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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128771
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】昇降収納装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 51/00 20060101AFI20230907BHJP
   A47B 77/04 20060101ALI20230907BHJP
【FI】
A47B51/00 501C
A47B77/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033356
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】390013321
【氏名又は名称】株式会社ダイドー
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217881
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 由美
(72)【発明者】
【氏名】山田 和義
(72)【発明者】
【氏名】竹島 拓史
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260EA02
(57)【要約】
【課題】物品収納棚を後上方へ収納させる弾発付勢力を発生させる渦巻バネの調整を容易とする昇降収納装置を提供する。
【解決手段】渦巻バネの弾発付勢力を増減調整するためのプッシュプル杆20,20を設け、その押引用ノブ22,22を、キャビネット3の下方の左右端に露出状に配設する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収納棚(1)を、リンク機構(2)を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット(3)の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚(1)の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ(5)(5)を、上記キャビネット(3)の左右側壁(3A)(3A)の各内面近傍に、配設した昇降収納装置に於て、
上記渦巻バネ(5)(5)の弾発付勢力を、各々、増減調整させるプッシュプル杆(20)(20)が上記キャビネット(3)の左右の下方内隅部(21)(21)に、水平状に配設されると共に、
上記プッシュプル杆(20)(20)の押引用ノブ(22)(22)を、上記キャビネット(3)の上記下方内隅部(21)(21)の前方開口端近傍に配設したことを、
特徴とする昇降収納装置。
【請求項2】
上記キャビネット(3)の前方開口部(4)の上辺に開閉自在に枢着保持された扉(18)を有し、
上記キャビネット(3)に対して上記扉(18)が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブ(22)が、上記扉(18)の下端縁部(18A)よりも、下方位置に在って、前方へ露出状である請求項1記載の昇降収納装置。
【請求項3】
上記キャビネット(3)の前方開口部(4)の上辺に開閉自在に枢着保持された扉(18)を有し、
上記キャビネット(3)に対して上記扉(18)が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブ(22)が、上記扉(18)にて一部乃至全体が隠れるのを防ぐため、上記扉(18)の下端縁部(18A)の左右角部を切欠いたノブ操作用切欠部(19)(19)が、形成されている請求項1記載の昇降収納装置。
【請求項4】
左右の上記各渦巻バネ(5)は、
軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ(31)と、
弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ(32)と、
から構成され、
上記各渦巻バネ(5)の弾発付勢力は、上記第1バネ(31)の弾発付勢力と第2バネ(32)の弾発付勢力との合計値であって、
上記プッシュプル杆(20)は、上記第1バネ(31)の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ(32)のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている
請求項1記載の昇降収納装置。
【請求項5】
上記プッシュプル杆(20)は、先端に上方開口状U字溝部(23)が一体形成されており、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片(29)を有する揺動係脱部材(28)を、備え、
さらに、上記揺動係脱部材(28)を、水平状第1軸心(O28)廻りに揺動させるように、上記第1軸心(O28)と平行な第2軸心(O30)廻りに揺動可能な切換レバー(30)を有すると共に、
上記プッシュプル杆(20)の先端に上記U字溝部(23)に、上記切換レバー(30)の下端(30A)を差込状として係合させ、
上記プッシュプル杆(20)の前後水平移動(F20)(B20)によって、上記切換レバー(30)を上記第2軸心(O30)廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材(28)を上記第1軸心(O28)廻りに揺動させ、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、上記係止突片(29)を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように、
構成されている請求項4記載の昇降収納装置。
【請求項6】
上記切換レバー(30)は、プラスチック製レバー本体(34)と、該レバー本体(34)に一体状に固着された金属製バネ線材(35)と、から成ると共に、上記バネ線材(35)が、上記レバー本体(34)の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部(35A)を有し、
さらに、上記揺動係脱部材(28)は、上記上辺線部(35A)が弾発的に、当接する小凹窪部(28C)を有し、
上記揺動係脱部材(28)が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部(35A)が上記小凹窪部(28C)を弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成された
請求項5記載の昇降収納装置。
【請求項7】
物品収納棚(1)を、リンク機構(2)を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット(3)の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚(1)の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ(5)(5)を、上記キャビネット(3)の左右側壁(3A)(3A)の各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネット(3)の前方開口部(4)の上辺に開閉自在に枢着保持された扉(18)を有する昇降収納装置に於て、
上記渦巻バネ(5)(5)の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構(38)を、備え、
該操作機構(38)は、左右方向(K)に移動可能な指掛け片(41)と、上記渦巻バネ(5)の近傍に配設されて前後水平方向に往復動可能な短寸プッシュプル杆(50)と、上記指掛け片(41)の左右方向への移動を上記短寸プッシュプル杆(50)の往復動に変換する連結アーム(42)を、具備し、
さらに、上記キャビネット(3)に対して上記扉(18)が閉じた閉鎖状態下で、上記指掛け片(41)が、上記扉(18)の下端縁部(18A)よりも、上方位置に在って、上記指掛け片(41)が扉(18)にて隠れていると共に、上記下端縁部(18A)に沿って人の手を左右方向へ動かして上記指掛け片(41)を操作可能としたことを、
特徴とする昇降収納装置。
【請求項8】
左右の上記各渦巻バネ(5)は、
軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ(31)と、
弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ(32)と、
から構成され、
上記各渦巻バネ(5)の弾発付勢力は、上記第1バネ(31)の弾発付勢力と第2バネ(32)の弾発付勢力との合計値であって、
上記短寸プッシュプル杆(50)は、上記第1バネ(31)の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ(32)のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている
請求項7記載の昇降収納装置。
【請求項9】
上記短寸プッシュプル杆(50)は、先端に上方開口状U字溝部(23)が一体形成されており、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片(29)を有する揺動係脱部材(28)を、備え、
さらに、上記揺動係脱部材(28)を、水平状第1軸心(O28)廻りに揺動させるように、上記第1軸心(O28)と平行な第2軸心(O30)廻りに揺動可能な切換レバー(30)を有すると共に、
上記短寸プッシュプル杆(50)の先端に上記U字溝部(23)に、上記切換レバー(30)の下端(30A)を差込状として係合させ、
上記短寸プッシュプル杆(50)の前後水平移動(F50)(B50)によって、上記切換レバー(30)を上記第2軸心(O30)廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材(28)を上記第1軸心(O28)廻りに揺動させ、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、上記係止突片(29)を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように、
構成されている請求項8記載の昇降収納装置。
【請求項10】
上記切換レバー(30)は、プラスチック製レバー本体(34)と、該レバー本体(34)に一体状に固着された金属製バネ線材(35)と、から成ると共に、上記バネ線材(35)が、上記レバー本体(34)の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部(35A)を有し、
さらに、上記揺動係脱部材(28)は、上記上辺線部(35A)が弾発的に、当接する小凹窪部(28C)を有し、
上記揺動係脱部材(28)が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部(35A)が上記小凹窪部(28C)を弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成された
請求項9記載の昇降収納装置。
【請求項11】
物品収納棚(1)を、リンク機構(2)を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット(3)の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚(1)の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ(5)(5)を、上記キャビネット(3)の左右側壁(3A)(3A)の各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネット(3)の前方開口部(4)の上辺に開閉自在に枢着保持された扉(18)を有する昇降収納装置に於て、
上記渦巻バネ(5)(5)の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構(45)を、備え、
該操作機構(45)は、鉛直状第1軸心(L46)廻りに揺動する揺動操作アーム(46)と、該揺動操作アーム(46)の奥方後端(46A)によって鉛直状第2軸心(L47)廻りに揺動させられる揺動板(47)とを、具備し、
さらに、上記キャビネット(3)に対して上記扉(18)が閉じた閉鎖状態下で、上記揺動操作アーム(46)の前端(46C)が、上記扉(18)の下端縁部(18A)よりも、上方位置に在って、上記前端(46C)が扉(18)にて隠れていると共に、上記下端縁部(18A)の下面に沿って人の手を左右方向へ動かして上記前端(46C)を介して上記操作アーム(46)を操作可能としたことを、
特徴とする昇降収納装置。
【請求項12】
左右の上記各渦巻バネ(5)は、
軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ(31)と、
弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ(32)と、
から構成され、
上記各渦巻バネ(5)の弾発付勢力は、上記第1バネ(31)の弾発付勢力と第2バネ(32)の弾発付勢力との合計値であって、
上記揺動板(47)は、上記第1バネ(31)の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ(32)のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている
請求項11記載の昇降収納装置。
【請求項13】
上記揺動板(47)は、上方突出状の当り杆(48)を有し、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片(29)を有する揺動係脱部材(28)を、備え、
さらに、上記揺動係脱部材(28)を、水平状第1軸心(O28)廻りに揺動させるように、上記第1軸心(O28)と平行な第2軸心(O30)廻りに揺動可能な切換レバー(30)を有すると共に、
上記揺動板(47)の上記当り杆(48)を、上記切換レバー(30)の下端に当接させ、
上記揺動板(47)の揺動によって、上記切換レバー(30)を上記第2軸心(O30)廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材(28)を上記第1軸心(O28)廻りに揺動させ、
上記第2バネ(32)の被係合用折曲げ外端(32A)に対して、上記係止突片(29)を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように、
構成されている請求項12記載の昇降収納装置。
【請求項14】
上記切換レバー(30)は、プラスチック製レバー本体(34)と、該レバー本体(34)に一体状に固着された金属製バネ線材(35)と、から成ると共に、上記バネ線材(35)が、上記レバー本体(34)の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部(35A)を有し、
さらに、上記揺動係脱部材(28)は、上記上辺線部(35A)が弾発的に、当接する小凹窪部(28C)を有し、
上記揺動係脱部材(28)が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部(35A)が上記小凹窪部(28C)を弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成された
請求項13記載の昇降収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台所用昇降吊り棚等として、特許文献1及び図23に示された構造の昇降収納装置が、広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-193924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この図23に示す昇降収納装置は、(図外の)物品収納棚を、リンク機構51を介して、手前下方(図23の右手下方向)へ引出し自在として、前方開口状の箱型のキャビネット52の内部52Aに、取付けられている。上記物品収納棚を、引出状態からキャビネット52の内部52Aへ収納作動させる際に、この収納作動を補助するための渦巻バネ53が設けられている。
【0005】
この渦巻バネ53の弾発付勢力を強弱に切換えるための手動切換レバー55が、キャビネット52の底壁52Bから下方へ突出状として、付設されていた。
即ち、キャビネット52の開口側手前から、底壁52Bの下面に沿って、手を奥方深く差入れて、上記手動切換レバー55を矢印M55のように、手指にて、前後揺動させる構造であった。
【0006】
