(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023128830
(43)【公開日】2023-09-14
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/50 20060101AFI20230907BHJP
【FI】
B66B1/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022033460
(22)【出願日】2022-03-04
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502KA22
3F502KA31
(57)【要約】
【課題】種々の検出ができるエレベータを提供することを課題とする。
【解決手段】移動路2と、前記移動路2内に設けられ、且つ前記移動路2内で移動可能な乗りかご3と、前記移動路2内における前記乗りかご3の移動経路に合わせて設けられ且つ凹凸形状 である複数の被検出体と、前記乗りかご3の移動に伴って移動し、且つ前記被検出部の凹凸形状を読み取る読取部を備える検出部と、を備えるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動路と、
前記移動路内に設けられ、且つ前記移動路内で移動可能な乗りかごと、
前記移動路内における前記乗りかごの移動経路に合わせて設けられ且つ凹凸形状である複数の被検出体と、
前記乗りかごの移動に伴って移動し、且つ前記被検出体の凹凸形状を読み取る読取部を備える検出部と、を備える、
エレベータ。
【請求項2】
前記複数の被検出体には、
標準とする凹凸形状の標準被検出体と、
前記標準被検出体とは異なる凹凸形状の異形被検出体と、が含まれる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記読取部による被検出体の検出結果に基づいて処理を行う処理手段を備え、
前記複数の被検出体には、複数の前記異形被検出体が含まれ、
複数の前記異形被検出体には、凹凸形状が特殊な特徴を有する特殊被検出体が含まれ、
前記処理手段は、前記読取部による前記特殊被検出体の検出結果に基づいて前記乗りかごの絶対位置を導出するように構成される、
請求項2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記複数の被検出体は、前記移動経路に沿って並べて配置され、
前記移動経路に沿う方向において隣り合う前記検出体の凹凸形状が異なる、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗りかごの移動に際して検出を行うエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているような、昇降路内に設置されている複数のかご位置センサーと、乗りかごに設けられているトリガーであって、かご位置センサーを動作させるための検出動作をとるトリガーとで構成される検出手段を備えている。
【0003】
複数のかご位置センサーには、昇降路内における絶対位置が設定されており、乗りかごの移動に伴ってトリガーがかご位置センサーを動作させる検出動作をとると、かご位置センサーに設定されている絶対位置がエレベータ全体の制御を司る制御箱に送信されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記エレベータでは、複数のかご位置センサーに設定されている絶対位置がそれぞれ異なるものとなっているが、トリガーがかご位置センサーを動作させている最中の状態、すなわち、トリガーがかご位置センサーを検出している最中の状態は常に同じであるため、検出自体にバリエーションを付けることができなかった。
【0006】
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、種々の検出ができるエレベータの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエレベータは、
移動路と、
前記移動路内に設けられ、且つ前記移動路内で移動可能な乗りかごと、
前記移動路内における前記乗りかごの移動経路に合わせて設けられ且つ凹凸形状である複数の被検出体と、
前記乗りかごの移動に伴って移動し、且つ前記被検出部の凹凸形状を読み取る読取部を備える検出部と、を備える。
【0008】
上記構成のエレベータによれば、被検出部の凹凸形状に応じて読取部が被検出体を検出している最中の状態が変わるため、読取部での被検出部の検出にバリエーションを付けることができる。
【0009】
本発明のエレベータにおいて、
前記複数の被検出体には、
標準とする凹凸形状の標準被検出体と、
前記標準被検出体とは異なる凹凸形状の異形被検出体と、が含まれるようにしてもよい。
【0010】
上記構成のエレベータによれば、標準被検出体を検出している最中の読取部の状態を標準的な状態とすると、かかる状態を基準として、読取部が異形被検出体を検出している最中の読取部の状態にバリエーションを付けることができるようになる。
【0011】
本発明のエレベータにおいて、
前記読取部による被検出体の検出結果に基づいて処理を行う処理手段を備え、
前記複数の被検出体には、複数の前記異形被検出体が含まれ、
複数の前記異形被検出体には、凹凸形状が特殊な特徴を有する特殊被検出体が含まれ、
前記処理手段は、前記読取部による前記特殊被検出体の検出結果に基づいて前記乗りかごの絶対位置を導出するように構成されるようにしてもよい。
