれだけ変動してしまうかを示す値であり、低い方が好ましい。
【0092】
文献3:Francesco Bodria 等、"Benchmarking and Survey of Explanation Methods for Black Box Models" 、インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/2102.13076>
【0093】
また、要因特定部408は、複数の特定アルゴリズムを用いて要因データを特定する場合には、各アルゴリズムにより特定された種類の要因データがクエリポイントの状態指標値に対して有する影響の度合い(寄与度や貢献度、重要度とも称する)を算出してよい。状態指標値に対する要因データの影響の度合いとしては、特定アルゴリズムにおいて各要因データについて算出される影響度のスコアを用いてよい。
【0094】
ステップS21おいて装置4の予兆検出部409は、クエリポイントの時点までの状態指標値の推移に基づいて、設備2の状態が不良となる予兆の検出を試み、予兆が検出されたか否かを判定する。予兆が検出されたと判定された場合(ステップS21;Yes)にはステップS31に処理が移行してよい。予兆が検出されないと判定された場合(ステップS21;No)にはステップS23に処理が移行してよい。
【0095】
ステップS23において表示制御部411は、クエリポイントの状態指標値、および、当該状態指標値に対応する要因データを表示部412に併せて表示させる。要因特定部408により複数の特定アルゴリズムのそれぞれにより要因が特定されている場合には、表示制御部411は、要因特定部408により用いられた特定アルゴリズムごとに、特定された種類の要因データを表示させてよい。また、要因特定部408により各特定アルゴリズムの性能指標値が算出されている場合には、表示制御部411は、特定アルゴリズムごとに、当該特定アルゴリズムの性能指標値を表示させてよい。また、要因特定部408によって各要因データについて、状態指標値に対する影響の度合いが算出されている場合には、表示制御部411は、これらの影響の度合いを正規化して表示させてよい。
【0096】
また、表示制御部411は、設備2の状態が良好な場合での各要因データの測定値の代表値を要因データの測定値と共に表示させてよい。また、表示制御部411は、要因データごとに、その代表値と、クエリポイントの時点での測定値とをグラフとして表示させてよい。グラフは、棒グラフであってもよいし、レーダーチャートであってもよい。表示制御部411は、代表値からの基準乖離度を示す目盛りをグラフ内に表示させてよい。基準乖離度は、測定データの測定値の分布を正規分布とみなした場合の1σや2σ、3σであってよい。σは測定値の標準偏差であってよい。
【0097】
ステップS25において、ラベル付加部405は、オペレータによる指定の時点で測定された各測定データに対しラベルを付加する。指定時点は、クエリポイントの時点であってもよいし、表示されている要因データや状態指標値に対応する他の時点であってもよい。また、指定時点は、一時点であってもよいし、連続または非連続の複数の時点であってもよい。
【0098】
例えば、表示中の何れかの要因データや状態指標値が入力部404を介してオペレータにより指定された場合には、ラベル付加部405は、指定対象の要因データの測定時間、または、指定対象の状態指標値に対応する要因データの測定時間を指定時点として特定してよい。ラベル付加部405は、特定した測定時間で測定された記憶部403内のデータセットに対してラベルを付加してよい。
【0099】
ラベル付加部405は、状態が良好である旨の操作が入力部404に対して行われることに応じて、その旨のラベルをデータセットに付加してよい。同様に、ラベル付加部405は、状態が不良である旨の操作が入力部404に対して行われることに応じて、その旨のラベルをデータセットに付加してよい。ステップS25の処理が終了したら、ステップS11に処理が移行してよい。
【0100】
ステップS31において、改善操作特定部410は、状態不良の要因となった要因データの測定値を改善する改善操作を特定する。改善操作特定部410は、対応テーブル432において要因データに対応付けられた改善操作を特定してよい。
【0101】
ステップS33において表示制御部411は、ステップS23の処理と同様にして、モデル431から出力される状態指標値、および、要因データを表示部412に併せて表示させる。
【0102】
但し、ステップS33の処理においては、表示制御部411は、状態不良の予兆が検出されたことを示すメッセージをさらに表示させてよい。また、表示制御部411は、要因データを改善するための改善操作をさらに表示させてよい。ステップS33の処理が終了したら、ステップS25に処理が移行してよい。
【0103】
以上の動作によれば、モデル431による分類の根拠を特定する特定アルゴリズムごとに、特定された種類の要因データが表示されるので、別々の特定アルゴリズムにより特定された要因データのうち、共通する要因データに着目することで、状態指標値に対して確実に影響を与えた要因データを確認することができる。また、別々の特定アルゴリズムにより特定された要因データのうち、共通しない要因データに着目することで、状態指標値に対して影響を与えた要因データを多角的に確認することができる。
【0104】
また、特定アルゴリズムごとに、その性能指標値(一例として忠実度や安定度)が表示されるので、特定アルゴリズムの性能を比較することができる。従って、性能の高い特定アルゴリズムにより特定された要因データを重点的に確認することができる。
【0105】
また、各特定アルゴリズムにより特定された種類の要因データが状態指標値に対して有する影響の度合いが正規化して表示される。従って、別々の特定アルゴリズムにより特定された複数種類の要因データの間で、影響の度合いを比較することができる。
【0106】
また、要因データごとに、設備2の状態が良好な場合での代表値と、クエリポイントの時点での測定値とがグラフとして表示されるので、要因データの測定値が代表値からどの程度ずれているかを容易に把握することができる。
【0107】
また、代表値からの基準乖離度を示す目盛りがグラフ内に表示されるので、クエリポイントでの要因データの測定値が代表値からどの程度ずれているかをいっそう容易に把握することができる。
【0108】
また、対象の状態の良否を示すラベルがデータセットに付加されるので、ラベルの付加されたデータセットを用いてモデル431の学習を実行することができる。また、オペレータによる指定の時点で測定された各データセットにラベルが付加されるので、ラベルの付加を容易に行うことができる。
【0109】
[1.3.動作例]
図3は、状態指標値の推移の例を示す。図中、横軸は時間を示し、縦軸は状態指標値を示す。この図に示すように、状態指標値の分散が大きくなることに応じて状態不良の予兆があると検出されることにより、状態が不良となることを予め把握することができる。
【0110】
なお、表示画面には、状態指標値を移動平均や指数平滑移動平均で表示させるためのチェックボックスが表示されてよく、チェックの有無に応じて表示内容が更新されてよい。また、表示画面には、移動平均や指数平滑移動平均のタイムウィンドウの長さを入力するための入力欄が表示されてよく、入力されるタイムウィンドウの長さに応じて表示内容が更新されてよい。