しかし、このような従来の構造では、次のような問題があった。即ち、(i)人の手を底壁52Bの下面に沿って奥方深くまで差入れて切換レバー55を探り当てるのが難しい場合があり、切換作業が容易でないという問題、(ii)固定棚等の水平固定載置部56の上にキャビネット52を載せて設置する必要があった場合、設置が不可能となる問題、等があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、物品収納棚を、リンク機構を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネットの内部に取付け、さらに、上記物品収納棚の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネを、上記キャビネットの左右側壁の各内面近傍に、配設した昇降収納装置に於て;上記渦巻バネの弾発付勢力を、各々、増減調整させるプッシュプル杆が上記キャビネットの左右の下方内隅部に、水平状に配設されると共に;上記プッシュプル杆の押引用ノブを、上記キャビネットの上記下方内隅部の前方開口端近傍に、前方へ露出状として配設した。
【0008】
また、上記キャビネットの前方開口部の上辺に開閉自在に枢着保持された扉を有し;上記キャビネットに対して上記扉が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブが、上記扉の下端縁部よりも、下方位置に在って、前方へ露出状である。
【0009】
また、上記キャビネットの前方開口部の上辺に開閉自在に枢着保持された扉を有し;上記キャビネットに対して上記扉が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブが、上記扉にて一部乃至全体が隠れるのを防ぐため、上記扉の下端縁部の左右角部を切欠いたノブ操作用切欠部が、形成されている。
【0010】
また、左右の上記各渦巻バネは;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネと;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネと;から構成され;上記各渦巻バネの弾発付勢力は、上記第1バネの弾発付勢力と第2バネの弾発付勢力との合計値であって;上記プッシュプル杆は、上記第1バネの弾発力変化に関与せずに、上記第2バネのON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている。
【0011】
また、上記プッシュプル杆は、先端に上方開口状U字溝部が一体形成されており;上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片を有する揺動係脱部材を、備え;さらに、上記揺動係脱部材を、水平状第1軸心廻りに揺動させるように、上記第1軸心と平行な第2軸心廻りに揺動可能な切換レバーを有すると共に;上記プッシュプル杆の先端に上記U字溝部に、上記切換レバーの下端を差込状として係合させ;上記プッシュプル杆の前後水平移動によって、上記切換レバーを上記第2軸心廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材を上記第1軸心廻りに揺動させ;上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、上記係止突片を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されている。
【0012】
また、上記切換レバーは、プラスチック製レバー本体と、該レバー本体に一体状に固着された金属製バネ線材と、から成ると共に、上記バネ線材が、上記レバー本体の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部を有し;さらに、上記揺動係脱部材は、上記上辺線部が弾発的に、当接する小凹窪部を有し;上記揺動係脱部材が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部が上記小凹窪部を弾発的に押圧して;静止保持されるように、構成されている。
【0013】
また、本発明は、物品収納棚を、リンク機構を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネットの内部に取付け、さらに、上記物品収納棚の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネを、上記キャビネットの左右側壁の各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネットの前方開口部の上辺に開閉自在に枢着保持された扉を有する昇降収納装置に於て;上記渦巻バネの弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構を、備え;該操作機構は、左右方向に移動可能な指掛け片と、上記渦巻バネの近傍に配設されて前後水平方向に往復動可能な短寸プッシュプル杆と、上記指掛け片の左右方向への移動を上記短寸プッシュプル杆の往復動に変換する連結アームを、具備し;さらに、上記キャビネットに対して上記扉が閉じた閉鎖状態下で、上記指掛け片が、上記扉の下端縁部よりも、上方位置に在って、上記指掛け片が扉にて隠れていると共に、上記下端縁部に沿って人の手を左右方向へ動かして上記指掛け片を操作可能とした。
【0014】
また、左右の上記各渦巻バネは;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネと;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネと;から構成され;上記各渦巻バネの弾発付勢力は、上記第1バネの弾発付勢力と第2バネの弾発付勢力との合計値であって;上記短寸プッシュプル杆は、上記第1バネの弾発力変化に関与せずに、上記第2バネのON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている。
【0015】
また、上記短寸プッシュプル杆は、先端に上方開口状U字溝部が一体形成されており;上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片を有する揺動係脱部材を、備え;さらに、上記揺動係脱部材を、水平状第1軸心廻りに揺動させるように、上記第1軸心と平行な第2軸心廻りに揺動可能な切換レバーを有すると共に;上記短寸プッシュプル杆の先端に上記U字溝部に、上記切換レバーの下端を差込状として係合させ;上記短寸プッシュプル杆の前後水平移動によって、上記切換レバーを上記第2軸心廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材を上記第1軸心廻りに揺動させ; 上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、上記係止突片を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されている。
【0016】
また、上記切換レバーは、プラスチック製レバー本体と、該レバー本体に一体状に固着された金属製バネ線材と、から成ると共に、上記バネ線材が、上記レバー本体の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部を有し;さらに、上記揺動係脱部材は、上記上辺線部が弾発的に、当接する小凹窪部を有し;上記揺動係脱部材が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部が上記小凹窪部を弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されている。
【0017】
また、本発明は、物品収納棚を、リンク機構を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネットの内部に取付け、さらに、上記物品収納棚の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネを、上記キャビネットの左右側壁の各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネットの前方開口部の上辺に開閉自在に枢着保持された扉を有する昇降収納装置に於て;上記渦巻バネの弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構を、備え;該操作機構は、鉛直状第1軸心廻りに揺動する揺動操作アームと、該揺動操作アームの奥方後端によって鉛直状第2軸心廻りに揺動させられる揺動板とを、具備し;さらに、上記キャビネットに対して上記扉が閉じた閉鎖状態下で、上記揺動操作アームの前端が、上記扉の下端縁部よりも、上方位置に在って、上記前端が扉にて隠れていると共に、上記下端縁部の下面に沿って人の手を左右方向へ動かして上記前端を介して上記操作アームを操作可能とした。