【0012】
上記構成のエレベータによれば、異形被検出体を検出している最中の読取部の状態のなかでも、特殊被検出体を検出している最中の読取部の状態が特殊被検出体以外の異形被検出体を検出している最中の読取部の状態に対して特殊な状態になる。
【0013】
また、絶対位置は誤検出を防止する必要性が高い情報であるが、上記構成のエレベータでは、処理部が読取部による特殊被検出体の検出結果に基づいて乗りかごの絶対位置を導出するように構成されているため、乗りかごの絶対位置の誤検出を抑制できるようになっている。
【0014】
本発明のエレベータは、
前記複数の被検出体は、前記移動経路に沿って並べて配置され、
前記移動経路に沿う方向において隣り合う前記検出体の凹凸形状が異なるようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、読取部が被検出体を検出する度に、被検出体を検出している最中の読取部の状態が、直前に被検出体を検出した際の読取部の状態とは異なる状態になるため、被検出体を検出している最中の読取部の状態にバリエーションを付けやすくなる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明のエレベータは、種々の検出ができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータの概要図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るエレベータの移動路の内部を正面から見た図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線における断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るエレベータにおける乗りかごの背面側の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3のV-V線に対応する位置でのガイドレールの断面図である。
【
図6】
図6において、(a)、(b)、(c)は被検出体の一例の説明図である。
【
図7】
図7は、同実施形態に係るエレベータにおける処理手段のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態にかかるエレベータについて、添付図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係るエレベータは、乗りかごの移動に伴って検出動作をとる検出手段を備えるものである。
【0019】
より具体的に説明すると、エレベータ1は、
図1に示すように、移動路2と、移動路2内に設けられ、且つ移動路2内で移動可能な乗りかご3と、乗りかご3の移動に伴って検出動作をとるように構成される検出手段4(
図2、
図3参照)と、検出手段4による検出結果に基づいて処理を行う処理手段5と、を備えている。
【0020】
本実施形態の移動路2は水平方向に延びており、この移動路2の内面には乗りかご3を水平方向に案内するためのガイドレール6が設置されている。ガイドレール6は、乗りかご3の移動方向(水平方向)に沿って延びている。
【0021】
乗りかご3の背面(出入口が形成されている一面とは反対側の一面)には、ガイドレール6によって案内される被案内部7が取り付けられている。
【0022】
検出手段4は、
図3に示すように、移動路2内における乗りかご3の移動経路に合わせた位置に配置される複数の被検出体であって、凹凸形状に構成されている複数の被検出体40と、乗りかご3の背面側に配置され、且つ被検出体40を検出可能な検出部41と、を有する。
【0023】
本実施形態の検出手段4では、検出部41が被案内部7に取り付けられており(すなわち、乗りかご3に対して間接的に取り付けらており)、乗りかご3が移動すると検出部41が乗りかご3と同方向に移動するようになっている。また、検出部41は、検出方向が乗りかご3に対して後ろ向きになるようにして被案内部7に取り付けられている。
【0024】
そのため、検出部41によって被検出体40を読取可能な領域(以下、読取領域と称する)は、乗りかご3よりも後ろ側(前記読取方向における検出部41の前方)において乗りかご3が移動する方向と同じ方向に拡がっている(
図5)。
【0025】
なお、以下の説明においては、移動路2内において乗りかご3が移動する方向を移動方向と称し、該移動方向に直交する方向を直交方向と称する。
【0026】
複数の被検出体40は、
図5に示すように、前記読取領域内に配置されている。また、複数の被検出体40は、移動方向(移動経路)に沿って並んでいる。
【0027】
複数の被検出体40には、前記直交方向における配置位置が互いに異なるものが含まれている。より具体的に説明すると、検出手段4では、前記移動方向に沿って並ぶ複数の被検出体40を一群にした被検出体40群が複数構成されている。
【0028】
複数の被検出体40群は、前記直交方向において互いの間に間隔をあけて並んでいる。本実施形態の検出手段4では、2つの被検出体40群が構成されており、これら2つの被検出体40群は、前記直交方向で互いに離れた位置に配置されている。
【0029】
検出部41は、
図7に示すように、被検出体40の凹凸形状を読み取る読取部410と、読取部410による被検出体40の読取結果を検出結果情報として出力する出力部411と、を有する。
【0030】