【0111】
図4は、クエリポイントの選択画面の例を示す。クエリポイントを選択する旨の操作が入力部404を介して入力されると、ステップS17において、表示部412の表示画面には、クエリポイントの選択画面が表示されてよい。
【0112】
クエリポイントの選択画面には、状態指標値の推移を示すグラフ(図中の上部参照)が表示されてよい。このグラフ上でカーソルにより何れかの時点の状態指標値を選択すると、選択された時点がクエリポイントとして選択されてよい。
【0113】
また、クエリポイントの選択画面には、測定時点ごとのデータセットを示すテーブル(図中、右下部参照)が表示されてよい。このテーブルには、測定時点ごとのデータセットがデータセットIDと対応付けて各行に表示されてよい。テーブルで何れかの行が選択されると、その行に対応する測定時点がクエリポイントとして選択されてよい。なお、本図では一例としてデータセットIDとして行番号が用いられているが、データセットに含まれる測定データの測定時点(タイムスタンプとも称する)が用いられてもよい。
【0114】
また、クエリポイントの選択画面には、現時点をクエリポイントとして選択するためのチェックボックスや、現時点で選択されているクエリポイントに対応するデータセットの内容がさらに表示されてよい。
【0115】
図5は、表示画面の例を示す。ステップS23やS33において、表示部412の表示画面には、状態指標値の推移と、クエリポイントでの複数の要因データとが表示されてよい。本図では一例として、表示画面の左側に状態指標値、つまりヘルスインデックスの推移が表示され、カーソルCによりクエリポイントが選択される。また、表示画面の右側にクエリポイントでの要因データ「A」~「E」のそれぞれの測定値と、設備2の状態が良好な場合での代表値とが棒グラフとして上下に並べて表示される。
【0116】
また、表示画面には、状態指標値の表示対象期間を選択するためのプルダウンメニューPが表示されてよい。プルダウンメニューPの選択によって任意の期間が選択されると、その期間での状態指標値が表示されてよい。なお、本図では一例として、プルダウンメニューPにおいて直近の期間を意味する「Last」が選択されており、直近の期間の状態指標値が表示されている。
【0117】
また、表示画面には、測定データに付加されるラベルの種類を選択するための良否ボタンBが表示されてよい。良否ボタンBは「OK」のボタンと「NG」のボタンとを有してよく、「OK」,「NG」のボタンが操作されると、最新の各測定データに対し、設備2の状態が良好,不良であったことを示すラベルが付加されてよい。
【0118】
また、表示画面には、オペレータの操作に応じて、表示対象期間内の任意の期間を指定するための枠線Wが表示されてよい。枠線Wは、複数の時点での状態指標値や要因データの推移のうちの少なくとも一部を範囲指定してよい。枠線Wで指定された期間内に測定された各測定データには、良否ボタンBの操作に応じてラベル付加部405によりラベルが付加されてよい。
【0119】
図6は、要因データの他の表示例を示す。ステップS23や33において、表示部412の表示画面には、各要因データに対応付けて、当該要因データの影響度が表示されてよい。影響度は数値として表示されてもよいし(図中の左下部分参照)、棒グラフや円グラフなどのグラフとして表示されてもよい(図中の右下部分参照)。各要因データは、影響度の大きい順に並べて表示されてよい。
【0120】
また、要因データの表示画面には、要因データを座標軸とする座標空間において各データセットとクエリポイントのデータセットとの散布図が表示されてよい(図中の上部参照)。散布図内の各データセットは、第1状態および第2状態の何れに対応するかが識別可能に表示されてよい。要因データを特定する場合に取得部4081によって合成データセットが生成されている場合には、散布図には合成データセットがさらに表示されてよい。座標軸に使用される要因データの種類は入力部404を介して変更されてよい。
【0121】
また、要因データの表示画面には、要因特定部408により用いられた特定アルゴリズムの種類が表示されてよい。使用される特定アルゴリズムの種類は入力部404を介して変更されてよい。特定アルゴリズムが変更される場合には、要因データが改めて特定されて表示画面の内容が更新されてよい。
【0122】
図7は、要因データの他の表示例を示す。要因特定部408により複数の特定アルゴリズムが使用された場合には、ステップS23や33において、表示部412の表示画面には、特定アルゴリズムごとに、特定された種類の要因データが表示されてよい。また、各要因データの影響度が正規化されて棒グラフなどのグラフで表示されてよい。本図では一例として、各影響度が-1~1の範囲に正規化されている。
【0123】
図8は、要因データの他の表示例を示す。要因データのグラフには、クエリポイントでの要因データの測定値と共に、代表値からの基準乖離度を示す目盛りが表示されてよい。本図では一例として平均値からσ、2σだけ離れた区間を示す目盛りが表示されている。
【0124】
図9は、要因データの他の表示例を示す。要因データの代表値と、クエリポイントでの測定値とは、レーダーチャートのグラフとして表示されてもよい。
【0125】
[2.第2実施形態]
[2.1.システム1Aの構成]
図10は、本実施形態に係るシステム1Aを示す。なお、本実施形態に係るシステム1Aにおいて、図1に示されたシステム1の構成と略同一のものには同一の符号を付け、説明を省略する。
【0126】
システム1Aは対象の一例としての設備2と、装置4Aとを備え、装置4Aは、記憶部403Aと、修正内容特定部415と、出力部416とを有する。
【0127】
[2.1.2-1.記憶部403A]
記憶部403Aは、対応テーブル432Aを記憶する。対応テーブル432Aは、記憶部403の対応テーブル432の記憶内容に加え、各測定データの測定値の範囲または値ごとに、当該測定データの測定値を当該範囲内または当該値にする操作データの内容を対応付けて記憶してよい。操作データは設備2における何れかの機器21に対する操作内容を示してよい。対応テーブル432Aの内容は試行錯誤を通じて予め設定されてよい。
【0128】
[2.1.2-2.修正内容特定部415]
修正内容特定部415は、第2特定部の一例であり、クエリポイント(本実施形態では一例として現時点)の状態指標値により設備2が第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)であることが示される場合に、設備2の状態を、第1状態から第2状態(本実施形態では一例として第1状態とは異なる正常な状態)にするために推奨される修正内容を特定する。修正内容特定部415は、現時点の状態指標値をモデル431から取得し、当該状態指標値により設備2が第1状態であることが示されることに応じて、修正内容を特定してよい。修正内容特定部415は、クエリポイントの測定データに基づいて修正内容の特定を行ってよい。修正内容特定部415は、クエリポイントのデータセットをデータファイル430から読み出して、修正内容の特定を行ってよい。