【0018】
また、左右の上記各渦巻バネは;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネと;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネと;から構成され;上記各渦巻バネの弾発付勢力は、上記第1バネの弾発付勢力と第2バネの弾発付勢力との合計値であって;上記揺動板は、上記第1バネの弾発力変化に関与せずに、上記第2バネのON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている。
【0019】
また、上記揺動板は、上方突出状の当り杆を有し;上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片を有する揺動係脱部材を、備え;さらに、上記揺動係脱部材を、水平状第1軸心廻りに揺動させるように、上記第1軸心と平行な第2軸心廻りに揺動可能な切換レバーを有すると共に;上記揺動板の上記当り杆を、上記切換レバーの下端に当接させ;上記揺動板の揺動によって、上記切換レバーを上記第2軸心廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材を上記第1軸心廻りに揺動させ;上記第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、上記係止突片を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されている。
【0020】
また、上記切換レバーは、プラスチック製レバー本体と、該レバー本体に一体状に固着された金属製バネ線材と、から成ると共に、上記バネ線材が、上記レバー本体の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部を有し;さらに、上記揺動係脱部材は、上記上辺線部が弾発的に、当接する小凹窪部を有し;上記揺動係脱部材が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部が上記小凹窪部を弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、(前方へ露出状の)押引用ノブは、人の目で簡単に見付けることができ、しかも、人の手で簡単に押したり、引いたりすることができ、渦巻バネの弾発付勢力の増減調整作業を容易かつ迅速・正確に行い得る。あるいは、扉の下端縁部に沿って、人の手を左右方向に動かすことによって、簡単に、指掛け片又は操作アームを操作でき、この操作によって、渦巻バネの弾発付勢力の増減調整作業を容易かつ迅速・正確に行い得る。
【0022】
さらに、(キャビネットの後壁を鉛直壁面に取付けずに、)水平固定載置部の上に載せて、キャビネットを設置することが可能となる。つまり、水平固定載置部の上に載置しても、露出状の押引用ノブ、又は、扉に隠れた指掛け片、若しくは、扉に隠れた操作アームの前端を、人の手にて操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】相違した本発明の2つの実施形態を示し、かつ、右半分のみを示した正面図である。
図2】押引用ノブを押した状態の要部断面側面図である。
図3】押引用ノブを引いた状態の要部断面側面図である。
図4】押引用ノブを引いた状態を示した要部拡大断面側面図である。
図5】プッシュプル杆の一実施例を示す斜視図である。
図6】要部拡大正面図である。
図7】第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、揺動係脱部材が、非係合位置にある状態を示した要部拡大側面図である。
図8】切換途中状態を示した要部拡大側面図である。
図9】第2バネの被係合用折曲げ外端に対して、揺動係脱部材が、係合可能位置にある状態を示した要部拡大側面図である。
図10図8のX-X断面矢視図である。
図11】バネ線材の傾斜突出線部による弾発付勢力の方向、及び、揺動係脱部材が受けるモーメントを説明する拡大側面説明図であって、(A)は図7に対応した拡大側面説明図であり、(B)は図9に対応した拡大側面説明図である。
図12】切換レバーを示す図であって、(A)は斜視図、(B)は左側面図、(C)は平面図、(D)は正面図である。
図13】本発明の別の実施形態を示す(右半分の)正面図である。
図14】別の実施形態の一部破断で示した要部斜視図である。
図15】別の実施形態の要部断面側面図である。
図16】別の実施形態の拡大要部断面側面図である。
図17】別の実施形態の断面平面図である。
図18】別の実施形態の断面平面図である。
図19】別の実施形態の断面平面図である。
図20】さらに他の実施形態を示す斜視図である。
図21】一部断面側面図である。
図22】本発明の主要構成部位の大半を図示省略して、リンク機構等の他の構成を具体的に例示した一部断面側面図である。
図23】従来例を示す要部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図22に於て、1は物品収納棚であり、リンク機構2を介して、矢印N1 にて示した手前下方への引出しと、(矢印N1 とは逆方向の)後上方への収納作動とを、行うように、キャビネット3の内部に、物品収納棚1は取付けられている。このキャビネット3は、前方開口状の箱型であって、図示省略の壁等に固着され、あるいは、水平固定載置部56(図23参照)の上面に載置状に取付けることもできる。
【0025】
さらに、物品収納棚1の、上記矢印N1 とは逆方向の収納作動を、補助するために、後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5が、キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設されている。
【0026】
リンク機構2は、具体的には、物品収納棚1を、常時水平姿勢を保ちつつ、昇降案内するための平行リンク機構Zの場合を、示す。
即ち、この平行リンク機構Zは、(図22図2図3に於ける物品収納棚1の収納状態において、)奥に在る奥側リンク12を、手前開口側に在る手前側リンク11とを、有し、両リンク12,11は略平行を保ちつつ揺動して、物品収納棚1を常時水平姿勢に保つ。
【0027】
また、O11,O12,O21,O22は、平行リンク機構Zの4つの枢着軸心(点)を示す。奥側リンク12の下端は、キャビネット3の左右側壁3Aの内面に固着した基台6に、一軸心点O12廻りに揺動自在に、枢着される。
【0028】
また、手前側リンク11の下端は、基台6に対して、他の軸心点O11廻りに揺動自在として枢着されている。また、手前側リンク11と奥側リンク12の上端は、各々軸心点O21,O22廻りに揺動自在として、物品収納棚1に枢着されている。
【0029】
ところで、図2図3図22に示すように、奥側リンク12の基部12Aから、前記軸心点O12を越えて下方向へ延伸する延伸突片部7が、奥側リンク12に一体形成されている。
【0030】
また、渦巻バネ5の内端5Aが差込まれたスリット付のバネ保持軸8が、回転可能に基台6に枢着されている。しかも、このバネ保持軸8には、ラジアル方向にアーム片9が突設される。渦巻バネ5の最大外周面よりも、アーム片9がラジアル方向に突出状である。
【0031】
僅かに弯曲形成の(連動)連結アーム10を介して、上記アーム片9の先端と、奥側リンク12の上記延伸突片部7とは、連結されている。
ピン13は、アーム片9と連結アーム10とを枢結するものであり、また、ピン14は、連結アーム10と延伸突片部7とを、枢結するものである。
【0032】
このようにして、渦巻バネ5によって発生した回転モーメントは、バネ保持軸8、アーム片9、連結アーム10を順次介して、奥側リンク12に伝達される。奥側リンク12は、軸心点O12廻りに、図22に於て矢印M12をもって示すモーメントを、渦巻バネ5から受けることとなる。
【0033】
次に、図22に於て、多数の点々をもって示した下辺帯状領域16は、本発明の特徴のある形状,構造,作用に、関係の深い部位であり、この領域16を中心として以下説明する。
【0034】
左右一対の上記渦巻バネ5,5は、各々、独立して、弾発付勢力を増減調整できる。その調整のため、水平状のプッシュプル杆20,20が、キャビネット3の(前方から見て)左右の下方内隅部21,21に、配設される(図1(A)(B)参照)。つまり、プッシュプル杆20,20は、前後方向に平行状かつ水平状として、キャビネット3の下方内隅部21,21に配設されている。
【0035】
また、各プッシュプル杆20は、押引用ノブ22を一体に有する(図4図5参照)。