読取部410は、乗りかご3(本実施形態では被案内部7)に対して後ろ向きに取り付けられており、これにより、検出部41の読取方向が後ろ向きになるように構成されている。なお、読取部410はガイドレール6に形成されている溝の底面に向けて配置されている。
【0031】
検出手段4が有する検出部41の数は1つであっても複数であってもよいが、本実施形態の検出手段4は、
図4に示すように、複数の検出部41を有している。
【0032】
複数の検出部41には、前記直交方向における配置位置が互いに異なるものが含まれている。本実施形態の複数の検出部41には、前記直交方向における配置位置が異なる2種類の検出部41が含まれている。そのため、前記直交方向における配置位置が異なる2種類の検出部41によって、2つの検出領域が設定されるようになっている。
【0033】
そのため、2つの検出領域のそれぞれに配置する被検出体40の凹凸形状や配置位置を同一にすれば、被検出体40を検出している最中の一方の種類の検出部41の状態と、被検出体40を検出している最中の他方の種類の検出部41の状態とを同じ状態にでき、また、2つの検出領域のそれぞれに配置する被検出体40の凹凸形状や配置位置を変化させると、被検出体40を検出している最中の一方の種類の検出部41の状態と、被検出体40を検出している最中の他方の種類の検出部41の状態とを異なる状態にすることができる。
【0034】
また、複数の検出部41には、前記移動方向に沿って並ぶものが含まれている。
【0035】
このようにすれば、前記移動方向において並ぶ複数の検出部41のうちの何れかが被検出体40の検出を行っている状態にすることで、検出部41が被検出体40の検出を行っていない非検出時間を抑えることができるようになる。
【0036】
読取部410は、読取部410の読取方向(読取部410と被検出体40とが対向する方向)における被検出体40の形状の変化を読み取るように構成されている。
【0037】
ここで、被検出体40の凹凸形状とは、被検出体40の表面に凹凸で表される模様(以下、凹凸模様と称する)や、被検出体40の設置面に対する高低差(
図6(c)参照)、外周形状(
図5参照)のことである。また、凹凸模様とは、例えば、二次元コード(
図6(a)参照)やバーコード(
図6(b)参照)のことである。
【0038】
出力部411は、読取部410で読み取った凹凸模様や、読取部410で読み取った被検出体40の高さ、被検出体40の外周形状に応じて異なる検出結果情報を出力するように構成されている。そのため、被検出体40の凹凸形状が変わると、被検出体40を検出している最中の検出部41の状態も変わるため、出力部411から出力される検出結果情報の内容も変化するようになっている。
【0039】
複数の被検出体40には、
図5に示すように、標準とする凹凸形状の複数の標準被検出体400と、標準被検出体400とは異なる凹凸形状の複数の異形被検出体401とが含まれていてもよい。
【0040】
この場合、複数の標準被検出体400は、全て同じ凹凸形状であることが好ましい。
【0041】
複数の異形被検出体401には、さらに、凹凸形状が特殊な特徴を有する複数の特殊被検出体401aが含まれている。
【0042】
複数の特殊被検出体401aは、全て同じ凹凸形状であることが好ましい。特殊被検出体401aは、標準被検出体400の凹凸形状や異形被検出体401のうちの特殊被検出体401a以外の被検出体401bの凹凸形状に対して特殊な特徴を持つように形成されていればよく、例えば、凹凸模様が標準被検出体400や異形被検出体401のうちの特殊被検出体401a以外の被検出体401bにない模様に形成されていたり、高さが標準被検出体400や異形被検出体401のうちの特殊被検出体401a以外の被検出体401bにはない高さに設定されていたり、外周形状が標準被検出体400や異形被検出体401のうちの特殊被検出体401a以外の被検出体401bにはない外周形状に形成されていたりすればよい。
【0043】
なお、本実施形態では、複数の被検出体40が外周形状の違いに応じて種類分けされているが、複数の被検出体40は、凹凸模様や、高低差の違いに応じて種類分けされていても良いし、凹凸模様、高低差、外周形状の組み合わせにより種類分けしても良い。
【0044】
また、出力部411は、読取部410が1つの被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されていてもよいし、読取部410が複数の被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されていてもよい。
【0045】
出力部411が、複数の被検出体40の凹凸形状を読取部410で読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合、複数の被検出体40の配置間隔に応じても読取部410が被検出体40を検出している最中の状態が変わり、出力部411から出力する検出結果情報も変化するようになる。
【0046】
また、出力部411が、複数の被検出体40の凹凸形状を読取部410で読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合、凹凸形状の異なる被検出体40の並び順に応じても読取部410が被検出体40を検出している最中の状態が変わり、出力部411から出力する検出結果情報も変化するようになる。
【0047】