【0129】
修正内容特定部415は、データセットに含まれる複数種類の測定データと、設備2に対する操作を示す1または複数の操作データとのうちから選択される選択データ(修正可能データとも称する)について、推奨される修正内容を特定してよい。修正内容特定部415は、入力部404を介して修正可能データを選択する操作を受けてよい。また、修正内容特定部415は、入力部404を介して少なくとも1つの修正可能データについて、許容範囲の設定操作をさらに受けてよい。修正可能データの許容範囲は、上限値または下限値の少なくとも一方を有してよい。
【0130】
修正内容特定部415は、選択された各修正可能データについて修正内容を特定してよい。修正内容特定部415は、修正可能データについて許容範囲が設定されている場合には、設定された許容範囲内で修正内容を特定してよい。また、修正内容特定部415は、修正可能データについて推奨される範囲または値を、修正内容として特定してよい。修正内容特定部415は、取得部4151と、分類部4152と、生成部4153と、算出部4154と、特定実行部4155と、制御部4156とを有する。
【0131】
[2.1.2-2(1).取得部4151]
取得部4151は、第3取得部の一例であり、クエリポイント(本実施形態では一例として現時点)のデータセットに対して基準近似度よりも近接するデータセットを複数取得する。取得部4151は、要因特定部408の取得部4081と同様にして複数のデータセットを取得してよい。ただし、取得部4151は、複数の合成データセットを生成する場合には、クエリポイントのデータセットに含まれる少なくとも1つの修正可能データの測定値を摂動(perturbing)させることで、クエリポイントのデータセットに近接する合成データセットを生成してよい。取得部4081における基準近接度と、取得部4151における基準近接度とは、同じであってもよいし、異なってもよい。修正可能データについて許容範囲が設定されている場合には、取得部4151は、当該許容範囲に応じた基準近接度で測定値を摂動させてよい。取得部4151は、取得した複数の合成データセットを分類部4152に供給してよい。
【0132】
[2.1.2-2(2).分類部4152]
分類部4152は、モデル431を用い、取得部4151により取得された複数の合成データセットを、クエリポイントの状態指標値で示される第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)に対応する第1状態の合成データセットと、第2状態(本実施形態では一例として正常な状態)に対応する第2状態の合成データセットとに分類する。分類部4152は、クエリポイント(本実施形態では一例として現時点)の測定データセットを記憶部403から取得することに応じて、要因特定部408の分類部4082と同様にして複数の合成データセットを分類してよい。
【0133】
分類部4152は、複数の合成データセットのそれぞれに対し、第1状態の合成データセットおよび第2状態の合成データセットの何れに分類されたかを示すラベルを付加してよい。分類部4152は、ラベルを付加した複数の合成データセットを生成部4153に供給してよい。
【0134】
[2.1.2-2(3).生成部4153]
生成部4153は、分類部4152による分類結果に基づいて、複数の合成データセットを第1状態の合成データセットおよび第2状態の合成データセットの何れかに分類する線形モデルを生成する。線形モデルは、クエリポイント(本実施形態では一例として現時点)のデータセットを含む領域においてモデル431を単純化した単純化モデル(ローカルサロゲートモデルとも称する)であってよい。生成部4153は、取得部4151により取得された複数の合成データセットを用いて、線形モデルを生成してよい。生成部4153は、要因特定部408の生成部4083が単純化モデルを生成するのと同様にして線形モデルを生成してよい。生成部4153は、生成した線形モデルを算出部4154に供給してよい。
【0135】
[2.1.2-2(4).算出部4154]
算出部4154は、クエリポイントのデータセットの座標点から、複数の第2状態の合成データセットの重心の座標点へのベクトル(差分ベクトル(differential vector)とも称する)を算出する。本実施形態では一例として算出部4154は、状態指標値により設備2が異常な状態であると示された現時点のデータセットの座標点から、正常な状態に対応する複数の第2状態の合成データセットの重心の座標点への差分ベクトルを算出する。算出部4154は、取得部4151により取得された複数の合成データセットのうち、複数の第2状態の合成データセットの平均の座標点を重心の座標点として差分ベクトルを算出してよい。
【0136】
ここで、複数の第2状態の合成データセットの重心は、第1状態に対応するクエリポイント(本実施形態では一例として現時点)のデータセットに近接し、かつ、第2状態に対応するデータセットを示し得る。従って、差分ベクトルにおける各成分の正負の符号は、設備2の状態を、クエリポイントのデータセットに対応する第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)の座標点から、近接する第2状態(本実施形態では一例として正常な状態)の座標点に移行させる場合に各測定データを変化させる方向、つまり増減の方向を示してよい。また、差分ベクトルの各成分の値は、設備2の状態を移行させる場合に各測定データを変化させる量を示してよい。従って、例えば、差分ベクトルの各成分のうち、第1の測定データに対応する成分が「-2」である場合には、第1の測定データを-2だけ変化させることが差分ベクトルによって示されてよい。
【0137】
また、算出部4154は、差分ベクトルと、生成部4153により生成された線形モデルとの交点をさらに算出してよい。差分ベクトルと線形モデルとの交点は、クエリポイントのデータセットの座標点、および、複数の第2状態の合成データセットの重心の座標点を結ぶ直線と、線形モデルに対応する関数との交点であってよい。算出部4154は、差分ベクトルおよび交点の座標を特定実行部4155に供給してよい。
【0138】
[2.1.2-2(5).特定実行部4155]
特定実行部4155は、第2特定実行部の一例であり、算出部4154による算出結果に基づいて、修正可能データについて推奨される修正内容を特定する。
【0139】
特定実行部4155は、算出部4154により算出された差分ベクトルおよび交点に基づいて、推奨される修正内容を特定してよい。例えば、特定実行部4155は、交点の座標を基準とし、差分ベクトルの各成分の符号を測定データの変化の方向として、各測定データの推奨範囲を特定してよい。一例として、データセットが3種類の測定データ(F1,F2,F3)を含み、交点の座標xおよび差分ベクトルdがx=(x1,x2,x3)、d=(+d1,-d2,+d3)(但し、d1~d3は正の値)で示される場合について説明する。この場合には、特定実行部4155は、測定データF1の推奨範囲をx1よりも大きい範囲、つまりF1>x1としてよい。同様に、特定実行部4155は、測定データF2,F3の推奨範囲をF2<x2,F3>x3としてよい。