そして、前方から見て、この押引用ノブ22は、図1(A)(B)に示すように、キャビネット3の下左右の下方内隅部21,21の前方開口端近傍に、(前方へ)露出状とする。
【0036】
また、図22に示すように、キャビネット3の前方開口部4の上辺に、開口自在に枢着具15にて枢着保持された扉18を、有する。
キャビネット3に対して扉18が閉じた閉鎖状態下で、押引用ノブ22は、扉18の下端縁部18Aよりも、下方位置に在って、図1(A)のように、前方へ露出状であるように、配設する。
【0037】
あるいは、図1(B)に示すように、キャビネット3に対して扉18が閉じた閉鎖状態下で、一部乃至全体が隠れるのを防ぐため、扉18の下端縁部18Aの左右角部を切欠いたノブ操作用切欠部19,19が形成される。
【0038】
また、図2図3に於て、左右に配設される渦巻バネ5,5の各々は、第1バネ31と第2バネ32から構成される。図2図3では、第1バネ31と第2バネ32とを、図面上で明確に判別できるように、前者(第1バネ31)を断面斜線で示し、後者(第2バネ32)はそのまま(斜線なし)で示した。
【0039】
この第1バネ31と第2バネ32は、左右各々に於て、共通の一本のバネ保持軸8の廻りに巻設状であると共に、各内端5Aは、バネ保持軸8のスリットに差込まれて係止している。
【0040】
そして、第1バネ31は、バネ保持軸8の軸心廻りの回転角度の変化状態───これを「軸心回転状態」と言う───に応じて、予め設定された弾発力変化曲線(図示省略)を示す。例えば、常時、物品収納棚1を後上方へ移動させるように平行リンク機構Zの奥側リンク12を、軸心点O12廻りに、揺動させる回転トルクを付与する。
【0041】
他方、第2バネ32は、弾発力の発生をON-OFF切換自在である。即ち、OFF状態では、常に弾発力(回転トルク)を発生せず、ON状態では、バネ保持軸8の軸心廻りの回転角度の変化状態───つまり「軸心回転状態」───に応じて、予め設定された弾発力変化曲線(図示省略)を示す。例えば、ON状態では、物品収納棚1を後上方へ移動させるように平行リンク機構Zの奥側リンク12を、軸心点O12廻りに、揺動させる回転トルクを付与する。
【0042】
従って、左右の各渦巻バネ5の弾発付勢力は、第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値となる。
そして、水平に前後移動可能なプッシュプル杆20は、第1バネ31の弾発(付勢)力の変化に関与しないで、第2バネ32のON-OFF切換に関与する。このようにして、前記弾発付勢力の合計値は、プッシュプル杆20によって、増減することとなる。
【0043】
さらに詳しく説明すると、プッシュプル杆20は、図2図5に示すように、先端(後端)に、上方開口状U字溝部23が一体形成されている。図5の具体例では、プラスチックで一体成型された場合を例示し、基端(前端)の押引用ノブ22と中間の当り用小凸部24と横断面外形状が四角形の中間連結杆部25等が、一体に形成されている。
【0044】
なお、26はスライド案内保持具であって、プッシュプル杆20の先端(前端)近傍を、水平前後方向にスライド自在として、保持する。
28は揺動係脱部材であって、第2バネ32の(V字状乃至U字状の)被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置(図3図9図11(B)参照)と、非係合位置(図2図7図11(A)参照)に、水平状第1軸心O28廻りに揺動しつつ切換わる係止突片29を、有する。
【0045】
「係合可能位置」とは、図3図9図11(B)に示した係止突片29と、(第2バネ32の)折曲げ外端32Aとの対応位置にあって、物品収納棚1の図22の矢印N1 のように引出されてゆくと、リンク機構2が連動し、連結アーム10とアーム片9を介して、バネ保持具8が(図3図9図11(B)に於て、)時計廻りに回転を起こし、第2バネ32の折曲げ外端32Aが同一方向に回転し、この折曲げ外端32Aに対して、係止突片29が係合状態となり得ることを言う。
【0046】
「非係合位置」とは、図2図7図11(A)に示すように、係止突片29と折曲げ外端32Aとの対応位置を言う。つまり、物品収納棚1の図22の矢印N1 のように引出されてゆく際に、リンク機構2が連動し、バネ保持軸8が時計廻りに回転を起こし、第2バネ32の折曲げ外端32Aが同一方向に回転しても、係止突片29が係合状態とならず、常に非係合状態となることを言う。
【0047】
しかして、揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を付設する。
上記プッシュプル杆20の先端のU字溝部23に、切換レバー30の下端30Aを差込状として係合させる。
【0048】
そして、プッシュプル杆20の前後水平移動F20,B20によって、切換レバー30を第2軸心O30廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材28を、第1軸心O28廻りに、揺動させる。
即ち、プッシュプル杆20の前端を、人の手指にて前後水平移動F20,B20させれば、第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係止突片29を、図3図9図11(B)に示したような係合可能位置と、図2図7図11(A)に示したような非係合位置に、切換えることができる。
【0049】
次に、図7図9、及び、図10図12に於て、切換レバー30に関して、以下説明する。即ち、本発明に係る切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、このレバー本体34に一体状として固着された金属製バネ線材35と、から成っている。
【0050】
そして、上記バネ線材35は、断面円形の線材であり、図10に示すように横倒「7の字」形状、又は、角張った横倒「Jの字」形状である。しかも、プラスチック製レバー本体34に孔部や凹溝部を設けて、この孔部や凹溝部に、バネ線材35の基部を、圧入状に一体化している。
【0051】
但し、上辺線部35Aは、露出状として、矢印M35の如く上方への弾発付勢力を発揮する。
即ち、図10のように装着する以前の自由状態下では、上辺線部35Aは、先端36が同図よりも上方位置として、右上がり傾斜姿勢であり、図10の装着状態下では、矢印M35のような弾発付勢力を生ずる。
【0052】
具体的には、水平状第1軸心O28廻りに揺動自在な揺動係脱部材28の小凹窪部28Cに
対して、上辺線部35Aが係止状態で矢印F35の如く弾発付勢する。
このようにして、揺動係脱部材28の係止突片29が、図11(B)に示したような、第2バネ32の折曲げ外端32Aに対しての係合可能位置と、図11(A)に示したような、第2バネ32の折曲げ外端32Aに対しての非係合位置の、いずれか一方に、上辺線部35Aの小凹窪部28Cへの弾発的押圧によって、静止保持される。
【0053】
なお、図11(A)に於て、揺動係脱部材28が、さらに反時計廻り方向に揺動しないためのストッパが付設されている(図示省略)。また、図11(B)に於て、揺動係脱部材28が、さらに時計廻り方向に揺動しないためのストッパが付設されている(図示省略)。
【0054】
また、図11(A)と図11(B)の揺動の中間位置では、切換レバー30のバネ線材35の上辺線部35Aは、最も下方へ圧縮した状態となり、いわゆる「デッドポイント」を越さねばならない。故に、プッシュプル杆20を操作しない状況下では、図11(A)と図11(B)の間で、不意に切換わることがない。
図8及び図10は、上記デッドポイントを越えている最中の状態を示している。
【0055】
次に、図13図19は、本発明の別の実施形態を示す。
前述の図1図12と共通した構成から、まず、説明すれば、物品収納棚1を、リンク機構2を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット3の内部に取付け、さらに、物品収納棚1の収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5を、キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設し、さらに、キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有している。
【0056】
そして、渦巻バネ5,5の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構38を具備している。この操作機構38は、左右方向Kに移動可能な指掛け片41と、短寸プッシュプル杆50と、指掛け片41と短寸プッシュプル杆50とを連動連結する連結アーム42とを、備える。