なお、読取部410は、所謂、レーザセンサであることが好ましい。このようにすれば、読取部410と被検出体40との間の読取環境により、読取部410での被検出体40の読取動作(検出動作)が制約を受けてしまうことを抑制し易くなる。
【0048】
また、リニアエンコーダー(磁気式非接触)を用いる場合、検出器と被検出体の間の距離(検出距離)が広くなると検出器で被検出体を検出できない状態になるが、本実施形態の検出手段4では、被検出体40の形状を検出する(エッジの検出を含む)ように構成されているため、被検出体40と検出部41の間の距離を広くとった状態であっても、検出部41で被検出体40を検出することができる。
【0049】
このように、本実施形態の検出手段4は、検出部41と被検出体40の間の検出距離による制約を受けにくく、また、長距離になる程コスト面で有利となる。
【0050】
処理手段5は、例えば、乗りかご3に設置されるマイコンによって構成されていればよい。
【0051】
本実施形態の処理手段5は、
図7に示すように、検出部41の出力部411から出力された検出結果情報に基づいて、乗りかご3の移動に関連する情報である移動関連情報を導出する移動関連情報導出手段50と、移動関連情報導出手段50が導出した移動関連情報に基づいて乗りかご3を制御する乗りかご制御手段51と、を有する。
【0052】
移動関連情報導出手段50が導出する移動関連情報とは、例えば、乗りかご3の位置情報や、乗りかご3の移動速度、乗りかご3の移動距離等のことである。
【0053】
乗りかご3の位置情報とは、例えば、移動路2内における絶対位置や、移動路2内の所定の位置に対する相対位置等を示す情報のことである。
【0054】
なお、本実施形態の処理手段5は、読取部410による特殊被検出体401aの検出結果を示す読取結果情報に基づいて乗りかご3の絶対位置を導出するように構成されていることが好ましい。
【0055】
異形被検出体401を検出している最中の読取部410の状態のなかでも、特殊被検出体401aを検出している最中の読取部410の状態が特殊被検出体401a以外の異形被検出体401を検出している最中の読取部410の状態に対して特殊な状態になる。
【0056】
また、絶対位置は誤検出を防止する必要性が高い情報であるが、本実施形態のエレベータ1では、処理部が読取部410による特殊被検出体401aの検出結果に基づいて乗りかご3の絶対位置を導出するように構成されているため、乗りかご3の絶対位置の誤検出を抑制できるようになる。
【0057】
乗りかご制御手段51は、移動関連情報導出手段50によって導出された移動関連情報に基づいて、例えば、乗りかご3の移動先を決定したり、乗りかご3の速度を調整したりするように構成される。
【0058】
本実施形態に係るエレベータ1の構成は、以上の通りである。続いて、エレベータ1の動作について説明する。
【0059】
乗りかご3が移動路2内を移動すると、読取部410が乗りかご3と同方向に移動する。
【0060】
そして、読取部410が被検出体40に対向する位置に到達すると、読取部410が被検出体40の凹凸形状を読み取り、読取部410による被検出体40の凹凸形状の読み取り結果が検出結果情報として出力部411から出力される。
【0061】
また、出力部411は、読取部410で1つの被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合、読取部410で1つの被検出体40の凹凸形状を読み取る度に検出結果情報を出力し、被検出体40の凹凸形状が変化していれば、出力する検出結果情報の内容も変わるようになっている。
【0062】
また、出力部411は、読取部410で複数の被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合、読取部410で複数の被検出体40の凹凸形状を読み取る度に検出結果情報を出力し、複数の被検出体40の配置間隔や、複数の被検出体40の凹凸形状の種類の並び順等が変化していれば、出力する検出結果情報の内容も変わるようになっている。
【0063】
処理手段5では、出力部411から出力された検出結果情報に基づいて移動関連情報導出手段50で移動関連情報が導出され、続いて、移動関連情報導出手段50が導出した移動関連情報に基づいて乗りかご制御手段51による乗りかご3の制御が行われる。
【0064】
以上のように、本実施形態のエレベータ1によれば、移動路2内に乗りかご3の移動経路に合わせて設けた凹凸形状である複数の被検出体40を検出部41で検出する(読取部410で読み取る)ように構成されているため、検出部41の凹凸形状に応じて読取部410が被検出体40を検出している最中の状態が変わり、これにより、読取部410での被検出部41の検出にバリエーションを付けることができるようになっている。
【0065】
従って、本実施形態のエレベータ1は、種々の検出ができるという優れた効果を奏し得る。
【0066】
さらに、検出手段4では、被検出体40の凹凸形状(立体形状)が検出対象とされているため、検出対象が2次元平面に表されているものである場合に比べて、ハイライトや、暗中、煙中等のような視界の悪い環境下であっても検出対象である被検出体40を適切に検出することができる。
【0067】
また、複数の被検出体40に、標準とする凹凸形状の標準被検出体400と、標準被検出体400とは異なる凹凸形状の異形被検出体401と、が含まれていれば、標準被検出体400を検出している最中の読取部410の状態を標準的な状態とすると、かかる状態を基準として、読取部410が異形被検出体401を検出している最中の読取部410の状態にバリエーションを付けることができるようになる。