【0140】
また、特定実行部4155は、算出部4154により算出される差分ベクトルに基づいて、推奨される修正内容を特定してもよい。例えば、特定実行部4155は、差分ベクトルの各成分の符号を測定データの変化の方向として、各測定データの推奨範囲を特定してよい。一例として、データセットが3種類の測定データ(F1,F2,F3)を含み、差分ベクトルdがd=(+d1,-d2,+d3)で示される場合について説明する。この場合には、特定実行部4155は、測定データF1,F3の推奨範囲をクエリポイントでの測定値よりも大きくなる範囲とし、測定データF2の推奨範囲をクエリポイントでの測定値よりも小さくなる範囲としてもよい。
【0141】
また、特定実行部4155は、算出部4154により算出される交点や、複数の第2状態の合成データセットの重心に基づいて、推奨される修正内容を特定してもよい。例えば、特定実行部4155は、交点や重心の座標を推奨値として特定してよい。一例として、データセットが3種類の測定データ(F1,F2,F3)を含み、交点または重心の座標xがx=(x1,x2,x3)で示される場合には、特定実行部4155は、測定データ(F1,F2,F3)の推奨値を(x1,x2,x3)としてもよい。
【0142】
特定実行部4155は、測定データが修正可能データとして選択される場合には、測定データの推奨範囲または推奨値を、推奨される修正内容として特定してよい。特定実行部4155は、操作データが修正可能データとして選択される場合には、何れかの種類の測定データの推奨範囲または推奨値を特定し、対応テーブル432Aにおいて当該推奨範囲または推奨値に対応付けられた操作内容を、推奨される修正内容として特定してよい。一例として、特定実行部4155は、対応テーブル432Aにおいて修正可能データ(ここでは操作データ)に対応付けられた測定データの種類を検出し、当該測定データの推奨範囲または推奨値に対して対応テーブル432Aで対応付けられた修正可能データの操作内容を、推奨される修正内容として特定してよい。
【0143】
特定実行部4155は、推奨される修正内容を表示制御部411または出力部416の少なくとも一方に供給してよい。修正内容が表示制御部411に供給される場合には、表示制御部411によって当該修正内容が表示部412に表示されてよい。この場合には、オペレータにより設備2の機器21が手動で操作されてよい。修正内容が出力部416に供給される場合には、当該修正内容に応じて設備2が自動で操作されてよい。
【0144】
なお、特定実行部4155は、何れかの修正可能データについての修正内容がクエリポイントで既に実現されている場合には、当該修正可能データについての修正内容を表示部412や出力部416に供給する修正内容に含めなくてよい。制御部4156は、複数の修正可能データが選択されている場合には、当該複数の修正可能データのうち、クエリポイントでの実際の値に対して修正内容が近い順に基準数の修正可能データについて、修正内容を供給してよい。これに代えて、制御部4156は、複数の修正可能データが選択されている場合には、当該複数の修正可能データのうち、クエリポイントでの実際の値に対して修正内容が遠い順に基準数の修正可能データについて、修正内容を供給してよい。基準数は予め任意に設定されてよい。
【0145】
[2.1.2-2(6).制御部4156]
制御部4156は、修正内容特定部415の各部を制御する。
【0146】
例えば、制御部4156は、クエリポイントのデータセットの座標点と、モデル431による分類の境界との距離が基準距離よりも大きいことに応じて特定実行部4155をディセーブルしてよい。これに加えて、または、これに代えて、制御部4156は、複数の合成データセットのうち分類部4152によって第2状態のデータセットに分類される合成データセットが基準数より少ないことに応じて特定実行部4155をディセーブルしてもよい。
【0147】
これにより、第2状態の合成データセットが十分に取得されずに第2状態の合成データセットの重心の精度が低くなる場合や、線形モデルとモデル431との局所的な一致度が低くなる場合に、特定実行部4155がディセーブルされる。従って、推奨される修正内容の精度が低くなってしまう場合に、修正内容の特定が防止される。
【0148】
なお、モデル431による分類の境界は、取得部4151により取得された複数の合成データセットを第1状態の合成データセットおよび第2状態の合成データセットに分類する境界であってよい。モデル431による分類の境界は、クエリポイントのデータセットの座標点から基準近接度の領域内での局所的な分類の境界であってもよい。モデル431による分類の境界は、従来より公知の手法により取得されてよい。基準距離や基準数は任意に設定されてよい。
【0149】
制御部4156は、任意の手法により特定実行部4155をディセーブルしてよい。例えば、制御部4156は、特定実行部4155自体を停止してもよいし、算出部4154から特定実行部4155へのデータ供給を停止してもよい。
【0150】
制御部4156は、第2特定実行部4155をディセーブルした場合に、表示制御部411を介して表示部412にエラーメッセージを表示させてよい。また、制御部4156は、第2特定実行部4155をディセーブルした場合に、算出部4154により算出された第2状態の合成データセットの重心の座標を表示させてもよい。この場合には、表示された重心の座標を参考にして、オペレータにより設備2が手動で操作されてよい。
【0151】
[2.1.2-3.出力部416]
出力部416は、推奨される修正内容を示す信号(参照信号または目標信号とも称する)を、設備2を制御する制御装置(図示せず)に出力する。これにより制御装置は、参照信号に基づいて、設備2における該当の機器21を操作してよい。制御装置は、参照信号で示される状態を実現するように機器21を操作してよい。
【0152】
以上のシステム1Aにおける装置4Aによれば、修正可能データについて、設備2の状態を現時点の状態指標値で示される異常な状態から正常な状態にするために推奨される修正内容が特定される。従って、特定された修正内容に基づいて設備2を手動または自動で操作することにより、設備2の状態を異常な状態から正常な状態に変更することができる。
【0153】
また、修正可能データについて推奨範囲または推奨値が特定されるので、設備2の状態を異常な状態から正常な状態に確実に変更することができる。
【0154】
また、修正可能データが操作データである場合には、設備2の状態を異常な状態から正常な状態にするために推奨される何れかの種類の測定データの推奨範囲または推奨値が特定される。そして、特定された推奨範囲または推奨値に対応テーブル432Aで対応付けられた操作データの内容が推奨の修正内容として特定される。従って、操作データについて推奨される修正内容を特定することができる。
【0155】