具体的には、平面的に見て完全な左右方向ではなく、僅かに傾斜したガイド溝43に沿って、指掛け片41は、左右方向Kに移動するよう、取着されている。
【0057】
短寸プッシュプル杆50は、渦巻バネ5の近傍に配設されると共に、前記スライド案内保護具26にて、前後水平方向に、往復動可能である。
連結アーム42は、一対の鉛直状ピン44,44によって、指掛け片41・短寸プッシュプル杆50に連結される。
【0058】
また、短寸プッシュプルピン50は、後端に、U字溝部23を有して、切換レバー30の下端30Aが、このU字溝部23に、係合状に差込まれている。この点は、図2図5に於て既述したプッシュプル杆20と、全く同様である。
【0059】
そして、キャビネット3に対して扉18が閉じた閉鎖状態下で、指掛け片41は、図13図15に示す如く、扉18の下端縁部18Aよりも、上方位置に在って、指掛け片41が扉18にて隠れていると共に、人の手を(下端縁部18Aに沿って)左右方向へ動かして、指掛け片41を、容易に操作できる。
【0060】
なお、図14図15に於ては、図2図3に図示した渦巻バネ5及び折り曲げ外端32A等を図示省略しているが、切換レバー30の前後揺動に伴って、既説の図2図3、及び、図7図11と、同様の作動及び作用効果を奏する。
【0061】
即ち、図13図19に示した本発明の別の実施形態に於ても、図1図12の実施形態の場合と同様に、左右の各渦巻バネ5は、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ31と、弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ32と、から構成され、各渦巻バネ5の弾発付勢力は、第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値であって、短寸プッシュプル杆50は、第1バネ31の弾発力変化に関与せずに、第2バネ32のON-OFF切換に関与することによって、弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている。
【0062】
さらに、短寸プッシュプル杆50は、先端に上方開口状U字溝部23が一体形成されており、第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片29を有する揺動係脱部材28を、備え、さらに、揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を有すると共に、短寸プッシュプル杆50の先端にU字溝部23に、切換レバー30の下端30Aを差込状として係合させ、短寸プッシュプル杆50の前後水平移動F50,B50によって、切換レバー30を第2軸心O30廻りに揺動させて、揺動係脱部材28を第1軸心O28廻りに揺動させ、第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係止突片29を、係合可能位置と非係合位置に、切換えるように、構成されている。
【0063】
しかも、切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、レバー本体34に一体状に固着された金属製バネ線材35と、から成ると共に、バネ線材35が、レバー本体34の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部35Aを有し、さらに、揺動係脱部材28は、上辺線部35Aが弾発的に、当接する小凹窪部28Cを有し、揺動係脱部材28が、係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上辺線部35Aが小凹窪部28Cを弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成された。
【0064】
次に、図20図21は、本発明のさらに他の実施形態を示している。
既説の図1図12と共通した構成から説明すれば、物品収納棚1を、リンク機構2を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット3の内部に取付け、さらに、物品収納棚1の収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5を、キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設し、さらに、キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有している。
【0065】
そして、図20図21に於て、渦巻バネ5,5の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構45を具備している。この操作機構45は、鉛直状第1軸心L46廻りに揺動する揺動操作アーム46と、この操作アーム46の後端46Aによって、鉛直状第2軸心L47廻りに(矢印M47のように)揺動させられる揺動板47とを、備えている。
この揺動板47は、上記第2軸心L47に沿った枢支軸にて枢支され、矢印M47のように、揺動する。
【0066】
また、揺動板47は上方へ突出状の鉛直軸から成る当り杆48を有し、この当り杆48が、切換レバー30の下端に当接できる。
即ち、当り杆(鉛直軸)48が切換レバー30に当接して、切換レバー30を第2軸心O30廻りに揺動させる。
【0067】
そして、キャビネット3に対して扉18が閉じた閉鎖状態下で、揺動操作アーム46の前端46Cが、扉18の下端縁部18Aよりも、上方位置に在って、扉18の正面前方から見て、前端46Cが隠れていると共に、扉18の下端縁部18Aの下面に沿って、人の手を左右方向(図20の矢印N46参照)へ動かせば、前端46Cを介して、操作アーム46を、操作できる。
なお、摘み46Gを、図21に示したように、前端46Cに付設するも好ましい。但し、摘み46Gの下端を、扉18の下端縁18Aと、同じ高さ位置、乃至、それより僅かに上方位置とする。
【0068】
そして、図20図21に示すように、揺動操作アーム46の前端46Cを、人の手指によって、矢印N46の方向に揺動させれば、揺動板47が(矢印M47の如く、)第2軸心L47廻りに揺動して、切換レバー30を、第2軸心O30廻りに揺動させることができる。
そして、図20図21に示した実施形態に於ても、図1図19にて既に説明した2つの実施形態と同様に、左右の各渦巻バネ5は、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ31と、弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ32と、から構成され、各渦巻バネ5の弾発付勢力は、第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値であって、揺動板47は、第1バネ31の弾発力変化に関与せずに、第2バネ32のON-OFF切換に関与することによって、弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されている。(但し、図20図21では独自の構成としての「揺動板47」等が新たに付加される。
【0069】
さらに、図1図19にて既に説明した2つの実施形態と同様に、揺動板47は、上方突出状の当り杆48を有し、第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片29を有する揺動係脱部材28を、備え、さらに、揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を有すると共に、揺動板47の当り杆48を、切換レバー30の下端に当接させ、揺動板47の揺動によって、切換レバー30を第2軸心O30廻りに揺動させて、揺動係脱部材28を第1軸心O28廻りに揺動させ、第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係止突片29を、係合可能位置と非係合位置に、切換えるように、構成されている。(但し、図20図21では独自の構成として「揺動板47及び当り杆48」等が付加される。)
【0070】
また、図20図21の実施形態に於ても、切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、レバー本体34に一体状に固着された金属製バネ線材35と、から成ると共に、バネ線材35が、レバー本体34の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部35Aを有し、さらに、揺動係脱部材28は、上辺線部35Aが弾発的に、当接する小凹窪部28Cを有し、揺動係脱部材28が、係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上辺線部35Aが小凹窪部28Cを弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されている。