【0068】
また、複数の被検出体40に複数の異形被検出体401が含まれ、且つ複数の異形被検出体401に凹凸形状が特殊な特徴を有する特殊被検出体401aが含まれている場合において、複数の異形被検出体401に凹凸形状が特殊な特徴を有する特殊被検出体401aを含めると、異形被検出体401を検出している最中の読取部410の状態のなかでも、特殊被検出体401aを検出している最中の読取部410の状態が特殊被検出体401a以外の異形被検出体401を検出している最中の読取部410の状態に対して特殊な状態にすることができる。
【0069】
そして、読取部410による特殊被検出体401aの検出結果に基づいて処理手段5が乗りかご3の絶対位置のような、誤検出を防止する必要性が高い情報を導出するように構成されていれば、読取部410が特殊被検出体401a以外の被検出体40を読み取った際に、移動関連情報導出手段50が誤った移動関連情報を導出してしまうことを抑制することができる。
【0070】
なお、本発明に係るエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0071】
上記実施形態では、移動路2が水平方向に延びている場合を一例に挙げて説明を行ったが、この構成に限定されない。例えば、移動路2は、例えば、上下方向に延びるものであってもよいし、水平方向に延びるものと上下方向に延びるものとが連通したものであってもよい。
【0072】
上記実施形態では、被検出体40がガイドレール6に取り付けられ、検出部41が被案内部7に取り付けられていたが、乗りかご3が、ガイドレール6と被案内部7とを用いずに移動路2内を移動するものであれば、例えば、被検出体40が移動路2の内壁に取り付けられ、検出部41が乗りかご3に直接取り付けられていてもよい。
【0073】
上記実施形態において、検出部41は、乗りかご3に対して間接的に取り付けられていたが、この構成に限定されない。検出部41は、例えば、乗りかご3に被案内部7が取り付けられていないような場合は、乗りかご3に対して直接的に取り付けられていてもよい。
【0074】
上記実施形態では、出力部411が、読取部410で1つの被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合と、読取部410で複数の被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されている場合とを分けて説明していたが、出力部411は、例えば、読取部410で1つの被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力しつつ、読取部410で複数の被検出体40の凹凸形状を読み取った際に1つの検出結果情報を出力するように構成されていてもよい。
【0075】
上記実施形態において特に言及しなかったが、複数の被検出体40は、移動経路に沿って並べて配置された状態で、移動経路に沿う方向において隣り合う前記検出体の凹凸形状が異なるように構成されていてもよい。
【0076】
このようにすれば、読取部410が被検出体40を検出する度に、被検出体40を検出している最中の読取部410の状態が、直前に被検出体40を検出した際の読取部410の状態とは異なる状態になるため、被検出体40を検出している最中の読取部410の状態にバリエーションを付けやすくなる。
【符号の説明】
【0077】
1…エレベータ、2…移動路、4…検出手段、5…処理手段、6…ガイドレール、7…被案内部、40…被検出体、41…検出部、41…被検出部、50…移動関連情報導出手段、51…制御手段、400…標準被検出体、401…異形被検出体、401a…特殊被検出体、401b…被検出体、410…読取部、411…出力部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールが設置されている移動路と、
前記移動路内に設けられ、且つ前記移動路内で前記ガイドレールに沿って移動可能な乗りかごと、
前記ガイドレールから突出し、且つ前記乗りかごの移動方向に沿って並ぶ複数の被検出体と、
前記乗りかごの移動に伴って移動し、且つ前記ガイドレールにおける前記被検出体の設置面と前記被検出体の表面との高低差、及び前記被検出体の設置面の表面に形成される凹凸模様の少なくとも何れか一方によって構成される凹凸形状を読み取る読取部を備える検出部と、を備える、
エレベータ。
【請求項2】
前記複数の被検出体には、
標準とする凹凸形状の標準被検出体と、
前記標準被検出体とは異なる凹凸形状の異形被検出体と、が含まれる、
請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記読取部による被検出体の検出結果に基づいて処理を行う処理手段を備え、
前記複数の被検出体には、複数の前記異形被検出体が含まれ、
複数の前記異形被検出体には、凹凸形状が特殊な特徴を有する特殊被検出体が含まれ、
前記処理手段は、前記読取部による前記特殊被検出体の検出結果に基づいて前記乗りかごの絶対位置を導出するように構成される、
請求項3に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記複数の被検出体は、前記移動経路に沿って並べて配置され、
前記移動経路に沿う方向において隣り合う前記検出体の凹凸形状が異なる、
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のエレベータ。