また、現時点のデータセットに対して基準近似度よりも近接する合成データセットが複数取得されて、モデル431によって第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)の合成データセットと、第2状態(本実施形態では一例として正常な状態)の合成データセットとに分類される。そして、現時点のデータセットの座標点から複数の第2状態の合成データセットの重心の座標点への差分ベクトルに基づいて、推奨される修正内容が特定される。従って、差分ベクトルの各成分の正負の符号に基づいて、当該成分に対応する測定データを増加および減少の何れの方向に修正すべきかを示す修正内容を特定することができる。
【0156】
また、分類部4152による分類結果に基づいて、複数のデータセットを第1状態の合成データセットおよび第2状態の合成データセットの何れかに分類する線形モデルが生成される。そして、生成された線形モデルと差分ベクトルとの交点がさらに算出されて、推奨される修正内容が特定される。従って、差分ベクトルの各成分の正負の符号に基づいて、当該成分に対応する測定データを増加および減少の何れの方向に修正すべきかを示す修正内容を特定し、交点の座標に基づいて、各測定データの増減の基準値を示す修正内容を特定することができる。
【0157】
また、複数のデータセットのうち、複数の第2状態の合成データセットの平均の座標点が複数の第2状態の合成データセットの重心の座標点とされるので、差分ベクトルの終点を、第2状態に分類される可能性が高い座標点にすることができる。従って、より確実に設備2の状態を異常な状態から正常な状態にすることができる。
【0158】
また、クエリポイントのデータセットの座標点とモデル431による分類の境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、複数の合成データセットのうち第2状態の合成データセットに分類される合成データセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて、算出部4154がディセーブルされる。従って、推奨される修正内容の精度が低くなってしまう場合に、修正内容が特定されるのを防止することができる。
【0159】
[2.2.動作]
図11は、装置4Aの動作を示す。装置4Aは、ステップS11~S33,S51~S57の処理により設備2の監視を支援する。なお、装置4Aの動作は、装置4の動作と比較してステップS15よりも後の処理が異なっている。
【0160】
ステップS11において取得部401は、設備2の状態を示すデータセットを取得する。取得部401は、現時点で測定された測定データセットを取得してよい。ステップS13において供給部402は、取得されたデータセットをモデル431に供給する。これにより、ステップS15においてデータセットで示される状態に応じた状態指標値がモデル431から出力され、データファイル430に記憶される。
【0161】
ステップS51において修正内容特定部415は、入力部404を介して修正可能データの選択操作を受ける。修正内容特定部415は、複数種類の修正可能データの選択操作を受けてもよい。修正内容特定部415は、入力部404を介して少なくとも1つの修正可能データについて、許容範囲の設定操作をさらに受けてよい。
【0162】
ステップS53において修正内容特定部415は、モデル431から出力された現時点の状態指標値により設備2が第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)であることが示されたか否かを判定する。修正内容特定部415は、状態指標値が負の値である場合に設備2が第1状態であることが示されたと判定してよい。ステップS53において設備2が第1状態であることが示されなかったと判定された場合(ステップS53;No)には、上述のステップS19に処理が移行してよい。これにより、現時点のデータセットに対する要因データが特定されてよい。ステップS53において設備2が第1状態であることが示されたと判定された場合(ステップS53;Yes)には、ステップS55に処理が移行してよい。
【0163】
ステップS55において修正内容特定部415は、設備2の状態を第1状態(本実施形態では一例として異常な状態)から第2状態(本実施形態では一例として正常な状態)にするために推奨される修正内容を、各修正可能データについて特定する。修正内容特定部415は、修正可能データについて設定された許容範囲内で修正内容を特定してよい。
【0164】
なお、修正内容特定部415の制御部4156は、現時点のデータセットの座標点と、モデル431による分類の境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、複数の合成データセットのうち第2状態のデータセットに分類される合成データセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて修正内容の特定を中止してよい。この場合には、制御部4156は、表示部412にエラーメッセージを表示させて処理を終了してよい。
【0165】
また、特定実行部4155の制御部4156は、全ての修正可能データについての修正内容が現時点で既に実現されている場合には、表示部412にエラーメッセージを表示させて処理を終了してよい。
【0166】
ステップS57において出力部416は、修正内容を示す参照信号を設備2の制御装置に出力する。これにより設備2における該当の機器21が自動的に操作される。これに加えて、または、これに代えて、修正内容は表示部412に表示されてよい。この場合には、オペレータにより設備2の機器21が手動で操作されてよい。ステップS57の処理が終了したら、上述のステップS11に処理が移行してよい。
【0167】
[2.3.動作例]
図12は、修正内容特定部415による修正内容の特定手法を示す。なお、グラフの座標軸は、修正可能データとして選択された測定データの測定値を示してよい。
【0168】
上側のグラフに示されるように、クエリポイント(本実施形態では一例として現時点)のデータセットが取得部4151に供給されると、当該データセットに近接する複数の合成データセットが取得部4151により生成されてよい。また、生成された複数の合成データセットは、分類部4152により第1状態または第2状態のデータセットに分類されてよい。さらに、そして、生成部4153により、これらのデータセットを分類部4152による分類の通りに分類するように線形モデルが生成されてよい。
【0169】
続いて、下側のグラフに示されるように、算出部4154により複数の第2の合成データセットの重心が算出され、クエリポイントのデータセットの座標点から当該重心の座標点への差分ベクトルが算出されてよい。また、算出部4154により差分ベクトルと、線形モデルとの交点が算出されてよい。そして、これらの差分ベクトルおよび交点に基づいて、推奨される修正内容が特定されてよい。
【0170】
図13は、修正可能データの選択画面の例を示す。ステップS51において、表示部412の表示画面には、修正可能データを選択するための選択テーブルが表示されてよい。選択テーブルには、データセットに含まれる測定データ毎に、当該測定データを修正可能データとして選択するためのチェックボックスが表示されてよい。また、測定データ毎に、許容範囲を設定するための上限値および下限値の入力欄が表示されてよい。
【0171】