【0071】
なお、本発明は図示の実施の形態に限定されず、設計変更可能であって、例えば、リンク機構2が種々変更自由であり、また、基台6を水平前後方向に移動可能とするレール機構を、キャビネット3の左右側面に付設しても自由である。
【0072】
本発明は、以上詳述したように、物品収納棚1を、リンク機構2を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット3の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚1の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5を、上記キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設した昇降収納装置に於て;上記渦巻バネ5,5の弾発付勢力を、各々、増減調整させるプッシュプル杆20,20が上記キャビネット3の左右の下方内隅部21,21に、水平状に配設されると共に;上記プッシュプル杆20,20の押引用ノブ22,22を、上記キャビネット3の上記下方内隅部21,21の前方開口端近傍に配設したので、渦巻バネ5,5の弾発付勢力の増減調整作業は、前面(正面)側から、容易かつ確実・迅速に行うことができる。しかも、昇降収納装置を水平固定載置部の上に載せる「載置式構造」にも何ら支障がない。即ち、従来例の図23に示したように、底壁52Bから下方へ切換レバー55が突出することがなくなり、本発明では、「載置式構造」で設置することも、可能となる。
【0073】
また、上記キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有し;上記キャビネット3に対して上記扉18が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブ22が、上記扉18の下端縁部18Aよりも、下方位置に在って、前方へ露出状であるので、扉18に特別な加工が不要である。また、図1(A)及び図6のように、前面(正面)から押引用ノブ22を目で確かめながら、容易かつ迅速に、渦巻バネ5,5の弾発付勢力の増減調整作業を、行い得る。
【0074】
また、上記キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有し;上記キャビネット3に対して上記扉18が閉じた閉鎖状態下で、上記押引用ノブ22が、上記扉18にて一部乃至全体が隠れるのを防ぐため、上記扉18の下端縁部18Aの左右角部を切欠いたノブ操作用切欠部19,19が、形成されているので、図1(B)に示すように、前面(正面)から押引用ノブ22を操作することができて至便である。
【0075】
また、左右の上記各渦巻バネ5は;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ31と;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ32と;から構成され;上記各渦巻バネ5の弾発付勢力は、上記第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値であって;上記プッシュプル杆20は、上記第1バネ31の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ32のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されているので、物品収納棚1に載置収納した物品の総重量の大小に柔軟に対応できる。即ち、載置収納された物品の総重量の大小変化に柔軟に対応して、物品収納棚1を、常に軽くかつスムーズに、昇降操作できて至便である。
【0076】
また、上記プッシュプル杆20は、先端に上方開口状U字溝部23が一体形成されており;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片29を有する揺動係脱部材28を、備え;さらに、上記揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、上記第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を有すると共に;上記プッシュプル杆20の先端に上記U字溝部23に、上記切換レバー30の下端30Aを差込状として係合させ;上記プッシュプル杆20の前後水平移動F20,B20によって、上記切換レバー30を上記第2軸心O30廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材28を上記第1軸心O28廻りに揺動させ;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、上記係止突片29を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されているので、各部材の組込み(組立て)作業が容易となる。しかも、第2バネ32を上記係合可能位置と非係合位置に、確実かつ簡単・迅速に、切換えることが可能である。
【0077】
また、上記切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、該レバー本体34に一体状に固着された金属製バネ線材35と、から成ると共に、上記バネ線材35が、上記レバー本体34の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部35Aを有し;さらに、上記揺動係脱部材28は、上記上辺線部35Aが弾発的に、当接する小凹窪部28Cを有し;上記揺動係脱部材28が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部35Aが上記小凹窪部28Cを弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されているので、狭小なスペースに、小型かつシンプルな形状のバネ線材35は、設置でき、しかも、取付のための小部品も不要であって、部品点数も極めて少なくて済み、コスト低減も図り得る利点もある。しかも、耐久性にも優れ長寿命で故障も発生しにくい。さらに、揺動係脱部材28の切換作動が、円滑かつ確実に行われる利点もある。
【0078】
また、本発明は、物品収納棚1を、リンク機構2を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット3の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚1の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5を、上記キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有する昇降収納装置に於て;上記渦巻バネ5,5の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構38を、備え;該操作機構38は、左右方向Kに移動可能な指掛け片41と、上記渦巻バネ5の近傍に配設されて前後水平方向に往復動可能な短寸プッシュプル杆50と、上記指掛け片41の左右方向への移動を上記短寸プッシュプル杆50の往復動に変換する連結アーム42を、具備し;さらに、上記キャビネット3に対して上記扉18が閉じた閉鎖状態下で、上記指掛け片41が、上記扉18の下端縁部18Aよりも、上方位置に在って、上記指掛け片41が扉18にて隠れていると共に、上記下端縁部18Aに沿って人の手を左右方向へ動かして上記指掛け片41を操作可能とした構成であるので、渦巻バネ5,5の弾発付勢力の増減調整作業は、前面(正面)側から指掛け片41を、人の手で左右へ移動させつつ、容易に、かつ迅速スムーズに行うことができ、かつ、前面(正面)から見て、全体がすっきりとしてシンプルな美しいものとなる。しかも、全体を、水平固定載置部の上に載せる「載置式構造」にも、何ら支障がない。
【0079】