図14は、修正内容の表示画面の例を示す。ステップS57において表示部412の表示画面には、推奨される修正内容が修正可能データごとに表示されてよい(図中、左上部分参照)。推奨される修正内容は、推奨される数値範囲として表示されてもよいし、推奨される値として表示されてもよい。
【0172】
また、修正内容の表示画面には、修正可能データを座標軸とする座標空間において各データセットとクエリポイントのデータセットとの散布図が表示されてよい(図中の右上部分参照)。散布図内の各データセットは、第1状態および第2状態の何れに対応するかが識別可能に表示されてよい。また、散布図には、取得部4151によって生成された合成データセットがさらに表示されてよい。また、散布図には、推奨される修正が実行された場合のデータセットの移動経路や、修正後の最終的なデータセットがさらに表示されてよい。座標軸に使用される修正可能データの種類は入力部404を介して変更されてよい。
【0173】
また、修正内容の表示画面には、クエリポイントのデータセットの内容や、状態指標値の推移を示すグラフがさらに表示されてよい。また、修正内容の表示画面には、出力部416による自動的な修正操作を開始させるためのスタートボタンが表示されてよい。
【0174】
[2.4.第2実施形態の変形例]
なお、上記の第2実施形態においては、算出部4154は第2状態のデータセットの平均の座標点を重心の座標点とすることとして説明したが、他の座標点を重心の座標点としてもよい。例えば、算出部4154は、取得部4151により取得された複数のデータセット(一例として複数の合成データセット)のうち、複数の第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットの座標点を、複数の第2状態のデータセットの重心の座標点としてよい。これにより、差分ベクトルの終点を、第2状態に分類される可能性の高い座標点にすることができる。従って、より確実に設備2の状態を第1状態から第2状態にすることができる。
【0175】
また、この場合には、算出部4154は、取得部4151により取得された複数のデータセットのうち、第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近い第2状態のデータセットの座標点を、複数の第2状態のデータセットの重心の座標点としてよい。これにより、差分ベクトルの終点を、確実に第2状態に分類される座標点にすることができる。従って、より確実に設備2の状態を第1状態から第2状態にすることができる。
【0176】
さらに、この場合には、制御部4156は、取得部4151により取得された複数のデータセットのうち、第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットが第1状態のデータセットであることに応じて、取得部4151にデータセットをさらに取得させてよい。これにより、取得された複数のデータセットを改めて第1状態のデータセットおよび第2状態のデータセットに分類することで、複数のデータセットのうち、第2状態のデータセットの平均の座標点に最も近いデータセットを、第2状態のデータセットとすることができる。
【0177】
また、制御部4156は、クエリポイントのデータセットの座標点と、モデル431による分類の境界との距離が基準距離よりも大きいこと、または、複数の合成データセットのうち第2状態のデータセットに分類される合成データセットが基準数より少ないこと、の少なくとも一方に応じて特定実行部4155をディセーブルすることとして説明したが、他の制御を行ってもよい。例えば、制御部4156は、特定実行部4155をディセーブルするのに代えて、第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数以上となるまで、取得部4151に基準近似度を大きくさせてデータセットをさらに取得させてよい。これにより、取得されるデータセットを増やし、線形モデルと元のモデル431との間での局所的な一致度を高めることができる。従って、推奨される修正内容の精度を高めることができる。制御部4156は、取得部4151に基準近似度を大きくさせてデータセットをさらに取得させる処理を基準回数まで行った後に、依然として第2状態のデータセットに分類されるデータセットが基準数未満である場合には、特定実行部4155をディセーブルしてもよい。
【0178】
また、制御部4156は、基準近似度を大きくさせてデータセットをさらに取得することに加えて、または、これに代えて、第2状態のデータセットに分類されるデータセットのうち、クエリポイントのデータセットから最も近いデータセットに対して基準近似度よりも近接するデータセットを取得部4151にさらに取得させてもよい。例えば、制御部4156は、第2状態のデータセットに分類されるデータセットのうち、クエリポイントのデータセットから最も近いデータセットを、仮のクエリポイントのデータセットとし、当該仮のクエリポイントのデータセットに対して近接するデータセットを取得させてよい。これにより、元のモデル431による分類の境界近傍のデータセットを局地的に増やし、線形モデルと元のモデル431との間での局所的な一致度を確実に高めることができる。従って、推奨される修正内容の精度を確実に高めることができる。
【0179】
また、修正内容特定部415は要因特定部408の取得部4081、分類部4082および生成部4083と同様の動作を行う取得部4151、分類部4152および生成部4153を有することとして説明したが、要因特定部408との間で取得部4081、分類部4082および生成部4083を共有してもよい。
【0180】
また、修正内容特定部415は、上記とは別の手法により、推奨される修正内容を特定してもよい。例えば、修正内容特定部415は、状態指標値により設備2が第1状態(一例として異常な状態)であることが示される場合に、設備2の状態をクエリポイントのデータセットに対応する状態から第2状態(一例として正常な状態)にするための反事実的なデータセットを生成する学習アルゴリズムを用いて、修正可能データについて推奨される修正内容を特定してよい。この場合にも設備2の状態を第1状態から第2状態にする修正内容を確実に特定することができる。なお、反実仮想的なデータセットを生成する学習アルゴリズムとしては、例えばDiceやNice,Prototypesなどを用いることができる。このような学習アルゴリズムを用いる場合には、修正内容特定部415は、各反実仮想的なデータセットについて算出される少なくとも1つの評価値を用いて複数の反実仮想的なデータセットの何れかを特定し、特定された反実仮想的なデータセットの内容を、推奨される修正内容としてよい。例えば、修正内容特定部415は、学習アルゴリズムとしてDiceを用いる場合には、反実仮想的なデータセットについて算出される評価値として、次の文献4で説明される有効性(validity)、近接性(proximity)、粗密性(sparsity)または多様性(diversity)の少なくとも1つを用いてよい。
文献4:Ramaravind等、「Explaining Machine Learning Classifiers through Diverse Counterfactuals Explanations」、インターネット<URL:https://arxiv.org/abs/1905.07697>
【0181】
また、修正内容特定部415が生成部4153を有することとして説明したが、生成部4153を有しないこととしてもよい。この場合には、特定実行部4155は算出部4154により算出された差分ベクトルに基づいて、推奨される修正内容を特定してよい。
【0182】
また、修正内容特定部415は各修正可能データについて修正内容を特定することとして説明したが、一部の修正可能データのみについて修正内容を特定してもよい。例えば、修正内容特定部415は、複数の修正可能データのうち、要因特定部408によって特定されたクエリポイントでの要因データ(一例として基準影響度よりも影響度が大きい要因データ)のみについて、修正内容を特定してよい。この場合には、装置4Aは、ステップS53とステップS55との間にステップS19の処理を行って、要因データを特定してよい。
【0183】
また、クエリポイントを現時点として説明したが、過去の時点としてもよい。この場合には、修正内容特定部415は、クエリポイントとして選択された過去の時点において修正可能データについて推奨される修正内容を特定してよい。修正内容特定部415は、特定した修正内容を、表示制御部411を介して表示部412に表示させてよい。これにより、過去の時点における推奨の修正内容を把握することができる。
【0184】
また、現在または過去の時点をクエリポイントとして選択する場合には、ステップS51~S57の処理をステップS17と、ステップS19との間で行ってもよい。また、この場合には、クエリポイントの選択画面(図4参照)に、修正可能データの選択テーブル(図13参照)が含まれてよい。
【0185】
また、第1状態を異常な状態、第2状態を正常な状態として説明したが、第1状態を正常な状態、第2状態を異常な状態としてもよい。また、修正内容特定部415は、異常な状態を示す状態指標値が出力されたことに応じて修正内容を特定することとして説明したが、状態指標値で示される状態によらず、オペレータにより修正内容の特定が指示されたことに応じて、修正内容を特定してもよい。
【0186】
また、第1状態を示す状態指標値が出力される前に予め修正可能データの選択が行われることとして説明したが、第1状態を示す状態指標値が出力された後に修正可能データの選択が行われてもよい。
【0187】
[3.その他の変形例]
なお、上記の第1実施形態および第2実施形態では、各データセットが複数種類の測定データを含むこととして説明したが、当該複数種類の測定データに対応する操作データをさらに含んでもよい。これにより、操作データが修正可能データとして選択される場合に、操作データについて推奨される修正内容を確実に特定することができる。測定データに対応する操作データは、測定データと同じ時点に対応する操作データであってよく、一例として、測定データの測定時点で行われていた操作の操作データであってよい。
【0188】
また、装置4は、記憶部403と、入力部404と、ラベル付加部405と、予兆検出部409と、改善操作特定部410と、表示制御部411と、表示部412とを有することとして説明したが、これらの何れかを有しないこととしてもよい。同様に、装置4Aは、記憶部403Aと、入力部404と、ラベル付加部405と、要因特定部408と、予兆検出部409と、改善操作特定部410と、表示制御部411と、表示部412とを有することとして説明したが、これらの何れかを有しないこととしてもよい。例えば、装置4,4Aは、記憶部403を有しない場合には、記憶部403と同様の内容を記憶する記憶装置と外部接続されてもよい。
【0189】
また、取得部401は設備2から逐次、測定データを取得することとして説明したが、記憶装置に格納された測定データを一括して取得してもよい。
【0190】
また、状態不良の予兆が検出される場合に改善操作特定部410が改善操作を特定することとして説明したが、状態指標値が閾値よりも低い場合に改善操作を特定してもよい。
【0191】
また、予兆検出部409は状態指標値の分散と基準分散とを比較して予兆を検出することとして説明したが、これに加えて、または、これに代えて、状態指標値と、予め設定された閾値とを比較して予兆を検出してもよい。状態指標値の分散および基準分散の比較と、状態指標値および閾値の比較とによって予兆を検出する場合には、2つの比較結果の論理和をとって予兆を検出してもよいし、論理積をとって予兆を検出してもよい。状態指標値と閾値とを比較する場合には、予兆検出部409は、状態指標値の移動平均と、予め設定された閾値とを比較して予兆を検出してもよい。状態指標値の移動平均は、基準期間内にモデル431から出力された状態指標値の移動平均であってよく、一例として直近の基準期間内に出力された状態指標値の移動平均であってよい。状態指標値の移動平均と閾値とを比較して予兆が検出される場合には、状態指標値が閾値付近で変動することに応じて予兆の検出が不安定になってしまうのを防止することができる。ここで、閾値は、設備2が良好な状態であることを示す状態指標値と、設備2が不良な状態であることを示す状態指標値との境界値に基づいて設定されてよい。一例として、設備2が良好な状態であることを示す状態指標値が正の値であり、設備2が不良な状態であることを示す状態指標値が負の値であり、境界値がゼロである場合には、閾値はゼロに基準マージンを加えた正の値であってよい。
【0192】
また、対象を設備2として説明したが、他の客体であってもよい。例えば、対象は、設備2で製造される製品であってもよいし、対象は備え付けられておらず移動可能な器物や装置であってもよいし、生体などの自然物であってもよいし、天候や地形などの自然環境であってもよいし、化学反応や生化学反応などの自然現象であってもよい。
【0193】
また、本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0194】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0195】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0196】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0197】
図15は、本発明の複数の態様が全体的または部分的に具現化されてよいコンピュータ2200の例を示す。コンピュータ2200にインストールされたプログラムは、コンピュータ2200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられる操作または当該装置の1または複数のセクションとして機能させることができ、または当該操作または当該1または複数のセクションを実行させることができ、および/またはコンピュータ2200に、本発明の実施形態に係るプロセスまたは当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつかまたはすべてに関連付けられた特定の操作を実行させるべく、CPU2212によって実行されてよい。
【0198】