また、左右の上記各渦巻バネ5は;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ31と;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ32と;から構成され;上記各渦巻バネ5の弾発付勢力は、上記第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値であって;上記短寸プッシュプル杆50は、上記第1バネ31の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ32のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されているので、物品収納棚1に載置収納した物品の総重量の大小に柔軟に対応できる。即ち、載置収納された物品の総重量の大小変化に柔軟に対応して、物品収納棚1を、常に軽くかつスムーズに、昇降操作できて至便である。
【0080】
また、上記短寸プッシュプル杆50は、先端に上方開口状U字溝部23が一体形成されており;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片29を有する揺動係脱部材28を、備え;さらに、上記揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、上記第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を有すると共に;上記短寸プッシュプル杆50の先端に上記U字溝部23に、上記切換レバー30の下端30Aを差込状として係合させ;上記短寸プッシュプル杆50の前後水平移動F50,B50によって、上記切換レバー30を上記第2軸心O30廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材28を上記第1軸心O28廻りに揺動させ;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、上記係止突片29を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されているので、各部材の組込み(組立て)作業が容易となる。しかも、第2バネ32を上記係合可能位置と非係合位置に、確実かつ簡単・迅速に、切換えることが可能である。
【0081】
また、上記切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、該レバー本体34に一体状に固着された金属製バネ線材35と、から成ると共に、上記バネ線材35が、上記レバー本体34の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部35Aを有し;さらに、上記揺動係脱部材28は、上記上辺線部35Aが弾発的に、当接する小凹窪部28Cを有し;上記揺動係脱部材28が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部35Aが上記小凹窪部28Cを弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されているので、狭小なスペースに、小型かつシンプルな形状のバネ線材35は、設置でき、しかも、取付のための小部品も不要であって、部品点数も極めて少なくて済み、コスト低減も図り得る利点もある。しかも、耐久性にも優れ長寿命で故障も発生しにくい。さらに、揺動係脱部材28の切換作動が、円滑かつ確実に行われる利点もある。
【0082】
また、本発明は、物品収納棚1を、リンク機構2を介して、手前下方への引出しと、後上方への収納作動とを行うように、キャビネット3の内部に取付け、さらに、上記物品収納棚1の上記収納作動を補助するために後上方へ弾発付勢する渦巻バネ5,5を、上記キャビネット3の左右側壁3A,3Aの各内面近傍に、配設し、さらに、上記キャビネット3の前方開口部4の上辺に開閉自在に枢着保持された扉18を有する昇降収納装置に於て;上記渦巻バネ5,5の弾発付勢力を、各々、増減調整させる操作機構45を、備え;該操作機構45は、鉛直状第1軸心L46廻りに揺動する揺動操作アーム46と、該揺動操作アーム46の奥方後端46Aによって鉛直状第2軸心L47廻りに揺動させられる揺動板47とを、具備し;さらに、上記キャビネット3に対して上記扉18が閉じた閉鎖状態下で、上記揺動操作アーム46の前端46Cが、上記扉18の下端縁部18Aよりも、上方位置に在って、上記前端46Cが扉18にて隠れていると共に、上記下端縁部18Aの下面に沿って人の手を左右方向へ動かして上記前端46Cを介して上記操作アーム46を操作可能としたので、渦巻バネ5,5の弾発付勢力の増減調整作業は、前面(正面)側から揺動操作アーム46の前端46Cを、人の手で左右へ移動させつつ、容易に、かつ迅速スムーズに行うことができ、かつ、前面(正面)から見て、全体がすっきりとしてシンプルな美しいものとなる。しかも、全体を、水平固定載置部の上に載せる「載置式構造」にも、何ら支障がない。
【0083】
また、左右の上記各渦巻バネ5は;軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第1バネ31と;弾発力の発生がON-OFF切換自在であって、OFF状態では、常に弾発力が発生せず、ON状態では、軸心回転状態に応じて予め設定された弾発力変化曲線を示す第2バネ32と;から構成され;上記各渦巻バネ5の弾発付勢力は、上記第1バネ31の弾発付勢力と第2バネ32の弾発付勢力との合計値であって;上記揺動板47は、上記第1バネ31の弾発力変化に関与せずに、上記第2バネ32のON-OFF切換に関与することによって、上記弾発付勢力の合計値を増減させるよう構成されているので、物品収納棚1に載置収納した物品の総重量の大小に柔軟に対応できる。即ち、載置収納された物品の総重量の大小変化に柔軟に対応して、物品収納棚1を、常に軽くかつスムーズに、昇降操作できて至便である。
【0084】
また、上記揺動板47は、上方突出状の当り杆48を有し;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、係合可能位置と非係合位置に揺動しつつ切換わる係止突片29を有する揺動係脱部材28を、備え;さらに、上記揺動係脱部材28を、水平状第1軸心O28廻りに揺動させるように、上記第1軸心O28と平行な第2軸心O30廻りに揺動可能な切換レバー30を有すると共に;上記揺動板47の上記当り杆48を、上記切換レバー30の下端に当接させ;上記揺動板47の揺動によって、上記切換レバー30を上記第2軸心O30廻りに揺動させて、上記揺動係脱部材28を上記第1軸心O28廻りに揺動させ;上記第2バネ32の被係合用折曲げ外端32Aに対して、上記係止突片29を、上記係合可能位置と非係合位置に、切換えるように;構成されているので、各部材の組込み(組立て)作業が容易となる。しかも、第2バネ32を上記係合可能位置と非係合位置に、確実かつ簡単・迅速に、切換えることが可能である。
【0085】
また、上記切換レバー30は、プラスチック製レバー本体34と、該レバー本体34に一体状に固着された金属製バネ線材35と、から成ると共に、上記バネ線材35が、上記レバー本体34の上辺から、斜め方向に突出状として弾性変形自在な上辺線部35Aを有し;さらに、上記揺動係脱部材28は、上記上辺線部35Aが弾発的に、当接する小凹窪部28Cを有し;上記揺動係脱部材28が、上記係合可能位置と非係合位置のいずれか一方に、上記上辺線部35Aが上記小凹窪部28Cを弾発的に押圧して、静止保持されるように、構成されているので、狭小なスペースに、小型かつシンプルな形状のバネ線材35は、設置でき、しかも、取付のための小部品も不要であって、部品点数も極めて少なくて済み、コスト低減も図り得る利点もある。しかも、耐久性にも優れ長寿命で故障も発生しにくい。さらに、揺動係脱部材28の切換作動が、円滑かつ確実に行われる利点もある。
【符号の説明】
【0086】
1 物品収納棚
2 リンク機構
3 キャビネット
3A 左右側壁
4 前方開口部
5 渦巻バネ
18 扉
18A 下端縁部
19 切欠部
20 プッシュプル杆
21 下方内隅部
22 押引用ノブ
23 U字溝部
28 揺動係脱部材
28C 小凹窪部
29 係止突片
30 切換レバー
30A 下端
31 第1バネ
32 第2バネ
32A 折曲げ外端
34 レバー本体
35 バネ線材
35A 上辺線部
38 操作機構
41 指掛け片
42 連結アーム
45 操作機構
46 揺動操作アーム
46A 後端
46C 前端
47 揺動板
48 当り杆
50 短寸プッシュプル杆
20 後水平移動
50 第2軸心
20 前水平移動
50 第1軸心
K 左右方向
46 第1軸心
47 第2軸心
28 第1軸心
30 第2軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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