本実施形態によるコンピュータ2200は、CPU2212、RAM2214、グラフィックコントローラ2216、およびディスプレイデバイス2218を含み、それらはホストコントローラ2210によって相互に接続されている。コンピュータ2200はまた、通信インタフェース2222、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226、およびICカードドライブのような入/出力ユニットを含み、それらは入/出力コントローラ2220を介してホストコントローラ2210に接続されている。コンピュータはまた、ROM2230およびキーボード2242のようなレガシの入/出力ユニットを含み、それらは入/出力チップ2240を介して入/出力コントローラ2220に接続されている。
【0199】
CPU2212は、ROM2230およびRAM2214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ2216は、RAM2214内に提供されるフレームバッファ等またはそれ自体の中にCPU2212によって生成されたイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス2218上に表示されるようにする。
【0200】
通信インタフェース2222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ2224は、コンピュータ2200内のCPU2212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVD-ROMドライブ2226は、プログラムまたはデータをDVD-ROM2201から読み取り、ハードディスクドライブ2224にRAM2214を介してプログラムまたはデータを提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/またはプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0201】
ROM2230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ2200によって実行されるブートプログラム等、および/またはコンピュータ2200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入/出力チップ2240はまた、様々な入/出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入/出力コントローラ2220に接続してよい。
【0202】
プログラムが、DVD-ROM2201またはICカードのようなコンピュータ可読媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読媒体から読み取られ、コンピュータ可読媒体の例でもあるハードディスクドライブ2224、RAM2214、またはROM2230にインストールされ、CPU2212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置または方法が、コンピュータ2200の使用に従い情報の操作または処理を実現することによって構成されてよい。
【0203】
例えば、通信がコンピュータ2200および外部デバイス間で実行される場合、CPU2212は、RAM2214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2222は、CPU2212の制御下、RAM2214、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROM2201、またはICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、またはネットワークから受信された受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0204】
また、CPU2212は、ハードディスクドライブ2224、DVD-ROMドライブ2226(DVD-ROM2201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイルまたはデータベースの全部または必要な部分がRAM2214に読み取られるようにし、RAM2214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU2212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックする。
【0205】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU2212は、RAM2214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプの操作、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM2214に対しライトバックする。また、CPU2212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2212は、第1の属性の属性値が指定される、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0206】
上で説明したプログラムまたはソフトウェアモジュールは、コンピュータ2200上またはコンピュータ2200近傍のコンピュータ可読媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスクまたはRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2200に提供する。
【0207】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0208】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0209】
1 システム
2 設備
4 装置
20 センサ
21 機器
401 取得部
402 供給部
403 記憶部
404 入力部
405 ラベル付加部
408 要因特定部
409 予兆検出部
410 改善操作特定部
411 表示制御部
412 表示部
415 修正内容特定部
416 出力部
430 データファイル
431 モデル
432 対応テーブル
2200 コンピュータ
2201 DVD-ROM
2210 ホストコントローラ
2212 CPU
2214 RAM
2216 グラフィックコントローラ
2218 ディスプレイデバイス
2220 入/出力コントローラ
2222 通信インタフェース
2224 ハードディスクドライブ
2226 DVD-ROMドライブ
2230 ROM
2240 入/出力チップ
2242 キーボード
4081 取得部
4082 分類部
4083 生成部
4085 特定実行部
4151 取得部
4152 分類部
4153 生成部
4154 算出部
4155 特定実行部
4156 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】